(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】改札機、改札システムおよび改札方法
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20231218BHJP
【FI】
G07B15/00 B
G07B15/00 M
G07B15/00 501
(21)【出願番号】P 2020046241
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】澁井 和弘
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159795(JP,A)
【文献】特開2013-191172(JP,A)
【文献】特開2012-079157(JP,A)
【文献】特開2003-196686(JP,A)
【文献】特開2018-022449(JP,A)
【文献】特開2005-242775(JP,A)
【文献】特開2019-125164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改札口に他の改札機と並べて設置される改札機において、
当該改札機が通行制御する通路の手前の領域と前記他の改札機が通行制御する通路の手前の領域とを含む認証範囲
を撮影範囲に設定したカメラが撮影した画像に基づいて前記認証範囲にいる人物の顔情報と登録者の顔情報とを照合する顔認証を実行するサーバと通信する通信部と、
前記通信部により前記サーバから取得する前記認証範囲にいる人物に対する顔認証結果を記憶する記憶部と、
前記カメラが撮影する画像に基づいて追跡する人物が前記通路に進入した通知を受けた場合、前記通路に進入した人物に対する前記記憶部が記憶する顔認証結果に基づいて前記通路に位置する通路ドアを開閉制御する制御部と、
を有する改札機。
【請求項2】
さらに、前記通路内を撮影する
前記カメラとは異なる確認用のカメラが撮影した画像を取得するインターフェースを有し、
前記制御部は、前記確認用のカメラが撮影した画像に基づいて前記通路内における前記人物の移動を確認し、前記人物の通行を制御する、
請求項1に記載の改札機。
【請求項3】
前記制御部は、前記人物に対する前記顔認証結果が照合成功であれば、前記人物の通行を許可し、前記確認用のカメラが撮影した画像に基づいて前記人物が前記通路を通過したことを検出した後に前記人物との照合が成功した登録者が通過したことを示す入出場情報を前記サーバへ送信する、
請求項2に記載の改札機。
【請求項4】
前記制御部は、予め設定した時刻に前記記憶部に記憶した顔認証結果を削除する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の改札機。
【請求項5】
改札口に並べて設置される複数の改札機とサーバとを含む改札システムにおいて、
前記サーバは、
登録者の顔情報を含む認証情報を記憶する第2の記憶部と、
前記複数の改札機が通行制御する通路の手前の領域を含む認証範囲を撮影範囲に設定したカメラが撮影した画像に基づいて前記認証範囲にいる人物の顔情報と前記第2の記憶部に記憶する登録者の顔情報とを照合する顔認証を行う第2の制御部と、
前記第2の制御部による前記認証範囲にいる人物に対する顔認証結果を前記改札機へ送信する第2の通信部と、有し、
前記複数の改札機は、
前記サーバと通信する第1の通信部と、
前記第1の通信部により前記サーバから取得する前記認証範囲にいる人物に対する顔認証結果を記憶する第1の記憶部と、
前記カメラが撮影する画像に基づいて追跡する人物が前記通路に進入した通知を受けた場合、前記通路に進入した人物に対する前記第1の記憶部が記憶する顔認証結果に基づいて前記通路に進入した人物の通行を制御する第1の制御部と、を有
する、
改札システム。
【請求項6】
前記改札機の第1の制御部は、前記人物に対する前記顔認証結果が照合成功であれば前記人物の通行を許可し、前記人物との照合が成功した登録者が前記通路を通過したことを示す入出場情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記改札機からの前記入出場情報を記憶する第3の記憶部と、決済処理を行う決済システムと通信する第3の通信部と、をさらに有し、
前記サーバの前記第2の記憶部は、登録者の認証情報として前記決済システムで決済するための決済情報をさらに記憶し、
前記サーバの前記第2の制御部は、前記第3の記憶部に記憶した入出場情報に対する精算額を算出し、前記算出した精算額を前記第2の記憶部に記憶する登録者の決済情報を用いて前記決済システムによる決済を実行する、
請求項5に記載の改札システム。
【請求項7】
前記サーバの前記第2の制御部は、所定の精算開始時刻に、前記登録者の決済情報を用いた前記決済システムによる決済を含む精算処理を開始する、
請求項6に記載の改札システム。
【請求項8】
改札口に他の改札機と並べて設置される改札機が人物の通行を制御する改札方法であって、
当該改札機が通行制御する通路の手前の領域と前記他の改札機が通行制御する通路の手前の領域とを含む認証範囲を
撮影範囲に設定したカメラが撮影した画像に基づいて前記認証範囲にいる人物の顔情報と登録者の顔情報とを照合する顔認証をサーバに実行させ、
前記サーバから前記認証範囲にいる人物に対する顔認証結果を取得し、
前記サーバから取得する前記認証範囲にいる人物に対する顔認証結果を記憶部に記憶し、
前記カメラが撮影する画像に基づいて追跡する人物が前記通路に進入した通知を受けた改札機が、前記通路に進入した人物に対する前記記憶部が記憶する顔認証結果に基づいて前記通路に進入した人物の通行を制御する、
改札方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、改札機、改札システムおよび改札方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道などの交通機関では、ICカードや磁気券などの記録媒体を用いて入出場を制御する改札システムが実用化されている。例えば、従来の改札システムでは、改札機が、入場時に交通専用カードに入場情報を記録し、出場時に交通専用カードに記録した入場情報に基づいて算出する運賃を当該交通専用カードが保持する金額情報で精算することで出場を許可する。
【0003】
