(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】住宅プラン提案システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20231218BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2020039698
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】村松 奈美
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-281233(JP,A)
【文献】特開2007-316895(JP,A)
【文献】特開2019-200725(JP,A)
【文献】特開2011-022628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の購入を予定している顧客に対して住宅プランを提案する住宅プラン提案システムであって、
既に建てられた既設住宅ごとに、前記既設住宅に設けられた
キッチン設備、収納設備、照明スイッチ及びコンセントのうちのいずれかである設備に関する仕様情報を取得する設備仕様情報取得手段と、
前記既設住宅ごとに、前記設備について住人による使われ方に関する使用状況情報を取得する使用状況取得手段と、
前記既設住宅ごとに、前記各取得手段により取得された前記設備の前記仕様情報及び前記使用状況情報を対応付けて当該設備の設備使用情報として記憶する記憶手段とを備え、
前記記憶手段は、前記既設住宅の前記設備の前記設備使用情報を当該既設住宅に住む住人の属性情報と対応付けて記憶し、
さらに、
前記顧客の属性情報を取得する顧客属性取得手段と、
前記記憶手段に記憶された前記各既設住宅の前記設備使用情報のうち、前記顧客属性取得手段により取得された前記顧客の属性情報に対応する前記設備使用情報に基づき、前記住宅プランを作成する住宅プラン作成手段と、
を備えることを特徴とする住宅プラン提案システム。
【請求項2】
前記既設住宅に住む住人はその属性により複数の属性カテゴリに区分けされており、
前記記憶手段は、前記属性カテゴリごとに設けられ、前記属性カテゴリに属する住人の住む前記既設住宅の前記設備使用情報を記憶する複数のデータベースを有しており、
前記顧客属性取得手段により取得された前記顧客の属性情報に基づき、前記顧客が前記各属性カテゴリのうちいずれの属性カテゴリに属するかを判定するカテゴリ判定手段を備え、
前記住宅プラン作成手段は、前記カテゴリ判定手段により判定された前記属性カテゴリの前記データベースに記憶されている前記設備使用情報に基づき、前記住宅プランを作成することを特徴とする請求項1に記載の住宅プラン提案システム。
【請求項3】
前記属性カテゴリごとに、前記属性カテゴリの前記データベースに複数記憶された前記設備の前記設備使用情報に基づき、当該設備の前記仕様情報についてその基準となる基準仕様を作成する基準仕様作成手段を備え、
前記住宅プラン作成手段は、前記基準仕様作成手段により作成された前記基準仕様のうち、前記カテゴリ判定手段により判定された前記顧客の前記属性カテゴリに対応する前記基準仕様に基づき、前記住宅プランを作成することを特徴とする請求項2に記載の住宅プラン提案システム。
【請求項4】
前記設備は、前記収納設備であり、
前記設備仕様情報取得手段は、前記収納設備の前記仕様情報として、前記収納設備の収納可能容量に関する情報を取得し、
前記使用状況取得手段は、前記収納設備の前記使用状況情報として、前記収納設備への収納状況に関する情報を取得し、
前記記憶手段は、前記設備仕様情報取得手段により取得された前記収納設備の収納可能容量に関する情報と、前記使用状況取得手段により取得された前記収納設備への収納状況に関する情報とを対応付けて、前記収納設備の前記設備使用情報として記憶することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の住宅プラン提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅プラン提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅販売会社では、住宅の購入を予定している顧客に対して、ディスプレイ上に住宅のプランを表示して提案することがよく行われている。特許文献1には、こうした提案を行う際に用いられる住宅プラン提案システムが開示されている。この提案システムでは、予め用意された複数の住宅プランがデータベースに記憶されている。そして、顧客が住宅について希望する間取りや床面積等の住宅条件、つまり住宅に関する顧客要求が入力されると、その顧客要求に見合う住宅プランがデータベースより抽出され、ディスプレイ上に表示されるようになっている。これにより、特許文献1の提案システムによれば、顧客の希望に合った住宅プランを提案することが可能となっている。
【0003】
また、特許文献1の提案システムでは、各住宅プランごとに、その住宅プランに沿って建てられた既設住宅に住む住人の居住満足度を示す居住満足度データが住宅プランと対応付けて記憶されている。そして、顧客要求に見合う住宅プランが抽出される際、その住宅プランに対応する居住満足度データが参照されるようになっている。このため、特許文献1の提案システムによれば、住人の居住満足度の高い住宅プランを優先して抽出するといったことも可能となっており、そのため、顧客満足度の高い住宅プランを提案することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、住宅には、キッチン設備や収納設備、給湯器といった各種設備が設けられている。住宅においては、こうした設備の住人による使われ方が住宅に住む住人の家族構成等、住人の属性によって異なることが考えられる。例えば、住人が4人家族である場合と2人家族である場合とでは、収納設備の使われ方(収納設備への収納状況)が異なることが考えられる。
