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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20231218BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20231218BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G01R31/28 H
G01R31/00
H05K13/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019561417
(86)(22)【出願日】2017-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2017046551
(87)【国際公開番号】W WO2019130411
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-07-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明
(72)【発明者】
【氏名】川添 亜里沙
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-26325(JP,A)
【文献】特開2011-257340(JP,A)
【文献】特開2000-105262(JP,A)
【文献】登録実用新案第(JP,U)3188761
【文献】特開2009-229083(JP,A)
【文献】特開平10-294587(JP,A)
【文献】特開平11-163060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0359925(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/28
G01R31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給装置によって供給された部品を回路基板に装着する装着機に搭載され、
部品を保持する保持台と、
前記保持台を移動させる保持台移動装置と、
固定子と、前記固定子に対して接近・離間可能に設けられた可動子とを備えた一対の測定子と
を含み、前記一対の測定子が前記部品を挟むことにより、前記部品の電気的特性を測定し、前記部品の電気的特性を測定した後に、前記一対の測定子に対してエアが供給され、前記一対の測定子が互いに離間して放された前記部品を廃棄通路を経て廃棄する廃棄状態となる測定装置であって、
前記保持台が、前記部品が載置される部品載置部と、前記部品載置部を保持する載置部保持体とを含み、
前記保持台移動装置が、前記保持台を、当該測定装置の初期状態における位置である前進端位置と、当該測定装置の前記廃棄状態における位置である後退端位置との間で移動させるものであり、
前記保持台の前記後退端位置において、前記一対の測定子の間の空間が、前記廃棄通路の開口に連通した状態にあり、
前記初期状態において前記可動子が前記固定子から離間した状態にあり、前記部品載置部に部品が載置された場合に、前記可動子が前記固定子に接近して、前記部品載置部に載置された部品を把持し、その把持位置である測定位置において、前記可動子と前記固定子とにより、前記部品の電気的特性が測定され、
当該測定装置が、
前記一対の測定子のうちの前記固定子に接続され、2本の同軸ケーブルを有する同軸ケーブル部と、前記一対の測定子のうちの前記可動子に接続され、2本の同軸ケーブルを有する同軸ケーブル部とを備えた一対の同軸ケーブル部と、
前記一対の同軸ケーブル部に設けられ、前記一対の測定子の前記固定子に接続された前記同軸ケーブル部が有する前記2本の同軸ケーブルと、前記一対の測定子の前記可動子に接続された前記同軸ケーブル部が有する前記2本の同軸ケーブルとを含む4本の同軸ケーブルの各々の外部導体を互いに電気的に接続し、同一電位とする同一電位部と、
少なくとも前記保持台および前記一対の測定子を覆うシールドカバーと
を含み、
前記同一電位部において、前記4本の同軸ケーブルの各々が概して四角形の4つの頂点の各々にそれぞれ位置し、かつ、前記4本の同軸ケーブルのうち前記4つの頂点のうちの互いに隣接する2つずつの前記頂点に位置する2本ずつの同軸ケーブルの各々の前記外部導体同士がそれぞれ電気的に接続されることにより前記4本の同軸ケーブルの各々の前記外部導体が互いに電気的に接続され、
前記同一電位部が、前記可動子に接続された前記同軸ケーブル部の前記2本の同軸ケーブルの各々の、前記可動子への接続部から前記同一電位部までの長さが、前記固定子に接続された前記同軸ケーブル部の前記2本の同軸ケーブルの各々の、前記固定子への接続部から前記同一電位部までの長さより長くなる部分に設けられ、
