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特許7404184作業機械を制御するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】作業機械を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20231218BHJP
   E02F 3/85 20060101ALI20231218BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F3/85 D
H04Q9/00 301Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020123915
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020430
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】門野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 志尚
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-098586(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161946(WO,A1)
【文献】特開2018-044381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0030052(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 3/85
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1作業機械と第2作業機械とを含み、自動で動作可能な複数の作業機械と、
前記複数の作業機械と無線により通信を行う通信装置と、
前記通信装置を介して前記複数の作業機械に操作信号を送信し、前記複数の作業機械を個別に遠隔操作可能な操作装置と、
前記第1作業機械と前記第2作業機械とが自動で動作しているときに、前記操作装置による前記第1作業機械への操作を無効とするコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記複数の作業機械のそれぞれは、前記作業機械の状態を検出し、前記作業機械の状態に応じて、前記操作装置に対する介入要求を出力し、
前記コントローラは、前記第1作業機械から前記介入要求を受信したときに、前記操作装置による前記第1作業機械への操作を有効とする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の作業機械のそれぞれは、前記作業機械の状態を検出し、前記作業機械の状態に応じて、前記操作装置に対する介入要求を出力し、
前記コントローラは、前記第1作業機械から前記介入要求を受信したときに、前記第1作業機械の自動動作を停止させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、自動動作の停止中の前記第1作業機械が、所定の復帰条件を満たしたときには、前記第1作業機械の自動動作を復帰させる、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
第1作業機械と第2作業機械とを含み、自動で動作可能な複数の作業機械を制御するための方法であって、
前記複数の作業機械を遠隔操作可能な操作装置から前記複数の作業機械に操作信号を送信することと、
前記第1作業機械と前記第2作業機械とが自動で動作しているかを判定することと、
前記第1作業機械と前記第2作業機械とが自動で動作しているときには、前記操作装置による前記第1作業機械への操作を無効とすること、
を備える方法。
【請求項6】
前記第1作業機械から前記操作装置に対する介入要求を受信したかを判定することと、
前記第1作業機械から前記操作装置に対する介入要求を受信したときに、前記操作装置による前記第1作業機械への操作を有効とすること、
をさらに備える請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1作業機械から前記操作装置に対する介入要求を受信したかを判定することと、
前記第1作業機械から前記操作装置に対する介入要求を受信したときに、前記第1作業機械の自動動作を停止させること、
をさらに備える請求項5に記載の方法。
【請求項8】
自動動作の停止中の前記第1作業機械が、所定の復帰条件を満たしたときには、前記第1作業機械の自動動作を復帰させることをさらに備える、
