(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】レバウジオシドの高効率の産生のためのUDP依存性グリコシルトランスフェラーゼ
(51)【国際特許分類】
C12N 15/54 20060101AFI20231218BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20231218BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20231218BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231218BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231218BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231218BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231218BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20231218BHJP
C12P 19/04 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
C12N15/54
A23L27/00 F
A23L27/20 E
C12N1/15 ZNA
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N9/10
C12P19/04 Z
(21)【出願番号】P 2019507224
(86)(22)【出願日】2017-08-11
(86)【国際出願番号】 US2017046637
(87)【国際公開番号】W WO2018031955
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-08-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511289736
【氏名又は名称】アミリス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,リシャン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ウェンゾン
(72)【発明者】
【氏名】ウィックマン,ゲイル
(72)【発明者】
【氏名】カーンコージ,アディティ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア デ ゴンザロ,シャンタル
(72)【発明者】
【氏名】マハデジュクル-メドーズ,ティナ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,シャイナ
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェル,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】プラット,ダレン
【合議体】
【審判長】福井 悟
【審判官】鶴 剛史
【審判官】田中 耕一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/073740(WO,A1)
【文献】特表2014-524247(JP,A)
【文献】Predicted: Setaria italica UDP-glycosyltransferase 91A1-like (LOC101782527), mRNA [30-NOV-2015] Retrieved from GenBank [online] Accession no. XM_004982002.3 [retrieved on 01 Jun 2021] URL:[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/955723871?sat=46&satkey=82547723]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
MEDLINE/CAPLUS/BIOSIS/EMBASE(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1または配列番号11と、少なくとも90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼをコードする異種核酸を含む遺伝子改変された宿主細胞であって、
90%、95%、96%、または97%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である、遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項2】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、配列番号1または配列番号11の配列を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項3】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、ステビオール配糖体の19-OグルコースのC2’位をベータ1,2グリコシル化することが可能である、請求項1または2に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項4】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、異種核酸によってコードされ、異種核酸は、配列番号13と、少なくとも90%、または95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項5】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、配列番号13の配列を有する異種核酸によってコードされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項6】
90%、95%、96%、または97%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能であり、UDPグリコシルトランスフェラーゼが、配列番号1または配列番号11と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項7】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、配列番号1または配列番号11の機能性ドメインと、少なくとも90%、または95%の配列同一性を有する機能性ドメインを有するポリペプチドである、請求項1~6のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項8】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、配列番号1または配列番号11の糖アクセプタードメインを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項9】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、糖アクセプタードメインを含み、糖アクセプタードメインのアミノ酸配列は、配列番号1または配列番号11の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項10】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、
(a)それぞれ配列番号1もしくは配列番号11のループ1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1もしくは配列番号11のループ1のアミノ酸配列、配列番号28の配列、またはバリアントループ1のアミノ酸配列;
(b)それぞれ配列番号1もしくは配列番号11のループ2の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1もしくは配列番号11のループ2のアミノ酸配列、またはバリアントループ2のアミノ酸配列;
(c)それぞれ配列番号1もしくは配列番号11のループ3_1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1もしくは配列番号11のループ3_1のアミノ酸配列、またはバリアントループ3_1のアミノ酸配列;
(d)それぞれ配列番号1もしくは配列番号11のループ3_2の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1もしくは配列番号11のループ3_2のアミノ酸配列、またはバリアントループ3_2のアミノ酸配列;
(e)それぞれ配列番号1もしくは配列番号11のループ4_1の箇所に対応する箇所における、配列番号1もしくは配列番号11のループ4_1のアミノ酸配列、またはバリアントループ4_1のアミノ酸配列;
(f)それぞれ配列番号1または配列番号11のループ4_2の箇所に対応する箇所における、配列番号1または配列番号11のループ4_2のアミノ酸配列;または
(g)(a)から(f)の任意の組合せ
を含む、請求項9に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項11】
バリアントループ1のアミノ酸配列、バリアントループ2のアミノ酸配列、バリアントループ3_1のアミノ酸配列、バリアントループ3_2のアミノ酸配列、およびバリアントループ4_1のアミノ酸配列のいずれかが、配列番号1または配列番号11と異なる別のUDPグリコシルトランスフェラーゼのそれらそれぞれの対応するループ箇所から得られ、別のUDPグリコシルトランスフェラーゼは、配列番号1または配列番号11と、少なくとも90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項12】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、
(a)配列番号1または配列番号11の糖アクセプタードメインと、少なくとも90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む別のUDPグリコシルトランスフェラーゼの糖アクセプタードメイン;および
(b)それぞれ配列番号1または配列番号11のループ4_1の箇所に対応する別のUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1または配列番号11のループ4_1のアミノ酸配列
を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項13】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、配列番号1または配列番号11と、少なくとも90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ4_1の箇所に対応する箇所における、配列番号1または配列番号11のループ4_1のアミノ酸配列を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項14】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、以下のアミノ酸残基:
(a)配列番号11のアミノ酸位置11に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン;
(b)配列番号11のアミノ酸位置12に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるイソロイシン;
(c)配列番号11のアミノ酸位置55に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるプロリン;
(d)配列番号11のアミノ酸位置90に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるグルタミン酸;
(e)配列番号11のアミノ酸位置203に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるセリン;
(f)配列番号11のアミノ酸位置223に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるグルタミン酸;または
(g)配列番号11のアミノ酸位置413に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン
の1つまたは複数を含み、配列番号11のアミノ酸位置に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置は、配列アライメントによって決定される、請求項1~13のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項15】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、配列番号24を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項16】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、糖ドナードメインを含み、糖ドナードメインは、配列番号1または配列番号11の糖ドナードメインのアミノ酸配列と、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項17】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、配列番号1または配列番号11と、少なくとも92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項18】
RebMを産生することが可能である、請求項1~17のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項19】
ステビオールを生成するための経路の1つまたは複数の酵素をコードする1つまたは複数の異種核酸をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項20】
ステビオール配糖体を生成するための経路の1つまたは複数の酵素をコードする1つまたは複数の異種核酸をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項21】
前記経路の1つまたは複数の酵素が、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ、コパリル二リン酸シンターゼ、ent-カウレンシンターゼ、カウレンオキシダーゼ、カウレン酸ヒドロキシラーゼ、シトクロムP450レダクターゼ、UGT74G1、UGT76G1、UGT85C2、およびUGT91Dを含む、請求項19または20に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項22】
細菌細胞、真菌細胞、藻類細胞、昆虫細胞、および植物細胞からなる群から選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項23】
真菌細胞が、Saccharomyces cerevisiaeである、請求項22に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
【請求項24】
RebMを産生するための方法であって、
(a)RebMの生成に好適な条件下で、請求項1~23のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞の集団を、炭素源を含む培地中で培養すること;および
(b)培地から前記RebM化合物を回収すること
を含む方法。
【請求項25】
請求項1~23のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞、および当該宿主細胞によって産生された
ステビオール配糖体を含む発酵組成物であって、ステビオール配糖体は、RebA、RebDおよびRebMを、
1:7:50~1:100:1000のRebA:RebD:RebMの比率で含む、発酵組成物。
【請求項26】
配列番号1または配列番号11と、少なくとも90%、95%の配列同一性を有する、天然に存在しないUDPグリコシルトランスフェラーゼであって、宿主細胞において、90%、95%、96%、または97%より高い効率で、RebAをRebDに変換することが可能な天然に存在しないUDPグリコシルトランスフェラーゼ。
【請求項27】
UDPグリコシルトランスフェラーゼが、以下のアミノ酸残基:
(a)配列番号11のアミノ酸位置11に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン;
(b)配列番号11のアミノ酸位置12に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるイソロイシン;
(c)配列番号11のアミノ酸位置55に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるプロリン;
(d)配列番号11のアミノ酸位置90に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるグルタミン酸;
(e)配列番号11のアミノ酸位置203に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるセリン;
(f)配列番号11のアミノ酸位置223に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるグルタミン酸;または
(g)配列番号11のアミノ酸位置413に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン
の1つまたは複数を含み、配列番号11のアミノ酸位置に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置は、配列アライメントによって決定される、請求項26に記載の天然に存在しないUDPグリコシルトランスフェラーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2016年8月12日付けで出願された米国仮出願第62/374,408号の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
2.発明の分野
[0002] 本発明の開示は、ある特定のウリジン二リン酸依存性グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)、それを含む組成物、それを含む宿主細胞、ならびにレバウジオシドDおよびレバウジオシドMなどのレバウジオシドの産生のためのそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
3.背景
[0003] 糖の高摂取の悪影響(例えば、糖尿病および肥満症)を制限するためには、自然源由来のゼロカロリー甘味料が望ましい。レバウジオシドM(RebM)は、ステビア植物(Stevia rebaudiana Bertoni)によって産生された多くの甘味化合物の1つである。全てのレバウジオシドのなかでも、RebMは、最大の効力を有し(スクロースより約200~300倍甘い)、最もすっきりとした味である。しかしながら、RebMは、ステビア植物からわずかな量しか産生されず、その割合は、全ステビオール配糖体含量のうちごくわずかである(<1.0%)。Ohtaら、2010、J.Appl.Glycosci.、57、199~209(2010)。したがって、大量かつ高純度での産生を可能にする生物工学的な経路を使用してRebMを産生することが望ましい。
【0004】
[0004] 生物工学を使用して生成物を経済的に産生するために、供給材料からの生成物への生物変換反応における各工程が、高い変換効率(理想的には>90%)を有することが有利である。RebMを産生させるための酵母の操作において、最後から2番目の生合成工程、すなわちレバウジオシドA(RebA)からレバウジオシドD(RebD)への変換が律速になっていることが明らかになった。
図1Aを参照されたい。生来的な酵素(Ono、EP2826861A1、UGT91D_like3、または近い相同体)は、RebAの約3%をRebDに変換することが観察された。2つの他のUGT酵素も、RebAをRebDに変換することが可能なことが確認されている。一方は、Oryza sativa由来のOs_UGT_91C1であり(Houghton-Larsenら、WO2013/022989A2ではEUGT11とも称される)、他方は、Solanum lycopersicum由来のSl_UGT_101249881である(Markosyanら、WO2014/193888A1ではUGTSL2とも称される)。しかしながら、Os_UGT_91C1およびSl_UGT_101249881はどちらも、それぞれ約53%および70%の、望ましい変換効率より低い変換効率を有することが本発明者らによって初期に観察された。これらの酵素のうち3つ全て、すなわちUGT91D_like3、Os_UGT_91C1、およびSL_UGT_101249881は、ベータ(1→2)連結の形成を介してグルコース部分を19-O-グルコース残基のC-2’位に転移するウリジン二リン酸依存性グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)である(
図1A)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] RebMを効率的に高い純度で産生するために、RebAをRebDに高効率で変換することが可能な改善された酵素が必要である。本明細書で提供される組成物および方法は、この必要性に取り組み、同様に関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
4.発明の要約
[0006] 改善されたRebAのRebDへの変換のための、さらに、改善されたRebDおよび/またはRebM産生のための、組成物および方法が本明細書で提供される。これらの組成物および方法は、ある特定のウリジン二リン酸依存性グリコシルトランスフェラーゼ(UGT)が顕著に高い効率でRebAをRebDに変換できるという驚くべき発見に一部基づく。新しいUGTによる株性能の改善がそれほど大きくなくても(例えば10パーセント)、RebMに対する市場の需要が年間50億トンであると仮定すれば、将来的に生産コストを、1000万ドルを超えて節約する可能性がある。
【0007】
[0007] 本明細書に記載されるある特定のUGTはまた、RebM2副産物(すなわちRebMの異性体)などの非天然配糖体をほとんどまたは全く伴わずにRebMを産生することも可能である。現在公知のステビア配糖体の列挙については、Ceunen S.ら、Steviol Glycosides:Chemical Diversity, Metabolism,and Function.J.Nat.Prod.、76、1201~1228(2013)を参照されたい。したがって、ある特定の実施態様において、本明細書に記載される組成物および方法は、高い純度のRebMを含む組成物を得るための下流処理のコストを低減することができる。
【0008】
[0008] また、これまでに公知のUGTとは異なる基質特異性でステビオール配糖体を産生することが可能な代替酵素に関する組成物および方法も本明細書で提供される。新しい代替酵素は、他の公知の酵素によって産生されたものと比較して異なるステビオール配糖体の混合物または比率を産生する可能性を有する。ステビオール配糖体の異なる混合物または比率を有する組成物は、様々な消費製品または食品の配合において有用であり得る代替の甘味プロファイルを付与する可能性がある。
【0009】
[0009] したがって、工業的に有用な化合物を産生するための、遺伝子改変された宿主細胞およびその使用方法が本明細書で提供される。一態様において、UDPグリコシルトランスフェラーゼ(UGT40087、これは、Si_UGT_40087とも称される)をコードする異種核酸を含む遺伝子改変された宿主細胞が本明細書で提供される。一部の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、ステビオールおよび/またはステビオール配糖体を産生することが可能な1つまたは複数の酵素経路をさらに含む。
【0010】
[0010] ある特定の実施形態において、UGT40087(例えば、配列番号1または配列番号11)の配列と、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼをコードする異種核酸を含む遺伝子改変された宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、90%、95%、96%、または97%より高い効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、糖アクセプタードメインを含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含み、糖アクセプタードメインのアミノ酸配列は、配列番号1または配列番号11の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と、少なくとも84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。ある特定の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、ループ1のアミノ酸配列、バリアントループ1のアミノ酸配列、ループ2のアミノ酸配列、バリアントループ2のアミノ酸配列、ループ3_1のアミノ酸配列、バリアントループ3_1のアミノ酸配列、ループ3_2のアミノ酸配列、バリアントループ3_2のアミノ酸配列、ループ4_1のアミノ酸配列、バリアントループ4_1のアミノ酸配列、ループ4_2のアミノ酸配列、またはそれらの任意の組合せを含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む。ある特定の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、配列番号1または配列番号11の糖アクセプタードメインと、少なくとも61%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号1または配列番号11のループ4_1のアミノ酸配列をさらに含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む。
【0011】
[0011] ある特定の実施形態において、配列番号2、5、または6の配列と、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼをコードする異種核酸を含む遺伝子改変された宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、または97%より高い効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、糖アクセプタードメインを含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含み、糖アクセプタードメインのアミノ酸配列は、配列番号2、5、または6の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と、少なくとも84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する。ある特定の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、ループ1のアミノ酸配列、バリアントループ1のアミノ酸配列、ループ2のアミノ酸配列、バリアントループ2のアミノ酸配列、ループ3_1のアミノ酸配列、バリアントループ3_1のアミノ酸配列、ループ3_2のアミノ酸配列、バリアントループ3_2のアミノ酸配列、ループ4_1のアミノ酸配列、バリアントループ4_1のアミノ酸配列、ループ4_2のアミノ酸配列、またはそれらの任意の組合せを含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む。ある特定の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、配列番号2、5、または6の糖アクセプタードメインと、少なくとも61%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含み、配列番号2、5、または6のループ4_1のアミノ酸配列をさらに含む。
【0012】
[0012] 別の態様において、異種ステビオール配糖体を産生するための方法であって、前記ステビオール配糖体化合物の生成に好適な条件下で、本明細書に記載されるステビオール配糖体を産生することが可能な本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞の集団を、炭素源を含む培地中で培養すること;および培地から前記ステビオール配糖体を回収することを含む方法が本明細書で提供される。一部の実施形態において、異種ステビオール配糖体は、RebDおよびRebMからなる群から選択される。
【0013】
[0013] 別の態様において、宿主細胞におけるステビオール配糖体化合物の産生を増加させるための方法であって、宿主細胞中で、UGT40087をコードする異種核酸を発現させること;およびステビオール配糖体の産生に好適な条件下で、宿主細胞を培養することを含む方法が本明細書で提供される。一部の実施形態において、宿主細胞は、UGT91D_like3酵素、Os_UGT_91C1酵素、またはSl_UGT_101249881酵素を含まない。
【0014】
[0014] 別の態様において、RebDを産生するための方法であって、前記RebDの生成に好適な条件下で、本明細書に記載されるRebDを産生することが可能な本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞の集団を、炭素源を含む培地中で培養すること;および培地から前記RebDを回収することを含む方法が本明細書で提供される。
【0015】
[0015] 別の態様において、RebMを産生するための方法であって、前記RebMの生成に好適な条件下で、本明細書に記載されるRebMを産生することが可能な本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞の集団を、炭素源を含む培地中で培養すること;および培地から前記RebMを回収することを含む方法が本明細書で提供される。
【0016】
[0016] 別の態様において、RebDを産生するための方法であって、RebDを形成するのに好適な条件下で、RebAを、グルコース、およびRebAをRebDに変換することが可能な本明細書に記載されるUDPグリコシルトランスフェラーゼと接触させることを含む方法が本明細書で提供される。
【0017】
[0017] 別の態様において、RebMを産生するための方法であって、RebDを形成するのに好適な条件下で、RebAを、グルコース、およびRebAをRebDに変換することが可能な本明細書に記載されるUDPグリコシルトランスフェラーゼと接触させ、RebDをRebMに変換することが可能な本明細書に記載されるUDPグリコシルトランスフェラーゼと接触させることを含む方法が本明細書で提供される。
【0018】
[0018] 一部の実施形態において、宿主細胞は、酵母細胞である。一部の実施形態において、酵母は、Saccharomyces cerevisiaeである。一部の実施形態において、宿主細胞は、RebDまたはRebMを高効率で産生する。一部の実施形態において、宿主細胞は、UGT40087酵素を含まない酵母細胞と比較して、増加した量のRebDまたはRebMを産生する。一部の実施形態において、宿主細胞は、UGT40087酵素を含まない酵母細胞と比較して、RebM2に対して増加した量のRebMを産生する。
