(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20231218BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20231218BHJP
F16K 27/10 20060101ALI20231218BHJP
F16K 31/04 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
F16K27/00 Z
F16K27/02
F16K27/10
F16K31/04 Z
(21)【出願番号】P 2021074177
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中川 大樹
(72)【発明者】
【氏名】南澤 英樹
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-190496(JP,A)
【文献】特開2021-028505(JP,A)
【文献】特開2021-063520(JP,A)
【文献】特開2017-129206(JP,A)
【文献】特開2008-292003(JP,A)
【文献】特開2015-178908(JP,A)
【文献】特開2022-088126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00 - 27/12
F16K 31/00 - 31/05
F25B 41/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室及び弁ポートを構成する弁本体と、前記弁ポートの開度を変更する弁体と、を備えた弁装置であって、
前記弁本体の軸方向の一端側には、前記弁ポートと、継手を接合するための継手接合部と、が設けられ、
前記弁本体は、前記軸方向に延びる全体筒状に形成され、前記弁室を構成する内部空間と外部空間とを仕切る壁部を有して構成され、
前記壁部のうち、前記継手接合部よりも径方向の外側に位置するとともに、前記内部空間に露出する内部露出面と前記外部空間に露出する外部露出面とが互いに背向して軸方向に重なった形状を有する特定壁部において、前記特定壁部における前記内部露出面である特定内部露出面、及び前記特定壁部における前記外部露出面である特定外部露出面の少なくとも一方に封孔処理部が設けられていることを特徴とする弁装置。
【請求項2】
前記封孔処理部は、前記特定内部露出面及び前記特定外部露出面の少なくとも一方に溶融したろう材を付着させて形成されたろう材被膜によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記継手接合部よりも前記径方向の外側の位置から前記継手まで前記径方向及び周方向に連続し、且つ、少なくとも前記特定外部露出面を内側に含む範囲に凹部が設けられ、当該凹部を埋めるように前記ろう材被膜が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の弁装置。
【請求項4】
前記封孔処理部は、前記特定内部露出面及び前記特定外部露出面の少なくとも一方を前記軸方向に塑性変形させて形成された塑性変形部によって構成されていることを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の弁装置。
【請求項5】
前記弁ポートを構成して前記特定内部露出面に連続した弁座部には、前記弁ポートを囲んで周方向に連続する溝部が設けられていることを特徴とする請求項1~4の内何れか一項に記載の弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁ポートを有する弁本体(弁ハウジング)と、弁ポートの開度を変更する弁体と、弁体を進退駆動する駆動部と、を備えた弁装置が広く用いられている。このような弁装置の中に、弁本体として、ステンレスや真鍮等の金属材料を切削加工して形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような弁本体の成形手順としては、金属塊を押出しや引抜き等によって軸方向に引き延ばして金属棒を成形してから、この金属棒を切断して切削加工を行うことで、内部に弁室空間や弁座部を形成したり、継手を接合するための接合部を形成したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載されたような従来の弁装置では、弁本体の成形時に、素材となる金属塊に微細な気泡が含まれている場合がある。このような金属塊を引き延ばして金属棒を成形すると、気泡も一緒に引き伸ばされ、軸方向に連続した連通路が形成されてしまう場合がある。そして、弁装置において、このような連通路によって弁本体の内部空間と外部空間とが連通されてしまうと、流体が外部に漏出する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、流体の漏出(外部リーク)を抑制することができる弁装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の弁装置は、弁室及び弁ポートを構成する弁本体と、前記弁ポートの開度を変更する弁体と、を備えた弁装置であって、前記弁本体の軸方向の一端側には、前記弁ポートと、継手を接合するための継手接合部と、が設けられ、前記弁本体は、前記軸方向に延びる全体筒状に形成され、前記弁室を構成する内部空間と外部空間とを仕切る壁部を有して構成され、前記壁部のうち、前記継手接合部よりも径方向の外側に位置するとともに、前記内部空間に露出する内部露出面と前記外部空間に露出する外部露出面とが互いに背向して軸方向に重なった形状を有する特定壁部において、前記特定壁部における前記内部露出面である特定内部露出面、及び前記特定壁部における前記外部露出面である特定外部露出面の少なくとも一方に封孔処理部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上述のような本発明によれば、封孔処理部が設けられることで、特定壁部の内部に連通路があったとしても、この連通路の軸方向端部が封孔処理部によって塞がれることになる。その結果、弁本体の内部空間と外部空間とが連通されることなく、流体の漏出(外部リーク)を抑制することができる。