前記シールドカバーの、前記保持台が前記前進端位置にある場合に前記部品載置部の上方、かつ、前記測定位置の上方、かつ、前記保持台が前記後退端位置にある場合に前記廃棄通路の開口の上方に位置する部分に貫通穴が設けられた測定装置。
【請求項2】
当該測定装置が、
前記保持台と前記一対の測定子とが設けられた測定台と、
その測定台を保持するベース部と
を含み、
前記保持台と前記測定台とが電気的に接続され、
前記測定台と前記ベース部とが電気的に接続され、
前記シールドカバーと前記ベース部とが電気的に接続された請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記同一電位部が、前記4本の同軸ケーブルの各々の、前記可動子または前記固定子への接続部からの長さが200mm以下の部分に設けられた請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
当該測定装置が、前記部品の電気的特性を検出する電気的特性検出部を含み、
前記4本の同軸ケーブルの各々が、一端部である測定子側接続部において前記固定子または可動子に接続され、他端部である検出部側接続部において前記電気的特性検出部に接続され、
前記4本の同軸ケーブルの各々の、前記測定子側接続部と前記同一電位部との間の長さが、前記測定子側接続部と前記検出部側接続部との間の長さの10%以下とされた請求項1ないし3のいずれか1つに記載の測定装置。
【請求項5】
当該測定装置が、
前記保持台と前記一対の測定子とが設けられた測定台と、
その測定台を保持するベース部と
を含み、
前記保持台と前記測定台とが電気的に接続され、
前記測定台と前記ベース部とがアース線によって接続された請求項1ないし4のいずれか1つに記載の測定装置。
【請求項6】
少なくとも前記測定台と前記保持台とについて、同じ導電性材料によって表面処理が施された請求項2または5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記同一電位部において、前記4本の同軸ケーブルの各々の前記外部導体が、まとめて、導電性のテープによって巻かれるとともに、前記4本の同軸ケーブルのうち前記互いに隣接する2つずつの頂点に位置する2本ずつの同軸ケーブルの前記外部導体同士がそれぞれはんだで接続された請求項1ないし6のいずれか1つに記載の測定装置。
【請求項8】
前記同一電位部において、前記4本の同軸ケーブルの各々の前記外部導体が、前記導電性のテープの外側から保護チューブによって覆われた請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記同一電位部において、前記4本の同軸ケーブルのうちの前記外部導体に流れる電流の向きが互いに逆である2本の同軸ケーブルの各々が、前記互いに隣接する2つの頂点の各々に位置する請求項1ないし8のいずれか1つに記載の測定装置。
【請求項10】
前記同一電位部において、前記4本の同軸ケーブルのうちの前記一対の測定子のうちの一方に接続された前記同軸ケーブル部に属する前記2本の同軸ケーブルの各々が、前記互いに隣接する2つの頂点の各々に位置する請求項1ないし9のいずれか1つに記載の測定装置。
【請求項11】
部品供給装置によって供給された部品を回路基板に装着する装着機に搭載され、
部品を保持する保持台と、
前記保持台を移動させる保持台移動装置と、
固定子と、前記固定子に対して接近・離間可能に設けられた可動子とを備えた一対の測定子と
を含み、前記一対の測定子が前記部品を挟むことにより、前記部品の電気的特性を測定し、前記部品の電気的特性を測定した後に、前記一対の測定子に対してエアが供給され、前記一対の測定子が互いに離間して放された前記部品を廃棄通路を経て廃棄する廃棄状態となる測定装置であって、
前記保持台が、前記部品が載置される部品載置部と、前記部品載置部を保持する載置部保持体とを含み、
前記保持台移動装置が、前記保持台を、当該測定装置の初期状態における位置である前進端位置と、当該測定装置の前記廃棄状態における位置である後退端位置との間で移動させるものであり、
前記保持台の前記後退端位置において、前記一対の測定子の間の空間が、前記廃棄通路の開口に連通した状態にあり、
前記初期状態において前記可動子が前記固定子から離間した状態にあり、前記部品載置部に部品が載置された場合に、前記可動子が前記固定子に接近して、前記部品載置部に載置された部品を把持し、その把持位置である測定位置において、前記可動子と前記固定子とにより、前記部品の電気的特性が測定され、
当該測定装置が、
前記一対の測定子のうちの一方に接続され、2本の同軸ケーブルを有する同軸ケーブル部と、前記一対の測定子のうちの他方に接続され、2本の同軸ケーブルを有する同軸ケーブル部とを備えた一対の同軸ケーブル部と、
