(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20231218BHJP
F28F 21/02 20060101ALI20231218BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20231218BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20231218BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
F28D15/02 M
F28D15/02 E
F28D15/02 101L
F28D15/02 102C
F28F21/02
F28F21/08 Z
H01L23/46 Z
H05K7/20 Q
(21)【出願番号】P 2020032255
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川水 努
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 悠太
(72)【発明者】
【氏名】秦 哲平
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/145618(WO,A1)
【文献】特開2010-236792(JP,A)
【文献】特開2019-062066(JP,A)
【文献】特開2005-321287(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0113292(US,A1)
【文献】特開2012-210644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/00 - 15/06
F28F 21/00 - 27/02
H01L 23/427 - 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体を冷却する冷却装置であって、
前記発熱体からの熱を受ける受熱部を有し、内部に液相の冷媒を貯留するとともに、前記受熱部と貯留されている冷媒とを熱交換させることで冷媒を蒸発させる容器と、
前記容器の側壁を貫通する複数の熱交換部と、を備え、
各前記熱交換部は、
前記容器の内部であって前記容器に貯留されている冷媒の液面よりも上方に配置され、前記受熱部で蒸発した冷媒を冷却する冷却部と、
前記容器の外部に配置され、前記冷却部と接続されており、該冷却部から伝達された熱を放熱する放熱部と、を有し、
複数の前記熱交換部は、上下方向に並んで配置されてい
て、
前記熱交換部は、中央部を頂点として、該中央部から両端部に向かって斜め下方に延びている冷却装置。
【請求項2】
前記冷却部は、水平面に対して傾斜する傾斜部を有する請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却部は、主たる熱伝導方向が前記放熱部へ向かう方向になるように形成されている請求項1または請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却部は、グラフェンを含んで形成されている請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記放熱部を収容するダクトと、
前記ダクト内に空気を供給する空気供給部と、を備え、
前記放熱部には、第1フィンが設けられている請求項1から請求項4のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項6】
前記第1フィンは、熱伝導率の高い金属材料で形成されている請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却部には、第2フィンが設けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記第2フィンは、前記冷却部の表面から突出するピンフィンを有する請求項7に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記第2フィンは、前記冷却部の上面及び下面に設けられている請求項7または請求項8に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記第2フィンは、前記冷却部の表面から突出するように設けられ、主たる熱伝導方向が先端部から前記冷却部との接続部分へ向かう方向であるグラフェンを含んで形成されている請求項7から請求項9のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項11】
前記受熱部には、第3フィンが設けられている請求項1から請求項10のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項12】
