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特許7404059制御装置、レンズ装置、撮像装置、および撮像システム
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  • 特許-制御装置、レンズ装置、撮像装置、および撮像システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】制御装置、レンズ装置、撮像装置、および撮像システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/68 20230101AFI20231218BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20231218BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20231218BHJP
【FI】
H04N23/68
G03B17/14
G03B5/00 J
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019227871
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021097338
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】井野 友裕
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-122014(JP,A)
【文献】特開2019-164338(JP,A)
【文献】特開2019-113630(JP,A)
【文献】特開2010-091792(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0333785(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0215454(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0289216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/68
G03B 17/14
G03B 5/00-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を駆動して第1の像振れ補正を行う第1の駆動部、およびレンズを駆動して第2の像振れ補正を行う第2の駆動部の少なくとも一方を制御するための制御装置であって、
前記第2の像振れ補正の単位補正角に対する前記レンズを含む光学系の結像可能領域の変化量に関する情報、および前記撮像素子の単位駆動量に対する前記第1の像振れ補正の補正角に関する情報を用いて、前記第1および第2の駆動部による像振れ補正の割合を決定する決定部を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記レンズが基準位置に位置する場合の前記結像可能領域に関する情報、前記撮像素子における撮像範囲に関する情報、前記レンズの最大駆動可能量に関する情報、および前記レンズの単位駆動量に対する前記第2の像振れ補正の補正角に関する情報を用いて前記割合を決定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記レンズの最大駆動可能量に関する情報は、前記光学系のズーム状態およびフォーカス状態の少なくとも一方に対応する情報であることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記レンズが基準位置に位置する場合の前記結像可能領域に関する情報、前記撮像素子における撮像範囲に関する情報、および前記撮像素子の最大駆動可能量に関する情報を用いて前記割合を決定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記レンズが基準位置に位置する場合の前記結像可能領域に関する情報、前記撮像素子における撮像範囲に関する情報、前記レンズの最大駆動可能量に関する情報、前記レンズの単位駆動量に対する前記第2の像振れ補正の補正角に関する情報、および前記撮像素子の最大駆動可能量を用いて前記割合を決定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記レンズが基準位置に位置する場合の前記結像可能領域に関する情報は、前記光学系のズーム状態およびフォーカス状態の少なくとも一方に対応する情報であることを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第2の像振れ補正の単位補正角に対する前記結像可能領域の変化量に関する情報は、前記光学系のズーム状態およびフォーカス状態の少なくとも一方に対応する情報であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記撮像素子の単位駆動量に対する前記第1の像振れ補正の補正角に関する情報は、前記光学系のズーム状態およびフォーカス状態の少なくとも一方に対応する情報であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
撮像素子を駆動して像振れ補正を行うカメラ側駆動部を備える撮像装置に着脱可能なレンズ装置であって、
レンズを含む光学系と、
前記レンズを駆動して像振れ補正を行うレンズ側駆動部と、
前記レンズによる像振れ補正の単位補正角に対する前記光学系の結像可能領域の変化量に関する情報、および前記撮像素子の単位駆動量に対する前記撮像素子による像振れ補正の補正角に関する情報を用いて、前記レンズ側駆動部および前記カメラ側駆動部による像振れ補正の割合を決定する決定部とを有することを特徴とするレンズ装置。
