(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】クローラ走行装置、クロ-ラ監視システム、クロ-ラ走行車及びクロ-ラ監視方法
(51)【国際特許分類】
B62D 55/08 20060101AFI20231218BHJP
B62D 55/253 20060101ALI20231218BHJP
B62D 55/30 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B62D55/08 A
B62D55/253 B
B62D55/30 A
(21)【出願番号】P 2019220322
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】杉原 真吾
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-035532(JP,A)
【文献】実開昭58-107980(JP,U)
【文献】国際公開第2017/075652(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/031303(WO,A1)
【文献】実開昭54-111038(JP,U)
【文献】実開昭53-091145(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/08
B62D 55/253
B62D 55/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のゴムクロ-ラと、
前記ゴムクロ-ラをクローラ周方向に回転駆動する駆動輪と、
前記駆動輪と共に前記ゴムクロ-ラを張架し、前記ゴムクロ-ラの回転に伴い従動回転するテンション輪と、
前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラから受ける荷重に関する荷重情報を取得可能なセンサと、を備え、
前記ゴムクロ-ラは、無端状のクロ-ラベルトと、前記クロ-ラベルトの前記クロ-ラ周方向に沿って間隔を隔てて配置され前記クロ-ラベルトに埋設されている複数の芯金と、を備え、
前記芯金は、前記クロ-ラベルトの内面より内側に向かって突出し、クロ-ラ幅方向に間隔を隔てて配置されている一対の芯金突起を備え、
前記テンション輪は、前記クローラ幅方向において、前記一対の芯金突起の間の位置、又は、前記一対の芯金突起の両方の外側の位置、の少なくともいずれかの位置で前記ゴムクロ-ラの内面と当接して従動回転しており、
前記センサは、前記荷重情報として、前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラの内面から受ける、クローラ厚み方向での張力荷重情報を取得可能であ
り、
前記センサが取得した前記張力荷重情報を所定閾値と比較し、比較結果に応じた処理を実行する制御装置と、前記制御装置の前記比較結果を報知可能な報知装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記テンション輪が受ける張力荷重の増大に伴い、前記張力荷重情報が第1閾値に到達した場合に、前記駆動輪の駆動を停止することなく前記報知装置により報知させる制御のみを実行し、前記張力荷重情報が前記第1閾値を超えて第2閾値に到達した場合に、前記駆動輪の駆動を停止する制御を実行する、クロ-ラ走行装置。
【請求項2】
前記テンション輪を前記ゴムクロ-ラの内面に向かって付勢する付勢体を備え、
前記センサは、前記張力荷重情報として、前記付勢体が前記テンション輪から受ける付勢荷重情報を取得する、請求項1に記載のクロ-ラ走行装置。
【請求項3】
前記付勢体は、圧縮変形可能な流体要素を含み、
前記センサは、前記付勢荷重情報として、前記流体要素の圧力を取得する、請求項2に記載のクロ-ラ走行装置。
【請求項4】
前記付勢体は、
前記流体要素と、
前記流体要素を内部の収容空間に収容するシリンダと、
前記シリンダの一端から前記収容空間に入り込み、前記シリンダの軸方向に移動することで前記流体要素を圧縮可能なピストンロッドと、を備え、
前記センサは、前記収容空間における前記流体要素の内圧を取得する、請求項3に記載のクロ-ラ走行装置。
【請求項5】
前記シリンダには、前記流体要素の内圧を調整する圧力調整装置を接続可能な接続部が設けられており、
前記センサは、前記接続部に取り付けられている、請求項4に記載のクロ-ラ走行装置。
【請求項6】
クロ-ラ走行装置と、
制御装置と、
報知装置と、を備え、
前記クローラ走行装置は、
無端状のゴムクロ-ラと、
前記ゴムクロ-ラをクローラ周方向に回転駆動する駆動輪と、
前記駆動輪と共に前記ゴムクロ-ラを張架し、前記ゴムクロ-ラの回転に伴い従動回転するテンション輪と、
前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラから受ける荷重に関する荷重情報を取得可能なセンサと、を備え、
前記ゴムクロ-ラは、
無端状のクロ-ラベルトと、
前記クロ-ラベルトの前記クロ-ラ周方向に沿って間隔を隔てて配置され前記クロ-ラベルトに埋設されている複数の芯金と、を備え、
前記芯金は、前記クロ-ラベルトの内面より内側に向かって突出し、クロ-ラ幅方向に間隔を隔てて配置されている一対の芯金突起を備え、
前記テンション輪は、前記クローラ幅方向において、前記一対の芯金突起の間の位置、又は、前記一対の芯金突起の両方の外側の位置、の少なくともいずれかの位置で前記ゴムクロ-ラの内面と当接して従動回転しており、
前記センサは、前記荷重情報として、前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラの内面から受ける、クローラ厚み方向での張力荷重情報を取得可能であり、
前記制御装置は、前記クローラ走行装置の前記センサが取得した前記張力荷重情報を所定閾値と比較し、比較結果に応じた処理を実行し、
前記報知装置は、前記制御装置の前記比較結果を報知可能であり、
前記制御装置は、前記テンション輪が受ける張力荷重の増大に伴い、前記張力荷重情報が第1閾値に到達した場合に、前記駆動輪の駆動を停止することなく前記報知装置により報知させる制御のみを実行し、前記張力荷重情報が前記第1閾値を超えて第2閾値に到達した場合に、前記駆動輪の駆動を停止する制御を実行する、クローラ監視システム。
【請求項7】
機体と、
前記機体を自走可能に支持するクロ-ラ走行装置と、を備え、
前記クローラ走行装置は、
無端状のゴムクロ-ラと、
前記ゴムクロ-ラをクローラ周方向に回転駆動する駆動輪と、
前記駆動輪と共に前記ゴムクロ-ラを張架し、前記ゴムクロ-ラの回転に伴い従動回転するテンション輪と、
前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラから受ける荷重に関する荷重情報を取得可能なセンサと、を備え、
前記機体は、
前記センサが取得した前記荷重情報を所定閾値と比較し、比較結果に応じた処理を実行する制御装置
と、
前記制御装置の前記比較結果を報知する報知装置と、を備え、
前記ゴムクロ-ラは、
無端状のクロ-ラベルトと、
前記クロ-ラベルトの前記クロ-ラ周方向に沿って間隔を隔てて配置され前記クロ-ラベルトに埋設されている複数の芯金と、を備え、
前記芯金は、前記クロ-ラベルトの内面より内側に向かって突出し、クロ-ラ幅方向に間隔を隔てて配置されている一対の芯金突起を備え、
