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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】磁気ディスク装置、及びライト処理方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20231218BHJP
   G11B 5/09 20060101ALI20231218BHJP
   G11B 5/012 20060101ALI20231218BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G11B5/31 K
G11B5/09 311Z
G11B5/012
G11B5/02 Q
G11B5/09 331
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021022478
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124699
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】友田 悠介
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-046518(JP,A)
【文献】特開2019-164855(JP,A)
【文献】特開2016-157498(JP,A)
【文献】特開2019-117672(JP,A)
【文献】特開2020-126703(JP,A)
【文献】特開2016-110680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
G11B 5/09
G11B 5/012
G11B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向に間隔を置いてトラックをライトする通常記録でデータをライトする通常記録領域と前記半径方向に重ねてトラックをライトする瓦記録でデータをライトする瓦記録領域とを有するディスクと、
前記ディスクに対してデータをライトするライトヘッドと前記ディスクからデータをリードする複数のリードヘッドとを有し、回転軸周りで回転することで前記ディスク上を移動するヘッドと、
前記通常記録と前記瓦記録とを選択して実行するコントローラと、を備え、
前記通常記録領域における前記複数のリードヘッドの内の2つのリードヘッドの前記ディスクの半径方向のクロストラック間隔の第1最小値は、前記瓦記録領域における前記クロストラック間隔の第1最大値よりも小さい、磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記複数のリードヘッドの内の2つのリードヘッドが重なる場合、前記クロストラック間隔が、前記第1最小値になる、請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記クロストラック間隔が前記第1最小値になる前記ディスクにおける前記ヘッドの半径方向の第1半径位置は、前記ディスクの半径方向の幅の中間よりも前記ディスクの外側に位置している、請求項1又は2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記通常記録領域は、前記外側に配置され、前記瓦記録領域は、前記ディスクの内側に配置されている、請求項3に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記ディスクの全面に前記通常記録でデータをライトした後に前記ディスクの中心側に前記瓦記録でデータをライトする、請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記クロストラック間隔の第2最小値が10nm以下になる前記ディスクの第1領域で前記通常記録を実行し、前記クロストラック間隔の第2最大値が15nm以上になる前記ディスクの第2領域で前記瓦記録を実行する、請求項1乃至5のいずれか1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項7】
ディスクと、
前記ディスクに対してデータをライトするライトヘッドと前記ディスクからデータをリードする第1リードヘッド及び第2リードヘッドとを有し、回転軸周りで回転することで前記ディスク上を移動するヘッドと、
前記ディスクの半径方向に間隔を置いてトラックをライトする通常記録と前記半径方向に重ねてトラックをライトする瓦記録と選択して実行し、前記第1リードヘッド及び前記第2リードヘッドの前記ディスクの半径方向のクロストラック間隔が最小値となる前記ディスクの半径方向の第1半径位置に前記ヘッドを配置した場合、通常記録を実行する、コントローラと、を備える磁気ディスク装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記クロストラック間隔が最大値となる前記ディスクの半径方向の第2半径位置に前記ヘッドを配置した場合、瓦記録を実行する、請求項7に記載の磁気ディスク装置。
【請求項9】
前記第1半径位置は、前記ディスクの半径方向の幅の中間に位置している、請求項8に記載の磁気ディスク装置。
【請求項10】
前記第1半径位置は、前記ディスクの半径方向の幅の中間よりも前記ディスクの外側に位置している、請求項8に記載の磁気ディスク装置。
【請求項11】
前記第2半径位置は、前記中間よりも内側に位置している、請求項9又は10に記載の磁気ディスク装置。
【請求項12】
前記第2半径位置は、前記中間よりも外側に位置している、請求項9に記載の磁気ディスク装置。
【請求項13】
前記第1半径位置に前記ヘッドを配置した場合、前記第1リードヘッド及び前記第2リードヘッドは、前記ディスクの円周方向に並んでいる、請求項7乃至8のいずれか1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項14】
ディスクと、前記ディスクに対してデータをライトするライトヘッドと前記ディスクからデータをリードする第1リードヘッド及び第2リードヘッドとを有し、回転軸周りで回転することで前記ディスク上を移動するヘッドと、を備える磁気ディスク装置に適用されるライト処理方法であって、
前記ディスクの半径方向に間隔を置いてトラックをライトする通常記録と前記半径方向に重ねてトラックをライトする瓦記録と選択して実行し、
前記第1リードヘッド及び前記第2リードヘッドの前記ディスクの半径方向のクロストラック間隔が最小値となる前記ディスクの半径方向の第1半径位置に前記ヘッドを配置した場合、通常記録を実行する、ライト処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気ディスク装置及びライト処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクの半径方向に間隔に置いて複数のトラックをライトする通常記録(Conventional Magnetic Recording:CMR)型式の磁気ディスク装置とディスクの半径方向に複数のトラックを重ね書きする瓦記録(Shingled write Magnetic Recording:SMR、又はShingled Write Recording:SWR)型式の磁気ディスク装置とがある。近年、通常記録型式と瓦記録型式とを選択して実行可能な磁気ディスク装置が開発されている。
【0003】
また、複数のリードヘッドを有する2次元記録(Two-Dimensional Magnetic Recording :TDMR)方式の磁気ディスク装置が開発されている。TDMR方式の磁気ディスク装置では、ヘッドのスキュー角に応じて複数のリードヘッドの内の2つのリードヘッドのトラックに交差する方向の間隔(クロストラック間隔:CTS)が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第9286926号明細書
【文献】米国特許第9070406号明細書
【文献】米国特許第9305595号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、リード性能の劣化を抑制可能な磁気ディスク装置及びライト処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る磁気ディスク装置は、半径方向に間隔を置いてトラックをライトする通常記録でデータをライトする通常記録領域と前記半径方向に重ねてトラックをライトする瓦記録でデータをライトする瓦記録領域とを有するディスクと、前記ディスクに対してデータをライトするライトヘッドと前記ディスクからデータをリードする複数のリードヘッドとを有し、回転軸周りで回転することで前記ディスク上を移動するヘッドと、前記通常記録と前記瓦記録とを選択して実行するコントローラと、を備え、前記通常記録領域における前記複数のリードヘッドの内の2つのリードヘッドの前記ディスクの半径方向のクロストラック間隔の第1最小値は、前記瓦記録領域における前記クロストラック間隔の第1最大値よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係るディスクに対するヘッドの配置の一例を示す模式図である。
図3図3は、中間部を半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと2つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図4図4は、中間部を半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと2つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す図である。
図5図5は、中間部を半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと2つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す図である。
図6図6は、通常記録処理の一例を示す模式図である。
図7図7は、瓦記録処理の一例を示す模式図である。
図8図8は、中周領域に通常記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。
図9図9は、中周領域に瓦記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。
図10図10は、外周領域に通常記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。
図11図11は、外周領域に瓦記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。
図12図12は、内周領域に通常記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。
図13図13は、内周領域に瓦記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。
図14図14は、クロストラック間隔が最小値よりも大きい値である2つのリードヘッドにより所定のトラックをリードした場合のこれらリードヘッドのオフセット量に対するビットエラーレートの変化の一例を示す模式図である。
図15図15は、クロストラック間隔が最小値である2つのリードヘッドにより所定のトラックをリードした場合のこれらリードヘッドのオフセット量に対するビットエラーレートの変化の一例を示す模式図である。
図16図16は、半径位置に対するリード率の変化の一例を示す模式図である。
図17図17は、本実施形態に係る通常記録領域及び瓦記録領域の配置の一例を示す模式図である。
図18図18は、本実施形態に係るライト処理方法の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、リードヘッドを半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと3つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図20図20は、リードヘッドを半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと3つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図21図21は、リードヘッドを半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと3つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図22図22は、変形例2に係るディスクに対するヘッドの配置の一例を示す模式図である。
図23図23は、変形例2に係る中間部を半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと2つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図24図24は、変形例2に係る中間部を半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと2つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図25図25は、変形例2に係る中間部を半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと2つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図26図26は、変形例2に係る中間部を半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと2つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図27図27は、変形例2に係る通常記録領域及び瓦記録領域の配置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面は、一例であって、発明の範囲を限定するものではない。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置1の構成を示すブロック図である。