しかしながら、従来の改札システムは、利用者が記録媒体を提示する手間がかかったり、改札機が記録媒体を処理するのに時間がかかったりする。このため、記録媒体を不要としてスムーズな入出場が行える改札システムが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するため、記録媒体なしでスムーズな入出場が行える改札機、改札システムおよび改札方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、改札機は、改札口に他の改札機と並べて設置され、通信部と記憶部と制御部とを有する。通信部は、当該改札機が通行制御する通路の手前の領域と他の改札機が通行制御する通路の手前の領域とを含む認証範囲を撮影範囲に設定したカメラが撮影した画像に基づいて認証範囲にいる人物の顔情報と登録者の顔情報とを照合する顔認証を実行するサーバと通信する。記憶部は、通信部によりサーバから取得する認証範囲にいる人物に対する顔認証結果を記憶する。制御部は、カメラが撮影する画像に基づいて追跡する人物が通路に進入した通知を受けた場合、通路に進入した人物に対する記憶部が記憶する顔認証結果に基づいて通路に位置する通路ドアを開閉制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る改札システム全体の構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る改札システムにおける改札機の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る改札システムにおけるカメラの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る改札システムにおける監視装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る改札システムにおけるサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る改札システムにおけるサーバが具備する認証情報データベースの構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る改札システムにおけるサーバが具備する入出場データベースの構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る改札システムにおける改札処理の流れを説明するためのシーケンスである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る改札システムの改札処理による処理状態の一例を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る改札システムの改札処理による処理状態の一例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る改札システムの改札処理による処理状態の一例を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る改札システムの改札処理による処理状態の一例を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る改札システムの改札処理による処理状態の一例を模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る改札システムの改札処理による処理状態の一例を模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る改札システムの改札処理による処理状態の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態に係る改札システム1について説明する。
図1は、実施形態に係る改札システム1の構成例を示す概念図である。
改札システム1は、例えば、鉄道またはバスなどの交通機関における改札業務を行うためのシステムである。また、改札システム1は、各種の施設(有料施設)などにおける入出場システムなどにも適用することができる。以下、改札システム1が交通機関(例えば、鉄道)における改札業務を実施するシステムであるケースを中心に説明する。
【0009】
図1に示すように、改札システム1は、改札機11、カメラ12、監視装置(監視盤)13、および、サーバ14を有する。
図1に示す改札システム1は、例えば、交通機関ごとのセキュアな通信を保つように、各改札機11、カメラ12、監視装置13およびサーバ14がローカルなネットワークによって構築されるようにしても良い。
【0010】
改札機11は、通過(入場または出場)しようとする利用者の通行を制御する改札処理を実行する。改札機11は、例えば、駅などの各改札口に1台または複数台が設置され、それぞれが利用者を通行させる通路を形成する。改札機11は、それぞれにカメラ11aが設けられる。改札機11に設置したカメラ11aは、それぞれの通路内が撮影範囲rとなるように設置される。また、カメラ11aは、通路内を進行方向に向かって進む利用者の顔が撮影できるように設定される。
【0011】
カメラ12は、改札機11の近傍を撮影する。カメラ12は、改札機11の近傍にいる人物を俯瞰した状態で監視する俯瞰用のカメラである。カメラ12は、改札機11の通路の手前に設ける認証範囲Rを撮影範囲に含むように設置され、認証範囲Rにいる人物の顔を含む画像(顔画像)を撮影しやすいように設定される。
図1に示す構成において、カメラ12は、監視装置13を介してサーバ14とデータ通信を行うものとする。なお、カメラ12は、監視装置13を介さずにサーバ14と通信するように構成しても良い。本実施形態において、カメラ12は、認証範囲Rにいる人物の顔情報を抽出する顔検出機能、および、認証範囲Rにいる人物を追跡する映像監視機能を有するものとする。ただし、顔検出機能および映像監視機能は、カメラ12に接続する情報処理装置で実現する構成しても良い。
【0012】
監視装置13は、各駅(または各改札口)に設置されている改札機11に接続される。また、監視装置13は、ネットワークを介してサーバ14に接続する。各改札機11とサーバ14とは、監視装置13を介してデータ通信を行うものとする。監視装置13は、接続される各改札機11の動作状態を監視し、各改札機11に対して遠隔で動作指示を供給する。また、監視装置13は、サーバ14から供給される情報を各改札機11へ配信する機能を有する。さらに、監視装置13は、カメラ12が撮影した画像をサーバ14へ転送する機能を有する。
【0013】
なお、改札口には、本実施形態に係る改札機11と並べて、利用者が所持する決済用の記録媒体(例えば、ICカード、携帯端末)を用いて改札処理を実行する改札機を併設するようにしても良い。このような構成である場合、監視装置13は、カメラ11a付きの改札機11だけでなく、改札口に並べて設置される全ての改札機を監視対象とするように接続にしても良い。
【0014】
サーバ14は、改札システム1を構成するネットワークに接続される。