【0019】
[0019] 別の態様において、本明細書で提供される他のUDG-グリコシルトランスフェラーゼは、UGT40087に加えて、またはその代わりに使用することができる。これらの例としては、例えば、sr.UGT_9252778、Bd_UGT10840、Hv_UGT_V1、Bd_UGT10850、およびOb_UGT91B1_likeが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】[0020]RebAからRebDからRebMへの変換の概略図を提供する図である。
【
図1B】[0021]RebM2の構造を提供する図である。
【
図1C】[0022]メバロン酸経路の概略図を提供する図である。
【
図2A】[0023]ファルネシルピロリン酸(FPP)からステビオールへの例示的な経路を提供する図である。
【
図2B-1】[0024]ステビオールからRebMへの例示的な経路を提供する図である。
【
図2C】[0025]RebMの酵素による産生に関する例示的な経路を提供する。
【
図3】[0026]Reb(D+M)のマイクロモル/Reb(A+D+M)のマイクロモルによって測定した場合の、インビボにおけるRebAからRebDへの変換の比率を提供する図である。親対照株は、標識された91D_like3(Stevia rebaudiana由来;この株は、空のランディングパッドに加えて、UGT:85C2、74G1、91D_like3、および76G1のみを含有する。91D_like3のRebAからRebDへの変換は極めて低い(約3%、表5を参照)ことに留意する。各UGT酵素の単一のコピーを親対照株に挿入し、改善されたRebAからRebDへの変換に関してスクリーニングした。6つのUGT酵素では、以前の公知の酵素であるOs_UGT_91C1およびSl_UGT_101249881と少なくとも同等であるかまたはそれより優れたRebAからRebDへの変換が起きることが示される。3つのUGT酵素(Si_UGT_40087、Ob_UGT91B1_like、およびHv_UGT_V1は、RebAをRebDに変換することにおいて、これまでに同定されたUGT酵素の両方より優れている。エラーバーは、標準誤差である。
【
図4】[0027]酵母におけるRebAからRebDへの変換に関してスクリーニングするための、個々のUGT酵素を挿入するのに使用される「ランディングパッド」設計の概略図を提供する図である。
【
図5A-1】[0028]
図5A~Hは、表5および
図3に記載のデータを作成するのに使用された、各UGT遺伝子のインビボで産生されたRebA、RebD、RebM、RebM2のクロマトグラムを例示する。RebA、RebD、RebM、およびRebM2に関連するピークを示すクロマトグラムピークが選択される。各図は、信頼できる標準、対照親株Y31062、および追加のUGT酵素を用いたY31062の保持時間対強度%を示す。Y31062は親対照株であり、空のランディングパッドと共に、UGT74G1、UGT85C2、UGT91D_like3、およびUGT76G1を含有する。
図5A:Si_UGT_40087に関するデータを示す図である。この図はまた、RebEの信頼できる標準であるクロマトグラムも包含する。
【
図5B】Ob_UGT91B1_likeに関するデータを示す図である。
【
図5C】Hv_UGT_V1に関するデータを示す図である。
【
図5D-1】Sl_UGT_101249881に関するデータを示す図である。
【
図5E】UGT_g252778に関するデータを示す図である。
【
図5F】Os_UGT_91C1に関するデータを示す図である。
【
図5G】Bd_UGT10850に関するデータを示す図である。
【
図5H】Bd_UGT10840に関するデータを示す図である。
【
図5I】このピークがRebEであることを確認するための信頼できる標準に対するSi_UGT_40087のちょうどRebEピークの部分のクロマトグラムの拡大図を示す図である。
【
図6】[0029]UGT40087構造の相同性モデルを例示する図である。そのNおよびC末端ドメインは、薄いおよび暗い灰色で示され、ループ交換実験に使用される4つのループも構造上に標識される。
【
図7】[0030]UGTドメイン交換コンストラクトの概略図を例示する図である。
【
図8】[0031]4つのUDPグリコシルトランスフェラーゼ(UGT40087(配列番号1);Os_UGT_91C1(配列番号8);91Dlike3(配列番号7);Si91Dlike(配列番号12))の配列アライメントを例示する図である。
【
図9A】[0032]親対照細胞(UGT74G1、UT85C2、UGT76G1、およびUGT91D_like3を含む)のインビボで産生されたステビオール配糖体のクロマトグラムを例示する図である。
【
図9B】UGT40087を含む親対照株のインビボで産生されたステビオール配糖体のクロマトグラムを例示する。
【
図9C】Ob_UGT91B1_likeを含む親対照株のインビボで産生されたステビオール配糖体のクロマトグラムを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
6.実施形態の詳細な説明
6.1 用語
[0033] 本明細書で使用される場合、用語「異種」は、通常は天然に見出されないものを指す。用語「異種ヌクレオチド配列」は、所与の細胞において通常は天然に見出されないヌクレオチド配列を指す。したがって、異種ヌクレオチド配列は、(a)その宿主細胞にとって外来であるもの(すなわち細胞にとって「外因性」であるもの)であってもよいし;(b)宿主細胞において天然に見出されるもの(すなわち「内因性」)であるが細胞中に天然にはない量で(すなわち、宿主細胞において天然に見出される量より多いまたは少ない量で)存在していてもよいし;または(c)宿主細胞において天然に見出されるが、その天然の遺伝子座の外側に位置するものであってもよい。用語「異種酵素」は、所与の細胞において通常は天然に見出されない酵素を指す。この用語は、(a)所与の細胞にとって外因性である酵素(すなわち、宿主細胞において天然に存在しないかまたは宿主細胞中の所与のコンテクストにおいて天然に存在しないヌクレオチド配列によってコードされる酵素);および(b)宿主細胞において天然に見出されるが(例えば、酵素が細胞にとって内因性のヌクレオチド配列によってコードされる)、宿主細胞において天然にはない量(例えば、天然に見出される量より多いまたは少ない量)で産生される酵素を包含する。
【0022】
[0034] 一方で、用語「生来的な」または「内因性」は、本明細書において分子、特定には酵素および核酸に対して使用される場合、その起源になっているかまたはそれが天然に見出される生物で発現される分子を示し、その発現レベルが、生来的な微生物におけるその分子の発現レベルより低いか、それに等しいか、またはそれより高いものであり得るかどうかとは無関係である。組換え微生物では、生来的な酵素またはポリヌクレオチドの発現が改変される場合があることが理解される。
【0023】
[0035] 本明細書で使用される場合、用語「親細胞」は、本明細書で開示された遺伝子改変された宿主細胞と同一な遺伝的背景を有する細胞であるが、ただし、改変された宿主細胞に操作された1つまたは複数の特定の遺伝学的改変、例えば、ステビオール経路の酵素の異種発現、ステビオール配糖体経路の酵素の異種発現、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼの異種発現、コパリル二リン酸シンターゼの異種発現、カウレンシンターゼの異種発現、カウレンオキシダーゼの異種発現、ステビオールシンターゼ(カウレン酸ヒドロキシラーゼ)の異種発現、シトクロムP450レダクターゼの異種発現、UGT74G1の異種発現、UGT76G1の異種発現、UGT85C2の異種発現、UGT91Dの異種発現、およびUGT40087の異種発現からなる群から選択される1つまたは複数の改変を含まない細胞を指す。
【0024】
[0036] 本明細書で使用される場合、用語「天然に存在する」は、天然に見出されるものを指す。例えば、天然の源から単離できる生物中に存在するUDPグリコシルトランスフェラーゼ、および実験室でヒトによって意図的に改変されていないUDPグリコシルトランスフェラーゼは、天然に存在するUDPグリコシルトランスフェラーゼである。逆に言えば、本明細書で使用される場合、用語「天然に存在しない」は、天然に見出されないがヒトの介入により作り出されたものを指す。
【0025】
[0037] 用語「培地」は、培養培地および/または発酵培地を指す。
【0026】
[0038] 用語「発酵組成物」は、遺伝子改変された宿主細胞および遺伝子改変された宿主細胞によって産生された生成物または代謝生成物を含む組成物を指す。発酵組成物の例は、全細胞液体培地であり、これは、細胞、水相、および遺伝子改変された宿主細胞から産生された化合物を包含する容器(例えば、フラスコ、プレート、または発酵槽)の内容物全体であり得る。
【0027】
[0039] 本明細書で使用される場合、用語「産生量」は、一般的に、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞によって産生されたステビオールまたはステビオール配糖体の量を指す。一部の実施形態において、産生量は、宿主細胞によるステビオールまたはステビオール配糖体の収量として表される。他の実施形態において、産生量は、ステビオールまたはステビオール配糖体の産生における宿主細胞の産生能として表される。
【0028】
[0040] 本明細書で使用される場合、用語「産生能」は、宿主細胞によるステビオールまたはステビオール配糖体の産生量を指し、経時的な(1時間当たりの)宿主細胞が培養される発酵ブロスの所定量当たりの(体積当たりの)産生されたステビオールまたはステビオール配糖体の量(重量による)として表される。
【0029】
[0041] 本明細書で使用される場合、用語「収量」は、宿主細胞によるステビオールまたはステビオール配糖体の産生量を指し、宿主細胞により消費された炭素源の所定量当たりの産生されたステビオールまたはステビオール配糖体の重量による量として表される。
【0030】
[0042] 化合物(例えば、RebM2、ステビオール配糖体、または他の化合物)の「検出不可能なレベル」という用語は、本明細書で使用される場合、化合物のレベルが、化合物を測定するための標準的な技術によって測定および/または分析するには低すぎることを意味する。例えば、この用語は、実施例7に記載される分析方法では検出不可能な化合物のレベルを包含する。
【0031】
[0043] 用語「ステビオール配糖体」は、本明細書で使用される場合、1つまたは複数の糖部分の付加によって酵素的に変更されたステビオールを指し、このようなものとしては、例えばステビオールの配糖体、例えば、これらに限定されないが、天然に存在するステビオール配糖体、例えばステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ルブソシド、ズルコシド(dulcoside)B、ズルコシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドG、ステビオシド、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドA、レバウジオシドI、レバウジオシドE、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドM、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO、合成ステビオール配糖体、例えば酵素的にグルコシル化されたステビオール配糖体およびそれらの組合せなどの付加によって酵素的に変更されたステビオールが挙げられる。
【0032】
[0044] 用語「ウリジン二リン酸(UDP)グリコシルトランスフェラーゼ」または「UDP依存性グリコシルトランスフェラーゼ」は、本明細書で使用される場合、単糖類部分をグリコシルドナーからグリコシルアクセプターに転移する活性を有する酵素、特定には、グリコシルドナーとしてUDP-糖を利用する酵素を指す。用語「UDPグリコシルトランスフェラーゼ」は、「UGT」と同義的に使用することができる。
【0033】
[0045] 本明細書で使用される場合、用語「機能性ドメイン」は、UDPグリコシルトランスフェラーゼの「糖アクセプタードメイン」または「糖ドナードメイン」のいずれかを意味する。植物のUDPグリコシルトランスフェラーゼ(UGT)は、グリコシルトランスフェラーゼスーパーファミリーのファミリー1に属する。これらは、GT-B構造的フォールドを受け入れる。このUGTに共通する構造的な特徴は、2つのドメイン、すなわちドメイン間リンカーで隔てられた類似のロスマンフォールドを有するC末端およびN末端ドメインからなる。C末端ドメインは、UDP-グルコース(「糖ドナー」)に結合することから、糖ドナードメインとも称され、一方でN末端ドメインは、糖ではない基質(「アクセプター」)と結合することから、アクセプタードメインとも称される。
【0034】
[0046] 本明細書で使用される場合、用語「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、突然変異、および/または置換によって具体的に列挙した「参照」ポリペプチド(例えば野生型配列)と異なるが、実質的に参照ポリペプチドに類似した活性を保持するポリペプチドを指す。例えば、バリアントUGT40087は、やはりRebAをRebDに変換する反応および/またはステビオシドをRebEに変換する反応を触媒することが可能であるという点で、配列番号11を有する参照UGT40087に実質的に類似した活性を保持する。一部の実施形態において、バリアントは、組換えDNA技術、例えば変異誘発によって作り出される。一部の実施形態において、バリアントポリペプチドは、ある塩基性残基の別の残基での置換(すなわちArgのLysでの置換)、ある疎水性残基の別の残基での置換(すなわちLeuのIleでの置換)、またはある芳香族残基の別の残基での置換(すなわちPheのTyrでの置換)などによってその参照ポリペプチドとは異なる。一部の実施形態において、バリアントは、参照配列との実質的な構造的類似をもたらす保存的置換が達成されている類似体を包含する。このような保存的置換の例としては、これらに限定されないが、グルタミン酸のアスパラギン酸での置換およびその逆;グルタミンのアスパラギンでの置換およびその逆;セリンのスレオニンでの置換およびその逆;リシンのアルギニンでの置換およびその逆;またはイソロイシン、バリンもしくはロイシンのいずれかの互いの置換が挙げられる。
【0035】
[0047] 本明細書で使用される場合、用語「バリアントループ1」のアミノ酸配列は、配列番号1または配列番号11の参照ループ1のアミノ酸配列(または配列番号28の配列を有するUGT40087の改変されたループ1配列)とは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸の挿入、欠失、突然変異、および/または置換によって異なるアミノ酸配列であるが、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ1のアミノ酸配列箇所に対応する箇所に挿入されたバリアントループ1のアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼが、RebAからRebDへの変換および/またはステビオシドからRebEへの変換を触媒することが可能であるアミノ酸配列を指す。
【0036】
[0048] 本明細書で使用される場合、用語「バリアントループ2」のアミノ酸配列は、配列番号1または配列番号11の参照ループ2のアミノ酸配列とは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸の挿入、欠失、突然変異、および/または置換によって異なるアミノ酸配列であるが、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ2のアミノ酸配列箇所に対応する箇所に挿入されたバリアントループ2のアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼが、RebAからRebDへの変換および/またはステビオシドからRebEへの変換を触媒することが可能であるアミノ酸配列を指す。
【0037】
[0049] 本明細書で使用される場合、用語「バリアントループ3_1」のアミノ酸配列は、参照配列番号1または配列番号11のループ3_1のアミノ酸配列とは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸の挿入、欠失、突然変異、および/または置換によって異なるアミノ酸配列であるが、ループ3_1のアミノ酸配列箇所の配列番号1または配列番号11に対応する箇所に挿入されたバリアントループ3_1のアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼが、RebAからRebDへの変換および/またはステビオシドからRebEへの変換を触媒することが可能であるアミノ酸配列を指す。本明細書で使用される場合、用語「バリアントループ3_2」のアミノ酸配列は、参照配列番号1または配列番号11のループ3_2のアミノ酸配列とは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸の挿入、欠失、突然変異、および/または置換によって異なるアミノ酸配列であるが、それぞれループ3_2のアミノ酸配列箇所の配列番号1または配列番号11に対応する箇所に挿入されたバリアントループ3_2のアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼが、RebAからRebDへの変換および/またはステビオシドからRebEへの変換を触媒することが可能であるアミノ酸配列を指す。ある特定の実施形態において、バリアントループ3_2のアミノ酸配列は、参照ループ3_2のアミノ酸配列とは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の、または30個までのアミノ酸の挿入、欠失、突然変異、および/または置換によって異なる。
【0038】
[0050] 本明細書で使用される場合、用語「バリアントループ4_1」アミノ酸配列は、参照配列番号1または配列番号11のループ4_1のアミノ酸配列とは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の、または30個までのアミノ酸の挿入、欠失、突然変異、および/または置換によって異なるアミノ酸配列であるが、配列番号11のループ4_1のアミノ酸箇所に対応する箇所に挿入されたバリアントループ4_1配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼが、RebAからRebDへの変換および/またはステビオシドからRebEへの変換を触媒することが可能であるアミノ酸配列を指す。本明細書で使用される場合、用語「配列同一性」または「同一性パーセント」は、構造中、または2つ以上の核酸またはタンパク質配列において、同一であるか、または特定されたパーセンテージの同一なアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する2つ以上の配列または部分配列を指す。例えば、配列は、比較ウィンドウにわたり、または配列比較アルゴリズムを使用するかまたは手作業によるアライメントおよび目視検査によって測定して指示された領域にわたり比較して最大限一致するように並べた場合、特定された領域にわたり、参照配列と、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性パーセント、またはそれより高い同一性を有していてもよい。例えば、同一性のパーセントは、総ヌクレオチド(またはアミノ酸残基)の長さから全てのギャップの長さを引いた値で、配列中の同一なヌクレオチド(またはアミノ酸残基)の数を割った比率を計算することによって決定される。
【0039】
[0051] 便宜上、2つの配列間の同一性の程度は、当業界において公知のコンピュータープログラムや数学的なアルゴリズムを使用して確認することができる。このような配列同一性パーセントを計算するアルゴリズムは、一般的に、比較領域にわたり配列ギャップおよびミスマッチを考慮に入れる。配列を比較し並べるプログラム、例えば、Clustal W(Thompson et al., (1994) Nucleic Acids Res., 22: 4673-4680)、Clustal Omega (Sievers et al., (2011) Molecular Systems Biology., 7:539),、ALIGN(Myers et al., (1988) CABIOS, 4: 11-17)、FASTA(Pearson et al., (1988) PNAS, 85:2444-2448; Pearson (1990), Methods Enzymol., 183: 63-98)およびギャップ有りBLAST(Altschulら、(1997)Nucleic Acids Res., 25:3389-3402) は、この目的にとって有用である。配列分析プログラムBLASTP、BLASTN、BLASTX、TBLASTN、およびTBLASTXと併用するための、BLASTまたはBLAST2.0(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-10, 1990)は、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biological Information:NCBI)などの数種の供給元やインターネットより入手可能である。追加の情報は、NCBIのウェブサイトで見出すことができる。
【0040】
[0052] ある特定の実施形態において、配列アライメントおよび同一性パーセントの計算は、その標準的なデフォルトパラメーターを使用したBLASTプログラムを使用して決定することができる。ヌクレオチド配列アライメントおよび配列同一性の計算のために、BLASTNプログラムは、そのデフォルトパラメーター(ギャップ開始ペナルティー=5、GAP伸長ペナルティー=2、核酸マッチ=2、核酸ミスマッチ=-3、期待値=10.0、文字サイズ=11、クエリー範囲における最大マッチ=0)で使用される。ある特定の実施形態において、ヌクレオチド配列アライメントおよび配列同一性の計算のために、BLASTNプログラムは、これらのパラメーター(ギャップ開始ペナルティー=5、ギャップ伸長ペナルティー=2、核酸マッチ=1、核酸ミスマッチ=-3、期待値=10.0、文字サイズ=11)で使用される。ポリペプチド配列アライメントおよび配列同一性の計算のために、BLASTPプログラムは、そのデフォルトパラメーター(アライメントマトリックス=BLOSUM62;ギャップコスト:存在=11、伸長=1;組成調整=条件付きの組成スコア、マトリックス調整;期待値=10.0;文字サイズ=6;クエリー範囲における最大マッチ=0で使用される。代替として、以下のプログラムおよびパラメーター:Clone Manager SuiteのAlign Plusソフトウェア、バージョン5(Sci-Ed Software);DNA比較:グローバル比較、標準的な直線のスコア行列、ミスマッチペナルティー=2、オープンギャップペナルティー=4、伸長ギャップペナルティー=1が使用される。本明細書に記載の実施形態において、配列同一性は、デフォルトパラメーターを使用したBLASTNまたはBLASTPプログラムを使用して計算される。本明細書に記載の実施形態において、2つ以上の配列の配列アライメントは、示唆されたデフォルトパラメーター(Dealign入力配列:なし;Mbed様クラスタリングガイドツリー:あり;Mbed様クラスタリング反復:あり;組み合わされた反復の数:デフォルト(0);最大ガイドツリー反復:デフォルト;最大HMM反復:デフォルト;順番:アライメント済み)を使用するClustal Omegaを使用して実行される。
【0041】
6.2 宿主細胞
[0053] 高効率でレバウジオシドA(RebA)からレバウジオシドD(RebD)を産生することが可能な宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、出発原料としてのRebAからRebDを産生することができる。好ましい実施形態において、宿主細胞は、培養培地中の炭素源からRebAを産生することができ、さらにRebAからRebDを産生することができる。特定の実施形態において、宿主細胞はさらに、RebDからレバウジオシドM(RebM)を産生することができる。
【0042】
[0054] 特定の実施形態において、宿主細胞は、ウリジン二リン酸グリコシルトランスフェラーゼ87(UGT40087)の酵素活性を含む。UGT40087酵素は、高効率でRebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087酵素は、80%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087酵素は、85%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087酵素は、90%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087酵素は、95%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087酵素は、96%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087酵素は、約97%の効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087酵素は、ステビオシドをRebEに変換することが可能である。
【0043】
[0055] ある特定の実施形態において、宿主細胞は、80%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、85%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、90%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、95%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、96%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、約97%の効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、ステビオシドをRebEに変換することが可能である。
【0044】
[0056] 変換の効率は、当業者に明らかな任意の技術によって測定することができる。ある特定の実施形態において、変換の効率は、RebDを形成するのに好適な条件下でRebAを酵素または宿主細胞と接触させることによって測定することができる。効率は、得られた組成物中のRebAおよびRebDの総量と、産生されたRebDのモル量を比較することによって測定することができる。また効率は、RebDおよびRebDの下流生成物の総量を、得られた組成物中のRebA、RebD、およびRebDの下流生成物の総量と比較することによっても測定することができる。例えば、効率はまた、RebD、RebM、およびRebM2の総量を、得られた組成物中のRebA、RebD、RebM、およびRebM2の総量と比較することによっても測定することができる。
【0045】
[0057] ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列を含むUGT40087を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも60%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも65%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも75%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも85%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも96%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも97%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも98%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と、少なくとも60%、少なくとも99%、または少なくとも60%から99%までの間の任意のパーセンテージで同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0046】
[0058] ある特定の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含み、RebAをRebDに変換することが可能である宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含み、ステビオール配糖体の19-OグルコースのC2’位をベータ1,2グリコシル化することが可能である宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、90%、95%、96%、または97%より高い効率でRebAをRebDに変換することが可能なUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞であって、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、宿主細胞が本明細書で提供される。
【0047】
[0059] ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列を含むUGT40087をコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも60%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも65%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも75%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも85%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも96%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも97%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも98%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列と、少なくとも60%、少なくとも99%、または60%から99%までの間の任意のパーセンテージで同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0048】
[0060] ある特定の実施形態において、配列番号11の配列を有するUGT40087をコードする配列番号13のヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号13のヌクレオチド配列と、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一なヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号11のヌクレオチド配列と、少なくとも90%、少なくとも99%、または60%から99%までの間の任意のパーセンテージで同一なヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0049】
