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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】簡易構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20231218BHJP
   E04C 2/38 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
E04B1/343 R
E04C2/38 P
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020098666
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021191925
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】利根川 勝
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中村 知朗
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-167203(JP,U)
【文献】特開平11-324181(JP,A)
【文献】米国特許第04910932(US,A)
【文献】特開2000-136567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04C 2/38
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
桁と、側面パネルの上枠とを備え、
側面パネルの上枠は、上部に上部係合部を有し、
桁は、外側上部に上部被係合部を有し、
桁の上部被係合部に側面パネルの上枠の上部係合部が係合することで、桁の外側に側面パネル上枠が取り付けられていることを特徴とする簡易構造物。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
簡易構造物は、例えば、下記非特許文献1に記載されているように、通路シェルタが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社三協アルミ社が2016年6月に発行したカタログ。「パブリックエクステリアカタログ2016(STX1018B)」p.186.187に記載された通路シェルタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載された簡易構造物は、上下桟を柱に取付け、縦桟を取り付け、順にパネルを置いていき、パネル押さえで押さえて施工していたため、施工性が悪いものであり、施工性が改善された簡易構造物が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために請求項1記載による簡易構造物は、桁と、側面パネルの上枠とを備え、側面パネルの上枠は、上部に上部係合部を有し、桁は、外側上部に上部被係合部を有し、桁の上部被係合部に側面パネルの上枠の上部係合部が係合することで、桁の外側に側面パネル上枠が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上の構成により、施工性が改善された簡易構造物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る実施形態の簡易構造物の正面図である。
図2図1の側面図である。
図3図1の(3)-(3)線における一部切欠拡大断面図である。
図4図1の(4)-(4)線における一部切欠拡大断面図である。
図5図4の左側の拡大図である。
図6図4の右側の拡大図である。
図7図3の左側の拡大図である。
図8】側面パネルの取付け方法を示す説明図である。
図9】側面パネルの取付け方法を示す説明図である。
図10】側面パネルの取付け方法を示す説明図である。
図11図3の(11)-(11)線拡大断面図である。
図12】照明ユニットの取付け方法を示す説明図であり、上段が照明ユニット取付側を示し、下段が垂木端部側を示す。
図13】第1カバーと、第2カバーと、照明ユニットの分解図である。
図14】照明ユニットの他の取付け構成を示す断面図。
図15図14の(15)-(15)線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の簡易構造物Aを説明する。
【0009】
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0010】
