(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】超音波ブレードを有する回転するエンドエフェクタ組立体を備える外科用装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20231218BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61B17/32 510
A61B17/00 700
(21)【出願番号】P 2020570885
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(86)【国際出願番号】 IB2019055161
(87)【国際公開番号】W WO2019244069
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】キューティ・アレクサンダー・アール
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ディミートリアス
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-514012(JP,A)
【文献】特開2008-006159(JP,A)
【文献】特開2018-020171(JP,A)
【文献】特表2016-540596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 17/00
A61B 34/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用装置であって、
内部に配置された超音波トランスデューサを有するハウジングと、
前記ハウジングから延在する器具シャフトであって、前記器具シャフトが、関節運動領域及び非関節運動領域を有する外側スリーブを備え、前記器具シャフトが、
前記超音波トランスデューサと音響的に連結される導波管であって、前記関節運動領域の一部が前記導波管の可撓性部分と整列されている、導波管と、
内側スリーブを有する回転組立体と、を更に備える、器具シャフトと、
前記外側スリーブの遠位端にあるエンドエフェクタ組立体であって、クランプ要素と、前記導波管と音響的に連通している超音波ブレードと、を有する、エンドエフェクタ組立体と、を備え、
前記内側スリーブは、前記クランプ要素に連結され、前記内側スリーブは
、らせん状スロットと、前
記らせん状スロット内部に収容されているピンと、を有し、前記ピンは、前記ピンに動作可能に連結された入力部に力が加えられると前
記らせん状スロット内で選択的に摺動し、それによって前記超音波ブレードに対して前記クランプ要素を回転させるように構成されて
おり、
前記らせん状スロットが、移行点で交差する第1の実質的にらせん状のスロットと第2の実質的にらせん状のスロットとを少なくとも備え、
前記ピンが前記第1の実質的にらせん状のスロット及び前記第2の実質的にらせん状のスロット内で並進して、前記内側スリーブを約1度~約360度回転させるように構成されており、
前記移行点は、少なくとも、前記第1の実質的にらせん状のスロット及び前記第2の実質的にらせん状のスロットのそれぞれの遠位端部分、または、前記第1の実質的にらせん状のスロット及び前記第2の実質的にらせん状のスロットのそれぞれの近位端部分に設けられている、装置。
【請求項2】
前記ピンが、前記
第1の実質的にらせん状のスロット内で遠位方向に並進して、前記内側スリーブを第1の回転方向に約1度~約180度回転させる、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記ピンが、前記
第2の実質的にらせん状のスロット内で近位方向に並進して、前記内側スリーブを前記第1の回転方向に約180度~約360度回転させる、請求項
2に記載の装置。
【請求項4】
前記ピンが、前記
第2の実質的にらせん状のスロット内で遠位方向に並進して、前記内側スリーブを前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に約1度~約180度回転させる、請求項
3に記載の装置。
【請求項5】
前記ピンが、前記
第1の実質的にらせん状のスロット内で近位方向に並進して、前記内側スリーブを前記第2の回転方向に約180度~約360度回転させる、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記器具シャフトが、前記エンドエフェクタ組立体に連結されたクランプ組立体を備え、前記クランプ組立体は、前記クランプ要素が前記超音波ブレードに向かって及び前記超音波ブレードから離れる方向に選択的に移動するように、前記クランプ要素の前記器具シャフトに対する移動を駆動するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
長手方向軸と整列している位置から前記長手方向軸と整列していない位置へと前記エンドエフェクタ組立体を選択的に偏向させるように構成されている関節運動組立体を更に備え、前記長手方向軸が前記外側スリーブの前記非関節運動領域に沿って延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングがロボット外科用システムに取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
ロボット外科用システムであって、
内部に配置されたモータを有する電気機械的アームと、
前記電気機械的アームに取り付けられた器具ハウジングであって、内部に配置された超音波トランスデューサを有する、器具ハウジングと、
前記ハウジングから延在する器具シャフトであって、外側スリーブを備え、
前記超音波トランスデューサに音響的に連結され、前記器具シャフトを通って延在する、関節運動可能な超音波導波管と、
前記モータに動作可能に連結された第1のアクチュエータロッドを有する作動組立体と、
第1の実質的にらせん状のスロット及び第2の実質的にらせん状のスロットと、前記
第1の実質的にらせん状の
スロット又は前記第2の実質的にらせん状のスロットの内部に収容されたピンと、を備える内側スリーブを有する回転組立体であって、前記第1の実質的にらせん状のスロット及び前記第2の実質的にらせん状のスロットは、移行点で互いに交差している、回転組立体と、を更に備える、器具シャフトと、
前記外側スリーブの遠位端に形成されたエンドエフェクタ組立体であって、ジョーと、前記関節運動可能な超音波導波管と音響的に連結されている超音波ブレードと、を有する、エンドエフェクタ組立体と、を備え、
前記作動組立体は、前記ジョーに動作可能に連結されており、前記第1のアクチュエータロッドは、前記超音波ブレードが静止した状態である間に、前記第1の実質的にらせん状のスロット
又は前記第2の実質的にらせん状のスロット内の前記ピンを摺動させて、前記ジョーを選択的に回転させるように、前記外側シャフトに対して軸方向に並進するように構成されて
おり、
前記第1の実質的にらせん状のスロット及び前記第2の実質的にらせん状のスロットは、前記内側スリーブの周りに設けられており、
前記移行点は、少なくとも、前記第1の実質的にらせん状のスロット及び前記第2の実質的にらせん状のスロットのそれぞれの遠位端部分、または、前記第1の実質的にらせん状のスロット及び前記第2の実質的にらせん状のスロットのそれぞれの近位端部分に設けられており、
前記ピンは、前記移行点を通って前記第1の実質的にらせん状のスロットと前記第2の実質的にらせん状のスロットとの間を移動可能である、ロボット外科用システム。
【請求項10】
前記移行点が、前記第1の実質的にらせん状のスロットから前記第2の実質的にらせん状のスロットへの前記ピンの摺動を可能にするように構成されており、これにより、前記内側スリーブが約1度~約360度連続的に回転する、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ピンが、前記第1の実質的にらせん状のスロット内で遠位方向に並進して前記内側スリーブを第1の回転方向に回転させ、前記ピンが、前記第2の実質的にらせん状のスロット内で近位方向に並進して前記内側スリーブを前記第1の回転方向に更に回転させる、請求項
9に記載のシステム。
【請求項12】
前記ピンが、前記第2の実質的にらせん状のスロット内で遠位方向に並進して、前記内側スリーブを前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転させ、前記ピンが、前記第1の実質的にらせん状のスロット内で近位方向に並進して前記内側スリーブを前記第2の回転方向に更に回転させる、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記器具シャフトが、前記外側スリーブに対して軸方向に並進することにより、前記ジョーと前記超音波ブレードとの間に組織をクランプするよう前記ジョーを開閉させるように構成されている、ジョー引張部を有するクランプ組立体を備える、請求項
9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
組織を処置するための、回転するエンドエフェクタ組立体を備える外科用装置及びシステム、並びにその使用方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
様々な外科用装置は、組織を(例えば、組織細胞内のタンパク質を変性させることにより)切断及び/又は封止するために、超音波周波数で振動するブレード要素を有するエンドエフェクタ組立体を含む。これらの器具は、電力を超音波振動に変換する圧電素子を含んでおり、それらの振動は音波導波管に沿ってブレード要素に伝達される。切断及び凝固の精度は、外科医の技術、並びに電力レベル、ブレードの刃、組織牽引、及びブレード圧力の調節によって制御されることがある。
【0003】
これら外科用装置の使用中のエンドエフェクタ組立体の動きは、組織への十分なアクセスのために重要である場合がある。またロボット手術では、エンドエフェクタ組立体の動きは、外科医の手とエンドエフェクタ組立体の協調的な動きを容易にすることもできる。動きの欠如は、例えば、不十分な組織の切断又は封止、及び手術中の解剖学的構造に対する偶発的な損傷など、ユーザーが誤操作をする様々な機会をもたらす可能性がある。したがって、エンドエフェクタ組立体が6つの運動角度(例えば、サージ、ヒーブ、スウェイ、ヨー、ピッチ、及びロール)を有することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、既存の技術にもかかわらず、組織を処置するための改善された外科用装置及びシステム及び方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
外科用装置及びシステム及びその使用方法が提供される。
【0006】
例示的な一実施形態では、外科用装置が提供され、当該外科用装置は、内部に位置付けられた超音波トランスデューサを有するハウジングと、ハウジングから延在する器具シャフトと、クランプ要素及び超音波ブレードを有するエンドエフェクタ組立体と、を備えることができる。器具シャフトは、関節運動領域及び非関節運動領域を有する外側スリーブと、導波管と、クランプ要素に連結され得る内側スリーブを有する回転組立体と、を備えることができる。エンドエフェクタ組立体は、外側スリーブの遠位端にあってよい。導波管は、超音波トランスデューサと音響的に連結されることができ、関節運動領域の一部は、導波管の可撓性部分と整列され得る。超音波ブレードは導波管と音響的に連通していてよい。内側スリーブは、多セグメントらせん状スロットと、多セグメントらせん状スロット内部に収容されているピンと、を有することができ、ピンは、ピンに動作可能に連結された入力部に力が加えられると、多セグメントらせん状スロット内で選択的に摺動し、それによって超音波ブレードに対してクランプ要素を回転させるように構成され得る。一態様では、ハウジングはロボットシステムに取り付けることができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、多セグメントらせん状スロットは、移行点で交わる少なくとも2つのチャネルセグメントを含むことができ、これにより、ピンは少なくとも2つのチャネル内で並進して、内側スリーブを約1度~約360度回転させることができる。このような実施形態では、ピンは、少なくとも2つのチャネルセグメントのうち第1のチャネルセグメント内で遠位方向に並進して、内側スリーブを第1の回転方向に約1度~約180度回転させることができる。一実施形態では、ピンは、少なくとも2つのチャネルセグメントのうち第2のチャネルセグメント内で近位方向に並進して、内側スリーブを第1の回転方向に約180度~約360度回転させることができる。このような実施形態では、ピンは、第2のチャネルセグメント内で遠位方向に並進して、内側スリーブを第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に約1度~約180度回転させることができる。一実施形態では、ピンは、第1のチャネルセグメント内で近位方向に並進して、内側スリーブを第2の回転方向に約180度~約360度回転させることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、器具シャフトは、エンドエフェクタ組立体に連結されたクランプ組立体を備えることができる。クランプ組立体は、クランプ要素が超音波ブレードに向かって及び超音波ブレードから離れる方向に選択的に移動できるように、クランプ要素の器具シャフトに対する移動を駆動するように構成され得る。
【0009】
いくつかの態様では、装置はまた、長手方向軸と整列している位置から長手方向軸と整列していない位置へとエンドエフェクタ組立体を選択的に偏向させるように構成され得る関節運動組立体を備えることができ、長手方向軸は、外側スリーブの非関節運動領域に沿って延在する。
【0010】
別の例示的な実施形態では、ロボット外科用システムが提供され、当該ロボット外科用システムは、内部に配置されたモータを有する電気機械的アームと、電気機械的アームに取り付けられた器具ハウジングであって、内部に配置された超音波トランスデューサを有し得る、器具ハウジングと、ハウジングから延在する器具シャフトと、ジョー及び超音波ブレードを有するエンドエフェクタ組立体と、を備えることができる。器具シャフトは、その遠位端に形成されたエンドエフェクタ組立体を有する外側スリーブを備えることができる。器具シャフトはまた、超音波トランスデューサに音響的に連結され、器具シャフトを通って延在する関節運動可能な超音波導波管と、モータに動作可能に連結され得る第1のアクチュエータロッドを有する作動組立体と、内側スリーブを有する回転組立体と、を備えることができる。超音波ブレードは、関節運動可能な超音波導波管に音響的に連結され得る。内側スリーブは、第1の実質的にらせん状のスロット及び第2の実質的にらせん状のスロットと、実質的にらせん状の交差するスロットのうちの1つの内部に収容されたピンと、を備えることができ、第1の実質的にらせん状のスロット及び第2の実質的にらせん状のスロットは、移行点で互いに交差している。作動組立体は、ジョーに動作可能に連結され得、第1のアクチュエータロッドは、超音波ブレードが静止した状態である間に、第1の実質的にらせん状のスロット及び第2の実質的にらせん状のスロット内のピンを摺動させて、ジョーを選択的に回転させるように、外側シャフトに対して軸方向に並進するように構成され得る。一態様では、移行点は、第1の実質的にらせん状のスロットから第2の実質的にらせん状のスロットへのピンの摺動を可能にするように構成され得、これにより、内側スリーブは、約1度~約360度連続的に回転することができる。
