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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20231218BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20231218BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231218BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20231218BHJP
   H01L 21/283 20060101ALI20231218BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L29/78 658F
H01L29/78 653C
H01L29/78 652K
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652M
H01L29/78 652T
H01L21/283 B
H01L21/283 C
H01L21/285 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020156928
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022050802
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】嶋林 正晴
(72)【発明者】
【氏名】白石 達也
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-510217(JP,A)
【文献】特開2007-242943(JP,A)
【文献】特開2017-228679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 29/12
H01L 21/283
H01L 21/285
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体層にトレンチを形成し、
前記トレンチ内に、シリコンを含む第1層を形成後に前記第1層の上に第1酸化物若しくは窒化物を含む第2層を形成し、又は、前記第2層を形成後に前記第2層の上に前記第1層を形成し、
前記第1層を熱酸化する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体層はシリコンを含み、
前記第1層はポリシリコンを含み、
前記第2層は第1酸化物である酸化シリコンを含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
熱酸化された前記第1層は、酸化シリコンのグレインを含む、
請求項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
第1導電型の半導体層にトレンチを形成し、
前記トレンチ内に、シリコンを含む第1層を形成後に前記第1層の上に第1酸化物若しくは窒化物を含む第2層を形成し、又は、前記第2層を形成後に前記第2層の上に前記第1層を形成し、
前記第1層を熱酸化する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体層はシリコンを含み、
前記第1層はポリシリコンを含み、
前記第2層は前記窒化物である窒化シリコンを含み、
熱酸化された前記第1層は、酸化シリコンのグレインを含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項4】
第1導電型の半導体層にトレンチを形成し、
前記トレンチ内に、シリコンを含む第1層を形成後に前記第1層の上に第1酸化物若しくは窒化物を含む第2層を形成し、又は、前記第2層を形成後に前記第2層の上に前記第1層を形成し、
前記第1層を熱酸化する半導体装置の製造方法であって、
前記第1層及び前記第2層の形成を繰り返す、
半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1層及び前記第2層の形成を繰り返す、
請求項1乃至請求項3いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記トレンチを形成した後、前記第1層又は前記第2層を形成する前に、
前記トレンチ内に、熱酸化法を用いて第2酸化物を含む第3層を形成する、
請求項1乃至請求項5いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1層を熱酸化した後に、
