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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】画像読取装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20231218BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20231218BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H04N1/387 110
H04N1/12 Z
H04N1/00 567M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020009085
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021118393
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐土原 哲也
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-171540(JP,A)
【文献】特開2017-038346(JP,A)
【文献】特開2009-016902(JP,A)
【文献】特開平05-347701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/38 - 1/393
H04N 1/04 - 1/207
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの両面に形成された画像をそれぞれ読み取り、前記両面にそれぞれ対応する2つの画像データを生成する読取部と、
前記両面の双方において少なくとも一辺の端部にまで前記画像が存在するか否かの判定を行い、前記両面の双方において少なくとも一辺の前記端部にまで前記画像が存在する場合、前記2つの画像データを前記シートが折り畳まれたことによって生成される辺である、一方の面の第1の辺と他方の面の前記第1の辺に対向する辺である第2の辺とで結合し、結合された画像データに基づく画像を示す結合画像の大きさを任意の大きさにするように前記画像データを変換してファイル化し、前記両面の少なくとも一方の面の全ての辺の前記端部において前記画像が存在しない場合、前記2つの画像データを個別にファイル化する制御部と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記任意の大きさとは、前記結合画像が形成されるシートに収まる大きさである
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記シートが重なった状態で前記読取部へ搬送される重送を検知する検知部
を更に備え、
前記制御部は、前記検知部によって前記重送が検知されなかった場合、前記判定を実行しない
請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
ユーザによる操作入力を受け付ける操作入力部
をさらに備え、
前記制御部は、前記操作入力が受け付けられた場合に前記判定を実行する
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御部は、奇数回目に給紙された前記シートの読み取り時に前記2つの画像データを結合した場合、その次に給紙された前記シートの読み取り時においても読み取られた2つの画像データを結合する
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
コンピュータに、
シートの両面に形成された画像をそれぞれ読み取り、前記両面にそれぞれ対応する2つの画像データを生成する読取ステップと、
前記両面の双方において少なくとも一辺の端部にまで前記画像が存在するか否かの判定を行い、前記両面の双方において少なくとも一辺の前記端部にまで前記画像が存在する場合、前記2つの画像データを前記シートが折り畳まれたことによって生成される辺である、一方の面の第1の辺と他方の面の前記第1の辺に対向する辺である第2の辺とで結合し、結合された画像データに基づく画像を示す結合画像の大きさを任意の大きさにするように前記画像データを変換してファイル化し、前記両面の少なくとも一方の面の全ての辺の前記端部において前記画像が存在しない場合、前記2つの画像データを個別にファイル化する制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像読取装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シートに形成された画像を読み取る画像読取装置がある。画像読取装置とは、例えばスキャナ、コピー機、及び複合機等の装置である。一般的に、画像読取装置には、読み取り可能なシートのサイズが予め定められている。そのため、画像読取装置は、読み取り可能なサイズより大きなシートに形成された画像を、そのままでは読み取ることができない。これに対し、2つに折り畳まれたシートの両面の画像をそれぞれ読み取り、画像データを結合することによって元の画像とする従来技術がある。例えば従来技術では、A3サイズのシートが折り畳まれたA4サイズのシートの両面の画像をそれぞれ読み取り、画像データを結合して元のA3サイズの画像を生成することが行われる。
【0003】