【0006】
ここで、このような点を鑑みた場合、上記特許文献1の提案システムでは、例えば顧客が4人家族であった場合に、その4人家族の顧客に対して提案される住宅プランが2人家族の住人にとって満足度の高いものである、といった場合が想定されうる。その場合、4人家族の顧客に対して満足度の高い住宅プランを提案することができない場合が想定され、その点で上記特許文献1の提案システムは改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、顧客に対してより満足度の高い住宅プランを提供することができる住宅プラン提案システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の住宅プラン提案システムは、住宅の購入を予定している顧客に対して住宅プランを提案するものであって、既に建てられた既設住宅ごとに、前記既設住宅に設けられた設備に関する仕様情報を取得する設備仕様情報取得手段と、前記既設住宅ごとに、前記設備について住人による使われ方に関する使用状況情報を取得する使用状況取得手段と、前記既設住宅ごとに、前記各取得手段により取得された前記設備の前記仕様情報及び前記使用状況情報を対応付けて当該設備の設備使用情報として記憶する記憶手段とを備え、前記記憶手段は、前記既設住宅の前記設備の前記設備使用情報を当該既設住宅に住む住人の属性情報と対応付けて記憶し、さらに、前記顧客の属性情報を取得する顧客属性取得手段と、前記記憶手段に記憶された前記各既設住宅の前記設備使用情報のうち、前記顧客属性取得手段により取得された前記顧客の属性情報に対応する前記設備使用情報に基づき、前記住宅プランを作成する住宅プラン作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、既に建てられた既設住宅ごとに、既設住宅に設けられた設備に関する仕様情報と、当該設備の使用状況情報とが対応付けられて当該設備の設備使用情報として記憶手段に記憶されている。この場合、記憶手段には、既設住宅の設備使用情報が、その既設住宅に住む住人の属性情報と対応付けて記憶されている。なお、住人の属性情報としては、住人の家族構成に関する家族構成情報や、住人の仕事に関する仕事情報等が挙げられる。
【0010】
ここで、設備使用情報は、設備の仕様と使用状況との関係性を示す情報である。設備の使用状況は住人の属性(家族構成等)によって異なることが考えられる。例えば、設備が収納設備である場合には、家族の人数が多いほど収納設備への収納量が多くなると考えられる。そこで、上記の構成では、こうした点に鑑み、記憶手段に記憶された各既設住宅の設備使用情報のうち、顧客の属性情報に対応する設備使用情報に基づき、当該顧客に対する住宅プランを作成するようにしている。この場合、顧客と同じ属性を有する住人の住む既設住宅の設備使用情報に基づき、住宅プランを作成することができる。このため、顧客に合った設備仕様を有する住宅プランを提案することができる。これにより、顧客に対してより満足度の高い住宅プランを提供することができる。
【0011】
第2の発明の住宅プラン提案システムは、第1の発明において、前記既設住宅に住む住人はその属性により複数の属性カテゴリに区分けされており、前記記憶手段は、前記属性カテゴリごとに設けられ、前記属性カテゴリに属する住人の住む前記既設住宅の前記設備使用情報を記憶する複数のデータベースを有しており、前記顧客属性取得手段により取得された前記顧客の属性情報に基づき、前記顧客が前記各属性カテゴリのうちいずれの属性カテゴリに属するかを判定するカテゴリ判定手段を備え、前記住宅プラン作成手段は、前記カテゴリ判定手段により判定された前記属性カテゴリの前記データベースに記憶されている前記設備使用情報に基づき、前記住宅プランを作成することを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、既設住宅に住む住人がその属性により複数の属性カテゴリに区分けされている。そして、記憶手段には、それら各属性カテゴリごとに、当該属性カテゴリに属する住人の住む既設住宅の設備使用情報を記憶する複数のデータベースが設けられている。この場合、顧客がいずれの属性カテゴリに属するかが判定され、判定された属性カテゴリのデータベースに記憶されている設備使用情報に基づき、当該顧客に対する住宅プランが作成される。かかる構成によれば、データベースを利用して上記第1の発明を好適に実現することができる。
【0013】
第3の発明の住宅プラン提案システムは、第2の発明において、前記属性カテゴリごとに、前記属性カテゴリの前記データベースに複数記憶された前記設備の前記設備使用情報に基づき、当該設備の前記仕様情報についてその基準となる基準仕様を作成する基準仕様作成手段を備え、前記住宅プラン作成手段は、前記基準仕様作成手段により作成された前記基準仕様のうち、前記カテゴリ判定手段により判定された前記顧客の前記属性カテゴリに対応する前記基準仕様に基づき、前記住宅プランを作成することを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、属性カテゴリごとに、属性カテゴリのデータベースに記憶された設備の設備使用情報に基づき、当該設備の仕様情報についてその基準仕様が作成される。そして、顧客の属する属性カテゴリに対応する基準仕様に基づき、住宅プランが作成される。この場合、データベースを利用して属性カテゴリごとに設備の基準仕様を予め作成しておくことで、その基準仕様を用いて顧客に適した住宅プランを好適に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】住宅プラン提案システムの概略構成を示す図。
