(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/24 20060101AFI20231218BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20231218BHJP
G11C 16/08 20060101ALI20231218BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231218BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20231218BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20231218BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20231218BHJP
H10B 41/40 20230101ALI20231218BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20231218BHJP
H10B 43/40 20230101ALI20231218BHJP
【FI】
G11C16/24 100
G11C16/04 170
G11C16/08 100
H01L29/78 371
H10B41/27
H10B41/40
H10B43/27
H10B43/40
(21)【出願番号】P 2020156299
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 知己
(72)【発明者】
【氏名】加藤 光司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 寿文
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-144962(JP,A)
【文献】特開2020-144961(JP,A)
【文献】国際公開第2020/105596(WO,A1)
【文献】特開2017-157260(JP,A)
【文献】特開2008-210503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0197587(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/24
G11C 16/04
G11C 16/08
H01L 21/336
H10B 41/27
H10B 41/40
H10B 43/27
H10B 43/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルと、
前記複数のメモリセルのゲートに接続されたワード線と、
前記複数のメモリセルの一端にそれぞれ接続された複数の選択ゲートトランジスタを介して前記複数のメモリセルの一端に電気的に接続されたビット線と、
ブロックの両端の2つの前記選択ゲートトランジスタのゲートにそれぞれ接続された2つのアウター選択ゲート線と、
前記ブロックの両端以外の1つ以上の前記選択ゲートトランジスタのゲートに接続された1つ以上のインナー選択ゲート線と、
前記複数のメモリセルに記録されたデータの読み出し時に、前記アウター選択ゲート線とインナー選択ゲート線とに対する電圧供給を個別に制御可能な電圧生成回路と、
を具備する半導体記憶装置。
【請求項2】
前記電圧生成回路は、前記アウター選択ゲート線とインナー選択ゲート線とに対して供給する電圧の電圧上昇率を個別に制御する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記電圧生成回路は、前記アウター選択ゲート線に電圧を供給するアウター選択ゲート線用ドライバと、前記インナー選択ゲート線に電圧を供給するインナー選択ゲート線用ドライバとを具備し、
前記アウター選択ゲート線用ドライバは、電圧供給路上の抵抗値がインナー選択ゲート線用ドライバの電圧供給路上の抵抗値よりも大きい
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記電圧生成回路は、前記アウター選択ゲート線とインナー選択ゲート線とに対して供給するオーバードライブ電圧の印加期間を個別に制御する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記電圧生成回路は、前記アウター選択ゲート線に供給する電圧を発生するアウター選択ゲート線用電圧発生回路と、前記インナー選択ゲート線に供給する電圧を発生するインナー選択ゲート線用電圧発生回路とを具備し、
前記アウター選択ゲート線用電圧発生回路の前記オーバードライブ電圧の印加期間は、前記インナー選択ゲート線用電圧発生回路よりも短い
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記電圧生成回路は、前記アウター選択ゲート線に供給する電圧を発生するアウター選択ゲート線用ドライバを有し、
前記アウター選択ゲート線用ドライバは、前記複数のメモリセルのうち読み出し対象でないメモリセルに対応するアウター選択ゲート線の数に応じて電圧供給を制御する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記アウター選択ゲート線用ドライバは、前記読み出し対象でないメモリセルに対応するアウター選択ゲート線の数が1の場合と2の場合とで、電圧供給路上の抵抗値を変化させる
請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記電圧生成回路は、前記インナー選択ゲート線に供給する電圧を発生するインナー選択ゲート線用ドライバを有し、
前記インナー選択ゲート線用ドライバは、前記複数のメモリセルのうち読み出し対象でないメモリセルに対応するインナー選択ゲート線の数に応じて電圧供給を制御する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記インナー選択ゲート線用ドライバは、前記読み出し対象でないメモリセルに対応するインナー選択ゲート線の数が多い程、電圧供給路上の抵抗値を小さくする
請求項8に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、NAND型FLASHメモリ等の半導体記憶装置においては、微細化、大容量化の要求から、3次元構造化が図られるようになってきた。また、NAND型FLASHメモリでは、メモリセルトランジスタを、1ビット(2値)のデータを保持可能なSLC(Single Level Cell)とする場合だけでなく、2ビット(4値)のデータを保持可能なMLC(Multi Level Cell)、3ビット(8値)のデータを保持可能なTLC(Triple Level Cell)または4ビット(16値)のデータを保持可能なQLC(Quad Level Cell)として構成する場合がある。
【0003】
このようなメモリセルトランジスタからのデータの読み出し時には、複数種類の電圧を用意し、メモリセルトランジスタに供給する電圧を切換える必要がある。このため、読み出し速度の向上には、所望のターゲット電圧への遷移を高速化する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、選択ゲート線を所望の電圧に高速に設定することができる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体記憶装置は、複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルのゲートに接続されたワード線と、前記複数のメモリセルの一端にそれぞれ接続された複数の選択ゲートトランジスタを介して前記複数のメモリセルの一端に電気的に接続されたビット線と、ブロックの両端の2つの前記選択ゲートトランジスタのゲートにそれぞれ接続された2つのアウター選択ゲート線と、前記ブロックの両端以外の1つ以上の前記選択ゲートトランジスタのゲートに接続された1つ以上のインナー選択ゲート線と、前記複数のメモリセルに記録されたデータの読み出し時に、前記アウター選択ゲート線とインナー選択ゲート線とに対する電圧供給を個別に制御可能な電圧生成回路と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に関わるメモリシステムの構成例を示すブロック図。
【
図2】実施形態の不揮発性メモリの構成例を示すブロック図。
【
図3】3次元構造のNANDメモリセルアレイ23のブロックの構成例を示す図。
【
図4】書き込み動作(プログラム動作)における各配線の電位変化を示す図。
【
図5】1ブロックBLK中の各選択ゲート線SGDを説明するための説明図。
【
図6】横軸に時間をとり縦軸に電圧をとって、USTRDISを説明するための図。
【
図7】書き込み動作(プログラム動作)における各配線の電位変化を示す図。
【
図8】
図6と同様の表記により、USTRDIS期間における問題を説明するための図。
【
図9】電圧生成回路28の一部の構成を示すブロック図。
【
図10】ロウデコーダ25の構成の一例を示すブロック図。
【
図11】
図9中のドライバ42~44の具体的な構成の一例を示す回路図。
【
図12】
図9中のMUX(inner)46の具体的な構成の一例を示す回路図。
【
図13】
図9中のMUX(outer)47の具体的な構成の一例を示す回路図。
【
図15】本発明の第2の実施の形態に採用されるSGD_usel(outer)ドライバを示す回路図。