前記第3フィンは、熱伝導率の高い金属材料で形成されている請求項11に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス等の発熱体を冷却する装置として、冷却用の冷媒を循環させ、電子デバイス等で発生した熱を大気等へ放出する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、半導体スイッチング素子を冷却する冷却装置が記載されている。冷却装置は、この受熱部で吸収した熱を放熱する放熱部を備え、受熱部と放熱部の間で熱媒体となる冷媒を循環させる循環経路を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置では、受熱部及び放熱部が各々独立して設けられるとともに、離間して配置されている。このため、受熱部と放熱部とを冷媒が流通する循環経路で接続している。このように、冷却装置において循環経路を設けると、冷却装置が大型化してしまう可能性があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、小型化することができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の冷却装置は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る冷却装置は、発熱体を冷却する冷却装置であって、前記発熱体からの熱を受ける受熱部を有し、内部に液相の冷媒を貯留するとともに、前記受熱部と貯留されている冷媒とを熱交換させることで冷媒を蒸発させる容器と、前記容器の側壁を貫通する複数の熱交換部と、を備え、前記熱交換部は、前記容器の内部であって前記容器に貯留されている冷媒の液面よりも上方に配置されて前記受熱部で蒸発した冷媒を冷却する冷却部と、前記容器の外部に配置され、前記冷却部と接続されており、該冷却部から伝達された熱を放熱する放熱部と、を一体的に有し、複数の前記熱交換部は、上下方向に並んで配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、冷却装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る冷却装置を示す斜視図である。
【
図5】本開示の第2実施形態に係る冷却装置に設けられた熱交換部及びフィンを示す模式的な縦断面図であって、熱交換部及びフィンの主たる熱伝導方向を示す図である。
【
図6】本開示の第3実施形態に係る冷却装置を示す斜視図である。
【
図7】本開示の第4実施形態に係る冷却装置を示す斜視図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII矢視の断面図である。
【
図9】
図7の冷却装置に設けられた熱交換部及びフィンを示す模式的な縦断面図であって、熱交換部及びフィンの主たる熱伝導方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る冷却装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、鉛直上下方向をZ軸方向として、Z軸方向と直交する方向のうちの一方向をX軸方向として、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向として説明する。また、図中のX、Y及びZは、各々、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を示している。
【0011】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態について、
図1から
図4を用いて説明する。
本実施形態に係る冷却装置1は、例えばCPUやパワー半導体等の発熱体2(
図2参照)を冷却する装置である。冷却装置1は、冷媒3を利用して発熱体2を冷却する。冷却装置1は、冷媒3として、例えば水やフロン等を利用することができる。なお、利用可能な冷媒3は、水やフロンに限定されない。
【0012】
図1に示すように、冷却装置1は、内部に液相の冷却を貯留する容器10と、容器10に隣接して配置されるダクト20と、容器10とダクト20とを隔てる隔壁14を貫通する熱交換部30と、を備えている。容器10とダクト20とは、X軸方向に隣接するように配置されている。
【0013】
容器10は、内部に閉空間Sを形成している。容器10は、閉空間Sの下方を規定する底面部(受熱部)11と、閉空間Sの側方を規定する側壁部12と、閉空間Sの上方を規定する天井部13と、を有している。容器10の内部には、所定の高さまで液相の冷媒3が貯留されている。貯留されている冷媒3の液面3aは、後述するダクト20の下面部22よりも低い。なお、冷媒3の液面3aの高さは、これに限定されない。冷媒3の液面3aの高さは、最も下方に位置する熱交換部30よりも下方であればよい。
