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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
B65D5/66 311G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020041839
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021142996
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】大竹 純一
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-186039(JP,A)
【文献】実開昭50-052031(JP,U)
【文献】特開平05-201435(JP,A)
【文献】特開2015-030529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向する一対の第1側壁(11)と、前記第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第2側壁(13,15)とを含んで筒状に形成される箱本体(BD)と、
一対の前記第1側壁のうち少なくとも一方の上端に連設され、前記箱本体の上面開口部(M)の少なくとも一部を覆う内フラップ(12)と、
一対の前記第2側壁のうち一方の上端に連設され、前記内フラップに積層される外フラップ(14)と、
一対の前記第2側壁のうち他方の上端に連設され、前記内フラップおよび前記外フラップを覆うようにして前記上面開口部を閉塞する蓋体(16)と、を備え、
前記内フラップには、固定スリット(20)が形成され、
前記外フラップには、前記固定スリットに係止される固定片(23)が形成され、
前記外フラップは、前記内フラップの表面との間に隙間(G)を有した状態で固定され、
前記蓋体の先端側は、前記固定スリットに係止された前記固定片に干渉することのないよう、前記蓋体の基端側よりも前記第1方向に細く形成され、
前記上面開口部が開放された後、前記蓋体の先端側が前記内フラップと前記外フラップとの前記隙間に差し込まれることで、前記蓋体が再び前記上面開口部を閉塞することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
第1方向に対向する一対の第1側壁(11)と、前記第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第2側壁(13,15)とを含んで筒状に形成される箱本体(BD)と、
一対の前記第1側壁のうち一方の上端に連設され、前記箱本体の上面開口部(M)の少なくとも一部を覆う内フラップ(41)と、
一対の前記第1側壁のうち他方の上端に連設され、前記内フラップに積層される外フラップ(42)と、
一対の前記第2側壁のうち一方の上端に連設され、前記内フラップおよび前記外フラップを覆うようにして前記上面開口部を閉塞する蓋体(16)と、を備え、
前記外フラップは、前記内フラップの表面との間に隙間(G)を有した状態で固定され、
前記蓋体の先端側は、前記隙間の幅に合わせて、前記蓋体の基端側よりも前記第1方向に細く形成され、
前記上面開口部が開放された後、前記蓋体の先端側が前記内フラップと前記外フラップとの前記隙間に差し込まれることで、前記蓋体が再び前記上面開口部を閉塞することを特徴とする包装箱。
【請求項3】
前記蓋体には、前記隙間に差し込まれる範囲を除く範囲において、少なくとも1つの補助折曲線(L8)が前記第1方向に沿って形成され、
前記蓋体の先端側を前記隙間に差し込む場合に、前記蓋体は前記補助折曲線で折り曲げられることを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記補助折曲線は、前記蓋体の前記第1方向の両端まで達しておらず、
前記蓋体の前記第1方向の両端部には前記補助折曲線が形成されていない部分が残されていることを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記内フラップは、前記外フラップよりも第2方向に長く形成され、前記外フラップとの間に前記隙間を形成する範囲よりも外側に延設されたことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項6】
前記蓋体の先端には、切断線(32)を介して開封部(17)が連設されており、
前記開封部は、前記第2側壁または前記外フラップに形成された封緘スリット(22)に係止される封緘片(26)を有し、
前記開封部は、前記封緘片を前記封緘スリットに係止させた状態で前記切断線に沿って前記蓋体から分離されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封した後に再び封緘可能な包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
