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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20231218BHJP
   E02F 3/43 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
E02F3/40 E
E02F3/43 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020572315
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 JP2020005640
(87)【国際公開番号】W WO2020166673
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2019025396
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 将
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 匠
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-008477(JP,A)
【文献】特開2017-082472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/40
E02F 3/43
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるリンク部と、
前記上部旋回体に搭載された撮像装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記撮像装置の撮像画像に基づき、前記リンク部と離れた状態のエンドアタッチメントであって前記リンク部の先端に対する取付対象のエンドアタッチメントの位置を認識し、認識した前記取付対象のエンドアタッチメントの被取付部に対して前記リンク部の先端の取付部を一致させるために必要なショベルの動作を、前記下部走行体による走行動作、前記上部旋回体による旋回動作、及び前記リンク部の動作の中から判断し、自動で又はオペレータの操作を支援するように前記必要なショベルの動作をショベルに行わせることにより、前記リンク部の先端の前記取付部を前記取付対象のエンドアタッチメントの前記被取付部に対して位置合わせする、
ショベル。
【請求項2】
前記制御装置は、前記必要なショベルの動作として、前記リンク部を前記取付対象のエンドアタッチメントと正対させるように、前記下部走行体の走行動作、及び前記上部旋回体の旋回動作の少なくとも一方をショベルに行わせる、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記制御装置は、前記必要なショベルの動作として、前記リンク部の前記取付部が前記取付対象のエンドアタッチメントの前記被取付部に届く場所までショベルが移動するように、又は、前記リンク部の前記取付部が前記取付対象のエンドアタッチメントの前記被取付部に正対している状態で、前記リンク部の前記取付部を前記取付対象のエンドアタッチメントの前記被取付部の位置に一致させるように、前記下部走行体の走行動作をショベルに行わせる、
請求項1に記載のショベル。
【請求項4】
前記リンク部のエンドアタッチメントとの前記取付部には、前記リンク部とエンドアタッチメントとの間の固定状態と非固定状態とを切り替える可動部、及び前記可動部を駆動するアクチュエータとが設けられ、
前記制御装置は、前記可動部及び前記アクチュエータが前記非固定状態に対応する状態で、前記リンク部の前記取付部を前記取付対象のエンドアタッチメントの前記被取付部に位置合わせし、その後、前記アクチュエータを動作させることにより、前記取付対象のエンドアタッチメントの前記被取付部を前記リンク部の前記取付部に固定させる、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のショベル。
【請求項5】
前記撮像装置の撮像画像に基づき取得される、ショベルの周辺の前記取付対象のエンドアタッチメントの候補に関する情報を表示させる表示部と、
ユーザからの入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により受け付けられる所定の入力に応じて、前記候補の中から前記取付対象のエンドアタッチメントを選択する選択部と、を備える、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エンドアタッチメントを交換可能なショベルが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-82472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンドアタッチメントの交換が行われる場合、現在のエンドアタッチメントが取り外された後に、取付対象のエンドアタッチメント(被取付部)に対して、アーム(取付部)の位置合わせが行われる。そのため、位置合わせの作業に時間を要し、ショベルの作業効率が低下する可能性がある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、エンドアタッチメントの交換作業の効率化を図ることが可能なショベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるリンク部と、
前記上部旋回体に搭載された撮像装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記撮像装置の撮像画像に基づき、前記リンク部と離れた状態のエンドアタッチメントであって前記リンク部の先端に対する取付対象のエンドアタッチメントの位置を認識し、認識した前記取付対象のエンドアタッチメントの被取付部に対して前記リンク部の先端の取付部を一致させるために必要なショベルの動作を、前記下部走行体による走行動作、前記上部旋回体による旋回動作、及び前記リンク部の動作の中から判断し、自動で又はオペレータの操作を支援するように前記必要なショベルの動作をショベルに行わせることにより、前記リンク部の先端の前記取付部を前記取付対象のエンドアタッチメントの前記被取付部に対して位置合わせする、
ショベルが提供される。
【発明の効果】
【0007】
上述の実施形態によれば、エンドアタッチメントの交換作業の効率化を図ることが可能なショベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】ショベルの一例を示す側面図である。
図1B】ショベルに搭載される脱着装置の一例を示す図である。
図2A】ショベルの構成の一例を示すブロック図である。
図2B】ショベルの構成の他の例を示すブロック図である。
図3A】ショベルの自動運転機能によるエンドアタッチメントの交換作業に関するコントローラの制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図3B】ショベルの自動運転機能によるエンドアタッチメントの交換作業の一例を示す図である。
図3C】ショベルの自動運転機能によるエンドアタッチメントの交換作業の他の例を示す図である。
図4A】交換対象選択画面の第1例を示す図である。
図4B】交換対象選択画面の第2例を示す図である。
図4C】交換対象選択画面の第3例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0010】
[ショベルの概要]
まず、図1図1A図1B)を参照して、本実施形態に係るショベル100の概要について説明をする。
【0011】
図1は、本実施形態に係るショベル100の概要を示す外観図である。具体的には、図1Aは、本実施形態に係るショベル100の一例を示す側面図であり、図1Bは、ショベル100に搭載される脱着装置12の一例を示す外観図である。
【0012】
図1Aに示すように、本実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回自在に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメントを構成するブーム4、アーム5、及びエンドアタッチメント6と、オペレータが搭乗するキャビン10とを備える。以下、ショベル100の前方は、ショベル100を上部旋回体3の旋回軸に沿って真上から平面視(以下、単に「平面視」と称する)で見たときに、上部旋回体3に対するアタッチメントの延出方向に対応する。また、ショベル100の左方及び右方は、それぞれ、キャビン10内のオペレータから見た左方及び右方に対応する。
【0013】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラ1Cを含み、それぞれのクローラ1Cが走行油圧モータ1M、即ち、左側の走行油圧モータ1ML及び右側の走行油圧モータ1MR(図2参照)で油圧駆動されることにより、ショベル100を走行させる。
【0014】
上部旋回体3は、旋回機構2が旋回油圧モータ2Aで油圧駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
【0015】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、脱着装置12を介して、エンドアタッチメント6が上下回動可能に枢着される。
【0016】
エンドアタッチメント6は、ショベル100の作業内容に応じて、適宜交換可能な態様で、アーム5の先端に取り付けられている。エンドアタッチメント6は、例えば、図1Aに示すように、バケットである。また、エンドアタッチメント6は、図1に示すバケットとは異なる種類のバケット(例えば、図1のバケットよりも相対的に大きい大型バケット、法面用バケット、浚渫用バケット等)であってもよい。また、エンドアタッチメント6は、例えば、攪拌機、ブレーカ等、バケット以外であってもよい。
【0017】
図1Bに示すように、脱着装置12は、アーム5に取り付けられる被取付部12aと、可動部12bと、可動部12bを動作させる油圧シリンダ12cと、エンドアタッチメント6を取り付ける取付部12dとを含む。
【0018】
被取付部12aは、アーム5の先端に取り付けられるために用いられる。被取付部12aは、被取付孔12a1,12a2を含む。被取付孔12a1,12a2は、所定の取付ピンを用いて、それぞれに対応するアーム5の先端の取付部(取付孔)に取り付けられる。
【0019】
可動部12bは、被取付孔12a2に対応する中心軸を支点として回動可能に取付られる。
【0020】
油圧シリンダ12cは、可動部12bにロッド先端が取り付けられ、その伸縮によって、可動部12bを動作させる。
【0021】
取付部12dは、エンドアタッチメント6を取り付けるために用いられる。取付部12dは、取付部12d1,12d2を含む。取付部12d1,12d2のうち、取付部12d2は、可動部12bの先端に設けられ、可動部12bの動作に応じて、固定部としての取付部12d1との間の距離が変化する。
【0022】
具体的には、油圧シリンダ12cが収縮すると、可動部12bの先端の取付部12d2は、取付部12d1に近づく。一方、油圧シリンダ12cが伸長すると、可動部12bの先端の取付部12d2は、取付部12d1から離れる。そのため、脱着装置12は、油圧シリンダ12cをある程度伸長させ、取付部12d1,12d2との間の距離を、エンドアタッチメント6に設けられる二つの被取付部(例えば、取付ピン)の間の距離に維持することで、エンドアタッチメント6が取り付けられた状態を実現し維持できる。また、脱着装置12は、油圧シリンダ12cを収縮させ、取付部12d1,12d2との間の距離を、エンドアタッチメント6に設けられる二つの被取付部の間の距離よりも短くすることで、エンドアタッチメント6の着脱を行うことができる。