【0014】
底面部11は、板面が略水平面となるように配置された板状の部材である。底面部11の上方には、貯留する液相の冷媒3が存在している。底面部11の下方には、
図2に示すように、発熱体2が設けられている。発熱体2は、
図3に示すように、底面部11のX軸方向及びY軸方向の略中央領域の下方に設けられている。底面部11の下面と、発熱体2の上面とは接触している。底面部11は、発熱体2との接触部分から発熱体2の熱を受ける。底面部11は、冷媒3と熱交換することで冷媒3を加熱し、蒸発させる。
【0015】
側壁部12は、閉空間SのX軸方向の両端及びY軸方向の両端を規定している。また、側壁部12は、ダクト20の内部に形成される流路21と閉空間Sとを隔てる隔壁14を有している。すなわち、隔壁14は、容器10の側壁部12とダクト20の側面部24とを兼ねている。なお、容器10の側壁部12とダクト20の側面部24とは、別体として形成してもよい。
隔壁14は、板面が鉛直面となるように配置された板状の部材である。隔壁14には、板厚方向に貫通する複数のスリットが形成されている。このスリットを熱交換部30が挿通している。スリットの形状と熱交換部30のX軸方向の断面(X軸方向と直交する面で切断した際の断面)の形状とは、略同一とされている。
【0016】
ダクト20は、Y軸方向に沿って空気を流通させる空気が流通する流路21を内部に形成している。ダクト20は、流路21の下方を規定する下面部22と、流路21の上方を規定する上面部23と、流路21のX軸方向の端部を規定する側面部24と、を有している。ダクト20のY軸方向の両端には、各々、開口が形成されている。
ダクト20の開口の近傍には、空冷ファン(空気供給部)25が配置される。空冷ファン25は、ダクト20内の流路21に空気を供給する。
【0017】
熱交換部30は、複数設けられている。複数の熱交換部30は、所定の間隔でZ軸方向に並んで配置されている。各熱交換部30の構造は、同一であるので、以下では代表として1つの熱交換部30について説明する。
【0018】
熱交換部30は、高熱伝導性材料で形成されている。高熱伝導性材料とは、ステンレス鋼や炭素鋼よりも熱伝導率が高い材料であり、例えば、熱交換部30は銅やアルミニウムで形成されていてもよい。なお、熱交換部30の材料は、これに限定されない。
【0019】
熱交換部30は、X軸方向に延在する板状の部材であって、隔壁14を貫通している。すなわち、熱交換部30は、容器10の内部に収容される冷却部31と、ダクト20の内部に収容される放熱部34と、を一体的に有している。冷却部31のX軸方向の断面の形状と、放熱部34のX軸方向の断面の形状は、同一の形状とされている。なお、放熱部34と冷却部31とは、一体的に設けられていればよく、異なる形状でもよい。
【0020】
冷却部31は、
図1及び
図2に示すように、水平面に対して傾斜する第1傾斜部(傾斜部)32及び第2傾斜部(傾斜部)33を一体的に有している。第1傾斜部32及び第2傾斜部33は、平板状に形成される。なお、第1傾斜部32及び第2傾斜部33の形状は、平板状に限定されない。第1傾斜部32及び第2傾斜部33は、上面及び下面が水平面に対して傾斜していればよく、例えば、上面及び下面が波状の板材でもよい。また、第1傾斜部32及び第2傾斜部33は、X軸方向に沿って板厚が変化してもよい。また、Y軸方向に沿って板厚が変化してもよい。また、X軸方向の途中位置で傾斜角度が変化していてもよく、Y軸方向の途中位置で傾斜角度が変化していてもよい。
【0021】
第1傾斜部32は、容器10のY軸方向の略中央部に配置される一端部から、容器10のY軸方向の端部に配置される他端部に向かって延びている。第1傾斜部32は、一端部の方が他端部よりも上方に位置するように傾斜している。
【0022】
第2傾斜部33は、容器10のY軸方向の略中央部に配置される一端部から、容器10のY軸方向の端部に配置される他端部に向かって延びている。第2傾斜部33は、一端部の方が他端部よりも上方に位置するように傾斜している。
【0023】
第1傾斜部32の一端部と第2傾斜部33の一端部とは、接続されている。このように、冷却部31は、Y軸方向の略中央部を頂点として、中央部からY軸方向の両端部に向かって斜め下方に延びている。また、冷却部31は、
図2に示すように、Y軸方向の両端部が、容器10の側壁部12から離間している。
【0024】
放熱部34は、
図1及び
図4に示すように、水平面に対して傾斜する第3傾斜部35及び第4傾斜部36を一体的に有している。第3傾斜部35及び第4傾斜部36は、平板状に形成される。なお、放熱部34は、これに限定されない。放熱部34は、冷却部31と一体的に設けられていればよく、例えば、傾斜する部分(例えば、第3傾斜部35及び第4傾斜部36)を有さずに、水平面と略平行に配置される平板状または波状の部材であってもよい。
