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<図1>
  • 特許-警報音測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】警報音測定装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 29/28 20060101AFI20231218BHJP
   G10K 15/00 20060101ALI20231218BHJP
   H04R 29/00 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
B61L29/28 Z
G10K15/00 L
H04R29/00 310
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020019501
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021123281
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】森田 將裕
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢郎
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-068252(JP,A)
【文献】特開2007-261544(JP,A)
【文献】実開昭52-064403(JP,U)
【文献】特開2011-048183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 29/28
G10K 15/00
H04R 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注意喚起のために設置されたスピーカが発する警報音を測定する警報音測定装置であって、
前記スピーカの近傍に設置された集音部と、
前記集音部で集音された音が前記警報音であるか否かを、当該音の音圧が所定の閾値を越えたか否か、及び、当該音が所定の周期範囲内の繰返し周期で強弱を繰り返して鳴動する音になっているか否か、の両方に基づいて判断する判断部と、
前記集音部で集音された音が前記警報音であると判断された場合、その判断後に前記集音部で集音される音の音圧及び繰返し周期を測定し、その測定結果に基づいて測定データを生成するデータ生成部と、
前記測定データを所定の出力先に出力する出力部と、
を備えることを特徴とする警報音測定装置。
【請求項2】
前記警報音が、鳴動開始から第1期間に亘って第1音圧で鳴動し、前記第1期間の経過後の第2期間に亘って前記第1音圧よりも小さな第2音圧で鳴動する音であり、
前記データ生成部が、前記第1期間及び前記第2期間それぞれに前記集音部で集音された音について前記測定データを生成することを特徴とする請求項1に記載の警報音測定装置。
【請求項3】
前記データ生成部は、前記集音部で集音された音の音圧が鳴動開始レベルを超えてから、前記判断部での判断時間に応じた第1待ち時間が経過した後の第1測定時間に亘って測定を行うとともに、当該第1測定時間の経過後、前記第1期間から前記第2期間への切替わりを跨ぐ第2待ち時間が経過した後の第2測定時間に亘って測定を行うことを特徴とする請求項2に記載の警報音測定装置。
【請求項4】
前記出力部が、前記測定データを無線で出力することを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の警報音測定装置。
【請求項5】
前記判断部、前記データ生成部、及び前記出力部が、前記集音部で集音された音に基づいて前記測定データを生成して出力する測定ユニットに搭載され、
前記集音部が前記測定ユニットに中継ケーブルを介して接続されており、
前記集音部、前記判断部、前記データ生成部、及び前記出力部が、前記測定ユニットに搭載される電池によって駆動されることを特徴とする請求項1~4のうち何れか一項に記載の警報音測定装置。
【請求項6】
前記警報音は、所定周波数帯域の音の振幅が増減するように鳴動する音であり、
前記集音部での集音結果に対し、前記所定周波数帯域内の音に対応した成分を抽出するフィルタリング処理、及び増幅処理、のうち少なくとも一方を含む信号処理を行う信号処理部を、更に備えることを特徴とする請求項1~5に記載の警報音測定装置。
【請求項7】
所定のスリープ期間が到来すると、当該スリープ期間中は前記集音部、前記判断部、前記データ生成部、及び前記出力部の動作を停止させるスリープ制御部を、更に備えることを特徴とする請求項1~6に記載の警報音測定装置。
【請求項8】
前記データ生成部が、前記集音部で集音される音の鳴動に応じて繰り返し現れる音圧のピーク値を所定の測定時間に亘って測定するとともに、当該測定時間における音圧のピークの出現間隔を前記繰返し周期として測定し、前記ピーク値の平均値、及び前記繰返し周期から算出される、単位時間当たりの前記ピークの出現回数、を表すデータを前記測定データとして生成することを特徴とする請求項1~7に記載の警報音測定装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記集音部で集音される音の音圧のピーク値が鳴動終了レベルを下回った後で前記測定データを出力することを特徴とする請求項1~8に記載の警報音測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道の踏切等における注意喚起のために設置されたスピーカが発する警報音を測定する警報音測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道における踏切等における注意喚起のために設置されたスピーカの機能点検は、多くの場合、メンテナンス要員による定期的な点検作業によって行われている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の点検作業では、メンテナンス要員が測定装置を用いてスピーカが発する警報音を測定することでスピーカの機能点検が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-175444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、定期的な機能点検では、点検時期が来なければスピーカの機能が確認されず、スピーカの機能低下に対する即応性の点で改善の余地がある。そこで、このような即応性を担保するために、メンテナンス要員がスピーカの設置現場に実際に足を運ばなくとも随時に警報音を測定する技術が求められている。
【0005】
従って、本発明は、上記のような改善の余地に着目し、メンテナンス要員がスピーカの設置現場に実際に足を運ばなくとも随時に警報音を測定することができる警報音測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、警報音測定装置は、注意喚起のために設置されたスピーカが発する警報音を測定する警報音測定装置であって、前記スピーカの近傍に設置された集音部と、前記集音部で集音された音が前記警報音であるか否かを、当該音の音圧が所定の閾値を越えたか否か、及び、当該音が所定の周期範囲内の繰返し周期で強弱を繰り返して鳴動する音になっているか否か、の両方に基づいて判断する判断部と、前記集音部で集音された音が前記警報音であると判断された場合、その判断後に前記集音部で集音される音の音圧及び繰返し周期を測定し、その測定結果に基づいて測定データを生成するデータ生成部と、前記測定データを所定の出力先に出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の警報音測定装置によれば、集音部で警報音が集音されると、その警報音について音圧及び繰返し周期についての測定結果に基づいて測定データが生成されて出力される。これにより、上記の測定データの出力先において、スピーカの機能低下の影響が色濃く反映される警報音の音圧及び繰返し周期を随時に得ることができる。つまり、本発明の警報音測定装置によれば、メンテナンス要員がスピーカの設置現場に実際に足を運ばなくとも随時に警報音を測定することができる。
