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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】ポールハンドル
(51)【国際特許分類】
   A63C 11/22 20060101AFI20231218BHJP
   A45B 1/04 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A63C11/22 C
A45B1/04 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019550181
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2018055538
(87)【国際公開番号】W WO2018166854
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】00312/17
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】00450/17
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】507189965
【氏名又は名称】レキスポルト アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ボーイング
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-534068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0029797(US,A1)
【文献】特表2008-522678(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01118362(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 1/00-19/12
A45B 1/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ調整可能なハンドストラップ(2)を伴う、ウォーキングポール、トレッキングポール、アルペンスキーポール、クロスカントリースキーポール、又はノルディックウォーキングポールのためのポールハンドル(1)であって、
ヘッドセクション(4a)及びグリップセクション(4b)を伴うハンドル本体(4)を備え、
前記ハンドストラップ(2)は、使用するために前記ハンドル本体の前記ハンドストラップ(2)の長さを制止し調整するためのデバイスを用いて定着され、
前記ハンドル本体(4)は、径方向の第1のセクション(6a)及び軸方向の第2のセクション(6b)を伴う開口部(6)を備え、
前記ハンドストラップ(2)は、第1の端部(2a)を備えるとともに、中間ストラップセクション(2d)を伴い前記ハンドル本体(4)の前記開口部(6)の中に入り、湾曲要素(11)の周りで湾曲され、自由な第2の端部(2b)として底部に向かって前記開口部(6)を出ていき、
前記ハンドストラップ(2)が下向きに方向付けられると、下部の前記自由な第2の端部(2b)に向かって前記開口部(6)から出る下部ストラップセクション(2e)を制止する制止要素(10)が、前記開口部(6)内に配置され、
前記ハンドル本体(4)の前記開口部(6)における上部ヘッドセクション(7a)を伴って配置された挿入要素(7)に、前記制止要素(10)が取り付けら
制止位置において、前記下部ストラップセクション(2e)は、前記挿入要素(7)の支持面(20)上に、前記制止要素(10)によって制止するように押圧され、
前記挿入要素(7)は、
上壁(7f)で閉鎖的に形成され、前方に向かって歩く方向に関して閉鎖され、周方向には側壁(7e)で閉鎖されるが、後方に向かって開放されて前記開口部(6)を形成する前記上部ヘッドセクション(7a)と、
中空円筒として形成され、前記上部ヘッドセクション(7a)と一体化して形成された、前記上部ヘッドセクション(7a)に軸方向下方に隣接する下部ネックセクション(7b)を備え、
前記ネックセクション(7b)は、最上部のチューブセクション(3)の中央開口部(5)におけるポールチューブの前記最上部のチューブセクション(3)の上端部(3a)において挿入可能若しくは挿入されるか、又は前記最上部のチューブセクション(3)にスライド可能若しくはスライドされ、
挿入要素(7)の下部ネックセクション(7b)から上部ヘッドセクション(7a)への移行部において、前記ポールチューブのための上部停止面として働く外周肩部(15)が、前記挿入要素(7)の周方向に形成され、
前記上部ヘッドセクション(7a)と前記ネックセクション(7b)との間に、ポール長手方向軸(L)を横行し、本質的に径方向に延びる隔壁(9)が配置され、前記隔壁(9)は、少なくとも部分的に、前記下部ストラップセクション(2e)のための前記支持面(20)を形成し、前記支持面(20)に対して前記下部ストラップセクション(2e)が前記制止位置で押圧され、
前記ハンドストラップの上部の前記第1の端部(2a)は、定着要素(13)によって、前記挿入要素(7)の上壁(7f)上、又はその中に定着され
前記湾曲要素はピン(11)であり、本質的に前記ハンドル本体(4)の前記長手方向軸(L)を横行して配置され、対応する開口部において前記挿入要素(7)の前記上部ヘッドセクション(7a)の前記側壁(7e)に取り付けられ、これらの開口部が少なくとも一方の側が貫通開口部として形成されるポールハンドル。