前記トレンチ内に第1電極を形成し、
前記半導体層の上に第2導電型の第1半導体領域を形成し、
前記第1半導体領域の上に第1導電型の第2半導体領域を形成し、
前記第2半導体領域の上に第2電極を形成し、
前記半導体層の下に第3電極を形成する、
請求項1乃至請求項いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。このような半導体装置については、オン抵抗の低いことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-041899号公報
【文献】特開2018-046253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、オン抵抗の低い半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体層にトレンチを形成し、トレンチ内に、シリコンを含む第1層を形成後に第1層の上に第1酸化物若しくは窒化物を含む第2層を形成し、又は、第2層を形成後に第2層の上に第1層を形成し、第1層を熱酸化する半導体装置の製造方法であって、半導体層はシリコンを含み、第1層はポリシリコンを含み、第2層は第1酸化物である酸化シリコンを含む
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図2】実施形態の他の態様の半導体装置の模式断面図である。
図3】実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図4】実施形態の半導体装置の第1の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図5】実施形態の半導体装置の第1の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図6】実施形態の半導体装置の第1の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図7】実施形態の半導体装置の第2の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図8】実施形態の半導体装置の第2の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図9】実施形態の半導体装置の第3の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図10】実施形態の半導体装置の第3の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図11】実施形態の半導体装置の第3の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図12】実施形態の半導体装置の第3の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図13】実施形態の半導体装置の第3の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図14】実施形態の半導体装置の第3の態様の製造工程を示す模式断面図である。
図15】比較形態となる半導体装置の模式断面図である。
図16】比較形態となる半導体装置の製造方法を説明する模式断面図である。
図17】比較形態となる半導体装置の製造方法を説明する模式断面図である。
図18】実施形態の半導体装置の作用効果を説明する模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0008】
本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0009】
以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。
【0010】
以下の説明において、n、n、nおよび、p、p、pの表記は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn型の不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp型の不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n型、n型を単にn型、p型、p型を単にp型と記載する場合もある。
【0011】
(実施形態)
実施形態の半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体層にトレンチを形成し、トレンチ内に、シリコンを含む第1層を形成後に第1層の上に第1酸化物若しくは窒化物を含む第2層を形成し、又は、第2層を形成後に第2層の上に第1層を形成し、第1層を熱酸化する。