【0008】
ここで、前記警報音が、鳴動開始から第1期間に亘って第1音圧で鳴動し、前記第1期間の経過後の第2期間に亘って前記第1音圧よりも小さな第2音圧で鳴動する音であり、前記データ生成部が、前記第1期間及び前記第2期間それぞれに前記集音部で集音された音について前記測定データを生成することが好適である。
【0009】
注意喚起のためのスピーカの中には、遮断機の降り始めに当たる鳴動開始からの一定期間に亘って音圧の大きな警報音を発し、遮断機が降りきると音圧の小さな警報音に切り替えるものがある。そして、スピーカの機能低下の影響は、鳴動初期の音圧の大きな警報音と、その後の音圧の小さな警報音と、のそれぞれに反映される場合がある。上記の構成によれば、鳴動初期の第1期間と、その後の第2期間それぞれについての測定データという、上述した音圧の異なる2種類の警報音の測定データを個別に得ることができるので好適である。
【0010】
また、前記データ生成部は、前記集音部で集音された音の音圧が鳴動開始レベルを超えてから、前記判断部での判断時間に応じた第1待ち時間が経過した後の第1測定時間に亘って測定を行うとともに、当該第1測定時間の経過後、前記第1期間から前記第2期間への切替わりを跨ぐ第2待ち時間が経過した後の第2測定時間に亘って測定を行うことも好適である。
【0011】
この構成によれば、上述した音圧の異なる2種類の警報音の測定タイミングが、集音された音の音圧が鳴動開始レベルを超えてからの経過時間のみに基づいて決定されて測定が行われる。これにより、例えば警報音の音圧変化に基づいて2種類の警報音の測定タイミングを決定して測定を行う場合等と比較すると、データ生成部での処理負担を抑えて測定を行うことができる。
【0012】
また、前記出力部が、前記測定データを無線で出力することが好適である。
【0013】
この構成によれば、ケーブルが長く配策されることが望ましくない踏切等においても、測定データを所望の出力先へと出力することができる。
【0014】
また、前記判断部、前記データ生成部、及び前記出力部が、前記集音部で集音された音に基づいて前記測定データを生成して出力する測定ユニットに搭載され、前記集音部が前記測定ユニットに中継ケーブルを介して接続されており、前記集音部、前記判断部、前記データ生成部、及び前記出力部が、前記測定ユニットに搭載される電池によって駆動されることが好適である。
【0015】
一般に、踏切の警報機や防災無線等においては注意喚起のためのスピーカはメンテナンス要員が容易にはアクセスできない高所等の場所にあることが多い。このような事情に対し、上記の構成によれば、スピーカの近傍に設置される集音部とは別に、メンテナンス要員がアクセスしやすい場所に測定ユニットを配置することができる。この測定ユニットには、判断部やデータ生成部等といったメンテナンス頻度が高くなりがちな要素や、消耗時に交換の必要等が生じる電池が収容されている。これにより、判断部やデータ生成部等のメンテナンスや電池交換等を、良好な作業性の下で行うことができる。また、集音部と測定ユニットとが無線接続ではなく中継ケーブルで有線接続されているので、何等かの要因により集音部がスピーカ近傍の設置場所から外れるようなことがあっても集音部の散逸を抑えることができる。
【0016】
また、前記警報音は、所定周波数帯域の音の振幅が増減するように鳴動する音であり、前記集音部での集音結果に対し、前記所定周波数帯域内の音に対応した成分を抽出するフィルタリング処理、及び増幅処理、のうち少なくとも一方を含む信号処理を行う信号処理部を、更に備えることも好適である。
【0017】
この構成によれば、集音部での集音結果に対する、警報音以外のノイズ音の成分の除去や増幅処理等を適宜に行うことで後段の処理部での処理精度を向上させることができる。また、増幅処理については、スピーカと集音部との距離により音圧の測定結果にもバラツキが生じるため、集音部をスピーカの近傍に設置した際に増幅率を適宜に調整することにより上記のバラツキを軽減させて音圧の測定結果を安定させることもできる。
【0018】
また、所定のスリープ期間が到来すると、当該スリープ期間中は前記集音部、前記判断部、前記データ生成部、及び前記出力部の動作を停止させるスリープ制御部を、更に備えることも好適である。
【0019】
この構成によれば、スリープ期間中における集音部、判断部、データ生成部、及び出力部の電力消費を抑えることができるので、節電効果を得ることができる。
【0020】
また、前記データ生成部が、前記集音部で集音される音の鳴動に応じて繰り返し現れる音圧のピーク値を所定の測定時間に亘って測定するとともに、当該測定時間における音圧のピークの出現間隔を前記繰返し周期として測定し、前記ピーク値の平均値、及び前記繰返し周期から算出される、単位時間当たりの前記ピークの出現回数、を表すデータを前記測定データとして生成することも好適である。
【0021】
スピーカの機能が低下すると、警報音における音圧のピーク値や単位時間当たりのピークの出現回数に、その影響が反映されることが多い。上記の構成によれば、これらを表す測定データが出力されるので、出力先においてスピーカにおける機能低下の有無を良好に判別することができる。
【0022】
また、前記出力部は、前記集音部で集音された音の音圧が鳴動終了レベルを下回った後で前記測定データを出力することが好適である。
【0023】
この構成によれば、出力部での出力動作が抑えられ、その結果としてデータ出力に係る電力消費が抑えられるので、節電効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
上述の警報音測定装置によれば、メンテナンス要員がスピーカの設置現場に実際に足を運ばなくとも随時に警報音を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態に係る警報音測定装置が設置される踏切を示す模式図である。
図2図1に示されている踏切器具箱を測定データの流れに注目して示すブロック図である。
図3図1及び図2に模式的に示されている警報音測定装置の外観図である。
図4図3に示されている測定ユニットを、樹脂ケースの開閉蓋が開かれて内部が見える状態で示す図である。
図5】警報音測定装置のハードウェア構成を、図4に示されている測定ユニットの内部構成に注目して模式的に示すブロック図である。
図6図5に示されている本体基板におけるハードウェア構成を示す模式的なブロック図である。
図7図4に示されている設定用スイッチにおける複数のスイッチのオン/オフの組合せの一例を表形式で示す模式図である。
図8図3図7に模式的に示されている警報音測定装置について、その機能に注目して示す模式的な機能ブロック図である。
図9図8に示されている判断部で行われる判断処理について説明するために警報音の波形を模式的に示した図である。
図10】警報音の測定処理を表すタイムチャートを示す図である。
図11】警報音の測定処理のうち測定データが生成されるまでの処理の流れを表すフローチャートである。
図12】警報音の測定処理のうち測定データが生成されてから測定データの出力が完了するまでの処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、一実施形態に係る警報音測定装置について図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、一実施形態に係る警報音測定装置が設置される踏切を示す模式図である。
【0028】
この図1に示されている踏切1は、鉄道の線路R11と道路R12とが交差する箇所に設置される設備であり、2箇所の遮断機11、2箇所の警報機12、及び踏切器具箱13を備えている。遮断機11と警報機12は、道路R12を挟んで対をなすように、更に線路R11を挟んでも対をなすように配置されている。
【0029】