請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークサイトにおいて、複数の作業機械が協働して作業を行うことがある。例えば、特許文献1では、同じワークサイト内で、複数のブルドーザが協働して掘削を行っている。ブルドーザは、所定の作業方向に延びる作業レーンに従って、掘削を行う。近年、作業機械を自動制御する技術が提案されている。1つのワークサイトで複数台の作業機械が同時に使われる場合、複数の作業機械を自動制御することで、作業の効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9014922号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一部の作業機械に故障などの異常が発生した場合、複数の作業機械を自動制御することが困難になる。そのため、複数の作業機械が自動制御される場合であっても、オペレータが、操作装置を用いて遠隔から作業機械を操作できることが好ましい。しかし、不要な操作装置の操作により、一部の作業機械の自動制御が中断されると、作業の効率を低下させてしまう。本開示の目的は、自動で動作可能な複数の作業機械に対して、オペレータが、操作装置を用いて遠隔から操作可能であると共に、不要な操作による作業効率の低下を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るシステムは、複数の作業機械と、通信装置と、操作装置と、コントローラとを備える。複数の作業機械は、自動で動作可能である。複数の作業機械は、第1作業機械と第2作業機械とを含む。通信装置は、複数の作業機械と無線により通信を行う。操作装置は、通信装置を介して複数の作業機械に操作信号を送信する。操作装置は、複数の作業機械を個別に遠隔操作可能である。コントローラは、第1作業機械と第2作業機械とが自動で動作しているときに、操作装置による第1作業機械への操作を無効とする。
【0006】
本開示の他の態様に係る方法は、複数の作業機械を制御するための方法である。複数の作業機械は、自動で動作可能である。複数の作業機械は、第1作業機械と第2作業機械とを含む。本態様に係る方法は、以下の処理を備える。第1の処理は、複数の作業機械を遠隔操作可能な操作装置から複数の作業機械に操作信号を送信することである。第2の処理は、第1作業機械と第2作業機械とが自動で動作しているかを判定することである。第3の処理は、第1作業機械と第2作業機械とが自動で動作しているときには、操作装置による第1作業機械への操作を無効とすることである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、オペレータは、操作装置を用いて、複数の作業機械を遠隔から操作可能である。また、第1作業機械と第2作業機械とが自動で動作しているときには、操作装置による第1作業機械への操作が無効とされる。それにより、不要な操作による作業効率の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る作業機械の制御システムを示す模式図である。
図2】作業機械の側面図である。
図3】作業機械の構成を示す模式図である。
図4】自動動作の処理を示すフローチャートである。
図5】現況地形の一例を示す側面図である。
図6】作業エリアの例を示すワークサイトの上面図である。
図7】自動動作モードから手動動作モードへの切換の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る作業機械の制御システムについて、図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る作業機械の制御システム100を示す模式図である。図1に示すように、制御システム100は、複数の作業機械1a,1bと、リモートコントローラ2と、入力装置3と、ディスプレイ4と、操作装置5と、外部通信装置6とを含む。制御システム100は、採掘場などのワークサイトに配置された作業機械1a,1bを制御する。複数の作業機械1a,1bは、第1作業機械1aと、第2作業機械1bとを含む。本実施形態に係る作業機械1a,1bは、ブルドーザである。
【0010】
リモートコントローラ2と、入力装置3と、ディスプレイ4と、操作装置5と、外部通信装置6とは、作業機械1a,1bの外部に配置される。リモートコントローラ2と、入力装置3と、ディスプレイ4と、操作装置5と、外部通信装置6とは、例えば、作業機械1a,1bの外部の管理センタに配置されてもよい。リモートコントローラ2は、作業機械1a,1bを遠隔操作する。リモートコントローラ2によって遠隔操作される作業機械の数は、2台に限らず、2台より多くてもよい。
【0011】