【
図2】設備使用情報記憶部に記憶されている各設備の設備使用情報を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、顧客に対して住宅プランを提案する住宅プラン提案システムについて具体化している。
図1は、その住宅プラン提案システムの概略構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、住宅プラン提案システム10は、住宅販売会社11の販売店に設けられた住宅プラン提案装置12を備える。本実施形態では、販売店に訪れた顧客に対し、住宅プラン提案装置12を用いて住宅プランを提案することを想定している。住宅プラン提案装置12は、制御部13と、操作部14と、表示部15と、記憶部16,17,21とを備える。制御部13は、住宅プランの提案に関する各種処理を行うものであり、操作部14、表示部15及び記憶部16,17,21とそれぞれ接続されている。制御部13は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成されている。操作部14は、住宅プラン提案処理に必要な各種情報を入力するためのもので、キーボードやマウス等を備えて構成されている。表示部15は、顧客に提案を行う住宅プラン等、各種情報を表示するもので、ディスプレイからなる。
【0018】
記憶部16,17,21は、住宅プラン提案処理に必要な各種情報を記憶するものである。各記憶部16,17,21のうち、住宅情報記憶部16は、住宅販売会社11により販売された既設住宅20(既販住宅)に関する住宅情報を記憶するものである。住宅情報記憶部16には、複数の既設住宅20の住宅情報が記憶されている。住宅情報記憶部16には、既設住宅20の住宅情報として、既設住宅20の間取りや床面積、建築面積等の基本情報(住宅基本情報)が記憶されている。また、住宅情報記憶部16には、さらに既設住宅20の住宅情報として、既設住宅20に設けられた設備Kに関する仕様情報が記憶されている。
【0019】
住宅情報記憶部16には、既設住宅20の住宅情報が当該既設住宅20に住む住人の属性と対応付けて記憶されている。既設住宅20に住む住人は、その属性によって複数のカテゴリ(属性カテゴリに相当)に区分けされており、詳しくはその家族構成(属性の一種)によって複数のカテゴリに区分けされている。本実施形態では、カテゴリとして、家族構成の異なる複数のカテゴリが用意されており、例えばカテゴリAは親子4人からなる4人家族のカテゴリ、カテゴリBは夫婦2人のみからなる2人家族のカテゴリとなっている。
【0020】
具体的には、住宅情報記憶部16は、住人のカテゴリごとに設けられ、そのカテゴリに属する住人が住む既設住宅20の住宅情報を記憶する複数のデータベース18を有している。これら各データベース18には、カテゴリAの住人が住む既設住宅20の住宅情報を記憶するデータベース18aや、カテゴリBの住人が住む既設住宅20の住宅情報を記憶するデータベース18b等が含まれている。
【0021】
設備使用情報記憶部17は、既設住宅20ごとに、その既設住宅20に設けられた設備Kについての設備使用情報を記憶するものである。設備使用情報とは、既設住宅20に設けられた設備Kについて、その設備Kに関する仕様情報と、当該設備Kの使われ方に関する使用状況情報とを対応付けた情報である。設備使用情報記憶部17には、既設住宅20の設備使用情報が当該既設住宅20に住む住人のカテゴリと対応付けて記憶されている。なお、設備使用情報記憶部17が記憶手段に相当する。
【0022】
具体的には、設備使用情報記憶部17は、既設住宅20に住む住人のカテゴリごとに設けられ、そのカテゴリに属する住人が住む既設住宅20の設備使用情報を記憶する複数のデータベース19を有している。各データベース19には、カテゴリAに属する住人が住む既設住宅20の設備使用情報を記憶するデータベース19aや、カテゴリBに属する住人が住む既設住宅20の設備使用情報を記憶するデータベース19b等が含まれている。なお、各データベース19がそれぞれ特許請求の範囲に記載された「データベース」に相当する。
【0023】
続いて、設備使用情報記憶部17(データベース19)に記憶されている既設住宅20の設備使用情報の内容について説明する。設備使用情報記憶部17には、上述したように、各既設住宅20ごとに設備使用情報が記憶されており、
図2には、それら記憶された各既設住宅20の設備使用情報のうち、いずれか一の既設住宅20の設備使用情報を例示している。以下、この
図2に基づいて、設備使用情報記憶部17に記憶されている既設住宅20の設備使用情報について説明する。
【0024】
図2に示すように、設備使用情報記憶部17には、設備使用情報として、既設住宅20に設けられた複数の設備Kについての設備使用情報が記憶されている。設備使用情報は、上述したように、既設住宅20に設けられた設備Kについて、その設備Kに関する仕様情報と、当該設備Kの使われ方に関する使用状況情報とを対応付けた情報となっており、
図2では、そのように対応付けた情報として設備使用情報を示している。
【0025】
後述するように、各既設住宅20には、設備Kとして、キッチン設備K1、収納設備K2、照明スイッチK3、コンセントK4、給湯器K5、分電盤K6等が設けられている(
図1参照)。設備使用情報記憶部17には、既設住宅20の設備使用情報として、これら各設備K1~K6についての設備使用情報が記憶されている。以下、各設備K1~K6の設備使用情報について
図2に基づき説明する。
【0026】
(a)キッチン設備K1の設備使用情報