本明細書では、簡易構造物Aについて通路シェルタを例示しているが、本発明の簡易構造物Aは、通路シェルタの他に、カーポートやサイクルポート等にも適用できる。
【0011】
[簡易構造物の構成]
簡易構造物Aは、図1および図2に示すように、支柱1の上方に屋根パネル2が取り付けられており、支柱1の前側に複数の側面パネル3が配置されている。
屋根パネル2は、図3に示すように、前後の支柱1に取り付けられた前桁4と後桁5の間に架け渡すように取り付けられた垂木6の上方に取り付けられている。
側面パネル3は、図1および図2に示すように、支柱1の外側で上枠aと下枠bおよび左枠cと右枠dで支持されている。
前桁4と後桁5は、長手方向(左右方向)が簡易構造物の左右方向の略全長にわたる長さとして、支柱1の上端に載置固定されている。
垂木6は、図2および図3において上方が膨らんだ円弧状に形成されており、この垂木6の上面に上方が膨らんだ円弧状に形成された屋根パネル2が載置固定されている。
垂木6の下方には、図3に示すように、照明ユニット7が取り付けられており、屋根パネル2の下方の通路A1を照らすようにされている。
【0012】
[側面パネルの構成]
側面パネル3は、図1に示すように、パネル31と、上桟32と、下桟33と、左縦桟34と、右縦桟35を有した一つのユニットにされている。
パネル31の左右には、図1図5図6に示すように、それぞれ左縦桟34と右縦桟35が取り付けられている。
パネルの上下には、図1図7に示すように、それぞれ上桟32と下桟33が取り付けられている。
図5図6図8図9に示すように、左縦桟(一方の縦桟)34の端部には、係合凸部34aが設けられ、右縦桟(他方の縦桟)35の端部には、係合凸部34aが凹凸係合する係合凹部35aが設けられている。
係合凸部34aと係合凹部35aとの凹凸係合により、複数の側面パネル3が左右方向で連結されている。
係合凸部34aおよび係合凹部35aは、図5および図6に示すように、側面パネル3の厚み方向の中心線を軸として対称となる位置として2か所設けられており、かつ左右方向で向かい合った状態で正対するように設けられている。
さらに、係合凸部34aおよび係合凹部35aは、互いに凹凸係合した状態において、隣り合う側面パネル3の前側の面同士およびと後側の面同士が面一となる位置に設けられている。
また、係合凹部35aの幅は、係合凸部34aの幅よりも大きな幅にされており、これによって、係合凸部34aの係合状態において、係合凹部35aに係合凸部34aと隣接する縦方向の隙間ができるため、左縦桟34と右縦桟35の間に雨水が侵入した場合でも隙間から下桟33に排水できる。
また、最も左側の側面パネル3は、左枠cに対してねじ止めにより固定され、最も右側の側面パネル3は、右枠dに対してねじ止により固定されている。
左枠cには、複数連結された側面パネル3における最端部に位置する左縦桟34の係合凸部34aが自在に呑み込まれる凹所c1が設けられており、この凹所c1に係合凸部34aが呑み込まれるようにされている。
右枠dは、左枠cと同一形状であり、左枠cの凹所c1と同じ形状の凹所d1が形成されており、左右いずれにも使用できるようにされている。
図6に示すように、右枠dと右縦桟35との連結の場合、右枠dの凹所d1と右縦桟35の係合凹部35aが向かい合い、かつ右枠dと右縦桟35とが当接した状態でねじ止めにより固定される。
前述のように、左枠cと右枠dとが同一形状であるため、側面パネル3の係合凸部34aと係合凹部35aとが左右いずれにあっても、側面パネル3を左枠cと右枠dに固定することができる。
すなわち、側面パネル3を凹所c1または凹所d1側に係合凸部34aが位置する状態とした場合には、凹所c1または凹所d1に係合凸部34aが呑み込まれた状態で左枠cまたは右枠dに固定される。
また、側面パネル3を凹所c1または凹所d1側に係合凹部35aが位置する状態とした場合には、凹所c1または凹所d1と係合凹部35aとが向かい合った状態で左枠cまたは右枠dに固定される。
なお、左枠cと右枠dとは、互いに同一形状である形態に限るものではなく、それぞれの凹所c1、d1の配置位置が、係合凸部34aを呑み込める位置に配置された形態であればよい。
【0013】
このような、側面パネル3は、図8および図9に示すように、上枠aと下枠bに対して一枚ずつけんどんにより呑み込ませて、右側の側面パネル3の係合凸部34aに左側で隣り合う側面パネル3の係合凹部35aを係合させ、これを順次行うことで、複数の側面パネル3を連結できる。
側面パネル3は、側面パネル3の厚み方向の中心線を軸として対称となる位置として2か所設けられているため、左右逆向きでも同じく取り付けることができる。