【0025】
第3傾斜部35は、容器10のY軸方向の略中央部に配置される一端部から、容器10のY軸方向の端部に配置される他端部に向かって延びている。第3傾斜部35は、一端部の方が他端部よりも上方に位置するように傾斜している。
【0026】
第4傾斜部36は、容器10のY軸方向の略中央部に配置される一端部から、容器10のY軸方向の端部に配置される他端部に向かって延びている。第2傾斜部33は、一端部の方が他端部よりも上方に位置するように傾斜している。
【0027】
第3傾斜部35の一端部と第4傾斜部36の一端部とは、接続されている。このように、冷却部31は、Y軸方向の略中央部を頂点として、中央部からY軸方向の両端部に向かって斜め下方に延びている。
【0028】
第3傾斜部35及び第4傾斜部36の上面及び下面には、
図1、
図3及び
図4に示すように、放熱部フィン(第1フィン)37が設けられている。すなわち、放熱部フィン37の下端は、第3傾斜部35または第4傾斜部36の上面または下面に接続されている。放熱部フィン37は、高熱伝導性材料で形成されている。放熱部フィン37は、例えば、熱伝導率の高い金属材料である銅やアルミニウムで形成されていてもよい。なお、放熱部フィン37の材料は、これに限定されない。放熱部フィン37は、いわゆるプレート型のフィンであって、長手方向がY軸方向に沿うように延びている。放熱部フィン37は、第3傾斜部35及び第4傾斜部36のY軸方向の略全域に亘って延在している。放熱部フィン37は、板面が第3傾斜部35及び第4傾斜部36の上面または下面と直交する面となっている。なお、放熱部フィン37の板面と、第3傾斜部35及び第4傾斜部36の上面または下面とは、直交していなくてもよい。
【0029】
また、放熱部フィン37は、
図3に示すように、複数設けられている。複数の放熱部フィン37は、X軸方向に所定の間隔で並んで配置されている。複数の放熱部フィン37は、第3傾斜部35及び第4傾斜部36のX軸方向の略全域に亘って、並んで配置されている。なお、
図1では、図示の関係上、X軸方向に並ぶ複数の放熱部フィン37が離間していないように図示しているが、X軸方向に隣接する放熱部フィン37同士は、
図3に示すように、離間している(
図5も参照)。
【0030】
次に、本実施形態に係る冷却装置1の作用について説明する。
まず、発熱体2で生じた熱の流れについて説明する。発熱体2で生じた熱は、発熱体2と底面部11との接触部分から、底面部11に伝達される。底面部11に伝達された熱は、容器10に貯留されている冷媒3に伝達される。底面部11から冷媒3に熱が伝達されると、冷媒3は蒸発する。蒸発した冷媒3は、液面3aへと浮き上がり(冷媒R1参照)、液面3aへと浮き上がった冷媒3は、
図3の矢印A1で示すように、液面3aから上昇し、各冷却部31と接触する。冷媒3と冷却部31とが接触すると、冷媒3の熱が冷却部31に伝達される。冷却部31に伝達された熱は、放熱部34へと伝達される。放熱部34に伝達された熱は、空冷ファン25によってダクト20内に供給された外気によって冷却される。このようにして、発熱部の熱が冷却装置1の外部へ放熱される。以上のように、冷却装置1は、発熱部を冷却する。
【0031】
次に、冷却装置1における冷媒3の循環について説明する。
貯留部に貯留されている液相の冷媒3は、底面部11を介して伝達された発熱部の熱によって蒸発する。蒸発した気相の冷媒3は、
図2のA1に示すように、上昇して冷却部31と接触する。冷却部31と接触した冷媒3は、冷却部31と熱交換することで冷却され、凝縮する。凝縮した冷媒3(液相の冷媒)の大部分は、表面張力によって、落下せずに冷却部31の第1傾斜部32及び第2傾斜部33の下面に接触した状態となる(
図2の冷媒R2参照)。第1傾斜部32及び第2傾斜部33は、Y軸方向の端部が下方に位置するように傾斜している。これにより、液相の冷媒3は、
図2の矢印A2で示すように、第1傾斜部32及び第2傾斜部33の下面を伝って、各傾斜部の端部に向かって流れる。第1傾斜部32及び第2傾斜部33の端部に至った液相の冷媒3は、
図2の矢印A3で示すように、端部から落下し、容器10の下部に戻される。このようにして、冷却装置1内で、冷媒3が循環している。
【0032】
本実施形態では以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、上述のように、容器10の内部で冷媒3が自然循環する。したがって、ポンプ等の強制的に冷媒3を循環させる装置を用いることなく、冷媒3を循環させることができる。よって、ポンプ等を用いる場合と比較して、冷却装置1を小型化することができる。また、ポンプ等の駆動源が必要ないので、省エネルギ化することができる。
【0033】