【
図16】実施の形態の動作を説明するための説明図。
【
図17】実施の形態の動作を説明するための説明図。
【
図18】SGD_usel(inner)ドライバを示す回路図。
【
図19】本発明の第3の実施の形態を示すブロック図。
【
図20】横軸に時間をとり縦軸に電圧をとってUSTRDIS期間におけるアウター選択ゲート線SGD(outer)とインナー選択ゲート線SGD(inner)の電圧変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
本実施の形態は、電圧発生回路において目標とするターゲット電圧よりも高いオーバードライブ電圧を供給可能にすると共に、選択ゲート線の種類に応じてオーバードライブ電圧の供給回路の抵抗値を変化させることで、選択ゲート線の種類に拘わらず選択ゲート線に印加する電圧の変化を均一化し、短時間にターゲット電圧に到達させることを可能にするものである。
【0010】
(メモリシステムの構成)
図1は、実施形態に関わるメモリシステムの構成例を示すブロック図である。本実施形態のメモリシステムは、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2とを備える。メモリシステムは、ホストと接続可能である。ホストは、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末などの電子機器である。
【0011】
不揮発性メモリ2は、データを不揮発に記憶する半導体記憶装置であり、例えば、NANDフラッシュメモリを備えている。本実施形態では、不揮発性メモリ2は、メモリセルトランジスタあたり3bitを記憶可能なメモリセルトランジスタを有するNANDメモリ、すなわち3bit/Cell(TLC:Triple Level Cell)のNANDメモリであるとして説明するが、これに限定されるものではない。不揮発性メモリ2は、3次元化されている。
【0012】
メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って不揮発性メモリ2へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って不揮発性メモリ2からのデータの読み出しを制御する。メモリコントローラ1は、RAM(Random Access Memory)11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC(Error Check and Correct)回路14およびメモリインターフェイス15を備える。RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14およびメモリインターフェイス15は、互いに内部バス16により接続される。
【0013】
ホストインターフェイス13は、ホストから受信したリクエスト、ユーザデータである書き込みデータなどを内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス13は、不揮発性メモリ2から読み出されたユーザデータ、プロセッサ12からの応答などをホストへ送信する。
【0014】
メモリインターフェイス15は、プロセッサ12の指示に基づいてユーザデータ等を不揮発性メモリ2へ書き込む処理および不揮発性メモリ2から読み出す処理を制御する。
【0015】
プロセッサ12は、メモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス13経由でリクエストを受けた場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2へのユーザデータおよびパリティの書き込みをメモリインターフェイス15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2からのユーザデータおよびパリティの読み出しを、メモリインターフェイス15へ指示する。
【0016】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、不揮発性メモリ2上の格納領域(以下、メモリ領域という)を決定する。ユーザデータは、内部バス16経由でRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ、すなわちページデータ、に対して実施する。本明細書では、不揮発性メモリ2の1ページに格納されるユーザデータをユニットデータと定義する。ユニットデータは、例えば、符号化されて符号語として不揮発性メモリ2に格納される。
【0017】
なお、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを不揮発性メモリ2に格納してもよいが、
図1では、一構成例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0018】
プロセッサ12は、ユニットデータごとに書き込み先の不揮発性メモリ2のメモリ領域を決定する。不揮発性メモリ2のメモリ領域には物理アドレスが割当てられている。プロセッサ12は、ユニットデータの書き込み先のメモリ領域を、物理アドレスを用いて管理する。プロセッサ12は、決定したメモリ領域の物理アドレスを指定してユーザデータを不揮発性メモリ2へ書き込むようメモリインターフェイス15へ指示する。プロセッサ12は、ユーザデータの論理アドレス(ホストが管理する論理アドレス)と物理アドレスとの対応を管理する。プロセッサ12は、ホストからの論理アドレスを含む読み出しリクエストを受信した場合は、論理アドレスに対応する物理アドレスを特定し、物理アドレスを指定してユーザデータの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0019】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して符号語を生成する。また、ECC回路14は、不揮発性メモリ2から読み出された符号語を復号する。
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを不揮発性メモリ2へ記憶するまでに一時格納したり、不揮発性メモリ2から読み出したデータをホストへ送信するまでに一時格納する。RAM11は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの汎用メモリである。
【0020】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14とメモリインターフェイス15をそれぞれ備える構成例を示した。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が、不揮発性メモリ2に内蔵されていてもよい。
【0021】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、メモリコントローラ1は次のように動作する。プロセッサ12は、書き込みデータをRAM11に一時記憶させる。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを読み出し、ECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化し、符号語をメモリインターフェイス15に与える。メモリインターフェイス15は、入力された符号語を不揮発性メモリ2に書き込む。
【0022】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、メモリコントローラ1は次のように動作する。メモリインターフェイス15は、不揮発性メモリ2から読み出した符号語をECC回路14に与える。ECC回路14は、入力された符号語を復号し、復号されたデータをRAM11にストアする。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを、ホストインターフェイス13を介してホストに送信する。
【0023】
(不揮発性メモリの構成)
図2は、本実施形態の不揮発性メモリの構成例を示すブロック図である。不揮発性メモリ2は、ロジック制御回路21、入出力回路22、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、ロウデコーダ25、レジスタ26、シーケンサ27、電圧生成回路28、入出力用パッド群32、ロジック制御用パッド群34、及び、電源入力用端子群35を備えている。
【0024】
メモリセルアレイ23は、複数のブロックを備える。複数のブロックBLKの各々は、複数のメモリセルトランジスタ(メモリセル)を備える。メモリセルアレイ23には、メモリセルトランジスタに印加する電圧を制御するために、複数のビット線、複数のワード線、及びソース線などが配設される。ブロックBLKの具体的な構成については後述する。
【0025】
入出力用パッド群32は、メモリコントローラ1との間でデータを含む各信号の送受信を行うため、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0026】
ロジック制御用パッド群34は、メモリコントローラ1との間で各信号の送受信を行うため、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、及びライトプロテクト信号/WPに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0027】
