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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
H01L21/60 301P
H01L21/60 321E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020159922
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053224
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 達也
(72)【発明者】
【氏名】川城 史義
(72)【発明者】
【氏名】富田 悠志
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-079650(JP,A)
【文献】特開2020-150189(JP,A)
【文献】特表2017-511601(JP,A)
【文献】特開2018-110149(JP,A)
【文献】特開2019-079905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/52
H01L 25/00
H05K 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に第1電極を有する半導体チップと、
金属板と、
前記半導体チップの第1面と前記金属板の間に位置し、前記第1電極と前記金属板を接合する第1導電性接合シートと、
を有し、
前記第1導電性接合シートは、Ag粒子を含み、
前記半導体チップから前記金属板方向に前記第1電極の外周辺と前記第1導電性接合シートの外周辺を重ねた際の距離の最大値は0.1mm以下である半導体装置。
【請求項2】
前記第1導電性接合シートは、一次粒子径が10nm以上5μm以下のCu粒子及び一次粒子径が10nm以上5μm以下のNi粒子からなる群から選ばれる1種以上の金属粒子をさらに含み、
前記Ag粒子の一次粒子径は10nm以上5μm以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1導電性接合シートは角錐台形形状を有し、前記半導体チップ側の面の第1導電性接合シートの面積は、前記金属板側の面の第1導電性接合シートの面積の90%以上99%以下である請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップから前記金属板方向に前記第1電極の外周辺と前記第1導電性接合シートの外周辺を重ねた際の距離の平均値は0.1mm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップから前記金属板方向に前記の第1電極の外周辺と前記第1導電性接合シートの外周辺を重ねた場合において、前記第1電極の外周辺に対して、前記第1導電性接合シートの外周辺が外側に出ている部分の面積と、前記第1電極の外周辺に対して、前記第1導電性接合シートの外周辺が内側に入り込んでいる部分の面積の和は、前記第1電極の面積の5%以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
金属膜を有する基板と、
第2導電性接合シートをさらに有し、
前記半導体チップの第1面とは反対側の第2面に第2電極を有し、
前記第2電極と前記金属膜はAg粒子を含む前記第2導電性接合シートで接合されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置には前記半導体チップが複数含まれ、
前記複数の半導体チップが前記金属板と前記第1導電性接合シートを介して接合している請求項1ないし6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体モジュールの大電流化に伴い、半導体チップ同士を接続する配線の許容電流量の増加が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6445584号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、信頼性の高い半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、第1面に第1電極を有する半導体チップと、金属板と、半導体チップの第1面と金属板の間に位置し、第1電極と金属板を接合する第1導電性接合シートと、を有し、第1導電性接合シートは、Ag粒子を含み、半導体チップから金属板方向に第1電極の外周辺と第1導電性接合シートの外周辺を重ねた際の距離の最大値は0.1mm以下である実施形態の半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の半導体装置の断面図。
図2】実施形態の導電性接合シートによる接続の説明図。
図3】実施形態の導電性接合シートによる接続の説明図。
図4】実施形態の半導体装置の製造方法のフローチャート。
図5】実施形態の半導体装置の製造方法の工程図。
図6】実施形態の半導体装置の製造方法の工程図。
図7】実施形態の半導体装置の製造方法の工程図。
図8】実施形態の半導体装置の製造方法の工程図。
図9】実施形態の半導体装置の製造方法の工程図。
図10】実施形態の半導体装置の製造方法の工程図。
図11】実施形態の半導体装置の断面図。
図12】実施形態の半導体装置の断面図。