【0023】
図1Aに示すように、ブーム4、アーム5、及びエンドアタッチメント6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びエンドアタッチメントシリンダ9により油圧駆動される。
【0024】
キャビン10は、オペレータが搭乗する操縦室であり、例えば、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
【0025】
ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、下部走行体1(左右のクローラ1C)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びエンドアタッチメント6等の被駆動要素を動作させる。
【0026】
また、ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータによって操作可能に構成されるのに代えて、或いは、加えて、ショベル100の外部から遠隔操作(リモート操作)が可能に構成されてもよい。ショベル100が遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0027】
遠隔操作には、例えば、所定の外部装置で行われるショベル100のアクチュエータに関する操作入力によって、ショベル100が操作される態様が含まれる。外部装置は、例えば、ショベル100の作業現場から相対的に遠い場所に配置されるクラウドサーバであってよい。また、外部装置は、例えば、ショベル100から相対的に近い場所(例えば、作業現場内の管理事務所や作業現場から相対的に近い場所の基地局、局舎等)に配置されるエッジサーバであってもよい。また、外部装置は、作業現場内の端末装置であってもよい。端末装置は、例えば、作業現場の管理事務所に設けられるデスクトップ型のコンピュータ端末等の定置型の端末装置であってよい。また、端末装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のコンピュータ等、作業現場の作業者、監督者、管理者等が携帯可能な携帯端末であってもよい。この場合、ショベル100は、例えば、外部装置と通信を行う通信装置を搭載し、通信装置を用いて、後述の撮像装置40が出力する画像情報(撮像画像)を外部装置に送信する。そして、当該画像情報は、外部装置に設けられる表示装置(以下、「遠隔操作用表示装置」)に表示されてよい。また、ショベル100のキャビン10の内部に設けられる、後述の表示装置50に表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、外部装置の遠隔操作用表示装置にも表示されてよい。これにより、外部装置のオペレータは、例えば、遠隔操作用表示装置に表示されるショベル100の周囲の様子を表す撮像画像や情報画面等の表示内容を確認しながら、ショベル100を遠隔操作することができる。そして、ショベル100は、通信装置により外部装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ1C)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びエンドアタッチメント6等の被駆動要素を駆動してよい。
【0028】
また、遠隔操作には、例えば、ショベル100の周囲の人(例えば、作業者)のショベル100に対する外部からの音声入力やジェスチャ入力等によって、ショベル100が操作される態様が含まれてよい。具体的には、ショベル100は、ショベル100(自機)に搭載される音声入力装置(例えば、マイクロフォン)やジェスチャ入力装置(例えば、撮像装置)等を通じて、周囲の作業者等により発話される音声や作業者等により行われるジェスチャ等を認識する。そして、ショベル100は、認識した音声やジェスチャ等の内容に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ1C)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びエンドアタッチメント6等の被駆動要素を駆動してよい。
【0029】
また、ショベル100は、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベル100は、下部走行体1(左右のクローラ1C)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びエンドアタッチメント6等の被駆動要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「自動運転機能」或いは「マシンコントロール機能」)を実現する。
【0030】
自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、操作対象の被駆動要素(アクチュエータ)以外の被駆動要素(アクチュエータ)を自動で動作させる機能(いわゆる「半自動運機能」)が含まれてよい。また、自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作がない前提で、複数の被駆動要素(アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「完全自動運転機能」)が含まれてよい。ショベル100において、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、ショベル100が自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自律的に自動運転の対象の被駆動要素(アクチュエータ)の動作内容が決定される態様(いわゆる「自律運転機能」)が含まれてもよい。
【0031】
[ショベルの構成]
次に、図1図1A図1B)に加えて、図2図2A図2B)を参照して、ショベル100の具体的な構成について説明する。
【0032】
図2A図2Bは、本実施形態に係るショベル100の構成の一例及び他の例を示すブロック図である。
【0033】
尚、図中において、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは点線でそれぞれ示される。
【0034】
<ショベルの油圧駆動系>
本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1(左右のクローラ1C)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、エンドアタッチメント6、及び脱着装置12(可動部12b)等のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1M(1ML,1MR)、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、エンドアタッチメントシリンダ9、及び油圧シリンダ12c等の油圧アクチュエータを含む。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17とを含む。
【0035】
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。エンジン11は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。
【0036】
レギュレータ13は、コントローラ30の制御下で、メインポンプ14の吐出量を制御(調節)する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(以下、「傾転角」)を調節する。
【0037】
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30の制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることによりピストンのストローク長が調整され、吐出流量(吐出圧)が制御される。
【0038】
コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載され、オペレータの操作内容、或いは、コントローラ30から出力される、ショベル100の自動動作に対応する制御指令(以下、「自動制御指令」)に応じて、油圧アクチュエータの制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ラインを介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、オペレータの操作内容、或いは、コントローラ30から出力される自動制御指令に応じて、油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1ML,1MR、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、エンドアタッチメントシリンダ9、及び油圧シリンダ12c等)に選択的に供給する。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の制御弁(方向切換弁とも称する)を含む。
【0039】
<ショベルの操作系>
本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系に関する操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26とを含む。また、図2Aに示すように、ショベル100の油圧駆動系に関する操作系は、操作装置26が油圧パイロット式である場合、シャトル弁32を含む。
【0040】
パイロットポンプ15は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットライン25を介して各種油圧機器にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、エンジン11により駆動される。
【0041】
操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各種被駆動要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、エンドアタッチメント6等)の操作を行うための操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータ(即ち、走行油圧モータ1ML,1MR、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、エンドアタッチメントシリンダ9等)の操作を行うための操作入力手段である。操作装置26は、例えば、ブーム4(ブームシリンダ7)、アーム5(アームシリンダ8)、エンドアタッチメント6(エンドアタッチメントシリンダ9)、及び上部旋回体3(旋回油圧モータ2A)のそれぞれを操作するレバー装置を含む。また、操作装置26は、例えば、下部走行体1の左右のクローラ1CL,1CR(走行油圧モータ1ML,1MR)のそれぞれを操作するペダル装置或いはレバー装置を含む。また、操作装置26は、例えば、脱着装置12(油圧シリンダ12c)を操作するレバー装置を含む。
【0042】