信号/CEは、不揮発性メモリ2の選択を可能にする。信号CLEは、信号DQとして送信されるコマンドをコマンドレジスタにラッチすることを可能にする。信号ALEは、信号DQとして送信されるアドレスをアドレスレジスタにラッチすることを可能にする。信号WEは、書き込みを可能にする。信号REは、読み出しを可能にする。信号WPは、書き込み及び消去を禁止する。信号R/Bは、不揮発性メモリ2がレディー状態(外部からの命令を受け付けることが可能である状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けることができない状態)であるかを示す。メモリコントローラ1は、信号R/Bを受けることで、不揮発性メモリ2の状態を知ることができる。
【0028】
電源入力用端子群35は、外部から不揮発性メモリ2に、種々の動作電源を供給するため、電源電圧Vcc、VccQ、Vppと、接地電圧Vssを入力する複数の端子を備えている。電源電圧Vccは、動作電源として一般的に外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば3.3V程度の電圧が入力される。電源電圧VccQは、例えば1.2Vの電圧が入力される。電源電圧VccQは、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2との間で信号を送受信する際に用いられる。電源電圧Vppは、電源電圧Vccよりも高圧の電源電圧であり、例えば12Vの電圧が入力される。
【0029】
ロジック制御回路21及び入出力回路22は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1に接続される。入出力回路22は、メモリコントローラ1との間でNANDバスを介して、信号DQ(例えばDQ0~DQ7)を送受信する。
【0030】
ロジック制御回路21は、メモリコントローラ1からNANDバスを介して、外部制御信号(例えば、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、書き込みイネーブル信号/WE、読み出しイネーブル信号RE,/RE、及びライトプロテクト信号/WP)を受信する。信号名に付記された"/"は、アクティブ・ローを示す。また、ロジック制御回路21は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1にレディー/ビジー信号/RBを送信する。
【0031】
レジスタ26は、コマンドレジスタ、アドレスレジスタ、及びステータスレジスタなどを備える。コマンドレジスタは、コマンドを一時的に保持する。アドレスレジスタは、アドレスを一時的に保持する。ステータスレジスタは、不揮発性メモリ2の動作に必要なデータを一時的に保持する。レジスタ26は、例えばSRAMから構成される。
【0032】
シーケンサ27は、レジスタ26からコマンドを受け、このコマンドに基づくシーケンスに従って不揮発性メモリ2を制御する。
【0033】
電圧生成回路28は、不揮発性メモリ2の外部から電源電圧を受け、この電源電圧を用いて、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を生成する。電圧生成回路28は、生成した電圧を、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、及びロウデコーダ25などに供給する。
【0034】
ロウデコーダ25は、レジスタ26からロウアドレスを受け、このロウアドレスをデコードする。ロウデコーダ25は、デコードされたロウアドレスに基づいて、ワード線の選択動作を行う。そして、ロウデコーダ25は、選択されたブロックに、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を転送する。
【0035】
センスアンプ24は、レジスタ26からカラムアドレスを受け、このカラムアドレスをデコードする。センスアンプ24は、各ビット線に接続されたセンスアンプユニット群24Aを有しており、センスアンプユニット群24Aは、デコードされたカラムアドレスに基づいて、いずれかのビット線を選択する。また、センスアンプユニット群24Aは、データの読み出し時には、メモリセルトランジスタからビット線に読み出されたデータを検知及び増幅する。また、センスアンプユニット群24Aは、データの書き込み時には、書き込みデータをビット線に転送する。
【0036】
センスアンプ24は、データレジスタ24Bを有しており、データレジスタ24Bは、データの読み出し時には、センスアンプユニット群24Aにより検出したデータを一時的に保持し、これをシリアルに入出力回路22へ転送する。また、データレジスタ24Bは、データの書き込み時には、入出力回路22からシリアルに転送されたデータを一時的に保持し、これをセンスアンプユニット群24Aへ転送する。データレジスタ24Bは、SRAMなどで構成される。
【0037】
(メモリセルアレイのブロック構成)
図3は3次元構造のNANDメモリセルアレイ23のブロックの構成例を示す図である。
図3はメモリセルアレイ23を構成する複数のブロックのうちの1つのブロックBLKを示している。メモリセルアレイの他のブロックも
図3と同様の構成を有する。なお、本実施形態は、2次元構造のメモリセルアレイにも適用可能である。
【0038】
図示するように、ブロックBLKは、例えば5つのストリングユニット(SU0~SU4)を含む。また各々のストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。NANDストリングNSの各々は、ここでは8個のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)と、選択ゲートトランジスタST1,ST2とを含む。なお、NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMTの個数は、ここでは8個であるが、8個に限られず、例えば、32個、48個、64個、96個等でもよい。選択ゲートトランジスタST1,ST2は、電気回路上は1つのトランジスタとして示しているが、構造上はメモリセルトランジスタと同じでもよい。また、例えばカットオフ特性を高めるために、選択ゲートトランジスタST1,ST2として、それぞれ複数の選択ゲートトランジスタを用いてもよい。さらに、メモリセルトランジスタMTと選択ゲートトランジスタST1,ST2との間には、ダミーセルトランジスタが設けられていてもよい。
【0039】
メモリセルトランジスタMTは、選択ゲートトランジスタST1,ST2間において、直列接続されるようにして配置されている。一端側のメモリセルトランジスタMT7が、選択ゲートトランジスタST1に接続され、他端側のメモリセルトランジスタMT0が、選択ゲートトランジスタST2に接続されている。
【0040】
ストリングユニットSU0~SU4の各々の選択ゲートトランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD4(以下、これらを区別する必要がない場合には選択ゲート線SGDという)に接続される。他方で、選択ゲートトランジスタST2のゲートは、同一のブロックBLK内にある複数のストリングユニットSU間で同一の選択ゲート線SGSに共通接続される。また、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMT0~MT7のゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通接続される。すなわち、ワード線WL0~WL7及び選択ゲート線SGSは、同一ブロックBLK内の複数のストリングユニットSU0~SU4間で共通に接続されているのに対し、選択ゲート線SGDは、同一ブロックBLK内であってもストリングユニットSU0~SU4毎に独立している。
【0041】
NANDストリングNSを構成するメモリセルトランジスタMT0~MT7のゲートには、それぞれワード線WL0~WL7が接続されている。ブロックBLK内において同一行にあるメモリセルトランジスタMTiのゲートは、同一のワード線WLiに接続される。なお、以下の説明では、NANDストリングNSを単に「ストリング」という場合がある。
【0042】
各NANDストリングNSは、対応するビット線に接続されている。従って、各メモリセルトランジスタMTは、NANDストリングNSに含まれる選択ゲートトランジスタSTや他のメモリセルトランジスタMTを介して、ビット線に接続されている。上述した通り、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMTのデータは、一括して消去される。一方、データの読み出し及び書き込みは、メモリセルグループMG単位(またはページ単位)で行われる。本明細書では、1つのワード線WLiに接続され、かつ1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルトランジスタMTをメモリセルグループMGと定義する。本実施形態では、不揮発性メモリ2は3ビット(8値)のデータを保持可能なTLCのNANDメモリである。従って、1つのメモリセルグループMGが、3ページ分のデータを保持することができる。各メモリセルトランジスタMTが保持することができる3ビットは、それぞれこの3ページに対応する。
【0043】
(書き込み動作)
