(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】サイドエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 21/207 20060101AFI20231218BHJP
B60R 21/237 20060101ALI20231218BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B60R21/207
B60R21/237
B60N2/42
(21)【出願番号】P 2020081095
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】東 英孝
(72)【発明者】
【氏名】南 雄太
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和弥
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102018115408(DE,A1)
【文献】国際公開第2010/053088(WO,A1)
【文献】特開2013-091421(JP,A)
【文献】特開2014-108740(JP,A)
【文献】特開2014-069729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用座席のシートバックの側部に取り付けられ、前記車両用座席に着座した乗員の側方、かつ前記車両用座席の車両幅方向内側に設けられたコンソールボックスの上方で膨張展開するサイドエアバッグ装置において、
前記シートバックの側部に取り付けられ、ガスを発生するインフレータと、
前記インフレータから発生したガスにより膨張展開する袋状のエアバッグと、を備え、
前記エアバッグは、前記シートバッ
クの側部から前記着座した乗員の側方に膨張展開し、前記着座した乗員を保護する本体部と、前記本体部に設けられ前記ガスが流入するガス流入部と、前記ガス流入部に対して前記車両幅方向内側に位置し、かつ前記コンソールボックスの上方で膨張展開する膨張突出部とを有し、
折り畳み完了状態における前記エアバッグの形状を規定し、かつ前記ガス流入部を含む領域を非折り畳み領域とすると、
前記エアバッグの折り畳みを一部解除して平面に広げた状態において、前記膨張突出部は、折り畳みラインに沿って前記本体部に重ねて折り畳まれており、
前記折り畳みラインは、前記非折り畳み領域と重畳しない
ことを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記エアバッグの折り畳みを一部解除して平面に広げた状態において、前記膨張突出部は、前記車両の前方に向かって折り畳まれていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記エアバッグの折り畳みを一部解除して平面に広げた状態において、前記膨張突出部は、前記車両の上方に向かって折り畳まれていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のサイドエアバッグ装置であって、
前記エアバッグの折り畳み完了状態において、前記エアバッグは、前記膨張突出部と前記本体部とを重ねて、前記車両の前方から後方に向かって更に折り畳まれていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドエアバッグ装置に関する。より詳しくは、自動車等の車両の衝突時に乗員の側方で膨張展開するサイドエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の衝突時に、乗員が車両幅方向内側に移動して、隣に着座した乗員と接触することを防止するサイドエアバッグ装置が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1の
図9には、中央コンソール32上で膨張する部分を有する、立体的に形成されたエアバッグ1を備えたエアバッグ装置が開示されている。エアバッグ1は、ガス膨張部6からサイドチャンバー9にガスが導入された後、中央チャンバー8及び他のサイドチャンバー9にガスが流入することで膨張展開する。
【0004】
サイドエアバッグ装置は、エアバッグが折り畳まれた状態で、車両用座席のシートバック(背もたれ部)等の車両部材に取り付けられており、エアバッグの畳み方は種々検討されている。例えば、特許文献2及び3には、一対のパネルが重ね合わされた状態で外縁部を縫い合わせて平面的に形成されたエアバッグを備えたエアバッグ装置が開示されており、エアバッグの上部分又は下部分を折り畳んだ後、車両後方に向かって、ロール折り又は蛇腹折りで折り畳む方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2019/228898号
【文献】国際公開第2015/166774号
