(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】電気ストーブ
(51)【国際特許分類】
F24C 7/04 20210101AFI20231218BHJP
【FI】
F24C7/04 C
(21)【出願番号】P 2020124551
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕悦
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-091211(JP,A)
【文献】特開2018-159512(JP,A)
【文献】特開2011-007344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/00- 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータを備えた本体ケース部と、支柱と、前記支柱を支持するベース部と、前記本体ケース部を支持する首振り機構部と、該首振り機構部を上部に取り付ける支柱固定部と、前記支柱の上端に固定され前記支柱固定部と係合する支柱固定板とを備えた電気ストーブに於いて、前記支柱固定部に電源コードが下から上に貫通するコード受け部を設け、前記首振り機構部は、前記コード受け部の上方に前記電源コードを保持するコード保持部を備え、該コード受け部は、その上部に横長な開口を有する横長開口部を形成し、その下部に略円筒状の円筒開口部が形成されており、前記本体ケース部の回動に合わせて、前記コード保持部が横方向に動くようにしたことを特徴とする電気ストーブ。
【請求項2】
前記横長開口部から前記円筒開口部にかけて、すり鉢状に形成したすり鉢状部を設けたことを特徴とする請求項1記載の電気ストーブ。
【請求項3】
出力ギアを備えた駆動用モータと、該駆動用モータが固定され、横長状の
コード保持部摺動孔が形成されたモータ取付台と、上端が前記モータ取付台の略中心に固定され下端が前記支柱固定部上面の軸受け部に差し込まれる首振り軸と、前記モータ取付台と前記支柱固定部との間に位置し、略中心に形成した軸用孔に前記首振り軸が貫通し、前記出力ギアと噛み合うギア部と略円筒状で前記電源コードを保持する前記コード保持部を立設した首振りギアとを備え、前記コード保持部は、前記コード受け部の前記横長開口部の上方に位置するとともに、
前記コード保持部摺動孔内に位置するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気ストーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気ストーブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、例えば、ヒータを備えた本体ケース部を回転自在に支持すると共に本体ケース部の首振りを行う首振り機構部及び首振り機構部を支持する支柱の一端とが固定される支柱固定部の上面に、支柱の他端が固定されて支柱を支持するベース部、支柱、支柱固定部内を通って支柱固定部の上方に突出する電源コードを保持するコード保持部を立設する構造となっていた。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
これにより、組み立て時や修理の時、首振り軸の軸回りや軸内部に電源コードを通したり抜いたりする必要がなく、支柱固定部に立設したコード保持部に電源コードを取り付けたり外したりするだけでいいので、大変作業性をよくすることができるものであった。
【0004】
また、支柱固定部に立設したコード保持部に電源コードを取り付けることで本体ケース部が首振り動作をしても電源コードが回りの部品に接触せず、接触による電源コードの被覆が摩耗や、被覆が破れてショートや、電源コードの電線の疲労破断を防止できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこの従来のものでは、本体ケース部が首振り動作をしても支柱固定部に立設したコード保持部に取り付けられた電源コードが回りの部品に接触しないものの、コード保持部よりも下の部分の電源コードは、本体ケース部の首振り動作によって動いてしまい、電源コードのコード保持部よりも下の部分に、電源コードを接続するために