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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】患者制動ガイド装置及び放射線治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
A61N5/10 P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019211145
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021078989
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】市橋 正英
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533005(JP,A)
【文献】国際公開第2012/066630(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/150708(WO,A1)
【文献】特開2008-119449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療における患者の呼吸制動をガイドするための計画波形情報を記憶する記憶部と、
前記患者の呼吸状態を示す測定波形情報を取得する取得部と、
前記計画波形情報に基づく計画波形と、前記測定波形情報に基づく測定波形とを重畳表示するように表示部を表示制御する表示制御部と、
前記計画波形と前記測定波形との一致度を検出する一致度検出部
を具備し、
前記表示制御部は、前記検出された一致度に基づいて前記計画波形を修正し、当該修正した計画波形を、修正前の計画波形に代えて重畳表示するように、前記表示部を表示制御する患者制動ガイド装置。
【請求項2】
前記計画波形及び前記測定波形は振幅で正規化されている、請求項1記載の患者制動ガイド装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記患者の一呼吸毎に前記計画波形及び前記測定波形を更新し、且つ前記計画波形及び前記測定波形の現時点を示すカーソルを前記表示部に表示させる、請求項1又は2記載の患者制動ガイド装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記計画波形の表示位置を固定し、前記測定波形の先頭と前記カーソルの表示位置とを経過時間に従って移動させるように前記表示部を表示制御する、請求項3記載の患者制動ガイド装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記カーソルの表示位置を固定し、前記計画波形及び前記測定波形の表示位置を経過時間に従って移動させるように前記表示部を表示制御する、請求項3記載の患者制動ガイド装置。
【請求項6】
前記一致度検出部は、前記計画波形が示す吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間のうち、放射線の照射期間に対応する前記息止時間のみ前記一致度を検出する、請求項1乃至5のいずれか一項記載の患者制動ガイド装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記一致度が閾値よりも低いときで且つ前記計画波形が示す息止時間の開始タイミングに対し、前記測定波形が示す息止時間の開始タイミングに遅れが生じているとき、当該遅れに基づいて前記計画波形が示す息止時間を長くするように、前記計画波形を修正する、請求項1乃至のいずれか一項記載の患者制動ガイド装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記一致度をリアルタイムで表示するように前記表示部を表示制御する、請求項乃至のいずれか一項記載の患者制動ガイド装置。
【請求項9】
操作者の操作に応じて、前記計画波形情報を作成し、当該作成した計画波形情報を前記記憶部に記憶させる作成部を更に備え、
前記計画波形情報は、前記患者の吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間を含んでいる、請求項1乃至のいずれか一項記載の患者制動ガイド装置。
【請求項10】
音声出力制御部を更に備え、
前記記憶部は、前記患者の自由呼吸時間から吸気時間に移るときに呼吸制動を促すための第1音声ガイド情報と、前記患者の吸気時間から息止時間に移るときに呼吸制動を促すための第2音声ガイド情報と、前記患者の息止時間から自由呼吸時間に移るときに呼吸制動を促すための第3音声ガイド情報と、を更に記憶し、
前記音声出力制御部は、前記計画波形に基づいて、前記第1音声ガイド情報、前記第2音声ガイド情報及び前記第3音声ガイド情報の各々に対応する音声を出力するようにスピーカを制御する、請求項1乃至のいずれか一項記載の患者制動ガイド装置。
【請求項11】
音声出力制御部を更に備え、
前記計画波形情報は、前記患者の吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間を含んでおり、
前記記憶部は、前記吸気時間から前記息止時間に移るときの一致度の向上を促すための第4音声ガイド情報を記憶し、
前記音声出力制御部は、前記計画波形が示す息止時間の開始タイミングにおいて、前記一致度が閾値よりも低いとき、前記第4音声ガイド情報に対応する音声を出力するようにスピーカを制御する、請求項1乃至10のいずれか一項記載の患者制動ガイド装置。
【請求項12】
放射線を照射する照射部と、
放射線治療における患者の呼吸制動をガイドするための計画波形情報を記憶する記憶部と、
前記患者の呼吸状態を示す測定波形情報を取得する取得部と、
前記計画波形情報に基づく計画波形と、前記測定波形情報に基づく測定波形とを重畳表示するように表示部を表示制御する表示制御部と
前記計画波形と前記測定波形との一致度を検出する一致度検出部と
を具備し、
前記表示制御部は、前記検出された一致度に基づいて前記計画波形を修正し、当該修正した計画波形を、修正前の計画波形に代えて重畳表示するように、前記表示部を表示制御する、放射線治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、患者制動ガイド装置及び放射線治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療において、患者の呼吸に合わせて照射や位置確認のための撮影を行う際に、操作者がマイクやオートボイス装置等を介して患者に音声ガイドを行うことにより、患者の呼吸や体動を制御している。しかしながら、この種の音声ガイドによる制動は、(a)~(c)に示す如き不都合が生じる場合がある。
【0003】
(a)音声ガイドの開始から患者の呼吸制動が行われるまで若干の遅れがある。
【0004】
(b)患者は、唐突に音声ガイドを受けるため、音声ガイドと自然呼吸のタイミングとが合わない場合には、呼吸制動が遅れたり、急な呼吸制動を強いられたりといった負担が生じる。
【0005】