キッチン設備K1は、コンロやシンク等を有して構成され、キッチンに設置されている。キッチン設備K1の設備使用情報は、キッチン設備K1の仕様情報と使用状況情報とが対応付けられた情報となっている。キッチン設備K1の仕様情報としては、キッチン設備K1の配置に関する情報、詳しくはキッチン設備K1と持込家電(例えば冷蔵庫)との配置関係に関する情報が記憶されている。また、キッチン設備K1の使用状況情報としては、キッチン設備K1と持込家電との間を住人が移動する際の移動動線に関する情報が記憶されている。
【0027】
(b)収納設備K2の設備使用情報
収納設備K2は、例えば納戸とされている。収納設備K2の設備使用情報は、収納設備K2の仕様情報と使用状況情報とが対応付けられた情報となっている。収納設備K2の仕様情報としては、収納設備K2の収納可能容量に関する情報が記憶されている。また、収納設備K2の使用状況情報としては、収納設備K2への収納状況に関する情報が記憶されている。なお、収納設備K2は、ウォークインクローゼット(WIC)等、納戸以外であってもよい。
【0028】
(c)照明スイッチK3の設備使用情報
照明スイッチK3は、例えばリビングに設けられた照明をON・OFFするためのスイッチであり、リビングの壁に設けられている。照明スイッチK3の設備使用情報は、照明スイッチK3の仕様情報と使用状況情報とが対応付けられた情報となっている。照明スイッチK3の仕様情報としては、照明スイッチK3の高さ位置に関する情報が記憶されている。また、照明スイッチK3の使用状況情報としては、照明スイッチK3を住人が操作する際の住人の姿勢に関する情報が記憶されている。
【0029】
(d)コンセントK4の設備使用情報
コンセントK4は、例えばリビングに設けられている。コンセントK4の設備使用情報は、コンセントK4の仕様情報と使用状況情報とが対応付けられた情報となっている。コンセントK4の仕様情報としては、リビングにおけるコンセントK4の設置個数に関する情報が記憶されている。また、コンセントK4の使用状況情報としては、コンセントK4に接続される配線の接続状況に関する情報が記憶されている。
【0030】
(e)給湯器K5の設備使用情報
給湯器K5は、例えばガス給湯器とされている。給湯器K5の設備使用情報は、給湯器K5の仕様情報と使用状況情報とが対応付けられた情報となっている。給湯器K5の仕様情報としては、給湯器K5の給湯能力に関する情報が記憶されている。また、給湯器K5の使用状況情報としては、給湯器K5による給湯量に関する情報が記憶されている。
【0031】
(f)分電盤K6の設備使用情報
分電盤K6は、主幹ブレーカや分岐ブレーカを有して構成されている。分電盤K6の設備使用情報は、分電盤K6の仕様情報と使用状況情報とが対応付けられた情報となっている。分電盤K6の仕様情報としては、分電盤K6の主幹容量に関する情報が記憶されている。分電盤K6の使用状況情報としては、分電盤K6より既設住宅20内の電気機器に供給される供給電力量に関する情報が記憶されている。なお、分電盤K6からの供給電力量は、既設住宅20内の電気機器において使用される使用電力量に相当する。
【0032】
基準仕様記憶部21は、各設備K1~K6ごとに、設備K1~K6の仕様情報(
図2参照)についてその基準となる基準仕様を記憶するものである。基準仕様は、設備K1~K6の仕様として推奨される推奨仕様となっている。本住宅プラン提案装置12では、上述したカテゴリ(属性カテゴリ)ごとに設備K1~K6の基準仕様が定められている。そして、基準仕様記憶部21には、それら各カテゴリごとに設備K1~K6の基準仕様が記憶されている。
【0033】
図1の説明に戻って、住宅プラン提案装置12は、各既設住宅20に設けられたホームサーバ23とインターネット等のネットワーク22を介して通信可能に接続されている。ホームサーバ23は、例えば周知のパーソナルコンピュータにより構成されている。ホームサーバ23は、コントローラ24と、既設住宅20の住人により操作される操作部25とを備える。コントローラ24は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成され、記憶部24aを有している。また、コントローラ24は、操作部25と接続されている。
【0034】
各既設住宅20には、上述したように、複数の設備K(K1~K6)が設けられている。各既設住宅20には、それらの設備Kの住人による使われ方(使用状況)を監視する使用状況監視手段が設けられている。かかる使用状況監視手段としては、既設住宅20内を監視する監視カメラ31と、既設住宅20で使用される電力の使用量を計測する電力メータ32と、既設住宅20で使用されるガスの使用量を計測するガスメータ33とが設けられている。なお、使用状況監視手段としては、監視カメラ31や各メータ32,33以外に、家電の稼働状況を検出するセンサ等、他の手段が設けられていてもよい。
【0035】
監視カメラ31は、既設住宅20内において複数箇所に設けられている。これらの監視カメラ31により、住人によるキッチン設備K1、収納設備K2、照明スイッチK3、コンセントK4の各使用状況が監視されている。詳しくは、キッチン設備K1については、持込家電との間の住人による移動動線が監視されている。また、収納設備K2については、同設備K2への物の収納状況が監視されている。また、照明スイッチK3については、同スイッチK3を住人が操作する際の姿勢が監視されている。また、コンセントK4については、当該コンセントK4に接続される配線の状況が監視されている。なお、
図1では説明の便宜上、監視カメラ31を1つだけ示している。
【0036】
各監視カメラ31はホームサーバ23のコントローラ24と接続されている。各監視カメラ31による監視画像のデータはコントローラ24に逐次入力される。コントローラ24は、各監視カメラ31から画像データが入力されると、それらの画像データを記憶部24aに逐次記憶する。
【0037】