前記テンション輪は、前記クローラ幅方向において、前記一対の芯金突起の間の位置、又は、前記一対の芯金突起の両方の外側の位置、の少なくともいずれかの位置で前記ゴムクロ-ラの内面と当接して従動回転しており、
前記センサは、前記荷重情報として、前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラの内面から受ける、クローラ厚み方向での張力荷重情報を取得可能であり、
前記制御装置は、前記センサが取得した前記張力荷重情報を所定閾値と比較し、比較結果に応じた処理を実行
し、
前記制御装置は、前記テンション輪が受ける張力荷重の増大に伴い、前記張力荷重情報が第1閾値に到達した場合に、前記駆動輪の駆動を停止することなく前記報知装置により報知させる制御のみを実行し、前記張力荷重情報が前記第1閾値を超えて第2閾値に到達した場合に、前記駆動輪の駆動を停止する制御を実行する、クロ-ラ走行車。
【請求項8】
前記クローラ走行装置は、前記テンション輪を前記ゴムクロ-ラの内面に向かって付勢する付勢体を備え、
前記センサは、前記張力荷重情報として、前記付勢体が前記テンション輪から受ける付勢荷重情報を取得する、請求項
7に記載のクロ-ラ走行車。
【請求項9】
前記クローラ走行装置の前記付勢体は、圧縮変形可能な流体要素を含み、
前記センサは、前記付勢荷重情報として、前記流体要素の圧力を取得する、請求項
8に記載のクロ-ラ走行車。
【請求項10】
前記クローラ走行装置の前記付勢体は、
前記流体要素と、
前記流体要素を内部の収容空間に収容するシリンダと、
前記シリンダの一端から前記収容空間に入り込み、前記シリンダの軸方向に移動することで前記流体要素を圧縮可能なピストンロッドと、を備え、
前記センサは、前記収容空間における前記流体要素の内圧を取得する、請求項
9に記載のクロ-ラ走行車。
【請求項11】
前記シリンダには、前記流体要素の内圧を調整する圧力調整装置を接続可能な接続部が設けられており、
前記センサは、前記接続部に取り付けられている、請求項
10に記載のクロ-ラ走行車。
【請求項12】
駆動輪及びテンション輪に張架されている無端状のゴムクロ-ラから前記テンション輪が受ける荷重に関する荷重情報に基づき、前記テンション輪の前記ゴムクロ-ラからの脱輪を監視するクロ-ラ監視方法であって、
前記ゴムクロ-ラは、無端状のクロ-ラベルトと、前記クロ-ラベルトの前記クロ-ラ周方向に沿って間隔を隔てて配置され前記クロ-ラベルトに埋設されている複数の芯金と、を備え、
前記芯金は、前記クロ-ラベルトの内面より内側に向かって突出し、クロ-ラ幅方向に間隔を隔てて配置されている一対の芯金突起を備え、
前記テンション輪は、前記クローラ幅方向において、前記一対の芯金突起の間の位置、又は、前記一対の芯金突起の両方の外側の位置、の少なくともいずれかの位置で前記ゴムクロ-ラの内面と当接して従動回転しており、
前記荷重情報のうち、前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラの内面から受ける、クローラ厚み方向での張力荷重情報に基づき、前記テンション輪の前記ゴムクロ-ラからの脱輪を監視
し、
前記テンション輪が受ける張力荷重の増大に伴い、前記張力荷重情報が第1閾値に到達した場合に、前記駆動輪の駆動を停止することなく報知のみを実行し、前記張力荷重情報が前記第1閾値を超えて第2閾値に到達した場合に、前記駆動輪の駆動停止を実行するクロ-ラ監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラ走行装置、クロ-ラ監視システム、クロ-ラ走行車及びクロ-ラ監視方法に関する。
【0002】
従来から、無端状のゴムクロ-ラを含むクロ-ラ走行装置により自走可能に支持される機体を備える作業車が知られている。特許文献1及び2には、この種の作業車が記載されている。
【0003】
特許文献1及び2に記載されている作業車では、クロ-ラ走行装置の従動輪を支持する支持梁が、ピボットピンを介して機体に支持されている。特許文献1に記載の作業車では、ピボットピンに負荷される荷重を監視し、作業車の速度を制御する。特許文献2に記載の作業車では、ピボットピンに負荷される荷重から車軸荷重を評価し、評価された車軸荷重に基づき作業車の動作を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2017/0242446号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0242447号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載されているようなゴムクロ-ラを備える作業車では、例えば急旋回をした際や傾斜面での作業中などにおいて、ゴムクロ-ラから従動輪としてのテンション輪が脱輪するおそれがある。特許文献1及び2に記載されているクロ-ラ走行車としての作業車では、ゴムクロ-ラからのテンション輪の脱輪を検出できない。脱輪が発生すると、ダウンタイムが生まれ、作業遅延の原因となる。そのため、クロ-ラ走行車の操作者は、脱輪を未然に防ぐため、機体の姿勢、走行状態、音等から感覚的に脱輪の兆候を把握し、脱輪しないように対応する必要があるが、感覚的に脱輪の兆候を把握することは容易ではない。
【0006】
本発明は、ゴムクロ-ラからテンション輪が脱輪する兆候を検出可能なクロ-ラ走行装置、クロ-ラ監視システム、クロ-ラ走行車及びクロ-ラ監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様としてのクロ-ラ走行装置は、無端状のゴムクロ-ラと、前記ゴムクロ-ラをクローラ周方向に回転駆動する駆動輪と、前記駆動輪と共に前記ゴムクロ-ラを張架し、前記ゴムクロ-ラの回転に伴い従動回転するテンション輪と、前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラから受ける荷重に関する荷重情報を取得可能なセンサと、を備え、前記ゴムクロ-ラは、無端状のクロ-ラベルトと、前記クロ-ラベルトの前記クロ-ラ周方向に沿って間隔を隔てて配置され前記クロ-ラベルトに埋設されている複数の芯金と、を備え、前記芯金は、前記クロ-ラベルトの内面より内側に向かって突出し、クロ-ラ幅方向に間隔を隔てて配置されている一対の芯金突起を備え、前記テンション輪は、前記クローラ幅方向において、前記一対の芯金突起の間の位置、又は、前記一対の芯金突起の両方の外側の位置、の少なくともいずれかの位置で前記ゴムクロ-ラの内面と当接して従動回転しており、前記センサは、前記荷重情報として、前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラの内面から受ける、クローラ厚み方向での張力荷重情報を取得可能である。
上記構成により、ゴムクロ-ラからテンション輪が脱輪する兆候を検出することができる。
【0008】
本発明の1つの実施形態としてのクロ-ラ走行装置は、前記テンション輪を前記ゴムクロ-ラの内面に向かって付勢する付勢体を備え、前記センサは、前記張力荷重情報として、前記付勢体が前記テンション輪から受ける付勢荷重情報を取得する。
上記構成により、センサによって張力荷重情報を容易に取得できる。
【0009】
本発明の1つの実施形態として、前記付勢体は、圧縮変形可能な流体要素を含み、前記センサは、前記付勢荷重情報として、前記流体要素の圧力を取得する。