図1に示す構成例において、サーバ14は、監視装置13を介して改札機11およびカメラ12に通信接続される。サーバ14は、顔認証処理を行う機能を有する。サーバ14は、事前に登録処理される顔認証用の辞書データとしての登録者の顔情報を含む登録情報を記憶する。サーバ14は、カメラ12が撮影した画像から抽出される人物の顔情報と登録済みの利用者の顔情報とを照合して両者が同定できるかを判定する顔認証を行う。サーバ14は、監視装置13を介して顔認証の結果を改札機11へ供給する。
【0015】
また、サーバ14は、決済システム15と通信する機能を有する。サーバ14は、改札システム1の外部システムとしての決済処理を行う決済システム15と通信することにより利用者に対する精算処理を実行する。サーバ14は、顔認証結果による通行制御(入出場)の処理結果(入出場情報)を記憶する。サーバ14は、入出場情報に基づいて利用者に対する精算処理を実行し、精算処理の結果を入出場情報に対応づけて記憶する。本実施形態において、サーバ14は、所定の時刻になったら記憶した入出場情報に対応する精算処理を実施し、精算処理の結果を入出場情報に対応づけて記録する。サーバ14は、精算処理において利用者による不正な利用を検出した場合、または、精算額の精算不可が発生した場合、当該利用者(登録者)に対する顔認証を無効とし、顔認証による入出場を不可に設定するものする。
【0016】
次に、実施形態に係る改札システム1における改札機11の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る改札機11の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、改札機11は、制御部21、記憶部22、カメラインターフェース(I/F)23、通信部24、ディスプレイ25、スピーカ26、および、通行制御機構27を備える。
【0017】
制御部21は、改札機11における各種の動作を制御する。制御部21は、プログラムを実行するプロセッサを有する。例えば、制御部21は、プロセッサ、メモリおよびインターフェースなどで構成する。制御部21は、プロセッサが記憶部22または制御部21内のメモリに記憶するプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。
【0018】
例えば、制御部21は、監視装置13を介してサーバ14から取得する人物の顔認証結果に基づいて通路を通行しようとする人物に対する通行の可否を判定する。制御部21は、通路を通行しようとする人物に対する顔認証の結果が認証成功である場合、当該人物の通行を許可し、通行制御機構27を制御して当該人物を通行させる。また、制御部21は、通路を通行しようとする人物に対する顔認証の結果が認証失敗である場合、当該人物の通行を不許可とし、通行制御機構27を制御して当該人物の通行を阻止する。
【0019】
記憶部22は、データを記憶する。記憶部22は、HDD(ハードディスクドライブ)あるいはSSD(ソリッドステートドライブ)などの書き換え可能な不揮発性のメモリで構成する。記憶部22は、監視装置13を介してサーバ14から供給される人物の顔認証の結果を示す情報を記憶する。
【0020】
カメラインターフェース23は、カメラ11aとのデータの送受信を行うためのインターフェースである。カメラ11aは、通路内にいる人物を確認するための確認用のカメラである。カメラインターフェース23は、当該改札機11の通路内の領域rを撮影範囲に含むカメラ11aが撮影した撮影画像を取得する。例えば、制御部21は、カメラ11aが撮影する画像から通路内に存在する人物を確認したり、通路からの人物の退出を確認したりする。
【0021】
通信部24は、監視装置13を介してサーバ14と通信するための通信インターフェースである。例えば、制御部21は、通信部24により監視装置13を介してサーバ14から顔認証結果を示す情報を取得する。
【0022】
ディスプレイ25は、情報を表示する。ディスプレイ25は、当該改札機11を通行(入場または出場)しようとする利用者が視認可能な位置に設ける。ディスプレイ25は、制御部21によって表示内容が制御される。例えば、ディスプレイ25は、利用者に対する顔認証結果に基づく通行の可否を示す情報などを表示する。
【0023】
スピーカ26は、音を出力する。スピーカ26は、当該改札機11を通行しようとする利用者が認識できるような音を出力する。スピーカ26は、制御部21によって出力する音が制御される。例えば、スピーカ26は、通行が不可と判定された利用者に対するアラートを音声出力する。
【0024】
通行制御機構27は、改札機11が形成する改札用の通路(入場用または出場用の通路)における利用者の通行を制御するものである。通行制御機構27は、制御部21の指示に応じて利用者の通行を制御するように駆動する。例えば、通行制御機構27は、ドアおよびドアの開閉を制御する駆動機構を有する。通行制御機構27は、利用者の通行を阻止する場合にはドアを閉鎖し、利用者の通行を許可する場合にはドアを開放するように動作する。
【0025】
次に、実施形態に係る改札システム1におけるカメラ12の構成について説明する。
図3は、実施形態に係るカメラ12の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、カメラ12は、制御部31、記憶部32、通信部33および撮像部34を備える。
制御部31は、カメラ12における各種の動作を制御する。制御部31は、プログラムを実行するプロセッサを有する。例えば、制御部31は、プロセッサ、メモリおよびインターフェースなどで構成する。制御部31は、プロセッサが記憶部32または制御部31内のメモリに記憶するプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。
【0026】
本実施形態において、カメラ12は、顔画像検出装置および映像監視装置としての機能を有するものとする。例えば、制御部31は、撮像部34が撮影した画像から認証範囲Rにいる人物を検出する機能を有する。制御部31は、撮影した画像から人物を検出すると、撮影した画像から検出した人物の顔情報を抽出して出力する。また、制御部31は、認証範囲Rにおいて検出した人物を追跡する機能(映像監視機能)を有する。制御部31は、認証範囲R内において検出した人物を追跡することで認証範囲Rにいる人物の移動状況を監視する。これらの制御部31が実現する機能は、記憶部32が記憶する顔画像検出処理を実行するためのプログラムおよび映像監視を行うためのプログラムなどにより実現される。
【0027】
記憶部32は、各種のデータを記憶する。記憶部32は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)あるいはSSD(ソリッドステートドライブ)などの書き換え可能な不揮発性のメモリで構成する。