電力メータ32は、上述したように、既設住宅20における電力の使用量を計測(監視)する。この場合、電力の使用量は分電盤K6から既設住宅20内の電気機器に供給される供給電力量に相当するため、換言すると、電力メータ32により分電盤K6からの供給電力量が監視されていることになる。
【0038】
電力メータ32はホームサーバ23のコントローラ24と接続されている。電力メータ32により計測された電力使用量のデータはコントローラ24に逐次入力され、コントローラ24は、その入力された電力使用量データを記憶部24aに逐次記憶する。
【0039】
ガスメータ33は、上述したように、既設住宅20におけるガスの使用量を計測(監視)する。この場合、既設住宅20におけるガスの使用量は給湯器K5にて使用されるガス量に相当する。そのため、この場合、ガスメータ33により給湯器K5におけるガスの使用量が監視されていることになる。
【0040】
ガスメータ33はホームサーバ23のコントローラ24と接続されている。ガスメータ33により計測されたガス使用量のデータはコントローラ24に逐次入力され、コントローラ24は、その入力されたガス使用量データを記憶部24aに逐次記憶する。
【0041】
このように、各既設住宅20では、ホームサーバ23の記憶部24aに、監視カメラ31による監視画像のデータと、各メータ32,33により計測された電力使用量及びガス使用量の各データとがそれぞれ蓄積されるようになっている。
【0042】
住宅プラン提案装置12の制御部13は、既設住宅20のホームサーバ23から同サーバ23の記憶部24aに蓄積された各種データを取得し、その取得した各種データに基づき各既設住宅20に設けられた設備K(K1~K6)の使用状況情報を取得する。そして、制御部13は、取得した設備Kの使用状況情報を当該設備Kの仕様情報と対応付けて設備使用情報として設備使用情報記憶部17に記憶する。このような制御部13による処理(記憶処理)は各既設住宅20ごとに行われ、それにより、設備使用情報記憶部17には、各既設住宅20の設備使用情報が蓄積されるようになっている。
【0043】
続いて、制御部13により行われる上述の記憶処理について、
図3に示すフローチャートに基づいて詳しく説明する。なお、記憶処理は、例えば処理対象となる既設住宅20が建てられてから所定期間(例えば3年)が経過した後、開始されるものとなっている。
【0044】
図3に示すように、まずステップS11では、処理対象となる既設住宅20のホームサーバ23から同サーバ23の記憶部24aに記憶されている各種データを取得する。具体的には、監視カメラ31による既設住宅20内の監視画像データと、各メータ32,33により計測された電力使用量及びガス使用量のデータとを取得する。
【0045】
各種データの取得に際しては、まず、既設住宅20のホームサーバ23(詳しくはコントローラ24)にネットワーク22を介して各種データの送信を要求する要求信号を送信する。この要求信号がコントローラ24により受信されると、コントローラ24は、その要求信号の応答として記憶部24aより各種データを読み出してその読み出した各種データをネットワーク22を介して住宅プラン提案装置12に送信する。そして、この送信された各種データを制御部13が受信することでそれら各種データを取得する。
【0046】
続くステップS12では、既設住宅20に設けられた各設備K1~K6の仕様情報(
図2参照)を取得する(設備仕様情報取得手段に相当)。この場合、住宅情報記憶部16(詳しくはデータベース18)に記憶された当該既設住宅20の設備K1~K6の仕様情報を読み出して取得する。
【0047】
続くステップS13では、ステップS11で取得した各種データに基づき、既設住宅20に設けられた各設備K1~K6の使われ方に関する使用状況情報(
図2参照)を取得する(使用状況取得手段に相当)。この取得処理ではまず、ステップS11で取得した既設住宅20内の監視画像データに基づき、キッチン設備K1、収納設備K2、照明スイッチK3及びコンセントK4の使用状況を画像解析等することで把握し、それにより、各設備K1~K4の使用状況情報を取得する。
【0048】
詳しくは、キッチン設備K1については、使用状況情報として、キッチン設備K1と持込家電との間の移動動線に関する情報を取得する。この場合、移動動線に関する情報としては、例えば動線が長い、短い等の動線長さの情報が挙げられる。
【0049】
また、収納設備K2については、収納設備K2への収納状況に関する情報を取得する。この場合、収納状況に関する情報としては、例えば収納設備K2に物が収納しきれずあふれた状態となっている、収納設備K2に物が適切な量で収納されている等の情報が挙げられる。
【0050】
また、照明スイッチK3については、照明スイッチK3の操作時における姿勢に関する情報を取得する。この場合、姿勢に関する情報としては、例えば照明スイッチK3を操作する際に腰を屈めた姿勢となっている、背のびした姿勢となっている等の情報が挙げられる。
【0051】
また、コンセントK4については、コンセントK4への配線の接続状況に関する情報を取得する。この場合、配線の接続状況に関する情報としては、例えばコンセントK4の個数が足りずたこ足配線となっている、コンセントK4の個数が足りておりたこ足配線にはなっていない等の情報が挙げられる。
【0052】
また、ステップS13の取得処理では、ステップS11で取得した既設住宅20の電力使用量データに基づき、分電盤K6の使用状況を把握し、それにより、分電盤K6の使用状況情報を取得する。この場合、分電盤K6の使用状況情報として、分電盤K6からの供給電力量に関する情報を取得する。この場合、供給電力量に関する情報としては、例えば分電盤K6の主幹容量に対して供給電力量が多すぎるか否か等の情報が挙げられる。
【0053】