上記構成により、センサによって張力荷重情報を容易に取得できる。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記付勢体は、前記流体要素と、前記流体要素を内部の収容空間に収容するシリンダと、前記シリンダの一端から前記収容空間に入り込み、前記シリンダの軸方向に移動することで前記流体要素を圧縮可能なピストンロッドと、を備え、前記センサは、前記収容空間における前記流体要素の内圧を取得する。
上記構成により、センサによって張力荷重情報を容易に取得できる。
【0011】
本発明の1つの実施形態として、前記シリンダには、前記流体要素の内圧を調整する圧力調整装置を接続可能な接続部が設けられており、前記センサは、前記接続部に取り付けられている。
上記構成により、センサを容易に設置することができる。
【0012】
本発明の1つの実施形態としてのクロ-ラ走行装置は、前記センサが取得した前記張力荷重情報を所定閾値と比較し、比較結果に応じた処理を実行する制御装置を備える。
上記構成により、テンション輪がゴムクロ-ラから脱輪することを未然に防ぎ得る。
【0013】
本発明の1つの実施形態として、前記制御装置は、前記比較結果に基づき、外部への報知を制御する。
上記構成により、テンション輪のゴムクロ-ラからの脱輪の兆候を、クロ-ラ走行装置の操作者に知覚させることができる。
【0014】
本発明の1つの実施形態として、前記制御装置は、前記比較結果に基づき、前記駆動輪の駆動を制御する。
上記構成により、テンション輪のゴムクロ-ラからの脱輪を防ぐことができる。
【0015】
本発明の第2の態様としてのクロ-ラ監視システムは、上記クロ-ラ走行装置と、前記センサが取得した前記張力荷重情報を所定閾値と比較し、比較結果に応じた処理を実行する制御装置と、を備える。
上記構成により、ゴムクロ-ラからテンション輪が脱輪する兆候を検出することができる。
【0016】
本発明の1つの実施形態として、前記制御装置の前記比較結果を報知可能な報知装置を更に備える。
上記構成により、テンション輪のゴムクロ-ラからの脱輪の兆候を、クロ-ラ走行装置の操作者に知覚させることができる。
【0017】
本発明の1つの実施形態として、前記制御装置は、前記比較結果に基づき、前記クロ-ラ走行装置の前記駆動輪の駆動を制御する。
上記構成により、テンション輪のゴムクロ-ラからの脱輪を防ぐことができる。
【0018】
本発明の第3の態様としてのクロ-ラ走行車は、機体と、前記機体を自走可能に支持するクロ-ラ走行装置と、を備え、前記クローラ走行装置は、無端状のゴムクロ-ラと、前記ゴムクロ-ラをクローラ周方向に回転駆動する駆動輪と、前記駆動輪と共に前記ゴムクロ-ラを張架し、前記ゴムクロ-ラの回転に伴い従動回転するテンション輪と、前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラから受ける荷重に関する荷重情報を取得可能なセンサと、を備え、前記機体は、前記センサが取得した前記荷重情報を所定閾値と比較し、比較結果に応じた処理を実行する制御装置を備え、前記ゴムクロ-ラは、無端状のクロ-ラベルトと、前記クロ-ラベルトの前記クロ-ラ周方向に沿って間隔を隔てて配置され前記クロ-ラベルトに埋設されている複数の芯金と、を備え、前記芯金は、前記クロ-ラベルトの内面より内側に向かって突出し、クロ-ラ幅方向に間隔を隔てて配置されている一対の芯金突起を備え、前記テンション輪は、前記クローラ幅方向において、前記一対の芯金突起の間の位置、又は、前記一対の芯金突起の両方の外側の位置、の少なくともいずれかの位置で前記ゴムクロ-ラの内面と当接して従動回転しており、前記センサは、前記荷重情報として、前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラの内面から受ける、クローラ厚み方向での張力荷重情報を取得可能であり、前記制御装置は、前記センサが取得した前記張力荷重情報を所定閾値と比較し、比較結果に応じた処理を実行する。
上記構成により、ゴムクロ-ラからテンション輪が脱輪する兆候を検出することができる。
【0019】
本発明の1つの実施形態として、前記クローラ走行装置は、前記テンション輪を前記ゴムクロ-ラの内面に向かって付勢する付勢体を備え、前記センサは、前記張力荷重情報として、前記付勢体が前記テンション輪から受ける付勢荷重情報を取得する。
上記構成により、センサによって張力荷重情報を容易に取得できる。
【0020】
本発明の1つの実施形態として、前記クローラ走行装置の前記付勢体は、圧縮変形可能な流体要素を含み、前記センサは、前記付勢荷重情報として、前記流体要素の圧力を取得する。
上記構成により、センサによって張力荷重情報を容易に取得できる。
【0021】
本発明の1つの実施形態として、前記クローラ走行装置の前記付勢体は、前記流体要素と、前記流体要素を内部の収容空間に収容するシリンダと、前記シリンダの一端から前記収容空間に入り込み、前記シリンダの軸方向に移動することで前記流体要素を圧縮可能なピストンロッドと、を備え、前記センサは、前記収容空間における前記流体要素の内圧を取得する。
上記構成により、センサによって張力荷重情報を容易に取得できる。
【0022】
本発明の1つの実施形態として、前記シリンダには、前記流体要素の内圧を調整する圧力調整装置を接続可能な接続部が設けられており、前記センサは、前記接続部に取り付けられている。
上記構成により、センサを容易に設置することができる。
【0023】
本発明の1つの実施形態として、前記機体は、前記制御装置の前記比較結果を報知する報知装置を備える。
上記構成により、テンション輪のゴムクロ-ラからの脱輪の兆候を、クロ-ラ走行装置の操作者に知覚させることができる。
【0024】
本発明の1つの実施形態として、前記機体の前記制御装置は、前記比較結果に基づき、前記クローラ走行装置の前記駆動輪の駆動を制御する。
上記構成により、テンション輪のゴムクロ-ラからの脱輪を防ぐことができる。
【0025】
本発明の第4の態様としてのクロ-ラ監視方法は、駆動輪及びテンション輪に張架されている無端状のゴムクロ-ラから前記テンション輪が受ける荷重に関する荷重情報に基づき、前記テンション輪の前記ゴムクロ-ラからの脱輪を監視するクロ-ラ監視方法であって、前記ゴムクロ-ラは、無端状のクロ-ラベルトと、前記クロ-ラベルトの前記クロ-ラ周方向に沿って間隔を隔てて配置され前記クロ-ラベルトに埋設されている複数の芯金と、を備え、前記芯金は、前記クロ-ラベルトの内面より内側に向かって突出し、クロ-ラ幅方向に間隔を隔てて配置されている一対の芯金突起を備え、前記テンション輪は、前記クローラ幅方向において、前記一対の芯金突起の間の位置、又は、前記一対の芯金突起の両方の外側の位置、の少なくともいずれかの位置で前記ゴムクロ-ラの内面と当接して従動回転しており、前記荷重情報のうち、前記テンション輪が前記ゴムクロ-ラの内面から受ける、クローラ厚み方向での張力荷重情報に基づき、前記テンション輪の前記ゴムクロ-ラからの脱輪を監視する。
上記構成により、ゴムクロ-ラからテンション輪が脱輪する兆候を検出することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ゴムクロ-ラからテンション輪が脱輪する兆候を検出可能なクロ-ラ走行装置、クロ-ラ監視システム、クロ-ラ走行車及びクロ-ラ監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態としてのクロ-ラ走行車の側面図である。