【請求項2】
前記ハンドストラップの上部の前記第1の端部(2a)は、定着要素(13)によって、ねじ、ピン、ボルト、又はリベットによって、前記挿入要素(7)の上壁(7f)上、又はその中に定着される請求項に記載のポールハンドル(1)。
【請求項3】
前記制止要素(10)は、前記湾曲要素(11)の周りに回転可能又は枢動可能に取り付けられる請求項1又は2に記載のポールハンドル(1)。
【請求項4】
前記制止要素(10)は、前記制止要素(10)は、前記制止位置において、前記自由な下部の第2の端部(2b)に向かって前記ハンドル本体(4)を出る前記下部ストラップセクション(2e)上に押圧される、角度が付けられた領域(10c)、すなわち下向きに方向付けられた領域(10c)を備える請求項1~のいずれか一項に記載のポールハンドル(1)。
【請求項5】
前記ハンドル本体(4)に入る前記中間ストラップセクション(2d)は、前記ハンドル本体(4)の前記ヘッドセクション(4a)の前記開口部(6)において本質的に水平に配置され、且つ対応する開口部において前記挿入要素(7)の側壁(7e)に取り付けられたピン(11)の周りに誘導され、
前記中間ストラップセクション(2d)は、第2の自由な下端部(2b)として前記底部に向かって前記ハンドル本体(4)の前記開口部(6)から誘導されて出され、
前記制止要素(10)は、前記中間ストラップセクション(2d)によって外側で少なくとも120°、好ましくは少なくとも160°の包囲角度で囲まれた湾曲セクション(10a)を備え、
前記制止要素(10)は、前記湾曲セクション(10a)に隣接した直線セクション(10b)を備え、前記直線セクション(10b)は、前記ピン(11)から離れるよう方向付けられ、且つ下向きの角度が付けられた領域(10c)を備えた端部を有する請求項1~のいずれか一項に記載のポールハンドル(1)。
【請求項6】
前記制止要素(10)の、前記直線セクション(10b)及び前記角度が付けられた領域(10c)の各々は、前記ハンドストラップ(2)が下向きに方向付けられたときに、前記ハンドル本体(4)の前記開口部(6)に入る前記中間ストラップセクション(2d)が、前記制止要素(10)の前記角度が付けられた領域(10c)を、前記自由端部(2b)に向かって前記ハンドル本体(4)を出る前記下部ストラップセクション(2e)上に下向きに押圧するような、長さ又は高さを有する請求項に記載のポールハンドル(1)。
【請求項7】
前記制止要素(10)は、歯部(12)を備える請求項1~6のいずれか一項に記載のポールハンドル(1)。
【請求項8】
前記挿入要素(7)は、金属、特にアルミニウム若しくはアルミニウム合金、及び/又は、プラスチック材料、特に硬質プラスチック、好ましくは、任意選択で繊維強化しうるPC、PP、ポリアミド、ABSで形成される請求項1~のいずれか一項に記載のポールハンドル(1)。
【請求項9】
前記制止要素(10)は、引張り力を介して前記制止位置に保持され、緊張を解かれた際、又は前記ハンドストラップ(2)の選択的な上向きの湾曲の際のみに、前記ハンドストラップの前記長さの調整機能が可能となる請求項1~のいずれか一項に記載のポールハンドル(1)。
【請求項10】
前記制止要素(10)は、前記挿入要素(7)の上部中央開口部(8a)に配置され、好ましくは前記制止要素(10)は、横行ピンとして形成された前記湾曲要素(11)に回転可能又は固定して定着され、前記横行ピン(11)は、前記ポール長手方向軸(L)を横行する方向、且つ前記ハンドル本体(4)の前記開口部(6)に入る前記中間ストラップセクション(2d)の挿入方向を横行する方向に、前記挿入要素(7)の前記上部中央開口部(8a)に突出し、前記横行ピン(11)は、前記挿入要素(7)の前記上部ヘッドセクション(7a)の壁の両側に取り付けられる請求項1~のいずれか一項に記載のポールハンドル(1)。
【請求項11】
前記制止要素(10)は、前記下部ストラップセクション(2e)を制止させる目的で、前記ハンドストラップが下向きに動く際に、前記湾曲要素(11)の周りを下向きに枢動され、
前記制止要素(10)は、前記ハンドストラップの前記長さの調整機能を可能にする目的で、前記ハンドストラップ(2)が上向きに動く際に、前記湾曲要素(11)の周りを上向きに枢動されて、前記下部ストラップセクション(2e)を解放する請求項1~10のいずれか一項に記載のポールハンドル(1)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のポールハンドル(1)を備える、特にウォーキングポール、トレッキングポール、アルペンスキーポール、クロスカントリースキーポール、又はノルディックウォーキングポールであるポール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポールハンドルに関し、特に、ハンドル本体及び長さを可変的に調整可能なハンドストラップを有する、ウォーキングポール、トレッキングポール、アルペンスキーポール、クロスカントリーポール、ノルディックウォーキングポールに関する。
【背景技術】
【0002】
ウォーキングポール、トレッキングポール、アルペンスキーポール、クロスカントリーポール、並びにノルディックウォーキングポールは、一般に、手によって把持されるポールハンドルを上端部に備える。不注意によるポールの紛失を避けるため、及び使用者の手の力をポールに伝達するために、一般に、ハンドストラップは、このポールハンドルに定着され、ポールハンドルを把持する前に、ハンドストラップを通して、手が誘導される。このようなハンドストラップは、一般に、様々な手のサイズ、並びにグローブを使用するか使用しないかで、長さを変化させることによって調整可能である。この点において、ハンドストラップをポールハンドルに可変的に定着させるための、複数の可能性が存在する。
