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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/06 20060101AFI20231218BHJP
   B60K 6/24 20071001ALI20231218BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20231218BHJP
   F02D 41/14 20060101ALI20231218BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B60W10/06 900
B60K6/24 ZHV
B60W20/00
F02D41/14
F02D45/00 362
F02D45/00 364A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020117650
(22)【出願日】2020-07-08
(65)【公開番号】P2022015044
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和憲
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-108437(JP,A)
【文献】特開2009-023578(JP,A)
【文献】特開2002-047991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-20/50
B60K 6/20- 6/547
F02D 41/14
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンの駆動により発電する発電機と、前記発電機により発電された電力を充電するバッテリと、前記バッテリに充電された前記電力により駆動する走行用モータと、前記エンジンに供給される空気量を調整するスロットル弁と、を備えているハイブリッド車両の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記スロットル弁を、目標開度に制御可能であって、
前記エンジンに燃料が供給されて前記バッテリに前記電力が充電されている間に、前記発電機の出力電流値から前記エンジンのトルクを推定し、
前記エンジンの回転数と前記推定されたトルクから前記スロットル弁の実際の開度を推定し、
前記推定された実際の開度に基づいて、前記スロットル弁の開度が前記目標開度となるようにフィードバック制御し、
前記制御装置は、前記バッテリに充電された前記電力を前記発電機に供給可能であって、
前記発電機は、前記供給された電力を用いて、燃料が前記エンジンに供給されない状態で前記エンジンを強制的に駆動可能であって、
前記制御装置は、
前記エンジンが停止している状態のときは前記スロットル弁の開度を第1開度に調整し、
前記エンジンに燃料が供給されず前記バッテリへの前記電力の充電が行われていない状態で、前記バッテリに充電された前記電力を前記発電機に供給して前記エンジンを強制的に駆動させて前記エンジンの前記回転数をゼロから第1回転数に調整し、
前記第1回転数のときの前記スロットル弁の実際の開度を推定し、
前記第1回転数のときの前記スロットル弁の前記推定された実際の開度に基づいて、前記スロットル弁の開度が前記目標開度となるようにフィードバック制御し、
前記スロットル弁の開度が前記目標開度となるようにフィードバック制御した後に、前記エンジンに燃料を供給する、制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記ハイブリッド車両は、運転者が操作するアクセル部材の操作量を検出するアクセル操作検出部を、さらに備えており、
前記制御装置は、前記アクセル操作検出部により検出される前記操作量と前記バッテリに充電されている前記電力の残量から、前記スロットル弁の前記目標開度を算出し、
前記推定された実際の開度に基づいて、前記スロットル弁の開度が前記目標開度となるようにフィードバック制御する、制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記エンジンが停止している状態から、前記バッテリに充電された前記電力を前記発電機に供給して前記エンジンの前記回転数を第2回転数に調整し、
前記スロットル弁の開度を前記第2回転数に対応する第2開度に制御する制御期間内に、前記推定された実際の開度が前記第2開度よりも小さい第3開度以下である期間が第2期間続いた場合に、前記スロットル弁に異常が生じていると判断する、制御装置。
【請求項4】
エンジンと、前記エンジンの駆動により発電する発電機と、前記発電機により発電された電力を充電するバッテリと、前記バッテリに充電された前記電力により駆動する走行用モータと、前記エンジンに供給される空気量を調整するスロットル弁と、を備えているハイブリッド車両の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記スロットル弁を、目標開度に制御可能であって、
前記バッテリに前記電力が充電されている間に、前記発電機の出力電流値から前記エンジンのトルクを推定し、
前記エンジンの回転数と前記推定されたトルクから前記スロットル弁の実際の開度を推定し、
前記推定された実際の開度に基づいて、前記スロットル弁の開度が前記目標開度となるようにフィードバック制御し、
前記ハイブリッド車両は、運転者が操作するアクセル部材の操作量を検出するアクセル操作検出部を、さらに備えており、