図13】実施形態の半導体装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0008】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。なお、図面中、同一又は類似の箇所には、同一又は類似の符号を付している。
【0009】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0010】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0011】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態は、半導体装置に関する。第1実施形態は、より具体的には、パワー半導体モジュールに関する。図1に実施形態の半導体装置100の断面図を示す。図1の半導体装置100の断面図は、半導体装置100の要部を表している。
【0013】
図1の半導体装置100は、基板10、半導体チップ20、第1導電性接合シート31、第2導電性接合シート32、第1金属層41及び配線51、52を有する。図1には、2つの半導体チップ20が基板10上に設けられている。
【0014】
基板10は、絶縁性の支持体11及び金属膜12を有する。基板10は例えばプリント基板である。支持体11は、例えば、樹脂、SiN、AlNやAlなどのセラミックである。金属膜12は、基板10の配線層である。支持体11の金属膜12側とは反対側にも金属膜が設けられていてもよい。金属膜12は、Au、Ag、Cu、Ni、Pd及びPtからなる群より選ばれる1種以上の金属を含む。金属膜12の膜厚は、典型的には、100μm以上1000μm以下である。金属膜12は、第2導電性接合シート32を介して半導体チップ20の第2電極23と接合している。
【0015】
半導体チップ20は、半導体素子21と半導体素子21の表面に設けられた第1電極22及び第2電極23を有する。図1では2つの半導体チップ20が基板10上に設けられている。半導体装置100では、図示していないが10以上の半導体チップ20を含み、それらの半導体チップ20が電気的に接続している。半導体素子21は、より具体的には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET、ショットキーバリアダイオード、PINダイオード等のパワー半導体素子である。図1には、半導体チップ20の一部の電極を示している。第1電極22A及び第1電極22Bは、半導体素子21の第1面に設けられている。第2電極23は半導体素子21の第1面とは反対側の第2面に設けられている。第1電極22は、例えば、エミッタ電極又はソース電極またはアノード電極である。第2電極23は、例えばコレクタ電極又はドレイン電極またはカソード電極である。第1電極22及び第2電極23は、Alに加え、Au、Ag、Cu、Ni、Pd及びPtからなる群より選ばれる1種以上の金属をさらに含むことが好ましい。第1電極22及び第2電極23の表面は、Ni/Au、Ni/Ag、Ni/CuやNi/Pdなどでメッキされていることが好ましい。なお、フリップチップ構造をとっても良く、上下の電極構成は逆転してもよい。
【0016】
第1導電性接合シート31及び第2導電性接合シート32は、部材同士を接合する導電性のシートである。第1導電性接合シート31は、半導体チップ20の電極22(22A、22B)と第1金属板41(41A、41B)の間に設けられている。第2導電性接合シート32は、半導体チップ20の電極23と金属膜12の間に設けられている。以下、第1導電性接合シート31及び第2導電性接合シート32を総称して導電性接合シートと略記することがある。
【0017】
導電性接合シートは、Ag粒子を含む。導電性接合シートには、微量の樹脂などの有機物が含まれていてもよい。導電性接合シートは、例えば、一次粒子径が10nm以上5μm以下のAg粒子、一次粒子径が10nm以上5μm以下のCu粒子及び一次粒子径が10nm以上5μm以下のNi粒子からなる群から選ばれる1種以上の金属粒子を含む。導電性接合シートは、一次粒子径が1nm以上500nm以下の金属粒子を含むシート状の導電性ダイアタッチ接合材料を加圧して加熱して焼結して得られたものである。導電性シートの厚さは10μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上50μm以下がより好ましい。導電性接合シートの内部には、外接円直径が10nm以上2μm以下の空隙を含む場合がある。シート状の導電性ダイアタッチ接合材料は、Ag粒子、低沸点バインダー及び熱分解性のアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などを含む。導電性接合シートは、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料に含まれる有機物とその分解物が一部残存している場合がある。
【0018】
実施形態では、塗布または印刷した導電性ペーストを用いずにシート状の導電性ダイアタッチ接合材料を加圧して加熱して焼結して接合している。導電性ペーストを用いると塗布や印刷の際にズレが生じ、また、加圧する際に半導体チップ20の側面にはみ出て、さらに半導体チップ2の側面を這い上がることがある。塗布や印刷のズレは、接合面積の低下による伝導性及び信頼性の低下の原因になる。また、ズレによって接合部材間からのはみ出しが大きくなる恐れがある。ズレによるはみ出しが少なければ影響は少ないが、ズレによるはみ出しが多いと、這い上がりによってショートや絶縁耐圧不良が生じたり、はみ出た部分が剥がれてショートが生じたりすることがある導電性接合シートによる接合であれば、加圧による変形がほとんど無いためこのようなはみ出しや這い上がりによるショートの可能性が非常に低い。また、シート状の材料であるため、電極面や半導体チップ20と接合する部材に転写をすることが可能になり、電極面に対して、位置及び形状が合った導電性接合シートによる部材間の接続ができる。