例えば、図2Aに示すように、操作装置26は、油圧パイロット式である。具体的には、操作装置26は、パイロットライン25及びパイロットライン25から分岐されるパイロットライン25Aを通じてパイロットポンプ15から供給される作動油を利用して、操作内容に応じたパイロット圧をその二次側のパイロットライン27に出力する。パイロットライン27は、シャトル弁32を介してコントロールバルブ17に接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における各種被駆動要素(油圧アクチュエータ)に関する操作内容に応じたパイロット圧が、シャトル弁32を介して、入力されうる。そのため、コントロールバルブ17は、オペレータ等の操作装置26に対する操作内容に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを駆動することができる。
【0043】
また、例えば、図2Bに示すように、操作装置26は、電気式である。具体的には、操作装置26は、操作内容に応じた電気信号(以下、「操作信号」)を出力し、当該操作信号は、コントローラ30に取り込まれる。そして、コントローラ30は、操作信号の内容、つまり、操作装置26に対する操作内容に応じた制御指令(以下、自動制御指令と区別し、「操作制御指令」)を比例弁31に出力する。これにより、比例弁31からコントロールバルブ17に操作装置26に対する操作内容に応じたパイロット圧が入力され、コントロールバルブ17は、オペレータ等の操作装置26に対する操作内容に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを駆動することができる。
【0044】
尚、コントロールバルブ17に内蔵される制御弁(方向切換弁)が電磁ソレノイド式であってもよい。この場合、操作装置26から出力される電気信号が直接的にコントロールバルブ17、つまり、電磁ソレノイド式の制御弁に入力される態様であってもよい。
【0045】
図2Aに示すように、シャトル弁32は、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有し、2つの入口ポートに入力されたパイロット圧のうちの高い方のパイロット圧を有する作動油を出口ポートに出力させる。シャトル弁32は、操作装置26の操作対象の被駆動要素(クローラ1CL、クローラ1CR、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びエンドアタッチメント6)ごとに設けられる。シャトル弁32の2つの入口ポートのうちの一方が操作装置26(具体的には、操作装置26に含まれる上述のレバー装置或いはペダル装置)に接続され、他方が比例弁31に接続される。シャトル弁32の出口ポートは、パイロットラインを通じて、コントロールバルブ17の対応する制御弁(具体的には、シャトル弁32の一方の入口ポートに接続される上述のレバー装置或いはペダル装置の操作対象である油圧アクチュエータに対応する制御弁)のパイロットポートに接続される。そのため、これらのシャトル弁32は、それぞれ、操作装置26が生成するパイロット圧と比例弁31が生成するパイロット圧とのうちの高い方を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。つまり、後述するコントローラ30は、操作装置26から出力される二次側のパイロット圧よりも高いパイロット圧を比例弁31から出力させることで、オペレータの操作装置26に対する操作に依らず、対応する制御弁を制御することができる。よって、コントローラ30は、オペレータの操作装置26に対する操作状態に依らず、被駆動要素(下部走行体1、上部旋回体3、アタッチメント等)の動作を自動制御することができる。
【0046】
<ショベルの制御系>
本実施形態に係るショベル100の制御系は、コントローラ30と、演算装置30Eと、比例弁31と、撮像装置40と、表示装置50と、入力装置52とを含む。また、図2Aに示すように、本実施形態に係るショベル100の制御系は、操作装置26が油圧パイロット式である場合、操作圧センサ29を含む。
【0047】
コントローラ30は、ショベル100に関する各種制御を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及びインターフェース装置等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、補助記憶装置にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
【0048】
例えば、コントローラ30は、操作装置26が電気式である場合、操作装置26を用いたショベル100の操作に関する制御を行ってよい。具体的には、コントローラ30は、上述の如く、操作装置26から入力される操作信号に応じて、比例弁31を制御することにより、操作装置26の操作内容に応じたショベル100(具体的には、被駆動要素を駆動するアクチュエータ)の動作を実現させてよい。
【0049】
また、例えば、コントローラ30は、ショベル100の遠隔操作機能に関する制御を行ってもよい。具体的には、コントローラ30は、外部装置から受信される遠隔操作信号で指定される遠隔操作の内容に応じて、比例弁31を制御することにより、ショベル100(具体的には、被駆動要素を駆動するアクチュエータ)に遠隔操作に合わせた動作を行わせてよい。また、コントローラ30は、ショベル100の周囲の作業者等から受け付けられる音声入力やジェスチャ入力に対応する遠隔操作の内容に応じて、ショベル100に遠隔操作に合わせた動作を行わせてもよい。
【0050】
また、例えば、コントローラ30は、ショベル100の自動運転機能に関する制御を行ってもよい。具体的には、コントローラ30は、演算装置30Eの演算結果(油圧アクチュエータの駆動指令)に基づき、比例弁31を制御し(比例弁31に自動制御指令を出力し)、オペレータの操作に依らず、ショベル100を動作させてよい。ショベル100の自動運転機能の詳細は、後述する。
【0051】
尚、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散して実現される態様であってもよい。
【0052】
演算装置30Eは、コントローラ30の制御下で、コントローラ30の各種機能に関する演算処理を行う。演算装置30Eは、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、演算装置30Eは、GPU(Graphical Processing Unit),ASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(field-programmable gate array)等を含み、高速演算処理を実現してよい。
【0053】
具体的には、演算装置30Eは、撮像装置40の出力情報に基づき、ショベル100(自機)の周囲の状況を認識すると共に、ショベル100の各種状態(例えば、上部旋回体3の姿勢状態やアタッチメントの姿勢状態等)を認識する。そして、演算装置30Eは、認識したショベル100の周囲の状況やショベル100の各種状態に基づき、自動でショベル100を動作させるための油圧アクチュエータの駆動指令を演算し生成する。
【0054】
尚、ショベル100には、撮像装置40の他に、ショベル100の状態を検出するセンサが更に設けられてもよい。例えば、ショベル100には、自機の絶対位置を測位可能な測位装置や、上部旋回体3やアタッチメントの姿勢状態を検出可能な姿勢センサが含まれてもよい。測位装置は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ等である。姿勢センサは、例えば、角度センサ、加速度センサ、角速度センサ、六軸センサ、IMU(Inertial Measurement Unit)等である。
【0055】
比例弁31は、操作装置26の操作対象の被駆動要素(左右のクローラ1C、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、エンドアタッチメント6、及び脱着装置12)ごとに設けられる。比例弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17との間のパイロットライン25(図2Aの場合、パイロットライン25から分岐するパイロットライン25B)に設けられ、その流路面積(即ち、作動油が通流可能な断面積)を変更可能に構成される。これにより、比例弁31は、パイロットライン25(パイロットライン25B)を通じて供給されるパイロットポンプ15の作動油を利用して、所定のパイロット圧を二次側に出力することができる。そのため、比例弁31は、図2Aに示すように、シャトル弁32を介して、或いは、図2Bに示すように、直接的に、コントローラ30からの制御指令に応じた所定のパイロット圧をコントロールバルブ17に作用させることができる。つまり、コントローラ30は、電気式の操作装置26からの電気信号に応じた操作制御指令を比例弁31に出力することで、比例弁31から操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給させ、オペレータの操作に基づくショベル100の動作を実現することができる。また、コントローラ30は、オペレータにより操作装置26が操作されていない場合であっても、遠隔操作の内容に対応する制御指令や自動制御指令を比例弁31に出力することで、比例弁31から所定のパイロット圧をコントロールバルブ17に供給させ、ショベル100の遠隔操作機能や自動運転機能を実現することができる。
【0056】
撮像装置40は、ショベル100の周囲の三次元空間の状況に関する情報、具体的には、ショベル100の周囲を撮像し、その様子を表す画像情報(以下、「撮像画像」)を取得する。撮像装置40は、例えば、単眼カメラ、ステレオカメラ、デプスカメラ等を含みうる。撮像装置40は、キャビン10の上面前端に取り付けられ、上部旋回体3の前方の様子を表す撮像画像を取得する。これにより、演算装置30Eは、撮像装置40の撮像画像に基づき、ショベル100の前方の状況を認識することができる。また、演算装置30Eは、撮像装置40の撮像画像から認識される物体の位置の変化等に基づき、ショベル100の位置や上部旋回体3の旋回状態等を把握することができる。また、撮像装置40の撮像範囲には、ブーム4、アーム5、及びエンドアタッチメント6、つまり、アタッチメントが含まれる。これにより、演算装置30Eは、撮像装置40の上部旋回体3に対する取付条件、及び撮像装置40の撮像画像に基づき、アタッチメントの姿勢状態を認識することができる。即ち、撮像装置40は、アタッチメントの姿勢状態に関する情報(アタッチメントを含む画像情報)を取得することができる。
【0057】
尚、撮像装置40に加えて、ショベル100には、ショベル100(上部旋回体3)の後方、左側方、及び右側方のうちの少なくとも一つの方向の様子を撮像可能な撮像装置が設けられてもよい。また、撮像装置40に代えて、或いは、加えて、ショベル100の周囲の三次元空間の状況に関する情報を取得可能な他の装置(センサ)がショベル100に搭載されてもよい。他の装置(センサ)は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、距離画像センサ、赤外線センサ等であってよい。
【0058】
表示装置50は、キャビン10内の着座したオペレータから視認し易い場所に設けられ、各種情報画像を表示する。表示装置50は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。
【0059】