また、本実施形態では、容器10内で冷媒3を循環させることで、冷媒3の蒸発及び凝縮を行っている。このため、例えば、冷媒3を他の装置へと導く配管等を用いることなく、冷媒3の蒸発及び凝縮を行うことができる。したがって、配管等を用いる構成と比較して、冷却装置1を小型化することができる。
【0034】
また、本実施形態では、熱交換部30が容器10の隔壁14を貫通しており、容器10の外部に配置される放熱部34を有する。これにより、冷却部31において冷媒3から伝わった熱を放熱部34が放熱する。したがって、冷媒3の熱を容器10の外部へ放熱することができる。また、冷却部31と放熱部34とが一体的に形成されている。これにより、効率的に冷却部31の熱を放熱部34へ伝えることができる。よって、好適に冷却部31の熱を放熱することができるので、冷却装置1の冷却性能を向上させることができる。
【0035】
本実施形態では、冷却部31で凝縮した冷媒3が、第1傾斜部32及び第2傾斜部33を伝って流下する。これにより、冷却部31で凝縮した冷媒3を落下させ易くすることができる。したがって、好適に冷媒3を循環させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、空冷ファン25によって、放熱部34に空気が供給される。これにより、放熱部34を好適に冷却することができる。したがって、冷却装置1の冷却性能を向上させることができる。また、本実施形態では、放熱部34に放熱フィンが設けられている。これにより、より好適に、放熱部34を冷却することができる。よって、より冷却装置1の冷却性能を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態では、熱交換部30が複数設けられている。これにより、熱交換部30が1つの構造と比較して、冷却31部及び放熱部34における熱交換面積を増大させることができるので、冷媒3の冷却及び放熱を好適に行うことができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態について、
図5を用いて説明する。
本実施形態では、熱交換部及び放熱部フィンの材料が第1実施形態と異なっている。その他の点は第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0039】
本実施形態に係る熱交換部41及び放熱部フィン42は、高熱伝導性材料であるグラフェンによって形成されている。一般的にグラフェンは、第1方向、第1方向と直交する第2方向、第1方向及び第2方向と直交する第3方向の3つの方向のうち、2つの方向において特に熱伝導性が高い。以下の説明では、熱伝導性が高い方向を「主たる熱伝導方向」と称する。
【0040】
本実施形態に用いられるグラフェンは、
図5の矢印で示すように、主たる熱伝導方向がZ軸方向及びX軸方向となっている。すなわち、Y軸方向(
図5の紙面奥行方向)の熱伝導性は、Z軸方向及びX軸方向よりも低い。
【0041】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、熱交換部41がグラフェンによって形成されている。また、熱交換部41を形成するグラフェンは、冷却部43においては、主たる熱伝導方向に放熱部44へ向かう方向(X軸方向)が含まれている。これにより、冷却部43の熱を好適に放熱部44へ伝えることができる。また、放熱部フィン42においては、主たる熱伝導方向に放熱部44から離れる方向(Z軸方向)が含まれている。これにより、放熱部44のZ軸方向の端部(放熱部44から最も遠い端部)にも、好適に熱を伝えることができる。したがって、冷却装置1の冷却性能を向上させることができる。
【0042】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態について、
図6を用いて説明する。
本実施形態では、放熱部フィンの形状が第1実施形態と異なっている。その他の点は第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0043】
本実施形態に係る冷却装置50の放熱部フィン51は、
図6に示すように、いわゆるピンフィンである。放熱部フィン42は、第3傾斜部35及び第4傾斜部36の上面及び下面から突出するように設けられている。放熱部フィン51は、第3傾斜部35及び第4傾斜部36の上面及び下面の略全域に亘って所定の間隔で設けられている。
【0044】
なお、放熱部フィン51の材料は、第1実施形態の放熱部フィン37のように、熱伝導率の高い金属材料であってもよく、第2実施形態の放熱部フィン42のようにグラフェンであってもよい。グラフェンで形成する場合には、Z軸方向が主たる熱伝導方向に含まれるグラフェンによって形成される。
【0045】
本実施形態に係る冷却装置50においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0046】