【0012】
図1は、実施形態の半導体装置100の模式断面図である。半導体装置100は、例えば、縦型のMOSFETである。
【0013】
半導体装置100は、ドレイン層10と、ドリフト層12と、ベース領域14と、ソース領域16と、p領域20と、バリアメタル36と、ドレイン電極38と、ソース電極42と、第1トレンチ50と、第3層52aと、第1層52bと、第2層52cと、絶縁層52dと、第1フィールドプレート電極54と、第1ゲート電極58と、層間絶縁膜60と、第2トレンチ70と、第6層72aと、第4層72bと、第5層72cと、絶縁層72dと、第2フィールドプレート電極74と、第2ゲート電極78と、を備える。
【0014】
なお、ドリフト層12は、半導体層の一例である。ベース領域14は、第1半導体領域の一例である。ソース領域16は、第2半導体領域の一例である。第1ゲート電極58は、第1電極の一例である。ドレイン電極38は、第3電極の一例である。ソース電極42は、第2電極の一例である。
【0015】
ドレイン層10は、MOSFETのドレインとして機能する層である。ドレイン層10は、例えば、n型の半導体材料を含む。
【0016】
ドレイン電極38は、ドレイン層10の下に設けられ、ドレイン層10と電気的に接続されている。ドレイン層10は、ドレイン電極38とドリフト層12の間に設けられている。ドレイン電極38は、MOSFETのドレイン電極として機能する電極である。
【0017】
ドリフト層12は、ドレイン層10の上に設けられている。ドリフト層12は、MOSFETのドリフト層として機能する層である。ドリフト層12は、例えば、n型の半導体材料を含む。
【0018】
ここで、X方向と、X方向に対して垂直に交差するY方向と、X方向及びY方向に垂直に交差するZ方向を定義する。ドレイン電極38、ドレイン層10及びドリフト層12は、X方向及びY方向に平行なXY平面に平行に設けられた層である。Z方向は、ドレイン電極38、ドレイン層10及びドリフト層12が積層された方向である。図1は、実施形態の半導体装置100のYZ面内における模式断面図である。
【0019】
ベース領域14は、ドリフト層12の上に設けられている。ベース領域14は、MOSFETのベースとして機能する領域である。ベース領域14は、第1ゲート電極58又は第2ゲート電極78に電圧が印加された場合にチャネルを形成し、ソース領域16とドレイン層10の間にキャリアが流れることを可能とする領域である。ベース領域14は、例えば、p型の半導体材料を含む。半導体装置100では、ベース領域14は、ベース領域14a、14b及び14cを含む。
【0020】
ソース領域16は、ベース領域14の上に設けられている。ソース領域16は、MOSFETのソースとして機能する領域である。第1ゲート電極58又は第2ゲート電極78に適切な電圧が印加された場合に、ソース領域16とドレイン層10の間にキャリアが流れる。ソース領域16は、例えば、n型の半導体材料を含む。半導体装置100では、ソース領域16は、ソース領域16a、16b、16c及び16dを含む。
【0021】
第1トレンチ50は、ベース領域14の上端からドリフト層12に到達するように設けられている。
【0022】
第2トレンチ70は、ベース領域14の上端からドリフト層12に到達するように設けられている。
【0023】
第3層52aは、第1トレンチ50内に設けられている。第3層52aは、第2酸化物を含む。ここで第2酸化物は、例えば酸化シリコンである。
【0024】
第1層52bは、第1トレンチ50内の、第3層52aの上に設けられている。第1層52bは、ポリシリコン、アモルファスシリコン等のシリコンが酸化された材料を含む。ポリシリコンが複数のグレインを含む場合、第1層52bは、複数の酸化シリコンのグレインを含む。
【0025】
第2層52cは、第1トレンチ50内の、第1層52bの上に設けられている。第2層52cは、第1酸化物又は窒化物を含む。ここで第1酸化物は、例えば酸化シリコンである。また、ここで窒化物は、例えば窒化シリコンである。
【0026】
図1において、第1層52b及び第2層52cは、それぞれ一層ずつ設けられている。しかし、例えば、第3層52aの上に、第1層52b及び第2層52cの積層構造は、何回繰り返して設けられていてもかまわない。言い換えると、第2層52cの上に、別の第1層52bがさらに設けられていてもかまわない。また、かかる別の第1層52bの上に、別の第2層52cがさらに設けられていてもかまわない。
【0027】
なお、第3層52aは、設けられていなくてもかまわない。
【0028】
第6層72aは、第2トレンチ70内に設けられている。第6層72aは、第2酸化物を含む。ここで第2酸化物は、例えば酸化シリコンである。
