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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】非接触通信媒体
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20231218BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20231218BHJP
   H01Q 9/28 20060101ALI20231218BHJP
   H01Q 19/10 20060101ALI20231218BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20231218BHJP
   G09F 3/00 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
G06K19/07 170
G06K19/077 248
G06K19/077 144
G06K19/077 280
H01Q9/28
H01Q19/10
G01N27/04 B
G09F3/00 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020054103
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021157234
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松保 諒
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-124657(JP,A)
【文献】特開2006-201068(JP,A)
【文献】特開2019-139421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G06K 19/077
H01Q 9/28
H01Q 19/10
G01N 27/04
G09F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域と第2の領域とが折り部を介して連接したベース基材と、
前記ベース基材の一方の面のうち前記第1の領域に形成された通信用アンテナと、
前記ベース基材の一方の面にて前記第1の領域と前記第2の領域とに前記折り部を跨いで形成された2本の検知用配線と、
前記ベース基材の一方の面にて前記第1の領域に配置され、前記通信用アンテナに接続されるとともに前記2本の検知用配線のそれぞれの一方の端部に接続され、前記2本の検知用配線間の導通状態を検出し、その検出結果を前記通信用アンテナを介して非接触送信する検出手段とを有し、
前記ベース基材は、前記折り部を介して折り畳まれており、
前記検知用配線は、平面視にて前記通信用アンテナを覆う形状の導電パターンを具備する、非接触通信媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触通信媒体において、
前記第1の領域と前記第2の領域とは、直接的または間接的に互いに貼着されている、非接触通信媒体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の非接触通信媒体において、
前記通信用アンテナ、前記検知用配線及び前記検知手段は、前記ベース基材のうち、前記ベース基材が前記折り部を介して折り畳まれた状態にて内側となる面に設けられており、
前記2本の検知用配線のそれぞれは、その一部が前記ベース基材から表出している、非接触通信媒体。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の非接触通信媒体において、
前記通信用アンテナ、前記検知用配線及び前記検知手段は、前記ベース基材のうち、前記ベース基材が前記折り部を介して折り畳まれた状態にて外側となる面に設けられており、
前記ベース基材の前記第1の領域上にて少なくとも前記通信用アンテナ及び前記検知手段を覆って積層された保護層と、
前記ベース基材の前記第2の領域上にて少なくとも前記検知用配線を覆って積層された絶縁層とを有し、
前記2本の検知用配線のそれぞれは、その一部が前記絶縁層から表出している、非接触通信媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知体に取り付けられ、被検知体にて水分が発生した場合にその旨を非接触送信する非接触通信媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マンション等の集合住宅や一般的なビル等の建物においては、空調等に用いられる配管が天井裏や壁間に配設されており、この配管を用いて水等の流体の供給や排出が行われている。このような配管は、上述したように天井裏や壁間に配設されるため、建物の構造に応じてジョイント等の接合部材を用いて繋ぎ合わされることになる。ところが、このジョイント等による接合部分においては、シリコン等によってシーリングされているものの、シーリングが不完全な場合、漏水が生じる虞れがある。