前記一対の同軸ケーブル部に設けられ、前記一対の測定子の一方に接続された前記同軸ケーブル部が有する前記2本の同軸ケーブルと、前記一対の測定子の他方に接続された前記同軸ケーブル部が有する前記2本の同軸ケーブルとを含む4本の同軸ケーブルの各々の外部導体を互いに電気的に接続し、同一電位とする同一電位部と、
少なくとも前記保持台および前記一対の測定子を覆うシールドカバーと
を含み、
前記同一電位部において、前記4本の同軸ケーブルの各々が概して四角形の4つの頂点の各々にそれぞれ位置し、かつ、前記4本の同軸ケーブルのうち前記4つの頂点のうちの互いに隣接する2つずつの前記頂点に位置する2本ずつの同軸ケーブルの各々の前記外部導体同士がそれぞれ電気的に接続されることにより前記4本の同軸ケーブルの各々の前記外部導体が互いに電気的に接続され、かつ、前記4本の同軸ケーブルのうちの前記外部導体に流れる電流の向きが互いに逆である2本の同軸ケーブルの各々が、前記互いに隣接する2つの頂点の各々に位置し、
前記シールドカバーの、前記保持台が前記前進端位置にある場合に前記部品載置部の上方、かつ、前記測定位置の上方、かつ、前記保持台が前記後退端位置にある場合に前記廃棄通路の開口の上方に位置する部分に貫通穴が設けられた測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路基板に装着される部品の検査を行う測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、部品供給装置によって供給された部品をピックアップして回路基板に装着する装着機に搭載された測定装置であって、(a)部品を保持可能な保持台と、(b)互いに接近・離間可能に設けられ、部品の電気的特性を測定可能な一対の測定子とを含むものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-26325号公報
【概要】
【0004】
【課題】
【0005】
本開示の課題は、部品の電気的特性を自動で測定可能な測定装置において、電気的特性を安定的に検出可能とすることである。
【課題を解決するための手段、作用および効果】
【0006】
本開示に係る測定装置は、装着機に搭載され、部品を保持する保持台と、互いに接近・離間可能に設けられた一対の測定子とを含み、一対の測定子が部品を挟むことにより部品の電気的特性を測定する測定装置であって、一対の測定子の各々にそれぞれ接続された一対の同軸ケーブル部と、それら一対の同軸ケーブル部に設けられ、一対の同軸ケーブル部を構成する複数の同軸ケーブルの各々の外部導体が互いに電気的に接続されて、同一電位とされた同一電位部とを含むものとされる。このように、複数の同軸ケーブルの各々の外部導体が同一のグランド電位とされるため、ノイズを低減させることが可能となり、部品の電気的特性を安定的に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態である測定装置を含む装着機の斜視図である。
図2】上記測定装置の要部の斜視図である。
図3】上記測定装置の要部の断面図である。
図4】上記測定装置の一部平面図である。
図5】上記測定装置に含まれるエア回路図である。
図6】上記測定装置に用いられる同軸ケーブルを概念的に示す図である。
図7】上記同軸ケーブルに設けられた同一電位部の断面図である。
図8】上記同一電位部を分解した図である。
図9】上記同軸ケーブルの測定子側接続部の周辺を示す図である。
図10】上記測定装置の同軸ケーブルの接続状態を概念的に示す図である。
図11】上記測定装置の全体を示す斜視図である。
図12】上記測定装置の制御装置の周辺を概念的に表すブロック図である。
図13】上記制御装置の記憶部に記憶された電気的特性測定プログラムを表すフローチャートである。
図14図14Aは上記測定装置の初期状態を示す図であり、図14Bはクランプ状態を示す図であり、図14Cは測定状態を示す図であり、図14Dは廃棄状態を示す図である。
【実施形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態である測定装置を含む装着機について図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例
【0009】
図1に示す装着機は、部品を回路基板に装着するものであり、本体2,回路基板搬送保持装置4,部品供給装置6,ヘッド移動装置8等を含む。
回路基板搬送保持装置4は、回路基板P(以下、基板Pと略称する)を水平な姿勢で搬送して保持するものであり、図1において、基板Pの搬送方向をx方向、基板Pの幅方向をy方向、基板Pの厚み方向をz方向とする。y方向、z方向は、それぞれ、装着機の前後方向、上下方向である。これら、x方向、y方向、z方向は互いに直交する。部品供給装置6は、基板Pに装着される電子部品(以下、部品と略称する)sを供給するものであり、複数のテープフィーダ14等を含む。ヘッド移動装置8は、装着ヘッド16を保持してx、y、z方向へ移動させるものであり、装着ヘッド16は、部品sを吸着して保持する吸着ノズル18を有する。
