(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】細菌関連がんの治療および予防のためのバクテリオファージ
(51)【国際特許分類】
A61K 35/76 20150101AFI20231218BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20231218BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231218BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20231218BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231218BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231218BHJP
A61K 45/08 20060101ALI20231218BHJP
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A61P 1/04 20060101ALI20231218BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231218BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20231218BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20231218BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231218BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231218BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
A61K35/76
C12N7/01 ZNA
A61P35/00
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K45/08
A61K31/513
A61K31/7068
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A61K31/7072
A61P1/04
A61K9/20
A61K9/107
A61K9/06
A61K9/70 401
A61K47/10
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2020542415
(86)(22)【出願日】2019-02-07
(86)【国際出願番号】 US2019017129
(87)【国際公開番号】W WO2019157231
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-02-04
(32)【優先日】2018-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【微生物の受託番号】IDAC 040219-02
【微生物の受託番号】IDAC 040219-03
【微生物の受託番号】IDAC 040219-04
【微生物の受託番号】IDAC 040219-05
(73)【特許権者】
【識別番号】519291618
【氏名又は名称】アルマタ・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】モラレス,サンドラ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ビリンスキー,イーゴリ・ピー
【審査官】松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509998(JP,A)
【文献】特表2009-532055(JP,A)
【文献】特表2017-507913(JP,A)
【文献】Acta Virologica, 2004, Vol.48, p.241-248
【文献】Future Microbiol., 2014, Vol.9 No.7, p.861-869
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/76
C12N 7/01
A61P 35/00
A61P 31/04
A61P 43/00
A61K 45/00
A61K 45/08
A61K 31/513
A61K 31/7068
A61K 31/4745
A61K 31/282
A61K 31/7072
A61P 1/04
A61K 9/20
A61K 9/107
A61K 9/06
A61K 9/70
A61K 47/10
C12N 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌関連がんの治療のためのバクテリオファージを含む組成物であって、
発癌性細菌を標的とする1つ以上のバクテリオファージを含み、個々のバクテリオファージは抗生物質耐性遺伝子を持たず
、
a)バクテリオファージが
、Ec34(配列番号2)、Ec35(配列番号3)、Ec45(配列番号4)
、およびEc57(配列番号6)から選択され、発癌性標的細菌が大腸菌であるか、または
b)バクテリオファージが、Bf1(受入番号040219-02)、Bf2(受入番号040219-03)、Bf3(受入番号040219-04)、および/またはBf4(受入番号040219-05)から選択され、発癌性標的細菌がバクテロイデスフラジリスである、
前記バクテリオファージを含有する組成物。
【請求項2】
凍結保護剤を更に含む、請求項1に記載
の組成物。
【請求項3】
凍結保護剤がグリセロールまたはスクロースを含む、請求項2に記載
の組成物。
【請求項4】
発癌性細菌が、pks+大腸菌および毒素原性バクテロイデスフラジリス(ETBF)から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載
の組成物。
【請求項5】
バクテリオファージが、Ec34(配列番号2)、Ec35(配列番号3)、およびEc57(配列番号6)である、請求項1に記載
の組成物。
【請求項6】
抗生物質をさらに含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載
の組成物。
【請求項7】
薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載
の組成物。
【請求項8】
薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの組み合わせが、カルシウム塩またはマグネシウム塩、水、NaCl、通常の生理食塩水、乳酸加リンガー液、通常のスクロース、ラクトース、ロイシン、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング剤、甘味料、香料、食塩水(リンガー液など)、アルコール、油、ゼラチン、ラクトース、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、または着色料を含む、請求項
7に記載
の組成物。
【請求項9】
少なくとも2つのバクテリオファージ株を約1:1の比率で含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載
の組成物。
【請求項10】
少なくとも約1×10
5から約1×10
11個の少なくとも1つのバクテリオファージ株を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載
の組成物。
【請求項11】
経口、経鼻、肺、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮、眼内、耳内またはそれらの組み合わせでの送達用に製剤化された、請求項1~
10のいずれか一項に記載
の組成物。
【請求項12】
凍結されているか、凍結乾燥されているか、液体であるか、または固体である、請求項1~
11のいずれか一項に記載のバクテリオファージを含有する組成物。
【請求項13】
薬剤として使用するための、請求項1~
12のいずれか一項に記載
の組成物。
【請求項14】
細菌関連がんが、結腸直腸がん、食道がん、胆嚢がん、肺がん、扁平上皮癌、膀胱がん、胃がん、またはMALTリンパ腫である、請求項
1に記載
の組成物。
【請求項15】
免疫療法剤と組み合わせて使用するための請求項
14に記載
の組成物。
【請求項16】
免疫療法剤が、免疫チェックポイント阻害剤を含む、請求項
15に記載
の組成物。
【請求項17】
免疫療法剤が、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗CD27、抗IDO-1、抗腫瘍抗体、またはがんワクチンを含む、請求項
15または
16に記載のバクテリオファージを含有する組成物。
【請求項18】
化学療法剤と組み合わせて使用するための請求項1~
14のいずれか一項に記載
の組成物。
【請求項19】
化学療法剤が、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、イリノテカン、オキサリプラチン、トリフルリジンおよび/またはティピラシルである、請求項
18に記載
の組成物。
【請求項20】
細菌感染を治療するための薬剤の製造における、請求項1~
19のいずれか一項に記載
の組成物の使用。
【請求項21】
a.請求項1~
19のいずれか一項に記載
の組成物;および
b.それを使用するための使用説明
書
を含む、
細菌関連がんの治療のためのキット。
【請求項22】
抗生物質およびバクテリオファージを含有する組成物と組み合わせてそれを使用するための使用説明書をさらに含む、請求項
21に記載のキット。
【請求項23】
細菌関連がんが、結腸直腸がん、食道がん、胆嚢がん、肺がん、扁平上皮癌、膀胱がん、胃がん、およびMALTリンパ腫から選択される、請求項
21に記載のキット。
【請求項24】
1つ以上のバクテリオファージが、前記細菌に特異的であり、他の微生物を標的としない、請求項1に記載
の組成物。
【請求項25】
前記細菌が細菌バイオフィルムの存在を特徴とし、抗生物質に耐性である、請求項1に記載
の組成物。
【請求項26】
前記凍結保護剤が10%スクロースまたは約5%~約50%グリセロールを含む、請求項3に記載
の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照出願
[0001]本出願は、2018年2月7日に出願された米国特許出願第62/627,725号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表
[0002]本開示は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ASCIIコピーは、2019年1月30日に作成され、054249-503001WO_Sequence_Listing_ST25の名前で、1.24メガバイトのサイズである。
【0003】
分野
[0003]本開示は、バクテリオファージの組成物、および医療用途のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]細菌性病原体は、いくつかの腫瘍および/または組織における発癌/腫瘍形成と関連している可能性がある。がんを治療または予防する方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本開示は、バクテリオファージ組成物の投与によって患者の細菌関連がんを治療または予防するための組成物および方法に関する。好ましくは、組成物は、細菌を標的とする少なくとも1つのバクテリオファージを含む。バクテリオファージは、細菌または細菌の株(例えば、病原性または発癌性株)に特異的であり得る。好ましくは、組成物は、例えば、補完性によって、細菌耐性の発生を最小限にする。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは溶菌性である。
【0006】
[0006]一態様では、細菌関連がんを治療または予防することを必要とする患者における細菌関連がんを治療または予防するための方法が、本明細書で提供される。本方法は、1つ以上のバクテリオファージを含む組成物を患者に投与するステップを含む。実施形態では、本方法は、確認された細菌関連がんを有する患者を選択するステップを含む。実施形態では、バクテリオファージは、がんに関連する少なくとも1つの細菌種を標的とし、溶菌する。実施形態では、個々のバクテリオファージは、普遍形質導入を起こす傾向がなく、および/または抗生物質耐性遺伝子を持たない。実施形態では、1つ以上のバクテリオファージは天然に存在しない。本明細書に記載の組成物は、がんに関連する細菌(例えば、大腸菌、B.フラジリス)を溶菌することに有効であることが示されている。バクテリオファージ組成物は、従来の抗菌剤および/またはがん治療法の代替となり得、それに関連する1つ以上の問題を克服する。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、同時治療として、または従来の抗菌剤および/またはがん治療と組み合わせて利用することができる。
【0007】
[0007]一態様では、それを必要とする患者の結腸直腸がんを治療または予防するための方法が、本明細書で提供される。実施形態では、本方法は、1つ以上のバクテリオファージを含む組成物を患者に投与するステップを含む。実施形態では、バクテリオファージは、結腸直腸がんに関連する少なくとも1つの細菌種を標的とする。実施形態では、個々のバクテリオファージは、普遍形質導入を起こす傾向がなく、および/または抗生物質耐性遺伝子を持たない。実施形態では、1つ以上のバクテリオファージは天然に存在しない。本明細書に記載される組成物は、結腸直腸がんに関連する細菌(例えば、大腸菌、B.フラジリス)を溶菌することに有効であることが示されている。バクテリオファージ組成物は、従来の抗菌剤および/またはがん治療法の代替となり得、それに関連する1つ以上の問題を克服する。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、同時治療として、または従来の抗菌剤および/またはがん治療と組み合わせて利用することができる。
【0008】
[0008]一態様では、ヒトの微生物叢を改変する方法であって、発癌性細菌に対して溶菌活性を有する1つ以上の異なるバクテリオファージを含む組成物を前記ヒトに投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。1つ以上の異なるバクテリオファージは、大腸菌、バクテロイデスフラジリス、ヘリコバクターピロリ、サルモネラチフィ、ストレプトコッカスボビス、クラミジアニューモニア、マイコプラズマ、ヘリコバクターヘパティクス、および/またはビルハルツ住血吸虫に感染するバクテリオファージから選択される。実施形態では、1つ以上のバクテリオファージは天然に存在しない。実施形態では、大腸菌は、pksアイランド(pks+大腸菌)の陽性キャリアである。いくつかの実施形態では、B.フラジリスは、毒素原性バクテロイデスフラジリス(ETBF)である。バクテリオファージ組成物は、従来の抗菌剤および/またはがん治療法の代替となり得、それに関連する1つ以上の問題を克服する。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、同時治療として、または従来の抗菌剤および/またはがん治療と組み合わせて利用することができる。
【0009】
[0009]一態様では、発癌性細菌に感染して溶菌する1つ以上の偏性溶菌性(obligately lytic)バクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物が、本明細書で提供される。実施形態では、バクテリオファージは、標的細菌に対して狭い活性範囲を有する。実施形態では、組成物は細菌成分を実質的に含まない。実施形態では、個々のバクテリオファージは、普遍形質導入を起こす傾向がなく、および/または抗生物質耐性遺伝子を持たない。実施形態では、1つ以上のバクテリオファージは天然に存在しない。本明細書に記載の組成物は、がんに関連する細菌の溶菌に効果的であることが示されている。実施形態では、バクテリオファージによって標的となる細菌種または株は、真核生物の細胞周期を妨害する毒素を分泌する。実施形態では、毒素はシクロモジュリンである。実施形態では、シクロモジュリンは、大腸菌のpksゲノムアイランドによって合成されたシクロモジュリンであるコリバクチンである。実施形態では、細菌は、エシェリキア、バクテロイデス、サルモネラ、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ヘリコバクター、および/またはカンピロバクターの種を含む。実施形態では、細菌種は、大腸菌、バクテロイデスフラジリス、サルモネラチフィ、ストレプトコッカスボビス、クラミジアニューモニア、ヘリコバクターピロリ、ヘリコバクターヘパティクス、および/またはカンピロバクタージェジュニである。好ましくは、細菌は、大腸菌および/またはB.フラジリスを含む。実施形態では、大腸菌はpks+大腸菌である。いくつかの実施形態では、B.フラジリスは、毒素原性バクテロイデスフラジリス(ETBF)である。バクテリオファージ組成物は、従来の抗菌剤および/またはがん治療法の代替となり得、それに関連する1つ以上の問題を克服する。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、同時治療として、または従来の抗菌剤および/またはがん治療と組み合わせて利用することができる。