【請求項10】
レンズを駆動して像振れ補正を行うレンズ側駆動部を備えるレンズ装置に着脱可能な撮像装置であって、
撮像素子を駆動して像振れ補正を行うカメラ側駆動部と、
前記レンズによる像振れ補正の単位補正角に対する前記レンズを含む光学系の結像可能領域の変化量に関する情報、および前記撮像素子の単位駆動量に対する前記撮像素子による像振れ補正の補正角に関する情報を用いて、前記カメラ側駆動部および前記レンズ側駆動部による像振れ補正の割合を決定する決定部とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項9に記載のレンズ装置と、
請求項10に記載の撮像装置とを有することを特徴とする撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、レンズ装置、撮像装置、および撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像素子をシフトすることで像振れ補正を行う撮像素子防振と撮影光学系の一部のレンズ群を光軸に対してシフトすることで像振れ補正を行うレンズ内防振とを組み合わせたハイブリッド防振を行う撮像装置が提案されている。
【0003】
特許文献1には、撮像素子及びレンズ群の双方による補正比率を適切に設定することにより、カメラシステム全体としての像振れ補正の範囲を拡大するカメラシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6410431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のカメラシステムでは、撮像素子及びレンズ群の双方による補正範囲に基づいて補正比率を決めているため、いずれかの補正量が最大となる場合に画像にケラレが生じてしまう等の課題が生じる場合がある。
【0006】
本発明は、像振れ補正を適切に行い良好な画像を得ることが可能な制御装置、レンズ装置、撮像装置、および撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての制御装置は、撮像素子を駆動して第1の像振れ補正を行う第1の駆動部、およびレンズを駆動して第2の像振れ補正を行う第2の駆動部の少なくとも一方を制御するための制御装置であって、第2の像振れ補正の単位補正角に対するレンズを含む光学系の結像可能領域の変化量に関する情報、および撮像素子の単位駆動量に対する第1の像振れ補正の補正角に関する情報を用いて、第1および第2の駆動部による像振れ補正の割合を決定する決定部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、像振れ補正を適切に行い良好な画像を得ることが可能な制御装置、レンズ装置、撮像装置、および撮像システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るカメラシステムの一例であるデジタルカメラの構成図である。
図2】撮像素子と結像可能領域との位置関係を説明する図である。
図3】実施例1の像振れ補正の割合を決定する方法を示すフローチャートである。
図4】実施例2の像振れ補正の割合を決定する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るカメラシステム(撮像システム)の一例であるデジタルカメラの構成図である。デジタルカメラは、レンズ交換式カメラであり、レンズユニット(レンズ装置)1とカメラ本体(撮像装置)2とを有する。レンズユニット1は、カメラ本体2に着脱可能に構成されている。レンズユニット1とカメラ本体2は、接点3で電気的に接続され、接点3を介して情報を通信したり、電力を共有したりする。
【0012】
レンズユニット1は、フォーカスレンズ群、像振れ補正を行うために撮影光学系101の光軸Laに垂直な方向の成分を含む方向へ移動可能な振れ補正レンズ群(レンズ)102、および絞り等を備える撮影光学系101を有する。また、レンズユニット1は、フォーカスレンズ群、振れ補正レンズ群102、および絞り等を制御するレンズ駆動部(第2の駆動部、レンズ側駆動部)103を有する。また、レンズユニット1は、レンズ制御部(決定部)104、レンズ演算部105、レンズメモリ106、および角速度センサ107を有する。レンズ制御部104は、接点3を介して後述するカメラ制御部203と通信するとともに、レンズユニット1全体の動作を制御する。レンズメモリ106は、撮影光学系101の諸パラメータや収差情報等を記憶している。レンズ制御部104、レンズ演算部105、およびレンズメモリ106により制御部10が構成される。制御部10は、レンズユニット1内に搭載されている必要はなく、レンズユニット1とは別の制御装置として構成されていてもよい。
【0013】
カメラ本体2は、像振れ補正を行うために光軸Laに垂直な方向の成分を含む方向へ移動可能な撮像素子201、および駆動/制御系を有する。駆動系/制御系は、撮像素子駆動部(第1の駆動部、カメラ側駆動部)202、カメラ制御部(決定部)203、カメラ演算部204、およびカメラメモリ205を有する。カメラ制御部203、カメラ演算部204、およびカメラメモリ206により制御部20が構成される。制御部20は、カメラ本体2内に搭載されている必要はなく、カメラ本体2とは別の制御装置として構成されていてもよい。
【0014】
なお、本実施例では角速度センサ107はレンズユニット1内に搭載されているが、カメラ本体2内、又はレンズユニット1とカメラ本体2のそれぞれの内部に搭載されていてもよい。
【0015】