【0029】
第4層72bは、第2トレンチ70内の、第6層72aの上に設けられている。第4層72bは、ポリシリコン、アモルファスシリコン等のシリコンが酸化された材料を含む。ポリシリコンが複数のグレインを含む場合、第4層72bは、複数の酸化シリコンのグレインを含む。
【0030】
第5層72cは、第2トレンチ70内の、第4層72bの上に設けられている。第5層72cは、第1酸化物又は窒化物を含む。ここで第1酸化物は、例えば酸化シリコンである。また、ここで窒化物は、例えば窒化シリコンである。
【0031】
図1において、第4層72b及び第5層72cは、それぞれ一層ずつ設けられている。しかし、例えば、第6層72aの上に、第4層72b及び第5層72cの積層構造は、何回繰り返して設けられていてもかまわない。言い換えると、第5層72cの上に、別の第4層72bがさらに設けられていてもかまわない。また、かかる別の第4層72bの上に、別の第5層72cがさらに設けられていてもかまわない。
【0032】
なお、第6層72aは、設けられていなくてもかまわない。
【0033】
第1フィールドプレート電極54は、第1トレンチ50内に、第3層52a、第1層52b及び第2層52cを介して、ドリフト層12と対向して設けられている。第1フィールドプレート電極54は、例えば、第1ゲート電極58とドレイン電極38の間の逆方向電界の集中を緩和して、耐圧を増加させるために設けられている。なお、第1フィールドプレート電極54は、設けられていなくても良い。
【0034】
第2フィールドプレート電極74は、第2トレンチ70内に、第6層72a、第4層72b及び第5層72cを介して、ドリフト層12と対向して設けられている。第2フィールドプレート電極74は、例えば、第2ゲート電極78とドレイン電極38の間の逆方向電界の集中を緩和して、耐圧を増加させるために設けられている。なお、第1フィールドプレート電極54が用いられないのであれば、第2フィールドプレート電極74は、設けられていなくても良い。
【0035】
第1ゲート電極58は、第1トレンチ50内に、ベース領域14と対向して設けられている。図1において、第1ゲート電極58aは、第3層52a、第1層52b及び第2層52cを介して、ベース領域14aと対向して設けられている。また、第1ゲート電極58bは、第3層52a、第1層52b及び第2層52cを介して、ベース領域14bと対向して設けられている。第1ゲート電極58は、MOSFETのゲートとして機能する電極である。
【0036】
例えば、第1ゲート電極58aとベース領域14aの間の第3層52a、第1層52b及び第2層52cは、MOSFETのゲート絶縁膜として機能する。例えば、第1ゲート電極58bとベース領域14bの間の第3層52a、第1層52b及び第2層52cは、MOSFETのゲート絶縁膜として機能する。
【0037】
第2ゲート電極78は、第2トレンチ70内に、ベース領域14と対向して設けられている。図1において、第2ゲート電極78aは、第6層72a、第4層72b及び第5層72cを介して、ベース領域14bと対向して設けられている。また、第2ゲート電極78bは、第6層72a、第4層72b及び第5層72cを介して、ベース領域14cと対向して設けられている。第2ゲート電極78は、MOSFETのゲートとして機能する電極である。
【0038】
例えば、第2ゲート電極78aとベース領域14bの間の第6層72a、第4層72b及び第5層72cは、MOSFETのゲート絶縁膜として機能する。例えば、第2ゲート電極78bとベース領域14cの間の第6層72a、第4層72b及び第5層72cは、MOSFETのゲート絶縁膜として機能する。
【0039】
層間絶縁膜60としての層間絶縁膜60aは、第1ゲート電極58及び第1フィールドプレート電極54の上に設けられている。層間絶縁膜60としての層間絶縁膜60bは、第2ゲート電極78及び第2フィールドプレート電極74の上に設けられている。
【0040】
なお、第1トレンチ50内の、第2層52cと第1フィールドプレート電極54の間、第1ゲート電極58と第1フィールドプレート電極54の間、層間絶縁膜60aと第1ゲート電極58及び第1フィールドプレート電極54の間に、適宜絶縁層52dが設けられていても良い。
【0041】
また、第2トレンチ70内の、第5層72cと第2フィールドプレート電極74の間、第2ゲート電極78と第2フィールドプレート電極74の間、層間絶縁膜60bと第2ゲート電極78及び第2フィールドプレート電極74の間に、適宜絶縁層72dが設けられていても良い。
【0042】