(c)定位照射など治療時間が長い照射では、上記(a)又は(b)の呼吸制動の遅れが累積して治療時間が長くなってしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-119449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、患者に急な呼吸制動を強いることなく、呼吸制動の遅れを低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る患者制動ガイド装置は、記憶部、取得部及び表示制御部を具備する。
前記記憶部は、放射線治療における患者の呼吸制動をガイドするための計画波形情報を記憶する。
前記取得部は、前記患者の呼吸状態を示す測定波形情報を取得する。
前記表示制御部は、前記計画波形情報に基づく計画波形と、前記測定波形情報に基づく測定波形とを重畳表示するように表示部を表示制御する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る放射線治療システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る患者制動ガイド装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る計画波形及び音声ガイドを説明するための模式図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る計画波形情報を説明するための模式図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る計画波形情報を説明するための模式図である。
図6図6は、第1の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、第1の実施形態におけるステップST60の動作を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、第1の実施形態における照射前の自由呼吸時の測定波形及び計画波形の一例を示す模式図である。
図9図9は、第1の実施形態における変更後の音声ガイドの出力を説明するための模式図である。
図10図10は、第1の実施形態における計画波形の修正を説明するための模式図である。
図11図11は、第1の実施形態における息止め照射中の測定波形及び計画波形の一例を示す模式図である。
図12図12は、第1の実施形態における息止め照射完了後の自由呼吸時の測定波形及び計画波形の一例を示す模式図である。
図13図13は、第1の実施形態の変形例の動作を説明するためのフローチャートである。
図14図14は、第2の実施形態に係る患者制動ガイド装置の構成を示すブロック図である。
図15図15は、第2の実施形態におけるステップST60の動作を説明するためのフローチャートである。
図16図16は、第2の実施形態における計画波形の修正を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら各実施形態について説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
図1に示すように、放射線治療システム100は、患者呼吸監視装置1、患者制動ガイド装置2、出力装置3、治療計画画像撮影装置4、治療計画装置5、放射線治療情報システム(OIS: Oncology Information System)6、放射線治療装置7を有する。患者呼吸監視装置1、患者制動ガイド装置2、出力装置3、治療計画画像撮影装置4、治療計画装置5、放射線治療情報システム6及び放射線治療装置7は、互いにネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0012】
患者呼吸監視装置1は、放射線照射前又は放射線照射中等の放射線治療時において、図示しない寝台に載置された患者の呼吸動を計測する。患者呼吸監視装置1の計測原理としては、機械式や光学式等が利用可能である。
【0013】
機械式の場合、患者呼吸監視装置1は、例えば、呼吸センサ及び解析装置により実現される。呼吸センサは、例えば、接触アームとロータリーエンコーダとを有する。接触アームは患者の腹部等の体表面に接触するように配置され、患者の呼吸による腹部の移動に伴い上下に運動する。ロータリーエンコーダは、接触アームが動く毎にパルスを発生する。解析装置は、例えば、CPU等のプロセッサとRAM等のメモリとを有する。解析装置のプロセッサは、ロータリーエンコーダからのパルスに基づいて患者の呼吸レベルの推移(呼吸状態)を示す測定波形情報を生成し、当該測定波形情報を患者制動ガイド装置2に出力する。機械式の場合、接触アーム及びロータリエンコーダを用いる方式に限らず、例えば、患者の鼻に挿入したチューブを介して呼吸レベルを把握する方式としてもよい。
【0014】
光学式の場合、患者呼吸監視装置1は、例えば、光走査装置及び解析装置により実現される。光走査装置は、例えば、寝台に載置された患者の表面を光学的に走査する。解析装置は、光走査装置からの出力に基づいて光源と患者との間の距離の変位を算出し、算出された変位に基づいて患者の呼吸レベルの推移(呼吸状態)を示す測定波形情報を生成し、当該測定波形情報を患者制動ガイド装置2に出力する。このような測定波形情報に基づいて表示される測定波形は、振幅で正規化されてもよい。
【0015】
機械式及び光学式のいずれにしても、測定波形情報は、呼吸レベルの推移の他に、一呼吸の時間である呼吸周期と一呼吸周期あたりの放射線の照射時間とを含んでもよい。以下、一呼吸周期あたりの放射線の照射時間を単位照射時間と呼ぶことにする。
【0016】
また、呼吸レベルは、具体的には、患者の腹部等の呼吸動の検知部位の基準値からの高さを示す。呼吸レベルが高い時相は吸気時相であり、呼吸レベルが低い時相は呼気時相である。患者呼吸監視装置1は、呼吸波形の呼吸レベルを閾値に対して比較する。閾値は、例えば、呼気に対応する呼吸レベルの上限値に設定される。患者呼吸監視装置1は、呼吸レベルが閾値を下回る時点から上回る時点までの時間を単位照射時間として計測する。また、患者呼吸監視装置1は、呼吸レベルが閾値を下回る時点から再び呼吸レベルが閾値を下回る時点までの時間を呼吸周期として計測する。なお、呼吸周期の定義はこれに限定されず、呼吸レベルが上に凸の極値をとった時点から再び上に凸の極値をとった時点までの時間や、呼吸レベルが下に凸の極値をとった時点から再び下に凸の極値をとった時点までの時間等により規定されても良い。また、患者呼吸監視装置1は、呼吸レベルを正規化してもよい。例えば、基準値と上に凸の極値(振幅)との間の呼吸レベルを振幅で除算することにより、当該呼吸レベルを0から1の間で正規化できる。同様に、基準値と下に凸の極値との間の呼吸レベルを振幅で除算することにより、当該呼吸レベルを0から-1の間で正規化できる。呼吸レベルの正規化は、患者呼吸監視装置1及び患者制動ガイド装置2のいずれが実行してもよい。呼吸レベルを振幅で正規化した場合、測定波形情報に基づいて表示される測定波形は、振幅で正規化されている。
【0017】