【0019】
図2及び図3に導電性接合シートによる接続の説明図を示す。図2及び図3では、第1導電性シート31について示しているが、第2導電性シート32についても同様である。図2では、第1電極22と第1金属板41の間の第1導電性接合シート31の位置及び大きさを示している。図3は、第1電極22と第1金属板41の間の第1導電性接合シート31の部分断面図であり、第1導電性接合シート31の位置及び断面形状を示している。図2の実線で示した矩形は、第1電極31と第1金属板41の外周辺を示している。破線で示した矩形は、第1導電性接合シート31の外周辺を示している。第1導電性接合シート31は、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料を金属板41又は第1電極22に転写して加圧下で加熱しているため、電極22の位置及び形状とのズレが安定して少ない。ペーストを用いた場合、ペーストは粘度が高い為、精度の高い接合面積の調整は困難である。導電性ペーストを焼結した後のはみ出しを防ぐために接合面より小さくなるようにペーストを塗布などするか、確実に全面で接合するように接合面より大きく塗布などするかすることで安定した接合をしている。シート状の導電性ダイアタッチ接合材料を用いると、転写が可能であるため、位置ずれや大きさのズレを少なくすることができる。また、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料は加圧しても変形が少ないため、はみ出しが這い上がりになりにくい。図3に示すように、はみ出しの部分が半導体チップ20の側面に沿うように這い上がりにくい。半導体チップ20から第1金属板41方向に半導体チップ20の第1電極22の外周辺と第1導電性接合シート31の外周辺を重ねた際の距離の最大値は0.1mm以下であることが好ましい。また、半導体チップ20から第1金属板41方向に半導体チップ20の第1電極22の外周辺と第1導電性接合シート31の外周辺を重ねた際の距離の平均値は0.1mm以下であることが好ましい。半導体チップ20から第1金属板41方向に半導体チップ20の第1電極21の外周辺と第1導電性接合シート31の外周辺を重ねた際の距離は、第1電極22の外周辺に沿って1mm間隔で測定することが好ましい。
【0020】
また、図3に示すように、第1導電性接合シート31の断面形状は、台形の形状を有する。第1導電性接合シート31がはみ出していない場合は、第1導電性接合シート31の断面形状は、全体的に台形の形状を有する。つまり、第1導電性接合シート31は、四角錐台(半導体チップ20が四角形以外の多角形であれば、多角錐台)の形状を有し、第1金属板41側を底面とし、半導体チップ20側を上面とする。実施形態における角錐台の形状は、厳密な形状だけではなく、上面と底面の大きさが異なる先細りの形状を含む。焼結後の第1導電性接合シート31の形状が台形の形状になることで、良好な接合と這い上がり等による短絡の可能性の低減を両立する。角錐台形の第1導電性接合シート31の上面側が対向する面と底面側が対向する面は、転写の条件によって入れ替わる。角錐台形の第1導電性接合シート31の上面と底面の面積の差が大きいと非接合面の比率が高くなる。そこで、角錐台形の第1導電性接合シート31の上面の面積は、角錐台形の第1導電性接合シート31の底面の面積の90%以上99%以下が好ましく、95%以上99%以下がより好ましい。上記面積は、断面における、上面の長さと底面の長さから求めてもよい。
【0021】
第1電極22の外周辺に対して、第1導電性接合シート31の外周辺が外側に出ている部分がはみ出しの部分であり、内側に入り込んでいる部分が非接合部分である。第1電極22の面積に対してはみ出しの部分と非接合部分の比率が低いと、接合部分の伝導性が高く信頼性が高い。そこで、半導体チップ20から第1金属板41方向に半導体チップ20の第1電極22の外周辺と第1導電性接合シート31の外周辺を重ねた場合において、第1電極22の外周辺に対して、第1導電性接合シート31の外周辺が外側に出ている部分の面積と、第1電極22の外周辺に対して、第1導電性接合シート31の外周辺が内側に入り込んでいる部分の面積の和は、第1電極22の面積の5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。
【0022】
第2導電性接合シート32も第1導電性接合シート31と同様である。そこで、半導体チップ20から金属膜12方向に半導体チップ20の第2電極23の外周辺と第2導電性接合シート32の外周辺を重ねた際の距離の最大値は0.1mm以下であることが好ましい。また、半導体チップ20から金属膜12方向に半導体チップ20の第2電極23の外周辺と第2導電性接合シート32の外周辺を重ねた際の距離の平均値は0.1mm以下であることが好ましい。また、半導体チップ20から金属膜12方向に半導体チップ20の第2電極23の外周辺と第2導電性接合シート32の外周辺を重ねた場合において、第2電極23の外周辺に対して、第2導電性接合シート32の外周辺が外側に出ている部分の面積と、第2電極23の外周辺に対して、第2導電性接合シート32の外周辺が内側に入り込んでいる部分の面積の和は、第1電極22の面積の5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。