多値のデータをメモリセルトランジスタMTに書き込む場合には、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧をデータの値に応じた値にする。メモリセルトランジスタMTにプログラム電圧VPGM及びビット線電圧Vblを印加すると、電子がメモリセルトランジスタMTの電荷蓄積膜に注入されて閾値電圧が上昇する。プログラム電圧VPGMを大きくすることで電子の注入量を増加させて、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を高くすることができる。しかし、メモリセルトランジスタMTのばらつきにより同一のプログラム電圧VPGMを印加したとしても電子の注入量はメモリセルトランジスタMT毎に異なる。一旦注入された電子は、消去動作が行われるまで保持される。そこで、各メモリセルトランジスタMTに設定すべき閾値電圧として許容できる閾値電圧の範囲(以下、ターゲット領域という)を超えないように、プログラム動作とベリファイ動作(ループ)を、プログラム電圧VPGMを徐々に上昇させつつ、複数回行う。
【0044】
ベリファイ動作は、書き込み動作の一環として行われる読み出し動作である。
図4は、書き込み動作(プログラム動作)における各配線の電位変化を示す図である。なお、
図4に示す各電圧についても、シーケンサ27に制御された電圧生成回路28によって発生される。
【0045】
プログラム動作は、ワード線及びビット線に印加するプログラム電圧及びビット線電圧に従って行われる。ワード線(
図4の選択WL,非選択WL)に電圧が印加されないブロックBLKは、書き込み対象でない非選択BLK(
図4下段)である。また、ビット線電圧は、ビット線BLに接続された選択ゲートトランジスタST1が導通することによりメモリセルトランジスタMTに印加されるので、書き込み対象のブロックBLK(選択BLK)のうち、選択ゲート線SGDが印加されないストリングユニットSUは書き込み対象でない非選択SU(
図4中段)である。なお、選択BLKの非選択SU(
図4中段)についても、プログラム電圧VPGMの印加の前に、選択ゲート線SGDを例えば5Vにして選択ゲートトランジスタST1を導通させておくようにしてもよい。
【0046】
書き込み対象のブロックBLK(選択BLK)の書き込み対象のストリングユニットSU(選択SU)(
図4上段)については、プログラム電圧VPGMの印加の前に、
図4上段の左側に示すように、選択ゲート線SGDを例えば5Vにして、選択ゲートトランジスタST1を導通させておく。また、プログラム動作時には、選択ゲート線SGSは例えば0Vである。従って、選択ゲートトランジスタST2はオフ状態となる。一方、
図4上段の右側に示すプログラム電圧VPGM印加時には、選択ゲート線SGDを例えば2.5Vとする。これにより、選択ゲートトランジスタST1の導通、非導通の状態は、選択ゲートトランジスタST1に接続されるビット線BLのビット線電圧によって決まる。
【0047】
上述したように、センスアンプ24は、各ビット線BLにデータを転送する。"0"データが与えられたビット線BLにはビット線電圧Vbl_Lとして例えば0Vの接地電圧Vssが印加される。"1"データが与えられたビット線BLにはビット線電圧Vbl_Hとして書き込み禁止電圧Vinhibit(例えば2.5V)が印加される。従って、プログラム電圧VPGM印加時には、"0"データが与えられたビット線BLに接続された選択ゲートトランジスタST1は導通し、"1"データが与えられたビット線BLに接続された選択ゲートトランジスタST1はカットオフする。カットオフした選択ゲートトランジスタST1に接続されているメモリセルトランジスタMTは書き込み禁止となる。
【0048】
導通状態となった選択ゲートトランジスタST1に接続されているメモリセルトランジスタMTは、ワード線WLに印加される電圧に従って電荷蓄積膜への電子の注入が行われる。ワード線電圧として、電圧VPASSが与えられたワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTは、閾値電圧に拘わらず導通状態となるが、電荷蓄積膜への電子の注入は行われない。一方、ワード線電圧として、プログラム電圧VPGMが与えられたワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTは、プログラム電圧VPGMに応じて電荷蓄積膜への電子の注入が行われる。
【0049】
即ち、ロウデコーダ25は、選択ブロックBLKにおいていずれかのワード線WLを選択し、選択ワード線にプログラム電圧VPGMを印加し、その他のワード線(非選択ワード線)WLに電圧VPASSを印加する。プログラム電圧VPGMは、トンネル現象により電子を電荷蓄積膜に注入するための高電圧であり、VPGM>VPASSである。ロウデコーダ25によってワード線WLの電圧を制御しながら、センスアンプ24によって各ビット線BLにデータを供給することで、メモリセルアレイ23の各メモリセルトランジスタMTへの書き込み動作(プログラム動作)が行われる。
【0050】
(読み出し動作)
多値化されたメモリセルトランジスタからのデータの読み出しは、ロウデコーダ25によって、選択ワード線WLに読み出し電圧を印加すると共に、センスアンプ24によって、ビット線BLに読み出されたデータをセンスして、読み出したデータが"0"であるか"1"であるかを判定することで行われる。なお、非選択ワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタを導通させるために、ロウデコーダ25は、非選択ワード線WLには各メモリセルトランジスタをオンにするために必要な十分に高い電圧VREADを与える。なお、隣接ワード線については、隣接ワード線に接続されたメモリセルトランジスタの導通を容易にするために、電圧VREADよりも若干高い電圧VREADKを与えてもよい。
【0051】
また、ロウデコーダ25は、ストリングユニットSU中の読み出し対象のストリングユニット(選択ストリングユニット)を構成する選択ゲート線SGD(以下、SGD_selという)には、選択ゲートトランジスタST1をオンにするための電圧VSG_selを印加し、読み出し対象でないストリングユニット(非選択ストリングユニット)を構成する選択ゲート線SGD(以下、SGD_uselという)には、選択ゲートトランジスタST1をオフにするための電圧VSG_uselを印加する。
【0052】
ロウデコーダ25は、選択ワード線に、読み出し電圧を印加し、非選択ワード線に、電圧VREAD又はVEREDKを印加する。読み出し動作時には、センスアンプ24は、ビット線BLを一定の電圧(例えば、0.5V)に固定すると共に、センスアンプユニット群24A内部の図示しないセンスノードSENをビット線BLの電圧よりも高い所定のプリチャージ電圧Vpreに充電する。この状態で、ロジック制御回路21は、センスノードSENをビット線BLに接続する。そうすると、センスノードSENからビット線BLに電流が流れ、センスノードSENの電圧は次第に低下する。
【0053】
センスノードSENの電圧は、対応するビット線BLに接続されたメモリセルトランジスタの閾値電圧の状態に応じて変化する。即ち、メモリセルトランジスタの閾値電圧が読み出し電圧よりも低いときは、メモリセルトランジスタはオン状態であり、メモリセルトランジスタに大きなセル電流が流れ、センスノードSENの電圧が低下する速度は速くなる。また、メモリセルトランジスタの閾値電圧が読み出し電圧よりも高いときは、メモリセルトランジスタはオフ状態であり、メモリセルトランジスタに流れるセル電流は、小さいか、又は、メモリセルトランジスタにセル電流が流れず、センスノードSENの電圧が低下する速度は遅くなる。
【0054】
このようなセンスノードSENの電圧低下の速度の差を利用して、メモリセルトランジスタの書き込みの状態が判定されて、結果がデータラッチ回路に記憶される。例えば、センスノードSENの電荷を放電し始める放電開始時から所定の第1期間が経過した第1時点で、センスノードSENの電圧がローレベル(以下、"L")であるかハイレベル(以下、"H")であるかが判定される。例えば、メモリセルトランジスタの閾値電圧が読み出し電圧よりも低い場合には、メモリセルトランジスタは完全オン状態であり、メモリセルトランジスタに大きなセル電流が流れる。このため、センスノードSENの電圧は、急速に低下し、電圧降下量は比較的大きく、第1時点において、センスノードSENが"L"になる。
【0055】
また、メモリセルトランジスタの閾値電圧が読み出し電圧よりも高い場合には、メモリセルトランジスタはオフ状態であり、メモリセルトランジスタに流れるセル電流は、非常に小さいか、又は、メモリセルトランジスタにセル電流が流れない。このため、センスノードSENの電圧は、非常に緩やかに低下し、電圧降下量は比較的小さく、第1時点において、センスノードSENは、"H"のままとなる。
【0056】
このように、ロウデコーダ25により選択ワード線に読み出し電圧を印加しながら、センスアンプ回路32がセンスノードSENの状態を監視することで、メモリセルトランジスタの閾値電圧が読み出し電圧よりも高いか低いかが判定される。従って、各レベル相互間の電圧を読み出し電圧として選択ワード線WLに印加することで、各メモリセルトランジスタのレベルを判定し、各レベルに割り当てたデータを読み出すことができる。
【0057】
例えば、TLCの8つのターゲット領域にそれぞれデータを割り当てることで、TLCでは、1メモリセルトランジスタ当たり3ビットのデータを記憶可能である。各メモリセルトランジスタには、8つのターゲット領域を示すEr,A,B,…,Gレベルのいずれかのレベルで書き込みが行われ、読出し時には、電圧VrA~VrGを印加することで、各メモリセルトランジスタのデータの値を判定することができる。