しかしながら、読み取り対象のシートが折り畳まれたシートではない場合には、上記のような画像データの結合を行う必要がない。そのため、従来技術では、画像の読み取りが行われる前に、読み取り対象のシートが折り畳まれたシートであるか否かについて予めユーザによって指定される必要がある。とくに、折り畳まれたシートと折り畳まれていないシートとが混在する複数のシートに対する読み取りが行われる場合においては、シート毎にユーザの手作業による指定が必要になる。これにより、画像の読み取りにおける利便性が低下するという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-283933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、画像の読み取りにおける利便性を向上させる画像読取装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の画像読取装置は、読取部と、制御部と、を持つ。読取部は、シートの両面に形成された画像をそれぞれ読み取り、前記両面にそれぞれ対応する2つの画像データを生成する。制御部は、前記両面の双方において前記シートの少なくとも一辺の端部にまで前記画像が存在するか否かの判定を行い、前記両面の双方において前記画像が存在すると判定された場合、前記2つの画像データを結合し、結合された画像データに基づく画像を示す結合画像の大きさを任意の大きさにするように前記画像データを変換する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成装置100の全体構成例を示す外観図。
図2】画像形成装置100の機能構成を示すブロック図。
図3】画像読取部200の構成の一例を示す断面図。
図4】折り畳まれるシートSの一例を示す図。
図5】制御部101の動作を示すフローチャート。
図6】結合される画像データの一例を示す図。
図7】回転される画像データの一例を示す図。
図8】結合されない画像データの一例を示す図。
図9】制御部101の動作を示すフローチャート。
図10】折り畳まれるシートSの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の画像読取装置及びプログラムでは、画像の読み取りにおける利便性を向上させることが可能になる。以下、実施形態の画像読取装置及びプログラムについて詳細に説明する。
【0009】
まず、図1を参照して実施形態の画像形成装置100の全体構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の全体構成例を示す外観図である。画像形成装置100は、例えば複合機(MFP)である。画像形成装置100は、ディスプレイ110と、コントロールパネル120と、プリンタ部130と、シート収容部140と、画像読取部200とを備える。画像形成装置100は、画像読取装置の一例であり、コピー機、又はスキャナ等であってもよい。
【0010】
ディスプレイ110は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ110は、画像形成装置100に関する種々の情報を表示する。ディスプレイ110と、以下に説明するコントロールパネル120とは、一体のタッチパネルとして構成されてもよい。
【0011】
コントロールパネル120(操作入力部)は、複数のボタンを有する。コントロールパネル120は、ユーザの操作入力を受け付ける。コントロールパネル120は、ユーザによって行われた操作入力に応じた信号を、画像形成装置100の制御部101へ出力する。例えば操作入力には、読み取り対象のシートSが折り畳まれたシートである場合に、シートSの表裏が読み取られて生成される画像データを結合させる指示を示す操作入力が含まれる。例えば操作入力には、シートSに形成された画像の読み取りを開始させる指示を示す操作入力が含まれる。
【0012】
プリンタ部130は、画像読取部200によって生成された画像データに基づいて、シートS上に画像を形成する。
【0013】
プリンタ部130は、トナー像等の可視像をシートSに定着させる装置であってもよいし、インクジェット式の装置であってもよい。シートSは、例えば紙やラベル用紙等である。シートSは、その表面に画像形成装置100が画像を形成できる物であるならば、どのような物であってもよい。シートSは、シート収容部140に収容されたシートでもよいし、画像形成装置100に手挿しされたシートであってもよい。
【0014】
シート収容部140は、プリンタ部130による画像形成に用いられるシートSを収容する。
【0015】
画像読取部200(スキャナ)は、シートSに形成されている画像を光の明暗に基づいて読み取り、デジタルデータである画像データを生成する。画像読取部200は、生成された画像データを、後述される補助記憶装置103に記録する。画像読取部200は、生成された画像データをプリンタ部130へ出力してもよい。画像読取部200は、生成された画像データをネットワークを介して他の情報処理装置等へ出力してもよい。
【0016】
次に、図2を参照して実施形態の画像形成装置100の機能構成について説明する。
図2は、画像形成装置100の機能構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、制御部101と、ネットワークインタフェース102と、補助記憶装置103と、メモリ104と、ディスプレイ110と、コントロールパネル120と、プリンタ部130と、シート収容部140と、画像読取部200とを備える。画像形成装置100が備える各機能部は、内部バスで接続されており、互いにデータの入出力を行うことができる。図1を参照して説明した前述の機能部については、図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0017】
制御部101は、画像形成装置100の各機能部の動作を制御する。制御部101は、プログラムを実行することにより、各機能部に各種の処理を実行させる。プログラムは、例えばメモリ104に予め記憶されている。制御部101の動作については後に詳しく説明する。
【0018】
ネットワークインタフェース102は、外部の装置とのデータの送受信を行う。ネットワークインタフェース102は、入力インタフェースとして動作し、外部の装置から送信されたデータを受信する。ネットワークインタフェース102は、出力インタフェースとして動作し、外部の装置へデータを送信する。