磁気ディスク装置1は、後述するヘッドディスクアセンブリ(HDA)と、ドライバIC20と、ヘッドアンプ集積回路(以下、ヘッドアンプIC、又はプリアンプ)30と、揮発性メモリ70と、不揮発性メモリ80と、バッファメモリ(バッファ)90と、1チップの集積回路であるシステムコントローラ130とを備える。また、磁気ディスク装置1は、ホストシステム(ホスト)100と接続される。磁気ディスク装置1は、例えば、2次元記録(Two-Dimensional Magnetic Recording : TDMR)方式の磁気ディスク装置である。
【0009】
HDAは、磁気ディスク(以下、ディスクと称する場合もある)10と、スピンドルモータ(SPM)12と、ヘッド15を搭載しているアーム13と、ボイスコイルモータ(VCM)14とを有する。ディスク10は、スピンドルモータ12に取り付けられ、スピンドルモータ12の駆動により回転する。アーム13及びVCM14は、アクチュエータを構成している。アクチュエータは、VCM14の回転駆動により回転軸(又は軸受)RAX周りにアーム13が回転することで、アーム13に搭載されているヘッド15をディスク10の所定の位置まで移動制御する。言い換えると、ヘッド15は、回転軸RAX周りで回転することでディスク10上を移動する。ディスク10及びヘッド15は、2つ以上の数が設けられてもよい。
【0010】
ディスク10は、そのデータをライト可能な領域に、ユーザから利用可能なユーザデータ領域10aと、ホスト100等から転送されたデータ(又はコマンド)をユーザデータ領域10aの所定の領域にライトする前に一時的に保持するメディアキャッシュ(又は、メディアキャッシュ領域と称する場合もある)10bと、システム管理に必要な情報をライトするシステムエリア10cとが割り当てられている。以下、ディスク10の内周から外周へ向かう方向、又はディスク10の外周から内周へ向かう方向を半径方向と称する。半径方向において、内周から外周へ向かう方向を外方向(外側)と称し、内周から外周へ向かう方向を内方向(内側)と称する。ディスク10の半径方向に直交する方向を円周方向と称する。円周方向は、ディスク10の円周に沿った方向に相当する。また、ディスク10の半径方向の所定の位置を半径位置と称し、ディスク10の円周方向の所定の位置を円周位置と称する場合もある。半径位置及び円周位置をまとめて単に位置と称する場合もある。ディスク10は、半径方向の所定の範囲毎に複数の領域(以下、ゾーンと称する場合もある)に区分される。ゾーンは、半径方向の所定の範囲毎に複数の領域(以下、バンド領域と称する場合もある)に区分され得る。バンド領域には、複数のトラックがライトされ得る。トラックは、複数のセクタを含む。また、ディスク10を半径方向に区分した領域を半径領域と称する場合もある。半径領域は、ゾーン、バンド領域、及びトラック等を含む。なお、“トラック”は、ディスク10の半径方向に区分した複数の領域の内の1つの領域、所定の半径位置におけるヘッド15の経路、ディスク10の円周方向に延長するデータ、所定の半径位置のトラックにライトされた1周分のデータ、トラックにライトされたデータや、その他の種々の意味で用いる。“セクタ”は、トラックを円周方向に区分した複数の領域の内の1つの領域、ディスク10の所定の位置にライトされたデータ、セクタにライトされたデータや、その他の種々の意味で用いる。“トラックの半径方向の幅”を“トラック幅”と称する場合もある。“所定のトラックにおけるトラック幅の中心位置を通る経路”を“トラックセンタ”と称する。“ユーザデータ領域”という用語は、“ユーザデータ領域の一部”という意味で用いる場合もあるし、“複数のユーザデータ領域の内の1つのユーザデータ領域”という意味で用いる場合もあるし、“複数のユーザデータ領域の内の幾つかのユーザデータ領域”という意味で用いる場合もあるし、“ディスク10の全てのユーザデータ領域”という意味で用いる場合もある。“メディアキャッシュ”という用語は、“メディアキャッシュの一部”という意味で用いる場合もあるし、“複数のメディアキャッシュの内の1つのメディアキャッシュ”という意味で用いる場合もあるし、“複数のメディアキャッシュの内の幾つかのメディアキャッシュ”という意味で用いる場合もあるし、“ディスク10の全てのメディアキャッシュ”という意味で用いる場合もある。
【0011】
ヘッド15は、スライダを本体として、当該スライダに実装されているライトヘッド15Wとリードヘッド15Rとを備える。ライトヘッド15Wは、ディスク10にデータをライトする。リードヘッド15Rは、ディスク10に記録されているデータをリードする。リードヘッド15Rは、複数のリードヘッド、例えば、2つのリードヘッド15R1、及び15R2を有している。リードヘッド15R1は、例えば、ライトヘッド15Wから最も離れた位置に設けられている。リードヘッド15R2は、例えば、ライトヘッド15Wからリードヘッド15R1の次に離れた位置に設けられている。言い換えると、リードヘッド15R2は、ライトヘッド15W及びリードヘッド15R1の間に位置している。なお、リードヘッド15Rは、3つ以上のリードヘッドを有していてもよい。以下、複数のリードヘッド、例えば、2つのリードヘッド15R1、15R2をまとめてリードヘッド15Rと称する場合もあるし、複数のリードヘッド、例えば、リードヘッド15R1及び15R2のいずれか1つを単にリードヘッド15Rと称する場合もある。
【0012】
図2は、本実施形態に係るディスク10に対するヘッド15の配置の一例を示す模式図である。図2に示すように、円周方向において、ディスク10の回転する方向を回転方向と称する。なお、図2に示した例では、回転方向は、反時計回りで示しているが、逆向き(時計回り)であってもよい。
【0013】
図2に示した例では、ユーザデータ領域10aは、内方向に位置する内周領域IRと、外方向に位置する外周領域ORと、内周領域IRと外周領域ORとの間に位置する中周領域MRとに区分されている。ユーザデータ領域10aにおいて、内周領域IRは、最内周に位置する領域に相当し、外周領域ORは、最外周に位置する領域に相当する。ユーザデータ領域10aにおいて、中周領域MRは、内周領域IRの外方向に隣接し、外周領域ORは、中周領域MRの外方向に隣接している。言い換えると、ユーザデータ領域10aにおいて、中周領域MRは、外周領域ORの内方向に隣接し、内周領域IRは、中周領域MRの内方向に隣接している。ここで、“隣接”とは、データ、物体、領域、及び空間等が接して並んでいることはもちろん、所定の間隔を置いて並んでいることも含む。図2において、ユーザデータ領域10aは、半径位置IRP、半径位置MRP、及び半径位置ORPを含む。半径位置IRPは、ユーザデータ領域10aの最内周の半径位置に相当する。半径位置ORPは、ユーザデータ領域10aの最外周の半径位置に相当する。半径位置MRPは、ユーザデータ領域10aの半径方向の幅の中心の半径位置、例えば、半径位置IRP及びORPの中間の半径位置に相当する。なお、半径位置MRPは、ディスク10の半径方向の幅の中心の半径位置に相当してもよい。図2に示した例では、ヘッド15が半径位置MRPに配置されている場合、スキュー角θswは、例えば、0°である。
【0014】
図示していないが、ディスク10は、複数のサーボパターンを有している。複数のサーボパターンは、ディスク10の半径方向に放射状に延出して円周方向に所定の間隔を置いて離散的に配置されている。サーボパターンは、ヘッド15をディスク10の所定の位置に位置決めするためのサーボデータなどを含んでいる。サーボパターン以外のユーザデータ領域10aには、サーボデータ以外のデータ(ユーザデータと称する場合もある)がライトされ得る。なお、“サーボパターン”を“サーボ領域”又は“サーボデータ”と称する場合もある。サーボパターンは、例えば、プリアンブル(Preamble)PRB、サーボマーク(Servo Mark)SM、グレイコード(Gray Code)GC、PAD PD、バーストデータ、及びポストコード(Post Code)PCを含んでいる。なお、サーボパターンは、ポストコードPCを含んでいなくともよい。
【0015】
ヘッド15は、シーク時において、回転軸RAX周りでアクチュエータ(アーム13及びVCM14)が回転することによりディスク10の水平面内でスライドする。図2に示した例では、ヘッド15は、半径位置MRPに配置されている場合、円周方向に沿って位置している。ヘッド15は、アクチュエータの回転に従って回転軸RAX周りに回転することで、ディスク10上で円周方向に対して傾いている。
【0016】
図3は、中間部MPを半径位置MRPに位置決めした場合のライトヘッド15Wと2つのリードヘッド15R1、15R2との幾何学的配置の一例を示す模式図である。図3には、ライトヘッド15Wの中心部WCと、リードヘッド15R1の中心部RC1と、リードヘッド15R2の中心部RC2と、リードヘッド15R1の中心部RC1とリードヘッド15R2の中心部RC2との円周方向の中間に位置する中間部MPとを示している。以下、複数のリードヘッド15Rの内の2つのリードヘッド15Rの間の円周方向の間隔をダウントラック間隔(Down Track Separation:DTS)と称する場合もある。複数のリードヘッド15Rの内の2つのリードヘッド15Rの間の半径方向の間隔をクロストラック間隔(Cross Track Separation:CTS)と称する場合もある。リードヘッド15Rとライトヘッド15Wとの間隔、例えば、リードヘッド15R1の中心部RC1及びライトヘッド15Wの中心部WCの間の円周方向の間隔と、リードヘッド15R2の中心部RC2及びライトヘッド15Wの中心部WCの間の円周方向の間隔と、中間部MP及びライトヘッド15Wの中心部WCの間の円周方向の間隔と、をリード/ライトギャップGrwと称する場合もある。説明の便宜上、“ライトヘッドの中心部”及び“ライトヘッドの各部”を単に“ライトヘッド”と称し、“リードヘッドの中心部”、“複数のリードヘッドの内の2つのリードヘッドの中間部”、及び“リードヘッドの各部”を単に“リードヘッド”と称する場合もある。複数のリードヘッド15Rと複数のリードヘッド15Rの内の2つのリードヘッド15Rの中間部との内のいずれか1つを対象とする位置(以下、対象位置と称する場合もある)に配置又は位置決めしてデータをライト/リードする。例えば、中間部MPを対象位置に配置又は位置決めしてデータをライト/リードする。“中間部MPを対象位置に配置又は位置決する”ことを“リードヘッド15Rを対象位置に配置又は位置決めする”と表す場合もある。なお、“複数のリードヘッド15Rの内の1つのリードヘッド15Rを対象位置に配置又は位置決する”ことを“リードヘッド15Rを対象位置に配置又は位置決めする”と表してもよい。例えば、”中間部MPを対象位置に配置又は位置決めしてデータをライト/リードする”ことを”ライト/リードする”と表す場合もある。なお、”複数のリードヘッド15Rの内の1つのリードヘッド15Rを対象位置に配置又は位置決めしてデータをライト/リードする”ことを”ライト/リードする”と表してもよい。また、”複数のリードヘッド15Rを対象位置に配置又は位置決めしてデータをライト/リードする”ことを”ライト/リードする”と表してもよい。
【0017】
図3に示した例では、中間部MPを中間位置MRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及び中間部MPは、円周方向に沿って並んでいる。中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、リード/ライトギャップGrwは、距離Grwm1である。中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、ダウントラック間隔(DTS)は、距離DSm1である。例えば、リード/ライトギャップGrw=Grwm1は、ダウントラック間隔=DSm1よりも大きい。
【0018】
図3に示した例では、中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及び中間部MPは、半径方向にずれていない。言い換えると、図3では、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及び中間部MPは、半径位置MRPに位置している。つまり、図3では、ヘッド15のスキュー角θswは、0°である。中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、クロストラック間隔(CTS)は、最小値、例えば、距離CSm0=0である。なお、中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及び中間部MPは、それぞれ、半径方向にずれていてもよい。以下、“1つのヘッド15に設けられた複数のリードヘッド15Rの内の少なくとも1対の2つのリードヘッドのクロストラック間隔がディスク10、例えば、ユーザデータ領域10aにおいて最小値となる半径位置“を”基準位置“と称する場合もある。図3に示した例では、半径位置MRPは、基準位置BPに相当する。
【0019】
図4は、中間部MPを半径位置IRPに位置決めした場合のライトヘッド15Wと2つのリードヘッド15R1、15R2との幾何学的配置の一例を示す図である。
図4に示した例では、中間部MPを半径位置IRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及び中間部MPは、円周方向に従って延長する軸に対してスキュー角θsw=θswi1で内方向に傾いている。中間部MPを半径位置IRPに配置した場合、リード/ライトギャップGrwは、距離Grwi1である。中間部MPを半径位置IRPに配置した場合、ダウントラック間隔(DTS)は、距離DSi1である。
【0020】