前記制御装置は、前記アクセル操作検出部により検出される前記操作量と前記バッテリに充電されている前記電力の残量から、前記スロットル弁の前記目標開度を算出し、
前記推定された実際の開度に基づいて、前記スロットル弁の開度が前記目標開度となるようにフィードバック制御し
前記制御装置は、前記バッテリに前記電力が充電されている間、前記推定された実際の開度と前記目標開度との差が第1開度差以上である期間が第1期間続いた場合に、前記スロットル弁に異常が生じていると判断する、制御装置。
【請求項5】
エンジンと、前記エンジンの駆動により発電する発電機と、前記発電機により発電された電力を充電するバッテリと、前記バッテリに充電された前記電力により駆動する走行用モータと、前記エンジンに供給される空気量を調整するスロットル弁と、を備えているハイブリッド車両の制御装置であって、
前記制御装置は、
前記スロットル弁を、目標開度に制御可能であって、
前記バッテリに前記電力が充電されている間に、前記発電機の出力電流値から前記エンジンのトルクを推定し、
前記エンジンの回転数と前記推定されたトルクから前記スロットル弁の実際の開度を推定し、
前記推定された実際の開度に基づいて、前記スロットル弁の開度が前記目標開度となるようにフィードバック制御し
前記制御装置は、
前記エンジンが停止している状態から、前記バッテリに充電された前記電力を前記発電機に供給して前記エンジンの前記回転数を第2回転数に調整し、
前記スロットル弁の開度を前記第2回転数に対応する第2開度に制御する制御期間内に、前記推定された実際の開度が前記第2開度よりも小さい第3開度以下である期間が第2期間続いた場合に、前記スロットル弁に異常が生じていると判断する、制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載の制御装置であって、
前記ハイブリッド車両は、前記スロットル弁を駆動するスロットルモータをさらに備えており、
前記制御装置は、前記バッテリに前記電力が充電されている間、前記推定された実際の開度と前記目標開度との差が前記第1開度差以上である期間が第1期間続き、かつ、前記スロットルモータの電流値が第1電流値以上である場合、前記スロットル弁に異常が生じていると判断する、制御装置。
【請求項7】
請求項5に記載の制御装置であって、
前記ハイブリッド車両は、前記スロットル弁を駆動するスロットルモータをさらに備えており、
前記制御装置は、前記推定された実際の開度が前記第3開度以下である期間が前記第2期間続き、かつ、前記スロットルモータの電流値が第2電流値以上である場合、前記スロットル弁に異常が生じていると判断する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、制御装置が開示されている。制御装置は、スロットル弁の開度を調整する。スロットル弁の開度が調整されると、エンジンに流れる空気の量が調整される。制御装置は、通常、スロットル弁の開度を検出する開度センサを用いて、スロットル弁の開度を算出する。また、開度センサが故障した場合、制御装置は、エンジンに流れる空気の圧力を検出する圧力センサを用いて、スロットル弁の開度を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-93923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の技術では、圧力センサも故障した場合、制御装置は、スロットル弁の開度を算出することができない。これにより、スロットル弁の開度を精度よく調整することができない。
【0005】
本明細書は、開度センサと圧力センサを用いることなくスロットル弁の開度を精度よく調整することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する制御装置は、エンジンと、エンジンの駆動により発電する発電機と、発電機により発電された電力を充電するバッテリと、バッテリに充電された電力により駆動する走行用モータと、エンジンに供給される空気量を調整するスロットル弁と、を備えているハイブリッド車両の制御装置である。制御装置は、スロットル弁を、目標開度に制御可能である。制御装置は、バッテリに電力が充電されている間に、発電機の出力電流値からエンジンのトルクを推定する。制御装置は、エンジンの回転数と推定されたトルクからスロットル弁の実際の開度を推定する。制御装置は、推定された実際の開度に基づいて、スロットル弁の開度が目標開度となるようにフィードバック制御する。
【0007】
この構成によれば、制御装置は、バッテリに電力が充電されている間、発電機の出力電流値を用いて、スロットル弁の実際の開度を推定する。発電機の出力電流値は、エンジンの出力(即ち、トルク)と相関関係がある。また、エンジンの出力は、エンジンに供給される空気量(即ち、スロットル弁の開度)と相関関係がある。このため、スロットル弁の開度(即ち、実際の開度)は、発電機の出力電流値に基づいて推定することができる。上記の制御装置は、これらの関係を利用し、開度センサや圧力センサを用いることなく、スロットル弁の開度を精度よく調整することができる。
【0008】
制御装置は、バッテリに充電された電力を発電機に供給可能であってもよい。発電機は、供給された電力を用いて、燃料がエンジンに供給されない状態でエンジンを強制的に駆動可能であってもよい。制御装置は、エンジンが停止している状態のときはスロットル弁の開度を第1開度に調整してもよい。制御装置は、エンジンに燃料を供給しない状態で、バッテリに充電された電力を発電機に供給してエンジンの回転数をゼロから第1回転数に調整してもよい。制御装置は、第1回転数のときのスロットル弁の実際の開度を推定してもよい。制御装置は、推定された実際の開度に基づいて、スロットル弁の開度が目標開度となるようにフィードバック制御してもよい。