【0028】
通信部33は、改札システム1を構成する各機器と通信するためのインターフェースである。
図3に示す構成例では、通信部33は、監視装置13と通信するためのインターフェースとしている。
【0029】
撮像部34は、画像を撮影するものである。撮像部34は、図示しないインターフェースを介して制御部31に接続され、制御部31からの指示に応じて画像を撮影する。撮像部34は、撮像した画像を記憶部32に記憶する。本実施形態において、撮像部34は、認証範囲Rを含む撮影範囲を撮影するように設置され、認証範囲Rに存在する人物の顔画像が撮影しやすいように設定される。
【0030】
次に、実施形態に係る改札システム1における監視装置(監視盤)13の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る監視装置13の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、監視装置13は、制御部35、記憶部36、カメラインターフェース(I/F)37、通信部38、および、操作盤39を備える。
制御部35は、監視装置13における各種の動作を制御する。制御部35は、プログラムを実行するプロセッサを有する。例えば、制御部35は、プロセッサ、メモリおよびインターフェースなどで構成する。制御部35は、プロセッサが記憶部32または制御部31内のメモリに記憶するプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。
【0031】
例えば、制御部35は、各改札機11の動作状態を監視し、各改札機の動作状態を操作盤39に表示する。また、制御部35は、係員による操作盤39への操作指示に応じた動作の指示を指定された改札機11へ送る。これにより、制御部35は、各改札機11の監視および制御が可能となる。例えば、制御部35は、カメラ12が撮影した画像から抽出された顔情報を顔認証用の情報としてサーバ14へ転送する。また、制御部35は、カメラ12が撮影した画像から抽出された顔情報に対する顔認証の結果をサーバ14から取得し、各改札機11へ供給する。制御部35は、サーバ14からの顔認証の結果を示す情報を監視下の各改札機11へ供給する。
【0032】
記憶部36は、各種のデータを記憶する。記憶部36は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)あるいはSSD(ソリッドステートドライブ)などの書き換え可能な不揮発性のメモリで構成する。
【0033】
カメラインターフェース37は、カメラ12を接続するためのインターフェースである。カメラインターフェース37は、カメラ12から人物の顔情報を取得する。カメラインターフェース37は、カメラ12が撮影した画像が供給されるようにしても良い。例えば、カメラインターフェース37が所定周期でカメラ12が撮影する画像を取得し、カメラ12が具備する機能として説明した上述の顔検出機能および映像監視機能を監視装置13が実現するようにしても良い。なお、カメラ12は、通信部38に接続するようにしても良いし、監視装置13を介さずにサーバ14に通信接続するようにしても良い。
【0034】
通信部38は、改札システム1を構成する各機器と通信するためのインターフェースである。
図4に示す構成例において、通信部38は、各改札機11およびサーバ14と通信するためのインターフェースである。
【0035】
操作盤39は、係員に情報を報知したり、係員からの動作指示を受け付けたりするための機器である。例えば、操作盤39は、タッチパネル内蔵の表示装置によって構成される。操作盤39は、各改札機11の動作状態を示す情報を表示し、係員からの改札機11への動作指示を受け付ける。
【0036】
次に、実施形態に係る改札システム1におけるサーバ14の構成について説明する。
図5は、実施形態に係るサーバ14の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、サーバ14は、制御部41、記憶部42、第1通信部43および第2通信部44を備える。
制御部41は、サーバ14における各種の動作を制御する。制御部41は、プログラムを実行するプロセッサを有する。例えば、制御部41は、プロセッサ、メモリおよびインターフェースなどで構成する。制御部41は、プロセッサが記憶部42または制御部41内のメモリに記憶するプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。
【0037】
例えば、制御部41は、顔認証処理を実行する機能を有する。制御部41は、カメラ12が撮影する画像から抽出された人物の顔情報と登録済みの利用者(登録者)の顔情報と照合する顔認証処理を行う。制御部41は、人物を検出した画像を撮影したカメラ12が設置されている改札口に設置された改札機11へ顔認証処理の結果を送信する。また、制御部41は、各改札機11からの入出場情報を保存し、所定時刻に各利用者の入出場情報に対応する精算処理を実施する機能を有する。
【0038】
記憶部42は、各種のデータを記憶する。記憶部42は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)あるいはSSD(ソリッドステートドライブ)などの書き換え可能な不揮発性のメモリで構成する。また、記憶部42は、各種のデータベースを有する。
図4に示す例では、記憶部42は、認証情報データベース42a、入出場データベース42bおよび運賃データベース42cを有する。
【0039】
認証情報データベース42aは、顔認証用の登録情報(認証情報)を記憶する。認証情報データベース42aには、改札機11を顔認証によって通過可能とする利用者(登録者)の顔情報を含む登録情報が事前に登録される。
入出場データベース42bは、各改札機11から取得する通行制御処理の結果としての入場情報および出場情報を記憶する。入出場データベース42bは、各改札機11から入場情報または出場情報を取得するたびに更新される。また、入出場データベース42bには、入場情報または出場情報に対応する精算処理を実行するごとに精算済みであることが登録される。
【0040】
運賃データベース42cは、顔認証を用いて入出場を行った利用者に対する運賃計算を実行するための運賃などの情報を記憶する。例えば、運賃データベース42cは、磁気券またはICカードなどの記憶媒体を用いて改札口を通過する利用者よりも割安な料金となるような運賃情報を記憶するようにしても良い。なお、運賃データベース42cは、サーバ14と通信可能な外部装置の記憶部に記憶するようにしても良い。
【0041】
第1通信部43は、改札システム1を構成する各装置と通信するための通信インターフェースである。例えば、第1通信部43は、監視装置13を介して各改札機11と通信する。