【0010】
符号20はカメラを示す。カメラ20は、吸着ノズル18によって保持された部品sを撮像するものであり、カメラ20によって撮像された画像に基づいて、部品sが回路基板Pに装着される予定のものであるか否かが判定される。符号22は測定装置を示す。測定装置22は、部品sの電気的特性を測定するものである。部品sの電気的特性としては、L(インダクタンス)、C(キャパシタンス)、R(レジスタンス)、Z′(インピーダンス)等が該当し、測定装置22によってこれらのうちの1つ以上が測定される。
【0011】
測定装置22は、ごみ箱26を介して回路基板搬送保持装置4の本体に設けられる。ごみ箱26と測定装置22との間に廃棄通路28が設けられ、電気的特性が測定された部品sが、廃棄通路28を経てごみ箱26に収容される。測定装置22は、ごみ箱26に高さ調整可能に設けられる。図2,11に示すように、ごみ箱26には、昇降可能にベース部30が係合させられ、ベース部30に測定台29が、例えば、ボルトおよびナット等を含む締結部(以下、締結部とは、広く2部材を締結する部材を含むものをいう)31(図3,4参照)によって着脱可能に保持される。これらベース部30および測定台29は一体的に昇降可能とされる。また、測定台29、ベース部30には、それぞれ、廃棄通路28と連通可能な貫通穴29a、30aが設けられる(図3,4参照)。
【0012】
測定装置22は、図2~4,11に示すように、(i)上記測定台29およびベース部30、(ii)部品sを保持可能な保持台32、(iii)固定子34および可動子36から成る一対の測定子37、(iv)保持台32を移動させる保持台移動装置40、(v)可動子36を固定子34に対して接近・離間させる可動子移動装置41、(vi)電気的特性取得部としての電気的特性検出部42等を含む。本実施例において、部品sは、両端部に電極を有し、一対の測定子37によって把持可能なものであり、例えば、角チップとすることができる。
【0013】
保持台32は、部品載置部44と、部品載置部44を保持する載置部保持体46とを含む。部品載置部44にはV溝44cが形成され、部品sが載せられる。部品載置部44は載置部保持体46に当接し、かつ、締結部47によって固定される。また、載置部保持体46が測定台29にストッパ90(図3参照)を介して当接し、上述のように、測定台29がベース部30に締結部31によって固定される。そして、部品載置部44、載置部保持体46、ストッパ90、測定台29、ベース部30、締結部31、47等は導電性を有する材料である導電性材料で製造されたものである。また、ベース部30はアースされている。以上により、部品載置部44は接地される。また、それにより、部品載置部44に載置させられた部品sについては、除電を行うことができる。
【0014】
固定子34、可動子36は、それぞれ、互いに対向する対向面34f、36fを有し、これら一対の対向面34f、36fによって部品sが把持される。固定子34は固定子保持体55に保持され、固定子保持体55が測定台29に固定される。可動子36は可動子保持体56に一体的に移動可能に保持され、可動子保持体56が測定台29に対して移動可能に設けられる。それにより、可動子36が固定子34に対して接近・離間可能とされる。
【0015】
固定子保持体55には、図2,4等に示すように、L字形ブラケット57を介して同軸ケーブル部58が接続され、可動子保持体56には、L字形ブラケット59を介して同軸ケーブル部60が接続される。L字形ブラケット57,59は、互いにほぼ直交する第1側部と第2側部とを有する形状を成す。固定子保持体55、固定子34、可動子保持体56、可動子36、ブラケット57,59は、いずれも導電性材料で製造されたものであるため、固定子34、可動子36と同軸ケーブル部58,60とが電気的に接続されることになる。また、これら固定子34,可動子36等と、同軸ケーブル部58,60、電気的特性検出部42等とにより、電気的特性測定回路61が形成される。
【0016】
保持台32にはカバー部62が取り付けられる。カバー部62は、測定時に、部品の周辺を覆うものである。また、カバー部62は、エアの拡散を防止するとともに、エアの噴出によって落下させられた部品sの飛散を防止する機能を果たす。
【0017】
図3に示すように、固定子側の部材{例えば、固定子34の上部、固定子保持体55の固定子34の上方の部分、測定台29のうちの1つ以上}には、エア通路70が形成され、エアシリンダ72,74に接続される。エア通路70の開口70aは可動子36の対向面36fに対向して形成される。また、エア通路70にはイオナイザ76が設けられる。イオナイザ76は、コロナ放電を生起させてエアをイオン化するものである。
