(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】光変換インク組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20231218BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20231218BHJP
C09D 11/00 20140101ALI20231218BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G02B5/20
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
C09D11/00
C08F20/10
(21)【出願番号】P 2020152304
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0112395
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514217912
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132,Yakchon-ro,Iksan-si Jeollabuk-do 570-977,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジュホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョン ジュ
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-153915(JP,A)
【文献】国際公開第2018/093034(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02F 1/1335
C09D 11/00
C08F 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ドット及び硬化性モノマーを含み、
前記量子ドットは、表面上に下記の化学式1で表される化合物を含む配位子層を有するものであり、
前記硬化性モノマーは、下記の化学式2で表される化合物を含む、光変換インク組成物。
【化1】
前記式中、
Lは、存在しないか、C
1~C
22のアルキレン基又はC
4~C
22のアルケニレン基であり、
R
1は、C
1~C
20のアルキレン基、フェニレン基又はC
3~C
10のシクロアルキレン基であり、
R
2は、水素又はメチル基であり、
mは、1~15の整数である。
【請求項2】
前記配位子層は、下記の化学式1-1~1-5で表される化合物から選択される1種以上の化合物を含む、請求項1に記載の光変換インク組成物。
【化2】
【請求項3】
前記量子ドットは、非カドミウム系量子ドットである、請求項1に記載の光変換インク組成物。
【請求項4】
前記量子ドットは、コア及びコアを覆うシェルを含むコア-シェル構造を有し、
前記コアは、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、及びInAlPSbからなる群より選ばれる1種以上を含み、
前記シェルは、ZnSe、ZnS、及びZnTeからなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項3に記載の光変換インク組成物。
【請求項5】
散乱粒子を更に含む、請求項1に記載の光変換インク組成物。
【請求項6】
前記散乱粒子は、Al
2O
3、SiO
2、ZnO、ZrO
2、BaTiO
3、TiO
2、Ta
2O
5、Ti
3O
5、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb
2O
3、SnO、及びMgOからなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項5に記載の光変換インク組成物。
【請求項7】
前記散乱粒子はTiO
2である、請求項6に記載の光変換インク組成物。
【請求項8】
光重合開始剤を更に含む、請求項1に記載の光変換インク組成物。
【請求項9】
溶剤を、全組成物100重量%に対し、20重量%以下の量で含む、請求項1に記載の光変換インク組成物。
【請求項10】
溶剤を含まないことを特徴とする、請求項9に記載の光変換インク組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の光変換インク組成物の硬化物を含む光変換画素。
【請求項12】
請求項11に記載の光変換画素を含むカラーフィルタ。
【請求項13】
請求項12に記載のカラーフィルタが備えられたことを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変換インク組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置に係り、より詳しくは、量子ドットの光特性に優れると共に、低粘度の具現が可能であり、且つ連続工程の進行の際にノズル詰りを生じさせることなく優れたジェッティング特性の確保が可能な光変換インク組成物、これを用いて形成されるカラーフィルタ、及び前記カラーフィルタを備えた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、白色光から赤、緑、青の3種の色を抽出し微細な画素単位で機能させる薄膜フィルム型光学部品であって、一画素の大きさが数十から数百μm程度である。このようなカラーフィルタは、それぞれの画素同士の境界部分を遮光するために透明基板上に所定のパターンで形成されたブラックマトリックス層及びそれぞれの画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B))の3原色を所定の順に配列してなる画素部が順に積層された構造を取っている。
【0003】
近年、カラーフィルタを具現する方法の一つとして、顔料分散型の感光性樹脂を用いた顔料分散法が適用されている。しかし、顔料分散法を提供する場合、光源から照射された光がカラーフィルタを透過する過程で光の一部がカラーフィルタに吸収されることで光効率が低下し、また、色フィルタに含まれている顔料の特性によって色再現が低下するという問題点が生じている。
【0004】
特に、カラーフィルタが各種の画像表示装置をはじめとした多様な分野において使用されることに伴い、優れたパターン特性だけでなく、高い色再現率と共に高輝度、高明暗比のような性能が求められている。そこで、こうした問題を解決するために、量子ドットを含む自発光感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタの製造方法が提案された。例えば、大韓民国特許公開第10-2009-0036373号では、既存のカラーフィルタを量子ドット蛍光体からなる発光層に置き換えることで発光効率を向上させて表示装置の表示品質を改善できることを開示している。
【0005】