遮断機11は、遮断桿11aと、その遮断桿11aを昇降して遮断機11を開閉する駆動部11bと、を備え、列車の通過時に遮断桿11aを下げることで人や車両の線路R11への侵入を規制する。
【0030】
警報機12は、柱状物12a、標示板12b、スピーカ12c、及び警報灯12d、を備えている。柱状物12aは、線路R11及び道路R12の脇に立設され、標示板12b、スピーカ12c、及び警報灯12d、を支持する。標示板12bは、本設備が踏切1の警報機12であること示すものである。スピーカ12cは、柱状物12aの上端側に配置され、列車の通過前から通過後に掛けて警報音を発する。本実施形態では、この警報音は、一例として700Hzと750Hzの発振信号を合成した音信号に応じた音の振幅が増減するように鳴動する音となっている。警報灯12dは、柱状物12aにおける標示板12bの下側に配置され、列車の通過前から通過後に掛けて、上記の警報音に応じて点滅を繰り返して視覚的に警報する。
【0031】
踏切器具箱13は、一の遮断機11の隣に設置され、各遮断機11や各警報機12の動作制御を行うとともに、踏切1の監視に関する各種情報を収集し、ネットワークユニット2を介して所定の指令サーバ3との間でやり取りする各種装置を収納した設備である。
【0032】
ここで、本実施形態では、各警報機12の柱状物12aに、スピーカ12cが発する警報音を測定する警報音測定装置100が取り付けられている。この警報音測定装置100は、測定データを踏切器具箱13に収納された後述の本体ユニット13aに向けて無線で出力する。そして、踏切器具箱13の本体ユニット13aは、出力されてきた測定データをネットワークユニット2に無線で出力し、測定データはそのネットワークユニット2から所定の指令サーバ3へと送られる。
【0033】
図2は、図1に示されている踏切器具箱内の各種装置を、警報音測定装置から出力される測定データの流れに注目して示すブロック図である。
【0034】
踏切器具箱13には、全体制御装置13-1、本体ユニット13a、電源装置13b、接点入出力装置13c、及び長距離無線モジュール13d、が設置されている。また、踏切器具箱13には、短距離無線モジュール13eが外付け設置されている。
【0035】
全体制御装置13-1は、遮断機11や警報機12等といった踏切1に設けられた装置や、踏切器具箱内の各種装置を含む、踏切全体の制御を司るものである。
【0036】
本体ユニット13aは、警報音測定装置100から測定データを受け取って各種処理を施し、測定データや処理結果を、長距離無線モジュール13dを介してネットワークユニット2に無線で出力する。電源装置13bは、例えば外部から商用電源等の電力供給を受けて、24Vの直流電力に変換して各装置に供給する。接点入出力装置13cは、全体制御装置13-1の制御の下で、本体ユニット13aとの間で、各遮断機11や各警報機12の動作状態を表す踏切動作信号の遣り取りする。長距離無線モジュール13dは、ネットワークユニット2を介して指令サーバ3との間で無線通信を行う。ここでの無線通信は、例えばLPWA(Low Power Wide Area:登録商標)の一種であるLoRa(Long Range:登録商標)や、LTE(Long Term Evolution:登録商標)等といった無線通信規格に則って行われる。短距離無線モジュール13eは、警報音測定装置100との間で無線通信を行う。ここでの無線通信は、例えばZigbee(登録商標)等といった無線通信規格に則って行われる。
【0037】
また、本体ユニット13aには、メンテナンス用のPC(Personal Computer)4の有線での接続が可能となっている。メンテナンス時には、このPC4を介して、本体ユニット13aに対する各種パラメータの設定/変更や、本体ユニット13aからの各種データの吸い上げ等が行われる。本体ユニット13aとPC4との有線接続における通信は、例えばRS232C(Recommended Standard 232C)等の通信規格に則って行われる。
【0038】
本実施形態における踏切1は、概略、以上に説明したように構成されている。尚、踏切における遮断機や警報機の設置数、設置位置、機器構成、踏切器具箱の内部構成、踏切器具箱と外部装置との接続形態や通信規格等は、何れも図1図2を参照して説明した上述の概略構成に限るものではなく、適宜に設定し得るものである。
【0039】
次に、図1及び図2に模式的に示されている警報音測定装置100について詳細に説明する。
【0040】
図3は、図1及び図2に模式的に示されている警報音測定装置の外観図である。
【0041】
警報音測定装置100は、マイクロホン100a、測定ユニット100b、及び中継ケーブル100c、を備えている。マイクロホン100aは、樹脂ケース100a-1の内部に音圧センサ101(図5)やセンサ基板102(図5)が収納されたものであり、警報機12におけるスピーカ12cの近傍に設置される。測定ユニット100bは、開閉蓋100b-1aを有する樹脂ケース100b-1に各種回路基板等が収容されたものであり、警報機12の柱状物12aにおける、スピーカ12cよりも下方にあってメンテナンス要員がアクセスし易い位置に設置される。中継ケーブル100cは、マイクロホン100aを測定ユニット100bに接続するケーブルである。
【0042】
図4は、図3に示されている測定ユニットを、樹脂ケースの開閉蓋が開かれて内部が見える状態で示す図であり、図5は、警報音測定装置のハードウェア構成を、図4に示されている測定ユニットの内部構成に注目して模式的に示すブロック図である。
【0043】
上述したようにマイクロホン100aにおける樹脂ケース100a-1の内部に音圧センサ101やセンサ基板102が収容されている。音圧センサ101は、スピーカ12cの近傍における音を集音する。その集音結果が、中継ケーブル100cを介して測定ユニット100bに送られる。
【0044】
測定ユニット100bにおける樹脂ケース100b-1の内部には、金属製のシールドケース103と、本体基板104と、電池105と、通信基板106と、アンテナ107と、が搭載されている。
【0045】
シールドケース103は、本体基板104を収容し、アンテナ107で送受信される無線信号が電磁ノイズとなって本体基板104に影響を及ぼさないように保護する。
【0046】
本体基板104は、スピーカ12cが発する警報音の測定に関する各種処理を行う部位である。この本体基板104には、集音用コネクタ104a、電池コネクタ104b、無線用コネクタ104c、有線用コネクタ104d、及び設定用スイッチ104e、が設けられている。集音用コネクタ104aには、上記の中継ケーブル100cの一端側が集音用内部ケーブル102aを介して接続される。電池コネクタ104bには、電池105が電池用内部ケーブル105aを介して接続される。無線用コネクタ104cには、無線通信を行う通信基板106が無線用内部ケーブル106cを介して接続される。有線用コネクタ104dには、メンテナンス時にメンテナンス用のPCが所定の接続ケーブルを介して接続される。設定用スイッチ104eは、複数のスイッチのオン/オフの組合せにより各種設定入力を行うものである。
【0047】
電池105は、樹脂ケース100b-1に交換可能に搭載され、本体基板104に対して電力供給を行う。他の通信基板106や、マイクロホン100aの音圧センサ101やセンサ基板102には、電池105からの電力が本体基板104から供給される。
【0048】
通信基板106は、例えばZigbee(登録商標)等といった無線通信規格に則った無線通信の処理を行うものであり、本体用コネクタ106a及びアンテナ用コネクタ106bが搭載されている。本体用コネクタ106aには、無線用内部ケーブル106cを介して本体基板104が接続される。アンテナ用コネクタ106bには、アンテナ用内部ケーブル107aを介してアンテナ107が接続される。
【0049】
アンテナ107は、通信基板106での処理の下で無線信号の送受信を行う。
【0050】
図6は、図5に示されている本体基板におけるハードウェア構成を示す模式的なブロック図である。
【0051】