【文献】国際公開第2016/035746号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サイドエアバッグ装置は、エアバッグが折り畳まれた状態で収納されており、車両の衝突時に、ガスにより折り畳みが解かれながら膨張展開する。特許文献1に開示されたような立体的に形成されたエアバッグを、特許文献2又は3に開示されたように折り畳むと、ガス膨張部6が配置されたサイドチャンバー9が車両幅方向に膨張した後、隣接する中央チャンバー8にガスが流入するため、車両前後方向又は車両上下方向への展開速度が損なわれることがあった。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、乗員を保護する本体部の車両幅方向内側に膨張突出部を有するエアバッグを備え、車両前後方向又は車両上下方向への膨張展開速度を損ない難いサイドエアバッグ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、車両用座席のシートバックの側部に取り付けられ、上記車両用座席に着座した乗員の側方、かつ上記車両用座席の車両幅方向内側に設けられたコンソールボックスの上方で膨張展開するサイドエアバッグ装置において、上記シートバックの側部に取り付けられ、ガスを発生するインフレータと、上記インフレータから発生したガスにより膨張展開する袋状のエアバッグと、を備え、上記エアバッグは、上記シートバッグの側部から上記着座した乗員の側方に膨張展開し、上記着座した乗員を保護する本体部と、上記本体部に設けられ上記ガスが流入するガス流入部と、上記ガス流入部に対して上記車両幅方向内側に位置し、かつ上記コンソールボックスの上方で膨張展開する膨張突出部とを有し、折り畳み完了状態における上記エアバッグの形状を規定し、かつ上記ガス流入部を含む領域を非折り畳み領域とすると、上記エアバッグの折り畳みを一部解除して平面に広げた状態において、上記膨張突出部は、折り畳みラインに沿って上記本体部に重ねて折り畳まれており、上記折り畳みラインは、上記非折り畳み領域と重畳しないサイドエアバッグ装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、乗員を保護する本体部の車両幅方向内側に膨張突出部を有するエアバッグを備え、車両前後方向又は車両上下方向への膨張展開速度を損ない難いサイドエアバッグ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1のサイドエアバッグ装置について、車両前方から見たときのエアバッグによる乗員拘束時の状態を示す模式図である。
【
図2】実施形態1のサイドエアバッグ装置について、車両側方から見たときのエアバッグによる乗員拘束時の状態を示す模式図である。
【
図3】実施形態1のサイドエアバッグ装置の膨張展開時の立体形状を模式的に示した斜視図である。
【
図4】実施形態1のサイドエアバッグ装置を車両用座席に搭載した状態を、車両側方から見たときの模式図である。
【
図5】
図4に示した取付状態のサイドエアバッグ装置を乗員側から見たときの模式図である。
【
図6】実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第1の図である。
【
図7A】実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第2の図である。
【
図8A】実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第3の図である。
【
図9】実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第4の図である。
【
図10】実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第5の図である。
【
図11】実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第6の図である。
【
図12】実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第7の図である。
【
図13A】実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第8の図である。
【
図14A】
図7Aに示した膨張突出部の折り畳み方法の変形例1を示した模式図である。
【
図15A】
図7Aに示した膨張突出部の折り畳み方法の変形例2を示した模式図である。
【
図16A】
図7Aに示した膨張突出部の折り畳み方法の変形例3を示した模式図である。
【
図17A】
図7Aに示した膨張突出部の折り畳み方法の変形例4を示した模式図である。
【
図18A】実施形態1に係るサイドエアバッグ装置が膨張展開する過程を説明する第1の図である。
【
図18B】実施形態1に係るサイドエアバッグ装置が膨張展開する過程を説明する第2の図である。
【
図18C】実施形態1に係るサイドエアバッグ装置が膨張展開する過程を説明する第3の図である。
【
図18D】実施形態1に係るサイドエアバッグ装置が膨張展開する過程を説明する第4の図である。
【
図19】実施形態2のサイドエアバッグ装置について、車両前方から見たときのエアバッグによる乗員拘束時の状態を示す模式図である。
【