【0058】
(選択ゲート線SGD)
図5は1ブロックBLK中の各選択ゲート線SGDを説明するための説明図である。
図5は紙面左側にブロックBLKの一部の平面形状を示しており、A-A線で切断した断面形状を紙面右側に示している。
図5の丸印はNANDストリングを構成するメモリホール334を示している。絶縁層351は、
図5に示す1ブロックBLKを他のブロックBLKと分離する。
図5の例は、1ブロックBLK内に、絶縁層352によって分離された5つの選択ゲート線SGD0~SGD4をそれぞれ含む5つのストリングユニットSU0~SU4が構成された例を示している。絶縁層352は、
図5の右側の例では、3層の選択ゲート線SGDまで延設されて各選択ゲート線SGD0~SGD4を相互に分離する。
【0059】
1ストリングユニットにはNANDストリングを構成するメモリホール334が複数配置される。1ストリングユニット中のNANDストリング数(メモリホール数)は極めて多く(
図5では16個のみ示してある)、サイズを縮小するために、メモリホール334を千鳥配置にしてある。1ストリングユニット内の各メモリホール334は、それぞれコンタクトプラグ339によってビット線BL0,BL1,…(以下、これらを区別する必要がない場合にはビット線BLという)に接続される。なお、
図5の左側では図面の見やすさを考慮して、一部のビット線BL及び一部のコンタクトプラグ339のみを示してある。
【0060】
図5に示すように、各ビット線BL0,BL1,…は、それぞれコンタクトプラグ339を介してストリング毎に1つのメモリホール334に接続される。なお、各ビット線BLを各ストリングの1つのメモリホール334に接続するために、コンタクトプラグ339の位置は、ビット線BLの延伸方向に直交する方向にずらしてある。
【0061】
基板330上には、複数のNANDストリングNSが形成されている。すなわち、基板330上には、選択ゲート線SGS、複数のワード線WL、および複数の選択ゲート線SGDが絶縁膜を介して積層されている。そして、これらの選択ゲート線SGS、ワード線WL及び選択ゲート線SGDを貫通して基板330に達するメモリホール334が形成されている。メモリホール334の側面には、図示しないブロック絶縁膜、電荷蓄積膜(電荷保持領域)、およびゲート絶縁膜が順次形成され、更にメモリホール334内に図示しない導電体柱が埋め込まれている。導電体柱は、例えばポリシリコンからなり、NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMT並びに選択ゲートトランジスタST1及びST2の動作時にチャネルが形成される領域として機能する。すなわち、選択ゲート線SGDと導電体柱とそれらの間の絶縁膜がそれぞれ選択ゲートトランジスタST1として機能し、ワード線WLと導電体柱とそれらの間の絶縁膜がそれぞれメモリセルトランジスタMTとして機能し、選択ゲート線SGSと各導電体柱とそれらの間の絶縁膜が選択ゲートトランジスタST2として機能する。
【0062】
なお、
図5では、メモリホール334は、同一径の円柱形状であるものとして示したが、実際には基板330に向かって細径となるテーパ形状を有する。また、製造工程によっては、メモリホール334及び導電体柱は、テーパ形状の途中で拡径して再び基板330に向かって細径となる複数段のテーパ形状を有することもある。
【0063】
ところで、各選択ゲート線SGDを区画する絶縁層352の形成領域には、メモリホール334を形成する必要はない。しかしながら、製造上の理由から、メモリホール334は配置位置が均一化された状態で形成される。この理由から、絶縁層352の形成領域においても、メモリホール334が形成される。従って、
図5に示すように、各選択ゲート線SGDは、隣接する選択ゲート線SGDとの境界部分において、メモリホール334の形成領域の分だけ切り欠かれた切り欠き部340を有する。これに対し、各ブロックBLKの両端の選択ゲート線SGDは、ブロックBLKの端部においてメモリホール334の形成領域による切り欠き部340は生じていない。
【0064】
各ブロックBLKの両端の2つの選択ゲート線SGD0,SGD4(以下、アウター選択ゲート線SGD(outer)ともいう)は一端側のみに切り欠き部340を有し、各ブロックBLKの残りの3つの選択ゲート線SGD1~SGD3(以下、インナー選択ゲート線SGD(inner)ともいう)は両端に切り欠き部340を有する。従って、インナー選択ゲート線SGD(inner)は、アウター選択ゲート線SGD(outer)に比べて狭幅であり、その分アウター選択ゲート線SGD(outer)よりも抵抗値が大きい。
【0065】
なお、以下の説明では、選択ストリングユニットのアウター選択ゲート線SGD(outer)をSGD_sel(outer)といい、非選択ストリングユニットのアウター選択ゲート線SGD(outer)をSGD_usel(outer)というものとする。また、選択ストリングユニットのインナー選択ゲート線SGD(inner)をSGD_sel(inner)といい、非選択ストリングユニットのインナー選択ゲート線SGD(inner)をSGD_usel(inner)というものとする。
【0066】
(USTRDIS(アンセレクテッドストリングディスチャージ))
図6は横軸に時間をとり縦軸に電圧をとって、USTRDISを説明するための図である。
図6はアウター選択ゲート線SGD(outer)が選択され、インナー選択ゲート線SGD(inner)が非選択の場合の例を示している。
図6の一点鎖線は、SGD_sel(outer)の電圧変化を示し、破線は、SGD_usel(inner)の電圧変化を示している。
【0067】
上述したように、読み出し時には、選択ストリングユニットを構成するSGD_selには、選択ゲートトランジスタST1をオンにするための電圧VSG_selが印加され、非選択ストリングユニットを構成するSGD_uselには、選択ゲートトランジスタST1をオフにするための電圧VSG_usel(例えば、0V)が印加される。この読み出し動作に先立って、SGD_sel及びSGD_uselのいずれも、USTRDIS(アンセレクテッドストリングディスチャージ)が実行される。
【0068】
USTRDISは、ディスターブ(意図しない閾値電圧の上昇による誤書き込み)を防止するために、動作前にチャンネル全導通を行うものである。即ち、読み出し動作は、USTRDIS期間と実際の読み出し期間(以下、実読み出し期間という)とを有し、USTRDIS期間には、SGD_sel及びSGD_uselは、選択ゲートトランジスタST1をオンにする電圧VSG_selに設定される。
【0069】
図6に示すように、実読み出し期間の前に、先ずUSTRDIS期間が設定される。SGD_sel(outer)及びSGD_usel(inner)には、電圧VSG_selが印加される。SGD_sel(outer)は、読み出し期間において、電圧VSG_selに維持される。SGD_usel(inner)は、選択ゲートトランジスタST1をオフにするための電圧VSG_usel(例えば0V)まで低下する。
【0070】
なお、
図6では、非選択ワード線WL_uselが電圧Vreadに設定され、選択ワード線WL_selが、実読み出し期間において、Aレベル及びFレベルの読み出しのための電圧に変化する例を示してある。
【0071】
図7及び
図8は
図6と同様の表記により、USTRDIS期間における問題を説明するための図である。
図7及び
図8においては、SGD_sel(outer)の電圧変化を一点鎖線にて示し、SGD_usel(outer)の電圧変化を実線にて示し、SGD_usel(inner)の電圧変化を破線にて示している。
【0072】
USTRDISにおいては、SGD_sel及びSGD_uselが0Vからターゲット電圧VSG_selに遷移するまでには比較的長い時間を要する。そこで、この時間を短縮するために、電圧生成回路28は、遷移タイミングで、ターゲット電圧である電圧VSG_selを超えるレベルのオーバードライブ電圧を発生させるようになっている。
【0073】
オーバードライブ電圧は、ターゲット電圧VSG_selよりも正方向に大きな電圧である。このオーバードライブ電圧を印加する結果、SGD_sel及びSGD_uselは、比較的短時間にターゲット電圧VSG_selに到達する。
【0074】
ところが、上述したように、インナー選択ゲート線SGD(inner)は、アウター選択ゲート線SGD(outer)に比べて抵抗値が高い。このため、インナー選択ゲート線SGD(inner)にオーバードライブ電圧を印加したとしても、インナー選択ゲート線SGD(inner)がターゲット電圧VSGに到達までの時間は、アウター選択ゲート線SGD(outer)がターゲット電圧VSGに到達までの時間よりも長くなる(
図7の傾斜が小さくなる)。この結果、
図7に示すように、インナー選択ゲート線SGD(inner)をターゲット電圧に到達させようとすると、アウター選択ゲート線SGD(outer)である、SGD_sel(outer)及びSGD_usel(outer)はターゲット電圧VSG_selを超えてオーバーシュートしてしまう。
【0075】
図8は、このようなオーバーシュートを抑制するために、オーバードライブ時間を短くしたり、キック量を小さく(オーバードライブ電圧を小さく)した場合の例を示している。この場合には、SGD_sel(outer)及びSGD_usel(outer)にはオーバーシュートが生じないが、SGD_usel(inner)については、USTRDIS期間においてターゲット電圧VSG_selに到達しない。この結果、電子の掃き出しが十分に行われないことが考えられる。