以下、レンズユニット1、又はカメラ本体2での像振れ補正の方法について説明する。まず、レンズユニット1での像振れ補正の方法について説明する。レンズメモリ106は、振れ補正レンズ群102の光軸Laに垂直な成分を含む方向への単位駆動量に対する振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角(レンズ振れ補正敏感度)に関する情報を記憶している。カメラ制御部203は、接点3を介して角速度センサ107により検出された角速度情報、およびレンズメモリ106に記憶されているレンズ振れ補正敏感度を取得する。カメラ演算部204は、角速度情報、およびレンズ振れ補正敏感度を用いて振れ補正レンズ群102の移動量を算出する。レンズ駆動部103は、レンズ制御部104を介してカメラ演算部204により算出された移動量を取得し、取得した移動量だけ振れ補正レンズ群102を光軸Laに垂直な成分を含む方向へ移動させることでレンズユニット1での像振れ補正を行うことができる。
【0016】
次に、カメラ本体2での像振れ補正の方法について説明する。レンズメモリ106は、撮像素子201の光軸Laに垂直な成分を含む方向への単位駆動量に対する撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角(カメラ振れ補正敏感度)に関する情報を記憶している。カメラ制御部203は、接点3を介して角速度センサ107により検出された角速度情報、およびレンズメモリ106に記憶されているカメラ振れ補正敏感度を取得する。カメラ演算部204は、角速度情報、およびカメラ振れ補正敏感度を用いて撮像素子201の移動量を算出する。撮像素子駆動部202は、カメラ演算部204により算出された撮像素子201の移動量を取得し、取得した移動量だけ撮像素子201を光軸Laに垂直な成分を含む方向へ移動させることでカメラ本体2での像振れ補正を行うことができる。
【0017】
なお、本実施例では、振れ補正レンズ群102および撮像素子201の移動量は制御部20により算出されているが、制御部10により算出されてもよい。
【0018】
レンズユニット1およびカメラ本体2が独立して像振れ補正を行うと、像振れ補正が過補正になってしまったり、移動量が大き過ぎて撮影画像に不具合が生じてしまったりする。本実施例では、レンズユニット1による像振れ補正とカメラ本体2による像振れ補正の割合を適切に決定することで、画像に不具合を生じさせることなく、像振れ補正効果を最大限に引き出すことが可能である。
【0019】
本実施例では、レンズメモリ106は、振れ補正レンズ群102が基準位置(初期状態の光軸位置)に位置する場合の撮影光学系101の結像可能領域の情報(イメージサークル情報)L_ICを記憶している。イメージサークル情報は、ズーム状態およびフォーカス状態の少なくとも一方の状態に対応する情報である。また、レンズメモリ106は、振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の単位補正角に対する結像可能領域の変化量に関する情報(変化量情報)LIS_IC_henkaを記憶している。変化量情報LIS_IC_henkaは、ズーム状態およびフォーカス状態の少なくとも一方の状態に対応する情報である。また、レンズメモリ106は、振れ補正レンズ群102の最大駆動可能量LIS_maxに関する情報を記憶している。振れ補正レンズ群102の最大駆動可能量LIS_maxに関する情報は、ズーム状態およびフォーカス状態の少なくとも一方の状態に対応する情報である。さらに、レンズメモリ106は前述したように、レンズ振れ補正敏感度LIS_binの情報、およびカメラ振れ補正敏感度SIS_binの情報を記憶している。カメラ振れ補正敏感度の情報SIS_binは、ズーム状態およびフォーカス状態の少なくとも一方の状態に対応する情報である。
【0020】
イメージサークル情報L_ICは、基準位置から結像可能領域までの距離の情報である。一般的に、撮影光学系101は、撮像素子201の大きさより広い範囲で撮像が可能になるように設計されている。また、結像可能領域とは、画像に不具合を生じさせない像を結像できる領域を示している。本実施例では、結像可能領域を十分な光量が所定量以上入ってくる領域としているが、収差等の結像性能が十分に保証できる領域、又は像振れ補正を実施した際に十分な結像性能を維持可能な領域等としてもよい。
【0021】
図2は、撮像素子201と結像可能領域との位置関係を説明する図である。図2(a)は、撮像素子201と振れ補正レンズ群102が基準位置Oに位置する場合の結像可能領域301との位置関係を示している。本実施例において、イメージサークル情報L_ICは、基準位置Oから結像可能領域301の最外の位置までの距離情報である。振れ補正レンズ群102が像振れ補正を行うために光軸Laに垂直な成分を含む方向へ駆動すると、結像可能領域301は変化する。
【0022】
図2(b)は、撮像素子201と振れ補正レンズ群102が撮像素子201の対角方向へ最大駆動可能量LIS_maxだけ駆動した場合の結像可能領域303との位置関係を示している。図2(b)において、結像可能領域303の情報L_IC_LISは、基準位置Oから結像可能領域303の最外の位置までの最も短い距離情報である。振れ補正レンズ群102が最大駆動可能量LIS_maxだけ駆動した場合の結像可能領域の情報の変化量は、イメージサークル情報L_ICと結像可能領域303の情報L_IC_LISとの差分である。振れ補正レンズ群102が最大駆動可能量LIS_maxだけ駆動した場合の像振れ補正の補正角は、レンズ振れ補正敏感度LIS_binと最大駆動可能量LIS_maxとの積で表される。そのため、変化量情報LIS_IC_henkaは、以下の式(1)で表される。
【0023】
【数1】
【0024】