【0011】
いくつかの態様では、ピンは、第1の実質的にらせん状のスロット内で遠位方向に並進して内側スリーブを第1の回転方向に回転させることができ、ピンは、第2の実質的にらせん状のスロット内で近位方向に並進して内側スリーブを第1の回転方向に更に回転させることができる。このような態様では、ピンは、第2の実質的にらせん状のスロット内で遠位方向に並進して、内側スリーブを第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転させることができ、ピンは、第1の実質的にらせん状のスロット内で近位方向に並進して、内側スリーブを第2の回転方向に更に回転させることができる。
【0012】
いくつかの態様では、器具シャフトは、外側スリーブに対して軸方向に並進することにより、ジョーと超音波ブレードとの間に組織をクランプするようジョーを開閉させるように構成され得る、ジョー引張部を有するクランプ組立体を備えることができる。
【0013】
いくつかの態様では、装置はまた、長手方向軸と整列している位置から長手方向軸と整列していない位置へとエンドエフェクタ組立体を偏向させるように構成され得る関節運動組立体を備えることができ、長手方向軸は、外側スリーブの非関節運動セクションに沿って延在する。
【0014】
外科用装置及びシステムを使用する方法も提供される。一実施形態では、方法は、エンドエフェクタ組立体を有する外科用装置を手術部位に方向付けることを含み得る。エンドエフェクタ組立体は、超音波導波管及び回転組立体を収容する器具シャフトに動作可能に連結され得る。エンドエフェクタ組立体は、超音波ブレード及びクランプ要素を有し得る。回転組立体は、クランプ要素に動作可能に連結され得る内側スリーブを備えることができる。内側スリーブは、少なくとも2つの実質的にらせん状のスロットと、少なくとも2つの実質的にらせん状のスロット内で摺動するように構成され得るピンと、を備えることができる。方法はまた、超音波ブレードに対してクランプ要素を選択的に回転させることと、クランプ要素を選択的に作動させて、クランプ要素を超音波ブレードに向かって移動させ、それによってクランプ要素と超音波ブレードとの間に配置された組織にクランプ力を加えることと、超音波エネルギーを超音波ブレードに伝達して、クランプ要素と超音波ブレードとの間にクランプされた組織を処置することと、を含むことができる。
【0015】
いくつかの態様では、方法はまた、エンドエフェクタ組立体が、ハウジングから延在する器具シャフトの近位部分の長手方向軸に対して角度を付けて配向され得るように、器具シャフトを選択的に関節運動させることを含むことができる。このような態様では、クランプ要素は、クランプ要素が関節運動状態にあるときに回転することができる。
【0016】
一態様において、クランプ要素は、約1度~約360度の範囲で回転することができる。別の態様では、器具シャフトはロボット外科用システムに取り付けられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて読むことで、より完全に理解されるであろう。
【
図1】内側スリーブを有する回転組立体を有する外科用装置の例示的な実施形態の斜視部分透視図である。
【
図2A】
図1の外科用装置の遠位部分の斜視部分透視拡大図である。
【
図3A】
図1の外科用装置の近位部分の上面部分透視図である。
【
図3B】
図3Aの外科用装置の近位部分の底面部分透視図である。
【
図4】取り付けられた
図1の外科用装置を有する電気機械的アームを備え、制御システムに無線で連結されている、外科用ロボットシステムの例示的な実施形態の斜視図である。
【
図5A】内側スリーブを有する回転組立体を有する外科用装置の遠位部分の別の例示的な実施形態の斜視部分透視図である。
【
図6】内側スリーブ内に画定されたチャネルを通るピンの例示的な動きを示す、
図5Aの回転組立体の内側スリーブの一部の拡大図である。
【
図7A】多セグメントらせん状スロットと、ピンが第1の位置(例えば、初期位置)にある、多セグメントらせん状スロット内に配置されたピンと、を有する例示的な内側スリーブの側面図であり、内側スリーブは回転されていない。
【
図7B】内側スリーブが約90度回転している、多セグメントらせん状スロット内の第2の位置にあるピンを示す、
図7Aの内側スリーブの別の側面図である。
【
図7C】内側スリーブが約180度回転している、多セグメントらせん状スロット内の第3の位置にあるピンを示す、
図7Aの内側スリーブの別の側面図である。
【
図7E】内側スリーブが約270度回転している、第4の位置にあるピンを示す、
図7Aの内側スリーブの別の側面図である。
【
図7F】内側スリーブが約360度回転している、第5の位置にあるピンを示す、
図7Aの内側スリーブの別の側面図である。
【
図8】テーパ形状を有する超音波ブレードの例示的な実施形態の側面図である。
【
図9】凹状部分を有するテーパ形状を有する超音波ブレードの例示的な実施形態の側面図である。
【
図10】重複するサブユニットを有する超音波ブレードの例示的な実施形態の正面断面図であり、各サブユニットは実質的に円形の断面形状を有する。
【
図11】十字様形状を有する超音波ブレードの例示的な実施形態の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示される装置、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0019】
更に、本開示においては、実施形態の同様の名称の構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の名称の各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。加えて、開示されるシステム、装置、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及びその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及び装置が内部で用いられる対象の解剖学的構造、システム及び装置が一緒に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び手順に依存し得る。
【0020】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、装置のハンドルを握っている臨床医などのユーザー、取り付けられたハウジングを有するロボットなどのユーザーを基準として使用されることが理解されるであろう。「前方」及び「後方」といった他の空間的用語は、同様に、遠位及び近位にそれぞれ対応する。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」などの空間的用語が、図面に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、外科用装置の構成要素は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの空間的用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0021】
値又は範囲は、本明細書では、「約」及び/又は「約」1つの特定の値から別の特定の値までとして表すことができる。そのように値又は範囲が表される場合、開示される他の実施形態は、列挙された特定の値、及び/又は1つの特定の値から別の特定の値までを含む。同様に、先行する「約」の使用によって値が近似の形式で表現された場合、開示される多くの値が列挙され、その特定値により別の実施形態が形成されることが理解されるであろう。開示される多くの値が存在し、各値は、本明細書においては、その特定の値自体に加えて「約」が付く値として開示されることも更に理解されるであろう。一部の実施形態では、「約」は、例えば、列挙された値の10%以内、列挙された値の5%以内、又は列挙された値の2%以内を意味するために使用され得る。
【0022】
本教示を説明及び定義する目的で、別途記載のない限り、用語「実質的に」は、本明細書では、任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために利用されることに留意されたい。用語「実質的に」はまた、本明細書では、定量的表現が、問題の対象物の基本的機能の変化をもたらすことなく、記述された基準から変化し得る程度を表すためにも利用される。
【0023】
超音波エネルギーを利用して組織を処置(例えば、切断又は封止)する外科用装置は、特に有用な外科的選択肢を提供する。いくつかの外科的状況では、超音波ブレードと、クランプアーム又は要素と、を含む、エンドエフェクタ組立体を、手術部位にアクセスするために異なる方向に動かすことが有用であり、又は必要であり得る。超音波ブレード及びクランプアーム又は要素を有するエンドエフェクタ組立体は、その全体を回転させることができるが、エンドエフェクタ組立体の関節運動はそれより制限され得る。例えば、超音波ブレードは、エンドエフェクタ組立体が関節運動しているときにブレードが屈曲する領域内に薄肉部を有する導波管に音響的に連結され得る。しかしながら、関節運動は1つの平面のみに限定されるため、エンドエフェクタ組立体の全可動域が達成され得ない。すなわち、エンドエフェクタ組立体のクランプアーム又は要素は、関節運動平面と整列されるため、面外に回転することができない。この問題に対する解決策が本明細書に開示されており、この解決策では、関節運動に加えて、クランプアーム又は要素が超音波ブレード、すなわち導波管から独立して回転できるように、エンドエフェクタ組立体を操作することができる。この特徴の結果は、関節運動平面の面外へのクランプアーム又は要素の回転を効果的に可能にし、それによって、関節運動状態にあるときに、エンドエフェクタ組立体の6自由度を容易にすることである。
【0024】
外科用装置及びシステム、その使用方法が提供される。概して、少なくともハウジングと、そこから延在する器具シャフトと、を有する外科用装置が提供される。以下により詳細に記載されるように、外科用装置は、エンドエフェクタ組立体の一部が回転し得る一方で、その残りの部分は静止したままであるように構成され得る。特定の例示的な態様では、器具シャフトは、その遠位端にエンドエフェクタ組立体を有する外側スリーブを備えることができる。エンドエフェクタ組立体は、クランプ要素と、超音波ブレードと、を備えることができ、クランプ要素は、クランプ要素に連結された回転組立体を介して超音波ブレードに対して選択的に回転するように構成されている。器具シャフトはまた、例えば、エンドエフェクタ組立体を選択的に偏向させるように構成されている関節運動組立体、及び/又は、クランプ要素を超音波ブレードに向かって及び超音波ブレードから離れる方向に選択的に移動させるように構成されているクランプ組立体などの、追加の組立体を備えることができる。したがって、従来の外科用装置とは異なり、本明細書で提供される外科用装置は、エンドエフェクタ組立体に6つの運動角度を付与するように構成され得る。例えば、従来の外科用装置とは対照的に、クランプ要素は、エンドエフェクタ組立体が関節運動状態にあるとき、超音波ブレードが静止したままで回転することができる。
【0025】
例示的な外科用装置は、本明細書で述べ、図面に示すように、エンドエフェクタ組立体の部分運動又は完全運動を容易にするための様々な特徴を含み得る。しかしながら、外科用装置は、これらの特徴の一部のみを有してもよく、かつ/又は当該技術分野では周知の様々な他の特徴を有してもよいことは当業者には認識されるところであろう。本明細書に述べられる外科用装置は、特定の代表的な実施形態を代表することを意図したものに過ぎない。更に、当業者であれば、本明細書に記載される外科用装置は、従来の低侵襲性手術器具及び切開手術器具おける用途、並びにロボット支援手術における用途を有することを理解するであろう。すなわち、本明細書に記載される外科用装置は、手持ち式装置用に設計された、又は電気機械的アーム(例えば、ロボットアーム)に装着されるように設計された、ハンドル組立体内に配置されてもよい。
【0026】
以下でより詳細に論じられるように、エンドエフェクタ組立体全体の回転運動、超音波ブレードに対するクランプ要素の選択的回転、並びにエンドエフェクタ組立体の関節運動などの、エンドエフェクタ組立体の様々な運動を容易にするように構成されている、外科用装置の例示的な実施形態が提供される。器具シャフトは、超音波ブレードが静止したままで、超音波ブレードの周りでクランプ要素を選択的に回転させるように構成されている、摺動機構を有する回転組立体を備える。更に、器具シャフトは、エンドエフェクタ組立体の関節運動を容易にできる関節運動組立体などの追加の組立体を備えることができる。したがって、本明細書に記載される外科用装置は、エンドエフェクタ組立体を回転させ、かつ関節運動させるように構成され得る。
【0027】
外科用装置は、一般に、そこから延在する器具シャフトを有するハウジングと、クランプ要素及び超音波ブレードを有するエンドエフェクタ組立体と、を備える。器具シャフトは、エンドエフェクタ組立体のクランプ要素に連結された内側スリーブを有する回転組立体を備える。内側スリーブは、摺動機構を備えて設計される。摺動機構は、様々な構成を有し得る。例えば、
図1~
図2Bに示されるように、摺動機構はスロット状の構成を有してもよく、又は
図5A~
図6に示されるように、摺動機構はチャネル形状を有してもよい。
【0028】
少なくとも部分的にエンドエフェクタ組立体の設計に応じて、外科用装置は、以下により詳細に記載されるように、器具シャフトの1つ以上の組立体を作動させる1つ以上のモータを備えることができる。一般に、1つ以上のモータを使用して、様々な外科用装置の機能を駆動することができる。装置の機能は、エンドエフェクタ組立体の具体的なタイプによって異なり得るが、一般に、外科用装置は、ジョーなどのクランプ要素の開放及び/又は閉鎖、シャフト及び/又はエンドエフェクタ組立体の回転、エンドエフェクタ組立体の関節運動、組織を切断及び/又は凝固するためのエネルギー送達などの、特定の動作又は運動を起こさせるように構成され得る1つ以上のモータを備え得る。そのモータ(複数可)は、外科用装置のハウジング内に配置されてもよく、あるいは代替形態において、ロボット外科用システムなどを介して外科用装置に連結されてもよい。以下により詳細に記載されるように、各モータは、外科用装置の1つ以上の駆動組立体、例えば、回転駆動組立体、関節運動駆動組立体、クランプ駆動組立体、及び/又はシャフト回転駆動組立体に連結される、又はこれらと相互作用するように構成され得、それにより、モータは1つ以上の要素を作動させ、装置の様々な運動や動作、例えば、超音波ブレードに対するクランプ要素の選択的回転、エンドエフェクタ組立体の選択的関節運動、超音波ブレードに向かう及び超音波ブレードから離れる方向へのクランプ要素の選択的移動、器具シャフトの選択的回転などをさせることができる。モータ(複数可)は、様々な技術を用いて、例えば、外科用装置の上若しくは中にあるバッテリにより、又はロボット外科用システムを通じて接続された電源などにより、電力供給され得る。