ソース電極42は、第1電極部分42a、第2電極部分42b、第3電極部分42c、第4電極部分42d、第5電極部分42e、第6電極部分42f及び第7電極部分42gと、を有する。第7電極部分42gは、層間絶縁膜60の上にわたって設けられている。第4電極部分42d、第5電極部分42e及び第6電極部分42fは、第7電極部分42gの下に設けられている。第1電極部分42aは、第4電極部分42dの下に、ベース領域14aに到達して設けられている。第2電極部分42bは、第5電極部分42eの下に、ベース領域14bに到達して設けられている。第3電極部分42cは、第6電極部分42fの下に、ベース領域14cに到達して設けられている。ソース電極42は、MOSFETのソースとして機能する電極である。
【0043】
領域20aは、第1電極部分42aとドレイン層10の間のベース領域14a内に設けられている。p領域20bは、第2電極部分42bとドレイン層10の間のベース領域14b内に設けられている。p領域20cは、第3電極部分42cとドレイン層10の間のベース領域14c内に設けられている。p領域20のp型不純物濃度は、ベース領域14のp型不純物濃度よりも高い。MOSFETに逆方向電圧がかかったときに、ベース領域14の電位とソース電極42の電位の間に電位差が発生すると、ソース領域16、ベース領域14及びドリフト層12により形成される寄生バイポーラトランジスタが動作して、素子破壊が発生してしまう。そこで、ベース領域14のホール伝導度よりも高いホール伝導度を有する領域としてp領域20を設けることにより、ベース領域14の電位とソース電極42の電位の間に電位差が発生しないようにして、素子破壊を抑制している。
【0044】
バリアメタル36は、ベース領域14、ソース領域16、p領域20及び層間絶縁膜60と、ソース電極42の間に設けられている。バリアメタル36は、ソース電極42と、半導体装置100に用いられている半導体材料との、反応防止のために用いられる膜である。バリアメタル36は、例えばTi(チタン)、TiN(窒化チタン)、Ta(タンタル)又はTaN(窒化タンタル)等を含む。
【0045】
ドレイン層10、ドリフト層12、ベース領域14、ソース領域16及びp領域20に用いられる半導体材料は、例えばシリコン(Si)である。しかし、ドレイン層10、ドリフト層12、ベース領域14、ソース領域16及びp領域20に用いられる半導体材料は、例えば炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(GaN)又はヒ化ガリウム(GaAs)等の他の半導体材料であってもかまわない。
【0046】
半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n型不純物としては例えばヒ素(As)、リン(P)又はアンチモン(Sb)を、またp型不純物としては例えばB(ホウ素)を、それぞれ用いることができる。
【0047】
第1ゲート電極58、第2ゲート電極78、第1フィールドプレート電極54及び第2フィールドプレート電極74は、不純物を含むポリシリコン等の導電材料を含む。
【0048】
絶縁層52d、絶縁層72d及び層間絶縁膜60は、酸化シリコン又は窒化シリコン等の絶縁材料を含む。
【0049】
ドレイン電極38及びソース電極42は、例えばアルミニウム(Al)等の金属を含む。
【0050】
図2は、実施形態の他の態様の半導体装置110の模式断面図である。第1トレンチ50内において、第3層52aの上に第2層52cが設けられている。また、第2層52cの上に第1層52bが設けられている。また、第2トレンチ70内において、第6層72aの上に第5層72cが設けられている。また、第5層72cの上に第4層72bが設けられている。その他は、図1に示した半導体装置100と同様である。なお、第3層52a及び第6層72aは、設けられていなくてもかまわない。
【0051】
図3は、実施形態の半導体装置の模式断面図である。図3(a)は、実施形態の半導体装置100のXZ面内における模式断面図である。図3(b)は、図3(a)に示したA-A’断面内における、実施形態の半導体装置100の模式断面図である。図3(b)に示したA-A‘断面内における模式断面図は、例えば図1に示した模式断面図に対応する。図3(a)のB-B’断面において、第1フィールドプレート電極54は、上方に延びた部分を有する。そして、この部分を用いて、第1フィールドプレート電極54は、例えばバリアメタル36を介して、ソース電極42と電気的に接続されている。なお、図3(b)において、第1層52b、第2層52c、第3層52a及び絶縁層52dは、絶縁層52として図示をしている。なお、第1フィールドプレート電極54は、例えば第1トレンチ50内において第1ゲート電極58と電気的に接続されていてもかまわない。
【0052】
同様に、第2フィールドプレート電極74は、ソース電極42に電気的に接続されている。なお、第2フィールドプレート電極74は、例えば第2トレンチ70内において第2ゲート電極78と電気的に接続されていてもかまわない。