【0009】
この構成によれば、バッテリに電力が充電されていないとき、即ち、エンジンが停止しているとき、制御装置は、バッテリに充電されている電力を用いて、エンジンを強制的に駆動する。これにより、制御装置は、供給される燃料を用いてエンジンが駆動する前に、スロットル弁の実際の開度を推定することができる。この結果、バッテリに電力を充電するためにエンジンが駆動する場合(即ち、エンジンに供給される燃料によりエンジンが駆動する場合)、制御装置は、スロットル弁の開度を精度よく調整することができる。
【0010】
ハイブリッド車両は、運転者が操作するアクセル部材の操作量を検出するアクセル操作検出部を、さらに備えていてもよい。制御装置は、アクセル操作検出部により検出される操作量とバッテリに充電されている電力の残量から、スロットル弁の目標開度を算出してもよい。制御装置は、推定された実際の開度に基づいて、スロットル弁の開度が目標開度となるようにフィードバック制御してもよい。
【0011】
この構成によれば、アクセル操作検出部により検出される操作量とバッテリに充電されている電力とに基づいて、スロットル弁の目標開度が算出される。これにより、制御装置は、スロットル弁の推定された実際の開度に基づいて、スロットル弁の開度を、精度よく目標開度に調整することができる。
【0012】
制御装置は、バッテリに電力が充電されている間、推定された実際の開度と目標開度との差が第1開度差以上である期間が第1期間続いた場合に、スロットル弁に異常が生じていると判断してもよい。
【0013】
この構成によれば、制御装置は、バッテリに電力が充電されている間にスロットル弁の推定される実際の開度に基づいて、スロットル弁に異常が生じているか否かを判断する。これにより、開度センサを用いることなく、スロットル弁に異常が生じているか否かを判断することができる。
【0014】
制御装置は、エンジンが停止している状態から、バッテリに充電された電力を発電機に供給してエンジンの回転数を第2回転数に調整してもよい。制御装置は、スロットル弁の開度を第2回転数に対応する第2開度に制御する制御期間内に、推定された実際の開度が第2開度よりも小さい第3開度以下である期間が第2期間続いた場合に、スロットル弁に異常が生じていると判断してもよい。
【0015】
この構成によれば、制御装置は、エンジンを強制的に駆動している間にスロットル弁の推定される実際の開度に基づいて、スロットル弁に異常が生じているか否かを判断する。これにより、開度センサを用いることなく、スロットル弁に異常が生じているか否かを判断することができる。
【0016】
ハイブリッド車両は、スロットル弁を駆動するスロットルモータをさらに備えていてもよい。制御装置は、バッテリに電力が充電されている間、推定された実際の開度と目標開度との差が第1開度差以上である期間が第1期間続き、かつ、スロットルモータの電流値が第1電流値以上である場合、スロットル弁に異常が生じていると判断してもよい。
【0017】
この構成によれば、制御装置は、バッテリに電力が充電されている間にスロットル弁の推定される実際の開度と、スロットルモータの電流値とに基づいて、スロットル弁に異常が生じているか否かを判断する。これにより、開度センサを用いることなく、スロットル弁に異常が生じているか否かをさらに精度よく判断することができる。
【0018】
ハイブリッド車両は、スロットル弁を駆動するスロットルモータをさらに備えていてもよい。制御装置は、推定された実際の開度が第3開度以下である期間が第2期間続き、かつ、スロットルモータの電流値が第2電流値以上である場合、スロットル弁に異常が生じていると判断してもよい。
【0019】
この構成によれば、制御装置は、エンジンを強制的に駆動している間にスロットル弁の推定される実際の開度と、スロットルモータの電流値とに基づいて、スロットル弁に異常が生じているか否かを判断する。これにより、開度センサを用いることなく、スロットル弁に異常が生じているか否かをさらに精度よく判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例のハイブリッド車両の概略図である。
図2】実施例の開度推定処理のフローチャートである。
図3】実施例の始動前調整処理のフローチャートである。
図4】実施例の開固着判定処理のフローチャートである。
図5】実施例の閉固着判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例)
図1から図5を参照して、実施例のハイブリッド車両2について説明する。ハイブリッド車両2は、エンジン10の駆動により発電された電力を使用して走行する車両である。
【0022】
図1に示すように、ハイブリッド車両2は、アクセル操作センサ6と、エンジン10と、発電機22と、バッテリ24と、走行用モータ26と、吸気部30と、排気部46と、制御装置60と、を備えている。アクセル操作センサ6は、ハイブリッド車両2の運転者がアクセルペダル(図示省略)を踏み込んだ量(以下、踏み込み量と呼ぶ)を検出する。
【0023】
エンジン10は、インテークマニホールド12と、エンジン本体14と、エキゾーストマニホールド16と、回転数センサ18と、を備えている。エンジン本体14は、インテークマニホールド12とエキゾーストマニホールド16とに接続されている。エンジン本体14の回転数は、例えば、アクセル操作センサ6により検出される踏み込み量に応じて変化する。回転数センサ18は、エンジン本体14のクランクシャフト20の回転数を検出する。
【0024】