第2通信部44は、決済システム15と通信するための通信インターフェースである。制御部41は、通信部44を用いて決済システム15と通信し、決済システム15による精算額の決済を実行する。
【0042】
次に、認証情報データベース42aについて説明する。
図6は、認証情報データベース42aの構成例を示す図である。
図6に示す例において、認証情報データベース42aは、登録者ごとに、個人情報、顔画像、決済情報、定期券情報、認証有効性などの情報を記憶する。個人情報は、登録者の識別情報(利用者ID)、氏名、年齢、生年月日、住所、電話番号などの情報である。
【0043】
顔画像は、顔認証に用いる当該登録者の辞書データとなる情報である。顔画像は、登録者の顔画像そのものであっても良いし、登録者の顔画像から抽出した特徴量であっても良い。
決済情報は、運賃などの入出場に伴って発生する料金を決済するための情報である。例えば、決済情報は、クレジットカードの情報であっても良いし、料金引き落としのための口座情報などであっても良いし、料金決済のために予め入金されている金額の残額を示す情報などであっても良い。
【0044】
定期券情報は、登録者に対して発券されている定期券に関する情報である。定期券情報には、定期券としての有効区間および有効期限などの情報が含まれる。
認証有効性は、当該登録者に対する顔認証が有効な状態であるか無効な状態であるかを示す情報である。例えば、認証有効性は、当該登録者に対する顔認証による改札処理を無効とする場合には無効に設定され、当該登録者に対する顔認証による改札処理を有効とする場合には有効に設定される。
【0045】
認証情報データベース42aに登録される情報は、認証情報登録装置において入力される情報である。認証情報登録装置は、例えば、駅などに設置される券売機であっても良いし、専用の装置であっても良い。また、認証情報登録装置は、利用者自身が所定手順で操作することなどでサーバ14にログインできるパーソナルコンピュータ、携帯端末(スマートフォン、携帯電話、タブレットPCなど)であっても良い。また、認証情報登録装置は、駅係員が操作する装置であっても良い。
【0046】
次に、入出場データベース42bの構成について説明する。
図7は、入出場データベース42bの構成例を示す図である。
図7に示す構成例において、入出場データベース42bは、利用者ごとの入出場記録によって構成される。入出場データベース42bにおける各利用者の入出場記録には、入出場駅(入場または出場駅)、入出場日時、入出場方向、精算状況などの情報が登録される。入出場データベース42bの入出場記録には、1件分の入場情報または出場情報に対して、入出場駅(入場または出場駅)、入出場日時、入出場方向および精算状況が順番に登録される。
【0047】
入出場駅は、入場駅または出場駅を示す情報である。入出場日時は、入場または出場した日時を示す情報である。入出場方向は、通路の通行方向が入場方向(駅構内への入場)であるか出場方向(駅構内からの出場)であるかを示す情報である。精算状況は、当該入出場に対する料金の精算処理が済んでいるか否かを示す情報である。例えば、精算状況は、初期値として精算が「未」の状態として登録され、精算処理後に精算「済」に更新される。
【0048】
次に、実施形態に係る改札システム1における改札処理について説明する。
図8は、実施形態に係る改札システム1における改札処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
まず、カメラ12は、改札機11の周辺を俯瞰して撮影することにより認証範囲Rを含む撮影範囲の画像を撮影する(ST11)。認証範囲Rは、改札機11が形成する通路へ移動する人物が存在するエリアである。カメラ12は、認証範囲Rに存在する人物の顔が撮影しやすいように撮像部34の位置および向き調整されて設置される。カメラ12の制御部31は、撮像部34が撮影する撮影画像から認証範囲Rに存在する人物を検出する(ST12)。
【0049】
制御部31は、所定の周期で画像を撮影し、撮影された画像に対して人物の検出を行うことで、認証範囲Rにいる人物を監視する。制御部31は、認証範囲Rに入ってきた人物を検出すると、当該人物の顔情報を顔認証用の情報として監視装置13へ送信する(ST13)。顔認証用の情報として監視装置13へ送信する顔情報は、人物の顔画像を含む画像であっても良いし、当該人物の顔画像から検出した特徴量であっても良い。また、制御部31は、認証範囲Rに存在する人物のうち顔認証が成功していない人物の顔情報も監視装置13へ送信するようにしても良い。
【0050】
また、制御部31は、認証範囲Rに入ってきた人物(撮影画像から検出した人物)を監視対象として識別情報を付与して当該人物が認証範囲にいる間の監視を行う。制御部31は、人物の顔情報に対応づけて識別情報を監視装置13へ送信する。監視装置13は、カメラ12から人物の顔情報を取得すると、取得した顔情報を顔認証処理の要求とともにサーバ14へ送信する(ST14)。なお、カメラ12が撮影画像から検出する人物の顔情報は、監視装置13を介さずにカメラ12からサーバ14へ送信するようにしても良い。
【0051】
サーバ14は、人物の顔情報を取得すると、取得した顔情報に対して顔認証処理を実行する(ST15)。サーバ14の制御部41は、取得した顔情報と認証情報データベース42aに登録されている登録者の顔情報との照合を行う。例えば、制御部41は、取得した顔情報と登録者の顔情報との類似度が所定閾値以上であれば、取得した顔情報の人物(認証範囲に入った人物)が当該登録者であると判定する。制御部41は、取得した顔情報が登録者であると判定した場合、さらに、当該登録者の顔認証による通行が有効(通行可)であるか否かを判断する。また、制御部41は、抽出した顔画像との類似が所定閾値以上となる登録者の顔情報がなければ、抽出した顔画像の人物が登録者と一致しないと判定する。
【0052】
制御部41は、取得した顔情報の人物(認証範囲Rに入ってきた人物)が通行可の登録者であるか否かを示す情報を含む顔認証結果を生成する。例えば、制御部41は、通行可の登録者であるか否かを示す情報を監視装置13から取得した顔情報に付与された識別情報に対応づけた顔認証結果を生成する。顔認証処理が終了すると、制御部41は、生成した顔認証結果を監視装置13へ送信する(ST16)。監視装置13は、サーバ14からの顔認証結果を各改札機11へ配信する(ST17)。
【0053】
各改札機11は、通信部24により監視装置13から配信される顔認証結果を受信する。改札機11の制御部21は、監視装置13から配信される顔認証結果を記憶部22に保持する(ST18)。顔認証結果は、カメラ12が監視対象としている人物に付与した識別情報に対応づけて当該人物が通行可の登録者であるか否かを示す情報が含まれる。