【
図2】
図1に示すクロ-ラ走行装置を拡大して示す図である。
【
図3】
図1に示すゴムクロ-ラの詳細を示す図である。
【
図4】
図2に示すクロ-ラ走行装置の付勢体を示す図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(d)は、
図1に示すテンション輪がゴムクロ-ラから脱輪する際の一連の動作の概要を示す概要図である。
【
図6】
図2に示すクロ-ラ走行装置の付勢体を示す図であり、
図2に示す前進側テンション輪が芯金突起に完全に乗り上げた状態を示す図である。
【
図7】
図5(a)に示す状態から
図5(d)に示す状態になるまでの、前進側テンション輪がゴムクロ-ラの内面から受ける荷重の変化の一例を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るクロ-ラ走行装置、クロ-ラ監視システム、クロ-ラ走行車及びクロ-ラ監視方法の実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態としてのクロ-ラ走行車1の側面図である。
図1に示すように、クロ-ラ走行車1は、機体2と、本発明の一実施形態としてのクロ-ラ走行装置3と、を備える。クロ-ラ走行装置3は、機体2を自走可能に支持する。クロ-ラ走行車1は、一対のクロ-ラ走行装置3を備える。一対のクロ-ラ走行装置3は、機体2の幅方向両側で、機体2に対して回動可能に装着されている。
【0030】
図1に示す本実施形態のクロ-ラ走行車1はコンパクトトラックローダである。しかしながら、本発明に係るクローラ走行車は、コンパクトトラックローダに限られず、その他の作業用のクローラ走行車であってもよい。
【0031】
本実施形態の機体2は、機体本体11と、機体アーム12と、油圧シリンダ13と、を備える。機体アーム12は、機体本体11に対して、昇降可能に取り付けられている。機体アーム12の機体本体11に対する昇降は、油圧シリンダ13の伸縮によって実行される。機体本体11には、操作者が乗車可能な運転室11aが設けられている。上述の機体アーム12の昇降操作は、運転室11aに設けられた操作装置22の操作を通じて制御可能である。
図1に示す機体アーム12の先端部には、バケット14が取り付けられているが、バケット14に限られない。機体アーム12の先端部には、
図1に示すバケット14とは別形状のバケット、各種フォークなど、作業に応じたアタッチメントが取り付け可能である。
【0032】
また、機体2は、制御装置21と、操作装置22、駆動装置23と、報知装置24と、圧力調整装置25と、を備える。
【0033】
制御装置21は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサから構成される処理部を備える。制御装置21は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリから構成される記憶部を備える。記憶部には、操作装置22、駆動装置23、報知装置24、圧力調整装置25等の操作のためのプログラム等を記憶している。処理部は、記憶部に記憶されているプログラムを実行し、操作装置22、駆動装置23、報知装置24、圧力調整装置25等を作動させる。なお、機体2は、制御装置21の記憶部に加えて又は代えて、制御装置21とは別の記憶装置を備えていてもよい。
【0034】
操作装置22は、例えばタッチパネル、ボタンスイッチ、キーボード等により構成される操作部と、操作部の操作に基づく操作情報を制御装置21に入力する入力部と、を備える。操作装置22の構成は特に限定されず、操作者による操作に基づく操作情報を制御装置21に入力可能な構成であればよい。
【0035】
駆動装置23は、クローラ走行装置3を駆動可能である。駆動装置23は、例えばエンジン等の動力源を含む。クローラ走行装置3は、動力源からの駆動力により駆動される。駆動装置23によるクローラ走行装置3の駆動は、制御装置21により制御される。また、駆動装置23は、油圧シリンダ13を駆動可能である。制御装置21は、駆動装置23による油圧シリンダ13の駆動を制御することで、機体本体11に対する機体アーム12の昇降動作を制御することができる。
【0036】
報知装置24は、例えば液晶パネル、スピーカなどで構成される報知部を備える。制御装置21は、後述するクローラ走行装置3のセンサ34により取得される取得情報に基づき、報知装置24を制御する。具体的に、制御装置21は、センサ34により取得される取得情報に応じた報知情報を、報知装置24の報知部を通じて運転室11aにいる操作者に報知可能である。報知情報は、視覚、聴覚などを通じて知覚可能な情報であればよく、特に限定されない。報知情報としては、例えば、液晶パネル等の表示部に表示される記号、文字、色等の表示情報であってもよく、スピーカ等の音発生部により発せられる音情報であってもよい。なお、報知部としてタッチパネルを使用することで、上述の操作装置22の操作部と兼ねてもよい。
【0037】
また、上述した制御装置21、操作装置22及び報知装置24は、これら装置を含む1つのコンピュータにより構成されていてもよい。制御装置21、操作装置22及び報知装置24を含むコンピュータは、通信装置、記憶装置など、その他の装置を更に含んでいてもよい。
【0038】
圧力調整装置25は、後述するクロ-ラ走行装置3の付勢体50における流体要素51の内圧を調整し、後述するテンション輪35によるゴムクロ-ラ33への押圧力を変化させることができる。圧力調整装置25は、例えば、例えば油圧ポンプ等の動力源を含む。圧力調整装置25による流体要素51の内圧調整は、例えば、制御装置21により制御される。
【0039】
図2は、
図1に示すクロ-ラ走行装置3を拡大して示す拡大図である。
図1、
図2に示すように、クロ-ラ走行装置3は、駆動輪31と、従動輪32と、無端状のゴムクロ-ラ33と、センサ34と、付勢体50と、を備える。
図3は、ゴムクロ-ラ33の詳細を示す断面斜視図である。
【0040】
駆動輪31及び従動輪32は、機体2に対して回動可能に装着されている。駆動輪31及び従動輪32は、機体2に対して回動可能に装着されていればよく、機体2の回動軸に対して回動可能に装着されていてもよく、機体2に固定されている別部材に設けられた回動軸に対して回動可能に装着されていてもよい。本実施形態の駆動輪31は、機体2の機体本体11の回動軸72に対して回動可能に装着されている。本実施形態の従動輪32は、機体2の機体本体11に固定されているフレーム部材70に取り付けられている軸部71に対して回動可能に装着されている。駆動輪31は、機体2の駆動装置23により前進側及び後進側に回転駆動される。駆動装置23による駆動輪31の回転駆動は、上述した制御装置21により制御される。ゴムクロ-ラ33は、駆動輪31によりクロ-ラ周方向Aに回転駆動される。従動輪32は、駆動輪31の回転により回転駆動されるゴムクローラ33により従動回転する。
【0041】
本実施形態の駆動輪31はスプロケットである。したがって、本実施形態の駆動輪31は、周方向全域に亘って所定ピッチで配置されている、径方向外側に向かって突出する複数の突起部31aを備える。駆動輪31は、複数の突起部31aがゴムクローラ33の内面に設けられたクローラ周方向Aに配置されている複数の凹部37aに順次嵌合しながら回動することで、ゴムクローラ33をクローラ周方向Aに回転駆動する。