[0061] ある特定の実施形態において、UGT40087の機能性ドメインを含む宿主細胞であって、UGT40087は、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列を含む、宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列を含むUGT40087のN末端糖アクセプタードメインを含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のアミノ酸配列を含むUGT40087のC末端の糖ドナードメインを含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、UGT40087の糖アクセプタードメインは、配列番号11のおよそのアミノ酸位置1~214を含む(配列番号1のアミノ酸位置1~215に対応する)。ある特定の実施形態において、UGT40087の糖ドナードメインは、配列番号11のおよそのアミノ酸位置215~435(配列番号1のアミノ酸位置216~436に対応する)を含む。ある特定の実施形態において、UGT40087の糖アクセプタードメインは、配列番号1のおよそのアミノ酸位置1~215を含む。ある特定の実施形態において、UGT40087の糖ドナードメインは、配列番号1のおよそのアミノ酸位置216~436を含む。ある特定の実施形態において、UGT40087の糖アクセプタードメインおよび糖ドナードメインは、配列番号11に関して、それぞれ1~214または215~435より狭い範囲のアミノ酸残基を含む。ある特定の実施形態において、UGT40087の糖アクセプタードメインおよび糖ドナードメインは、配列番号1に関して、それぞれ1~215または216~436より狭い範囲のアミノ酸残基を含む。
【0050】
[0062] ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも60%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも65%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも75%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも85%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも96%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも97%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも98%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と、少なくとも60%、少なくとも99%、または60%~99%の間の任意のパーセント、同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0051】
[0063] ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列を含むUGT40087をコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも60%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも65%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも75%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも85%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも96%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも97%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも98%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0052】
[0064] ある特定の実施形態において、UGT40087および別のUDPグリコシルトランスフェラーゼの3次元モデル化構造を比較し分析したところ、N末端の糖アクセプタードメインにおいて有意なコンフォメーションの差を有する4つのループ(すなわち、ループ1、ループ2、ループ3、およびループ4)が解明された。
図6および実施例12を参照されたい。2つのUGT間での対応するループ配列の交換による実験結果から、UGT40087のループ1、ループ2、ループ3_1、ループ3_2、およびループ4_1は、RebAをRebDに変換することが可能な他のUDPグリコシルトランスフェラーゼ由来のそれらそれぞれの対応するループ配列で置換できることが示された。これらの実施形態において、ループ3の2つのバージョン(すなわち、ループ3_1およびループ3_2)およびループ_4の2つのバージョン(すなわち、ループ4_1およびループ4_2)を、2つの可能性のあるループ長を構成するように設計した。
【0053】
[0065] したがって、ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と、少なくとも84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と、少なくとも84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼをコードする異種核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、UGT40087(すなわち配列番号1または配列番号11)のループ1のアミノ酸配列をさらに含む。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のループ1のアミノ酸配列は、配列番号30のアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態において、ループ1のアミノ酸配列は、配列番号28の配列を有する。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、バリアントループ1のアミノ酸配列をさらに含む。バリアントループ1のアミノ酸配列は、配列番号1または配列番号11の参照ループ1のアミノ酸配列または配列番号28を有するループ1のアミノ酸配列とは異なるが、バリアントループ1のアミノ酸を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼが、そのRebAをRebDに変換するおよび/またはステビオシドをRebEに変換する活性を保持することができるアミノ酸配列を指す。
【0054】
[0066] ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ2の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、UGT40087のループ2のアミノ酸配列(すなわち配列番号1または配列番号11)をさらに含む。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号1のループ2のアミノ酸配列は、配列番号19のアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ2の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、バリアントループ2のアミノ酸配列をさらに含む。バリアントループ2のアミノ酸配列は、配列番号1または配列番号11の参照ループ2のアミノ酸配列とは異なるが、バリアントループ2のアミノ酸を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼが、そのRebAをRebDに変換するおよび/またはステビオシドをRebEに変換する活性を保持することができるアミノ酸配列を指す。
【0055】
[0067] ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ3_1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、UGT40087のループ3_1のアミノ酸配列(すなわち配列番号1または配列番号11)をさらに含む。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のループ3_1のアミノ酸配列は、配列番号20のアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ3_1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、バリアントループ3_1のアミノ酸配列をさらに含む。バリアントループ3_1のアミノ酸配列は、参照配列番号1または配列番号11のループ3_1のアミノ酸配列とは異なるが、バリアントループ3_1のアミノ酸を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼが、そのRebAをRebDに変換するおよび/またはステビオシドをRebEに変換する活性を保持することができるアミノ酸配列を指す。
【0056】
[0068] ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ3_2の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、UGT40087のループ3_2のアミノ酸配列(すなわち配列番号1または配列番号11)をさらに含む。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のループ3_2のアミノ酸配列は、配列番号21のアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ3_2の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、バリアントループ3_2のアミノ酸配列をさらに含む。バリアントループ3_2のアミノ酸配列は、参照配列番号1または配列番号11のループ3_2のアミノ酸配列とは異なるが、バリアントループ3_2のアミノ酸を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼが、そのRebAをRebDに変換するおよび/またはステビオシドをRebEに変換する活性を保持することができるアミノ酸配列を指す。
【0057】
[0069] ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ4_1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、UGT40087のループ4_1のアミノ酸配列(すなわち配列番号1または配列番号11)をさらに含む。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のループ4_1のアミノ酸配列は、配列番号22のアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ4_1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、バリアントループ4_1のアミノ酸配列をさらに含む。バリアントループ4_1のアミノ酸配列は、参照配列番号1または配列番号11のループ4_1のアミノ酸配列とは異なるが、バリアントループ4_1のアミノ酸を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼが、そのRebAをRebDに変換するおよび/またはステビオシドをRebEに変換する活性を保持することができるアミノ酸配列を指す。
【0058】
[0070] ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、それぞれ配列番号1または配列番号11のループ4_2の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、UGT40087のループ4_2のアミノ酸配列(すなわち配列番号1または配列番号11)をさらに含む。配列番号1または配列番号11のループ4_2のアミノ酸配列は、配列番号23のアミノ酸配列を有する。
【0059】
[0071] ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と、少なくとも84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞、またはそれらのUDPグリコシルトランスフェラーゼをコードし、以下:
(a)それぞれ配列番号1もしくは配列番号11のループ1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1もしくは配列番号11のループ1のアミノ酸配列、配列番号28のアミノ酸配列、またはバリアントループ1のアミノ酸配列;
(b)それぞれ配列番号1または配列番号11のループ2の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1または配列番号11のループ2のアミノ酸配列、またはバリアントループ2のアミノ酸配列、;
(c)それぞれ配列番号1または配列番号11のループ3_1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1または配列番号11のループ3_1のアミノ酸配列、またはバリアントループ3_1のアミノ酸配列;
(d)それぞれ配列番号1または配列番号11のループ3_2の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1または配列番号11のループ3_2のアミノ酸配列、またはバリアントループ3_2のアミノ酸配列;
(e)それぞれ配列番号1または配列番号11のループ4_1の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1または配列番号11のループ4_1のアミノ酸配列、またはバリアントループ4_1のアミノ酸配列;および
(f)それぞれ配列番号1または配列番号11のループ4_2の箇所に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼの箇所における、配列番号1または配列番号11のループ4_2のアミノ酸配列
の任意の組合せをさらに含む異種核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0060】
[0072] ある特定の実施形態において、RebAをRebDに変換することが可能なUDPグリコシルトランスフェラーゼの3次元モデル化構造を比較し分析したところ、UGT40087のループ4_1は、別のUDPグリコシルトランスフェラーゼの対応するループ4_1の箇所に取り込まれると(さらにその生来的なループ4_1のアミノ酸配列を置き換えると)、そのRebAをRebDに変換する能力に関してバリアントUDPグリコシルトランスフェラーゼの優れた活性をもたらしたことが発見された。実施例12を参照されたい。これらの結果から、任意の好適なUDPグリコシルトランスフェラーゼのループ4_1のアミノ酸配列を、配列番号1または配列番号11のループ4_1のアミノ酸配列で置換して、RebAをRebDに変換できることが示される。
【0061】
[0073] それゆえに、ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と、少なくとも61%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一なアミノ酸配列を含み、UGT40087(すなわち配列番号1または配列番号11)のループ4_1のアミノ酸配列(すなわち配列番号22)をさらに含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と、少なくとも61%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一なアミノ酸配列を含み、配列番号1または配列番号11のループ4_1のアミノ酸配列(例えば配列番号22)をさらに含むUDPグリコシルトランスフェラーゼをコードする異種核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11と、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%であるアミノ酸配列を含む任意の好適なUDPグリコシルトランスフェラーゼは、配列番号1または配列番号11由来のループ4_1のアミノ酸配列をその対応するループ4_1箇所に組み込む(その生来的なループ4_1のアミノ酸配列を置き換える)のに使用することができる。例えば、Ob_UGT91B_like、Hv_UGT_V1、Sl_UGT_101249881、Sr.UGT_g252778、Os_UGT_91C1、Bd_UGT10840、Bd_UGT10850、またはSi91Dlikeが、配列番号1または配列番号11由来のループ4_1のアミノ酸配列をその対応するループ4_1箇所に組み込むためのベースとして使用することができる。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、配列番号25のアミノ酸配列を含む。
【0062】
[0074] ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも60%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも65%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも75%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも85%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも96%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも97%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも98%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0063】
[0075] ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列を含むUGT40087をコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも60%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも65%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも70%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも75%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも80%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも85%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも96%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも97%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも98%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と少なくとも99%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0064】
[0076] ある特定の実施形態において、N末端の糖アクセプタードメインおよびC末端の糖ドナードメインを組み換えて、基質特異性または触媒活性のいずれかを変更した。実施例11で詳細に説明されるように、RebAをRebDに変換することが可能な別のUDPグリコシルトランスフェラーゼ由来の糖ドナードメインを配列番号1または配列番号11の糖アクセプタードメインと組み換えたところ、キメラUDPグリコシルトランスフェラーゼは、そのRebAをRebDに変換する能力を保持したことが決定された。
【0065】
[0077] したがって、ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号1または配列番号11のC末端の糖ドナードメインのアミノ酸配列と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%同一なアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼをコードする異種核酸を含む宿主細胞が本明細書で提供される。実施例11で示されるように、C末端の糖ドナードメインは、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の配列同一性を含む他のUDPグリコシルトランスフェラーゼと相対的に交換可能である。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼは、他のUDPグリコシルトランスフェラーゼ由来のC末端の糖ドナードメインをさらに含む。好適なC末端の糖ドナードメインを有する他のUDPグリコシルトランスフェラーゼの例としては、Ob_UGT91B_like、Hv_UGT_V1、SI_UGT_101249881、Sr.UGT_g252778、Os_UGT_91C1、Bd_UGT10840、Bd_UGT10850、またはSi91Dlikeが挙げられる。
【0066】
[0078] ある特定の実施形態において、N末端の糖アクセプタードメインにおけるある特定のアミノ酸残基は、機能しない推定上のUDPグリコシルトランスフェラーゼの触媒活性を活性なUDPグリコシルトランスフェラーゼに回復させることができることが発見された。それゆえに、配列番号1または配列番号11のN末端の糖アクセプタードメインのアミノ酸配列と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一なアミノ酸配列を含み、以下のアミノ酸残基の1つまたは複数:
(a)配列番号11のアミノ酸位置11に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン;
(b)配列番号11のアミノ酸位置12に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン;
(c)配列番号11のアミノ酸位置55に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン;
(d)配列番号11のアミノ酸位置90に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン;
(e)配列番号11のアミノ酸位置203に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン;
(f)配列番号11のアミノ酸位置223に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン;
(g)配列番号11のアミノ酸位置413に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置におけるバリン;
をさらに含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供され、ここで配列番号11のアミノ酸位置に対応するUDPグリコシルトランスフェラーゼのアミノ酸位置は、配列アライメントによって決定される。
【0067】
[0079] ある特定の実施形態において、配列番号24のアミノ酸配列を含むUDPグリコシルトランスフェラーゼを含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0068】
[0080] ある特定の実施形態において、宿主細胞は、上述されるUGT40087ポリペプチドのバリアントを含む。ある特定の実施形態において、バリアントは、UGT40087ポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のアミノ酸置換を含んでいてもよい。ある特定の実施形態において、バリアントは、UGT40087ポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個の保存的アミノ酸置換を含んでいてもよい。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される核酸のいずれも、宿主細胞に最適化することができ、例えばコドン最適化することができる。
【0069】
[0081] 本明細書に記載される実施形態において、2つのポリペプチドの対応するアミノ酸位置または対応するループ箇所を決定するのに、任意の好適な方法を使用することができる。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼの配列および配列番号11の参照配列は、そのデフォルトパラメーターを使用したClustal Omegaを使用して並べることができる。他の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼの配列および配列番号11の参照配列は、構造的なアライメント、例えばExPASyウェブサーバーを介して、またはDeepViewプログラム(スイスのPdb-ビューワー)からアクセス可能なタンパク質構造の相同性モデル化サーバーであるスイスモデルを使用して並べることができる。
【0070】
[0082] UDPグリコシルトランスフェラーゼの対応するアミノ酸位置またはループ箇所を決定することに関して配列番号11は参照配列と称されるが、ある特定の実施形態において、配列番号1もまた、配列アライメントのための参照配列として使用することができる。
【0071】
[0083] ある特定の実施形態において、RebAは、
図1Aで示される通りである。ある特定の実施形態において、UGT40087またはバリアントUGT40087は、
図1Aで示されるように、RebAの19-O-グルコースのC-2’位へのβ連結を形成して、RebDを産生する糖残基の反応を触媒することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087またはバリアントUGT40087は、RebAの19-O-グルコースのC-2’へのβ形成におけるヘキソース残基の反応を触媒することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087は、RebAの19-O-グルコースのC-2’へのβ形成におけるグルコース残基の反応を触媒することが可能である。
【0072】
[0084] ある特定の実施形態において、RebEは、
図2Bで示される通りである。ある特定の実施形態において、UGT40087またはバリアントUGT40087は、
図2Bで示されるように、ステビオシドの19-O-グルコースのC-2’位へのβ連結を形成して、RebEを産生する糖残基の反応を触媒することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087またはバリアントUGT40087は、ステビオシドの19-O-グルコースのC-2’へのβ形成におけるヘキソース残基の反応を触媒することが可能である。ある特定の実施形態において、UGT40087またはバリアントUGT40087は、ステビオシドの19-O-グルコースのC-2’へのβ形成におけるグルコース残基の反応を触媒することが可能である。
【0073】
[0085] ある特定の実施形態において、UGT40087またはバリアントUGT40087は、第2の糖部分を、ステビオールモノシド(すなわち13-O-ステビオール配糖体)に付加する反応を検出可能なレベルで触媒しない。ある特定の実施形態において、UGT40087またはバリアントUGT40087は、第2の糖部分を、ルブソシド(すなわち19-O-ステビオール配糖体)に付加する反応を検出可能なレベルで触媒しない。
【0074】
[0086] ある特定の実施形態において、RebDは、
図1Aで示される通りである。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、RebAをRebDに変換することが可能な1つまたは複数の酵素をさらに含む。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、RebAからRebDへの変換のためのUGT40087および/またはバリアントUGT40087を含む。
【0075】
[0087] ある特定の実施形態において、UGT76G1は、
図1Aで示されるように、RebDをRebMに変換する糖残基の反応を触媒することが可能である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、RebDをRebMに変換することが可能な1つまたは複数の酵素をさらに含む。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、RebDをRebMに変換することが可能なUGT76G1をさらに含む。
【0076】
[0088] ある特定の実施形態において、RebM2は、
図1Bに示される。RebM2は、
図1Bで示されるように、単一の間違ったグルコース連結を有するRebMの異性体である。RebM2は、RebMにとって望ましいGlcβ(1-2)[Glcβ(1-3)]Glcβ1-の代わりに、19炭素の位置(COOH)にGlcβ(1-2)[Glcβ(1-6)]Glcβ1-を有する。
【0077】
[0089] 当業者は、ある特定の用途において、RebM2は望ましくない副産物であり得ることを認識するであろう。有利には、ある特定の実施形態において、UGT40087(またはバリアントUGT40087)および本明細書で提供される宿主細胞は、RebM2をほとんどまたは全く産生できない。RebM2の量は、RebMとRebM2との比率として表すことができる。ある特定の実施形態において、RebMとRebM2との比率は、少なくとも2:1である。ある特定の実施形態において、RebMとRebM2との比率は、少なくとも3:1である。ある特定の実施形態において、RebMとRebM2との比率は、少なくとも4:1である。ある特定の実施形態において、RebMとRebM2との比率は、少なくとも5:1である。ある特定の実施形態において、RebMとRebM2との比率は、少なくとも10:1である。ある特定の実施形態において、RebMとRebM2との比率は、少なくとも100:1である。ある特定の実施形態において、RebMとRebM2との比率は、少なくとも1000:1である。ある特定の実施形態において、RebMとRebM2との比率は、少なくとも10000:1である。ある特定の実施形態において、UGT40087(またはバリアントUGT40087)および本明細書で提供される宿主細胞は、検出不可能なレベルのRebM2を産生する。
【0078】
[0090] 宿主細胞のUGT40087または任意のバリアントUGT40087は基質としてRebAを受容するが、RebA源は、当業者に好適であるとみなされた任意の源であってもよい。ある特定の実施形態において、UGT40087または任意のバリアントUGT40087は、RebAと接触させてもよい。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、RebAと接触させてもよい。ある特定の実施形態において、UGT40087またはUGT40087の任意のバリアントは、1つまたは複数のステビオール配糖体を含む組成物と接触させてもよい。ある特定の実施形態において、組成物は、RebAを含む。ある特定の実施形態において、組成物は、ステビオシドを含む。ある特定の実施形態において、組成物は、Stevia rebaudianaの葉から単離された天然生成物由来である。ある特定の実施形態において、組成物は、微生物由来である。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、1つまたは複数のステビオール配糖体を含む組成物と接触させてもよい。