閉端接続子をカシメている場合、本体ケース部の首振り動作によって閉端接続子が周辺に接触してしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、ヒータを備えた本体ケース部と、支柱と、前記支柱を支持するベース部と、前記本体ケース部を支持する首振り機構部と、該首振り機構部を上部に取り付ける支柱固定部と、前記支柱の上端に固定され前記支柱固定部と係合する支柱固定板とを備えた電気ストーブに於いて、前記支柱固定部に電源コードが下から上に貫通するコード受け部を設け、前記首振り機構部は、前記コード受け部の上方に前記電源コードを保持するコード保持部を備え、該コード受け部は、その上部に横長な開口を有する横長開口部を形成し、その下部に略円筒状の円筒開口部が形成されており、前記本体ケース部の回動に合わせて、前記コード保持部が横方向に動くようにしたものである。
【0008】
また、請求項2では、横長開口部から円筒開口部にかけて、すり鉢状に形成したすり鉢状部を設けたものである。
【0009】
また、請求項3では、出力ギアを備えた駆動用モータと、該駆動用モータが固定され、横長状のコード保持部摺動孔が形成されたモータ取付台と、上端が前記モータ取付台の略中心に固定され下端が支柱固定部上面の軸受け部に差し込まれる首振り軸と、前記モータ取付台と支柱固定部との間に位置し、略中心に形成した軸用孔に前記首振り軸が貫通し、出力ギアと噛み合うギア部と略円筒状で電源コードを保持するコード保持部を立設した首振りギアとを備え、前記コード保持部は、コード受け部の横長開口部の上方に位置するとともに、コード保持部摺動孔内に位置するように設けられているものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1によれば、首振り機構部を上部に取り付ける支柱固定部に、電源コードが下から上に貫通するコード受け部を設け、そのコード受け部は、上部に横長な開口を有する横長開口部を形成すると共に、下部に略円筒状の円筒開口部を形成したので、本体ケース部が回動した時、電源コードが本体ケース部の回動によって合わせて横方向に動くが、横長開口部が横長の略楕円状のため、スムーズに電源コードが動くことができるものである。
【0011】
更にコード受け部の下部に略円筒状の円筒開口部を形成したので、本体ケース部が回動した時、円筒開口部より下方にある電源コードは電源コードの上部のように動くことがなく、円筒開口部より下方にある電源コードのカシメ部は動かず、そのカシメ部の閉端接続子が動いて擦れるのを防止できるものである。
【0012】
また、請求項2によれば、横長開口部から円筒開口部にかけて、すり鉢状に形成したすり鉢状部を設けたので、本体ケース部が回動した時、電源コードはコード受け部の横長開口部の内部の端に当たっているが、すり鉢状部の傾斜に沿ってコード受け部の中心位置に向かって緩やかに曲がるため、電源コードが大きく曲がって電源コードに大きく負荷がかかるのを防止できるものである。
【0013】
また、請求項3によれば、コード保持部は、コード受け部の横長開口部の上方に位置するとともに、コード保持部摺動孔内に位置するように設けられているので、自動首振り運転や手動で本体ケース部を回動した時のコード保持部の移動範囲を最小にして、電源コードが左右に曲がるのを少なくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の一実施形態の電気ストーブを示す斜視図。
【
図6】同組み付けた支柱と支柱固定板カバーと支柱固定板の要部断面図。
【
図13】同本体ケース部が正面を向いた時の電源コードの状態を示す要部断面図。
【
図14】同本体ケース部が回動した時の電源コードの状態を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1は電気ストーブで、2本のヒータ2を備えた本体ケース部3と支持部4とからなり、前記支持部4は本体ケース部3を回転自在に支持すると共に本体ケース部3の首振りを行う首振り機構部5と、該首振り機構部5を覆うカバー部6と、前記首振り機構部5と該首振り機構部5を支持する中空円筒状の支柱7の一端とが固定される支柱固定部8と、前記支柱7の他端が固定されて支柱7を支持するベース部9から構成されている。
【0016】