さらに、取得処理では、ステップS11で取得した既設住宅20のガス量データに基づき、給湯器K5の使用状況を把握し、それにより、給湯器K5の使用状況情報を取得する。この場合、給湯器K5の使用状況情報として、給湯器K5の給湯量に関する情報を取得する。この場合、給湯量に関する情報としては、例えば給湯器K5の給湯能力に対して給湯量が多すぎる、給湯量が適切である等の情報が挙げられる。
【0054】
ステップS14では、既設住宅20に住む住人が属するカテゴリを特定する。このカテゴリの特定は、例えばステップS12において各設備Kの仕様情報をデータベース19から読み出す際、いずれのカテゴリのデータベース19から読み出したか否かに基づき特定する。
【0055】
ステップS15では、既設住宅20における各設備K1~K6ごとに、ステップS12で取得した設備K1~K6の仕様情報と、ステップS12で取得した当該設備K1~K6の使用状況情報とを対応付けて設備使用情報として設備使用情報記憶部17に記憶する(
図2参照)。この場合、設備使用情報記憶部17の各データベース19のうち、ステップS14で特定したカテゴリのデータベース19に各設備K1~K6の設備使用情報を記憶する。その後、本処理を終了する。
【0056】
上述した記憶処理により、設備使用情報記憶部17の各データベース19には、既設住宅20の住人のカテゴリごとに、そのカテゴリに属する住人の住む既設住宅20の設備Kの設備使用情報が記憶されるようになっている。
【0057】
ここで、本住宅プラン提案装置12には、各カテゴリ(属性カテゴリ)ごとに、そのカテゴリのデータベース19に記憶された既設住宅20の設備Kの設備使用情報に基づき、当該設備Kの仕様情報についてその基準となる基準仕様を作成する基準仕様作成機能(基準仕様作成手段に相当)が設けられている。この基準仕様作成機能は、住宅プラン提案装置12の制御部13により実現されるものとなっている。以下においては、かかる制御部13により実行される基準仕様作成処理について説明する。なお、基準仕様作成処理は、定期的に実行され、例えば1年に1回実行されるものとなっている。
【0058】
基準仕様作成処理では、各カテゴリごとに順に設備Kの仕様情報について基準仕様を作成する。所定のカテゴリについて設備K(K1~K6)の基準仕様を作成するにあたっては、各設備K1~K6ごとに、設備K1~K6の基準仕様を作成する。そこで、以下においては、各設備K1~K6のうち、収納設備K2、照明スイッチK3及び給湯器K5を例に、それら各設備K2,K3,K5の基準仕様を作成する際の流れについて説明を行う。
【0059】
(収納設備K2の基準仕様)
所定のカテゴリにおける収納設備K2の仕様情報(収納可能容量)について、その基準仕様を作成する場合には、当該カテゴリのデータベース19に記憶されている各既設住宅20の収納設備K2の設備使用情報に基づき、基準仕様を作成する。データベース19に記憶されている収納設備K2の設備使用情報は、収納設備K2の仕様情報(収納可能容量)と使用状況情報(収納状況)とが対応付けられた情報となっている(
図2も参照)。そのため、この情報により、収納設備K2の収納可能容量に対して収納量が上回っている、収納量が適切な量となっている等、収納設備K2の仕様(収納可能容量)と使用状況(収納状況)との関係性を把握することが可能となっている。
【0060】
制御部13は、各既設住宅20の収納設備K2ごとに、収納設備K2の仕様と使用状況との関係性を把握し、その把握した関係性に基づき、収納設備K2の仕様情報(収納可能容量)について基準仕様を作成する。例えば、制御部13は、収納設備K2の収納可能容量がVaとされている既設住宅20において当該収納設備K2への収納状況が物を収納しきれない状況となっているときには、収納可能容量の基準仕様をVaよりも大きい容量として作成する。なお、制御部13は、例えばAI(人工知能)による深層学習を用いて収納設備K2の基準仕様を作成する(この点は、後述する照明スイッチK3や給湯器K5の基準仕様を作成する場合も同様)。
【0061】
ここで、既設住宅20における収納設備K2の使われ方、つまり収納設備K2への物の収納のされ方は、その既設住宅20に住む住人の属性、詳しくは家族構成によって異なることが考えられる。例えば、家族の人数が多ければ収納量が多くなる、といったことが考えられる。このため、上記のように、カテゴリごとに収納設備K2の基準仕様を作成することで、各カテゴリに最適となる収納設備K2の仕様を作成することが可能となる。
【0062】
(照明スイッチK3の基準仕様)
所定のカテゴリにおける照明スイッチK3の仕様情報(高さ位置)について、その基準仕様を作成する場合には、当該カテゴリのデータベース19に記憶されている各既設住宅20の照明スイッチK3の設備使用情報に基づき、基準仕様を作成する。データベース19に記憶されている照明スイッチK3の設備使用情報は、照明スイッチK3の仕様情報(高さ位置)と使用状況情報(操作時における姿勢)とが対応付けられた情報となっている(
図2も参照)。そのため、この情報により、照明スイッチK3の高さ位置がどれくらいだと照明スイッチK3の操作時の姿勢が悪くなる等、照明スイッチK3の仕様(高さ位置)と使用状況(操作時における姿勢)との関係性を把握することが可能となっている。
【0063】
制御部13は、各既設住宅20の照明スイッチK3ごとに、照明スイッチK3の仕様と使用状況との関係性を把握し、その把握した関係性に基づき、照明スイッチK3の仕様情報(高さ位置)について基準仕様を作成する。例えば、制御部13は、照明スイッチK3の高さ位置がTaとされている既設住宅20において操作時における姿勢が背のびする姿勢となっているときには、高さ位置の基準仕様をVaよりも低い位置として作成する。
【0064】