本体基板104には、MPU(Micro Processing Unit)104f、検出回路104g、及び電源回路104hが搭載されている。更に、本体基板104には、無線通信回路104i、有線通信回路104j、SW回路104k、リセット回路104m、及びセラミック発振子104n、が搭載されている。
【0052】
MPU104fは、各種信号処理を行う集積回路である。
【0053】
検出回路104gは、MPU104fの制御の下で、マイクロホン100aからの出力に対するフィルタリング等の処理を行う。
【0054】
電源回路104hは、MPU104fの制御の下で、電池105からの電力を適宜に変換してMPU104fへと供給する。
【0055】
無線通信回路104iは、MPU104fの制御の下で、例えばZigbee(登録商標)等の無線通信規格に則った無線通信用の信号を、通信基板106との間で遣り取りする。
【0056】
有線通信回路104jは、MPU104fの制御の下で、例えばRS232C等の通信規格に則った有線通信用の信号を、本体基板104に接続されたメンテナンス用のPCとの間で遣り取りする。
【0057】
SW回路104kは、MPU104fの制御の下で、図4に示されている設定用スイッチ104eにおける複数のスイッチのオン/オフの組合せに基づいた各種設定を行う。
【0058】
図7は、図4に示されている設定用スイッチにおける複数のスイッチのオン/オフの組合せの一例を表形式で示す模式図である。
【0059】
この図7の例では、設定用スイッチ104eにおける8つのスイッチのうち「1」~「3」の3つのスイッチにおけるオン/オフの組合せにより、測定ユニット100bを個体識別するためのユニットナンバーが設定される。「4」のスイッチは、メンテナンスの際に、実際の測定データの代わりにメンテナンス用の模擬データを無線通信回路104iへと強制出力させるために用いられる。オンで模擬データの出力状態となり、オフで出力停止状態となる。「5」のスイッチは、メンテナンスの際に、有線通信回路104jを介したメンテナンス用のPCとの通信の許可/不許可を設定するために用いられる。オンで許可となり、オフで不許可となる。また、図7の例では、「6」~「8」の3つのスイッチが不使用の空きスイッチとなっている。
【0060】
図6のリセット回路104mは、MPU104fのリセットを行う。
【0061】
セラミック発振子104nは、MPU104fの制御の下で、回路動作の基準となる基準クロックをMPU104fに供給する。
【0062】
本実施形態における警報音測定装置100は、概略、以上に説明したように構成されている。尚、警報音測定装置におけるマイクロホンや測定ユニットにおけるケース素材は、本実施形態の警報音測定装置100のように線路の近傍に設置される場合、列車通過時のバラストの飛散に耐え得る強度であれば、樹脂及び金属等でよい。また、ケース形状についても、図3図4に示されている形状に限るものではない。ケース素材やケース形状は、使用環境等に応じて適宜に設定し得る。また、測定ユニットの内部構成、基板やアンテナや電池の接続形態や通信規格、設定スイッチの設定状態等についても、何れも図3図7を参照して説明した上述の概略構成に限るものではなく、適宜に設定し得るものである。
【0063】
次に、図3図7に模式的に示されている警報音測定装置100の機能に注目して説明する。
【0064】
図8は、図3図7に模式的に示されている警報音測定装置について、その機能に注目して示す模式的な機能ブロック図である。
【0065】
警報音測定装置100は、その機能に注目すると、集音部111、中継ケーブル100c、信号処理部112、判断部113、データ生成部114、出力部116、及びスリープ制御部117、を備えている。集音部111がマイクロホン100aに搭載されている。そして、信号処理部112、判断部113、データ生成部114、出力部116、及びスリープ制御部117が、集音部111で集音された音に基づいて測定データを生成して出力する測定ユニット100bに搭載されている。また、判断部113、データ生成部114、出力部116、及びスリープ制御部117は、測定ユニット100bの本体基板104におけるMPU104fによって構築される。
【0066】
集音部111は、スピーカ12cの近傍に設置される機能部位であり、マイクロホン100aにおける音圧センサ101によって構築される。
【0067】
信号処理部112は、集音部111での集音結果に対し、フィルタリング処理及び増幅処理の両方を含む信号処理を行う機能部位である。フィルタリング処理は、700Hzと750Hzの発振信号を合成した音信号に応じた警報音に対応する所定周波数帯域内の音に相当する成分を抽出する処理である。また、フィルタリング処理では、過大信号のカット等も行われる。増幅処理は、集音部111での集音結果を増幅する処理である。この信号処理部112では、更に、700Hzと750Hzの合成波形となっている集音結果を積分回路に通すことで平滑化する平滑化処理も行われる。この信号処理部112は、測定ユニット100bの本体基板104における検出回路104gによって構築される。信号処理部112において、フィルタリング処理、増幅処理、及び平滑化処理を受けた集音結果が、後段のMPU104fに渡され、MPU104fにおいてA/D変換されて、判断処理やデータ生成処理に回される。
【0068】
判断部113は、集音部111で集音され信号処理部112で各種信号処理を施された集音結果に対応する音が確かに警報音であるか否かを判断する機能部位である。ここで、判断部113は、データ生成部114との共通機能部位である測定処理部113aと、判断処理部113bと、を有する。測定処理部113aは、集音部111での集音結果に対して後述の測定を行う機能部位である。判断処理部113bは、測定処理部113aでの測定結果に基づいて警報音であるか否かを判断する機能部位である。この判断は、上記の音が、所定の閾値を音圧が越え、且つ、警報音における鳴動の繰返し周期に対応する、所定の周期範囲内の繰返し周期で強弱を繰り返して鳴動する音になっているか否か、に基づいて行われる。
【0069】
図9は、図8に示されている判断部で行われる判断処理について説明するために警報音の波形を模式的に示した図である。
【0070】
上述したように、また図9に示されているように、警報音S11は、700Hzと750Hzの発振信号を合成した音信号に応じた音の振幅が所定の繰返し周期T11で増減するように鳴動する音となっている。図9には、横軸に時間[S]がとられ、縦軸に音圧[dB]がとられている。そして、警報音S11の詳細な変化が細線L11で描かれ、その振幅の増減が太線L12で描かれている。警報音S11は、太線L11で描かれる振幅の増減波形に、ピーク検出閾値TH11を超える音圧のピークP11が所定の周期範囲内の繰返し周期T11で出現して鳴動する音となっている。
【0071】
上述したように、判断部113に先立つ信号処理部112において、フィルタリング処理及び増幅処理を受けた集音結果に平滑化処理が施される。フィルタリング処理及び増幅処理を受けた段階の集音結果は、700Hzと750Hzの合成波形の周波数近辺で詳細変化する波形を有している。このような波形の集音結果に平滑化処理が施されることにより、細線L11で描かれる詳細変化の波形の集音結果が、太線L11で描かれる振幅の増減波形の集音結果に変換される。
【0072】
判断部113では、まず、測定処理部113aが、信号処理部112を経た集音結果についてA/D変換及びデシベル換算処理を行って、この集音結果を音圧情報に変換する。この音圧情報は振幅の増減波形を表すデジタル情報となっている。そして、この音圧情報が表す増幅波形を上記のピーク検出閾値TH11と比較することにより鳴動の繰返し周期を得る。更に、測定処理部113aは、この繰返し周期に基づいて単位時間当たりのピークの出現回数を算出する。測定処理部113aによるこのような測定処理の後、ピークの出現回数を、警報音S11におけるピークP11の出現回数を含む回数範囲と対比することで、判断処理部113bは、この回数判定に先立つ音圧判定と併せて、集音部111で集音された音が警報音S11であるか否かを判断する。上記の出現回数と回数範囲との対比による判断と、これに先立つ音圧判定と、が、集音部111で集音された音の音圧が所定の閾値を越えたか否か、及び、当該音が所定の周期範囲内の繰返し周期で強弱を繰り返して鳴動する音になっているか否か、の両方に基づいて警報音S11か否かを判断することに相当する。以上に説明した測定処理部113a及び判断処理部113bを有する判断部113は、上述したように本体基板104におけるMPU104fによって構築される。