図7及び
図8のいずれの場合にも、結果的にディスターブが生じる虞がある。
【0076】
(オーバードライブ制御)
そこで、本実施の形態においては、ターゲット電圧VGS_selを得るためのオーバードライブ電圧の供給先がアウター選択ゲート線SGD(outer)であるかインナー選択ゲート線SGD(inner)であるかに応じて、オーバードライブ電圧を供給する供給回路の抵抗値を変更するようになっている。
【0077】
図9は電圧生成回路28の一部の構成を示すブロック図である。また、
図10はロウデコーダ25の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図10においては電圧生成回路28の一部の構成のみを示している。
【0078】
図10において、電圧生成回路28は、メモリセルトランジスタMTに対するプログラム動作及び読み出し動作等に必要な電圧を含む各種電圧を発生する。電圧生成回路28は、信号線SG0~SG4に電圧を供給する供給回路41と、信号線SG5に電圧を供給するSGドライバ28Aと、信号線CG0~CG7にそれぞれ電圧を供給する複数のCGドライバ28Bと含む。これらの信号線SG0~SG5,CG0~CG7は、ロウデコーダ25によって分岐されて、各ブロックBLKの配線に接続される。すなわち、信号線SG0~SG4は、グローバルドレイン側選択ゲート線として機能し、ロウデコーダ25を介して、各ブロックBLKにおけるローカル選択ゲート線としての選択ゲート線SGD0~SGD4に接続される。信号線CG0~CG7は、グローバルワード線として機能し、ロウデコーダ25を介して、各ブロックBLKにおけるローカルワード線としてのワード線WL0~WL7に接続される。信号線SG5は、グローバルソース側選択ゲート線として機能し、ロウデコーダ25を介して、各ブロックBLKにおけるローカル選択ゲート線としての選択ゲート線SGSに接続される。
【0079】
電圧生成回路28はシーケンサ27に制御されて、各種の電圧を生成する。SGドライバ(選択ゲート線ドライバ)28A及びCGドライバ(ワード線ドライバ)28Bは、各種の生成された電圧を、対応する信号線SG5及び信号線CG0~CG7にそれぞれ供給する。
【0080】
ロウデコーダ25は、各ブロックにそれぞれ対応した複数のスイッチ回路群25Aと、複数のスイッチ回路群25Aにそれぞれ対応して設けられる複数のブロックデコーダ25Bとを有している。各スイッチ回路群25Aは、信号線SG0~SG4と選択ゲート線SGD0~SGD4とをそれぞれ接続する複数のトランジスタTR_SG0~TR_SG4、信号線CG0~CG7とワード線WL0~WL7とをそれぞれ接続する複数のトランジスタTR_CG0~TR_CG7、信号線SG5と選択ゲート線SGSとを接続するトトランジスタTR_SG5を含む。トランジスタTR_SG0~TR_SG5およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7の各々は、高耐圧トランジスタである。
【0081】
各ブロックデコーダ25Bは、ロウアドレスによって自身が指定された場合、トランジスタTR_SG0~TR_SG5およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7のゲートに、ブロック選択信号BLKSELを供給する。これにより、ロウアドレスによって指定されるブロックデコーダ25Bからブロック選択信号BLKSELが供給されるスイッチ回路群25Aでは、トランジスタTR_SG0~TR_SG5およびトランジスタTR_CG0~TR_CG7がオン状態となって導通するため、電源生成回路28から信号線SG0~SG5及び信号線CG0~CG7に供給される電圧が、動作対象となるブロックBLKに含まれる選択ゲート線SGD0~SGD4、SGSおよびワード線WL0~WL7に供給される。
【0082】
即ち、電圧生成回路28とロウデコーダ25により、選択ワード線WLには読み出し電圧VCGRVが供給され、非選択ワード線WLには電圧VREAD又はVREADKが供給される。また、例えば、動作対象となるストリングユニットSUに属する選択ゲートトランジスタST1に接続される選択ゲート線SGD(SGD_sel)には電圧VSG_selが供給され、動作対象となるストリングユニットSUに属さない選択ゲートトランジスタST1に接続される選択ゲート線SGD(SGD_usel)には0V等の電圧VSG_uselが供給される。
【0083】
図9において、電圧生成回路28は、電圧発生回路40及び供給回路41を有する。なお、
図9では、選択ゲート線SGDに電圧を供給するための回路のみを示している。電圧発生回路40は、チャージポンプ回路等によって構成されて、各種電圧を発生する。供給回路41は、SGD_sel(inner)ドライバ42、SGD_usel(inner)ドライバ43、SGD_sel(outer)ドライバ44、SGD_usel(outer)ドライバ45、MUX(inner)46及びMUX(outer)47を有する。
【0084】
図11は
図9中のドライバ42~44の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【0085】
ドライバ42~44は、いずれも複数種類の入力電圧が入力される複数の入力端を有し、これらの入力端を介して電圧発生回路40から複数種類の電圧が入力可能である。ドライバ42~44の各入力端は、複数種類の電圧のそれぞれの供給路上に配置されたスイッチT1,T2,…を経由して1つの出力端に接続される。スイッチT1,T2,…のいずれか1つが選択されてオンとなることにより、選択されたスイッチに接続された供給路に与えられた電圧が出力端に現れる。
【0086】
ドライバ42,43は、SGD_innerに対応したものである。ドライバ42は、選択された選択ゲート線SGD_selに与える電圧VSG_selを出力端から出力し、ドライバ43は、非選択の選択ゲート線SGD_uselに与える電圧VSG_uselを出力端から出力する。
【0087】
ドライバ44,45は、アウター選択ゲート線SGD(outer)に対応したものである。ドライバ44は、選択された選択ゲート線SGD_selに与える電圧VSG_selを出力端から出力し、ドライバ45は、非選択の選択ゲート線SGD_uselに与える電圧VSG_uselを出力端から出力する。
【0088】
本実施の形態においては、ドライバ42~44のうち、アウター選択ゲート線SGD(outer)に対応したドライバ44,45には、電圧の供給路上に抵抗R1が設けられている。この抵抗R1により、アウター選択ゲート線SGD(outer)に印加される電圧のランプレート(電圧上昇率)が抑制される。なお、抵抗R1としては、金属配線を採用し、金属配線を細く引き延ばすことによって、実効的な抵抗値を増大させるようになっていてもよい。
【0089】
ドライバ42,44には、電圧発生回路40から、USTRDIS期間においてターゲット電圧VSG_selを得るためのオーバードライブ電圧が与えられ、実読み出し期間において選択ゲート線SGDの選択時の電圧VSG_selが与えられる。また、ドライバ43,45にはUSTRDIS期間においてターゲット電圧VSG_selが与えられ、実読み出し期間において選択ゲート線SGDの非選択時の電圧VSG_uselが与えられる。なお、USTRDIS期間において電圧発生回路40から出力されるオーバードライブ電圧は、電圧VSG_selよりも高い電圧である。
【0090】
図12及び
図13はそれぞれ
図9中のMUX(inner)46及びMUX(outer)47の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【0091】
図12において、MUX(inner)46は、電圧の供給路上に6つのスイッチT11~T16を有する。スイッチT11,T13,T15の入力端には、SGD_sel(inner)ドライバ42からの電圧VSG_selが印加され、スイッチT12,T14,T16の入力端には、SGD_usel(inner)ドライバ43からの電圧VSG_uselが印加される。スイッチT15,T16の出力端は、選択ゲート線SGD1(inner)に共通接続される。また、スイッチT13,T14の出力端は、選択ゲート線SGD2(inner)に共通接続され、スイッチT11,T12の出力端は、選択ゲート線SGD3(inner)に共通接続される。
【0092】
スイッチT15,T16の一方が選択されてオンになることにより、選択されたスイッチに供給された電圧がSDG1(inner)に供給される。同様に、スイッチT13,T14の一方が選択されてオンになることにより、選択されたスイッチに供給された電圧がSDG2(inner)に供給され、スイッチT11,T12の一方が選択されてオンになることにより、選択されたスイッチに供給された電圧がSDG1(inner)に供給される。
【0093】
図13において、MUX(outer)47は、電圧の供給路上に4つのスイッチT17~T20を有する。スイッチT17,T19の入力端には、SGD_sel(outer)ドライバ44からの電圧VSG_selが印加され、スイッチT18,T19の入力端には、SGD_usel(outer)ドライバ45からの電圧VSG_uselが印加される。スイッチT19,T20の出力端は、選択ゲート線SGD0(outer)に共通接続される。また、スイッチT17,T18の出力端は、選択ゲート線SGD4(outer)に共通接続される。
【0094】