このような量子ドットを含む感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィ方法は、コーティング、露光、現像、及び硬化によって色フィルタを作製する方法である。当該方法では、色フィルタの精巧性や再現性の側面では優れているが、画素を形成するためにそれぞれの色に対してコーティング、露光、現像、及び硬化する過程がそれぞれ要求され、製造工程、手間、及びコストが嵩み且つ工程間の制御因子が多くなって歩留まりの管理に困難がある。
【0006】
これらの問題点を解決するために、インクジェット(inkjet)方法が提示された。インクジェット方法は、インクジェットヘッド(inkjet head)を用いて区画されている所定の位置に液体インクを吹き付け、それぞれのインクが着色されたイメージを具現する技術である。インクジェット方法では、赤、緑、及び青を含む複数の色を一度で着色でき、製造工程、手間、及びコストを大きく削減できる。
【0007】
近年、モニター、TVなどで高い色再現率(NTSC対比色濃度)の要求に伴い、量子ドットの発光輝度の向上が必要とされてきている。このような発光輝度の向上のためには、膜厚を厚くする方法がある。しかしながら、溶剤の含量の高い量子ドット含有インク組成物では、膜厚を厚くするのに限界がある。また、溶剤の含量が高い場合、ノズルの入口で溶剤が蒸発してインク固形物が堆積することで連続工程の進行の際にノズル詰りが生じる問題点がある。そのため、溶剤の含量が低い又は溶剤を含まない量子ドット含有インク組成物が要求されている。
【0008】
しかしながら、溶剤の含量を下げる又は溶剤を含まない場合は、均一な分散が困難となって量子ドットの凝集を引き起こし、量子ドットの光特性が低下したり粘度が高くなったりしてジェッティング性が不良になることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一目的は、量子ドットの光特性に優れると共に、低粘度の具現が可能であり、且つ連続工程の進行の際にノズル詰りを生じさせることなく優れたジェッティング特性の確保が可能な光変換インク組成物を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、前記光変換インク組成物の硬化物を含む光変換画素を提供することである。
【0011】
本発明のまた他の目的は、前記光変換画素を含むカラーフィルタを提供することである。
【0012】
本発明のまた他の目的は、前記カラーフィルタを備えた画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一方、本発明は、量子ドット及び硬化性モノマーを含み、前記量子ドットは、表面上に下記の化学式1で表される化合物を含む配位子層を有するものであり、前記硬化性モノマーは、下記の化学式2で表される化合物を含む光変換インク組成物を提供する。
【0014】
【化1】
前記式中、
Lは、存在しないか、C
1~C
22のアルキレン基又はC
4~C
22のアルケニレン基であり、
R
1は、C
1~C
20のアルキレン基、フェニレン基又はC
3~C
10のシクロアルキレン基であり、
R
2は、水素又はメチル基であり、
mは、1~15の整数である。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記配位子層は、下記の化学式1-1~1-5で表される化合物から選択される1種以上の化合物を含んでよい。
【0016】
【化2】
本発明の一実施形態において、前記量子ドットは、非カドミウム系量子ドットであってよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記量子ドットは、コア及びコアを覆うシェルを含むコア-シェル構造を有し、前記コアは、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、及びInAlPSbからなる群より選ばれる1種以上を含み、前記シェルは、ZnSe、ZnS、及びZnTeからなる群より選ばれる1種以上を含んでよい。
【0018】
本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、散乱粒子を更に含んでよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記散乱粒子は、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、BaTiO3、TiO2、Ta2O5、Ti3O5、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb2O3、SnO、及びMgOからなる群より選ばれる1種以上を含んでよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記散乱粒子はTiO2であってよい。
【0021】
本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、光重合開始剤を更に含んでよい。
【0022】
本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、溶剤を全組成物100重量%に対し、20重量%以下の量で含んでよい。
【0023】
本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、溶剤を含まないものであってよい。
【0024】
他の一方で、本発明は、前記光変換インク組成物の硬化物を含む光変換画素を提供する。
【0025】
また他の一方で、本発明は、前記光変換画素を含むカラーフィルタを提供する。
【0026】
また他の一方で、本発明は、前記カラーフィルタが備えられた画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る光変換インク組成物は、着色剤として、表面上に特定構造のチオール置換されたフルオレン系配位子を有する量子ドットを含有し、硬化性モノマーとして、前記チオール置換されたフルオレン系配位子と相溶性に優れる特定構造の2官能(メタ)アクリレートを含んで、量子ドットの光特性に優れると共に、低粘度の具現が可能であり、且つ連続工程の進行の際にノズル詰りを生じさせることなく優れたジェッティング特性の確保が可能である。このため、本発明に係る光変換インク組成物は、インクジェット印刷方式でカラーフィルタを製造する際に効果的に用いられ得る。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0029】
本発明においてある部材が他の部材の「上に」位置しているとするとき、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけではなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0030】
本発明においてある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特にこだわりの記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素を更に含み得ることを意味する。
【0031】
本発明の一実施形態は、量子ドット(A)及び硬化性モノマー(B)を含み、前記量子ドット(A)は、表面上に特定構造のチオール置換されたフルオレン系配位子を含む配位子層を有するものであり、前記硬化性モノマー(B)は、特定構造の2官能(メタ)アクリレートを含む光変換インク組成物に関する。