入力装置52は、オペレータからの各種の入力を受け付ける。入力装置52は、例えば、キャビン10内の着座したオペレータから手が届く範囲に設けられ、オペレータによる各種操作入力を受け付ける操作入力装置を含んでよい。例えば、操作入力装置は、表示装置50に実装されるタッチパネル、表示装置50の周囲に設置されるタッチパッド、ボタンスイッチ、レバー、トグル、操作装置26に設けられるノブスイッチ等のハードウェアによる入力手段を含む。また、操作入力装置は、表示装置50に表示される各種操作画面に表示される仮想的な操作対象(例えば、操作アイコン)等のハードウェアの入力手段によって操作可能なソフトウェアの入力手段を含んでもよい。また、入力装置52は、例えば、オペレータによる音声入力を受け付ける音声入力装置やジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置等を含んでもよい。音声入力装置は、例えば、マイクロフォンを含んでよい。ジェスチャ入力装置は、例えば、キャビン10内のオペレータのジェスチャ動作を撮像可能な室内カメラを含んでよい。入力装置52に対する入力内容に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0060】
入力装置52は、自動交換スイッチ52aを含む。
【0061】
自動交換スイッチ52aは、ショベル100に自動で或いはオペレータの操作を支援する形でエンドアタッチメント6の交換を行わせるために用いられる操作部である。コントローラ30は、自動交換スイッチ52aがON操作されると、演算装置30Eの演算結果(油圧アクチュエータの駆動指令)に基づき、比例弁31に自動制御指令を出力し、ショベル100に自動で或いはオペレータの操作を支援する形でエンドアタッチメント6の交換作業を行わせる。詳細は、後述する(図3A図3C参照)。
【0062】
また、外部装置のオペレータによって、ショベル100が遠隔操作される場合、自動交換スイッチ52aと同じ機能を有する操作部が外部装置に設けられてよい。この場合、外部装置で当該操作部が操作されると、外部装置からその操作内容を示す信号がショベル100に送信される。これにより、コントローラ30は、自動交換スイッチ52aが操作された場合と同様に、ショベル100に自動で或いはオペレータの操作を支援する形でエンドアタッチメント6の交換作業を行わせることができる。また、ショベル100の周囲の作業者等による音声入力やジェスチャ入力でショベル100の遠隔操作が行われる場合、自動交換スイッチ52aに対する操作入力と同じ機能を有する所定の音声入力や所定のジェスチャ入力が予め規定されてよい。これにより、当該所定の音声入力や当該所定のジェスチャ入力が受け付けられると、コントローラ30は、自動交換スイッチ52aが操作された場合と同様に、ショベル100に自動で或いはオペレータの操作を支援する形でエンドアタッチメント6の交換作業を行わせることができる。
【0063】
図2Aに示すように、操作圧センサ29は、操作装置26の二次側(パイロットライン27)のパイロット圧、即ち、操作装置26におけるそれぞれの被駆動要素(油圧アクチュエータ)の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。操作圧センサ29による操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、エンドアタッチメント6、及び脱着装置12等に関する操作状態に対応するパイロット圧の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、操作装置26の操作状態を把握することができる。
【0064】
[ショベルの自動運転機能]
次に、ショベルの自動運転機能よる各種作業の具体例について説明する。
【0065】
<自動運転機能による掘削作業>
まず、ショベル100の自動運転機能による掘削作業について説明する。
【0066】
掘削作業が行われる場合、ショベル100に装着されるエンドアタッチメント6は、通常、バケットである。掘削作業は、例えば、掘削動作、ブーム上げ旋回動作、排土動作、及びブーム下げ旋回動作の一連の動作工程で構成される。掘削動作は、地面を掘削するショベル100の動作である。ブーム上げ旋回動作は、掘削された土砂をバケットに掬い上げ、土砂を排土場所まで移動させるショベル100の動作であり、ブーム4の上げ動作と上部旋回体3の旋回動作との複合動作である。排土動作は、排土場所にバケット内の土砂を排土するショベル100の動作である。ブーム下げ旋回動作は、排土場所から掘削場所までバケットを移動させる(戻らせる)ショベル100の動作であり、ブーム4の下げ動作と上部旋回体3の旋回動作との複合動作である。
【0067】
例えば、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、オペレータの操作に応じて、オペレータの操作対象以外の被駆動要素を自動で動作させながら、半自動運転機能による掘削作業を行う。
【0068】
ショベル100は、例えば、オペレータによるアーム5の閉じ方向の操作(以下、「アーム閉じ操作」)に応じて、アーム5を閉じ方向に動作させるのに加えて、ブーム4及びエンドアタッチメント6(バケット)の少なくとも一方を自動で動作させることによって、掘削動作を行ってよい。具体的には、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から現在の地形形状を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した現在の地形形状と予め規定される溝等の施工対象の目標形状(目標施工面)との差分、及びオペレータの操作内容等に基づき、バケットの目標軌道を生成する。そして、ショベル100は、オペレータのアーム閉じ操作に応じて、バケットが目標軌道に沿って移動するように、アーム5、並びに、ブーム4及びバケットの少なくとも一方を自動で動作させる形で、半自動運転機能による掘削動作を実現してよい。
【0069】
また、ショベル100は、例えば、オペレータの上部旋回体3に関する操作(以下、「旋回操作」)に応じて、上部旋回体3を旋回動作させるのに加えて、ブーム4を自動で上げ方向に動作させることにより、ブーム上げ旋回動作を行ってよい。具体的には、ショベル100は、掘削動作の終了条件が成立した後に、オペレータによる旋回操作がされる場合に、オペレータの旋回操作に応じて、ブーム上げ旋回動作を行ってよい。掘削動作の終了条件は、例えば、バケットが地切りした(地面から離れた)ことを含んでよく、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報からその条件が成立したか否かを判断することができる。ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から周囲の物体位置や形状を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した周囲の物体の位置や形状、及びオペレータの操作内容等に基づき、アタッチメントが周囲の物体と接触しないようなバケットの目標軌道を生成してよい。そして、ショベル100は、オペレータの旋回操作に応じて、バケットが目標軌道に沿って移動するように、上部旋回体3、及びブーム4を自動で動作させる形で、半自動運転機能によるブーム上げ旋回動作を実現してよい。
【0070】
また、ショベル100は、例えば、オペレータのバケットの開き方向の操作(以下、「バケット開き操作」)に応じて、バケットを開き方向に動作させるのに加えて、アーム5を開き方向に自動で動作させることにより、排土動作を行ってよい。具体的には、ショベル100は、ブーム上げ旋回動作の終了条件が成立した後に、オペレータによるバケット開き操作がされる場合に、オペレータのバケット開き操作に応じて、排土動作を行ってよい。ブーム上げ旋回動作の終了条件は、例えば、オペレータの旋回操作が終了したことを含んでよい。また、ブーム上げ旋回動作の終了条件は、例えば、上面視で所定の排土場所の範囲内にバケットが入っていること等を含んでもよく、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報からその条件が成立したか否かを判断することができる。ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から排土場所の土砂の形状等の周囲の物体の位置や形状を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した周囲の物体の位置や形状、及びオペレータの操作内容等に基づき、排土場所内の所定の位置に土砂を排土するためのバケットの目標軌道を生成してよい。そして、ショベル100は、オペレータのバケット開き操作に応じて、バケットが目標軌道に沿って移動するように、バケット及びアームを自動で動作させる形で、半自動運転機能による排土動作を実現してよい。
【0071】
また、ショベル100は、例えば、オペレータの旋回操作に応じて、上部旋回体3を旋回動作させるのに加えて、ブーム4を自動で下げ方向に動作させることにより、ブーム下げ旋回動作を行ってよい。具体的には、ショベル100は、排土動作の終了条件が成立した後に、オペレータによる旋回操作がされる場合に、オペレータの旋回操作に応じて、ブーム下げ旋回動作を行ってよい。排土動作の終了条件は、例えば、オペレータのバケット開き操作が終了したことを含んでよい。また、排土動作の終了条件は、例えば、バケット内の土砂が全て排出されたことを含んでもよく、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報からその条件が成立したか否かを判断することができる。ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から地形の形状を含む周囲の物体の位置や形状を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した周囲の物体の位置や形状、及びオペレータの操作内容等に基づき、アタッチメントが周囲の物体と接触せず、且つ、次の掘削動作の開始位置に向かうようなバケットの目標軌道を生成してよい。そして、ショベル100は、オペレータの旋回操作に応じて、バケットが目標軌道に沿って移動するように、上部旋回体3、及びブーム4を自動で動作させる形で、半自動運転機能によるブーム下げ旋回動作を実現してよい。
【0072】
このように、ショベル100は、オペレータの操作に応じて、操作対象以外の被駆動要素(アクチュエータ)を自動で動作させ、掘削動作、ブーム上げ旋回動作、排土動作、及びブーム下げ旋回動作を繰り返すことで、掘削作業を行うことができる。そして、ショベル100は、地形形状が所定の目標施工面に一致するまで、掘削動作、ブーム上げ旋回動作、排土動作、及びブーム下げ旋回動作を繰り返し、掘削作業を完了することができる。
【0073】
また、例えば、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、オペレータの操作に依らず、完全自動運転機能による掘削作業を行ってもよい。
【0074】
ショベル100は、例えば、予め設定される掘削作業の前提条件(溝等の施工対象の目標形状を表す目標施工面や掘削された土砂を排土する排土場所等)に基づき、掘削動作、ブーム上げ旋回動作、排土動作、及びブーム下げ旋回動作を自動で繰り返してよい。前提条件は、例えば、キャビン10の入力装置52を通じて設定入力されてもよいし、所定の外部装置から通信装置により受信される前提条件に関するデータに基づき設定されてもよい。以下、後述の埋め戻し作業の場合も同様である。具体的には、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から地形の形状を含む周囲の物体の位置や形状を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した周囲の物体の位置や形状、及び前提条件に基づき、現在の動作工程に対応するバケットの目標軌道を生成する。動作工程の切り替えは、半自動運転機能の場合と同様、所定の終了条件の成立に応じて行われてよい。そして、ショベル100は、バケットが目標軌道に沿って移動するように、現在の動作工程に対応する被駆動要素(アクチュエータ)の全てを自動で動作させ、掘削動作、ブーム上げ旋回動作、排土動作、及びブーム下げ旋回動作を自動で繰り返してよい。