【0003】
一方で、ポールハンドルの中又は上に、ハンドストラップをねじで定着しており、ハンドストラップをねじ留めする種々の位置を提供することが可能である。しかし、ストラップが上向きに引かれるときに、ストラップの長さを変化させることができ、ストラップが下向きに引かれるときに、ストラップの長さが固定される、という定着機構が提供される構造も存在する。このような定着機構は、例えば、使用者が滑落し、その結果上向きのストラップの引張りが生じる場合、ストラップが緩んで、例えば、スキーヤーの親指など、手の損傷を避けることができ、とりわけ有利である。
【0004】
このような構造は、例えば、特許文献1、並びに特許文献2、特許文献3、又は特許文献4に記載されている。特許文献3は、長さの調整可能なハンドストラップを開示している。特許文献3では、ストラップの第1の端部はハンドグリップに定着され、第2の端部は、ポールの軸に対して垂直に配置された定着手段を用いて、ハンドグリップの外側で所望の長さに定着させることができる。一方で、ストラップの第2の端部の残りの部分は、ハンドグリップを介してポールチューブの中に挿入可能である。特許文献5は、ストラップを使用する長さのために改善された制止機構を伴う、このようなハンドグリップを開示している。しかし、このようなハンドグリップは、例えば、発泡材料又はコルクなどの軟質材料から形成されるとき、ハンドストラップを出し入れする箇所のグリップ材料は、緊張による擦過によって、すぐに摩損し得るという欠点を有する。さらに既存のシステムには、グリップが軟質材料で形成される場合、安定性が不十分であるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】DE19632718C2
【文献】EP1118362
【文献】US3,113,786
【文献】DE29906612U1
【文献】EP1819406
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明は、とりわけ、従来技術の欠点を克服する、改善されたポールハンドルを提供する目的に基づいている。特に、簡単に作製することができ、ポールハンドルのグリップ材料を、引張りによる緊張及びストラップによる擦過から保護することが可能な、ストラップの長さを安全に制止する機構を伴うポールハンドルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決は、請求項1に記載のポールハンドルによって実現される。
【0008】
本発明による、ウォーキングポール、トレッキングポール、アルペンスキーポール、クロスカントリースキーポール、又はノルディックウォーキングポールのポールハンドルにおいて、長さ調整可能なハンドストラップは、ハンドル本体に、又はハンドル本体上に定着される。本発明によるポールハンドルは、ハンドストラップを使用する長さに制止させ、調整するデバイスをさらに備える。ハンドストラップは、ハンドストラップの定着された第1の端部と、自由な第2の端部との間に、使用者の手を囲むループを形成する、本質的にバンドのように形成された要素を備える。ここにおいて、ループはその長さを調整可能である。ループの長さは、ハンドストラップが上向きに動かされるときに調整可能となり、下向きの動きによって固定される。これは以下でさらに詳細に説明する。
【0009】
バンドのように形成されたハンドストラップの要素は、好ましくは5~25mmの好ましい幅の織布材料によって形成され、好ましくは人口繊維又は天然繊維の織布バンドから形成される。或いはストラップは、軟質プラスチック材料から熱可塑的に成型することもできる。
【0010】
ポールハンドルは、ヘッドセクション及びグリップセクションを伴うハンドル本体を備える。さらにハンドル本体は、ハンドルヘッドの領域における径方向の第1のセクションと、本質的にハンドル本体の領域における軸方向の第2のセクションとを伴う開口部を備える。軸方向の第2のセクションは、ヘッドセクションの領域の中に延びる。水平の第1のセクションは、本質的に、ハンドル本体において、ハンドストラップを挿入し、定着させるよう働き、一方で、軸方向の第2のセクションは、本質的に、ポールチューブの最上部のチューブセクションを、下方から受け入れるよう働く。すなわち、開口部の軸方向の第2のセクションは、ハンドル本体の下端部に向けて口を開けたように形成される。換言すると、開口部は、ハンドル本体の下端部の底部と、ハンドストラップの挿入領域における後部との、両方に向けて口を開けたように形成され、ハンドル本体における開口部の軸方向の第2のセクションは、本質的に水平な開口部の第1のセクションの中に延びる。
【0011】
ハンドストラップは、一方又は一方の側に第1の端部を備え、好ましくはポール本体のヘッドセクションに定着される。他方の側で、ハンドストラップは、まずは中間ストラップセクションがハンドル本体の開口部の中に入り、次に湾曲要素のまわりに開口部内で湾曲され、次にハンドル本体の開口部から底部に向けて自由な第2の端部として出る。開口部において、又はハンドル本体のヘッドセクションの内部において、制止要素が配置される。制止要素は、ハンドストラップの引張りによる緊張が、特に下向きに方向付けられる場合に、下部の自由な第2の端部に向けてハンドル本体の開口部から出る下部ストラップセクションを制止させる。本発明によるポールハンドルにおいて、制止要素は挿入要素に取り付けられる。制止要素は、少なくとも挿入要素の上部ヘッドセクションと共に、ハンドル本体の開口部に配置される。制止位置において、下部ストラップセクションは、制止要素によって、好ましくは挿入要素の支持面、又は挿入要素上の支持面に押圧されて制止される。