【0019】
補助記憶装置103は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(solid state drive)等の記憶媒体である。補助記憶装置103は、各種データを記憶する。各種データは、例えば画像データ等である。画像データは、例えば画像読取部200によって生成されたデジタルデータである。
【0020】
メモリ104は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ104は、画像形成装置100が備える各機能部によって用いられるデータ及びプログラムを一時的に記憶する。画像読取部200によって生成されたデジタルデータ(画像データ)が、補助記憶装置103の代わりにメモリ104に記録される構成であってもよい。
【0021】
次に、図3を参照して実施形態の画像読取部200による画像読取の構成について説明する。
図3は、画像読取部200の構成の一例を示す断面図である。画像読取部200は、シートSの第1面及び第2面を読み取る両面読取型の画像読取装置である。画像読取部200は、第1の画像読取部210によりシートSの第1面を読み取る。画像読取部200は、スキャナモジュール17(第2の画像読取部)によりシートSの第1面の裏面である第2面を読み取る。
【0022】
画像読取部200は、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17を備える。画像読取部200は、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)10を備える。ADF10は、シートSを第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17へ搬送する。
【0023】
ADF10は、原稿トレイ11と、搬送機構と、排紙トレイ18とを備える。搬送機構は、ピックアップローラ12と、レジストローラ13と、複数の搬送ローラ(搬送ローラ14、15、及び16)とを備える。搬送機構は、ピックアップローラ12、レジストローラ13、搬送ローラ14、15、及び16を回転させるトルクを発生させる駆動部を備える。駆動部は、例えばモータ又はソレノイド等である。
【0024】
原稿トレイ11には、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17による読み取りの対象のシートSが載置される。ピックアップローラ12は、原稿トレイ11からシートSを取り出し、搬送路に向けてシートSを送り出す。レジストローラ13は、ピックアップローラ12から搬送されたシートSの先端位置を揃えて、搬送ローラ14、15、及び16に向けてシートSを送り出す。搬送ローラ14、15、及び16は、レジストローラ13から搬送されたシートSを、読取窓ガラス21及びスキャナモジュール17側に向けて搬送する。シートSは、第1の画像読取部210の画像読取範囲を通過し、次に、スキャナモジュール17の画像読取範囲を通過する。シートSが、スキャナモジュール17の画像読取範囲を通過し、次に、第1の画像読取部210の画像読取範囲を通過する構成であってもよい。その後、シートSは、排紙トレイ18に排出される。
【0025】
第1の画像読取部210は、読取窓ガラス21と、プラテンガラス22と、白基準板23とを備える。第1の画像読取部210は、第1キャリッジ212と、第2キャリッジ214と、レンズ216とを備える。さらに、第1の画像読取部210は、CCD(Charge Coupled Device)センサ218と、CCDセンサ基板220と、制御基板222とを備える。
【0026】
第1の画像読取部210は、縮小光学系のイメージスキャナにより実現することができる。第1の画像読取部210は、例えばCIS(Contact Image Sensor)を用いた等倍光学系のイメージスキャナによって構成されてもよい。等倍光学系により実現された第1の画像読取部210は、以下に説明する縮小光学系の第1の画像読取部210と同様の動作を実現することができる。
【0027】
読取窓ガラス21は、ADF10によって搬送されるシートSの画像を読み取るための開口部である。プラテンガラス22は、シートSが載置される原稿載置台である。
【0028】
第1キャリッジ212は、反射板212aと、光源212bと、リクレクタ212cとを備える。光源212bは光を出射する。光源212bから出射された光は、読取窓ガラス21を通過して、搬送路に向けて導かれる。反射板212aには、シートSによって反射された光が導かれる。反射板212aは、入射した光を、第2キャリッジ214に反射させる。
【0029】
第2キャリッジ214は、反射板214aと、反射板214bとを備える。反射板214aには、反射板212aによって反射された光が入射される。反射板214aは、入射された光を、反射板214bに向けて反射させる。反射板214bには、反射板214aによって反射された光が入射される。反射板214bは、入射された光を、レンズ216に向けて反射させる。
【0030】
レンズ216は、反射板214bによって反射された光を集光する。レンズ216は、集光された光をCCDセンサ218の結像面(読取面)に結像させる。
【0031】
CCDセンサ218は、CCDセンサ基板220上に実装されている。例えば、CCDセンサ218は、ハイブリッド4ラインセンサである。ハイブリッド4ラインセンサは、カラー画像を読み取る3ラインセンサと、モノクロ画像を読み取る1ラインセンサとを含む。3ラインセンサは、R(赤)、G(緑)、及びB(青)の光を読み取る。CCDセンサ218は、レンズ216によって結像された光を電荷に変換する。この変換によって、CCDセンサ218は、レンズ216によって結像された画像を電気信号に変換する。
【0032】