図4に示した例では、中間部MPを半径位置IRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及び中間部MPは、半径方向にずれている。なお、中間部MPを半径位置IRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1,リードヘッド15R2、及び中間部MPは、それぞれ、半径方向にずれていなくてもよい。中間部MPを半径位置IRPに配置した場合、クロストラック間隔(CTS)は、距離CSi1である。クロストラック間隔CSi1の絶対値は、ユーザデータ領域10a内にヘッド15、例えば、中間部MPを位置決めする場合のクロストラック間隔の絶対値の最大値である。なお、クロストラック間隔CSi1の絶対値は、ユーザデータ領域10a内にヘッド15、例えば、中間部MPを位置決めする場合のクロストラック間隔の絶対値の最大値でなくともよい。以下、“クロストラック間隔の絶対値”を単に“クロストラック間隔”と称する場合もある。
【0021】
図5は、中間部MPを半径位置ORPに位置決めした場合のライトヘッド15Wと2つのリードヘッド15R1、15R2との幾何学的配置の一例を示す図である。
図5に示した例では、中間部MPを半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及び中間部MPは、円周方向に従って延長する軸に対してスキュー角θsw=θswo1で外方向に傾いている。例えば、スキュー角θswo1は、スキュー角θswi1と同じである。“同じ”、“同一”、“一致”、及び“同等”などの用語は、全く同じという意味はもちろん、実質的に同じであると見做せる程度に異なるという意味を含む。なお、スキュー角θswo1は、スキュー角θswiと異なっていてもよい。スキュー角θswo1は、例えば、スキュー角θswiよりも大きくてもよい。スキュー角θswo1は、例えば、スキュー角θswiよりも小さくてもよい。中間部MPを半径位置ORPに配置した場合、リード/ライトギャップGrwは、距離Grwo1である。中間部MPを半径位置ORPに配置した場合、ダウントラック間隔(DTS)は、距離DSo1である。
【0022】
図5に示した例では、中間部MPを半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及び中間部MPは、半径方向にずれている。なお、中間部MPを半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及び中間部MPは、それぞれ、半径方向にずれていなくてもよい。中間部MPを半径位置ORPに配置した場合、クロストラック間隔(CTS)は、距離CSo1である。クロストラック間隔CSo1とクロストラック間隔CSi1とは、同じである。なお、クロストラック間隔CSo1とクロストラック間隔CSi1とは、異なっていてもよい。例えば、クロストラック間隔CSo1は、クロストラック間隔CSi1よりも大きくてもよい。例えば、クロストラック間隔CSo1は、クロストラック間隔CSi1よりも小さくてもよい。クロストラック間隔CSo1は、ユーザデータ領域10a内にヘッド15、例えば、中間部MPを位置決めする場合のクロストラック間隔の最大値である。例えば、クロストラック間隔CSo1及びクロストラック間隔CSi1が同じ場合、クロストラック間隔CSo1は、クロストラック間隔の最大値である。例えば、クロストラック間隔CSo1がクロストラック間隔Csi1よりも大きい場合、クロストラック間隔CSo1は、クロストラック間隔の最大値である。なお、クロストラック間隔CSo1は、ユーザデータ領域10a内にヘッド15、例えば、中間部MPを位置決めする場合のクロストラック間隔の最大値でなくてもよい。例えば、クロストラック間隔CSo1がクロストラック間隔CSi1よりも小さい場合、クロストラック間隔CSo1は、最大値ではない。
【0023】
ドライバIC20は、システムコントローラ130(詳細には、後述するMPU40)の制御に従って、SPM12およびVCM14の駆動を制御する。
ヘッドアンプIC(プリアンプ)30は、リードアンプ及びライトドライバを備えている。リードアンプは、ディスク10からリードしたリード信号を増幅して、システムコントローラ130(詳細には、後述するリード/ライト(R/W)チャネル50)に出力する。ライトドライバは、R/Wチャネル50から出力されるライトデータに応じたライト電流をヘッド15に出力する。
【0024】
揮発性メモリ70は、電力供給が断たれると保存しているデータが失われる半導体メモリである。揮発性メモリ70は、磁気ディスク装置1の各部での処理に必要なデータ等を格納する。揮発性メモリ70は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、又はSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)である。
【0025】
不揮発性メモリ80は、電力供給が断たれても保存しているデータを記録する半導体メモリである。不揮発性メモリ80は、例えば、NOR型またはNAND型のフラッシュROM(Flash Read Only Memory :FROM)である。
【0026】
バッファメモリ90は、磁気ディスク装置1とホスト100との間で送受信されるデータ等を一時的に記録する半導体メモリである。なお、バッファメモリ90は、揮発性メモリ70と一体に構成されていてもよい。バッファメモリ90は、例えば、DRAM、SRAM(Static Random Access Memory)、SDRAM、FeRAM(Ferroelectric Random Access memory)、又はMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)等である。
【0027】
システムコントローラ(コントローラ)130は、例えば、複数の素子が単一チップに集積されたSystem-on-a-Chip(SoC)と称される大規模集積回路(LSI)を用いて実現される。システムコントローラ130は、ハードディスクコントローラ(HDC)40、リード/ライト(R/W)チャネル50、及びマイクロプロセッサ(MPU)60等を含む。HDC40、R/Wチャネル50、及びMPU60は、それぞれ、互いに電気的に接続されている。システムコントローラ130は、例えば、ドライバIC20、ヘッドアンプIC30、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、バッファメモリ90、及びホストシステム100等に電気的に接続されている。
【0028】
HDC40は、データの転送を制御する。HDC40は、例えば、後述するMPU60からの指示に応じて、ホスト100とディスク10との間のデータの転送を制御する。HDC40は、例えば、R/Wチャネル50、MPU60、揮発性メモリ70、不揮発性メモリ80、及びバッファメモリ90等に電気的に接続されている。
【0029】
R/Wチャネル50は、後述するMPU60からの指示に応じて、ディスク10からホスト100に転送されるデータ、例えば、リードデータとホスト100から転送されるデータ、例えば、ライトデータとの信号処理を実行する。R/Wチャネル50は、ライトデータを変調する回路、又は機能を有している。R/Wチャネル50は、リードデータの信号品質を測定する回路、又は機能を有している。R/Wチャネル50は、例えば、ヘッドアンプIC30、HDC40、及びMPU60等に電気的に接続されている。
【0030】
R/Wチャネル50は、復調部510、及び復調部520を有している。復調部510は、リードヘッド15R1でリードしたデータ、例えば、サーボデータを復調し、復調したサーボデータをMPU60等に出力する。復調部520は、リードヘッド15R2でリードしたデータ、例えば、サーボデータを復調し、復調したサーボデータをMPU60等に出力する。なお、1つのヘッド15に3つ以上のリードヘッド15Rが設けられている場合、R/Wチャネル50は、1つのヘッド15に設けられた3つ以上のリードヘッド15Rにそれぞれ対応する3つ以上の復調部を有していてもよい。
【0031】
MPU60は、磁気ディスク装置1の各部を制御するメインコントローラである。MPU60は、ドライバIC20を介してVCM14を制御し、ヘッド15の位置決めを行うサーボ制御を実行する。MPU60は、ドライバIC20を介してSPM12を制御し、ディスク10を回転させる。MPU60は、ディスク10へのデータのライト動作を制御すると共に、ホスト100から転送されるデータ、例えば、ライトデータの保存先を選択する。また、MPU60は、ディスク10からのデータのリード動作を制御すると共に、ディスク10からホスト100に転送されるデータ、例えば、リードデータの処理を制御する。また、MPU60は、データを記録する領域を管理する。MPU60は、磁気ディスク装置1の各部に接続されている。MPU60は、例えば、ドライバIC20、HDC40、及びR/Wチャネル50等に電気的に接続されている。
【0032】
MPU60は、リード/ライト制御部610、及び記録領域管理部620を有している。MPU60は、各部、例えば、リード/ライト制御部610、及び記録領域管理部620等の処理をファームウェア上で実行する。なお、MPU60は、各部、例えば、リード/ライト制御部610、及び記録領域管理部620等を回路として有していてもよい。
【0033】
リード/ライト制御部610は、ホスト100からのコマンド等に従って、ディスク10からデータをリードするリード処理とディスク10にデータをライトするライト処理とを制御する。リード/ライト制御部610は、ドライバIC20を介してVCM14を制御し、ヘッド15をディスク10の所定の位置に位置決めし、リード処理又はライト処理を実行する。
【0034】
リード/ライト制御部610は、例えば、所定のトラック又は所定のセクタから半径方向に所定の間隔(ギャップ)を置いてこのトラック又はこのセクタに隣接する他のトラック(以下、隣接トラックと称する場合もある)又は他のセクタ(以下、隣接セクタと称する場合もある)にデータをライトする通常記録(Conventional Magnetic Recording:CMR)型式でライト処理を実行する。”隣接トラック”は、“所定のトラックの外方向に隣接するトラック”、“所定のトラックの内方向に隣接トラック”、及び“所定のトラックの外方向及び内方向に隣接する複数のトラック”を含む。”隣接セクタ”は、“所定のセクタの外方向に隣接するセクタ”、“所定のセクタの内方向に隣接セクタ”、及び“所定のセクタの外方向及び内方向に隣接する複数のセクタ”を含む。以下、“通常記録型式でデータをライトする“ことを”通常記録する“、”通常記録処理を実行する“、又は単に”ライトする“と称する場合もある。
【0035】
リード/ライト制御部610は、複数のトラックをシーケンシャルにライトする際に1つ前にライトしたトラックの半径方向の一部に次にライトするトラックを重ね書きする瓦記録(Shingled write Magnetic Recording:SMR、又はShingled Write Recording:SWR)型式でライト処理を実行する。以下、”瓦記録型式でデータをライトする“ことを”瓦記録する“、又は”瓦記録処理を実行する“、又は単に”ライトする“と称する場合もある。
【0036】
リード/ライト制御部610は、ホスト100からのコマンド等に従って、通常記録処理、又は瓦記録処理を実行する。言い換えると、リード/ライト制御部610は、ホスト100からのコマンド等に従って、通常記録処理及び瓦記録処理を選択的に実行する。なお、リード/ライト制御部610は、通常記録処理のみを実行してもよいし、瓦記録処理をのみを実行してもよい。また、瓦記録処理でないライト処理を通常記録処理と称する場合もある。
【0037】
図6は、通常記録処理の一例を示す模式図である。図6には、進行方向を示している。円周方向においてディスク10に対してヘッド15がデータをシーケンシャルにライト及びリードする方向、つまり、円周方向においてディスク10に対してヘッド15が進行する方向を進行方向と称する場合もある。例えば、進行方向は、ディスク10の回転方向とは反対向きである。なお、進行方向は、ディスク10の回転方向と同じ向きであってもよい。図6には、トラックCTRe―1、CTRe、及びCTRe+1を示している。トラックCTRe―1、CTRe、及びCTRe+1は、記載の順番で内方向に連続して配置されている。トラックCTReは、トラックCTRe―1の内方向に隣接している。トラックCTRe+1は、トラックCTReの内方向に隣接している。図6において、トラックCTRe―1、CTRe、及びCTRe+1のトラック幅WTWは、同じである。なお、トラックCTRe―1、CTRe、及びCTRe+1のトラック幅は、異なっていてもよい。図6には、トラックCTRe―1のトラックセンタCTCe―1、トラックCTReのトラックセンタCTCe、及びトラックCTRe+1のトラックセンタCTCe+1を示している。例えば、通常記録された複数のトラックは、同じトラックピッチで配置されている。なお、通常記録された複数のトラックは、異なるトラックピッチで配置されていてもよい。図6では、トラックCTRe―1、CTRe、及びCTRe―1は、トラックピッチCTPで配置されている。なお、トラックCTRe―1、CTRe、及びCTRe+1は、異なるトラックピッチで配置されていてもよい。トラックCTRe―1及びCTReは、半径方向にギャップCGPで離れている。トラックCTRe及びCTRe+1は、半径方向にギャップCGPで離れている。つまり、トラックCTRe―1及びCTReのギャップCGPとトラックCTRe及びCTRe+1のギャップCGPとは、同じである。なお、トラックCTRe―1及びCTReのギャップとトラックCTRe及びCTRe+1のギャップとは、異なっていてもよい。図6では、説明の便宜上、各トラックを所定のトラック幅で円周方向に延出している長方形状に示しているが、実際には、円周方向に沿って湾曲している。また、各トラックは、半径方向に変動しながら円周方向に延出している波状であってもよい。
【0038】