図20】実施形態2に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第1の図である。
【
図21A】実施形態2に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第2の図である。
【
図22】実施形態2に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第3の図である。
【
図23A】実施形態2に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第4の図である。
【
図24A】実施形態2に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第5の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中の方向に関する記載は、特に断りのない限り、車両を基準としたものであり、例えば、「前方」は車両前方向を示し、「後方」は車両後方向を示し、「上方」は車両上方向を示し、「下方」は車両下方向を示し、「側方」は車両幅方向における内側方向を示す。また、各図中に適宜示される矢印FRは車両前方向を示し、矢印REは車両後方向を示し、矢印UPは車両上方向を示し、矢印DOWNは車両下方向を示し、矢印INは車両幅方向における内側方向を示し、矢印OUTは車両幅方向における外側方向を示す。なお、車両用座席の内部に配置される部材は、車両用座席を透視した状態で図示されている。
【0012】
[実施形態1]
本発明の実施形態1のサイドエアバッグ装置について、図面を参照して以下に説明する。
図1は、実施形態1のサイドエアバッグ装置について、車両前方から見たときのエアバッグによる乗員拘束時の状態を示す模式図である。
図2は、実施形態1のサイドエアバッグ装置について、車両側方から見たときのエアバッグによる乗員拘束時の状態を示す模式図である。
図3は、実施形態1のサイドエアバッグ装置の膨張展開時の立体形状を模式的に示した斜視図である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、実施形態1のサイドエアバッグ装置1は、車両用座席(車両のシート)50に着座した乗員40の側方、かつ車両用座席50の車両幅方向内側に設けられたコンソールボックス60の上方で膨張展開する。実施形態1のサイドエアバッグ装置1は、インフレータ3とエアバッグ2とを備え、車両用座席50のシートバック(背もたれ部)51の側部(車両幅方向内側の側部)に取り付けられている。車両用座席50としては、例えば、車両の運転席、助手席等が想定される。
【0014】
車両が障害物(例えば、別の車両)と衝突し、インフレータ3が作動すると、インフレータ3からガスが発生する。上記衝突としては、車両の側面から障害物と衝突する側面衝突、車両の斜め前方向から障害物と衝突する斜め衝突等が挙げられる。上記側面衝突は、具体的には、
図1に示した車両側壁70と車両幅方向において対向する車両側壁(車両用座席50が運転席である場合、助手席の車両幅方向外側に位置する車体部分)に障害物が衝突する。
【0015】
インフレータ3から発生したガスが、エアバッグ2の内部に導入され、エアバッグ2は、その折り畳みが解かれながら膨張する。膨張したエアバッグ2から加わる力によってシートバック51の表皮が破られると、
図1及び
図2に示すように、エアバッグ2は、車両用座席50に着座した乗員40の側方、かつコンソールボックス60の上方で膨張展開し、乗員40の側部を保護する。このように膨張展開するエアバッグ2は、ファーサイドエアバッグとも呼ばれる。
【0016】
本発明の実施形態の説明に用いる図面では、国際統一側面衝突ダミー(World-SID:World Side Impact Dummy)40が車両用座席50に着座している。国際統一側面衝突ダミー40の着座姿勢は、現在、日本及び欧州で採用されている側面衝突試験法(ECE R95)、又は、米国で採用されている側面衝突試験法(FMVSS214)で定められたものである。エアバッグ2の膨張展開時(以下、単に、膨張展開時とも言う)の位置及び大きさは、
図1に示すような国際統一側面衝突ダミー40の胴体41、腰部42、頭部43、腕部44、肩部45等の位置に応じて設定される。上記国際統一側面衝突ダミー40を「乗員40」と称する。
【0017】
エアバッグ2は、インフレータ3のガスにより膨張展開する袋状のエアバッグである。
図1及び
図3に示したように、エアバッグ2は、本体部20と、ガス流入部(インフレータ取付部10)と、膨張突出部21とを有する。本体部20は、シートバッグ51の側部から着座した乗員40の側方に膨張展開し、着座した乗員40を保護する。上記ガス流入部は、インフレータ3から発生したガスが流入する部分であり、本体部20に設けられる。インフレータ3は、全体がエアバッグ2の内部に配置されてもよいし、エアバッグ2の外部に配置されてもよい。上記ガス流入部は、インフレータ3全体がエアバッグ2の内部に配置される場合は、