スイッチT19,T20の一方が選択されてオンになることにより、選択されたスイッチに供給された電圧がSDG0(outer)に供給される。同様に、スイッチT17,T18の一方が選択されてオンになることにより、選択されたスイッチに供給された電圧がSDG4(outer)に供給される。
【0095】
次に、このように構成された実施の形態の動作について
図14を参照して説明する。
図14は
図6と同様の表記により、USTRDIS期間における実施の形態の効果を説明するための図である。
図14においては、SGD_sel(outer)の電圧変化を一点鎖線にて示し、SGD_usel(outer)の電圧変化を実線にて示し、SGD_usel(inner)の電圧変化を破線にて示している。
【0096】
いま、所定のコーディングを採用して書き込みが行われたメモリセルトランジスタから、データの読み出しを行うものとする。シーケンサ27の図示しないメモリには、データの読み出し必要な各種電圧の情報が記憶されている。シーケンサ27は、これらの情報に基づいて、電圧生成回路28に読み出し時に必要な電圧を発生させる。
【0097】
即ち、電圧生成回路28は、シーケンサ27に制御されて、USTRDIS期間においてはオーバードライブ電圧を発生して、ドライバ42~45に与える。ドライバ42~45は、スイッチT1をオンにして、オーバードライブ電圧を選択して出力する。ドライバ42,43によってそれぞれオーバードライブ電圧が供給される選択ゲート線SGD1~SGD3は、ドライバ44,45によってそれぞれオーバードライブ電圧が供給される選択ゲート線SGD0,SGD4に比べて抵抗値が大きい。しかし、ドライバ44,45には、電圧の供給路上に抵抗R1が設けられていることから、選択ゲート線SGD0,SGD4の電圧上昇率は抑制される。こうして、インナー選択ゲート線SGD(inner)の電圧変化とアウター選択ゲート線SGD(outer)の電圧変化を略同一にすることが可能であり、選択ゲート線SGD0~SGD4の電圧上昇率を相互に一定にすることが可能である。
【0098】
図14に示すように、USTRDIS期間におけるSGD(inner)と、SGD(outer)とは、略同様の電圧上昇率で電圧が変化している。この結果、SGD(outer)にオーバーシュートが発生することなく、SGD(outer)とSGD(inner)とは同様の電圧変化により短時間でターゲット電圧VSG_selに到達する。
【0099】
このように本実施の形態においては、選択ゲート線の種類に応じてオーバードライブ電圧の供給回路の抵抗値を変化させることで、選択ゲート線の種類に拘わらず選択ゲート線に印加する電圧を均一化し、短時間にターゲット電圧に到達させることが可能となる。
【0100】
(第2の実施の形態)
図15は本発明の第2の実施の形態に採用されるSGD_usel(outer)ドライバを示す回路図である。
図15は
図11のSGD_usel(outer)ドライバ45に代えて採用されるものであり、本実施の形態における他のハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。
【0101】
ブロックBLK中のアウター選択ゲート線SGD(outer)が選択される場合には、当該ブロックBLK中の他のアウター選択ゲート線SGD(outer)は非選択である。一方、ブロックBLK中のインナー選択ゲート線SGD(inner)が選択される場合には、当該ブロックBLK中の2つのアウター選択ゲート線SGD(outer)はいずれも非選択である。従って、電圧発生回路40からの非選択用の電圧VSG_uselは、選択状態に応じて、1つのアウター選択ゲート線SGD(outer)に供給される場合と、2つのアウター選択ゲート線SGD(outer)に供給される場合とがある。
【0102】
即ち、
図11のSGD_usel(outer)ドライバ45の出力は、MUX(outer)47のスイッチT18,T20の一方のみを介して一方のアウター選択ゲート線SGD(outer)に供給される場合と、MUX(outer)47のスイッチT18,T20の両方を介して両方のアウター選択ゲート線SGD(outer)に供給される場合とがある。つまり、選択状態に応じてSGD_usel(outer)ドライバ45の負荷が変化し、アウター選択ゲート線SGD(outer)の電圧上昇率を均一にできない。そこで、本実施の形態においては、SGD_usel(outer)ドライバ45に代えてSGD_usel(outer)ドライバ50を採用する。
【0103】
SGD_usel(outer)ドライバ50は、
図11のSGD_usel(outer)ドライバ45に、NOR回路51及びスイッチTOを付加すると共に、抵抗R1に代えて抵抗R2,R3を採用したものである。NOR回路51には、選択ゲート線SGD0に電圧VSG_uselを印加するか否かを示す信号String Add[0]と選択ゲート線SGD5に電圧VSG_uselを印加するか否かを示す信号String Add[4]とが入力される。NOR回路51は2入力のNOR演算を行い、演算結果をスイッチTOに出力する。
【0104】
電圧発生回路40の出力端とスイッチT1との間の電圧の供給路上には、抵抗R3,R2の直列回路が設けられる。スイッチTOは、抵抗R3の両端に接続されて、NOR回路51の演算結果が論理"1"の場合には、オンとなって抵抗R3を短絡する。NOR回路51の演算結果が論理"0"の場合には、スイッチ回路TOはオフである。
【0105】
次に、このように構成された実施の形態の動作について
図16及び
図17を参照して説明する。
図16及び
図17は実施の形態の動作を説明するための説明図である。
【0106】
いま、選択ゲート線SGD0が選択で、選択ゲート線SGD4が非選択であるものとする。即ち、この場合には、SGD_usel(outer)ドライバ50は、1つのアウター選択ゲート線SGD(outer)のみに電圧VSG_uselを供給すればよい。
図16に示すように、この場合には、信号String Add[0]は"H"であり、信号String Add[4]は"L"である。NOR回路51の出力は"L"(論理値"0")であり、スイッチ回路TOはオフであり、抵抗R3は短絡されない。即ち、
図16の矢印にて示すように、電圧発生回路40の出力端とスイッチT1との間の電圧の供給路上には、抵抗R3,R2の直列回路が接続されたことになる。これらの2つの抵抗R3,R2によって、アウター選択ゲート線SGD(outer)の電圧変化率は抑制される。
【0107】
また、選択ゲート線SGD0及び選択ゲート線SGD4のいずれも非選択であるものとする。即ち、この場合には、SGD_usel(outer)ドライバ50は、2つのアウター選択ゲート線SGD(outer)に電圧VSG_uselを供給する。
図17に示すように、この場合には、信号String Add[0],String Add[4]はいずれも"L"である。NOR回路51の出力は"H"(論理値"1")となり、スイッチ回路TOはオンであり、抵抗R3は短絡される。即ち、
図17の矢印にて示すように、電圧発生回路40の出力端とスイッチT1との間の電圧の供給路上には、抵抗R2のみが接続されたことになる。この結果、アウター選択ゲート線SGD(outer)の電圧変化率は増大しやすくなる。
【0108】
このように本実施の形態においては、SGD_usel(outer)ドライバが1つのアウター選択ゲート線SGD(outer)に電圧VSG_uselを供給するか2つのアウター選択ゲート線SGD(outer)に電圧VSG_uselを供給するかに応じて、SGD_usel(outer)ドライバの抵抗値を切換えており、いずれの選択ゲート線SGDが選択される場合でも、非選択となるアウター選択ゲート線SGD(outer)の電圧変化率を一定にすることが可能である。
【0109】
なお、抵抗R2,R3の抵抗値については、設定変更可能に構成されていてもよい。
【0110】
(変形例)
図18はSGD_usel(inner)ドライバを示す回路図である。
図18は
図11のSGD_usel(inner)ドライバ43に代えて採用されるものであり、本実施の形態における他のハードウェア構成は第1の実施の形態又は第2の実施の形態と同様である。
【0111】
ブロックBLK中のアウター選択ゲート線SGD(outer)が選択される場合には、当該ブロックBLK中の3つのインナー選択ゲート線SGD(inner)は全て非選択である。一方、ブロックBLK中のインナー選択ゲート線SGD(inner)が選択される場合には、当該ブロックBLK中の2つのインナー選択ゲート線SGD(inner)は非選択である。従って、電圧発生回路40からの非選択用の電圧VSG_uselは、選択状態に応じて、2つのインナー選択ゲート線SGD(inner)に供給される場合と、3つのインナー選択ゲート線SGD(inner)に供給される場合とがある。
【0112】
即ち、
図11のSGD_usel(inner)ドライバ43の出力は、MUX(inner)46のスイッチT12,T14,T16の2つを介して2つのインナー選択ゲート線SGD(inner)に供給される場合と、MUX(inner)46のスイッチT12,T14,T16の全てを介して3つのインナー選択ゲート線SGD(inner)に供給される場合とがある。つまり、選択状態に応じてSGD_usel(inner)ドライバ43の負荷が変化し、インナー選択ゲート線SGD(inner)の電圧上昇率を均一にできない。そこで、本実施の形態においては、SGD_usel(inner)ドライバ43に代えてSGD_usel(inner)ドライバ60を採用する。