【0023】
第1金属板41A、41Bは、第1導電性接合シート31を介して第1半導体チップ20の第1電極22A、22Bと接続している。第1金属板41Aと第1金属板41B間は配線52で接続されている。第1金属板41A、41Bは配線51を介して基板10の金属膜12と電気的に接続している。
【0024】
第1金属板41は、例えば、Cu、Mo又はWの板が好ましい。また、これらの板にニッケル金メッキなどを施してもよい。第1金属板41の厚さは、典型的には、30μm以上1mm以下である。電流容量や放熱性などを考慮して適宜選択される。
【0025】
配線51、52は、半導体チップ20間、または、半導体チップ20と金属膜12間を電気的に接続する。配線51には、例えば、AlやAl/Cuなどのアルミクラッド材を用いる。配線51、52は、ボンディングワイヤ、リボン、金属柱などの導電体が好ましい。図1では、ボンディングワイヤまたはリボンを想定した配線51、52を示している。
【0026】
図4に第1実施形態の半導体装置100の製造方法のフローチャートを示す。フローチャートには、半導体装置100の製造方法における一部の工程を示している。シート状の導電性ダイアタッチ接合材料を加圧焼結して導電性接合シートで接合する方法を2つ挙げる。図4の左側のフローは、半導体チップ20と第1金属板41との接合に関する。図4の右側のフローは半導体チップ20と基板10の金属膜12との接合に関する。図4では加圧焼結を行なうフローを示しているが、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料の種類によっては加圧をせずに大気圧下で焼結を行なってもよい。
【0027】
1つめは、第1金属板41にシート状の導電性ダイアタッチ接合材料を転写する工程(S01)と、半導体チップ20にシート状の導電性ダイアタッチ接合材料を転写した第1金属板41を貼り合わせる工程(S01)と、第1金属板41と半導体チップ20間に圧力を印加して焼結する工程(S11)とを有する。圧力を印加して焼結することで、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料中の金属粒子によって第1金属板41と半導体チップ20の第1電極21間を接合する。
【0028】
2つめは、半導体チップ20にシート状の導電性ダイアタッチ接合材料を転写する工程(S03)と、金属膜12にシート状導電性ダイアタッチ接合材料を転写した基板10の金属膜12を貼り合わせる工程(S04)と、半導体チップ20と基板10間に圧力を印加して焼結する工程(S11)とを有する。圧力を印加して焼結することで、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料中の金属粒子によって基板10の金属膜12と半導体チップ20の第2電極22間を接合する。
【0029】
以下、図5から図10の半導体装置100の製造方法の工程図を示して半導体装置100の製造方法について説明する。図5の工程図には、第1金属板41にシート状の導電性ダイアタッチ接合材料33を転写する処理を示している。第1金属板41よりも大きな面積を有するシート状の導電性ダイアタッチ接合材料33を貼り合わせてから、加熱と圧力により、第1金属板41の形状に合うようにシート状の導電性ダイアタッチ接合材料33を転写する。第1金属板41へのシート状の導電性ダイアタッチ接合材料33の転写面積を制御するために、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料33の上にマスク材を形成して転写を行ってもよい。後に、半導体チップ20の第1面の2つの第1電極22A、22Bに貼り合わせるために、1つの半導体チップ20に対してシート状の導電性ダイアタッチ接合材料33A、33Bが第1金属板41A、41Bに転写された部材を2部用意する。第1金属板41を貼り付ける半導体チップ20の第1電極22が1つである場合は、半導体チップ201つあたり上記部材を1部用意する。このとき、必要に応じて、ゲート配線用の開口部が形成されている第1金属板41を用いる。
【0030】
図6の工程図には、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料33A、33Bが第1金属板41A、41Bに転写された部材を半導体チップ20の第1面の第1電極22A、22Bに貼り合わせて、仮固定する。
【0031】
図7の工程図では、図6に示す部材を焼結して、第1金属板41A、41Bと半導体チップ20を接合する。焼結によって、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料33A、33Bは、第1導電性接合シート31A、31Bの金属粒子は焼結が不完全な状態であるが、接合にかかる焼結により金属粒子の凝集が進行して第1金属板41A、41Bと半導体チップ20の第1電極22A、22Bを接合する導電性接合シートに変わる。そして、第1金属板41A、41Bと半導体チップ20の第1電極22A、22Bが第1導電性接合シート31A、31Bで接合された部材が得られる。第1金属板41A、41Bと半導体チップ20を接合する焼結では接合強度を高めるために、適切な加圧を行なうことが好ましい。
【0032】