【0042】
従動輪32は、クローラ幅方向Cにおいて、後述するゴムクロ-ラ33の芯金38の一対の芯金突起41の間の位置、又は、一対の芯金突起41の両方の外側の位置、の少なくともいずれかの位置で、ゴムクロ-ラ33の内面と当接して従動回転する。
【0043】
本実施形態のクロ-ラ走行装置3は、従動輪32としてのテンション輪35と、従動輪32としての転輪36と、の両方を備える。
図1、
図2に示すように、本実施形態のテンション輪35及び転輪36は、機体2に対して固定されているフレーム部材70に対して取り付けられている軸部71の周りを回動する。
【0044】
テンション輪35は、駆動輪31と共にゴムクロ-ラ33を張架する。また、テンション輪35は、ゴムクロ-ラ33の回転に伴い従動回転する。より具体的に、本実施形態のテンション輪35は、クローラ幅方向Cにおいて、後述する一対の芯金突起41の間の位置で、ゴムクロ-ラ33の内面の一部を構成する後述の芯金本体部40の内面40cと当接して従動回転する。但し、テンション輪35は、クローラ幅方向Cにおいて、後述する一対の芯金突起41の両方の外側の位置で、ゴムクロ-ラ33の内面と当接して従動回転する構成であってもよい。
【0045】
本実施形態のクローラ走行装置3は、2つのテンション輪35を備えるが、テンション輪35の数は2つに限られない。テンション輪35は、1つであっても、3つ以上であってもよい。
【0046】
本実施形態の2つのテンション輪35は、フロントアイドラーとして使用される前進側テンション輪35aと、リアアイドラーとして使用される後進側テンション輪35bと、により構成されている。前進側テンション輪35a及び後進側テンション輪35bは、ゴムクロ-ラ33の内面と接触している。また、前進側テンション輪35a及び後進側テンション輪35bは、ゴムクローラ33を介して接地面に接地する。つまり、本実施形態のゴムクロ-ラ33は、ゴムクロ-ラ33を介して接地面に接地する前進側テンション輪35a及び後進側テンション輪35bと、これら前進側テンション輪35a及び後進側テンション輪35bよりも鉛直方向上側に位置する駆動輪31と、により張力が付与されている。これにより、本実施形態のゴムクロ-ラ33は、側面視(
図2等参照)において、略三角形状の外形を有している。但し、ゴムクロ-ラ33は、例えば、前進側及び後進側のいずれか一方側に配置された駆動輪31と、前進側及び後進側の他方側に配置された1つのテンション輪35と、で張架されてもよい。かかる場合に、ゴムクロ-ラ33は、駆動輪31及びテンション輪35の間で張架されている部分が側面視で前後方向Bに直線状に延在する、前後方向Bに長尺なオーバル形状の外形を呈する。
【0047】
本実施形態の前進側テンション輪35aは、後述する付勢体50により、ゴムクロ-ラ33の内面に向かって付勢されている。換言すれば、ゴムクロ-ラ33の張力は、付勢体50による前進側テンション輪35aへの付勢力を変更することで調整可能である。本実施形態の付勢体50の詳細は後述する(
図5、
図6参照)。
【0048】
転輪36は、駆動輪31及びテンション輪35によって張力が付与されているゴムクローラ33の内面に当接して従動回転する。より具体的に、本実施形態の転輪36は、クローラ幅方向Cにおいて、後述する一対の芯金突起41の両方の外側の位置で、ゴムクロ-ラ33の内面の一部を構成する後述のクロ-ラベルト37の内面37cと当接して従動回転する。但し、転輪36は、クローラ幅方向Cにおいて、後述する一対の芯金突起41の間の位置で、ゴムクロ-ラ33の内面と当接して従動回転する構成であってもよい。
【0049】
本実施形態のクローラ走行装置3は、3つの転輪36を備えるが、転輪36の数は3つに限られない。転輪36は、3つ未満であっても、4つ以上であってもよい。
【0050】
本実施形態の3つの転輪36は、前進側転輪36aと、中間転輪36bと、後進側転輪36cと、により構成されている。本実施形態の3つの転輪36は、ゴムクロ-ラ33を介して接地面に接地する。換言すれば、本実施形態の3つの転輪36は、ゴムクロ-ラ33のうち、前進側テンション輪35aと後進側テンション輪35bとの間に張架され、外周面が接地面と設置する接地領域33aの内面に接触している。前進側転輪36aは、ゴムクロ-ラ33の接地領域33aの内面において、最も前進側テンション輪35aに近い位置に配置されている。後進側転輪36cは、ゴムクロ-ラ33の接地領域33aの内面において、最も後進側テンション輪35bに近い位置に配置されている。中間転輪36bは、前後方向Bにおいて、前進側転輪36aと後進側転輪36cとの間に配置されている。本実施形態のクローラ走行装置3は、1つのみの中間転輪36bを備えるが、2つ以上の中間転輪36bを備える構成であってもよい。また、クロ-ラ走行装置3は、ゴムクロ-ラ33のうち、駆動輪31と前進側テンション輪35aとの間に張架されている部分の内面、又は、駆動輪31と後進側テンション輪35bとの間に張架されている部分の内面、に当接する別の転輪36を備えてもよい。
【0051】
無端状のゴムクローラ33は、駆動輪31及び従動輪32に巻き回されている。
【0052】
図3に示すように、ゴムクローラ33は、無端状のクロ-ラベルト37と、複数の芯金38と、補強コード層39と、を備える。
【0053】
クロ-ラベルト37の外周面は接地面と接地する面であり、外側に向かって突出するラグ37bがクロ-ラ周方向Aの全域に亘って間隔を隔てて形成されている。クロ-ラベルト37の内周面には、上述した駆動輪31の突起部31aが嵌合する複数の凹部37aが形成されている。より具体的に、凹部37aは、クロ-ラ幅方向Cにおいて後述する一対の芯金突起41の間の位置で、クロ-ラ周方向Aにおいて隣接する芯金38同士の間の位置に、形成されている。
【0054】
図3に示すように、複数の芯金38は、クローラベルト37のクロ-ラ周方向Aに沿って間隔を隔てて配置されている。また、複数の芯金38は、クロ-ラベルト37に埋設されている。
【0055】
具体的に、芯金38は、クロ-ラベルト37に埋設され、クローラ幅方向Cに延在する板状の芯金本体部40と、この芯金本体部40から突設されている一対の芯金突起41と、を備える。板状の芯金本体部40は、その厚み方向がクロ-ラ厚み方向Dと略一致するように、クロ-ラベルト37に埋設されている。一対の芯金突起41は、クロ-ラベルト37よりもゴムクロ-ラ33の内側に向かって突出している。また、一対の芯金突起41は、クロ-ラ幅方向Cに間隔を隔てて配置されている。更に、一対の芯金突起41は、クロ-ラ幅方向Cで対向して配置されている。芯金本体部40のうちクロ-ラ幅方向Cで一対の芯金突起41の間にある部分の内面40cは、ゴムクロ-ラ33の内側に露出しており、ゴムクロ-ラ33の内面の一部を構成している。
【0056】
補強コード層39は、クロ-ラベルト37に埋設され、並列に配置された複数のスチールコードにより構成されている。補強コード層39は、芯金本体部40よりもクロ-ラベルト37の外周面側に埋設されている。本実施形態のゴムクロ-ラ33は補強コード層39を備える構成であるが、この構成に限られず、補強コード層39を備えないゴムクロ-ラであってもよい。
【0057】