図6に示した例では、リード/ライト制御部610は、ディスク10の所定の領域、例えば、ユーザデータ領域10aにおいて、トラックセンタCTCeにヘッド15を位置決めしてトラックCTRe―1又はトラックCTRe―1の所定のセクタを通常記録する。リード/ライト制御部610は、ユーザデータ領域10aにおいて、トラックCTRe―1のトラックセンタCTCe―1から内方向にトラックピッチCTPで離間しているトラックセンタCTCeにヘッド15を位置決めしてトラックCTRe又はトラックCTReの所定のセクタを通常記録する。リード/ライト制御部610は、ユーザデータ領域10aにおいて、トラックCTReのトラックセンタCTCeから内方向にトラックピッチCTPで離間しているトラックセンタCTCe+1にヘッド15を位置決めしてトラックCTRe+1又はトラックCTRe+1の所定のセクタを通常記録する。
【0039】
図6に示した例では、リード/ライト制御部610は、ディスク10の所定の領域、例えば、ユーザデータ領域10aにおいて、トラックCTRe―1、CTRe、及びCTRe+1を記載の順番で内方向にシーケンシャルに通常記録してもよいし、トラックCTRe―1の所定のセクタ、トラックCTReの所定のセクタ、及びトラックCTRe+1の所定のセクタにランダムに通常記録してもよい。
【0040】
図6に示した例では、リード/ライト制御部610は、トラックセンタCTCe―1にヘッド15を位置決めしてトラックCTRe―1をリードする。リード/ライト制御部610は、トラックセンタCTCeにヘッド15を位置決めしてトラックCTReをリードする。リード/ライト制御部610は、トラックセンタCTCe+1にヘッド15を位置決めしてトラックCTRe+1をリードする。
【0041】
図7は、瓦記録処理の一例を示す模式図である。図7には、順方向を示している。半径方向において複数のトラックを連続的に瓦記録する方向、つまり、半径方向において1つ前にライトしたトラックに対して次にライトするトラックを重ねる方向を順方向と称する場合もある。図7では、半径方向において内方向を順方向としているが、半径方向において外方向を順方向としてもよい。図7には、トラックSTRe―1、STRe、及びSTRe+1を示している。トラックSTRe―1、STRe、及びSTRe+1は、半径方向において一方向に連続的に重ね書きされている。トラックSTRe―1、STRe、及びSTRe+1は、記載の順番で内方向に連続して配置されている。トラックSTReは、トラックSTRe―1の内方向に重ね書きされている。トラックSTRe+1は、トラックSTReの内方向に重ね書きされている。トラックSTRe+1には、他のトラックが重ね書きされていない。トラックSTRe+1は、例えば、1つのコマンド等より瓦記録された複数のトラックの内の最後に重ね書きされたトラックに相当する。図7では、トラックSTReが重ね書きされる前のトラックSTRe―1のトラック幅WTWと、トラックSTRe+1が重ね書きされる前のトラックSTReのトラック幅WTWと、トラックSTRe+1のトラック幅WTWとは、同じである。なお、トラックSTReが重ね書きされる前のトラックSTRe―1のトラック幅と、トラックSTRe+1が重ね書きされる前のトラックSTReのトラック幅と、トラックSTRe+1のトラック幅とは、異なっていてもよい。以下、“他のトラックが重ね書きされる前の所定のトラックの幅”を単に“所定のトラック幅”と称する場合もある。図7には、トラックSTReが重ね書きされる前のトラックSTRe―1のトラック幅WTWの半径方向の中心位置WTCe―1と、トラックSTRe+1が重ね書きされる前のトラックSTReのトラック幅WTWの半径方向の中心位置WTCeと、トラックSTRe+1のトラック幅WTWの半径方向の中心位置(トラックセンタ)WTCe+1とを示している。例えば、瓦記録された複数のトラックは、同じトラックピッチで配置されている。なお、トラックSTRe―1、STRe、及びSTRe+1は、異なるトラックピッチで配置されていてもよい。図6では、トラックSTRe―1、STRe、及びSTRe+1は、トラックピッチSTPで配置されている。なお、トラックSTRe―1、STRe、及びSTRe+1は、異なるトラックピッチで配置されていてもよい。トラックSTReが重ね書きされた後のトラックSTRe―1のトラック幅STWと、トラックSTRe+1が重ね書きされた後のトラックSTReのトラック幅STWとは、同じである。なお、トラックSTReが重ね書きされた後のトラックSTRe―1のトラック幅STWと、トラックSTRe+1が重ね書きされた後のトラックSTReのトラック幅STWとは、異なっていてもよい。トラック幅STWは、トラック幅WTWよりも小さい。以下、“他のトラックが重ね書きされた後の所定のトラックの幅”を“所定のトラック幅”と称する場合もある。図7には、トラックSTReが重ね書きされた後のトラックSTRe―1のトラック幅STWの半径方向の中心位置(トラックセンタ)STCe-1と、トラックSTRe+1が重ね書きされたとのトラックSTReのトラック幅STWの中心位置(トラックセンタ)STCeと、トラックSTRe+1のトラック幅WTWの半径方向の中心位置(トラックセンタ)STCe+1とを示している。トラックセンタSTCe+1とトラックセンタWTCe+1とは、同じである。図7では、説明の便宜上、各トラックを所定のトラック幅で円周方向に延出している長方形状に示しているが、実際には、円周方向に沿って湾曲している。また、各トラックは、半径方向に変動しながら円周方向に延出している波状であってもよい。なお、図7では、3つのトラックを重ね書きしているが、3つ未満、又は3つよりも多くのトラックを重ね書きしてもよい。
【0042】
図7に示した例では、リード/ライト制御部610は、ディスク10の所定の領域、例えば、ユーザデータ領域10aにおいて、トラックSTRe―1の中心位置WTCe―1にヘッド15を位置決めしてトラックSTRe―1をライトする。リード/ライト制御部610は、ユーザデータ領域10aにおいて、トラックSTRe―1の中心位置WTCe―1から内方向にトラックピッチSTPで離間している中心位置WTCeにヘッド15を位置決めしてトラックSTReをトラックSTRe―1に瓦記録(重ね書き)する。リード/ライト制御部610は、ユーザデータ領域10aにおいて、トラックSTReの中心位置WTCeから内方向にトラックピッチSTPで離間している中心位置WTCe+1にヘッド15を位置決めしてトラックSTRe+1をトラックSTReに瓦記録(重ね書き)する。
【0043】
図7に示した例では、リード/ライト制御部610は、ディスク10の所定の領域、例えば、ユーザデータ領域10aにおいて、トラックSTRe―1、STRe、及びSTRe+1を記載の順番で内方向にシーケンシャルに瓦記録する。
【0044】
図7に示した例では、リード/ライト制御部610は、トラックセンタSTCe―1にヘッド15を位置決めしてトラックSTRe―1をリードする。リード/ライト制御部610は、トラックセンタSTCeにヘッド15を位置決めしてトラックSTReをリードする。リード/ライト制御部610は、トラックセンタSTCe+1(WTCe+1)にヘッド15を位置決めしてトラックSTRe+1をリードする。
【0045】
図8は、中周領域MRに通常記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。図8は、図6に対応している。図8には、トラックCTRm―1、CTRm、及びCTRm+1を示している。トラックCTRm―1、CTRm、及びCTRm+1は、中周領域MRにおいて、記載の順番で内方向に連続して通常記録されている。トラックCTRmは、中周領域MRにおいて、トラックCTRm―1の内方向に隣接している。トラックCTRm+1は、中周領域MRにおいて、トラックCTRmの内方向に隣接している。図8において、トラックCTRm―1、CTRm、及びCTRm+1のトラック幅WTWは、同じである。なお、トラックCTRm―1、CTRm、及びCTRm+1のトラック幅は、異なっていてもよい。図8には、トラックCTRm―1のトラックセンタCTCm―1、トラックCTRmのトラックセンタCTCm、及びトラックCTRm+1のトラックセンタCTCm+1を示している。例えば、トラックセンタCTCmは、基準位置BPに相当する。図8では、トラックCTRm―1、CTRm、及びCTRm―1は、トラックピッチCTPで配置されている。なお、トラックCTRm―1、CTRm、及びCTRm+1は、異なるトラックピッチで配置されていてもよい。図8では、リードヘッド15R、例えば、中間部MPは、トラックCTRmのトラックセンタCTCmに位置決めされている。中間部MPをトラックセンタCTCmに位置決めした場合、リードヘッド15R1及び15R2のクロストラック間隔は、最小値、例えば、0になる。図8には、サーバラックに設置されることで空冷用のファン等の外部から発生する振動の振動環境下に置かれた磁気ディスク装置1において、所定の半径位置に位置決めしてリードした場合のリードヘッド15R、例えば、中間部MPの軌道(又は、軌跡)TJTを示している。図8では、説明の便宜上、各トラックを所定のトラック幅で円周方向に延出している長方形状に示しているが、実際には、円周方向に沿って湾曲している。また、各トラックは、半径方向に変動しながら円周方向に延出している波状であってもよい。
【0046】
図8に示した例では、リード/ライト制御部610は、トラックセンタCTCmにリードヘッド15R、例えば、中間部MPを位置決めしてトラックCTRmをリードする。リード/ライト制御部610は、外部から振動等の影響によりリードヘッド15Rが振動し、軌道TJTに従って中間部MPがトラックセンタCTCmから半径方向にずれながら(又はオフセットしながら)トラックCTRmをリードする。リード/ライト制御部610は、クロストラック間隔が最小値、例えば、0であるリードヘッド15R1及び15R2により、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタCTCmに対して半径方向にずれながらトラックCTRmをリードする。言い換えると、リード/ライト制御部610は、リードヘッド15R1及び15R2が互いに半径方向にずれていない状態で、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタCTCmから半径方向にオフセットしながらトラックCTRmをリードする。リード/ライト制御部610は、リードヘッド15R1及び15R2が同時に隣接トラックCTRm―1及びCTRm+1までずれることなくトラックCTRmをリードできる。
【0047】
図9は、中周領域MRに瓦記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。図9は、図7に対応している。図9には、トラックSTRm―1、STRm、及びSTRm+1を示している。トラックSTRm―1、STRm、及びSTRm+1は、中周領域MRにおいて、記載の順番で順方向に連続して瓦記録されている。トラックSTRmは、中周領域MRにおいて、トラックSTRm―1の順方向(内方向)に重ね書きされている。トラックSTRm+1は、中周領域MRにおいて、トラックSTRmの順方向(内方向)に重ね書きされている。トラックSTRm+1には、他のトラックが重ね書きされていない。トラックSTRm+1は、例えば、1つのコマンド等より瓦記録された複数のトラックの内の最後にライトされたトラックに相当する。図9では、トラックSTRmが重ね書きされる前のトラックSTRm―1のトラック幅WTWと、トラックSTRm+1が重ね書きされる前のトラックSTRmのトラック幅WTWと、トラックSTRm+1のトラック幅WTWとは、同じである。なお、トラックSTRmが重ね書きされる前のトラックSTRm―1のトラック幅WTWと、トラックSTRm+1が重ね書きされる前のトラックSTRmのトラック幅WTWと、トラックSTRm+1のトラック幅WTWとは、異なっていてもよい。図9では、トラックSTRm―1、STRm、及びSTRm+1は、トラックピッチSTPで配置されている。なお、トラックSTRm―1、STRm、及びSTRm+1は、異なるトラックピッチで配置されていてもよい。トラックSTRmが重ね書きされた後のトラックSTRm―1のトラック幅STWと、トラックSTRm+1が重ね書きされた後のトラックSTRmのトラック幅STWとは、同じである。なお、トラックSTRmが重ね書きされた後のトラックSTRm―1のトラック幅STWと、トラックSTRm+1が重ね書きされた後のトラックSTRmのトラック幅STWとは、異なっていてもよい。図9には、トラックSTRmが重ね書きされた後のトラックSTRm―1のトラック幅STWの半径方向の中心位置(トラックセンタ)STCm-1と、トラックSTRm+1が重ね書きされた後のトラックSTRmのトラック幅STWの中心位置(トラックセンタ)STCmと、トラックSTRm+1のトラック幅WTWの半径方向の中心位置(トラックセンタ)STCm+1とを示している。例えば、トラックセンタSTCmは、基準位置BPに相当する。図9では、リードヘッド15R、例えば、中間部MPは、トラックSTRmのトラックセンタSTCmに位置決めされている。中間部MPをトラックセンタSTCmに位置決めした場合、リードヘッド15R1及び15R2のクロストラック間隔は、最小値、例えば、0になる。図9には、振動環境下に置かれた磁気ディスク装置1において所定の半径位置に位置決めしてリードした場合のリードヘッド15R、例えば、中間部MPの軌道TJTを示している。図9では、説明の便宜上、各トラックを所定のトラック幅で円周方向に延出している長方形状に示しているが、実際には、円周方向に沿って湾曲している。また、各トラックは、半径方向に変動しながら円周方向に延出している波状であってもよい。なお、図9では、3つのトラックを重ね書きしているが、3つ未満、又は3つよりも多くのトラックを重ね書きしてもよい。
【0048】