図3に示したように、エアバッグ2内部のインフレータ3が取り付けられた部分(インフレータ取付部10)を指し、インフレータ3がエアバッグ2の外部に配置される場合は、インフレータ3のガス噴出孔11がエアバッグ2と連通する部分を指す。
【0018】
本体部20は、膨張突出部21と連通することが好ましい。エアバッグ2は、区切られていない単一の気室であってもよく、本体部20と膨張突出部21は、それぞれ、上記単一の気室の一部分であってもよい。本体部20と膨張突出部21とは、少なくとも一部が連通していることが好ましく、例えば、単一の袋状のエアバッグの内部が異なる複数の気室に区切られ、本体部20及び膨張突出部21は、それぞれ異なる気室を含んでもよい。また、エアバッグ2が複数の袋状のエアバッグを含んでもよい。
【0019】
以下では、エアバッグ2が区切られていない単一の気室を内部に有し、本体部20と膨張突出部21とが、それぞれ、上記単一の気室の一部分である場合を例示する。
図1及び
図3に示したように、本体部20には、ガス流入部(インフレータ取付部10)が配置される。本体部20は、乗員40の胴体41の側方で膨張展開する第1膨張部20aと、乗員40の頭部43の側方で膨張展開する第2膨張部20bとを有してもよい。上記ガス流入部は、本体部20の下方部分である第1膨張部20aに設けられてもよい。第1膨張部20aにガス流入部が配置されることで、エアバッグ2は、第1膨張部20aから膨張展開を始める。第2膨張部20bは、第1膨張部20aと少なくとも一部が連通していることが好ましく、第1膨張部20aから流入したガスにより乗員40の頭部43の側方で膨張展開する。第2膨張部20bは、乗員40の頭部43を受け止めることが好ましい。第2膨張部20bの平面部で乗員40の頭部43を受け止めてもよいし、第2膨張部20bの上端が乗員40の頭部43を受け止めてもよい。
【0020】
膨張突出部21は、本体部20のガス流入部(インフレータ取付部10)に対して車両幅方向内側に位置し、かつコンソールボックス60の上方で膨張展開する部分である。膨張突出部21は、乗員40の反対側で車両幅方向の中央に向かって膨張する突出部でもある。
図1に示したように、膨張突出部21は、コンソールボックス60の上方で膨張展開し、かつコンソールボックス60の上面と接する。膨張突出部21は、コンソールボックス60の上面に沿って、コンソールボックス60の上面と接しながら乗員40側から車両幅方向の中央側に向かって膨張展開することが好ましい。膨張突出部21は、車両前方から観察した場合、コンソールボックス60を超えて、車両幅方向中央側まで膨張展開することが好ましい。膨張突出部21は、膨張展開時にコンソールボックス60の上面でエアバッグ2を支えられる程度に、コンソールボックス60の上面と重畳していればよいが、車両幅方向においてコンソールボックス60を覆うことが好ましい。膨張突出部21は、車両幅方向において、インフレータ取付部10と対向する位置に配置されてもよい。
【0021】
エアバッグ2は、例えば、膨張展開時に乗員40側に配置される乗員側パネル23と、乗員側パネル23と対向して配置される中央側パネル24と、乗員側パネル23の外周縁と中央側パネル24の外周縁とを連結する連結パネル25とを有する。中央側パネル24は、膨張展開時に車両幅方向内側に配置される。膨張展開時には、乗員側パネル23、中央側パネル24及び連結パネル25に囲まれた気室が形成される。連結パネル25は、一つの帯状のパネルであってもよいし、複数のパネルが繋ぎ合わされたものであってもよい。
【0022】
膨張展開時にエアバッグ2の下方に位置する連結パネル25の幅は、膨張展開時にエアバッグ2の上方に位置する連結パネル25の幅よりも広いことが好ましい。膨張展開時において、膨張突出部21の車両幅方向における幅を、本体部20の上方部分である第2膨張部20bの車両幅方向における幅よりも広くすることができる。
【0023】
乗員側パネル23の一部と中央側パネル24の一部とは、縫い合わせ部26により互いに縫い合わされてもよい。縫い合わせ部26を設けることで、車両幅方向における膨張展開時のエアバッグ2の厚みを調整することができる。乗員側パネル23には、インフレータ3が取り付けられるインフレータ取付孔22が設けられてもよいし、インフレータをエアバッグの内部に挿入するための切込み28が形成されてもよい。
【0024】
インフレータ3は、シートバック51の側部に取り付けられ、ガスを発生する。インフレータ3は、車両の衝突時に作動する。具体的には、まず、車両に搭載された衝突検知センサが車両の衝突を検知すると、衝突検知センサから送られた信号をECU(Electronic Control Unit)が演算し、衝突のレベルが判定される。判定された衝突のレベルがエアバッグ2を膨張させる場合に該当すると、インフレータ3が着火され、燃焼による化学反応でガスが発生する。その結果、インフレータ3から発生したガスは、ガス噴出孔11からエアバッグ2に導入されることになる。
【0025】
インフレータ3は、例えば、シリンダー状(円柱状)のガス発生装置であり、シートバック51の延在方向(高さ方向)に沿って配置されている。インフレータ3の上部及び下部からは一対のボルト12が突出しており、一対のボルト12を、エアバッグ2に設けられたインフレータ取付孔22を通じて、シートバック51の側部(例えば、サイドフレーム52)に固定されている。