【0029】
特定の実施形態では、以下により詳細に記載されるように、少なくとも1つのモータが作動されると、モータは、外科用装置、例えばそれぞれ
図1及び
図5Aに示される外科用装置100及び500の駆動組立体内に位置している少なくとも1つの対応するギヤ組立体の回転を駆動する。対応するギヤ組立体は、少なくとも1つの対応する駆動シャフトに連結することができ、それによって、少なくとも対応する駆動シャフトの線形及び/又は回転運動を引き起こす。2つ以上の駆動シャフトの運動は、駆動組立体の動作の異なる段階の間に重なり合うことができるが、各モータは、それぞれの対応する駆動シャフトの運動が同時、つまり同じ動作段階中に必ずしも発生しないように、互いに独立して作動させることができる。
【0030】
図1~
図3Bは、外科用装置の例示的な実施形態を示す。図示されるように、外科用装置100は、ハウジング102と、ハウジング102から延在する器具シャフト104と、エンドエフェクタ組立体106と、を備える。エンドエフェクタ組立体106は、ジョーなどのクランプ要素108と、超音波ブレード110と、を備える。いくつかの実施態様では、
図1及び
図2A~
図2Bに示されるように、クランプ要素はクランプパッド109を含む。本明細書で使用するとき、「ハウジング」は、「器具ハウジング」と同義的に使用される。当業者であれば、他の超音波エンドエフェクタ組立体が、本明細書に開示される外科用装置と共に使用され得ることを理解するであろう。更に、簡潔にするために、ハウジング102の特定の構成要素は、
図3A~
図3Bには示されていない。
【0031】
ハウジング102は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図1及び
図3A~
図3Bに示されるように、ハウジング102は、
図4に示されるロボット外科用システム400などのロボットシステムに取り付けられるように構成されている。あるいは、ハウジング102は、例えばハンドルハウジングとして、手持ち式装置用に設計することができる。当業者であれば、手持ち式装置用に設計されたハウジングは、本明細書に開示される要素の全て又は一部、及び動作のための追加の要素を必要とし得ることを理解するであろう。手持ち式装置の例示的なハウジングの詳細は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,095,367号に見出すことができる。更に、ハウジング102は、以下でより詳細に説明するように、外科用装置の運動及び動作をもたらすために、回転組立体141、関節運動組立体155、クランプ組立体などの対応する組立体を駆動するように構成されている、様々な駆動組立体(例えば、4つの駆動組立体)を備えることができる。
【0032】
図示されるように、ハウジング102は超音波トランスデューサ112を備える。超音波トランスデューサ112は、電力を超音波振動に変換するように構成されている。超音波トランスデューサ112は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図1及び
図3A~
図3Bに示されるように、超音波トランスデューサ112は、エンドエフェクタ組立体106の少なくとも1つの部分に機械的に係合される。以下により詳細に記載されるように、使用中、これらの超音波振動は、エンドエフェクタ組立体106の少なくとも一部に伝達される。超音波トランスデューサ112は、任意の好適な供給源から電力を受け取ることができる。例えば、場合によっては、超音波トランスデューサ112は、超音波トランスデューサ112をジェネレータ116と直接連結するケーブル114を備えることができる。ジェネレータ116は、超音波トランスデューサ112による超音波振動の生成に適した電力プロファイルを超音波トランスデューサ112に供給するように構成され得る電源及び制御モジュールを含み得る。任意選択的に、ジェネレータ116はまた、RFエネルギーの発生に好適であり得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、ジェネレータ116は、Ethicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)により販売されるGEN300を含んでよい。代替的に、又は追加的に、ジェネレータ116は、以下の教示、すなわち、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Surgical Generator for Ultrasonic and Electrosurgical Devices」と題された米国特許第8,986,302号、及び「Flexible Harmonic Waveguides/Blades for Surgical Instruments」と題された米国特許第9,095,367号の教示(単独で又は組み合わせて)に従って構成され得る。ジェネレータ116が取り得る更にその他の好適な形態、並びにジェネレータ116が提供し得る種々の特徴及び機能は、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかとなるであろう。
【0034】
いくつかの実施形態では、ジェネレータ116の機能の少なくとも一部は、ハウジング102に直接組み込まれ得る。例として、ハウジング102は、一体式のバッテリ、又は、他の一体式の電源、並びに、バッテリ又は他の一体式の電源からの電力を条件づけて超音波トランスデューサ112を駆動するようにするために必要とされる任意の回路を含み得る。
【0035】
上述したように、器具シャフト104はハウジング102から延在する。器具シャフト104は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、器具シャフト104は、
図1~
図2Bに示されるように、外側スリーブ118を備える。外側スリーブ118は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、示されるように外側スリーブ118は、実質的に半円形の先端部120bをその遠位部分に有する実質的に管状の本体120aを有する。したがって、半円形先端部120bの遠位端(例えば、180度の形状)及び外側スリーブ118の遠位端118dは同じである。先端部120bは、他の好適な形状の形態をとることができ、本明細書に図示される形状によって限定されないことも企図される。
【0036】
外側スリーブ118は、関節運動領域124aと、非関節運動領域124bと、を含む。示されるように、関節運動領域124aは、関節運動領域124aが様々な方向に屈曲できるように、関節運動領域124aに可撓性を付与できるリブ付き又はセグメント化された構成を有し得る。代替的に、又は追加的に、少なくとも関節屈曲可能領域124aは、外側スリーブ118に望ましい量の可撓性を提供する材料で形成されてもよい。非関節運動領域124bは、装置100の長手方向軸(L)を画定することができる。
【0037】
特定の実施形態では、外側スリーブ118の関節運動領域124aの少なくとも一部と実質的に整列するように、関節部材126を外側スリーブ118内に位置付けることができる。関節部材126は、
図2Aに示されるように、外側スリーブ118の先端部120bと非関節運動領域124bとの間に配置され得る。関節部材126は様々な構成を有することができるが、特定の実施形態では、
図2A~
図2Bに示されるように、関節部材126は、管状構成を有し得る。更に、いくつかの実施形態では、関節部材126は、外側スリーブ118のリブ付き本体構成と整列するように構成されている、リブ付き本体構成を有することができる。関節部材126はまた、関節部材126の長さに沿って少なくとも部分的に延在する1つ以上の細長い凹部チャネル128を含むこともできる。1つ以上の細長い凹部チャネル128は、以下により詳細に記載されるように、エンドエフェクタ組立体106の様々な動きをもたらすために、1つ以上のアクチュエータロッドが器具シャフト104を通って延在できるように構成され得る。代替的に、又は追加的に、関節部材126は、外側スリーブ118の内側表面122と関節部材126の外側表面130との間に好適な空間を提供する外径を有することができ、それにより、アクチュエータロッドは、この空間を通って、よって器具シャフト104を通って延在することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、外側スリーブ118の非関節運動領域124bの少なくとも一部と実質的に整列するように、剛性部材132を外側スリーブ118内に位置付けることができる。剛性部材132は様々な構成を有することができるが、特定の実施形態では、
図1~
図2Bに示されるように、剛性部材132は、管状構成を有し得る。剛性部材132はまた、剛性部材132の長さに沿って少なくとも部分的に延在する1つ以上の細長い凹部チャネル134を含むこともできる。1つ以上の細長い凹部チャネル134は、以下により詳細に記載されるように、エンドエフェクタ組立体106の様々な動きをもたらすために、1つ以上のアクチュエータロッドが器具シャフト104を通って延在できるように構成され得る。代替的に、又は追加的に、剛性部材132は、外側スリーブ118の内側表面122と剛性部材132の外側表面136との間に十分な空間を提供する外径を有することができ、それにより、アクチュエータロッドは、この空間、よって器具シャフト104を通って延在することができる。
【0039】
器具シャフト104はまた、内部を通って延在する導波管138を備えてもよい。
図1~
図2Bに示されるように、導波管138は超音波ブレード110と音響的に連通している。超音波ブレード110の近位端110pは、導波管138の腹部又はその近くに位置することができる。例えば、示されるように、導波管138の遠位端138dは、超音波ブレード110の近位端110pに音響的に連結される。超音波ブレード110は、任意の好適な手段、例えば、雌ねじ接続、溶接継手などによって導波管138に連結することができる。導波管138及び超音波ブレード110は、単一の一体型部品として形成され得ることも企図される。導波管138の近位端138pは、超音波トランスデューサ112の遠位端112dに音響的に連結するように、ハウジング102内に収容され得る。そのため、超音波トランスデューサ112は使用中に、導波管138に沿って超音波ブレード110に伝達され、それによって処置部位における組織の切断及び/又は封止を容易にする超音波振動に、受信した電力を変換する。器具シャフト104の外側スリーブ118は、導波管138の超音波振動から外部環境(例えば、患者又は他の外科用装置(複数可)若しくは機器)を隔離することができる。
【0040】
導波管138は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、導波管138は、
図2A~
図2Bに示されるように、可撓性部分140を備え得る。図示されるように、可撓性部分140は、導波管の残りの部分と比較して、より薄い断面積(例えば、リボン状の断面積形状)を有する。可撓性部分140は、より詳細に後述するように、エンドエフェクタ組立体106が装置100の長手方向軸(L)と整列している位置から、長手方向軸(L)と整列していない位置へと偏向できるように、外側スリーブ118の関節運動領域124aの一部と整列させることができる。この図示された実施形態では、長手方向軸(L)は、外側スリーブ118の非関節運動領域124bに沿って延在する。好適な導波路に関する更なる詳細は、米国特許第9,095,367号、並びに米国特許出願公開第2016/0296250号及び同第2016/0302819号に見出すことができ、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
上述のように、器具シャフト104はまた、超音波ブレード110に対するクランプ要素108の回転を選択的にもたらす回転組立体141も備える。したがって、以下でより詳細に論じられるシャフト回転駆動組立体191とは対照的に、回転組立体141、したがって回転駆動組立体148は、超音波ブレード110が静止した状態である間に、クランプ要素108を回転させるように構成されている。
図1及び
図2A~
図2Bに示されるように、回転組立体141は、クランプ要素108に連結された内側スリーブ142を備える。内側スリーブ142の構造的構成は、装置100の他の要素、例えば、導波管138、超音波ブレード110自体などの構造的構成に少なくとも部分的に基づいている。したがって、内側スリーブ142は様々な構成を有し得るが、この図示された実施形態では、内側スリーブ142は管状の構成を有する。内側スリーブ142は、以下に詳細に記載されるように、摺動機構を備えることができる。
【0042】
図示されるように、摺動機構はスロット145を含む。スロット145は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図2A~
図2Bに示されるように、スロット145は、内側スリーブ142の周りに実質的にらせん状の構成を有することができる。スロット145は、
図2A~
図2Bに示されるように、内側スリーブ142を完全に貫通して延在でき、あるいは、スロット145は、内側スリーブ142を部分的に通って延在できる。スロットのサイズ及び形状は、多様でよい。例えば、
図2A~
図2Bに示されるように、スロット145は、内側スリーブ142の少なくとも一部に沿って延在する。一実施形態では、スロット145は、内側スリーブ142の長さ全体を延在できる。当業者であれば、スロット145のサイズ及び形状は、内側スリーブ142のサイズ及び形状に少なくとも部分的に基づくことを理解するであろう。
【0043】
摺動機構はまた、スロット145内に収容されるピン146aを備える。ピン146aは、内側スリーブ142と関節運動引張部156との間に位置付けられるピンプレート146bから延在する。以下でより詳細に説明するように、ピン146aは、ピン146aに動作可能に連結された入力部に力が加えられると、スロット145内で選択的に摺動するように構成されている。このようなスロット145内のピン146aの摺動運動は、内側スリーブ142の外側スリーブ118に対する回転を引き起こし、その結果、クランプ要素108を超音波ブレード110に対して回転させる。
【0044】
例えば、ピンプレート146b、ひいてはピン146aは、器具シャフト104を通ってハウジング102内へと延在するアクチュエータロッド147に連結される。アクチュエータロッド147は器具シャフト104の任意の部分に沿って延在することができるが、