【0018】
図5に示すように、エアシリンダ72は保持台移動装置40の駆動源であり、エアシリンダ72のピストンロッド72p(図5参照)には載置部保持体46が連結される。エアシリンダ72の2つのエア室72a,72b、エア源78、エア通路70、フィルタ(大気)の間に電磁弁装置80が設けられる。電磁弁装置80の制御により載置部保持体46(保持台32)の移動等が制御される。
【0019】
エアシリンダ74は可動子移動装置41の駆動源であり、ピストンロッド74pには可動子保持体56が連結される。エアシリンダ74のエア室74a,74bには、電磁弁装置82を介して、エア源78、エア通路70、フィルタ(大気)が接続される。電磁弁装置82の制御により、可動子保持体56(可動子36)の移動等が制御される。また、保持台32の前進時、可動子36の後退時には、エアシリンダ72,74からエア通路70にエアが供給され、可動子36の対向面36fに供給される。
【0020】
保持台32と可動子保持体56との間には、y方向に伸びた一対のガイドロッド86,87が設けられ、可動子保持体56と測定台29との間には、y方向に伸びた一対のガイドロッド88,89が設けられ、これらガイドロッド86,87、88,89(図2参照)により保持台32と可動子36とは測定台29に対して、y方向に互いに相対移動可能とされるとともに、保持台32と可動子36とは互いにy方向に相対移動可能とされる。
【0021】
また、図3に示すように、可動子保持体56の固定子側にはストッパ92が設けられ、測定台29の固定子保持体55を保持する部分にはストッパ90が設けられる。ストッパ92は、可動子保持体56と保持台32(載置部保持体46)との接近限度を規定するものであり、ストッパ90は、固定子34(測定台29)と保持台32との接近限度を規定するものである。
【0022】
一方、図4、11に示すように、測定台29の表面29fとベース部30の表面30fとは、アース線132によって接続される。アース線132の一端部はL字形ブラケット130の第1側部に締結部131によって取り付けられ、アース線132の他端部はベース部30の表面30fに締結部133によって取り付けられる。L字形ブラケット130の第2側部は測定台29の表面29fに締結部134によって取り付けられる。また、L字形ブラケット130、締結部131,133,134は導電性材料によって製造されたものである。そのため、測定台29とベース部30とは、アース線132によって電気的に接続される。なお、ベース部30の下端部30dにもアース線136が締結部137によって取り付けられる。それにより、測定装置22の全体の除電が図られる。
【0023】
電気的特性測定回路61において、図4,10に示すように、同軸ケーブル部58,60は、それぞれ、2本ずつの同軸ケーブル58a,58b、同軸ケーブル60a,60bを含む。同軸ケーブル58a,58b、60a,60bは、それぞれ、同じ構造を成すものであり、図6に示すように、同軸状に設けられた、内部導体140、絶縁体(誘電体)142、外部導体144、保護被膜146等を含む。外部導体144は銅線を網状に編み込んだ網組銅線で形成されることが多く、かつ、グランドに接続されるのが普通である。外部導体144を設けることにより、伝達される信号の外部への漏れが抑制される。このことから、外部導体144の銅線をシールド線と称することができる。また、これら内部導体140、絶縁体142、外部導体144は保護被膜146により覆われる。
【0024】
本実施例においては、部品sの電気的特性が自動平衡ブリッジ法により測定され、同軸ケーブル58a,58b、60a,60bが4端子対測定法により接続される。なお、部品sの電気的特性の測定方法、同軸ケーブル部58,60の接続方法は、自動平衡ブリッジ法、4端子対測定法に限らない。
【0025】
図7~10に示すように、同軸ケーブル58a,58bの内部導体140は、それぞれ、1つの(同一の)測定子側接続部58cに接続され、測定子側接続部58cがL字形ブラケット57の第1側部に締結部57aによって取り付けられる。同軸ケーブル60a,60bの内部導体140も1つの測定子側接続部60cに接続され、測定子側接続部60cがL字形ブラケット59の第1側部に締結部59aによって取り付けられる。本実施例において、測定子側接続部58c、60cが、それぞれ、同軸ケーブル58a,58b、同軸ケーブル60a、60bの各々の共通の一端部とされる。
【0026】
また、同軸ケーブル58a,58b、60a,60bの各々の他端部である検出部側接続部58p,58q、60p,60qは、図4,10に示すように、それぞれ、電気的特性検出部42の端子Hc,Hp,Lc,Lpに接続される。なお、L字形ブラケット57,59は、それぞれ、第2側部において、固定子保持体55、可動子保持体56に、締結部57b、59bによって取り付けられる。