【0012】
このような挿入要素を別個の構造ユニットとして設けることによって、一方ではポールハンドルの作製が簡略化される。さらに、緊張箇所が挿入要素の中に移され、いうなれば、それが制止機構のハウジングを形成するので、ハンドル材料が省かれる。
【0013】
第1の好ましい実施形態によると、挿入要素は、ヘッドセクションに軸方向下向きに隣接する下部ネックセクションを備える。挿入要素のネックセクションは、最上部のポールセクションの中央開口部における、ポールチューブの最上部のポールセクションの上端部において挿入可能、又は挿入されている。挿入要素の下部の軸方向セクション、すなわち挿入要素のネックセクションは、下方から軸方向にポールハンドルの中に突出するか、又はポールハンドルの中に埋め込まれており、本質的に円筒形であり、好ましくは材料及び重量の節約のために中空の円筒形の形態で形成される。好ましくは、ネックセクションはヘッドセクションと一体化して形成される。
【0014】
挿入要素は、別の好ましい実施形態によると、そのネックセクションが、最上部のチューブセクションに配置され、定着されており、例えば、最上部のチューブセクションに、圧入、接着、又は機械的に連結される。挿入要素のヘッドセクションは、ハンドル本体の軸方向開口部に配置される。ハンドル本体はその中で、この挿入要素のヘッドセクションに追加的に接着又は圧入させることができる。しかし挿入要素の定着は、最上部のチューブセクション内における挿入要素のネックセクションによって、主に実現される。
【0015】
挿入要素は、好ましくは、より大きい直径を有するヘッドセクションと、より小さい直径を有するネックセクションとの間に肩部を備える。この肩部は、最上部のチューブセクションのための、上部停止面として働く。
【0016】
代替の好ましい実施形態において、挿入要素のネックセクションは、スリーブとして形成され、挿入要素は、最上部のチューブセクションの上にスライドされているか、又はスライドされる。換言すると、挿入要素は、最上部のチューブセクションの上端部を覆ってスリーブで接続することができるか、又は最上部のチューブセクションの上端部の上にスリーブで接続される。挿入要素のヘッドセクションは、この実施形態においても、その空洞に、ハンドストラップの湾曲及び長さの固定に役立つ制止要素を備える。ネックセクションは、最上部のチューブセクションを受け入れるのに適したスリーブとして形成される。スリーブの内径は、好ましくは最上部のチューブセクションの外径よりも僅かに大きい。この実施形態における挿入要素は、最上部のチューブセクションに取り付けられ、好ましくはハンドル本体の組立て前に最上部のチューブセクションに定着させるか、又は挿入要素がすでに定着されたハンドル本体との構造ユニットとして、若しくは挿入要素がすでに取り付けられたハンドルスリーブとの構造ユニットとして、のいずれかで取り付けられ得る。ハンドル本体を挿入要素に定着させることは、好ましくは接着接合によって実施される。最上部のチューブセクションを、挿入要素のネックセクションに定着させることは、好ましくは圧入、又は接着接合によって実施される。挿入要素の長さは、この好ましいスリーブ状の実施形態において、好ましくはハンドル本体の長さの大部分を介して延びるか、又はハンドル本体の開口部における水平の第1のセクションから、ハンドル本体の開口部における軸方向の第2のセクション内で、その全体長さに沿ったハンドル本体の下端部まで延びる。
【0017】
別の好ましい実施形態によると、ヘッドセクションとネックセクションとの間で、隔壁が、ポール長手方向軸を横行し、且つ本質的に径方向に延びて配置される。前記隔壁は、挿入要素における空洞を底部に向けて制限するか、又は空洞を上部中央開口部と下部中央開口部とに分離するか、又は上部中央開口部の床部を形成する。この隔壁は、好ましくは肩部の領域において、下部ストラップセクションのための支持面を形成し、この支持面に対して、下部ストラップセクションは制止位置において押圧される。
【0018】
挿入要素が最上部のチューブスリーブを受け入れるよう形成された実施形態において、最上部のチューブセクションは、挿入要素のスリーブ状のネックセクションにおける内側の上端部の上部停止面に達する。上部停止面は、前記隔壁として、又は例えば挿入要素のヘッドセクションとの境界を形成するネックセクションと比較して、小さい径を有するスリーブセクションとして、形成することができる。したがって、最上部のチューブセクションのための上部停止面は、挿入要素のヘッドセクションとネックセクションとの間に配置された、外周の径方向の肩部によって形成することもできる。好ましくは、この好ましい実施形態によると、挿入要素のヘッドセクション及びネックセクションは、一体化して形成される。
【0019】
挿入要素は、少なくとも一部が、好ましくは全体が、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属で形成されるのが好ましい。しかし代替として、挿入要素は一部が、又は全体が、プラスチック、特に硬質プラスチック、好ましくはPC、PP、ポリアミド、又はABSで形成され、これらは任意選択で繊維強化しうる。
【0020】