【0032】
[量子ドット(A)]
本発明の一実施形態において、前記量子ドットは、表面上に下記の化学式1で表される化合物を含む配位子層を有するものである。
【0033】
【化3】
前記式中、
Lは、存在しないか、C
1~C
22のアルキレン基又はC
4~C
22のアルケニレン基である。
【0034】
本明細書において用いられるC1~C22のアルキレン基は、炭素数1~22個からなる直鎖状若しくは分岐状の2価炭化水素を意味し、例えば、メチレン、エチレン、n-プロピレン、i-プロピレン、n-ブチレン、n-ヘプチレン、n-ドデシレンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において用いられるC4~C22のアルケニレン基は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する炭素数4~22個からなる直鎖状若しくは分岐状の2価不飽和炭化水素を意味し、例えば、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、トリデセニレン、テトラデセニレン、ペンタデセニレン、ヘキサデセニレン、ヘプタデセニレン、オクタタデセニレンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
前記C1~C22のアルキレン基及びC4~C22のアルケニレン基は、1つ又はそれ以上の水素がC1~C6のアルキル基、C2~C6のアルケニル基、C2~C6のアルキニル基、C3~C10のシクロアルキル基、C3~C10のヘテロシクロアルキル基、C3~C10のヘテロシクロアルキルオキシ基、C1~C6のハロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のチオアルコキシ基、アリール基、アシル基、ヒドロキシ、チオ(thio)、ハロゲン、アミノ、アルコキシカルボニル、カルボキシ、カルバモイル、シアノ、ニトロなどで置換されてよい。
【0037】
本発明の前記化学式1で表される化合物は、量子ドットの相溶性及び/又は低粘度の具現の面から、Lが存在しないか、C1~C20のアルキレン基又はC4~C20のアルケニレン基である化合物、好ましくは、Lが存在しないか、C1~C18のアルキレン基又はC4~C18のアルケニレン基である化合物であってよい。
【0038】
本発明の一実施形態において、前記化学式1で表される化合物は、量子ドットの相溶性及び低粘度の具現の面から、下記の化学式1-1~1-5で表される化合物から選択される1種以上の化合物であってよい。
【0039】
【化4】
本発明の前記化学式1で表される化合物は有機配位子であって量子ドットの表面に配位結合されて量子ドットを安定化させる役割を遂行することができる。
【0040】
前記化学式1で表される化合物は、チオール(thiol)基を有し、チオール基が量子ドット表面に結合してよい。チオール基の場合、カルボン酸などの通常の量子ドットが有する配位子層化合物に比べて量子ドット表面との結合力に優れる。これにより、前記化学式1で表される化合物は、量子ドットのダングリングボンド(dangling bond)のような表面欠点による消光及び表面酸化による消光を抑制し、量子ドットの光特性(発光特性)や信頼性を向上させる長所がある。
【0041】
通常的に製造された量子ドットは表面上に配位子層を有するのが一般的であり、製造直後の配位子層はオレイン酸(oleic acid)、ラウリン酸(lauric acid)などから構成され得る。この場合、前記化学式1で表される化合物を配位子層として含む本発明の量子ドットに比べ、配位子層と量子ドットとの間のより弱い結合力による量子ドット表面の非結合欠陥によって表面保護効果が低下することがある。また、オレイン酸の場合、高揮発性化合物(VOC;volatile organic compound)であるn-ヘキサンのような脂肪族炭化水素系溶剤、ベンゼンのような芳香族炭化水素系溶剤には分散され易いが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような溶剤には分散性が悪い。
【0042】
前記化学式1で表される化合物は、カルボン酸を含有したオレイン酸に比べてチオール(thiol)の結合力に優れて量子ドット表面をより確実に保護することができ、且つバルキーな構造のフルオレン基を含んで周辺材料との相溶性を向上させることができる。
【0043】
したがって、本発明の量子ドットは、配位子層に前記化学式1で表される化合物を含むことで、優れた酸化安定性を奏することができると共に、量子効率の低下が抑えられ、且つ信頼性が向上され得る。
【0044】
また、本発明に係る量子ドットは、溶剤の含量が低い又は溶剤を含まなくても後述する硬化性モノマーだけでも良好な分散性を奏することができ、インク組成物への適用の際に低粘度の具現が可能となり、且つ連続工程の進行の際にノズル詰りを生じさせることなく優れたジェッティング特性の確保が可能となる。
【0045】
本発明の一実施形態において、本発明に係る量子ドットは、配位子層に前記化学式1で表される化合物を含むと共に、オレイン酸(oleic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、コハク酸モノ-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エチル]エステルなどを1種以上更に含んでよい。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記量子ドットとは、ナノ大きさの半導体物質を称するものであってよい。原子が分子をなし、分子がクラスタという小さな分子の集合体を構成してナノ粒子をなすが、このようなナノ粒子が半導体特性を呈しているときにこれを量子ドットという。前記量子ドットは、外部からエネルギーを受けて励起状態になると、当該量子ドットの自ら該当するエネルギーバンドギャップに応じたエネルギーを放出するようになる。例えば、本発明の光変換インク組成物は、このような量子ドットを含むことで、入射された青色光を緑色光及び赤色光に光変換が可能となる。
【0047】
本発明の一実施形態において、前記量子ドットは、非カドミウム系量子ドットであってよい。
【0048】
前記非カドミウム系量子ドットは、光による刺激で発光し得る量子ドット粒子であれば特に限定されない。例えば、II-VI族半導体化合物;III-V族半導体化合物;IV-VI族半導体化合物;IV族元素又はこれを含む化合物;及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものであってく、これらは、単独で又は2種以上混合して用いてよい。
【0049】
具体的に、前記II-VI族半導体化合物は、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる二元素化合物;ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる三元素化合物;及びHgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる四元素化合物からなる群より選ばれるものであってよいが、これらに限定されるものではない。
【0050】
