(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20231218BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20231218BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231218BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 650C
G09G3/20 612U
G09G3/20 641P
G02F1/133 535
G02F1/133 550
(21)【出願番号】P 2020101274
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】迫 和彦
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/162040(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0249605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/34
G09G 3/20
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が配置された表示領域を有する表示パネルと、
前記表示領域を照明する光源部と、
前記表示領域の一部で表示される第1部分画像に対応する第1信号が入力される第1制御回路と、
前記表示領域の他の一部で表示される第2部分画像に対応する第2信号が入力される第2制御回路と、を備え、
前記光源部は、個別に発光強度を制御可能な複数の発光領域を有し、
前記第1制御回路は、前記第1信号に基づいて前記第1部分画像よりも低解像度の第1低解像度データを生成する第1解像度変換部を備え、
前記第1制御回路は、前記第1低解像度データを前記第2制御回路に送信し、
前記第2制御回路は、前記第2信号に基づいて前記第2部分画像よりも低解像度の第2低解像度データを生成する第2解像度変換部を備え、
前記第2制御回路は、前記第2低解像度データを前記第1制御回路に送信し、
前記第1制御回路は、前記第1低解像度データ及び前記第2低解像度データに基づいて前記複数の発光領域の各々の発光強度を示す点灯量情報を生成する第1点灯量計算部と、前記第1点灯量計算部が生成した点灯量情報に基づいて前記光源部からの光の輝度分布を導出する第1輝度分布計算部と、前記第1輝度分布計算部が導出した輝度分布に基づいて前記第1信号に含まれる画素信号が示す階調値を補正する第1階調補正部と、を備え、
前記第2制御回路は、前記第1低解像度データ及び前記第2低解像度データに基づいて前記複数の発光領域の各々の発光強度を示す点灯量情報を生成する第2点灯量計算部と、前記第2点灯量計算部が生成した点灯量情報に基づいて前記光源部からの光の輝度分布を導出する第2輝度分布計算部と、前記第2輝度分布計算部が導出した輝度分布に基づいて前記第2信号に含まれる画素信号が示す階調値を補正する第2階調補正部と、を備え
、
前記第1制御回路及び前記第2制御回路は、タイミング調整部と、レジスタと、を備え、
前記タイミング調整部は、前記複数の発光領域の各々の発光強度を示す点灯量情報に応じて制御される前記光源部からの光で照明される前記画素に供給される画素信号が示す階調値が、当該点灯量情報から導出された輝度分布に基づいて補正されるよう制御し、
前記レジスタは、前記タイミング調整部を動作させるか否かを示す設定値を記録し、
前記第1制御回路又は前記第2制御回路のいずれか一方の前記レジスタの設定値が前記タイミング調整部を動作させる設定値であり、他方の前記レジスタの設定値が前記タイミング調整部を動作させない設定値である、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、アクティブマトリクス方式の表示装置には、外部からの画像データの入力に応じて複数の画素に画素信号を出力するソースドライバが設けられる。近年の技術進歩による表示装置の画素数の増大は、ソースドライバの入出力信号端子数の増大をもたらしている。このため、全ての画素に対応するための入出力信号端子を単一のソースドライバに設ける技術的難易度が高まっている。そこで、外部からの画像データの入力に応じて複数の画素に画素信号を出力するソースドライバを2つ設けて1つのソースドライバあたりの入出力信号端子数を減らす方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のソースドライバが設けられた表示装置でローカルディミングのような光源制御に対応した画素の階調制御の機能を導入しようとする場合、光源の発光制御と画素の階調制御とを対応させるためのコントローラやブリッジとして機能する新たな回路が必要になる。当該機能に対応する新たな回路を単純に導入することは、ただでさえ複数のソースドライバが設けられている表示装置にさらなる回路数の増大をもたらし、表示装置の設計難度の上昇及びコスト増を招く。また、単に複数のソースドライバの各々に当該機能を盛り込んで各々を独立動作させるだけでは、表示装置全体の統合的な制御が困難である。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、光源の発光制御への対応と当該対応のための回路数の増大の抑制とを両立可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による表示装置は、複数の画素が配置された表示領域を有する表示パネルと、前記表示領域を照明する光源部と、前記表示領域の一部で表示される第1部分画像に対応する第1信号が入力される第1制御回路と、前記表示領域の他の一部で表示される第2部分画像に対応する第2信号が入力される第2制御回路と、を備え、前記光源部は、個別に発光強度を制御可能な複数の発光領域を有し、前記第1制御回路は、前記複数の発光領域の各々の発光強度を示す点灯量情報を前記第2制御回路に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置の主要構成例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、表示パネルの画素及び副画素の配置例を示す図である。
【
図3】
図3は、発光部における複数の光源の配置例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、1つの発光領域に重なるよう配置される複数の画素の例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1制御回路と第2制御回路の具体的構成と、第1制御回路と第2制御回路との接続関係と、の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第1信号及び第2信号に基づいた画像データの一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す画像データに対応した低解像度データの一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す低解像度データに対応する輝度分布の一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、
図6に示す画像データと
図8に示す輝度分布とに基づいて行われる階調補正部による階調補正の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、参考例において座標x1,x2,x3の範囲のみを含む点灯量情報から導出された座標x1,x2,x3の範囲のみを含む輝度分布の一例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、参考例において座標x4,x5,x6の範囲のみを含む点灯量情報から導出された座標x4,x5,x6の範囲のみを含む輝度分布の一例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、変形例1に係る第1制御回路と第2制御回路の具体的構成と、第1制御回路と第2制御回路との接続関係と、の一例を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、変形例2に係る第1制御回路と第2制御回路の具体的構成と、第1制御回路と第2制御回路との接続関係と、の一例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、変形例3に係る表示装置の主要構成例を示す模式図である。
【
図16】
図16は、変形例4に係る表示装置の主要構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る表示装置1の主要構成例を示す模式図である。表示装置1は、表示パネル2と、光源部6と、を備える。表示装置1は、光源部6からの光を表示パネル2に透過させて画像を表示する液晶表示装置である。なお、以下の説明において「接続」と記載した場合、特筆しない限り電気的な接続をさす。
【0010】