【0026】
インフレータ3の種類としては、特に限定されず、例えば、ガス発生剤を燃焼させて発生するガスを利用するパイロ式インフレータ、圧縮ガスを利用するストアード式インフレータ、ガス発生剤を燃焼させて発生するガスと圧縮ガスとの混合ガスを利用するハイブリッド式インフレータ等が挙げられる。
【0027】
コンソールボックス60は、車両用座席50の車両幅方向内側に設けられている。例えば、コンソールボックス60は、車内の車両幅方向中央部において、運転席と助手席との間に設けられている。コンソールボックス60は、乗員40の車両幅方向内側の腕部44を支持する肘掛け部(アームレスト部)として機能してもよい。
【0028】
車両側壁70としては、車両用座席50に着座した乗員40の車両幅方向外側(コンソールボックス60とは反対側)に位置する車体部分であれば特に限定されず、サイドドア、ピラー、サイドウインドウ等を総称している。
【0029】
図4は、実施形態1のサイドエアバッグ装置を車両用座席に搭載した状態を、車両側方から見たときの模式図である。
図5は、
図4に示した取付状態のサイドエアバッグ装置を乗員側から見たときの模式図である。
図4に示したように、エアバッグ2は、膨張展開前においてシートバック51の側部(例えば、サイドフレーム52)に折り畳まれた状態(折り畳み完了状態)で固定され、クッションパッドとともにシートバック51の表皮に覆われて収納されている。折り畳み完了状態におけるエアバッグの形状を規定し、かつガス流入部(インフレータ取付部10)を含む領域を、非折り畳み領域29という。
【0030】
以下に、
図6~
図13B用いて、実施形態1のエアバッグ装置におけるエアバッグ2の折り畳み方法について説明する。
図6、
図7A、
図8A、
図9~
図12及び
図13Aは、各図の正面が、サイドエアバッグ装置1をシートバック51の側部に取り付けた状態における車両幅方向内側となるように、エアバッグ2が配置されている。
【0031】
まず、連結パネル25を乗員側パネル23と中央側パネル24の外周縁よりも外方に突出させるように折り畳む。乗員側パネル23と中央側パネル24との間に、連結パネル25を入れ込んでもよい。
図6は、実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第1の図である。
図6では、膨張展開時に車両幅方向内側に配置される中央側パネル24が表、膨張展開時に乗員40側に配置される乗員側パネル23が裏となるように、エアバッグ2が配置されている。エアバッグ2の第1膨張部20aは下方DOWNに位置し、第2膨張部20bは上方UPに位置する。連結パネル25のうち、膨張突出部21を構成する部分は、乗員側パネル23と中央側パネル24との間に入れ込まず、次工程で折り畳む。
【0032】
次に、膨張突出部21を折り畳む。
図7Aは、実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第2の図である。
図7Aは、エアバッグ2の折り畳みを一部解除して平面に広げた状態である。
図7A中、
図5に示したエアバッグ2の折り畳み完了状態における非折り畳み領域29に対応する領域を、網掛け部分で表した。
図7B、
図7C及び
図7Dは、それぞれ
図7Aに示したX1-X2線、Y1-Y2線、Z1-Z2線における断面図である。点線Lは、膨張突出部21を平たく折り畳む際の折り畳みラインであり、
図7A~
図7Cに示したように、膨張突出部21は、折り畳みラインLに沿って本体部20に重ねて折り畳まれている。
図7B及び
図7Cに示したように、折り畳みラインLにより、膨張突出部21と本体部20とが区切られている。本体部20に配置されたガス流入部からガスが流入すると、折り畳みラインLから、膨張突出部21にガスが流入する。非折り畳み領域29は、折り畳み完了状態においてガス流入部を含む領域であるため、エアバッグ2が膨らみ始める膨張展開の初期段階では、まず非折り畳み領域29にガスが充満し、その後、エアバッグ2の折り畳みが解かれて、車両前後方向又は車両上下方向へ膨張展開する。
図7A及び
図7Dに示したように、折り畳みラインLが、非折り畳み領域29と重畳しないため、エアバッグ2の膨張展開の初期段階でガスが膨張突出部21に流入し難いため、本体部20の車両前後方向又は車両上下方向への膨張展開速度を早くすることができる。
【0033】
エアバッグの折り畳みを一部解除して平面に広げた状態で、折り畳みラインLが非折り畳み領域29と重畳しなければよく、膨張突出部21は、例えば、
図7Aに示したように、車両の前方FRに向かって折り畳まれていてもよく、車両の上方UPに向かって折り畳まれてもよい。また、膨張突出部21は、エアバッグ2の折り畳みを一部解除して平面に広げた状態において、車両の前方FRかつ上方UPに向かって、すなわち、車両の斜め前方に折り畳まれていてもよい。
【0034】