【0079】
[0091] ある特定の実施形態において、望ましい反応を触媒するのに好適な任意のバリアントUGT40087は、当業界において公知の任意の好適な方法のためにスクリーニングすることができる。例えば、好適なバリアントUGT40087は、バリアントUGT40087をコードする異種核酸を発現させ、基質の望ましい箇所(例えば、ステビオール配糖体または他の基質の19-O-グルコースのC2'位)に糖を付加することが可能な機能的なバリアントUGT40087を産生する細胞をスクリーニングすることによって、インビボでアッセイすることができる。例示的なスクリーニング方法は、以下の実施例3~7に記載される。別の例において、好適なバリアントUGT40087は、バリアントUGT40087をRebAなどの基質と接触させることによって、インビトロでスクリーニングすることができる。この実施例において、RebDの存在についてのアッセイは、バリアントUGT40087が好適な酵素であるかどうかを決定するための試験として使用することができる。この反応は、LC-MSまたは他の当業界公知の方法によって分析することができる。例えばWO2013/022989を参照されたい。
【0080】
[0092] ある特定の実施形態において、バリアントUGT40087は、インビボで、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、または97%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である場合、RebAをRebDに変換すること(またはグリコシル化により任意の好適な基質からその生成物へ変換すること)において好適とみなされる。
【0081】
[0093] 一部の実施形態において、本出願で発見された他の好適なUDPグリコシルトランスフェラーゼは、UGT40087に加えて、またはその代わりに使用することができる。これらの例としては、例えば、UDPグリコシルトランスフェラーゼである、sr.UGT_9252778、Bd_UGT10840、Hv_UGT_V1、Bd_UGT10850、およびOb_UGT91B1_likeが挙げられる。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼであるsr.UGT_9252778は、配列番号2を含む。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼであるBd_UGT10840は、配列番号3を含む。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼであるHv_UGT_V1は、配列番号4を含む。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼであるBd_UGT10850は、配列番号5を含む。ある特定の実施形態において、UDPグリコシルトランスフェラーゼであるOb_UGT91B1_likeは、配列番号6を含む。本明細書に記載されるUGT40087に関連する組成物および方法に関するあらゆる議論は、これらの他のUDPグリコシルトランスフェラーゼにも適用することができる。
【0082】
[0094] 例えば、一部の実施形態において、宿主細胞は、ウリジン二リン酸グリコシルトランスフェラーゼであるsr.UGT_9252778、Bd_UGT10840、Hv_UGT_V1、Bd_UGT10850、および/またはOb_UGT91B1_likeの酵素活性を含む。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、40%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、45%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、50%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、55%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、60%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、65%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、70%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、75%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、80%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、85%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、90%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。ある特定の実施形態において、これらの酵素の1つまたは複数は、95%より大きい効率で、RebAをRebDに変換することが可能である。
【0083】
[0095] ある特定の実施形態において、それぞれ配列番号2、3、4、5、または6のアミノ酸配列を含むsr.UGT_9252778、Bd_UGT10840、Hv_UGT_V1、Bd_UGT10850、および/またはOb_UGT91B1_likeのいずれか1つまたは複数を含む宿主細胞が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、配列番号2、3、4、5、または6のアミノ酸配列と、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一なアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。
【0084】
[0096] 有利な実施形態において、宿主細胞は、RebAを生成することが可能な1つまたは複数の酵素経路を含んでいてもよく、前記経路は、個別になっていてもよいし、または一緒になっていてもよい。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、ゲラニルゲラニル二リン酸をRebAに変換することが可能な1つまたは複数の酵素を含む。有用な酵素およびその酵素をコードする核酸は、当業者公知である。特に有用である酵素および核酸は、以下の章に記載され、さらに例えば、US2014/0329281A1、US2014/0357588A1、US2015/0159188、WO2016/038095A2、およびUS2016/0198748A1に記載される。
【0085】
[0097] さらなる実施形態において、宿主細胞は、炭素源からゲラニルゲラニル二リン酸を生成することが可能な1つまたは複数の酵素をさらに含む。これらは、DXP経路の酵素およびMEV経路の酵素を包含する。有用な酵素およびその酵素をコードする核酸は、当業者公知である。各経路の例示的な酵素は、後述され、さらに例えばUS2016/0177341A1に記載される。またMEV経路は
図1Cにも示される。
【0086】
[0098] ある特定の実施形態において、追加の酵素は、生来的である。有利な実施形態において、追加の酵素は、異種である。ある特定の実施形態において、2つの酵素は、1つのポリペプチド中に組み合わせることができる。
【0087】
6.3 天然に存在しないUDPグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドおよび核酸
[0099] 別の態様において、参照配列(例えば配列番号1)と比較してアミノ酸残基の改変を包含するが、それでもなおRebAをRebDに変換するおよび/またはステビオシドからRebEに変換するUDPグリコシルトランスフェラーゼとしての活性を保持する天然に存在しないバリアントUDPグリコシルトランスフェラーゼが本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、天然に存在しないバリアントUDPグリコシルトランスフェラーゼは、参照配列(例えば配列番号1または配列番号11)と比較して、ある特定のアミノ酸位置または箇所に、最大30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のアミノ酸置換、欠失、付加、および/または挿入を包含していてもよい。ある特定の実施形態において、天然に存在しないバリアントUDPグリコシルトランスフェラーゼは、本明細書に記載されるバリアントUDPグリコシルトランスフェラーゼのいずれか、特定には6.2章に記載されるものを含む。
【0088】
[00100] 別の態様において、参照配列(例えば配列番号26)と比較して核酸残基の改変を包含するが、それでもタンパク質に翻訳されると、タンパク質はRebAをRebDに変換するおよび/またはステビオシドをRebEに変換するUDPグリコシルトランスフェラーゼとしての活性を保持する、天然に存在しないバリアントUDPグリコシルトランスフェラーゼが本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、天然に存在しないバリアントUDPグリコシルトランスフェラーゼは、本明細書に記載されるバリアントUDPグリコシルトランスフェラーゼのいずれか、特定には6.2章に記載されるものをコードしていてもよい。
【0089】
6.4 細胞株
[00101] 本明細書で提供される組成物および方法に有用な宿主細胞としては、古細菌細胞、原核細胞または真核細胞が挙げられる。
【0090】
[00102] 好適な原核宿主としては、これらに限定されないが、様々なグラム陽性、グラム陰性、またはグラム不定細菌の任意のものが挙げられる。例としては、これらに限定されないが、以下の属:アグロバクテリウム属、アリシクロバチルス属、アナベナ属、アナシスティス属、アルトロバクター属、アゾトバクター属(Azobacter)、バチルス属、ブレビバクテリウム属、クロマチウム属、クロストリジウム、コリネバクテリウム属、エンテロバクター属、エルウィニア属、エシェリキア属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、メソリゾビウム属、メチロバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、フォルミジウム属、シュードモナス属、ロドバクター属、ロドシュードモナス属、ロドスピリルム属、ロドコッカス属、サルモネラ属、セネデスムス属(Scenedesmun)、セラチア属、シゲラ属、スタフィロコッカス属(Staphlococcus)、ストレプトマイセス属(Strepromyces)、シネココッカス属(Synnecoccus)、およびジモモナス属に属する細胞が挙げられる。原核株の例としては、これらに限定されないが、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefacines、Brevibacterium ammoniagenes、Brevibacterium immariophilum、Clostridium beigerinckii、Enterobacter sakazakii、Escherichia coli、Lactococcus lactis、Mesorhizobium loti、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas mevalonii、Pseudomonas pudica、Rhodobacter capsulatus、Rhodobacter sphaeroides、Rhodospirillum rubrum、Salmonella enterica、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella sonnei、およびStaphylococcus aureusが挙げられる。特定の実施形態において、宿主細胞は、Escherichia coli細胞である。
【0091】
[00103] 好適な古細菌宿主としては、これらに限定されないが、アエロピルム属、アーケオグロブス属(Archaeglobus)、ハロバクテリウム属、メタノコッカス属、メタノバクテリウム属、パイロコッカス属、スルフォロブス属、およびサーモプラスマ属に属する細胞が挙げられる。古細菌株の例としては、これらに限定されないが、Archaeoglobus fulgidus、Halobacteriumの種、Methanococcus jannaschii、Methanobacterium thermoautotrophicum、Thermoplasma acidophilum、Thermoplasma volcanium、Pyrococcus horikoshii、Pyrococcus abyssi、およびAeropyrum pernixが挙げられる。
【0092】
[00104] 好適な真核宿主としては、これらに限定されないが、真菌細胞、藻類細胞、昆虫細胞、および植物細胞が挙げられる。一部の実施形態において、本発明の方法において有用な酵母としては、微生物受託機関(例えばIFO、ATCCなど)に寄託された酵母であって、なかでも、アシクロコニジウム属(Aciculoconidium)、アンブロシオジマ属(Ambrosiozyma)、アントロアスカス属(Arthroascus)、アルキシオジマ属(Arxiozyma)、アシュビア属、バブジェビア属(Babjevia)、ベンシングトニア属(Bensingtonia)、ボトリオアスカス属(Botryoascus)、ボトリオザイマ属(Botryozyma)、ブレッタノマイセス属(Brettanomyces)、ビュレラ属(Bullera)、ビュレロマイセス属(Bulleromyces)、カンジダ属、シテロミセス属(Citeromyces)、クラビスポラ属(Clavispora)、クリプトコックス属、シストフィロバシディウム属(Cystofilobasidium)、デバリオマイセス属、デッカラ属(Dekkara)、ディポダスコプシス属(Dipodascopsis)、ディポダスカス属(Dipodascus)、エニエラ属(Eeniella)、エンドマイコプセラ属(Endomycopsella)、エレマスカス属(Eremascus)、エレモテシウム属(Eremothecium)、エリスロバシディウム属(Erythrobasidium)、フェロマイセス属(Fellomyces)、フィロバシディウム属(Filobasidium)、ガラクトマイセス属(Galactomyces)、ゲオトリクム属(Geotrichum)、ガイラーモンデラ属(Guilliermondella)、ハンセニアスポラ属(Hanseniaspora)、ハンセヌラ属、ハセガワエア属(Hasegawaea)、ホルターマンニア属(Holtermannia)、ホルモアスカス属(Hormoascus)、ハイフォピキア属(Hyphopichia)、イッサチェンキア属(Issatchenkia)、クロエケラ属(Kloeckera)、クロエケラスポラ属(Kloeckeraspora)、クルイベロマイセス属、コンドア属(Kondoa)、クライシア属(Kuraishia)、クルツマノマイセス属(Kurtzmanomyces)、ロイコスポリジウム属(Leucosporidium)、リポマイセス属、ロデロマイセス属(Lodderomyces)、マラセジア属(Malassezia)、メトシュニコウィア属(Metschnikowia)、ムラキア属(Mrakia)、ミクソザイマ属(Myxozyma)、ナドソニア属(Nadsonia)、ナカザワエア属(Nakazawaea)、ネマトスポラ属(Nematospora)、オガタエア属(Ogataea)、オースポリディウム属(Oosporidium)、パチソレン属(Pachysolen)、ファチコスポラ属(Phachytichospora)、ファフィア属(Phaffia)、ピチア属、ロドスポリディウム属(Rhodosporidium)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、サッカロマイセス属、サッカロマイコーデス属、サッカロマイコプシス属(Saccharomycopsis)、サイトエラ属(Saitoella)、サカグチア属(Sakaguchia)、サターノスポラ属(Saturnospora)、シゾブラストスポリオン属(Schizoblastosporion)、シゾサッカロマイセス属、シュワニオミセス属(Schwanniomyces)、スポリディオボラス属(Sporidiobolus)、スポロボロマイセス属(Sporobolomyces)、スポロパキデミア属(Sporopachydermia)、ステファノアスカス属(Stephanoascus)、ステリグマトマイセス属(Sterigmatomyces)、ステリグマトスポリディウム属(Sterigmatosporidium)、シンビオタフリナ属(Symbiotaphrina)、シンポディオマイセス属(Sympodiomyces)、シンポディオマイコプシス属(Sympodiomycopsis)、トルラスポラ属、トリコスポリエラ属(Trichosporiella)、トリコスポロン属、トリゴノプシス属(Trigonopsis)、ツチヤエア属(Tsuchiyaea)、ウデニオマイセス属(Udeniomyces)、ワルトマイセス属(Waltomyces)、ウィカーハミア属(Wickerhamia)、ウィカーハミエラ属(Wickerhamiella)、ウィリオプシス属、ヤマダザイマ属(Yamadazyma)、ヤロウイア属、ザイゴアスカス属(Zygoascus)、チゴサッカロマイセス属、ザイゴウィリオプシス属(Zygowilliopsis)、およびザイゴザイマ属(Zygozyma)に属する酵母が挙げられる。
【0093】
[00105] 一部の実施形態において、宿主微生物は、Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombe、Dekkera bruxellensis、Kluyveromyces lactis(以前はSaccharomyces lactisと称されていた)、Kluveromyces marxianus、Arxula adeninivorans、またはHansenula polymorpha(現在Pichia angustaとして公知)である。一部の実施形態において、宿主微生物は、カンジダ属の株、例えば、Candida lipolytica、Candida guilliermondii、Candida krusei、Candida pseudotropicalis、またはCandida utilisである。
【0094】
[00106] 特定の実施形態において、宿主微生物は、Saccharomyces cerevisiaeである。一部の実施形態において、宿主は、パン酵母、CBS 7959、CBS 7960、CBS 7961、CBS 7962、CBS 7963、CBS 7964、IZ-1904、TA、BG-1、CR-1、SA-1、M-26、Y-904、PE-2、PE-5、VR-1、BR-1、BR-2、ME-2、VR-2、MA-3、MA-4、CAT-1、CB-1、NR-1、BT-1およびAL-1からなる群から選択されるSaccharomyces cerevisiaeの株である。一部の実施形態において、宿主微生物は、PE-2、CAT-1、VR-1、BG-1、CR-1、およびSA-1からなる群から選択されるSaccharomyces cerevisiaeの株である。特定の実施形態において、Saccharomyces cerevisiaeの株は、PE-2である。他の特定の実施形態において、Saccharomyces cerevisiaeの株は、CAT-1である。他の特定の実施形態において、Saccharomyces cerevisiaeの株は、BG-1である。
【0095】
[00107] 一部の実施形態において、宿主微生物は、工業的な発酵に好適な微生物である。特定の実施形態において、微生物は、工業的な発酵環境の認識されたストレス条件である、高い溶媒濃度、高温、基質利用の拡大、栄養素の制限、糖および塩による浸透圧ストレス、酸性度、亜硫酸塩ならびに細菌汚染、またはそれらの組合せのもとで生存するように調整されている。
【0096】
6.5 ステビオールおよびステビオール配糖体の生合成経路
[00108] 一部の実施形態において、ステビオールの生合成経路および/またはステビオール配糖体の生合成経路は、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞において、経路の1つまたは複数の酵素をコードするポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを発現するように細胞を操作することによって活性化される。
図2Aは、例示的なステビオールの生合成経路を例示する。
図2Bは、ステビオールから始まり様々なステビオール配糖体に至る例示的なステビオール配糖体の生合成経路を例示する。
【0097】
[00109] したがって、一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、コパリル二リン酸シンターゼまたはent-コパリルピロリン酸シンターゼ(CDPS;ent-コパリルピロリン酸シンターゼまたはCPSとも称される)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、カウレンシンターゼ(KS;ent-カウレンシンターゼとも称される)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、カウレンオキシダーゼ(KO;ent-カウレン19-オキシダーゼとも称される)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、ステビオールシンターゼ(ent-カウレン酸13-ヒドロキシラーゼまたはKAHとも称される)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、シトクロムP450レダクターゼ(CPR)活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。
【0098】
[00110] 一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、UGT74G1活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、UGT76G1活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、UGT85C2活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、UGT91D活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、UGT40087活性を有するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。
【0099】
[00111] ある特定の実施形態において、宿主細胞は、バリアントを含む。ある特定の実施形態において、バリアントは、関連ポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のアミノ酸置換を含んでいてもよい。ある特定の実施形態において、バリアントは、参照ポリペプチドと比べて、最大15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個の保存的アミノ酸置換を含んでいてもよい。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される核酸のいずれも、宿主細胞に最適化することができ、例えばコドン最適化することができる。
【0100】
[00112] ステビオールの生合成経路および/またはステビオール配糖体の生合成経路の例示的な核酸および酵素は後述する。
【0101】
6.5.1 ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(GGPPS)
[00113] ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ(EC2.5.1.29)は、ファルネシルピロリン酸のゲラニルゲラニル二リン酸(ゲラニルゲラニルピロリン酸としても公知)への変換を触媒する。酵素の説明に役立つ例としては、Stevia rebaudianaの酵素(受託番号ABD92926)、Gibberella fujikuroiの酵素(受託番号CAA75568)、Mus musculusの酵素(受託番号AAH69913)、Thalassiosira pseudonanaの酵素(受託番号XP_002288339)、Streptomyces clavuligerusの酵素(受託番号ZP_05004570)、Sulfulobus acidocaldariusの酵素(受託番号BAA43200)、シネココッカス属種の酵素(受託番号ABC98596)、Arabidopsis thalianaの酵素(受託番号NP_195399)、Blakeslea trisporaの酵素(受託番号AFC92798.1)およびUS2014/0329281A1の酵素が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのGGPPS核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのGGPPS酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0102】
6.5.2 コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)
[00114] コパリル二リン酸シンターゼ(EC5.5.1.13)は、ゲラニルゲラニル二リン酸からコパリル二リン酸への変換を触媒する。酵素の説明に役立つ例としては、Stevia rebaudianaの酵素(受託番号AAB87091)、Streptomyces clavuligerusの酵素(受託番号EDY51667)、Bradyrhizobium japonicumの酵素(受託番号AAC28895.1)、Zea maysの酵素(受託番号AY562490)、Arabidopsis thalianaの酵素(受託番号NM_116512)、Oryza sativaの酵素(受託番号Q5MQ85.1)およびUS2014/0329281A1の酵素が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのCDPS核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのCDPS酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、95%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0103】
6.5.3 カウレンシンターゼ(KS)
[00115] カウレンシンターゼ(EC4.2.3.19)は、コパリル二リン酸のカウレンおよび二リン酸塩への変換を触媒する。酵素の説明に役立つ例としては、Bradyrhizobium japonicumの酵素(受託番号AAC28895.1)、フェオスフェリア属(Phaeosphaeria)種の酵素(受託番号O13284)、Arabidopsis thalianaの酵素(受託番号Q9SAK2)、Picea glaucaの酵素(受託番号ADB55711.1)およびUS2014/0329281A1の酵素が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのKS核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのKS酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0104】
6.5.4 二官能性コパリル二リン酸シンターゼ(CDPS)およびカウレンシンターゼ(KS)
[00116] CDPS-KS二官能性酵素(EC5.5.1.13およびEC4.2.3.19)も使用することができる。酵素の説明に役立つ例としては、Phomopsis amygdaliの酵素(受託番号BAG30962)、Physcomitrella patensの酵素(受託番号BAF61135)、Gibberella fujikuroiの酵素(受託番号Q9UVY5.1)、ならびにUS2014/0329281A1の酵素、US2014/0357588A1の酵素、US2015/0159188の酵素、およびWO2016/038095A2の酵素が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのCDPS-KS核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのCDPS-KS酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0105】
6.5.5 ent-カウレンオキシダーゼ(KO)
[00117] ent-カウレンオキシダーゼ(EC1.14.13.78;本明細書ではカウレンオキシダーゼとも称される)は、カウレンのカウレン酸への変換を触媒する。酵素の説明に役立つ例としては、Oryza sativaの酵素(受託番号Q5Z5R4)、Gibberella fujikuroiの酵素(受託番号O94142)、Arabidopsis thalianaの酵素(受託番号Q93ZB2)、Stevia rebaudianaの酵素(受託番号AAQ63464.1)、Pisum sativumの酵素(Uniprot番号Q6XAF4)、およびUS2014/0329281A1の酵素、US2014/0357588A1の酵素、US2015/0159188の酵素、およびWO2016/038095A2が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのKO核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのKO酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0106】
6.5.6 ステビオールシンターゼ(KAH)
[00118] ステビオールシンターゼ、またはカウレン酸ヒドロキシラーゼ(KAH)、(EC1.14.13)は、カウレン酸のステビオールへの変換を触媒する。酵素の説明に役立つ例としては、Stevia rebaudianaの酵素(受託番号ACD93722)、Stevia rebaudianaの酵素(配列番号10)、Arabidopsis thalianaの酵素(受託番号NP_197872)、Vitis viniferaの酵素(受託番号XP_002282091)、Medicago trunculataの酵素(受託番号ABC59076)、ならびにUS2014/0329281A1の酵素、US2014/0357588A1の酵素、US2015/0159188の酵素、およびWO2016/038095A2の酵素が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのKAH核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのKAH酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0107】
6.5.7 シトクロムP450レダクターゼ(CPR)
[00119] シトクロムP450レダクターゼ(EC1.6.2.4)は、上記のKOおよび/またはKAHの活性を捕捉または促進することが可能である。酵素の説明に役立つ例としては、Stevia rebaudianaの酵素(受託番号ABB88839)、Arabidopsis thalianaの酵素(受託番号NP_194183)、Gibberella fujikuroiの酵素(受託番号CAE09055)、Artemisia annuaの酵素(受託番号ABC47946.1)、ならびにUS2014/0329281A1の酵素、US2014/0357588A1の酵素、US2015/0159188の酵素、およびWO2016/038095A2の酵素が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのCPR核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのCPR酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0108】