患者制動ガイド装置2は、例えば、放射線治療装置7や治療前の画像撮影装置において、患者の制動を促すガイドの計画を作成し、治療または画像撮影時に計画波形と測定波形との2つの呼吸波形を表示し、両者の一致度を表示する装置である。但し、患者制動ガイド装置2は、この例に限定されない。例えば、患者制動ガイド装置2は、一致度を表示せず、一致度に対応する音声ガイドを音声出力してもよい。また、患者制動ガイド装置2は、患者および治療計画データに基づいて、患者が事前に次の呼吸制動を把握できるようにしてもよい。例えば、患者制動ガイド装置2は、患者情報および治療計画データに基づいて、計画波形を作成し、計画波形と測定波形とを表示することにより、患者に次の呼吸制動を予告してもよい。また、患者制動ガイド装置2は、患者が呼吸のタイミングと量をリアルタイムで把握できるようにしてもよい。例えば、患者制動ガイド装置2は、0から1の間に正規化した呼吸レベルに限らず、呼吸の量(肺活量)又は腹部の移動量を表示してもよい。このような患者制動ガイド装置2の構成等については後述する。
【0018】
出力装置3は、患者から視認可能なディスプレイと、患者に対して音声ガイドを出力するスピーカとを含んでいる。出力装置3は、患者制動ガイド装置2が備える出力インタフェースとして設けてもよく、患者制動ガイド装置2に接続された外部装置として設けてもよい。ここで、出力装置3としては、例えば、患者の頭部に対向配置され、当該患者が載置された寝台にアームを介して保持されたタブレット端末としてもよい。また、出力装置3としては、例えば、患者の頭部に対向配置されたミラー部材と、当該ミラー部材の反射面に画面を映し出すディスプレイ又はスクリーンとを備えてもよい。スクリーンの場合、出力装置3としては、当該スクリーンに画面を映し出す映写機を更に備えてもよい。また、出力装置3としては、例えば、VRゴーグルの如き、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)としてもよい。出力装置3は、表示部及びスピーカの一例である。
【0019】
治療計画画像撮影装置4は、治療対象の患者に医用撮像を施して、治療計画に使用する医用画像を生成する。以下、治療計画に使用するための医用画像を治療計画画像と呼ぶ。治療計画画像は、2次元状に配列されたピクセルにより構成される2次元画像でもよいし、3次元状に配列されたボクセルにより構成される3次元画像でもよい。治療計画画像撮影装置4は、治療計画画像を生成可能な如何なるモダリティ装置であってもよい。モダリティ装置としては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴イメージング装置、コーンビームCT装置、核医学診断装置等が挙げられる。治療計画画像のデータは、例えば、治療計画装置5に送信される。
【0020】
治療計画装置5は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、ディスプレイ、入力インタフェース、通信インタフェースを含むコンピュータを有する。治療計画装置5は、治療計画画像を利用して治療対象の患者の治療計画を作成する。治療計画に含まれるパラメータとしては、フィールド数(照射野数)やフィールド角度(照射角度)、放射線強度、コリメータ開度等が含まれる。治療計画装置5は、治療計画画像に基づいて腫瘍や臓器の位置及び形状を特定し、各種の治療計画パラメータを決定する。この際、腫瘍に照射する線量はできる限り多く、正常組織への線量はできる限り小さくなるような治療計画が作成される。治療計画のデータは、放射線治療情報システム6に供給される。
【0021】
放射線治療情報システム6は、治療計画装置5や放射線治療装置7等と連携して放射線治療に関する情報を管理するコンピュータシステムである。放射線治療情報システム6は、汎用のコンピュータ又はワークステーションが備えるプロセッサ、メモリ、入力機器、ディスプレイ、通信インタフェース及び記憶装置を備える。例えば、放射線治療情報システム6は、治療計画画像撮影装置4により生成された治療計画画像や治療計画装置5により作成された治療計画、患者情報等を管理する。
【0022】
放射線治療装置7は、治療計画装置5により作成された治療計画に従い患者に放射線を照射して患者を治療する。放射線治療装置7は、治療室に設けられた治療架台と治療寝台とを有する。治療寝台は、患者の治療部位がアイソセンタに略一致するように天板を移動する。治療架台は、回転軸回りに回転可能に照射ヘッド部を支持する。照射ヘッド部は、放射線治療情報システム6から供給された治療計画に従い放射線を照射する。具体的には、照射ヘッド部は、多分割絞り(マルチリーフコリメータ)により照射野を形成し、当該照射野により正常組織への照射を抑える。治療部位に放射線が照射されることにより当該治療部位が消滅又は縮小する。なお、治療架台に画像撮影装置が搭載されていてもよい。画像撮影装置は、放射線治療時の位置確認のため患者の体内情報を収集するためのものである。例えば、画像撮影装置は、回転軸を挟んで対向配置されたX線管とX線検出器とを有する。この構成により画像撮影装置は、コーンビームCTを実現し、患者の体内の形態を描出する3次元のCT画像データを生成可能である。また、放射線治療装置7は、放射線を照射する照射部と、放射線治療における患者の呼吸制動をガイドするための患者制動ガイド装置2を備えてもよい。照射ヘッド部は、照射部の一例である。
【0023】
図2に示すように、患者制動ガイド装置2は、処理回路21、メモリ22、入力インタフェース23、通信インタフェース24、ディスプレイ25及びスピーカ26を有する。
【0024】
処理回路21は、CPU及びGPU等のプロセッサを有する。当該プロセッサがメモリ13等にインストールされたプログラムを起動することにより、当該プロセッサは、取得機能21a、ガイド作成機能21b、一致度検出機能21c、表示制御機能21d及び音声出力制御機能21eを実現する。なお、各機能21a乃至21eは単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能21a乃至21eを実現するものとしても構わない。
【0025】
取得機能21aの実現により処理回路21は、種々のデータを取得する。例えば、処理回路21は、通信インタフェース24を介して放射線治療情報システム6から受信された治療計画のデータと患者情報とを取得する。また例えば、処理回路21は、通信インタフェース24を介して患者呼吸監視装置1から受信された患者の呼吸状態を示す測定波形情報を取得する。取得機能21a及び処理回路21は、取得部の一例である。
【0026】
ガイド作成機能21bの実現により処理回路21は、入力インタフェース23に対する操作者の操作に応じて、放射線治療における患者の呼吸制動をガイドするための計画波形情報を作成し、当該作成した計画波形情報をメモリ22に記憶させる。計画波形情報は、患者の吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間を含んでもよい。また、ガイド作成機能21bの実現により処理回路21は、入力インタフェース23に対する操作者の操作に応じて、放射線治療における患者の呼吸制動をガイドするための音声ガイド情報を作成し、当該作成した音声ガイド情報をメモリ22に記憶させる。なお、計画波形情報及び音声ガイド情報によれば、図3に示すように、計画波形情報に基づく計画波形Wpが表示可能になると共に、音声ガイド情報に基づく音声ガイドが出力可能となる。なお、音声ガイド情報としては、例えば、第1音声ガイド情報「息を吸って」と、第2音声ガイド情報「息を止めて」と、第3音声ガイド情報「楽にしてください」と、第4音声ガイド情報「もう少し早く吸って」等といった任意の音声データが適宜、使用可能となっている。ここで、第2音声ガイド情報は、患者の吸気時間Taから息止時間Tbに移るときに呼吸制動を促すための音声データである。第3音声ガイド情報「楽にしてください」は、患者の息止時間Tbから自由呼吸時間Tcに移るときに呼吸制動を促すための音声データである。第1音声ガイド情報「息を吸って」は、患者の自由呼吸時間Tcから(次の)吸気時間Taに移るときに呼吸制動を促すための音声データである。第4音声ガイド情報「もう少し早く吸って」は、吸気時間Taから息止時間Tbに移るときの一致度の向上を促すための音声データである。