〔第4実施形態〕
次に、本開示の第4実施形態について
図7から
図9を用いて説明する。
本実施形態では、冷却部及び底面部にもフィンを設けた点で第3実施形態と異なっている。その他の点は第3実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0047】
本実施形態に係る冷却装置60の冷却部31には、
図7及び
図8に示すように、第1傾斜部32及び第2傾斜部33の上面及び下面に冷却部フィン(第2フィン)61が設けられている。冷却部フィン61は、
図6に示すように、ピン形状をしているフィンであって、いわゆるピンフィンである。冷却部フィン61は、第1傾斜部32及び第2傾斜部33の上面及び下面から突出するように設けられている。冷却部フィン61は、第1傾斜部32及び第2傾斜部33の上面及び下面の略全域に亘って所定の間隔で設けられている。
【0048】
また、本実施形態に係る底面部11には、
図8に示すように、上面に底面部フィン62(第3フィン)が設けられている。底面部フィン62は、いわゆるピンフィンである。底面部フィン62は、底面部11の上面から突出するように設けられている。冷却部フィン61は、底面部11の上面の略全域に亘って所定の間隔で設けられている。
【0049】
なお、冷却部フィン61及び底面部フィン62の材料は、第1実施形態の放熱部フィン37のように、熱伝導率の高い金属材料であってもよく、第2実施形態の放熱部フィン37のようにグラフェンであってもよい。冷却部フィン61をグラフェンで形成する場合には、
図9に示すように、Z軸方向及びX軸方向が主たる熱伝導方向に含まれるグラフェンによって形成される。このように構成した場合には、冷却部フィン61で吸収した熱を、冷却部31まで好適に伝えることができる。すなわち、冷却部フィン61で吸収した熱を、冷却部31を介して、放熱部34へと好適に伝えることができる。したがって、より好適に、冷媒を冷却することができる。よって、より冷却装置60の冷却性能を向上させることができる。
【0050】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、冷却部31に冷却部フィン61が設けられている。これにより、冷媒3の熱交換面積を増大させることができるので、より好適に、冷媒3を冷却することができる。よって、より冷却装置1の冷却性能を向上させることができる。
また、本実施形態では、冷却部フィン61が、冷却部31の上面及び下面に設けられている。これにより、より多くの冷却部フィン61を設けることができる。したがって、冷媒の熱交換面積を増大させることができるので、より好適に、冷媒を冷却することができる。よって、より冷却装置60の冷却性能を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、発熱体2の熱を受ける底面部11に底面部フィン62が設けられている。これにより、冷媒3の熱交換面積を増大させることができるので、より好適に、発熱部の熱を冷媒3へ伝えることができる。すなわち、冷媒3によって発熱部をより冷却することができる。よって、冷却装置1の冷却性能を向上させることができる。
【0052】
なお、冷却部フィン61及び底面部フィン62は、ピンフィンに限定されない。冷却部フィン61及び底面部フィン62は、例えば、第1実施形態の放熱部フィン37のようにプレートフィンであってもよい。ただし、プレートフィンとした場合には、冷媒3の循環を阻害する可能性がある。一方、冷却部フィン61及び底面部フィン62をピンフィンとした場合には、冷媒と各フィンとが干渉し難い。したがって、冷媒3の循環を阻害し難くすることができる。
【0053】
なお、本開示は上記各実施形態の構成のみに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更や改良を加えることができ、このように変更や改良を加えた実施形態も本開示の権利範囲に含まれるものとする。
【0054】
例えば、上記各実施形態では、第1傾斜部の一端部と第2傾斜部の一端部とが接続される例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、第1傾斜部の一端部と第2傾斜部の一端部を接続せずに、所定距離離間させてもよい。このような構造とすることで、蒸発した冷媒3が第1傾斜部と第2傾斜部との間に形成される空間を流通する。これにより、第1傾斜部及び第2傾斜部の全面に蒸発した冷媒3を接触させ易くすることができる。したがって、蒸発した冷媒3をより効率的に冷却することができるので、冷却装置1の冷却性能をより向上させることができる。
【0055】
また、例えば、第1実施形態及び第2実施形態において、第4実施形態で説明した冷却部フィン61及び/又は底面部フィン62を設けてもよい。
【0056】