図3Aに示されるように、アクチュエータロッド147は器具シャフト104の下部に沿って延在する。この位置は、エンドエフェクタ組立体106が関節運動しているときにアクチュエータロッド147が受ける長さの変化が最小限であり、それによる関節運動中のクランプ要素108の回転を防止するため、望ましい場合がある。使用中、アクチュエータロッド147が作動されると、アクチュエータロッド147は外側スリーブ118に対して軸方向に並進し、それによって内側スリーブ142及びその結果としてクランプ要素108の回転を引き起こす。
【0045】
使用中、アクチュエータロッド147に力が加えられると(例えば、動作可能に連結された入力部によって)、アクチュエータロッド147は外側スリーブ118に対して軸方向に並進し、それによってピンプレート146bを移動させてピン146aをスロット145内で摺動させる。ピン146aがスロット145内で摺動すると、内側スリーブ142は回転され、その結果、クランプ要素108は超音波ブレード110に対して回転する。すなわち、作動されると、アクチュエータロッド147は第1又は第2の方向に移動し、ピン146aを対応する方向に移動させる。アクチュエータロッド147の方向移動に応じて、結果として生じる内側スリーブ142の、ひいてはクランプ要素108の回転は、時計回りの方向又は反時計回りの方向に回転することができる。例えば、使用時に、アクチュエータロッド147は遠位方向に移動し、ピン146aを内側スリーブ142の遠位端142dに向かって摺動させることができる。結果として、内側スリーブ142は、第1の方向(例えば、時計回りの方向)に回転することができ、それによってクランプ要素を超音波ブレード110の周りの望ましい位置に回転させることができる。
【0046】
内側スリーブ142の、ひいてはクランプ要素108の回転量は、少なくとも部分的にスロット145のサイズ及び形状に依存する。いくつかの実施形態では、内側スリーブ142は、その中心軸の周りを約270度回転することができる。他の実施形態では、内側スリーブ142は、その中心軸の周りを約180度~約270度回転することができる。更に、内側スリーブ142の回転量はまた、ピン146aに加えられる力の量にも依存し得る。
【0047】
アクチュエータロッド147は、様々な方法で作動され得る。例えば、
図3A~
図3Bに示されるように、回転組立体141は、アクチュエータロッド147を外側スリーブ118に対して遠位方向及び近位方向に前進させるように構成されている、回転駆動組立体148に動作可能に連結される。以下でより詳細に説明される回転駆動組立体148は、ハウジング内に配置され、対応するモータ150に動作可能に連結された対応する回転駆動ディスク149に連結され得る。作動中、モータ150は回転駆動組立体148を作動させることができる。本明細書に開示されるシステム及び装置と共に使用するための例示的なモータは、例えば、米国特許第9,445,816号及び同第9,585,658号、並びに米国特許出願公開第2012/0292367号及び同第2015/0209059号に記載されており、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当業者であれば、回転駆動組立体148の要素は、
図1及び
図3A~3Bに示されるものに限定されないこと、したがって他の好適な回転駆動組立体は、本明細書に記載される回転駆動組立体の特徴の一部又は全てを含み得ることを理解するであろう。更に、簡潔にするために、回転駆動組立体148の特定の構成要素は、
図3A~
図3Bには示されていない。
【0048】
回転駆動組立体148は様々な構成を有することができる。例えば、
図3A~
図3Bに示されるように、回転駆動組立体148は、並進ブロック153に連結されたギヤラック152と噛合係合する回転駆動ギヤ151を含むことができる。並進ブロック153は、そこから延在する駆動シャフト154に接続される。アクチュエータロッド147は、駆動シャフト154の軸方向移動がアクチュエータロッド147の対応する軸方向運動を引き起こすように、駆動シャフト154に接続される。回転駆動ギヤ151は、モータ150に動作可能に連結された回転駆動ディスク149に動作可能に連結され得る。使用中、モータ150が起動されると、回転駆動ディスク149の回転が駆動される。回転駆動ディスク149の回転は、回転駆動ギヤ151の回転を駆動して、外側スリーブ118に対するアクチュエータロッド147の実質的に直線的な移動を引き起こす。モータ150からの回転出力運動を一方向に加えることにより、アクチュエータロッド147が遠位方向に実質的に直線運動してピン146aを内側スリーブ142の遠位端142dに向かって摺動させることが理解されるであろう。更に、回転出力運動が反対方向に加えられると、アクチュエータロッド147が近位方向に実質的に直線移動してピン146aを内側スリーブ142の近位端142pに向かって摺動させる。
【0049】
器具シャフト104はまた、外科用装置100の他の運動又は動作をもたらすための追加の組立体を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、器具シャフト104は、関節運動組立体155を備えることができる。代替的に、又は追加的に、器具シャフト104は、クランプ組立体を備えることができる。
【0050】
図1及び
図2A~
図2Bに示されるように、器具シャフト104は、装置100の長手方向軸(L)と整列した位置から長手方向軸(L)と整列しない位置までエンドエフェクタ組立体106を偏向させるように構成されている関節運動組立体155を備える。更に、関節運動組立体155と組み合わせて、エンドエフェクタ組立体106の関節運動は、外側スリーブ118の関節運動領域124a、関節部材126、及び導波管138の可撓性部分140によって達成される。本明細書ではまた、他の好適な関節運動組立体が、単独で、又は本明細書に記載される外科用装置の1つ以上の特徴と組み合わせて使用され得ることも企図される。他の例示的な関節運動組立体の非限定的な例は、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2016/0296250号、同第2016/0296251号、同第2016/0296252号、同第2016/0296268号、同第2015/0320437号、同第2016/0374712号、及び同第2016/0302819号に見出すことができる。
【0051】
関節運動組立体155は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、関節運動組立体155は、
図2A~
図2Bに示されるように、関節運動引張部156を備える。関節運動引張部156は様々な形態を有し得る。示されるように、関節運動引張部156は、外側スリーブ118の先端部120bを補完し、それに連結される実質的に半円形の構成を有する。本明細書では、関節運動引張部156は、他の形状の形態をとることができることも想到される。図示された関節運動引張部156は、それぞれが器具シャフト104を通ってハウジング102内へと延在する2つのアクチュエータロッド157、158に連結される。示されるように、第1のアクチュエータロッド157は、関節運動引張部156の第1の側端部159に連結され、第2のアクチュエータロッド158は、関節運動引張部156の第2の対向する側端部160に連結される。
【0052】
使用中、エンドエフェクタ組立体106が装置100の長手方向軸と整列されると、第1のアクチュエータロッド157及び第2のアクチュエータロッド158の作動は、エンドエフェクタ組立体106を長手方向軸から偏向させることができる。例えば、第1のアクチュエータロッド157が作動されると、第1のアクチュエータロッド157はハウジング102に対して遠位に前進することができ、第2のアクチュエータロッド158が作動されると、第2のアクチュエータロッド158は、ハウジング102に対して近位に後退することができ、又はこれらの逆であってもよい。その結果、第1のアクチュエータロッド157及び第2のアクチュエータロッド158の軸方向並進は、長手方向軸線に対してある角度でのエンドエフェクタ組立体106の関節運動を容易にする。ハウジング102に対する第1のアクチュエータロッド157及び第2のアクチュエータロッド158の遠位又は近位移動により、エンドエフェクタ組立体106が長手方向軸に対して移動する方向(例えば、
図2Aに示されるように、左方向(D
L)又は右方向(D
R))に駆動されることが理解されるであろう。更に、長手方向軸に対するエンドエフェクタ組立体106の移動は、長手方向軸に対する導波管138の可撓性部分140の移動に少なくとも部分的に依存することが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、可撓性部分140は、長手方向軸に対して1方向に約45度以下関節運動することができる。1つの他の実施形態では、可撓性部分140は、長手方向軸に対して1方向に約35度~45度関節運動することができる。一実施形態では、可撓性部分140は、長手方向軸に対して1方向に約35度~40度関節運動することができる。
【0053】
アクチュエータロッド157、158は、様々な方法で作動され得る。例えば、
図1及び
図3A~
図3Bに示されるように、関節運動組立体155は、各アクチュエータロッド157、158をハウジング102に対して遠位方向及び近位方向に前進させるように構成されている関節運動駆動組立体161に動作可能に連結される。以下でより詳細に説明される関節運動駆動組立体161は、ハウジング102内に配置され、対応するモータ163に動作可能に連結された対応する回転駆動ディスク149に連結され得る。作動中、モータ163は関節運動駆動組立体161を作動させることができる。本明細書に開示される装置及びシステムと共に使用するための例示的なモータは、例えば、先に言及した米国特許第9,445,816号及び同第9,585,658号、並びに米国特許出願公開第2012/0292367号及び同第2015/0209059号に記載されており、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当業者であれば、関節運動駆動組立体161の要素は、
図1及び
図3A~
図3Bに示されるものに限定されないこと、したがって他の好適な関節運動駆動組立体は、本明細書に記載される関節運動駆動組立体161の特徴の一部又は全てを含み得ることを理解するであろう。更に、簡潔にするために、関節運動駆動組立体161の特定の構成要素は、
図3A~
図3Bには示されていない。
【0054】
関節運動駆動組立体161は様々な構成を有することができる。例えば、
図3A~
図3Bに示されるように、関節運動駆動組立体161は、第1の並進ブロック166に連結された第1のギヤラック165と噛合係合する回転駆動ギヤ164を含むことができる。第1の並進ブロック166は、そこから延在する第1の駆動シャフト167に接続される。第1のアクチュエータロッド157は、第1の駆動シャフト167の軸方向移動が第1のアクチュエータロッド157の対応する軸方向運動を引き起こすように、第1の駆動シャフト167に接続される。回転駆動ギヤ164はまた、第2の並進ブロック169に連結された第2のギヤラック168と噛合係合している。第2の並進ブロック169は、そこから延在する第2の駆動シャフト170に接続される。第2のアクチュエータロッド158は、第2の駆動シャフト170の軸方向移動が第2のアクチュエータロッド158の対応する軸方向運動を引き起こすように、第2の駆動シャフト170に接続される。図示されるように、第1のギヤラック165及び第2のギヤラック168は互いに対向し、それにより、回転駆動ギヤ164は、第1のギヤラック165及び第2のギヤラック168と同時に係合することができる。
【0055】
回転駆動ギヤ164は、モータ163に動作可能に連結された回転駆動ディスク162に動作可能に連結され得る。使用中、モータ163が起動されると、回転駆動ディスク162の回転が駆動される。回転駆動ディスク162の回転は、回転駆動ギヤ164の回転を駆動して、ハウジング102に対する第1のアクチュエータロッド157の第1の方向(例えば、遠位方向)への実質的に直線的な移動を引き起こす。回転駆動ギヤ164の回転はまた、第1の方向とは反対の第2の方向(例えば、近位方向)への、ハウジング102に対する第2のアクチュエータロッド158の実質的に直線的な移動を同時に引き起こす。モータ163からの回転出力運動を一方向に加えることにより、第1のアクチュエータロッド157が遠位方向に、及び第2のアクチュエータロッド158が近位方向に実質的に直線運動して、エンドエフェクタ組立体106を第1の方向に動かすことが理解されるであろう。更に、回転出力運動を反対方向に加えることにより、第1のアクチュエータロッド157が近位方向に、及び第2のアクチュエータロッド158が遠位方向に実質的に直線運動して、エンドエフェクタ組立体106を第2の方向に動かすことが理解されるであろう。
【0056】
上述したように、器具シャフト104は、クランプ組立体を備えることができる。クランプ組立体は、クランプ要素108が超音波ブレード110に向かって及び超音波ブレード110から離れる方向に選択的に移動できるように、クランプ要素108を器具シャフト104に対して移動させるように構成され得る。クランプ組立体は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図2A~
図2Bに示されるように、クランプ組立体は、本明細書で集合的にクランプ引張部と称される第1の引張部材172及び第2の引張部材173を含む。クランプ引張部は、第2の引張部材173の遠位端に位置する連結要素174を介してクランプ要素108に連結され得る。連結要素174は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、示されるような連結要素174は、クランプ要素108の近位端の内側表面から延在する相補的ピンを受容するように構成されている、2つの対向するチャネル175を含む。2つの対向するチャネル175は、相補的ピンのガイドとして機能して、超音波ブレード110に向かう及び超音波ブレード110から離れるクランプ要素108の動きを容易にすることができる。
【0057】
第1の引張部材172及び第2の引張部材173は様々な形態を有し得る。示される第1の引張部材172は、実質的に半円形の構成を有し、外側スリーブ118と内側スリーブ142との間に位置付けられる。図示した第1の引張部材172は細長いが、当業者であれば、第1の引張部材172の長さは変化し得ることを理解するであろう。示されるように、第2の引張部材173は、実質的に管状の構成を有し、導波管138と内側スリーブ142との間に位置付けられる。本明細書では、第1の引張部材172及び第2の引張部材173は、他の形状の形態をとることができることも想到される。更に、第1の引張部材172及び第2の引張部材173は、以下で詳細に論じられるように、第1引張部材172の軸方向並進運動が、第2引張部材173の対応する軸方向並進運動をもたらし、それによってクランプ要素108を超音波ブレード110に向かって又はそこから離れる方向に移動させるように、互いに係合又は相互作用するように構成されている。例えば、示されるように、フランジ177は、第2の引張部材173の近位端に位置する。このフランジ177は、第1の引張部材172内に画定された凹部チャネル178と係合するように構成されている。またこの係合により、関節運動組立体が作動されると、第2の引張部材173が内側スリーブ142と共に回転することも可能にする。