図2は、第1作業機械1aの側面図である。図3は、第1作業機械1aの構成を示すブロック図である。以下、第1作業機械1aについて説明するが、第2作業機械1bの構成は、第1作業機械1aと同様である。図2に示すように、第1作業機械1aは、車体11と、走行装置12と、作業機13とを含む。車体11は、エンジン室15を含む。走行装置12は、車体11に取り付けられている。走行装置12は、左右の履帯16を有している。なお、図2では、左側の履帯16のみが図示されている。履帯16が回転することによって、第1作業機械1aが走行する。
【0012】
作業機13は、車体11に取り付けられている。作業機13は、リフトフレーム17と、ブレード18と、リフトシリンダ19とを含む。リフトフレーム17は、上下に動作可能に車体11に取り付けられている。リフトフレーム17は、ブレード18を支持している。ブレード18は、リフトフレーム17の動作に伴って上下に移動する。リフトフレーム17は、走行装置12に取り付けられてもよい。リフトシリンダ19は、車体11とリフトフレーム17とに連結されている。リフトシリンダ19が伸縮することによって、リフトフレーム17は、上下に動作する。
【0013】
図3に示すように、第1作業機械1aは、エンジン22と、油圧ポンプ23と、動力伝達装置24と、制御弁27とを含む。油圧ポンプ23は、エンジン22によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ23から吐出された作動油は、リフトシリンダ19に供給される。なお、図3では、1つの油圧ポンプ23が図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。
【0014】
動力伝達装置24は、エンジン22の駆動力を走行装置12に伝達する。動力伝達装置24は、例えば、HST(Hydro Static Transmission)であってもよい。或いは、動力伝達装置24は、トルクコンバーター、或いは複数の変速ギアを有するトランスミッションであってもよい。或いは、動力伝達装置24は、他の種類のトランスミッションであってもよい。
【0015】
制御弁27は、リフトシリンダ19などの油圧アクチュエータと、油圧ポンプ23との間に配置される。制御弁27は、油圧ポンプ23から、リフトシリンダ19に供給される作動油の流量を制御する。制御弁27は、圧力比例制御弁であってもよい。或いは、制御弁27は、電磁比例制御弁であってもよい。
【0016】
第1作業機械1aは、機械コントローラ26aと機械通信装置28とを備える。機械コントローラ26aは、走行装置12、或いは動力伝達装置24を制御することで、第1作業機械1aを走行させる。機械コントローラ26aは、制御弁27を制御することで、ブレード18を上下に移動させる。
【0017】
機械コントローラ26aは、取得したデータに基づいて第1作業機械1aを制御するようにプログラムされている。機械コントローラ26aは、プロセッサ31aと記憶装置32aとを含む。プロセッサ31aは、例えばCPU(central processing unit)である。或いは、プロセッサ31aは、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサ31aは、プログラムに従って、第1作業機械1aを制御するための処理を実行する。
【0018】
記憶装置32aは、ROMなどの不揮発性メモリと、RAMなどの揮発性メモリとを含む。記憶装置32aは、ハードディスク、或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置32aは、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置32aは、第1作業機械1aを制御するためのコンピュータ指令及びデータを記憶している。
【0019】
機械通信装置28は、外部通信装置6と無線により通信する。例えば、機械通信装置28は、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN、3G、4G、或いは5Gなどの移動体通信、或いは他のタイプの無線通信システムにより、外部通信装置6と通信する。
【0020】
第1作業機械1aは、位置センサ33を含む。位置センサ33は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)レシーバを含んでもよい。或いは、位置センサ33は、他の測位システムのレシーバを含んでもよい。位置センサ33は、Lidarなどの測距センサ、或いはステレオカメラなどのイメージセンサを含んでもよい。位置センサ33は、位置データを機械コントローラ26aに出力する。位置データは、第1作業機械1aの位置を示す。
【0021】
第1作業機械1aは、傾きセンサ34を含む。傾きセンサ34は、第1作業機械1aの傾きを検出する。傾きセンサ34は、例えばIMU(Inertial Measurement Unit)である。第1作業機械1aの傾きは、車体11の傾きを示す。第1作業機械1aの傾きは、車体11のロール角とピッチ角とを含む。ロール角は、水平方向に対する車体11の左右方向の角度である。ピッチ角は、水平方向に対する車体11の前後方向の角度である。傾きセンサ34は、第1作業機械1aの傾きを示す機械傾きデータを出力する。