長手方向軸に沿って、若しくは取り付けられた状態でポール長手方向軸に沿って、又はハンドル本体の長手方向軸に沿って測定した挿入要素の総延長は、好ましくは20~70mm、より好ましくは30~60mmである。その中で、最上部のチューブセクションの中に突出するネックセクションは、好ましくは10~40mm、より好ましくは20~30mmの長さを有する。好ましくは、挿入要素のヘッドセクションは、ネックセクションよりも長く形成されるが、代替としてヘッドセクションの長さは、ネックセクションの長さに対して反対の関係が可能であり、又は両セクションが本質的に等しい長さとすることが可能である。
【0021】
ヘッドセクションにおける挿入要素の外径は、好ましくは12~22mm、より好ましくは14~18mmである。挿入要素のネックセクションの外径は、好ましくは10~20mm、より好ましくは12~16mmである。
【0022】
挿入要素のヘッドセクションは、好ましくはハンドル本体のヘッドセクションの内部における第2の軸方向開口部を限定する上壁の上部停止面と接触する。挿入要素のヘッドセクションに対する、ハンドル本体の開口部又は穴の寸法は、挿入要素の寸法と整合される。
【0023】
ハンドストラップの上部の第1の端部は、定着要素によって、好ましくはねじ、ピン、ボルト、又はリベットによって、挿入要素の上壁に、又はその上に有利に定着される。その中で、別の好ましい実施形態において、定着要素は、好ましくは挿入要素のヘッドセクションの上壁における、軸方向の中央開口部又は穴の中に突出する。ハンドストラップの第1の端部がねじによって定着される場合、軸方向の中央開口部又は穴は、好ましくは内ねじを備える。
【0024】
本発明によるポールハンドルにおいて、自由な下部の第2の端部を伴ってハンドル本体を出る下部ストラップセクションは、グリップ本体に入る中間ストラップセクションの直下に配置される。
【0025】
別の好ましい実施形態によると、湾曲要素はピンである。ピンは、挿入要素のヘッドセクションに本質的に水平に、且つハンドル本体又はハンドル本体に装着されたポールの長手方向軸を本質的に横行して配置される。ピンは、挿入要素のヘッドセクションの領域の側壁における挿入要素の対応する両側の開口部又は穴に、好ましくは保持又は取り付けられる。これらの2つの開口部のうちの少なくとも1つは、貫通穴として一方の側に形成され、それによってピンを外側から挿入することができ、したがって挿入要素又はハンドル本体に定着させることができる。これは一方で、挿入要素を別個の構造ユニットとして作製するのを簡略化し、当初の組立て中又は取り換えの場合にハンドルヘッドの中に挿入できる。他方で、制止要素若しくはハンドストラップが摩損した場合に、ピン、制止要素、又はハンドストラップの交換を可能にする。
【0026】
したがって、ハンドストラップの湾曲要素として働く横行ピンは、挿入要素の上部中央開口部を、ポール長手方向軸を横行する方向、及び中間ストラップセクションがハンドル本体の開口部の水平セクションの中に挿入される方向に対して横行する方向に、貫通して突出する。
【0027】
ピン、すなわち横行ピンは、円形断面を有することができるが、例えば摩擦を増加させるために、方形、矩形、又は多角形の断面などの別の断面形状を提供することも可能である。
【0028】
好ましくは、制止要素は、横行ピンとして形成された湾曲要素に、回転可能又は固定して定着される。したがって、制止要素は、好ましくは挿入要素の上部中央開口部、すなわち挿入要素のヘッド領域に配置される。
【0029】
別の好ましい実施形態による制止要素は、湾曲要素又は横行ピンの周りを、回転可能又は枢動可能に取り付けられる。横行ピンは、制止要素の枢軸又は回転軸に沿って配置され、それによって制止要素は横行ピンの周りを回転する。したがって好ましくは、ハンドル本体に入る中間ストラップセクションは、横行ピンの周りに誘導され、第2の自由な下端部と共に、開口部の水平の第1のセクションの領域の下方のハンドル本体から誘導されて出される。或いは、制止要素を横行ピンに固定して定着させることができ、ここで横行ピンは、挿入要素の両側の開口部又は穴に回転可能に配置される。
【0030】
別の好ましい実施形態は、制止要素が下向きに角度が付けられているか、又は底部に向けて方向付けられた領域を有しており、制止要素は、制止位置における自由な下部の第2の端部に向かってハンドル本体を出る下部ストラップセクションに押圧されることに特徴付けられる。EP1819406のポールハンドルとは対照的に、ここでは制止位置において、下部ストラップセクションのみが、制止要素によって制止されるように挿入要素の支持面に押圧される。
【0031】
制止要素は、好ましくは湾曲セクションを備え、その外側は少なくとも120°、好ましくは少なくとも160°の包囲角度で、中間ストラップセクションによって囲まれる。好ましくは、直線セクションが湾曲セクションに隣接する。ピンから離れるように方向付けられて、又はポールハンドルの後ろ側の開口部の入口に向けて方向付けられた直線セクションの端部、すなわち脚部において、上述のように、下向きに角度が付けられているか、又は底部に向けられている領域が配置されるのが好ましい。
【0032】
底部に向けて角度が付けられた制止要素の領域は、直線セクション、すなわち脚部から70~120°の角度が付けられている。
【0033】
制止要素の直線セクション及び下向きに角度が付けられた領域は、好ましくは、ハンドストラップが下向きに方向付けられた場合に、ハンドル本体の開口部に入る中間ストラップセクションが、自由端部に向けてハンドル本体を出る下部ストラップセクションに向かって下向きに、制止要素の下向きに角度が付けられた領域を引くような、長さ又は高さをそれぞれ備える。下向きに方向付けられたハンドストラップに対する引張りは、制止要素の湾曲セクションに引張りをもたらし、それは制止要素の回転をもたらし、下部ストラップセクションに対して、制止要素の下向きに角度が付けられた領域に、力が適用されることになる。制止要素の下向きに角度が付けられた領域が、その底部側に下向きに方向付けられた歯部、若しくは、好ましくは下向きに方向付けられた少なくとも1つの歯、又は連続した締結縁部を備える場合に、特に有利である。これは、制止要素が下向きに湾曲されるときに、下向きに方向付けられた歯がストラップバンドを固く締結する際に、制止要素と下部ストラップセクションとの摩擦を増加させる。加えて、歯はストラップバンドに加える圧力を増加させ、それによって保持力を改善する。