発電機22は、エンジン本体14のクランクシャフト20に接続されている。発電機22は、例えば、オルタネータである。発電機22は、クランクシャフト20が回転することにより、発電する。即ち、エンジン10は、発電機22で発電を行うために駆動する。
【0025】
バッテリ24は、発電機22に電気的に接続されている。バッテリ24は、例えば、リチウムイオン式バッテリである。バッテリ24は、発電機22により発電された電力を充電する。また、バッテリ24は、充電された電力を走行用モータ26に供給する。これにより、走行用モータ26が駆動し、ハイブリッド車両2が走行する。
【0026】
吸気部30は、吸気管32と、フィルタ34と、スロットル弁36と、スロットルモータ38と、流量センサ40と、圧力センサ42と、を備えている。吸気管32は、インテークマニホールド12に接続されている。吸気管32には、ハイブリッド車両2の外部からインテークマニホールド12に向かって空気が流れる。フィルタ34は、吸気管32を流れる空気に含まれる異物を捕集する。
【0027】
スロットル弁36は、吸気管32の内部に配置されている。スロットル弁36は、例えば、バタフライ弁である。スロットル弁36が開くと、空気は、インテークマニホールド12に向かって流れることができる。スロットル弁36の開度が大きいほど、スロットル弁36を流れてエンジン10に供給される空気量が多くなる。
【0028】
スロットルモータ38は、スロットル弁36に接続されている。スロットルモータ38は、例えば、ステッピングモータである。スロットルモータ38は、スロットル弁36を駆動する。これにより、スロットル弁36の開度が調整される。
【0029】
流量センサ40と圧力センサ42とは、吸気管32の内部に配置されている。流量センサ40は、吸気管32を流れる空気量を検出する。圧力センサ42は、吸気管32内の圧力を検出する。
【0030】
排気部46は、排気管48と、触媒装置50と、フィルタ52と、を備えている。排気管48は、エキゾーストマニホールド16に接続されている。排気管48には、エンジン10から排出される排ガスが、エキゾーストマニホールド16からハイブリッド車両2の外部に向かって流れる。
【0031】
触媒装置50とフィルタ52とは、排気管48の内部に配置されている。触媒装置50は、例えば、三元触媒である。触媒装置50は、排ガスに含まれる炭化水素と、一酸化炭素と、窒素酸化物と、を化学反応により無毒化する。無毒化された排ガスが、ハイブリッド車両2の外部に排出される。フィルタ52は、例えば、排ガスに含まれる微粒子を捕集する。
【0032】
制御装置60は、ECU(Engine Control Unitの略)に内蔵されている。制御装置60は、CPUと、ROMまたはRAM等のメモリと、を含む。制御装置60は、アクセル操作センサ6と、エンジン本体14と、回転数センサ18と、発電機22と、バッテリ24と、スロットルモータ38と、流量センサ40と、圧力センサ42と、のそれぞれに電気的に接続されている。なお、図1では、制御装置60とアクセル操作センサ6との接続線、制御装置60と回転数センサ18との接続線、および制御装置60とバッテリ24との接続線のみが図示されている。制御装置60は、エンジン本体14と、発電機22と、バッテリ24と、スロットルモータ38と、を制御する。制御装置60は、アクセル操作センサ6と、回転数センサ18と、流量センサ40と、圧力センサ42と、から信号を受け取る。
【0033】
次に、制御装置60が実行する処理を説明する。本実施例では、ハイブリッド車両2は、スロットル弁36の実際の開度を直接検出する開度検出センサを備えていない。このため、制御装置60は、スロットル弁36の実際の開度を推定する開度推定処理を実行する。開度推定処理は、バッテリ24に充電されている電力を用いてハイブリッド車両2が走行している場合に実行される。
【0034】
図2に示す開度推定処理では、S2において、制御装置60は、発電機22に対して発電要求を行う必要があるか否かを判断する。制御装置60は、例えば、バッテリ24に充電されている電力の残量が所定値以下となった場合、または、ハイブリッド車両2の運転者によるアクセルペダルの踏み込み量が所定量以上となった場合、発電機22に対して発電要求を行う必要があると判断する。発電要求を行う必要がない場合(S2でNO)、制御装置60は、開度推定処理を終了する。この場合、エンジン10が駆動しないため、発電機22により電力が発電されない状態で、ハイブリッド車両2は走行する。即ち、バッテリ24に充電されている電力を利用してハイブリッド車両2は走行する。一方、発電要求を行う必要がある場合(S2でYES)、S4に進む。
【0035】
S4において、制御装置60は、スロットル弁36の目標開度に関するデータマップを用いて、アクセル操作センサ6により検出されるアクセルペダルの踏み込み量と、バッテリ24に充電されている電力の残量から、スロットル弁36の目標開度を算出する。スロットル弁36の目標開度に関するデータマップでは、アクセルペダルの踏み込み量が大きくなるほど目標開度が大きくなり、また、バッテリ24の電力の残量が少ないほど目標開度が大きくなる。制御装置60には、スロットル弁36の目標開度に関するデータマップが、予め格納されている。また、制御装置60は、スロットル弁36の目標開度を算出すると、エンジン10を駆動し、発電機22による発電を開始する。
【0036】
S6において、制御装置60は、エンジン10のトルクに関するデータマップを用いて、回転数センサ18により検出されるクランクシャフト20の回転数と、発電機22の出力電流値から、エンジン10のトルクを推定する。エンジン10のトルクに関するデータマップでは、クランクシャフト20の回転数が高くなるほどエンジン10のトルクが大きくなり、また、発電機22の出力電流値が大きくなるほどエンジン10のトルクが大きくなる。即ち、エンジン10のトルクは、クランクシャフト20の回転数と発電機22の出力電流値のそれぞれと相関関係がある。制御装置60には、エンジン10のトルクに関するデータマップが予め格納されている。