カメラメモリ205は、撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxの情報、および撮像素子201の対角方向のサイズ(撮像素子201における撮像範囲)S_sizeに関する情報を記憶している。撮像素子201の対角方向のサイズS_sizeは、基準位置Oから撮像素子201の対角位置までの距離である。結像可能領域301の余裕量IC_yoyuは、イメージサークル情報L_IC、および撮像素子201の対角方向のサイズS_sizeを用いて以下の式(2)で表される。
【0025】
IC_yoyu=L_IC-S_size (2)
上述したように、振れ補正レンズ群102を光軸Laに垂直な成分を含む方向へ駆動して像振れ補正を行う場合、結像可能領域が変化する。そのため、振れ補正レンズ群102を駆動して像振れ補正を行うと同時に、撮像素子201を駆動して像振れ補正を行う場合、振れ補正レンズ群102が駆動していない場合に比べて撮像素子201の駆動範囲が制限される場合がある。
【0026】
図2(a)の状態において、撮像素子201を駆動して像振れ補正を行う場合、撮像素子201は結像可能領域301内で駆動可能である。撮像素子201が結像可能領域301から出てしまう場合、取得される画像が、ケラレが生じた画像や収差等の結像性能が十分に保証できない画像になってしまう。
【0027】
図2(b)において、結像可能領域303は上述したように、振れ補正レンズ群102が撮像素子201の対角方向へ最大駆動可能量LIS_maxだけ駆動した場合の結像可能領域である。しかしながら、振れ補正レンズ群102は、実際にはあらゆる方向へ駆動する。そのため、振れ補正レンズ群102の実際の駆動を考慮した結像可能領域305は、振れ補正レンズ群102があらゆる方向へ最大駆動した場合の結像可能領域の情報をつなげた形状となる。したがって、振れ補正レンズ群102を最大駆動して像振れ補正を行う際に撮像素子201を駆動して像振れ補正を行う場合、撮像素子201を振れ補正レンズ群102の実際の駆動を考慮した結像可能領域305内で駆動する必要がある。すなわち、振れ補正レンズ群102および撮像素子201を駆動して像振れ補正を行う場合、撮像素子201のみを駆動して像振れ補正を行う場合に対して、撮像素子201の駆動範囲が制限される場合がある。
【0028】
ここで、振れ補正レンズ群の駆動により結像可能領域が単位量だけ変化する場合の像振れ補正の補正角LIS_IC_binは、以下の式(3)で表される。
【0029】
【数2】
【0030】
補正角LIS_IC_binとカメラ振れ補正敏感度SIS_binとを比較して値が大きい部材を駆動することで結像可能領域の変化に対して効率的に像振れを補正することが可能である。
【0031】
補正角LIS_IC_binがカメラ振れ補正敏感度SIS_binより大きい場合、振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正を優先して行う。補正角LIS_IC_binの最大値α_Lmaxは、以下の式(4)で表される。
【0032】
α_Lmax=LIS_max×LIS_bin (4)
振れ補正レンズ群102を最大駆動して像振れ補正を行うために必要な結像可能領域の必要余裕量LIS_IC_maxは、以下の式(5)で表される。
【0033】
LIS_IC_max=α_Lmax×LIS_IC_henka (5)
したがって、必要余裕量LIS_IC_maxが、振れ補正レンズ群102が基準位置に位置する場合の結像可能領域301の余裕量IC_yoyuより大きい場合、振れ補正レンズ群102を最大駆動すると結像可能領域の外側を撮像することになってしまう。したがって、振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lは、以下の式(6)で表される。
【0034】
α_L=IC_yoyu×LIS_IC_bin (6)
このとき、結像可能領域の余裕量は残っていないため、撮像素子201を用いた像振れ補正を行わない。
【0035】
必要余裕量LIS_IC_maxが余裕量IC_yoyuより小さい場合、振れ補正レンズ群102を最大限駆動することができる。このとき、振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lは、以下の式(7)で表される。
【0036】
α_L=LIS_max×LIS_bin (7)
この場合、振れ補正レンズ群102を最大駆動しても結像可能領域に余裕があるため、撮像素子201の駆動による像振れ補正を行うことが可能である。
【0037】
撮像素子201の駆動に使える結像可能領域の余裕量SIS_yoyuは、以下の式(8)で表される。
【0038】
SIS_yoyu=IC_yoyu-LIS_IC_max (8)
余裕量SIS_yoyuが撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより大きい場合、撮像素子201は最大駆動することができる。このときの撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sは、以下の式(9)で表される。
【0039】
α_S=SIS_max×SIS_bin (9)
余裕量SIS_yoyuが撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより小さい場合、撮像素子201は余裕量SIS_yoyuだけ駆動可能である。このときの撮像素子201の補正角α_Sは、以下の式(10)で表される。
【0040】
α_S=SIS_yoyu×SIS_bin (10)
一方、カメラ振れ補正敏感度SIS_binが補正角LIS_IC_binより大きい場合、撮像素子201の駆動による像振れ補正を優先して行う。
【0041】
撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxが余裕量IC_yoyuより大きい場合、撮像素子201の最大駆動可能量は余裕量IC_yoyuになる。このときの撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sは、以下の式(11)で表される。