前記III-V族半導体化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる三元素化合物;及びGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる四元素化合物からなる群より選ばれるものであってよいが、これらに限定されるものではない。
【0051】
前記IV-VI族半導体化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる三元素化合物;及びSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる四元素化合物からなる群より選ばれる1種以上であってよいが、同様にこれらに限定されるものではない。
【0052】
これらに限定されるものではないが、前記IV族元素又はこれを含む化合物は、Si、Ge、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる元素;及びSiC、SiGe、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる二元素化合物からなる群より選ばれるものであってよい。
【0053】
前記量子ドットは、均質な(homogeneous)単一構造;コア-シェル(core-shell)、グラディエント(gradient)構造などのような二重構造;又はこれらの混合構造を有するものであってよい。好ましくは、前記量子ドットは、コア及びコアを覆うシェルを含むコア-シェル構造を有するものであってよい。
【0054】
具体的に、前記コア-シェルの二重構造において、それぞれのコアとシェルをなす物質は、前述した互いに異なる半導体化合物からなるものであってよい。例えば、前記コアは、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、及びInAlPSbからなる群より選ばれる1種以上を含み、前記シェルは、ZnSe、ZnS、及びZnTeからなる群より選ばれる1種以上を含んでよいが、これらに限定されるものではない。
【0055】
好ましくは、コア-シェル構造の量子ドットは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/GaP/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnSeTe/ZnS、及びInP/MnSe/ZnSなどが挙げられる。
【0056】
前記量子ドットは、湿式化学工程(wet chemical process)、有機金属化学蒸着工程(MOCVD、metal organic chemical vapor deposition)、又は分子線エピタキシ工程(MBE、molecular beam epitaxy)によって合成されていてよいが、これらに限定されるものではなく、湿式化学工程(wet chemical process)によって合成したほうがより光特性に優れる量子ドットが得られるため、好ましい。
【0057】
前記湿式化学工程とは、有機溶剤に前駆体物質を入れて粒子を成長させる方法である。湿式化学工程では、結晶が成長するときに有機溶剤が自然に量子ドット結晶の表面に配位し、分散剤の役割をして結晶の成長を調節するようになるので、有機金属化学蒸着工程や分子線エピタキシのような気相蒸着法よりも容易且つ低廉な工程によってナノ粒子の成長を制御することができる。そのため、前記湿式化学工程を用いて前記量子ドットを製造したほうが好ましい。
【0058】
湿式化学工程によって量子ドットを製造する場合、量子ドットの凝集を抑え且つ量子ドットの粒子の大きさをナノレベルに制御するために有機配位子が用いられる。このような有機配位子としては、一般的にオレイン酸が用いられてよい。
【0059】
本発明の一実施形態において、前記量子ドットの製造過程で用いられたオレイン酸は、前記化学式1で表されるチオール置換されたフルオレン系化合物によって配位子交換方法により置き換えられる。
【0060】
前記配位子交換は、本来の有機配位子、すなわちオレイン酸を有する量子ドットを含む分散液に、交換したい有機配位子、すなわち化学式1で表されるチオール置換されたフルオレン系化合物を添加し、これを常温~200℃で30分~3時間撹拌して、化学式1で表されるチオール置換されたフルオレン系化合物が結合された量子ドットを収得することで行われてよい。必要に応じて前記化学式1で表されるチオール置換されたフルオレン系化合物が結合された量子ドットを分離し精製する過程を更に行ってもよい。
【0061】
前記量子ドットは、光変換インク組成物の全体100重量%に対し、1~60重量%、好ましくは、5~50重量%の範囲で含まれてよい。前記量子ドットが前記範囲内で含まれる場合、発光効率に優れ、且つコーティング層の信頼性に優れるという利点がある。前記量子ドットが前記範囲未満で含まれる場合、光変換効率が微々たるものとなることがあり、前記範囲を超える場合、光変換インク組成物の粘度が高くなってジェッティング性が低下する問題が生じることがある。
【0062】
[硬化性モノマー(B)]
本発明の一実施形態において、前記硬化性モノマー(B)は、下記の化学式2で表される化合物を含む。
【0063】
【化5】
前記式中、
R
1は、C
1~C
20のアルキレン基、フェニレン基又はC
3~C
10のシクロアルキレン基であり、
R
2は、水素又はメチル基であり、
mは、1~15の整数である。
【0064】
本明細書において用いられるC1~C20のアルキレン基は、炭素数1~20個からなる直鎖状若しくは分岐状の2価炭化水素を意味し、例えば、メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン、n-ヘプチレン、n-オクチレン、n-ノニレンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
本明細書において用いられるC3~C10のシクロアルキレン基は、炭素数3~10個からなる単環式又は融合環式の2価炭化水素を意味し、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
前記C1~C20のアルキレン基、フェニレン基、及びC3~C10のシクロアルキレン基は、1個又はそれの以上の水素がC1~C6のアルキル基、C2~C6のアルケニル基、C2~C6のアルキニル基、C3~C10のシクロアルキル基、C3~C10のヘテロシクロアルキル基、C3~C10のヘテロシクロアルキルオキシ基、C1~C6のハロアルキル基、C1~C6のアルコキシ基、C1~C6のチオアルコキシ基、アリール基、アシル基、ヒドロキシ、チオ(thio)、ハロゲン、アミノ、アルコキシカルボニル、カルボキシ、カルバモイル、シアノ、ニトロなどで置換されてよい。
【0067】
本発明の一実施形態において、R1は、上述したようにC1~C20のアルキレン基、好ましくは、C1~C12のアルキレン基であってよい。R1がC1~C20のアルキレン基である場合、溶剤なしでも散乱粒子の分散性に優れることでジェッティング性が改善し、且つ塗膜硬度や表面特性が向上され得る。
【0068】
本発明の一実施形態において、mは、上述したように1~15の整数、好ましくは、1~5の整数である。mが前記範囲を超える場合、光変換インク組成物の粘度が上昇することがある。
【0069】