図9に示した例では、リード/ライト制御部610は、トラックセンタSTCmにリードヘッド15R、例えば、中間部MPを位置決めしてトラックSTRmをリードする。リード/ライト制御部610は、外部から振動等の影響によりリードヘッド15Rが振動し、軌道TJTに従って中間部MPがトラックセンタSTCmに対して半径方向にずれながら(又はオフセットしながら)トラックSTRmをリードする。リード/ライト制御部610は、クロストラック間隔が最小値、例えば、0であるリードヘッド15R1及び15R2により、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタSTCmに対して半径方向にずれながらトラックSTRmをリードする。言い換えると、リード/ライト制御部610は、リードヘッド15R1及び15R2が互いに半径方向にずれていない状態で、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタSTCmに対して半径方向にずれながらトラックSTRmをリードする。リード/ライト制御部610は、リードヘッド15R1及び15R2が同時に隣接トラックSTRm―1及びSTRm+1までずれ得る。リードヘッド15R1及び15R2が同時に隣接トラックSTRm―1及びSTRm+1までずれた場合、リード/ライト制御部610は、トラックSTRmをリードできない可能性がある。
【0049】
図10は、外周領域ORに通常記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。図10は、図6に対応している。図10の外周領域ORは、図8及び図9の中周領域MRの外方向に配置されている。図10には、トラックCTRo―1、CTRo、及びCTRo+1を示している。トラックCTRo―1、CTRo、及びCTRo+1は、外周領域ORにおいて、記載の順番で内方向に連続して通常記録されている。トラックCTRoは、外周領域ORにおいて、トラックCTRo―1の内方向に隣接している。トラックCTRo+1は、外周領域ORにおいて、トラックCTRoの内方向に隣接している。図10において、トラックCTRo―1、CTRo、及びCTRo+1のトラック幅WTWは、同じである。なお、トラックCTRo―1、CTRo、及びCTRo+1のトラック幅は、異なっていてもよい。図10には、トラックCTRo―1のトラックセンタCTCo―1、トラックCTRoのトラックセンタCTCo、及びトラックCTRo+1のトラックセンタCTCo+1を示している。図10では、トラックCTRo―1、CTRo、及びCTRo―1は、トラックピッチCTPで配置されている。なお、トラックCTRo―1、CTRo、及びCTRo+1は、異なるトラックピッチで配置されていてもよい。図10では、リードヘッド15R、例えば、中間部MPは、トラックCTRoのトラックセンタCTCoに位置決めされている。中間部MPをトラックセンタCTCoに位置決めした場合、リードヘッド15R1及び15R2のクロストラック間隔は、最小値よりも大きい値になる。つまり、中間部MPをトラックセンタCTCoに位置決めした場合、リードヘッド15Rは、トラックセンタCTCoに対して外方向に傾いている。図10には、振動環境下に置かれた磁気ディスク装置1において所定の半径位置に位置決めしてリードした場合のリードヘッド15R、例えば、中間部MPの軌道TJTを示している。図10では、説明の便宜上、各トラックを所定のトラック幅で円周方向に延出している長方形状に示しているが、実際には、円周方向に沿って湾曲している。また、各トラックは、半径方向に変動しながら円周方向に延出している波状であってもよい。
【0050】
図10に示した例では、リード/ライト制御部610は、トラックセンタCTCoにリードヘッド15R、例えば、中間部MPを位置決めしてトラックCTRoをリードする。リード/ライト制御部610は、外部から振動等の影響によりリードヘッド15Rが振動し、軌道TJTに従って中間部MPがトラックセンタCTCoから半径方向にずれながら(又はオフセットしながら)トラックCTRoをリードする。リード/ライト制御部610は、クロストラック間隔が最小値よりも大きい値であるリードヘッド15R1及び15R2により、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタCTCoから半径方向にオフセットしながらトラックCTRoをリードする。言い換えると、リード/ライト制御部610は、リードヘッド15RがトラックセンタCTCoに対して外方向にずれて、且つリードヘッド15R1及び15R2が互いに半径方向にずれた状態で、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタCTCoから半径方向にオフセットしながらトラックCTRoをリードする。リード/ライト制御部610は、リードヘッド15R1及び15R2が同時に隣接トラックCTRo―1及びCTRo+1までずれることなくトラックCTRoをリードできる。
【0051】
図11は、外周領域ORに瓦記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。図11は、図7に対応している。図11の外周領域ORは、図8及び図9の中周領域MRの外方向に配置されている。図11には、トラックSTRo―1、STRo、及びSTRo+1を示している。トラックSTRo―1、STRo、及びSTRo+1は、外周領域ORにおいて、記載の順番で順方向に連続して瓦記録されている。トラックSTRoは、外周領域ORにおいて、トラックSTRo―1の順方向(内方向)に重ね書きされている。トラックSTRo+1は、外周領域ORにおいて、トラックSTRoの順方向(内方向)に重ね書きされている。トラックSTRo+1には、他のトラックが重ね書きされていない。トラックSTRo+1は、例えば、1つのコマンド等より瓦記録された複数のトラックの内の最後にライトされたトラックに相当する。図11では、トラックSTRoが重ね書きされる前のトラックSTRo―1のトラック幅WTWと、トラックSTRo+1が重ね書きされる前のトラックSTRoのトラック幅WTWと、トラックSTRo+1のトラック幅WTWとは、同じである。なお、トラックSTRoが重ね書きされる前のトラックSTRo―1のトラック幅WTWと、トラックSTRo+1が重ね書きされる前のトラックSTRoのトラック幅WTWと、トラックSTRo+1のトラック幅WTWとは、異なっていてもよい。図11では、トラックSTRo―1、STRo、及びSTRo+1は、トラックピッチSTPで配置されている。なお、トラックSTRo―1、STRo、及びSTRo+1は、異なるトラックピッチで配置されていてもよい。トラックSTRoが重ね書きされた後のトラックSTRo―1のトラック幅STWと、トラックSTRo+1が重ね書きされた後のトラックSTRoのトラック幅STWとは、同じである。なお、トラックSTRoが重ね書きされた後のトラックSTRo―1のトラック幅STWと、トラックSTRo+1が重ね書きされた後のトラックSTRoのトラック幅STWとは、異なっていてもよい。図11には、トラックSTRoが重ね書きされた後のトラックSTRo―1のトラック幅STWの半径方向の中心位置(トラックセンタ)STCo-1と、トラックSTRo+1が重ね書きされた後のトラックSTRoのトラック幅STWの中心位置(トラックセンタ)STCoと、トラックSTRo+1のトラック幅WTWの半径方向の中心位置(トラックセンタ)STCo+1とを示している。図11では、リードヘッド15R、例えば、中間部MPは、トラックSTRoのトラックセンタSTCoに位置決めされている。中間部MPをトラックセンタSTCoに位置決めした場合、リードヘッド15R1及び15R2のクロストラック間隔は、最小値よりも大きい値になる。つまり、中間部MPをトラックセンタSTCoに位置決めした場合、リードヘッド15Rは、トラックセンタSTCoに対して外方向に傾いている。図11には、振動環境下に置かれた磁気ディスク装置1において所定の半径位置に位置決めしてリードした場合のリードヘッド15R、例えば、中間部MPの軌道TJTを示している。図11では、説明の便宜上、各トラックを所定のトラック幅で円周方向に延出している長方形状に示しているが、実際には、円周方向に沿って湾曲している。また、各トラックは、半径方向に変動しながら円周方向に延出している波状であってもよい。なお、図11では、3つのトラックを重ね書きしているが、3つ未満、又は3つよりも多くのトラックを重ね書きしてもよい。
【0052】
図11に示した例では、リード/ライト制御部610は、トラックセンタSTCoにリードヘッド15R、例えば、中間部MPを位置決めしてトラックSTRoをリードする。リード/ライト制御部610は、外部から振動等の影響によりリードヘッド15Rが振動し、軌道TJTに従って中間部MPがトラックセンタSTCoに対して半径方向にずれながら(又はオフセットしながら)トラックSTRoをリードする。リード/ライト制御部610は、クロストラック間隔が最小値よりも大きい値であるリードヘッド15R1及び15R2により、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタSTCoから半径方向にオフセットしながらトラックSTRoをリードする。言い換えると、リード/ライト制御部610は、リードヘッド15RがトラックセンタSTCoに対して外方向にずれて、且つリードヘッド15R1及び15R2が互いに半径方向にずれた状態で、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタSTCoから半径方向にオフセットしながらトラックSTRoをリードする。リード/ライト制御部610は、リードヘッド15R1及び15R2の内の少なくとも一方でトラックSTRoをリードし得る。
【0053】
図12は、内周領域IRに通常記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。図12は、図6に対応している。図12の内周領域IRは、図8及び図9の中周領域MRの内方向に配置されている。図12には、トラックCTRi―1、CTRi、及びCTRi+1を示している。トラックCTRi―1、CTRi、及びCTRi+1は、内周領域IRにおいて、記載の順番で内方向に連続して通常記録されている。トラックCTRiは、内周領域IRにおいて、トラックCTRi―1の内方向に隣接している。トラックCTRi+1は、内周領域IRにおいて、トラックCTRiの内方向に隣接している。図12において、トラックCTRi―1、CTRi、及びCTRi+1のトラック幅WTWは、同じである。なお、トラックCTRi―1、CTRi、及びCTRi+1のトラック幅は、異なっていてもよい。図12には、トラックCTRi―1のトラックセンタCTCi―1、トラックCTRiのトラックセンタCTCi、及びトラックCTRi+1のトラックセンタCTCi+1を示している。図12では、トラックCTRi―1、CTRi、及びCTRi―1は、トラックピッチCTPで配置されている。なお、トラックCTRi―1、CTRi、及びCTRi+1は、異なるトラックピッチで配置されていてもよい。図12では、リードヘッド15R、例えば、中間部MPは、トラックCTRiのトラックセンタCTCiに位置決めされている。中間部MPをトラックセンタCTCiに位置決めした場合、リードヘッド15R1及び15R2のクロストラック間隔は、最小値よりも大きい値になる。つまり、中間部MPをトラックセンタCTCiに位置決めした場合、リードヘッド15Rは、トラックセンタCTCiに対して外方向に傾いている。図12には、振動環境下に置かれた磁気ディスク装置1において所定の半径位置に位置決めしてリードした場合のリードヘッド15R、例えば、中間部MPの軌道TJTを示している。図12では、説明の便宜上、各トラックを所定のトラック幅で円周方向に延出している長方形状に示しているが、実際には、円周方向に沿って湾曲している。また、各トラックは、半径方向に変動しながら円周方向に延出している波状であってもよい。
【0054】
図12に示した例では、リード/ライト制御部610は、トラックセンタCTCiにリードヘッド15R、例えば、中間部MPを位置決めしてトラックCTRiをリードする。リード/ライト制御部610は、外部から振動等の影響によりリードヘッド15Rが振動し、軌道TJTに従って中間部MPがトラックセンタCTCiから半径方向にずれながら(又はオフセットしながら)トラックCTRiをリードする。リード/ライト制御部610は、クロストラック間隔が最小値よりも大きい値であるリードヘッド15R1及び15R2により、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタCTCiから半径方向にオフセットしながらトラックCTRiをリードする。言い換えると、リード/ライト制御部610は、リードヘッド15RがトラックセンタCTCiに対して内方向にずれて、且つリードヘッド15R1及び15R2が互いに半径方向にずれた状態で、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタCTCiから半径方向にオフセットしながらトラックCTRiをリードする。リード/ライト制御部610は、リードヘッド15R1及び15R2が同時に隣接トラックCTRi―1及びCTRi+1までずれることなくトラックCTRiをリードできる。
【0055】