【0010】
[00010]一態様では、発癌性細菌を標的とする1つ以上のバクテリオファージ、および凍結保護剤を含むバクテリオファージ組成物が、本明細書で提供される。実施形態では、組成物は細菌成分を実質的に含まない。実施形態では、個々のバクテリオファージは、普遍形質導入を起こす傾向がなく、および/または抗生物質耐性遺伝子を持たない。実施形態では、1つ以上のバクテリオファージは天然に存在しない。本明細書に記載の組成物は、がんに関連する細菌を溶菌することに効果的であることが示されている。実施形態では、バクテリオファージによって標的となる細菌種または株は、真核生物の細胞周期を妨害する毒素を分泌する。実施形態では、毒素はシクロモジュリンである。実施形態では、シクロモジュリンは、大腸菌のpksゲノムアイランドによって合成されたシクロモジュリンであるコリバクチンである。実施形態では、細菌は、エシェリキア、バクテロイデス、サルモネラ、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ヘリコバクター、および/またはカンピロバクターの種を含む。実施形態では、細菌種は、大腸菌、バクテロイデスフラジリス、サルモネラチフィ、ストレプトコッカスボビス、クラミジアニューモニア、ヘリコバクターピロリ、ヘリコバクターヘパティクス、および/またはカンピロバクタージェジュニである。好ましくは、細菌は、大腸菌および/またはB.フラジリスを含む。実施形態では、大腸菌はpks+大腸菌である。いくつかの実施形態では、B.フラジリスは、毒素原性バクテロイデスフラジリス(ETBF)である。バクテリオファージ組成物は、従来の抗菌剤および/またはがん治療法の代替となり得、それに関連する1つ以上の問題を克服する。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、同時治療として、または従来の抗菌剤および/またはがん治療と組み合わせて利用することができる。
【0011】
[00011]一態様では、対象の細菌関連がんの治療に使用するためのバクテリオファージ組成物が、本明細書で提供される。本方法は、細菌関連がんを有する患者を選択するステップ、およびバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む。実施形態では、がんは、細菌または細菌株による感染によって引き起こされるか、またはそれに関連する任意のがんであり得る。実施形態では、細菌関連がんは、結腸直腸がん、食道がん、胆嚢がん、肺がん、扁平上皮癌、膀胱がん、胃がん、または粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫である。
【0012】
[00012]一態様では、確認された細菌関連がんの治療における、本明細書に記載される任意の組成物の使用が本明細書に提供される。使用には、がんに関連する細菌を標的とし溶菌する少なくとも1つのバクテリオファージを含む組成物の前記ヒトへの投与を含む、細菌関連がんの治療が含まれる。実施形態では、組成物は細菌成分を実質的に含まない。実施形態では、個々のバクテリオファージは、普遍形質導入を起こす傾向がなく、および/または抗生物質耐性遺伝子を持たない。実施形態では、1つ以上のバクテリオファージは天然に存在しない。本明細書に記載の組成物は、がんに関連する細菌を溶菌することに効果的であることが示されている。実施形態では、バクテリオファージによって標的とされる細菌種または株は、真核生物の細胞周期を妨害する毒素を分泌する。実施形態では、毒素はシクロモジュリンである。実施形態では、シクロモジュリンは、大腸菌のpksゲノムアイランドによって合成されたシクロモジュリンであるコリバクチンである。実施形態では、細菌は、エシェリキア、バクテロイデス、サルモネラ、ストレプトコッカス、クラミジア、マイコプラズマ、ヘリコバクター、および/またはカンピロバクターの種を含む。実施形態では、細菌種は、大腸菌、バクテロイデスフラジリス、サルモネラチフィ、ストレプトコッカスボビス、クラミジアニューモニア、ヘリコバクターピロリ、ヘリコバクターヘパティクス、および/またはカンピロバクタージェジュニである。好ましくは、細菌は、大腸菌および/またはB.フラジリスを含む。実施形態では、大腸菌はpks+大腸菌である。いくつかの実施形態では、B.フラジリスは、毒素原性バクテロイデスフラジリス(ETBF)である。バクテリオファージ組成物は、従来の抗菌剤および/またはがん治療法の代替となり得、それに関連する1つ以上の問題を克服する。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、同時治療として、または従来の抗菌剤および/またはがん治療と組み合わせて利用することができる。
【0013】
[00013]一態様では、バクテリオファージ組成物およびその使用説明書を含むキットが、本明細書で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[00014]バクテロイデスフラジリス株(クリンダマイシン耐性)に対する4つの異なるファージおよびファージの混合物のファージ活性のグラフを示す図である。
【
図2】[00015]バクテロイデスフラジリス株(クリンダマイシン感受性)に対する4つの異なるファージおよびファージの混合物のファージ活性のグラフを示す図である。
【
図3】[00016]大腸菌株(pks+)に対する4つの異なるファージおよびファージの混合物のファージ活性のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[00017]本発明は、発癌性細菌に感染して溶菌するファージから選択される1つ以上(好ましくは少なくとも2つ)のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物、またはその変異体が、迅速なコンパニオン診断などの医療および非医療応用の両方における使用ために、特に対象の細菌関連がんの治療のために、特に有用であるという本発明者による驚くべき発見に基づく。
【0016】
[00018]本開示は、記載された特定の実施形態に限定されず、したがって、当然のことながら多様であり得ることが理解されるべきである。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載するためだけのものであり、限定することを意図しないこともまた理解されたい。
【0017】
[00019]本開示の詳細な説明は、読者の便宜のためにのみ様々なセクションに分割されており、任意のセクションに見られる開示は、別のセクションのものと組み合わせてもよい。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0018】
定義
[00020]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他を示さない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「バクテリオファージ組成物」への参照は、複数のそのような候補薬剤を含み、「バクテリオファージ」への言及は、1つ以上のバクテリオファージおよび当業者に既知のその等価物への参照などを含む。
【0019】
[00021]本明細書で使用する場合、「約」という用語は、数値指定、例えば、温度、時間、量、濃度などの前に使用される場合、範囲を含めて、(+)または(-)10%、5%、または1%だけ変化し得る近似を示す。
【0020】
[00022]範囲(例えば、用量範囲)が本明細書に列挙されている場合、値は、終点を含む、挙げられた範囲内の任意の値または範囲を含み得ることが理解される。
[00023]本明細書で使用される「変異体」という用語は、標的細菌に感染して溶菌する能力を保持しながら、1つ以上のヌクレオチドが特定のバクテリオファージと遺伝的に異なるバクテリオファージを指す。変異体は、典型的には、例えば、サイレント変異、保存的変異、マイナーな欠失、および/または遺伝物質のマイナーな複製を含み、参照バクテリオファージの表現型の特徴を保持する。好ましい実施形態では、本発明の変異体は、本発明のバクテリオファージのゲノムに依存する観察可能な特徴または特性、すなわち、前記バクテリオファージの表現型の特徴および/または細菌株に対する活性を保持する。好ましい変異体は、参照バクテリオファージのゲノムと比較して5%未満、さらにより好ましくは4%未満、より好ましくは2%未満の核酸変動を有する。あるいは、または組み合わせて、変異体は、参照バクテリオファージのポリペプチドと比較して、コードされたポリペプチド配列において5%未満のアミノ酸変動を有することが好ましい。
【0021】
[00024]核酸またはアミノ酸配列に関する「%同一性」または「%配列同一性」という用語は、前記配列間の同一性または相同性のレベルを示し、当技術分野でそれ自体既知の技術により決定され得る。パーセント同一性を決定するために、グローバル法、ローカル法、セグメントアプローチ法などのハイブリッド法を限定無く含む、様々な配列アライメント法を使用できる。パーセント同一性を決定するためのプロトコルは、当業者の範囲内のルーチン手順である。グローバル法では、分子の先頭から末端まで配列を整列させ、最適な整列を個々のヌクレオチドペアのスコアを合計し、ギャップペナルティを課すことにより決定する。非限定的な方法には、例えば、CLUSTAL Wおよび反復改良が含まれ、例えば、Julie D. Thompsonら、CLUSTAL W: Improving the Sensitivity of Progressive Multiple Sequence Alignment Through Sequence Weighting, Position- Specific Gap Penalties and Weight Matrix Choice,22(22) Nucleic Acids Research 4673~4680頁(1994)を参照されたい。非限定的な方法には、例えば、BLAST、Match-box、例えば、Align-Mを参照、例えば、Ivo Van Walleら、Align-M - A New Algorithm for Multiple Alignment of Highly Divergent Sequences,20(9) Bioinformatics 1428~1435頁(2004)を参照されたい。
【0022】
[00025]本明細書で使用される「相補性」という用語は、特定のゲノムを有するバクテリオファージが、異なるゲノムを有する異なる別個のバクテリオファージを補償する能力を指す。より特には、(標的細菌の)バクテリオファージ非感受性変異コロニーは、特定のバクテリオファージに発生し得るものの、依然として異なるバクテリオファージに感受性であり得る。言い換えると、あるファージに対して生じるバクテリオファージ耐性変異細菌は、別のファージに対して依然として感受性である。
【0023】
[00026]本明細書で使用される「普遍形質導入」という用語は、細菌DNAがバクテリオファージを介して別の細菌に移入され得るプロセスを指す。まれな事象である;極めて小さい割合のファージ粒子が偶然にドナーバクテリアのDNAを運ぶもので、10000中に1ファージのオーダーである。本質的に、これは細菌のDNAがウイルスのカプシドにパッケージングされたものである。
【0024】
[00027]用語「溶菌」または「溶菌活性」は、バクテリオファージが細菌細胞の溶菌を引き起こす特性を示す。バクテリオファージの溶菌活性は、当技術分野で既知の技術に従って、細菌(例えば、大腸菌株)で試験することができる。溶菌サイクルは、ファージが細胞に感染し、新しいファージ粒子を複製し、宿主細胞壁と膜を破裂させる際に起こるプロセスにちなんで名付けられた。一部のファージは、バクテリオファージプロセスの活性的な抑制により、バクテリオファージDNAが実質的に休止状態である溶原性サイクルを示す。細菌が分裂するたびに、ファージのDNAもコピーされる。このようにして、ウイルスは、宿主を溶菌せずに、その宿主内に存在し続けることができる。ある時点で、条件が変化する可能性があり、ファージが溶菌サイクルに入る。「偏性溶菌性」とは、溶原性サイクルを経ることができないファージを指す。
【0025】
[00028]大腸菌バクテリオファージの非限定的な例には、EC200pp(Bolocanら、FEMS Microbiology Letters、363巻、22号、2016年11月1日)、LM33-P1(Dufourら、J. Antimicrobial Chemotherapy、71巻、11号、2016年11月1日、3072~3080頁)、536_P1(Dufourら、Clinical Infectious Diseases、64巻、11号、2017年6月、1589~1590頁)、536_P7(Dufourら、Critical Care Medicine、43(6):e190-e198、2015年6月)、T4、Lamda Argo2、Lambda Argo 1、T3、P1、PR722、Ox6、Lamda W60、rEDb44、r1589、T6、rA105、r71、UV1、49B、BG3、53 alpha、rEDb50、221、Phi X174、184、rH23、r638、r187、rJ3、rED220、FCZ、r196、rEDb45、rH88、547、C204、24B、6C、rEDa41、UV47、G178、C33、T2、およびT1(ATCCコレクション)が含まれる。バクテロイデスフラジリスバクテリオファージの非限定的な例には、B40-8(RefSeq:NC_011222)、B124-14(RefSeq:NC_016770)、51477-B1(ATCC.org)が含まれる。サルモネラチフィバクテリオファージの非限定的な例には、phSE-1、phSE-2、phSE-5が含まれる(Pereiraら、Virus Res.、2016年7月15日;220:179~92頁)。ストレプトコッカスボビスバクテリオファージの非限定的な例には、Iversonらによって単離および特徴付けされたファージが含まれる(Iversonら、Canadian Journal of Microbiology、1976、22(6):847~852頁)。クラミジアニューモニアバクテリオファージの非限定的な例には、φCPAR39が含まれる(Hoestgaard-Jensenら、FEMS Immunology&Medical Microbiology、62巻、2号、2011年7月1日、148~156頁)。ヘリコバクターバクテリオファージの非限定的な例には、KHP30(Uchiyamaら、Appl. Environ. Microbiol.2013年4月、79(10)3176~3184頁)、HP1(Heintschelら、J. Med. Microbiol.、1993年4月1日、38:245~249頁)、1961P (Luoら、Journal of Virology、2012年7月、86(16)8781~8792頁)が含まれる。カンピロバクタージェジュニバクテリオファージの非限定的な例には、CP8およびCP34(Loc Carrilloら、Appl. Environ. Microbiol.、2005年11月、71(11)6554~6563頁)、c/958(Ritchieら、J. Med. Microbiol.、16巻、1983年、333~340頁)、Grajewskiらにより同定されたファージ1~14(Grajewskiら、Journal of Clinical Microbiology、1985年7月、13~18頁)。実施形態では、本明細書で提供される組成物および方法は、本明細書で説明される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0026】
[00029]本明細書で使用される「治療する」または「治療」という用語は、予防的治療ならびに是正的治療(すでに疾患に罹患している対象の治療)を包含することが意図されている。治療はまた、疾患または障害の1つ以上の症状を治療すること、ならびに疾患または障害の進行を遅延または停止することを指す場合がある。
【0027】
[00030]本明細書で使用される「予防する」または「予防」という用語は、疾患または障害(例えば、がん)が患者または患者集団で発生するのを防止すること、ならびに疾患または障害の発生の低減、疾患または障害の発症の遅延/延長などを包含することが意図される。
【0028】
[00031]「細菌関連がん」、「発癌性細菌」、および「腫瘍形成性細菌」という用語は、がんを引き起こすことが知られているかまたは疑われる感染性生物を指す。がん関連細菌は日和見性である(すなわち、がんがすでに定着した後に健康な組織に感染する)と考えられてきたが、細菌が直接的な発癌性である可能性があるという証拠がある。ヘリコバクターピロリとサルモネラチフィ感染によって、細菌と人間の間の複雑な関係が示される。H.ピロリは一部の個人に胃がんまたはMALTリンパ腫を引き起こす可能性があることが研究により示されている。サルモネラチフィ感染は、胆嚢がんの発症と関連している。しかしながら、多くの種は重要な特徴を共有している:高度に部位特異的なコロニー形成。
【0029】
[00032]本発明の使用または方法は、典型的には、本明細書に記載のバクテリオファージ組成物を対象または患者に投与するステップを含む。本明細書で使用される場合、「対象」または「患者」は、ヒトまたは他の動物などの哺乳動物である。好ましくは、対象または患者はヒトである。好ましくは、対象または患者は、本明細書に記載されるような組成物での治療を必要とし、例えば、組成物を用いた治療に感受性のある細菌感染症を有する。