【0058】
例示されるクランプ引張部、具体的には、第1の引張部材172は、器具シャフト104を通ってハウジング102内へと延在するアクチュエータロッド179に連結される。アクチュエータロッド179は器具シャフト104の任意の部分に沿って延在することができるが、示されるように、アクチュエータロッド179は器具シャフト104の上部に沿って延在してよい。この位置は、エンドエフェクタ組立体106が関節運動しているときにアクチュエータロッド179が受ける長さの変化が最小限であり、それによる関節運動中のクランプ要素108の超音波ブレード110に向かう移動を防止するため、望ましい場合がある。使用中、アクチュエータロッド179が作動されると、アクチュエータロッド179は外側スリーブ118に対して軸方向に並進し、それによって第1の引張部材172及びその結果としてクランプ引張部の近位運動又は遠位運動を引き起こす。
【0059】
使用中、アクチュエータロッド179がハウジング102に向かって(例えば、初期位置から近位位置へ)移動すると、クランプ引張部、ひいては連結要素174は、ハウジング102に向かって後退する。連結要素174のこの動きは、クランプ要素108の相補的ピンを連結要素174の2つの対向するチャネル175内で摺動させ、したがって、クランプ要素108がその初期位置(例えば、開放位置)から超音波ブレード110(例えば、閉鎖位置)に向かって移動することを容易にする。クランプ要素108が閉鎖位置にあると、当業者であれば、アクチュエータロッド179をハウジング102から離れる方向に(例えば、遠位方向に)移動させることにより、クランプ引張部も同様の方向に移動することを理解するであろう。この動きにより、クランプ要素108が超音波ブレード110から離れる方向に移動し、それによってクランプ要素108がその初期位置に向かって移動する、つまり戻ることが可能になる。すなわち、アクチュエータロッド179をハウジング102から離れる方向に移動させると、クランプ要素108の相補的ピンは、2つの対向するチャネル175内でそれらの初期位置に向かって移動する、つまり戻る。
【0060】
アクチュエータロッド179は、様々な方向に前進できる。例えば、
図1及び
図3A~
図3Bに示されるように、クランプ組立体は、アクチュエータロッド179を外側スリーブ118に対して遠位方向及び近位方向に移動させるように構成されている、クランプ駆動組立体180に動作可能に連結される。以下でより詳細に説明されるアクチュエータクランプ組立体は、ハウジング102内に配置され、対応するモータ182に動作可能に連結された対応する回転駆動ディスク181に連結され得る。作動中、モータ182はクランプ駆動組立体180を作動させることができる。本明細書に開示される装置及びシステムと共に使用するための例示的なモータは、例えば、先に言及した米国特許第9,445,816号及び同第9,585,658号、並びに米国特許出願公開第2012/0292367号及び同第2015/0209059号に記載されており、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当業者であれば、クランプ駆動組立体180の要素は、
図1及び
図3A~
図3Bに示されるものに限定されないこと、したがって他の好適なクランプ駆動組立体は、本明細書に記載されるクランプ駆動組立体180の特徴の一部又は全てを含み得ることを理解するであろう。更に、簡潔にするために、クランプ駆動組立体180の特定の構成要素は、
図3A~
図3Bには示されていない。
【0061】
クランプ駆動組立体180は様々な構成を有することができる。例えば、
図3A~
図3Bに示されるように、回転駆動組立体148は、3つの回転ギヤ183、184、185を備えることができる。第1の回転ギヤ183は、駆動ポスト186によって第2の回転ギヤ184に動作可能に連結される。第1の回転駆動ギヤ183はまた、並進ブロック188に連結されたギヤラック187と噛合係合している。並進ブロック188は、そこから延在する駆動シャフト189に接続される。アクチュエータロッド179は、駆動シャフト189の軸方向移動がアクチュエータロッド179の対応する軸方向運動を引き起こすように、駆動シャフト189に接続される。第2の回転ギヤ184は、第3の回転ギヤ185と噛合係合している。第3の回転ギヤ185は、モータ182に動作可能に連結された回転駆動ディスク181に動作可能に連結され得る。使用中、モータ182が起動されると、回転駆動ディスク181の回転が駆動される。回転駆動ディスク181の回転は、第3の回転ギヤ185と、その結果第1の回転ギヤ183の回転を駆動して、ハウジング102に対するアクチュエータロッド179の実質的に直線的な移動を引き起こす。モータ182からの回転出力運動を一方向に加えることにより、アクチュエータロッド179が近位方向に実質的に直線運動してクランプ引張部をハウジング102に向かって移動させることが理解されるであろう。更に、回転出力運動が反対方向に加えられると、アクチュエータロッド179が遠位方向に実質的に直線移動してクランプ引張部をハウジング102から離れる方向へ、かつ外側スリーブ118の遠位端に向かって移動させる。
【0062】
代替的に、又は追加的に、アクチュエータロッド179を手動で前進又は後退させることが望ましい場合がある。例えば、
図1及び
図3A~
図3Bに示されるように、回転ノブ190は、駆動ポスト186を介して第1の回転ギヤ183に動作可能に連結され得る。使用中、回転ノブ190、したがって第1の回転ギヤ183の手動回転は、上述と同様の方法でアクチュエータロッド179の軸方向並進をもたらす。
【0063】
いくつかの実施形態では、器具シャフト104、ひいてはエンドエフェクタ組立体全体が回転することが望ましい場合がある。したがって、器具シャフト104の回転は、シャフト回転駆動組立体を使用することによって達成することができる。回転組立体141及び回転駆動組立体148とは異なり、本明細書に記載されるようなシャフト回転駆動組立体は、超音波ブレードに関連するクランプ要素を回転させるだけでなく、エンドエフェクタ組立体全体の回転をもたらす。例えば、
図1及び
図3A~
図3Bに示されるように、シャフト回転駆動組立体191がハウジング102内に配設される。更に、簡潔にするために、シャフト回転駆動組立体191の特定の構成要素は、
図3A~
図3Bには示されていない。
【0064】
シャフト回転駆動組立体191は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図1及び
図3A~
図3Bに示されるように、シャフト回転駆動組立体191は、器具シャフト104の近位端104pに位置付けられた第1のらせん状ウォームギヤ192を備えることができる。第1のらせん状ウォームギヤ192は、駆動ポスト196を介して第1の回転駆動ギヤ194に連結された第2のらせん状ウォームギヤ193と噛合係合している。第1の回転駆動ギヤ194は、モータ198に動作可能に連結された回転駆動ディスク197に動作可能に連結された第2の回転駆動ギヤ195と噛合係合している。
【0065】
使用中、モータ198は回転駆動ディスク197を回転させて、第2の回転駆動ギヤ195の、結果として第1のらせん状ウォームギヤ192の回転を駆動する。これにより、ハウジング102に対する器具シャフト104の回転運動が生じる。モータ198からの回転出力運動を一方向に加えることにより、器具シャフト104が第1の方向(例えば、時計回りの方向)に実質的に回転運動することが理解されるであろう。更に、回転出力運動を反対方向に加えることにより、器具シャフト104が第2の反対方向(例えば、反時計回りの方向)に実質的に回転運動することになる。
【0066】
外科的な巧緻性を向上させ並びに外科医が直感的な方式で患者に手術できるようにするために、長年にわたって、様々な低侵襲ロボット(又は「遠隔手術」)システムが開発されてきた。こうしたシステムの多くのものが、それぞれの全体が参照により本明細書にそれぞれ組み込まれている次の米国特許に開示されている:発明の名称が「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」である米国特許第5,792,135号、発明の名称が「Multi-Component Telepresence System and Method」である米国特許第6,132,368号、発明の名称が「Robotic Arm DLUS For Performing Surgical Tasks」である米国特許第6,231,565号、発明の名称が「Robotic Surgical Tool With Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」である米国特許第6,783,524号、発明の名称が「Alignment of Master and Slave In a Minimally Invasive Surgical Apparatus」である米国特許第6,364,888号、発明の名称が「Mechanical Actuator Interface System For Robotic Surgical Tools」である米国特許第7,524,320号、発明の名称が「Platform Link Wrist Mechanism」である米国特許第7,691,098号、発明の名称が「Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery」である米国特許第7,806,891号、及び発明の名称が「Surgical Tool With Wristed Monopolar Electrosurgical End Effectors」である米国特許第7,824,401号。しかしながら、かかるシステムの多くはこれまで、組織を効果的に切断し締結するのに必要な大きさの力を発生させることができなかった。しかしながら、かかるシステムの多くはこれまで、クランプ要素及び超音波ブレードを有するエンドエフェクタ組立体の関節運動及び回転を容易にすることができなかった。
【0067】
外科用装置100は、様々な方法で組み立てることができる。例えば、
図2A~
図2Bに示される外科用装置100の遠位部分を組み立てるために、サブユニットの組み立てを含むことができ、これらサブユニットは次に、共に結合されて結果として遠位部分を形成する。いくつかの実施形態では、第1のサブユニットの組み立ては、関節部材126を器具シャフト104の剛性部材132に連結することを含んでよい。導波管138及び超音波ブレード110は、この例示的な実施形態では一体構造であり、次に、剛性部材132及び関節部材126を通って摺動することができる。その後、アクチュエータロッド147はピン146a及びピンプレート146bを備え、アクチュエータロッド179は第1の引張部材172を備える、各アクチュエータロッド147、157、158、179が、関節部材126及び剛性部材132のそれらの対応の凹部チャネル内に配置され、それによって第1のサブユニットを形成することができる。第1のサブユニットは、第1の引張部材172及びピン146a及びピンプレート146bが外側スリーブ118の先端部120bに位置するように、外側スリーブ118内に摺動される。第2のサブユニットは、第2の引張部材173及び連結要素174を内側スリーブ142を通して摺動させることによって形成することができる。その後、クランプ要素108は、連結要素174及び内側スリーブ142の両方に取り付けられ、それによって第2の引張部材173及び内側スリーブ142を共に連結することができる。次に、第2のサブユニットを、具体的には外側スリーブ118の先端部120bにおいて、器具シャフト104内に挿入できる。次に、関節運動引張部156を第2のサブユニット上に配置し、外側スリーブ118の先端部に溶接して、外科用装置100の遠位部分を形成することができる。
【0068】
したがって、上述のように、外科用装置は、電気機械的アーム(例えば、ロボットアーム)に装着されるように設計され得る。例えば、
図4は、電気機械的アーム402に取り付けられた
図1~
図3Bに示される装置100を有するロボット外科用システム400を示す。電気機械的アーム402は、ディスプレイ及び2つのユーザー入力装置を備えるコンソールを有する制御システム404に無線で連結されることができる。1つ以上のモータ(図示せず)は、電気機械的アーム402の端部に連結されたモータハウジング406内に配設される。外科用装置100のハウジング102は、モータハウジング406、ひいては電気機械的アーム402に取り付けられ、それによって、モータ(複数可)を外科用装置100の様々な駆動組立体に動作可能に連結する。結果として、モータ(複数可)が制御システム404によって起動されると、モータ(複数可)は、1つ以上の駆動組立体を作動させることができる。
図4に示されるように、器具シャフト104はハウジング102から延在する。手術中、器具シャフト104及びエンドエフェクタ組立体106、つまり本説明の目的においては集合的に器具シャフト組立体は、モータハウジング406とトロカール408の支持体との間に延在するキャリア410の底部に取り付けられたトロカール408内に配置され、トロカール408を通って延在し得る。キャリア410は、器具シャフト組立体のトロカール408内及び外への並進を可能にする。更に、エンドエフェクタ組立体106が超音波ブレード110を備える場合、ジェネレータ116は、ハウジング102内に配設された超音波トランスデューサ112に動作可能に連結される。使用中、制御システム404によってジェネレータ116が起動されると、ジェネレータ116は、超音波トランスデューサ112に電気エネルギーを供給する。超音波トランスデューサ112は、電気エネルギーを、導波管138に沿って超音波ブレード110まで移動する超音波振動に変換し、それにより、超音波ブレード110は処置部位で組織を切断及び/又は凝固することができる。電気機械的アーム402は、1つ以上の自由度(例えば、6つ全部のデカルト自由度、5つ若しくはそれ以下のデカルト自由度など)に沿って、外科用装置100全体を支持し、移動させるように構成されている。
【0069】
モータによって制御されるように構成された(「パック」とも呼ばれる)ハウジング又は器具ハウジングのモータ動作及び構成要素の例示的実施形態は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年3月13日に出願された「Compact Robotic Wrist」と題する国際公開第2014/151952号、2014年3月13日に出願された「Hyperdexterous Surgical System」と題する国際公開第2014/151621号、2016年7月1日に出願された「Methods,Systems,And Devices For Initializing A Surgical Tool」と題する米国特許出願第15/200,283号、及び2016年8月16日に出願された「Methods,Systems,And Devices For Controlling A Motor Of A Robotic Surgical Systems」と題する米国特許出願第15/237,653号に更に記載されている。