【0008】
この際、前記封孔処理部は、前記特定内部露出面及び前記特定外部露出面の少なくとも一方に溶融したろう材を付着させて形成されたろう材被膜によって構成されていることが好適である。この構成によれば、溶融したろう材が、その付着面における開口から連通路に浸透してろう材被膜が形成されるので、封孔処理の確度を向上させることができる。
【0009】
更に、前記継手接合部よりも前記径方向の外側の位置から前記継手まで前記径方向及び周方向に連続し、且つ、少なくとも前記特定外部露出面を内側に含む範囲に凹部が設けられ、当該凹部を埋めるように前記ろう材被膜が設けられていることが好適である。この構成によれば、特定外部露出面において、継手の外周囲であって連通路の開口想定領域に形成された凹部に溶融したろう材を保持し易くなる。これにより、継手接合部にろう材による溶融固化層を形成し易くなるとともに、特定外部露出面での封孔処理の確度を一層向上させることができる。
【0010】
また、前記封孔処理部は、前記特定内部露出面及び前記特定外部露出面の少なくとも一方を前記軸方向に塑性変形させて形成された塑性変形部によって構成されていることが好適である。この構成によれば、弁本体の壁部における一部を塑性変形させた塑性変形部によって封孔処理部が構成されるので、追加の部材を要することなく部品点数を抑えて容易に封孔処理を行うことができる。
【0011】
また、前記弁ポートを構成して前記特定内部露出面に連続した弁座部には、前記弁ポートを囲んで周方向に連続する溝部が設けられていることが好適である。この構成によれば、例えば特定内部露出面に溶融したろう材を付着させて形成されたろう材被膜によって封孔処理部を構成する場合に、溶融したろう材が弁座まで流れてしまわないように、その流れを規制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の弁装置によれば、流体の漏出(外部リーク)を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態の弁装置を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示されている弁本体における特定壁部に、連通路による流体の漏出(外部リーク)を抑制するために設けられた構成を示す図である。
【
図3】
図2に示されている封孔処理部が、連通路の端部開口を塞ぐ様子を示す模式図である。
【
図4】
図1~
図3を参照して説明した第1実施形態の弁装置に対する第1変形例を示す部分縦断面図である。
【
図5】
図1~
図3を参照して説明した第1実施形態の弁装置に対する第2変形例を示す部分縦断面図である。
【
図6】
図1~
図3を参照して説明した第1実施形態の弁装置に対する第3変形例を示す部分縦断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態の弁装置を示す縦断面図と、図中のV41-V41線に沿った軸断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態に係る弁装置を
図1~
図3に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態の弁装置を示す縦断面図である。
【0016】
まず、
図1に基づいて第1実施形態の弁装置10について説明する。この弁装置10は、弁室111及び弁ポート112を構成する弁本体11と、弁ポート112の開度を変更する弁体12と、を備えた電動弁である。この弁装置10では、弁本体11に対して径方向D11から第1継手131が接合され、軸線L11に沿った軸方向D12から第2継手132(継手)が接合されている。
【0017】
弁本体11は、ステンレスや真鍮等の金属塊を引き延ばして形成された金属棒の切削加工等により形成された部材である。この弁本体11は、軸線L11を中心とし、軸方向D12に延びる全体円筒状に形成され、弁室111を構成する内部空間と外部空間とを仕切る壁部113を有して構成されている。この壁部113は、筒壁部113e及び底壁部113gを有している。筒壁部113eは、壁部113において軸方向D12に延在する部位である。底壁部113gは、壁部113において径方向D11に延在し弁座部112aを有する部位である。この弁本体11の軸方向D12の一端側には、弁室111に開口する円筒形状の弁ポート112と、円管状の第2継手132を接合するための第2接合部114(継手接合部)と、が設けられている。また、弁本体11の径方向D11の側面には、円管状の第1継手131を接合するための第1接合部116が設けられている。流体は、第1継手131と第2継手132との相互間を、弁室111及び弁ポート112を介して流れ、その流量が、弁室111に収容された弁体12によって弁ポート112の開度が変更されて調整される。
【0018】
弁体12は、先端部がテーパ状に形成された丸棒部材であり、軸方向D12について、弁ポート112とは反対側の端部から弁室111の内部に進入する弁ホルダ141によって、先端部が弁ポート112の近傍に位置するように支持されている。そして、弁ポート112に対して先端部が接近したり離れたりするように弁体12が軸方向D12に動かされることで弁ポート112の開度が変更される。また、弁体12の、弁ポート112とは反対側の端部が、弁ホルダ141を介して、弁体駆動用のステッピングモータ16のロータ軸162に連結されている。
【0019】
また、弁本体11における、弁ポート112とは反対側となる軸方向D12の他端側の開口には、縦長キャップ状の蓋部材18の下端開口が接合されている。蓋部材18は、下端開口側で弁本体11の開口と溶接等によって気密に固定され、ステッピングモータ16のロータ軸162やマグネットロータ161を収容するロータ室181を形成する。