CCDセンサ218は、副走査線方向に並べられた複数の画像撮像素子を備える。副走査線方向とは、ADF10によるシートSの搬送方向と直交する方向である。CCDセンサ218は、コントローラから入力された水平同期信号に基づいて電気信号を出力する。CCDセンサ218は、複数の画像撮像素子により同時に読み取ることによって生成された電気信号を、1ライン分の電気信号として出力する。CCDセンサ218は、次の水平同期信号が入力されると、次の1ライン分の画像を読み取り、電気信号を出力する。このようにして、CCDセンサ218は、シートSを副走査線方向に読み取った1ライン分の電気信号を、順次出力する。
【0033】
CCDセンサ基板220は、CCDセンサ218の光電変換によって生成された電気信号に基づいて画像データを生成する。
【0034】
制御基板222は、第1キャリッジ212、第2キャリッジ214、及びCCDセンサ基板220の動作を制御する。例えば、制御基板222は、第1キャリッジ212の移動、第1キャリッジ212の光源212bの点灯及び消灯について制御する。
【0035】
スキャナモジュール17(第2の画像読取部)は、第1の画像読取部210と同様の構成を有する。スキャナモジュール17は、光源と、CCDセンサとを備える。CCDセンサは、副走査線方向に並べられた複数の画像撮像素子を備える。スキャナモジュール17は、光源から出射された光をシートSの第2面に導く。スキャナモジュール17は、シートSからの反射光に基づき、光信号を電気信号に光電変換して、画像データを出力する。これにより、スキャナモジュール17は、第2の画像読取部として機能する。
【0036】
スキャナモジュール17は、コントローラから入力された水平同期信号に基づいて電気信号を出力する。スキャナモジュール17は、次の水平同期信号が入力されると、次の1ライン分の画像を読み取り、電気信号を出力する。このようにして、スキャナモジュール17は、シートSを副走査線方向に読み取った1ライン分の電気信号を、順次出力する。
【0037】
本実施形態において、CCDセンサ218は、読取窓ガラス21の表面上を移動するシートSの第1面(表面)の画像を読み取る。スキャナモジュール17は、シートSの第2面(裏面)の画像を読み取る。これにより、画像形成装置100は、シートSを1回だけ搬送路に通過させることにより、シートSの第1面の画像と第2面の画像とをそれぞれ読み取ることができる。
【0038】
ADF10において、光源212bから出射され読取窓ガラス21及び搬送路を通過した部分には、第1の光拡散部19が設けられる。第1の光拡散部19は、光拡散部材であるが、入射した光を鏡面反射しない部材であればよい。第1の光拡散部19は、入射した光を吸収する材料を含む部材であってもよい。例えば、第1の光拡散部19は、黒色板である。
【0039】
シートSが読取窓ガラス21上に搬送された状態において、読取窓ガラス21を透過した光は、シートSにより反射される。一方、シートSが読取窓ガラス21上に搬送されていない状態において、読取窓ガラス21を透過した光は、第1の光拡散部19により拡散される。この結果、CCDセンサ218における光強度は、シートSが読取窓ガラス21上に搬送された状態において高い値になる。
【0040】
ADF10において、スキャナモジュール17は、例えば、第1の画像読取部210よりも搬送方向における下流に設けられる。スキャナモジュール17は、第1の画像読取部210よりも搬送方向における上流に設けられてもよい。スキャナモジュール17が備える光源から出射され搬送路を通過した部分には、第2の光拡散部20が設けられる。第2の光拡散部20は、第1の光拡散部19と同様に、光源から出射された光を拡散させる。これにより、シートSがスキャナモジュール17に搬送されている状態でのCCDセンサにおける光強度は、シートSがスキャナモジュール17に搬送されていない状態での光強度よりも高くなる。
【0041】
ユーザ等によって原稿トレイ11に載置されるシートの一例について説明する。原稿トレイ11に載置されるシートSは、2つに折り畳まれたシートである場合と、折り畳まれていないシートである場合とがある。例えば、画像形成装置100が、最大A4サイズまでのシートSの読み取りに対応可能である場合、そのままではA3サイズのシートSに形成された画像を読み取ることができない。そのため、例えばA3サイズのシートSは、ユーザ等によって予め、シートSの長手方向の半分の位置を折線として2つに折り畳まれて一辺が繋がった2葉のA4サイズにされた後に、原稿トレイ11に載置される。画像形成装置100は、折り畳まれたシートであるシートSの、互いに面さない第1面及び第2面に形成された画像をそれぞれ読み取り、2つの画像データを生成する。
【0042】
図4は、折り畳まれるシートSの一例を示す図である。図4(A)に示されるシートSは、例えばA3サイズのシートである。シートSの中央付近には、星型の画像が形成されている。ユーザは、A3サイズのシートS(図4(A))の読み取りを行いたい場合、読み取り対象の画像が形成されている面を山側にして、シートSを2つに折り畳む。図4(B)に示されるシートSは、図4(A)に示されるA3サイズのシートSが2つに折り畳まれてA4サイズとなったシートである。ユーザは、折り畳まれたシートS(図4(B))を原稿トレイ11に載置する。
【0043】
以下、図5を参照して実施形態の制御部101の動作の一例について説明する。
図5は、制御部101の動作を示すフローチャートである。図5に示されるフローチャートは、例えば、ユーザによって原稿トレイ11にシートSが載置され、コントロールパネル120により読み取り指示を示す操作入力が行われた際に開始する。ここでいう読み取り指示とは、画像読取部200にシートSの第1面(表面)及び第2面(裏面)にそれぞれ形成された画像を読み取らせるための指示である。読み取り指示とは、両面読み取りを実行させるための指示である。読み取り指示は、例えばユーザが、タッチパネルを構成するディスプレイ110に表示された「両面読み取り」アイコンをタップした後、「スタート」アイコンをタップすることによって生成される。生成された読み取り指示は、制御部101へ出力される。
【0044】