【0022】
図1に示す外部通信装置6は、機械通信装置28と無線により通信する。外部通信装置6は、リモートコントローラ2からの指令信号を、機械通信装置28に送信する。機械コントローラ26aは、機械通信装置28を介して、指令信号を受信する。外部通信装置6は、機械通信装置28を介して、第1作業機械1aの位置データと機械傾きデータとを受信する。
【0023】
入力装置3は、オペレータによって操作可能な装置である。入力装置3は、オペレータからの入力指令を受け、入力指令に対応する操作信号を、リモートコントローラ2に出力する。入力装置3は、オペレータによる操作に応じた操作信号を出力する。入力装置3は、リモートコントローラ2に操作信号を出力する。入力装置3は、マウス、或いはトラックボールなどのポインティングデバイスを含んでもよい。入力装置3は、キーボードを含んでもよい。
【0024】
ディスプレイ4は、例えばCRT,LCD,或いはOELD等のモニタを含む。ディスプレイ4は、リモートコントローラ2からの画像信号を受信する。ディスプレイ4は、画像信号に応じた画像を表示する。ディスプレイ4は、入力装置3と一体であってもよい。例えば、入力装置3とディスプレイ4とは、タッチスクリーンを含んでもよい。
【0025】
操作装置5は、オペレータによって操作可能である。操作装置5は、例えば、ペダル、レバー、或いはスイッチを含む。操作装置5は、複数の作業機械1a,1bを個別に遠隔操作可能である。操作装置5は、複数の作業機械1a,1bのうちの一部を特定して遠隔操作可能であってもよい。後述するように、作業機械1a,1bは、自動動作モードと手動動作モードとに切り替え可能である。
【0026】
自動動作モードでは、作業機械1a,1bは、オペレータによる操作無しで、自動で動作する。自動動作モードでは、作業機械1a,1bは、後述するリモートコントローラ2からの指令に従って、動作する。或いは、自動動作モードでは、作業機械1a,1bは、自立的に自動で動作する。その場合、作業機械1a,1bは、各作業機械1a,1bの機械コントローラの判断に従って、動作する。
【0027】
手動動作モードでは、作業機械1a,1bは、操作装置5からの操作信号に応じて、動作する。操作装置5は、オペレータによる操作を受け付け、当該操作に応じた操作信号を出力する。操作信号は、外部通信装置6を介して、複数の作業機械1a,1bに送信される。
【0028】
リモートコントローラ2は、遠隔から作業機械1a,1bを制御する。リモートコントローラ2は、入力装置3から操作信号を受信する。リモートコントローラ2は、ディスプレイ4に画像信号を出力する。リモートコントローラ2は、プロセッサ2aと記憶装置2bとを含む。プロセッサ2aは、例えばCPU(Central Processing Unit)である。或いは、プロセッサ2aは、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサ2aは、プログラムに従って、作業機械1a,1bを制御するための処理を実行する。なお、以下の説明において、リモートコントローラ2が実行する処理に関する記載は、プロセッサ2aが実行する処理と解釈されてもよい。
【0029】
記憶装置2bは、ROMなどの不揮発性メモリと、RAMなどの揮発性メモリとを含む。記憶装置2bは、ハードディスク、或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置2bは、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置2bは、作業機械1a,1bを制御するためのコンピュータ指令及びデータを記憶している。
【0030】
次に、制御システム100によって実行される作業機械1a,1bの自動動作について説明する。図4は、リモートコントローラ2によって行われる処理を示すフローチャートである。
【0031】
図4に示すように、ステップS101では、リモートコントローラ2は、現況地形データを取得する。現況地形データは、ワークサイトの現況地形を示す。図5は、現況地形80の一例を示す側面図である。現況地形データは、現況地形80上の複数地点の座標及び高度を含む。作業機械1a,1bは、自動動作により、現況地形80が最終目標地形81に沿う形状となるように、現況地形80の掘削を行う。
【0032】
ステップS102では、リモートコントローラ2は、位置データを取得する。位置データは、第1作業機械1aの第1位置データと、第2作業機械1bの第2位置データとを含む。第1位置データは、第1作業機械1aの位置を示す。第2位置データは、第2作業機械1bの位置を示す。
【0033】