【0003】
ここで、特許文献1には、水分が発生した場合にその水分によって一対の導電パターン間を短絡させ、一対の導電パターン間が絶縁状態であるか導通状態であるかをアンテナを介して読み出すことで水分の発生を検知する水分検知センサが開示されている。この技術を用いることで、上述したような漏水を検知することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-124657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような水分検知センサのような非接触通信媒体においては、金属からなる被検知体に取り付けられた場合、アンテナが金属の影響を受け、通信距離が短くなってしまう。そこで、金属の影響を避けるために、非接触通信媒体とそれが取り付けられる被検知体との間に磁性体や金属シート等を配置し、非接触通信に対する金属の影響を低減することが考えられる。
【0006】
しかしながら、非接触通信媒体とそれが取り付けられる被検知体との間に磁性体や金属シート等を配置する場合、磁性体や金属シートといった別部材が必要となるため、それらの位置合わせが必要となることで作業が煩雑になるとともに、構造が複雑となって高価なものとなってしまうという問題点がある。また、特許文献1には、アンテナや導電パターンが形成されるベース基材自体を金属からなるものとし、その表面に絶縁膜を介してアンテナや導電パターンを形成する旨が記載されているが、その場合、アンテナや導電パターンとベース基材とが短絡しないように絶縁膜を積層するという精細な技術が必要となり、製造工程等が煩雑になってしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、被検知体に取り付けられ、被検知体にて水分が発生した場合にその旨を非接触送信する非接触通信媒体において、被検知体が金属である場合でも金属による非接触通信への影響を簡易な構造で緩和することができる非接触通信媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
第1の領域と第2の領域とが折り部を介して連接したベース基材と、
前記ベース基材の一方の面のうち前記第1の領域に形成された通信用アンテナと、
前記ベース基材の一方の面にて前記第1の領域と前記第2の領域とに前記折り部を跨いで形成された2本の検知用配線と、
前記ベース基材の一方の面にて前記第1の領域に配置され、前記通信用アンテナに接続されるとともに前記2本の検知用配線のそれぞれの一方の端部に接続され、前記2本の検知用配線間の導通状態を検出し、その検出結果を前記通信用アンテナを介して非接触送信する検出手段とを有し、
前記ベース基材は、前記折り部を介して折り畳まれており、
前記検知用配線は、平面視にて前記通信用アンテナを覆う形状の導電パターンを具備する。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、検知用配線の導電パターンが平面視にて通信用アンテナを覆っているため、ベース基材の第2の領域が被検知体側となるように被検知体に取り付けられれば、被検知体と通信用アンテナとの間に、平面視にて通信用アンテナを覆う導電パターンが介在することとなり、金属からなる被検知体による非接触通信への影響が緩和される。この際、金属からなる被検知体による非接触通信への影響を緩和するための導電パターンは、検知用配線の一部として形成されているとともに、この検知用配線と通信用アンテナとがベース基材の同一面に形成されているため、製造工程が容易なものとなる。また、このような構成においても、検知用配線が、ベース基材が折り畳まれることで積層された状態となる第1の領域と第2の領域とのうち被検知体側となる第2の領域に形成されていることで、被検知体に水分が発生した場合に2本の検知用配線が導通しやすくなり、被検知体における水漏れ等の水分の発生を検知しやすくなる。
【0010】
また、第1の領域と第2の領域とが直接的または間接的に互いに貼着されていれば、被検知体に取り付けられた状態にて通信用アンテナが平面視にて導電パターンによって確実に覆われた状態となる。
【0011】
また、通信用アンテナ、検知用配線及び検知手段が、ベース基材のうち、ベース基材が折り部を介して折り畳まれた状態にて内側となる面に設けられており、2本の検知用配線のそれぞれの一部が、ベース基材から表出していれば、通信用アンテナ、検知用配線及び検知手段に外力が直接加わることが回避されることで、通信用アンテナ、検知用配線及び検知手段が保護されながらも、被検知体にて水分が発生した場合に、2本の検知用配線が、ベース基材から表出した部分にて導通することになる。