【0054】
図9~
図15は、改札システム1の改札処理による処理状態の例を模式的に示す図である。
図9は、認証範囲Rに存在する人物Aおよび人物Bの顔認証結果を各改札機11に配信した状態を示す図である。
図9に示す例では、人物Aに対する顔認証結果が照合成功(OK)であり、人物Bに対する顔認証結果が照合失敗(NG)である。この場合、人物AおよびBに対する顔認証結果は、認証範囲Rに隣接して設けられる複数の改札機11へ配信される。このため、各改札機11は、人物Aの顔認証結果と人物Bの顔認証結果とを保持することなる。
【0055】
一方、カメラ12は、継続的に認証範囲Rを含む改札機11周辺の画像を撮影する。カメラ12の制御部31は、撮像部34が撮影する画像に基づいて認証範囲Rに存在する各人物を追跡する(ST19)。カメラ12の制御部31は、各人物を追跡しながら認証範囲Rから改札機11が形成する通路に進入する人物を検出する(ST20)。改札機11が形成する通路への人物の移動を検出すると、カメラ12の制御部31は、当該改札機11に対して通路へ進入した人物を通知する(ST21)。カメラ12の制御部31は、監視装置13を介して指定する改札機11へ人物を示す情報(追跡する人物に付与した識別情報)を通知する。
【0056】
通路に進入してくる人物を示す通知を受けると、改札機11の制御部21は、カメラ11aが撮影する画像に基づいて通路内の人物を確認する(ST22)。通路内の人物を確認すると、制御部21は、当該人物に対する顔認証結果をチェックし、顔認証結果に基づいて当該人物に対する通行制御を行う(ST23)。
【0057】
例えば、通路に進入してきた人物の顔認証結果がOKであれば、制御部21は、通行制御機構27により出口側のドアを開放し、ディスプレイ25に通行許可を表示する。通行を許可する場合、制御部21は、さらに、カメラ11aが撮影する画像によって通路内の当該人物を追跡する。制御部21は、当該人物が通路を通過して通路内の領域rを出口側から退場とすると、当該人物に対する処理結果(入出場情報)をサーバ14へ送信する(ST24)。例えば、制御部21は、当該人物(登録者)の識別情報(登録者としての識別情報)に対応づけた入場情報または出場情報を処理結果として、監視装置13を介してサーバ14へ送信する。
【0058】
サーバ14は、監視装置13を介して改札機11からの処理結果を取得する。サーバ14の制御部41は、改札機11からの処理結果を取得すると、当該人物の入出場記録として入出場データベース42bに入場情報または出場情報を登録する(ST25)。これにより、サーバ14の入出場データベース42bには、顔認証によって改札機11の通路を通過した人物の入出場情報が記憶される。
【0059】
図10は、人物Aが改札機11の通路に進入してきた状態を模式的に示す図である。また、
図11は、人物Aが改札機11の通路を通過した状態を模式的に示す図である。
図10に示す例において、人物Aは、顔認証結果がOKである。このため、改札機11は、人物Aが進入したことを検知すると、人物Aを通行(入場)可と判定し、出口側(駅構内側)のドアを開放する。人物Aの通行を許可した後、改札機11は、カメラ11aが撮影する画像により通路内における人物Aを監視する。人物Aは、通行可能な状態となった改札機11の通路を通行して駅構内へ入場する。
【0060】
改札機11は、
図11に示すように通路内から人物Aが通路を通過(駅構内へ入場)したことをカメラ11aが撮影する画像から検出する。改札機11は、通行を許可した人物Aが通路を通過したことを検出すると、人物Aが通路を通過したことを示す情報(人物が入場したことを示す入場情報)をサーバ14へ送信する。サーバ14は、改札機11から人物Aの入場情報を受信すると、人物Aの入出場記録として、人物Aの入場情報を入出場データベース42bに記録する。ここで、改札機11は、記憶部22に記憶している人物Aの顔認証結果を保持しておくものとする。
【0061】
図12は、人物Bが改札機11の通路に進入してきた状態を模式的に示す図である。また、
図13は、人物Bが駅構内へ入場せずに改札機11の通路から退場した状態を模式的に示す図である。
図12に示す例において、人物Bは、顔認証結果がNGである。このため、改札機11は、通路に進入してきた人物Bが通行(入場)不可と判定し、出口側(駅構内側)のドアを閉じる。これにより、人物Bは、改札機11の通路を通過(駅構内へ入場)できなくなる。人物Bの通行を不可とした後、改札機11は、カメラ11aが撮影する画像により通路内における人物Bを監視する。改札機11は、
図13に示すように、通路内から人物Bが退場した(認証範囲Rに戻った)ことをカメラ11aが撮影する画像から検出する。この場合、改札機11は、記憶部22に記憶している人物Bの顔認証結果を保持しておく。
【0062】
人物Bが認証範囲Rに戻ると、カメラ12は、引き続き人物Bを監視対象として追跡を行うものとする。このため、人物Bが再び何れかの改札機11の通路へ進入すると、改札機11は、上述したような改札処理を再び実行する。なお、人物Bが認証範囲Rに戻った場合、カメラ12は、撮像部34が撮影する撮影画像から当該人物Bの顔情報を抽出し、再び人物Bに対する顔認証をサーバ14に実行させるようにしても良い。
また、
図13に示す例では、改札機11は、人物Bに対する改札処理の結果をサーバ14へ送らないものとするが、人物Bに対して入場を不可した旨を示す情報をサーバ14へ通知しても良い。
【0063】
図14は、人物Cが認証範囲Rに入ってきた状態を模式的に示す図である。また、
図15は、人物Bと人物Cとがそれぞれ改札機11の通路に進入してきた状態を模式的に示す図である。
図14に示すように、新たに人物Cが認証範囲Rに進入すると、カメラ12は、撮像部34が撮影する画像から人物Cの顔情報を抽出し、監視装置13を介してサーバ14に人物Cに対する顔認証を実行させる。
図14に示す例では、人物Cに対する顔認証結果が照合成功(OK)であるものとする。これにより、各改札機11の記憶部22には、人物Aが照合成功、人物Bが照合失敗(NG)という情報に加えて、人物Cに対する顔認証結果が照合成功(OK)である旨の情報が記憶される。
【0064】
さらに、
図15に示すように、人物Bと人物Cとがそれぞれ別々の改札機11の通路に進入すると、各改札機11は、それぞれ人物Bに対する改札処理と人物Cに対する改札処理を実行する。人物Bが通路に進入してきた改札機11は、人物Bの顔認証結果がNGであるから、人物Bを通行不可として出口側のドアを閉鎖する。また、人物Cが通路に進入してきた改札機11は、人物Cの顔認証結果がOKであるから、人物Cを通行可として出口側のドアを開放する。これにより、顔認証結果がNGの人物Bは入場が阻止され、顔認証結果がOKの人物Cは、入場が許可されることとなる。