前記化学式2で表される化合物の具体例としては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ビスアクリロイルオキシノナン、トリプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。
【0070】
前記化学式2で表される化合物は、前記化学式1で表されるチオール置換されたフルオレン系配位子との相溶性に優れて量子ドットの分散性を向上させることにより、溶剤の含量が低い又は溶剤がなくても光特性に優れる低粘度光変換インク組成物の具現を可能にする。このため、本発明に係る光変換インク組成物は、インクジェット印刷方式でカラーフィルタを製造する際に効果的に用いることができる。
【0071】
本発明に係る光変換インク組成物は、前記化学式2で表される重合性化合物の他、3官能以上、好ましくは、4官能以上の多官能単量体を更に含んでよい。前記多官能単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシレイテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレイテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシレイテッドペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシレイテッドジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシレイテッドジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトール(ポリ)アクリレートなどが好ましく用いられる。
【0072】
前記多官能単量体は、硬化性モノマー全体100重量%に対し、30重量%以下の量で含まれてよい。前記多官能単量体が、硬化性モノマー全体100重量%に対し、30重量%超の量で含まれると、粘度の上昇によるジェッティング不良を生じさせることがある。
【0073】
前記硬化性モノマー(B)は、前記光変換インク組成物全体100重量%に対し、20~90重量%、好ましくは、30~80重量%の範囲で含まれてよい。前記硬化性モノマーが前記範囲内で含まれると、画素部の強度や平滑性の面で好ましいという利点がある。前記硬化性モノマーが前記範囲未満で含まれると、画素部の強度がやや低下することがあり、前記硬化性モノマーが前記範囲を超えて含まれると、光変換効率が低下することがあるため、前記範囲内で含まれることが好ましい。
【0074】
[散乱粒子(C)]
本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、散乱粒子(C)を更に含んでよい。
【0075】
前記散乱粒子は、量子ドットから放出された光の経路を増やして全体的な光効率を高める役割をする。
【0076】
前記散乱粒子の材料としては、通常の無機材料を用いてよく、好ましくは、金属酸化物を用いてよい。
【0077】
前記金属酸化物は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、In、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれた1種以上の金属を含む酸化物であってよいが、これらに限定されるものではない。
【0078】
具体的に、前記散乱粒子は、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、BaTiO3、TiO2、Ta2O5、Ti3O5、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb2O3、SnO、及びMgOからなる群より選ばれる1種以上を含んでよく、光変換効率の特性の面からTiO2が好ましい。
【0079】
必要に応じて、前記散乱粒子は、アクリレートなどの不飽和結合を有する化合物で表面処理された材質も使用可能である。
【0080】
散乱粒子は、50~1000nmの平均粒径を有してよく、好ましくは、100~500nm、より好ましくは、150~300nmの範囲のものがよい。このとき、粒子の大きさが小さ過ぎると、量子ドットから放出された光の十分な散乱効果を期待することができず、これと逆に大き過ぎると、組成物中に沈んだりして均一な品質の光変換層表面を得ることができないため、前記範囲内で適宜調節して用いる。
【0081】
本発明において平均粒径とは、数平均粒径のことであってよく、例えば、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)又は透過電子顕微鏡(TEM)によって観察した像から求めることができる。具体的に、FE-SEM又はTEMの観察画像から幾つかのサンプルを抽出し、これらのサンプルの径を測定して算術平均した値から得ることができる。
【0082】
前記散乱粒子は、量子ドット100重量%に対し、1~150重量%、好ましくは、5~100重量%の範囲で含んでよい。前記散乱粒子が前記範囲内で含まれると、発光強さの増加効果が極大化するため好ましい。前記散乱粒子が前記範囲未満で含まれると、散乱効果が不十分であって得ようとする発光強さの確保が難しくなることがあり、また前記範囲を超えると、散乱特性が臨界範囲を超えるようになって発光された光を遮断することにより発光強さの低下を生じさせることがある。
【0083】
[光重合開始剤(D)]
本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、光重合開始剤(D)を更に含んでよい。
【0084】
本発明の一実施形態において、前記光重合開始剤(D)は、前記硬化性モノマーを重合させ得るものであれば、その種類は特に制限されずに用いてよい。特に、前記光重合開始剤(D)は、重合特性、開始効率、吸収波長、入手性、価格などの観点から、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ビイミダゾール系化合物、オキシム系化合物、及びチオキサントン系化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を用いることが好ましい。
【0085】
前記光重合開始剤(D)は、前記光変換インク組成物全体100重量%に対し、0.01~20重量%、好ましくは、0.5~15重量%の範囲で含まれてよい。前記光重合開始剤が前記範囲内で含まれると、前記光変換インク組成物が高感度化して露光時間が短縮することから生産性が向上するため好ましい。また、本発明に係る光変換インク組成物を用いて形成した画素部の強度や前記画素部の表面での平滑性が良好になるという利点がある。
【0086】
前記光重合開始剤(D)は、本発明に係る光変換インク組成物の感度を向上させるために、光重合開始補助剤(d1)を更に含んでよい。前記光重合開始補助剤が含まれると、感度が一層高められて生産性が向上するという利点がある。
【0087】
前記光重合開始補助剤(d1)は、例えば、アミン化合物、カルボン酸化合物、チオール基を有する有機黄化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましく用いられてよいが、これらに限定されるものではない。
【0088】