【0012】
また、通信用アンテナ、検知用配線及び検知手段が、ベース基材のうち、ベース基材が折り部を介して折り畳まれた状態にて外側となる面に設けられているものにおいては、ベース基材の第1の領域上にて少なくとも通信用アンテナ及び検知手段を覆って積層された保護層と、ベース基材の第2の領域上にて少なくとも検知用配線を覆って積層された絶縁層とを有し、2本の検知用配線のそれぞれが、その一部が絶縁層から表出していれば、通信用アンテナ及び検知手段に外力が直接加わることが回避されることで通信用アンテナ及び検知手段が保護され、かつ、2本の検知用配線が被検知体を介して短絡してしまうことが回避されながらも、被検知体にて水分が発生した場合に、2本の検知用配線が、絶縁層から表出した部分にて導通することになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検知用配線が平面視にて通信用アンテナを覆う形状の導電パターンを具備するため、ベース基材の第2の領域が被検知体側となるように被検知体に取り付けられれば、被検知体と通信用アンテナとの間に、平面視にて通信用アンテナを覆う導電パターンが介在することとなり、それにより、ベース基材に形成された2本の検知用配線の導通状態を検出することで被検知体にて水分が発生した旨を非接触送信する非接触通信媒体において、被検知体が金属である場合でも金属による非接触通信への影響を簡易な構造で緩和することができる。その際、金属からなる被検知体による非接触通信への影響を緩和するための導電パターンが、検知用配線の一部として形成されているとともに、この検知用配線と通信用アンテナとがベース基材の同一面に形成されているため、金属に取り付けられた場合に金属による非接触通信への影響を簡易な構造で緩和することができるとともに、製造工程を容易なものとすることができる。また、このような構成においても、検知用配線が、ベース基材が折り畳まれることで積層された状態となる第1の領域と第2の領域とのうち被検知体側となる第2の領域に形成されていることで、被検知体に水分が発生した場合に2本の検知用配線が導通しやすくなり、被検知体における水漏れ等の水分の発生を検知しやすくすることができる。
【0014】
また、第1の領域と第2の領域とが直接的または間接的に互いに貼着されているものにおいては、被検知体に取り付けられた状態にて通信用アンテナが平面視にて導電パターンによって確実に覆われた状態とすることができる。
【0015】
また、通信用アンテナ、検知用配線及び検知手段が、ベース基材のうち、ベース基材が折り部を介して折り畳まれた状態にて内側となる面に設けられており、2本の検知用配線のそれぞれの一部が、ベース基材から表出しているものにおいては、通信用アンテナ、検知用配線及び検知手段に外力が直接加わることが回避されることで、通信用アンテナ、検知用配線及び検知手段を保護しながらも、被検知体にて水分が発生した場合に、2本の検知用配線を、ベース基材から表出した部分にて導通させることができる。
【0016】
また、通信用アンテナ、検知用配線及び検知手段が、ベース基材のうち、ベース基材が折り部を介して折り畳まれた状態にて外側となる面に設けられている場合に、ベース基材の第1の領域上にて少なくとも通信用アンテナ及び検知手段を覆って積層された保護層と、ベース基材の第2の領域上にて少なくとも検知用配線を覆って積層された絶縁層とを有し、2本の検知用配線のそれぞれが、その一部が絶縁層から表出しているものにおいては、通信用アンテナ及び検知手段に外力が直接加わることが回避されることで通信用アンテナ及び検知手段を保護し、かつ、2本の検知用配線が被検知体を介して短絡してしまうことを回避しながらも、被検知体にて水分が発生した場合に、2本の検知用配線を、絶縁層から表出した部分にて導通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の非接触通信媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は積層構造を示す図、(b)は(a)に示したベース基材の第1の領域上の構成を示す図、(c)は(a)に示したベース基材の第2の領域上の構成を示す図である。
図2図1に示した水分検知ラベルのベース基材を見開いた状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図3図1に示した水分検知ラベルの使用形態の一例を示す図である。
図4図1に示した水分検知ラベルが図3に示したように配管に取り付けられた状態にて配管に水漏れが発生した場合の作用を説明するための図であり、(a)は配管に水漏れが発生していないときの状態を示す図、(b)は配管に水漏れが発生したときの状態を示す図である。