ステップS103では、リモートコントローラ2は、ワークサイトにおいて複数の作業エリア50A,50Bを決定する。図6は、第1実施形態に係る作業エリア50A,50Bの一例を示すワークサイトの上面図である。複数の作業エリア50A,50Bは、第1作業エリア50Aと第2作業エリア50Bとを含む。第1作業エリア50Aは、複数の第1作業レーン51-53を含む。複数の第1作業レーン51-53は、所定の第1作業方向D1に延びる。複数の第1作業レーン51-53は、直線状に延びる。第1作業レーン51-53は、第1作業エリア50Aの横方向に並んでいる。第1作業エリア50Aの横方向は、第1作業方向D1に交差する方向である。
【0034】
第2作業エリア50Bは、複数の第2作業レーン54-56を含む。複数の第2作業レーン54-56は、所定の第2作業方向D2に延びる。複数の第2作業レーン54-56は、直線状に延びる。第2作業レーン54-56は、第2作業エリア50Bの横方向に並んでいる。第2作業エリア50Bの横方向は、第2作業方向D2に交差する方向である。図6に示す例では、第1作業方向D1と第2作業方向D2とは、同じ方向である。
【0035】
リモートコントローラ2は、オペレータによる入力装置3の操作に応じて、作業エリア50A,50Bを決定してもよい。或いは、リモートコントローラ2は、自動的に作業エリア50A,50Bを決定してもよい。
【0036】
なお、作業レーン51-56の配列は、図6に示すものに限らず、変更されてもよい。例えば、各作業エリアの作業レーンの数は、3つに限らず、3つより少なくてもよく、3つより多くてもよい。第1作業エリア50Aの作業レーンの数と第2作業エリア50Bの作業レーンの数とは、同じに限らず、異なってもよい。作業エリアの数は、2つに限らず、2つより多くてもよい。
【0037】
ステップS104では、リモートコントローラ2は、作業機械1a,1bに作業エリア50A,50Bを割り当てる。オペレータは、入力装置3によって、複数の作業エリア50A,50Bのそれぞれを、作業機械1a,1bのいずれかに割り当てる。リモートコントローラ2は、入力装置3からの操作信号に基づいて、複数の作業エリア50A,50Bのそれぞれに割り当てられる作業機械を決定する。
【0038】
或いは、リモートコントローラ2は、複数の作業エリア50A,50Bのそれぞれに割り当てられる作業機械を自動的に決定してもよい。図6に示す例では、リモートコントローラ2は、第1作業機械1aに第1作業エリア50Aを割り当て、第2作業機械1bに第2作業エリア50Bを割り当てる。
【0039】
ステップS105では、リモートコントローラ2は、作業開始の承認を受信したかを判定する。オペレータは、入力装置3によって、作業機械1a,1bによる作業開始の承認を指示することができる。リモートコントローラ2は、入力装置3からの操作信号に基づいて、承認を受信したかを判定する。なお、リモートコントローラ2は、作業機械1a,1bごとに個別に承認を受信したかを判定してもよい。
【0040】
ステップS106では、リモートコントローラ2は、作業機械1a,1bに作業の開始指令を送信する。それにより、第1作業機械1aは、割り当てられた第1作業レーン51-53の配列に従って作業を行うように制御される。リモートコントローラ2は、第1作業レーン51-53の位置を示すデータを第1作業機械1aに送信する。リモートコントローラ2は、第2作業レーン54-56位置を示すデータを第2作業機械1bに送信する。
【0041】
第1作業機械1aは、第1作業機械1aに割り当てられた第1作業レーン51-53まで移動し、第1作業レーン51-53に対して位置と方位とを自動的に合わせる。そして、第1作業機械1aは、第1作業レーン51-53に沿って移動しながら掘削を行う。第1作業レーン51-53の掘削が完了すると、第1作業レーン51-53の間には、掘削壁が残る。第1作業機械1aは、割り当てられた第1掘削壁のエリア61,62に沿って移動しながら、掘削壁の掘削を行う。第1作業レーン51-53の掘削順序、或いは第1掘削壁のエリア61,62の掘削順序は、リモートコントローラ2によって決定されてもよい。或いは、第1作業レーン51-53の掘削順序、或いは第1掘削壁のエリア61,62の掘削順序は、第1作業機械1aの機械コントローラ26aによって決定されてもよい。
【0042】
同様に、第2作業機械1bは、第2作業機械1bに割り当てられた第2作業レーン54-56まで移動し、第2作業レーン54-56に対して位置と方位とを自動的に合わせる。そして、第2作業機械1bは、第2作業レーン54-56に沿って移動しながら掘削を行う。第2作業レーン54-56の掘削が完了すると、第2作業レーン54-56の間には、掘削壁が残る。第2作業機械1bは、割り当てられた第2掘削壁のエリア63,64に沿って移動しながら、掘削壁の掘削を行う。第2作業レーン54-56の掘削順序、或いは第2掘削壁のエリア63,64の掘削順序は、リモートコントローラ2によって決定されてもよい。或いは、第2作業レーン54-56の掘削順序、或いは第2掘削壁のエリア63,64の掘削順序は、第2作業機械1bの機械コントローラによって決定されてもよい。