図13は、内周領域IRに瓦記録されたデータのリード処理の一例を示す模式図である。図13は、図7に対応している。図13の内周領域IRは、図8及び図9の中周領域MRの外方向に配置されている。図13には、トラックSTRi―1、STRi、及びSTRi+1を示している。トラックSTRi―1、STRi、及びSTRi+1は、内周領域IRにおいて、記載の順番で順方向に連続して瓦記録されている。トラックSTRiは、内周領域IRにおいて、トラックSTRi―1の順方向(内方向)に重ね書きされている。トラックSTRi+1は、内周領域IRにおいて、トラックSTRiの順方向(内方向)に重ね書きされている。トラックSTRi+1には、他のトラックが重ね書きされていない。トラックSTRi+1は、例えば、1つのコマンド等より瓦記録された複数のトラックの内の最後にライトされたトラックに相当する。図13では、トラックSTRiが重ね書きされる前のトラックSTRoi―1のトラック幅WTWと、トラックSTRi+1が重ね書きされる前のトラックSTRiのトラック幅WTWと、トラックSTRoi+1のトラック幅WTWとは、同じである。なお、トラックSTRiが重ね書きされる前のトラックSTRi―1のトラック幅と、トラックSTRi+1が重ね書きされる前のトラックSTRiのトラック幅と、トラックSTRi+1のトラック幅とは、異なっていてもよい。図13では、トラックSTRi―1、STRi、及びSTRi+1は、トラックピッチSTPで配置されている。なお、トラックSTRi―1、STRi、及びSTRi+1は、異なるトラックピッチで配置されていてもよい。トラックSTRiが重ね書きされた後のトラックSTRi―1のトラック幅STWと、トラックSTRi+1が重ね書きされた後のトラックSTRiのトラック幅STWとは、同じである。なお、トラックSTRiが重ね書きされた後のトラックSTRi―1のトラック幅STWと、トラックSTRi+1が重ね書きされた後のトラックSTRiのトラック幅STWとは、異なっていてもよい。図13には、トラックSTRoが重ね書きされた後のトラックSTRi―1のトラック幅STWの半径方向の中心位置(トラックセンタ)STCi-1と、トラックSTRi+1が重ね書きされた後のトラックSTRiのトラック幅STWの中心位置(トラックセンタ)STCiと、トラックSTRi+1のトラック幅WTWの半径方向の中心位置(トラックセンタ)STCi+1とを示している。図13では、リードヘッド15R、例えば、中間部MPは、トラックSTRiのトラックセンタSTCiに位置決めされている。中間部MPをトラックセンタSTCiに位置決めした場合、リードヘッド15R1及び15R2のクロストラック間隔は、最小値よりも大きい値になる。つまり、中間部MPをトラックセンタSTCiに位置決めした場合、リードヘッド15Rは、トラックセンタSTCiに対して内方向に傾いている。図13には、振動環境下に置かれた磁気ディスク装置1において所定の半径位置に位置決めしてリードした場合のリードヘッド15R、例えば、中間部MPの軌道TJTを示している。図13では、説明の便宜上、各トラックを所定のトラック幅で円周方向に延出している長方形状に示しているが、実際には、円周方向に沿って湾曲している。また、各トラックは、半径方向に変動しながら円周方向に延出している波状であってもよい。なお、図13では、3つのトラックを重ね書きしているが、3つ未満、又は3つよりも多くのトラックを重ね書きしてもよい。
【0056】
図13に示した例では、リード/ライト制御部610は、トラックセンタSTCiにリードヘッド15R、例えば、中間部MPを位置決めしてトラックSTRiをリードする。リード/ライト制御部610は、外部から振動等の影響によりリードヘッド15Rが振動し、軌道TJTに従って中間部MPがトラックセンタSTCiに対して半径方向にずれながら(又はオフセットしながら)トラックSTRiをリードする。リード/ライト制御部610は、クロストラック間隔が最小値よりも大きい値であるリードヘッド15R1及び15R2により、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタSTCiから半径方向にオフセットしながらトラックSTRiをリードする。言い換えると、リード/ライト制御部610は、リードヘッド15RがトラックセンタSTCiに対して内方向にずれて、且つリードヘッド15R1及び15R2が互いに半径方向にずれた状態で、リードヘッド15R1及び15R2がトラックセンタSTCiから半径方向にオフセットしながらトラックSTRiをリードする。リード/ライト制御部610は、リードヘッド15R1及び15R2の内の少なくとも一方でトラックSTRiをリードし得る。
【0057】
図14は、クロストラック間隔が最小値よりも大きい値である2つのリードヘッド15R1及び15R2により所定のトラックをリードした場合のこれらリードヘッド15R1及び15R2のオフセット量に対するビットエラーレートの変化ECL1の一例を示す模式図である。図14において、横軸は、リードヘッド15R1及び15R2(及び中間部MP)の所定のトラックのトラックセンタから半径方向にオフセットした距離(以下、オフセット量又はずれ量と称する場合もある)に対応するDAC値(以下、単に、オフセット量又はずれ量と称する場合もある)を示している。図14の横軸において、オフセット量は、正の矢印の先端側に進むに従って正の値が大きくなり、負の矢印の先端側に進むに従って負の値が小さくなる。図14の横軸において、オフセット量=0dac(原点)は、所定のトラックのトラックセンタに相当する。縦軸は、エラーレート、例えば、ビットエラーレート(BER)を示している。図14の縦軸において、ビットエラーレートは、大の矢印の先端側に進むに従って大きくなり、負の矢印の先端側に進むに従って小さくなる。図14の縦軸には、所定のトラックをリードヘッド15R1及び15R2でリード可能な閾値THを示している。例えば、ビットエラーレートが閾値THよりも大きい場合にはリードヘッド15R1及び15R2で正常にリードできない可能性があり、ビットエラーレートが閾値TH以下である場合にはリードヘッド15R1及び15R2で正常にリードできる。図14には、オフセット量に対するビットエラーレートの変化(以下、単に、ビットエラーレートの変化と称する場合もある)ECL1を示している。図14において、ビットエラーレートの変化ECL1は、オフセット量=―85dacで閾値THであり、オフセット量=60dacで閾値THである。
【0058】
図14に示した例では、リード/ライト制御部610は、図10乃至図13に示すように中間部MPを外周領域OR又は内周領域IRの所定のトラックのトラックセンタに位置決めして、クロストラック間隔が最小値よりも大きい値である2つのリードヘッド15R1及び15R2によりこのトラックをリードする。負のオフセット量=―85dacから正のオフセット量=60dacまでの範囲(以下、オフセットマージンと称する場合もある)=145dacでリードヘッド15R、例えば、中間部MPがオフセットする場合、リード/ライト制御部610は、このトラックを正常にリードできる。
【0059】
図15は、クロストラック間隔が最小値である2つのリードヘッド15R1及び15R2により所定のトラックをリードした場合のこれらリードヘッド15R1及び15R2のオフセット量に対するビットエラーレートの変化ECL2の一例を示す模式図である。図15において、横軸は、リードヘッド15R1及び15R2(及び中間部MP)のオフセット量を示している。図15の横軸において、オフセット量は、正の矢印の先端側に進むに従って正の値が大きくなり、負の矢印の先端側に進むに従って負の値が小さくなる。図15の横軸において、オフセット量=0dac(原点)は、所定のトラックのトラックセンタに相当する。縦軸は、エラーレート、例えば、ビットエラーレート(BER)を示している。図15の縦軸において、ビットエラーレートは、大の矢印の先端側に進むに従って大きくなり、負の矢印の先端側に進むに従って小さくなる。図15の縦軸には、閾値THを示している。図15には、ビットエラーレートの変化ECL2を示している。図15において、ビットエラーレートの変化ECL2は、オフセット量=―55dacで閾値THであり、オフセット量=45dacで閾値THである。
【0060】
図15に示した例では、リード/ライト制御部610は、図8及び図9に示すように中間部MPを中周領域MRの所定のトラックのトラックセンタに位置決めして、クロストラック間隔が最小値である2つのリードヘッド15R1及び15R2によりこのトラックをリードする。負のオフセット量=―55dacから正のオフセット量=45dacまでのオフセットマージン=100dacでリードヘッド15R、例えば、中間部MPがオフセットする場合、リード/ライト制御部610は、このトラックを正常にリードできる。
【0061】
図14に示した最小値よりも大きい値のクロストラック間隔の2つのリードヘッド15R1及び15R2により所定のトラックをリードする場合のリードヘッド15R1及び15R2のオフセットマージン(=145dac)は、図15に示した最小値のクロストラック間隔の2つのリードヘッド15R1及び15R2により所定のトラックをリードする場合のリードヘッド15R1及び15R2のオフセットマージン(=100dac)よりも大きい。そのため、クロストラック間隔が最小値よりも大きい値である2つのリードヘッド15R1及び15R2でリードできる領域に瓦記録でデータをライトし、クロストラック間隔が最小値である2つのリードヘッド15R1及び15R2でリードできる領域に通常記録でデータをライトすることで、外部からの振動等の影響によりリードヘッド15Rが振動した場合であってもリード性能の劣化を抑制することができる。
【0062】
図16は、半径位置に対するリード率の変化の一例を示す模式図である。図16は、図2乃至図5に対応している。図16において、横軸は、半径位置を示し、縦軸は、複数のリードヘッド15R、例えば、リードヘッド15R1及び15R2でデータをリードできる可能性(以下、単に、リード率又はリード性能と称する場合もある)(%)を示している。リード率は、例えば、外部から振動等の影響がない状態でデータを複数のリードヘッド15R、例えば、リードヘッド15R1及び15R2で正常にリードできた割合に対する外部から振動等の影響がある状態でデータを複数のリードヘッド15R、例えば、リードヘッド15R1及び15R2で正常にリードできた割合に相当する。図16の横軸において、半径位置は、外方向の矢印の先端側に進むに従って外方向に位置し、内方向の矢印の先端側に進むに従って内方向に位置している。図16の横軸において、半径位置は、内周領域IR、中周領域MR、及び外周領域ORに区分されている。図16の縦軸において、リード率は、大の矢印の先端側に進むに従って大きくなり、小の矢印の先端側に従って小さくなる。図16には、各半径位置に通常記録したデータを複数のリードヘッド15R、例えば、リードヘッド15R1及び15R2でリードした場合の半径位置に対する複数のリードヘッド15R、例えば、リードヘッド15R1及び15R2のリード率の変化(以下、単に、通常記録データのリード率の変化と称する場合もある)CRPLを示している。図16には、各半径位置に瓦記録したデータを複数のリードヘッド15R、例えば、リードヘッド15R1及び15R2でリードした場合の半径位置に対する複数のリードヘッド15R、例えば、リードヘッド15R1及び15R2のリード率の変化(以下、単に、瓦記録データのリード率の変化と称する場合もある)SRPLを示している。
【0063】
図16に示した例では、通常記録データのリード率の変化CRPLは、内周領域IR、中周領域MR、及び外周領域ORでほぼ変化していない。瓦記録データのリード率の変化SRPLは、中周領域MRで内周領域IR及び外周領域ORよりも小さい。また、瓦記録データのリード変化は、通常記録データのリード率の変化CRPLよりも小さい。
【0064】
図16に示した例から、高トラック密度(Track Per Inch:TPI)化するためにディスク10の内周領域IR及び外周領域ORの少なくとも一方に瓦記録でデータをライトし、中周領域MRに通常記録でデータをライトすることで、リード性能を低下させずに、高TPI化を実現することが可能である。
【0065】
記録領域管理部620は、ホスト100等からの指示に応じて、ディスク10の半径領域を管理する。記録領域管理部620は、ホスト100等からの指示に応じて、ディスク10、例えば、ユーザデータ領域10aにおいて、データを通常記録する半径領域(以下、通常記録領域と称する場合もある)とデータを瓦記録する半径領域(以下、瓦記録領域と称する場合もある)とを設定又は変更する。記録領域管理部620は、ディスク10の半径領域、例えば、ユーザデータ領域10aに設定した通常記録領域及び瓦記録領域に関する情報を所定の記録領域、例えば、ユーザデータ領域10a、メディアキャッシュ10b、システムエリア10c、揮発性メモリ70、又は不揮発性メモリ80等に記録してもよい。
【0066】
記録領域管理部620は、通常記録領域を特定の大きさ(若しくは特定の面積)の半径領域又は特定のデータ容量まで通常記録可能な半径領域(以下、通常記録バンド領域と称する場合もある)毎に管理する。通常記録バンド領域は、通常記録される複数のトラックを含み得る。例えば、記録領域管理部620は、ディスク10において通常記録バンド領域毎に通常記録領域を設定する。また、例えば、記録領域管理部620は、通常記録バンド領域毎に通常記録領域を瓦記録領域に変更する。なお、記録領域管理部620は、通常記録バンド領域毎に通常記録領域を設定しなくともよく、ホスト100等の指示に応じてディスク10の任意の大きさ若しくは面積の半径領域を通常記録領域に設定してもよい。
【0067】
記録領域管理部620は、ヘッド15を位置決めした際にクロストラック間隔が最小値になるディスク10、例えば、ユーザデータ領域10aの半径位置(基準位置)BPを含む半径領域(以下、最小クロストラック間隔領域と称する場合もある)を優先的に通常記録領域に設定又は変更する。記録領域管理部620は、ヘッド15、例えば、中間部MPを位置決めした際にリードヘッド15R1及び15R2が半径方向にずれない(又は円周方向に並んでいる)ユーザデータ領域10aの半径位置(基準位置)BPを含む最小クロストラック間隔領域を優先的に通常記録領域に設定又は変更する。一例では、記録領域管理部620は、ヘッド15、例えば、中間部MPを位置決めした際にスキュー角が最小値となるユーザデータ領域10aの半径位置(基準位置)BPを含む最小クロストラック間隔領域を優先的に通常記録領域に設定又は変更する。例えば、記録領域管理部620は、中周領域MRに優先的に通常記録領域を設定する。また、例えば、記録領域管理部620は、ヘッド15を位置決めした際にクロストラック間隔の最小値が10nm(ナノメータ)以下になるディスク10、例えば、ユーザデータ領域10aの半径位置(基準位置)BPを含む最小クロストラック間隔領域を優先的に通常記録領域に設定又は変更する。なお、記録領域管理部620は、最小クロストラック間隔領域以外のユーザデータ領域10aを通常記録領域に設定してもよい。
【0068】
記録領域管理部620は、瓦記録領域を特定の大きさ(若しくは特定の面積)の半径領域又は特定のデータ容量まで瓦記録可能な半径領域(以下、瓦記録バンド領域と称する場合もある)毎に管理する。瓦記録バンド領域は、瓦記録される複数のトラックを含み得る。例えば、記録領域管理部620は、ディスク10において瓦記録バンド領域毎に瓦記録領域を設定する。また、例えば、記録領域管理部620は、瓦記録バンド領域毎に瓦記録領域を通常記録領域に変更する。なお、記録領域管理部620は、瓦記録バンド領域毎に通常記録領域を設定しなくともよく、ホスト100等の指示に応じてディスク10の任意の大きさ若しくは面積の半径領域を瓦記録領域に設定してもよい。