【0030】
[00033]本明細書で使用される「単離された」という用語は、バクテリオファージが天然に存在する環境から除去されることを示す。特に、単離されたバクテリオファージは、例えば、培養され、それが天然に存在する環境とは別に培養される。本明細書のいくつかの態様は、(個別におよび/または集合的に)単離されたバクテリオファージ、その組成物、およびそれを使用して細菌関連がんを治療する方法に関する。単離されたバクテリオファージには、本明細書に特に記載および列挙されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
[00034]本明細書で使用する「精製された」という用語は、バクテリオファージが製造宿主細菌から除去されることを示す。特には、精製されたバクテリオファージはその製造または産生環境から除去された細菌成分などの生産不純物を有する。細菌成分には、細菌宿主タンパク質、脂質、および/または細菌内毒素が含まれるが、これらに限定されない。「精製された」という用語は、バクテリオファージの株が遺伝的に均質である遺伝子精製を指すこともある。本明細書のいくつかの態様は、(個別におよび/または集合的に)精製されたバクテリオファージ、その組成物、およびそれを使用して細菌関連がんを治療する方法に関する。精製されたバクテリオファージには、本明細書に特に記載および列挙されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
[00035]本明細書で使用する場合、「実質的に精製された」という用語は、1%未満、0.1%未満、0.001%未満、または検出できない量の宿主細菌タンパク質またはエンドトキシンなどの混入物を含む組成物を指す。また、本明細書で使用される場合、バクテリオファージ株を記載するために使用される場合の「実質的に純粋な」という用語は、組成物内の各ファージのコンセンサス配列がそのファージの予想される核酸配列と99%超、99.9%超、99.999%超、または100%同一性であるような組成物の遺伝的純度を指す。本明細書のいくつかの態様は、実質的に精製されたバクテリオファージ(個々におよび/または集合的に)、その組成物、および細菌関連がんを治療するためにそれを使用する方法に関する。実質的に精製されたバクテリオファージには、本明細書に特に記載および列挙されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
[00036]典型的には、組成物は、サンプル中の全材料の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%(体積、湿重量もしくは乾燥重量、またはモルパーセントもしくはモル分率による)が、不純物および/または遺伝的変異が無い場合に実質的に純粋である。
【0034】
[00037]本明細書で使用される「実質的に含まない(実質的にフリー)」という用語は、それが含まれてはならない物質の10%未満を有するものを指すことができる。例えば、終点を含むその中の任意の部分値および部分範囲を含む、0.01%から10%のフリー。例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10%。
【0035】
[00038]本明細書で使用される「相乗的量」は、相乗効果(すなわち、加算効果よりも大きい効果)をもたらす第1の量(例えば、バクテリオファージ)および第2の量(例えば、異なるバクテリオファージ)の合計を指す。したがって、本明細書で互換的に使用される「シナジー」、「相乗作用」、「協力作用」、「組み合わせ相乗的量」、および「相乗作用の治療効果」は、本明細書では互換的に使用され、併用投与された化合物の測定効果が、単剤として単独で投与された本明細書で提供される各々の化合物の個々の効果の合計よりも大きい場合の測定効果のことを指す。
【0036】
[00039]本明細書で使用される「から本質的になる」という用語は、バクテリオファージ組成物中には明示的に示されたバクテリオファージのみが存在するが、前記組成物が適切な担体、希釈剤、抗生物質(例えば、化学抗生物質)などのさらなる非バクテリオファージ構成要素も含み得ることを意味する。
【0037】
[00040]追加の用語および語句を以下に定義する。
バクテリオファージ組成物
[00041]本明細書において、例えば細菌内毒素、細菌宿主タンパク質などのような細菌成分を実質的に含まない組成物を含むバクテリオファージ組成物が提供される。組成物は、1つ以上の偏性溶菌性バクテリオファージおよび任意選択で凍結保護剤を含むことができる。バクテリオファージは、本明細書に記載される任意のファージであってよく、配列番号1~6のいずれか1つと少なくとも90%同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸配列またはゲノムを有する少なくとも1つのファージを含み得る。バクテリオファージは、本明細書に記載される任意のファージであってよく、人間と動物の健康のためのカナダ科学センター(Canadian Science Centre for Human and Animal Health)に寄託された、寄託株Bf1(受入番号040219-02)、Bf2(受入番号040219-03)、Bf3(受入番号040219-04)、および/またはBf4(受入番号040219-05)のゲノム配列と少なくとも90%同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸配列またはゲノムを有する少なくとも1つのファージを含み得る。いくつかの態様では、少なくとも1つのバクテリオファージは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6の1つ以上に対して100%同一性を有さない。いくつかの態様では、少なくとも1つのバクテリオファージは、人間と動物の健康のためのカナダ科学センターに寄託された、寄託株Bf1(受入番号040219-02)、Bf2(受入番号040219-03)、Bf3(受入番号040219-04)、および/またはBf4(受入番号040219-05)のゲノム配列の1つ以上と100%の同一性を有さない。いくつかの態様では、バクテリオファージの1つ以上は、天然に存在しない。いくつかの態様では、個々のバクテリオファージは、普遍形質導入を起こす傾向がなく、および/または抗生物質耐性遺伝子を持たない。実施形態では、本明細書で提供される組成物および方法は、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0038】
[00042]本明細書では、発癌性細菌に感染して溶菌する1つ以上のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物が提供される。実施形態では、バクテリオファージは、標的細菌に対して狭い作用範囲を有する。実施形態では、1つ以上のバクテリオファージは天然に存在しない。実施形態では、組成物は細菌成分を実質的に含まない。実施形態では、個々のバクテリオファージは、普遍形質導入を起こす傾向がなく、および/または抗生物質耐性遺伝子を持たない。
【0039】
[00043]実施形態では、バクテリオファージは、大腸菌ファージEc20(配列番号1)、Ec34(配列番号2)、Ec35(配列番号3)、Ec45(配列番号4)、Ec56(配列番号5)および/またはEc57(配列番号6)のゲノム配列と比較して、ヌクレオチドまたはゲノム配列が最大約15%、最大約14%、最大約13%、最大約12%、最大約11%、最大約10%、最大約9%、最大約8%、最大約7%、最大約6%、最大約5%、最大約4%、最大約3%、最大約2%、または最大約1%異なる。実施形態では、バクテリオファージは、人間と動物の健康のためのカナダ科学センター(カナダの国際寄託機関)に寄託された、B.フラジリスファージBf1(受入番号040219-02)、Bf2(受入番号040219-03)、Bf3(受入番号040219-04)、および/またはBf4(受入番号040219-05)のゲノム配列と比較して、ヌクレオチドまたはゲノム配列が最大約15%、最大約14%、最大約13%、最大約12%、最大約11%、最大約10%、最大約9%、最大約8%、最大約7%、最大約6%、最大約5%、最大約4%、最大約3%、最大約2%、または最大約1%異なる。
【0040】
[00044]本明細書に記載の組成物は、特にがんに関連する細菌の細菌感染の治療に特に有用であることが示されている。本明細書で使用される場合、「発癌性細菌」、「腫瘍形成性細菌」、および「がんに関連する細菌」という用語は、互換可能に使用される。実施形態では、バクテリオファージは患者に存在する微生物叢(例えば、他の細菌および/または微生物)を広く破壊することなく、腫瘍形成性細菌を正確に標的とする。実施形態では、バクテリオファージは腫瘍形成性細菌に特異的であり、他の微生物を標的にしない。
【0041】
[00045]実施形態では、細菌は、大腸菌、バクテロイデス種(例えば、バクテロイデスフラジリス)、サルモネラチフィ、ストレプトコッカスボビス、クラミジアニューモニア、マイコプラズマ、ヘリコバクター種(例えば、ヘリコバクターピロリ、ヘリコバクターヘパティクス)、および/またはカンピロバクタージェジュニを含む。実施形態では、細菌は、大腸菌および/またはB.フラジリスを含む。実施形態では、大腸菌はpks+大腸菌である。いくつかの実施形態では、B.フラジリスは、毒素原性バクテロイデスフラジリス(ETBF)である。一実施形態では、B.フラジリスはクリンダマイシン(Clindamycin)耐性株である。一実施形態では、B.フラジリスはクリンダマイシン感受性株である。実施形態では、バクテリオファージによって標的とされる細菌種または株は、真核生物の細胞周期を妨害する毒素を分泌する。実施形態では、毒素はシクロモジュリンである。実施形態では、シクロモジュリンは、大腸菌のpksゲノムアイランドによって合成されるシクロモジュリンである、コリバクチンである。
【0042】
[00046]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約60%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。例えば、バクテリオファージ組成物は、所与のパネルにおける大腸菌および/またはB.フラジリス株の少なくとも60%に対して有効である(例えば、殺傷または溶菌)。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約70%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約75%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約76%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約77%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約78%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約79%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約80%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約81%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約82%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約83%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約84%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約85%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が標的細菌株の少なくとも約90%に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。別の実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物が細菌感染症を有する対象からの1つ以上の細菌株(または分離株)に対して有効であるように、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのバクテリオファージを含む。
【0043】
[00047]実施形態では、バクテリオファージによる標的となる細菌または細菌株は、がんに関連する。実施形態では、バクテリオファージによる標的となる細菌種または株は、真核生物の細胞周期を妨害する毒素を分泌する。実施形態では、毒素はシクロモジュリンである。実施形態では、シクロモジュリンは、大腸菌のpksゲノムアイランドによって合成されるシクロモジュリンである、コリバクチンである。実施形態では、細菌は、大腸菌、バクテロイデス種(例えば、バクテロイデスフラジリス)、サルモネラチフィ、ストレプトコッカスボビス、クラミジアニューモニア、マイコプラズマ、ヘリコバクター種(例えば、ヘリコバクターピロリ、ヘリコバクターヘパティクス)、および/またはカンピロバクタージェジュニを含む。好ましくは、細菌は、大腸菌および/またはB.フラジリスを含む。実施形態では、大腸菌はpks+大腸菌である。いくつかの実施形態では、B.フラジリスは、毒素原性バクテロイデスフラジリス(ETBF)である。一実施形態では、B.フラジリスはクリンダマイシン耐性株である。一実施形態では、B.フラジリスはクリンダマイシン感受性株である。
【0044】
[00048]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、発癌性細菌もしくは細菌株、またはそのようなバクテリオファージの変異体を標的とする少なくとも1つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも2つのバクテリオファージまたはその変異体を含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも3つのバクテリオファージまたはその変異体を含む。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上の追加のバクテリオファージ、例えば、異なる細菌または細菌株を標的とする1つ以上の追加のバクテリオファージを含む。好ましい実施形態では、1つ以上の追加のバクテリオファージは、発癌性細菌感染を治療するのに適している。
【0045】
[00049]バクテリオファージは、標的細菌株または種に感染/標的化することができる任意のタイプのものであり得る。実施形態では、バクテリオファージは、標的細菌種または株を溶菌することができる。
【0046】
[00050]実施形態(代替的または追加的に)では、「変異」バクテリオファージは、親バクテリオファージと同じ標的細菌株を溶菌することができ、さらに1つ以上の追加の細菌株を溶菌することができる。一実施形態では、変異体は、親バクテリオファージと比較した場合、全ゲノムにわたって少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有してもよい。
【0047】
[00051]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のエシェリキア種を標的とする。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上の大腸菌株(例えば、1つ以上の発癌性大腸菌株)を標的とする。一実施形態では、標的となる大腸菌株は、コリバクチン産生株である。一実施形態では、標的となる大腸菌株は、pks+大腸菌株である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Dejeaら、Science 359、592-597頁(2018)を参照されたい。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、およびEc57から選択される1つ以上のバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、およびEc57から選択される2つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、およびEc57から選択される3つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、およびEc57から選択される4つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、およびEc57から選択される5つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、およびEc57から選択される6つのバクテリオファージを含む。一実施形態では、バクテリオファージは、人間と動物の健康のためのカナダ科学センター(カナダの国際寄託機関)に寄託された、Ec34(受入番号040219-07)、Ec35(受入番号040219-08)、Ec45(受入番号040219-09)、およびEc57(受入番号040219-10)である。一実施形態では、バクテリオファージは、人間と動物の健康のためのカナダ科学センター(カナダの国際寄託機関)に寄託された、Ec34(受入番号040219-07)、Ec35(受入番号040219-08)、およびEc57(受入番号040219-10)である。実施形態では、本明細書で提供される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0048】