6.5.8 UDPグリコシルトランスフェラーゼ74G1(UGT74G1)
[00120] UGT74G1は、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール19-COOHトランスフェラーゼとして、およびウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-13-O-グルコシド19-COOHトランスフェラーゼとして機能化することが可能である。
図2Bで示されるように、UGT74G1は、ステビオールを19-配糖体に変換することが可能である。UGT74G1はまた、ステビオールモノシドをルブソシドに変換することも可能である。UGT74G1はまた、ステビオールビオシドをステビオシドに変換することが可能な場合もある。酵素の説明に役立つ例としては、Stevia rebaudianaの酵素(例えば、Richman et al., 2005, Plant J. 41: 56-67ならびにUS2014/0329281およびWO2016/038095A2および受託番号AAR06920.1の酵素)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのUGT74G1核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのUGT74G1酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0109】
6.5.9 UDPグリコシルトランスフェラーゼ76G1(UGT76G1)
[00121] UGT76G1は、グルコース部分を、受容体分子であるステビオール1,2配糖体のC-13-O-グルコースのC-3’に転移することが可能である。したがって、UGT76G1は、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール13-O-1,2グルコシドC-3’グルコシルトランスフェラーゼおよびウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-19-O-グルコース、13-O-1,2ビオシドC-3’グルコシルトランスフェラーゼとして機能化することが可能である。
図2Aで示されるように、UGT76G1は、ステビオールビオシドをRebBに変換することが可能である。UGT76G1はまた、ステビオシドをRebAに変換することも可能である。UGT76G1はまた、RebDをRebMに変換することも可能である。酵素の説明に役立つ例としては、Stevia rebaudianaの酵素(例えば、Richman et al., 2005, Plant J. 41: 56-67の酵素およびUS2014/0329281A1の酵素およびWO2016/038095A2の酵素および受託番号AAR06912.1の酵素)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのUGT76G1核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのUGT76G1酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0110】
6.5.10 UDPグリコシルトランスフェラーゼ85C2(UGT85C2)
[00122] UGT85C2は、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール13-OHトランスフェラーゼ、およびウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-19-O-グルコシド13-OHトランスフェラーゼとして機能化することが可能である。したがって、
図2Bで示されるように、UGT85C2は、ステビオールをステビオールモノシドに変換することが可能であり、さらに19-配糖体をルブソシドに変換することも可能である。酵素の説明に役立つ例としては、Stevia rebaudianaの酵素(例えば、Richman et al., 2005, Plant J. 41: 56-67の酵素およびUS2014/0329281A1の酵素およびWO2016/038095A2の酵素および受託番号AAR06916.1の酵素)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのUGT85C2核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのUGT85C2酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0111】
6.5.11 UDPグリコシルトランスフェラーゼ91D(UGT91D)
[00123] UGT91Dは、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ステビオール-13-O-グルコシドトランスフェラーゼとして機能化し、グルコース部分を、受容体分子であるステビオール-13-O-グルコシド(ステビオールモノシド)の13-O-グルコースのC-2’に転移して、ステビオールビオシド(steviobioside)を産生することが可能である。UGT91Dはまた、
図2Bで示されるように、ウリジン5’-ジホスホグルコシル:ルブソシドトランスフェラーゼとして機能化し、グルコース部分を、受容体分子であるルブソシドの13-O-グルコースのC-2’に転移して、ステビオシドを提供することも可能である。UGT91Dはまた、
図2Bで示されるように、グルコース部分をRebAの19-O-グルコースのC-2’位に転移して、RebDを産生することも可能である。UGT91Dはまた、UGT91D2、UGT91D2e、またはUGT91D-like3とも称される。UGT91D酵素の説明に役立つ例としては、Stevia rebaudianaの酵素(例えば、受託番号ACE87855.1、US2014/0329281A1、WO2016/038095A2、および配列番号7のUGT配列を有する酵素)が挙げられる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、これらのUGT91D核酸の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのUGT91D酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。
【0112】
6.5.12 UDPグリコシルトランスフェラーゼ40087(UGT40087)
[00124] UGT40087は、
図2Bで示されるように、グルコース部分をRebAの19-O-グルコースのC-2’位に転移して、RebDを産生することが可能である。UGT40087はまた、ステビオシドの19-O-グルコースのC-2’位へのグルコース部分を転移して、RebEを産生することも可能である。UGT40087の説明に役立つ例は、5.2章で上述されている。本明細書に記載される任意のUGT40087バリアントは、本明細書に記載される組成物および方法で使用することができる。これらの酵素をコードする核酸は、本明細書で提供される細胞および方法において有用である。ある特定の実施形態において、UGT40087酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、これらのUGT40087酵素の少なくとも1つと、少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を使用する細胞および方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されるUGT40087バリアントをコードする核酸が本明細書で提供される。
【0113】
6.6 MEV経路FPPおよび/またはGGPP産生
[00125] 一部の実施形態において、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞は、FPPおよび/またはGGPPの形成に有用なMEV経路の1つまたは複数の異種酵素を含む。一部の実施形態において、MEV経路の1つまたは複数の酵素は、アセチル-CoAをマロニル-CoAと縮合させて、アセトアセチル-CoAを形成する酵素を含む。一部の実施形態において、MEV経路の1つまたは複数の酵素は、アセチル-CoAの2つの分子を縮合して、アセトアセチル-CoAを形成する酵素を含む。一部の実施形態において、MEV経路の1つまたは複数の酵素は、アセトアセチル-CoAをアセチル-CoAと縮合させて、HMG-CoAを形成する酵素を含む。一部の実施形態において、MEV経路の1つまたは複数の酵素は、HMG-CoAをメバロン酸に変換する酵素を含む。一部の実施形態において、MEV経路の1つまたは複数の酵素は、メバロン酸をメバロン酸5-リン酸にリン酸化する酵素を含む。一部の実施形態において、MEV経路の1つまたは複数の酵素は、メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換する酵素を含む。一部の実施形態において、MEV経路の1つまたは複数の酵素は、メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニルピロリン酸に変換する酵素を含む。
【0114】
[00126] 一部の実施形態において、MEV経路の1つまたは複数の酵素は、アセチル-CoAチオラーゼ、アセトアセチル-CoAシンセターゼ、HMG-CoAシンターゼ、HMG-CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼおよびメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼからなる群から選択される。一部の実施形態において、アセトアセチル-CoAの形成を触媒することが可能なMEV経路の酵素に関して、遺伝子改変された宿主細胞は、アセチル-CoAの2つの分子を縮合して、アセトアセチル-CoAを形成する酵素、例えばアセチル-CoAチオラーゼ;またはアセチル-CoAをマロニル-CoAと縮合させて、アセトアセチル-CoAを形成する酵素、例えばアセトアセチル-CoAシンターゼのいずれかを含む。一部の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、アセチル-CoAの2つの分子を縮合して、アセトアセチル-CoAを形成する酵素、例えばアセチル-CoAチオラーゼ;およびアセチル-CoAをマロニル-CoAと縮合させて、アセトアセチル-CoAを形成する酵素、例えばアセトアセチル-CoAシンターゼの両方を含む。
【0115】
[00127] 一部の実施形態において、宿主細胞は、MEV経路の1種より多くの酵素をコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、宿主細胞は、MEV経路の2種の酵素をコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、宿主細胞は、HMG-CoAをメバロン酸に変換することができる酵素、およびメバロン酸をメバロン酸5-リン酸に変換することができる酵素をコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、宿主細胞は、MEV経路の3種の酵素をコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、宿主細胞は、MEV経路の4種の酵素をコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、宿主細胞は、MEV経路の5種の酵素をコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、宿主細胞は、MEV経路の6種の酵素をコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、宿主細胞は、MEV経路の7種の酵素をコードする1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、宿主細胞は、MEV経路の酵素の全てをコードする複数の異種核酸を含む。
【0116】
[00128] 一部の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、イソペンテニルピロリン酸(IPP)をジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換することができる酵素をコードする異種核酸をさらに含む。一部の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、IPPおよび/またはDMAPP分子を縮合して、ポリプレニル化合物を形成することができる酵素をコードする異種核酸をさらに含む。一部の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、IPPまたはポリプレニルを修飾して、ファルネセンなどのイソプレノイド化合物を形成することができる酵素をコードする異種核酸をさらに含む。
【0117】
6.6.1 アセチル-CoAのアセトアセチル-CoAへの変換
[00129] 一部の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、アセチル補酵素Aの2つの分子を縮合してアセトアセチル-CoAを形成することができる酵素、例えばアセチル-CoAチオラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。このような酵素をコードするヌクレオチド配列の説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、(NC_000913領域:2324131.2325315;Escherichia coli)、(D49362;Paracoccus denitrificans)、および(L20428;Saccharomyces cerevisiae)が挙げられる。
【0118】
[00130] アセチル-CoAチオラーゼは、アセチル-CoAの2つの分子の可逆的な縮合を触媒して、アセトアセチル-CoAを生成するが、この反応は熱力学的に好ましくない。したがってアセトアセチル-CoAのチオール開裂は、アセトアセチル-CoA合成より優先的になされる。アセトアセチル-CoAシンターゼ(AACS)(互換的にアセチル-CoA:マロニル-CoAアシルトランスフェラーゼと称される;EC2.3.1.194)は、アセチル-CoAをマロニル-CoAと縮合させて、アセトアセチル-CoAを形成する。アセチル-CoAチオラーゼとは対照的に、AACSによって触媒されるアセトアセチル-CoA合成は、付随するマロニル-CoAの脱炭酸反応のために、本質的にエネルギー的に都合のよい反応である。加えて、AACSは、アセトアセチル-CoAに対するチオール開裂活性を示さないことから、この反応は、不可逆的である。
【0119】
[00131] アセチル-CoAチオラーゼならびに異種ADAおよび/またはリン酸トランスアセチラーゼ(PTA)を含む宿主細胞において、アセトアセチル-CoAのチオール開裂のほうを優先的に行うアセチル-CoAチオラーゼによって触媒される可逆反応は、大きいアセチル-CoAプールをもたらし得る。ADAの可逆的な活性を考慮して、このアセチル-CoAプールは順に、アセチル-CoAをアセトアルデヒドに変換する逆反応に向かってADAを駆動することができ、そのためアセチル-CoA産生に対するADAによって提供される利益が減じられる。同様に、PTAの活性も可逆的であり、したがって大きいアセチル-CoAプールが、アセチル-CoAをアセチルリン酸に変換する逆反応に向かってPTAを駆動し得る。それゆえに、一部の実施形態において、アセチル-CoAを強く引き寄せてADAおよびPTAの正反応を駆動するために、本明細書で提供される遺伝子改変された宿主細胞のMEV経路は、アセトアセチル-CoAシンターゼを利用して、アセチル-CoAおよびマロニル-CoAからアセトアセチル-CoAを形成する。
【0120】
[00132] 一部の実施形態において、AACSは、ストレプトマイセス属種の株CL190由来である(Okamura et al., Proc Natl Acad Sci USA 107(25):11265-70(2010))。ストレプトマイセス属種の株CL190の代表的なAACSヌクレオチド配列としては、受託番号AB540131.1が挙げられる。ストレプトマイセス属種の株CL190の代表的なAACSタンパク質配列としては、受託番号D7URV0、BAJ10048が挙げられる。本明細書で提供される組成物および方法に有用な他のアセトアセチル-CoAシンターゼとしては、これらに限定されないが、ストレプトマイセス属種(AB183750;KO-3988BAD86806);S.anulatus株9663(FN178498;CAX48662);ストレプトマイセス属種KO-3988(AB212624;BAE78983);アクチノプラネス属種A40644(AB113568;BAD07381);ストレプトマイセス属種C(NZ_ACEW010000640;ZP_05511702);Nocardiopsis dassonvillei DSM43111(NZ_ABUI01000023;ZP_04335288);Mycobacterium ulcerans Agy99(NC_008611;YP_907152);Mycobacterium marinum M(NC_010612;YP_001851502);ストレプトマイセス属種Mg1(NZ_DS570501;ZP_05002626);ストレプトマイセス属種AA4(NZ_ACEV01000037;ZP_05478992);S.roseosporus NRRL15998(NZ_ABYB01000295;ZP_04696763);ストレプトマイセス属種ACTE(NZ_ADFD01000030;ZP_06275834);S.viridochromogenes DSM40736(NZ_ACEZ01000031;ZP_05529691);フランキア属種CcI3(NC_007777;YP_480101);Nocardia brasiliensis(NC_018681;YP_006812440.1);およびAustwickia chelonae(NZ_BAGZ01000005;ZP_10950493.1)が挙げられる。追加の好適なアセトアセチル-CoAシンターゼとしては、その内容が参照によりそれらの全体が組み入れられる米国特許出願公開公報第2010/0285549号および2011/0281315号に記載されるものが挙げられる。
【0121】
[00133] 同様に本明細書で提供される組成物および方法において有用なアセトアセチル-CoAシンターゼとしてはまた、本明細書に記載されるアセトアセチル-CoAシンターゼのいずれかの「誘導体」と称される分子も挙げられる。このような「誘導体」は、以下の特徴:(1)本明細書に記載されるアセトアセチル-CoAシンターゼのいずれかと実質的な相同性を有する特徴;および(2)アセチル-CoAとマロニル-CoAとを不可逆的に縮合してアセトアセチル-CoAを形成することを触媒できる特徴を有する。アセトアセチル-CoAシンターゼの誘導体は、誘導体のアミノ酸配列が、アセトアセチル-CoAシンターゼのアミノ酸配列と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一である場合、アセトアセチル-CoAシンターゼと「実質的な相同性」を共有すると称される。
【0122】
6.6.2 アセトアセチル-CoAのHMG-CoAへの変換
[00134] 一部の実施形態において、宿主細胞は、アセトアセチル-CoAをアセチル-CoAの別の分子と縮合させて、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA(HMG-CoA)を形成することができる酵素、例えばHMG-CoAシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。このような酵素をコードするヌクレオチド配列の説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、(NC_001145.相補物19061.20536;Saccharomyces cerevisiae)、(X96617;Saccharomyces cerevisiae)、(X83882;Arabidopsis thaliana)、(AB037907;Kitasatospora griseola)、(BT007302;Homo sapiens)、および(NC_002758、遺伝子座タグSAV2546、遺伝子番号1122571;Staphylococcus aureus)が挙げられる。
【0123】
6.6.3 HMG-CoAのメバロン酸への変換
[00135] 一部の実施形態において、宿主細胞は、HMG-CoAをメバロン酸に変換することができる酵素、例えばHMG-CoAレダクターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態において、HMG-CoAレダクターゼは、NADHを使用するヒドロキシメチルグルタリル-CoAレダクターゼ-CoAレダクターゼである。HMG-CoAレダクターゼ(EC1.1.1.34;EC1.1.1.88)は、(S)-HMG-CoAから(R)-メバロン酸への還元的な脱アシル化を触媒し、2つのクラス、すなわちクラスIおよびクラスIIのHMGrに類別することができる。クラスIは、真核生物およびほとんどの古細菌由来の酵素を包含し、クラスIIは、ある特定の原核生物および古細菌のHMG-CoAレダクターゼを包含する。配列の分岐に加えて、2つのクラスの酵素は、それらの補因子の特異性に関しても異なる。もっぱらNADPHを利用するクラスI酵素とは異なり、クラスIIのHMG-CoAレダクターゼは、NADPHとNADHとを識別する能力の点で違いがある。例えば、Hedlら、Journal of Bacteriology 186(7):1927~1932(2004)を参照されたい。選ばれたクラスIIのHMG-CoAレダクターゼに対する補因子の特異性を以下に示す。
【0124】
【0125】
[00136] 本明細書で提供される組成物および方法にとって有用なHMG-CoAレダクターゼとしては、補因子としてNADHを利用できるHMG-CoAレダクターゼ、例えば、P.mevalonii、A.fulgidusまたはS.aureus由来のHMG-CoAレダクターゼが挙げられる。特定の実施形態において、HMG-CoAレダクターゼ、例えば、P.mevalonii、S.pomeroyiまたはD.acidovorans由来のHMG-CoAレダクターゼは、補因子としてNADHのみを利用することが可能である。
【0126】
[00137] 一部の実施形態において、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼは、Pseudomonas mevalonii由来である。HMG-CoAレダクターゼ(EC1.1.1.88)をコードするPseudomonas mevaloniiの野生型mvaA遺伝子の配列は、これまでに記載されている。BeachおよびRodwell、J.Bacteriol.171:2994~3001(1989)を参照されたい。Pseudomonas mevaloniiの代表的なmvaAヌクレオチド配列としては、受託番号M24015が挙げられる。Pseudomonas mevaloniiの代表的なHMG-CoAレダクターゼタンパク質配列としては、受託番号AAA25837、P13702、MVAA_PSEMVが挙げられる。
【0127】
[00138] 一部の実施形態において、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼは、Silicibacter pomeroyi由来である。Silicibacter pomeroyiの代表的なHMG-CoAレダクターゼヌクレオチド配列としては、受託番号NC_006569.1が挙げられる。Silicibacter pomeroyiの代表的なHMG-CoAレダクターゼタンパク質配列としては、受託番号YP_164994が挙げられる。
【0128】
[00139] 一部の実施形態において、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼは、Delftia acidovorans由来である。Delftia acidovoransの代表的なHMG-CoAレダクターゼヌクレオチド配列としては、NC_010002領域:相補物(319980..321269)が挙げられる。Delftia acidovoransの代表的なHMG-CoAレダクターゼタンパク質配列としては、受託番号YP_001561318が挙げられる。
【0129】
[00140] 一部の実施形態において、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼは、Solanum tuberosum由来である(Crane et al., J. Plant Physiol. 159:1301-1307(2002))。
【0130】
[00141] 同様に本明細書で提供される組成物および方法において有用なNADHを使用するHMG-CoAレダクターゼとしてはまた、本明細書に記載されるNADHを使用するHMG-CoAレダクターゼのいずれかの「誘導体」と称される分子、例えばP.mevalonii、S.pomeroyiおよびD.acidovorans由来のものも挙げられる。このような「誘導体」は、以下の特徴を有する:(1)本明細書に記載されるNADHを使用するHMG-CoAレダクターゼのいずれかと実質的な相同性を共有する;および(2)補因子として優先的にNADHを使用しながら(S)-HMG-CoAから(R)-メバロン酸への還元的な脱アシル化を触媒できる。NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼ誘導体は、誘導体のアミノ酸配列が、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼのアミノ酸配列と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%同一である場合、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼと「実質的な相同性」を共有すると称される。
【0131】
[00142] 「NADHを使用する」という句は、本明細書で使用される場合、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼが、例えばNADPHに比べてNADHにより特異的な活性を有することを実証することによって、補因子としてNADPHよりもNADHに選択的であることを意味する。一部の実施形態において、補因子としてのNADHへの選択性は、kcat
(NADH)/kcat
(NADPH)の比率として表される。一部の実施形態において、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼは、少なくとも5、10、15、20、25または25より大きいkcat
(NADH)/kcat
(NADPH)の比率を有する。一部の実施形態において、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼは、NADHのみを使用する。例えば、NADHのみを使用するNADHを使用するHMG-CoAレダクターゼは、インビトロで単独の補因子として供給されたNADHで一定の活性を呈示すが、単独の補因子としてNADPHが供給される場合、検出可能な活性を呈示しない。補因子としてNADHを選択的に用いるHMG-CoAレダクターゼを同定するための当業界において公知の補因子の特異性を決定するための任意の方法を利用することができ、このような方法としては、Kimら、Protein Science 9:1226~1234(2000);およびWildingら、J.Bacteriol.182(18):5147~52(2000)によって記載されたものが挙げられ、これらの内容は、本明細書にそれらの全体が取り入れられる。
【0132】
[00143] 一部の実施形態において、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼは、例えば補因子結合ポケットの部位特異的変異誘発を介して、NAPDHよりNADHに選択的になるように操作される。NADH選択性を操作するための方法は、Watanabeら、Microbiology 153:3044~3054(2007)に記載されており、HMG-CoAレダクターゼの補因子の特異性を決定するための方法は、Kimら、Protein Sci.9:1226~1234(2000)に記載されており、それらの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0133】
[00144] 一部の実施形態において、NADHを使用するHMG-CoAレダクターゼは、生来的にメバロン酸分解経路を含む宿主種、例えば、その単独の炭素源としてメバロン酸を異化する宿主種由来である。これらの実施形態の範囲内で、通常、その生来的な宿主細胞内に内在化した(R)-メバロン酸から(S)-HMG-CoAへの酸化的アシル化を触媒するNADHを使用するHMG-CoAレダクターゼは、メバロン酸生合成経路を含む遺伝子改変された宿主細胞において、逆反応、すなわち(S)-HMG-CoAから(R)-メバロン酸の還元的な脱アシル化を触媒するのに利用される。単独の炭素源としてメバロン酸で増殖することが可能な原核生物は、Anderson et al., J. Bacteriol, 171(12):6468-6472 (1989); Beach et al., J. Bacteriol. 171:2994-3001 (1989); Bensch et al., J. Biol. Chem. 245:3755-3762; Fimongnari et al., Biochemistry 4:2086-2090 (1965); Siddiqi et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 8:110-113 (1962); Siddiqi et al., J. Bacteriol. 93:207-214 (1967);およびTakatsuji et al., Biochem. Biophys. Res. Commun.110:187-193 (1983)に記載されており、その内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0134】
[00145] 本明細書で提供される組成物および方法の一部の実施形態において、宿主細胞は、NADHを使用するHMGrとNADPHを使用するHMG-CoAレダクターゼの両方を含む。NADPHを使用するHMG-CoAレダクターゼをコードするヌクレオチド配列の説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、(NM_206548;Drosophila melanogaster)、(NC_002758、遺伝子座タグSAV2545、遺伝子番号1122570;Staphylococcus aureus)、(AB015627;ストレプトマイセス属種KO3988)、(短縮型HMG-CoAレダクターゼをコードする配列を提供するAX128213;Saccharomyces cerevisiae)、および(NC_001145:相補物(115734.118898;Saccharomyces cerevisiae)が挙げられる。
【0135】
6.6.4 メバロン酸のメバロン酸-5-リン酸への変換
[00146] 一部の実施形態において、宿主細胞は、メバロン酸をメバロン酸5-リン酸に変換することができる酵素、例えばメバロン酸キナーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。このような酵素をコードするヌクレオチド配列の説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、(L77688;Arabidopsis thaliana)、および(X55875;Saccharomyces cerevisiae)が挙げられる。