以上説明した各実施形態に記載の冷却装置は例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係る冷却装置は、発熱体(2)を冷却する冷却装置(1)であって、前記発熱体からの熱を受ける受熱部(11)を有し、内部に液相の冷媒(3)を貯留するとともに、前記受熱部と貯留されている冷媒とを熱交換させることで冷媒を蒸発させる容器(10)と、前記容器の側壁を貫通する複数の熱交換部(30)と、を備え、各前記熱交換部は、前記容器の内部であって前記容器に貯留されている冷媒の液面(3a)よりも上方に配置されて前記受熱部で蒸発した気相の冷媒を冷却する冷却部(31)と、前記容器の外部に配置され、前記冷却部と接続されており、該冷却部から伝達された熱を放熱する放熱部(34)と、を一体的に有し、複数の前記熱交換部は、上下方向に並んで配置されている。
【0057】
上記構成では、蒸発した気相の冷媒が上昇し、熱交換部の冷却部へ到達する。冷却部に到達した冷媒は、冷却部で冷却され凝縮する。凝縮した液相の冷媒は、落下して、貯留されている液相の冷媒へ戻される。このようにして、容器の内部で冷媒が自然循環する。したがって、ポンプ等の強制的に冷媒を循環させる装置を用いることなく、冷媒を循環させることができる。よって、ポンプ等を用いる場合と比較して、冷却装置を小型化することができる。また、ポンプ等の駆動源が必要ないので、省エネルギ化することができる。
【0058】
また、上記構成では、容器内で冷媒を循環させることで、冷媒の蒸発及び凝縮を行っている。このため、例えば、冷媒を他の装置へと導く配管等を用いることなく、冷媒の蒸発及び凝縮を行うことができる。したがって、配管等を用いる構成と比較して、冷却装置を小型化することができる。
【0059】
また、上記構成では、熱交換部が容器の側壁を貫通しており、容器の外部に配置される放熱部を有する。これにより、冷却部において冷媒から伝わった熱を放熱部が放熱する。したがって、冷媒の熱を容器の外部へ放熱することができる。また、冷却部と放熱部とが一体的に形成されている。これにより、効率的に冷却部の熱を放熱部へ伝えることができる。よって、好適に冷却部の熱を放熱することができるので、冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【0060】
また、上記構成では、熱交換部が複数設けられている。これにより、熱交換部が1つの構造と比較して、冷却部及び放熱部における熱交換面積を増大させることができるので、冷媒の冷却及び放熱を好適に行うことができる。
【0061】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記冷却部は、水平面に対して傾斜する傾斜部(32、33)を有する。
【0062】
上記構成では、冷却部で凝縮した冷媒が、傾斜部を伝って流下する。これにより、冷却部で凝縮した冷媒を落下させ易くすることができる。したがって、好適に冷媒を循環させることができる。
【0063】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記冷却部は、主たる熱伝導方向が前記放熱部へ向かう方向になるように形成されている。
【0064】
上記構成では、冷却部が、主たる熱伝導方向が放熱部へ向かう方向になるように形成されている。これにより、冷却部から放熱部へ好適に熱を伝えることができる。したがって、冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【0065】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記冷却部は、グラフェンを含んで形成されている。
【0066】
上記構成では、冷却部が、グラフェンを含んで形成されている。グラフェンは、熱伝導性が高い材料であるので、好適に冷却部から放熱部へ熱を伝えることができる。したがって、冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
なお、一般的にグラフェンは、第1方向、第1方向と直交する第2方向、第1方向及び第2方向と直交する第3方向の3つの方向のうち、2つの方向において特に熱伝導性が高い。グラフェンにおける「主たる熱伝導方向」とは、熱伝導性が高い方向を意味する。
【0067】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記放熱部を収容するダクト(20)と、前記ダクト内に空気を供給する空気供給部(25)と、を備え、前記放熱部には、第1フィン(37)が設けられている。
【0068】