ここで、既設住宅20における照明スイッチK3の使われ方、詳しくは照明スイッチK3がどのような姿勢で操作されるかについては、その既設住宅20に住む住人の属性、詳しくは家族構成によって異なることが考えられる。例えば、親子4人の家族等、子供を含む家族では、照明スイッチK3の高さ位置を親に合わせて設定すると子供が照明スイッチK3を操作する際に背のびをする必要がある、といったことが考えられる。このため、上記のように、カテゴリごとに照明スイッチK3の基準仕様を作成することで、各カテゴリに最適となる照明スイッチK3の仕様を作成することが可能となる。
【0065】
(給湯器K5の基準仕様)
所定のカテゴリにおける給湯器K5の仕様情報(給湯能力)について、その基準仕様を作成する場合には、当該カテゴリのデータベース19に記憶されている各既設住宅20の給湯器K5の設備使用情報に基づき、基準仕様を作成する。データベース19に記憶されている給湯器K5の設備使用情報は、給湯器K5の仕様情報(給湯能力)と使用状況情報(給湯量)とが対応付けられた情報となっている(
図2も参照)。そのため、この情報により、給湯器K5の給湯量に対して給湯器K5の給湯能力が足りているか不足しているか等、給湯器K5の仕様(給湯能力)と使用状況(給湯量)との関係性を把握することが可能となっている。
【0066】
制御部13は、各既設住宅20の給湯器K5ごとに、給湯器K5の仕様と使用状況との関係性を把握し、その把握した関係性に基づき、給湯器K5の仕様情報(給湯能力)について基準仕様を作成する。例えば、制御部13は、給湯器K5の給湯能力がLaとされている既設住宅20において給湯器K5の給湯量に対して給湯能力が不足している場合には、給湯能力の基準仕様をLaよりも高い給湯能力として作成する。
【0067】
ここで、既設住宅20における給湯器K5の使われ方、詳しくは給湯器K5の給湯量については、その既設住宅20に住む住人の属性、詳しくは家族構成によって異なることが考えられる。例えば、家族の人数が多ければ給湯量が多くなる、といったことが考えられる。このため、上記のように、カテゴリごとに給湯器K5の基準仕様を作成することで、各カテゴリに最適となる給湯器K5の仕様を作成することが可能となる。
【0068】
上記のように、制御部13は、各カテゴリごとに、設備K1~K6の基準仕様を作成する。そして、制御部13は、各カテゴリごとに作成した設備K1~K6の基準仕様をそれぞれ基準仕様記憶部21に記憶する。
【0069】
次に、住宅プラン提案装置12によって実行される住宅プラン提案処理の流れについて
図4に基づいて説明する。
図4は、住宅プラン提案処理を示す機能ブロック図である。なお、住宅プラン提案装置12では、
図4中の各ブロック41~46が、制御部13により実現されている。
【0070】
図4に示すように、顧客属性取得部41は、顧客の属性情報を取得する。顧客属性取得部41では、顧客の属性情報として、顧客の家族構成に関する家族構成情報を取得する。顧客属性取得部41では、操作部14より顧客の家族構成が入力されることに基づき、顧客の家族構成情報を取得する。なお、顧客属性取得部41が顧客属性取得手段に相当する。
【0071】
カテゴリ判定部42は、顧客属性取得部41により取得された顧客の属性情報詳しくは家族構成情報に基づき、顧客が各カテゴリ(属性カテゴリ)のうちいずれのカテゴリに属するのかを判定する。なお、カテゴリ判定部42がカテゴリ判定手段に相当する。
【0072】
住宅基本情報取得部43は、カテゴリ判定部42により判定された顧客のカテゴリに基づき、住宅情報記憶部16において当該カテゴリのデータベース18に記憶された既設住宅20の住宅基本情報を読み出して取得する。詳しくは、この場合、住宅基本情報として、既設住宅20の間取りや床面積等の情報を読み出す。これにより、顧客と同じカテゴリに属する住人の住む既設住宅20の住宅基本情報が取得される。
【0073】
基準仕様取得部44は、カテゴリ判定部42により判定された顧客のカテゴリに基づき、そのカテゴリに対応する各設備K1~K6の基準仕様を基準仕様記憶部21より読み出して取得する。これにより、顧客のカテゴリに最適な各設備K1~K6の仕様が取得される。
【0074】
住宅プラン作成部45は、顧客に提案する住宅プランを作成するものである。住宅プラン作成部45では、例えばCADシステムを用いて住宅プランを設計することで当該住宅プランを作成する。住宅プラン作成部45では、まず、住宅基本情報取得部43により取得された既設住宅20の住宅基本情報に基づき、住宅プランの一次プランを作成する。この場合、顧客と同じカテゴリに属する住人の住む既設住宅20の間取り等を参照して一次プランが作成される。
【0075】
住宅プラン作成部45では、一次プランを作成した後、その作成した一次プランをベースとして、住宅プラン(換言すると二次プラン)を作成する。この場合、住宅プラン作成部45は、基準仕様取得部44により取得した各設備K1~K6の基準仕様に基づき、一次プラン上にて各設備K1~K6の仕様決めを行い、それにより住宅プランを作成する。これにより、顧客のカテゴリに適した設備K1~K6の仕様で住宅プランを作成することができる。
【0076】
このように、住宅プラン作成部45では、まず一次プランを作成することで住宅の間取り等を決定し、その後、その一次プランをベースに住宅に設けられる設備K1~K6の仕様決め等を行うことで住宅プランを作成していく。なお、住宅プラン作成部45における住宅プランの作成の流れは必ずしもこのような流れである必要はなく、例えば住宅の間取りと設備K1~K6の仕様とを同時に決めて住宅プランを作成するようにしてもよい。なお、住宅プラン作成部45が住宅プラン作成手段に相当する。
【0077】
住宅プラン表示部46は、住宅プラン作成部45により作成された住宅プランを表示部15に表示させる。これにより、顧客に対して住宅プランを提案することが可能となる。
【0078】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0079】