図5図1に示した水分検知ラベルが貼着された配管の水漏れを検知するためのシステムの一例を示す図である。
図6図5に示したシステムにおいて図1に示した水分検知ラベルが図3に示したように配管に貼着された場合の配管における水漏れを検知する方法を説明するためのフローチャートである。
図7図1に示した水分検知ラベルのアンテナとベタパターンとの相対位置を示す図である。
図8】本発明の非接触通信媒体の他の実施の形態を示す図である。
図9】本発明の非接触通信媒体の他の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の非接触通信媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は積層構造を示す図、(b)は(a)に示したベース基材10の領域10a上の構成を示す図、(c)は(a)に示したベース基材10の領域10b上の構成を示す図である。図2は、図1に示した水分検知ラベル1のベース基材10を見開いた状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【0020】
本形態における非接触通信媒体は図1に示すように、ベース基材10が折り畳まれ、その一方の側にタック紙40が積層、貼着されるとともに、他方の側に粘着剤20bが塗布されて構成された水分検知ラベル1である。
【0021】
ベース基材10は、例えばフィルムシート等の非導電性材料からなり、図2に示すように、第1の領域10aと第2の領域20bとが折り部15を介して連接して構成されている。ベース基材10の一方の面には、通信用のアンテナ12及び2本の検知用配線13a,13bが形成されているとともに、検知手段となるICチップ11が搭載されている。ベース基材10は、通信用のアンテナ12及び検知用配線13a,13bが形成されているとともにICチップ11が搭載された面が内側となるように折り部15を介して折り畳まれ、領域10aと領域10bとが、フィルムシート等からなるコア基材30を介して対向して粘着剤20aによって間接的に貼着されている。
【0022】
アンテナ12は、ベース基材10の領域10aに、2つの二等辺三角形の導体が空隙を介して並ぶようにして形成されている。
【0023】
2本の検知用配線13a,13bは、一方の端部がベース基材10の領域10a上にてICチップ11に接続され、そこから折り部15を跨いで領域10bまで並行して延び、領域10bの折り部15とは反対側の端辺にて終端している。検知用配線13a,13bのそれぞれは、領域10bに、ベース基材10が折り部15を介して折り畳まれた状態において平面視した場合にアンテナ12を覆う形状を有するベタパターン14a,14bを導電パターンとして具備している。
【0024】
ICチップ11は、2つのアンテナ端子(不図示)と、2つの検知用端子(不図示)とが設けられており、これらアンテナ端子及び検知用端子が設けられた面が搭載面となって、ベース基材10の領域10aに搭載されている。ICチップ11のアンテナ端子はそれぞれ、アンテナ12に接続されており、ICチップ11の検知用端子は、検知用配線13a,13bのそれぞれの一方の端部に接続されている。ICチップ11は、アンテナ12を介した非接触通信によって得た電力による電流を検知用配線13a,13bに流すことで検知用配線13a,13b間の抵抗値を検出し、その抵抗値に基づいて検知用配線13a,13b間の導通状態を検出し、その検出結果をデジタル情報に変換してアンテナ12を介して非接触送信する。
【0025】
タック紙40は、ベース基材10の領域10aに積層、貼着されている。
【0026】
粘着剤20bは、非導電性材料からなり、領域10bに塗布されている。
【0027】
本形態の水分検知ラベル1は上記のように構成されることで、検知用配線13a,13bのICチップ11に接続された端部とは反対側の端部が、ベース基材10の端辺にて表出している。それにより、検知用配線13a,13bの一部がベース基材10及び粘着剤20bから表出している。
【0028】
以下に、上記のように構成された水分検知ラベル1の使用方法及びその際の作用について説明する。
【0029】
図3は、図1に示した水分検知ラベル1の使用形態の一例を示す図である。
【0030】