表示パネル2は、所謂透過型の液晶表示パネルであるが、これに限られるものでなく、例えば半透過型の液晶表示パネルであってもよい。表示パネル2は、第1基板3と、第2基板4とを有する。第1基板3と第2基板4は、図示しない液晶層を挟み込むように積層される。第1基板3、第2基板4及び液晶層の重畳領域は、表示領域AAを含む。表示領域AAには、複数の副画素SPixが設けられる。第1基板3及び第2基板4は、例えばガラス基板であるが、透光性を有する他の素材による基板であってもよい。
【0011】
図2は、表示パネル2の画素VPix及び副画素SPixの配置例を示す図である。副画素SPixには、それぞれスイッチング素子Tr及び液晶容量8aがある。スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。後述する画素電極と共通電極との間に絶縁層が設けられ、これらによって
図2に示す保持容量8bが形成される。
【0012】
第1基板3には、
図2に示す各副画素SPixのスイッチング素子Tr、信号線SGL、走査線GCL等が形成されている。信号線SGLは、各副画素SPixが有する画素電極に画素信号を供給するための配線である。走査線GCLは、各スイッチング素子Trを駆動する駆動信号を供給するための配線である。信号線SGL及び走査線GCLは、
図7に示す第1基板3の表面と平行な平面に延出する。
【0013】
画素電極は、第1基板3に設けられる。また、表示装置1は、画素電極とは異なる共通電極を有する。共通電極は、例えば第2基板4に設けられるが、第1基板3において画素電極とは異なる層に設けられてもよい。走査線GCLを介して伝送される駆動信号に応じてスイッチング素子Trが駆動されるタイミングで信号線SGLに供給される画素信号に応じて、保持容量8bの保持電位が決定する。保持電位に応じて生じる画素電極と共通電極との電位差が、各副画素SPixにおける液晶の配向を決定する。これによって各副画素SPixにおける光の透過の度合いが決定する。なお、画素電極が第2基板4に設けられ、共通電極が第1基板3又は第2基板4に設けられてもよい。画素電極及び共通電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)のように透光性を有する素材を利用して形成された電極である。
【0014】
図2に示すように、信号線SGL及び走査線GCLに沿うように遮光層BMが形成されている。なお、
図2では、スイッチング素子Trの電気的な接続が示されているが、実際には遮光層BMは、スイッチング素子Trにも重畳している。副画素SPixは、遮光層BMで囲まれた開口を有しており、
図2に示す各副画素SPixの開口に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色されたカラーフィルタCFR、CFG、CFBが1組として対応付けられる。そして、3色のカラーフィルタCFR、CFG、CFBに対応する副画素SPixを1組として画素VPixが構成される。なお、カラーフィルタは、4色以上の色領域を含んでいてもよい。
【0015】
図2に示すように、表示パネル2の表示領域AAには、複数の画素VPixがマトリクス状に配置されている。以下、マトリクス状と記載した場合、第1方向Dxと第2方向Dyとの一方を行とし、他方を列とした行列方向に対応するマトリクス状をさす。また、第1方向Dx及び第2方向Dyに直交する方向を第3方向Dzと記載する。第1基板3と、液晶層と、第2基板4とは、第3方向Dzに積層される。
【0016】
図2に示すように、第1方向Dxに並ぶ複数の副画素SPixは、走査線GCLを共有する。また、第2方向Dyに並ぶ複数の副画素SPixは、信号線SGLを共有する。
【0017】
図1に示すように、複数の信号線SGLのうち一部は、第1制御回路10に接続される。また、複数の信号線SGLのうち他の一部は、第2制御回路20に接続される。
図1では、第1制御回路10に接続される信号線SGLを共有する副画素SPixが配置される領域と、第2制御回路20に接続される信号線SGLを共有する副画素SPixが配置される領域との境界線CLを示している。境界線CLは、例えば表示領域AAを2つに分けて第1方向Dxに並ぶ2つの領域を形成するよう設定されるが、境界線CLによる表示領域AAの分割位置はこれに限られるものでなく、適宜変更可能である(
図15参照)。
【0018】
第1制御回路10及び第2制御回路20は、信号線SGLを介して副画素SPixに画素信号を供給する。
図1に示す第1制御回路10は、表示装置1の外部の制御装置110から第1伝送線L1を介して供給される第1信号に応じて、副画素SPixに画素信号を供給する。また、第2制御回路20は、制御装置110から第2伝送線L2を介して供給される第2信号に応じて、副画素SPixに画素信号を供給する。第1信号は、一部の画素VPixが配置された表示領域AAの部分領域で表示される画像を表示装置1に表示させるための信号である。当該一部の画素VPixは、第1制御回路10に接続される信号線SGLを共有する複数の副画素SPixで構成される画素VPixである。第2信号は、他の一部の画素VPixが配置された表示領域AAの部分領域で表示される画像を表示装置1に表示させるための信号である。当該他の一部の画素VPixは、第2制御回路20に接続される信号線SGLを共有する複数の副画素SPixで構成される画素VPixである。
【0019】
なお、制御装置110は、外部から画像データIM(
図6参照)のような画像データを入力する所謂ホストコンピュータである。第1伝送線L1及び第2伝送線L2は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)のように複数の配線を含む構成であるが、これに限られるものでなく、複数の配線として機能する他の構成であってもよい。
【0020】
走査線GCLには、ゲートドライバ30が接続される。ゲートドライバ30は、走査線GCLに駆動信号を供給する。ゲートドライバ30は、所定数単位で同時に走査線GCLに駆動信号を供給する。ゲートドライバ30は、駆動信号の共有対象になる走査線GCLを所定数単位でシフトさせる走査を行う。第1制御回路10及び第2制御回路20は、駆動信号が供給されている走査線GCLと接続されている副画素SPixに対する画素信号を出力する。当該所定数は、走査線GCLの総数の半分以下の数である。所定数は、例えば1であるが、2以上であってもよい。第1制御回路10とゲートドライバ30とは、配線35を介して接続される。また、第1制御回路10と第2制御回路20とは、伝送部40を介して接続される。
【0021】
第1制御回路10、第2制御回路20及びゲートドライバ30は、例えば、個別の半導体チップに搭載された回路である。第1制御回路10、第2制御回路20及びゲートドライバ30は、例えば第1基板3に設けられるが、第2基板4に設けられてもよい。
【0022】
図1に示すように、光源部6は、表示領域AAを一方から照明する光を発する発光部BAを有する。光源部6は、発光部BAが表示領域AAに対して第3方向Dzに重なるよう配置される。
図3は、発光部BAにおける複数の光源62の配置例を示す模式図である。発光部BAには、複数の光源62が配置されている。各光源62は、1つのLED(Light Emitting Diode)のような単一の光源によってもよいし、複数のLEDを含む構成のような複数の光源によってもよい。また、光源の具体的構成はLEDに限られるものでなく、有機又は無機のエレクトロルミネセンス効果を利用した発光素子等、他の発光素子によってもよい。
【0023】
図3に示すように、光源62は、発光部BAにおいてマトリクス状に配置される。
図3では、各光源62が配置される領域を識別する目的で、第1方向Dxの座標x1,x2,…,xmと、第2方向Dyの座標y1,y2,…,ynとで表される座標系を示している。m,nは2以上の自然数である。
【0024】
実施形態の説明では、
図3に示す座標系で管理され、光源62単位で個別に発光を制御可能な各領域を発光領域と記載する。すなわち、発光部BAは複数の発光領域を有する。1つの発光領域は1つの光源62を含む。
【0025】
図1に示す光源制御回路60は、複数の光源62の発光の度合いを個別に制御する。各光源62からの発光が個別に制御されることで、実施形態の表示装置1では、発光領域単位での輝度制御による所謂ローカルディミングが実現される。第1制御回路10と光源制御回路60とは、配線65を介して接続される。
【0026】
また、後述する
図8を参照した説明のように、光源62は、表示パネル2側に照射される光が第1方向Dx-第2方向Dy平面視点で当該光源62が設けられる発光領域外まで拡散するよう設けられている。これによって、全ての光源62の点灯時等、発光部BA全体でより均一化された光が必要な状況においてよりムラのない光を照射することができ、表示装置1のユニフォーミティを確保することができる。
【0027】
光源制御回路60の具体的構成は、光源62の具体的構成に対応する。例えば、光源62がLEDである場合、光源制御回路60は、所謂LEDドライバ回路である。光源制御回路60は、光源62が配置される光源部6の基板に設けられてもよいし、第1基板3等の表示パネル2が備える基板に設けられてもよい。
【0028】
図4は、1つの発光領域に重なるよう配置される複数の画素VPixの例を示す模式図である。
図4に示すように、実施形態では複数の画素VPixが各発光領域に重なるように配置される。以下の説明では、1つの発光領域に重なる複数の画素VPixからなる領域を、表示領域AAの部分領域と記載することがある。すなわち、表示領域AAは、発光領域の数に対応した複数の部分領域を含む。