【0136】
6.6.5 メバロン酸-5-リン酸のメバロン酸-5-ピロリン酸への変換
[00147] 一部の実施形態において、宿主細胞は、メバロン酸5-リン酸をメバロン酸5-ピロリン酸に変換することができる酵素、例えばホスホメバロン酸キナーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。このような酵素をコードするヌクレオチド配列の説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、(AF429385;Hevea brasiliensis)、(NM_006556;Homo sapiens)、および(NC_001145.相補物712315.713670;Saccharomyces cerevisiae)が挙げられる。
【0137】
6.6.6 メバロン酸-5-ピロリン酸のIPPへの変換
[00148] 一部の実施形態において、宿主細胞は、メバロン酸5-ピロリン酸をイソペンテニル二リン酸(IPP)に変換することができる酵素、例えばメバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。このような酵素をコードするヌクレオチド配列の説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、(X97557;Saccharomyces cerevisiae)、(AF290095;Enterococcus faecium)、および(U49260;Homo sapiens)が挙げられる。
【0138】
6.6.7 IPPのDMAPPへの変換
[00149] 一部の実施形態において、宿主細胞は、MEV経路を介して生成したIPPをジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)に変換することができる酵素、例えばIPPイソメラーゼをコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。このような酵素をコードするヌクレオチド配列の説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、(NC_000913、3031087.3031635;Escherichia coli)、および(AF082326;Haematococcus pluvialis)が挙げられる。
【0139】
6.6.8 ポリプレニルシンターゼ
[00150] 一部の実施形態において、宿主細胞は、IPPおよび/またはDMAPP分子を縮合して5個より多くの炭素を含有するポリプレニル化合物を形成することができるポリプレニルシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。
【0140】
[00151] 一部の実施形態において、宿主細胞は、IPPの1つの分子をDMAPPの1つの分子と縮合してゲラニルピロリン酸(「GPP」)の1つの分子を形成することができる酵素、例えばGPPシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。このような酵素をコードするヌクレオチド配列の説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、(AF513111;Abies grandis)、(AF513112;Abies grandis)、(AF513113;Abies grandis)、(AY534686;Antirrhinum majus)、(AY534687;Antirrhinum majus)、(Y17376;Arabidopsis thaliana)、(AE016877、遺伝子座AP11092;Bacillus cereus;ATCC14579)、(AJ243739;Citrus sinensis)、(AY534745;Clarkia breweri)、(AY953508;Ips pini)、(DQ286930;Lycopersicon esculentum)、(AF182828;Mentha x piperita)、(AF182827;Mentha x piperita)、(MPI249453;Mentha x piperita)、(PZE431697、遺伝子座CAD24425;Paracoccus zeaxanthinifaciens)、(AY866498;Picrorhiza kurrooa)、(AY351862;Vitis vinifera)、および(AF203881、遺伝子座AAF12843;Zymomonas mobilis)が挙げられる。
【0141】
[00152] 一部の実施形態において、宿主細胞は、IPPの2つの分子をDMAPPの1つの分子と縮合する、またはIPPの分子をGPPの分子に付加して、ファルネシルピロリン酸(「FPP」)の分子を形成することができる酵素、例えばFPPシンターゼをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。このような酵素をコードするヌクレオチド配列の説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、(ATU80605;Arabidopsis thaliana)、(ATHFPS2R;Arabidopsis thaliana)、(AAU36376;Artemisia annua)、(AF461050;Bos taurus)、(D00694;Escherichia coli K-12)、(AE009951、遺伝子座AAL95523;Fusobacterium nucleatum亜種nucleatum ATCC25586)、(GFFPPSGEN;Gibberella fujikuroi)、(CP000009、遺伝子座AAW60034;Gluconobacter oxydans 621H)、(AF019892;Helianthus annuus)、(HUMFAPS;Homo sapiens)、(KLPFPSQCR;Kluyveromyces lactis)、(LAU15777;Lupinus albus)、(LAU20771;Lupinus albus)、(AF309508;Mus musculus)、(NCFPPSGEN;Neurospora crassa)、(PAFPS1;Parthenium argentatum)、(PAFPS2;Parthenium argentatum)、(RATFAPS;Rattus norvegicus)、(YSCFPP;Saccharomyces cerevisiae)、(D89104;Schizosaccharomyces pombe)、(CP000003、遺伝子座AAT87386;Streptococcus pyogenes)、(CP000017、遺伝子座AAZ51849;Streptococcus pyogenes)、(NC_008022、遺伝子座YP_598856;Streptococcus pyogenes MGAS10270)、(NC_008023、遺伝子座YP_600845;Streptococcus pyogenes MGAS2096)、(NC_008024、遺伝子座YP_602832;Streptococcus pyogenes MGAS10750)、(MZEFPS;Zea mays)、(AE000657、遺伝子座AAC06913;Aquifex aeolicus VF5)、(NM_202836;Arabidopsis thaliana)、(D84432、遺伝子座BAA12575;Bacillus subtilis)、(U12678、遺伝子座AAC28894;Bradyrhizobium japonicum USDA 110)、(BACFDPS;Geobacillus stearothermophilus)、(NC_002940、遺伝子座NP_873754;Haemophilus ducreyi 35000HP)、(L42023、遺伝子座AAC23087;Haemophilus influenzae Rd KW20)、(J05262;Homo sapiens)、(YP_395294;Lactobacillus sakei亜種sakei 23K)、(NC_005823、遺伝子座YP_000273;Leptospira interrogans serovar Copenhageni str. Fiocruz L1-130)、(AB003187;Micrococcus luteus)、(NC_002946、遺伝子座YP_208768;Neisseria gonorrhoeae FA1090)、(U00090、遺伝子座AAB91752;リゾビウム属種NGR234)、(J05091;Saccharomyces cerevisae)、(CP000031、遺伝子座AAV93568;Silicibacter pomeroyi DSS-3)、(AE008481、遺伝子座AAK99890;Streptococcus pneumoniae R6)、および(NC_004556、遺伝子座NP779706;Xylella fastidiosa Temecula1)が挙げられる。
【0142】
[00153] 一部の実施形態において、宿主細胞は、IPPとDMAPPまたはIPPとFPPを化合させてゲラニルゲラニルピロリン酸(「GGPP」)を形成することができる酵素をコードする異種ヌクレオチド配列をさらに含む。このような酵素をコードするヌクレオチド配列の説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、(ATHGERPYRS;Arabidopsis thaliana)、(BT005328;Arabidopsis thaliana)、(NM_119845;Arabidopsis thaliana)、(NZ_AAJM01000380、遺伝子座ZP_00743052;Bacillus thuringiensis serovar israelensis、ATCC35646sq1563)、(CRGGPPS;Catharanthus roseus)、(NZ_AABF02000074、遺伝子座ZP_00144509;Fusobacterium nucleatum亜種vincentii、ATCC49256)、(GFGGPPSGN;Gibberella fujikuroi)、(AY371321;Ginkgo biloba)、(AB055496;Hevea brasiliensis)、(AB017971;Homo sapiens)、(MCI276129;Mucor circinelloides f. lusitanicus)、(AB016044;Mus musculus)、(AABX01000298、遺伝子座NCU01427;Neurospora crassa)、(NCU20940;Neurospora crassa)、(NZ_AAKL01000008、遺伝子座ZP_00943566;Ralstonia solanacearum UW551)、(AB118238;Rattus norvegicus)、(SCU31632;Saccharomyces cerevisiae)、(AB016095;Synechococcus elongates)、(SAGGPS;Sinapis alba)、(SSOGDS;Sulfolobus acidocaldarius)、(NC_007759、遺伝子座YP_461832;Syntrophus aciditrophicus SB)、(NC_006840、遺伝子座YP_204095;Vibrio fischeri ES114)、(NM_112315;Arabidopsis thaliana)、(ERWCRTE;Pantoea agglomerans)、(D90087、遺伝子座BAA14124;Pantoea ananatis)、(X52291、遺伝子座CAA36538;Rhodobacter capsulatus)、(AF195122、遺伝子座AAF24294;Rhodobacter sphaeroides)、および(NC_004350、遺伝子座NP_721015;Streptococcus mutans UA159)が挙げられる。
【0143】
[00154] メバロン酸経路の酵素の例は上述した通りであるが、ある特定の実施形態において、DXP経路の酵素は、本明細書に記載される宿主細胞、組成物および方法においてDMAPPおよびIPPを産生するための代替または追加の経路として使用することができる。DXP経路の酵素およびその酵素をコードする核酸は周知であり、当業界において特徴づけられている。WO2012/135591A2。
【0144】
6.7 ステビオール配糖体を産生する方法
[00155] 別の態様において、本明細書に記載されるいずれかのUDPグリコシルトランスフェラーゼ(例えば、UGT40087または任意のバリアントUGT40087)を使用してあるステビオール配糖体を別のステビオール配糖体に変換することによる、ステビオール配糖体を産生するための方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、RebAをRebDに変換することが可能な本明細書に記載されるUDPグリコシルトランスフェラーゼのいずれかを使用して、RebAをRebDに変換することを含む、RebDを産生するための方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態において、RebMを産生するための方法であって、RebAをRebDに変換することが可能な本明細書に記載されるUDPグリコシルトランスフェラーゼのいずれかを使用して、RebAをRebDに変換すること;およびRebDをRebMに変換することが可能なUDPグリコシルトランスフェラーゼを使用して、RebDをRebMに変換することを含む方法が本明細書で提供される。
【0145】
[00156] ある特定の実施形態において、ステビオール配糖体(例えばRebAまたはRebD)またはステビオール配糖体を含む組成物は、好適な条件下で、本明細書に記載されるUDPグリコシルトランスフェラーゼおよびUDP-糖のいずれかと接触させて、望ましいステビオール配糖体(例えば、RebM)を産生することができる。このような方法は、インビボで実行してもよいし、またはインビトロで実行してもよい。例示的なUDP-糖としては、UDP-単糖、UDP-キシロースまたはUDP-ラムノースが挙げられる。
【0146】
[00157] 別の態様において、ステビオール配糖体を産生するための方法であって、(a)ステビオール配糖体化合物の生成に好適な条件下で、ステビオール配糖体を産生することが可能な本明細書に記載される遺伝子改変された宿主細胞のいずれかの集団を、炭素源を含む培地中で培養する工程;および(b)培地から前記ステビオール配糖体化合物を回収する工程を含む方法が本明細書で提供される。
【0147】
[00158] 一部の実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、1つまたは複数の改変を含まない親細胞、または遺伝子改変された宿主細胞の1つまたは複数の改変の一部分のみを含むがそれ以外の点で遺伝学的に同一な親細胞と比較して、増加した量のステビオール配糖体を産生する。一部の実施形態において、増加した量は、例えば、細胞培養液1リットル当たりのグラムで、乾燥細胞重量1グラム当たりのミリグラムで、細胞培養液の単位体積当たり、単位乾燥細胞重量当たり、単位時間当たりの細胞培養液の単位体積当たり、または単位時間当たりの単位乾燥細胞重量当たりの、収量、産生量、産生能で測定した場合、少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%または100%より大きい。
【0148】
[00159] 一部の実施形態において、宿主細胞は、発酵培地1リットル当たり約10グラムより多くの上昇したレベルのステビオール配糖体を産生する。一部のこのような実施形態において、ステビオール配糖体は、細胞培養液1リットル当たり約10~約50グラム、細胞培養液1リットル当たり約15グラムより多く、細胞培養液1リットル当たり約20グラムより多く、細胞培養液1リットル当たり約25グラムより多く、細胞培養液1リットル当たり約30グラムより多く、細胞培養液1リットル当たり約35グラムより多く、細胞培養液1リットル当たり約40グラムより多く、細胞培養液1リットル当たり約45グラムより多く、または細胞培養液1リットル当たり約50グラムより多くの量で産生される。
【0149】
[00160] 一部の実施形態において、宿主細胞は、乾燥細胞重量1グラム当たり約50ミリグラムより多くの上昇したレベルのステビオール配糖体を産生する。一部のこのような実施形態において、ステビオール配糖体は、乾燥細胞重量1グラム当たり、約50~約1500ミリグラム、約100ミリグラムより多く、約150ミリグラムより多く、約200ミリグラムより多く、約250ミリグラムより多く、約500ミリグラムより多く、約750ミリグラムより多く、または約1000ミリグラムより多くの量で産生される。
【0150】
[00161] 一部の実施形態において、宿主細胞は、細胞培養液の単位体積当たり、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約1000倍、またはそれより高い倍率で、親細胞によって産生されたステビオール配糖体のレベルより高く上昇したレベルのステビオール配糖体を産生する。
【0151】
[00162] 一部の実施形態において、宿主細胞は、単位乾燥細胞重量当たり、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約1000倍、またはそれより高い倍率で、親細胞によって産生されたステビオール配糖体のレベルより高く上昇したレベルのステビオール配糖体を産生する。
【0152】
[00163] 一部の実施形態において、宿主細胞は、単位時間当たりの細胞培養液の単位体積当たり、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約1000倍、またはそれより高い倍率で、親細胞によって産生されたステビオール配糖体のレベルより高く上昇したレベルのステビオール配糖体を産生する。
【0153】
[00164] 一部の実施形態において、宿主細胞は、単位時間当たりの単位乾燥細胞重量当たり、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、もしくは少なくとも約1,000倍、またはそれより高い倍率で、親細胞によって産生されたステビオール配糖体のレベルより高く上昇したレベルのステビオール配糖体を産生する。
【0154】
[00165] ほとんどの実施形態において、宿主細胞によるステビオール配糖体の上昇したレベルの産生は、抑制化合物(repressing compound)によって制御される。このような宿主細胞は、抑制化合物の存在下で容易に操作することができる。次いで抑制化合物を除去して、宿主細胞によるステビオール配糖体の上昇したレベルの産生を誘導する。他の実施形態において、宿主細胞によるステビオール配糖体の上昇したレベルの産生は、例えば増殖温度、培地成分などの培養条件を変化させることによって誘導することができる。
【0155】
6.8 培養培地および条件
[00166] 微生物培養物の維持および増殖のための材料および方法は、微生物学 または発酵科学分野の当業者に周知である(例えば、Bailey et al., Biochemical Engineering Fundamentals, 第2版, McGraw Hill, New York, 1986を参照されたい)。宿主細胞、発酵、およびプロセスの具体的な必要条件に応じて、好気性、微好気性、または嫌気性条件にとって適切な培養培地、pH、温度、および必要条件の検討が必要である。
【0156】
[00167] 本明細書で提供されるステビオール配糖体を産生する方法は、これらに限定されないが、細胞培養プレート、フラスコ、または発酵槽などの好適な容器中で、好適な培養培地(例えば、パントテン酸補充有りまたは無し)で実行することができる。さらに本方法は、微生物生成物の工業的産生を維持するために、当業界において公知の任意の発酵規模で実行することができる。撹拌タンク発酵槽、エアリフト式発酵槽、気泡式発酵槽、またはそれらの任意の組合せなどの任意の好適な発酵槽を使用することができる。宿主細胞としてSaccharomyces cerevisiaeを利用する特定の実施形態において、KosaricらによりUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、12巻、398~473頁、Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KDaA、ヴァインハイム、ドイツで詳細に説明されるようにして、株を発酵槽中で増殖させることができる。
【0157】
[00168] 一部の実施形態において、培養培地は、ステビオール配糖体を産生することが可能な遺伝子改変された微生物が生存できる、すなわち増殖および生存を維持することができる任意の培養培地である。一部の実施形態において、培養培地は、消化可能な炭素、窒素およびホスフェート源を含む水性培地である。このような培地はまた、適切な塩、無機物質、金属および他の栄養素を包含していてもよい。一部の実施形態において、炭素源および必須の細胞栄養素のそれぞれは、少しずつ量を増やして、または連続的に発酵培地に添加され、それぞれの必要な栄養素は、例えば、炭素源をバイオマスに変換する細胞の代謝または呼吸機能に基づき予め決定された細胞増殖曲線に従って、増殖中の細胞による効率的な同化に必要な本質的に最小限のレベルで維持される。
【0158】
[00169] 微生物の培養に好適な条件および好適な培地は当業界において周知である。一部の実施形態において、好適な培地には、1種または複数の追加の物質、例えば、誘導物質(例えば、遺伝子産物をコードする1つまたは複数のヌクレオチド配列が誘導性プロモーターの制御下にある場合)、抑制因子(例えば、1つまたは複数の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列が抑制性プロモーターの制御下にある場合)、または選択物質(例えば、遺伝学的改変を含む微生物を選択するための抗生物質)などが補充される。
【0159】
[00170] 一部の実施形態において、炭素源は、単糖類(単糖)、二糖類、多糖類、非発酵性の炭素源、またはそれらの1種または複数の組合せである。好適な単糖類の非限定的な例としては、グルコース、マンノース、フルクトース、キシロース、リボース、およびそれらの組合せが挙げられる。好適な二糖類の非限定的な例としては、スクロース、ラクトース、マルトース、ガラクトース、トレハロース、セロビオース、およびそれらの組合せが挙げられる。好適な多糖類の非限定的な例としては、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、およびそれらの組合せが挙げられる。好適な非発酵性の炭素源の非限定的な例としては、アセテートおよびグリセロールが挙げられる。
【0160】
[00171] 培養培地中のグルコースなどの炭素源の濃度は、細胞増殖を促進するが、使用される微生物の増殖を抑制するほど高くするべきではない。典型的には、発酵培養は、グルコースなどの炭素源を用いて行われ、このような炭素源は、増殖およびバイオマスの望ましいレベルを達成するレベルであるが、検出不可能なレベルで添加される(検出限界は約<0.1g/lである)。他の実施形態において、培養培地中のグルコースなどの炭素源の濃度は、約1g/Lより高く、好ましくは約2g/Lより高く、より好ましくは約5g/Lより高い。加えて、培養培地中のグルコースなどの炭素源の濃度は、典型的には約100g/L未満、好ましくは約50g/L未満、より好ましくは約20g/L未満である。培養成分の濃度への言及は、最初のおよび/または進行中の成分濃度の両方を指す可能性があることに留意されたい。一部のケースにおいて、培養中に培養培地の炭素源を枯渇させることが望ましい場合がある。
【0161】
[00172] 好適な培養培地で使用できる消化可能な窒素源としては、これらに限定されないが、単純な窒素源、有機窒素源および複合的な窒素源が挙げられる。このような窒素源としては、無水アンモニア、アンモニウム塩、ならびに動物性、植物性および/または微生物起源の物質が挙げられる。好適な窒素源としては、これらに限定されないが、タンパク質加水分解物、微生物のバイオマス加水分解物、ペプトン、酵母抽出物、硫酸アンモニウム、尿素、およびアミノ酸が挙げられる。培養培地中の窒素源の濃度は、典型的には約0.1g/Lより高く、好ましくは約0.25g/Lより高く、より好ましくは約1.0g/Lより高い。しかしながら、培養培地への窒素源の添加は、ある特定の濃度を超えると、微生物の増殖に有利ではない。結果として、培養培地中の窒素源の濃度は、約20g/L未満、好ましくは約10g/L未満、より好ましくは約5g/L未満である。さらに、一部の場合において、培養中に培養培地の窒素源を枯渇させることが望ましい場合がある。
【0162】
[00173] 有効な培養培地は、無機塩、ビタミン、微量金属または増殖促進物質などの他の化合物を含有していてもよい。このような他の化合物はまた、有効な培地中の炭素、窒素または無機物質源中に存在するものでもよいし、または具体的に培地に添加されてもよい。
【0163】
[00174] 培養培地はまた、好適なホスフェート源を含有していてもよい。このようなホスフェート源としては、無機および有機ホスフェート源の両方が挙げられる。好ましいホスフェート源としては、これらに限定されないが、リン酸塩、例えば一または二塩基性のリン酸ナトリウムおよびリン酸カリウム、リン酸アンモニウムならびにそれらの混合物が挙げられる。培養培地中のホスフェート濃度は、典型的には約1.0g/Lより高く、好ましくは約2.0g/Lより高く、より好ましくは約5.0g/Lより高い。しかしながら、培養培地へのホスフェートの添加は、ある特定の濃度を超えると、微生物の増殖に有利ではない。したがって、培養培地中のホスフェート濃度は、典型的には約20g/L未満、好ましくは約15g/L未満、より好ましくは約10g/L未満である。
【0164】
[00175] 好適な培養培地はまた、マグネシウム源を、好ましくは生理学的に許容される塩、例えば硫酸マグネシウム七水和物の形態で包含していてもよいが、他のマグネシウム源も類似の量のマグネシウムを付与する濃度で使用することができる。培養培地中のマグネシウムの濃度は、典型的には約0.5g/Lより高く、好ましくは約1.0g/Lより高く、より好ましくは約2.0g/Lより高い。しかしながら、培養培地へのマグネシウムの添加は、ある特定の濃度を超えると、微生物の増殖に有利ではない。したがって、培養培地中のマグネシウムの濃度は、典型的には約10g/L未満、好ましくは約5g/L未満、より好ましくは約3g/L未満である。さらに、一部の場合において、培養中に培養培地のマグネシウム源を枯渇させることが望ましい場合がある。
【0165】
[00176] 一部の実施形態において、培養培地はまた、生物学的に許容できるキレート剤、例えばクエン酸三ナトリウムの二水和物を包含していてもよい。このような例において、培養培地中のキレート剤の濃度は、約0.2g/Lより高く、好ましくは約0.5g/Lより高く、より好ましくは約1g/Lより高い。しかしながら、培養培地へのキレート剤の添加は、ある特定の濃度を超えると、微生物の増殖に有利ではない。したがって、培養培地中のキレート剤の濃度は、典型的には約10g/L未満、好ましくは約5g/L未満、より好ましくは約2g/L未満である。
【0166】
[00177] 培養培地はまた、最初のうちは、培養培地の望ましいpHを維持するために、生物学的に許容できる酸または塩基を包含していてもよい。生物学的に許容できる酸としては、これらに限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸およびそれらの混合物が挙げられる。生物学的に許容できる塩基としては、これらに限定されないが、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態において、使用される塩基は、水酸化アンモニウムである。
【0167】
[00178] 培養培地はまた、これらに限定されないが、塩化カルシウムなどの生物学的に許容できるカルシウム源を包含していてもよい。培養培地中のカルシウム源、例えば塩化カルシウム二水和物の濃度は、典型的には、約5mg/L~約2000mg/Lの範囲内、好ましくは約20mg/L~約1000mg/Lの範囲内、より好ましくは約50mg/L~約500mg/Lの範囲内である。
【0168】
[00179] 培養培地はまた、塩化ナトリウムを包含していてもよい。培養培地中の塩化ナトリウムの濃度は、典型的には約0.1g/L~約5g/Lの範囲内、好ましくは約1g/L~約4g/Lの範囲内、より好ましくは約2g/L~約4g/Lの範囲内である。
【0169】
[00180] 一部の実施形態において、培養培地はまた、微量金属を包含していてもよい。このような微量金属は、便宜上培養培地の残りから別々に調製することができるストック溶液として培養培地に添加することができる。典型的には、このような培養培地に添加される微量金属溶液の量は、約1ml/Lより多く、好ましくは約5mL/Lより多く、より好ましくは約10mL/Lより多い。しかしながら、培養培地への微量金属の添加は、ある特定の濃度を超えると、微生物の増殖に有利ではない。したがって、このような培養培地に添加される微量金属溶液の量は、典型的には約100mL/L未満、好ましくは約50mL/L未満、より好ましくは約30mL/L未満である。微量金属をストック溶液で添加することに加えて、個々の成分を、それぞれ上記した微量金属溶液の範囲によって決定された成分の量に個別に対応する範囲内で別々に添加してもよいことに留意されたい。
【0170】
[00181] 培養培地は、他のビタミン、例えばパントテン酸塩、ビオチン、カルシウム、パントテン酸塩、イノシトール、ピリドキシン-HCl、およびチアミン-HClを包含していてもよい。このようなビタミンは、便宜上培養培地の残りから別々に調製することができるストック溶液として培養培地に添加することができる。しかしながら、培養培地へのビタミンの添加は、ある特定の濃度を超えると、微生物の増殖に有利ではない。
【0171】
[00182] 本明細書に記載される発酵方法は、従来の培養様式で実行することができ、このような様式としては、これらに限定されないが、バッチ、流加培養、細胞再循環、連続および半連続様式が挙げられる。一部の実施形態において、発酵は、流加培養様式で行われる。このようなケースにおいて、例えば発酵産生段階中のパントテン酸塩など、培養中に培地の成分の一部を枯渇させる。一部の実施形態において、開始時には、例えば産生段階の開始時には、添加が必要になる前の期間にわたり増殖および/またはステビオール配糖体産生が続くように、このような成分が比較的高い濃度で培養物に補充されていてもよい。これらの成分の好ましい範囲は、培養によってレベルが下がったときに添加を行うことによって培養中にわたり維持される。培養培地中の成分のレベルは、例えば培養培地を定期的にサンプリングし濃度をアッセイすることによってモニターすることができる。代替として、標準的な培養手順が一旦開発されたら、培養中にわたり特定の時間で、公知のレベルに対応する時間を定められたインターバルで添加を行うことができる。これは当業者には認識されるであろうが、栄養素の消費速度は、培養中、培地の細胞密度が増加するにつれて増加する。さらに、培養培地への外来微生物の導入を回避するために、添加は、当業界において公知のように、無菌の添加方法を使用して実行される。加えて、培養中に少量の消泡剤が添加されていてもよい。
【0172】
[00183] 培養培地の温度は、遺伝子改変された細胞の増殖および/またはステビオール配糖体の産生に好適な任意の温度であり得る。例えば、培養培地に接種材料を植え付ける前に、培養培地は、約20℃~約45℃の範囲の温度、好ましくは約25℃~約40℃の範囲、より好ましくは約28℃~約32℃の範囲の温度にして、その温度を維持してもよい。
【0173】
[00184] 培養培地のpHは、培養培地への酸または塩基の添加によって制御することができる。このようなケースにおいて、pHを制御するのにアンモニアが使用される場合、アンモニアも、培養培地中の窒素源として好都合に役立つ。好ましくは、pHは、約3.0~約8.0、より好ましくは約3.5~約7.0、最も好ましくは約4.0~約6.5に維持される。