前記本体ケース部3は、上面に操作部10を設け、該操作部操作部10は暖房運転のオンオフ及び暖房能力を設定する回転式の運転つまみ11と、暖房能力をある幅で高低させるゆらぎ運転スイッチ12と、30分から1~3時間まで運転時間を設定できる切りタイマースイッチ13と、本体ケース部3を首振り動作させる首振りスイッチ14と、人の存在を検知し、所定時間人が存在しないと出力を下げ、更に所定時間人が存在しないと運転を停止する省エネセンサスイッチ15を有するものである。
【0017】
また、前記首振り機構部5は、本体ケース部3を回転自在に支持する回転軸ユニット16と、正逆回転することにより首振りさせる直流ステッピングモータからなる駆動用モータ17と、首振り軸18と、前記回転軸ユニット16と駆動用モータ17が固定されるモータ取り付け台19と、前記駆動用モータ17の回転を伝達する出力ギア20と、該出力ギア20と噛み合う首振りギア21とを有し、該首振りギア21は一端に前記出力ギア20と噛み合うギア部22を設け、他端には複数の溝からなる溝部23を設け、略中心には前記首振り軸18の一端が取り付けられる軸用孔24を設け、更に前記ギア部22と軸用孔24との間に電源コード51を保持する中空円筒状のコード保持部25を立設したものである。
【0018】
前記コード保持部25は、上端がモータ取り付け台19に固定された駆動用モータ17よりも高く設けられているので、コード保持部25が摺動しても電源コード51が駆動用モータ17と接触しないものである。
また、前記支柱固定部8は、前記モータ取り付け台19を載置するモータ取付板カバー26と、該モータ取付板カバー26を載置する支柱固定板カバー27と、該支柱固定板カバー27を載置すると共に支柱7の上端が差し込まれ、ネジ(図示せず)にて支柱7の上端に固定される支柱固定板28とからなるものである。
【0019】
前記支柱固定板カバー27は断面略逆凹形状の円筒状で、上面29にはその中心に首振り軸18が差し込まれる中空円筒状の軸受け部30が立設され、該軸受け部30は支柱固定板カバー27内部まで有底の中空円筒状で、差し込まれた首振り軸18の先端が突出するように形成されている。
【0020】
又、支柱固定板カバー27の上面29には、軸受け部30の近傍に電源コード51が貫通する中空円筒状のコード受け部31が立設されている。
【0021】
又、支柱固定板カバー27の上面29で、軸受け部30を中心にしてコード受け部31の反対側には、首振りギア21の溝部23の溝に係合するラチェットピン32と該ラチェットピン32を上方向に付勢するラチェットスプリング33を挿入する有底状の係合ピン用穴34を形成した係合ピン部35を立設している。
【0022】
又、支柱固定板カバー27の上面29には、支柱固定板カバー27を支柱固定板28に固定するためのネジ(図示せず)を差し込むための支柱固定板カバー固定孔36が、軸受け部30とコード受け部31と係合ピン部35とを囲うように四隅に設けたものである。
【0023】
前記コード受け部31は、支柱固定板カバー27の上面29に立設している部分は、横長の略楕円状の横長開口部37が形成され、支柱固定板カバー27の内部に向かって先細るようにすり鉢状部38が形成され、該すり鉢状部38の下方には内径が電源コード51の径よりもわずかに大きい円筒開口部39が形成されている。
【0024】
これにより本体ケース部3が回動した時、電源コード51の上部は首振りギア21のコード保持部25が動くため、電源コード51の上部はコード保持部25の動きに合わせて横方向に動くが、横長開口部37が横長の略楕円状のため、スムーズに電源コード51が動くことができるものである。
尚、横長開口部37から支柱固定板カバー27の内部に向かって先細るようにすり鉢状部38を形成したことで、組み立て作業時に横長開口部37から電源コード51を差し込んだ時に、電源コード51がすり鉢状部38の傾斜に沿って円筒開口部39に案内され、組立作業が簡単になる効果も有するものである。
【0025】
又、コード受け部31の下方の円筒開口部39は、内径が電源コード51の径よりもわずかに大きいので、電源コード51の上部のように動くことがなく、円筒開口部39より下方にある電源コード51のカシメ部(図示せず)は動かず、そのカシメ部の閉端接続子(図示せず)が動いて擦れるのを防止できるものである。
【0026】