【0029】
図4では、表示領域AAのうち1つの発光領域と重なる部分領域に16(=4×4)の画素VPixがマトリクス状に配置されているが、これに限られるものでない。部分領域単位で配置される画素の数及び具体的な配置は任意である。ただし、画素の数は2以上である。
【0030】
図4では、座標x1,x2,…,xmのうち2つの座標xv,x(v+1)と、座標y1,y2,…,ynのうち2つの座標xw,x(w+1)とで表される4(=2×2)の発光領域に重なる部分領域を例示しているが、表示領域AAに含まれる各部分領域の構成のうち、
図4で図示されない他の部分領域についても同様である。なお、1≦v≦(m-1)である。また、1≦w≦(n-1)である。
【0031】
図5は、第1制御回路10と第2制御回路20の具体的構成と、第1制御回路10と第2制御回路20との接続関係と、の一例を示すブロック図である。第1制御回路10は、解像度変換部11と、点灯量計算部12と、輝度分布計算部13と、階調補正部14と、タイミング調整部15と、を備える。第2制御回路20は、解像度変換部21と、輝度分布計算部23と、階調補正部24と、を備える。伝送部40は、第1伝送部41と第2伝送部42と、を含む。
【0032】
第1信号は、制御装置110から第1伝送線L1を介して第1制御回路10の解像度変換部11及び階調補正部14に入力される。第2信号は、制御装置110から第2伝送線L2を介して第2制御回路20の解像度変換部21及び階調補正部24に入力される。
【0033】
図6は、第1信号及び第2信号に基づいた画像データIMの一例を示す模式図である。
図6ならびに後述する
図7、
図8及び
図9では、説明を簡便にする目的で、m=6,y=4である場合を例示している。
【0034】
画像データIMは、表示領域AAに配置された複数の画素VPixによって表示可能な画像データである。画像データIMは、第1部分画像データIM1と、第2部分画像データIM2と、を含む。第1部分画像データIM1は、境界線CLで画像データIMを分割した2つの部分画像データのうち一方である。第2部分画像データIM2は、境界線CLで画像データIMを分割した2つの部分画像データのうち他方である。
【0035】
図6に示す例の場合、第1信号は、第1部分画像データIM1に対応する部分画像を表示パネル2に表示出力させるための信号である。また、第2信号は、第2部分画像データIM2に対応する部分画像を表示パネル2に表示出力させるための信号である。より具体的には、第1信号は、
図6における第1方向Dxの座標x1,x2,x3の範囲に含まれる画素VPixに対する画素信号を含む信号である。第2信号は、
図6における第1方向Dxの座標x4,x5,x6の範囲に含まれる画素VPixに対する画素信号を含む信号である。
【0036】
画素信号は、画素VPixの階調値を示す情報を含む信号である。例えば、画像データIMが所謂RGB画像データである場合、画素信号は、1つの画素VPixに含まれる赤(R)、緑(G)、青(B)の各々の副画素SPixの階調値を示す情報を含む。係る各副画素SPixの階調値が8ビットで表されるときを例とすると、最低輝度(黒)を出力する画素VPixに対する画素信号は、(R,G,B)=(0,0,0)で表せる。また、このとき、最高輝度(白)を出力する画素VPixに対する画素信号は、(R,G,B)=(255,255,255)で表せる。なお、階調値のビット数は8ビットに限られるものでなく、任意である。また、画像データIM及び画素信号の色空間は所謂RGBに限定されるものでなく、他の色空間であってもよい。画素信号に含まれる各色成分は、画素VPixに含まれて対応する色の副画素SPixに個別に供給される。
【0037】
図6に示す画像データIMは、オブジェクトOBと、背景BGとを含む。オブジェクトOBは、境界線CL上に重なる位置にある。オブジェクトOBは、境界線CLを挟んで一部が第1部分画像データIM1側にあり、他の一部が第2部分画像データIM2側にある。オブジェクトOBには、背景BGよりも相対的に高階調値の画素信号が与えられる。背景BGは、オブジェクトOBの周囲に位置する。背景BGは、境界線CLを挟んで一部が第1部分画像データIM1側にあり、他の一部が第2部分画像データIM2側にある。
【0038】
なお、オブジェクトOBに含まれる複数の画素VPixの各々の階調値は全て等しいものとする。また、背景BGに含まれる複数の画素VPixの各々の階調値は全て等しいものとする。また、以下の説明では、オブジェクトOBには最高輝度(白)に対応する階調値が設定されているものとする。また、背景BGには最低輝度(黒)でなく、最高輝度(白)よりも低い輝度に対応する階調値が設定されているものとする。
【0039】
解像度変換部11及び解像度変換部21は、制御装置110から入力された信号に基づいて、入力された信号に対応する画像よりも低解像度の低解像度データを生成する。
【0040】
図7は、
図6に示す画像データIMに対応した低解像度データM1の一例を示す模式図である。低解像度データM1は、画像データIMの低解像度データである。具体的には、低解像度データM1は、発光領域単位で最も高階調の画素VPixに対応した階調値を示すデータである。低解像度データM1のデータ量は、画像データIMに比して小さい。
【0041】
図4に示す発光領域単位での画素VPixの数を例とすると、
図6に示す画像データIMは、第1方向Dxの座標数(m=6)と、第2方向Dyの座標数(n=4)と、を掛け合わせた24の部分領域の各々が、16の画素VPixを有する。従って、画像データIMは、24×16=384の画素数に対応したデータ量になる。これに対し、
図7に示す低解像度データM1は、第1方向Dxの座標数(m=6)と、第2方向Dyの座標数(n=4)と、を掛け合わせた24の部分領域の各々で最も高階調な1つの画素VPixの階調値を示すデータとして生成される。従って、画像データIMは、24×1=24の画素数に対応したデータ量になる。従って、この例では、低解像度データM1のデータ量は、画像データIMの1/16のデータ量になる。
【0042】
より具体的には、
図7に示す低解像度データM1は、高階調部LAと、低階調部DAと、を含む。高階調部LAは、オブジェクトOBに対応する階調値が設定された表示領域AAの部分領域である。低解像度データM1において高階調部LAが設定される部分領域は、画像データIMにおいてオブジェクトOBを含む部分領域に対応する。すなわち、画像データIMにおいてオブジェクトOBを含む座標(x3,y2),(x4,y2),(x3,y3),(x4,y3)に対応する部分領域が、低解像度データM1において高階調部LAが設定される部分領域になる。
【0043】
低階調部DAは、背景BGに対応する階調値が設定された表示領域AAの部分領域である。低解像度データM1において低階調部DAが設定される部分領域は、画像データIMにおいて背景BGを含む部分領域に対応する。すなわち、画像データIMにおける座標(x3,y2),(x4,y2),(x3,y3),(x4,y3)以外の座標に対応する部分領域が、低解像度データM1において低階調部DAが設定される部分領域になる。なお、画像データIMにおける座標(x3,y2),(x4,y2),(x3,y3),(x4,y3)にも背景BGは含まれるが、背景BGよりもオブジェクトOBの方が高階調である。従って、座標(x3,y2),(x4,y2),(x3,y3),(x4,y3)では、オブジェクトOBの階調値が優先されて高階調部LAになる。
【0044】
解像度変換部11には、第1方向Dxの座標x1,x2,x3の範囲を含む第1部分画像データIM1に対応する第1信号が入力される。従って、解像度変換部11は、低解像度データM1のうち、第1方向Dxの座標x1,x2,x3の範囲を含む第1低解像度データM11を生成する。解像度変換部21には、第1方向Dxの座標x4,x5,x6の範囲を含む第2部分画像データIM2に対応する第2信号が入力される。従って、解像度変換部21は、低解像度データM1のうち、第1方向Dxの座標x4,x5,x6の範囲を含む第2低解像度データM12を生成する。
【0045】
このように、
図5に示す解像度変換部11は、第1信号に基づいて第1部分画像データIM1よりも低解像度の第1低解像度データM11を生成する第1解像度変換部として機能する。また、
図5に示す解像度変換部21は、第2信号に基づいて第2部分画像データIM2よりも低解像度の第2低解像度データM12を生成する第2解像度変換部として機能する。
図5に示すように、解像度変換部21は、第2低解像度データM12を点灯量計算部12に送信する。すなわち、第2制御回路20は、第2低解像度データM12を第1制御回路10に送信する。送信される第2低解像度データM12の出力は、第2制御回路20の端子411から行われる。端子411は、第1制御回路10の端子412と接続されている。第1伝送部41は、端子411と端子412とを接続する。
【0046】
第1伝送部41及び後述する第2伝送部42のように伝送部40に含まれる構成は、第1基板3等、第1制御回路10及び第2制御回路20が設けられる基板に実装された配線であってもよいし、当該基板から独立して設けられて対応する入出力端子同士を接続する被覆配線であってもよい。被覆配線とは、絶縁材で被覆された配線をさし、FPCもこれに含まれる。
【0047】
このように、第2制御回路20は、第2低解像度データM12を第1制御回路10に出力する端子411を備える。端子411は、第2出力端子として機能する。また、第1制御回路10は、第2低解像度データM12が入力される端子412を備える。端子412は、第2入力端子として機能する。