【0075】
このように、ショベル100は、オペレータの操作に依らず、必要な被駆動要素(アクチュエータ)を全て自動で動作させ、掘削動作、ブーム上げ旋回動作、排土動作、及びブーム下げ旋回動作を繰り返すことで、掘削作業を行うことができる。
【0076】
<自動運転機能による埋め戻し作業>
続いて、ショベル100の自動運転機能による埋め戻し作業について説明する。
【0077】
埋め戻し作業が行われる場合、ショベル100に装着されるエンドアタッチメント6は、通常、バケットである。埋め戻し作業は、掘削作業等により形成された溝等の凹部に物体(以下、「埋設物」)が設置された状態で、ショベル100が凹部の相対的に近い位置に準備される土砂をバケットで凹部に移動させ、凹部を埋める作業である。埋め戻し作業は、例えば、掘削動作、ブーム下げ旋回動作、排土動作、及びブーム上げ旋回動作の一連の動作工程により構成される。掘削動作は、土砂山の土砂を掬う(掘削する)ショベル100の動作である。ブーム下げ旋回動作は、土砂山からバケットに掬い上げられた土砂を凹部まで移動させるショベル100の動作であり、ショベル100のブーム4の下げ動作と上部旋回体3の旋回動作との複合動作である。排土動作は、凹部にバケット内の土砂を排土するショベル100の動作である。ブーム上げ旋回動作は、凹部から土砂山までバケットを移動させるショベル100の動作であり、ブーム4の上げ動作と上部旋回体3の旋回動作との複合動作である。
【0078】
例えば、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、オペレータの操作に応じて、オペレータの操作対象以外の被駆動要素を自動で動作させながら、半自動運転機能による埋め戻し作業を行う。
【0079】
ショベル100は、例えば、掘削作業の場合と同様、オペレータによるアーム閉じ操作に応じて、アーム5を閉じ方向に動作させるのに加えて、ブーム4及びバケットの少なくとも一方を自動で動作させることにより掘削動作を行ってよい。具体的には、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から土砂山を含む周囲の物体の位置や形状等を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した周囲の物体の位置や形状、及びオペレータの操作内容等に基づき、土砂山の土砂をバケットに掬うためのバケットの目標軌道を生成する。そして、ショベル100は、オペレータのアーム閉じ操作に応じて、バケットが目標軌道に沿って移動するように、アーム5、並びに、ブーム4及びバケットの少なくとも一方を自動で動作させる形で、半自動運転機能による掘削動作を実現してよい。
【0080】
また、ショベル100は、例えば、掘削作業の場合と同様、オペレータによる旋回操作に応じて、上部旋回体3を旋回動作させるのに加えて、ブーム4を自動で下げ方向に動作させることにより、ブーム下げ旋回動作を行ってよい。具体的には、ショベル100は、掘削動作の終了条件が成立した後に、オペレータによる旋回操作がされる場合に、オペレータの旋回操作に応じて、ブーム下げ旋回動作を行ってよい。掘削動作の終了条件は、例えば、バケットが地切りしたことを含んでよい。ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から周囲の物体の位置や形状を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した周囲の物体の位置や形状、及びオペレータの操作内容等に基づき、アタッチメントが周囲の物体と接触しないようなバケットの目標軌道を生成してよい。そして、ショベル100は、オペレータの旋回操作に応じて、バケットが目標軌道に沿って移動するように、上部旋回体3、及びブーム4を自動で動作させる形で、半自動運転機能によるブーム下げ旋回動作を実現してよい。
【0081】
また、ショベル100は、例えば、オペレータのバケット開き操作に応じて、バケットを開き方向に動作させるのに加えて、アーム5を開き方向に自動で動作させることにより、排土動作を行ってよい。具体的には、ショベル100は、ブーム下げ旋回動作の終了条件が成立した後に、オペレータによるバケット開き操作がされる場合に、オペレータのバケット開き操作に応じて、排土動作を行ってよい。ブーム下げ旋回動作の終了条件は、例えば、オペレータの旋回操作が終了したことを含んでよい。また、ブーム下げ旋回動作の終了条件は、例えば、上面視で埋め戻しの対象の凹部の範囲内にバケットが入っていること等を含んでもよく、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報からその条件が成立したか否かを判断することができる。ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から現在の地形形状(凹部の埋設物の埋まり具合)を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した現在の地形形状と予め規定される埋め戻し後の地面の目標形状(目標施工面)との差分、及びオペレータの操作内容等に基づき、凹部の所定の位置に土砂を排土するためのバケットの目標軌道を生成してよい。そして、ショベル100は、オペレータのバケット開き操作に応じて、バケットが目標軌道に沿って移動するように、バケット及びアームを自動で動作させる形で、半自動運転機能による排土動作を実現してよい。
【0082】
また、ショベル100は、例えば、オペレータの旋回操作に応じて、上部旋回体3を旋回動作させるのに加えて、ブーム4を自動で上げ方向に動作させることにより、ブーム上げ旋回動作を行ってよい。具体的には、ショベル100は、排土動作の終了条件が成立した後に、オペレータによる旋回操作がされる場合に、オペレータの旋回操作に応じて、ブーム上げ旋回動作を行ってよい。排土動作の終了条件は、例えば、オペレータのバケット開き操作が終了したことを含んでよい。また、排土動作の終了条件は、例えば、バケット内の土砂が全て排出されたこと等を含んでもよい。ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から地形の形状を含む周囲の物体の位置や形状を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した周囲の物体の位置や形状、及びオペレータの操作内容等に基づき、アタッチメントが周囲の物体と接触せず、且つ、次の掘削動作の開始位置(土砂山)に向かうようなバケットの目標軌道を生成してよい。そして、ショベル100は、オペレータの旋回操作に応じて、バケットが目標軌道に沿って移動するように、上部旋回体3、及びブーム4を自動で動作させる形で、半自動運転機能によるブーム上げ旋回動作を実現してよい。
【0083】
このように、ショベル100は、オペレータの操作に応じて、操作対象以外の被駆動要素(アクチュエータ)を自動で動作させ、掘削動作、ブーム下げ旋回動作、排土動作、及びブーム上げ旋回動作を繰り返し、埋め戻し作業を行うことができる。そして、ショベル100は、凹部が埋め戻され、目標施工面に一致するまで、掘削動作、ブーム下げ旋回動作、排土動作、及びブーム上げ旋回動作を繰り返し、埋め戻し作業を完了することができる。
【0084】
また、例えば、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、オペレータの操作に依らず、完全自動運転機能による埋め戻し作業を行ってもよい。
【0085】
ショベル100は、例えば、予め設定される埋め戻し作業の前提条件(埋め戻し対象の凹部の場所、埋め戻し後の地面の目標形状に相当する目標施工面、埋め戻し用に準備される土砂山の場所等)に基づき、掘削動作、ブーム下げ旋回動作、排土動作、及びブーム上げ旋回動作を自動で繰り返してよい。具体的には、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から地形の形状を含む周囲の物体の位置や形状を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した周囲の物体の位置や形状、及び前提条件に基づき、現在の動作工程に対応するバケットの目標軌道を生成する。動作工程の切り替えは、半自動運転機能の場合と同様、所定の終了条件の成立に応じて行われてよい。そして、ショベル100は、バケットが目標軌道に沿って移動するように、現在の動作工程に対応する被駆動要素(アクチュエータ)の全てを自動で動作させ、掘削動作、ブーム下げ旋回動作、排土動作、及びブーム上げ旋回動作を自動で繰り返してよい。
【0086】
このように、ショベル100は、オペレータの操作に依らず、必要な被駆動要素(アクチュエータ)を全て自動で動作させ、掘削動作、ブーム下げ旋回動作、排土動作、及びブーム上げ旋回動作を繰り返すことで、埋め戻し作業を行うことができる。
【0087】
<自動運転機能によるエンドアタッチメントの交換作業>
続いて、図3図3A図3C)、図4図4A図4C)を参照して、本実施形態に係るショベル100の自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業について説明する。
【0088】
例えば、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、オペレータの操作に依らず、完全自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業を行ってもよい。
【0089】
図3A図3Cは、ショベル100の自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業を説明する図である。具体的には、図3Aは、ショベル100の自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業に関するコントローラ30の制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートは、例えば、自動交換スイッチ52aがON操作されると開始される。図3Bは、ショベル100の自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業の一例を示す図である。具体的には、図3Bは、作業状態310から作業状態340に亘る、ショベル100の自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業の作業状態遷移図である。図3Cは、ショベル100の自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業の他の例を示す図である。図3B図3Cでは、ショベル100に装着されているバケット6Aがバケット6Bに交換される場合のショベル100の自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業の具体例が示されている。図4A図4Cは、それぞれ、表示装置50に表示される、交換対象のエンドアタッチメントを選択するための操作画面(以下、「交換対象選択画面」)の第1例~第3例を示す図である。図4A図4Cでは、交換対象のエンドアタッチメントとして、演算装置30Eによりショベル100の周囲の地面に載置されているバケット6C~6Eが認識された場合が示されている。
【0090】
図3Aに示すように、ステップS102にて、演算装置30Eは、コントローラ30の制御下で、撮像装置40の撮像画像に基づき、ショベル100の周囲の地面に載置されているエンドアタッチメントの認識を試みる。
【0091】