図1に示した水分検知ラベル1は、例えば図3に示すように配管2に取り付けられ、配管2の水漏れを検知するために使用される。配管2は、金属からなるパイプ部2a,2bがジョイント3によって連結されて構成されている。パイプ部2a,2bは鉛直方向に直線状に並んで配置され、一方の端部どうしがジョイント3によって連結されている。このように構成された配管2においては、パイプ部2a,2bとジョイント3との接合部分4において水漏れが発生する虞がある。そこで、接合部分4にて発生する水漏れを検知するために、図3に示すように、図1に示した水分検知ラベル1を、ジョイント3を介して連結されたパイプ部2a,2bのうち鉛直方向において下方となるパイプ部2bの側面に粘着剤20bによって貼着する。その際、水分検知ラベル1は、後述するように、2本の検知用配線13a,13b間の導通状態を検出することで水分の発生を検知するため、ベース基材10の検知用配線13a,13bが表出した端辺が鉛直方向において上方となるようにパイプ部2bの側面に貼着されることになる。
【0031】
図4は、図1に示した水分検知ラベル1が図3に示したように配管2に取り付けられた状態にて配管2に水漏れが発生した場合の作用を説明するための図であり、(a)は配管2に水漏れが発生していないときの状態を示す図、(b)は配管2に水漏れが発生したときの状態を示す図である。
【0032】
図1に示した水分検知ラベル1が図3に示したように配管2に貼着された状態で配管2に水漏れが発生していない場合は、図4(a)に示すように、2本の検知用配線13a,13bが導通しておらず、非導通状態となっている。
【0033】
一方、図1に示した水分検知ラベル1が図3に示したように配管2に貼着された状態において、パイプ部2a,2bとジョイント3との接合部分4において水漏れが発生すると、発生した水漏れによる水分がパイプ部2bの表面を伝わり、水分検知ラベル1に付着する。水分検知ラベル1は、上述したように、ベース基材10の検知用配線13a,13bが表出した端辺が鉛直方向において上方となるようにパイプ部2bの側面に貼着されているため、図4(b)に示すように、パイプ部2bの表面を伝わった水分13cは、ベース基材10の検知用配線13a,13bが表出した端辺に付着する。すると、ベース基材10の端辺にて表出した2本の検知用配線13a,13bの端部間において短絡13dが生じ、それにより、2本の検知用配線13a,13bが導通状態となる。そして、この検知用配線13a,13b間の導通状態を検出することで、配管2に水漏れが発生した旨が検知されることになる。
【0034】
このように、水分検知ラベル1が貼着された配管2に水漏れが発生していない場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっており、一方、水分検知ラベル1が貼着された配管2に水漏れが発生している場合は、検知用配線13a,13bが導通状態となるため、検知用配線13a,13bの導通状態を検出することで、水分検知ラベル1が貼着された配管2に水漏れが発生していることを検知することができる。
【0035】
その際、検知用配線13a,13bが、ベース基材10が折り畳まれることで積層された状態となる2つの領域10a,10bのうち配管2側となる領域10bに形成されていることで、配管2に水漏れが発生した場合に、水漏れによる水分が検知用配線13a,13bの端部に付着しやすくなり、配管2に水漏れが発生した旨を検知しやすくすることができる。
【0036】
また、ベース基材10が、アンテナ12及び検知用配線13a,13bが形成されているとともにICチップ11が搭載された面が内側となるように折り部15を介して折り畳まれていることにより、アンテナ12や検知用配線13a,13b、ICチップ11に外力が直接加わることが回避され、アンテナ12、検知用配線13a,13b及びICチップ11を保護することができる。
【0037】
以下に、上述した作用を利用して水分検知ラベル1が貼着された配管2における水漏れの発生を検知する具体的な方法について説明する。
【0038】
図5は、図1に示した水分検知ラベル1が貼着された配管2の水漏れを検知するためのシステムの一例を示す図である。
【0039】
図1に示した水分検知ラベル1を用いて図3に示した配管2の水漏れを検知するためのシステムとしては、図5に示すように、水分検知ラベル1に対して非接触通信が可能な読取手段となるリーダライタ5と、リーダライタ5と有線または無線を介して接続された処理手段となる管理用パソコン6とを有するシステムが考えられる。なお、読取手段のみならず処理手段が内蔵されたハンディターミナルをリーダライタとして用いることも考えられ、その場合、管理用パソコンが不要となる。
【0040】
図6は、図5に示したシステムにおいて図1に示した水分検知ラベル1が図3に示したように配管2に貼着された場合の配管2における水漏れを検知する方法を説明するためのフローチャートである。
【0041】
図1に示した水分検知ラベル1においては、リーダライタ5が水分検知ラベル1に近接され、リーダライタ5にて水分検知ラベル1が検出されると(ステップ1)、まず、リーダライタ5から、水分検知ラベル1に電力が供給されるとともに、検知用配線13a,13b間の導通状態の検出及びその検出結果の送信をする旨の命令が水分検知ラベル1に対して送信される(ステップ2)。
【0042】