表側折り返し片を裏側折り返し片の表面に接着することで封緘されるカートンが知られている(特許文献1)。表側折り返し片には係止切り込みに区画された係止片が設けられ、裏側折り返し片には開封口が設けられている。係止片が、係止切り込みに沿って表側折り返し片から刳り貫かれ、開封口の端縁に係止されることで、カートンが再封緘される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-192836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したカートンでは、例えば、開封と再封緘とを繰り返すことで係止片が折れた場合、係止片を開封口の端縁に係止させられなくなり、再封緘できなくなるという問題があった。また、上記したカートンでは係止切り込みが露出するため、封緘した状態におけるカートンの美観が損なわれるという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、適正に再封緘することができる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装箱は、第1方向に対向する一対の第1側壁と、前記第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第2側壁とを含んで筒状に形成される箱本体と、一対の前記第1側壁のうち少なくとも一方の上端に連設され、前記箱本体の上面開口部の少なくとも一部を覆う内フラップと、一対の前記第2側壁のうち一方の上端に連設され、前記内フラップに積層される外フラップと、一対の前記第2側壁のうち他方の上端に連設され、前記内フラップおよび前記外フラップを覆うようにして前記上面開口部を閉塞する蓋体と、を備え、前記外フラップは、前記内フラップの表面との間に隙間を有した状態で固定され、前記上面開口部が開放された後、前記蓋体の先端側が前記内フラップと前記外フラップとの前記隙間に差し込まれることで、前記蓋体が再び前記上面開口部を閉塞する。
【0007】
また、本発明の包装箱は、第1方向に対向する一対の第1側壁と、前記第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第2側壁とを含んで筒状に形成される箱本体と、一対の前記第1側壁のうち一方の上端に連設され、前記箱本体の上面開口部の少なくとも一部を覆う内フラップと、一対の前記第1側壁のうち他方の上端に連設され、前記内フラップに積層される外フラップと、一対の前記第2側壁のうち一方の上端に連設され、前記内フラップおよび前記外フラップを覆うようにして前記上面開口部を閉塞する蓋体と、を備え、前記外フラップは、前記内フラップの表面との間に隙間を有した状態で固定され、前記上面開口部が開放された後、前記蓋体の先端側が前記内フラップと前記外フラップとの前記隙間に差し込まれることで、前記蓋体が再び前記上面開口部を閉塞する。
【0008】
この場合、前記蓋体には、前記隙間に差し込まれる範囲を除く範囲において、少なくとも1つの補助折曲線が前記第1方向に沿って形成され、前記蓋体の先端側を前記隙間に差し込む場合に、前記蓋体は前記補助折曲線で折り曲げられてもよい。
【0009】
この場合、前記内フラップは、前記外フラップよりも第2方向に長く形成され、前記外フラップとの間に前記隙間を形成する範囲よりも外側に延設されてもよい。
【0010】
この場合、前記内フラップには、固定スリットが形成され、前記外フラップには、前記固定スリットに係止される固定片が形成されてもよい。
【0011】
この場合、前記蓋体の先端には、切断線を介して開封部が連設されており、前記開封部は、前記第2側壁または前記外フラップに形成された封緘スリットに係止される封緘片を有し、前記開封部は、前記封緘片を前記封緘スリットに係止させた状態で前記切断線に沿って前記蓋体から分離されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、包装箱を適正に再封緘することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、側壁と前壁とを立設させる過程を示す斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、蓋体を閉じる過程を示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、開封帯を分離させた状態を示す斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る包装箱であって、蓋体を開いた状態を示す斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る包装箱を再封緘する過程を示す斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る包装箱を再封緘した状態を示す斜視図である。