[00052]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のバクテロイデス属種を標的とする。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のB.フラジリス株(例えば、1つ以上の発癌性B.フラジリス株)を標的とする。一実施形態では、標的となるB.フラジリス株は、バクテロイデスフラジリス毒素(bft)産生株である。一実施形態では、標的となるバクテロイデスフラジリス株は、毒素原性バクテロイデスフラジリス(ETBF)株である。一実施形態では、B.フラジリスはクリンダマイシン耐性株である。一実施形態では、B.フラジリスはクリンダマイシン感受性株である。実施形態では、人間と動物の健康のためのカナダ科学センター(カナダの国際寄託機関)に寄託された、Bf1(受入番号040219-02)、Bf2(受入番号040219-03)、Bf3(受入番号040219-04)、および/またはBf4(受入番号040219-05)を含むバクテロイデスフラジリスを標的とすることが知られているバクテリオファージが本明細書において提供される。実施形態では、組成物は、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される1つ以上のバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される2つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される3つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、バクテリオファージBf1、Bf2、Bf3、およびBf4を含む。実施形態では、本明細書において提供される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0049】
[00053]一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のサルモネラ種を標的とする。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のサルモネラチフィ菌株を標的とする。実施形態では、バクテリオファージphSE-1、phSE-2、およびphSE-5を含む、サルモネラチフィを標的とすることが知られているバクテリオファージが、本明細書において提供される。実施形態では、本明細書において提供される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0050】
[00054]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のストレプトコッカス種を標的とする。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のストレプトコッカスボビス株を標的とする。実施形態では、Iversonら(Iversonら、Canadian Journal of Microbiology、1976、22(6):847~852頁)によって単離および特徴付けられるファージを含む、ストレプトコッカスボビスを標的とすることが知られているバクテリオファージが、本明細書において提供される。実施形態では、本明細書において提供される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0051】
[00055]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のクラミジア種を標的とする。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のクラミジアニューモニア株を標的とする。実施形態では、バクテリオファージφCPAR39を含むクラミジアニューモニアを標的とすることが知られているバクテリオファージが、本明細書において提供される。実施形態では、本明細書において提供される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0052】
[00056]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のマイコプラズマ種、例えばM.ホミニス(M.hominis)、M.ゲニタリウム(M.genitalium)、M.フェルメンタンス(M.fermentans)、M.ニューオモニア(M.pneuomonia)、およびM.マイコイデス(M.mycoides)を標的とする。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のマイコプラズマ株を標的とする。実施形態では、バクテリオファージphiMFV1およびMAV1を含む、マイコプラズマを標的とすることが知られているバクテリオファージが、本明細書において提供される。実施形態では、本明細書において提供される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0053】
[00057]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のヘリコバクター種(例えば、ヘリコバクターピロリ、ヘリコバクターヘパティクス)を標的とする。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のヘリコバクターピロリ株を標的とする。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のヘリコバクターヘパティクス株を標的とする。実施形態では、バクテリオファージKHP30、HP1、および1961Pを含むヘリコバクターを標的とすることが知られているバクテリオファージが、本明細書において提供される。実施形態では、本明細書において提供される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0054】
[00058]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のカンピロバクター種を標的とする。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上のカンピロバクタージェジュニ株を標的とする。実施形態では、バクテリオファージCP8、CP34、およびc/958を含む、カンピロバクタージェジュニを標的とすることが知られているバクテリオファージが、本明細書で提供される。実施形態では、本明細書において提供される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0055】
[00059]バクテリオファージEc34(受入番号040219-07)、Ec35(受入番号040219-08)、Ec45(受入番号040219-09)、およびEc57(受入番号040219-10)は、人間と動物の健康のためのカナダ科学センター(カナダの国際寄託機関)に寄託された。全ての寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約(Budapest Treaty on the International Recognition of the Deposit of Microorganisms for the Purposes of Patent Procedure)の規定に基づいて行われた。
【0056】
[00060]バクテリオファージBf1(受入番号040219-02)、Bf2(受入番号040219-03)、Bf3(受入番号040219-04)、および/またはBf4(受入番号040219-05)は、人間と動物の健康のためのカナダ科学センター(カナダの国際寄託機関)に寄託された。全ての寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の規定に基づいて行われた。
【0057】
[00061]実施形態では、本明細書で提供される組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される1つ以上のバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される2つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される3つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される4つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される5つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される6つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される7つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される8つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される9つのバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4から選択される10個のバクテリオファージを含む。実施形態では、組成物は、Ec34、Ec35、Ec45、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、およびBf4を含む。実施形態では、本明細書において提供される組成物は、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを除外する。
【0058】
[00062]本発明の組成物のバクテリオファージは、単一の治療用組成物(好ましくは)の形態で、または各々が組成物の1つ以上のメンバーを含む、いくつかの別個の組成物として提供されてもよい。バクテリオファージがいくつかの別個の組成物として提供される実施形態では、前記バクテリオファージは、対象に順次または同時に投与されてもよい。
【0059】
[00063]バクテリオファージ組成物中に2つ以上のバクテリオファージが存在する実施形態では、組成物は、組成物中の任意の他のバクテリオファージの量(例えば、濃度)と比較して、各バクテリオファージが1:10と10:1の間の比率(または終点を含むそれらの間の任意の部分値または部分範囲)で存在し得るように処方される。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約1:1の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約1:2の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約1:3の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約1:4の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約1:5の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約1:6の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約1:7の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約1:8の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約1:9の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約1:10の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約10:1の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約5:1の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約10:3の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約5:2の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約2:1の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約5:3の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約10:7の比率で存在する。実施形態では、各バクテリオファージは、組成物中の1つ以上の他のバクテリオファージと比較して、約5:4の比率で存在する。
【0060】
[00064]組成物に含めるためのバクテリオファージは、当技術分野において既知の任意の適切な方法によって増殖させることができる。例えば、1つ以上のバクテリオファージは、バクテリオファージの増殖を支援することができる宿主細菌株において別々に増殖されてもよい。典型的には、バクテリオファージは、前記宿主細菌株内で高濃度に増殖し、滴定され、組み合わされて組成物を形成する。(例えば、バクテリオファージ組成物、方法または使用において)使用される各バクテリオファージの量は、標的細菌種に対するその毒性に依存するであろう。
【0061】
[00065](例えば、本明細書に記載されるバクテリオファージ組成物、方法または使用において)使用される各バクテリオファージの量は、標的細菌分離株に対するその毒性に依存し得る。
【0062】
[00066]組成物の開発において、予め選択されたか、またはベースラインの細菌株、すなわち、組成物(例えば、パネル)の個々の予期されるメンバーの指標である細菌株、を使用してもよい。予め選択されたか、またはベースライン株は、バクテリオファージ組成物の1つの予期されるメンバーにより、他のメンバーよりも少なくとも1000倍多いプラーク形成を可能にし得る。このようにして、広範囲の細菌分離株に対して一貫して有効な組成物(例えば、パネル)を達成することができる。
【0063】
[00067]典型的には、1つ以上のバクテリオファージを組み合わせて、組成物mLあたり少なくとも約1×105、1×106、1×107、1×108、1×109または1×1010、または1×1011プラーク形成単位(PFU)の各ファージを含む組成物を形成することができる。組成物は、組成物mLあたり1×105から1×1011のPFUの各ファージを含んでもよい。実施形態では、組成物は、組成物mLあたり1×105から1×106PFU、1×105から1×107PFU、1×105から1×108PFU、1×105から1×109PFUまたは、1×105から1×1010PFUの各ファージを含んでもよい。実施形態では、組成物は、組成物mLあたり1×106から1×107PFU、1×106から1×108PFU、1×106から1×109PFU、1×106から1×1010PFU、または1×106から1×1011PFUの各ファージを含んでもよい。実施形態では、組成物は、組成物mLあたり1×107から1×108PFU、1×107から1×109PFU、1×107から1×1010PFU、または1×107から1×1011PFUの各ファージを含んでもよい。実施形態では、組成物は、組成物mLあたり1×108から1×109PFU、1×108から1×1010PFU、または1×108から1×1011PFUの各ファージを含んでもよい。実施形態では、組成物は、組成物mLあたり1×109から1×1010PFUまたは1×109から1×1011PFUの各ファージを含んでもよい。実施形態では、組成物は、組成物mLあたり1×1010から1×1011PFUの各ファージを含んでもよい。実施形態では、1つ以上のバクテリオファージを組み合わせて、組成物mLあたり1×105、1×106、1×107、1×108、1×109または1×1010、または1×1011PFUの各ファージを含む組成物を形成することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、等しい(または実質的に等しい)濃度の本明細書に含まれる各バクテリオファージを含む。適切な濃度には、終点を含めて、示された範囲内の任意の値または部分範囲が含まれる。
【0064】
[00068]いくつかの態様では、組成物中のバクテリオファージは精製されているか、または実質的に精製されている。
[00069]本発明の組成物に含めるためのバクテリオファージを選択する際には、国際公開第2013/164640号A1(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)に教示されている方法を使用してもよい。一実施形態では、方法は、a.2つ以上の異なるバクテリオファージを提供するステップであって、各バクテリオファージは、独立して、標的細菌種または株の増殖を遅延させるステップ;b.少なくとも2つのバクテリオファージを組み合わせるステップ;ならびにc.2つ以上の異なるバクテリオファージの組み合わせの存在下で、標的細菌種または菌株の増殖を決定するステップであって、標的細菌種または株の増殖条件が、ステップaおよびcにおいて同じであるか、または同等であるステップを含み、d.ここで、組み合わせが、バクテリオファージのいずれか1つによって独立して達成される最大の成長遅延と少なくとも等しく標的細菌種または株の成長を遅延させる場合、組み合わせは、バクテリオファージの組成物として受け入れられ;およびe.組み合わせがバクテリオファージのいずれか1つによって独立して達成される最大の成長遅延以下で標的細菌種または株の成長を遅延させる場合、その組み合わせは最初にバクテリオファージの組成物として拒絶される。