側面パネル3の連結終了後には、側面パネル3における最端部に位置する左縦桟34に左枠cを配置し、左縦桟34の係合凸部34aを左枠cの凹所c1に呑み込ませた状態で、ねじ止めにより、側面パネル3に左枠cを固定することができる。
また、側面パネル3における最端部に位置する右縦桟35に右枠dを配置して、ねじ止めにより、側面パネル3に右枠dを固定することができる。
左枠cの取り付け時では、左縦桟34の係合凸部34aを左枠cの凹所c1に呑み込ませることにより、突出部分が凹所c1で吸収されるので、左枠cを確実に取り付けることができる。
また、右枠dが左枠cと同一形状であるので、いずれの枠においても、凹所c1または凹所d1で左縦桟34の係合凸部34aを呑み込ませることができる。
また、側面パネル3を左右逆向きとして最も左側の左縦桟34が、最も右側の右縦桟35となり、この右縦桟35に係合凸部34aが設けられたものとなった場合でも、この係合凸部34aを右枠dの凹所d1に呑み込ませることができる。
したがって、本実施形態の簡易構造物は、複数の側面パネル3の施工性が向上し、容易、かつ迅速に構成することができる。
【0014】
[上枠の構成]
上枠aは、図1に示すように、長手方向(左右方向)が簡易構造物の左右方向の略全長にわたる長さとして、図7に示すように前桁4の外側に取り付けられている。
上枠aは、上部に上部係合部c2を有し、下部に下部係合部c3を有しており、上下幅が前桁4の上下幅よりも大きく、外側から前桁4を隠す程度の幅にされている。
前桁4には、外側上部に上部係合部c2が係合する上部被係合部4aを有し、外側下部に下部係合部c3が係合する下部被係合部4bを有している。
上部係合部c2は、前桁4側に突設したフック状のものであり、下向きの凹部c20と上枠aの上面と平行なねじ止め面c21を備えている。
下部係合部c3は、前桁4側に突設したフック状のものであり、上向きの凹部c30を備えている。
上部被係合部4aは、上端にねじ止め面c21と平行なねじ止め面40aを備えて上方に突設され、下部被係合部4bは、下方に突設されている
上部被係合部4aに対する上部係合部c2の係合は、上部係合部c2が上部被係合部4aに上方から被さっていて、上部被係合部4aが凹部c20に挿入された状態であり、ねじ止め面40aがねじ止め面c21に当接している状態である。
下部被係合部4bに対する下部係合部c3の係合は、凹部c30が下部被係合部4bに対して下方から被さっていて、下部被係合部4bが凹部c30に挿入された状態である。
上部係合部c2および下部係合部c3が、上部被係合部4aと下部被係合部4bにそれぞれ係合した状態では、上部被係合部4aが凹部c20に挿入され、下部被係合部4bが凹部c30に挿入されている。
このため、図10に示すように、ねじ止めを行う前の状態において、上枠aが前桁4に保持されており、これにより、上枠aを支える手段を用いることなくねじ止め作業を行うことができる。
そして、この係合状態において、ねじ止め面40aとねじ止め面c21とをねじ止めすることで、上枠aを前桁4に固定することができる。
本発明においては、上部係合部c2および上部被係合部4aのみでも、ねじ止め前における前桁4に対する上枠aの保持が可能である。
【0015】
このような上枠aは、ねじ止め前において前桁4に対して保持ができ、上枠aを支える手段を用いることなくねじ止め作業を行うことができる。
また、外側から前桁4を隠す程度の幅にされているため、側面パネル3のパネル31部分が桁下から始まる意匠性の良い構造にできる。
したがって、本実施形態の簡易構造物は、上枠aを容易、かつ迅速に取り付けることができるため、複数の側面パネル3の施工性が向上し、容易、かつ迅速に構成することができる。
【0016】
[照明ユニットの構成]
照明ユニット7は、図3図11図13に示すように、垂木6に取り付けられている。
照明ユニット7は、図11に示すように、垂木6の左側面側に取り付けられた第1カバー7aと、垂木6の右側面側に取り付けられた第2カバー7bとで構成される空間内に内蔵されている。
また、照明ユニット7は、垂木6の長手方向の略中央に配置されていると共に、下方を照射するように配置されている。
第1カバー7aおよび第2カバー7bは、図13に示すように、長手方向(前後方向)の長さが、垂木6の両端に至る長さとして、前後方向に平行な直線状に形成されている。
第1カバー部7aは、図11に示すように、断面L型に形成されており、縦側の面を垂木6にねじ止めにより固定する固定面部71aとし、横側の面を垂木6の下面の全域を隠すようにカバーするカバー面部72aとしている。
カバー面部72aは、垂木6の左右幅を超え、垂木の下面をすべて隠すようにカバーする左右幅を有しており、照明ユニット7の照射面を露出させる開口部7cが開口されていると共に、第1カバー7aのカバー面部72aの先端には、右向き凹状の被係合部73aが設けられている。