膨張突出部21を折り畳んだ後のエアバッグ2の折り畳み方としては、車両上下方向に折り畳んだ後に、車両前後方向に折り畳んでもよいし、車両前後方向に折り畳んだ後に、車両上下方向に折り畳んでもよい。いずれの畳み方でも、エアバッグ2の折り畳み完了状態において、エアバッグ2は、膨張突出部21と本体部20とを重ねて、上記車両の前方FRから後方REに向かって更に折り畳まれていることが好ましい。折り畳みラインLが、非折り畳み領域29と重畳しないことで、車両上下方向に折り畳んだ後に、車両前後方向に折り畳んだ場合には、本体部20の車両前後方向への膨張展開速度を早くすることができ、車両前後方向に折り畳んだ後に、車両上下方向に折り畳んだ場合には、本体部20の車両上下方向への膨張展開速度を早くすることができる。
【0035】
以下に、車両上下方向に折り畳んだ後に、車両前後方向に折り畳む方法の一例を説明する。
図8Aは、実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第3の図である。
図8Bは、
図8Aに示したA1-A2線における断面図である。
図8Aに示したように、本体部20は、膨張展開時に車両幅方向内側に配置される中央側パネル24側において、車両の上方UPから下方DOWNに向かって折り畳まれる。本体部20の上方部分である第2膨張部20bが
図8Aの正面、すなわち、車両幅方向内側に配置されるように、膨張突出部21に重ねて折り畳まれる。このように、折り畳むことで、エアバッグ2の折り畳み完了状態において、本体部20は、膨張突出部21よりも車両幅方向内側に配置されるように、膨張突出部21に対して、重ねて折り畳まれる。本体部20は、少なくとも膨張突出部21の一部と重なっていることが好ましい。なお、
図8A及び
図8Bに示したように、本体部20の下方を、上方に向かって折り上げることで、エアバッグ2の折り畳み完了状態における、車両上下方向の長さを調整してもよい。上記本体部20の下方を上方に向かって折り上げた折り返しラインは、
図7Aに示したように、非折り畳み領域29の下端(車両下方側の端部)であってもよい。
【0036】
インフレータ取付部10が本体部の下方部分である第1膨張部20aに配置されている場合、膨張展開時には、第2膨張部20bに先んじて第1膨張部20aが膨張する。第2膨張部20bを第1膨張部20aに重ねて折り畳むことで、第1膨張部20aが、重なっている第2膨張部20bを車両上方に向かって押し上げながら膨張展開するため、第2膨張部20bを車両上方に向かって膨張展開することができる。また、第1膨張部20a及び第2膨張部20bが、乗員40に対して車両幅方向内側、言い換えると、乗員40の反対側で折り畳まれていることで、膨張展開時にエアバッグ2が、乗員40とコンソールボックス60との間に挟まらないようにすることができる。また、本体部20が膨張展開し始めてから、膨張突出部21にガスが流入し始めるため、車両前後方向への展開速度が損なわれ難い。膨張突出部21は、コンソールボックス60の上面に沿って、コンソールボックス60の上面と接するように膨張展開する。
【0037】
エアバッグ2は、第2膨張部20bを車両の下方DOWNに向かって、第1膨張部20aと重なるように折り返す第1折り返しライン30を有することが好ましい。第2膨張部20bは、第1折り返しライン30によって、第1膨張部20aに対して重ねて折り畳まれている。なお、第1膨張部20aと第2膨張部20bとの境界と、第1折り返しライン30とは一致していなくてもよい。第1折り返しライン30は、
図7Aに示したように、非折り畳み領域29の上端(車両上方側の端部)であってもよい。
【0038】
図9は、実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第4の図である。
図9に示したように、サイドエアバッグ装置1は、エアバッグ2の折り畳み完了状態において、本体部20と膨張突出部21とが、互いに重なった状態で、車両の前方FRから車両の後方REに向かって更に折り畳まれていることが好ましい。すなわち、エアバッグ2は、本体部20と膨張突出部21とを、車両の前方FRから車両の後方REに向かって折り返す第2折り返しライン31aを有することが好ましい。これにより、車両の前方FRから車両の後方REへの折り畳み回数を減らすことができる。本体部20と膨張突出部21とは、互いに少なくとも一部が重なっていればよい。
【0039】
図10、
図11、
図12及び
図13Aは、それぞれ実施形態1に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第5~第8の図である。
図13Bは、
図13Aに示したB1-B2線における断面図である。エアバッグ2は、第2折り返しライン31aによって、少なくとも1回、車両の前方FRから車両の後方REに向かって折り畳まれていればよいが、第2折り返しライン31aで折り返した後、
図10~
図13Aに示したように、更に、複数回、本体部20と膨張突出部21とを車両の前方から車両の後方に向かって折り返してもよい。
図10~
図13Aでは、車両の前方から車両の後方に向かって、第2折り返しライン31b、第2折り返しライン31c、第2折り返しライン31d及び第2折り返しライン31eで折り返す場合を例示した。第2折り返しライン31aで折り返した後の折り畳み方は特に限定されず、折り畳み回数が異なってもよいし、車両の前方から車両の後方に向かって蛇腹折りで折り畳んでもよいし、