【0073】
図8に示されているデータ生成部114は、集音部111で集音された音が警報音S11であると判断された場合、その判断後に集音部111で集音される音の音圧及び繰返し周期を測定し、その測定結果に基づいて測定データを生成する機能部位である。ここで、データ生成部114は、判断部113との共通機能部位である測定処理部113aと、生成処理部114aと、を有する。測定処理部113aは、上述した測定を行う機能部位である。生成処理部114aは、測定処理部113aでの測定結果に基づいて測定データを生成する機能部位である。データ生成部114においても、測定処理部113aは、判断部113での処理と同様に、信号処理部112で各種信号処理を施された集音結果をA/D変換してデシベル換算することで、振幅の増減波形を表す音圧情報を得る。続いて、測定処理部113aは、このようにして得た音圧情報が表す増減波形について、警報音S11の鳴動に応じて繰り返し現れる音圧のピーク値を所定の測定時間に亘って測定するとともに、当該測定時間における音圧のピークの出現間隔を繰返し周期として測定する。そして、生成処理部114aは、ピーク値の平均値、及び繰返し周期から算出される、単位時間当たりのピークの出現回数、を表すデータを測定データとして生成する。以上に説明した測定処理部113a及び生成処理部114aを有するデータ生成部114も、上述したように本体基板104におけるMPU104fによって構築される。
【0074】
出力部116は、データ生成部114で生成された測定データを、出力先たる踏切器具箱13の本体ユニット13aに出力する機能部位である。本実施形態では、データ生成部114で生成された測定データは、本体基板104における不図示のメモリに一旦記憶される。そして、出力部116は、集音部111で集音された音の音圧のピーク値が予め定められた鳴動終了レベルを下回った後、所定の待機時間が経過した後に測定データをメモリから読みだして出力する。出力部116は、データ生成部114での測定データの生成後、信号処理部112で各種信号処理を施された集音結果に基づく音の振幅の増減波形の監視を続ける。そして、出力部116は、その増減波形におけるピーク値が、鳴動終了レベルを下回ったことを以て、警報機12のスピーカ12cによる警報音S11の発生が終了しつつあることを認識する。その後、警報音S11の発生が完全に終了するまでの待機時間に亘って待機し、待機時間の経過後に測定データを出力する。そして、このときの出力は、例えばZigbee(登録商標)等といった無線通信規格に則った無線通信によって行われる。この出力部116は、本体基板104におけるMPU104fが無線通信回路104iと、測定ユニット100bにおける通信基板106及びアンテナ107と、を介して出力処理を行うという意味で、MPU104fによって構築される。
【0075】
スリープ制御部117は、所定のスリープ期間が到来すると、当該スリープ期間中は集音部111、信号処理部112、判断部113、データ生成部114、及び出力部116の動作を停止させる機能部位である。スリープ期間としては、例えば測定データの出力後の一定期間や、終電車が踏切を通過してから始発電車が踏切を通過するまでの間における一定期間等が一例として挙げられる。また、一日における一定時間帯や、一週間における特定曜日の一定時間帯等というように、予め定められた定期的な期間もスリープ期間の一例として挙げられる。
【0076】
次に、以上に説明した警報音測定装置100で実行される警報音S11の測定処理について、以下に図示するタイムチャート及びフローチャートと、を参照して説明する。
【0077】
図10は、警報音の測定処理を表すタイムチャートを示す図である。図11は、警報音の測定処理のうち測定データが生成されるまでの処理の流れを表すフローチャートであり、図12は、警報音の測定処理のうち測定データが生成されてから測定データの出力が完了するまでの処理の流れを表すフローチャートである。
【0078】
図10のタイムチャートTC10には、列車チャートTC11、接点入力チャートTC12、イベントチャートTC13、本体ユニットチャートTC14、及び警報音測定チャートTC15が示されている。
【0079】
列車チャートTC11には、踏切1における、列車の不在、接近、通過中、通過後、という列車の通過状況の経過が示されている。
【0080】
接点入力チャートTC12には、踏切器具箱13の全体制御装置13-1が遮断機11及び警報機12を動作させたことを示す動作指示R、遮断機11の降下状態を表す信号として全体制御装置13-1から出力される降下信号R、の経過が示されている。動作指示R及び降下信号Rは全体制御装置13-1から接点入出力部13cを介して本体ユニット13aに送られる。列車の接近時に動作指示RがH→Lとなることで、警報機12が警報音S11の鳴動を開始させるとともに、降下待機時間の経過後に遮断機11が遮断桿11aの降下を開始したことが本体ユニット13aで認識される。降下完了後、降下信号RがL→Hとなることで遮断機11の降下状態が踏切器具箱13の接点入出力部13cを介して本体ユニット13aで認識される。列車が通過してしまうと、動作指示RがL→Hとなることで、警報機12が警報音S11の鳴動を終了させるとともに、遮断機11が遮断桿11aの上昇を開始したことが本体ユニット13aで認識される。この上昇開始とともに降下信号RがH→Lとなることで遮断機11の降下状態の終了が本体ユニット13aで認識される。
【0081】
イベントチャートTC13には、動作指示Rの変化に応じて遮断機11及び警報機12で生じる上述の各種動作イベントの経過が示されている。即ち、警報音S11の鳴動開始、遮断桿11aの降下開始、遮断桿11aの降下量が一定量を超えたことによる遮断完了、遮断桿11aの降下終了が示されている。その後、列車の通過待ちを経て、通過後における警報音S11の鳴動終了、遮断桿11aの上昇開始、上昇終了が示されている。遮断桿11aの上昇終了の後は、後述するように、警報音測定装置100での警報音S11の測定終了を経て、警報音測定装置100から本体ユニット13aへの測定結果出力が行われる。
【0082】
本体ユニットチャートTC14には、本体ユニット13aから警報音測定装置100に対し例えばZigbee(登録商標)等の通信規格で行われる通信イベントが示されている。本実施形態では、本体ユニット13aから警報音測定装置100に対して行われる通信イベントは、警報音測定装置100から出力された測定データの受取確認の通知のみとなっている。
【0083】
警報音測定チャートTC15には、測定チャートTC151と、出力チャートTC152と、が示されている。
【0084】
測定チャートTC151には、警報音S11における音圧変化が描かれているが、ここに記載されている音圧変化は、図9に太線L12で示されている振幅の増減波形におけるピーク値の変化である。以下、このピーク値のことを単に音圧と呼んで説明する。
【0085】
本実施形態では、警報音S11が、鳴動開始から第1期間TS11に亘って第1音圧(一例として略80dB)で鳴動し、第1期間TS11の経過後の第2期間TS12に亘って第1音圧よりも小さな第2音圧(一例として略60dB)で鳴動する音となっている。図8に示されているデータ生成部114は、第1期間TS11及び第2期間TS12それぞれに集音部111で集音された音について次のような測定を行って測定データを生成する。
【0086】
即ち、データ生成部114は、集音部111で集音された音の音圧が鳴動開始レベルSL11を超えてから、判断部113での判断時間に応じた第1待ち時間TS13が経過した後の第1測定時間TS14に亘って測定を行う。この第1測定時間TS14の経過後、上記の第1期間TS11から第2期間 TS12への切替わりを跨ぐ第2待ち時間TS15が経過した後の第2測定時間TS16に亘って測定を行う。