【0069】
記録領域管理部620は、ヘッド15を位置決めした際にクロストラック間隔が最大値になるディスク10、例えば、ユーザデータ領域10aの半径位置(以下、最大位置と称する場合もある)IRP及び/又はORPを含む半径領域(以下、最大クロストラック間隔領域と称する場合もある)を優先的に瓦記録領域に設定又は変更する。記録領域管理部620は、ヘッド15、例えば、中間部MPを位置決めした際にリードヘッド15R1及び15R2が半径方向に最も離れているユーザデータ領域10aの半径位置(最大位置)IRP及び/又はORPを含む最大クロストラック間隔領域を優先的に瓦記録領域に設定又は変更する。一例では、記録領域管理部620は、ヘッド15、例えば、中間部MPを位置決めした際にスキュー角が最大値となるユーザデータ領域10aの半径位置(最大位置)IRP及び/又はORPを含む最大クロストラック間隔領域を優先的に瓦記録領域に設定又は変更する。例えば、記録領域管理部620は、内周領域IR及び/又は外周領域ORに瓦記録領域を設定する。また、例えば、記録領域管理部620は、ヘッド15を位置決めした際にクロストラック間隔の最大値が15nm(ナノメータ)以上になるディスク10、例えば、ユーザデータ領域10aの半径位置(最大位置)IRP及び/又はORPを含む最大クロストラック間隔領域を優先的に瓦記録領域に設定又は変更する。
【0070】
例えば、最大クロストラック間隔領域(例えば、瓦記録領域)における複数のリードヘッド15Rの内の2つのリードヘッド15Rのクロストラック間隔の最大値は、最小クロストラック間隔領域(例えば、通常記録領域)における複数のリードヘッド15Rの内の2つのリードヘッド15Rのクロストラック間隔の最小値よりも大きい。言い換えると、例えば、最小クロストラック間隔領域(例えば、通常記録領域)における複数のリードヘッド15Rの内の2つのリードヘッド15Rのクロストラック間隔の最小値は、最大クロストラック間隔領域(例えば、瓦記録領域)における複数のリードヘッド15Rの内の2つのリードヘッド15Rのクロストラック間隔の最大値よりも小さい。なお、記録領域管理部620は、最大クロストラック間隔領域以外のユーザデータ領域10aを瓦記録領域に設定してもよい。
【0071】
図17は、本実施形態に係る通常記録領域CR及び瓦記録領域SRの配置の一例を示す模式図である。
図17に示した例では、記録領域管理部620は、半径位置MRP(基準位置BP)を含む最小クロストラック間隔領域を優先的に通常記録領域CRに設定し、通常記録領域CRにデータを通常記録する。図17において、通常記録領域(最小クロストラック間隔領域)CRは、左上がりの斜線で示している。記録領域管理部620は、半径位置(最大位置)IRPを含む最大クロストラック間隔領域を優先的に瓦記録領域SRに設定し、半径位置IRPを含む瓦記録領域SRにデータを瓦記録する。また、記録領域管理部620は、半径位置(最大位置)ORPを含む最大クロストラック間隔領域を優先的に瓦記録領域SRに設定し、半径位置ORPを含む瓦記録領域SRにデータを瓦記録する。図17において、瓦記録領域(最大クロストラック間隔領域)SRは、右上がりの斜線で示している。なお、記録領域管理部620は、通常記録領域CR及び瓦記録領域SRの間のユーザデータ領域10aを通常記録領域CR及び瓦記録領域SRの少なくとも一方に設定し、通常記録領域CRにデータを通常記録し、瓦記録領域SRにデータを瓦記録する。
【0072】
図18は、本実施形態に係るライト処理方法の一例を示すフローチャートである。
MPU60は、ユーザデータ領域10aの所定の半径領域が最小トラック間隔領域であるか最小クロストラック間隔領域でないかを判定する(B1801)。所定の半径領域が最小クロストラック間隔領域であると判定した場合(B1801のYES)、MPU60は、この半径領域を優先的に通常記録領域CRに設定し(B1802)、通常記録領域CRにデータを通常記録し(B1803)、処理を終了する。
【0073】
所定の半径領域が最小クロストラック間隔領域ではないと判定した場合(B1801のNO)、MPU60は、ユーザデータ領域10aの所定の半径領域が最大クロストラック間隔領域であるか最大クロストラック間隔領域でないかを判定する(B1804)。所定の半径領域が最大クロストラック間隔領域であると判定した場合(B1804のYES)、MPU60は、この半径領域を優先的に瓦記録領域SRに設定し(B1805)、瓦記録領域SRにデータを瓦記録する(B1806)。
【0074】
所定の半径領域が最大クロストラック間隔領域ではないと判定した場合(B1804のNO)、MPU60は、ユーザデータ領域10aの所定の半径領域を通常記録領域CR及び/又は瓦記録領域SRに設定し(B1807)、通常記録領域CRにデータを通常記録し、瓦記録領域SRにデータを記録する(B1808)。例えば、所定の半径領域が最大クロストラック間隔領域ではないと判定した場合、MPU60は、この半径領域にデータを通常記録してもよいし、この半径領域にデータを瓦記録してもよい。また、例えば、所定の半径領域が最大クロストラック間隔領域ではないと判定した場合、MPU60は、この半径領域の一部にデータを通常記録してこの半径領域の一部以外の領域にデータを瓦記録してもよい。
【0075】
本実施形態によれば、磁気ディスク装置1は、ライトヘッド15Wと、複数のリードヘッド15R(15R1及び15R2)を有するヘッド15を有している。磁気ディスク装置1は、最小クロストラック間隔領域を優先的に通常記録領域CRに設定し、最小クロストラック間隔領域にデータを通常記録する。磁気ディスク装置1は、最大クロストラック間隔領域を優先的に瓦記録領域SRに設定し、最大クロストラック間隔領域にデータを瓦記録する。外部からの振動等の影響によりヘッド15が所定のトラックのトラックセンタに対して変動する場合であっても、磁気ディスク装置1は、複数のリードヘッド15Rのいずれかのリードヘッド15Rでこのトラックを正常にリードすることができる。そのため、磁気ディスク装置1は、リード性能の劣化を抑制することができる。
【0076】
次に、変形例に係る磁気ディスク装置について説明する。変形例において、前述の実施形態と同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
(変形例1)
変形例1に係る磁気ディスク装置1は、ヘッド15の構成が前述した実施形態に係る磁気ディスク装置1と相違する。
【0077】
リードヘッド15Rは、複数のリードヘッド、例えば、3つのリードヘッド15R1、15R2、及び15R3を有している。リードヘッド15R1は、例えば、ライトヘッド15Wから最も離れた位置に設けられている。リードヘッド15R2は、例えば、ライトヘッド15Wからリードヘッド15R1の次に離れた位置に設けられている。リードヘッド15R3は、例えば、ライトヘッド15Wからリードヘッド15R2の次に離れた位置に設けられている。リードヘッド15R2は、リードヘッド15R1及びリードヘッド15R3の間に位置し、リードヘッド15R3は、ライトヘッド15W及びリードヘッド15R2の間に位置している。なお、リードヘッド15Rは、4つ以上のリードヘッドを有していてもよい。以下、複数のリードヘッド、例えば、3つのリードヘッド15R1、15R2、及び15R3をまとめてリードヘッド15Rと称する場合もあるし、複数のリードヘッド、例えば、リードヘッド15R1、15R2、及び15R3のいずれか1つを単にリードヘッド15Rと称する場合もある。
【0078】
図19は、リードヘッド15R2を半径位置MRPに位置決めした場合のライトヘッド15Wと3つのリードヘッド15R1、15R2、15R3との幾何学的配置の一例を示す模式図である。図19には、ライトヘッド15Wの中心部WCと、リードヘッド15R1の中心部RC1と、リードヘッド15R2の中心部RC2と、リードヘッド15R3の中心部RC3とを示している。図19に示した例では、リードヘッド15R2を対象位置に配置又は位置決めしてデータをライト/リードする。なお、複数のリードヘッド15Rの内のリードヘッド15R2以外のリードヘッド15Rを対象位置に配置又は位置決めしてデータをライト/リードしてもよい。また、複数のリードヘッド15Rの内の2つのリードヘッド15Rの間の中間部を対象位置に配置又は位置決めしてデータをライト/リードしてもよい。
【0079】
図19に示した例では、リードヘッド15R2を半径位置MRP(基準位置BP)に配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、円周方向に沿って並んでいる。ライトヘッド15W、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3とリードヘッド15R1とは、円周方向に沿って並んでいない。リードヘッド15R2を半径位置MRP(基準位置BP)に配置した場合、リードヘッド15R2及び15R3の間のダウントラック間隔(DTS)は、距離DSm1である。つまり、リードヘッド15R2及び15R3の間のダウントラック間隔とリードヘッド15R1及び15R2の間のダウントラック間隔とは、同じである。
【0080】
図19に示した例では、リードヘッド15R2を半径位置MRP(基準位置BP)に配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、半径方向にずれていない。言い換えると、ライトヘッド15W、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、半径位置MRP(基準位置BP)に位置している。なお、リードヘッド15R2を半径位置MRP(基準位置BP)に配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、半径方向にずれていてもよい。リードヘッド15R2を半径位置MRP(基準位置BP)に配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3とリードヘッド15R1とは、半径方向にずれている。なお、リードヘッド15R2を半径位置MRP(基準位置BP)に配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3とリードヘッド15R1とは、半径方向にずれていなくてもよい。図19では、ヘッド15のスキュー角θswは、0°である。リードヘッド15R2を半径位置MRP(基準位置BP)に配置した場合、リードヘッド15R1及び15R2の間のクロストラック間隔(CTS)は、距離CSm1である。リードヘッド15R2を半径位置MRP(基準位置BP)に配置した場合、リードヘッド15R2及び15R3の間のクロストラック間隔(CTS)は、最小値、例えば、距離CSm0=0である。リードヘッド15R1及び15R3の間のクロストラック間隔(CTS)は、距離CSm1である。なお、リードヘッド15R2を半径位置MRP(基準位置BP)に配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、それぞれ、半径方向にずれていてもよい。
【0081】
図20は、リードヘッド15R2を半径位置IRPに位置決めした場合のライトヘッド15Wと3つのリードヘッド15R1、15R2、15R3との幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図20に示した例では、リードヘッド15R2を半径位置IRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、円周方向に従って延長する軸に対してスキュー角θsw=θswi1で内方向に傾いている。
【0082】
図20に示した例では、リードヘッド15R2を半径位置IRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、それぞれ、半径方向にずれている。なお、リードヘッド15R2を半径位置IRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1,リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、それぞれ、半径方向にずれていなくてもよい。リードヘッド15R2を半径位置IRPに配置した場合、リードヘッド15R1及び15R2の間のクロストラック間隔は、距離CSi2である。リードヘッド15R2を半径位置IRPに配置した場合、リードヘッド15R2及び15R3の間のクロストラック間隔は、距離CSi1である。リードヘッド15R1及び15R3の間のクロストラック間隔は、距離CSi3である。例えば、クロストラック間隔CSi2は、クロストラック間隔CSi1よりも大きい。例えば、クロストラック間隔CSi3は、クロストラック間隔CSi2よりも大きい。一例では、クロストラック間隔CSi3は、ユーザデータ領域10a内にヘッド15、例えば、リードヘッド15R2を位置決めする場合のリードヘッド15R1、15R2、及び15R3の内の2つのリードヘッド15Rの間のクロストラック間隔の最大値である。なお、クロストラック間隔CSi3は、ユーザデータ領域10a内にヘッド15、例えば、リードヘッド15R2を位置決めする場合のリードヘッド15R1、15R2,及び15R3の内の2つのリードヘッド15Rの間のクロストラック間隔の最大値でなくともよい。
【0083】
図21は、リードヘッド15R2を半径位置ORPに位置決めした場合のライトヘッド15Wと3つのリードヘッド15R1、15R2、15R3との幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図21に示した例では、リードヘッド15R2を半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、円周方向に従って延長する軸に対してスキュー角θsw=θswo1で外方向に傾いている。例えば、スキュー角θswo1は、スキュー角θswi1と同じである。なお、スキュー角θswo1は、スキュー角θswiと異なっていてもよい。スキュー角θswo1は、例えば、スキュー角θswiよりも大きくてもよい。スキュー角θswo1は、例えば、スキュー角θswiよりも小さくてもよい。