図13Bに示したように、車両の前方から車両の後方に向かってロール折りで折り畳んでもよい。
【0040】
図13A及び
図13Bは、エアバッグ2の折り畳み完了状態を表す。エアバッグ2は、
図13A及び
図13Bに示した折り畳み完了状態で、シートバッグ51の側部に取り付けられる。膨張突出部21は、
図13Bのロール折り部分に含まれており、サイドエアバッグ装置1の取付状態において、エアバッグ2は、膨張突出部21がガス流入部(インフレータ取付部10)と重畳しないように折り畳まれてもよいし、膨張突出部21がロール折り部分に含まれた状態で、ガス流入部と重畳していてもよい。
【0041】
【0042】
【0043】
第1折り返しライン30は、乗員40の肩部45(乗員40の肩部45の中心(国際統一側面衝突ダミーの肩の回転中心))より下方に設けられていることが好ましい。第1折り返しライン30を、乗員40の肩部45の中心より下方に設けることで、第1膨張部20aは、乗員40の腕部44の下方に沿って膨張展開する。第2膨張部20bは、第1膨張部20aと反発して、上方へ押し上げられるように膨張展開するため、第2膨張部20bが乗員40側に押し付けられながら、乗員40の腕部44及び肩部45の側部に沿って、膨張展開する。
【0044】
第1折り返しライン30は、コンソールボックス60の上面よりも上方に設けられていることが好ましい。第1折り返しライン30をコンソールボックス60の上面よりも上方に設けることで、エアバッグ2が膨張展開する際に、乗員40とコンソールボックス60との間に挟まれ難くすることができる。
【0045】
以下に、
図18A~
図18D及び
図1を用いて、サイドエアバッグ装置1が膨張展開する過程を説明する。
図18A~
図18Dは、実施形態1に係るサイドエアバッグ装置が膨張展開する過程を説明する第1~第4の図である。車両が障害物と衝突し、インフレータ3が作動すると、インフレータ3から発生したガスが、インフレータ3が取り付けられたガス流入部から本体部20に導入され、
図13A及び
図13Bに示した非折り畳み領域29にガスが充満する。膨張突出部21を折り畳んだ折り畳みラインLは、
図7A及び
図7Dに示したように、非折り畳み領域29と重畳しないため、ガスは膨張突出部21に流入せずに、本体部20に流入する。本体部20にガスが導入されると、
図13A及び
図13Bに示したロール折り部の折り畳みが解かれ、ロール折りが解かれた部分の本体部20(第1膨張部20a)にガスが流入し、膨張し始める。膨張したエアバッグ2から加わる力によって、シートバック51の表皮が破られ、その後、
図18Aに示したように、エアバッグ2は折り畳みが解けた部分から順に車両前方へと膨張展開し始める。
【0046】
図18Bに示したように、第1膨張部20aは、乗員40の胴体41の側方で膨張展開する。第1膨張部20aは、折り畳み完了状態において、第1膨張部20aと重なっていた第2膨張部20bを押し上げながら膨張展開する。本体部20が膨張展開し始めると、
図7Aに示した折り畳みラインLから膨張突出部21にガスが流入し、コンソールボックス60の上面と接するように膨張展開し始める。折り畳みラインLが非折り畳み領域29と重畳しないことで、膨張突出部21よりも先に本体部20が膨張展開するため、本体部20の車両前後方向への膨張展開速度を早くすることができる。また、折り畳みラインL及び膨張突出部21がロール折り部分に含まれていることで、膨張突出部21が膨張しにくくなり、より本体部20の車両前後方向への膨張展開速度を早くすることができる。
【0047】
図18Cに示したように、第2膨張部20bは、第1膨張部20aから流入したガスにより、第1膨張部20aに次いで膨張展開する。膨張突出部21がコンソールボックス60の上面と接することで、第2膨張部20bは、コンソールボックス60に支えられた第1膨張部20aと反発し、車両上方に向かって膨張展開する。
【0048】
図18Dに示したように、コンソールボックス60に支えられた第1膨張部20aと反発して、第2膨張部20bは、乗員40に押し付けられながら、乗員40の腕部44及び肩部45に沿って更に車両上方に膨張展開する。第2膨張部20bが、乗員40の腕部44及び肩部45をかわすように車両幅方向内側から膨張展開するため、乗員40の腕部44によってエアバッグ2が跳ね上げられることを抑制することができる。
【0049】
その後、
図1に示したように、エアバッグ2は、第1膨張部20aで乗員40の胴体41の側部を受け止め、第2膨張部20bで乗員40の頭部43を受け止める。膨張突出部21がコンソールボックス60の上面と接することで、エアバッグ2は、車両下方向又は車両幅方向における内側方向に逸れ難い。かつ、第2膨張部20bが、乗員40の腕部44を拘束するため、充分に乗員40を拘束することができる。
【0050】
[実施形態2]
実施形態2のサイドエアバッグ装置は、エアバッグが複数の袋状のエアバッグを含む。
図19は、実施形態2のサイドエアバッグ装置について、車両前方から見たときのエアバッグによる乗員拘束時の状態を示す模式図である。