【0034】
制止要素は、ハンドストラップの下向きの動きの場合、又はハンドストラップに下向きの引張りが働く場合に、下部ストラップセクションを制止するために、湾曲要素の周りに下向きに枢動する。対照的に、ハンドストラップの上向きの動きの場合、制止要素は、ハンドストラップの長さの調整機能を目的として、湾曲要素の周りに上向きに枢動し、その一方で、角度が付けられた領域、すなわち制止要素の角度が付けられた領域が、下部ストラップセクションから持ち上げられるか、又は下部ストラップセクションにかかる圧力が少なくとも軽減される際に、下部ストラップセクションは解放される。制止要素は、下向きの引張り力によって制止位置に保持される。好ましくは、ハンドストラップの長さの調整機能は、ハンドストラップが特に水平位置に湾曲されたとき、及び特にハンドストラップの上向きの動きの場合のみに、可能となる。本発明はさらに、ポール、特に上述の実施形態のうちの1つに従ったポールハンドルを備える、ウォーキングポール、トレッキングポール、アルペンスキーポール、クロスカントリースキーポール、又はノルディックウォーキングポールに関する。
【0035】
本発明の別の実施形態が、従属請求項に規定される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】歩く方向に対して左後ろの斜めからの、ポールに付けられた、第1の実施形態によるポールハンドルの概略斜視図である。
図2】歩く方向に対して左前の斜めからの、図1のポールハンドルの概略斜視図である。
図3】歩く方向に対して後ろからの、図1のポールハンドルの概略図である。
図4図3のA-A断面に沿った、図1のポールハンドルの概略図である。
図5図4のポールハンドルの、上部セクションの詳細断面図である。
図6】歩く方向に対して後ろからの、ポールに付けられた、第2の実施形態によるポールハンドルの概略図である。
図7図6のB-B断面に沿った、図6のポールハンドルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下で説明する。図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0038】
図1は、制止位置又は締結位置にある、本発明によるポール1の第1の実施形態である。ポールハンドル1のハンドル本体4は、ポールチューブの上端部、すなわちポールチューブの最上部のチューブセクション3に定着される。ハンドル本体4は、上部ヘッドセクション4a及び下部グリップセクション4bを備える。ハンドル本体4のヘッドセクション4aに定着されたハンドストラップ2は、長さ調整可能であるように形成される。ハンドストラップ2の直径を減少させるため、ハンドストラップ2のストラップバンドの下部の自由な第2の端部2bを引く必要がある。ハンドストラップ2又はハンドルヘッド4aから出る上部ストラップセクション2c、及びハンドルヘッド4a若しくはハンドル本体4に入る中間ストラップセクション2dが、上向きに動かされる場合にのみ、
長さを変更すること、若しくは調整することができ、又は下部の自由な第2の端部を引っ張ることが可能である。
【0039】
図4に示されるように、ハンドル本体4は、底部に開口して、その中にポールチューブ3が挿入される軸方向開口部、すなわち軸方向の空洞21を備える。ポールハンドル1は、人間工学的に形成される。ここでハンドル本体4のグリップセクション4bは、歩く方向Vの前方に向いた、指を支持するための肩部4d、及びグリップセクション4bの下端部において後ろに向いた、突出部4cを備える。ハンドルヘッド4aの上端部には、歩く方向Vに張り出したノブが形成され、使用者が上からポールに寄り掛かること、及びその周りを把持することを容易にする。
【0040】
さらに、ハンドル本体4のハンドルヘッド4aは、開口部6を備える。開口部6は、歩く方向Vに対してポールハンドル1の後ろ側、すなわちハンドストラップがハンドルヘッド4aに入るか、又はハンドルヘッド4aから出る使用者の側に向けて、開口するように形成される。この本質的に水平である開口部6は、ポールチューブ、又はポールチューブの最上部のチューブセクション3が挿入される中央軸方向開口部21の中に通じている。
【0041】
図5に示された本発明による実施形態において、挿入されたポールチューブの最上部のチューブセクション3の上端部3aの中に、挿入要素7が上から挿入される。前記挿入要素7は、そのネックセクション7bが、ポールチューブの最上部のチューブセクション3に係合する。挿入要素7のネックセクション7bは、中空の円筒として形成される。挿入要素7のヘッドセクション7aは、上部に向かって開いている凸型の上壁7fを伴い、本質的には、いうなれば、周方向U1に対して不完全な中空の円筒としても形成される。ヘッドセクション7aは、周方向において、歩く方向Vに対して正面側が閉じるように形成されるが、後ろ側に開口している。すなわち、挿入要素7のヘッドセクション7aの側面は、挿入要素の外周方向U1において部分的に欠落している。ここでは、側面の外周の半分未満は欠落している。挿入要素7は、ハンドルヘッド4aの頂部に向かう軸方向開口部21を限定する壁部における上部停止面と接触する。