【0087】
このような測定データの生成に関する処理について、ここまでの説明と若干重複する内容も含むが、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
このフローチャートの処理は、警報音測定装置100が上記のスリープ制御部117で規定されるスリープ期間が終了して起動すると開始される。すると、まず、各要素のイニシャライズが行われ(ステップS11)、その後、待機状態となる(ステップS12)。この間に、判断部113では、集音部111で集音される音の音圧が鳴動開始レベルSL11を超えたか否かが判定される(ステップS13)。鳴動開始レベルSL11未満の場合(ステップS13のNO判定)、ステップS12に処理が戻って待機状態となる。
【0089】
鳴動開始レベルSL11を超えた場合(ステップS13のYES判定)、その音が警報音S11であるか否かを、ステップS13の音圧判定と併せて判断するために、判断部113において音圧及び繰返し周期の測定が行われる(ステップS14)。その後、測定結果に基づいて警報音S11であるか否かの判断が引き続き判断部113において行われる(ステップS15)。警報音S11ではない場合(ステップS15のNO判定)、ステップS12に処理が戻って待機状態となる。警報音S11である場合(ステップS15のYES判定)、その判断時間に応じた第1待ち時間ST13が経過したか否かがデータ生成部114で判定される(ステップS16)。
【0090】
第1待ち時間ST13が経過していない場合(ステップS16のNO判定)、ステップS16の判断が繰り返されることでデータ生成部114が第1待ち時間ST13の経過待ち状態となる。第1待ち時間ST13が経過した場合(ステップS16のYES判定)、集音部11で集音される略80dBの第1音圧の音について、音圧のピーク値とピークの繰返し周期がデータ生成部114で測定される(ステップS17)。そして、この第1音圧の音に関する第1測定時間TS14が経過したか否かがデータ生成部114で判定される(ステップS18)。第1測定時間TS14が経過していない場合(ステップS18のNO判定)、ステップS17に処理が戻って第1音圧の音についての測定が続けられる。第1測定時間TS14が経過した場合(ステップS18のYES判定)、略80dBの第1音圧から略60dBの第2音圧への切替わりを跨ぐ第2待ち時間TS15が経過したか否かがデータ生成部114で判定される(ステップS19)。
【0091】
第2待ち時間ST15が経過していない場合(ステップS19のNO判定)、ステップS19の判断が繰り返されることでデータ生成部114が第2待ち時間ST15の経過待ち状態となる。第2待ち時間ST15が経過した場合(ステップS19のYES判定)、集音部11で集音される略60dBの第2音圧の音について、音圧のピーク値とピークの繰返し周期がデータ生成部114で測定される(ステップS20)。そして、この第2音圧の音に関する第2測定時間TS16が経過したか否かがデータ生成部114で判定される(ステップS21)。第2測定時間TS16が経過していない場合(ステップS21のNO判定)、ステップS20に処理が戻って第2音圧の音についての測定が続けられる。第2測定時間TS16が経過した場合(ステップS21のYES判定)、ステップS17での第1音圧の音の測定結果とステップS20での第2音圧の音の測定結果とのそれぞれに基づいて測定データの生成とメモリへの記憶が行われる(ステップS22)。上述したように、測定データとしては、音圧のピーク値の平均値及び単位時間当たりのピークの出現回数が、第1音圧の音と第2音圧の音とのそれぞれについて生成、記憶される。
【0092】
この後、データ生成部114では、集音部111で集音される音の音圧が鳴動終了レベルEL11(図10)を下回ったか否かが判定される(ステップS23)。鳴動終了レベルEL11以上の場合(ステップS23のNO判定)、ステップS23の判断が繰り返されることで鳴動終了による音圧の低下待ち状態となる。鳴動終了レベルEL11を下回った場合(ステップS23のYES判定)、ステップS12に戻って、次の警報音S11の鳴動に備える待機状態となる。
【0093】
このようにして測定データが生成、記憶されると、今度は、出力部116において、図10の警報音測定チャートTC15における出力チャートTC152に示されているような経過を辿って測定データの出力が行われる。まず、集音部111で集音される音の音圧が鳴動終了レベルEL11を下回るまでは、出力部116は、通信基板106が電源OFFとなった待機状態にある。音圧が鳴動終了レベルEL11を下回ると通信基板106が電源ONとなって、出力部116は起動待機状態となる。この起動待機状態は、音圧が無音状態となったか否かを判定する時間を含む起動待機時間TS17に亘って続けられる。その後、出力部116が、上記のメモリから測定データを読み出して例えばZigbee(登録商標)等といった無線通信規格に則った無線通信によって踏切器具箱13内の本体ユニット13aに向けて出力する。出力後は、踏切器具箱13内の本体ユニット13aからの応答待ち状態となる。
【0094】
この間、踏切器具箱13内の本体ユニット13a、及び短距離無線モジュール13eは、警報音測定装置100からの測定データの待受け状態となっている。そして、警報音測定装置100からの測定データを受信すると、本体ユニット13aは短距離無線モジュール13eを介して警報音測定装置100に向けて応答信号SR11を返信する。出力部116では、この応答信号SR11が受信されると、所定の終了処理時間TS18の経過を経て通信基板106が電源OFFとなって待機状態に戻る。
【0095】
このような測定データの出力に関して出力部116で実行される処理について、ここまでの説明と若干重複する内容も含むが、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0096】
このフローチャートの処理は、警報音測定装置100における出力部116が上記のスリープ制御部117で規定されるスリープ期間が終了して起動すると開始される。すると、まず、出力部116のイニシャライズが行われ(ステップS31)、その後、待機状態となる(ステップS32)。この待機状態(ステップS32)は、上述した測定データの生成処理において集音部111で集音される音の音圧が鳴動終了レベルEL11を下回ると終了し、次のステップS33の処理に移行する。
【0097】
ステップS33では通信基板106が電源ONとなり、続いて通信基板106のイニシャライズが行われ(ステップS34)、起動待機状態となる。その後、出力部116において、起動待機時間TS17が経過したか否かが判定される(ステップS35)。起動待機時間TS17が経過していない場合(ステップS35のNO判定)、ステップS35の判断が繰り返されることで起動待機時間TS17の経過待ち状態となる。起動待機時間TS17が経過した場合(ステップS35のYES判定)、出力部116がメモリから測定データを読み出して本体ユニット13aに向けて無線通信により出力する(ステップS36)。
【0098】
その後、所定時間内に本体ユニット13aから応答信号SR11が返信されて来たか否かの判定が出力部116で行われる(ステップS37)。応答信号SR11が返信されて来なかった場合(ステップS37のNO判定)、通信基板106が電源OFFとなり(ステップS38)、測定データの出力回数が3回に達したか否かの判定が出力部116で行われる(ステップS39)。3回に達した場合(ステップS39のYES判定)、ステップS32に処理が戻り、出力部116は今回のデータ出力を断念し、次の警報音S11の鳴動に備える。3回に達していない場合(ステップS39のNO判定)、所定の遅延時間が経過したか否かが判定される(ステップS40)。遅延時間が経過していない場合(ステップS40のNO判定)、ステップS40の判断が繰り返されることで遅延時間の経過待ち状態となる。遅延時間が経過した場合(ステップS40のYES判定)、ステップS33に処理が戻り、以降の処理を繰り返すことでデータ出力のリトライが行われる。