【0065】
なお、上述した例で説明したように、改札機11は、認証NGとなった人物(例えば人物B)に対してドアを閉鎖する。しかしながら、実際の運用においては、認証NGとなった人物がそのままで改札口を通過(突破)してしまうことが有り得る。認証NGとなった人物が改札口を通過した場合、改札機11は、顔認証結果がNGであった人物が通過したことを含む入出場情報を管理サーバ14へ送信する。これにより、顔認証結果がNGとなって通過した人物を示す入出場情報を管理サーバ14で管理することができる。
【0066】
また、上述した例では、各人物の認証情報が登録されていることを前提に説明したが、実際の運用では、認証情報を登録していない人物が入出場しようとすることが有り得る。認証情報を登録していない人物が入出場しようとした場合、改札機11は、顔認証結果がNGとなるため、ドアを閉鎖する。認証情報を登録していない人物に対してドアを閉鎖しても通過(突破)した場合も、改札機11は、人物が通過したことを含む入出場情報を管理サーバ14へ送信する。これにより、管理サーバ14は、認証情報が未登録のまま通過する人物の顔情報と入出場情報とを記憶できる。
【0067】
上述したように、ドアを閉鎖したにも関わらずに人物が通過したことを示す情報を管理サーバ14が記憶することで、運用者は、認証NGで通過した人物を確認できる。もしその人物の情報が必要になった場合には、画像や乗車情報といった関連情報を利用することも可能となる。
【0068】
次に、改札システム1における精算処理について説明する。
上述したように、改札システム1は、顔認証による改札業務を実施し、利用者ごとに入出場記録をサーバ14に蓄積する。サーバ14に蓄積した入出場記録については、所定の精算開始時刻に精算処理が開始される。精算開始時刻は、任意の時刻であっても良いが、本実施形態では毎日の所定時刻に実施されるものとする。例えば、鉄道が運行している時間帯は上述した改札処理を継続して実施し、鉄道が通行してない時間帯(営業時間外)に精算処理を実施するように精算開始時刻を設定するようにして良い。
【0069】
すなわち、サーバ14においては精算開始時刻が予め設定される。サーバ14の制御部41は、精算開始時刻になると、精算処理を開始する(ST26)。精算処理は、入出場データベース42bに記録された入出場記録と、認証情報データベース42aに登録されている定期券情報と決済情報とを用いて実施される。本実施形態において、精算処理では、入出場サイクルのチェックなどの入出場記録の正当性チェックも実施するものとする。
【0070】
例えば、制御部41は、利用者ごとに入出場記録をチェックし、入出場記録に不正がないかを判断する。具体的には、制御部41は、利用者ごとに未精算の入出場記録を抽出し、入場と出場との順番が正常であるかをチェックする。入出場記録に不正が発見されると、制御部41は、認証情報データベース42aにおける当該利用者の認証有効性を無効に変更する。これにより、認証有効性が無効に変更された利用者は、改札機11での次回以降の顔認証による改札処理において無効として通行が不許可とされる。
【0071】
なお、認証情報データベース42aにおける認証有効性が無効となった場合、サーバ14に通信接続可能な係員端末によって認証有効性を無効から有効に変更できるようにしても良い。例えば、認証有効性を無効から有効に変更する場合、係員が操作する係員端末で精算処理を実行し、精算処理が完了した後に係員端末からサーバ14に対して認証有効性を有効に更新するようにしても良い。
【0072】
入出場記録のチェックが終了すると、制御部41は、入出場データベース42bに蓄積された入出場記録のうち未精算となっている入場情報および出場情報(入出場情報)を検索する。制御部41は、未精算となっている入出場情報を検出すると、入出場情報に対して精算が必要な金額(精算額)を決定する。制御部41は、精算額を決定する場合、当該利用者の定期券情報を考慮して精算が必要な区間を特定し、精算が必要な区間について顔認証用の運賃が登録されている運賃データベース42cなどを参照して精算額を決定する。
【0073】
なお、運賃データベース42cは、磁気券またはICカードなどの記録媒体を用いた改札処理に適用される運賃とは異なる顔認証用の運賃(顔認証による入出場時の運賃)が登録できるものとする。これにより、鉄道事業者は、顔認証用の運賃を記録媒体によって入出場を行った場合の運賃(記録媒体用の運賃)とは異なる金額とすることで、顔認証による改札処理の利用を促進するようにすることができる。例えば、記録媒体用の運賃によりも安い運賃を運賃データベース42cに登録することで顔認証による運賃を安く設定して、顔認証による改札処理の利用を促進することができる。
【0074】
未精算の入出場情報に対する精算額を決定すると、制御部41は、当該利用者の登録情報(認証情報データベース42aに登録されている情報)に基づいて決済情報を特定する。利用者の決済情報を特定すると、制御部41は、利用者の決済情報により決済システム15にアクセスし、精算額の決済を実行する。精算額の決済が正常に完了すると、制御部41は、精算が完了した入出場情報に対応する精算状況を精算済みに更新する。また、精算額の決済が完了できなかった場合、制御部41は、精算ができなかった入出場情報に対応する精算状況を精算不可に更新する。
【0075】
また、精算不可とした場合、制御部41は、認証情報データベース42aにおける当該利用者の認証有効性を無効に変更する。これにより、認証有効性が無効に変更された利用者は、改札機11での次回以降の顔認証による改札処理において無効として通行が不許可とされる。この場合も、サーバ14に通信接続可能な係員端末によって認証情報データベース42aにおける認証有効性を無効から有効に変更できるようにしても良い。例えば、係員が利用者の申し出に応じて係員端末を操作して精算処理を実行し、精算処理が完了した後に係員端末からサーバ14に対して認証有効性を有効に更新するようにしても良い。
【0076】
一方、改札機11においては、改札業務中にサーバ14から得た顔認証結果が記憶部22に蓄積されている。各改札機11に蓄積した顔認証結果は、所定の時刻に削除されるものとする。すなわち、各改札機11の制御部21は、予め設定された所定時刻になると、記憶部22に記憶している顔認証結果を削除する(ST27)。顔認証結果を削除する時刻は、例えば、鉄道が通行してない時間帯(営業時間外)に精算処理を実施するように設定する。顔認証結果を削除する時刻は、上述した精算開始時刻と同じ時刻であっても良い。
【0077】
なお、顔認証結果の削除は、サーバ14からの指示によって実施するようにしても良い。この場合、サーバ14は、精算処理の後または精算処理と並行して各改札機11に顔認証結果を削除させるようにできる。また、顔認証結果の削除は、改札機11の電源をオフして改札業務を終了する際に実施しても良いし、改札機11の電源をオンして改札業務を開始する直前に実施しても良い。