アミン化合物の具体例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称:ミヒラーケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族アミン化合物が挙げられ、好ましくは、芳香族アミン化合物であってよい。
【0089】
カルボン酸化合物の具体例としては、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N‐フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N‐ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸などの芳香族ヘテロ酢酸類が挙げられる。
【0090】
前記光重合開始補助剤(d1)は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜追加して用いてよい。
【0091】
[添加剤(E)]
本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、前記した成分の他、塗膜平坦性や密着性を高めるために界面活性剤、密着促進剤のような添加剤を更に含んでよい。
【0092】
本発明に係る光変換インク組成物が前記界面活性剤を含む場合、塗膜平坦性が向上し得るという利点がある。例えば、前記界面活性剤としては、BM-1000、BM-1100(BM Chemie社製)、フロラード FC-135/FC-170C/FC-430(住友スリーエム(社)製)、SH-28PA/-190/-8400/SZ-6032(東レシリコーン(株)製)などのフッ素系界面活性剤を用いてよいが、これらに限定されるものではない。
【0093】
前記密着促進剤は、基板との密着性を高めるために添加されてよいものであって、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる反応性置換基を有するシランカップリング剤を含んでよいが、これらに限定されるものではない。
【0094】
その他、本発明に係る光変換インク組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤のような添加剤を更に含んでもよく、当該添加剤も同様、本発明の効果を損なわない範囲で当業者が適宜追加して使用可能である。
【0095】
前記添加剤は、前記光変換インク組成物全体100重量%に対し、0.05~10重量%、具体的に、0.1~10重量%、より具体的に、0.1~5重量%の範囲で用いてよいが、これらに限定されるものではない。
【0096】
本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、溶剤を全組成物100重量%に対し、20重量%以下の量で含んでよい。
【0097】
好ましくは、本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、連続工程性の面から溶剤を含まない無溶剤型のものであってよい。
【0098】
前記溶剤としては、エーテル又はエステル系溶剤、脂肪族飽和炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などを用いてよい。例えば、前記溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などを用いてよい。
【0099】
本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、溶剤の含量が20重量%以下の量で低くても量子ドットの光特性や分散性に優れ、且つ低粘度の具現が可能である。また、本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、溶剤の含量が20重量%以下の量で低くてノズル入口で溶剤の蒸発によるノズル詰りが生じることがないため、連続工程に有利である。
【0100】
また、本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、樹脂成分を実質的に含まず、含むとしても光変換インク組成物の全体100重量%に対し、0.5重量%以内で含む。本発明の一実施形態に係る光変換インク組成物は、樹脂成分を含まないことで低い粘度を具現することができ、インクのノズルジェッティング特性に優れる。
【0101】
本発明の一実施形態は、上述した光変換インク組成物の硬化物を含む光変換画素に関する。
【0102】
また、本発明の一実施形態は、上述した光変換画素を含むカラーフィルタに関する。
本発明に係る光変換インク組成物のパターン形成方法は、上述した光変換インク組成物をインクジェット方式で所定の領域に塗布するステップ及び前記塗布された光変換インク組成物を硬化させるステップを含んでなる。
【0103】
まず、本発明に係る光変換インク組成物をインクジェット噴射機に注入して基板の所定の領域にプリントする。
【0104】
前記基板は、特に制限されず、一例として、ガラス基板、シリコン基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、芳香族ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、Al基板、GaAs基板などの表面が平坦な基板が挙げられる。これらの基板は、シランカップリング剤などの薬品による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング処理、スパッタリング処理、気相反応処理、真空蒸着処理などの前処理を実施してよい。基板としてシリコン基板などを用いる場合、シリコン基板などの表面には、電荷結合素子(CCD)、薄膜トランジスタ(TFT)などが形成されてよい。また、隔壁マトリックスが形成されてもよい。
【0105】
インクジェット噴射機の一例であるピエゾインクジェットヘッドから噴射されて基板上で適切な相(phase)を形成するために、粘度、流動性、量子ドット粒子などの特性がインクジェットヘッドと釣り合っている必要がある。本発明において用いられたピエゾインクジェットヘッドは特に制限されないが、約10~100pL、好ましくは、約20~40pLの液滴大きさを有するインクを噴射する。
【0106】
本発明に係る光変換インク組成物の粘度は、約3~65cPが好適であり、より好ましくは、7~60cPの範囲に調節されてよい。
【0107】
本発明の一実施形態に係るカラーフィルタは、前記パターン形成方法によって形成される着色パターン層を含む。すなわち、カラーフィルタは、基板上に上述した光変換インク組成物を所定のパターンで塗布してから硬化させて形成される着色パターン層を含むことを特徴とする。カラーフィルタの構成及び製造方法は、当該技術分野において周知のものであるため、詳しい説明を省略する。
【0108】
本発明の一実施形態は、上述したカラーフィルタが備えられた画像表示装置に関する。
【0109】
本発明に係るカラーフィルタは、通常の液晶表示装置(LCD)だけでなく、電界発光表示装置(EL)、プラズマ表示装置(PDP)、電界放出表示装置(FED)、有機発光素子(OLED)などの各種の画像表示装置に適用可能である。
【0110】
本発明に係る画像表示装置は、上述したカラーフィルタを備えることを除いては、当該技術分野において知られた構成を含む。