【0113】
SGD_usel(inner)ドライバ60は、
図11のSGD_usel(inner)ドライバ43に、NOR回路61、スイッチTO、抵抗R4及び抵抗R5を付加したものである。NOR回路61には、選択ゲート線SGD1に電圧VSG_uselを印加するか否かを示す信号String Add[1]、選択ゲート線SGD2に電圧VSG_uselを印加するか否かを示す信号String Add[2]及び選択ゲート線SGD3に電圧VSG_uselを印加するか否かを示す信号String Add[3]が入力される。NOR回路61は3入力のNOR演算を行い、演算結果をスイッチTOに出力する。
【0114】
電圧発生回路40の出力端とスイッチT1との間の電圧の供給路上には、抵抗R5,R4の直列回路が設けられる。スイッチTOは、抵抗R5の両端に接続されて、NOR回路61の演算結果が論理"1"の場合には、オンとなって抵抗R5を短絡する。NOR回路61の演算結果が論理"0"の場合には、スイッチ回路TOはオフである。なお、抵抗R5,R4の抵抗比は、例えば1:2に設定される。なお、抵抗R5,R4の抵抗比は、ドライバ後段からインナー選択ゲート線SGD(inner)までの全抵抗値を考慮した方がよいが、抵抗R5,R4の抵抗値が支配的であり、抵抗R5,R4の抵抗値のみを考慮してもよい。また、抵抗R5,R4の抵抗値については、設定変更可能に構成されていてもよい。
【0115】
なお、アウター選択ゲート線SGD(outer)用のドライバとしては、
図15のSGD_usel(outer)ドライバ50を採用してもよい。
【0116】
次に、このように構成された実施の形態の動作について説明する。
【0117】
いま、インナー選択ゲート線SGD(inner)のいずれかが選択で、他の2つのインナー選択ゲート線SGD(inner)が非選択であるものとする。即ち、この場合には、SGD_usel(inner)ドライバ60は、2つのインナー選択ゲート線SGD(inner)に電圧VSG_uselを供給すればよい。この場合には、信号String Add[1]~String Add[3]のいずれか1つは"H"であり、NOR回路61の出力は"L"(論理値"0")となる。スイッチ回路TOはオフであり、抵抗R5は短絡されない。即ち、電圧発生回路40の出力端とスイッチT1との間の電圧の供給路上には、抵抗R5,R4の直列回路が接続されたことになる。これらの2つの抵抗R5,R4によって、インナー選択ゲート線SGD(inner)の電圧変化率は抑制される。
【0118】
また、選択ゲート線SGD0~SGD3のいずれも非選択であるものとする。即ち、この場合には、SGD_usel(inner)ドライバ60は、3つのインナー選択ゲート線SGD(inner)に電圧VSG_uselを供給する。この場合には、信号String Add[1]~String Add[3]はいずれも"L"であり、NOR回路61の出力は"H"(論理値"1")となる。これにより、スイッチ回路TOはオンとなり、抵抗R5は短絡される。即ち、電圧発生回路40の出力端とスイッチT1との間の電圧の供給路上には、抵抗R4のみが接続されたことになる。この結果、インナー選択ゲート線SGD(inner)の電圧変化率は増大しやすくなる。
【0119】
このように本実施の形態においては、SGD_usel(inner)ドライバが2つのインナー選択ゲート線SGD(inner)に電圧VSG_uselを供給するか3つのインナー選択ゲート線SGD(inner)に電圧VSG_uselを供給するかに応じて、SGD_usel(inner)ドライバの抵抗値を切換えており、いずれの選択ゲート線SGDが選択される場合でも、非選択となるインナー選択ゲート線SGD(inner)の電圧変化率を相互に一定にすることが可能である。
【0120】
(第3の実施の形態)
図19は本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。本実施の形態は
図11の電圧発生回路40に代えて電圧発生回路71,72を採用し、ドライバ44,45に代えてドライバ73,74を採用した点が第1の実施の形態と異なり、他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0121】
本実施の形態は、USTRDIS期間において、アウター選択ゲート線SGD(outer)に対するオーバードライブ電圧の印加期間(オーバードライブ期間)とインナー選択ゲート線SGD(inner)に対するオーバードライブ期間とを異ならせることにより、オーバーシュートの発生を抑制しつつ、選択ゲート線の種類に拘わらず選択ゲート線に印加する電圧を短時間にターゲット電圧に到達させることを可能にするものである。
【0122】
SGD_sel(outer)ドライバ73は、SGD_sel(inner)ドライバ42と同一の構成であり、SGD_usel(outer)ドライバ74は、SGD_usel(inner)ドライバ43と同一の構成である。電圧発生回路71,72は、それぞれ電圧発生回路40と同一構成である。
【0123】
次に、このように構成された実施の形態の動作について
図20を参照して説明する。
図20は横軸に時間をとり縦軸に電圧をとってUSTRDIS期間におけるアウター選択ゲート線SGD(outer)とインナー選択ゲート線SGD(inner)の電圧変化を示す図であり、左側に比較例における特性を示し、右側に本実施の形態における特性を示している。
【0124】
図20の比較例は、USTRDIS期間において、アウター選択ゲート線SGD(outer)及びインナー選択ゲート線SGD(inner)に対して、同一のオーバードライブ電圧を印加する例を示している。上述したように、この場合には、インナー選択ゲート線SGD(inner)の抵抗値がアウター選択ゲート線SGD(outer)の抵抗値に比べて大きいことから、インナー選択ゲート線SGD(inner)をターゲット電圧に到達させるために、アウター選択ゲート線SGD(outer)にはオーバーシュートが発生する。
【0125】
これに対し、本実施の形態においては、電圧発生回路71と電圧発生回路72とは、同一電圧レベルのオーバードライブ電圧を発生するようになっているが、オーバードライブ期間が相互に異なる。即ち、電圧発生回路71は、比較的長い期間、オーバードライブ電圧を発生し、電圧発生回路72は、電圧発生回路71よりも短い期間、オーバードライブ電圧を発生する。
【0126】
電圧発生回路71の出力は、SGD_sel(inner)ドライバ42,43に供給され、電圧発生回路72の出力は、SGD_sel(outer)ドライバ73,74に供給される。SGD_sel(inner)ドライバ42とドライバ73とは同一構成であり、SGD_sel(inner)ドライバ42の出力とSGD_sel(outer)ドライバ73の出力とは、オーバードライブ期間のみが異なり、アウター選択ゲート線SGD(outer)には比較的短い期間だけオーバードライブ電圧が印加され、インナー選択ゲート線SGD(inner)にはそれよりも長い期間オーバードライブ電圧が印加される。
【0127】
同様に、SGD_usel(inner)ドライバ43とSGD_usel(outer)ドライバ74の出力もオーバードライブ期間のみが異なり、アウター選択ゲート線SGD(outer)には比較的短い期間だけオーバードライブ電圧が印加され、インナー選択ゲート線SGD(inner)にはそれよりも長い期間オーバードライブ電圧が印加される。
【0128】
図20に示すように、アウター選択ゲート線SGD(outer)には比較的短い期間だけオーバードライブ電圧が印加され、インナー選択ゲート線SGD(inner)にはそれよりも長い期間オーバードライブ電圧が印加される。この結果、アウター選択ゲート線SGD(outer)は、抵抗値が小さいことから比較的早くターゲット電圧に到達するが、オーバードライブ期間が短くオーバーシュートを生じることがない。また、インナー選択ゲート線SGD(inner)は長い期間オーバードライブ電圧が印加される結果、比較的短時間にターゲット電圧に到達する。
【0129】
このように本実施の形態においては、アウター選択ゲート線SGD(outer)とインナー選択ゲート線SGD(inner)とでオーバードライブ期間を異ならせており、アウター選択ゲート線SGD(outer)にオーバーシュートが生じることを防止しつつ、比較的高速にアウター選択ゲート線SGD(outer)及びインナー選択ゲート線SGD(inner)をターゲット電圧に到達させることができる。
【0130】
本実施の形態においては、オーバードライブ期間を異ならせる例を説明したが、アウター選択ゲートSGD(outer)用とインナー選択ゲートSGD(inner)用とでオーバードライブ電圧の電圧値を異ならせるようにしてもよい。
【0131】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0132】
1 メモリコントローラ、2 不揮発性メモリ、12 プロセッサ、13 ホストインターフェイス、15 メモリインターフェイス、21 ロジック制御回路、22 入出力回路、23 メモリセルアレイ、24 センスアンプ、24A センスアンプユニット群、25 ロウデコーダ、26 レジスタ、27 シーケンサ、28 電圧生成回路、32 入出力用パッド群、40 電圧発生回路、41 供給回路、42 SGD_sel(inner)ドライバ、43 SGD_usel(inner)ドライバ、44 SGD_sel(outer)ドライバ、45 SGD_usel(outer)ドライバ、46 MUX(inner)、47 MUX(outer)