【0042】
この開口部を通して、ハンドストラップ2は、ハンドルヘッド4aの開口部6の中にさらに突出し、挿入要素7のヘッドセクション7aの中央開口部8aの中にさらに突出し得る。
【0043】
挿入要素7の周方向U1において、挿入要素7の下部ネックセクション7bから上部ヘッドセクション7aへの移行部に形成された、外周肩部15は、ポールチューブの上部停止面として働く。ここで、図5に詳細に示されるように、肩部15における外周下縁部16、並びに挿入要素7のネックセクション7bの下部外周縁部17は、傾斜させて形成される。
【0044】
挿入要素7のヘッドセクション7aとネックセクション7bとの間、又は挿入要素7の上部中央開口部8aと下部中央開口部8bとの間は、図4及び図5の実施形態によると、隔壁9が配置される。隔壁9は、いうなれば、上部中央開口部8aの床部を形成する。
【0045】
挿入要素7のヘッドセクション7aにおいて、制止要素10は、回転軸の周りに回転可能、又は枢動可能に取り付けられる。この回転軸は、ポール長手方向軸L、又はポールハンドル1の長手方向軸に対して横行し、且つ歩く方向Vに対して横行して配置され、本質的に水平に配置される。回転軸に沿って、ピンすなわち横行ピン11が配置され、その周りに制止要素10が枢動可能に配置される。ヘッドセクション7aは、その側壁又は側面の両側の各々において、貫通開口部を、又は少なくとも一方の側が開いている開口部を備え、それを通して横行ピン11の一方の端部が各々の場合において突出する。
【0046】
羽状に形成された制止要素10は、湾曲セクション10a並びにそれに隣接した脚部、すなわち直線セクション10bを備え、角度が付けられた領域10cがそれに続く。この角度が付けられた領域10cは、その底部側に、下部ストラップセクション2eにかかる制止要素10の摩擦力、すなわち制止力を増加させるための、下向きに方向付けられた小さい歯12、すなわち歯部、又は連続した締結縁部を備える。
【0047】
湾曲セクション10a、並びに直線セクション10b及び角度が付けられた領域10cは、挿入要素7のヘッドセクション7aの内径全体にわたって延びるか、又は挿入要素7の上部中央開口部を通って、横行ピン11の長手方向軸に平行な方向に、若しくはポール長手方向軸Lを横行する方向に、突出する。
【0048】
ピン、すなわち横行ピン11は、ハンドルヘッド4aの内部、若しくは挿入要素の上部中央開口部8aの内部で、ハンドストラップ2の中間ストラップ部分2dのための、湾曲要素としても同時に働く。
【0049】
ハンドストラップ2は、2つの自由端部2a、2bを伴うストラップバンドを備え、上部の第1の端部2aは、定着要素13によって挿入要素7の上壁7fに定着される。定着させるために、挿入要素7のヘッドセクション7aの上壁7fは、軸方向の中央開口部、すなわち穴14を備える。ハンドストラップ2における上部の第1の端部2aは、ピン、リベット、又はねじの形態である定着要素13を、この中央開口部、すなわち穴14の中に挿入することによって位置付けられる。
【0050】
ストラップバンドは、定着された上部の第1の端部2aを起点として、歩く方向Vに対して後ろを向く、本質的に水平なハンドルヘッド4aの開口部を通過し、ポールハンドル1の後ろ側においてハンドルヘッド4aから出る。そこから、ストラップバンドはハンドストラップ2を形成する。ハンドストラップ2は使用者の手を囲み、次に中間ストラップセクション2dを伴ってハンドルヘッド4aの開口部6の中に再び入る。次に、ハンドストラップ2は、挿入要素7の上部中央開口部8aの中に入り、挿入要素7に本質的に水平に取り付けられたピン、すなわち横行ピン11の周りで、又は横行ピン11の周りに回転可能に取り付けられた制止要素10の周りで、湾曲される。湾曲された後、下部ストラップセクション2eが開口部6を通って後ろに向かい、再びハンドルヘッド4aを離れる前に、まず下部ストラップセクション2eは、隔壁9によって少なくとも一部の領域に形成された支持面20の頂部に置かれる。ストラップバンドの下部の自由な第2の端部2bは、底部に向かって自由にぶら下がり、示される実施形態において湾曲されて形成される。
【0051】
示される実施形態では、制止要素10の角度が付けられた領域10cは、隔壁9に、又は挿入要素7のヘッドセクション7aとネックセクション7bとの間の肩部15の領域における支持面20に、下部ストラップセクション2eを押圧する。押圧の目標位置は、挿入要素7のヘッドセクション7aの下端部における側壁、又は側面の領域の、開口部6の径方向の第1のセクション6aの下端部における、挿入要素とハンドル本体4の後壁との間の接触点の直前に位置される。
【0052】
図4のハンドストラップは、所謂ニュートラル位置、すなわちハンドストラップが下向きに引かれて、制止要素10が締結位置、すなわち制止位置にある位置と、ハンドストラップが上向きに引かれて、制止要素10が調整位置、すなわちハンドストラップ2の長さが調整可能な位置のいずれの位置にもなく、制止位置と調整可能位置との間の位置にあるように示される。したがって、制止位置において、中間ストラップセクション2dは、開口部6の後部出口における下部ストラップセクション2eの頂部の直上に置かれる。
【0053】