第2カバー7bは、垂木の右側面側をカバーするよう形状に形成されており、側面を垂木6にねじ止めにより固定する固定面部71bとしている。
固定面部71bの下方の垂木6側の面に左向き凸状の係合部73bが設けられている。
第1カバー部7aと第2カバー部7bとは、被係合部73aに対して係合部73bが係合することで連結されている。
第1カバー7aの固定面部71aの内側には、照明ユニット7を取付けるための照明ユニット取付部74aが設けられており、この照明ユニット取付部74aに照明ユニット7がねじ止めにより固定されている。
第1カバー7aと第2カバー7bは、垂木6に取り付けられた状態において、垂木6の下側に、照明ユニット7およびケーブル70が内蔵される前述の空間が確保されている。
このような照明ユニット7は、第1カバー7aと第2カバー7bによって、照射面のみが露出するように内蔵されるため、意匠を損ねることなく夜間の照明を行うことができる。
さらに、第1カバー7aのカバー面部72aが、垂木6の下面の全域を隠すようにカバーする左右幅であるため、第1カバー7aと第2カバー7bとの境界が視覚されないため、より高い意匠性の向上が期待できる。
【0017】
[照明ユニットの取付方法]
照明ユニット7は、図12に示す方法により取り付けられる。
なお、図中、上段側が照明ユニット取付側における第1カバー7aおよび第2カバー部のねじ止め作業を示し、下段側が垂木端部側における第1カバー7aおよび第2カバー部のねじ止め作業を示している。
先ず、図12(a)に示すように、第1カバー7aの照明ユニット取付部74aに照明ユニット7を取付ける。
照明ユニット7は、照明ユニット取付部74aに対して、図12(b)に示すようにねじ止めにより固定される。
次に、図12(b)に示すように、垂木6の左側面側に、第1カバー7aの固定面部71aをねじ止めにより固定する。
次に、図12(c)に示すように、第2カバー7bを垂木6の右側面側に当接させた状態で、第2カバー7bの係合部73bを、第1カバー7aの被係合部73aに凹凸係合させる。
この凹凸係合では、被係合部73aに対して係合部73bが左方向へ平行に凹凸係合しているため、第1カバー7aに対して第2カバー7bが連結状態にされている。
これによって、第1カバー7aと第2カバー7bとが一体化できるため、図12(d)で示す第2カバー7bのねじ止め作業時に、第2カバー7bを人手によって支えることなく行うことができる。
最後に、図12(d)に示すように、垂木6の右側面側に、第2カバー7bの固定面部71bをねじ止めにより固定する。
この方法によって、照明ユニット7を垂木6に取り付けることができる。
【0018】
[照明ユニットの他の取り付け形態]
図14図15は、照明ユニット7の他の取り付け形態を示している。
本形態では、直線状の垂木6に照明ユニット7を取り付けた形態を例示する。
本形態における第1カバー7aおよび第2カバー7bは、図11に示すものと同じ構成であり、同じ取付け形態で垂木6に取り付けられている。
本形態では、垂木6が直線状であるため、照明ユニット7の上面と垂木6の下面とが近接或いは接触状態にされている。
本形態の照明ユニット7の取付け形態によっても、第1カバー7aと第2カバー7bによって、照射面のみが露出するように内蔵されるため、意匠を損ねることなく夜間の照明を行うことができる。
さらに、第1カバー7aのカバー面部72aが、垂木6の下面の全域を隠すようにカバーする左右幅であるため、第1カバー7aと第2カバー7bとの境界が視覚されないため、より高い意匠性の向上が期待できる。
【0019】
以上、本発明に係る実施形態の簡易構造物を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0020】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0021】
A:簡易構造物
1:支柱
2:屋根パネル
3:側面パネル
4:前桁
5:後桁
6:垂木
7:照明ユニット
a:上枠
b:下枠
c:左枠
d:右枠
A1:通路
31:パネル
32:上桟
33:下桟
34:左縦桟
35;右縦桟
34a:係合凸部
35a:係合凹部
c1:凹所
d1:凹所
c2:上部係合部
c3:下部係合部
4a:上部被係合部
4b:下部被係合部
c20:凹部
c21:ねじ止め面
c30:凹部
40a:ねじ止め面
7a:第1カバー
7b:第2カバー
7c:開口部
71a:固定面部
71b:固定面部
72a:カバー面部
73a:被係合部
73b:係合部
74a:照明ユニット取付部
70:ケーブル


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15