図5に示されるように、まず、制御部101は、コントロールパネル120から出力された読み取り指示を受け付ける(ACT001)。次に、制御部101は、ピックアップローラ12、レジストローラ13、搬送ローラ14、15、及び16を回転させるトルクを発生させる駆動部を制御する。これにより、制御部101は、原稿トレイ11に載置されたシートSを読取窓ガラス21及びスキャナモジュール17に向けて搬送させる(ACT002)。
【0045】
次に、制御部101は、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17を制御し、シートSの両面(第1面及び第2面)に形成されている画像をそれぞれ読み取らせる(ACT003)。次に、制御部101は、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17を制御し、読み取られた画像を示す画像データをそれぞれ生成させる(ACT004)。例えば、図4(B)に示されるような折り畳まれたシートSの両面に対して読み取りが行われた場合、図6(A)に示されるような、画像データim1と画像データim2とがそれぞれ生成される。
【0046】
次に、制御部101は、第1の画像読取部210によって生成された画像データに基づく画像が、シートSの少なくとも一辺の端部の位置にまで存在するか否かを判定する。制御部101は、スキャナモジュール17によって生成された画像データに基づく画像が、シートSの少なくとも一辺の端部の位置にまで存在するか否かを判定する(ACT005)。
【0047】
例えば、図6(A)に示される画像データim1は、シートSの第1面の右辺の端部にまで画像(星型の左半分を示す画像)がある。図6(A)に示される画像データim2は、シートSの第2面の左辺の端部にまで画像(星型の右半分を示す画像)がある。そのため、この場合、制御部101は、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17によってそれぞれ生成された画像データに基づく画像が、それぞれシートSの少なくとも一辺の端部にまで存在すると判定する(ACT005)。
【0048】
一般に、シートの中央付近に画像が形成されたシートが2つに折り畳まれた場合、当該画像は第1面(表面)と第2面(裏面)とに跨ることになる。そのため、この場合、シートが折り畳まれることにより生成された辺には、端部にまで画像が存在することになる。これに対し、折り畳まれていないシートでは、一般にシートの各辺の端部にまでは画像が存在しない場合が多い。このような点を鑑みて、本実施形態における画像形成装置100の制御部101は、シートSの第1面及び第2面の双方において、少なくとも一辺の端部にまで画像が存在している場合に、シートSが折り畳まれたシートであると判定する構成である。
【0049】
制御部101は、第1面と第2面とにおいて対になる辺において、それぞれ端部にまで画像がある場合に、シートSが折り畳まれたシートであると判定するようにしてもよい。例えば、図6(A)に示される画像データim1はシートSの第1面が読み取られて生成された画像データであり、画像データim2はシートSの第2面が読み取られることにより生成された画像データである。そして、画像データim1に基づく第1面の右辺と、画像データim2に基づく第2面の左辺とは、いずれもシートSが折り畳まれたことによって生成される辺である。このような、シートSの折り目に相当する表裏それぞれの辺を、対になる辺という。
【0050】
このように、端部にまで画像が存在する辺が第1面と第2面とにそれぞれ少なくとも1つ存在する場合に、これらの辺が対になる辺であるか否かを制御部101が更に判定する。これにより、制御部101は、読み取り対象のシートSが折り畳まれたシートであるか否かを、より精度高く判定することができる。
【0051】
制御部101は、対になる辺の端部にそれぞれ存在する画像を、更に解析するようにしてもよい。例えば、制御部101は、各端部に存在するそれぞれ画像の位置及び輝度等を解析し、両者の画像に連続性があるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、制御部101は、解析結果に基づいて両者の画像に連続性があると判定した場合に、両者の画像が1つの画像が切り離された画像であると判定する。制御部101は、両者の画像が1つの画像から切り離された画像であると判定した場合に、シートSが折り畳まれたシートであると判定する。
【0052】
次に、制御部101は、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17によってそれぞれ生成された画像データに基づく画像が、シートSの少なくとも一辺の端部にまで存在すると判定した場合(ACT005・YES)、両者の画像データを結合する(ACT006)。例えば、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17によってそれぞれ生成された画像データが、図6(A)に示される画像データim1及び画像データim2である場合、画像データim1と画像データim2とが結合される。結合された画像データは、図6(B)に示される画像データim3のようになる。このように、シートSが折り畳まれる前の元の画像(図4(A)の画像)が復元される。
【0053】
次に、制御部101は、結合された画像データに基づく画像を任意の大きさにするように、画像データを変換する。例えば、制御部101は、結合された画像データに基づく画像を縮小させるように画像データを変換する(ACT007)。例えば、結合された画像データが、図7(A)に示される画像データim4である場合、当該画像データim4が縮小されることにより、図7(B)に示される画像データim5となる。画像データim4に基づく画像は例えばA3サイズのシートSに形成可能な大きさであり、画像データim5に基づく画像は例えばA4サイズのシートSに形成可能な大きさである。
【0054】