【0070】
図5A~
図5Bは、回転組立体541を備える外科用装置500の別の例示的な実施形態の遠位部分を示す。以下に詳細に記載される相違点以外に、外科用装置500は、外科用装置100(
図1~
図3B)と同様であってよく、したがって、本明細書では詳細に説明しない。図示されるように、外科用装置500は、
図1のハウジング102のようなハウジングから延在し得る器具シャフト504を備える。器具シャフト504は、回転組立体541及びロック機構を含む。ロック機構は、少なくとも1つのロック組立体を含むことができる。
図5A~
図5Bに示され、以下でより詳細に記載されるように、この例示的な実施形態では、ロック機構は2つのロック組立体を含む。
【0071】
示されるように、回転組立体541は、連結されたクランプパッド509を有するクランプ要素508に連結された内側スリーブ542を備える。この例示的実施形態では、クランプ要素508はジョーである。内側スリーブ542は、第1の端部542d(例えば、遠位端)から第2の端部542p(例えば、近位端)まで延在し、中間セグメント542iはそれらの間に延在する。内側スリーブ542は摺動機構を含む。摺動機構は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図5A~
図6に示されるように、摺動機構は、以下により詳細に記載される、所定のパターンの突出部543及び1つ以上のピン546a(例えば、3つのピン)を含む。
【0072】
図5A~
図6に示されるように、所定のパターンの突出部543は、内側スリーブ542の中間セグメント542iの一部から半径方向外側に突出する。所定のパターンの突出部543は、それらの間にチャネル545を画定する。所定のパターンは様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、所定のパターンは1つ以上の突出部543の列を含むことができる。例えば、
図5A~
図6に示されるように、所定のパターンは、内側スリーブ542の周囲に円周方向に延在する突出部543の3つの別個の列543a、543b、543cを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の列は連続していてよいが、他の実施形態では、1つ以上の列は不連続であってもよい。図示される実施形態では、内側スリーブ542上の最遠位列である第1の列543aの突出部543は、それらの遠位端543dで互いに相互接続されている。結果として、第1の列543aは、1つ以上のピン546aが内側スリーブ542のチャネル545との係合から外れるのを防止するのを助けるように、内側スリーブ542の周囲に連続的に延在する。第2の列543b及び第3の列543cの突出部543は、不連続である。また、本明細書では、別の所定のパターンの突出部543が外科用装置500と共に使用され得ることも企図される。
【0073】
単一の列内の突出部543は、同じ形状及びサイズを有してよい。示されるように、第1の列543aの突出部543は、第1の形状及びサイズを有し、第2の列543bの突出部543は第2の形状及びサイズを有し、第3の列543cの突出部543は第3の形状を有する。各列内の突出部543は同じ形状及びサイズを有するが、本明細書では、単一の列内の突出部543が、異なる形状及びサイズを有し得ることも企図される。あるいは、2つ以上の列の突出部543は、同じ又は異なる形状及び/又はサイズを有することができる。突出部543の形状及びサイズ、並びにその列の数は、内側スリーブ542のサイズ及び形状に少なくとも部分的に依存し、したがって、それに応じて変化し得ることが理解されるであろう。
【0074】
所定のパターンの突出部543は、それらの間にチャネル545を画定するように構成されており、それにより、ピン546aのうちの1つがチャネル545に沿って所定の経路で選択的にガイドされて、内側スリーブ542を第1の方向又は反対側の第2の方向に回転させることができる。すなわち、以下でより詳細に論じられるように、1つ以上のピン546aは、外側スリーブ518に対する内側スリーブ542の回転を引き起こすためにチャネル545内で選択的に摺動し、その結果、1つ以上のピン546aに動作可能に連結された入力部に力が加えられたときに、超音波ブレード510に対するクランプ要素508の回転を引き起こすように構成されている。
【0075】
例えば、
図5Bに示すように、3つのピン546aは、ピンプレート546bの遠位端546dから半径方向内側に突出する。ピン546a及びピンプレート546bは様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図5Bに示されるように、ピン546aはそれぞれ円筒形状を有し、ピンプレート546bは弓状構成を有する。アクチュエータロッド547は、ピンプレート546bの近位部分546p、よってピン546aに連結されている。アクチュエータロッド547は器具シャフト504の任意の部分に沿って延在することができるが、
図5Aに示されるように、アクチュエータロッド547は器具シャフト504の下部に沿って延在できる。この位置は、エンドエフェクタ組立体506が関節運動しているときにアクチュエータロッド547が受ける長さの変化が最小限であり、それによる関節運動中のクランプ要素508の回転を防止するため、望ましい場合がある。アクチュエータロッド547が作動されると、アクチュエータロッド547は外側スリーブ518に対して軸方向に並進し、それによって内側スリーブ542及びその結果としてクランプ要素508の回転を引き起こす。
【0076】
使用中、アクチュエータロッド547に力が加えられると(例えば、動作可能に連結された入力部によって)、アクチュエータロッド547は外側スリーブ518に対して軸方向に並進し、それによって、ピン546aをチャネル545内で摺動させることによって、内側スリーブ542、ひいてはクランプ要素508を超音波ブレード510に対して回転させる。すなわち、作動されると、アクチュエータロッド547は第1又は第2の方向に移動し、ピン546aを移動させる。アクチュエータロッド547の方向移動に応じて、内側スリーブ542の、ひいてはクランプ要素508の回転は、時計回りの方向又は反時計回りの方向に回転することができる。例えば、使用時に、アクチュエータロッド547は初期遠位方向に移動し、ピン546aを内側スリーブ542の第1の端部542dに向かって摺動させることができる。結果として、内側スリーブ542は、第1の方向(例えば、時計回りの方向)に回転することができ、それによってクランプ要素508を超音波ブレード510の周りの望ましい位置に回転させることができる。アクチュエータロッド547は、続いて近位方向に移動でき、これにより、以下に説明するように、内側スリーブ542を第1の方向に更に回転させることに留意されたい。
【0077】
内側スリーブ542の第1の方向D1又は第2の方向D2への回転をもたらすための、1つ以上のピン546aのための2つの例示的なガイド経路が、
図6に示されている。簡潔にするためだけの目的で、
図6は、
図5A~
図5Bの装置500の1つのピン546aのための2つの例示的なガイド経路を示している。しかしながら、3つのピン546aは、互いに、及びピンプレート546bの遠位端546dから等距離に位置付けられ、3つのピン546aは、同様のガイド経路内で同時に移動する。
図6に示されるように、内側スリーブ542の第1の方向D1(例えば、装置500をその近位端(遠位端500dの反対側)から見たときの反時計回りの方向)への回転を開始するために、アクチュエータロッド547は、外側スリーブ518に対して遠位に並進し、それによってピン546aを第1の開始位置(PA)から第2の位置(P2)へと遠位に前進させる。当業者であれば、開始位置(PA)が例示的であり、したがって開始位置(PA)は
図6に示す位置に限定されないことを理解するであろう。
【0078】
ピン546aが第2の位置(P2)へと前進し始めると、ピンプレート546bは、以下により詳細に記載されるように、ロック機構を係合解除し、それによって内側スリーブ542が回転できる。アクチュエータロッド547が更に遠位に前進すると、ピン546aは第2の位置(P2)から第3の位置(P3)へと遠位に前進して、内側スリーブ542の第1の方向D1への回転を開始する。内側スリーブ542の第1の方向D1への回転を継続するために、アクチュエータロッド547は後退し、それによってピン546aを第3の位置(P3)から第4の位置(P4)へと移動させる。アクチュエータロッド547が更に後退すると、ピン546aは、第4の位置(P4)から第2の開始位置(PB1)へと移動して、内側スリーブ542を第1の方向D1に更に回転させ、以下に詳細に記載されるように、最終的にはロック機構に再び係合する。ピン546aのこの移動(すなわち、PAからPB1)は、内側スリーブ542が第1の方向D1に望ましい量回転するまで、1回以上繰り返され得る。
【0079】
あるいは、
図6に示されるように、内側スリーブ542の第2の方向D2(例えば、装置500をその近位端(遠位端500dの反対側)から見たときの時計回りの方向)への回転を開始するために、アクチュエータロッド547は、外側スリーブ518に対して近位に並進し、それによってピン546aを第1の開始位置(PA)から第2の位置(P5)へと遠位に後退させる。当業者であれば、開始位置(PA)が例示的であり、したがって開始位置(PA)は
図6に示す位置に限定されないことを理解するであろう。
【0080】
ピン546aが第2の位置(P5)へと後退し始めると、ピンプレート546bは、以下により詳細に記載されるように、ロック機構を係合解除し、それによって内側スリーブ542が回転できる。アクチュエータロッド547が更に後退すると、ピン546aは第2の位置(P5)から第3の位置(P6)へと後退して、内側スリーブ542の第2の方向D2への回転を開始する。内側スリーブ542の第2の方向D2への回転を継続するために、アクチュエータロッド547は遠位に前進し、それによってピン546aを第3の位置(P6)から第4の位置(P7)へと移動させる。アクチュエータロッド547が更に遠位に前進すると、ピン546aは、第4の位置(P7)から第2の開始位置(PB1)へと移動して、内側スリーブ542を第2の方向D2に更に回転させ、以下に詳細に記載されるように、最終的にはロック機構に再び係合する。ピン546aのこの移動(すなわち、PAからPB2)は、内側スリーブ542が第2の方向D2に望ましい量回転するまで、1回以上繰り返され得る。
【0081】
内側スリーブ542の回転量、つまりクランプ要素508の回転量は、ピン546aのサイズ、内側スリーブ542のサイズ、並びにそれらの間に画定される複数の突出部543及びチャネル545のサイズ及び形状に少なくとも部分的に依存する。いくつかの実施形態では、内側スリーブ542は、その中心軸の周りを約360度以下で回転することができる。例えば、一実施形態では、内側スリーブ542は、その中心軸の周りを約1度~約360度回転することができる。別の実施形態では、内側スリーブ542は、その中心軸の周りを約2度~約360度回転することができる。別の実施形態では、内側スリーブ542は、その中心軸の周りを約4度~約360度回転することができる。更に、内側スリーブ542の回転量はまた、ピン546aに加えられる力の量にも依存し得る。
【0082】
図5A~
図6に示されるように、第1の列543aの突出部543と第3の列543cの突出部543は、それらのそれぞれの傾斜面が対向する角度で延在することを除いて、実質的に同じ形状を有する。すなわち、第1の列543aの突出部543の傾斜面は、第1の角度
【数1】
で延在し、第2の列543bの突出部543の傾斜面は、第1の角度
【数2】
と対向する第2の角度
【数3】
で延在する。その結果、内側スリーブ542は、対向する方向に連続して360度回転することができる。これを防止するため、内側スリーブ542が一方向に1回のみ回転するように、ロック機構は器具シャフト504内にあり、クランプ要素508の一方向運動を促進することができる。
【0083】
上述したように、ピン546aの初期移動によりロック機構が係合解除し、内側スリーブ542が第1の方向又は第2の方向に回転することを可能にする。ロック機構は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、ロック機構は、
図5A~
図5Bに示されるように、2つのロック組立体を備える。第1のロック組立体は、内側スリーブ542の第2の端部542pの周囲で円周方向に延在する第1の複数の歯599aと、
図6に示されるように、内側スリーブ542が第1の方向D1に回転することを防止するために第1の複数の歯599aと係合するように構成されている第1のばねアーム539aと、を備える。第2のロック組立体は、内側スリーブ542の第2の端部542pの周囲で円周方向に延在する第2の複数の歯599bと、
図6に示されるように、内側スリーブ542が第2の方向D2に回転することを防止するために第2の複数の歯599bと係合するように構成されている第2のばねアーム539bと、を備える。したがって、各ロック組立体はラチェット様機構として機能する。
【0084】
複数の歯は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図5A~
図5Bに示されるように、第1の複数の歯599a及び第2の複数の歯599bは、内側スリーブ542の第2の端部542pの周りに環状構成を有する。
【0085】
図5Bに示されるように、2つのばねアーム539a、539bは、関節運動引張部556の対向する側面559、560に連結され、それから延在する。2つのばねアーム539a、539bは様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図5A~
図5Bに示されるように、2つのばねアーム539a、539bはそれぞれ弓状構成を有する。更に、2つのばねアーム539a、539bは互いにオフセットされている。これは、第1のばね539aは、第1の複数の歯599aと係合して、
図6に示される第1の方向D1への内側スリーブ542の回転を防止するように構成され、第2のばねアーム539bは、第2の複数の歯599bと係合して、
図6に示される第2の方向D2への内側スリーブ542の回転を防止するように構成されるためである。したがって、各ばねアーム539a、539bが、それらの対応する複数の歯599a、599bと係合すると、内側スリーブ542、したがってクランプ要素508は回転できない。結果として、以下により詳細に記載されるように、内側スリーブ542が第1の方向に回転すると、第1のばねアーム539aは第1の複数の歯599aから係合解除され、一方、第2のばねアーム539bは第2の複数の歯599bと係合したままである。同様に、内側スリーブ542が第2の方向に回転すると、第2のばねアーム539bは第2の複数の歯599bから係合解除され、一方、第1のばねアーム539aは第1の複数の歯599aと係合したままである。