図19に示したように、実施形態2のエアバッグ装置において、エアバッグ2は、第1膨張部20a及び第2膨張部20bを含み、第1膨張部20a及び第2膨張部20bは、それぞれ異なる袋状のエアバッグである。本体部20の下方部分である第1膨張部20aにガス流入部(インフレータ取付部10)が配置され、膨張突出部21は、第1膨張部20aに対して車両幅方向内側に位置される。
図19及び後述する
図21Bに示したように、第1膨張部20aと第2膨張部20bとは、ガス流通孔27により、連通している。膨張展開時には、インフレータ3から発生したガスにより第1膨張部20aが膨張展開し、ガス流通孔27を通じて第2膨張部20bにガスが流入することで、第2膨張部20bが膨張展開する。
【0051】
第1膨張部20aは、実施形態1と同様に、乗員側パネル23と、中央側パネル24と、連結パネル25とを有してもよい。第2膨張部20bは、膨張展開時に乗員40側に配置される乗員側パネル123と、乗員側パネル23と対向して配置される中央側パネル124とを有してもよい。
【0052】
以下に、
図20~
図24Cを用いて、実施形態2のエアバッグ装置におけるエアバッグ2の折り畳み方法について説明する。実施形態2では、車両前後方向に折り畳んだ後に、車両上下方向に折り畳む方法の一例を説明する。
図20~
図24Cは、実施形態2に係るエアバッグの折り畳み過程を説明する第1~第5の図である。
図20、
図21A、
図22、
図23A及び
図24Aでは、各図の正面が、サイドエアバッグ装置1をシートバック51の側部に取り付けた状態における車両幅方向内側となるように、エアバッグ2が配置されている。
【0053】
実施形態2では、第1膨張部20aを構成する袋状のエアバッグと、第2膨張部20bを構成する袋状のエアバッグとが重ねて縫い合わされている。
図20に示したように、第1膨張部20aを表側に配置した場合、裏側に位置する第2膨張部20bを、下方から上方に向かって折り上げる。
【0054】
次に、膨張突出部21を折り畳む。
図21A~
図21Cに示したように、第1膨張部20aの一部21を平たく折り畳んでもよい。
図21A~
図21Cに示した折り畳み方は、実施形態1の変形例1に対応する折り畳み方である。
図21B及び
図21Cは、それぞれ
図21Aに示したX1-X2線、Y1-Y2線における断面図である。膨張突出部21は、折り畳みラインLに沿って本体部20に重ねて折り畳まれており、折り畳みラインLは、非折り畳み領域29と重畳しない。
【0055】
エアバッグ2を車両前後方向に折り畳む前に、
図22に示したように、畳み状態におけるエアバッグ装置1の車両上下方向の長さを調整するために、第1膨張部20aの下方を上方に向かって折り上げてもよい。
【0056】
図23Aに示したように、本体部20と膨張突出部21とが、互いに重なった状態で、車両の前方FRから車両の後方REに向かって折り畳む。
図23Bは、
図23Aに示したC1-C2線における断面図である。折り畳み方は特に限定されず、
図23Bに示したように、ロール折りでもよいし、蛇腹折りでもよい。
【0057】
次に、エアバッグ2を上下方向に折り畳む。
図24Bは、
図24Aに示したD1-D2線における断面図である。
図24Cは、
図24Aに示したE1-E2線における断面図である。
図24A及び
図24Bでは、エアバッグ2の上方部分である第2膨張部20bを車両上方UPから下方DOWNに向かって折り畳んだ後、更に、車両下方DOWNから上方UPに向かって折り畳んでいる。エアバッグ2は、
図24A~
図24Cに示した折り畳み完了状態で、シートバッグ51の側部に取り付けられる。膨張突出部21は、本体部20と重ねて折り畳まれており、
図24A及び
図24Cに示したように、サイドエアバッグ装置1の取付状態において、エアバッグ2は、膨張突出部21がロール折り部分に含まれ、膨張突出部21がガス流入部(インフレータ取付部10)と重畳しないように折り畳まれてもよいし、膨張突出部21がロール折り部分に含まれた状態で、ガス流入部と重畳していてもよい。そのため、インフレータ3からガスが発生すると、膨張突出部21よりも先に第1膨張部20aが膨張展開し、エアバッグ2の折り畳みが車両上下方向へ解けながら膨張展開するため、本体部20の車両上下方向への膨張展開速度を早くすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1:サイドエアバッグ装置
2:エアバッグ
3:インフレータ
10:インフレータ取付部
11:ガス噴出孔
12:ボルト
20:本体部
20a:第1膨張部
20b:第2膨張部
21:膨張突出部
22:インフレータ取付孔
23、123:乗員側パネル
24、124:中央側パネル
25:連結パネル
26:縫い合わせ部
27;ガス流入孔
28:切込み
29:非折り畳み領域
30:第1折り返しライン
31a、31b、31c、31d、31e:第2折り返しライン
40:乗員(国際統一側面衝突ダミー)
41:胴体
42:腰部
43:頭部
44:腕部
45:肩部
50:車両用座席
51:シートバック(背もたれ部)
52:サイドフレーム
60:コンソールボックス
70:車両側壁
L:折り畳みライン