【実施例】
【0111】
以下、実施例、比較例及び実験例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例、比較例及び実験例は、単に本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらに限定されるものではないことは当業者にとって自明である。
【0112】
[合成例1:InP/ZnSコア-シェル量子ドットの合成]
三つ口フラスコ(3-neck flask)にインジウムアセテート0.05839g、オレイン酸0.12019g、及び1-オクタデセン(ODE)10mLを入れた。前記フラスコを撹拌しながら110℃、100mTorr下で30分間の脱気(degassing)過程を経た後、溶液が透明になるまで不活性気体下、270℃の温度で加熱した。
【0113】
リン(P)前駆体としてトリス(トリメチルシリル)ホスフィンを0.025054g準備し、1-オクタデセン0.5mLとトリ-n-オクチルホスフィン0.5mLに入れて撹拌し、これを、不活性気体下、270℃で加熱された前記フラスコに素早く注入した。1時間反応させた後、素早く冷却させて反応を終結させた。次いで、フラスコの温度が100℃に達したとき、10mLのトルエンを注入してから50mL遠心分離チューブに移した。エタノール10mLを添加した後、沈澱及び再分散方法を活用して2回精製した。精製されたInPコアナノ粒子を1-オクタデセンに分散させた後に保存した。
【0114】
三つ口フラスコに酢酸亜鉛3.669g、オレイン酸20mL、及び1-オクタデセン20mLを入れ、撹拌しながら110℃、100mTorr下で30分間の脱気(degassing)過程を経た後、溶液が透明になるまで不活性気体下、270℃の温度で加熱してから60℃に冷却させて、透明なオレイン酸亜鉛形態の前駆体溶液を得た。
【0115】
三つ口フラスコに硫黄0.6412g及びトリ-n-オクチルホスフィン10mLを入れ、溶液が透明になるまで不活性気体雰囲気で撹拌しながら80℃の温度で加熱してから常温に冷却させて、TOP:S形態のS前駆体溶液を得た。
【0116】
別途の三つ口フラスコに予め準備したInPコアのナノ粒子溶液を入れ、フラスコの温度を300℃に調節してから予め準備した亜鉛前駆体溶液0.6mLを注射器を活用して素早く注入した。次いで、予め準備したS前駆体溶液0.3mLを注射器ポンプを活用して2mL/hrの速度でフラスコに注入した。注入が終わってから更に3時間反応を進め、素早く冷却させて反応を終結させた。フラスコの温度が100℃に達したとき、10mLのトルエンを注入した後、50mL遠心分離チューブに移した。エタノール10mLを添加した後、沈澱及び再分散方法を活用して2回精製した。精製されたInP/ZnSコア-シェル構造のナノ粒子をn-クロロホルムに分散させた後に保存した。固形分は30重量%に調整した。最大発光波長は525nmであった。
【0117】
[合成例2:InP/ZnSe/ZnSコア-シェル量子ドットの合成]
インジウムアセテート(Indium acetate)0.4mmol(0.058g)、パルミチン酸(palmitic acid)0.6mmol(0.15g)、及び1-オクタデセン(octadecene)20mLを反応器に入れ、真空下、120℃で加熱した。1時間後に反応器内の雰囲気を窒素に置換した。280℃で加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMS3P)0.2mmol(58μl)及びトリオクチルホスフィン1.0mLの混合溶液を素早く注入し、0.5分間反応させた。
【0118】
次いで、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmol、及びトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下、120℃で加熱した。1時間後に反応器内の雰囲気を窒素に置換し、反応器を280℃に昇温させた。先に合成したInPコア溶液2mLを入れ、次いで、トリオクチルホスフィン中のセレニウム(Se/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応させた。常温に素早く冷却させた反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈澱を減圧ろ過後に減圧乾燥して、InP/ZnSeコア-シェルを形成させた。
【0119】
次いで、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmol、及びトリオクチルアミン20mLを反応器に入れ、真空下、120℃で加熱した。1時間後に反応器内の雰囲気を窒素に置換し、反応器を280℃に昇温させた。先に合成したInP/ZnSeコア-シェル溶液2mLを入れ、次いで、トリオクチルホスフィン中の硫黄(S/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応させた。常温に素早く冷却させた反応溶液にエタノールを入れ、遠心分離して得た沈澱を減圧ろ過後に減圧乾燥して、InP/ZnSe/ZnSコア-シェル構造の量子ドットを収得した後にクロロホルムに分散させた。固形分は30重量%に調整した。最大発光波長は520nmであった。
【0120】
[配位子置換量子ドットの製造]
[製造例1:配位子置換量子ドットA-1]
合成例1で得られた量子ドット溶液5mLを遠心分離チューブに入れ、エタノール20mLを入れて沈澱させた。遠心分離によって上層液は捨て、沈殿物に3mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、2.50gの下記化学式1-1で表される9-メルカプトフルオレン(TCI社製)を入れ、窒素雰囲気下、60℃で加熱しながら1時間反応させた。
【0121】
【化6】
次いで、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れて量子ドットを沈澱させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離してから、減圧乾燥オーブン(ヤマト社製、DP43)を用いて60℃で1時間乾燥して、量子ドットA-1を収得した。
【0122】
[製造例2:配位子置換量子ドットA-2]
製造例1で用いた配位子の代わりに、下記化学式1-2で表される4-(9H-フルオレン-9-イル)-ブタン-1-チオール(TCI社製)を用いたことを除いては、製造例1と同様に実施して量子ドットA-2を収得した。
【0123】
【化7】
[製造例3:配位子置換量子ドットA-3]
合成例2で得られた量子ドット溶液5mLを遠心分離チューブに入れ、エタノール20mLを入れて沈澱させた。遠心分離によって上層液は捨て、沈殿物に3mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、3.00gの前記化学式1-1で表される9-メルカプトフルオレン(TCI社製)を入れ、窒素雰囲気下、60℃で加熱しながら1時間反応させた。
【0124】