例えば、画像形成装置100が最大A4サイズまでのシートSへの画像形成に対応している場合には、制御部101は、結合された画像データに基づく画像がA4サイズのシートSに収まる大きさになるように縮小する。これにより、当該画像データに基づく画像の画像形成が行われる場合に画像データを加工する必要がなくなるため、画像形成装置100はより迅速に画像形成を行うことができる。
【0055】
次に、制御部101は、縮小された画像データをファイル化し、補助記憶装置103に記録する(ACT008)。
制御部101は、結合された画像データに基づく画像を所定の大きさに拡大するように変換してファイル化するようにしてもよい。
【0056】
制御部101は、例えば図7(B)の画像データim5のように、図7(A)の画像データim4を縮小した後、90度回転させてファイル化するようにしてもよい。図7(B)の画像データim5は、図7(A)の画像データim4の画像データに基づく画像を半分の大きさにし、半時計回りに90度回転するように変換された画像データである。この場合、制御部101は、例えば縦型の所定のサイズ(例えば、A4サイズ)に統一された画像を示す画像データを補助記憶装置103に記録することができる。これにより、当該画像データに基づく画像の画像形成が行われる場合に画像データを加工する必要がなくなるため、画像形成装置100はより迅速に画像形成を行うことができる。
【0057】
一方、次のうち少なくとも一方の判定がなされた場合には(ACT005・NO)、制御部101は、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17によってそれぞれ生成された画像データを、個別にファイル化し、補助記憶装置103に記録する(ACT009)。制御部101は、第1の画像読取部210によって生成された画像データに基づく画像がシートSの第1面の全ての辺の端部において存在しないと判定された場合、個別にファイル化する。又は、制御部101は、スキャナモジュール17(第2の画像読取部)によって生成された画像データに基づく画像がシートのSの第2面の全ての端部において存在しないと判定された場合、個別にファイル化する。
【0058】
例えば、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17によってそれぞれ生成された画像データが、図8に示される画像データim6及び画像データim7であるものとする。画像データim6は、シートSの第1面(表面)の画像を示す画像データである。画像データim7は、シートSの第2面(裏面)の画像を示す画像データである。画像データim6に基づく画像は、シートSの全ての辺の端部において存在しない。画像データim7に基づく画像は、シートS全ての辺の端部において存在しない。そのため、制御部101は、シートSは折り畳まれたシートではないと判定する。制御部101は、画像データim6に基づく画像と画像データim7とをそれぞれ個別にファイル化し、補助記憶装置103にそれぞれ記録する。
以上で、図5のフローチャートが示す制御部101の動作が終了する。
【0059】
以上では、画像形成装置100が、スキャナのように、シートSに形成されている画像を読み取ることによって生成された画像ファイルを記憶媒体に記録する場合の構成について説明した。画像形成装置100が、コピー機のように、シートSに形成されている画像を読み取ることによって生成された画像ファイルに基づく画像を、他のシートS上に印刷する構成であってもよい。
【0060】
図5に示されるフローチャートのACT005~ACT007の処理が、予めユーザによる指示がなされた場合に限って実行される構成にしてもよい。読み取り対象のシートSが折り畳まれたシートであるか否かを制御部101が判定する処理が、予めユーザによる指示がなされた場合にのみ実行される構成であってもよい。読み取り対象のシートSが折り畳まれたシートであると判定された場合に制御部101が画像データを結合する処理が、予めユーザによる指示がなされた場合にのみ実行される構成であってもよい。
【0061】
例えば、ユーザは、コントロールパネル120を操作して、上記の指示を入力する。この指示は、シートSが折り畳まれたシートである場合に、シートSの両面を読み取ることによってそれぞれ生成された2つの画像データを結合させるための指示である。その後、ユーザは、コントロールパネル120を操作し、読み取り指示、あるいはコピーを行わせるための指示を入力する。例えば読み取り指示が入力された場合、制御部101は、図5に示されるフローチャートに従って動作する。
【0062】
一方、ユーザにより上記の指示が行われることなく、例えば読み取り指示が入力された場合には、制御部101は次のように動作する。制御部101は、シートSの両面をそれぞれ読み取ることによって生成された2つの画像データを、それぞれ個別にファイル化して記録する。制御部101は、図5に示されるフローチャートのACT005における判定が常にNOであるものとして動作する。このような構成にすることにより、例えば、読み取り対象のシートSの中には折り畳まれたシートが存在しないことが既知である場合には、制御部101が無駄な処理を実行しないようにすることができる。これにより、例えば、読み取りに掛かる時間の短縮、及び画像形成装置100の消費電力の削減等が図られる。
【0063】
画像形成装置100がシートSの重送検知機能を有する重送検知部を備えている場合、以下に説明するような構成にしてもよい。一般に、重送検知機能とは、誤って複数のシートSが重なった状態で搬送されてしまうエラーを検知するための機能である。ここでは、2つに折り畳まれたシートSが原稿トレイ11から搬送された場合にも、重送検知機能によって重送として検知されるものとする。
【0064】