【0027】
音声ガイドの出力は、音声出力の一例である。音声出力としては、音声ガイドに限らず、チャイム音の如き、言葉を含まない音声を用いてもよい。例えば、チャイム音の如き、言葉を含まない音声を、2秒前程度の事前に出力してもよい。このような事前に出力されて言葉を含まない音声は、事前音と呼んでもよい。なお、図3の縦軸は、正規化した呼吸レベルを示し、横軸は経過時間を示す。
【0028】
ここで、計画波形Wpは、振幅で正規化されており、吸気時間Taの波形要素Wpaと、息止時間Tbの波形要素Wpbと、自由呼吸時間Tcの波形要素Wpcとを備えている。吸気時間Taは、最大呼気の時刻t1から最大吸気の到達時刻t2までの時間である。息止時間Tbは、最大呼気の到達時刻t2から自由呼吸の開始時刻t3までの時間である。自由呼吸時間Tcは、自由呼吸の開始時刻t3から次の最大呼気の時刻t1までの時間である。波形要素Wpaは、吸気時間Taの時間幅において、正弦波のうち、最小値(-1)から最大値(+1)に至る右上がりの曲線部分である。波形要素Wpbは、息止時間Tbの時間幅において、最大値(+1)を維持する直線部分である。波形要素Wpcは、自由呼吸時間Tcの時間幅において、正弦波のうち、最大値(+1)から最小値(-1)に至る正弦波の曲線部分である。なお、ここに述べた波形要素は一例であり、開始の値と終了の値はこれに限定されない。
【0029】
吸気時間Ta、息止時間Tb及び自由呼吸時間Tcは、個人差が大きいため、図4に示すように、患者識別情報(患者ID)毎に、予め測定される。これにより、計画波形情報としては、図5に示すように、波形要素Wpaの吸気時間Taと、波形要素Wpbの息止時間Tbと、波形要素Wpcの自由呼吸時間Tcと、これらの順序及び繰り返し数が患者識別情報毎に設定可能となる。ガイド作成機能21b及び処理回路21は、作成部の一例である。
【0030】
一致度検出機能21cの実現により処理回路21は、ディスプレイ25に重畳表示された計画波形と測定波形との一致度を検出する。具体的には例えば、処理回路21は、計画波形及び測定波形の現時点における一致度を検出する。一致度は、現時点の呼吸レベルの一致している度合を示しており、例えば、計画波形の現時点の値vpと、測定波形の現時点の値vmとの差分Δv(=|vp-vm|)に基づいて、算出することができる。例えば、一致度をdcとする場合、Δvが0から1までの間で正規化された値の差分であるから、dc=(1-Δv)×100[%]として得られる。あるいは、一致度は、呼吸の量が一致している度合を示してもよい。すなわち、呼吸の量を正規化したものが呼吸レベルであり、呼吸レベルと呼吸の量とは互いに対応するからである。正規化していないvp,vmを用いる場合、一致度dcは、dc={1-|vp-vm|/vp}×100[%]として得られる。また、一致度は、2つの波形の完全一致が困難であり、差分が数%以下でよいことから、閾値との比較を伴って判定に用いられることが好ましい。「一致度」の用語は、「類似度」や「ずれ量」などを包括する概念として用いている。処理回路21は、計画波形が示す吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間のうち、放射線の照射期間に対応する当該息止時間のみ一致度を検出してもよい。一致度検出機能21c及び処理回路21は、一致度検出部の一例である。
【0031】
表示制御機能21dの実現により処理回路21は、種々の情報をディスプレイ25及び/又は出力装置3に表示する。例えば、処理回路21は、計画波形情報に基づく計画波形と、測定波形情報に基づく測定波形とを重畳表示するようにディスプレイ25を表示制御する。ここで、計画波形及び測定波形は振幅で正規化されていてもよい。係る表示制御機能21dとしては、更に、以下の(d1)~(d6)の各機能を適宜、実現してもよい。
【0032】
(d1)患者の一呼吸毎に計画波形及び測定波形を更新し、且つ計画波形及び測定波形の現時点を示すカーソルをディスプレイ25に表示させる機能。
【0033】
(d2)計画波形の表示位置を固定し、測定波形の先頭とカーソルの表示位置とを経過時間に従って移動させるようにディスプレイ25を表示制御する機能。
【0034】
(d3)カーソルの表示位置を固定し、計画波形及び測定波形の表示位置を経過時間に従って移動させるようにディスプレイ25を表示制御する機能。
【0035】
(d4)検出された一致度に基づいて計画波形を修正し、当該修正した計画波形を、修正前の計画波形に代えて重畳表示するように、ディスプレイ25を表示制御する機能。
【0036】
(d5)一致度が閾値よりも低いときで且つ計画波形が示す息止時間の開始タイミングに対し、測定波形が示す息止時間の開始タイミングに遅れが生じているとき、当該遅れに基づいて計画波形が示す息止時間を長くするように、計画波形を修正する機能。
【0037】
(d6)一致度をリアルタイムで表示するようにディスプレイ25を表示制御する機能。リアルタイムとは、一致度の順次検出に並行して、当該検出された一致度を順次表示することを意味する。また、一致度の表示としては、例えば、一致している部分の測定波形と、一致していない部分の測定波形とでは異なる色を用いた形態や、一致度を示す数値などを表示する形態といった任意の表示形態が適宜、使用可能となっている。表示制御機能21d及び処理回路21は、表示制御部の一例である。
【0038】
音声出力制御機能21eの実現により処理回路21は、種々の音声ガイドをスピーカ26及び/又は出力装置3から音声出力する。例えば、処理回路21は、計画波形に基づいて、第1音声ガイド情報、第2音声ガイド情報及び第3音声ガイド情報の各々に対応する音声を出力するようにスピーカ26を制御する。また例えば、処理回路21は、計画波形が示す息止時間の開始タイミングにおいて、一致度が閾値よりも低いとき、第4音声ガイド情報に対応する音声を出力するようにスピーカ26を制御してもよい。音声出力制御機能21e及び処理回路21は、音声出力制御部の一例である。
【0039】
メモリ22は、種々の情報を記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ22は、上記記憶装置以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体や、半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ22は、患者制動ガイド装置2にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。また、メモリ22は、プログラム、患者情報、治療計画、計画波形情報、音声ガイド情報、各種テーブル等のデータを記憶する。メモリ22は、記憶部の一例である。