【0027】
図10に概念的に示すように、端子Hcにおいて、同軸ケーブル58aの内部導体140に交流電源の出力が供給され、外部導体144を経て戻される。端子Hpにおいては、同軸ケーブル58bの内部導体140と外部導体144との間の電位差が部品sに加えられる電圧値として検出される。端子Lcにおいて、同軸ケーブル60aの内部導体140と外部導体144との間に流れる電流が部品sを流れる電流値として取得される。厳密には、内部導体140と外部導体144との間に設けられた図示しない抵抗値xの抵抗Rの電位差が取得され、その電位差と抵抗値xとに基づいて、抵抗Rに流れる電流が取得される。端子Lpにおいて、内部導体140と外部導体144との電位差が検出され、検出された電位差が0となるように、図示しない電気的特性検出部42の構成要素(発振器等)が制御される。それにより、上述の抵抗Rに流れる電流と部品sに流れる電流とが同じとなり、その状態で端子Lcにおいて取得された抵抗Rに流れる電流が部品sを流れる電流値とされるのである。
【0028】
同軸ケーブル58a,58b、60a,60bの各々には同一電位部150が設けられ、同一電位部150において、同軸ケーブル58a、58b、60a,60bの各々の外部導体144が互いに電気的に接続される。図7,8に示すように、同軸ケーブル58a,58b,60a,60bの各々について保護被膜146が剥がされて、露出された外部導体144に銅箔のテープ152が巻かれ、はんだ154が付けられるのである。また、保護被膜146が剥がされた部分等は保護チューブ156によって覆われる。
【0029】
このように、同一電位部150において、図10に示すように、同軸ケーブル58a,58b、60a,60bの各々の外部導体144を互いに通電可能とすることができ、各々の外部導体144の電位を同一とすることができる。
【0030】
同一電位部150は、図4,9に示すように、同軸ケーブル58a,58b、60a,60bの各々の測定子側接続部58c、60cからの長さが150mm以下の部分に取り付けられる。換言すると、同軸ケーブル58a,58b、60a,60bの各々の測定子側接続部58c、60cと同一電位部150との間の長さLxは、測定子側接続部58c、60cと検出部側接続部58p、58q、60p、60qとの間の長さLaの5%以下とされる。このように、同一電位部150は、同軸ケーブル58a,58b、60a,60bの各々の一対の測定子37への接続部である測定子側接続部58c、60cの近傍に設けられるのであり、一対の測定子37の近傍において、同軸ケーブル58a,58b、60a,60bの各々の外部導体144が同一のグランド電位とされるのである。なお、同軸ケーブル58a、58bと同軸ケーブル60a、60bとで、測定子側接続部58c、60cと同一電位部150との間の長さは同じとは限らない。例えば、可動子保持体56に接続される同軸ケーブル60a、60bについては、固定子保持体55に接続される同軸ケーブル58a、58bより、測定子側接続部60cと同一電位部150との間の長さが長くされる場合がある。
【0031】
このように4端子対測定法により同軸ケーブル58a,58b、60a,60bが接続される場合には、部品sに流れる電流と、部品sに加えられた電圧とが別個の回路で測定されるため、同軸ケーブル58a,58b、60a,60bの各々の残留インピーダンスの影響を減らすことができる。また、内部導体140と外部導体144とで、それぞれを流れる電流が逆向きとされるため、内部導体140、外部導体144の各々の磁束の発生を抑制することができる。そのため、部品sに流れる電流、電圧を精度よく測定することができる。
【0032】
一方、図11に示すように、ベース部30には、測定台29に保持された保持台32、一対の測定子37等を覆う状態で、シールドカバー180が取り付けられる。シールドカバー180は、概して、中空の直方体状を成すものであり、ベース部30に設けられた締結部182,184によって取り付けられる。締結部182,184は、導電性材料で製造されたものであるため、シールドカバー180は、ベース部30に電気的に接続される。また、シールドカバー180の上面の部品載置部44に対応する部分には貫通穴190が形成される。貫通穴190は部品sをシールドカバー180の外部からV溝44cに載せるためのものである。
【0033】
また、導電性材料で製造された部材、例えば、ベース部30、測定台29、これらベース部30、測定台29に保持された部材(保持台32、可動子移動体56、L字形ブラケット57、59、130、締結部31、131、57a,59b、59a,59b、182,184、シールドカバー180等、ただし、固定子34、可動子36の対向面34f、36fを除く)には、同じ導電性材料、例えば、無電解ニッケルにより表面処理が施される。それにより、導通性が向上する。