【0048】
点灯量計算部12は、第1低解像度データM11及び第2低解像度データM12に基づいて点灯量情報を生成する。点灯量情報は、複数の発光領域の各々の発光強度を示す情報である。点灯量計算部12は、解像度変換部11が生成した第1低解像度データM11と、解像度変換部21が生成した第2低解像度データM12とを組み合わせて低解像度データM1を得る。点灯量計算部12は、低解像度データM1に基づいて点灯量情報を生成する。
【0049】
具体的には、点灯量情報が示す複数の発光領域の各々の発光強度は、各発光領域に対応する位置に配置された画素VPixの最高階調値に基づいて決定される。より具体的には、部分領域単位で最高の階調値である画素VPixに必要な輝度を得られるように各発光領域の光源62を点灯させる情報として生成される。従って、
図7に示す低解像度データM1に対応する点灯量情報は、座標(x3,y2),(x4,y2),(x3,y3),(x4,y3)の発光領域に配置された光源62を高階調部LAの輝度が得られる発光強度で点灯させる情報を含む。また、当該点灯量情報は、座標(x3,y2),(x4,y2),(x3,y3),(x4,y3)以外の座標の発光領域に配置された光源62を低階調部DAの輝度が得られる発光強度で点灯させる情報を含む。
【0050】
なお、各発光領域の光源62から発せられる光は、光源部6から第2基板4側に放射状に拡散する。従って、表示領域AAの各部分領域は、部分領域と直接重なる発光領域だけでなく、他の発光領域からの光の影響を受ける。他の発光領域とは、例えば、部分領域と直接重なる発光領域と第1方向Dx、第2方向Dy又は斜め方向に隣接する発光領域をさす。斜め方向とは、第1方向Dx及び第2方向Dyに沿う平面に沿い、第1方向Dx及び第2方向Dyと交差する方向である。従って、各発光領域の光源62の発光強度は、他の発光領域からの光の影響を踏まえて導出される。
【0051】
点灯量計算部12は、点灯量情報を輝度分布計算部13に出力する。また、点灯量計算部12は、点灯量情報を輝度分布計算部23に出力する。すなわち、第1制御回路10は、点灯量情報を第2制御回路20に送信する。送信される点灯量情報の出力は、第1制御回路10の端子421から行われる。端子421は、第2制御回路20の端子422と接続されている。第2伝送部42は、端子421と端子422とを接続する。
【0052】
このように、第1制御回路10は、点灯量情報を出力する端子421を備える。端子421は、第1出力端子として機能する。また、第2制御回路20は、点灯量情報が入力される端子422を備える。端子422は、第1入力端子として機能する。端子421と端子422とは接続される。
【0053】
輝度分布計算部13及び輝度分布計算部23は、点灯量情報に基づいて光源部6からの光の輝度分布M2を求める。
図5に示す輝度分布計算部13は、第1輝度分布計算部として機能する。また、
図5に示す輝度分布計算部23は、第2輝度分布計算部として機能する。
【0054】
図8は、
図7に示す低解像度データM1に対応する輝度分布M2の一例を示す模式図である。
図8に示す輝度分布M2は、高輝度部B1と、低輝度部B4と、
図8において第1中間輝度部B2、第2中間輝度部B3として示すような中間輝度部と、を含む。
【0055】
高輝度部B1では、低解像度データM1において高階調部LAの階調値に対応する表示出力を確保するための発光強度で点灯する光源62の光に応じた輝度が得られている。低輝度部B4では、低解像度データM1において低階調部DAの階調値に対応する表示出力を確保するための発光強度で点灯する光源62の光に応じた輝度が得られている。
【0056】
中間輝度部は、低解像度データM1において高階調部LAの階調値に対応する表示出力を確保するための発光強度で点灯する光源62の光が、当該光源62と重なる部分領域と隣接する部分領域まで拡散することで生じている。
図8では、模式的に、高輝度部B1と低輝度部B4との間で高輝度部B1により近い位置の第1中間輝度部B2と、低輝度部B4により近い位置の第2中間輝度部B3とを例示している。第1中間輝度部B2は、高輝度部B1より低輝度であり、第2中間輝度部B3及び低輝度部B4より高輝度である。第2中間輝度部B3は、第1中間輝度部B2より低輝度であり、低輝度部B4より高輝度である。なお、高輝度部B1は、第1中間輝度部B2、第2中間輝度部B3及び低輝度部B4より高輝度である。
【0057】
実際には、中間輝度部は、アナログ的な光の拡散に応じて無段階的に生じるが、デジタル情報として生成、管理される輝度分布M2では輝度の段階が数値化され、多段階的になる。
【0058】
なお、輝度分布計算部13及び輝度分布計算部23は、全ての発光領域からの光に基づいた輝度分布(例えば、輝度分布M2全体)を導出の対象とすることが必須条件でない。輝度分布計算部13は、第1信号に対応する表示出力内容に影響を与え得る光を発する発光領域からの光を考慮した輝度分布を導出する構成であればよい。輝度分布計算部23は、第2信号に対応する表示出力内容に影響を与え得る光を発する発光領域からの光を考慮した輝度分布を導出する構成であればよい。
図8に示す例の場合、
図8に示す例の場合、輝度分布計算部13は、座標x6又は座標x5,x6の範囲の輝度分布の導出を省略できる。また、輝度分布計算部23は、座標x1又は座標x1,x2の範囲の輝度分布の導出を省略できる。無論、輝度分布計算部13及び輝度分布計算部23は、全ての発光領域からの光に基づいた輝度分布(例えば、輝度分布M2全体)を導出してもよい。
【0059】
階調補正部14は、輝度分布計算部13が生成した輝度分布に基づいて第1信号に含まれる画素信号が示す階調値を補正する第1階調補正部として機能する。階調補正部24は、輝度分布計算部23が生成した輝度分布に第2信号に含まれる画素信号が示す階調値を補正する第2階調補正部として機能する。
【0060】
図9は、
図6に示す画像データIMと
図8に示す輝度分布M2とに基づいて行われる階調補正部14及び階調補正部24による階調補正の一例を示す模式図である。なお、
図9に示す階調補正マップM3は、階調補正部14によって行われる座標x1,x2,x3の画素VPixに対する画素信号の階調補正と、階調補正部24によって行われる座標x4,x5,x6の画素VPixに対する画素信号の階調補正と、の両方が反映されたマップである。
【0061】
階調補正マップM3は、第1非補正部A1のような非補正部と、第1階調補正部A2、第2階調補正部A3、第3階調補正部A4及び第4階調補正部A5のような補正部と、を含む。
【0062】
第1非補正部A1は、オブジェクトOB(
図6参照)に対応する位置の画素VPixを含む領域である。第1非補正部A1に対応する配置の画素VPixには、高輝度部B1(
図8参照)に対応する輝度の光によって、オブジェクトOBの階調値に対応する明るさがもたらされる。従って、第1非補正部A1に対応する配置の画素VPixは、入力される画素信号が特に補正されなくとも、当該画素信号に対応した階調制御が行われれば、オブジェクトOBの階調値に対応した表示出力を行える。このため、階調補正部14及び階調補正部24は、第1非補正部A1に対応する配置の画素VPixに対する画素信号を補正しない。なお、仮に第1非補正部A1における光の輝度とオブジェクトOBの階調値との対応関係が厳密に一致しない場合には、より高精度な階調度制御を目的として、階調補正部14は、オブジェクトOBの階調値に対応した表示出力が行われるよう、第1非補正部A1に対応する配置の画素VPixに対して入力される画素信号を補正する。
【0063】
第1階調補正部A2、第2階調補正部A3及び第3階調補正部A4は、背景BG(
図6参照)に対応する位置の画素VPixを含む領域である。一方、第1階調補正部A2に対応する配置の画素VPixには、高輝度部B1(
図8参照)に対応する輝度の光がもたらされる。また、第2階調補正部A3に対応する配置の画素VPixには、第1中間輝度部B2(
図8参照)に対応する輝度の光がもたらされる。また、第3階調補正部A4に対応する配置の画素VPixには、第2中間輝度部B3(
図8参照)に対応する輝度の光がもたらされる。また、第4階調補正部A5に対応する配置の画素VPixには、低輝度部B4(
図8参照)に対応する輝度の光によって、背景BGの階調値に対応する輝度の光がもたらされる。このように、第1階調補正部A2、第2階調補正部A3、第3階調補正部A4及び第4階調補正部A5は、画素VPixによって再現されるべき表示出力内容が背景BGに対応した統一的なものである一方、各々にもたらされる光の輝度が異なる。従って、階調補正部14及び階調補正部24は、第1階調補正部A2、第2階調補正部A3、第3階調補正部A4及び第4階調補正部A5に対応する配置の画素VPixに対する画素信号を補正する。
【0064】
第1階調補正部A2に対応する配置の画素VPixに対する画素信号の補正の度合いと、第2階調補正部A3に対応する配置の画素VPixに対する画素信号の補正の度合いと、第3階調補正部A4に対応する配置の画素VPixに対する画素信号の補正の度合いと、の差は、高輝度部B1の輝度と、第1中間輝度部B2の輝度と、第2中間輝度部B3の輝度と、低輝度部B4と、の差に対応する。