【0084】
図21に示した例では、リードヘッド15R2を半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、それぞれ、半径方向にずれている。なお、リードヘッド15R2を半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、リードヘッド15R2、及びリードヘッド15R3は、それぞれ、半径方向にずれていなくてもよい。リードヘッド15R2を半径位置ORPに配置した場合、リードヘッド15R1及び15R2の間のクロストラック間隔は、距離CSo0=0である。リードヘッド15R2を半径位置ORPに配置した場合、リードヘッド15R2及び15R3の間のクロストラック間隔は、距離CSo1である。リードヘッド15R2を半径位置ORPに配置した場合、リードヘッド15R1及び15R3の間のクロストラック間隔は、距離CSo1である。例えば、クロストラック間隔CSo1は、クロストラック間隔CSo0(=0)よりも大きい。
【0085】
変形例1によれば、磁気ディスク装置1は、ライトヘッド15Wと、複数のリードヘッド15R(15R1、15R2,及び15R3)を有するヘッド15を有している。磁気ディスク装置1は、最小クロストラック間隔領域を優先的に通常記録領域CRに設定し、最小クロストラック間隔領域にデータを通常記録する。磁気ディスク装置1は、最大クロストラック間隔領域を優先的に瓦記録領域SRに設定し、最大クロストラック間隔領域にデータを瓦記録する。外部からの振動等の影響によりヘッド15が所定のトラックのトラックセンタに対して変動する場合であっても、磁気ディスク装置1は、複数のリードヘッド15Rのいずれかのリードヘッド15Rでこのトラックを正常にリードすることができる。そのため、磁気ディスク装置1は、リード性能の劣化を抑制することができる。
【0086】
(変形例2)
変形例2に係る磁気ディスク装置1は、ヘッド15の構成が前述した実施形態に係る磁気ディスク装置1と相違する。
図22は、変形例2に係るディスク10に対するヘッド15の配置の一例を示す模式図である。
【0087】
図22に示した例では、ユーザデータ領域10aは、内方向に位置する内周領域IRと、外方向に位置する外周領域ORと、内周領域IRと外周領域ORとの間に位置する中周領域MRとに区分されている。図22において、ユーザデータ領域10aは、半径位置IRP、半径位置MRP、半径位置MORP、及び半径位置ORPを含む。半径位置MORPは、半径位置MRP及び半径位置ORPの間に位置している。図22では、半径位置MORPは、外周領域ORに位置している。なお、半径位置MORPは、中周領域MRに位置していてもよい。
【0088】
図23は、変形例2に係る中間部MPを半径位置MRPに位置決めした場合のライトヘッド15Wと2つのリードヘッド15R1、15R2との幾何学的配置の一例を示す模式図である。図23には、ライトヘッド15Wの中心部WCと、リードヘッド15R1の中心部RC1と、リードヘッド15R2の中心部RC2とを示している。図23に示した例では、中間部MPを対象位置に配置又は位置決めしてデータをライト/リードする。
【0089】
図23に示した例では、中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、ライトヘッド15W、及びリードヘッド15R2は、円周方向に沿って並んでいる。ライトヘッド15W及びリードヘッド15R2とリードヘッド15R1とは、円周方向に沿って並んでいない。中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、リードヘッド15R1及び15R2の間のダウントラック間隔(DTS)は、距離DSm1である。
【0090】
図23に示した例では、中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、ライトヘッド15W、及びリードヘッド15R2は、半径方向にずれていない。言い換えると、ライトヘッド15W、及びリードヘッド15R2は、半径位置MRPに位置している。なお、中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、ライトヘッド15W、及びリードヘッド15R2は、半径方向にずれていてもよい。中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、ライトヘッド15W、及びリードヘッド15R2とリードヘッド15R1とは、半径方向にずれている。なお、中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、ライトヘッド15W、及びリードヘッド15R2とリードヘッド15R1とは、半径方向にずれていなくてもよい。図23では、ヘッド15のスキュー角θswは、0°である。中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、リードヘッド15R1及び15R2の間のクロストラック間隔(CTS)は、距離CSm1である。なお、中間部MPを半径位置MRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、及びリードヘッド15R2は、それぞれ、半径方向にずれていてもよい。
【0091】
図24は、変形例2に係る中間部MPを半径位置IRPに位置決めした場合のライトヘッド15Wと2つのリードヘッド15R1、15R2との幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図24に示した例では、中間部MPを半径位置IRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、及びリードヘッド15R2は、円周方向に従って延長する軸に対してスキュー角θsw=θswi1で内方向に傾いている。
【0092】
図24に示した例では、中間部MPを半径位置IRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、及びリードヘッド15R2は、それぞれ、半径方向にずれている。なお、中間部MPを半径位置IRPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、及びリードヘッド15R2は、それぞれ、半径方向にずれていなくてもよい。中間部MPを半径位置IRPに配置した場合、リードヘッド15R1及び15R2の間のクロストラック間隔は、距離CSi2である。例えば、クロストラック間隔CSi2は、クロストラック間隔CSm1よりも大きい。クロストラック間隔CSi2は、ユーザデータ領域10a内にヘッド15、例えば、中間部MPを位置決めする場合のリードヘッド15R1、及び15R2の間のクロストラック間隔の最大値である。なお、クロストラック間隔CSi2は、ユーザデータ領域10a内にヘッド15、例えば、中間部MPを位置決めする場合のリードヘッド15R1、及び15R2の間のクロストラック間隔の最大値でなくてもよい。
【0093】
図25は、変形例2に係る中間部MPを半径位置MORPに位置決めした場合のライトヘッド15Wと2つのリードヘッド15R1、15R2との幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図25に示した例では、中間部MPを半径位置MORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、及びリードヘッド15R2は、円周方向に従って延長する軸に対してスキュー角θsw=θswo2で外方向に傾いている。例えば、スキュー角θswo2の絶対値は、スキュー角θswi1の絶対値よりも小さい。なお、スキュー角θswo2の絶対値は、スキュー角θswi1の絶対値と異なっていてもよい。スキュー角θswo2の絶対値は、例えば、スキュー角θswi1の絶対値よりも大きくてもよい。スキュー角θswo2は、例えば、スキュー角θswi1と同じであってもよい。
【0094】
図25に示した例では、中間部MPを半径位置MORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、及びリードヘッド15R2は、それぞれ、半径方向にずれている。なお、中間部MPを半径位置MORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、及びリードヘッド15R2は、それぞれ、半径方向にずれていなくてもよい。中間部MPを半径位置MORPに配置した場合、リードヘッド15R1及び15R2の間のクロストラック間隔は、距離CSmo0=0である。つまり、中間部MPを半径位置MORPに配置した場合、リードヘッド15R1及び15R2は、半径方向にずれていない。言い換えると、中間部MPを半径位置MORPに配置した場合、リードヘッド15R1及び15R2は、同じ半径位置に位置している。図25に示した例では、半径位置MORPは、基準位置BPに相当する。
【0095】
図26は、変形例2に係る中間部MPを半径位置ORPに位置決めした場合のライトヘッド15Wと2つのリードヘッド15R1、15R2との幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図26に示した例では、中間部MPを半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、及びリードヘッド15R2は、円周方向に従って延長する軸に対してスキュー角θsw=θswo1で外方向に傾いている。例えば、スキュー角θswo1は、スキュー角θswi1と同じである。なお、スキュー角θswo1は、スキュー角θswiと異なっていてもよい。スキュー角θswo1は、例えば、スキュー角θswiよりも大きくてもよい。スキュー角θswo1は、例えば、スキュー角θswiよりも小さくてもよい。
【0096】
図26に示した例では、中間部MPを半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、及びリードヘッド15R2は、それぞれ、半径方向にずれている。なお、中間部MPを半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15W、リードヘッド15R1、及びリードヘッド15R2は、それぞれ、半径方向にずれていなくてもよい。中間部MPを半径位置ORPに配置した場合、リードヘッド15R1及び15R2の間のクロストラック間隔は、距離CSo2である。例えば、クロストラック間隔CSo2は、クロストラック間隔CSm1よりも小さい。
【0097】
図27は、変形例2に係る通常記録領域CR及び瓦記録領域SRの配置の一例を示す模式図である。
図27に示した例では、MPU60は、半径位置MORP(基準位置BP)を含む最小クロストラック間隔領域を通常記録領域CRに設定している。図27において、通常記録領域(最小クロストラック間隔領域)CRは、左上がりの斜線で示している。MPU60は、半径位置IRPを含む最大クロストラック間隔領域を瓦記録領域SRに設定している。図27において、瓦記録領域SRは、右上がりの斜線で示している。ディスク10において内周側の半径領域よりも転送速度(又は転送レート)の高い外周側の半径領域に優先的に通常記録領域CRを設定してデータを通常記録し、ディスク10において外周側の半径領域よりも転送速度(又は転送レート)の低い内周側の半径領域に優先的に瓦記録領域SRを設定してデータを瓦記録することが好ましい。例えば、MPU60は、ディスク10のユーザデータ領域10aの全面にデータを通常記録した後に、優先的にユーザデータ領域10aの半径位置MRP又は基準位置BPよりも内側からデータを瓦記録で上書きする。
【0098】
本実施形態によれば、磁気ディスク装置1は、ライトヘッド15Wと、複数のリードヘッド15R(15R1及び15R2)を有するヘッド15を有している。ディスク10において内周側の半径領域よりも転送速度(又は転送レート)の高い外周側の半径領域に通常記録領域CRを設定してデータを通常記録し、ディスク10において外周側の半径領域よりも転送速度(又は転送レート)の低い内周側の半径領域に瓦記録領域SRを設定してデータを瓦記録することが好ましい。そのため、磁気ディスク装置1は、基準位置BPがディスク10の外側の領域に位置するようにリードヘッド15R1及び15R2が設けられている。言い換えると、磁気ディスク装置1は、クロストラック間隔が最小値になる半径位置がディスク10の外側の領域に位置するようにリードヘッド15R1及び15R2が設けられている。したがって、外部からの振動等の影響によりヘッド15が所定のトラックのトラックセンタに対して変動する場合であっても、磁気ディスク装置1は、複数のリードヘッド15Rのいずれかのリードヘッド15Rでこのトラックを正常にリードすることができる。そのため、磁気ディスク装置1は、リード性能の劣化を抑制することができる。
【0099】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1…磁気ディスク装置、10…磁気ディスク、10a…ユーザデータ領域、10b…メディアキャッシュ、10c…システムエリア、12…スピンドルモータ(SPM)、13…アーム、14…ボイスコイルモータ(VCM)、15…ヘッド、15W…ライトヘッド、15R、15R1、15R2…リードヘッド、20…ドライバIC、30…ヘッドアンプIC、40…ハードディスクコントローラ(HDC)、50…リード/ライト(R/W)チャネル、60…マイクロプロセッサ(MPU)、70…揮発性メモリ、80…不揮発性メモリ、90…バッファメモリ、100…ホストシステム(ホスト)、130…システムコントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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