センサ34は、テンション輪35がゴムクロ-ラ33から受ける荷重に関する荷重情報を取得可能である。荷重情報とは、荷重に相関する各種情報であればよく、荷重自体に限られない。より具体的に、センサ34は、上述の荷重情報として、テンション輪35がゴムクロ-ラ33の内面から受ける、クローラ厚み方向Dでの荷重情報(以下、「張力荷重情報」と記載する。)を取得可能である。張力荷重情報は、例えば、荷重に相関する電気信号であってもよい。センサ34が取得する張力荷重情報を利用することで、テンション輪35がゴムクロ-ラ33から脱輪することを抑制できる。この詳細は後述する(
図7等参照)。
【0058】
図1、
図2に示すように、本実施形態において、センサ34により上述の張力荷重情報が取得される対象となるテンション輪35は、前進側テンション輪35aであるが、後進側テンション輪35bであってもよい。
【0059】
センサ34としては、例えば荷重センサ、圧力センサなど、上記張力荷重情報を直接的又は間接的に取得可能なセンサであれば特に限定されない。詳細は後述するが、本実施形態のセンサ34は、上述の張力荷重情報として、後述する付勢体50の流体要素51の圧力を取得可能な圧力センサである。このセンサ34としての圧力センサは、後述するシリンダ52の接続部52bに対して取り付けられる。この詳細は後述する。
【0060】
図4は、本実施形態の付勢体50を示す図である。
図4に示すように、付勢体50は、テンション輪35をゴムクロ-ラ33の内面に向かって付勢する。本実施形態の付勢体50は、2つのテンション輪35のうち前進側テンション輪35aを、ゴムクロ-ラ33の内面に向かって付勢している。本実施形態のセンサ34は、上述の張力荷重情報として、付勢体50がテンション輪35から受ける付勢荷重情報を取得している。本実施形態では、付勢体50が前進側テンション輪35aを付勢するため、本実施形態のセンサ34は、上述の張力荷重情報として、付勢体50が前進側テンション輪35aから受ける付勢荷重情報を取得している。しかしながら、付勢体50は、後進側テンション輪35bを付勢していてもよい。かかる場合は、センサ34は、上述の張力荷重情報として、付勢体50が後進側テンション輪35bから受ける付勢荷重情報を取得すればよい。
【0061】
具体的に、本実施形態の付勢体50は、流体要素51と、シリンダ52と、ピストンロッド53と、を備える。シリンダ52は収容空間52aを内部に区画しており、流体要素51を収容空間52aに収容している。流体要素51としては、例えば、空気等の気体や、グリース等の半流動体などを使用することができるが、圧縮変形可能な流体要素であれば特に限定されない。また、シリンダ52の軸方向Eの一端は開放されており、ピストンロッド53はシリンダ52の一端から収容空間52aに入り込んでいる。ピストンロッド53は、シリンダ52の軸方向Eに移動することで、収容空間52aに収容されている流体要素51を圧縮可能である。
【0062】
ここで、付勢体50のシリンダ52には、機体2の圧力調整装置25を接続可能な接続部52bが設けられている。本実施形態のセンサ34は、この接続部52bに取り付けられている。このようにすることで、センサ34は、上述の付勢荷重情報として、シリンダ52の収容空間52aにおける流体要素51の内圧を取得できる。センサ34の取り付けを、圧力調整装置25のための接続部52bを利用して行うことで、センサ34を容易に設置することができる。本実施形態の圧力調整装置25は、センサ34を介して、付勢体50に接続されている。より具体的に、本実施形態の圧力調整装置25は、センサ34を介して、付勢体50のシリンダ52の接続部52bに対して接続されている。換言すれば、本実施形態のセンサ34は、付勢体50のシリンダ52の接続部52bと接続可能な第1接続部34aと、圧力調整装置25と接続可能な第2接続部34bと、備える。なお、センサ34及び圧力調整装置25を取り付け可能な付勢体50の接続部52bの構成は特に限定されない。接続部52bは、例えば、センサ34及び圧力調整装置25を取り付け可能な接続ニップルにより構成可能である。
【0063】
本実施形態では、機体2が圧力調整装置25を備えるが、圧力調整装置25を備えない機体としてもよい。圧力調整装置25は、例えば、必要に応じて接続部52bに接続されて使用される、クロ-ラ走行車1とは分離された外部装置として構成されてもよい。かかる場合には、付勢体50の流体要素51の内圧調整が必要な際に、シリンダ52の接続部52bに接続されているセンサ34に代えて、圧力調整装置25を接続すればよい。つまり、本実施形態のクロ-ラ走行車1では、センサ34を介在させて、圧力調整装置25と付勢体50とを接続しているが、この構成に限られない。センサ34と圧力調整装置25とを択一的に付勢体50の接続部52bに取り付け可能な構成としてもよい。但し、本実施形態のように、圧力調整装置25が、センサ34を介して付勢体50に接続される構成とすることで、センサ34の取り外しを伴わずに、圧力調整装置25を付勢体50に接続できる。かかる場合には、圧力調整装置25による流体要素51の内圧調整を可能にした状態のまま、センサ34により張力荷重情報を取得できる。
【0064】
なお、付勢体50がテンション輪35を付勢する際の反力は、例えば、機体2に固定されているフレーム部材70など、機体2に固定されている各種部位により確保すればよい。
【0065】
以下、センサ34が取得する張力荷重情報に基づき、テンション輪35のゴムクロ-ラ33からの脱輪を未然に防ぐ制御について詳細に説明する。ここで、「テンション輪35のゴムクロ-ラ33からの脱輪」とは、テンション輪35がゴムクロ-ラ33の芯金38の芯金突起41をクローラ幅方向Cに乗り越えた状態を意味する。
【0066】
図5は、本実施形態のテンション輪35が、ゴムクロ-ラ33から脱輪する際の一連の動作の概要を示す概要図である。
図5に示すテンション輪35は、前進側テンション輪35aである。
図5(a)は、ゴムクロ-ラ33から脱輪していない正常時における前進側テンション輪35aの位置を示す図である。
図5(a)に示すように、本実施形態の前進側テンション輪35aは、ゴムクロ-ラ33から脱輪していない正常時において、クロ-ラ幅方向Cで一対の芯金突起41の間の位置で、軸部71の周りを回転している。
【0067】
図5(b)は、
図5(a)に示す状態から、前進側テンション輪35aがゴムクロ-ラ33に対してクロ-ラ幅方向Cの一方側に相対的に移動し、前進側テンション輪35aと芯金突起41の側面とが当接した状態を示す図である。
図5(c)は、
図5(b)に示す状態から、前進側テンション輪35aがゴムクロ-ラ33に対してクロ-ラ幅方向Cの一方側に相対的に更に移動し、前進側テンション輪35aが芯金突起41の側面を乗り上げている途中の状態を示す図である。
図5(d)は、
図5(c)に示す状態から、前進側テンション輪35aがゴムクロ-ラ33に対してクロ-ラ幅方向Cの一方側に相対的に更に移動し、前進側テンション輪35aが芯金突起41を完全に乗り上げた状態を示す図である。
【0068】
図6は、
図4と同様、本実施形態の付勢体50を示す図である。但し、
図4に示す前進側テンション輪35aは、
図4(a)に示す正常時の状態であるのに対して、
図6に示す前進側テンション輪35aは、
図4(d)に示すように、芯金突起41に完全に乗り上げた状態である。なお、
図4、
図6では、説明の便宜上、前進側テンション輪35a及びゴムクロ-ラ33の一部を簡略化している。
【0069】