【0043】
例えば、図5に示すように、第1作業機械1aは、目標設計地形84に従ってブレード18を動作させる。第1作業機械1aは、現況地形80上の第1開始点P1から前進しながら掘削を開始し、掘削された土を崖から落とす。第1作業機械1aは、第2開始点P2まで後退する。第1作業機械1aは、第2開始点P2から前進しながら掘削を開始し、掘削された土を崖から落とす。第1作業機械1aは、第3開始点P3まで後退する。第1作業機械1aは、第3開始点P3から前進しながら掘削を開始し、掘削された土を崖から落とす。
【0044】
第1作業機械1aは、このような作業を繰り返すことで、目標設計地形84に沿う形状に、現況地形80を掘削する。第2作業機械1bも、第1作業機械1aと同様に掘削を行う。作業機械1a,1bは、目標設計地形84の掘削を完了すると、その下方に位置する次の目標設計地形85の掘削を行う。作業機械1a,1bは、最終目標地形81、或いはその近傍に到達するまで、上記の作業を繰り返す。
【0045】
次に、自動動作モードと手動動作モードとの切換の処理について説明する。図7は、自動動作モードから手動動作モードへの切換の処理を示すフローチャートである。図7に示すように、ステップS200では、リモートコントローラ2は、複数の作業機械1a,1bが自動動作モード中であるかを判定する。リモートコントローラ2は、複数の作業機械1a,1bのそれぞれについて、自動動作モード中であるかを記憶している。複数の作業機械1a,1bの全てが自動動作モード中であるときには、処理はステップS201に進む。
【0046】
ステップS201で、リモートコントローラ2は、自動動作モード中には、操作装置5による第1作業機械1a及び第2作業機械1bへの操作を無効とする。従って、自動動作モード中には、オペレータが操作装置5を操作しても、第1作業機械1a及び第2作業機械1bは自動で動作を継続する。
【0047】
ステップS202では、リモートコントローラ2は、複数の作業機械1a,1bのいずれかから、介入要求を受信したかを判定する。各作業機械1a,1bの機械コントローラは、各作業機械1a,1bの状態を検出し、作業機械1a,1bの状態に応じて、介入要求を出力する。介入要求は、第1~第4要求を含む。
【0048】
第1要求は、作業機械1a,1bの故障である。例えば、機械コントローラ26aは、エンジン22の冷却水の温度から、エンジン22の故障を検出する。或いは、機械コントローラ26aは、油圧回路の油圧、或いは油温から、走行装置12、或いは作業機13の故障を検出する。第2要求は、燃料の残量が少ないことである。例えば、機械コントローラ26aは、燃料の残量が所定の閾値以下になったときに、燃料の残量が少ないと決定する。
【0049】
第3要求は、作業機械1a,1bの姿勢の異常である。例えば、機械コントローラ26aは、機械傾きデータから第1作業機械1aの姿勢の異常を検出する。機械コントローラ26aは、車体11のロール角が所定の角度閾値以上であるときに、第1作業機械1aの姿勢の異常を検出する。
【0050】
第4要求は、作業性の低下である。例えば、機械コントローラ26aは、掘削された土量から、作業性の低下を検出する。機械コントローラ26aは、作業機13が受ける負荷から掘削された土量を算出する。或いは、機械コントローラ26aは、現況地形80の変化から掘削された土量を算出する。
【0051】
リモートコントローラ2が、複数の作業機械1a,1bの少なくとも1つから、介入要求を受信したときには、処理はステップS203に進む。ステップS203では、リモートコントローラ2は、複数の作業機械1a,1bのうち介入要求を出力したものの自動動作を停止させる。例えば、第1作業機械1aと第2作業機械1bとが自動動作中に、リモートコントローラ2が第1作業機械1aから介入要求を受信したときには、リモートコントローラ2は、第1作業機械1aの自動動作を停止して、第1作業機械1aを静止させる。
【0052】
ステップS204では、リモートコントローラ2は、手動操作を有効化する。リモートコントローラ2は、複数の作業機械1a,1bのうち、介入要求を出力したものに対して、操作装置5による手動操作を有効とする。例えば、リモートコントローラ2が第1作業機械1aから介入要求を受信したときには、リモートコントローラ2は、第1作業機械1aへの操作装置5による手動操作を有効とする。それにより、第1作業機械1aは、自動動作モードから手動動作モードに切り換えられる。
【0053】
手動動作モードでは、第1作業機械1aは、操作装置5からの操作信号に応じて制御される。操作装置5は、オペレータの操作に応じて操作信号を出力する。リモートコントローラ2は、操作信号を第1作業機械1aへ送信する。第1作業機械1aの機械コントローラ26aは、操作信号を受信する。機械コントローラ26aは、操作信号に応じて、第1作業機械1aを制御する。それにより、オペレータは、操作装置5を操作することで、第1作業機械1aを遠隔から操作することができる。