【0042】
α_S=IC_yoyu×SIS_bin (11)
このとき、結像可能領域の余裕量は残っていないため、振れ補正レンズ群102を用いた像振れ補正を行わない。
【0043】
撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxが余裕量IC_yoyuより小さい場合、撮像素子201を最大限駆動することができる。このときの撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sは、以下の式(12)で表される。
【0044】
α_S=SIS_max×SIS_bin (12)
撮像素子201を最大駆動しても結像可能領域に余裕があるため、振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正を行うことが可能である。
【0045】
振れ補正レンズ群102の駆動に使える結像可能領域の余裕量LIS_yoyuは、以下の式(13)で表される。
【0046】
LIS_yoyu=IC_yoyu-SIS_max (13)
このとき、振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角の最大値α_Lmaxは以下の式(14)で表される。
【0047】
α_Lmax=LIS_max×LIS_bin (14)
振れ補正レンズ群102を最大駆動して像振れ補正を行うために必要な結像可能領域の必要余裕量LIS_IC_maxは、以下の式(15)で表される。
【0048】
LIS_IC_max=α_Lmax×LIS_IC_henka (15)
したがって、必要余裕量LIS_IC_maxが余裕量LIC_yoyuより大きい場合、振れ補正レンズ群102を最大限駆動すると結像可能領域の外側を撮像することになってしまう。したがって、振れ補正レンズ群102の駆動による補正角α_Lは、以下の式(16)で表される。
【0049】
α_L=LIC_yoyu×LIS_IC_bin (16)
必要余裕量LIS_IC_maxが余裕量LIC_yoyuより小さい場合、振れ補正レンズ群102を最大限駆動することができる。このとき、振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lは、以下の式(17)で表される。
【0050】
α_L=LIS_max×LIS_bin (17)
本実施例では、撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sと振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lとの割合によって像振れ補正の割合を決定する。
【0051】
振れ補正レンズ群102での像振れ補正の割合R_Lは、以下の式(18)で表される。
【0052】
【数3】
【0053】
また、撮像素子201での像振れ補正の割合R_Sは、以下の式(19)で表される。
【0054】
【数4】
【0055】
以下、図3を参照して、振れ補正レンズ群102および撮像素子201の駆動による像振れ補正の割合を決定する方法について説明する。図3は、本実施例の像振れ補正の割合を決定する方法を示すフローチャートである。なお、本実施例では、制御部20が振れ補正レンズ群102と撮像素子201の駆動割合を決定する方法について説明するが、制御部10が決定してもよい。また、本実施例では、振れ補正レンズ群102と撮像素子201の両方を駆動するように像振れ補正の割合を決定する必要はなく、少なくとも一方を駆動するように像振れ補正の割合を決定してもよい。
【0056】
シャッターボタンが半押しされるとフローが開始する。
【0057】
ステップS501では、カメラ演算部204は、まず、イメージサークル情報L_IC、変化量情報LIS_IC_henka、振れ補正レンズ群102の最大駆動可能量LIS_max、およびカメラ振れ補正敏感度SIS_binを取得する。カメラ演算部204は、次に、取得した情報を用いて余裕量IC_yoyu、補正角LIS_IC_bin、および必要余裕量LIC_IC_maxを算出する。カメラ制御部203は、カメラ演算部204により算出された情報を取得する。
【0058】
ステップS502では、カメラ制御部203は、補正角LIS_IC_binがカメラ振れ補正敏感度SIS_binより大きいかどうかを判断する。補正角LIS_IC_binがカメラ振れ補正敏感度SIS_binより大きい場合、ステップS503に進み、補正角LIS_IC_binがカメラ振れ補正敏感度SIS_binより小さい場合、ステップS506に進む。なお、補正角LIS_IC_binがカメラ振れ補正敏感度SIS_binと等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0059】
ステップS503では、カメラ制御部203は、余裕量IC_yoyuが必要余裕量LIC_IC_maxより大きいかどうかを判断する。余裕量IC_yoyuが必要余裕量LIC_IC_maxより大きい場合、ステップS504に進み、余裕量IC_yoyuが必要余裕量LIC_IC_maxより小さい場合、ステップS511に進む。なお、余裕量IC_yoyuが必要余裕量LIC_IC_maxと等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0060】
ステップS504では、カメラ演算部204は、余裕量IC_yoyuと必要余裕量LIC_IC_maxとを用いて撮像素子201の駆動に使える結像可能領域の余裕量SIS_yoyuを算出する。カメラ制御部203は、カメラ演算部204により算出された余裕量SIS_yoyuを取得する。
【0061】