図6に示すように、前進側テンション輪35aが芯金突起41に乗り上げると、その乗り上げた分だけ、前進側テンション輪35aがゴムクロ-ラ33を付勢する付勢力が大きくなる(
図6における上向き太線矢印を参照)。そのため、ゴムクロ-ラ33の張力が高まり、前進側テンション輪35aがゴムクロ-ラ33の内面から受ける、クローラ厚み方向D、特にクロ-ラ厚み方向Dで前後方向Bに沿う方向、での張力荷重が大きくなる(
図6における右向き太線矢印を参照)。これにより、本実施形態では、付勢体50が前進側テンション輪35aから受ける付勢荷重も大きくなる。その結果、本実施形態の付勢体50のシリンダ52内の流体要素51の内圧についても変動する。
【0070】
図7は、
図5(a)に示す状態から
図5(d)に示す状態になるまでの、前進側テンション輪35aがゴムクロ-ラ33の内面から受ける荷重の変化の一例を示したイメージ図である。
図7に示す図の横軸は、前進側テンション輪35a及びゴムクロ-ラ33のクロ-ラ幅方向Cにおける相対位置を示している。
図7に示す図の横軸は、
図5(a)での前進側テンション輪35a及びゴムクロ-ラ33のクロ-ラ幅方向Cにおける相対位置を基準(
図7における「Py0」)としている。
図7の縦軸は、前進側テンション輪35aがゴムクロ-ラ33の内面から受けるクローラ厚み方向Dの荷重(以下、「前進側テンション輪35aが受ける張力荷重」と記載する。)を示している。
【0071】
より具体的に、
図5(a)に示す状態から
図5(b)に示す状態までは、
図7の横軸における「Py0」~「Py1」の範囲に相当する。
図5(b)に示す状態から
図5(c)に示す状態を経て、前進側テンション輪35aが芯金突起41を完全に乗り上げるまでは、
図5の横軸における「Py1」~「Py3」の範囲に相当する。
図5(d)に示すように、前進側テンション輪35aが芯金突起41を完全に乗り上げている状態は、
図7の横軸における「Py3」~「Py4」の範囲に相当する。
【0072】
図7に示すように、前進側テンション輪35aが受ける張力荷重は、
図5(a)に示す状態から
図5(b)に示す状態まで略一定である(
図7の「F1」参照)。しかしながら、
図7に示すように、前進側テンション輪35aが芯金突起41の側面を乗り上げている途中では、芯金突起41が前進側テンション輪35aとゴムクロ-ラ33との間に挟み込まれることで(
図6参照)、前進側テンション輪35aが受ける張力荷重は大きくなる。
図7では、一例として、前進側テンション輪35aが芯金突起41を完全に乗り上げる直前において(
図7の横軸における「Py2」~「Py3」)、前進側テンション輪35aが受ける張力荷重が増大する例を示しているが、このような傾きの変化がない場合もある。
【0073】
そして、前進側テンション輪35aが芯金突起41の側面を完全に乗り上げることで、前進側テンション輪35aが受ける張力荷重は最大となる。次いで、前進側テンション輪35aが芯金突起41の頂面を移動する途中(
図7の横軸における「Py3」~「Py4」)においては、前進側テンション輪35aが受ける張力荷重は略一定となる。仮に、前進側テンション輪35aがそのまま脱輪すると、
図7に破線で示すように、前進側テンション輪35aが受ける張力荷重は漸減し、最後に正常時と同等に戻る。
図7の横軸における「Py5」は、前進側テンション輪35aが完全に脱輪し、前進側テンション輪35aと芯金突起41とが非接触状態になった時点での位置関係を示している。
【0074】
このように、テンション輪35がゴムクロ-ラ33から脱輪するまでの間に、テンション輪35が受ける張力荷重は大きく変動する。そのため、センサ34により取得される張力荷重情報を利用することで、テンション輪35のゴムクロ-ラ33からの脱輪を未然に防ぐことが可能となる。具体的に、本実施形態では、
図1に示す機体2の制御装置21が、センサ34が取得した張力荷重情報を、所定閾値と比較する。そして、制御装置21は、所定閾値との比較結果に応じた処理を実行する。より具体的に、本実施形態のセンサ34は、前進側テンション輪35をゴムクロ-ラ33に向けて付勢する付勢体50のうち、シリンダ52内の流体要素51の圧力を、付勢荷重情報として取得する。そして、本実施形態の制御装置21は、センサ34により取得された上述の圧力値が所定閾値を超えた場合に、操作者に報知する制御、駆動輪31を停止する制御、などの処理を実行する。
【0075】
上述の所定閾値は、例えば、テンション輪35が芯金突起41の側面を乗り上げている途中でテンション輪35が受ける張力荷重(
図7の「F2」)に対応する張力荷重情報の閾値とすることができる。これにより、制御装置21は、テンション輪35が芯金突起41の側面を乗り上げている途中であることを判断できる。更に、別の所定閾値として、例えば、テンション輪35が芯金突起41の側面を完全に乗り上げた状態でのテンション輪35が受ける張力荷重(
図7の「F3」)に対応する張力荷重情報の閾値を利用してもよい。つまり、上述の所定閾値として、例えば、
図7における「F2」及び「F3」の両方に対応する張力荷重情報の閾値を使用してもよい。センサ34が、張力荷重情報として、テンション輪35が受ける張力荷重「F2」に対応する情報を取得し、次いで、張力荷重情報として、テンション輪35が受ける張力荷重「F3」に対応する情報を取得した場合に、制御装置21は、テンション輪35が芯金突起41の側面を完全に乗り上げて、テンション輪35が芯金突起41の頂面上に位置していることを判断できる。なお、所定閾値として使用する値は、
図7の横軸における「Py1」~「Py3」における任意の位置でのテンション輪35が受ける張力荷重に対応する張力荷重情報としてよい。但し、テンション輪35は、芯金突起41の側面を乗り上げる途中で、芯金突起41の側面から滑り落ち、正常時の位置(
図5(a)参照)に戻る場合がある。そのため、脱輪の兆候の誤検知を抑制するため、所定閾値として使用する値は、テンション輪35が芯金突起41の側面を完全に乗り上げる直前の位置で、テンション輪35が受ける張力荷重に対応する張力荷重情報に設定することが好ましい。
【0076】
このように、テンション輪35が受ける張力荷重に対応する張力荷重情報で所定閾値を設定し、センサ34が取得する張力荷重情報の取得値と比較することで、テンション輪35の芯金突起41の乗り上げ状況を検出できる。
【0077】
上述したように、制御装置21は、所定閾値との比較結果に応じた処理を実行する。制御装置21が実行する処理は、テンション輪35がゴムクロ-ラ33から脱輪することを未然に防ぎ得る各種処理である。具体的に、制御装置21は、上述の比較結果に基づき、操作者又は外部への報知を制御してもよい。制御装置21は、例えば、センサ34が取得した張力荷重情報の取得値が、
図7に示すテンション輪35が受ける張力荷重「F2」、「F3」に対応する所定閾値に到達している場合、報知装置24(
図1参照)により操作者又は外部に報知させる。これにより、クロ-ラ走行装置3の操作者でもあるクロ-ラ走行車1の操作者に、テンション輪35のゴムクロ-ラ33からの脱輪の兆候を知覚させることができる。
【0078】