【0174】
[00185] 一部の実施形態において、培養培地の炭素源濃度、例えばグルコース濃度は、培養中にモニターされる。培養培地のグルコース濃度は、上清中のグルコース濃度、例えば培養培地の無細胞成分をモニターするのに使用することができる、例えばグルコースオキシダーゼ酵素試験または高圧液体クロマトグラフィーの使用などの公知の技術を使用して、モニターすることができる。これまでに述べたように、炭素源濃度は、細胞増殖の阻害が起こるレベル未満に維持するべきである。炭素源としてのグルコースに関してこのような濃度は生物ごとに変更できるが、細胞増殖の阻害は、約60g/Lより高いグルコース濃度で起こり、試験によって容易に決定することができる。したがって、グルコースが炭素源として使用される場合、好ましくは、グルコースは発酵槽にフィードされ、検出限界未満で維持される。代替として、培養培地中のグルコース濃度は、約1g/L~約100g/Lの範囲、より好ましくは約2g/L~約50g/Lの範囲、その上さらにより好ましくは約5g/L~約20g/Lの範囲で維持される。炭素源の濃度は、例えば実質的に純粋なグルコース溶液の添加によって望ましいレベル内に維持できるが、元の培養培地のアリコートの添加によって培養培地の炭素源の濃度を維持することが許容でき、好ましい場合がある。元の培養培地のアリコートの使用は、培地中の他の栄養素(例えば窒素およびリン酸源)の濃度も同時に維持できるため望ましい。同様に、微量金属の濃度は、微量金属溶液のアリコートの添加によって培養培地中で維持することができる。
【0175】
[00186] 他の好適な発酵培地および方法は、例えば、WO2016/196321に記載されている。
【0176】
6.9 発酵組成物
[00187] 別の態様において、本明細書に記載される遺伝子改変された宿主細胞および遺伝子改変された宿主細胞から産生されたステビオール配糖体を含む発酵組成物が本明細書で提供される。発酵組成物は、培地をさらに含んでいてもよい。ある特定の実施形態において、発酵組成物は、遺伝子改変された宿主細胞を含み、RebA、RebD、およびRebMをさらに含む。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される発酵組成物は、遺伝子改変された宿主細胞から産生されたステビオール配糖体の主成分として、RebMを含む。ある特定の実施形態において、発酵組成物は、RebA、RebD、およびRebMを、少なくとも1:7:50の比率で含む。他の実施形態において、発酵組成物は、(RebA+RebD)およびRebMを、少なくとも8:50の比率で含む。ある特定の実施形態において、発酵組成物は、RebA、RebD、およびRebMを、少なくとも1:7:50~1:100:1000の比率で含む。他の実施形態において、発酵組成物は、(RebA+RebD)およびRebMを、少なくとも8:50~101:1000の比率で含む。ある特定の実施形態において、発酵組成物は、少なくとも1:7:50~1:200:2000の比率を含む。他の実施形態において、発酵組成物は、(RebA+RebD)およびRebMを、少なくとも8:50~201:2000の比率で含む。ある特定の実施形態において、RebA、RebD、およびRebMの比率は、遺伝子改変された宿主細胞および培地に付随するこれら3種のステビオール配糖体の総含量に基づく。ある特定の実施形態において、RebA、RebD、およびRebMの比率は、培地中のこれら3種のステビオール配糖体の総含量に基づく。ある特定の実施形態において、RebA、RebD、およびRebMの比率は、遺伝子改変された宿主細胞に付随するこれら3種のステビオール配糖体の総含量に基づく。
【0177】
[00188] 他の実施形態において、発酵組成物は、遺伝子改変された宿主細胞を含み、RebAおよびRebMをさらに含む。ある特定の実施形態において、発酵組成物は、RebAおよびRebMを、少なくとも1:50のRebA:RebMの比率で含む。ある特定の実施形態において、発酵組成物は、RebAおよびRebMを、少なくとも1:50~1:1000のRebA:RebMの比率で含む。ある特定の実施形態において、発酵組成物は、RebAおよびRebMを、少なくとも1:50~1:2000のRebA:RebMの比率で含む。ある特定の実施形態において、RebAとRebMとの比率は、遺伝子改変された宿主細胞および培地に付随するこれらの2種のステビオール配糖体の総含量に基づく。ある特定の実施形態において、RebAとRebMとの比率は、培地中のこれらの2種のステビオール配糖体の総含量に基づく。ある特定の実施形態において、RebAとRebMとの比率は、遺伝子改変された宿主細胞に付随するこれらの2種のステビオール配糖体の総含量に基づく。
【0178】
[00189] さらなる実施形態において、発酵組成物は、遺伝子改変された宿主細胞を含み、RebDおよびRebMをさらに含む。ある特定の実施形態において、発酵組成物は、RebDおよびRebMを、少なくとも7:50のRebD:RebMの比率で含む。ある特定の実施形態において、発酵組成物は、RebDおよびRebMを、少なくとも7:50~7:100のRebD:RebMの比率で含む。ある特定の実施形態において、発酵組成物は、RebDおよびRebMを、少なくとも7:50~7:200のRebD:RebMの比率で含む。ある特定の実施形態において、RebA、RebD、およびRebMの比率は、遺伝子改変された宿主細胞および培地に付随するこれらの2種のステビオール配糖体の総含量に基づく。ある特定の実施形態において、RebDおよびRebMの比率は、培地中のこれらの2種のステビオール配糖体の総含量に基づく。ある特定の実施形態において、RebDおよびRebMの比率は、遺伝子改変された宿主細胞に付随するこれらの2種のステビオール配糖体の総含量に基づく。
【0179】
[00190] ある特定の実施形態において、本明細書で提供される発酵組成物は、RebM2を検出不可能なレベルで含有する。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される発酵組成物は、天然に存在しないステビオール配糖体を検出不可能なレベルで含有する。ある特定の実施形態において、本明細書で提供される発酵組成物は、GC-クロマトグラフィーに供される場合、RebAのピークとRebBとの間に検出可能なレベルで「ステビオール+2種のグルコース」ピークを生じない。
【0180】
6.10 ステビオール配糖体の回収
[00191] ステビオール配糖体が宿主細胞によって産生されたら、それを、当業界において公知の任意の好適なステビオール配糖体の分離および精製方法などの任意の好適な分離および精製方法を使用して、それに続く使用のために回収または単離することができる。好適な方法は、例えば、米国特許第7,838,044号および8,981,081号;米国特許出願第14/603,941号、14/033,563号、14/362,275号、14/613,615号、14/615,888号;PCT出願PCT/US12/070562号、およびPCT/US14/031129号に記載されている。これらの文書の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に包含される。一部の実施形態において、ステビオール配糖体を含む水相は、遠心分離によって発酵物から分離される。他の実施形態において、ステビオール配糖体を含む水相は、発酵物から自発的に分離する。他の実施形態において、ステビオール配糖体を含む水相は、発酵反応物に解乳化剤および/または造核剤を添加することによって発酵物から分離される。解乳化剤の説明に役立つ例としては、凝集剤および凝固剤が挙げられる。造核剤の説明に役立つ例としては、ステビオール配糖体それ自体の液滴、ならびにドデカン、ミリスチン酸イソプロピル(isopropyl myristrate)、およびオレイン酸メチルなどの有機溶媒が挙げられる。
【0181】
[00192] これらの細胞で産生されたステビオール配糖体は、培養上清中に、および/または宿主細胞に付随して存在していてもよい。ステビオール配糖体が宿主細胞に付随する実施形態において、ステビオール配糖体の回収は、細胞を透過化するかまたは溶解させる方法を含んでいてもよい。代替として、または同時に、培養培地中のステビオール配糖体は、これらに限定されないが、クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、抽出、溶媒抽出、膜分離、電気透析、逆浸透、蒸留、化学的な誘導体化および結晶化などの回収プロセスを使用して回収することができる。
【0182】
[00193] 一部の実施形態において、ステビオール配糖体は、水相中に存在し得る他の生成物から分離される。一部の実施形態において、分離は、吸着、蒸留、気液抽出(ストリッピング)、液液抽出(溶媒抽出)、真空抽出、蒸発、限外ろ過、および標準的なクロマトグラフ技術を使用して達成される。他の好適な発酵培地および方法は、例えば、米国特許出願公開公報第2016/0185813号、2017/0190728号、WO/2017/093895に記載されている。他の好適な方法は、例えば、米国特許第7,838,044号および8,981,081号;米国特許出願第14/603,941号、14/033,563号、14/362,275号、14/613,615号および14/615,888号;PCT出願第PCT/US12/070562号、およびPCT/US14/031129号に記載されている。これらの文書の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に包含される。
【0183】
[00194] ある特定の実施形態において、回収されたステビオール配糖体は、様々な最終製品で使用することができる。例えば、精製されたRebM化合物またはRebMを含む組成物は、任意の消耗製品、例えば食品、医薬品、栄養補助サプリメント、または栄養補給サプリメントで使用することができる。特定の実施形態において、RebMを含む消耗品は、RebMの生成に好適な条件下で、前記請求項のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞の集団を、炭素源を含む培地中で培養すること;および培地から前記RebM化合物を回収すること、のプロセスによって生成される。
【0184】
[0195] 甘味料組成物は、本明細書で使用される場合、少なくとも1種の甘味成分を、例えば別の甘味料または添加剤などの少なくとも1つの他の物質と組み合わせて含有する組成物を意味する。
【0185】
[0196] 甘味付与可能な組成物は、本明細書で使用される場合、ヒトまたは動物の口と接触する物質、例えば、口に入りその後口から排出される物質、および飲む、食べる、嚥下する、またはそれ以外の方法で摂取される物質などを意味し、一般的に許容できる範囲で使用される場合、ヒトまたは動物の摂取にとって安全である。
【0186】
[0197] 甘味付与組成物(sweetened composition)は、本明細書で使用される場合、甘味付与可能な組成物と甘味料または甘味料組成物の両方を含有する物質を意味する。例えば、甘味料成分を含まない飲料は、一種の甘味付与可能な組成物である。本発明の方法によって産生されたRebMおよびエリスリトールを含む甘味料組成物を、甘味付与されていない飲料に添加することによって、甘味付与飲料を提供することができる。甘味付与飲料は、一種の甘味付与組成物である。好適な甘味料組成物、甘味付与組成物およびそれらの生成方法は、例えばPCT出願PCT/US12/070562に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に包含される。
【0187】
[0198] 一実施形態において、RebMを含む甘味料は、RebMの生成に好適な条件下で、前記請求項のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞の集団を、炭素源を含む培地中で培養すること;および培地から前記RebM化合物を回収すること、のプロセスによって生成される。別の実施形態において、少なくとも1つの他の物質およびRebMを含む甘味料組成物は、RebMの生成に好適な条件下で、前記請求項のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞の集団を、炭素源を含む培地中で培養すし;培地から前記RebM化合物を回収するプロセスによって生成される。別の実施形態において、RebMを含む甘味付与組成物は、RebMの生成に好適な条件下で、前記請求項のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞の集団を、炭素源を含む培地中で培養すること;および培地から前記RebM化合物を回収すること、のプロセスによって生成される。一実施形態は、甘味料組成物を生成する方法であって、RebMの生成に好適な条件下で、前記請求項のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞の集団を、炭素源を含む培地中で培養すること;および培地から前記RebM化合物を回収すること、のプロセスによって生成されるRebMと、少なくとも1つの他の物質を組み合わせることを含む方法を含む。別の実施形態は、甘味付与組成物を生成する方法であって、RebMの生成に好適な条件下で、前記請求項のいずれか一項に記載の遺伝子改変された宿主細胞の集団を、炭素源を含む培地中で培養すること;および培地から前記RebM化合物を回収すること、のプロセスによって生成されるRebMと、少なくとも1つの甘味付与可能な組成物を組み合わせることを含む方法を含む。
【0188】
6.11 遺伝子改変された細胞の生成方法
[00199] また、例えばUGT40087および/または例えばステビオール配糖体化合物のための生合成経路酵素をコードする1つまたは複数の異種核酸などの、上述した改変の1つまたは複数を含むように遺伝子操作された宿主細胞を産生するための方法も本明細書で提供される。宿主細胞における異種酵素の発現は、宿主細胞中での発現を許容する調節エレメントの制御下に、酵素をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を宿主細胞に導入することによって達成することができる。一部の実施形態において、核酸は、染色体外プラスミドである。他の実施形態において、核酸は、宿主細胞の染色体に組み込まれる。
【0189】
[00200] タンパク質をコードする核酸は、限定されない当業者公知の任意の方法によって宿主細胞に導入することができる(例えば、Hinnen et al.(1978)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1292-3;Cregg et al.(1985) Mol. Cell. Biol. 5:3376-3385;Goeddel et al. eds, 1990, Methods in Enzymology, vol. 185, Academic Press, Inc., CA;Krieger, 1990, Gene Transfer and Expression -- A Laboratory Manual, Stockton Press, NY;Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning -- A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY;およびAusubel et al., eds., Current Edition, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, NYを参照)。例示的な技術としては、これらに限定されないが、スフェロプラスト化、エレクトロポレーション、PEG1000が媒介する形質転換、および酢酸リチウムまたは塩化リチウムが媒介する形質転換が挙げられる。
【0190】
[00201] 宿主細胞における酵素の活性は、酵素をコードする遺伝子の転写を改変することによって変更されてもよい。これは、例えば、酵素をコードするヌクレオチド配列のコピー数を改変することによって(例えば、ヌクレオチド配列を含む発現ベクターのより多くのまたはより少ないコピー数を使用することによって、または宿主細胞のゲノムにヌクレオチド配列の追加のコピーを導入することによって、または宿主細胞のゲノム中のヌクレオチド配列を欠失させるもしくは破壊することによって)、オペロンの多シストロン性mRNAにおけるコード配列の順番を変化させるか、またはそれぞれそれ自身の制御エレメントを有する個々の遺伝子にオペロンを分解することによって、またはヌクレオチド配列が作動可能に連結するプロモーターまたはオペレーターの強度を増加させることによって達成することができる。代替として、または加えて、宿主細胞における酵素の活性は、酵素をコードするmRNAの翻訳のレベルを改変することによって変更されてもよい。これは、例えば、mRNAの安定性を改変すること、リボソーム結合部位の配列を改変すること、リボソーム結合部位と酵素コード配列の開始コドンとの間の距離または配列を改変すること、酵素コード領域の開始コドンの5’側の「上流」またはそれに隣接して配置された全体のシストロン間領域を改変すること、ヘアピンおよび特殊化した配列を使用してmRNA転写の3’末端を安定化すること、酵素のコドン使用頻度を改変すること、酵素の生合成に使用されるまれなコドンのtRNAの発現を変更すること、および/または例えばそのコード配列の突然変異を介して酵素の安定性を増加させることによって達成することができる。
【0191】
[00202] 宿主細胞における酵素の活性は、これらに限定されないが、宿主細胞において増加または減少した溶解性を呈示する酵素の改変された形態を発現すること、それを介して酵素の活性が阻害されるドメインが欠如した酵素の変更された形態を発現すること、基質に対してより高いまたはより低いKcatまたはより低いまたはより高いKmを有する酵素の改変された形態を発現すること、または程度の差はあるが経路中の別の分子によるフィードバックまたはフィードフォワード調節の影響を受ける酵素の変更された形態を発現することなどの多数の方法で変更することができる。
【0192】
[00203] 一部の実施形態において、宿主細胞を遺伝学的に改変するのに使用される核酸は、形質転換宿主細胞の選択に有用な、さらに、外来DNAを維持するために宿主細胞に選択圧力をかけるのに有用な1つまたは複数の選択可能マーカーを含む。
【0193】
[00204] 一部の実施形態において、選択可能マーカーは、抗生物質耐性マーカーである。抗生物質耐性マーカーの説明に役立つ例としては、これらに限定されないが、BLA、NAT1、PAT、AUR1-C、PDR4、SMR1、CAT、マウスdhfr、HPH、DSDA、KANR、およびSH BLE遺伝子産物が挙げられる。E.coli由来のBLA遺伝子産物は、ベータラクタム系抗生物質(例えば、狭域スペクトルのセファロスポリン、セファマイシン、およびカルバペネム(エルタペネム)、セファマンドール、およびセフォペラゾン)およびテモシリンを除く全ての抗グラム陰性細菌のペニシリンに対する耐性を付与し;S.noursei由来のNAT1遺伝子産物は、ノウルセオトリシンに対する耐性を付与し;S.viridochromogenes Tu94由来のPAT遺伝子産物は、ビアラホス(bialophos)に対する耐性を付与し;Saccharomyces cerevisiae由来のAUR1-C遺伝子産物は、オーレオバシジン(Auerobasidin)A(AbA)に対する耐性を付与し;PDR4遺伝子産物は、セルレニンに対する耐性を付与し;SMR1遺伝子産物は、スルホメツロンメチルに対する耐性を付与し;Tn9トランスポゾン由来のCAT遺伝子産物は、クロラムフェニコールに対する耐性を付与し;マウスdhfr遺伝子産物は、メトトレキセートに対する耐性を付与し;クレブシェラ肺炎杆菌のHPH遺伝子産物は、ハイグロマイシンBに対する耐性を付与し;E.coliのDSDA遺伝子産物は、単独の窒素源としてD-セリンを含むプレート上での細胞の増殖を可能にし;Tn903トランスポゾンのKANR遺伝子は、G418に対する耐性を付与し;Streptoalloteichus hindustanus由来のSH BLE遺伝子産物は、ゼオシン(ブレオマイシン)に対する耐性を付与する。一部の実施形態において、抗生物質耐性マーカーは、本明細書で開示された遺伝子改変された宿主細胞を単離した後、除去される。
【0194】
[00205] 一部の実施形態において、選択可能マーカーは、遺伝子改変された微生物における要求性(例えば、栄養要求性)をレスキューする。このような実施形態において、アミノ酸またはヌクレオチド生合成経路において機能し、機能しないと、親細胞を1種または複数の栄養素が補充されていない培地中で増殖できなくする1つまたは複数の遺伝子産物における機能の破壊を、親微生物は含む。このような遺伝子産物としては、これらに限定されないが、酵母におけるHIS3、LEU2、LYS1、LYS2、MET15、TRP1、ADE2、およびURA3遺伝子産物が挙げられる。次いで栄養要求性表現型は、破壊した遺伝子産物の機能的なコピーをコードする発現ベクターまたは染色体組込みコンストラクトで親細胞を形質転換することによってレスキューすることができ、生成した遺伝子改変された宿主細胞は、親細胞の栄養要求性表現型の損失に基づき選択することができる。URA3、TRP1、およびLYS2遺伝子の選択可能マーカーとしての利用は、陽性および陰性選択の両方が可能になるため、特に有利である。陽性選択は、URA3、TRP1、およびLYS2突然変異の栄養要求性を補うことによって行われ、それに対して陰性選択は、特異的な阻害剤に基づいており、すなわち、原栄養菌株の増殖を抑制するが、それぞれURA3、TRP1、およびLYS2突然変異体の増殖を可能にするそれぞれ5-フルオロ-オロチン酸(FOA)、5-フルオロアントラニル酸、およびアミノアジピン酸(aAA)に基づく。他の実施形態において、選択可能マーカーは、公知の選択方法によって同定できる他の非致死性の欠失または表現型をレスキューする。
【0195】
[00206] 本開示の方法、組成物および生物において有用な特異的な遺伝子およびタンパク質が本明細書に記載される。しかしながら、このような遺伝子に対する絶対的な同一性は必ずしも必要ではないことが認識されるであろう。例えば、ポリペプチドまたは酵素をコードする配列を含む特定の遺伝子またはポリヌクレオチドにおける変更を実行して、活性に関してスクリーニングすることができる。典型的には、このような変更は、保存的突然変異およびサイレント突然変異を含む。このような改変または突然変異したポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、当業界において公知の方法を使用して機能的な酵素の発現に関してスクリーニングすることができる。
【0196】
[00207] 遺伝子コードの固有の縮重のために、実質的に同じかまたは機能的に同等なポリペプチドをコードする他のポリヌクレオチドも、このような酵素をコードするポリヌクレオチドをクローニングして発現させるのに使用することができる。
【0197】
[00208] これは当業者によって理解されるであろうが、コード配列を改変して、特定の宿主におけるその発現を強化することが有利な場合がある。遺伝子コードは、冗長であり64種の可能性のあるコドンを有するが、ほとんどの生物は、典型的にはこれらのコドンの一部を使用する。ある種でほとんどの場合に利用されるコドンは、最適なコドンと称され、めったに利用されないコドンは、まれなまたは低利用のコドンと分類される。コドンは、プロセス中の宿主における好ましいコドン使用頻度を反映するように置換されてもよく、これは、「コドン最適化」または「種のコドンバイアスの制御」と称されることもある。他の宿主細胞のためのコドン最適化は、コドン使用頻度表を使用して容易に決定することができ、または市販のソフトウェア、例えばIntegrated DNA TechnologiesからのCodonOp(www.idtdna.com/CodonOptfrom)を使用して実行することができる。
【0198】
[00209] 特定の原核または真核宿主に好ましいコドンを含有する最適化されたコード配列(Murray et al., 1989, Nucl Acids Res.17:477-508)は、例えば、翻訳速度を増加させるために、または望ましい特性、例えば最適化されていない配列から産生された転写物と比較してより長い半減期を有する組換えRNA転写物を産生するために調製することができる。翻訳終止コドンはまた、宿主にとって好ましいように改変することもできる。例えば、S.cerevisiaeおよび哺乳動物のための典型的な終止コドンは、それぞれUAAおよびUGAである。単子葉植物のための典型的な終止コドンは、UGAであるが、それに対して昆虫およびE.coliは一般的に、終止コドンとしてUAAを使用する(Dalphin et al., 1996, Nucl Acids Res. 24:216-8)。
【0199】
[00210] 当業者であれば、遺伝子コードの縮退の性質のために、本開示の所与の酵素をコードするのに、ヌクレオチド配列において異なる様々なDNA分子を使用できることを認識するであろう。上述した生合成酵素をコードする生来的なDNA配列は、単に本開示の実施形態を例示するために本明細書において参照されたものであり、本開示は、本開示の方法で利用される酵素のポリペプチドおよびタンパク質のアミノ酸配列をコードする任意の配列のDNA分子を包含する。同様に、ポリペプチドは、典型的には、望ましい活性の損失または有意な損失を起こすことなくそのアミノ酸配列中に1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、および挿入を受け入れることができる。本開示は、改変されたまたはバリアントポリペプチドが酵素による参照ポリペプチドの同化または異化活性を有する限りは、本明細書に記載される具体的なタンパク質と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを包含する。さらに、本明細書に示されるDNA配列によってコードされたアミノ酸配列は、単に本開示の実施形態を例示したものに過ぎない。
【0200】
[00211] 加えて、本明細書で提供される組成物および方法に有用な酵素の相同体は、本開示に包含される。一部の実施形態において、2つのタンパク質(またはタンパク質の領域)は、アミノ酸配列が少なくとも約30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する場合、実質的に相同である。2つのアミノ酸配列、または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、配列は、最適な比較目的で並べられる(例えば、最適なアライメントのために、第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方にギャップを導入してもよいし、比較目的のために、非相同配列を無視してもよい)。一実施形態において、比較目的で並べられた参照配列の長さは、参照配列の長さの、少なくとも30%、典型的には少なくとも40%、より典型的には少なくとも50%、さらにより典型的には少なくとも60%、さらにより典型的には少なくとも70%、80%、90%、100%である。次いで対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められている場合、その分子は、その位置において同一である(本明細書で使用される場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と同等である)。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの数、および各ギャップの長さを考慮に入れた配列が共通する同一な位置の数の関数である。
【0201】
[00212] タンパク質またはペプチドへの言及において「相同」が使用される場合、同一ではない残基の位置がしばしば保存的アミノ酸置換によって異なることが認識されている。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖(R基)を有する別のアミノ酸残基で置換されている置換である。一般的に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能特性を実質的に変化させないであろう。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なるケースにおいて、配列同一性パーセントまたは相同性の程度は、置換の保存的性質を修正するために上方調整することができる。この調整を行うための手段は当業者周知である(例えば、Pearson W. R., 1994, Methods in Mol Biol 25:365-89を参照)。
【0202】
[00213] 以下の6つのグループはそれぞれ、互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する:1)セリン(S)、スレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、アラニン(A)、バリン(V)、および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0203】
[00214] ポリペプチドの配列相同性は、配列同一性パーセントとも称され、典型的には配列分析ソフトウェアを使用して測定される。分子配列を異なる生物由来の多数の配列を含有するデータベースと比較するのに使用される典型的なアルゴリズムは、コンピュータープログラムのBLASTである。多数の異なる生物由来の配列を含有するデータベースを検索する場合、アミノ酸配列を比較することが典型的である。
【0204】
[00215] さらに、前述の酵素をコードする遺伝子のいずれか(または本明細書で述べられた他の任意のもの(またはそれらの発現を制御またはモジュレートする調節エレメントのいずれか))は、遺伝学的/タンパク質工学技術、例えば当業者公知の定向進化または合理的な変異誘発によって最適化することができる。このような作用は、当業者が、酵母における発現および活性に酵素を最適化することを可能にする。
【0205】
[00216] 加えて、これらの酵素をコードする遺伝子は、他の真菌性および細菌種から同定することができ、この経路のモジュレーションのために発現させることができる。様々な生物がこれらの酵素の源として役立つことができ、このような生物としては、これらに限定されないが、サッカロマイセス属種、例えばS.cerevisiaeおよびS.uvarumなど、クルイベロマイセス属種、例えばK.thermotolerans、K.lactis、およびK.marxianusなど、ピチア属種、ハンセヌラ属種、例えばH.polymorphaなど、カンジダ属種、トリコスポロン属種、ヤマダザイマ属(Yamadazyma)種、例えばY.spp.stipitis、Torulaspora pretoriensis、Issatchenkia orientalisなど、シゾサッカロマイセス種、例えばS.pombeなど、クリプトコックス属種、アスペルギルス種、アカパンカビ属種、または黒穂菌属種が挙げられる。嫌気性真菌由来の遺伝子の源としては、これらに限定されないが、ピロミセス属種、オルピノマイセス属(Orpinomyces)種、またはネオカリマスティクス属種が挙げられる。有用な原核性酵素の源としては、これらに限定されないが、Escherichia coli、Zymomonas mobilis、Staphylococcus aureus、バチルス属種、クロストリジウム属種、コリネバクテリウム属種、シュードモナス属種、ラクトコッカス属種、エンテロバクター属種、およびサルモネラ属種が挙げられる。
【0206】