【0086】
ロック組立体を係合解除及び再係合するために、ピンプレート546bは、ピンプレート546bの対向する側面から延在する2つのロック解除アーム544a、544bを含む。2つのロック解除アーム544a、544bは様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図5A~
図5Bに示されるように、2つのロック解除アーム544a、544bはそれぞれ弓状構成を有する。更に、2つのロック解除アーム544a、544bは互いにオフセットされている。これは、第1のロック解除アーム544aが、第1のばねアーム539aを第1の複数の歯599aから係合解除して、内側スリーブ542が
図6に示される第1の方向D1に回転することを可能にするように構成されているためである。同様に、第2のロック解除アーム544bは、第2のばねアーム539bを第2の複数の歯599bから係合解除し、内側スリーブ542が
図6に示される第2の方向D1に回転することを可能にするように構成されている。したがって、第1のロック解除アーム544a及び第2のロック解除アーム544bは、第1のばねアーム539a及び第2のばねアーム539bとそれぞれ相互作用して、ロック組立体のうちの1つを係合解除し、内側スリーブ542を第1の方向又は第2の方向に回転させるように構成され得る。
【0087】
使用中、上述したように、ピン546aが第2の位置(P2)まで遠位に前進し始めると、ピンプレート546bは、第1のばねアーム539aを移動させることによって第1のロック組立体を係合解除する。すなわち、アクチュエータロッド547が遠位に前進し始めると、よってピン546aがその開始位置(PA)から遠位に移動し始めると、ピンプレート546bの第1のロック解除アーム544aもまた遠位に移動する。結果として、第1のロック解除アーム544aの遠位移動が、第1のばねアーム539aを遠位に移動させ、その結果、第1の複数の歯599aから係合解除させる。この係合解除は、
図6に示すように、内側スリーブ542が第1の方向D1に移動することを可能にする。第1のロック組立体は、ピン546aが第2の開始位置(PB
1)に移動するまで係合解除される。
【0088】
上述したように、
図6に示されるように内側スリーブ542を第2の方向D2に移動させるために、ピン546aは、その開始位置(PA)から第2の位置(P5)まで後退し始め、第2のばねアーム539bを移動させることによってピンプレート546bを第2のロック組立体から係合解除させる。すなわち、アクチュエータロッド547が近位に並進し始めると、よってピン546aがその開始位置(PA)から近位に並進し始めると、ピンプレート546bの第2のロック解除アーム544bもまた後退する。結果として、第2のロック解除アーム544bの近位移動は、第2のばねアーム539bを近位に移動させる。第2のばねアーム539bの近位移動により、第2のばねアーム539bが第2の複数の歯599bから係合解除し、内側スリーブ542が
図6に示されるように第2の方向D2に移動することが可能になる。第2のロック組立体は、ピン546aが第2の開始位置(PB
2)に移動するまで係合解除される。
【0089】
あるいは、ロック機構は、内側スリーブ542に所定の摩擦力を加えるように構成された摩擦ばねアームを備え、これにより、
図3A及び
図3B中の回転組立体141のような回転組立体に加えられる駆動力が所定の摩擦力を超えるまで、内側スリーブ542が回転するのを防止することができる。更に、摩擦ばねアームは、内側スリーブの一方向回転を可能にし、したがって、内側スリーブが第1の方向又は第1の方向と反対の第2の方向に移動することを可能にするように構成され得る。摩擦ばねアームの内側表面は、内側スリーブ542に対する所定の摩擦力を生成又は強化するために、例えば、内側表面から延在する隆起部などの表面特徴部を含むことができる。代替的に、又は追加的に、内側スリーブ542は、摩擦ばねアームの内側表面と整列して、所定の摩擦力を生成又は強化する表面特徴部を含むことができる。
【0090】
更に、
図5A~
図5B中の外科用装置500のクランプ組立体は、第1の引張部材572の長さを除いて、
図1~
図2Aの外科用装置100のクランプ組立体と同様である。すなわち、
図5A~
図5Bの外科用装置500の第1の引張部材572の長さは、
図1~
図2Bの外科用装置100の第1の引張部材172と比較して短い。この構造的差異を除いて、外科用装置500のクランプ組立体は、
図1~
図2Aの外科用装置100のクランプ組立体と同様に機能する。
【0091】
図7A~
図7Fは、外科用装置100(
図1~
図3B)と同様の外科用装置内に配置され得る摺動機構の別の例示的な実施形態を示す。示されるように、摺動機構は、多セグメントスロット245を有する内側スリーブ242を備える。多セグメントスロット245は様々な構成を有することができるが、いくつかの実施態様では、
図7A~
図7Fに示されるように、多セグメントスロット245は、内側スリーブ242の周りに実質的にらせん状の構成を有することができる。多セグメントスロット245は、示されるように、内側スリーブ242を部分的に通って延在でき、あるいは、多セグメントスロット245は、内側スリーブ242を完全に貫通して延在できる。
【0092】
多セグメントスロット245は、少なくとも2つのチャネルセグメント248、249を含むことができる。各チャネルセグメントのサイズ及び形状は様々であり得る。
図7A~
図7Fに示されるように、各チャネルセグメント248、249は、実質的にらせん状の構成を有し、内側スリーブ242の少なくとも一部に沿って延在する。当業者であれば、各チャネルセグメント248、249のサイズ及び形状は、内側スリーブ242のサイズ及び形状に少なくとも部分的に基づくことを理解するであろう。更に、少なくとも2つのチャネルセグメント248、249は、移行点250で交差する。この移行点250は、
図7C~
図7Dにおいて黒い点線として示されており、ピン246aが第1のチャネルセグメント248から第2のチャネルセグメント249へ、またその逆へと摺動することを可能にする。以下でより詳細に説明するように、内側スリーブ242は、それによって、約1度~約360度回転する(例えば、連続的に回転する)ことができる。
【0093】
摺動機構はまた、多セグメントスロット245内に収容されるピン246aを備える。ピン246aは、内側スリーブ242と、
図1~
図3Bの関節運動引張部156のような関節運動引張部との間に位置付けられている、
図1~
図3Bのピンプレート146bのようなピンプレートから延在することができる。
図1~
図3Bのピン146aと同様に、ピン246aは、ピン246aに動作可能に連結された入力部に力が加えられると、多セグメントスロット245内で選択的に摺動するように構成されている。したがって、多セグメントスロット245内のピン246aの摺動運動は、
図1~
図3Bの外側スリーブ118のような外側スリーブに対する内側スリーブ242の回転を引き起こす。したがって、摺動運動は、
図1~
図3Bの超音波ブレード110のような超音波ブレードに対する、
図1~
図3Bのクランプ要素108のようなクランプ要素の回転を引き起こす。上記の相違点を除いて、
図7A~
図7Fの摺動機構は、上記
図1~
図3Bの摺動機構のように作動させることができる。
【0094】
使用中、
図1~
図3Bのアクチュエータロッド147のようなアクチュエータロッドに力が加えられると(例えば、動作可能に連結された入力部によって)、アクチュエータロッドは軸方向に並進して、ピン246aを多セグメントスロット245内で摺動させる。ピン246aが多セグメントスロット245内で摺動すると、内側スリーブ142を回転させる。すなわち、作動されると、アクチュエータロッドは第1又は第2の方向に移動し、ピン246aを対応する方向に移動させる。外側スリーブに対するアクチュエータロッドの方向移動、及び多セグメントスロット245内のピン246aの位置に応じて、結果として生じる内側スリーブ242の、ひいてはクランプ要素の回転は、時計回りの方向又は反時計回りの方向になる。
図7A~
図7Fは、360度の時計回りの方向に回転中の異なる時間における内側スリーブ242を示す。
【0095】
図7A~
図7Fに示されるように、ピン246aは、第1のチャネルセグメント248内を遠位方向(D)に、及び第2のチャネルセグメント249内を近位方向(P)に摺動して、内側スリーブ242の360度の時計回りの方向の回転をもたらす。その結果、クランプ要素は、超音波ブレードの周りの望ましい位置まで回転され得る。内側スリーブ242の回転を開始するために、ピン246aは、第1のチャネルセグメント248の近位端248pに位置する初期位置(A)から第1のチャネルセグメント248の遠位端248dに向かって遠位方向に摺動する(
図7A~
図7B)。ピン246aは、第1のチャネルセグメント248の遠位端248d、及び移行点250(
図7C)を通って摺動し続ける。
図7C~
図7Dに示されるように、移行点250は、ピン246aが第1のチャネルセグメント248から第2のチャネルセグメント249の遠位端249dへと摺動することを可能にする。その結果、ピン246aが第1のチャネルセグメント248内で遠位方向(D)に並進すると、内側スリーブ242は、時計回りの方向に約1度~約180度回転することができる(
図7A~
図7D)。更なる時計回りの方向の回転が所望される場合、次に、ピン246aは第2のチャネルセグメント249内を、近位方向(P)に第2のチャネルセグメント249の近位端249pに向かって並進することができる(
図7E~
図7F)。この近位並進は、内側スリーブ242を更に約180度~約360度回転させる。
図7Fに示されるように、ピン246aは、停止要素251によって画定される第2のチャネルセグメント249の最近位端に到達している。この停止要素251はまた、第1のチャネルセグメント248の境界部分も画定する。したがって、ピン246aが第2のチャネルセグメント249の最近位端に到達すると、ピン246aの更なる近位移動が防止される。したがって、ピン246aは最近位の並進位置(B)に到達し、このとき、内側スリーブ242は、時計回りの方向に約360度回転している。当業者であれば、ピンは、第2のチャネルセグメント249を通って遠位に、かつ第1のチャネルセグメント248を通って近位に移動することによって、その初期位置(A)に戻ることができることを理解するであろう。このピン移動は、例えば、ピン246aが移行点250を通って並進するまでアクチュエータロッドを遠位に前進させ、次いでピン246aが第1のチャネルセグメント248の最近位端に到達するまでアクチュエータロッドを近位に後退させることによって達成され得る。当業者であれば、ピン246aはまた、中間位置まで、及び中間位置から移動(例えば
図7B~7E)して、約360度以外の内側スリーブ242の望ましい回転量をもたらし得ることを更に理解するであろう。
【0096】
ピン246aは、初期位置(A)から、
図7B~
図7Fに示されるピン位置などの所望の位置へと連続的に並進することができ、したがって、内側スリーブ242は、初期位置(0度)から所望の位置(約360度以下、例えば、約1度~約360度)まで連続的に回転することができることに留意されたい。あるいは、ピン246aは、初期位置Aから所望の位置まで間欠的に並進することができる。
【0097】
上述したように、それぞれ
図1~
図3B及び
図5A~
図5Bのエンドエフェクタ組立体106及び506のようなエンドエフェクタ組立体は、それぞれ
図1~
図3B及び
図5A~
図5Bの超音波ブレード110及び510のような超音波ブレードを備えることができる。したがって、超音波ブレードは、第1の端部(例えば、近位端)から第2の端部(例えば、遠位端)まで延在することができ、第1の端部は、
図1~
図2Bの導波管138のような導波管と音響的に連通することができる。いくつかの実施形態では、超音波ブレードは軸対称であってよい。軸対称の超音波ブレードを使用することにより、エンドエフェクタ組立体の閉鎖形状は、クランプ要素の任意の位置に関して同じであり得る。
【0098】
超音波ブレードは、様々な構成を有し得る。例えば、
図1~
図2B及び
図5A~
図5Bに示されるように、超音波ブレードは、
図1~
図3B及び
図5~
図6Bに示されるような、実質的に真っ直ぐな(例えば、非テーパ状)構成を有することができる。あるいは、
図8に示されるように、超音波ブレード810は、テーパ形状(例えば、超音波ブレード810の第1の端部810aから第2の端部810bまでの円錐状テーパ)を有することができる。テーパ形状は、超音波ブレードの周りでクランプ要素を回転させるための更なる空間を有益に提供することができる。
【0099】
同様に、
図9に示されるように、超音波ブレード910は、超音波ブレード910の第1の端部910aと第2の端部910bとの間に位置付けられた凹状部分911を有するテーパ形状を有することができる。凹状部分911は、クランプ要素と超音波ブレード910との間に捕捉される組織の摺動自在な動きを実質的に防止することができる。すなわち、凹状部分は、クランプされた組織を乗せることを可能にして、その切開を補助することができる。凹状部分911と超音波ブレード910の残りの部分との境界は、1つ以上の縁部911a、911b、911c、911dを画定できる。場合によっては、縁部は丸みを帯びていてもよい。凹状部分911は、第1の端部910a及び第2の端部910bから様々な距離に配置され得る。いくつかの実施形態では、凹状部分911は、超音波ブレード910の第1の端部910a及び第2の端部910bから等距離に配置され得る。更に、いくつかの実施形態では、組織を処置するために超音波ブレード910と共に使用され得るクランプ要素は、超音波ブレード910の凹状部分911に相補的な凸状部分を有するクランプパッドを含むことができる。
【0100】
更に、超音波ブレードは、様々な断面形状を有することができる。例えば、それぞれ
図1~
図2B及び
図5A~
図5Bに示される超音波ブレード110及び510のような超音波ブレードは、実質的に円形の断面形状を有することができる。あるいは、超音波ブレードは、2つ又はブレード表面がブレードの断面形状プロファイルを画定する、超音波ブレードの長手方向軸の周りに配置された2つ以上のブレード表面を有することができる。
【0101】
例えば、いくつかの実施形態では、超音波ブレードは、クランプ要素と超音波ブレードとの間に捕捉される組織の封止を促進する局所的な圧力プロファイルを有する全体断面形状を作り出すために、互いに部分的に重なり合う2つ以上のサブユニットを有することができる。各サブユニットは、所定の断面形状(例えば、幾何学的形状)と、各サブユニットの表面積の合計が超音波ブレードの表面積よりも大きい表面積とを有することができる。