リーダライタ5から供給された電力が水分検知ラベル1にて得られるとともに、リーダライタ5から送信された命令が水分検知ラベル1のアンテナ12を介してICチップ11にて受信されると(ステップ3)、リーダライタ5から供給された電力によって検知用配線13a,13b間に電流が供給される。
【0043】
ICチップ11においては、供給された電流を用いて検知用配線13a,13b間の抵抗値が検出されることで、検知用配線13a,13b間の導通状態が検出されることになる(ステップ4)。ここで、水分検知ラベル1が図3に示したように配管2に貼着され、配管2に水漏れが発生していない場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっている。その状態においては、リーダライタ5から供給された電力によって検知用配線13a,13b間に電流が供給されても、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっていることから検知用配線13a,13b間には電流が流れず、それにより、ICチップ11において検出される抵抗値は、ほぼ無限大となる。
【0044】
ICチップ11においては、検出された抵抗値がほぼ無限大である場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態になっていると判断され、その判断結果が検知用配線13a,13b間の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される(ステップ5)。なお、検知用配線13a,13b間が導通状態である場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、後述するように、検知用配線13aと検知用配線13bとがベース基材10の端辺にて表出した端部にて接続された抵抗値となることから、ICチップ11において、検知用配線13a,13b間が非導通状態であると判断するための抵抗値としてほぼ無限大ではなく、検知用配線13aと検知用配線13bとがベース基材10の端辺にて表出した端部にて接続された抵抗値よりも大きな一定の閾値以上のものを用いてもよい。
【0045】
一方、水分検知ラベル1が図3に示したように配管2に貼着され、配管2に水漏れが発生している場合は、上述したように、ベース基材10の端辺にて表出した2本の検知用配線13a,13bの端部間において短絡が生じていることによって検知用配線13a,13b間が導通状態となっているため、ICチップ11においては、検知用配線13aと検知用配線13bとがベース基材10の端辺にて表出した端部にて接続された抵抗値が検出されることになる。
【0046】
ICチップ11においては、検出された抵抗値が、検知用配線13aと検知用配線13bとがベース基材10の端辺にて表出した端部にて接続された抵抗値である場合は、検知用配線13a,13間が導通状態にあると判断され、その判断結果が検知用配線13a,13間の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される。なお、検知用配線13a,13間が非導通状態となっている場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、上述したようにほぼ無限大となることから、ICチップ11において、検知用配線13a,13間が導通状態にあると判断するための抵抗値として、検知用配線13aと検知用配線13bとがベース基材10の端辺にて表出した端部にて接続された抵抗値ではなく、一定の閾値以下のものを用いてもよい。
【0047】
このように、リーダライタ5においては、水分検知ラベル1にて検出された検知用配線13a,13b間の導通状態を、アンテナ12を介して非接触送信させることになる。
【0048】
上記のようにして水分検知ラベル1からリーダライタ5に非接触送信された検出結果がリーダライタ5にて受信されると(ステップ6)、リーダライタ5にて受信された検出結果は管理用パソコン6に転送される(ステップ7)。
【0049】
リーダライタ5から転送されてきた検出結果が管理用パソコン6にて受信されると(ステップ8)、管理用パソコン6において、水分検知ラベル1からリーダライタ5に非接触送信され、管理用パソコン6に転送されてきた検出結果に基づいて、配管2に水漏れが発生しているかどうかが判断されることになる(ステップ9)。具体的には、リーダライタ5から管理用パソコン6に転送されてきた検出結果において、検知用配線13a,13b間が非導通状態である場合は配管2に水漏れが発生していないと判断され、検知用配線13a,13b間が導通状態である場合は配管2に水漏れが発生していると判断されることになる。
【0050】
ここで、ベタパターン14a,14bを設けたことによる効果について説明する。
【0051】