【0078】
以上の処理によって、実施形態に係る改札システムは、改札機に手前に設けた認証範囲に人物が現れると、カメラが撮影した画像から人物を検出し、検出した人物の顔認証をサーバによって実施する。サーバによる顔認証結果は、各改札機へ配信される。各改札機は、サーバから提供されている顔認証結果に基づいて通路を通行しようとする人物に対する通行制御を実施する。これにより、実施形態に係る改札システムによれば、記録媒体を不要として、利用者の顔画像を用いた顔認証による改札機での入出場処理(改札処理)をスムーズに実施することができる。
【0079】
また、実施形態に係る改札システムは、利用者の顔情報とともに決済情報を登録しておき、顔認証が成功した利用者については予め登録された決済情報を用いて運賃等の精算を実行する。これにより、改札機での磁気券またはICカードなどの記憶媒体の処理による精算処理が不要となり、スムーズな改札処理を実現できる。
【0080】
さらに、実施形態に係る改札システムは、顔認証による入出場情報をサーバに記録しておき、所定時刻にサーバに記録した入出場情報に対する決済処理を実行する。これにより、改札機において精算処理の完了を待ってから入場または出場を行う必要がないため、迅速な入出場の制御が実現できる。
【0081】
なお、上記した各処理はいくつかのソフトウェアによって実行することが可能である。このため、上記処理の手順を実行するいくつかのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこれらプログラムを改札システム(改札機、カメラ、サーバ)へインストールして実行することで、上記処理を容易に実現することができる。例えば、改札機およびサーバは、プログラムをネットワーク経由でダウンロードし、ダウンロードしたプログラムを記憶することで、プログラムをインストールするようにしても良い。また、改札機およびサーバは、上記プログラムを各種の情報記憶媒体から読み取り、読み取ったプログラムを記憶することで、プログラムをインストールするようにしても良い。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
通路の手前に設けた認証範囲を撮影した画像に基づいて前記認証範囲にいる人物の顔情報と登録者の顔情報とを照合する顔認証を実行するサーバと通信する通信部と、
前記通信部により前記サーバから取得する前記認証範囲にいる人物に対する顔認証結果を記憶する記憶部と、
前記認証範囲から前記通路に進入した人物に対する前記記憶部が記憶する顔認証結果に基づいて前記通路に位置する通路ドアを開閉制御する制御部と、
を有する改札機。
[2]
さらに、前記通路内を撮影する確認用のカメラが撮影した画像を取得するインターフェースを有し、
前記制御部は、前記確認用のカメラが撮影した画像に基づいて前記通路内における前記人物の移動を確認し、前記人物の通行を制御する、
[1]に記載の改札機。
[3]
前記制御部は、前記人物に対する前記顔認証結果が照合成功であれば、前記人物の通行を許可し、前記確認用のカメラが撮影した画像に基づいて前記人物が前記通路を通過したことを検出した後に前記人物との照合が成功した登録者が通過したことを示す入出場情報を前記サーバへ送信する、
[2]に記載の改札機。
[4]
前記制御部は、予め設定した時刻に前記記憶部に記憶した顔認証結果を削除する、
[1]乃至[3]の何れか1つに記載の改札機。
[5]
通路における人物の通行を制御する改札機とサーバとを含む改札システムにおいて、 前記改札機は、
前記通路の手前に設けた認証範囲を撮影した画像に基づいて前記認証範囲にいる人物の顔情報と登録者の顔情報とを照合する顔認証を実行するサーバと通信する第1の通信部と、
前記第1の通信部により前記サーバから取得する前記認証範囲にいる人物に対する顔認証結果を記憶する第1の記憶部と、
前記認証範囲から前記通路に進入した人物に対する前記第1の記憶部が記憶する顔認証結果に基づいて前記通路に進入した人物の通行を制御する第1の制御部と、を有し、
前記サーバは、
登録者の顔情報を含む認証情報を記憶する第2の記憶部と、
前記認証範囲にいる人物の顔情報を含む情報を取得する第2の通信部と、
前記第2の通信部により取得した前記認証範囲にいる人物の顔情報と前記第1の記憶部に記憶する登録者の顔情報とを照合する顔認証を行い、顔認証結果を前記第2の通信部により送信する第2の制御部と、有する、
改札システム。
[6]
前記改札機の第1の制御部は、前記人物に対する前記顔認証結果が照合成功であれば前記人物の通行を許可し、前記人物との照合が成功した登録者が前記通路を通過したことを示す入出場情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記改札機からの前記入出場情報を記憶する第3の記憶部と、決済処理を行う決済システムと通信する第3の通信部と、をさらに有し、
前記サーバの前記第2の記憶部は、登録者の認証情報として前記決済システムで決済するための決済情報をさらに記憶し、
前記サーバの前記第2の制御部は、前記第3の記憶部に記憶した入出場情報に対する精算額を算出し、前記算出した精算額を前記第2の記憶部に記憶する登録者の決済情報を用いて前記決済システムによる決済を実行する、
[5]に記載の改札システム。
[7]
前記サーバの前記第2の制御部は、所定の精算開始時刻に、前記登録者の決済情報を用いた前記決済システムによる決済を含む精算処理を開始する、
[6]に記載の改札システム。
[8]
通路における人物の通行を制御する改札方法であって、
前記通路の手前に設けた認証範囲を撮影した画像に基づいて前記認証範囲にいる人物の顔情報と登録者の顔情報とを照合する顔認証をサーバに実行させ、
前記サーバから前記認証範囲にいる人物に対する顔認証結果を取得し、
前記サーバから取得する前記認証範囲にいる人物に対する顔認証結果を記憶部に記憶し、
前記認証範囲から人物が前記通路に進入した場合、前記通路に進入した人物に対する前記記憶部が記憶する顔認証結果に基づいて前記通路に進入した人物の通行を制御する、 改札方法。
【符号の説明】
【0083】
1…改札システム、11…改札機、12…カメラ、13…監視装置、14…サーバ、21…制御部(第1の制御部)、22…記憶部(第1の記憶部)、23…カメラインターフェース、24…通信部(第1の通信部)、27…通行制御機構、41…制御部(第2の制御部)、42…記憶部、42a…認証情報データベース(第2の記憶部)、42b…入出場データベース(第3の記憶部)、42c…運賃データベース、43…第1通信部(第2の通信部)、44…第2通信部(第3の通信部)。