例えば、図3Bの作業状態310に示すように、本例では、ショベル100は、オペレータの操作で、交換対象のバケット6Bが保管される場所(保管スペース)まで移動し、バケット6Bと正対する位置に配置されている。ショベル100と交換対象のバケット6Bとが正対する状態とは、アーム5の先端(具体的には、脱着装置12)を前後方向及び上下方向の何れかの方向に移動させるだけで、アーム5の先端の取付部を交換対象のバケット6Bの被取付部に位置合わせ可能な状態を意味する。具体的には、ショベル100と交換対象のバケット6Bとが正対する状態とは、アタッチメントの稼働面が交換対象のバケット6Bの被取付部と幅方向の中央で直交する状態に相当する。アタッチメントの稼働面は、ブーム4、アーム5、及びエンドアタッチメント6の回転軸に垂直な平面であり、アタッチメントが動作する場合にその幅方向(左右方向)の中央部が稼働する平面を意味する。本例では、ショベル100(演算装置30E)は、撮像装置40の撮像画像に基づき、上部旋回体3の正面(前方)の地面に載置されている交換対象のエンドアタッチメントとしてのバケット6Bを認識することができる。
【0092】
また、例えば、図3Cに示すように、本例では、ショベル100は、交換対象のバケット6Bから相対的に離れた位置に配置されている(図中の下側のショベル100参照)。そのため、ショベル100は、アタッチメント(ブーム4及びアーム5)の動作だけで、アーム5の先端を交換対象のバケット6Bに届かせることはできない。一方、交換対象のバケット6Bは、撮像装置40の撮像画像に含まれうる。そのため、ショベル100(演算装置30E)は、撮像装置40の撮像画像に基づき、上部旋回体3の左斜め前方の比較的離れた保管スペース510に載置されている交換対象のバケット6Bを認識することができる。
【0093】
図3Aに戻り、コントローラ30は、演算装置30EによるステップS102の処理が完了すると、ステップS104に進む。
【0094】
ステップS104にて、コントローラ30は、ステップS102の処理によって、演算装置30Eがエンドアタッチメントを認識したか否かを判定する。コントローラ30は、演算装置30Eによりエンドアタッチメントが認識された場合、ステップS106に進み、認識されなかった場合、認識されるまでステップS102,S104の処理を繰り返す。
【0095】
尚、コントローラ30は、演算装置30Eによりエンドアタッチメントが認識されない場合、表示装置50を通じて、エンドアタッチメントが認識されない旨をオペレータに通知してもよい。これにより、コントローラ30は、オペレータに対して、撮像装置40により交換対象のエンドアタッチメントを撮像可能な位置までショベル100を下部走行体1により走行移動させたり、上部旋回体3を旋回させたりするように操作装置26の操作を促すことができる。また、コントローラ30は、演算装置30Eによりエンドアタッチメントが認識されない場合、演算装置30Eにより生成される駆動指令に基づき、比例弁31を制御し、エンドアタッチメントを認識可能な位置までショベル100を下部走行体1により自動で走行移動させたり、上部旋回体3を自動で旋回させたりしてもよい。また、ある程度の時間が経過しても、演算装置30Eによりエンドアタッチメントが認識されない場合、本フローチャートは強制終了されてもよい。
【0096】
ステップS106にて、コントローラ30は、演算装置30Eにより認識されたエンドアタッチメントの中から交換対象のエンドアタッチメントを選択するための交換対象選択画面を表示装置50に表示させる。複数の交換対象の候補のエンドアタッチメントが認識される場合があるからである。
【0097】
例えば、図4Aに示すように、交換対象選択画面410には、撮像装置40の撮像画像に基づき生成される、演算装置30Eにより認識された交換対象の候補のエンドアタッチメントとしてのバケット6C~6Eを含む画像が表示されている。また、交換対象選択画面410において、バケット6C~6Eが含まれる(映っている)部分には、それぞれ、演算装置30Eにより認識されたこと、つまり、交換対象の候補のエンドアタッチメントであることを示す認識枠411~413が重畳的に表示される。オペレータ等のユーザは、入力装置52(例えば、表示装置50に実装されるタッチパネル等)を通じて、認識枠411~413の何れか指定(選択)し且つ確定させる操作を行うことにより、バケット6C~6Eの中から一の交換対象のエンドアタッチメント(バケット)を選択することができる。
【0098】
また、例えば、図4Bに示すように、交換対象選択画面420には、図4Aの場合と同様、バケット6C~6Eを含む画像が表示されている。また、交換対象選択画面420には、演算装置30Eにより認識されたバケット6C~6Eの種類を特定するリスト情報421が重畳的にポップアップ表示される。具体的には、コントローラ30或いは演算装置30Eは、予め構築される、エンドアタッチメントのデータベースに登録される複数の種類のエンドアタッチメントに関する情報に基づき、演算装置30Eにより認識された候補のエンドアタッチメント(バケット6C~6E)の種類を自動判別し、リスト情報421を生成してよい。エンドアタッチメントのデータベースは、コントローラ30の補助記憶装置等に構築されてもよいし、コントローラ30と通信可能に接続される外部記憶装置に構築されてもよい。本例では、リスト情報421に、認識されたバケット6C~6Eのそれぞれに対応する"通常バケット0.8m"、"通常バケット1.0m"、及び"法面バケット"の3種類のエンドアタッチメント(バケット)の名称がリストアップされている。オペレータ等のユーザは、入力装置52を通じて、リスト情報421内の選択アイコン422を移動させることで、バケット6C~6Eのうちの何れかの種類のバケットを選択し、所定の確定操作によって、選択を確定させることができる。
【0099】
また、例えば、図4Cに示すように、交換対象選択画面430には、図4A等の場合と同様、バケット6C~6Eを含む画像が表示されている。また、交換対象選択画面430において、図4Aの場合と同様、バケット6C~6Eが含まれる(映っている)部分には、それぞれ、演算装置30Eにより認識されたこと、つまり、交換対象の候補のエンドアタッチメントであることを示す認識枠431~433が重畳的に表示される。また、本例では、認識枠431~433のうち、ショベル100に装着可能な交換対象の候補のエンドアタッチメント(バケット6C,6D)の認識枠431,432と、ショベル100に装着不可能な交換対象の候補のエンドアタッチメント(バケット6E)の認識枠433とが異なっている。具体的には、認識枠433には、矩形部分の対角線同士を結ぶ態様の×印が含まれ、バケット6Eを選択不可であることが示される。これにより、コントローラ30は、仕様上、ショベル100に装着できないエンドアタッチメントをショベル100に誤って装着させてしまうような事態を抑制できる。具体的には、コントローラ30或いは演算装置30Eは、予め構築される、エンドアタッチメントのデータベースに登録される複数の種類のエンドアタッチメントに関する情報に基づき、演算装置30Eにより認識されたバケット6C~6Eの種類を自動判別し、ショベル100に装着可能であるか否かを判断してよい。オペレータ等のユーザは、入力装置52を通じて、選択不可の認識枠433を除く、認識枠431,432の何れかを指定(選択)し且つ確定させる操作を行うことにより、バケット6C,6Dのうちの一の交換対象のエンドアタッチメント(バケット)を選択することができる。
【0100】
図3Aに戻り、コントローラ30は、ステップS106の処理が完了すると、ステップS108に進む。
【0101】
尚、ステップS102の処理で交換対象のエンドアタッチメントが一つだけしか認識されていない場合であっても、交換対象選択画面は表示されてよい。認識された交換対象のエンドアタッチメントがユーザ(オペレータ)の希望するエンドアタッチメントかどうかをユーザに確認させることができるからである。
【0102】
ステップS108にて、コントローラ30は、交換対象選択画面を通じて、交換対象のエンドアタッチメントの選択が確定したか否かを判定する。コントローラ30は、交換対象のエンドアタッチメントの選択が確定した場合、ステップS110に進み、交換対象のエンドアタッチメントの選択が確定していない場合、選択が確定するまで待機する(選択が確定するまで本ステップの処理を繰り返す)。
【0103】
尚、ある程度の時間が経過しても、交換対象のエンドアタッチメントの選択が確定されない場合、本フローチャートは強制終了されてもよい。
【0104】
ステップS110にて、コントローラ30は、演算装置30Eにより生成される駆動指令に基づき、比例弁31を制御し、ショベル100のアーム5の先端(具体的には、脱着装置12)に装着されているエンドアタッチメント6を所定の場所に取り外す。所定の場所は、例えば、ショベル100に装着可能な複数の種類のエンドアタッチメントを保管するために予め設けられる、作業現場の保管スペースである。
【0105】
例えば、図3Bの作業状態320に示すように、本例では、ショベル100は、交換対象のバケット6Bが載置されている同じ保管スペース内に現在装着されているバケット6Aを取り外している。ショベル100は、例えば、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、ショベル100から見てバケット6Bよりも更に前方の保管スペースの地面にバケット6Aの背面が接地するまでブーム4の下げ動作及びアーム5の閉じ動作の少なくとも一方を行う。そして、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、油圧シリンダ12cを収縮方向に動作させ、バケット6Aを保管スペースに取り外すことができる。
【0106】
また、例えば、図3Cに示すように、本例では、上述の如く、ショベル100は、その現在位置が交換対象のバケット6Bが載置されている保管スペース510から相対的に離れている(図中の下側のショベル100参照)。そのため、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、下部走行体1を自動で走行させることにより、交換対象のバケット6Bが載置される保管スペース510の周囲まで移動させてよい(図中の上側のショベル100参照)。具体的には、ショベル100は、図3Bの場合と同様、交換対象のバケット6Bと正対し、且つ、アーム5の先端(脱着装置12)がバケット6Bに届く状態になるまで自動で移動(走行)した上で、保管スペース510にバケット6Aを取り外してよい。これにより、ショベル100は、アーム5の先端を前後方向及び上下方向に移動させるだけで、アーム5の先端を取付対象のバケット6Bに対して位置合わせすることができる。つまり、現在装着されているエンドアタッチメント6(バケット6A)を取り外す際のショベル100の動作(の一部)は、アーム5の先端を取付対象のエンドアタッチメント(バケット6B)に対して位置合わせする作業の一部を構成する場合がある。この場合、ショベル100は、下部走行体1(クローラ1C)の前後方向(長手方向)と上部旋回体3の向きとを略一致させた状態で、下部走行体1の走行動作だけで、上部旋回体3の向きを調整しながら、バケット6Bと正対する状態に自動で移行してよい。つまり、ショベル100は、左右のクローラ1Cのそれぞれの駆動速度を調整し、進行方向を変化させることにより、バケット6Bと正対する状態に自動で移行してよい。また、ショベル100は、下部走行体1の走行動作、及び上部旋回体3の旋回動作の双方を用いて、上部旋回体3の向きを調整しながら、バケット6Bと正対する状態に自動で移行してもよい。
【0107】