次いで、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れて量子ドットを沈澱させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離してから、減圧乾燥オーブン(ヤマト社製、DP43)を用いて60℃で1時間乾燥して、量子ドットA-3を収得した。
【0125】
[製造例4:配位子置換量子ドットA-4]
製造例3で用いた配位子の代わりに、前記化学式1-2で表される4-(9H-フルオレン-9-イル)-ブタン-1-チオール(TCI社製)を用いたことを除いては、製造例3と同様に実施して量子ドットA-4を収得した。
【0126】
[製造例5:配位子置換量子ドットA-5]
製造例3で用いた配位子の代わりに、下記化学式1-3で表される化合物を用いたことを除いては、製造例3と同様に実施して量子ドットA-5を収得した。
【0127】
【化8】
[製造例6:配位子置換量子ドットA-6]
製造例3で用いた配位子の代わりに、下記化学式1-4で表される化合物を用いたことを除いては、製造例3と同様に実施して量子ドットA-6を収得した。
【0128】
【化9】
[製造例7:配位子置換量子ドットA-7]
製造例3で用いた配位子の代わりに、下記化学式1-5で表される化合物を用いたことを除いては、製造例3と同様に実施して量子ドットA-7を収得した。
【0129】
【化10】
[製造例8:配位子未置換量子ドットA-8]
オレイン酸が表面に結合されている合成例1で得られた量子ドット溶液5mLを遠心分離チューブに入れ、エタノール20mLを入れて沈澱させた。遠心分離によって上層液は捨て、沈殿物を減圧乾燥オーブン(ヤマト社製、DP43)を用いて60℃で1時間乾燥して、量子ドットA-8を収得した。
【0130】
[製造例9:配位子未置換量子ドットA-9]
オレイン酸が表面に結合されている合成例2で得られた量子ドット溶液5mLを遠心分離チューブに入れ、エタノール20mLを入れて沈澱させた。遠心分離によって上層液は捨て、沈殿物を減圧乾燥オーブン(ヤマト社製、DP43)を用いて60℃で1時間乾燥して、量子ドットA-9を収得した。
【0131】
[製造例10:配位子置換量子ドットA-10]
製造例3で用いた配位子の代わりに、下記化学式3で表される化合物を用いたことを除いては、製造例3と同様に実施して量子ドットA-10を収得した。
【0132】
【化11】
[実施例及び比較例:光変換インク組成物の製造]
下記の表1~表3の組成でそれぞれの成分を混合して光変換インク組成物を製造した(重量%)。
【0133】
【0134】
【0135】
【表3】
量子ドットA-1~A-10:製造例1~10で製造された量子ドット
硬化性モノマー(B)
B-1:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(シグマアルドリッチ社製)
B-2:1,9-ビスアクリロイルオキシノナン(TCI社製)
B-3:トリプロピレングリコールジアクリレート(シグマアルドリッチ社製)
B-4:エトキシレイテッドペンタエリトリトールテトラアクリレート(ATM-4E、新中村化学社製)
B-5:ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(A-9550、新中村化学社製)
散乱粒子(C):TiO
2(ハンツマン社製、TR-88、粒径220nm)
光重合開始剤(D):Irgacure OXE-01(BASF社製)
添加剤(E):SH8400(ダウコーニング東レシリコーン社製)
溶剤(F):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
[実験例]
前記実施例及び比較例で製造された光変換インク組成物を用いて粘度及び連続ジェッティング回数を測定し、12μm厚みの光変換コーティング層を製造して光変換効率を測定し、その結果を下記表4に表した。
【0136】
(1)光変換コーティング層の製造及び光変換効率の測定
実施例及び比較例で製造されたそれぞれの光変換インク組成物をインクジェット方式で5cm×5cmガラス基板上に塗布した後、紫外線光源としてg、h、i線をいずれも含有する1kWの高圧水銀灯を用いて1000mJ/cm2で照射後、180℃の加熱オーブンで30分間加熱して、光変換コーティング層を製造した。
【0137】
製造された光変換コーティング層を青色(blue)光源(XLamp XR-E LED、Royal blue 450、Cree社製)の上部に位置させた後、輝度測定器(CAS140CT Spectrometer、Instrument systems社製)を用いて光変換効率を下記の数学式1にて測定した。
【0138】
光変換効率(%)が高いほど優れた輝度を得ることができる。
【0139】
【数1】
(2)粘度
前記光変換インク組成物の粘度は、R型粘度計(VISCOMETER MODEL RE120L SYSTEM、東機産業株式会社製)を用いて回転数20rpm、温度30℃の条件で測定した。
【0140】
(3)連続ジェッティング回数
前記光変換インク組成物をユニジェット社製のインクジェットプリンティング設備に充填した後、ジェッティングヘッドの温度を40℃に固定してから1分間インクを吐出し、その後、30分間放置することを、ジェッティングヘッド部のノズル詰りにより吐出ができなくなるまで繰り返し行って連続ジェッティング回数を評価した。
【0141】
連続ジェッティング回数が増加するほど連続工程に優れるという特性を得ることができる。
【0142】
【表4】
前記表4に表したように、本発明に係る特定構造のチオール置換されたフルオレン系配位子を含む量子ドット及び2官能硬化性モノマーを含む光変換インク組成物は、優れた光変換効率及び4回以上の連続ジェッティング特性を示すことを確認することができた。一方、2官能硬化性モノマーを含まない比較例4~5の光変換インク組成物は、粘度が高すぎてインクジェッティングが不可能であり、また、特定構造のチオール置換されたフルオレン系配位子を含まない比較例1~3及び6の光変換インク組成物は、光変換効率が低下し連続ジェッティング性の評価の際に、2回又は3回の放置後にノズル詰りが生じることを確認することができた。
【0143】
特に、溶剤を含まない実施例1~11の光変換インク組成物は、5回の連続ジェッティングの後でもノズル詰りが生じることなく5回超過時でもインクジェッティングが可能であったし、溶剤を含む実施例12~14の光変換インク組成物は、最大5回又は4回の連続ジェッティングが可能である結果を示した。よって、溶剤を含まない無溶剤型のものが溶剤を含む溶剤型のものに比べて連続工程性が一層向上することを確認することができた。
【0144】
また、2官能硬化性モノマーの他に4官能又は6官能硬化性モノマーを更に含む実施例4~5の光変換インク組成物は、2官能硬化性モノマーのみを含む実施例1の光変換インク組成物に比べて粘度が上昇する結果を示した。
【0145】
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような具体的な記述は単に好適な具現例であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容を基に本発明の範疇内で種々の応用および変形を行うことが可能であろう。
【0146】
したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とその等価物によって定義されると言えよう。