【0034】
当該装着機は制御装置200を含む。制御装置200は、図12に示すように、コンピュータを主体とするコントローラ202と、複数の駆動回路204とを含む。コントローラ202は、実行部210、記憶部212、入出力部214等を含み、入出力部214には、基板搬送保持装置4、部品供給装置6、ヘッド移動装置8が、それぞれ、駆動回路204を介して接続されるとともに、可動子移動装置41、保持台移動装置40の電磁弁装置80,82等が接続される。また、電気的特性検出部42、ディスプレイ216、可動子位置センサ218、保持台位置センサ220、ノズル高さセンサ222等が接続される。
【0035】
部品sの電気的特性は、図13のフローチャートで表される電気的特性測定プログラムの実行により測定される。電磁弁装置80,82は、可動子位置センサ218、保持台位置センサ220の出力信号等に基づいて制御される。測定結果は、ディスプレイ216に表示されるようにすることができる。測定装置22は、常には、図14Aに示す初期状態にある。可動子36は後退端位置にあり、保持台32は前進端位置、すなわち、ストッパ90に当接した位置にある。
【0036】
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、部品sの電気的特性の測定指令が出されたか否かが判定される。例えば、段取り替えが行われる場合等、部品sの電気的特性の測定指令が出された場合には、判定がYESとなり、S2において、装着ヘッド16が移動させられる。装着ヘッド16がV溝44c上に到達し、吸着ノズル18が下降させられ、部品sが開放され、部品sがV溝44cに載置させられる。
【0037】
S3において、電磁弁装置82の制御により可動子36が前進させられ、図14Bに示すように、可動子36と固定子34とにより部品sがクランプされる。S4において、図14Cに示すように、電磁弁装置80の制御により保持台32がストッパ92に当接するまで後退させられる。保持台32は、部品sおよび可動子36と接触しない位置に達する。
【0038】
S5において、吸着ノズル18により部品sが開放され、V溝44cに載せられた時から、設定時間である除電時間が経過するのが待たれる。除電時間は、部品sに帯電していた静電気が除去される時間であり、予め決められている。経過時間が除電時間に達すると、S5の判定がYESとなり、S6において部品sの電気的特性が測定される。そして、部品sの電気的特性の検出が終了した後に、S7において、可動子36が後退させられ、可動子36と固定子34との間に把持されていた部品sが開放される。また、可動子36の後退に伴って、エアが開口70aから可動子36の対向面36fに斜め上方から供給される。それにより、仮に、対向面36fから部品sを、良好に落下させることができる。
【0039】
S8において、図14Dが示すように、保持台32が後退させられる。可動子36と固定子34との間の空間は、廃棄通路28に連通させられるため、部品sをごみ箱26へ廃棄することができる。そして、保持台32がストッパ92に当接するまで後退させられた後、S9において、保持台32が前進させられ、一対の対向面34f、36fの間に位置する。V溝44cの上方が空間とされ、部品sが載置可能とされ、図4Aに示す初期状態に戻される。また、保持台32の前進に伴って、イオンを含むエアが可動子36の対向面36fに供給されるため、対向面36fの除電を図ることもできる。
【0040】
以上のように、本実施例においては、同一電位部150が一対の測定子37の近傍に設けられるため、同軸ケーブル58a,58b、60a,60bの各々の測定子37の近傍においてノイズを低減することができる。また、シールドカバー180が設けられるため、外部から測定台29上に供給されるノイズを遮断することができる。さらに、測定台29とベース部30とがアース線132によって接続され、測定台29に保持された部材、ベース部30、シールドカバー180等には、同じ導電性材料により表面処理が施される。それにより、保持台32、一対の測定子37等の測定台29に設けられた部材の電荷を速やかに、かつ、良好に除去することができる。
以上により、本実施例に係る測定装置22においては、部品sの電気的特性を精度よく測定することができるのであり、仮に、インピーダンスが小さい部品sであっても、その部品sのインピーダンスを精度よく測定することができる。
【0041】
以上、実施形態に記載の態様の他、本開示は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