図10に示されるように、超音波ブレード1010は、3つのサブユニット1010a、1010b、1010cを含み、各サブユニット1010a、1010b、1010cは実質的に円形の断面形状を有する。各サブユニット1010a、1010b、1010cの半径は、組織の効果的な封止を向上させることができる局所的な圧力プロファイルを提供するような大きさとすることができる。更に、必須ではないが、
図10に示されるサブユニットユニット1010a、1010b、1010cは、超音波ブレードの周りに、超音波ブレードの長手方向軸に対する角度において均一に配置される。
【0102】
他の実施形態では、超音波ブレードは、2つ以上の交差ブレードを有することができる。例えば、一実施形態では、
図11に示されるように、超音波ブレード1110は、超音波ブレードの中心軸で交差して十字形の断面形状を形成する第1のブレード1110a及び第2のブレード1110bを備えることができる。中心軸は、超音波ブレードの第1の端部と第2の端部との間で長手方向に延在する。第1及び第2のブレード、総じて超音波ブレードは、様々な角度で互いに交差することができる。例えば、
図11に示されるように、超音波ブレード1110は、互いに対して約90度の角度で互いに交差する第1のブレード1110a及び第2のブレード1110bを含む。本明細書では、第1のブレード1110a及び第2のブレード1110bは、互いに対して90度以外の角度で互いに交差できることも想到される。当業者であれば、2つ以上のブレードの交差角度は、ブレードの数及び各ブレードの外径に少なくとも部分的に依存することを理解するであろう。
【0103】
各ブレード1110a、1110bは、クランプされた組織を封止するように構成された少なくとも1つの組織接触表面を有することができる。各ブレード1110a、1110bはまた、クランプされていない組織を逆切断するように構成された少なくとも1つの組織接触表面も有することができる。
図11に示されるように、各ブレード1110a、1110bは、第1の端部1111a、1111bから第2の端部1112a、1112bまでの長さを延在する。当業者であれば、各ブレード1110a、1110bの長さは、例えば、他の表面との不慮の接触を最小限に抑えるように変化させることができることを理解するであろう。更に、長さは軸方向の位置によって変化することができ、それによってテーパ状ブレードと同じ組織接触表面をもたらすことができる。各端部1111a、1111b、1112a、1112bは、2つの縁部1113a、1113bの間に延在し得る。示されるように、少なくとも1つの縁部は、フィレット縁部1114である。フィレット縁部1114は、クランプされていない組織を逆切断するように構成され得る。示されるように、残りの縁部は丸みを帯びている。縁部の幾何学的形状は様々であり得ることが理解されるであろう。例えば、一実施形態では、縁部の全てを丸くすることができる。超音波ブレード1110は等しい面取り部によってバランスがとれていないが、本明細書では、超音波ブレードのバランス調整をするために、縁部特徴部を変化させることができる、例えば、サイズ又は形状を変化させることができることが企図される。
【0104】
前述のように、外科用装置及びシステムは、組織を処置するために使用され得る。任意の好適な方法を使用して、本明細書に記載される任意の外科用装置及びシステムを操作することができる。例えば、外科用装置100(
図1~
図3B)が操作されるとき、装置100は手術部位に向けられ得る。外科用装置100を手術部位に向ける前、向けている最中、又は向けた後に、クランプ要素108を超音波ブレード110に対して選択的に回転させることができる。特定の例では、クランプ要素108は、約1度~約360度の範囲で回転できる。組織がクランプ要素108と超音波ブレード110との間に配置されると、クランプ組立体を選択的に作動させて、クランプ要素108を超音波ブレード110に向かって移動させ、次いで、クランプ力を組織に加えることができる。クランプ要素108の回転は、クランプ組立体の作動に必須でないことが理解されるであろう。組織がクランプ要素108と超音波ブレード110との間にクランプされると、(例えば、超音波トランスデューサ112によって)超音波ブレード110に超音波エネルギーを伝達して、クランプされた組織を処置することができる。特定の例では、器具シャフト104は、
図4に示されるロボット外科用システム400のようなロボット外科用システムに取り付けられる。
【0105】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ組立体106が器具シャフト104の近位部分の長手方向軸に対して角度を付けて配向されるように、器具シャフト104を選択的に関節運動させることができる。したがって、クランプ要素108は、クランプ要素108が関節運動状態にあるときに回転することができる。
【0106】
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、装置は、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整には、装置の分解工程、それに続く洗浄工程又は特定の部品の交換工程、及びその後の再組み立て工程の任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、装置は分解することができ、装置の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、装置を後の使用のために、再調整施設で、又は外科手技の直前に外科チームによってのいずれかで再度組み立てることができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0107】
当業者には、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明された内容により限定されるものではない。本明細書において引用されている全ての刊行物及び参照文献は、それらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれている。参照によって全体又は一部が本明細書に組み込まれるとされる任意の特許、公開又は情報は、組み込まれる資料は、この文書に記載されている既存の定義、記述、又は他の開示資料と矛盾しない程度にのみ、本明細書に組み込まれる。したがって、本明細書に明確に示した開示内容は、本明細書に援用されるいかなる矛盾する文献にも優先するものとする。
【0108】
〔実施の態様〕
(1) 外科用装置であって、
内部に配置された超音波トランスデューサを有するハウジングと、
前記ハウジングから延在する器具シャフトであって、前記器具シャフトが、関節運動領域及び非関節運動領域を有する外側スリーブを備え、前記器具シャフトが、
前記超音波トランスデューサと音響的に連結される導波管であって、前記関節運動領域の一部が前記導波管の可撓性部分と整列されている、導波管と、
内側スリーブを有する回転組立体と、を更に備える、器具シャフトと、
前記外側スリーブの遠位端にあるエンドエフェクタ組立体であって、クランプ要素と、前記導波管と音響的に連通している超音波ブレードと、を有する、エンドエフェクタ組立体と、を備え、
前記内側スリーブは、前記クランプ要素に連結され、前記内側スリーブは、多セグメントらせん状スロットと、前記多セグメントらせん状スロット内部に収容されているピンと、を有し、前記ピンは、前記ピンに動作可能に連結された入力部に力が加えられると前記多セグメントらせん状スロット内で選択的に摺動し、それによって前記超音波ブレードに対して前記クランプ要素を回転させるように構成されている、外科用装置。
(2) 前記多セグメントらせん状スロットが、移行点で交差する少なくとも2つのチャネルセグメントを備え、前記ピンが少なくとも2つのチャネル内で並進して、前記内側スリーブを約1度~約360度回転させる、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記ピンが、前記少なくとも2つのチャネルセグメントのうち第1のチャネルセグメント内で遠位方向に並進して、前記内側スリーブを第1の回転方向に約1度~約180度回転させる、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記ピンが、前記少なくとも2つのチャネルセグメントのうち第2のチャネルセグメント内で近位方向に並進して、前記内側スリーブを前記第1の回転方向に約180度~約360度回転させる、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記ピンが、前記第2のチャネルセグメント内で遠位方向に並進して、前記内側スリーブを前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に約1度~約180度回転させる、実施態様4に記載の装置。
【0109】
(6) 前記ピンが、前記第1のチャネルセグメント内で近位方向に並進して、前記内側スリーブを前記第2の回転方向に約180度~約360度回転させる、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記器具シャフトが、前記エンドエフェクタ組立体に連結されたクランプ組立体を備え、前記クランプ組立体は、前記クランプ要素が前記超音波ブレードに向かって及び前記超音波ブレードから離れる方向に選択的に移動するように、前記クランプ要素の前記器具シャフトに対する移動を駆動するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(8) 長手方向軸と整列している位置から前記長手方向軸と整列していない位置へと前記エンドエフェクタ組立体を選択的に偏向させるように構成されている関節運動組立体を更に備え、前記長手方向軸が前記外側スリーブの前記非関節運動領域に沿って延在する、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記ハウジングがロボット外科用システムに取り付けられる、実施態様1に記載の装置。
(10) ロボット外科用システムであって、
内部に配置されたモータを有する電気機械的アームと、
前記電気機械的アームに取り付けられた器具ハウジングであって、内部に配置された超音波トランスデューサを有する、器具ハウジングと、
前記ハウジングから延在する器具シャフトであって、外側スリーブを備え、
前記超音波トランスデューサに音響的に連結され、前記器具シャフトを通って延在する、関節運動可能な超音波導波管と、
前記モータに動作可能に連結された第1のアクチュエータロッドを有する作動組立体と、
第1の実質的にらせん状のスロット及び第2の実質的にらせん状のスロットと、前記実質的にらせん状の交差するスロットのうちの1つの内部に収容されたピンと、を備える内側スリーブを有する回転組立体であって、前記第1の実質的にらせん状のスロット及び前記第2の実質的にらせん状のスロットは、移行点で互いに交差している、回転組立体と、を更に備える、器具シャフトと、
前記外側スリーブの遠位端に形成されたエンドエフェクタ組立体であって、ジョーと、前記関節運動可能な超音波導波管と音響的に連結されている超音波ブレードと、を有する、エンドエフェクタ組立体と、を備え、
前記作動組立体は、前記ジョーに動作可能に連結されており、前記第1のアクチュエータロッドは、前記超音波ブレードが静止した状態である間に、前記第1の実質的にらせん状のスロット及び前記第2の実質的にらせん状のスロット内の前記ピンを摺動させて、前記ジョーを選択的に回転させるように、前記外側シャフトに対して軸方向に並進するように構成されている、ロボット外科用システム。
【0110】
(11) 前記移行点が、前記第1の実質的にらせん状のスロットから前記第2の実質的にらせん状のスロットへの前記ピンの摺動を可能にするように構成されており、これにより、前記内側スリーブが約1度~約360度連続的に回転する、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記ピンが、前記第1の実質的にらせん状のスロット内で遠位方向に並進して前記内側スリーブを第1の回転方向に回転させ、前記ピンが、前記第2の実質的にらせん状のスロット内で近位方向に並進して前記内側スリーブを前記第1の回転方向に更に回転させる、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記ピンが、前記第2の実質的にらせん状のスロット内で遠位方向に並進して、前記内側スリーブを前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転させ、前記ピンが、前記第1の実質的にらせん状のスロット内で近位方向に並進して前記内側スリーブを前記第2の回転方向に更に回転させる、実施態様12に記載のシステム。
(14) 前記器具シャフトが、前記外側スリーブに対して軸方向に並進することにより、前記ジョーと前記超音波ブレードとの間に組織をクランプするよう前記ジョーを開閉させるように構成されている、ジョー引張部を有するクランプ組立体を備える、実施態様10に記載のシステム。
(15) 長手方向軸と整列している位置から前記長手方向軸と整列していない位置へと前記エンドエフェクタ組立体を偏向させるように構成されている関節運動組立体を更に備え、前記長手方向軸が前記外側スリーブの非関節運動セクションに沿って延在する、実施態様10に記載のシステム。
【0111】
(16) 方法であって、
エンドエフェクタ組立体を有する外科用装置を手術部位に方向付けることであって、前記エンドエフェクタ組立体は、超音波導波管と、回転組立体と、を収容する器具シャフトに動作可能に連結されており、前記エンドエフェクタ組立体は、超音波ブレードと、クランプ要素と、を有し、前記回転組立体は、前記クランプ要素に動作可能に連結され、かつ、少なくとも2つの実質的にらせん状のスロットと、前記少なくとも2つの実質的にらせん状のスロット内で摺動するように構成されているピンと、を備える、内側スリーブを有する、ことと、
前記クランプ要素を前記超音波ブレードに対して選択的に回転させることと、
クランプ組立体を選択的に作動させて、前記クランプ要素を前記超音波ブレードに向かって移動させ、それによって前記クランプ要素と前記超音波ブレードとの間に配置された組織にクランプ力を加えることと、
超音波エネルギーを前記超音波ブレードに伝達して、前記クランプ要素と前記超音波ブレードとの間にクランプされた前記組織を処置することと、を含む、方法。
(17) 前記エンドエフェクタ組立体が、ハウジングから延在する前記器具シャフトの近位部分の長手方向軸に対して角度を付けて配向されるように、前記器具シャフトを選択的に関節運動させることを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記クランプ要素は、前記クランプ要素が関節運動状態にあるときに回転することができる、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記クランプ要素が、約1度~約360度の範囲で回転することができる、実施態様16に記載の方法。
(20) 前記器具シャフトがロボット外科用システムに取り付けられる、実施態様16に記載の方法。