図9図8のIX-IX断面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱であって、蓋体を開いた状態を示す斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る包装箱を再封緘する過程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、各図に示す「Fr」は「前」を示し、「Rr」は「後」を示し、「L」は「左」を示し、「R」は「右」を示し、「U」は「上」を示し、「D」は「下」を示している。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交している。本明細書では、左右方向が第1方向の一例であり、前後方向が第2方向の一例である。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、包装箱を組み立てて使用する状態における方向や位置を基準にしている。
【0015】
[第1実施形態]
図1および図2を参照して、第1実施形態に係る包装箱1について説明する。図1は包装箱1を示す斜視図である。図2は包装箱1のブランク5を示す平面図である。
【0016】
図1に示すように、包装箱1は、略角筒状に形成される箱本体BDと、箱本体BDの上面開口部Mを閉塞する蓋体16と、を備えている。箱本体BDは扁平なトレイ状に形成され、箱本体BDの内部には物品(図示せず)が収容される。蓋体16は、箱本体BDの後上端に回動可能に設けられている。
【0017】
包装箱1は、図2に示すブランク5を組み立てることで形成される。ブランク5は、1枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aに表ライナ9Bと裏ライナ9C(図3参照)とを貼り合せた両面段ボールシートである。なお、図2は、表ライナ9B側(包装箱1の外面)を示している。本明細書では、段ボールシートの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0018】
[ブランク]
図2に示すように、ブランク5は、底壁10と、一対の側壁11と、一対の内フラップ12と、前壁13と、外フラップ14と、後壁15と、蓋体16と、開封部17と、を備えている。
【0019】
<底壁、側壁、内フラップ>
底壁10は、流れ方向に長い略長方形状に形成されている。一対の第1側壁の一例としての一対の側壁11は、第1折曲線L1を介して底壁10の流れ方向の両端に連設されている。一対の内フラップ12は、第2折曲線L2を介して一対の側壁11の流れ方向の先端に連設されている。各側壁11および各内フラップ12は、それぞれ、段方向に細長い略長方形状に形成されている。なお、一対の側壁11および一対の内フラップ12は、底壁10を中心に流れ方向(左右方向)に線対称に形成されているため、以下、特に明記しない限り、1つの側壁11および1つの内フラップ12に着目して説明する。
【0020】
内フラップ12には、固定スリット20と第1封緘スリット21とが第2折曲線L2に沿って形成されている。固定スリット20は第2折曲線L2の前側に形成され、第1封緘スリット21は第2折曲線L2の略中央部に形成されている。第1封緘スリット21は、固定スリット20よりも段方向(前後方向)に長く形成されている。固定スリット20および第1封緘スリット21は、それぞれ、側壁11から第2折曲線L2を横断して内フラップ12に向けて僅かに突き出した略U字状に切り込まれている。第1封緘スリット21の前側は、第2折曲線L2に接近するように斜めに切り込まれている。
【0021】
<前壁>
第2側壁の一例としての前壁13は、第3折曲線L3を介して底壁10の段方向の一端(前端)に連設されている。前壁13は流れ方向に細長い略長方形状に形成され、その段方向の寸法は側壁11の流れ方向の寸法と略同一に設定されている。前壁13には、第2封緘スリット22が第3折曲線L3に沿って形成されている。第2封緘スリット22は、第3折曲線L3の略中央部に形成されている。詳細には、第2封緘スリット22は、前壁13から第3折曲線L3を横断して底壁10に向けて僅かに突き出した突起形成部22Aと、突起形成部22Aの流れ方向の両側に連続し、第3折曲線L3から前壁13に向けて僅かに突き出した開口形成部22Bと、を有している。
【0022】
<外フラップ>
外フラップ14は、第4折曲線L4を介して前壁13の段方向の一端(上端)に連設されている。外フラップ14は、略長方形状の先端側をバスタブ状に切り欠くことで全体として略U字状に形成されている。詳細には、外フラップ14は、略長方形状のフラップ本体14Aと、フラップ本体14Aの流れ方向(左右方向)の両側から段方向に延設された一対の凸部14Bと、を有している。外フラップ14の段方向の最大寸法(延出寸法)は、内フラップ12の流れ方向の寸法(延出方向)よりも短く設定されている。また、外フラップ14の延出寸法は、内フラップ12(底壁10、側壁11)の段方向の寸法よりも十分に短く設定されている。一対の凸部14Bの流れ方向の外端には、第5折曲線L5を介して一対の固定片23が連設されている。各固定片23は、先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。
【0023】
<後壁>
第2側壁の一例としての後壁15は、第6折曲線L6を介して底壁10の段方向の他端(後端)に連設されている。後壁15は、前壁13と略同一形状に形成されている。
【0024】
<蓋体>