【0065】
[00070]実施形態では、組成物によって影響を受ける(すなわち、溶菌される、殺される)標的細菌の範囲は、組成物内に含まれる任意の単一のバクテリオファージによって影響を受ける標的細菌の範囲よりも広い。そのような活性は、相加的および/または相乗的であると考えられる。組成物の効果(標的殺傷範囲)が各成分バクテリオファージの個々の効果(標的殺害範囲)の合計よりも大きい場合、活性は相乗的であると考えられる。
【0066】
[00071]一実施形態では(代替的または追加的に)、「変異」バクテリオファージは、大腸菌ファージEc20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、およびEc57の1つ以上のいくつかまたは全て同じ標的細菌株を溶菌することができ、ならびに/またはさらに、1つ以上の追加の細菌株を溶菌することができる。一実施形態では、変異体は、大腸菌ファージEc20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、およびEc57の1つ以上の核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有してもよい。いくつかの実施形態では、変異体または変異は、1つ以上の大腸菌ファージと比較した場合に、そのゲノム全体にわたって少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有してもよい。一実施形態では、変異体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、および/または配列番号6と比較した場合に、そのゲノム全体にわたって少なくとも93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有してもよい。
【0067】
[00072]一実施形態では(代替的または追加的に)、「変異」バクテリオファージは、B.フラジリスファージBf1、Bf2、Bf3、およびBf4の1つ以上のいくつかまたは全て同じ標的細菌株を溶菌することができ、ならびに/またはさらに、1つ以上の追加の細菌株を溶菌することができる。一実施形態では、変異体は、B.フラジリスファージBf1、Bf2、Bf3、およびBf4の1つ以上の核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有してもよい。いくつかの実施形態では、変異体または変異は、1つ以上のB.フラジリスファージBf1、Bf2、Bf3、およびBf4と比較した場合に、そのゲノム全体にわたって少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有してもよい。
【0068】
[00073]実施形態では、「変異体」はバクテリオファージの子孫であってもよい。バクテリオファージ子孫は、本明細書に記載のバクテリオファージ(すなわち、「親バクテリオファージ」)を使用して標的細菌(例えば、発癌性細菌)を溶菌した後に得られるバクテリオファージであってもよい。換言すると、バクテリオファージ子孫は、第2(またはそれ以上)世代のバクテリオファージであってもよい。
【0069】
[00074]実施形態では、バクテリオファージ子孫は、例えば、Ec20、Ec34、Ec35、Ec45、Ec56、Ec57、Bf1、Bf2、Bf3、および/またはBf4を含む、本明細書に記載される1つ以上のバクテリオファージを、1つ以上のバクテリオファージが標的細菌に感染して溶菌するような標的細菌に接触させ;標的細菌の溶菌後に放出されるバクテリオファージを取得することによって得ることができる。バクテリオファージ子孫は、関連する親バクテリオファージと比較した場合、1つ以上のヌクレオチド変異を典型的には含む。
【0070】
[00075]本明細書で使用される「取得できる」という用語は、「得られた」という用語も包含する。一実施形態では、「取得できる」という用語は、取得されたことを意味する。
【0071】
[00076]バクテリオファージ組成物は、従来の抗菌剤および/またはがん治療薬の代替とすることができ、それに関連する1つ以上の問題を克服する。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、同時治療として、または従来の抗菌剤および/またはがん治療と組み合わせて利用することができる。
【0072】
[00077]いくつかの実施形態では、組成物は、抗生物質(例えば、化学抗生物質)をさらに含む。いくつかの実施形態では、標的細菌は、1つ以上の抗生物質に耐性がある。いくつかの実施形態では、標的細菌は、細菌バイオフィルムの存在を特徴とする。
【0073】
[00078]いくつかの実施形態では、組成物は、がん治療薬をさらに含む。いくつかの実施形態では、がん治療薬は、免疫治療薬を含む。一実施形態では、免疫療法剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。一実施形態では、免疫療法剤は、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗CD27、または抗IDO-1を含む。いくつかの実施形態では、がん治療薬は化学療法剤を含む。一実施形態では、化学療法剤は、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(capecitabine)、イリノテカン(irinotecan)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、トリフルリジン(Trifluridine)および/またはティピラシル(tipiracil)である。
【0074】
[00079]いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの組み合わせをさらに含む。一実施形態では、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの組み合わせは、マグネシウムまたはカルシウム塩を含む。
【0075】
[00080]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、保存のための保存剤を含む。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、凍結保護剤を含む。実施形態では、保存剤はグリセロールである。実施形態では、保存剤および/または凍結保護剤は、例えば、冷凍庫または超冷凍庫での保存中(例えば、約0℃から約-80℃、より好ましくは約-20℃から約-80℃、最も好ましくは約-80℃の温度で)に、または液体窒素中に、組成物を保存するために十分な量で組成物中に存在する。より好ましい実施形態では、保存剤は、例えば冷凍庫、超冷凍庫、または液体窒素中での長期保存の間に、組成物を保存するために十分な量で組成物中に存在する。一実施形態では、保存剤は、約5%と約50%の間のグリセロール;より好ましくは、約10%と約30%の間のグリセロール;最も好ましくは、約20%のグリセロールである。適切な濃度は、終点を含む、列挙された範囲内の任意の値または部分値であってもよい。
【0076】
[00081]実施形態では、組成物は、組成物の経口凍結乾燥、噴霧凍結乾燥、エアロゾル化製剤である。いくつかの実施形態では、組成物は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、マイクロカプセル化またはナノ送達システムを用いてか用いないで経口投与される。いくつかの実施形態では、組成物は坐剤として投与される。
【0077】
[00082]製剤
[00083]本明細書に記載されるバクテリオファージの1つ以上を含むか、または本質的にからなるバクテリオファージ組成物が、本明細書に提供される。いくつかの態様では、組成物は、例えば、細菌エンドトキシン、細菌宿主細胞成分および物質(例えば、タンパク質)などのような細菌成分を実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の偏性溶菌性バクテリオファージを含む。1つ以上のバクテリオファージは、核酸、例えば、1つ以上の配列番号1~6と85%~100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つ以上のファージは、配列番号1~6のいずれか1つと少なくとも85%であるが100%ではない核酸配列同一性を有する。個々の各バクテリオファージは、普遍形質導入を起こす傾向がないもの、および/または抗生物質耐性遺伝子を持たないものであってもよい。ファージは、天然に存在するかまたは天然に非存在であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、複数のバクテリオファージを含む組成物において、少なくとも1つは天然に存在し得るか、少なくとも1つは天然に非存在であり得るか、またはいずれも天然に存在し得ない。組成物は、任意選択で、凍結保護剤または賦形剤を含んでもよい。賦形剤は、例えば、ファージの効力を安定化させるか、または時間経過にわたる効力の損失を減少させることができる。
【0078】
[00084]いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるバクテリオファージ組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの組み合わせをさらに含む。適切な担体、希釈剤および/または賦形剤は、リン酸緩衝生理食塩水のような等張生理食塩水を含み得る。「薬学的に許容される賦形剤」および「薬学的に許容される担体」とは、対象への活性剤の投与および/または対象による吸収を支援する物質を指し、患者への大きな有害毒性効果を引き起こすことなく、本開示の組成物に含めることができる。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例には、水、NaCl、通常の生理食塩水、乳酸加リンガー液、通常のスクロース、ラクトース、ロイシン、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、コーティング剤、甘味料、香料、食塩水(リンガー液など)、アルコール、油、ゼラチン、ラクトース、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、および着色料などが含まれる。そのような調製物は、滅菌することができ、必要であるならば、例えば、本開示の化合物と有害に反応しない浸透圧、緩衝剤、着色、および/または芳香族物質などに影響を与えるために、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、塩などの補助剤と混合することができる。当業者は、他の医薬賦形剤が本開示において有用であることを認識するであろう。
【0079】
[00085]本明細書に記載のバクテリオファージ組成物は、経鼻、経口、非経口、筋肉内、静脈内、または皮下投与用に製剤化されてもよい。そのようなバクテリオファージ調製物は、直接使用するか、冷蔵するか、凍結乾燥させるか、任意選択で適切な凍結保護剤(例えば、20%グリセロール)とともに、水溶液または他の溶液で凍結保存するか、凍結乾燥および使用前に再水和させるか、または錠剤、乳濁液、軟膏、もしくは含浸した創傷被覆材もしくはその他のアイテムを含む(がそれらに限定されない)いくつかの他の製剤中に安定にさせるようにしてもよい。実施形態では、凍結保護剤(cyroprotectant)は、10~30%のグリセロールである。実施形態では、凍結保護剤は、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%グリセロールである。
【0080】
[00086]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、生理食塩水(例えば、マグネシウムを含むかまたは含まないリン酸緩衝生理食塩水)を含む。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、緩衝液を含む。実施形態では、緩衝液は、カルシウムまたはマグネシウム塩を含む。一実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水およびMgSO4を含む。緩衝液には、1mM~20mM MgSO4、2mM~19mM MgSO4、3mM~17mM MgSO4、4mM~16mM MgSO4、5mM~15mM MgSO4、6mM~14mM MgSO4、7mM~13mM MgSO4、8mM~12mM MgSO4、9mM~11mM MgSO4、または約10mM MgSO4が含まれる。濃度は、終点を含む、列挙された範囲内の任意の値または部分範囲であり得る。例えば、緩衝液には、約1mM MgSO4、約2mM MgSO4、約3mM MgSO4、約4mM MgSO4、約5mM MgSO4、約6mM MgSO4、約7mM MgSO4、約8mM MgSO4、約9mM MgSO4、約10mM MgSO4、約11mM MgSO4、約12mM MgSO4、約13mM MgSO4、約14mM MgSO4、約15mM MgSO4、約16mM MgSO4、約17mM MgSO4、約18mM MgSO4 、約19mM MgSO4、または約20mM MgSO4が含まれてもよい。実施形態では、緩衝液には、塩化カルシウム、CaCl2が含まれる。緩衝液には、1mg/L~20mg/L CaCl2、2mg/L~19mg/L CaCl2、3mg/L~17mg/L CaCl2、4mg/L~16mg/L CaCl2、5mg/L~15mg/L CaCl2、6mg/L~14mg/L CaCl2、7mg/L~13mg/L CaCl2、8mg/L~12mg/L CaCl2、9mg/L~11mg/L CaCl2、または約10mg/L CaCl2が含まれてもよい。例えば、緩衝液には、約1mg/L CaCl2、約2mg/L CaCl2、約3mg/L CaCl2、約4mg/L CaCl2、約5mg/L CaCl2、約6mg/L CaCl2、約7mg/L CaCl2、約8mg/L CaCl2、約9mg/L CaCl2、約10mg/L CaCl2、約11mg/L CaCl2、約12mg/L CaCl2、約13mg/L CaCl2、約14mg/L CaCl2、約15mg/L CaCl2、約16mg/L CaCl2、約17mg/L CaCl2、約18mg/L CaCl2、約19mg/L CaCl2、または約20mg/L CaCl2が含まれてもよい。
【0081】
[00087]バクテリオファージ組成物は、経鼻、経口、非経口、筋肉内、静脈内、または皮下投与用に製剤化されてもよい。そのようなバクテリオファージ調剤は、直接使用するか、任意選択で適切な凍結保護剤(例えば、10%スクロースまたはグリセロール)とともに、水溶液または他の溶液で凍結保存するか、冷蔵温度で保存するか、凍結乾燥して使用前に再水和するか、または錠剤、乳濁液、軟膏、または含浸した創傷被覆材または他のアイテムを含む(がこれらに限定されない)いくつかの他の製剤中に安定にさせてもよい。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、静脈内送達手段に含まれてもよい。
【0082】
[00088]いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は無菌である。そのような無菌製品は、対象における非経口投与に適している場合がある。
[00089]いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるバクテリオファージおよび/またはバクテリオファージ組成物/製剤を含む経口製剤が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、そのような経口製剤の方法および使用に関する。
【0083】
使用/使用方法
[00090](例えば、がんを治療または予防するための)薬剤としての1つ以上のバクテリオファージまたはバクテリオファージ組成物の使用が、本明細書において提供される。対象への1つ以上のバクテリオファージまたはバクテリオファージ組成物の投与を含む、疾患を治療する対応する方法もまた提供される。
【0084】
[00091]一態様では、細菌感染の治療に使用するためのバクテリオファージ組成物が提供される。関連する態様では、細菌感染症を治療する方法であって、細菌感染症を治療するための医薬品の製造におけるバクテリオファージ組成物の使用、ならびにバクテリオファージ組成物を対象に投与するステップを含む方法が提供される。
【0085】