尚、ショベル100は、交換対象のエンドアタッチメントにアーム5の先端を届かせることが可能な距離に位置し、且つ、上部旋回体3を旋回させるだけで、交換対象のエンドアタッチメントと正対する状態を実現可能な場合もありうる。具体的には、上部旋回体3の旋回軸から交換対象のエンドアタッチメントを見て、相対的に近い距離にあり、且つ、径方向に相当する平面と交換対象のエンドアタッチメントの被取付部の幅方向の中央部とが直交しているショベル100の状態に相当する。ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40やショベル100の左方、右方、後方等を撮像可能な撮像装置の画像情報に基づき、この状態を認識することができる。この場合、ショベル100は、上部旋回体3の旋回動作だけで、交換対象のエンドアタッチメントと正対する状態に自動で移行してもよい。
【0108】
また、例えば、図3Cに示すように、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、交換対象のバケット6Bが載置される保管スペース510とは異なる保管スペース520にバケット6Aに取り外してもよい(図中の点線のショベル100参照)。本例では、ショベル100は、保管スペース510の交換対象のバケット6Bにアーム5の先端を届かせることが可能で、且つ、正対する状態に移行した後に、上部旋回体3を自動で旋回させることで、保管スペース520にアタッチメントの向きを合わせている。これにより、ショベル100は、保管スペース520にバケット6Aを取り外した後に、同じ旋回量だけ逆方向に旋回するだけで、元の状態、即ち、交換対象のバケット6Bにアーム5の先端を届かせることが可能で、且つ、正対する状態に復帰することができる。
【0109】
このように、ステップS110では、ショベル100は、エンドアタッチメント6を取り外す動作(以下、「取り外し動作」)に先立って、交換対象のエンドアタッチメントにアーム5の先端を届かせることが可能で、且つ、正対する状態に移行する動作(以下、「正対動作」)を行う場合がある。
【0110】
図3Aに戻り、コントローラ30は、ステップS110の処理が完了すると、ステップS112に進む。
【0111】
ステップS112にて、コントローラ30は、演算装置30Eの駆動指令に基づき、比例弁31を制御し、アタッチメント及び機体(下部走行体1及び上部旋回体3)の少なくとも一方を自動で動作させることにより、アーム5の先端の取付部を、交換対象のエンドアタッチメントの対応する被取付部に位置合わせする。例えば、エンドアタッチメント6が取り外された段階で(ステップS110の完了時)、交換対象のエンドアタッチメントにアーム5の先端を届かせることができない状態、或いは、正対していない状態の場合、本ステップでは、ショベル100は、正対動作を行う。そして、ショベル100は、交換対象のエンドアタッチメントにアーム5の先端を届かせることが可能、且つ、正対する状態で、アーム5の先端の取付部とエンドアタッチメント6の被取付部とを一致させる最終的な位置合わせ動作(以下、「最終位置合わせ動作」)を行う。また、例えば、エンドアタッチメントが取り外された段階で、交換対象のエンドアタッチメントにアーム5の先端を届かせることが可能で、且つ、正対している場合、最終位置合わせ動作だけを行う。
【0112】
具体的には、コントローラ30は、脱着装置12の取付部12d1,12d2のうちの可動しない取付部12d1の位置を交換対象のエンドアタッチメントの対応する被取付部の位置に合わせるように、アタッチメント、及び機体の少なくとも一方を自動で動作させる形で、最終位置合わせ動作を行う。このとき、演算装置30Eは、コントローラ30の制御下で、撮像装置40の撮像画像に基づき、逐次、脱着装置12の取付部12d及びエンドアタッチメントの被取付部の位置を認識してよい。また、コントローラ30は、演算装置30Eの演算結果に代えて、或いは、加えて、予め構築される、エンドアタッチメントのデータベースに登録される交換対象のエンドアタッチメントに関する情報に基づき、エンドアタッチメントの被取付部の位置を認識(特定)してもよい。
【0113】
例えば、図3Bの作業状態320,330に示すように、本例では、ショベル100は、上述の如く、アーム5の先端の取付部(脱着装置12の取付部12d)がバケット6Bの被取付部に正対している状態(具体的には、アーム5の先端の取付部12dの軸と、バケット6Bの被取付部(例えば、取付ピン)の軸とが略平行をなす状態)にある。そのため、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、アタッチメントを自動で動作させ、アーム5の先端を、バケット6Aを取り外した位置から後方に移動させることにより、バケット6Bの位置に近づける。具体的には、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、ブーム4の上げ動作及びアーム5の閉じ動作を自動で行わせてよい。そして、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、アタッチメントを自動で動作させ、アーム5の先端の脱着装置12の取付部12d1をバケット6Bの対応する被取付部に位置合わせしてよい。また、図3Bの作業状態320,330において、ショベル100は、アタッチメントに代えて、或いは、加えて、下部走行体1を自動で走行させることにより、アーム5の先端を、バケット6Aを取り外した位置からバケット6Bの位置に向けて後方に移動させる態様で、アーム5の先端の脱着装置12の取付部12d1をバケット6Bの対応する被取付部に位置合わせしてもよい。例えば、バケット6Aを取り外した段階で(ステップS110の完了時)、アーム5の先端の高さ(上下位置)を、取付対象のバケット6Bの被取付部の高さに位置合わせしておくことにより、下部走行体1を後方に走行させるだけで、位置合わせを行うことができる。
【0114】
また、例えば、図3Cに示すように、ショベル100は、保管スペース520にバケット6Aを取り外した場合、保管スペース510の交換対象のバケット6Bと正対していない(図中の点線のショベル100参照)。そのため、ショベル100は、上述の如く、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、上部旋回体3を自動旋回させることで、アーム5の先端を、保管スペース520から保管スペース510に移動させ、交換対象のバケット6Bに正対する状態に復帰する。つまり、ショベル100は、アーム5の先端(脱着装置12)の取付部12dが交換対象のバケット6Bの被取付部に正対するように、上部旋回体3を自動で旋回させる。そして、ショベル100は、図3Bの場合と同様、アタッチメント及び下部走行体1の少なくとも一方を自動で動作させ、アーム5の先端の脱着装置12の取付部12d1をバケット6Bの対応する被取付部に位置合わせすることができる。
【0115】
図3Aに戻り、コントローラ30は、ステップS112の処理が完了すると、ステップS114に進む。
【0116】
ステップS114にて、コントローラ30は、演算装置30Eにより生成される駆動指令に基づき、比例弁31を制御し、交換対象のエンドアタッチメントをアーム5の先端に装着させる。具体的には、コントローラ30は、比例弁31を制御し、油圧シリンダ12cを伸長方向に動作させることにより、交換対象のエンドアタッチメントの被取付部を脱着装置12の取付部12dに取り付ける。これにより、ショベル100は、アーム5の先端に交換対象のエンドアタッチメントを装着する(取り付ける)動作(以下、「取り付け動作」)を自動で行うことができる。
【0117】
例えば、図3Bの作業状態340に示すように、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、アーム5の先端(脱着装置12の取付部12d)にバケット6Bを取り付ける。これにより、ショベル100は、バケット6Aに代えて、交換後のバケット6Bを使用した作業を開始させることができる。
【0118】
図3Aに戻り、コントローラ30は、ステップS114の処理が完了すると、今回の本フローチャートの処理を終了する。
【0119】
このように、ショベル100は、オペレータの操作に依らず、必要な被駆動要素を全て自動で動作させ、ショベル100の完全自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業を行うことができる。具体的には、ショベル100は、オペレータの操作に依らず、取り外し動作、正対動作、最終位置合わせ動作、及び取り付け動作を自動で行うことにより、完全自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業を行うことができる。
【0120】
尚、エンドアタッチメント6の交換作業のうちの取り外し動作、正対動作、及び取り付け動作のうちの少なくとも一つは、オペレータの操作により手動で実行されてもよい。
【0121】
また、例えば、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、オペレータの操作に応じて、オペレータの操作をアシスト(支援)する形で、半自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業を行ってもよい。
【0122】
具体的には、ショベル100は、オペレータの操作に応じて、オペレータの操作対象以外の被駆動要素を自動で動作させながら、半自動運転機能によるエンドアタッチメントの交換作業を行ってよい。
【0123】
ショベル100は、例えば、オペレータによる下部走行体1(左右のクローラ1C)の操作(以下、「走行操作」)に応じて、下部走行体1を走行させるのに加えて、上部旋回体3を自動で旋回させることによって、正対動作を行ってよい。具体的には、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から交換対象のエンドアタッチメントの相対位置を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した交換対象のエンドアタッチメントの相対位置、及びオペレータの操作内容等に基づき、アーム5の先端の目標軌道を生成する。そして、ショベル100は、オペレータの走行操作に応じて、アーム5の先端が目標軌道に沿って移動するように、下部走行体1及び上部旋回体3を自動で動作させる形で、半自動運転機能による正対動作を実現してよい。
【0124】
また、ショベル100は、例えば、オペレータによるアーム5の操作(以下、「アーム操作」)に応じて、アーム5を動作させるのに加えて、ブーム4を自動で動作させることによって、最終位置合わせ動作を行ってよい。具体的には、ショベル100は、コントローラ30及び演算装置30Eの制御下で、撮像装置40の画像情報から交換対象のエンドアタッチメントの相対位置を逐次認識する。また、ショベル100は、認識した交換対象のエンドアタッチメントの相対位置、及びオペレータの操作内容等に基づき、アーム5の先端の目標軌道を生成する。そして、ショベル100は、オペレータのアーム操作に応じて、アーム5の先端が目標軌道に沿って移動するように、アーム5及びブーム4を自動で動作させる形で、半自動運転機能による最終位置合わせ動作を実現してよい。
【0125】
また、ショベル100は、オペレータの操作に応じて、オペレータの操作対象の被駆動要素の動作を自動で調整しながら、半自動運転機能によるエンドアタッチメントの交換作業を行ってもよい。オペレータの操作対象の被駆動要素の動作の調整とは、オペレータの操作対象の被駆動要素の実際の動作方向を操作内容に合わせる一方、実際の動作量を操作内容に対応する動作量に対して調整を行うことを意味する。この場合、コントローラ30は、オペレータの操作対象の被駆動要素に対応する比例弁31を制御し、実際の操作量よりも小さく或いは大きく調整されたパイロット圧をコントロールバルブ17に作用させる。これにより、例えば、オペレータの操作内容に合わせると、ショベル100が交換対象のエンドアタッチメントに正対する状態に届かなかったり、行き過ぎてしまったりする可能性がある状況で、ショベル100を適切に正対させることができる。また、例えば、オペレータの操作内容に合わせると、アーム5の先端の取付部と交換対象のエンドアタッチメントの被取付部とが一致する状態に届かなかったり、行き過ぎてしまったりする可能性がある状況で、アーム5の先端の取付部と交換対象のエンドアタッチメントの被取付部とを適切に位置合わせすることができる。