ステップS505では、カメラ制御部203は、余裕量SIS_yoyuが撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより大きいかどうかを判断する。余裕量SIS_yoyuが撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより大きい場合、ステップS509に進み、余裕量SIS_yoyuが撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより小さい場合、ステップS510に進む。なお、余裕量SIS_yoyuが撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxと等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0062】
ステップS506では、カメラ制御部203は、余裕量IC_yoyuが撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより大きいかどうかを判断する。余裕量IC_yoyuが撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより大きい場合、ステップS507に進み、余裕量IC_yoyuが撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより小さい場合、ステップS514に進む。なお、余裕量IC_yoyuが撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxと等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0063】
ステップS507では、カメラ演算部204は、余裕量IC_yoyuと撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxとを用いて振れ補正レンズ群102の駆動に使える結像可能領域の余裕量LIS_yoyuを算出する。カメラ制御部203は、カメラ演算部204により算出された余裕量LIS_yoyuを取得する。
【0064】
ステップS508では、カメラ制御部203は、余裕量LIS_yoyuが必要余裕量LIC_IC_maxより大きいかどうかを判断する。余裕量LIS_yoyuが必要余裕量LIC_IC_maxより大きい場合、ステップS512に進み、余裕量LIS_yoyuが必要余裕量LIC_IC_maxより小さい場合、ステップS513に進む。なお、余裕量LIS_yoyuが必要余裕量LIC_IC_maxと等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0065】
ステップS509では、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、式(7)を用いて算出された振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lを取得する。また、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、式(9)を用いて算出された撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sを取得する。
【0066】
ステップS510では、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、式(7)を用いて算出された振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lを取得する。また、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、式(10)を用いて算出された撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sを取得する。
【0067】
ステップS511では、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、式(6)を用いて算出された振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lを取得する。また、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、0である撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sを取得する。この場合、振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正に対する撮像素子201の駆動による像振れ補正の割合はゼロである。
【0068】
ステップS512では、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、式(17)を用いて算出された振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lを取得する。また、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、式(12)を用いて算出された撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sを取得する。
【0069】
ステップS513では、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、式(16)を用いて算出された振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lを取得する。また、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、式(12)を用いて算出された撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sを取得する。