【0053】
図4乃至図6は、実施形態の半導体装置の第1の態様の製造工程を示す模式断面図である。図4乃至図6は、図1に示した、実施形態の半導体装置100の製造工程を示す模式断面図である。
【0054】
まず、ドレイン層10の上に、例えばエピタキシャル成長により、ドリフト層12を形成する。例えば、ドレイン層10を半導体基板とし、ドレイン層10の上にエピタキシャル成長によりドリフト層12を形成する。次に、例えばフォトリソグラフィー及びRIE(Reactive Ion Etching)を用いて、ドリフト層12に第1トレンチ50及び第2トレンチ70を形成する。
【0055】
次に、熱酸化法を用いて、ドリフト層12の上、第1トレンチ50内及び第2トレンチ70内に、第2酸化物を含む層102aを形成する。ここで第2酸化物は、例えば酸化シリコンである(図4)。
【0056】
次に、層102aの上に、シリコンを含む層102bを形成する。例えばポリシリコンを含む層102bを形成する場合、減圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて層102bを形成することが好ましい。また、ポリシリコンを含む層102bを形成する場合、層102bは、複数のポリシリコンのグレインを含む。
【0057】
次に、層102bの上に、第1酸化物又は窒化物を含む層102cを形成する。ここで第1酸化物は、例えば酸化シリコンである。また、窒化物は、例えば窒化シリコンである。第1酸化物が酸化シリコンである場合、例えばプラズマCVD法(CVD法の一例)を用いて層102cを形成することが好ましい。窒化物が窒化シリコンである場合、例えば減圧CVD法(CVD法の一例)を用いて層102cを形成することが好ましい。
【0058】
次に、層102bを熱酸化する。層102bがポリシリコンのグレインを含んでいた場合、熱酸化された層102bは、酸化シリコンのグレインを含む。ここで、層102bが酸化シリコンのグレインを含むことは、SEM(Scanning Electron Microscope)やTEM(Transmission Electron Microscope)等の顕微鏡観察により明らかにすることができる。また、熱酸化により、ポリシリコンを含む層の膜厚は、例えば2倍程度に膨脹する。そのため、かかる膨脹を考慮して、ポリシリコンを含む層102bを成膜する膜厚を決定することが好ましい。
【0059】
なお、ポリシリコンのグレインの大きさ及び酸化シリコンのグレインの大きさは、特に限定されるものではないが、例えば数百nmの程度である。
【0060】
なお、層102aは、第3層の一例である。層102bは、第1層の一例である。層102cは、第2層の一例である。
【0061】
次に、適宜、第1フィールドプレート電極54、第2フィールドプレート電極74、ベース領域14、ソース領域16、絶縁層52d、絶縁層72d、第1ゲート電極58、第2ゲート電極78、層間絶縁膜60、バリアメタル36、ソース電極42及びドレイン電極38を形成し、実施形態の半導体装置100を得る。例えば特許文献2(特開2018-046253号公報)記載の製造方法を用い、実施形態の半導体装置100を製造する。なお、第1トレンチ50内の層102a、層102b及び層102cは、それぞれ第3層52a、第1層52b及び第2層52cとなる。また、第2トレンチ内の層102a、層102b及び層102cは、それぞれ第6層72a、第4層72b及び第5層72cとなる。
【0062】
なお、層102aは、形成されていなくてもかまわない。
【0063】
図7及び図8は、実施形態の半導体装置の第2の態様の製造工程を示す模式断面図である。図7及び図8は、図2に示した、実施形態の半導体装置110の製造工程を示す模式断面図である。ドリフト層12に第1トレンチ50及び第2トレンチ70を形成し、熱酸化法を用いて、ドリフト層12の上、第1トレンチ50内及び第2トレンチ70内に、第2酸化物を含む層102aを形成するところまでは、図4乃至図6に示した、実施形態の半導体装置の第1の態様の製造工程と同様である。
【0064】
次に、層102aの上に、第1酸化物又は窒化物を含む層102cを形成する。ここで第1酸化物は、例えば酸化シリコンである。また、窒化物は、例えば窒化シリコンである。次に、層102cの上に、シリコンを含む層102bを形成する(図7)。
【0065】
次に、層102bを熱酸化する(図8)。その後は、図4乃至図6に示した、実施形態の半導体装置の第1の態様の製造工程と同様である。
【0066】
なお、層102aは、形成されていなくてもかまわない。
【0067】