【0099】
他方、データ出力の後で応答信号SR11が返信されて来た場合(ステップS37のYES判定)、出力部116での出力処理が終了し(ステップS41)、通信基板106が電源OFFとなる(ステップS42)。その後は、ステップS32に処理が戻り、出力部116は次の警報音S11の鳴動に備えることとなる。
【0100】
以上に説明した実施形態の警報音測定装置100によれば、集音部111で警報音S11が集音されると、その警報音S11について音圧及び繰返し周期についての測定結果に基づいて測定データが生成されて出力される。これにより、上記の測定データの出力先において、スピーカ12cの機能低下の影響が色濃く反映される警報音S11の音圧及び繰返し周期を随時に得ることができる。つまり、本実施形態によれば、メンテナンス要員が警報機12の設置現場に実際に足を運ばなくとも随時に警報音S11を測定することができる。
【0101】
また、本実施形態では、警報音S11が、鳴動開始から第1期間TS11に亘って第1音圧で鳴動し、その後の第2期間TS12に亘って小さな第2音圧で鳴動する音となっている。データ生成部114は、これら2種類の音について測定データを生成する。スピーカ12cの機能が低下したときの影響は、鳴動初期の音圧の大きな警報音S11と、その後の音圧の小さな警報音S11と、のそれぞれに反映される場合がある。上記の構成によれば、上述した音圧の異なる2種類の警報音S11の測定データを個別に得られ、スピーカ12cの機能低下等を詳細に判別することができるので好適である。
【0102】
また、本実施形態では、データ生成部114は、警報音S11の鳴動開始から第1待ち時間TS13が経過した後の第1測定時間TS14に亘って測定を行うとともに、第2待ち時間TS15が経過した後の第2測定時間TS16に亘って測定を行う。この構成によれば、上述した音圧の異なる2種類の警報音S11の測定タイミングが、集音された音の音圧が鳴動開始レベルを超えてからの経過時間のみに基づいて決定されて測定が行われる。これにより、例えば警報音S11の音圧変化に基づいて2種類の警報音S11の測定タイミングを決定して測定を行う場合等と比較すると、データ生成部114での処理負担を抑えて測定を行うことができる。
【0103】
また、本実施形態では、出力部116が、測定データを無線で出力する。この構成によれば、ケーブルが長く配策されることが望ましくない踏切1においても、測定データを踏切器具箱13内の本体ユニット13aへと出力することができる。
【0104】
また、本実施形態の警報音測定装置100は、集音部111を搭載したマイクロホン100aと、測定データを生成して出力する測定ユニット100bと、が中継ケーブル100cで接続された構造となっている。そして、マイクロホン100aや測定ユニット100bが、測定ユニット100bに搭載される電池105によって駆動される。図1に示されているように、警報機12のスピーカ12cはメンテナンス要員が容易にはアクセスできない高所等の場所に設置されている。上記の構成によれば、スピーカ12cの近傍に設置されるマイクロホン100aとは別に、メンテナンス要員がアクセスしやすい低所に測定ユニット100bを配置することができる。この測定ユニット100bには、判断部113やデータ生成部114等といったメンテナンス頻度が高くなりがちな要素や、消耗時に交換の必要等が生じる電池105が収容されている。これにより、判断部113やデータ生成部114等のメンテナンスや電池105の交換等を、良好な作業性の下で行うことができる。また、マイクロホン100aと測定ユニット100bとが無線接続ではなく中継ケーブル100cで有線接続されている。このため、何等かの要因によりマイクロホン100aがスピーカ12c近傍の設置場所から外れるようなことがあってもマイクロホン100aの散逸を抑えることができる。尚、警報音測定装置100の駆動は、本実施形態のように電池駆動に限るものではなく、外部から電源が供給される外部電源駆動等であってもよい。
【0105】
また、本実施形態では、集音部111での集音結果に対し、フィルタリング処理及び増幅処理を行う信号処理部112が設けられている。この構成によれば、集音部111での集音結果に対する、警報音S11以外のノイズ音の成分の除去や増幅処理等を適宜に行うことで、判断部113やデータ生成部114といった後段の処理部での処理精度を向上させることができる。ここで、集音部111の設置状況によっては、スピーカ12cと集音部111との距離により音圧の測定結果にもバラツキが生じる場合がある。本実施形態では、信号処理部112での増幅処理について、集音部111をスピーカ12cの近傍に設置した際に増幅率を適宜に調整することにより上記のバラツキを軽減させて音圧の測定結果を安定させることもできる。
【0106】
また、本実施形態では、所定のスリープ期間が到来すると、当該スリープ期間中はマイクロホン100aや測定ユニット100bの動作を停止させるスリープ制御部117が設けられている。この構成によれば、スリープ期間中の電力消費を抑えることができるので、節電効果を得ることができる。
【0107】
また、本実施形態では、データ生成部114が、音圧のピーク値の平均値、及び単位時間当たりのピークの出現回数、を表すデータを測定データとして生成する。警報機12のスピーカ12cの機能が低下すると、警報音S11における音圧のピーク値や単位時間当たりのピークの出現回数に、その影響が反映されることが多い。上記の構成によれば、これらを表す測定データが出力されるので、踏切器具箱13内の本体ユニット13aやその先の指令サーバ3においてスピーカ12cにおける機能低下の有無を良好に判別することができる。
【0108】
また、本実施形態では、出力部116は、集音部111で集音された音の音圧が鳴動終了レベルEL11を下回った後で測定データを出力する。この構成によれば、出力部116での出力動作が抑えられ、その結果としてデータ出力に係る電力消費が抑えられるので、節電効果を得ることができる。
【0109】
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の警報音測定装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0110】
例えば、上述の実施形態では、警報音測定装置の一例として、測定データを踏切器具箱13内の本体ユニット13aに出力し、スピーカ12cの異常やその兆候の捕捉は本体ユニット13aに委ねる警報音測定装置100が例示されている。しかしながら、警報音測定装置はこれに限るものではなく、測定データの生成に加えて、その測定データに基づく異常や兆候の捕捉も行い、測定データとともに捕捉結果を出力することとしてもよい。また、異常や兆候の捕捉については、警報音測定装置と、測定データの出力先と、の何れか一方のみで行うことに限るものでもなく、警報音測定装置と出力先との双方で行うこととしてもよい。
【0111】
ここで、異常や兆候を捕捉する手法の一例としては、次のような手法が挙げられる。即ち、測定データが表す音圧のピーク値の平均値、及び単位時間当たりのピークの出現回数等といった複数の値それぞれについて判定範囲を予め定めておき、各値と比較する手法が挙げられる。判定範囲については、異常捕捉用の第1範囲と、この第1範囲よりも広めに設定された異常の兆候捕捉用の第2範囲と、を設けること等が一例として挙げられる。また、判定については、測定データが表す複数の値のうち何れか1つでも判定範囲から外れていた場合に遮断機に異常、又はその兆候が表れていると判定すること等が一例として挙げられる。
【0112】
また、上述の実施形態では、判断部の一例として、警報音であるか否かを、音圧が所定の閾値を越えたか否か、及び、所定の周期範囲内の繰返し周期で強弱を繰り返して鳴動する音になっているか否か、の両方に基づいて判断する判断部113が例示されている。しかしながら、判断部はこれに限るものではない。判断部は、上記の音圧判定と周期判定とのうちの少なくとも一方に基づいて判断するのであれば、音圧判定のみ、あるいは周期判定のみ、に基づいて警報音であるか否かを判断するものであってもよい。