既設住宅20ごとに、既設住宅20に設けられた設備K1~K6に関する仕様情報と、当該設備K1~K6の使用状況情報とが対応付けられて当該設備K1~K6の設備使用情報として設備使用情報記憶部17に記憶されている。この場合、設備使用情報記憶部17には、既設住宅20の設備使用情報が、その既設住宅20に住む住人の家族構成情報(属性情報に相当)と対応付けて記憶されている。
【0080】
ここで、設備使用情報は、設備K1~K6の仕様と使用状況との関係性を示す情報である。設備K1~K6の使用状況は住人の家族構成によって異なることが考えられる。例えば、収納設備K2については、家族の人数が多いほど収納設備K2への収納量が多くなると考えられる。また、照明スイッチK3については、家族が親子4人からなる場合等、子供を含む場合には、照明スイッチK3の高さ位置によって子供がスイッチ操作時に背のびの姿勢になる必要があると考えられる。そこで、上記の実施形態では、こうした点に鑑み、設備使用情報記憶部17に記憶された各既設住宅20の設備使用情報のうち、顧客の家族構成情報に対応する設備使用情報に基づき、当該顧客に対する住宅プランを作成するようにしている。この場合、顧客と同じ家族構成の住人が住む既設住宅20の設備使用情報に基づき、住宅プランを作成することができる。このため、顧客に合った設備仕様を有する住宅プランを提案することができる。これにより、顧客に対してより満足度の高い住宅プランを提供することができる。
【0081】
既設住宅20に住む住人がその家族構成により複数のカテゴリ(属性カテゴリ)に区分けされている。そして、設備使用情報記憶部17には、それら各カテゴリごとに、当該カテゴリに属する住人の住む既設住宅20の設備使用情報を記憶する複数のデータベース19が設けられている。この場合、顧客がいずれのカテゴリに属するかが判定され、判定されたカテゴリのデータベース19に記憶されている設備使用情報に基づき、当該顧客に対する住宅プランが作成される。かかる構成によれば、データベース19を利用して、顧客にとってより満足度の高い住宅プランを好適に提供することができる。
【0082】
カテゴリごとに、そのカテゴリのデータベース19に記憶された設備K1~K6の設備使用情報に基づき、当該設備K1~K6の仕様情報についてその基準仕様が作成される。そして、顧客の属するカテゴリに対応する基準仕様に基づき、住宅プランが作成される。この場合、データベース19を利用してカテゴリごとに設備K1~K6の基準仕様を予め作成しておくことで、その基準仕様を用いて顧客に適した住宅プランを好適に作成することができる。
【0083】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0084】
・上記実施形態では、既設住宅20の住人を、その住人の家族構成(属性情報に相当)により複数のカテゴリに区分けしたが、既設住宅20の住人のカテゴリの区分けは必ずしもこのようにして行う必要はない。例えば、既設住宅20の住人を、その住人が従事する仕事の種類(属性情報に相当)により複数のカテゴリに区分けしてもよい。住宅における設備Kの使われ方は住人の仕事の時間帯等によっても変わることが想定され、例えば住人が仕事で家をあける時間が長い場合には設備Kの使用頻度が少ないといったことが想定される。このため、このようにして住人のカテゴリを区分けしても、上記実施形態と同様、顧客に対してより満足度の高い住宅プランを提供することが可能となる。なお、この場合には、顧客属性取得部41により顧客の属性情報として顧客の従事する仕事の種類の情報を取得するようにする。
【0085】
・上記実施形態では、既設住宅20に設備Kの使用状況を監視する使用状況監視手段(具体的には監視カメラ31、電力メータ32及びガスメータ33)を設け、その使用状況監視手段より取得した各種データに基づき設備Kの使用状況情報を取得するようにしたが、設備Kの使用状況情報は必ずしもこのように取得する必要はない。例えば、既設住宅20の住人に設備Kの使用状況に関するアンケートを出し、そのアンケートの回答結果に基づき設備Kの使用状況情報を取得してもよい。この場合、既設住宅20の住人が操作部25の操作によりアンケートに対する回答を行うと、その回答結果がコントローラ24に入力され、コントローラ24はその回答結果を住宅プラン提案装置12に送信するようにする。そして、その回答結果が住宅プラン提案装置12にて受信されると、同装置12の制御部13がその回答結果に基づき設備Kの使用状況情報を取得するようにすることが考えられる。
【0086】
・上記実施形態では、給湯器K5の使用状況情報として給湯器K5の給湯量を取得し記憶するようにしたが、給湯器K5の使用状況情報として給湯器K5の沸き上げ回数を取得し記憶するようにしてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、設備Kとして、キッチン設備K1、収納設備K2、照明スイッチK3、コンセントK4、給湯器K5、分電盤K6を想定したが、設備Kとしては、これら各設備K1~K6以外の設備であってもよい。例えば、その他の設備としては、壁に取り付けられる壁付けのリモコン(例えば空調機用のリモコン)が考えられる、かかるリモコンについても、照明スイッチK3と同様、その高さ位置によって操作時の姿勢が変わることが考えられる。そのため、リモコンについて、その高さ位置の情報(仕様情報)と、操作時の姿勢の情報(使用状況情報)とを対応付けて設備使用情報とすることが考えられる。
【符号の説明】
【0088】
12…住宅プラン提案装置、13…制御部、17…記憶手段としての設備使用情報記憶部、19…データベース、20…既設住宅、23…ホームサーバ、41…顧客属性取得手段としての顧客属性取得部、42…カテゴリ判定手段としてのカテゴリ判定部、45…住宅プラン作成手段としての住宅プラン作成部、K1~K6…設備。