【0037】
S8において、制御装置60は、スロットル弁36の推定開度に関するデータマップを用いて、推定されたエンジン10のトルクと、クランクシャフト20の回転数から、スロットル弁36の実際の開度を推定する。スロットル弁36の推定開度に関するデータマップでは、エンジン10のトルクが大きくなるほどスロットル弁36の推定開度が大きくなり、また、クランクシャフト20の回転数が高くなるほどスロットル弁36の推定開度が大きくなる。制御装置60には、スロットル弁36の推定開度に関するデータマップが予め格納されている。
【0038】
その後、制御装置60は、S8において推定された実際の開度に基づいて、スロットルモータ38を制御してスロットル弁36の開度を目標開度にフィードバック制御する。これにより、スロットル弁36の開度が、精度よく目標開度に調整される。
【0039】
また、本実施例では、ハイブリッド車両2が始動する前、発電機22による発電が行われない状態でバッテリ24に充電された電力を用いて走行用モータ26が駆動している場合、またはハイブリッド車両2がアイドリングストップしている場合、制御装置60は、始動前調整処理を実行する。始動前調整処理は、ハイブリッド車両2のイグニッションスイッチがオンとなっている場合に実行される。始動前調整処理では、スロットル弁36の開度が調整された後に、エンジン10に燃料が供給される。
【0040】
図3に示す始動前調整処理では、S12において、制御装置60は、エンジン10が停止しているか否かを判断する。エンジン10が停止しているとは、例えば、ハイブリッド車両2が始動する前においてハイブリッド車両2が停車している場合、発電機22による発電が行われない状態でバッテリ24に充電された電力を用いて走行用モータ26が駆動している場合、またはハイブリッド車両2がアイドリングストップしている場合である。制御装置60は、クランクシャフト20の回転数がゼロである場合、エンジン10が停止していると判断し、クランクシャフト20の回転数がゼロより大きい場合、エンジン10が駆動していると判断する。また、制御装置60は、エンジン10が停止している状態のとき、スロットル弁36の開度を第1開度に調整している。第1開度は、例えば、5度以下である。以下では、スロットル弁36の開度が第1開度にある状態を、スロットル弁36が閉じていると呼ぶ。制御装置60には、第1開度が予め格納されている。エンジン10が停止していない場合(S12でNO)、制御装置60は、始動前調整処理を終了する。一方、エンジン10が停止している場合(S12でYES)、S14に進む。
【0041】
S14において、制御装置60は、エンジン10を強制的に駆動する。具体的には、制御装置60は、バッテリ24に充電されている電力を発電機22に供給する。発電機22は、供給された電力によりクランクシャフト20を回転させる。クランクシャフト20が回転することにより、エンジン10が駆動する。即ち、エンジン10は、供給された燃料が燃焼することにより駆動するのではなく、バッテリ24に充電されていた電力により強制的に駆動する。発電機22に供給する電力を調整することにより、クランクシャフト20の回転数を任意に調整することができる。
【0042】
また、S14において、制御装置60は、クランクシャフト20の回転数をゼロから第1回転数に調整する。また、クランクシャフト20の回転数を調整すると同時に、制御装置60は、クランクシャフト20の回転数とスロットル弁36の開度との関係を示すデータマップを用いて、第1回転数に対応するスロットル弁36の所定開度を算出して、スロットル弁36の開度を所定開度に調整する。制御装置60には、第1回転数と、クランクシャフト20の回転数とスロットル弁36の開度との関係を示すデータマップと、が予め格納されている。以下では、バッテリ24に充電されていた電力によりエンジン10を強制的に駆動して、クランクシャフト20の回転数とスロットル弁36の開度を調整することを、モータリングすると呼ぶ。
【0043】
S16において、制御装置60は、スロットル弁36の推定開度に関するデータマップを用いて、エンジン10のトルクと、クランクシャフト20の回転数から、スロットル弁36の実際の開度を推定する。なお、変形例では、制御装置60は、スロットルモータ38の電流値、流量センサ40により検出される空気量、または圧力センサ42により検出される吸気管32内の圧力から、スロットル弁36の実際の開度を推定してもよい。
【0044】
S18において、ハイブリッド車両2の運転者によりアクセルペダルが踏み込まれた場合、制御装置60は、スロットル弁36の目標開度に関するデータマップを用いて、アクセル操作センサ6により検出されるアクセルペダルの踏み込み量と、バッテリ24に充電されている電力の残量から、スロットル弁36の目標開度を算出する。次に、制御装置60は、S16において推定された実際の開度に基づいて、スロットル弁36の開度を目標開度にフィードバック制御する。制御装置60は、フィードバック制御している間、スロットル弁36の実際の開度を推定し続けている。
【0045】
S20において、制御装置60は、推定された実際の開度が目標開度で安定したか否かを判断する。ここで、推定された実際の開度が目標開度で安定したとは、例えば、推定された実際の開度が目標開度で所定期間(例えば、0.5秒)維持されたことを表す。推定された実際の開度が目標開度で安定していない場合(S20でNO)、制御装置60は、推定された実際の開度が目標開度で安定するまで、スロットル弁36の開度を目標開度にフィードバック制御する。一方、推定された実際の開度が目標開度で安定した場合(S20でYES)、S24に進む。