【0126】
尚、操作装置26が油圧パイロット式(図2A参照)の場合、キャビン10のオペレータの操作に対応するパイロット圧がシャトル弁32の入口ポートに作用しないように、操作装置26とシャトル弁32との間に減圧弁が設けられることが望ましい。そして、オペレータの操作対象の被駆動要素の動作を自動で調整する場合、操作対象の被駆動要素に対応する操作装置26の二次側のパイロットラインの減圧弁を作動させ、操作内容に対応するパイロット圧をシャトル弁32に作用させないようにしてよい。操作装置26から出力されるパイロット圧よりも小さいパイロット圧を、比例弁31からシャトル弁32を介してコントロールバルブ17に作用させる必要が生じうるからである。
【0127】
ショベル100は、例えば、オペレータによる下部走行体1や上部旋回体3に関する操作に応じて、下部走行体1や上部旋回体3の動作量を自動で調整することにより、半自動運転機能による正対動作を行ってよい。
【0128】
また、ショベル100は、例えば、オペレータによるアタッチメント(ブーム4及びアーム5の少なくとも一方)に関する操作に応じて、アタッチメントの動作量を自動で調整することで、半自動運転機能による最終位置合わせ動作を行ってもよい。
【0129】
また、ショベル100は、アーム5の先端の取付部と交換対象のエンドアタッチメントの被取付部の高さ(上下位置)が一致している場合、オペレータによる走行操作に応じて、下部走行体1の動作量(移動量)を自動で調整することで、半自動運転機能による最終位置合わせ動作を行ってもよい。
【0130】
このように、ショベル100は、オペレータの操作に応じて、ショベル100の半自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業を行うことができる。具体的には、ショベル100は、例えば、正対動作や最終位置合わせ動作に対応するオペレータの操作を支援する形で、半自動運転機能によるエンドアタッチメント6の交換作業を行うことができる。
【0131】
[作用]
次に、本実施形態に係るショベル100の作用について説明する。
【0132】
本実施形態では、ショベル100は、下部走行体1及び上部旋回体3等により構成される機体(支持部の一例)に可動なように支持されるリンク部(ブーム4及びアーム5)を取付対象のエンドアタッチメントに対して位置合わせする。具体的には、ショベル100は、自動で(オペレータの操作とは無関係に)又はオペレータの操作を支援するように、リンク部を取付対象のエンドアタッチメントに対して位置合わせする。例えば、ショベル100は、自機の周囲の地面に載置される、アーム5の先端への取付対象のエンドアタッチメントの被取付部に、アーム5の先端の取付部12dを位置合わせしてよい。
【0133】
これにより、ショベル100は、エンドアタッチメント6の交換作業の少なくとも一部を半自動や完全自動で行うことができる。そのため、例えば、ショベル100は、オペレータにより操作される場合、オペレータの熟練度に依らず、比較的短時間で、アーム5の先端の取付部12dを取付対象(交換対象)のエンドアタッチメントの被取付部に位置合わせすることができる。また、例えば、ショベル100は、自動運転機能を有する場合であっても、エンドアタッチメント6の交換作業の自動化が追加されることで、全てが手動で行われる場合よりも、エンドアタッチメント6の交換作業に要する時間を短縮させることができる。よって、エンドアタッチメント6の交換作業の効率化を図ることができる。
【0134】
また、本実施形態では、ショベル100は、リンク部の取付部及び取付対象のエンドアタッチメントの被取付部の位置が合う(一致する)ように、リンク部を取付対象のエンドアタッチメントに対して位置合わせしてよい。
【0135】
これにより、ショベル100は、エンドアタッチメント6の交換作業のうちの最終位置合わせ動作を半自動や完全自動で行うことができる。
【0136】
また、本実施形態では、撮像装置40(取得部の一例)は、リンク部の取付部及び取付対象のエンドアタッチメントの被取付部のそれぞれの位置に関する情報を取得してよい。そして、ショベル100は、撮像装置40により取得される、リンク部の取付部及び取付対象のエンドアタッチメントの被取付部のそれぞれの位置に関する情報に基づき、リンク部の取付部を取付対象のエンドアタッチメントの被取付部の位置と一致するように移動させてよい。
【0137】
これにより、ショベル100は、より具体的に、最終位置合わせ動作を半自動や完全自動で行うことができる。
【0138】
また、本実施形態では、ショベル100は、アタッチメント、及び機体(下部走行体1及び上部旋回体3)の少なくとも一方を自動で又はオペレータの操作を支援するように動作させることにより、アーム5の先端(の取付部12d)を取付対象のエンドアタッチメント(の被取付部)に対して位置合わせしてよい。
【0139】
これにより、ショベル100は、より具体的に、アーム5の先端の取付部12dを取付対象(交換対象)のエンドアタッチメントの被取付部に位置合わせすることができる。
【0140】
また、本実施形態では、ショベル100は、リンク部及び機体のうちのリンク部だけを自動で又はオペレータの操作を支援する態様で動作させて、リンク部を取付対象のエンドアタッチメントに対して位置合わせしてよい。
【0141】
これにより、ショベル100は、例えば、交換対象のエンドアタッチメントにリンク部の先端を届かせることが可能で、且つ、正対している状態を起点にして、リンク部の動作だけで、最終位置合わせ動作を半自動或いは完全自動で行うことができる。
【0142】
また、本実施形態では、ショベル100は、リンク部を取付対象のエンドアタッチメントと正対させるように、機体に走行動作及び旋回動作の少なくとも一方を自動で又はオペレータの操作を支援する態様で行わせてよい。
【0143】
これにより、ショベル100は、エンドアタッチメント6の交換作業のうちの正対動作を半自動や完全自動で行うことができる。
【0144】
また、本実施形態では、ショベル100は、アーム5の先端の取付部12dが取付対象のエンドアタッチメントの被取付部に正対している状態で、アーム5の先端の取付部12dを取付対象のエンドアタッチメントの被取付部の位置に一致させるように、アタッチメントを自動で又はオペレータの操作を支援する態様で動作させてよい。
【0145】
これにより、ショベル100は、リンク部(アタッチメントのうちのブーム4やアーム5)を半自動や完全自動で動作させ、具体的に、アーム5の先端の取付部12dとエンドアタッチメントの被取付部との間の位置合わせ(最終位置合わせ動作)を行うことができる。
【0146】
また、本実施形態では、ショベル100は、アーム5の先端の取付部12dが取付対象のエンドアタッチメントの被取付部に正対するように、上部旋回体3を自動で又はオペレータの操作を支援する態様で旋回させてよい。
【0147】
これにより、ショベル100は、上部旋回体3を半自動や完全自動で旋回させ、具体的に、アーム5の先端の取付部12dとエンドアタッチメントの被取付部との間の位置合わせを行うことができる。
【0148】
また、本実施形態では、ショベル100は、アーム5の先端の取付部が取付対象のエンドアタッチメントの被取付部に届く場所まで自機が移動するように、下部走行体1を自動で又はオペレータの操作を支援する態様で走行させてよい。また、本実施形態では、ショベル100は、アーム5の先端の取付部12dが取付対象のエンドアタッチメントの被取付部に正対している状態で、アーム5の先端の取付部12dを取付対象のエンドアタッチメントの被取付部の位置に一致させるように、下部走行体1を自動で又はオペレータの操作を支援する態様で走行させてもよい。
【0149】
これにより、ショベル100は、半自動や完全自動で下部走行体1を走行させ、具体的に、アーム5の先端の取付部12dとエンドアタッチメントの被取付部との間の位置合わせ(正対動作や最終位置合わせ動作)を行うことができる。
【0150】
また、本実施形態では、ショベル100は、自機の周囲の取付対象のエンドアタッチメントを検出するセンサ(撮像装置40)を備えてよい。
【0151】
これにより、ショベル100は、撮像装置40の出力情報(撮像画像)に基づき、自機の周囲の地面に載置されている交換対象のエンドアタッチメントの存在やその相対位置等を自動認識することができる。
【0152】
また、本実施形態では、リンク部(アーム5)の先端の取付部12dには、アーム5とエンドアタッチメント6との間の固定状態と非固定状態とを切り替える可動部12b、及び可動部12bを駆動する油圧シリンダ12c(アクチュエータの一例)が設けられてよい。そして、ショベル100は、可動部12b及び油圧シリンダ12cが非固定状態に対応する状態で、アーム5の先端の取付部12dを取付対象のエンドアタッチメントの被取付部に位置合わせすると共に、油圧シリンダ12cを自動で又はオペレータの操作を支援する態様で動作させることにより、取付対象のエンドアタッチメントの被取付部をアーム5の先端の取付部12dに固定してよい。
【0153】
これにより、ショベル100は、アーム5の先端の取付部とエンドアタッチメントの被取付部との間の位置合わせに加えて、エンドアタッチメントの取付(固定)に関する動作(取り付け動作)まで半自動や完全自動で行うことができる。
【0154】
尚、エンドアタッチメント6の取り外し動作(図3AのステップS110)及びエンドアタッチメントの取り付け動作(図3AのステップS114)は、上述の如く、手動で行われてもよい。この場合、脱着装置12は、省略されてもよい。
【0155】
[変形・変更]
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0156】
例えば、上述した実施形態では、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、エンドアタッチメント6、脱着装置12等の各種動作要素を全て油圧駆動する構成であったが、その一部が電気駆動される構成であってもよい。つまり、上述した実施形態で開示される構成等は、ハイブリッドショベルや電動ショベル等に適用されてもよい。
【0157】
また、上述した実施形態及び変形例において、操作装置26は、省略されてもよい。つまり、上述した実施形態及び変形例において、ショベル100は、オペレータの操作を受け付けず、完全自動化されていてもよい。
【0158】
最後に、本願は、2019年2月15日に出願した日本国特許出願2019-025396号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0159】
1 下部走行体
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 エンドアタッチメント
6A~6E バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 エンドアタッチメントシリンダ
10 キャビン
11 エンジン
12 脱着装置
12b 可動部
12c 油圧シリンダ(アクチュエータ)
12d 取付部
13 レギュレータ
14 メインポンプ
15 パイロットポンプ
17 コントロールバルブ
30 コントローラ
30E 演算装置
31 比例弁
32 シャトル弁
40 撮像装置(取得部)
50 表示装置
52 入力装置
52a 自動交換スイッチ
100 ショベル
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C