【0040】
入力インタフェース23は、オペレータからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路21に出力する。具体的には、入力インタフェース23は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の入力機器に接続されている。入力インタフェース23は、当該入力機器への入力操作に応じた電気信号を処理回路21へ出力する。また、入力インタフェース23に接続される入力機器は、ネットワーク等を介して接続された他のコンピュータに設けられた入力機器でもよい。
【0041】
通信インタフェース24は、放射線治療システム100に含まれる他の装置との間でデータ通信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース24は、放射線治療情報システム6からネットワークを介して、患者情報、治療計画及び治療計画画像のデータを受信する。
【0042】
ディスプレイ25は、処理回路21の表示制御機能21dに従い種々の情報を表示する。例えば、ディスプレイ25は、音声シーケンスの構築画面を表示する。ディスプレイ25としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが適宜使用可能である。ディスプレイ25は、表示部の一例である。
【0043】
スピーカ26は、音声出力制御機能21eに従い音声を再生する。スピーカ26としては、マグネチックスピーカ、ダイナミックスピーカ、コンデンサスピーカ又は当技術分野で知られている他の任意のスピーカが適宜利用可能である。スピーカ26としては、例えば、出力装置3のスピーカを用いてもよい。スピーカ26は、スピーカの一例である。
【0044】
次に、以上のように構成された患者制動ガイド装置2の動作について図6及び図7のフローチャート並びに図8乃至図12の模式図を用いて説明する。
【0045】
放射線治療の前に、処理回路21は、入力インタフェース23に対する操作者の操作に応じて、放射線治療対象患者に関する患者情報と治療計画データとを選択する(ステップST10)。患者情報と治療計画データとは、例えば、放射線治療情報システム6内の患者情報と治療計画データから選択して取得することが可能である。
【0046】
ステップST10の後、処理回路21は、患者情報及び治療計画データに基づき、患者の呼吸制動の計画を作成する(ステップST20)。例えば、処理回路21は、操作者の操作に応じて、治療計画データに記録された治療パラメータと、治療前に患者がトレーニングしたときの患者の吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間とを用いて、計画波形情報を作成する。例えば、処理回路21は、照射時間の長さから効率よく照射を完了できるように、患者が休息する自由呼吸時間、息を吸って準備する吸気時間、息を止めて照射する息止時間、及びそれらの順序と繰り返し数を決定し、計画波形情報を作成する。
【0047】
例えば、処理回路21は、治療計画に基づいて1フィールドの照射時間を算出する。例えば、息止照射がフィールドAについて行われ、フィールドAに対するMU(monitor unit)値が200MU、線量率が500MU/minであるとする。MU値と線量率とは治療計画に治療パラメータとして記録されている。処理回路21は、MU値と線量率とに基づいて、1フィールドの照射時間を算出する。具体的には、1フィールドの照射時間は、MU値/線量率=200/500=0.4min=24secである。1回の呼吸周期における息止時間が8secの場合、繰り返し数は、照射時間/息止時間=24/8=3回である。処理回路21は、このように作成した計画波形情報をメモリ22に記憶させる。このような計画波形情報は、放射線治療日よりも前の時点で予め作成されることが多い。すなわち、通常の場合、ステップST10~ST20は、放射線治療の当日よりも前の日に実行される。また、ステップST30以降の処理は、放射線治療の当日に実行される。但し、計画波形情報を放射線治療の当日より前に作成することは必須ではなく、ステップST10~ST20と、ステップST30以降とを同じ日に実行してもよい。
【0048】
ステップST20の後、患者呼吸監視装置1は、治療開始前、患者の呼吸状態の測定を開始し、測定した呼吸状態を示す測定波形情報を送出する。処理回路21は、患者呼吸監視装置1から測定波形情報を取得する。これにより、照射前の自由呼吸時において、処理回路21は、図8に示すように、メモリ22内の計画波形情報に基づく計画波形Wpと、取得した測定波形情報に基づく測定波形Wmとを重畳してディスプレイ25に表示する(ステップST30;時刻t10)。
【0049】
ステップST30の後、処理回路21は、治療中、呼吸の計画波形Wp及び測定波形Wmの表示を更新すると共に(ステップST40)、計画波形Wpと測定波形Wmとの一致度を検出する(ステップST50)。また、処理回路21は、検出された一致度をリアルタイムで表示するようにディスプレイ25を表示制御する。
【0050】
ステップST50の後、処理回路21は、検出された一致度に応じて計画波形や音声ガイドを変更する(ステップST60)。具体的には、検出された一致度に基づいて計画波形を修正し、当該修正した計画波形を、修正前の計画波形に代えて重畳表示する。また、計画波形が示す息止時間の開始タイミングにおいて、一致度が閾値よりも低いとき、第4音声ガイド情報に対応する音声を出力する。このようなステップST60は、図7に示す如き、ステップST61乃至ST67により実行される。
【0051】
まず、処理回路21は、計画波形Wpに基づいて、現在が、吸気時間Ta、息止時間Tb及び自由呼吸時間Tcのいずれの段階であるかを特定する(ステップST61)。また、処理回路21は、特定した結果に対応する一致度と閾値とを比較する(ステップST62)。例えば、特定した結果が吸気時間Ta又は自由呼吸時間Tcのとき、処理回路21は、一致度の比較を行わない。また、処理回路21は、特定した結果が息止時間Tbのとき、一致度と閾値とを比較する(ステップST62)。
【0052】
ステップST62の後、処理回路21は、一致度が閾値より低いか否かを判定する(ステップST63)。否の場合には(ST63:No)、ステップST64~ST67をスキップし、ステップST70に移行する。一致度が閾値より低い場合には(ST63:Yes)、計画波形Wp上、息止時間Tbであるにもかかわらず、吸気時間Taが終了してない。このため、処理回路21は、図9に示すように、通常時の息止時間Tbに移るための音声ガイド「息を止めて」を、一致度の向上を促すための音声ガイド「もう少し早く吸って」に変更し、変更後の音声ガイドを出力する(ステップST64:時刻t11)。
【0053】