【0070】
ステップS514では、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、ゼロである振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lを取得する。また、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、式(11)を用いて算出された撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sを取得する。この場合、撮像素子201の駆動による像振れ補正に対する振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の割合はゼロである。
【0071】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、画像に不具合を生じさせることなく、像振れ補正効果を最大限に引き出すことが可能である。
【実施例2】
【0072】
本実施例では、撮影前は振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正を所定の振れ補正角内で実施し、実際に撮影を行う際に、振れ補正レンズ群102および撮像素子201の駆動による像振れ補正を行う。
【0073】
本実施例では撮影前に振れ補正レンズ群102による像振れ補正を行うため、カメラメモリ205は実施例1で説明した情報に加えてシャッターボタン半押し時に行う振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角を記憶している。
【0074】
以下、図4を参照して、振れ補正レンズ群102および撮像素子201の駆動による像振れ補正の割合を決定する方法について説明する。図4は、本実施例の像振れ補正の割合を決定する方法を示すフローチャートである。なお、本実施例では、制御部20が振れ補正レンズ群102と撮像素子201の駆動割合を決定する方法について説明するが、制御部10が決定してもよい。また、本実施例では、振れ補正レンズ群102と撮像素子201の両方を駆動するように像振れ補正の割合を決定する必要はなく、少なくとも一方を駆動するように像振れ補正の割合を決定してもよい。
【0075】
ステップS601からステップS605、およびステップS609からステップS611までの処理はそれぞれ、図3のステップS501からステップS505、およびステップS509からステップS511までの処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
本実施例ではシャッターボタン半押し時に振れ補正レンズ群102によって像振れ補正を行うために撮影時に撮像素子201の駆動による像振れ補正を行うための駆動量が実施例1に比べて小さくなる場合がある。シャッターボタン半押し時の結像可能領域の変化量IC_SW1は、以下の式(20)で表される。
【0077】
IC_SW1=LIS_IC_henka×α_SW1 (20)
ステップS606では、カメラ制御部203は、余裕量IC_yoyuからシャッターボタン半押し時の結像可能領域の変化量IC_SW1を引いた値が撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより大きいかどうかを判断する。余裕量IC_yoyuからシャッターボタン半押し時の結像可能領域の変化量IC_SW1を引いた値が撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより大きい場合、ステップS607に進む。余裕量IC_yoyuからシャッターボタン半押し時の結像可能領域の変化量IC_SW1を引いた値が撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxより小さい場合、ステップS614に進む。なお、。余裕量IC_yoyuからシャッターボタン半押し時の結像可能領域の変化量IC_SW1を引いた値が撮像素子201の最大駆動可能量SIS_maxと等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0078】
ステップS607、ステップS608、ステップS612、およびステップS613の処理はそれぞれ、図3のステップS507、ステップS508、ステップS512、およびステップS513までの処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0079】
ステップS614では、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、以下の式(21)を用いて算出される振れ補正レンズ群102の駆動による像振れ補正の補正角α_Lを取得する。また、カメラ制御部203は、カメラ演算部204から、以下の式(22)を用いて算出される撮像素子201の駆動による像振れ補正の補正角α_Sを取得する。
【0080】
α_L=IC_SW1×LIS_IC_bin (21)
α_S=(IC_yoyu―IC_SW1)×SIS_bin (22)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 制御装置
102 振れ補正レンズ群(レンズ)
103 レンズ駆動部(第2の駆動部、レンズ側駆動部)
104 レンズ制御部(決定部)
20 制御装置
201 撮像素子
202 撮像素子駆動部(第1の駆動部、カメラ側駆動部)
203 カメラ制御部(決定部)
図1
図2
図3
図4