更に、制御装置21は、テンション輪35の芯金突起41への乗り上げ状況に応じて、異なる報知情報を報知装置24に報知させてもよい。制御装置21は、例えば、センサ34が取得する張力荷重情報により、テンション輪35が芯金突起41の側面を乗り上げている途中であると判断した場合、所定音量の警告音で報知する。これに対して、制御装置21は、例えば、センサ34が取得する張力荷重情報により、テンション輪35が芯金突起41を完全に乗り上げた状態であると判断した場合、上述の警告音よりも大きい音量の警告音で報知してもよい。なお、異なる報知情報は、音量の相違に限られず、人間が相違を知覚可能なものであれば特に限定されない。
【0079】
また、制御装置21は、上述の比較結果に基づき、駆動輪31の駆動を制御してもよい。制御装置21は、例えば、センサ34が取得したクロ-ラ厚み方向Dの張力荷重情報が、
図7に示すテンション輪35が受ける張力荷重「F3」に対応する所定閾値に到達している場合、駆動装置23による駆動輪31の駆動を停止させる。これにより、テンション輪35のゴムクロ-ラ33からの脱輪を防ぐことができる。
【0080】
更に、制御装置21は、上述の比較結果に応じて、操作者又は外部への報知制御と、駆動輪31の駆動制御と、のいずれかを選択して実行してもよい。制御装置21は、例えば、テンション輪35が芯金突起41の側面を乗り上げている途中であると判断した場合には、操作者又は外部への報知制御のみを実行する。これに対して、制御装置21は、例えば、テンション輪35が芯金突起41を完全に乗り上げた状態であると判断した場合には、駆動輪31の駆動停止を実行する。
【0081】
以上のように、クロ-ラ走行装置3のセンサ34によれば、テンション輪35がゴムクロ-ラ33の内面から受ける、クローラ厚み方向Dでの張力荷重情報を取得可能である。そして、センサ34が取得した張力荷重情報を利用することで、テンション輪35のゴムクロ-ラ33からの脱輪の兆候を客観的に判断することができる。そのため、テンション輪35のゴムクロ-ラ33からの脱輪を、未然に防ぐことができる。
【0082】
また、本実施形態のセンサ34は、張力荷重情報として、付勢体50がテンション輪35から受ける付勢荷重情報を取得しているが、テンション輪35がゴムクロ-ラ33の内面から受ける、クローラ厚み方向Dでの張力荷重情報であれば、上述の付勢荷重情報に限られない。但し、本実施形態のように、テンション輪35をゴムクロ-ラ33の内面に向かって付勢する付勢体50がある場合には、張力荷重情報として、上述の付勢荷重情報を利用することが好ましい。このようにすれば、付勢体50による付勢力の調整機構を利用して容易に付勢荷重情報を取得できるため、センサ34により張力荷重情報を容易に取得できる。
【0083】
特に、付勢体50の付勢力が、圧縮変形可能な流体要素51を利用する場合には、センサ34は、付勢荷重情報として、流体要素51の圧力を取得することが好ましい。このようにすれば、センサ34により張力荷重情報を容易に取得できる。
【0084】
また、付勢体50の流体要素51がシリンダ52の収容空間52aに収容されている場合には、センサ34は、この収容空間52aにおける流体要素51の内圧を取得することが好ましい。このようにすれば、センサ34により張力荷重情報を容易に取得できる。
【0085】
本発明に係るクロ-ラ走行装置及びクロ-ラ走行車は、上述した実施形態で示す具体的な構成に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。つまり、テンション輪35がゴムクロ-ラ33の内面から受ける、クローラ厚み方向Dでの張力荷重情報に基づき、テンション輪35のゴムクロ-ラ33からの脱輪を監視するクロ-ラ監視方法、並びに、このクロ-ラ監視方法を実行するクロ-ラ走行装置、クロ-ラ走行車及びクロ-ラ監視システム、はいずれも本願の技術的範囲に属するものである。
【0086】
具体的に、本発明に係る上述のクロ-ラ監視方法とは、駆動輪31及びテンション輪35に巻き回されている無端状のゴムクロ-ラ33からテンション輪35が受ける荷重に関する荷重情報に基づき、テンション輪35のゴムクロ-ラ33からの脱輪を監視するクロ-ラ監視方法である。より具体的に、このクロ-ラ監視方法では、荷重情報のうち、テンション輪35がゴムクロ-ラ33の内面から受ける、クローラ厚み方向Dでの張力荷重情報に基づき、テンション輪35のゴムクロ-ラ33からの脱輪を監視する。
【0087】
また、本発明に係るクロ-ラ監視システムは、上述したクロ-ラ走行装置3と、センサ34が取得した張力荷重情報を所定閾値と比較し、比較結果に応じた処理を実行する制御装置21と、を備える。本発明に係るクロ-ラ監視システムは、制御装置21の比較結果を報知可能な報知装置24を更に備えてもよい。制御装置21は、比較結果に応じた処理の一例として、報知装置24が操作者又は外部に報知する報知情報を、比較結果に基づいて制御してもよい。また、本発明に係るクロ-ラ監視システムの制御装置21は、比較結果に応じた処理の一例として、クロ-ラ走行装置3の駆動輪31の駆動を、比較結果に基づいて制御してもよい。
【0088】
上述した実施形態のクロ-ラ走行車1では、機体2が制御装置21を備える構成であるが、本発明に係るクロ-ラ監視システムの制御装置21は、クロ-ラ走行車1の外部に位置する外部装置により構成されてもよい。クロ-ラ監視システムの制御装置21は、例えば、クロ-ラ走行車1の外部に位置する外部装置としてのサーバに備え付けられていてもよい。更に、クロ-ラ監視システムは、操作装置22、報知装置24及び圧力調整装置25を備えてもよい。また、クロ-ラ監視システムは、通信装置などの他の装置を更に備えてもよい。クロ-ラ監視システムにおける操作装置22、報知装置24、圧力調整装置25及びその他の装置は、制御装置21と同様、クロ-ラ走行車1の外部に位置する外部装置により構成されてもよい。制御装置21、操作装置22、報知装置24、圧力調整装置25及びその他の装置は、それぞれ別々の外部装置に備え付けられていてもよい。
【0089】
また、上述した実施形態のクロ-ラ走行車1では、機体2が、制御装置21及び報知装置24を備える構成であるが、例えば、クロ-ラ走行装置3が、制御装置21及び報知装置24を備える構成としてもよい。また、クロ-ラ走行装置3が、その他の装置を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、クローラ走行装置、クロ-ラ監視システム、クロ-ラ走行車及びクロ-ラ監視方法に関する。
【符号の説明】
【0091】
1:クロ-ラ走行車、 2:機体、 3:クロ-ラ走行装置、 11:機体本体、 11a:運転室、 12:機体アーム、 13:油圧シリンダ、 14:バケット、 21:制御装置、 22:操作装置、 23:駆動装置、 24:報知装置、 25:圧力調整装置、 31:駆動輪、 31a:突起部、 32:従動輪、 33:ゴムクロ-ラ、 33a:接地領域、 34:センサ、 34a:第1接続部、 34b:第2接続部、 35:テンション輪、 35a:前進側テンション輪、 35b:後進側テンション輪、 36:転輪、 36a:前進側転輪、 36b:中間転輪、 36c:後進側転輪、 37:クロ-ラベルト、 37a:凹部、 37b:ラグ、 37c:クロ-ラベルトの内面、 38:芯金、 39:補強コード層、 40:芯金本体部、 40c:芯金本体部の内面、 41:芯金突起、 50:付勢体、 51:流体要素、 52:シリンダ、 52a:収容空間、 52b:接続部、 53:ピストンロッド、 70:フレーム部材、 71:軸部、 72:回動軸、 A:クロ-ラ周方向、 B:前後方向、 C:クロ-ラ幅方向、 D:クロ-ラ厚み方向、 E:シリンダの軸方向