ステップST64の後、処理回路21は、新たに取得された一致度が閾値より低いか否かを判定し(ステップST65)、否の場合にはステップST65の判定を継続する。一方、一致度が閾値より低い場合には(ST65:Yes)、息止時間の開始が閾値より遅れたか否かを判定する(ステップST66)。具体的には、処理回路21は、計画波形Wpが示す息止時間Tbの開始タイミングに対し、測定波形Wmが示す息止時間の開始タイミングに遅れが生じているか否かを判定する。この判定の結果、否の場合には(ST66:No)、ステップST67をスキップし、ステップST70に移行する。
【0054】
一方、息止時間Tbの開始が遅れた場合には(ST66:Yes)、図10に示すように、息止時間Tbを長くするように計画波形Wpが変更され、変更後の計画波形Wp*が変更前の計画波形Wpに代えて測定波形Wmに重畳表示される(ステップST67)。例えば、計画波形Wp上の息止時間Tbの開始が時刻t11であり、一致度が小さくなったときが時刻t12であって、両者の差分Δt1が閾値より大きいとき、息止時間Tbの開始が遅れたと判定される。このとき、処理回路21は、この差分Δt1だけ息止時間Tbを長くするように計画波形Wpを変更し、変更後の計画波形Wp*をディスプレイ25に表示する。これにより、放射線照射の開始が時刻t11の計画から時刻t12に遅延したとしても、遅延した差分Δt1だけ計画波形Wpが修正されているので、トータルの照射時間が変更されない。放射線照射の開始が時刻t12になったときの、放射線照射の開始は、呼吸同期照射を用いてもよく、照射スイッチのオン操作を用いてもよい。なお、理解を容易にするため、変更前後の計画波形Wp,Wp*を同時に図10に示したが、実際には、変更前の計画波形Wpと変更後の計画波形Wp*とは、いずれか一方が表示される。また、理解を容易にするため、遅延した差分Δt1をそのまま計画波形Wpを長くするために用いたが、これに限定されない。例えば、繰り返し数が3回のとき、差分Δt1を三等分して、現在(1回目)の計画波形と、残り2回の計画波形とをそれぞれ均等にΔt1/3ずつ長くしてもよい。いずれにしても、ステップST67の終了後、ステップST61~ST67からなるステップST60が終了する。
【0055】
ステップST60の後、図6に戻り、処理回路21は、例えば、計画波形情報に基づく計画波形が終了したか否かに基づいて、放射線治療が終了したか否かを判定する(ステップST70)。ステップST70の判定の結果、否の場合にはステップST40に戻り、ステップST40~ST70の処理を繰り返し実行する。これにより、例えば、息止照射中であれば、図11に示すように、計画波形Wpと測定波形Wmとの重畳表示と、計画波形Wp及び測定波形Wmの現時点を示すカーソルCSの表示と、一致度の検出及び表示が経過時間に従って実行される。なお、図11に示す例では、計画波形Wpの表示位置を固定し、測定波形Wmの先頭とカーソルCSの表示位置とを経過時間に従って移動させるようにディスプレイ25が表示制御される。しかしながら、これに限らず、カーソルCSの表示位置を固定し、計画波形Wp及び測定波形Wmの表示位置を経過時間に従って移動させるようにディスプレイ25を表示制御してもよい。また、カーソルCSの表示に代えて、又はカーソルCSの表示に付加して、現時点の前後(過去か未来か)で計画波形Wp及び測定波形Wmの色を変えてもよい。また、息止照射完了後、自由呼吸時には、図12に示すように、計画波形Wp及び測定波形Wmの重畳表示と、計画波形Wp及び測定波形Wmの現時点を示すカーソルCSの表示とが経過時間に従って実行される。これにより、患者の一呼吸周期における放射線照射が完了する。ステップST20に述べた例の場合、1回の呼吸周期における息止時間が8secとし、繰り返し数を3回として計画波形情報が作成されている。このため、処理回路21は、ステップST40~ST70の繰り返し実行中、患者の一呼吸毎に計画波形Wp及び測定波形Wmを更新し、且つ計画波形Wp及び測定波形Wmの現時点を示すカーソルCSをディスプレイ25に表示させる。
【0056】
しかる後、処理回路21は、ステップST70の判定の結果、放射線治療が終了した場合には、患者制動ガイド装置2の処理を終了する。
【0057】
上述したように本実施形態によれば、放射線治療における患者の呼吸制動をガイドするための計画波形情報を記憶し、患者の呼吸状態を示す測定波形情報を取得する。また、計画波形情報に基づく計画波形と、測定波形情報に基づく測定波形とを重畳表示するように表示部を表示制御する。これにより、患者は、事前に次の呼吸制動が何秒後に来るかを把握しつつ、計画波形に合わせて呼吸制動を行うことが可能となる。従って、患者に急な呼吸制動を強いることなく、呼吸制動の遅れを低減させることができる。また、患者は急な呼吸制動を強いられることがなくなり、呼吸制動の際の負担が軽減する。また、計画波形に測定波形を合わせるように呼吸制動を行うので、呼吸制動のタイミングに加え、呼吸の量も安定化させることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、計画波形及び測定波形が振幅で正規化されていてもよい。この場合、前述した効果に加え、患者の個人差によらずに、計画波形及び測定波形を一定の大きさで表示できるので、視認性の向上を図ることができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、患者の一呼吸毎に計画波形及び測定波形を更新し、且つ計画波形及び測定波形の現時点を示すカーソルを表示部に表示させてもよい。この場合、前述した効果に加え、計画波形及び測定波形に対し、呼吸制動に必要な現時点の視認性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、計画波形の表示位置を固定し、測定波形の先頭とカーソルの表示位置とを経過時間に従って移動させるように表示部を表示制御してもよい。この場合、前述した効果に加え、患者は、視線でカーソルを追跡するだけで現時点を視認できるため、息止照射時に患者の頭部の動きを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、カーソルの表示位置を固定し、計画波形及び測定波形の表示位置を経過時間に従って移動させるように表示部を表示制御してもよい。この場合、患者が視線を略一定にして現時点を視認できるため、息止照射時に患者の頭部の動きを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、計画波形と測定波形との一致度を検出する。また、検出された一致度に基づいて計画波形を修正し、当該修正した計画波形を、修正前の計画波形に代えて重畳表示するように、表示部を表示制御してもよい。この場合、前述した効果に加え、一致度が低い場合でも、計画波形を修正することにより、計画波形に呼吸制動を合わせ易くすることができる。補足すると、患者は日によって体調が変わる場合がある。このため、計画波形から呼吸制動が遅れてしまうといった、一致度が低い場合に、計画波形と測定波形との差を求め、その差を考慮した計画波形に自動更新することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、計画波形が示す吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間のうち、放射線の照射期間に対応する息止時間のみ一致度を検出するようにしてもよい。