図には示されないが、ポールを使用中である通常の場合、又はハンドストラップ2が下向きに引かれる際に、ハンドストラップ2が下向きに方向付けられた場合、中間ストラップセクション2dは、制止要素10の湾曲セクション10aを時計回り方向U2に引く。中間ストラップセクション2dの引張りによって、制止要素10は、中間ストラップセクション2dによる制止要素10の湾曲セクション10aの囲い込みのため、横行ピン11の周り、すなわち回転軸の周りに回転される。それによって、制止要素10の角度が付けられた領域10cは、下部ストラップセクション2e上に押圧され、それによって次に、下部ストラップセクション2eは、挿入要素7の肩部15の領域において、側壁の領域の支持面20に押圧される。そのため、ハンドストラップ2の長さは固定され、長さの調整機能は、この位置において防止される。ここで、角度が付けられた領域10cの底部側における歯部12、すなわちスパイクは、摩擦力、すなわち制止効果を増加させる。
【0054】
ハンドストラップ2が、水平位置又は上向きに方向付けられて保持される場合、制止要素10は容易に枢動可能となり、下にある下部ストラップセクション2eに、いかなる圧力も加えない。したがって、ハンドストラップ2の長さをこの位置において調整することができる。換言すると、ハンドストラップ2を、第2の自由端部2bを引くことによって短くすることができ、又はハンドル本体4の中に入る中間ストラップセクション2dを引くことによって長くすることができる。さらに、ハンドストラップ2が上向きに方向付けられた位置にあるとき、ハンドストラップ2の長さを任意の場合に増加させることができ、それは滑落した場合又はポールが引っ掛かった場合に、自動的に安全をもたらす。
【0055】
図6において、ポールハンドルの第2の実施形態が、歩く方向の後ろから前に、ハンドル本体4のヘッドセクション4aの開口部6をみた概略図で示される。図6の断面B-Bに沿った断面が、図7に示される。ここで、挿入要素7が、図4の実施形態よりも長く形成されているのが確認できる。図4に示すように、挿入要素7が、そのネックセクション7bを用いて最上部のチューブセクション3に挿入される代わりに、この実施形態においては、挿入要素7は、最上部のチューブセクション3上に位置されるか、又はスリーブで接続され、そこに、スリーブとして形成されたネックセクション7bの領域において定着される。したがって、最上部のチューブセクション3は、ネックセクション7bの全長にわたって、挿入要素7の下部中央開口部8b内に延びている。さらに、挿入要素7のネックセクション7bは、ハンドル本体4の中央軸方向開口部21に受け入れられ、それによってグリップ本体4におけるグリップ本体4内部に定着される。それによって、挿入要素7は、ハンドル本体4との構造ユニットとして、及び/又は最上部のチューブセクション3との構造ユニットとして、のいずれかで作製することができる。ネックセクション7bにおける挿入要素7の壁厚は、この実施形態においては、最上部のチューブセクション3の壁厚よりも大きい。
【0056】
図4の実施形態では、挿入要素7の上部中央開口部8aは、そのヘッドセクション7aにおいて、ネックセクション7bにおける下部中央開口部8bよりも大きい直径を有する一方で、図7の実施形態では、挿入要素7の上部中央開口部8aは、そのヘッドセクション7aにおいて、ネックセクション7bにおいて下部中央開口部8bが有するよりも小さい直径を有する。したがって、ヘッドセクション7aとネックセクション7bとの間において、挿入要素7の全周に沿って延びる径方向内向きの外周肩部15a、換言すればより小さい直径のセクションが配置される。これは、ネックセクション7bの上端部において、最上部のチューブセクション3のための上部停止面を形成する。示された実施形態において、本質的に円板状の中空部、又は径方向に占める空洞22が、外周肩部15aの領域における隔壁9、又は床部9の下方に配置される。
【0057】
図4の実施形態のように、図7の実施形態においても、制止要素10は、挿入要素7のヘッドセクション7aの上部中央開口部8aに配置され、定着される。制止要素10の配置タイプ及び定着タイプ、並びに挿入要素上のハンドストラップ2を定着させるタイプも、この図7の代替の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 ポールハンドル
2 ハンドストラップ
2a 2の上部の第1の端部
2b 2の下部の第2の端部
2c 2の上部ストラップセクション
2d 2の中間セクション
2e 2の下部ストラップセクション
3 最上部のチューブセクション、ポールチューブ
3a 3の上端部
4 ハンドル本体
4a 4のヘッドセクション
4b 4のグリップセクション
4c 4の後部突出部
4d 4の前肩部
5 3の空洞、中央開口部
6 4aにおける4の開口部
6a 6の水平の第1のセクション
6b 6の軸方向の第2のセクション
7 挿入要素
7a 7のヘッドセクション
7b 7のネックセクション
7c 7の下端部
7d 7の上端部
7e 7の側壁
7f 7の上壁
8a 7の上部中央開口部
8b 7の下部中央開口部
9 7の隔壁、8aの床部
10 制止要素
10a 10の湾曲セクション
10b 10の直線セクション、脚部
10c 10の角度が付けられた領域
11 10の湾曲要素、横行ピン
12 10の10cにおける歯部
13 2aの定着要素
14 7fの軸方向中央開口部
15 図4における7aと7bとの間の、7上の肩部
15a 図7における7aと7bとの間の、7上の径方向肩部
16 15上における7の外周の傾斜が付いた縁部
17 7c上における7の外周の傾斜が付いた縁部
18 6aの上部制限部
19 6aの下部制限部
20 7の支持面
21 3のための4の中央軸方向開口部
22 7aと7bとの間の15aにおける空間
L 長手方向のポール軸
U 周方向
V 前方、歩く方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7