又、前記支柱固定板カバー27の下部には、軸受け部30を中心にして同心円状の位置に略円弧状に下突起部40をリブ状に立設している。
又、前記下突起部40の円弧部分の外径は、支柱7の外径と同じ寸法になるように形成されている。
【0027】
前記支柱固定板28は、上部に支柱固定板カバー27の円筒部分の下部に差し込んで、ネジ(図示せず)にて支柱固定板カバー27と係合する支柱固定板カバー係合部41と、下部に差し込まれる支柱7の上端を受ける断面逆U字状の支柱差込部42を設け、前記支柱固定板カバー係合部41は略中央に首振り軸18の先端部分が挿入される中空状の先端差し込み部43が設けられている。
【0028】
又、前記支柱固定板28の支柱固定板カバー係合部41には、略中心に設けられた先端差し込み部43の周りに、支柱7の管内に複数形成された支柱係合部44と係合するネジ(図示せず)を差し込むための支柱固定板固定孔45が支柱差込部42まで貫通して形成され、更に該支柱固定板固定孔45の周りに、支柱固定板カバー27の支柱固定板カバー固定孔36から差し込まれたネジ(図示せず)と係合する支柱固定板カバー固定ネジ受け部46が複数形成されている。
又、支柱固定板28の上部には、先端差し込み部43を中心にして同心円状の位置に略円弧状に上突起部47をリブ状に立設している。
【0029】
48はスリーブで、前記支柱固定板カバー27の軸受け部30の有底部分に取り付けられ、軸受け部30に差し込む前記首振り軸18の先端部分はねじ切りされていて、平座金49を挟んで固定用ナット50と係合することで、首振り軸18が支柱固定板カバー27から抜けないように取り付けられるものである。
【0030】
又、前記モータ取り付け台19には、略中心に首振り軸18の一端が固定される軸固定孔52が設けられ、更に該軸固定孔52を中心とした円弧状の長孔のコード保持部摺動孔53が形成され、該コード保持部摺動孔53の外側に駆動用モータ17が固定されるモータ取付孔54が形成されているものである。
【0031】
次に本体ケース部3が回動した時の電源コード51の状態について
図13及び
図14にて説明する。
まず、本体ケース部3が正面を向いているときは、
図13に示すようにコード保持部摺動孔53内に位置するコード保持部25は、コード保持部摺動孔53の略中央の上方に位置し、この時、電源コード51は下に向かって直線状になるものである。
【0032】
次に自動首振り運転や手動で本体ケース部3が回動した時、
図14に示すようにコード保持部摺動孔53の上方に位置するコード保持部25は、首振りギア21のギア部22と駆動用モータ17の出力ギア20が噛み合うことで移動し、コード保持部摺動孔53の端の上方に位置する。
【0033】
この時、電源コード51は、コード受け部31の横長開口部37の内部の端に当たっているが、すり鉢状部38の傾斜に沿ってコード受け部31の中心位置に向かって緩やかに曲がっているため、電源コード51が大きく曲がって電源コード51に大きく負荷がかかるのを防止できるものである。
【0034】
又、自動首振り運転や手動で本体ケース部3を回動した時、コード受け部31内から上方の電源コード51は、本体ケース部3の回動に合わせて左右に曲がるが、円筒開口部39内から下方の電源コード51は、自動首振り運転や手動で本体ケース部3が回動しても曲がることがなく、円筒開口部39内より下方にある電源コード51のカシメ部は動かず、そのカシメ部の閉端接続子が動いて擦れるのを防止できるものである。
【0035】
又、前記コード保持部25は、コード受け部31の横長開口部37の上方に位置するとともに、コード保持部摺動孔内53に位置するように設けられているので、自動首振り運転や手動で本体ケース部3を回動した時のコード保持部25の移動範囲を最小にして、電源コード51が左右に曲がるのを少なくすることができるものである。
【0036】
尚、本実施例では、コード受け部31の横長開口部37の下方にすり鉢状のすり鉢状部38を形成したがこれに限定されず、横長開口部37をそのまま下に延長して設け、その下方の略中央に内径が電源コード51の径よりもわずかに大きい円筒開口部39を形成してもよいものである。
【符号の説明】
【0037】
2 ヒータ
3 本体ケース部
5 首振り機構部
7 支柱
8 支柱固定部
9 ベース部
28 支柱固定板
31 コード受け部
37 横長開口部
39 円筒開口部
51 電源コード