【0113】
また、上述の実施形態では、測定データの出力先の一例として、警報機12の隣に設置された踏切器具箱13内の本体ユニット13aが例示されている。しかしながら、測定データの出力先はこれに限るものではなく、例えば所定のネットワークを介して接続された指令サーバを出力先として、この指令サーバに直に出力することとしてもよい。
【0114】
また、上述の実施形態では、集音部の一例として、マイクロホン100aに搭載された音圧センサ101により構築される機能部位としての集音部111が例示されている。しかしながら、集音部はこれに限るものではなく、スピーカの近傍に設置されて集音機能を発揮するものであれば任意のものを採用し得る。
【0115】
また、上述の実施形態では、警報音S11が、音圧が互いに異なる大小2種類の音となっており、各種類の音について測定データを個別に測定する警報音測定装置100が例示されている。しかしながら、警報音測定装置はこれに限るものではなく、例えば一種の音圧で鳴動する警報音のみを対象として測定データの測定を行うもの等であってもよい。ただし、2種類の音についての測定データを個別に測定することで、スピーカ12cの機能低下等を詳細に判別することができる点は上述した通りである。
【0116】
また、上述の実施形態では、警報音S11の鳴動開始からの経過時間に基づいて上記の2種類の警報音S11の測定タイミングが決定される警報音測定装置100が例示されている。しかしながら、警報音測定装置はこれに限るものではなく、例えば警報音S11の音圧変化に基づいて2種類の警報音S11の測定タイミングを決定して測定を行うこととしてもよい。ただし、上記の経過時間に基づいて測定タイミングを決定することで、データ生成に関する処理負担を抑えて測定を行うことができる点も上述した通りである。
【0117】
また、上述の実施形態では、出力部116が測定データを無線で出力する警報音測定装置100が例示されている。しかしながら、警報音測定装置はこれに限るものではなく、例えば測定データを有線で出力することとしてもよい。ただし、無線で出力することで、ケーブルが長く配策されることが望ましくない踏切1においても出力することができる点も上述した通りである。
【0118】
また、上述の実施形態では、マイクロホン100aと測定ユニット100bとが中継ケーブル100cで接続され、測定ユニット100b内の電池105で駆動される警報音測定装置100が例示されている。しかしながら、警報音測定装置はこれに限るものではなく、例えば集音部や判断部等の構成要素が一の筐体に収納されたものであってもよく、集音部と、他の構成要素を搭載した測定ユニットと、が無線で接続されたものであってもよい。ただし、中継ケーブル100cで接続して測定ユニット100b内の電池105で駆動することで、メンテナンスや電池105の交換等を良好な作業性の下で行うことができる点や、マイクロホン100aの散逸を抑えることができる点も上述した通りである。
【0119】
また、上述の実施形態では、集音結果に対し、フィルタリング処理及び増幅処理を行う信号処理部112を備えた警報音測定装置100が例示されている。しかしながら、警報音測定装置はこれに限るものではなく、例えば信号処理部を備えず、判断部やデータ生成部等が集音結果を直に用いて処理を行うこととしてもよい。ただし、信号処理部112でのフィルタリング処理により、特定の周波数帯域を選択的に測定、処理できるので、警報音S11以外の騒音による外乱を受けることなく、判断部やデータ生成部等において処理精度を向上させることができる点も上述した通りである。信号処理部112での増幅処理によっても処理精度を向上させることができ、更に、この増幅処理によれば増幅率を適宜に調整することにより音圧の測定結果を安定させることができる点も上述した通りである。ここで、上述の実施形態では、信号処理部112が測定ユニット100bに備えられた形態が例示されている。しかしながら、信号処理部の位置は、これに限るものではなく、マイクロホンの内部であってもよい。また、上述の実施形態では、信号処理部で実行される信号処理の一例として、フィルタリング処理及び増幅処理の両方に平滑化処理を加えた信号処理が例示されているが、信号処理部での信号処理はこれに限るものではない。この信号処理は、フィルタリング処理及び増幅処理のうち少なくとも一方を含む信号処理であれば、その具体的な処理態様を問うものではない。
【0120】
また、上述の実施形態では、スリープ制御部117が設けられた警報音測定装置100が例示されている。しかしながら、警報音測定装置はこれに限るものではなく、例えばスリープ制御部は設けずに、集音、測定データの生成、及びデータ出力等の処理を常時行うように構成してもよい。ただし、スリープ制御部を設けることで節電効果を得ることができる点も上述した通りである。
【0121】
また、上述の実施形態では、データ生成部114が、音圧のピーク値の平均値、及び単位時間当たりのピークの出現回数、を表すデータを測定データとして生成する警報音測定装置100が例示されている。しかしながら、警報音測定装置はこれに限るものではなく、集音部で集音される音の音圧及び繰返し周期の測定結果に基づくデータであれば、具体的なデータ態様を問うものではない。ただし、音圧のピーク値の平均値、及び単位時間当たりのピークの出現回数、を表すデータを測定データとして生成することで、スピーカにおける機能低下の有無を良好に判別することができる点も上述した通りである。
【0122】
また、上述の実施形態では、集音された音の音圧が鳴動終了レベルEL11を下回った後、つまり、警報音S11の鳴動が終了した後で測定データを出力する警報音測定装置100が例示されている。しかしながら、警報音測定装置はこれに限るものではなく、測定データが生成されたら鳴動終了前であっても随時に出力することとしてもよい。ただし、生成し終わった測定データを鳴動終了後に一時に出力するように構成することで、データ出力に係る電力消費が抑えられて節電効果を得ることができる点も上述した通りである。
【0123】
また、上述の実施形態では、鉄道用踏切警報音の測定装置としたが、測定対象は踏切には限定するものではない。例えば視覚障害者の為の音響式信号機や、同報系の市町村防災行政無線や、ダムの放流を知らせるサイレンなどに応用してもよい。このようにメンテナンス要員による定期的な点検作業が必要な音響・警報装置において、点検が必要な数量が膨大であったり、高所作業が必要であったり、山間部など容易に立ち入れない箇所での点検、メンテナンス作業の負荷が軽減されるとともに、音響データを自動的に取得し指令サーバへ送信することにより、データの変化を逐次把握でき、故障の予知予防の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0124】
1 踏切
2 ネットワークユニット
3 指令サーバ
4 PC
11 遮断機
12 警報機
12c スピーカ
13 踏切器具箱
13-1 全体制御装置
100 警報音測定装置
100a マイクロホン
100b 測定ユニット
100c 中継ケーブル
101 音圧センサ
102 センサ基板
103 シールドケース
104 本体基板
105 電池
106 通信基板
107 アンテナ
111 集音部
112 信号処理部
113 判断部
113a 測定処理部
113b 判断処理部
114 データ生成部
114a 生成処理部
116 出力部
117 スリープ制御部
EL11 鳴動終了レベル
P11 ピーク
R11 線路
R12 道路
S11 警報音
SL11 鳴動開始レベル
T11 繰返し周期
TS11 第1期間
TS12 第2期間
TS13 第1待ち時間
TS14 第1測定時間
TS15 第2待ち時間
TS16 第2測定時間
TS17 起動待機時間
TS18 終了処理時間
図1
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