【0046】
S22において、制御装置60は、推定された実際の開度が目標開度で安定した状態で、モータリングを終了し、エンジン10に燃料を供給する。エンジン10に供給された燃料が燃焼することにより、エンジン10が駆動する。これにより、スロットル弁36の開度が目標開度に精度よく調整された状態で、クランクシャフト20が回転して、発電機22は、電力を発電する。
【0047】
また、本実施例では、バッテリ24に電力が充電されている間、スロットル弁36の開度は、クランクシャフト20の回転数に応じて調整され続けている。このとき、例えば、スロットル弁36に異物が引っ掛かることにより、スロットル弁36は、開いた状態で固着して正常に動作しない場合がある。制御装置60は、スロットル弁36が開いた状態で固着しているか否かを判断する開固着判定処理を実行する。
【0048】
図4に示す開固着判定処理では、S32において、制御装置60は、推定された実際の開度と目標開度との差が第1開度差以上であるか否かを判断する。ここで、制御装置60は、推定された実際の開度と目標開度との差が第1開度差以上である期間が第1期間続いた場合に、推定された実際の開度と目標開度との差が第1開度差以上であると判断する。第1期間は、例えば、0.5秒である。また、第1開度差は、例えば、10度である。制御装置60は、上述した開度推定処理のS6およびS8と同様の処理を実行することにより、スロットル弁36の実際の開度を推定する。また、制御装置60は、上述した開度推定処理のS4と同様の処理を実行することにより、スロットル弁36の目標開度を算出する。制御装置60には、第1開度差と第1期間とが予め格納されている。推定された実際の開度と目標開度との差が第1開度差よりも小さい場合(S32でNO)、S44において、制御装置60は、スロットル弁36が正常に動作していると判断する。即ち、制御装置60は、発電機22による発電の条件(例えば、クランクシャフト20の回転数またはスロットル弁36の開度)を変更することなく、発電機22による発電を続ける。一方、推定された実際の開度と目標開度との差が第1開度差以上である場合(S32でYES)、S34に進む。
【0049】
S34において、制御装置60は、推定された実際の開度が第2開度以上であるか否かを判断する。第2開度は、始動前調整処理のS12における第1開度よりも大きい。第2開度は、例えば、30度である。制御装置60には、第2開度が予め格納されている。推定された実際の開度が第2開度よりも小さい場合(S34でNO)、S44に進む。一方、推定された実際の開度が第2開度以上である場合(S34でYES)、S36に進む。
【0050】
S36において、制御装置60は、スロットルモータ38の電流値が第1電流値以上であるか否かを判断する。スロットル弁36を開閉するトルクが大きい場合、スロットルモータ38の電流値が大きくなる。第1電流値は、正常な状態のスロットル弁36を駆動するための電流値より大きく、例えば、2アンペアである。制御装置60には、第1電流値が予め格納されている。スロットルモータ38の電流値が第1電流値よりも小さい場合(S36でNO)、S44に進む。一方、スロットルモータ38の電流値が第1電流値以上である場合(S36でYES)、S38に進む。
【0051】
S38において、制御装置60は、スロットルモータ38のスロットルデューティが第1割合以上であるか否かを判断する。スロットルデューティとは、目標開度に対する推定された実際の開度の偏差から算出されるスロットル弁36の開度の調整量である。目標開度に対する推定された実際の開度の偏差が大きいほど、スロットルデューティが大きくなる。スロットルデューティが大きいほど、単位時間当たりのスロットル弁36の開度の調整量が大きくなる。スロットルデューティは、例えば、70%である。制御装置60には、第1割合が予め格納されている。スロットルデューティが第1割合よりも小さい場合(S38でNO)、S44に進む。一方、スロットルデューティが第1割合以上である場合(S38でYES)、S40に進む。
【0052】
S40において、制御装置60は、推定された実際の開度が第2開度以上であり、スロットルモータ38の電流値が第1電流値以上であり、かつ、スロットルモータ38のスロットルデューティが第1割合以上である期間が、第1判定期間続いたか否かを判断する。第1判定期間は、例えば0.5秒である。制御装置60には、第1判定期間が予め格納されている。上記期間が第1判定期間続いていない場合(S40でNO)、S44に進む。一方、上記期間が第1判定期間続いた場合(S40でYES)、S42において、制御装置60は、スロットル弁36に異常が生じていると判断する。スロットル弁36に異常が生じていると判断された場合、制御装置60は、警報を通知する。例えば、ハイブリッド車両2の運転席のダッシュボードに、スロットル弁36に異常が生じていることを表す表示が点灯する。これにより、ハイブリッド車両2の運転者は、スロットル弁36に異常が生じていることを認識することができる。
【0053】
また、本実施例では、エンジン10が停止している場合、スロットル弁36の開度が第1開度に調整される。即ち、スロットル弁36は、閉じた状態に調整される。その後、エンジン10が再び駆動する場合、スロットル弁36は、閉じた状態で固着して正常に動作しない場合がある。制御装置60は、スロットル弁36が閉じた状態で固着しているか否かを判断する閉固着判定処理を実行する。閉固着判定処理は、エンジン10が停止している間、例えば、ハイブリッド車両2が始動する前においてハイブリッド車両2が停車している場合、発電機22による発電が行われない状態でバッテリ24に充電された電力を用いて走行用モータ26が駆動している場合、またはハイブリッド車両2がアイドリングストップしている場合に実行される。