図7は、図1に示した水分検知ラベル1のアンテナ12とベタパターン14a,14bとの相対位置を示す図である。
【0052】
図7に示すように、図1に示した水分検知ラベル1は、ベース基材10が折り部15を介して折り畳まれた状態において、ベタパターン14a,14bが水分検知ラベル1を平面視した場合にアンテナ12を覆う形状を有している。
【0053】
そのため、ベース基材10のベタパターン14a,14bが形成された領域10bが被検知体側となるように被検知体に取り付けられれば、被検知体とアンテナ12との間に、平面視にてアンテナ12を覆うベタパターン14a,14bが介在することとなり、金属に取り付けられた場合に金属による非接触通信への影響を緩和することができる。その際、金属からなる被検知体による非接触通信への影響を緩和するためのベタパターン14a,14bが、検知用配線13a,13bの一部として形成されているとともに、この検知用配線13a,13bとアンテナ12とがベース基材10の同一面に形成されていることにより、金属に取り付けられた場合に金属による非接触通信への影響を簡易な構造で緩和することができるとともに、製造工程を容易なものとすることができる。なお、アンテナ12とベタパターン14a,14bとの間隔は、0.5mm~10mmが好ましい。
【0054】
また、ベース基材10が折り部15を介して折り畳まれているものの、折り部15を介した2つの領域10a,10bがコア基材30を介して粘着剤20aによって間接的に互いに貼着されていることにより、被検知体に取り付けられた状態にてアンテナ12が平面視にてベタパターン14a,14bによって確実に覆われた状態とすることができる。
【0055】
なお、本形態においては、検知用配線13a,13bのICチップ11に接続された端部とは反対側の端部がベース基材10の端辺にて表出していることで、検知用配線13a,13bの一部がベース基材10及び粘着剤20bから表出しているが、2本の検知用配線13a,13bが被検知体と短絡しない程度の小さな孔をベース基材10及び粘着剤20bに開けること等により、検知用配線13a,13bの一部をベース基材10及び粘着剤20bから表出させる構成としてもよい。
【0056】
(他の実施の形態)
図8及び図9は、本発明の非接触通信媒体の他の実施の形態を示す図であり、積層構造を示す。
【0057】
本発明の非接触通信媒体としては、図8に示す水分検知ラベル101も考えられる。
【0058】
本形態における水分検知ラベル101は図8に示すように、図1に示した水分検知ラベル1に対して、ベース基材110のアンテナ112及び検知用配線113a,113bが形成されるとともにICチップ111が搭載された面が外側となるようにベース基材110が折り部115を介して折り畳まれているとともに、ベース基材110の2つの領域110a,110bが粘着剤120aによって直接貼着されている点が異なるものである。なお、本形態においては、タック紙140が本願発明における保護層となり、ICチップ111及びアンテナ112がタック紙140によって覆われているとともに、粘着剤120bが本願発明における絶縁層となり、検知用配線113a,113bと被検知体とが短絡することが回避される。
【0059】
上記のように構成された水分検知ラベル101においても、検知用配線113a,113bが平面視にてアンテナ112を覆う形状のベタパターン114a,114bを具備するため、ベース基材110のベタパターン114a,114bが形成された領域110bが被検知体側となるように粘着剤120bによって被検知体に貼着されれば、被検知体とアンテナ112との間に、平面視にてアンテナ112を覆うベタパターン114a,114bが介在することとなり、被検知体が金属からなるものである場合に金属による非接触通信への影響を緩和することができる。その際、金属からなる被検知体による非接触通信への影響を緩和するためのベタパターン114a,114bが、検知用配線113a,113bの一部として形成されているとともに、この検知用配線113a,113bとアンテナ112とがベース基材110の同一面に形成されているため、金属に貼着された場合に金属による非接触通信への影響を簡易な構造で緩和することができるとともに、製造工程を容易なものとすることができる。また、このような構成においても、検知用配線113a,113bが、ベース基材110が折り畳まれることで積層された状態となる2つの領域110a,110bのうち被検知体側となる領域110bに形成されていることで、被検知体に水分が発生した場合に、発生した水分が検知用配線113a,113bの端部に付着しやすくなり、被検知体の状態を検知しやすくすることができる。
【0060】