蓋体16は、第7折曲線L7を介して後壁15の段方向の他端(上端)に連設されている。蓋体16は、概ね底壁10と同一形状に形成されている。蓋体16の流れ方向の両端には、第1切断線31を介して一対の第1封緘片24が連設されている。各第1封緘片24は、先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。詳細は後述するが、一対の第1封緘片24は、一対の内フラップ12の第1封緘スリット21に係止される。蓋体16の流れ方向の両端(両縁)は、第1封緘片24よりも先端側(前側)において互いに接近するように僅かに傾斜している。すなわち、蓋体16の先端側は、蓋体16の基端側よりも流れ方向(左右方向)に細くなるように形成されている。
【0025】
また、蓋体16には、第1封緘片24よりも基端側(後側)において、補助折曲線L8が流れ方向(左右方向)に沿って形成されている。補助折曲線L8は、蓋体16の流れ方向の両端まで達しておらず、蓋体16の流れ方向の両端部には補助折曲線L8が形成されていない部分が残されている。
【0026】
<開封部>
開封部17は、蓋体16の先端に連設されている。開封部17は、開封帯25と、第2封緘片26と、を含んでいる。開封帯25は第2切断線32を介して蓋体16の先端に連設され、第2封緘片26は第2切断線32を介して開封帯25の先端に連設されている。開封帯25は、概ね後壁15と同一形状に形成されている。第2封緘片26は、開封帯25の流れ方向の中央部に連設されている。第2封緘片26は、先端角部を隅切りした略六角形状に形成されている。第2封緘片26には、第2切断線32に沿って封緘穴27が形成されている。封緘穴27は、第2封緘片26に開口した略長方形状の穴と、開封帯25に向かって突出した略半円形の穴とで一体に形成されている。
【0027】
なお、第1実施形態に係る包装箱1では、一例として、第1折曲線L1、第3~第4折曲線L3~L4および第6~第7折曲線L6~L7は、段ボールシートを裏ライナ9C側から厚み方向に潰した汎用罫線上に複数の切目を所定間隔に形成したリード罫線である。第5折曲線L5および補助折曲線L8は、汎用罫線である。第2折曲線L2は、固定スリット20よりも前側と、固定スリット20と第1封緘スリット21の間とでは汎用罫線であり、第1封緘スリット21よりも後側ではリード罫線である。リード罫線および汎用罫線は、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能を有している。なお、第1~第7折曲線L1~L7および補助折曲線L8は、リード罫線や汎用罫線に限らず、複数の切目を所定間隔に形成したミシン刃線や裏ライナ9C側のみを切断した半切り線等、段ボールシートを折り曲げるための構造であれば如何なるものでもよい。なお、図2では、リード罫線を二点鎖線で示し、汎用罫線を破線で示している。また、他の図面では、リード罫線の切目の図示は省略している。
【0028】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、一例として、第1~第2切断線31,32は、屈曲した切目を所定間隔に形成したジッパーである。第1切断線31は、前方から後方に向かって第1封緘片24を切断する機能を有している。第2切断線32は、左方から右方に向かって開封帯25を切断する機能を有している。なお、第1~第2切断線31,32は、ジッパーに限らず、ミシン刃線等、段ボールシートを切断するための構造であれば如何なるものでもよい。また、上記した第2切断線32の切断方向は、一例であり、上記とは逆方向に切断するように構成されてもよい。
【0029】
[包装箱の組立]
次に、図1図3および図4を参照して、包装箱1の組立工程について説明する。図3は側壁11と前壁13とを立設させる過程を示す斜視図である。図4は蓋体16を閉じる過程を示す斜視図である。ここでは、一例として、作業者が手作業で包装箱1を組み立てる場合について説明する。
【0030】
図3に示すように、作業者は、ブランク5の裏ライナ9Cを上方に向けた状態とし、一対の側壁11を第1折曲線L1に沿って折り曲げて起立させ、一対の内フラップ12を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げる。一対の側壁11は、左右方向(第1方向)に対向して立設される。内フラップ12を折り曲げると、内フラップ12の上面には、固定スリット20および第1封緘スリット21に沿って僅かな開口が形成される。
【0031】
次に、作業者は、前壁13を第3折曲線L3に沿って折り曲げて起立させ、一対の固定片23を第5折曲線L5に沿って下方に折り曲げる。作業者は、一対の固定片23を一対の固定スリット20に差し込みながら、外フラップ14を第4折曲線L4に沿って後方(内側)に折り曲げる。一対の固定片23は一対の固定スリット20(一対の内フラップ12)に係止され、外フラップ14は一対の内フラップ12に積層される。外フラップ14は、各内フラップ12の表面との間に隙間Gを有した状態で固定される(図9参照)。実際には、外フラップ14の下面は内フラップ12の上面に接触しており、厳密な意味で隙間Gがあいているわけではないが、内フラップ12と外フラップ14とが互いに離間するように撓むことで隙間Gが形成される。すなわち、本明細書において「隙間Gを有した状態」とは、常に隙間Gがあいていることを要求するものではなく、内フラップ12と外フラップ14とが撓むことで隙間Gが形成されることを含む意味である。