上記構成では、放熱部に空気が供給される。これにより、放熱部を好適に冷却することができる。したがって、冷却装置の冷却性能を向上させることができる。また、上記構成では、放熱部にフィン(第1フィン)が設けられている。これにより、より好適に、放熱部を冷却することができる。よって、より冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【0069】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記第1フィンは、熱伝導率の高い金属材料で形成されている。
【0070】
上記構成では、第1フィンが熱伝導率の高い金属材料で形成されているので、より好適に、放熱部を冷却することができる。よって、より冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【0071】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記冷却部には、第2フィン(61)が設けられている。
【0072】
上記構成では、冷却部にフィン(第2フィン)が設けられている。これにより、冷媒の熱交換面積を増大させることができるので、より好適に、冷媒を冷却することができる。よって、より冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【0073】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記第2フィンは、前記冷却部の表面から突出するピンフィンを有する。
【0074】
上記構成では、第2フィンがピン形状をしている。これにより、流通する冷媒と第2フィンが干渉し難い。したがって、冷媒の流通を阻害し難くすることができるので、好適に冷媒を流通させることができる。
【0075】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記第2フィンは、前記冷却部の上面及び下面に設けられている。
【0076】
上記構成では、第2フィンが、冷却部の上面及び下面に設けられている。これにより、より多くの第2フィンを設けることができる。したがって、冷媒の熱交換面積を増大させることができるので、より好適に、冷媒を冷却することができる。よって、より冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【0077】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記第2フィンは、前記冷却部の表面から突出するように設けられ、主たる熱伝導方向が先端部から前記冷却部との接続部分へ向かう方向であるグラフェンを含んで形成されている。
【0078】
上記構成では、第2フィンが、主たる熱伝導方向が先端部から冷却部との接続部分へ向かう方向であるグラフェンを含んで形成されている。これにより、第2フィンで吸収した熱を、冷却部まで好適に伝えることができる。すなわち、第2フィンで吸収した熱を、冷却部を介して、放熱部へと好適に伝えることができる。したがって、より好適に、冷媒を冷却することができる。よって、より冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【0079】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記受熱部には、第3フィン(62)が設けられている。
【0080】
上記構成では、受熱部にフィン(第3フィン)が設けられている。これにより、冷媒の熱交換面積を増大させることができるので、より好適に、発熱部の熱を冷媒へ伝えることができる。すなわち、冷媒によって発熱部をより冷却することができる。よって、より冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【0081】
また、本開示の一態様に係る冷却装置は、前記第3フィンは、熱伝導率の高い金属材料で形成されている。
【0082】
上記構成では、第3フィンが熱伝導率の高い金属材料で形成されているので、より好適に、発熱部の熱を冷媒へ伝えることができる。よって、より冷却装置の冷却性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 :冷却装置
2 :発熱体
3 :冷媒
3a :液面
10 :容器
11 :底面部(受熱部)
12 :側壁部
13 :天井部
14 :隔壁
20 :ダクト
21 :流路
22 :下面部
23 :上面部
24 :側面部
25 :空冷ファン(空気供給部)
30 :熱交換部
31 :冷却部
32 :第1傾斜部(傾斜部)
33 :第2傾斜部(傾斜部)
34 :放熱部
35 :第3傾斜部
36 :第4傾斜部
37 :放熱部フィン(第1フィン)
41 :熱交換部
42 :放熱部フィン
43 :冷却部
44 :放熱部
50 :冷却装置
51 :放熱部フィン
60 :冷却装置
61 :冷却部フィン(第2フィン)
62 :底面部フィン(第3フィン)
S :閉空間