この場合、前述した効果に加え、患者が呼吸制動を行う時間を必要最小限にできるので、患者の負担を軽減させることができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、一致度が閾値よりも低いときで且つ計画波形が示す息止時間の開始タイミングに対し、測定波形が示す息止時間の開始タイミングに遅れが生じているとき、当該遅れに基づいて計画波形が示す息止時間を長くするように、計画波形を修正するようにしてもよい。この場合、前述した効果に加え、息止時間の開始が遅れた場合でも、計画波形を修正することにより、計画した息止時間で息止照射を行うことができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、一致度をリアルタイムで表示するように表示部を表示制御してもよい。この場合、前述した効果に加え、計画波形及び測定波形のみを視認するときよりも、分かり易く呼吸制動を促すことができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、操作者の操作に応じて、計画波形情報を作成し、当該作成した計画波形情報を記憶部に記憶させてもよい。計画波形情報は、患者の吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間を含んでいてもよい。この場合、前述した効果に加え、個人差の大きい吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間を患者毎に設定できるので、呼吸制動を行う患者の負担を軽減させることができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、患者の自由呼吸時間から吸気時間に移るときに呼吸制動を促すための第1音声ガイド情報と、患者の吸気時間から息止時間に移るときに呼吸制動を促すための第2音声ガイド情報と、患者の息止時間から自由呼吸時間に移るときに呼吸制動を促すための第3音声ガイド情報と、を更に記憶してもよい。また、計画波形に基づいて、第1音声ガイド情報、第2音声ガイド情報及び第3音声ガイド情報の各々に対応する音声を出力するようにスピーカを制御してもよい。この場合、前述した効果に加え、計画波形及び測定波形などの表示に連動して音声ガイドを行うことができるので、より一層、分かり易く呼吸制動を促すことができる。また、音声ガイドに対する呼吸制動の遅れを低減することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、計画波形情報は、患者の吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間を含んでいてもよい。また、吸気時間から息止時間に移るときの一致度の向上を促すための第4音声ガイド情報を記憶してもよい。また、計画波形が示す息止時間の開始タイミングにおいて、一致度が閾値よりも低いとき、当該第4音声ガイド情報に対応する音声を出力するようにスピーカを制御してもよい。この場合、前述した効果に加え、一致度が低い場合でも、一致度の向上を促すための音声ガイドを出力することにより、計画波形に呼吸制動を合わせ易くすることができる。
【0069】
[変形例]
第1の実施形態の変形例は、計画波形情報を事前に作成せずに操作者による任意のタイミングで計画波形情報を作成し、計画波形を表示するものである。ここでは、任意のタイミングの一例として、計画波形情報の作成を治療日当日(の放射線治療の直前)に行う場合について説明する。
【0070】
これに伴い、患者制動ガイド装置2は、図13に示すように、動作を実行する。すなわち、前述したステップST20に代えて、ステップST20A、ST21Aを実行する。例えば、前述同様にステップST10を実行した後、患者呼吸監視装置1は、治療開始前、患者の呼吸状態の測定を開始し、測定した呼吸状態を示す測定波形情報を送出する。患者制動ガイド装置2の処理回路21は、患者呼吸監視装置1から測定波形情報を取得する。これにより、照射前の自由呼吸時において、処理回路21は、取得した測定波形情報に基づく測定波形をディスプレイ25に表示する(ステップST20A)。
【0071】
ステップST20Aの後、処理回路21は、患者情報及び治療計画データに基づき、患者の呼吸制動の計画を作成する。例えば、処理回路21は、操作者の操作に応じて、治療計画データに記録された治療パラメータと、現在、表示中の測定波形が示す患者の吸気時間、息止時間及び自由呼吸時間とを用いて、計画波形情報を作成する。例えば、処理回路21は、照射時間の長さから効率よく照射を完了できるように、患者が休息する自由呼吸時間、息を吸って準備する吸気時間、息を止めて照射する息止時間、及びそれらの順序と繰り返し数を決定し、計画波形情報を作成する。なお、「計画波形情報」の用語は、放射線治療当日に作成することから「計画」の用語を用いずに、「目標波形情報」と呼んでもよい。同様に、「計画波形」の用語は、適宜、「目標波形」と呼んでもよい。いずれにしても、処理回路21は、患者情報及び呼吸の測定波形に基づき、計画波形情報を作成し、当該作成した計画波形情報に基づく計画波形(目標波形)をディスプレイ25に表示する(ステップST21A)。ステップ21Aの終了後、前述同様に、ステップST30~ST70の処理を実行する。
【0072】
以上のような変形例によれば、放射線治療日の当日に計画波形情報を作成するので、第1の実施形態の効果に加え、患者の体調の変化による呼吸制動の変動が生じにくく、計画波形と測定波形との一致度の向上を期待することができる。
【0073】
<第2の実施形態>
図14は、第2の実施形態に係る患者制動ガイド装置の構成を示すブロック図であり、図2と略同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは、主に、異なる部分について述べる。
【0074】
第2の実施形態は、計画波形が示す息止時間(照射期間)の開始に対し、放射線の照射スイッチのオン操作が遅れた場合に、計画波形を修正する形態である。補足すると、第1の実施形態において、呼吸同期照射を用いない場合に実施される。
【0075】
これに伴い、処理回路21は、前述した各機能に加え、操作検出機能21fを有している。操作検出機能21fの実現により処理回路21は、放射線を照射するための照射スイッチ(図示せず)の操作を検出する。照射スイッチは、放射線治療装置7の一部であり、操作者によりオン操作及びオフ操作される。操作検出機能21f及び処理回路21は、操作検出部の一例である。
【0076】
また、表示制御機能21dは、前述した任意の機能(d1)~(d6)のうち、低い一致度の際に計画波形を修正する機能(d4)(d5)を省略し、機能(d7)を実現する。
【0077】
(d7)計画波形における息止時間の開始タイミングに対し、検出した操作のタイミングに閾値以上の遅れが生じたとき、当該遅れに基づいて計画波形を修正し、当該修正した計画波形を、修正前の計画波形に代えて重畳表示するように、ディスプレイ25を表示制御する機能。ここで、機能(d7)は、当該遅れに基づいて計画波形が示す息止時間を長くするように、計画波形を修正するようにしてもよい。
【0078】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0079】