また、ICチップ111及びアンテナ112が、ベース基材110が折り部115を介して折り畳まれた状態にて外側となる面に設けられているものの、タック紙140によって覆われているため、ICチップ111及びアンテナ112に外力が直接加わることが回避され、ICチップ111及びアンテナ112を保護することができる。すなわち、タック紙140は、ベース基材110の領域110aのうち、少なくともICチップ111及びアンテナ112を覆っていればよい。
【0061】
本発明の非接触通信媒体としては、図9に示す水分検知ラベル201も考えられる。
【0062】
本形態における水分検知ラベル201は図9に示すように、図8に示した水分検知ラベル101に対して、ベース基材210の領域210aにタック紙140が貼着されておらず、粘着剤220bが塗布されている点が異なるものである。なお、本形態においては、粘着剤220bが本願発明における保護層及び絶縁層となり、ICチップ111及びアンテナ112が粘着剤220bによって覆われているとともに、検知用配線213a,213bと被検知体とが短絡することが回避される。
【0063】
上記のように構成された水分検知ラベル201においても、検知用配線213a,213bが平面視にてアンテナ212を覆う形状のベタパターン214a,214bを具備するため、ベース基材210のベタパターン214a,214bが形成された領域210bが被検知体側となるように粘着剤220bによって被検知体に貼着されれば、被検知体とアンテナ212との間に、平面視にてアンテナ212を覆うベタパターン214a,214bが介在することとなり、被検知体が金属からなるものである場合に金属による非接触通信への影響を緩和することができる。その際、金属からなる被検知体による非接触通信への影響を緩和するためのベタパターン214a,214bが、検知用配線213の一部として形成されているとともに、この検知用配線213とアンテナ212とがベース基材210の同一面に形成されているため、金属に貼着された場合に金属による非接触通信への影響を簡易な構造で緩和することができるとともに、製造工程を容易なものとすることができる。また、このような構成においても、検知用配線213a,213bが、ベース基材210が折り畳まれることで積層された状態となる2つの領域210a,210bのうち被検知体側となる領域210bに形成されていることで、被検知体に水分が発生した場合に、発生した水分が検知用配線213a,213bの端部に付着しやすくなり、被検知体の状態を検知しやすくすることができる。
【0064】
なお、図8及び図9に示したものにおいては、2本の検知用配線113a,113b,213a,213bのそれぞれが、ICチップ111,211に接続された端部とは反対側の端部がベース基材110,210の端辺にて粘着剤120b,220bから表出していることで、被検知体に発生した水分がこの表出した端部に付着し、2本の検知用配線113a,113b,213a,213b間が導通状態となるが、2本の検知用配線113a,113b,213a,213bが被検知体と短絡しない程度の小さな孔を粘着剤120b,220bに開けたり、ベース基材110,210の領域110b,210bのうち検知用配線113a,113b,213a,213bが形成された面の一部に粘着剤120b,220bをライン状または領域110b,210bの折り部115,215とは反対側の端辺側に塗布しないようにしたりすることで検知用配線113a,113b,213a,213bの一部を表出させ、被検知体に水分が発生した場合に、発生した水分をこの表出した部分に付着させることで2本の検知用配線113a,113b,213a,213b間を導通状態としてもよい。ベース基材110,210の領域110b,210bの折り部115,215とは反対側の端辺側に塗布しないようにすることで検知用配線113a,113b,213a,213bの一部を表出させる構成においては、被検知体に水分が発生した場合に、水分の発生を早期に検知することができる。
【0065】
また、粘着剤120b,220bは、検知用配線113a,113b,213a,213bと被検知体とが短絡することを回避するためには、ベース基材110,210の領域110b,210bのうち、少なくとも検知用配線113a,113b,213a,213bを覆っていればよい。
【符号の説明】
【0066】
1,101,201 水分検知ラベル
2 配管
2a,2b パイプ部
3 ジョイント
4 接合部分
10,110,210 ベース基材
10a,10b,110a,110b,210a,210b 領域
11,111,211 ICチップ
12,112,212 アンテナ
13a,13b,113a,213a 検知用配線
14a,14b,114a,214a ベタパターン
15,115,215 折り部
20a,20b,120a,120b,220a,220b 粘着剤
30 コア基材
40,140 タック紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9