図8に示す輝度分布M2の場合、高輝度部B1の輝度は第1中間輝度部B2、第2中間輝度部B3及び低輝度部B4の輝度よりも高い。また、第1中間輝度部B2の輝度は第2中間輝度部B3及び低輝度部B4よりも高い。また、第2中間輝度部B3の輝度は低輝度部B4よりも高い。一方、第1階調補正部A2、第2階調補正部A3、第3階調補正部A4及び第4階調補正部A5に対応する配置の画素VPixは、背景BGの階調値に対応した表示出力を行うよう制御される。従って、階調補正部14及び階調補正部24は、第1階調補正部A2に対応する配置の画素VPixに対する画素信号が示す階調値を、第2階調補正部A3、第3階調補正部A4及び第4階調補正部A5に対応する配置の画素VPixに対する画素信号が示す階調値よりも低くする。また、階調補正部14及び階調補正部24は、第2階調補正部A3に対応する配置の画素VPixに対する画素信号が示す階調値を、第3階調補正部A4及び第4階調補正部A5に対応する配置の画素VPixに対する画素信号が示す階調値よりも低くする。また、階調補正部14及び階調補正部24は、第3階調補正部A4に対応する配置の画素VPixに対する画素信号が示す階調値を、第4階調補正部A5に対応する配置の画素VPixに対する画素信号が示す階調値よりも低くする。
図9では、より低い階調値に補正される部分がより黒に近く見えるよう、第1階調補正部A2、第2階調補正部A3及び第3階調補正部A4にドットパターンを付している。
【0065】
このように、階調補正部14及び階調補正部24は、補正が必要な画素信号を補正し、補正が必要ない画素信号を補正しない補正処理を行う。第1制御回路10と接続された信号線SGLを共有する副画素SPixに供給される画素信号は、階調補正部14による補正処理後の画素信号である。第2制御回路20と接続された信号線SGLを共有する副画素SPixに供給される画素信号は、階調補正部24による補正処理後の画素信号である。
図6から
図9を参照して説明した例の場合、階調補正部14による補正処理の対象となる画素信号は、第1部分画像データIM1に含まれる範囲の画素信号である。また、この場合、階調補正部24による補正処理の対象となる画素信号は、第2部分画像データIM2に含まれる範囲の画素信号である。
【0066】
タイミング調整部15は、点灯量計算部12が生成した点灯量情報を光源制御回路60に出力する。光源制御回路60は、点灯量情報に応じて各光源62の発光強度を制御する。また、タイミング調整部15は、光源制御回路60に対する点灯量情報の出力タイミングを制御する。具体的には、タイミング調整部15は、光源制御回路60による各光源62の発光強度の制御と、当該発光強度で点灯する光源62からの光で照明される副画素SPixの配向を決定する画素信号の補正処理とが、同一の点灯量情報に基づいたものとなるよう制御する。なお、第1制御回路10のタイミング調整部15は、第2制御回路20の解像度変換部21から送信される第2低解像度データM12が、第1制御回路10の点灯量計算部12を介してタイミング調整部15に入力されるタイミングに基づいて、第1制御回路10と第2制御回路20の同期を取るようにしてもよい。この場合の同期とは、画像データIMを構成する第1信号と第2信号の入力タイミングに対応した第1制御回路10と第2制御回路20の信号線SGLに対する出力のタイミングの同期をさす。また、当該出力のタイミングに対応して、ゲートドライバ30の動作のタイミングが制御される。
【0067】
なお、実施形態のタイミング調整部15は、補正処理後の画素信号が出力されるタイミングに応じたゲートドライバ30による駆動信号の出力タイミングも制御する。このため、タイミング調整部15とゲートドライバ30とは、配線35を介して接続されている。なお、ゲートドライバ30による駆動信号の出力タイミングを制御する構成は、タイミングコントローラのように、タイミング調整部15とは異なる独立した構成であってもよい。
【0068】
配線35は、第1制御回路10及び第2制御回路20が設けられる基板(例えば、第1基板3等)に実装された配線であってもよいし、当該基板から独立して設けられた被覆配線であってもよい。また、配線65は、例えば被覆配線であるが、光源制御回路60が第1制御回路10と同一の基板に設けられる場合には第1制御回路10及び光源制御回路60が設けられる基板(例えば、第1基板3等)に実装された配線であってもよい。
【0069】
以下、実施形態の効果について、参考例との比較に基づいて説明する。まず、参考例について、
図10、
図11及び
図12を参照して説明する。
【0070】
(参考例)
図10は、参考例の構成例を示すブロック図である。参考例は、実施形態における第1制御回路10と第2制御回路20に代わる構成として、第1制御回路101と第2制御回路102を備える。第1制御回路101と第2制御回路102は同じ回路である。第1制御回路101及び第2制御回路102は、解像度変換部11と、点灯量計算部120と、輝度分布計算部13と、階調補正部14と、タイミング調整部15とを備える。第1制御回路101と第2制御回路102は、第1伝送線L1に対する第1信号の入力タイミングと第2伝送線L2に対する第2信号の入力タイミングが同一タイミングであり、同じ回路であるので、自動的に同期する。
【0071】
参考例の解像度変換部11は、入力される信号の低解像度データを生成する。第1制御回路101が備える解像度変換部11は、
図7に示す第1低解像度データM11を生成する。第2制御回路102が備える解像度変換部11は、
図7に示す第2低解像度データM12を生成する。
【0072】
第1制御回路101が備える点灯量計算部120は、第1制御回路101が備える解像度変換部11が生成した第1低解像度データM11に対応する点灯量情報を生成する。すなわち、当該点灯量計算部120は、座標x1,x2,x3の範囲のみを含む点灯量情報を生成する。第2制御回路102が備える点灯量計算部120は、第2制御回路102が備える解像度変換部11が生成した第2低解像度データM12に対応する点灯量情報を生成する。すなわち、当該点灯量計算部120は、座標x4,x5,x6の範囲のみを含む点灯量情報を生成する。
【0073】
第1制御回路101が備える輝度分布計算部13は、第1制御回路101が備える点灯量計算部120が生成した点灯量情報に対応する輝度分布を導出する。すなわち、当該点灯量計算部120は、座標x1,x2,x3の範囲のみを含む点灯量情報から、座標x1,x2,x3の範囲のみを含む輝度分布M101を導出する。
【0074】
図11は、参考例において座標x1,x2,x3の範囲のみを含む点灯量情報から導出された座標x1,x2,x3の範囲のみを含む輝度分布M101の一例を示す模式図である。
図11に示す輝度分布M101は、
図8に示す輝度分布M2における座標x1,x2,x3の範囲と異なり、境界位置D21,D22及び境界位置D31,D32が高輝度部B1側により深く窪んでいる。境界位置D21,D22は、境界線CL付近の第1中間輝度部B2と第2中間輝度部B3との境界位置である。境界位置D31,D32は、境界線CL付近の第2中間輝度部B3と低輝度部B4との境界位置である。参考例と実施形態とを比較した場合にこのような境界位置D21,D22,D31,D32の位置変化が生じるのは、参考例の輝度分布計算部13が座標x1,x2,x3の範囲のみを含む点灯量情報から輝度分布M101を導出しており、座標x4,x5,x6の範囲の点灯量情報が示す座標x4等の光源62の発光強度が反映されていないからである。すなわち、第1制御回路101が備える輝度分布計算部13は、座標x3の輝度分布の導出において、当該座標に影響を与える光を発する全ての発光領域に関する情報を取得する方法がない。また、同様の理由で、高輝度部B1においても、座標(x4,y2),(x4,y3)等に配置された光源62からもたらされる光の輝度の影響が考慮されていない。このため、座標x1,x2,x3の範囲の光源62で高輝度部B1に対応した輝度を確保するように点灯量情報が決定されており、座標(x4,y2),(x4,y3)等に配置された光源62からの光が合わさると明るくなりすぎてしまう。
【0075】
第2制御回路102が備える輝度分布計算部13は、第2制御回路102が備える点灯量計算部120が生成した点灯量情報に対応する輝度分布を導出する。すなわち、当該点灯量計算部120は、座標x4,x5,x6の範囲のみを含む点灯量情報から、座標x4,x5,x6の範囲のみを含む輝度分布を導出する。
【0076】
図12は、参考例において座標x4,x5,x6の範囲のみを含む点灯量情報から導出された座標x4,x5,x6の範囲のみを含む輝度分布M102の一例を示す模式図である。
図12に示す輝度分布M102は、
図8に示す輝度分布M2における座標x4,x5,x6の範囲と異なり、境界位置D23,D24及び境界位置D33,D34が高輝度部B1側により深く窪んでいる。境界位置D23,D24は、境界線CL付近の第1中間輝度部B2と第2中間輝度部B3との境界位置である。境界位置D33,D34は、境界線CL付近の第2中間輝度部B3と低輝度部B4との境界位置である。参考例と実施形態とを比較した場合にこのような境界位置D23,D24,D33,D34の位置変化が生じるのは、参考例の輝度分布計算部13が座標x4,x5,x6の範囲のみを含む点灯量情報から輝度分布M102を導出しており、座標x1,x2,x3の範囲の点灯量情報が示す座標x4等の光源62の発光強度が反映されていないからである。すなわち、第2制御回路102が備える輝度分布計算部13は、座標x4の輝度分布の導出において、当該座標に影響を与える光を発する全ての発光領域に関する情報を取得する方法がない。