重送検知部は、例えば前述の搬送機構に設けられる。重送検知部は、例えば、複数の重送検知センサを含む。重送検知センサは、原稿トレイ11から給紙されたシートSが重送されているか否かを検知する。重送検知センサとして、例えば、シートSの厚さを検知するセンサが用いられる。例えば、重送検知センサとして、超音波センサが用いられてもよい。重送検知センサは、少なくともシートSが読取窓ガラス21に位置に搬送される前に、シートSが重送されているか否かを検知する。重送検知センサによる検知結果を示す情報は、内部バスを介して制御部101へ届けられる。
【0065】
例えば、重送検知センサがシートSの厚さを検知する場合、原稿トレイ11から給紙されるシートSの厚さに関する情報が、例えばメモリ104等に予め記憶されている。制御部101は、重送検知センサによって検知されたシートSの厚さが、例えばメモリ104等に予め記憶されたシートSの厚さを超えている場合に、シートSが重送されたと判定する。そのため、実際に重送が発生した場合だけでなく、折り畳まれたシートが給紙される場合にも重送が発生したと判定される。
【0066】
以下、図9を参照して実施形態の制御部101の動作の一例について説明する。
図9は、制御部101の動作を示すフローチャートである。図9に示されるフローチャートは、例えば、ユーザによって原稿トレイ11にシートSが載置され、コントロールパネル120により読み取り指示を示す操作入力が行われた際に開始する。
【0067】
図9に示されるように、まず、制御部101は、コントロールパネル120から出力された読み取り指示を受け付ける(ACT101)。次に、制御部101は、ピックアップローラ12、レジストローラ13、搬送ローラ14、15、及び16を回転させるトルクを発生させる駆動部を制御する。これにより、制御部101は、原稿トレイ11に載置されたシートSを読取窓ガラス21及びスキャナモジュール17に向けて搬送させる(ACT102)。
【0068】
次に、制御部101は、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17を制御し、シートSの両面(第1面及び第2面)に形成されている画像をそれぞれ読み取らせる(ACT103)。次に、制御部101は、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17を制御し、読み取られた画像を示す画像データをそれぞれ生成させる(ACT104)。
【0069】
次に、制御部101は、重送検知部を制御して重送の発生の有無を検知させる(ACT105)。重送が発生していないと検知された場合(ACT105・No)、制御部101は、第1の画像読取部210によって生成された画像データとスキャナモジュール17によって生成された画像データとをそれぞれ個別にファイル化する。制御部101は、生成された画像ファイルを補助記憶装置103に記録する(ACT106)。制御部101は、重送が発生していないと判定された場合には、搬送されたシートSが折り畳まれていないシートであると判定する。
【0070】
一方、重送が発生していると検知された場合(ACT105・Yes)、制御部101は、第1の画像読取部210によって生成された画像データに基づく画像が、シートSの少なくとも一辺の端部の位置にまで存在するか否かを判定する。制御部101は、スキャナモジュール17(第2の画像読取部)によってそれぞれ生成された画像データに基づく画像が、シートSの少なくとも一辺の端部の位置にまで存在するか否かを判定する(ACT107)。
【0071】
次に、次のうち少なくとも一方の判定がなされた場合には(ACT107・NO)、制御部101は、コントロールパネル120を制御し、重送が発生したことを示す情報をディスプレイ110に表示させる。制御部101は、第1の画像読取部210によって生成された画像データに基づく画像がシートSの第1面の全ての辺の端部において存在しないと判定された場合、重送が発生したことを示す情報をディスプレイ110に表示させる。又は、制御部101は、スキャナモジュール17(第2の画像読取部)によって生成された画像データに基づく画像がシートのSの第2面の全ての端部において存在しないと判定された場合、重送が発生したことを示す情報をディスプレイ110に表示させる。
【0072】
これにより、ユーザに対しての通知が行われる。又は、制御部101は、例えばスピーカによりエラー音を発生させることによってユーザに対する通知を行うようにしてもよい。制御部101は、この場合、画像形成装置100の各機能部の動作を停止させるようにしてもよい。
【0073】
重送検知センサにより重送が発生していると判定され、かつ、読み取り対象のシートSが折り畳まれたシートではないと判定された場合には、制御部101は、実際に重送が発生していると判定する。
【0074】
一方、制御部101は、第1の画像読取部210及びスキャナモジュール17によってそれぞれ生成された画像データに基づく画像がシートSの少なくとも一辺の端部にまで存在すると判定した場合(ACT107・YES)、両者の画像データを結合する(ACT109)。
【0075】
重送検知センサにより重送が発生していると判定され、かつ、シートSの両面それぞれにおいて少なくとも一辺の端部にまで画像が存在すると判定された場合には、制御部101は、実際に重送が発生しているのではなく、読み取り対象のシートSが折り畳まれたシートであると判定する。
【0076】
次に、制御部101は、結合された画像データに基づく画像を任意の大きさにするように、画像データを変換する。例えば、制御部101は、結合された画像データに基づく画像を縮小させるように画像データを変換する(ACT110)。
次に、制御部101は、縮小された画像データをファイル化し、補助記憶装置103に記録する(ACT111)。
以上で、図9のフローチャートが示す制御部101の動作が終了する。
【0077】
コントロールパネル120が重送検知機能を切る指示を受け付けるよう構成してもよい。ユーザは、重送検知機能を切る指示を入力することによって、ACT108やACT111の動作を発生させることなく確実に、画像データをそれぞれ個別にファイル化して補助記憶装置103に記録させるACT106の動作を制御部101に行わせしめられる。
【0078】