図8の工程図では、第1金属板41A、41Bと半導体チップ20の第1電極22A、22Bが第1導電性接合シート31A、31Bで接合された部材において、半導体チップ20の第1面とは反対側の第2面に設けられている第2電極23にシート状の導電性ダイアタッチ接合材料34を転写する。転写は、第2電極23の形状に合わせて行なうことが好ましい。図8に示す工程図は、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料34が転写された部材を示している。半導体チップ20の第2面より大きなシート状の導電性ダイアタッチ接合材料34を貼り合わせて、加熱と圧力によって転写を行なうことが好ましい。
【0033】
図9の工程図では、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料34が転写された半導体チップ20を基板10の金属膜12の面に貼り付ける。貼り付け後、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料34を焼結して半導体チップ20と基板10の金属膜12が第2導電性接合シート32で接合された図10の工程図に示す部材が得られる。図10の部材に配線51、52を形成して半導体装置100を得る。
【0034】
半導体チップ20の両面を導電性接合シートで接合することで、信頼性が高く電流容量の多い配線を形成することができる。
【0035】
(第2実施形態)
第2実施形態は半導体装置に関する。図11に第2実施形態の半導体装置101の断面図を示す。図11に示す半導体装置101は、第1金属板41に替わり、第2金属板42を用いていることが第1実施形態の半導体装置100と異なる。第1実施形態と第2実施形態において、共通する内容についてはその説明を省略する。
【0036】
半導体装置101では、2つの半導体チップ20が1部の第2金属板42でと接続している。図示していないが、第2金属板42には、ゲート配線用の開口部が設けられていて、図示しない配線がゲート電極と接続している。
【0037】
第2実施形態の半導体装置101を製造する場合、半導体チップ20の第1電極22Aにシート状の導電性ダイアタッチ接合材料を転写して、第2金属板42と接合することができる。また、シート状の導電性ダイアタッチ接合材料を第2金属板42に転写して、半導体チップ20の第1電極22Aと接合してもよい。第2実施形態では、2以上の半導体チップ20を同時に第2金属板42に貼り付けて、接合することができる。従って、チップ数が増えても少ない工程数で半導体装置101を製造することができる。
【0038】
(第3実施形態)
第3実施形態は半導体装置に関する。図12に第3実施形態の半導体装置102の断面図を示す。図12に示す半導体装置102は、配線として、金属柱53を用いて、基板10の金属面12と第2金属板42を接続していることと、第2金属板42に凸部を設け凸部が第1導電性シート31を介して半導体チップ20と接続していることが第2実施形態の半導体装置101と異なる。第1実施形態から第2実施形態と第3実施形態において、共通する内容についてはその説明を省略する。
【0039】
第2金属部42に凸部を設けることができ、例えば、位置決めがし易くなるという利点がある。また、第1導電性接合シート31の側面や第2金属部42の半導体チップ20と対向する面に絶縁性樹脂61を設けることができる。絶縁性樹脂61は半導体チップ20を第2金属板42に接合した後に形成することで第1導電性シート31周りの絶縁性及び耐湿性を強化することができる。
【0040】
また、第3実施形態においては、第2金属部42と金属膜12の間に金属柱53などの配線を設けて第2金属部42と金属膜12間を接続することができる。金属柱53を用いることで、配線の電流容量を増やすことができる。金属柱53と第2金属部42間も導電性接合シートで接合することが好ましい。また、金属柱53と金属膜12の間も導電性接合シートで接合することが好ましい。
【0041】
(第4実施形態)
第4実施形態は半導体装置に関する。図13に第4実施形態の半導体装置103の断面図を示す。図13に示す半導体装置102は、配線を用いずに第2金属板42を曲げて、基板10の金属面12と第2金属板42を接続していることと、第2金属板42に凹部を設け、凹部において第1導電性シート31を介して半導体チップ20と接続していることが第2実施形態の半導体装置101と異なる。第1実施形態から第3実施形態と第4実施形態において、共通する内容についてはその説明を省略する。
【0042】
第2金属部42に凹部を設けることができ、例えば、位置決めがし易くなるという利点がある。半導体チップ20の貼り付けのしやすさ等を考慮すると、凹部の深さは第1導電性シート31の厚さより深くなることが好ましい。また、図示はしていないが、第1導電性接合シート31の側面や第2金属部42の半導体チップ20と対向する面に絶縁性樹脂を設けることも好ましい。
【0043】
また、第4実施形態においては、第2金属板42が配線を介さずに金属膜12と接続している。第2金属板42と金属膜12は、導電性接合シートを用いて接合してもよいし、超音波接合するなどして、直接接合してもよい。超音波接合することで、接合の信頼性が高まり、半導体装置103の信頼性が向上する。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
100、101、102、103…半導体装置、10…基板、11…支持体、12…金属膜、20…半導体チップ、21…半導体素子、22…第1電極、23…第2電極、31…第1導電性接合シート、32…第2導電性接合シート、33…シート状の導電性ダイアタッチ接合材料、34…シート状の導電性ダイアタッチ接合材料、41…第1金属部、42…第2金属部、51…配線、52…配線、53…金属柱、61…絶縁性樹脂

図1
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図13