[00092]一態様では、細菌関連がんを治療する方法であって、がんに関連する細菌の感染が確認された対象を選択するステップ、および本明細書に記載のバクテリオファージ組成物を投与するステップを含む方法が、本明細書において提供される。一実施形態では、方法は、がんに関連する細菌の感染を有する対象を選択するステップを含む。実施形態では、方法は、結腸直腸がんを有する患者を選択するステップを含む。実施形態では、方法は、pks+大腸菌感染を有する患者を選択するステップを含む。実施形態では、方法は、pks+大腸菌感染を有する患者を選択するステップを含む。実施形態では、方法は、pks+大腸菌株感染を有する患者を選択するステップを含む。実施形態では、方法は、大腸菌細菌による感染に起因する結腸直腸がんを有する患者を選択するステップを含む。実施形態では、方法は、バクテロイデスフラジリス感染を有する患者を選択するステップを含む。実施形態では、方法は、B.フラジリスのクリンダマイシン耐性感染を有する患者を選択するステップを含む。実施形態では、方法は、B.フラジリスのクリンダマイシン感受性感染を有する患者を選択するステップを含む。実施形態では、方法は、B.フラジリス細菌による感染に起因する結腸直腸がんを有する患者を選択するステップを含む。
【0086】
[00093]実施形態では、対象は、1つ以上の追加のがんに対する遺伝的素因を有する。いくつかの実施形態では、対象は、患者をがんに罹りやすくする遺伝子変異についてスクリーニングされている。いくつかの実施形態では、遺伝子変異は家族性大腸腺腫症である。
【0087】
[00094]がんは、細菌種または株による感染に起因することが知られているかまたは疑われる任意のがんであってもよい。本明細書に記載の組成物および方法によって治療することができるがんまたは腫瘍には:胆道がん;神経膠芽腫および髄芽腫を含む脳がん;乳がん;子宮頸がん;絨毛癌;大腸がん;子宮内膜がん;食道がん、胃がん;急性リンパ性および骨髄性白血病を含む血液学的新生物;多発性骨髄腫;エイズ関連白血病および成人T細胞白血病リンパ腫;ボーエン病およびパジェット病を含む上皮内新生物;肝臓がん(肝癌);肺がん;ホジキン病およびリンパ球性リンパ腫を含むリンパ腫;神経芽細胞腫;扁平上皮癌を含む口腔がん;上皮細胞、間質細胞、生殖細胞および間葉系細胞から生じるものを含む卵巣がん;膵臓がん;前立腺がん;直腸がん;平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫および骨肉腫を含む肉腫;黒色腫、カポジ肉腫、基底細胞がんおよび扁平上皮がんを含む皮膚がん;胚性腫瘍(セミノーマ、非セミノーマ[奇形腫、絨毛癌])、間質性腫瘍、生殖細胞腫瘍を含む精巣がん;甲状腺腺癌および髄様癌を含む甲状腺がん;ならびに腺癌およびウィルムス腫瘍を含む腎がんが含まれるが、これらに限定されない。重要な実施形態では、がんまたは腫瘍には、乳がん、リンパ腫、多発性骨髄腫、および黒色腫が含まれる。実施形態では、がんは、結腸直腸がん、食道がん、胆嚢がん、肺がん、扁平上皮癌、膀胱がん、胃がん、またはMALTリンパ腫である。実施形態では、がんは結腸直腸がんである。実施形態では、がんは食道がんである。実施形態では、がんは胆嚢がんである。実施形態では、がんは肺がんである。実施形態では、がんは扁平上皮癌である。実施形態では、がんは膀胱がんである。実施形態では、がんは胃がんである。実施形態では、がんはMALTリンパ腫である。
【0088】
[00095]いくつかの実施形態では、感染は、細菌バイオフィルムの存在を特徴とする。いくつかの実施形態では、細菌感染は慢性的である。いくつかの実施形態では、細菌感染は急性である。
【0089】
[00096]いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の抗生物質に応答しない細菌感染症を有する。いくつかの実施形態では、対象は、標準治療の抗生物質に反応しない細菌感染症を有する。
【0090】
[00097]実施形態では、対象からの1つ以上の細菌分離株は、投与前に細菌組成物への感受性について試験される。
[00098]本明細書で使用する場合、「治療有効量」は、細菌感染(またはその症状)を治療するために対象に単独でまたは組み合わせて投与した場合の、その感染、またはその症状のそのような治療を達成させるのに十分な組成物の任意の量である。
【0091】
[00099]本明細書で使用される場合、「予防的有効量」は、単独でまたは組み合わせて対象に投与される場合の、細菌感染(またはその症状)の発症または再発を阻害または遅延する組成物の任意の量である。いくつかの実施形態では、予防的有効量は、細菌感染の発症または再発を完全に防止する。発症を「阻害する」とは、細菌感染の発症(またはその症状)の可能性を減らすか、発症を完全に防ぐことを意味する。
【0092】
[000100]適切な用量範囲は、所望の治療効果を生じるものである(例えば、組成物は、治療的または予防的有効量で投与される)。
[000101]一実施形態では、対象は、細菌関連がん(例えば、結腸直腸がん)を有するヒト対象である。実施形態では、組成物は、組成物のmLあたり1×105から1×1011のPFUの各ファージを含む。実施形態では、組成物は、組成物のmLあたり1×105から1×106PFU、1×105から1×107PFU、1×105から1×108PFU、1×105から1×109PFU、または1×105から1×1010PFUの各ファージを含む。実施形態では、組成物は、組成物のmLあたり1×106から1×107PFU、1×106から1×108PFU、1×106から1×109PFU、1×106から1×1010PFU、または1×106から1×1011PFUの各ファージを含む。実施形態では、組成物は、組成物のmLあたり1×107から1×108PFU、1×107から1×109PFU、1×107から1×1010PFU、または1×107から1×1011PFUの各ファージを含む。実施形態では、組成物は、組成物のmLあたり1×108から1×109PFU、1×108から1×1010PFU、または1×108から1×1011PFUの各ファージを含む。実施形態では、組成物は、組成物のmLあたり1×109から1×1010PFUまたは1×109から1×1011PFUの各ファージを含む。実施形態では、組成物は、組成物のmLあたり1×1010から1×1011PFUの各ファージを含み得る。
【0093】
[000102]実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物のmLあたり少なくとも約1×105PFUの各ファージ、少なくとも約1×106PFUの各ファージ、少なくとも約1×107PFUの各ファージ、少なくとも約1×108PFUの各ファージ、少なくとも約1×109PFUの各ファージ、少なくとも約1×1010PFUの各ファージ、または少なくとも約1×1011PFUの各ファージの用量で対象に投与される。実施形態では、1つ以上のバクテリオファージを組み合わせて、組成物のmLあたり1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、または1×1010または1×1011PFUの各ファージを含む組成物を形成してもよい。用量には、終点を含む、列挙された範囲内の任意の値または範囲が含まれる。
【0094】
[000103]いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるバクテリオファージ組成物は、少なくとも約1×105PFUの総ファージ、少なくとも約1×106PFUの総ファージ、少なくとも約1×107PFUの総ファージ、少なくとも約1×108PFUの総ファージ、少なくとも約1×109PFUの総ファージ、少なくとも約1×1010PFUの総ファージ、または少なくとも約1×1011PFUの総ファージの用量で対象に投与される。バクテリオファージ組成物は、組成物のmLあたり約1×105から約1×1011PFUの間の総ファージの用量で投与される。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物のmLあたり約1×105から約1×106の間のPFU、約1×105から約1×107の間のPFU、約1×105から約1×108の間のPFU、約1×105から約1×109の間のPFU、または約1×105から約1×1010の間のPFUの総ファージの用量で投与される。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物のmLあたり約1×106から約1×107の間のPFU、約1×106から約1×108の間のPFU、約1×106から約1×109の間のPFU、約1×106から約1×1010の間のPFU、または約1×106から約1×1011の間のPFUの総ファージの用量で投与される。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物のmLあたり約1×107から約1×108の間のPFU、約1×107から約1×109の間のPFU、約1×107から約1×1010の間のPFU、または約1×107から約1×1011の間のPFUの各ファージの用量で投与される。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物のmLあたり約1×108から約1×109の間のPFU、約1×108から約1×1010の間のPFU、または約1×108から約1×1011の間のPFUの総ファージの用量で投与される。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物のmLあたり約1×109から約1×1010の間のPFU、または約1×109から約1×1011の間のPFUの総ファージの用量で投与される。実施形態では、バクテリオファージ組成物は、組成物のmLあたり約1×1010から約1×1011の間のPFUの総ファージの用量で投与される。用量は、ミリリットル組成物あたり3x109PFUであってもよい。用量には、終点を含む、列挙された範囲内の任意の値または範囲が含まれる。
【0095】
[000104]いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、毎日少なくとも1回、2回、3回、または4回投与される。適切には、バクテリオファージ組成物は、1日2回投与されてもよい。したがって、一実施形態では、少なくとも約1×105PFUの各ファージの用量が、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与される。したがって、一実施形態では、少なくとも約1×106PFUの各ファージの用量が、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与される。別の実施形態では、少なくとも約1×107PFUの各ファージが、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与される。さらなる実施形態では、少なくとも約1×108PFUの各ファージが、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与される。別の実施形態では、少なくとも約1×109PFUの各ファージが、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与される。別の実施形態では、少なくとも約1×1010PFUの各ファージが、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与される。別の実施形態では、少なくとも約1×1011PFUの各ファージが、少なくとも1日1回、2回、3回、または4回投与される。約1×105PFUの各ファージから約1×1011PFUの各ファージの用量範囲は、1日少なくとも1回、2回、3回、または4回投与することができる。好ましくは、約1×107PFUの各ファージ~約1×109PFUの各ファージの用量範囲は、1日少なくとも1回、2回、3回、または4回投与されてもよい。
【0096】
[000105]いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、2時間ごと、4時間ごと、6時間ごと、8時間ごと、12時間ごと、24時間ごと、48時間ごと、または72時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は2時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は4時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、6時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、8時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、12時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、24時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、48時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、72時間ごとに投与される。投与頻度は、終点を含む、列挙された範囲内の任意の値または範囲を含む。
【0097】
[000106]いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、または10週間以上、投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は少なくとも1日投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも1週間投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも2週間投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも3週間投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも4週間投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも5週間投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも6週間投与される。いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、約3日から約100日の間投与される。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、約7日から約60日間投与される。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、約14日から約30日間投与される。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、約3日から約28日間投与される。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、少なくとも14日間投与される。一実施形態では、バクテリオファージ組成物は、14日を超えて投与される。投与期間には、終点を含め、列挙された範囲内の任意の値または範囲が含まれる。実施形態では、治療を予防的に送達して(すなわち、細菌が検出される場合、がんに対する遺伝的素因があるが、がんはまだ検出されていない)腸を除染してもよい。これらの例では、除菌の期間は、上記の治療期間と同じくらいの長さであり得る。
【0098】
[000107]医薬として使用するためのバクテリオファージ組成物は、治療される状態に基づいて選択される任意の経路によって投与されてもよい。一実施形態では、投与経路は、経鼻、経口、肺、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮、眼内、耳内またはそれらの組み合わせである。実施形態では、投与経路は経口である。組成物は、複数の経路、例えば経口および静脈内を介して患者に投与されてもよい。
【0099】
[000108]一実施形態では、抗生物質(適切には化学抗生物質)を、本発明のバクテリオファージ組成物と組み合わせて投与してもよい。抗生物質およびバクテリオファージの組み合わせ投与は、国際公開第2008/110840号および国際公開第2005/009451号に教示されており、その教示は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。抗生物質は、バクテリオファージ組成物と同時または順次に投与されてもよい。適切には、抗生物質治療が始まる前にバクテリオファージの複製が確立されるように、組成物の後に1つ以上の抗生物質を投与してもよい。この場合、抗生物質治療は、1つ以上のバクテリオファージの適用から1時間または1日以上、例えば1から2、3、4、5、6、7、8、9または10日遅延してもよい。組成物の各メンバーが異なる株特異性を示す複数のバクテリオファージを含むバクテリオファージ組成物が使用される場合、組成物の少なくとも一部(例えば、1つ以上のバクテリオファージ)が細菌感染を標的にすることができれば十分であろう。
【0100】
[000109]したがって、いくつかの実施形態では、バクテリオファージ組成物は、1つ以上の化学抗生物質などの1つ以上の抗生物質を含む。抗生物質は、前記抗生物質に対する標的種または株の感受性に基づいて選択されてもよい。適切には、種または株は、治療される対象に存在する種または株と同じであり得る。一実施形態では、種または株は、抗生物質感受性について治療および試験される対象から採取される。感度は、当技術分野で既知のインビトロ感度アッセイによって決定することができる。
【0101】