22:測定装置 29:測定台 30:ベース部 31:締結部 32:保持台 34:固定子 36:可動子 42:LCR検出部 44:部品載置部 57,59:ブラケット 58、60:同軸ケーブル部 58a,58b、60a,60b:同軸ケーブル 132:アース線 140:内部導体 142:誘電体 144:外部導体 146:外部被膜 150:同一電位部 152:銅箔 154:はんだ 180:カバー
【請求可能な態様】
【0043】
(1)部品供給装置によって供給された部品をピックアップして回路基板に装着する装着機に搭載され、部品を保持する保持台と、互いに接近・離間可能に設けられた一対の測定子とを含み、前記一対の測定子が前記部品を挟むことにより、前記部品の電気的特性を測定する測定装置であって、
前記一対の測定子の各々にそれぞれ接続された一対の同軸ケーブル部と、
それら一対の同軸ケーブル部に設けられ、前記一対の同軸ケーブル部に含まれる複数の同軸ケーブルの各々の外部導体を互いに電気的に接続し、同一電位とする同一電位部と
を含む測定装置。
同軸ケーブル部の各々は、1本の同軸ケーブルを含むものであっても2本の同軸ケーブルを含むものであってもよい。
【0044】
(2)前記同一電位部が、前記複数の同軸ケーブルの各々の、前記一対の測定子への接続部である測定子側接続部からの長さが200mm以下の部分に設けられた(1)項に記載の測定装置。
同軸ケーブルの各々の、測定子側接続部と同一電位部との間の長さは、170mm以下、150mm以下、130mm以下、110mm以下、80mm以下、50mm以下、30mm以下とすることができる。同一電位部は、測定子側接続部の近傍に設けられる。近傍とは、外部導体が同一電位とされることにより、測定子の周辺においてノイズを低減し、部品の電気的特性を精度よく検出し得る部分である。
【0045】
(3)当該測定装置が、前記複数の同軸ケーブルの各々から入力された信号に基づいて前記部品の電気的特性を検出する電気的特性検出部を含み、
前記複数の同軸ケーブルの各々が、一端部である測定子側接続部において前記一対の測定子に接続され、他端部である検出部側接続部において前記電気的特性取得部に接続され、
前記複数の同軸ケーブルの各々の前記測定子側接続部と前記同一電位部との間の長さが、前記測定子側接続部と前記検出部側接続部との間の長さの10%以下とされた(1)項または(2)項に記載の測定装置。
同軸ケーブルの各々の測定子側接続部と同一電位部との間の長さは、測定子側接続部と検出部側接続部との間の長さの7%以下、5%以下、3%以下、2%以下、1%以下等とすることができる。
【0046】
(4)前記一対の同軸ケーブル部の各々が、それぞれ、2本ずつの同軸ケーブルから構成され、
前記2本ずつの同軸ケーブルが、4端子対測定法により接続された(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の測定装置。
【0047】
(5)当該測定装置が、少なくとも前記保持台および前記一対の測定子を覆うシールドカバーを含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の測定装置。
【0048】
(6)前記シールドカバーの、前記保持台の前記部品を保持する部分に対応する部分に、貫通穴が形成された(5)項に記載の測定装置。
部品は、シールドカバーの外部から、貫通穴を通って保持台に載せられる。
【0049】
(7)当該測定装置が、
前記保持台と前記一対の測定子とが設けられた測定台と、
その測定台を保持するベース部と
を含み、
前記シールドカバーと前記ベース部とが電気的に接続された(5)項または(6)項に記載の測定装置。
シールドカバーとベース部とは、アース線を介して電気的に接続されるようにしたり、締結部を介して電気的に接続されるようにしたりすること等ができる。
【0050】
(8)当該測定装置が、
前記保持台と前記一対の測定子とが設けられた測定台と、
その測定台を保持するベース部と
を含み、
前記測定台と前記ベース部とがアース線によって接続された請求項1ないし6のいずれか1つに記載の測定装置。
ベース部と測定台とは、メンテナンスの都合上、別部材とされ、測定台はベース部に着脱可能に取り付けられる場合があり、その場合に、測定台とベース部とはアース線によって接続されることが望ましい。
【0051】
(9)少なくとも前記測定台と前記保持台とについて、同じ導電性材料によって表面処理が施された(7)項または(8)項に記載の測定装置。
【0052】
(10)部品供給装置によって供給された部品をピックアップして回路基板に装着する装着機に搭載され、部品を保持する保持台と、互いに接近・離間可能に設けられた一対の測定子とを含み、前記一対の測定子が前記部品を挟むことにより、前記部品の電気的特性を測定する測定装置であって、
少なくとも前記保持台と前記一対の測定子とを覆うシールドカバーを含む測定装置。
本項に記載の測定装置には、(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14