【0032】
また、内フラップ12は、外フラップ14よりも前後方向(第2方向)に長く形成されているため、外フラップ14との間に隙間Gを形成する範囲よりも外側(後方)に延設されている。また、前壁13を折り曲げると、前壁13の表面には、第2封緘スリット22の開口形成部22Bに沿って僅かな開口が形成され、第2封緘スリット22の突起形成部22Aは下方に突き出すように形成される。なお、作業者は、底壁10上に物品を配置する。
【0033】
次に、作業者は、後壁15を第6折曲線L6に沿って折り曲げて起立させる(図4参照)。この状態で、前壁13と後壁15とは、前後方向(第2方向)に対向して立設される。また、一対の側壁11と前壁13と後壁15とが、上面を開放した略角筒状の箱本体BDを形成する(図4参照)。上記した一対の内フラップ12および外フラップ14は、箱本体BDの上面開口部Mの一部を覆っている(図3参照)。
【0034】
続いて、図4に示すように、作業者は、蓋体16を第7折曲線L7に沿って前方に折り曲げる。蓋体16は、一対の内フラップ12および外フラップ14を覆うようにして上面開口部Mを閉塞する。作業者は、第2封緘片26を第2切断線32に沿って折り曲げ、第2封緘片26を第2封緘スリット22(開口形成部22B)に差し込みながら、開封帯25を第2切断線32に沿って下側に折り曲げる。第2封緘片26は第2封緘スリット22に係止され、第2封緘スリット22の突起形成部22Aは第2封緘片26に開口した封緘穴27に嵌合する(図1参照)。
【0035】
以上によって、包装箱1が封緘され(図1参照)、組み立て作業が完了する。
【0036】
[包装箱の開封]
次に、図5および図6を参照して、包装箱1の開封手順について説明する。図5は開封帯25を分離させた状態を示す斜視図である。図6は蓋体16を開いた状態を示す斜視図である。
【0037】
図5に示すように、ユーザは、開封帯25(図1参照)の左端部を把持して右方向に引っ張り、開封帯25を上下一対の第2切断線32に沿って切断する。開封帯25は蓋体16と第2封緘片26とから分離し、第2封緘片26は箱本体BDの内部に残される。このように、開封部17は、第2封緘片26を第2封緘スリット22に係止させた状態で第2切断線32に沿って蓋体16から分離される。
【0038】
次に、図6に示すように、ユーザは、蓋体16の前端部を把持して引き上げ、第7折曲線L7を支点にして蓋体16を後上方に回動させる。蓋体16の回動に伴って、第1封緘片24は、第1封緘スリット21に係止した状態で第1切断線31に沿って切断され、蓋体16から分離する。第1封緘片24は、箱本体BDの内部に残される。また、蓋体16の回動に伴って、後壁15は第6折曲線L6を支点にして後方に倒れる。
【0039】
以上によって、包装箱1が開封され、上面開口部Mが開放される(図6参照)。ユーザは、包装箱1に収容された物品を取り出す。
【0040】
[包装箱の再封緘]
次に、図7ないし図9を参照して、包装箱1の再封緘手順について説明する。図7は包装箱1を再封緘する過程を示す斜視図である。図8は包装箱1を再封緘した状態を示す斜視図である。図9は、図8のIX-IX断面図である。
【0041】
包装箱1に複数の物品が収容されている場合、一部の物品を取り出し、残りの物品を包装箱1に収容したまま保管したいことがある。この包装箱1では、開封した後に再び封緘できるように構成されている。具体的には、蓋体16の先端側が内フラップ12と外フラップ14(一対の凸部14B)との隙間Gに差し込まれることで、蓋体16が再び上面開口部Mを閉塞する。
【0042】
ユーザは、開かれた蓋体16を掴んで前方に折り曲げる。しかしながら、蓋体16は底壁10と略同一の大きさであり、上面開口部Mを全て覆う大きさであるため(図1図5等参照)、このままでは蓋体16の先端を隙間Gの入口に向けることができない。そこで、図7に示すように、蓋体16の先端側を隙間Gに差し込む場合、ユーザは、隙間Gに差し込まれる範囲を除く範囲に形成された補助折曲線L8に沿って蓋体16を折り曲げる(山折りする)。また、内フラップ12が隙間Gよりも後方(差込方向の上流側)に延設されているため、ユーザは蓋体16の先端を一対の内フラップ12の上面に接触させながら隙間Gの入口(凸部14Bに突き当たる位置)まで移動させる(図7に示す白抜き矢印参照)。
【0043】
ユーザは、蓋体16の先端側(一対の内フラップ12)を軽く押し下げながら、蓋体16の先端を隙間Gに進入させる。ユーザは、補助折曲線L8で折れた蓋体16を平坦になるように戻しながら、蓋体16の先端側を隙間Gに挿入する(図7および図8参照)。蓋体16の先端側は、左右方向に細く形成されているため、蓋体16の先端は、一対の固定片23に干渉することなく、円滑に隙間Gに挿入される。
【0044】
図8および図9に示すように、後壁15を起立姿勢に戻し、蓋体16の先端を隙間Gの奥まで差し込むことで、蓋体16は再び上面開口部Mを閉塞する。蓋体16の先端側の左右両側は、一対の内フラップ12と外フラップ14とに挟み込まれるため、隙間Gに差し込まれた状態に保持される(図9参照)。
【0045】
以上によって、包装箱1が再封緘される。
【0046】