図9乃至図14は、実施形態の半導体装置の第3の態様の製造工程を示す模式断面図である。ドリフト層12に第1トレンチ50及び第2トレンチ70を形成し、熱酸化法を用いて、ドリフト層12の上、第1トレンチ50内及び第2トレンチ70内に、第2酸化物を含む層102aを形成するところまでは、図4乃至図6に示した、実施形態の半導体装置の第1の態様の製造工程、及び図7及び図8に示した、実施形態の半導体装置の第2の態様の製造工程と同様である。
【0068】
次に、層102aの上に、例えばポリシリコン、アモルファスシリコン等のシリコンを含む層102bを形成する(図9)。
【0069】
次に、第1トレンチ50内及び第2トレンチ70内の層102bの上、及びドリフト層12の上の層102bの上に、窒化シリコンを含む層104を形成する(図10)。
【0070】
次に、例えばホットリン酸を用いたウエットエッチングにより、ドリフト層12の上に形成された層104を除去する(図11)。第1トレンチ50内の層104は層104aとなり、第2トレンチ70内の層104は層104bとなる。
【0071】
次に、例えばCDE(Chemical Dry Etching:ケミカルドライエッチング)により、層102bの一部を除去する。第1トレンチ50内の層102bは層102bとなり、第2トレンチ70内の層102bは層102bとなる(図12)。
【0072】
次に、例えばBHF(バッファードフッ酸)を用いたウエットエッチングにより、層102aの一部を除去する。第1トレンチ50内の層102aは層102aとなり、第2トレンチ70内の層102aは層102aとなる(図13)。
【0073】
次に、例えばホットリン酸を用いたウエットエッチングにより、層104a及び層104bを除去する(図14)。この後に、例えば、層102b及び層102bの上にそれぞれ絶縁層52d及び絶縁層72dを形成する。その後、層102b及び層102bを熱酸化する。その後、適宜、第1フィールドプレート電極54、第2フィールドプレート電極74、ベース領域14、ソース領域16、第1ゲート電極58、第2ゲート電極78、層間絶縁膜60、バリアメタル36、ソース電極42及びドレイン電極38を形成し、実施形態の半導体装置100を得る。例えば特許文献2(特開2018-046253号公報)記載の製造方法を用い、実施形態の半導体装置100を製造する。なお、第1トレンチ50内の層102a、層102b及び絶縁層52dの層102bと接した部分は、それぞれ第3層52a、第1層52b及び第2層52cとなる。また、第2トレンチ70内の層102a、層102b及び絶縁層72dの層102bと接した部分は、それぞれ第6層72a、第4層72b及び第5層72cとなる。
【0074】
次に、実施形態の半導体装置の製造方法の作用効果を記載する。
【0075】
図15は、比較形態となる半導体装置800の模式断面図である。第1トレンチ50内には、第3層52a、第1層52b、第2層52c及び絶縁層52dは設けられていない。第1トレンチ50内には、例えば、プラズマCVD法又は熱酸化法により形成された酸化シリコンを含む、絶縁層52が設けられている。第2トレンチ70内には、第6層72a、第4層72b、第5層72c及び絶縁層72dは設けられていない。第2トレンチ70内には、例えば、プラズマCVD法又は熱酸化法により形成された酸化シリコンを含む、絶縁層72が設けられている。
【0076】
例えばドリフト層12に含まれるSiに対して歪を導入することにより、キャリアの移動度を向上させることができれば、オン抵抗の低減が可能となる。ここで、例えばキャリアが電子の場合には、例えば、図15のドリフト層12に点線で示した領域内において、キャリアの移動方向であるZ方に対して、引っ張り応力を印加することが好ましい。
【0077】
そこで、第1トレンチ50内及び第2トレンチ70内に、ドリフト層12に対してかかる引っ張り応力を印加するための、例えば酸化層である絶縁層を形成することが考えられる。絶縁層は、他の半導体層と熱膨張率が異なる。そのため、半導体層の表面に絶縁層を形成することにより、半導体層に対して応力を印加することが可能である。そこで、絶縁層が応力印加源となる場合には、かかる絶縁層に隣接する、ドリフト層12内において破線で示した領域に対して、引っ張り応力を印加することが可能となり、オン抵抗を低減することが可能となる。
【0078】
図16は、比較形態となる半導体装置の製造方法を説明する模式図である。例えば、かかる引っ張り応力の印加源として、プラズマCVDにより形成される酸化層106を、第1トレンチ50内及び第2トレンチ70内に形成することが考えられる。プラズマCVDにより酸化層106を形成する場合、LF(Low Frequency)パワーを制御することにより、酸化層106内の残留応力を制御することが可能である。しかし、プラズマCVDにより酸化層106を形成する場合には、埋め込み性が低いため、例えば図16中に示したような、第1トレンチ50及び第2トレンチ70の内壁に均一な酸化層106を形成することは難しく、例えば第1トレンチ50及び第2トレンチ70の底部において、酸化層が形成されない部分107が生じてしまうという問題があった。