【0077】
参考例の輝度分布計算部13は、上述の
図11及び
図12を参照して説明したような輝度分布M101,M102を導出する。一方、実際の輝度分布は、
図8に示す輝度分布M2のようになる。すなわち、参考例では、実際の輝度分布と異なる輝度分布が導出されてしまう。
【0078】
第1制御回路101が備える階調補正部14は、第1制御回路101が備える輝度分布計算部13が導出した輝度分布情報に基づいて、第1信号の画素信号に対する補正処理を行う。第2制御回路102が備える階調補正部14は、第2制御回路102が備える輝度分布計算部13が導出した輝度分布情報に基づいて、第2信号の画素信号に対する補正処理を行う。しかしながら、上述のように、参考例では、実際の輝度分布と異なる輝度分布が導出されてしまう。従って、参考例の階調補正部14による補正処理は、実際の輝度分布に対応しない不適切な補正処理になる。具体的には、境界位置D21,D22,D23,D24,D31,D32,D33,D34付近の画素VPixの階調値の低減の度合いが不足するようになり、当該画素VPixが背景BGよりも明るく視認されてしまう。また、高輝度部B1においても、座標(x4,y2),(x4,y3)等に配置された光源62からもたらされる光の輝度の影響が考慮されていない。これによる影響は、境界線CL付近で特に顕著になる。このため、高輝度部B1の境界線CL付近では、実際の光の輝度が明るくなりすぎることによって表示出力における階調度が高くなりすぎるという意図しない表示出力が行われてしまう。
【0079】
また、参考例は、光源部6に代わる構成として、表示パネル2を照明する第1光源部601と第2光源部602とを備える。第1光源部601は、表示パネル2のうち第1信号に対応する領域に重なるよう設けられる。第1光源部601は、表示パネル2のうち第2信号に対応する領域に重なるよう設けられる。参考例において第1信号に対応する領域とは、座標x1,x2,x3に対応する領域である。また、参考例において第2信号に対応する領域とは、座標x4,x5,x6に対応する領域である。また、第1光源部601に設けられた光源62の点灯を制御する光源制御回路610と、第2光源部602に設けられた光源62の点灯を制御する光源制御回路620と、が個別に設けられる。第1制御回路101のタイミング調整部15は、光源制御回路610に点灯量情報を出力するとともに、光源制御回路610及びゲートドライバ30の動作タイミングを制御する。第2制御回路102のタイミング調整部15は、光源制御回路620に点灯量情報を出力するとともに、光源制御回路620の動作タイミングを制御する。このように、参考例では、点灯量情報が第1信号と第2信号とで個別に独立して生成されるため、光源部(第1光源部601,第2光源部602)及び光源制御回路600,620を第1制御回路101と第2制御回路102とで個別に設けなければならなくなる。
【0080】
(実施形態の作用効果)
これに対し、実施形態によれば、点灯量計算部12が第1信号に対応した第1低解像度データM11と第2信号に対応した第2低解像度データM12の両方に基づいて光源部6全体の点灯量情報を生成する。これによって、光源部6全体の点灯量情報に基づいた輝度分布M2を導出することができる。従って、正しい輝度分布に応じて、階調補正部14が適切な補正処理を行える。すなわち、実施形態によれば、画像データIMに忠実な表示出力を得られる。また、係る光源部6全体の点灯量情報に基づいて、第1制御回路10のタイミング調整部15が光源部6の動作制御を行うことができる。従って、複数の光源62の動作制御に係る構成をより集約できる。
【0081】
以上、実施形態によれば、表示装置1は、複数の画素VPixが配置された表示領域AAを有する表示パネル2と、表示領域AAを照明する光源部6と、表示領域AAの一部で表示される第1部分画像(例えば、第1部分画像データIM1)に対応する第1信号が入力される第1制御回路10と、表示領域AAの他の一部で表示される第2部分画像(例えば、第2部分画像データIM2)に対応する第2信号が入力される第2制御回路20と、を備える。光源部6は、個別に発光強度を制御可能な複数の発光領域を有する。第1制御回路10は、複数の発光領域の各々の発光強度を示す点灯量情報を第2制御回路20に送信する。点灯量情報を送信する第1制御回路10には、光源の発光制御に対応可能な機能が盛り込まれている。従って、表示装置1では、光源の発光制御に対応するための専用の回路を設ける必要がない。このように、実施形態によれば、光源の発光制御への対応と当該対応のための回路数の増大の抑制とを両立可能になる。
【0082】
また、第1制御回路10は、第1信号に基づいて第1部分画像(例えば、第1部分画像データIM1)よりも低解像度の第1低解像度データ(例えば、第1低解像度データM11)を生成する第1解像度変換部(解像度変換部11)を備える。また、第2制御回路20、第2信号に基づいて第2部分画像(例えば、第2部分画像データIM2)よりも低解像度の第2低解像度データ(例えば、第2低解像度データM12)を生成する第2解像度変換部(解像度変換部21)を備える。また、第2制御回路20は、第2低解像度データを第1制御回路10に送信する。また、第1制御回路10は、第1低解像度データ及び第2低解像度データに基づいて点灯量情報を生成する点灯量計算部12と、点灯量情報に基づいて光源部6からの光の輝度分布(例えば、輝度分布M2)を導出する第1輝度分布計算部(輝度分布計算部13)と、第1輝度分布計算部が導出した輝度分布に基づいて第1信号に含まれる画素信号が示す階調値を補正する第1階調補正部(階調補正部14)と、を備える。また、第2制御回路20は、点灯量情報に基づいて光源部6からの光の輝度分布(例えば、輝度分布M2)を導出する第2輝度分布計算部(輝度分布計算部23)と、第2輝度分布計算部が導出した輝度分布に基づいて第2信号に含まれる画素信号が示す階調値を補正する第2階調補正部(階調補正部24)と、を備える。これによって、第1低解像度データと第2解像度データとを第1制御回路10と第2制御回路20とで分担して生成し、点灯量情報を第1制御回路10で生成し、輝度分布の導出及び階調値の補正を第1低解像度データと第2解像度データとで分担して行える。従って、表示領域AAに設けられる画素VPixの数に対応した入出力信号端子を第1制御回路10と第2制御回路20とに分散させることができ、1つの回路あたりの当該端子数の増大を抑制できる。1つの回路あたりの当該端子数の増大は、回路の大型化をもたらす要因となる。従って、実施形態によれば、第1制御回路10と第2制御回路20とをより小型化しやすくなる。
【0083】
また、第1制御回路10、第2制御回路20のように画像データの一部(例えば、第1部分画像データIM1、第2部分画像データIM2)が入力される構成では、係る入力に対応するための構成として、差動回路、インタフェース回路等の図示しない回路が設けられる。1つの回路に対して入力されるデータの増大は、係る図示しない回路の増大と、係る図示しない回路を備える構成の大型化とをもたらす要因となる。これに対し、実施形態では画像データ(例えば、画像データIM)が第1制御回路10と第2制御回路20とに分散して入力されるので、第1制御回路10及び第2制御回路20の各々における係る図示しない回路の増大と、第1制御回路10及び第2制御回路20の各々の大型化と、を抑制できる。
【0084】
さらに、実施形態によれば、第1制御回路10と第2制御回路20のように、外部からの画像データ(例えば、画像データIM)の入力に応じて複数の画素VPixに画素信号を出力する回路が複数設けられる構成であっても、上述のユニフォーミティに対応するための光源62からの光の拡散に対応した輝度分布の導出及び階調補正を適切に行える。
【0085】
(変形例)
以下、実施形態と一部の構成が異なる変形例について、
図13、
図14及び
図15を参照して説明する。
【0086】
(変形例1)
図13は、変形例1に係る第1制御回路10Aと第2制御回路20Aの具体的構成と、第1制御回路10Aと第2制御回路20Aとの接続関係と、の一例を示すブロック図である。変形例1は、実施形態が備える第1制御回路10に代えて、第1制御回路10Aを備える。また、変形例1は、実施形態が備える第2制御回路20に代えて、第2制御回路20Aを備える。また、変形例1は、実施形態が備える伝送部40に代えて、伝送部40Aを備える。伝送部40Aは、実施形態の第2伝送部42に代えて、第3伝送部43を含む。また、伝送部40Aは、第1伝送部41を含む。第1伝送部41及び第3伝送部43を伝送部40Aの具体的構成は、実施形態の伝送部40と同様である。
【0087】
第2制御回路20Aは、第2制御回路20の構成に加えて、点灯量計算部12を備える。第1制御回路10Aの解像度変換部11は、実施形態で説明した機能に加えて、第1低解像度データM11を第2制御回路20Aの点灯量計算部12に送信する機能を有する。送信される第1低解像度データM11の出力は、第2制御回路20の端子431から行われる。端子431は、第2制御回路20の端子432と接続されている。第3伝送部43は、端子431と端子432とを接続する。
【0088】
このように、変形例1の第1制御回路10Aは、第1低解像度データM11を第2制御回路20に出力する端子431を備える。端子431は、変形例1の第1出力端子として機能する。また、第1制御回路10は、第2低解像度データM12が入力される端子432を備える。端子432は、変形例1の第2入力端子として機能する。