[00217] 追加の相同な遺伝子および相同な酵素を同定するのに、当業者公知の技術が好適であり得る。一般的に、類似の遺伝子および/または類似の酵素は、機能的な分析によって同定することができ、機能的な類似性を有するであろう。類似の遺伝子および類似の酵素を同定するのに、当業者公知の技術が好適であり得る。例えば、相同なもしくは類似のUDPグリコシルトランスフェラーゼ、PTA、または任意の生合成経路の遺伝子、タンパク質、もしくは酵素を同定するための技術としては、これらに限定されないが、目的の遺伝子/酵素の公開された配列に基づくプライマーを使用したPCRによって、または目的の遺伝子のなかでも保存された領域を増幅するように設計されたディジェネレートプライマーを使用したディジェネレートPCRによって遺伝子をクローニングすることが挙げられる。さらに当業者は、機能的な相同性または類似性を有する相同なまたは類似の遺伝子、タンパク質、または酵素を同定するための技術を使用することができる。このような技術は、前記活性に関するインビトロでの酵素アッセイ(例えば本明細書に記載される通り、またはKiritani, K., Branched-Chain Amino Acids Methods Enzymology, 1970に記載のもの)によって、酵素の触媒活性に関し細胞または細胞培養物を検査すること、次いで前記活性を有する酵素を精製により単離すること、エドマン分解などの技術によって酵素のタンパク質配列を決定すること、可能性がある核酸配列に対してPCRプライマーを設計すること、PCRによって前記DNA配列を増幅すること、および前記核酸配列をクローニングすることを包含する。相同なまたは類似の遺伝子および/または相同なまたは類似の酵素、類似の遺伝子および/または類似の酵素もしくはタンパク質を同定するための技術としてはさらに、候補遺伝子または酵素に関するデータのBRENDA、KEGG、またはMetaCYCなどのデータベースとの比較も挙げられる。候補遺伝子または酵素は、本明細書に記載の教示に従って上述したデータベース内で同定することができる。
【実施例】
【0207】
実施例1:ファルネシルピロリン酸(FPP)およびイソプレノイドファルネセンへの高流量が可能なベースの酵母株の生成
[00218] GAL1またはGAL10プロモーターの制御下でメバロン酸経路(
図1C)の遺伝子を発現することによって、野生型Saccharomyces cerevisiae株(CEN.PK2)からファルネセン産生株を作り出した。この株は、染色体に組み込まれたS.cerevisiae由来の以下のメバロン酸経路遺伝子:アセチル-CoAチオラーゼ、HMG-CoAシンターゼ、HMG-CoAレダクターゼ、メバロン酸キナーゼ、ホスホメバロン酸キナーゼ、メバロン酸ピロリン酸デカルボキシラーゼ、およびIPP:DMAPPイソメラーゼを含んでいた。本明細書に記載される全ての遺伝子は、公的に利用可能なまたは他の好適なアルゴリズムを使用してコドン最適化された。加えて、この株は、同様にGAL1またはGAL10プロモーターのいずれかの制御下にArtemisinin annua由来のファルネセンシンターゼの6コピーを含有していた。この株はまた、GAL80遺伝子の欠失およびGAL4ocプロモーター下にGAL4の追加のコピーも含有していた。ここでSaccharomyces cerevisiaeのGAL4の遺伝子のコード配列は、その生来的なプロモーターの「機能する構成的な」バージョン(PGAL4oc;例えば、GriggsおよびJohnston(1991)PNAS 88(19):8597-8601を参照)の調節的制御下にある。最後にERG9遺伝子は、スクアレンシンターゼをコードしており、生来的なプロモーターを酵母遺伝子MET3のプロモーターで置き換えることによって下方調節される(Westfall et al PNAS 2012)。
【0208】
実施例2.RebAへの高流量が可能なベースの酵母株の生成
[00219]
図2Aは、FPPからステビオールへの例示的な生合成経路を示す。
図2Bは、ステビオールから配糖体RebMへの例示的な生合成経路を示す。上述したファルネセンベース株をC-20イソプレノイドカウレンへの高流量を有するように変換するために、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼ(GGPPS)の6コピー、それに続いてコパリル二リン酸シンターゼおよびカウレンシンターゼのそれぞれの4コピーをゲノムに組み込んだ。この時点で、ファルネセンシンターゼの6コピーが株から除去された。新しい株がent-カウレンを生成することを確認されたら、ent-カウレンをRebAに変換することための残りの遺伝子をゲノムに挿入した。表4に、FPPをRebAに変換するのに使用された全ての遺伝子およびプロモーターを列挙する。2コピーを有していたSr.KAH酵素を除いて、カウレンシンターゼ後の各遺伝子を、単一のコピーとして(with a single copy)組み込んだ(表4)。表1に記載される全ての遺伝子を含有する株は主としてRebAを産生した。酵素UGT91D_like3のRebAをレバウジオシドD(RebD)に変換する活性は多少低い。本発明者らは、UGT91D_like3の単一のコピーは、上述した酵母株において、インビボで株中のRebAのおよそ(3%)をRebDに変換できることを測定した(
図3および表5)。次いでUGT76G1は、RebDを最終産物であるRebMに変換することができる。
【0209】
実施例3.新規のUDPグリコシルトランスフェラーゼ(UGT)酵素がRebAをRebDに変換することをスクリーニングするための株の生成
[00220] インビボでのRebAからRebDへの変換に関して迅速にスクリーニングするためのスクリーニング株を生成するために、上述したRebA株にランディングパッドを挿入した。ランディングパッドは、コンストラクトの両末端に、ALG1オープンリーディングフレーム下流のゲノム領域に対する500bpの遺伝子座標的化DNA配列からなっていた(
図4)。その内部に、ランディングパッドは、エンドヌクレアーゼ認識部位(F-CphI)の端部にPGAL1プロモーターと酵母ターミネーターを含有していた。
【0210】
実施例4.インビボにおいて高効率でRebAをRebDに変換するUGT遺伝子に関してスクリーニングすること
[00221] Genbankから得られた100種を超えるUGT酵素を、S.cerevisiaeでの最適な発現のためにコドン最適化し、上述したランディングパッド中のPGAL1に相同な60bpの配列およびF-CphI配列の端部にある酵母ターミネーターで合成した。各合成UGT遺伝子を、インビボで上述した酵母株においてRebAをRebDに変換する能力に関して、個々に単一のコピーで試験した。酵母を、UGTドナーDNAおよびランディングパッド中のDNAを切断するためのエンドヌクレアーゼF-CphIを含有するプラスミドで形質転換した。各形質転換における特異的なUGT遺伝子の内部のリバースプライマーおよびALG1ORFの端部におけるユニバーサルフォワードプライマーを使用したコロニーPCRによって正しい組込みを検証した。
【0211】
実施例5.酵母形質転換方法
[00222] 各DNAコンストラクトを、最適化された酢酸リチウム(LiAc)形質転換法で、標準的な分子生物学技術によりSaccharomyces cerevisiae(CEN.PK2)に組み込んだ。簡単に言えば、細胞を、酵母抽出物であるペプトンデキストロース(YPD)の培地中、振盪しながら(200rpm)30℃で一晩増殖させ、100mLのYPDで0.1のOD600に希釈し、0.6~0.8のOD600に増殖させた。各形質転換につき、5mLの培養物を遠心分離によって回収し、5mLの滅菌水で洗浄し、再度遠沈させ、1mLの100mMのLiAcに再懸濁し、マイクロ遠沈管に移した。細胞を30秒間遠沈させ(13,000×g)、上清を除去し、細胞を、240μLの50%PEG、36μLの1MのLiAc、沸騰により加熱処理した10μLのサケ精子DNA、および74μLのドナーDNAからなる形質転換ミックスに再懸濁した。エンドヌクレアーゼF-Cph1の発現を必要とした形質転換のために、ドナーDNAは、発現のための酵母TDH3プロモーター下で発現されたF-CphI遺伝子を有するプラスミドを包含していた。これは、ランディングパッド中のF-CphIエンドヌクレアーゼ認識部位を切断して、UGT遺伝子の組込みを容易にするであろう。42℃で40分ヒートショックをかけた後、細胞を一晩でYPD培地中に回収し、その後、選択培地上で平板培養した。組込みに特異的なプライマーを用いたコロニーPCRによってDNA組込みを確認した。
【0212】
実施例6.酵母培養条件
[00223] 期待されるUGT遺伝子を含有すると確認された酵母コロニーを、20g/Lスクロースおよび37.5g/L硫酸アンモニウムを含むバードシード培地(Bird Seed Media:BSM、元はvan Hoek et al., Biotechnology and Bioengineering 68(5), 2000, pp. 517-523に記載されている)を含有する96-ウェルマイクロタイタープレートに採取した。1000rpmで振盪する高容量マイクロタイタープレートインキュベーター中、30℃、80%湿度で3日間、培養物が炭素を消費しつくすまで細胞を培養した。増殖が飽和した培養物から14.4μlをとり、360μlの新鮮な培地に希釈することによって、その飽和した培養物を、40g/Lスクロースおよび150g/L硫酸アンモニウムを含むBSMを含有する新しいプレートで二次培養した。産生培地中の細胞を、抽出および分析前の追加の3日間、1000rpmおよび80%湿度の高容量マイクロタイタープレート振盪機で30℃で培養した。終わったら、全細胞の液体培地を360uLの100%エタノールで希釈し、ホイルシールで密封し、1250rpmで30分振盪して、ステビオール配糖体を抽出した。新しい1.1mLのアッセイプレートに490uLの50:50エタノール:水を添加し、10uLの培養物/エタノール混合物を、アッセイプレートに添加する。混合物を遠心分離して、全ての固体をペレット化し、溶液の400uLを新しい1.1mLのプレートに移し、LC-MSによってアッセイする。
【0213】
実施例7.分析方法
[00224] Sigma Ascentis Express Peptide ES-C18(5cm、2.1mm、2.7um;パート番号53301-U)を以下の勾配(移動相A:H2O中の0.1%ギ酸;移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸)で使用したLC-MS質量分析計(AB QTrap 4000)によって、サンプルを分析した。
【0214】
【0215】
[00225] 質量分析計を陰イオン多重反応モニタリングモードで操作した。信頼できる標準、およびMRMトランジションから決定された保持時間によって各レバウジオシド異性体を同定した。
【0216】
【0217】
[00226] 質量分析計からのクロマトグラムからのピーク領域を使用して、検量線を作成した。関連化合物(すなわち、RebA、RebD、RebM)のモル比を、信頼できる標準を使用した外部補正によって量を各化合物のモルで定量すること、次いで適切な比率をとることによって決定した。
【0218】
[00227] NMR分析を実行して、RebMが遺伝子改変された株から産生されたことを確認した。発酵後、株を発酵ブロスから除去した。残存する液状培地からステビオール配糖体を精製した。例えば、WO/2017/093895およびWO/2016/028899に記載されるものなどの任意の好適なNMR分析ための方法を使用することができる。
【0219】
実施例8.RebAをRebDに変換する高い活性を有することが見出されたUGT酵素
[00228] 6つのUGT酵素は、RebAをRebDに変換する高い活性を有することが見出された(
図3)。これらの酵素の性能を、同様にRebAからRebDへの変換を実行する文献に記載される他の2つのUGT酵素、Os_UGT_91C1(すなわち、WO2013/022989A2に記載されるEUGT11)およびSl_UGT_101249881(すなわち、WO2014/193888A1に記載のUGTSL2)に対する基準とした。表5に、[Reb(D+M)のマイクロモル/(A+D+M)のマイクロモル]の比率の中央値を列挙した。インビボで、RebA、RebD、およびRebMを上述したようにして測定した。この比率は、RebAからRebDへの変換の効率の尺度である。[Reb(A+D+M)]のuMの合計は、細胞中ですでに生成されていた総RebAを測定する。[Reb(D+M)]のuMの合計は、細胞中ですでに生成されていた総RebDを測定する。
図5A~Iは、
図3および表2における全てのUGT遺伝子のRebE、RebA、RebD、RebM、およびRebM2のクロマトグラムを示す。RebM2は、単一の間違ったグルコース連結を有するRebMの異性体である。RebM2は、RebMにとって望ましいGlcβ(1-2)[Glcβ(1-3)]Glcβ1-の代わりに、19炭素位置(COOH)にGlcβ(1-2)[Glcβ(1-6)]Glcβ1-を有する。
【0220】
[00229] 実施例7に記載されるNMR方法を使用して、UGT40087を含む株から生成したサンプル生成物を、1Dおよび2D NMR分光法によって標準RebMと比較した。メタノールおよびピリジン中で記録された1Dおよび2D NMRスペクトルのオーバーレイから、両方の化合物が同一であることが確認された。2D NMRデータの詳細な解釈および文献で公開されたデータとの比較から、両方のサンプルがRebMであったことが確認された。
【0221】
[00230] 0.5または2.0リットルのいずれかの発酵容器中で、UGT40087は、異なる株のバックグラウンドで発現される場合、RebA、RebD、およびRebMを、約1:7:50のおよそのRebA:RebD:RebMの比率で産生した。
【0222】
【0223】
【0224】
実施例9:RebAをRebDに変換する表5に記載の酵素の特異性
[00231] 表5に列挙した酵素は、ベータ-1,2連結グリコシド結合の形成を介してRebAの19-O-グルコースのC-2’位にグルコース糖を付加することによって、RebAからRebDへの変換を触媒することができる。ある特定の実施形態において、異種宿主におけるRebMの生物工学的な産生にとって、(1)高い純度で、(2)いかなる「非天然の」ステビオール配糖体も産生せずにRebMを産生することが望ましい。市場で販売される任意の製品は、最良の風味のプロファイルを保証し、複数の人間用食物の規制基準を満たすために極めて高い純度を必要とするであろう。RebM以外のステビオール配糖体の存在は、高度に純粋なRebMを得るのに下流処理のコストを増加させるであろう。有意な量の非RebMステビオール配糖体が存在する場合、RebM製品の最終純度を損なう可能性がある。ある特定の実施形態において、異種酵素が「非天然の」ステビオール配糖体を全く産生しないことが有利な可能性がある。ここで「非天然の」ステビオール配糖体は、Stevia rebaudiana植物において天然に存在することがわかっていない任意のステビオール配糖体と定義される。
【0225】
[00232] 上述した理由のために、表5に列挙した全ての酵素をそれらの不純物プロファイルに関して検査して、それらが
図2Bに示されていない何らかの予想外のまたは非天然のステビオール配糖体を生成するかどうかを決定した。表2に列挙した全ての酵素についてより長い保持時間でのクロマトグラフトレースをさらに分析した。50%を超える変換効率を有する全ての酵素のなかでも、予想外の生成物を生成しなかった酵素は、UGT40087およびOs_UGT_91C1(EUGT11)のみであった。予想通りに、UGT91D_like3は、クロマトグラムにおいて予想外のピークを生じなかった。
【0226】
[00233] 50%を超える変換効率を有する酵素のなかでも、これらの酵素のクロマトグラフトレースは、天然に存在しない配糖体に関連する1つまたは複数の予想外のピークを生じた。例えば、Ob_UGT91B1_likeのクロマトグラフトレースは、約6.61分の保持時間でRebAのピークとRebBピークとの間に予想外のピーク(ステビオール+2種のグルコース)を生じた。Ob_UGT91B1_likeの予想外のピークの強度は、RebAのピークの強度より少なくとも31倍大きかった。
図9cを参照されたい。予想外のピーク(ステビオール+2種のグルコース)は、親対照株(UGT74G1、UGT85C2、UGT76G1、およびUGT91D_like3を含む)からの、またはUGT40087を含む株からのクロマトグラフトレースにおいて存在しない。
図9bおよび9cを参照されたい。別の実施例において、Hv_UGT_V1のクロマトグラフトレースは、約6.61分の保持時間でRebAのピークとRebBピークとの間に予想外のピーク(ステビオール+2種のグルコース)を生じた。Hv_UGT_V1の予想外のピークの強度は、RebAのピークの強度より0.6の係数で低かった。別の実施例において、Sl_UGT_101249881のクロマトグラフトレースは、約6.67分の保持時間でRebAのピークとRebBピークとの間に予想外のピーク(ステビオール+2種のグルコース)を生じた。Sl_UGT_101249881の予想外のピークの強度は、RebAのピークの強度より約1.11倍大きかった。別の実施例において、Sr.UGT_g252778のクロマトグラフトレースは、約6.67分の保持時間でRebAのピークとRebBピークとの間に予想外のピーク(ステビオール+2種のグルコース)を生じた。Sr.UGT_g252778の予想外のピークの強度は、RebAのピークの強度より約0.96の係数で低かった。これらの酵素の一部は、追加の予想外のピークも生成した。Hv_UGT_V1、Sl_UGT_101249881、およびSr.UGT_g252778のクロマトグラフトレースは省略する。
【0227】
[00234] これらの結果から、2つの酵素UGT40087およびOs_UGT_91C1(EUGT11)と比較して、50%より高いAからDへの変換効率を有する他の3つの酵素(すなわち、Hv_UGTV1、SI_UGT_101249881、およびSr.UGT_g252778)は、通常Stevia Rebaudiana植物ではRebMへの経路では生成されないステビオール配糖体を産生する可能性がある追加の反応を触媒できることが示される。
【0228】
【0229】
実施例10:UGT40087の酵素活性はステビオール配糖体の19-O-グルコースのC-2’位に特異的である
[00235] UGT40087は、ステビオシドまたはRebAのいずれかの19-O-グルコースのC-2’への第2の糖部分を付加する反応を触媒する。
図5aおよび5iで示されるように、UGT40087を含まない親対照株(実施例2に記載した通り)は、RebA生成できるが、検出可能な量のRebE、RebD、またはRebMを生成しない。ここで親細胞へのUGT40087の付加は、検出可能な量のRebEを生じることから、UGT40087は、ステビオシドのベータ-1,2連結における19-O-グルコースのC-2’位への第2のグルコース部分の付加を触媒して、RebEを生成することが示される。UGT40087を含有する株のクロマトグラム中にRebDおよびRebMに関する2つの新しいピークも出現するが、RebAに関するピークは、UGT40087を含まない親株と比較して有意に減少する。それゆえに、UGT40087は、レバウジオシドAからレバウジオシドDへのベータ-1,2連結における19-O-グルコースのC-2’位への第2のグルコース部分の付加を触媒することができる。次いで株におけるUGT76G1の存在は、最終的なグルコース付加を触媒して、RebDをRebMに変換する。
【0230】
[00236] ステビオールモノシドまたはルブソシドのいずれかのベータ-1,2連結における13-O-グルコースのC-2’位に糖を付加する能力をスクリーニングするために、ルブソシドのみへの高流量を有するベースの株を生成した。ルブソシドベースの株は、酵素UGT91D_like3を含有しない点以外は、実施例2に記載されたRebAベースの株と遺伝学的に同一である。表7で示されるように、ルブソシドベースの株は、UGT74G1、UGT85C2、およびUGT76G1を有し、19-配糖体、ステビオールモノシド、およびルブソシドを生成することのみ可能である。この株にUGT40087を付加することは、このプロファイルを全く変化させない。UGT40087が、ステビオールモノシドまたはルブソシドのいずれかのベータ-1,2連結における13-O-グルコースのC-2’位に糖を付加することが可能であった場合、検出可能な量のステビオールビオシドもしくはステビオシドのいずれかまたはその両方が存在するはずである。この株が、ステビオールモノシドおよびルブソシドの両方のベータ-1,2連結における13-O-グルコースのC-2’位に糖を付加することが可能であるUGT91D_like3で形質転換される場合、ステビオールビオシド、ステビオシド、さらにはRebAもみられる。
【0231】
[00237] EUGT11(Os_UGT_91C1)はこれまでに、19-O-ステビオール配糖体または13-O-ステビオール配糖体のいずれかのC-2’位への第2の糖部分の付加を触媒することが他者によって特徴づけられている。WO2013/022989の
図5を参照されたい。上述したように、UGT40087は、ステビオールモノシドまたはルブソシドのいずれかのベータ-1,2連結における13-O-グルコースのC-2’位への糖の付加を検出可能なレベルで触媒しないようである。これらの結果から、UGT40087は、機能的に区別可能であり、EUGT11と比較して異なる結果をもたらすUDPグリコシルトランスフェラーゼであることが示される。
【0232】
【0233】
実施例11.N末端ドメインの交換によるUGTキメラの操作
[00238] 植物性のUDPグリコシルトランスフェラーゼ(UGT)は、それらのアミノ酸配列相同性が相対的に低いとしても、高度に保存されたタンパク質構造を共有する。これらのUGTは、いわゆるGT-B構造的フォールドを受け入れ、大まかにそれらの一次アミノ酸配列の中間地点で分割される2つのドメインからなる。N末端ドメインは、主として基質特異性を決定する糖アクセプタードメインである。このドメインは、予想通りにそのアミノ酸配列に関してより可変性のドメインであり、これはUGTによってグリコシル化できる基質が多様であることを反映している。より高度に保存されたC末端ドメインは、糖ドナードメインであり、ここにUDP-グルコースが結合する。2つのドメインは通常、フレキシブルなリンカーによって連結されており、ドメイン交換設計のためにタンパク質を分割するのに理想的な領域を作り出している(
図6)。UGTの高度に保存されたドメイン構造の性質を考慮して、いずれか2つのUGTからのドメインを、基質特異性を変更するかまたは触媒活性などの望ましい機能を強化するかのいずれかのために組み換えることができる。この実施例において、本発明者らは、ドメイン交換を介していくつかのUGTキメラを設計することによって、基質特異性、すなわちRebAをRebDに変換する活性を付与することにおけるUGT40087のN末端ドメインの役割を調査した。
【0234】
[00239] ドメイン交換実験を設計するのに採用されるであろう一般的なアプローチは、以下:1)交換候補の対を選択する工程、2)UGT対の間でキメラを生成するための(任意選択で、C末端ドメインを突然変異させて、標的化された基質およびN末端ドメインとの相互作用を改善するための)ドメイン交換部位を選択する工程、ならびに3)望ましい活性のためにキメラタンパク質を作り出す、試験する、および開発する工程を含む。この実施例では、後述するようにドメイン交換を実行するためにこのアプローチを採用した。
【0235】
[00240] キメラを構築するための親として4つのUGT:UGT40087(配列番号11)、UGTSi91Dlike(配列番号12)、OS_UGT_91C1(配列番号8)、および91Dlike3(配列番号7)を選択した。UGT40087のN末端ドメインを使用して、Si91Dlike、OS_UGT_91C1および91Dlike3のN末端ドメインを置き換え、UGT40087とそれぞれ97%、79%および71%の全体的な配列同一性を有する3つのキメラを作り出した。
【0236】
[00241] スイスモデルを使用して、4つ全てのUGTに関する構造モデルを生成した。構造アライメントおよび配列アライメントに基づき正確なアミノ酸位置(「交換部位」)を選択した。キメラタンパク質の3次元フォールディングのばらつきを最小化するために、酵素の2つの別個の半分を構成するN末端ドメインとC末端ドメインとの間に配置されたフレキシブルな領域(
図6)を、交換部位に使用した。この実施例において、この領域におけるGly215およびLeu216(アミノ酸の数値は、UGT40087に対するものである)は、4つのUGTを包含する全てのUGTにおいて高度に保存されている。それゆえに、ドメイン交換のために、これらの2つの残基の間で2つのドメインを分割した(
図6)。
【0237】
[00242] ドメイン交換の作用を試験するために、異なるUGTを包含することを除いて遺伝学的に同一な酵母株で実験を実行した。しかしながら、これらの酵母株は、実施例4に記載されるUGT多様性スクリーニングで使用されたものとは遺伝学的に異なる。実施例4~7に記載した株の形質転換、培養、および分析に関する一般的な方法を使用した。以下の表8に、様々なドメイン交換設計のRebAからRebDへの変換の比率を示す。
【0238】
【0239】
[00243] UGT40087は、Si91Dlike、Os_UGT_91C1および91Dlike3とそれぞれ90%、54%および36%の全体的な配列同一性を有する。NおよびC末端配列の両方においてUGT40087とおよそ40%の配列同一性を有する91Dlike3を除いて、UGT40087のN末端ドメインと、Si91DlikeおよびOs_UGT_91C1のC末端ドメインとのキメラは、RebAをRebDに変換することにおいて活性である(表8)。Si91Dlikeは検出可能な活性を有していないにもかかわらず、そのN末端ドメインのUGT40087のN末端ドメインによる置き換えは、UGT40087活性の全てを付与したことから、UGT40087のN末端ドメインは、RebAからRebDへの変換にとって重要であることが示される。
【0240】
[00244] また4つの親のUGTのアライメントは、RebAからRebDへの変換に関する2つの活性な酵素(UGT40087およびOs_UGT_91C1)が共有するが、2つの不活性な酵素(Si91Dlikeおよび91Dlike3)においては異なっている6つのN末端アミノ酸残基(UGT40087における、V11、I12、P55、E90、S203、E223、およびV413;
図8-配列アライメントの図)も明らかにした。
【0241】
実施例12.N末端ループの交換によるUGTバリアントの操作
[00245] UGT40087およびOs_UGT_91C1のモデル化構造の比較から、N末端の糖アクセプタードメインにおいて有意なコンフォメーションの差を有する4つのループが解明された。
図6に、ループ箇所を示す。RebAからRebDへの変換に関するUGT40087の優れた活性に寄与し得るループを同定するために、2つのタンパク質でこれらループのそれぞれを交換して、合計12種のUGTバリアントを生成した。2つの可能性のあるループ長を構成するように、ループ_3およびループ_4の2つのバージョンを設計した。表9および10に詳細な設計を列挙する。
【0242】
【0243】
[00246] 表9において、下付き数字付きの2つのアミノ酸残基間の配列番号数を有するアミノ酸配列は、Os_UGT_91CからUGT40087塩基に交換されるループ領域である。Os_UGT_91Cからの交換されたループ領域に隣接する下付き数字付きの2つのアミノ酸残基および下付き数字の数はそれぞれ、交換されたループ領域の取り込み前のUGT40087のアミノ酸残基およびアミノ酸位置に対応する。表9に列挙した新しいキメラUGTにおいて、Os_UGT_91Cからの交換されたループ領域は、UGT40087塩基の対応するループ領域を置き換えた。
【0244】
[00247] 配列番号27のアミノ酸配列は、UGT40087_ループ1に組み込まれた、交換されたループ領域であり、Os_UGT_91C1の元のループ1の改変されたバージョンであることに留意する。より具体的には、配列番号27の配列中の12番目のアミノ酸残基は、プロリンである(配列番号8を有する元のループ1のOs_UGT_91Cにおける対応する位置に存在するアルギニンの代わりに)。したがって、UGT40087_ループ1において、配列番号11を有するUGT40087の元の配列と比較して、単一のアミノ酸置換である51位におけるプロリンが存在する。表9において、UGT40087_ループ1中の51位における置換されたプロリンの位置は、太字で示される。
【0245】
【0246】
[00248] 表10において、下付き数字付きの2つのアミノ酸残基間の配列番号数を有するアミノ酸配列は、UGT40087からOs_UGT_91C1塩基に交換されるループ領域である。UGT40087からの交換されたループ領域に隣接する下付き数字付きの2つのアミノ酸残基および下付き数字の数はそれぞれ、交換されたループ領域の取り込み前のOs_UGT_91C1のアミノ酸残基およびアミノ酸位置に対応する。表10に列挙した新しいキメラUGTにおいて、UGT40087からの交換されたループ領域は、OS_UGT_91C1塩基の対応するループ領域を置き換えた。
【0247】
[00249] 配列番号28のアミノ酸配列は、Os_UGT_91C1_ループ1に組み込まれた、交換されたループ領域であり、UGT40087の元のループ1の改変されたバージョンであることに留意する。より具体的には、配列番号28の配列中の12番目のアミノ酸残基は、アルギニンである(配列番号11を有するUGT40087の元のループ1における対応する位置に存在するプロリンの代わりに)。したがって、Os_UGT_91C1_ループ1において、配列番号8を有するOs_UGT_91C1の元の配列と比較して、単一のアミノ酸置換である58位におけるアルギニンが存在する。表10において、Os_UGT_91C1_ループ1中の58位における置換されたアルギニンの位置は、太字で示される。
【0248】
[00250] バリアントタンパク質を、Twist Bioscienceによって、実施例4に記載されるランディングパッド中のF-CphI配列の端部にあるGAL1プロモーターおよび酵母ターミネーターに相同な60bpの配列を用いて合成した。UGTドメイン交換のキメラ実験に関する実施例11と同じ株のバックグラウンドでRebAをRebDに変換することにおけるその活性に関して、各合成UGTバリアントを単一の染色体コピーとして個別に試験した。株を作り出すために、UGTキメラドナーDNAおよびエンドヌクレアーゼF-CphIを含有するプラスミドを、酵母宿主に形質転換した。特異的なUGT遺伝子の内部のリバースプライマーおよび組込み遺伝子座の端部におけるユニバーサルフォワードプライマーを使用したコロニーPCRによって、正しい組込みを検証した。確認された株を、上述したようにRebAからRebDへの変換に関して試験した。
【0249】
【0250】
【0251】
[00251] 親としてUGT40087を用いたところ、ループ交換バリアントは、UGT40087_ループ4_2を除いて、RebAをRebDに変換することにおいて全て活性であった(表11)。ループ4_2は、NおよびC末端ドメインの境界面の近くに配置する長い配列であり、その置き換えは、バリアントの全体構造に有意なばらつきを生じさせ得る。全ての活性なバリアントのなかでも、UGT40087に対するN末端配列同一性は、84%(ループ4_1)から99%(ループ1)までの範囲である。
【0252】
[00252] 親としてOs_UGT_91C1を用いた場合でも、ループ交換バリアントのほとんどが、RebAをRebDに変換することにおける活性を示した(表12)。ここでもループ4_2交換は活性がなくなったことから、その置き換えはバリアントの構造的な完全性に影響を与え得るという仮説が裏付けられる。特筆すべきことに、ループ4_1の取り込みは、RebAからRebDへの変換の増加(88%から97%)をもたらしたことから、ループ4_1はUGT40087の優れた活性を付与することに関与することが示される。加えて、両方のタンパク質を親として用いたループ交換実験からの結果も、これらのループ領域は、RebAからRebDへの活性を有するUGTの活性および基質特異性において差を付与することにおいて重要であり、相同体ループバリアントの追加の交換またはこれらのループ領域の変異誘発は、RebAをRebDに変換することに関して改善されたUGTバリアントを生成するために採用され得ることを示した。
【0253】
[00253] 本明細書で引用された全ての公報、特許および特許出願は、それぞれ個々の公報または特許出願が具体的かつ個々に参照により組み入れられることが示されたかのように、参照により本明細書に組み入れられる。前述の発明を、明確な理解のために例証および例としていくらか詳細に記載したが、当業者には、添付の特許請求の範囲の本質または範囲から逸脱することなくそれらに特定の変更および改変をなし得ることが、本発明の教示の観点から容易に明らかになるであろう。
【配列表】