[000110]あるいはまたはさらに、(例えば、細菌バイオフィルムの一部として)治療される細菌感染症と一緒に存在することが知られている(または存在する可能性が高いと考えられる)細菌に対して活性であることが知られているという理由で、抗生物質を選択することができる。
【0102】
[000111]一実施形態では、限定することなく、抗生物質は、ペニシリン、リンコサミド、モノバクタム、セファレキシン、マクロライド、フルオロキノロン、スルホンアミド、テトラサイクリン、セファロスポリン、セファマイシン、カルバペネム、グリシルサイクリン、フェニコール、葉酸経路阻害剤、ポリミキシン、ホスホン酸、ニトロイミダゾール、またはアミノグリコシドから選択される1つ以上である。
【0103】
[000112]一実施形態では、本発明の使用または方法は、a.バクテリオファージ組成物の対象へのインビボでの投与;b.感染(例えば、対象に存在する)または同じ株による別の感染からの細菌細胞の試料の1つ以上の抗生物質に対する感受性のインビトロモニタリング;およびc.前記1つ以上の抗生物質に対する前記感受性が誘導されていることが確立された場合、前記1つ以上の抗生物質の投与を含む。
【0104】
[000113]一実施形態では、抗生物質(例えば、化学抗生物質)は、サンプリングされた細菌の抗生物質に対する感受性が組成物によって誘導される期間に投与される。いくつかの実施形態では、期間は、少なくとも12、24または48時間であり得る。他の実施形態では、バクテリオファージ組成物および抗生物質は、1日から2ヶ月間隔で、好ましくは1から4週間間隔で、適切には2週間間隔で投与されてもよい。
【0105】
[000114]実施形態では、本明細書に記載の組成物を投与することにより、抗生物質に対する感受性を回復させる方法が、本明細書において提供される。実施形態では、本明細書に記載の組成物を投与することによってバイオフィルムを破壊する方法が、本明細書において提供される。実施形態では、本明細書で説明される組成物を投与することによってバイオフィルムを破壊する方法が、本明細書において提供される。
【0106】
[000115]いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるバクテリオファージ組成物は、少なくとも1つの追加のがん治療とともに投与されてもよい。一実施形態では、少なくとも1つの追加のがん治療は免疫療法剤を含む。免疫療法剤には、例えば、限定されずに、チェックポイント阻害剤、抗腫瘍抗体(治療抗体)、がんワクチン、および免疫系を増強する他のがん治療が含まれる。一実施形態では、免疫療法剤は、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗CD27、または抗IDO-1を含む。PD-1阻害剤の例には、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)、ニボルマブ(nivolumab)、ピジリズマブ(pidilizumab)、AMP-224、AMP-514、およびPDR001が含まれるが、これらに限定されない。PD-L1阻害剤の例には、アテゾリズマブ(atezolizumab)、アベルマブ(avelumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、およびBMS-936559が含まれるが、これらに限定されない。
【0107】
[000116]いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の薬剤は化学療法剤を含む。一実施形態では、化学療法剤は、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、イリノテカン、オキサリプラチン、トリフルリジンおよび/またはティピラシルである。追加の免疫療法剤および化学療法剤を含む追加の抗がん剤は、当技術分野で周知である。
【0108】
[000117]抗がん剤のタイプおよび投与は、熟練した臨床医によって決定され得る。例えば、限定されることなく、胃がんに対して承認された抗がん剤には、シラムザ(Cyramza)(ラムシルマブ(Ramucirumab))、ドセタキセル(Docetaxel)、塩酸ドキソルビシン(Doxorubicin)、5-FU(フルオロウラシル注射)、フルオロウラシル注射、ハーセプチン(Herceptin)(トラスツズマブ(Trastuzumab))、マイトマイシンC(Mitomycin C)、ミトザイトレックス(Mitozytrex)(マイトマイシンC)、ムタマイシン(Mutamycin)(マイトマイシンC)、ラムシルマブ、タキソテール(Taxotere)(ドセタキセル)、トラスツズマブ、FU-LV、TPF、XELIRIが含まれる。結腸および/または直腸がんに対して承認された抗がん剤には、例えば、限定されることなく、アバスチン(Avastin)(ベバシズマブ(Bevacizumab))、カンプトサール(Camptosar)(塩酸イリノテカン(Irinotecan))、カペシタビン(Capecitabine)、セツキシマブ(Cetuximab)、シラムザ(ラムシルマブ)、エロキサチン(Eloxatin)(オキサリプラチン(Oxaliplatin))、アービタックス(Erbitux)(セツキシマブ)、5-FU(フルオロウラシル注射)、フルオロウラシル注射、塩酸イリノテカン、ロイコボリンカルシウム(Leucovorin Calcium)、ロンサーフ(Lonsurf)(トリフルリジン(Trifluridine)およびティピラシル(Tipiracil)塩酸塩)、ニボルマブ(Nivolumab)、オプジボ(Opdivo)(ニボルマブ)、オキサリプラチン、パニツムマブ(Panitumumab)、ラムシルマブ、スティバルガ(Stivarga)(レゴラフェニブ)、トリフルリジンおよびティピラシル塩酸塩、ベクティビックス(Vectibix)(パニツムマブ(Panitumumab))、ウェルコボリン(Wellcovorin)(ロイコボリンカルシウム)、ゼローダ(Xeloda)(カペシタビン(Capecitabine))、ザルトラップ(Zaltrap)(Ziv-Aflibercept)、Ziv-Aflibercept、CAPOX、FOLFIRI、FOLFIRI-BEVACIZUMAB、FOLFIRI-CETUXIMAB、FOLFOX、FU-LV、XELIRI、およびXELOXが含まれる。
【0109】
[000118]本発明はまた:本発明によるバクテリオファージ組成物;および(例えば、医学における)その使用のための使用説明書を含むキットを提供する。キットは、抗生物質(例えば、化学的抗生物質)、免疫療法剤、または化学療法剤などの追加の薬剤、および任意選択でバクテリオファージ組成物と組み合わせて使用するための使用説明書をさらに含んでもよい。
【0110】
[000119]一実施形態では、使用説明書は、本明細書に記載される本発明のバクテリオファージ組成物を投与するための詳細を提供する。
[000120]別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。Singletonら、DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY、20版、John Wiley and Sons、ニューヨーク(1994)、およびHale&Marham、THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY、Harper Perennial、ニューヨーク(1991)は、この開示において使用される多くの用語の一般的な辞書を技術者に提供する。
【0111】
[000121]本開示は、本明細書に開示される例示的な方法および材料によって限定されることなく、本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法および材料を、本開示の実施形態の実践または試験において使用することができる。数値範囲には、範囲を定義する数値が含まれる。本明細書で提供される見出しは、明細書を全体として参照することにより得られる本開示の様々な態様または実施形態を限定することはない。
【0112】
[000122]例示的な実施形態がより詳細に説明される前に、本開示は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然のことながら変化し得ることを理解されたい。本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるが故に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、限定を意図したものではないこともまた理解されたい。
【0113】
[000123]値の範囲が提供される場合、文脈が明確に指示しない限り、その範囲の上限と下限との間に、下限の単位の10分の1の各介在値もまた具体的に開示されると理解されよう。記載された範囲内の任意の記載値または介在値と、その記載された範囲内の他の記載値または介在値との間の各々のより小さい範囲は、本開示内に包含される。これらのより小さな範囲の上限と下限は、独立して範囲に含まれてもよいし、または除外されてもよく、より小さい範囲にどちらか一方の限界が含まれている、いずれの限界も含まれていない、または両方の限界が含まれている各範囲も、記載された範囲内における任意の限界の具体的除外の下で、本開示内に包含される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合には、それらの含まれた限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、本開示に含まれる。
【0114】
[000124]本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日以前のその開示としてのみ提供される。本明細書中のいかなるものも、そのような刊行物が本明細書に添付された特許請求の範囲に対する先行技術を構成することの承認と解釈されるべきではない。本明細書で参照される全ての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
[000125]以降、単なる例示として、以下の図および実施例を参照して、本発明を説明する。
【実施例】
【0116】
実施例1
バクテリオファージカクテルの構築
[000126]最近の多様な大腸菌臨床分離株のパネルに対して幅広い活性を併せ持つ2から4つのバクテリオファージのカクテルが、動物の研究において使用される。例示的な方法では、好ましくは生産サイクル中に内因性プロファージを放出しない1つ以上の製造宿主(例えば、大腸菌株番号SPS69、SPS759、SPS765、SPS932)を使用して、ファージ溶菌物が調製される。培養物は、ファージを添加する前にバイオリアクター中でOD6000.2になるまで培養させる。37℃でのインキュベーションを続けて、少なくとも60分ごとに吸光度を読む。培養物は細菌溶菌の後に収穫され、不純物はいくつかのろ過ステップでファージから分離され、その後、最終的なファージ力価が≧1×1011PFU/mLになるように宿主細胞タンパク質や宿主細胞DNAなどの残骸を減少させることができるクロマトグラフィーステップが続く。プロセスの最後で、バッファーを交換し、全ての材料をフィルター滅菌し(0.22pmフィルター)、2~8℃で保存する。プラークアッセイは、ファージストックの力価測定に使用できる(Carlson,K.、E.KutterおよびA.Sulakvelidze(編)、Bacteriophages:Biology and Application、(2005)437~494頁、CRC Press、Boca Raton、FL.、Hyman,P.ら、Meth. Mol. Biol.(2009)501:175~202頁)。精製されたファージサンプルを1:10、1:100、または1:1000に希釈して投薬溶液を取得し、その後、各ファージが最終カクテルにファージあたり所望の濃度(例えば、約2x1010 2x109または2x108PFU/mL))で存在するように混合する。最終エンドトキシンレベルが決定される。
【0117】
実施例2
ファージの分離と特徴付け
[000127]以下の実験は、前臨床モデルにおいて、バクテリオファージが大腸菌およびB.フラジリスによって駆動されるがんの標的療法としての可能性を評価するために行われた。
【0118】
[000128]関連の細菌株は、ジョンズホプキンス大学から提供された。3つの細菌株を受け取った。1.バクテロイデスフラジリス086(クリンダマイシン耐性)-AmpliPhi ID番号2849;2.バクテロイデスフラジリスNCTC 9343(クリンダマイシン感受性)-AmpliPhi ID番号2850;3.大腸菌PL1(pks+大腸菌)-AmpliPhi ID番号2851。
【0119】
[000129]バクテロイデスファージの単離および特徴付け
[000130]バクテロイデスフラジリス株を、JHUの要求に応じてヘミン(Hemin)およびビタミンK1を補充したBHI/酵母エキス/L-システイン寒天プレート上で嫌気的に増殖させ、両方のビーズ上および30%グリセロール/BHI培養液中でストックを調製した。ストックは-80℃で冷凍保存した。
【0120】
[000131]バクテロイデスフラジリス分離株についてファージ分離が行われた。シドニー(オーストラリア)地域からの下水サンプルを使用して、B.フラジリスID番号2849に対してファージが首尾よく分離された。(プラークの形態の差異と下水サンプルの起源に基づいて予備的に選ばれた)4つの選択されたファージのプラーク精製が行われ、マスターストックがファージ緩衝液中に調製された。バクテロイデスフラジリス086(ID番号2849)を標的とする、バクテロイデスフラジリスファージBf1、Bf2、Bf3およびBf4のマスター研究ストックは、プレート法によって増殖され、表1に記載されるようにさらに特徴付けられた。
【0121】
[000132]プレート法:ヘミンおよびビタミンK1を補充したBHI/酵母抽出物/L-システイン寒天プレートを使用して、ファージを増殖させた。「コンフルエントな溶菌」を有するプレートを与える可能性が高いバクテリオファージの希釈液を調製し、バクテロイデスフラジリス086(ID番号2849)のヘミンおよびビタミンK1ブロス培養液を補充したオーバーナイトBHI/酵母エキス/L-システインのアリコートと混合した。水浴で47.5℃(+/-2.5)に調整したヘミンとビタミンK1で補充した3mLのBHI/酵母エキス/L-システイン半固体の寒天を、BHI/酵母エキス/L-システイン寒天プレートの表面に塗布した。プレートを嫌気性条件下、37℃で一晩インキュベートした。マグネシウム塩(SM)緩衝液を4℃でプレートに加え、オーバーナイトでバクテリオファージを溶出させた。溶出したファージを0.22μm PESフィルターでろ過し、4℃で保存した。
【0122】
[000133]
【0123】
【0124】
[000134]クリンダマイシン(Clindamysin)感受性バクテロイデスフラジリス(ID番号2850)に対するファージBf1、Bf2、Bf3およびBf4の活性は、スポットテスト法により行われた。
【0125】
[000135]方法:ファージ活性をスポットテスト法により評価した(小滴寒天オーバーレイ法(Mazzocco、2009)の改訂)。手短に述べれば、プランクトン様の細菌培養物を溶融希釈寒天と混合し、寒天プレート上に均一に注いだ。トップ寒天層を設置し、標準ファージ溶液の連続希釈液を表面上にスポットし、プレートを37℃で一晩インキュベートした。ファージ活性は、ファージ試料が希釈されるに際するファージ適用部位での細菌菌叢のクリアリング、および個々のプラークの発達によって示された。株は、サンプルが希釈されたときに個別のプラークが観察され、細胞死に加えてファージの複製が示された場合にのみ感受性があると見なされた。
【0126】
[000136]結果を表2に示す。B.フラジリスID番号2849に対して単離された2つのファージBf1およびBf3は、B.フラジリスID番号2850に対しても活性であった。
【0127】
[000137]
【0128】
【0129】
[000138]ブロス培養液におけるインビトロ活性の確認
[000139]時間経過にわたるファージ感染プロセスを理解する試みにおいて、4つのB.フラジリスファージの活性をまた、液体培養物においてインビトロで評価した。
【0130】
[000140]方法:96ウェル培養プレートは、ヘミンとビタミンK1培養液を補充したBHI/酵母抽出物/L-システイン中の200μlのB.フラジリスID番号2849またはB.フラジリスID番号2850の1/100のオーバーナイト培養物を含む各試験ウェルで調製された。20μlのファージBf1~Bf4および20μlのファージ混合物(全ての4ファージ)を適切なウェルに加え、細菌のみを含む対照ウェルを含めた。プレートを嫌気的に21時間インキュベートした。SpectrostarプレートリーダーでTime=0に、さらにT=6時間とT=21時間に500~700nmのOD読み取り値(細胞増殖プログラム)を取得した。
【0131】
[000141]B.フラジリスID番号2849のブロス培養液で得られた結果は、各ファージおよび混合物を用いたスポット試験で見られた細菌の増殖を阻害する結果を反映している(
図1)。
【0132】
[000142]スポット試験では、Bf1およびBf3のみがB.フラジリスID番号2850に対して活発な増殖を示した。ブロス培養液での結果は、Bf1、Bf3およびファージ混合物が細菌の増殖を妨げることを示し、スポット試験での固形培地で見られた結果を反映した(
図2)。
【0133】
[000143]B.フラジリスファージのpH安定性試験