【0054】
図5に示す閉固着判定処理では、S52において、制御装置60は、モータリングする。具体的には、制御装置60は、クランクシャフト20の回転数をゼロから第2回転数に調整する。また、制御装置60は、スロットル弁36の開度を第2回転数に対応する第2開度に調整する制御を実行する。本実施例では、第2回転数は、始動前調整処理のS14における第1回転数と同一であり、第2開度は、始動前調整処理のS14における所定開度と同一である。
【0055】
S54において、制御装置60は、スロットル弁36の開度を第2開度に調整する制御期間内に、推定されたスロットル弁36の実際の開度が第3開度以下であるか否かを判断する。制御装置60は、上述した開度推定処理のS6およびS8と同様の処理を実行することにより、スロットル弁36の実際の開度を推定する。本実施例では、第3開度は、第1開度と同一であり、例えば、5度以下である。制御装置60には、第3開度が予め格納されている。推定された実際の開度が第3開度よりも大きい場合(S54でNO)、S64において、制御装置60は、スロットル弁36が正常に動作していると判断する。一方、推定された実際の開度が第3開度以下である場合(S54でYES)、S56に進む。
【0056】
S56において、制御装置60は、スロットルモータ38の電流値が第2電流値以上であるか否かを判断する。本実施例では、第2電流値は、第1電流値と同一であり、例えば、2アンペアである。制御装置60には、第2電流値が予め格納されている。スロットルモータ38の電流値が第2電流値よりも小さい場合(S56でNO)、S64に進む。一方、スロットルモータ38の電流値が第2電流値以上である場合(S56でYES)、S58に進む。
【0057】
S58において、制御装置60は、スロットルモータ38のスロットルデューティが第2割合以上であるか否かを判断する。第2割合は、例えば、70%である。制御装置60には、第2割合が予め格納されている。スロットルデューティが第2割合よりも小さい場合(S58でNO)、S64に進む。一方、スロットルデューティが第2割合以上である場合(S58でYES)、S60に進む。
【0058】
S60において、制御装置60は、制御期間内において、推定された実際の開度が第3開度以下であり、スロットルモータ38の電流値が第2電流値以上であり、かつ、スロットルデューティが第2割合以上である期間が、第2判定期間続いたか否かを判断する。本実施例では、第2期間は、第1期間と同一であり、例えば、0.5秒である。制御装置60には、第2期間が予め格納されている。上記期間が第2判定期間続いていない場合(S60でNO)、S64に進む。一方、上記期間が第2判定期間続いた場合(S60でYES)、S62において、制御装置60は、スロットル弁36に異常が生じていると判断する。スロットル弁36に異常が生じていると判断された場合、上述した開固着判定処理のS42と同様に、例えば、ハイブリッド車両2の運転席のダッシュボードに、スロットル弁36に異常が生じていることを表す表示が点灯する。
【0059】
(効果)
以上、実施例の制御装置60について説明した。制御装置60は、エンジン10と、エンジン10の駆動により発電する発電機22と、発電機22により発電された電力を充電するバッテリ24と、バッテリ24に充電された電力により駆動する走行用モータ26と、エンジン10に供給される空気量を調整するスロットル弁36と、を備えているハイブリッド車両2の制御装置60である。制御装置60は、スロットル弁36を、目標開度に制御可能である。制御装置60は、バッテリ24に電力が充電されている間に、発電機22の出力電流値からエンジン10のトルクを推定する。制御装置60は、エンジン10の回転数と推定されたトルクからスロットル弁36の実際の開度を推定する。制御装置60は、推定された実際の開度に基づいて、スロットル弁36の開度が目標開度となるようにフィードバック制御する。この構成によれば、制御装置60は、バッテリ24に電力が充電されている間、発電機22の出力電流値を用いて、スロットル弁36の実際の開度を推定する。発電機22の出力電流値は、エンジン10の出力(即ち、トルク)と相関関係がある。また、エンジン10の出力は、エンジン10に供給される空気量(即ち、スロットル弁36の開度)と相関関係がある。このため、スロットル弁36の開度(即ち、実際の開度)は、発電機22の出力電流値に基づいて推定することができる。上記の制御装置60は、これらの関係を利用し、開度センサや圧力センサを用いることなく、スロットル弁36の開度を精度よく調整することができる。
【0060】
また、制御装置60は、バッテリ24に充電された電力を発電機22に供給可能である。発電機22は、供給された電力を用いて、燃料がエンジン10に供給されない状態でエンジン10を強制的に駆動可能である。制御装置60は、エンジン10が停止している状態のときはスロットル弁36の開度を第1開度に調整する。制御装置60は、エンジン10に燃料を供給しない状態で、バッテリ24に充電された電力を発電機22に供給してエンジン10の回転数をゼロから第1回転数に調整する。制御装置60は、第1回転数のときのスロットル弁36の実際の開度を推定する。制御装置60は、推定された実際の開度に基づいて、スロットル弁36の開度が目標開度となるようにフィードバック制御する。この構成によれば、バッテリ24に電力が充電されていないとき、即ち、エンジン10が停止しているとき、制御装置60は、バッテリ24に充電されている電力を用いて、エンジン10を強制的に駆動する。これにより、制御装置60は、供給される燃料を用いてエンジン10が駆動する前に、スロットル弁36の実際の開度を推定することができる。この結果、バッテリ24に電力を充電するためにエンジン10が駆動する場合(即ち、エンジン10に供給される燃料によりエンジン10が駆動する場合)、制御装置60は、スロットル弁36の開度を精度よく調整することができる。