【0079】
図17は、比較形態となる半導体装置の製造方法を説明する模式図である。例えば、かかる引っ張り応力の印加源として、熱酸化法により形成される酸化層108を、第1トレンチ50内及び第2トレンチ70内に形成することが考えられる。熱酸化法の場合、第1トレンチ50の内壁の半導体材料(例えばSi)及び第2トレンチ70の内壁の半導体材料(例えばSi)を酸化することにより酸化層108を形成する。そのため、酸化層108は、プラズマCVDにより形成される酸化層106と比較して、第1トレンチ50の内壁及び第2トレンチ70の内壁に対して均一な膜厚で形成することが容易である。また、熱酸化に用いられる温度等の形成パラメータを制御することで、酸化層108に印加される応力を制御することが可能である。しかし、熱酸化法により酸化層108を形成する場合には、上記のようにトレンチ内壁の半導体材料が酸化されるため、隣接するトレンチ間におけるドリフト層12の幅が狭くなってしまう。そのため、特にトレンチの数を増やして集積度を高める際に、ドリフト層12の幅を制御することが難しくなるという問題があった。
【0080】
そこで、実施形態の半導体装置の製造方法においては、第1導電型の半導体層にトレンチを形成し、トレンチ内に、ポリシリコン、アモルファスシリコン等のシリコンを含む層102b又は第1酸化物若しくは窒化物を含む層102cを形成し、層102bを形成した場合には層102bの上に層102cを形成し、層102cを形成した場合には層102cの上に層102bを形成し、層102bを熱酸化する。
【0081】
図18は、実施形態の半導体装置の製造方法の作用効果を説明するための模式断面図である。
【0082】
層102bが熱酸化された場合、熱酸化された層102bにより、トレンチの内壁を介して、ドリフト層12内において破線で示した領域に対して、引っ張り応力を加えることが出来る。これにより、MOSFETのオン抵抗を低減することが可能である。
【0083】
例えば層102bの上に層102cを形成し、層102bを熱酸化した場合、層102bはトレンチの内壁と層102cの間に閉じ込められる。そのため、層102bの上が開放されている場合と比較して、より引っ張り応力がドリフト層に伝わりやすくなる。
【0084】
層102b又は層102cを形成する前に、熱酸化法を用いて第2酸化物を含む層102aを形成する場合、層102b及び層102cが形成された量だけ、熱酸化法により形成される層の量を少なくすることが出来る。よって、隣接するトレンチ間におけるドリフト層12の幅が狭くなってしまうという問題が生じにくいため、トレンチの数を増やして集積度を高めることが容易になる。なお第2酸化物は、製造が容易であるため酸化シリコンであることが好ましい。
【0085】
上記の通り、ポリシリコンが酸化される場合、例えば膜厚が2倍程度に膨脹する。そのため、かかる膨張に伴い大きな応力が発生するため、ドリフト層12に対して応力を印加することが容易に出来る。なおポリシリコンのグレインの酸化により、酸化シリコンのグレインが形成される。
【0086】
層102cは、第1酸化物である酸化シリコンを含む、又は窒化物である窒化シリコンを含むことが好ましい。いずれも製造が容易であるためである。
【0087】
層102b及び層102cの形成を繰り返すことにより、さらに大きな引っ張り応力をドリフト層12に印加することができる。
【0088】
実施形態の半導体装置の製造方法によれば、オン抵抗の低い半導体装置の製造方法の提供が可能となる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10 :ドレイン層
12 :ドリフト層(半導体層)
14 :ベース領域(第1半導体領域)
16 :ソース領域(第2半導体領域)
20 :p領域
36 :バリアメタル
38 :ドレイン電極
42 :ソース電極
50 :第1トレンチ
52 :絶縁層
52a :第3層
52b :第1層
52c :第2層
52d :絶縁層
54 :第1フィールドプレート電極
58 :第1ゲート電極
60 :層間絶縁膜
70 :第2トレンチ
72 :絶縁層
72a :第6層
72b :第4層
72c :第5層
74 :第2フィールドプレート電極
78 :第2ゲート電極
100 :半導体装置
102a :層(第3層)
102b :層(第1層)
102c :層(第2層)
110 :半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18