以上説明した第1実施形態に係る包装箱1では、上面開口部Mが開放された後、蓋体16の先端側が内フラップ12と外フラップ14との隙間Gに差し込まれることで、蓋体16が再び上面開口部Mを閉塞する構成とした。この構成によれば、仮に蓋体16の先端側が折れたり曲がったりしていたとしても、隙間Gに差し込まれた蓋体16を外フラップ14と内フラップ12とに挟持させることができる。これにより、蓋体16の先端側を隙間Gに差し込んだ状態に保持することができるため、包装箱1を適正に再封緘することができる。また、蓋体16の先端側が隙間Gに差し込まれるため、隙間Gに差し込むための係止片を蓋体16から刳り貫くための切り込みが不要となる。これにより、蓋体16に切り込み等が露出することなく、良好な美観を有する包装箱1を提供することができる。
【0047】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、蓋体16が補助折曲線L8で折れ曲ることで、蓋体16の先端を隙間Gの入口に向け易くなる。これにより、隙間Gに対し蓋体16の先端側を容易に差し込むことができ、再封緘作業を円滑に行うことができる。
【0048】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、内フラップ12が外フラップ14よりも後方(第2方向の一方)に延びているため、蓋体16の先端を内フラップ12の上面に摺接させることができる。これにより、隙間Gに蓋体16の先端側を差し込むためのガイドとして内フラップ12を利用することができる。
【0049】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、固定片23を固定スリット20に差し込む(係止する)ことで、接着剤や粘着テープ等を用いることなく、外フラップ14を内フラップ12に固定することができる。
【0050】
また、第1実施形態に係る包装箱1によれば、第1および第2封緘片24,26を第1および第2封緘スリット21,22に差し込む(係止する)ことで、接着剤や粘着テープ等を用いることなく、上面開口部Mを蓋体16で閉塞する(封緘する)ことができる。また、第2封緘片26(開封帯25)を第2切断線32で切り取ることで、上面開口部Mを簡単に開放する(開封する)ことができる。
【0051】
なお、第1実施形態に係る包装箱1では、一対の内フラップ12が設けられていたが、これに限らず、内フラップ12は一対の側壁11のうち少なくとも一方の上端に連設されていればよい。つまり、内フラップ12と外フラップ14との隙間Gは、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0052】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、内フラップ12が外フラップ14との間に隙間Gを形成する範囲よりも外側に延設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、内フラップ12が外フラップ14との間に隙間Gを形成する範囲にのみ形成されてもよい(図示せず)。
【0053】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、外フラップ14がバスタブ状に切り欠かれて略U字状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、外フラップ14は、切り欠きの無い略長方形状に形成されてもよい(図示せず)。また、外フラップ14は、左右に分割されていてもよく、例えば、フラップ本体14Aを省略し、一対の凸部14Bのみが前壁13に連設されていてもよい(図示せず)。
【0054】
また、第1実施形態に係る包装箱1では、第2封緘スリット22が前壁13(正確には前壁13と底壁10)に形成されていたが、本発明はこれに限定されない例えば、第2封緘スリット22は、第4折曲線L4に沿って外フラップ14(正確には外フラップ14と前壁13)に形成されてもよい(図示せず)。この場合、開封帯25は省略され、第2封緘片26が第2切断線32を介して蓋体16の先端に連設されることになる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、図10および図11を参照して、第2実施形態に係る包装箱2について説明する。図10は蓋体16を開いた状態を示す斜視図である。図11は包装箱2を再封緘する過程を示す斜視図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る包装箱1と同一または対応する構成については同一の符号を付し、同一または対応する説明は省略する。
【0056】
第1実施形態に係る包装箱1では、内フラップ12が側壁11の上端に連設され、外フラップ14が前壁13の上端に連設されていた。このため、内フラップ12と外フラップ14とは、互いに交差する方向に延設され、積層されていた(図3図6等参照)。これに対し、第2実施形態に係る包装箱2では、図10に示すように、内フラップ41が第2折曲線L2を介して左側の側壁11の上端に連設され、外フラップ42が第2折曲線L2を介して右側の側壁11の上端に連設されている。このため、内フラップ41と外フラップ42とは、互いに接近する方向に延設され、積層される。