【0061】
また、ハイブリッド車両2は、運転者が操作するアクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作センサ6を、さらに備えている。制御装置60は、アクセル操作センサ6により検出される操作量とバッテリ24に充電されている電力の残量から、スロットル弁36の目標開度を算出する。制御装置60は、推定された実際の開度に基づいて、スロットル弁36の開度が目標開度となるようにフィードバック制御する。この構成によれば、アクセル操作センサ6により検出される操作量とバッテリ24に充電されている電力とに基づいて、スロットル弁36の目標開度が算出される。これにより、制御装置60は、スロットル弁36の推定された実際の開度に基づいて、スロットル弁36の開度を、精度よく目標開度に調整することができる。
【0062】
制御装置60は、バッテリ24に電力が充電されている間、推定された実際の開度と目標開度との差が第1開度差以上である期間が第1期間続いた場合に、スロットル弁36に異常が生じていると判断する。この構成によれば、制御装置60は、バッテリ24に電力が充電されている間にスロットル弁36の推定される実際の開度に基づいて、スロットル弁36に異常が生じているか否かを判断する。これにより、開度センサを用いることなく、スロットル弁36に異常が生じているか否かを判断することができる。
【0063】
制御装置60は、エンジン10が停止している状態から、バッテリ24に充電された電力を発電機22に供給してエンジン10の回転数を第2回転数に調整する。制御装置60は、スロットル弁36の開度を第2回転数に対応する第2開度に制御する制御期間内に、推定された実際の開度が第2開度よりも小さい第3開度以下である期間が第2期間続いた場合に、スロットル弁36に異常が生じていると判断する。この構成によれば、制御装置60は、エンジン10を強制的に駆動している間にスロットル弁36の推定される実際の開度に基づいて、スロットル弁36に異常が生じているか否かを判断する。これにより、開度センサを用いることなく、スロットル弁36に異常が生じているか否かを判断することができる。
【0064】
ハイブリッド車両2は、スロットル弁36を駆動するスロットルモータ38をさらに備えている。制御装置60は、バッテリ24に電力が充電されている間、推定された実際の開度と目標開度との差が第1開度差以上である期間が第1期間続き、かつ、スロットルモータ38の電流値が第1電流値以上である場合、スロットル弁36に異常が生じていると判断する。この構成によれば、制御装置60は、バッテリ24に電力が充電されている間にスロットル弁36の推定される実際の開度と、スロットルモータ38の電流値とに基づいて、スロットル弁36に異常が生じているか否かを判断する。これにより、開度センサを用いることなく、スロットル弁36に異常が生じているか否かをさらに精度よく判断することができる。
【0065】
ハイブリッド車両2は、スロットル弁36を駆動するスロットルモータ38をさらに備えている。制御装置60は、推定された実際の開度が第3開度以下である期間が第2期間続き、かつ、スロットルモータ38の電流値が第2電流値以上である場合、スロットル弁36に異常が生じていると判断する。この構成によれば、制御装置60は、エンジン10を強制的に駆動している間にスロットル弁36の推定される実際の開度と、スロットルモータ38の電流値とに基づいて、スロットル弁36に異常が生じているか否かを判断する。これにより、開度センサを用いることなく、スロットル弁36に異常が生じているか否かをさらに精度よく判断することができる。
【0066】
(対応関係)
第2判定期間は、「第2期間」の一例である。アクセルペダルは、「アクセル部材」の一例であり、アクセル操作センサ6は、「アクセル操作検出部」の一例である。
【0067】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
(変形例)
(1)走行用モータ26は、バッテリ24から電力が供給されることにより駆動するだけでなく、発電機22により発電された電力が直接供給されることにより駆動してもよい。
【0069】
(2)閉固着判定処理のS52おける第2回転数は、始動前判定処理のS14における第1回転数と異なっていてもよい。閉固着判定処理のS56における第2電流値は、開固着判定処理のS36における第1電流値と異なっていてもよい。閉固着判定処理のS60における第2期間は、開固着判定処理のS40における第1期間と異なっていてもよい。
【0070】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0071】
2 :ハイブリッド車両
6 :アクセル操作センサ
10 :エンジン
12 :インテークマニホールド
14 :エンジン本体
16 :エキゾーストマニホールド
18 :回転数センサ
20 :クランクシャフト
22 :発電機
24 :バッテリ
26 :走行用モータ
30 :吸気部
32 :吸気管
34、52:フィルタ
36 :スロットル弁
38 :スロットルモータ
40 :流量センサ
42 :圧力センサ
46 :排気部
48 :排気管
50 :触媒装置
60 :制御装置
図1
図2
図3
図4
図5