【0089】
第2制御回路20Aの点灯量計算部12は、実施形態の点灯量計算部12と同様、第1低解像度データM11及び第2低解像度データM12に基づいて点灯量情報を生成する。具体的には、第2制御回路20Aの点灯量計算部12は、第1制御回路10Aから送信される第1低解像度データM11と、第2制御回路20Aの解像度変換部11が生成する第2低解像度データM12とに基づいて点灯量情報を生成する。第2制御回路20Aの輝度分布計算部23は、第2制御回路20Aの点灯量計算部12が生成した点灯量情報に基づいて輝度分布M2を導出する点を除いて、実施形態の輝度分布計算部23と同様である。
【0090】
変形例1において第1制御回路10Aが備える点灯量計算部12は、点灯量情報を第2制御回路20に送信しない点を除いて実施形態の点灯量計算部12と同様である。従って、実施形態において点灯量情報を第1制御回路10から第2制御回路20に送信するための構成として設けられた端子421、端子422及び第2伝送部42は、変形例1では省略されている。すなわち、変形例1では、第1制御回路10A及び第2制御回路20Aがそれぞれ備える点灯量計算部12が点灯量情報を生成する。
【0091】
また、第2制御回路20Aは、さらに、タイミング調整部25を備える。タイミング調整部15とタイミング調整部25とは、機能的に同一の構成である。また、第1制御回路10Aは、さらに、レジスタ16を備える。また、第2制御回路20Aは、さらに、レジスタ26を備える。レジスタ16は、タイミング調整部15の機能のON/OFFの設定値を記憶する。第1制御回路10Aのタイミング調整部15は、レジスタ16の設定値がONである場合に動作し、当該設定値がOFFである場合に動作しない。レジスタ26は、タイミング調整部25の機能のON/OFFの設定値を記憶する。タイミング調整部25は、レジスタ26の設定値がONである場合に動作し、当該設定値がOFFである場合に動作しない。
図13では、タイミング調整部15が動作し、タイミング調整部25が動作しない場合を例示している。
図13では、タイミング調整部25が動作していないことを、タイミング調整部25の矩形を破線とすることで表している。すなわち、
図13に示す構成では、タイミング調整部15が動作し、上述の実施形態と同様の処理を行う。
【0092】
なお、タイミング調整部15を動作させず、タイミング調整部25を動作させるようにしてもよい。その場合、実施形態でタイミング調整部15が担っていた機能をタイミング調整部25が担う。また、レジスタ16及びレジスタ26の設定値は、図示しない外部の書き込み装置から書き換え可能に設けられる。当該書き込み装置としての機能は、例えば制御装置110が有していてもよいが、専用の書き込み装置によってもよい。
【0093】
以上、特筆した事項を除いて、第1制御回路10Aは、第1制御回路10と同様であり、第2制御回路20Aは、第2制御回路20と同様である。また、説明された第1制御回路10Aと第1制御回路10との相違及び第2制御回路20Aと第2制御回路20との相違を除いて、変形例1の表示装置は、実施形態の表示装置1と同様である。なお、実施形態と同様、第1制御回路10Aのタイミング調整部15は、第2制御回路20Aの解像度変換部21から送信される第2低解像度データM12が、第1制御回路10Aの点灯量計算部12を介してタイミング調整部15に入力されるタイミングに基づいて、第1制御回路10Aと第2制御回路20Aの同期を取るようにしてもよい。この場合の同期とは、画像データIMを構成する第1信号と第2信号の入力タイミングに対応した第1制御回路10Aと第2制御回路20Aの信号線SGLに対する出力のタイミングの同期をさす。また、当該出力のタイミングに対応して、ゲートドライバ30の動作のタイミングが制御される。
【0094】
変形例1の表示装置は、複数の画素VPixが配置された表示領域AAを有する表示パネル2と、表示領域AAを照明する光源部6と、表示領域AAの一部で表示される第1部分画像(例えば、第1部分画像データIM1)に対応する第1信号が入力される第1制御回路10Aと、表示領域AAの他の一部で表示される第2部分画像(例えば、第2部分画像データIM2)に対応する第2信号が入力される第2制御回路20Aと、を備える。光源部6は、個別に発光強度を制御可能な複数の発光領域を有する。第1制御回路10Aは、第1信号に基づいて第1部分画像よりも低解像度の第1低解像度データ(例えば、第1低解像度データM11)を生成する第1解像度変換部(解像度変換部11)を備える。第1制御回路10Aは、第1低解像度データを第2制御回路20Aに送信する。第2制御回路20Aは、第2信号に基づいて第2部分画像よりも低解像度の第2低解像度データ(例えば、第2低解像度データM12)を生成する第2解像度変換部(解像度変換部21)を備える。第2制御回路20Aは、第2低解像度データを第1制御回路10Aに送信する。第1制御回路10Aは、第1低解像度データ及び第2低解像度データに基づいて複数の発光領域の各々の発光強度を示す点灯量情報を生成する第1点灯量計算部(点灯量計算部12)と、第1点灯量計算部が生成した点灯量情報に基づいて光源部6からの光の輝度分布(例えば、輝度分布M2)を導出する第1輝度分布計算部(輝度分布計算部13)と、第1輝度分布計算部が導出した輝度分布に基づいて第1信号に含まれる画素信号が示す階調値を補正する第1階調補正部(階調補正部14)と、を備える。第2制御回路20Aは、第1低解像度データ及び第2低解像度データに基づいて点灯量情報を生成する第2点灯量計算部(点灯量計算部12)と、第2点灯量計算部が生成した点灯量情報に基づいて光源部6からの光の輝度分布(例えば、輝度分布M2)を導出する第2輝度分布計算部(輝度分布計算部23)と、第2輝度分布計算部が導出した輝度分布に基づいて第2信号に含まれる画素信号が示す階調値を補正する第2階調補正部(階調補正部24)と、を備える。これによって、変形例1は、実施形態と同様、上述のユニフォーミティに対応するための光源62からの光の拡散に対応した輝度分布の導出及び階調補正を適切に行える。
【0095】
さらに、変形例1によれば、レジスタ16、レジスタ26の設定値に応じてタイミング調整部15、タイミング調整部25の機能のON/OFFを切り替えられる。このため、第1制御回路10Aの機能構成と第2制御回路20Aの機能構成とを等しくすることができる。従って、第1制御回路10A及び第2制御回路20Aとして機能する単一種の回路を複数製造して第1制御回路10A及び第2制御回路20Aとして採用でき、第1制御回路10A及び第2制御回路20Aのコスト減等の量産効果が期待できる。
【0096】
(変形例2)
図14は、変形例2に係る第1制御回路10Bと第2制御回路20Bの具体的構成と、第1制御回路10Bと第2制御回路20Bとの接続関係と、の一例を示すブロック図である。変形例2は、実施形態が備える第1制御回路10に代えて、第1制御回路10Bを備える。また、変形例2は、実施形態が備える第2制御回路20に代えて、第2制御回路20Bを備える。また、変形例2の伝送部40は、第1伝送部41を含まず、第2伝送部42を含む。
【0097】
第1制御回路10Bは、解像度変換部11に代えて、解像度変換部11Aを備える。解像度変換部11Aには、第1信号と第2信号の両方が入力される。従って、
図14に示すように、解像度変換部11Aには、第1伝送線L1と第2伝送線L2の両方が接続される。解像度変換部11Aは、第1信号及び第2信号に基づいて低解像度データM1を生成する。すなわち、解像度変換部11Aは、実施形態の解像度変換部11と解像度変換部21の両方の機能を備える。一方、第2制御回路20Bは、第2制御回路20が備えていた機能構成のうち、解像度変換部21が省略されている。また、第2低解像度データM12を第2制御回路20から第1制御回路10に送信するための端子411、端子412及び第1伝送部41も変形例2では省略されている。第1制御回路10Bが備える点灯量計算部12は、解像度変換部11Aが生成した低解像度データM1に基づいて点灯量情報を生成する。
【0098】
以上、特筆した事項を除いて、第1制御回路10Bは、第1制御回路10と同様であり、第2制御回路20Bは、第2制御回路20と同様である。また、説明された第1制御回路10Bと第1制御回路10との相違及び第2制御回路20Bと第2制御回路20との相違を除いて、変形例1の表示装置は、実施形態の表示装置1と同様である。
【0099】
変形例2の表示装置は、複数の画素VPixが配置された表示領域AAを有する表示パネル2と、表示領域AAを照明する光源部6と、表示領域AAの一部で表示される第1部分画像(例えば、第1部分画像データIM1)に対応する第1信号が入力される第1制御回路10Bと、表示領域AAの他の一部で表示される第2部分画像(例えば、第2部分画像データIM2)に対応する第2信号が入力される第2制御回路20Bと、を備える。第1制御回路10Bには、第1信号及び前記第2信号が入力される。第1制御回路10Bは、第1信号及び第2信号に基づいて表示領域で表示される画像よりも低解像度の低解像度データ(例えば、低解像度データM1)を生成する解像度変換部(解像度変換部11A)と、低解像度データに基づいて点灯量情報を生成する点灯量計算部(点灯量計算部12)と、点灯量情報に基づいて光源部6からの光の輝度分布(例えば、輝度分布M2)を導出する第1輝度分布計算部(輝度分布計算部13)と、第1輝度分布計算部が導出した輝度分布に基づいて第1信号に含まれる画素信号が示す階調値を補正する第1階調補正部(階調補正部14)と、を備える。第2制御回路20Bは、点灯量情報に基づいて光源部6からの光の輝度分布(例えば、輝度分布M2)を導出する第2輝度分布計算部(輝度分布計算部23)と、第2輝度分布計算部が導出した輝度分布に基づいて第2信号に含まれる画素信号が示す階調値を補正する第2階調補正部(階調補正部24)と、を備える。これによって、変形例2は、実施形態と同様、上述のユニフォーミティに対応するための光源62からの光の拡散に対応した輝度分布の導出及び階調補正を適切に行える。また、第2制御回路20Bの回路規模を第2制御回路20に比して小さくできる。