[000144]4つのファージの低pHでの安定性を試験して、マウスモデルにおける強制経口投与および臨床における潜在的な経口送達に対するそれらの適合性を決定した。
【0134】
[000145]方法:4つのファージのそれぞれを、SM緩衝液pH7.5で希釈して、109PFU/mLのおよその出発濃度を得た。次に、ファージをこの出発物質からSM緩衝液pH7.5(中性)およびSM緩衝液pH3.0(低)で1/10に希釈した。37℃で1時間のインキュベーション後、試料をSB緩衝液(pH7.5)で連続的に希釈し、上記のスポット試験で力価を評価した。結果を表3に示す。
【0135】
[000146]
【0136】
【0137】
[000147]バクテロイデスファージBf1、Bf2、Bf3およびBf4は、37℃で1時間の低pH3.0に対して耐性であり、それらを経口送達のための良い候補とする。
実施例3
大腸菌ファージの単離および特徴付け
[000148]pks+大腸菌株を、栄養寒天上で増殖させ、ストックを両方のビーズ上で、および30%グリセロール/栄養培養液中で調製した。ストックは-80℃で冷凍保存した。
【0138】
[000149]上に短く列挙され、大腸菌研究産物中の潜在的な治療成分として同定された4つの大腸菌ファージ(Ec34、Ec35、Ec45、およびEc57)を用いて、標的大腸菌株(pks+大腸菌)AmpliPhi ID番号2851を(上記のように)スポット試験した。
【0139】
[000150]これらのファージの全ては、形質導入の潜在性がほぼ無い偏性溶菌性であると予測され、薬物耐性または細菌毒性遺伝子はそれらのゲノムで同定されなかった。
[000151]
【0140】
【0141】
[000152]
【0142】
【0143】
[000153]ブロス培養液におけるインビトロ活性の確認
[000154]方法:各試験ウェルが、栄養培養液中に大腸菌PL1(pks+大腸菌)AmpliPhi ID番号2851の1/100オーバーナイト培養物の200μlを含む、96ウェル培養プレートを調製した。20μLのファージEc34、Ec35、Ec45およびEc57とファージ混合物D(Ec34、Ec45、およびEc57の組み合わせ)を適切なウェルに加えた。細菌のみを含む対照ウェルが含まれた。プレートをSpectrostarプレートリーダーに設置し、振とうしながら37℃でインキュベートした。600nmでのODの読み取り値を15分ごとに16時間、取得した。
【0144】
[000155]大腸菌(pks+大腸菌)の増殖 - AmpliPhi ID番号2851は、個々のファージEc34、Ec35、およびEc57によって一部減少した。Ec45は細菌の増殖に影響が見られなかった。
【0145】
[000156]増殖は混合物D(Ec34、Ec35、およびEc57)によって完全に妨げられた。これは、3ファージの組み合わせの集団的な殺菌効果が、個々のファージによる単純な相加効果よりも大きかったことを示している。
【0146】
実施例4
マウスモデルにおける有効性の実証
[000157]前臨床モデル(結腸直腸がんのAOMマウスモデル)における大腸菌標的化ファージおよび/またはB.フラジリス標的化ファージの試験を行うことで、有効性の証拠(生存への影響)を実証し得る。
【0147】
[000158]特定の無菌(SPF)C57BL/6Jマウスを、AOM(アゾキシメタン(Azoxymethane))(毎週10mg/kgを6週間)で処置する。AOMはマウスとラットに大腸がんを誘発する。AOMは、マウスの収穫時まで毎週与えられる。細菌株の接種前に、6週齢のマウスに500mg/Lのセフォキシチン(cefoxitin)を含む水を48時間与える。セフォキシチン処理により、培養または16S rRNA qPCRにより24時間までに検出可能な細菌が存在しなくなる(C.E.DeStefano Shields,S.W.Van Meerbeke,F.Housseau,H.Wang,D.L.Huso,R.A.Casero Jr.,H.M.O’Hagan,C.L.Sears,Reduction of murine colon tumorigenesis driven by enterotoxigenic Bacteroides fragilis using cefoxitin treatment. J. Infect. Dis. 214,122~129頁(2016))。24時間、抗生物質水を除去した後、マウスに108コロニー形成単位(cfu)のETBFまたは108cfuのpks+大腸菌または各系統の108cfuを含む混合物を強制経口投与により接種する。糞便の収集および選択培地での培養により、コロニー形成が確認され、定量化される。
【0148】
[000159]本明細書で提供される組成物によるバクテリオファージ処置は、実験マウスのサブセットで提供されてもよい。バクテリオファージで処置したマウスと未処理のマウスの生存率の分析を行うことができる。
【0149】
実施例5
バクテリオファージ処置がGIミクロバイオームに及ぼす影響を評価する
[000160]大腸菌および/またはB.フラジリスの病原性菌株を排除することにより、同じ種の良性菌株によるミクロバイオームの再増殖をもたらすか否かを試験するために、ミクロバイオーム分析が行われる。
【0150】
[000161]ミクロバイオーム分析のプロトコルが記載されている(例えば、Front Cell Infect Microbiol.2018;8:301)。そのようなプロトコルの1つには、糞便の回収、DNA抽出、16S rRNA遺伝子V4領域配列決定が含まれる。これらの実験では、糞便の回収が行われ、試料は保存剤無しで、-20℃で直ちに凍結される。あるいは、OMNIgene GUT、95%エタノール、RNAlater、およびFlinders Technology Associates(FTA)カードなどの試薬を利用することもできる。バクテリオファージ治療がミクロバイオームプロファイルに及ぼす影響を評価するために、患者からの試料には、バクテリオファージ治療の前後が含まれる。
【0151】
[000162]標準的なDNA抽出法が利用される。そのような方法の1つには、PowerLyzer PowerSoil DNA単離キット(MO BIO laboratories Inc.、Carlsbad、CA)を用いる、製造業者のプロトコルに従った糞便試料からの全DNA抽出が含まれる。DNAはカラム精製によって単離され、100μLの溶出緩衝液(Solution C6)中に回収される。
【0152】
[000163]PCR増幅は、例えば、プライマー16SV4_515Fおよび16SV4_806Rを使用して、16S rRNA遺伝子のV4超可変領域で行われ得る(Caporaso J.G.,Lauber C.L.,Walters W.A.,Berg-Lyons D.,Huntley J.,Fierer N.ら(2012))。illumina HiSeqおよびMiSeqプラットフォームでの超ハイスループット微生物群集分析。ISME J.6、1621~1624)各々12bpの固有Golayバーコードを持ち、各々のフォワードプライマーとリバースプライマーのペアに固有デュアルバーコードが生成される。PCR反応は、95℃で5分の初期変性;続いて、95℃で1分間、55℃で1分間、68℃で1分間の15サイクル;続いて、95℃で1分間、60℃で1分間、68℃で1分間の15サイクル;および68℃で10分間の最終伸長などの適切な熱サイクル条件を使用して、抽出されたDNAに対して行われる。
【0153】
[000164]二重指標化PCR産物を単離し、組み合わせ、そしてプールされた産物の100μLを、4%アガロースゲル上で、80Vで2時間泳動する。バンド(~450bp)をアガロースゲルから切り出し、QIAquickゲル抽出キット(QIAGEN、Valencia、CA)を使用して精製し、30μlの溶出緩衝液で溶出する。
【0154】
[000165]配列決定ライブラリーは、例えば、KAPA LTPライブラリー調製キット(Roche Sequencing Solutions、Pleasanton、CA)を使用して、製造業者のプロトコルに従って調製され得る。ハイスループットアンプリコン配列決定は、例えば、MiSeq(Illumina、San Diego、CA)で2×300ペアエンド断片リードを使用して行われる。
【0155】
[000166]ミクロバイオームバイオインフォマティクス分析は、限定はされないが、Quantitative Insights Into Microbial Ecology (QIIME)ソフトウェアパッケージ、バージョン1.9などの適切な標準ソフトウェアを使用して行うことができる(Caporaso J.G.,Kuczynski J.,Stombaugh J.,Bittinger K.,Bushman F.D.,Costello E.K.ら(2010)QIIME allows analysis of high-throughput community sequencing data. Nat. Methods 7,335~336頁)。
【0156】
[000167]上記の明細書で言及された全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載された方法およびシステムの様々な改変および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明白であろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して記載してきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、生化学およびバイオテクノロジーまたは関連分野の当業者に明らかである、本発明を実行するために記載された様式の様々な改変は、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0157】
P実施形態
[000168]実施形態P1。患者における細菌関連がんを治療または予防する方法であって、方法が、少なくとも2つのバクテリオファージを含む組成物を患者に投与するステップを含み、がんが細菌による感染に関連しており、さらにバクテリオファージが細菌を標的とする、方法。
【0158】
[000169]実施形態P2。細菌関連がんが、結腸直腸がん、食道がん、胆嚢がん、肺がん、扁平上皮癌、膀胱がん、胃がん、またはMALTリンパ腫である、実施形態P1の方法。
【0159】
[000170]実施形態P3。細菌が、大腸菌、バクテロイデスフラジリス、ヘリコバクターピロリ、サルモネラチフィ、ストレプトコッカスボビス、クラミジアニューモニア、マイコプラズマ、ヘリコバクターヘパティクス、および/またはビルハルツ住血吸虫を含む、実施形態P1またはP2の方法。
【0160】
[000171]実施形態P4。細菌が、大腸菌および/またはB.フラジリスを含む、上記の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
[000172]実施形態P5。大腸菌がpks+大腸菌である、実施形態P4の方法。
【0161】
[000173]実施形態P6。B.フラジリスが、毒素原性バクテロイデスフラジリス(ETBF)である、実施形態P4またはP5の方法。
[000174]実施形態P7。バクテリオファージが、細菌に特異的であり、他の微生物を標的としない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
[000175]実施形態P8。組成物が、抗生物質(例えば、化学抗生物質)をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
[000176]実施形態P9。患者が、患者をがんに罹りやすくする遺伝子変異についてスクリーニングされた、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
[000177]実施形態P10。組成物が、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの組み合わせをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
[000178]実施形態P11。薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの組み合わせが、MgSO4を含む、実施形態P10に記載の方法。
【0164】
[000179]実施形態P12。抗生物質(例えば、化学抗生物質)を対象に投与するステップをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
[000180]実施形態P13。細菌が、細菌バイオフィルムの存在により特徴付けられる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
[000181]実施形態P14。細菌が、抗生物質に耐性である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
[000182]実施形態P15。組成物が、組成物のエアロゾル化製剤を介して投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
[000183]実施形態P16。組成物が静脈内投与される、実施形態P1~P14のいずれか1つに記載の方法。
[000184]実施形態P17。免疫療法剤と組み合わせて投与するステップをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
[000185]実施形態P18。免疫療法剤が、免疫チェックポイント阻害剤を含む、実施形態P17の方法。
[000186]実施形態P19。免疫療法剤が、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗CD27、または抗IDO-1を含む、実施形態P17またはP18に記載の方法。
【0168】
[000187]実施形態P20。化学療法剤と組み合わせて投与するステップをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
[000188]実施形態P21。化学療法剤が、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、イリノテカン、オキサリプラチン、トリフルリジンおよび/またはティピラシルである、実施形態P20に記載の方法。
【0169】
[000189]実施形態P22。結腸直腸がんを治療または予防することを必要とする患者における結腸直腸がんを治療または予防する方法であって、結腸直腸がんに関連する少なくとも1つの細菌種を標的とする2つ以上のバクテリオファージを含む組成物を患者に投与するステップを含む方法。
【0170】
[000190]実施形態P23。患者ががんに罹りやすい遺伝子変異について患者がスクリーニングされている、実施形態P22に記載の方法。
[000191]実施形態P24。遺伝子変異が、家族性大腸腺腫症である、実施形態P23に記載の方法。
【0171】
[000192]実施形態P25。細菌種が、大腸菌および/またはB.フラジリスである、実施形態P22~P24のいずれか1つに記載の方法。
[000193]実施形態P26。大腸菌がPKS+大腸菌である、実施形態P25に記載の方法。
【0172】
[000194]実施形態P27。B.フラジリスが、毒素原性バクテロイデスフラジリス(ETBF)である、実施形態P25またはP26に記載の方法。
[000195]実施形態P28。免疫療法剤と組み合わせて投与するステップをさらに含む、実施形態P22~P27のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
[000196]実施形態P29。免疫療法剤が、免疫チェックポイント阻害剤を含む、実施形態P28に記載の方法。
[000197]実施形態P30。免疫療法剤が、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗CD27、または抗IDO-1を含む、実施形態P28またはP29に記載の方法。
【0174】
[000198]実施形態P31。化学療法剤と組み合わせて投与するステップをさらに含む、実施形態P22~P30のいずれか1つに記載の方法。
[000199]実施形態P32。化学療法剤が、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、イリノテカン、オキサリプラチン、トリフルリジンおよび/またはティピラシルである、実施形態P31に記載の方法。
【0175】
[000200]実施形態P33。組成物中のバクテリオファージが、細菌の1つ以上の発癌性株を標的とする、上記の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
[000201]実施形態P34。組成物が、細菌耐性の発生を最小限にする、上記の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
[000202]実施形態P35。バクテリオファージが溶菌性である、上記の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
[000203]実施形態P36。発癌性細菌を標的とする1つ以上のバクテリオファージ、および凍結保護剤を含むバクテリオファージ組成物。
【0177】
[000204]実施形態P37。凍結保護剤(cryprotectant)がグリセロールを含む、実施形態P36に記載のバクテリオファージ組成物。
【配列表】