【0054】
ステップS205では、リモートコントローラ2は、手動動作モード中の作業機械が復帰条件を満たしているかを判定する。復帰条件は、第1~第3条件を含む。第1条件は、手動動作モード中の作業機械が、掘削の前回の開始点まで戻ることである。例えば、リモートコントローラ2は、第1作業機械1aの第1位置データから、第1作業機械1aが掘削の前回の開始点まで戻ったかを判定する。
【0055】
第2条件は、所定時間の間、手動操作が無いことである。リモートコントローラ2は、操作装置5の操作信号から、所定時間の間、手動操作が無いかを判定する。第3条件は、オペレータから復帰指令が出されたことである。リモートコントローラ2は、入力装置3の操作信号から、オペレータからの復帰指令の有無を判定する。手動動作モード中の作業機械が復帰条件を満たしているときには、処理はステップS206に進む。
【0056】
ステップS206では、リモートコントローラ2は、手動動作モード中の作業機械の自動動作を復帰させる。例えば、手動動作モード中の第1作業機械1aが復帰条件を満たしたときには、リモートコントローラ2は、第1作業機械1aの自動動作を復帰させる。それにより、第1作業機械1aは、上述した自動動作を再開する。また、ステップS201からの処理が繰り返されることで、第1作業機械1aへの手動操作が無効化される。
【0057】
以上説明した本実施形態に係る作業機械1a,1bの制御システムでは、オペレータは、操作装置5を用いて、複数の作業機械1a,1bを遠隔から操作可能である。また、第1作業機械1aと第2作業機械1bとが自動で動作しているときには、操作装置5による第1作業機械1aへの操作が無効とされる。それにより、不要な操作による作業効率の低下を防ぐことができる。
【0058】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。作業機械1a,1bは、ブルドーザに限らず、ホイールローダ、モータグレーダ等の他の車両であってもよい。作業機械1a,1bは、電動モータで駆動される車両であってもよい。
【0059】
リモートコントローラ2は、互いに別体の複数のコントローラを有してもよい。リモートコントローラ2による処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。機械コントローラは、互いに別体の複数のコントローラを有してもよい。機械コントローラによる処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。上述した処理は、複数のプロセッサに分散して実行されてもよい。
【0060】
自動動作の処理、及び、自動動作モードから手動動作モードへの切換のための処理は、上述した実施形態のものに限らず、変更、省略、或いは追加されてもよい。自動動作の処理、及び、自動動作モードから手動動作モードへの切換のための処理の実行順序は、上述した実施形態のものに限らず、変更されてもよい。機械コントローラによる処理の一部は、リモートコントローラ2によって実行されてもよい。リモートコントローラ2による処理の一部は、機械コントローラによって実行されてもよい。例えば、手動操作を無効化する処理は、作業機械1a,1bの機械コントローラがそれぞれ実行してもよい。
【0061】
作業機械1a,1bの自動動作は、全自動であってもよく、あるいは半自動であってもよい。例えば、作業機械1a,1bの作業機は、目標設計地形84に従って自動で制御され、自動動作中の作業機械1a,1bの前進、後進、或いは旋回などの走行は、操作装置5の操作に応じて、手動で制御されてもよい。
【0062】
上記の実施形態では、介入要求を出した作業機械の自動動作が停止されると共に、当該作業機械の手動操作が有効化されている。しかし、リモートコントローラ2は、介入要求を出した作業機械の自動動作を停止すると共に、当該作業機械が介入要求を出したことを報知してもよい。例えば、リモートコントローラ2は、ディスプレイ4上に報知を表示してもよい。この場合、リモートコントローラ2は、介入要求を出した作業機械の手動操作を無効に維持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示によれば、自動で動作可能な複数の作業機械に対して、オペレータが、操作装置を用いて遠隔から操作可能であると共に、不要な操作による作業効率の低下を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0064】
1a 第1作業機械
1b 第2作業機械
2 リモートコントローラ
6 外部通信装置
26a 機械コントローラ
28 機械通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7