【0100】
(変形例3)
図15は、変形例3に係る表示装置1Aの主要構成例を示す模式図である。表示パネル2Aは、実施形態の表示パネル2が備えていた各種の構成に加えて、第3制御回路20Cをさらに備える。
図15に示すように、表示パネル2Aが備える複数の信号線SGLは、第1制御回路10、第2制御回路20又は第3制御回路20Cに接続される。
【0101】
第3制御回路20Cは、第2制御回路20と同様、信号線SGLを介して副画素SPixに画素信号を供給する。
図15に示す第3制御回路20Cは、制御装置110から第3伝送線L3を介して供給される第3信号に応じて、副画素SPixに画素信号を供給する。第3信号は、第1信号及び第2信号に対応する画素VPixとは異なる画素VPixが配置された表示領域AAの領域で表示される画像を表示装置1Aに表示させるための信号である。当該画素VPixは、ゲートドライバ30に接続される信号線SGLを共有する複数の副画素SPixで構成される画素VPixである。
【0102】
第3制御回路20Cの機能的構成は、例えば第2制御回路20と同様である。第3制御回路20Cは、伝送部45を介して第1制御回路10と接続される。伝送部45は、第1制御回路10と接続する対象が第2制御回路20から第3制御回路20Cに置換されている点を除いて、伝送部40と同様の構成である。すなわち、変形例3では、実施形態における第2制御回路20と第1制御回路10との間で行われる低解像度データ及び点灯量情報の伝送と同様に、第3制御回路20Cと第1制御回路10との間で低解像度データ及び点灯量情報の伝送が行われる。言い換えれば、第3制御回路20Cは、接続されている副画素SPixの配置が第2制御回路20と異なり、第2信号が第3信号に置換される点を除いて、第2制御回路20と同様である。
図15では、第1制御回路10によって画素信号が供給される副画素SPixと第2制御回路20によって画素信号が供給される副画素SPixとの境界線CL1と、第2制御回路20によって画素信号が供給される副画素SPixと第3制御回路20Cによって画素信号が供給される副画素SPixとの境界線CL2と、を示している。
【0103】
図15では、第1制御回路10、第2制御回路20及び第3制御回路20Cの3つの制御回路が設けられた構成を例示しているが、係る制御回路は4つ以上であってもよい。係る制御回路の数が4以上の数(p)になる場合、第1制御回路10と、(p-1)個の第2制御回路20とが設けられる。(p-1)個の第2制御回路20はそれぞれ個別に上述の伝送部40を介した接続と同様の仕組みで第1制御回路10と接続される。また、(p-1)個の第2制御回路20は、それぞれ接続される副画素SPixの配置が異なり、制御装置110から入力される信号が当該配置に対応した信号になる。
【0104】
なお、変形例3の光源部6Aは、発光部BAの大きさ及び形状が、表示パネル2Aの表示領域AAに対応したものになることを除いて、光源部6と同様である。以上、特筆した事項を除いて、表示装置1Aは、表示装置1と同様である。
【0105】
(変形例4)
図16は、変形例4に係る表示装置1Bの主要構成例を示す模式図である。表示装置1Bは、表示装置1Aにおける第3制御回路20Cの配置が変更された構成である。具体的には、
図16に示すように、変形例4における第1制御回路10は、走査線GCLの延出方向について、第2制御回路20と第3制御回路20Cとの間に配置される。これによって、変形例4では、変形例3に比して伝送部45をより短くでき、より容易に配線を設けることができる。
図16では、第1制御回路10によって画素信号が供給される副画素SPixと第2制御回路20によって画素信号が供給される副画素SPixとの境界線CL1と、第1制御回路20によって画素信号が供給される副画素SPixと第3制御回路20Cによって画素信号が供給される副画素SPixとの境界線CL3と、を示している。
【0106】
なお、第1制御回路10と3つ以上の第2制御回路20とが設けられる表示装置において、第2制御回路20の数が奇数、すなわち、第1制御回路10の数と第2制御回路20の数を足し合わせた数が偶数である場合、走査線GCLの延出方向における表示領域AAの中心線付近に第1制御回路10を配置することが好ましい。これによって、変形例4と同様、第1制御回路10と各第2制御回路20とを接続する伝送部40,45をより短くでき、より容易に配線を設けることができる。また、第1制御回路10と3つ以上の第2制御回路20とが設けられる表示装置において、第2制御回路20の数が偶数、すなわち、第1制御回路10の数と第2制御回路20の数を足し合わせた数が奇数である場合、走査線GCLの延出方向における表示領域AAの中心線に重なる位置に第1制御回路10を配置することが好ましい。これによって、変形例4と同様、第1制御回路10と各第2制御回路20とを接続する伝送部40,45をより短くでき、より容易に配線を設けることができる。このように、第1制御回路10は、第2制御回路20と第3制御回路20Cとの間に配置されることが好ましい。
【0107】
変形例3及び変形例4ならびにこれらと同様の考え方で複数の第2制御回路20を備えた構成は、変形例1又は変形例2と組み合わせ可能である。すなわち、
図15、
図16に示す第1制御回路10及び第2制御回路20は、第1制御回路10A及び第2制御回路20A又は第1制御回路10B及び第2制御回路20Bと置換可能である。この場合、第3制御回路20Cは、第2制御回路20を置換した構成(第2制御回路20A又は第2制御回路20B)と同様になる。また、伝送部40及び伝送部45についても、伝送部40A又は変形例2の伝送部40に置換される。また、第1制御回路10が第1制御回路10Bに置換される場合、第1制御回路10Bには、制御装置110から入力される第1信号、第2信号、第3信号、…、の全てが入力される。また、第2制御回路20が第2制御回路20Aに置換される場合、各々の制御回路(第1制御回路10A及び複数の第2制御回路20A)は、他の全ての制御回路の解像度変換部からの情報を入手するように構成される。また、第2制御回路20が第2制御回路20Bに置換される場合、第1制御回路10Bから他の全ての第2制御回路20Bの輝度分布計算部23に点灯量計算部12の計算結果を送るように構成される。
【0108】
(その他)
第1制御回路10及び第2制御回路20は、表示出力される画像の明るさやダイナミックレンジを調整する機能をさらに備えていてもよい。当該機能の例として、画素信号に白色成分を追加して輝度突き上げを行う機能や、所謂HDR(High Dynamic Range)のようなダイナミックレンジの調整を行う機能等が挙げられる。当該機能は、点灯量計算部12及び階調補正部14に盛り込まれてもよいし、専用の機能ブロックを第1制御回路10及び第2制御回路20ならびにこれらを置換する各変形例の構成に追加するようにしてもよい。
【0109】
また、ゲートドライバ30の具体的構成は、
図1や
図15で例示するものに限られない。例えば、
図1において境界線CLで走査線GCLを分割し、分割された一方の走査線GCLと接続されるゲートドライバ30と、分割された他方の走査線GCLと接続されるゲートドライバ30とを個別に設けてもよい。このように2つのゲートドライバ30を設ける構成を、
図15に示すような変形例3に適用してもよい。また、ゲートドライバ30の機能を第1制御回路10に内蔵してもよい。その場合、走査線GCLは、第1制御回路10と接続される。
【0110】
また、上述の画素VPixは、赤(R)、緑(G)、青(B)の副画素SPixで構成されているが、画素VPixの具体的構成はこれに限られるものでない。画素VPixは、白(W)や黄色(Y)等のような他の色の副画素SPixをさらに備えていてもよい。また画素VPixは、赤(R)、緑(G)、青(B)以外の色の組み合わせで色再現を行う構成であってもよい。また、画素VPixは、モノクロ画素であってもよい。
【0111】
また、
図6に示す画像データIMならびに当該画像データIMに対応する低解像度データM1、点灯量情報、輝度分布M2及び階調補正(階調補正マップM3参照)はあくまで一例であってこれに限られるものでない。入力される画像データの具体的内容(画像)は任意であり、低解像度データM1、点灯量情報、輝度分布M2及び階調補正の具体的内容は、入力される画像データの具体的内容に対応する。
【0112】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0113】
1,1A 表示装置
2,2A 表示パネル
6 光源部
10,10A,10B 第1制御回路
20,20A,20B 第2制御回路
11,11A,21 解像度変換部
12 点灯量計算部
13,23 輝度分布計算部
14,24 階調補正部
411,412,421,422,431,432 端子