次に、以上のように構成された患者制動ガイド装置2の動作について図15のフローチャート及び図16の模式図を用いて説明する。
【0080】
いま、ステップST10~ST50は、前述同様に実行される。ステップST50の後、ステップST60は、図15に示す如き、ステップST61乃至ST68Bにより実行される。このステップST60は、前述したST61~ST64と、破線で示す新たなステップST65B~ST68Bとを含んで実行される。
【0081】
まず、ステップST61~ST64は、前述同様に実行される。但し、ステップST63において、一致度が閾値より低いか否かを判定した結果、否の場合には(ST63:No)、ステップST64をスキップし、ステップST65Bに移行する。一致度が閾値より低い場合には(ST63:Yes)、前述同様にステップST64を実行する。
【0082】
ステップST64の後、処理回路21は、操作者による照射スイッチの操作を検出する。詳しくは、処理回路21は、照射スイッチの操作を検出したか否かを判定し(ステップST65B)、否の場合には(ST65B:No)、ステップST66B~ST68Bをスキップし、ステップST70に移行する。照射スイッチの操作を検出した場合には、ステップST66Bに移行する。
【0083】
ステップST65Bの後、処理回路21は、検出した操作のタイミングと、計画波形における息止時間の開始タイミングとを比較し(ステップST66B)、操作のタイミングに遅れがあるか否かを判定する(ステップST67B)。具体的には、処理回路21は、計画波形における息止時間の開始タイミングに対し、検出した操作のタイミングに閾値以上の遅れが生じたか否かを判定する。この判定の結果、否の場合には(ST67B:No)、ステップST68Bをスキップし、ステップST70に移行する。
【0084】
一方、操作のタイミングに遅れが生じた場合には(ST67B:Yes)、図16に示すように、当該遅れに基づいて息止時間Tbを長くするように計画波形Wpが変更され、変更後の計画波形Wp*が変更前の計画波形Wpに代えて測定波形Wmに重畳表示される(ステップST68B)。例えば、計画波形Wp上の息止時間Tbの開始が時刻t21であり、照射スイッチの操作が検出されたとき時刻t22であって、両者の差分Δt2が閾値より大きいとき、照射スイッチの操作が遅れたと判定される。このとき、処理回路21は、この差分Δt2だけ息止時間Tbを長くするように計画波形Wpを変更し、変更後の計画波形Wp*をディスプレイ25に表示する。これにより、放射線照射の開始が時刻t21の計画から時刻t22に遅延したとしても、遅延した差分Δt2だけ計画波形Wpが修正されているので、トータルの照射時間が変更されない。なお、理解を容易にするため、変更前後の計画波形Wp,Wp*を同時に図16に示したが、実際には、変更前の計画波形Wpと変更後の計画波形Wp*とは、いずれか一方が表示される。また、理解を容易にするため、遅延した差分Δt2をそのまま計画波形Wpを長くするために用いたが、これに限定されない。例えば、繰り返し数が3回のとき、差分Δt2を三等分して、現在(1回目)の計画波形と、残り2回の計画波形とをそれぞれ均等にΔt2/3ずつ長くしてもよい。いずれにしても、ステップST68Bの終了後、ステップST61~ST68BからなるステップST60が終了する。
【0085】
ステップST60の後、図6に戻り、処理回路21は、例えば、計画波形情報に基づく計画波形が終了したか否かに基づいて、放射線治療が終了したか否かを判定する(ステップST70)。ステップST70の判定の結果、否の場合にはステップST40に戻り、ステップST40~ST60の処理を繰り返し実行する。
【0086】
また、処理回路21は、ステップST70の判定の結果、放射線治療が終了した場合には、患者制動ガイド装置2の処理を終了する。
【0087】
上述したように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、放射線治療における患者の呼吸制動をガイドするための計画波形情報を記憶し、患者の呼吸状態を示す測定波形情報を取得する。計画波形情報に基づく計画波形と、測定波形情報に基づく測定波形とを重畳表示するように表示部を表示制御する。ここで、放射線を照射するための照射スイッチの操作を検出する。また、計画波形における息止時間の開始タイミングに対し、検出した操作のタイミングに閾値以上の遅れが生じたとき、当該遅れに基づいて計画波形を修正し、当該修正した計画波形を、修正前の計画波形に代えて重畳表示するように、表示部を表示制御する。これにより、第1の実施形態の効果に加え、照射スイッチの操作が遅れた場合でも、計画波形を修正することにより、修正後の計画波形に従って呼吸制動を促すことができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、当該遅れに基づいて計画波形が示す息止時間を長くするように、計画波形を修正する。これにより、前述した効果に加え、照射スイッチの操作が遅れた場合でも、計画波形を修正することにより、計画した息止時間で息止照射を行うことができる。
【0089】
[変形例]
第2の実施形態の変形例は、第1の実施形態と第2の実施形態とを並列に実行するものである。具体的には、図7に示したステップST65~ST67と、図15に示したステップST65B~ST68Bとを並列に実行する。これにより、例えば、呼吸制動の遅れによる差分Δt1が生じた後に、照射スイッチの操作の遅れによる差分Δt2が生じた場合に、2つの差分を合計した長さ(Δt1+Δt2)だけ計画波形Wpを修正することができる。このような変形例としても、第1及び第2の実施形態の作用効果を同時に奏することができる。
【0090】
なお、上記各実施形態においては、放射線治療時における患者制動ガイドを例に挙げたが、本実施形態に係る患者制動ガイドは、治療計画画像撮影装置4等の医用画像撮影装置による画像撮影時においても利用可能である。
【0091】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、患者に急な呼吸制動を強いることなく、呼吸制動の遅れを低減させることができる。
【0092】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現しても良い。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1図2又は図14における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0094】
1 患者呼吸監視装置
2 患者制動ガイド装置
3 出力装置
4 治療計画画像撮影装置
5 治療計画装置
6 放射線治療情報システム
7 放射線治療装置
21 処理回路
21a 取得機能
21b ガイド作成機能
21c 一致度検出機能
21d 表示制御機能
21e 音声出力制御機能
21f 操作検出機能
22 メモリ
23 入力インタフェース
24 通信インタフェース
25 ディスプレイ
26 スピーカ
100 放射線治療システム
CS カーソル
図1
図2
図3
図4
図5
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