画像形成装置100が読み取り可能な大きさを超える大きさシートSについて、その両面を読み取る必要がある場合には、次のような構成が考えられる。例えば、第1面(表面)には図10(A)のように画像が形成されており、第2面(裏面)には図10(B)のように画像が形成されているシートSがあるものとする。図10(A)に示されるシートSには、中央付近に画像が形成されている。一方、図10(B)に示されるシートSには、中央付近には画像が形成されていない。そのため、図10(B)に示されるシートSを2つに折り畳んだ場合、シート上に形成されている画像が第1面と第2面とに跨ることがない。
【0079】
まずユーザは、第1面を山側にしてシートSを図10(C)に示されるように2つに折り畳み、原稿トレイ11に載置する。そしてユーザは、画像形成装置100に当該シートSに形成された画像を読み取らせる。次にユーザは、第2面を山側にしてシートSを図10(D)に示されるように2つに折り畳み、原稿トレイに載置する。そしてユーザは、画像形成装置100に当該シートSに形成された画像を読み取らせる。
【0080】
この場合、前述の図5に示した制御部101の処理によれば、図10(C)に示されるシートSについては折り畳まれたシートであると認識される。なぜならば、シートSの両面ともに、端部にまで画像が存在するためである。これにより、図10(C)に示されるシートSの両面の画像が結合された1つの画像データとしてファイル化が行われる。
一方、図10(D)に示されるシートSについては折り畳まれていないシートであると認識される。なぜならば、シートSの各辺の端部にまで画像が存在しないためである。これにより、シートSが折り畳まれたシートであるにもかかわらず折り畳まれていないシートであると誤認識され、2つの画像データは結合されずにそれぞれ個別にファイル化されてしまう。
【0081】
上記のように、画像形成装置100が読み取り可能な大きさを超える大きさのシートSを、まず第1面(表面)を山側にして折り畳んで読み取りを行い、次に第2面(裏面)を山側にして折り畳んで読み取りを行うようにする。このように、画像形成装置100がシートSの表裏を続けて読み取る場合には、奇数回目の読み取りにおける読み取り対象のシートと、偶数回目の読み取りにおける読み取り対象のシートとは同一のシートSであることになる。
【0082】
そのため、例えば制御部101は、奇数回目に給紙されたシートSの読み取り処理時にシートSが折り畳まれたシートであると判定した場合には、その次の偶数回目に給紙されたシートSの読み取り処理時にはシートSが折り畳まれたシートであると自動的に判定するようにしてもよい。すわなち、この場合、制御部101は、偶数回目に給紙されたシートSの読み取り処理時には、折り畳まれたシートであるか否かの判定を省略してもよい。制御部101は、奇数回目に給紙されたシートSの読み取り時に読み取られた2つの画像データを結合した場合には、その次の偶数回目に給紙されたシートSの読み取り時においても、読み取られた2つの画像データを結合するようにしてもよい。
【0083】
本実施形態では、画像読取部200がADF10を備えるものとしたが、これに限られるものではなく、画像読取部200はフラットベッド式のスキャナであってもよい。この場合、シートSの第1面の読み取りが行われた後に、ユーザ等の手作業によりシートSが原稿載置台(プラテンガラス22)上で裏返しにされ、続いてシートSの第2面の読み取りが行われるようにすればよい。
【0084】
以上説明したように、本実施形態における画像形成装置100は、画像読取部200により、シートSの両面に形成された画像をそれぞれ読み取り、両面にそれぞれ対応する2つの画像データを生成する。そして、画像形成装置100は、制御部101により、両面の双方においてシートSの少なくとも一辺の端部にまで画像が存在するか否かの判定を行う。シートSの両面の双方において端部にまで画像が存在すると判定された場合、画像形成装置100は、2つの画像データを結合する。そして、画像形成装置100は、結合された画像データに基づく画像を示す結合画像の大きさを任意の大きさにするように、画像データの変換を行う。
【0085】
上記のような構成を備えることにより、画像形成装置100は、読み取り対象のシートSが折り畳まれたシートであるか否かを判定することができる。そして、画像形成装置100は、読み取り対象のシートSが折り畳まれたシートである場合、シートSの両面についてそれぞれ読み取られた画像を示す画像データを結合する。これにより、画像形成装置100は、折り畳まれる前のシートSに形成された画像を示す画像データを生成することができる。
【0086】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の画像形成装置100によれば、折り畳まれたシートであるか否かの指定をユーザの手作業によって事前に行う必要がなくなるため、画像の読み取りにおける利便性を向上させることができる。
【0087】
上述した実施形態における画像形成装置100の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
11…原稿トレイ、12…ピックアップローラ、13…レジストローラ、14、15、16…搬送ローラ、17…スキャナモジュール、18…排紙トレイ、19…第1の光拡散部、20…第2の光拡散部、21…読取窓ガラス、22…プラテンガラス、23…白基準板、100…画像形成装置、101…制御部、102…ネットワークインタフェース、103…補助記憶装置、104…メモリ、110…ディスプレイ、120…コントロールパネル、130…プリンタ部、140…シート収容部、200…画像読取部、210…第1の画像読取部、212…第1キャリッジ、212a…反射板、212b…光源、212c…リクレクタ、214…第2キャリッジ、214a、214b…反射板、216…レンズ、218…CCDセンサ、220…CCDセンサ基板、222…制御基板
図1
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