【0057】
内フラップ41は、上面開口部Mの前側を覆うような略L字状に形成されている。外フラップ42も略L字状に形成されており、内フラップ41に重なる部分は内フラップ41よりも前後方向に短く形成されている。外フラップ42の先端(自由端)には1つの固定片23が連設されている(図10図11では図示せず)。外フラップ42の基端側(側壁11との連設側)には、蓋体16の先端側を隙間Gに通すための切目線43が形成されている。前壁13の上端には、第4折曲線L4を介して上面開口部Mの一部を覆う前側フラップ40が連設されている。内フラップ41は前側フラップ40の上面に積層され、外フラップ42は、内フラップ41の上面に積層される。
【0058】
図11に示すように、上面開口部Mが開放された(開封された)後、蓋体16の先端側は、内フラップ41に接触しながら内フラップ41と外フラップ42との隙間Gの入口まで移動し、隙間Gに差し込まれることで、蓋体16が再び上面開口部Mを閉塞する。
【0059】
以上説明した第2実施形態に係る包装箱2によれば、適正に再封緘することができる等、第1実施形態に係る包装箱1と同様の効果を得ることができる。
【0060】
なお、第2実施形態に係る包装箱2では、外フラップ42が内フラップ41よりも前後方向に短く形成されていたが、これに限らず、例えば、内フラップ41と外フラップ42とが同じ大きさに形成されてもよい。また、前側フラップ40は省略されてもよい。
【0061】
また、第2実施形態に係る包装箱2では、外フラップ42に切目線43が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。切目線43が省略され、隙間Gの幅に合わせて蓋体16の先端側を細く形成してもよい(図示せず)。
【0062】
なお、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、蓋体16が上面開口部Mを全て覆う大きさであったが、本発明はこれに限定されない。蓋体16は、その先端側が隙間Gに差し込める程度の大きさに形成されていればよく、例えば、外フラップ14,42と蓋体16とを合わせて上面開口部Mを全て覆うようにしてもよい。また、内フラップ12,41は、上面開口部Mの一部を覆っていたが、これに限らず、上面開口部Mを全て覆うように形成してもよい(図示せず)。
【0063】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、蓋体16が1枚の板状に形成されていたが、これに限らず、収容した物品を目視することができるように窓開口が形成されていてもよい(図示せず)。なお、本明細書において、蓋体16が上面開口部Mを「閉塞する」とは、上面開口部Mを完全に塞ぐことを意味するのではなく、開閉可能に設けられた蓋体16が閉じた姿勢になる状態、換言すれば蓋体16が上面開口部Mと略平行な姿勢になる状態を含む意味である。
【0064】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、蓋体16に1つの補助折曲線L8が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数の補助折曲線L8が前後方向(第2方向)に間隔をあけて互いに平行に形成されてもよい(図示せず)。つまり、補助折曲線L8は、蓋体16の隙間Gに差し込まれる範囲を除く範囲において、少なくとも1つ形成されていればよい。また、蓋体16が柔軟に湾曲可能な大きさ、素材で形成されているのであれば、補助折曲線L8は省略されてもよい(図示せず)。
【0065】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2では、外フラップ14,42が固定片23を介して内フラップ12,41に係止されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、固定片23が省略され、外フラップ14,42は粘着テープによって内フラップ12,41に固定されてもよい(図示せず)。また、これと同様に、開封部17が省略され、蓋体16は粘着テープによって前壁13等に固定されてもよい(図示せず)。
【0066】
また、第1および第2実施形態に係る包装箱1,2は、紙製の段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、例えば、合成樹脂製の段ボールシート、多層抄きの板紙、単層抄きの板紙または合成樹脂製の板等で形成されていてもよい。
【0067】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0068】
1,2 包装箱
11 側壁(第1側壁)
12,41 内フラップ
13 前壁(第2側壁)
14,42 外フラップ
15 後壁(第2側壁)
16 蓋体
17 開封部
20 固定スリット
22 第2封緘スリット(封緘スリット)
23 固定片
26 第2封緘片(封緘片)
32 第2切断線(切断線)
BD 箱本体
G 隙間
L8 補助折曲線
M 上面開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11