【0020】
また、弁本体11における蓋部材18側の開口内縁には弁ホルダ141を軸方向D12に移動可能に支持する支持部材142が取り付けられている。この支持部材142は、軸方向D12の中間部で弁本体11の開口内縁に取り付けられ、弁本体11の内側に、弁ホルダ141を収容して軸方向D12にガイドするガイド空間が形成されている。弁室111とロータ室181は、支持部材142と弁ホルダ141との間の間隙を介し連通されている。更に、支持部材142における弁ポート112とは反対側に、ステッピングモータ16のロータ軸162の雄ねじ部が螺合する雌ねじ部が形成されている。ロータ軸162は、雄ねじ部が雌ねじ部と螺合した状態で支持部材142における弁ホルダ141のガイド空間に進入し、その先端部が弁ホルダ141を介して弁体12の端部に連結されている。
【0021】
ステッピングモータ16は、ロータ軸162の他に、ロータ軸162に固着されたマグネットロータ161と、蓋部材18の外側においてマグネットロータ161に対応するように配置されたステータコイル163と、を備えている。ステータコイル163にパルス信号が与えられることにより、そのパルス数に応じてマグネットロータ161が回転されてロータ軸162が回転する。すると、そのロータ軸162の雄ねじ部と支持部材142の雌ねじ部とで構成されるねじ送り機構によって、ロータ軸162が軸方向D12に進退し、弁ホルダ141によって連結された弁体12がロータ軸162とともに進退する。これにより、弁体12の先端部と弁ポート112との距離が変わって弁ポート112の開度が変更されることとなる。
【0022】
また、ロータ軸162における弁ポート112とは反対側の端部は、蓋部材18の内面における軸方向D12の端面から垂下した円筒状のロータガイド171の内側に挿入されて支持されている。更に、このロータガイド171の外周にはマグネットロータ161に対する回転ストッパ機構172が設けられている。この回転ストッパ機構172によって、ロータ軸162、つまりは弁体12の、軸方向D12の移動上下限が規定されている。
【0023】
以上の構成により、ステッピングモータ16が駆動されると、マグネットロータ161及びロータ軸162が回転し、上記のねじ送り機構により、ロータ軸162が軸方向D12に進退する。この回転に伴うロータ軸162の進退によって弁ホルダ141と共に弁体12が軸方向D12に進退する。弁体12は、その先端部の軸方向D12の進退によって弁ポート112の開口面積、つまり開度を変更する。そして、第1継手131から第2継手132へ、あるいは第2継手132から第1継手131へ流れる流体の流量が、弁ポート112の開度に応じた流量に制御される。
【0024】
ここで、弁本体11は、上述したように金属塊を引き延ばして形成された金属棒の切削加工等により形成される。この素材となる金属塊に微細な気泡が含まれている場合がある。このような金属塊を引き延ばして金属棒を成形すると、気泡も一緒に引き伸ばされ、軸方向D12に連続した連通路が形成されてしまう場合がある。そして、この連通路によって弁本体の内部空間と外部空間とが連通されてしまうと、流体が外部に漏出する可能性がある。尚、本実施形態では、弁本体11の形成時の引き延ばし方向が軸方向D12となっている。このため、連通路は弁本体11の径方向D11には連続して形成されないので、弁室111の筒壁部113eにおいて、内部空間と外部空間とが連通される恐れは極めて低い。
【0025】
弁本体11の壁部113は、第2接合部114よりも径方向D11の外側に位置するとともに、内部空間に露出する内部露出面113-1と外部空間に露出する外部露出面113-2とが軸方向D12について互いに背向して重なった形状を有する特定壁部113cを有している。
図1には、壁部113における内部露出面113-1及び外部露出面113-2のそれぞれが太線で模式的に図示されており、特定壁部113cが、弁本体11の壁部113においてハッチングが除去された白抜きのエリアとして図示されている。この特定壁部113c以外の部分では、上述の連通路は弁本体11の径方向D11には連続して形成されないことに加え、その内部に軸方向D12の連通部が形成されていたとしても、軸方向D12の端部が、第1継手131や蓋部材18との溶接部や第2継手132の端部によって塞がれるか、第2継手132の流路中に位置することになる。このため、特定壁部113c以外の部分においては、弁本体11の内部空間と外部空間とを連通する恐れは無い。他方、上記の特定壁部113cについては、特定壁部113cにおける内部露出面113-1である特定内部露出面113aと、特定壁部113cにおける外部露出面113-2である特定外部露出面113bと、が互いに背向して軸方向D12に重なっているので、ここに図中に点線で示されているような連通路113dが形成されると、内部空間と外部空間とが連通される恐れが生じる。そこで、本実施形態では、このような連通路113dによる流体の漏出(外部リーク)を抑制するために、特定壁部113cに以下のような構成が設けられている。
【0026】
図2は、
図1に示されている弁本体における特定壁部に、連通路による流体の漏出(外部リーク)を抑制するために設けられた構成を示す図である。
【0027】
この
図2に示されているように、弁本体11における特定壁部113cの特定内部露出面113a及び特定外部露出面113bのうちの特定内部露出面113aに封孔処理部115が設けられている。この封孔処理部115は、特定壁部113cの内部に連通路113dが形成されていた場合に、その軸方向D12の端部開口を特定内部露出面113a側で次のように塞ぐ部位となっている。
【0028】
図3は、
図2に示されている封孔処理部が、連通路の端部開口を塞ぐ様子を示す模式図である。
【0029】
本実施形態では、封孔処理部115がろう材被膜によって構成されている。このろう材被膜は、弁本体11の特定壁部113cの特定内部露出面113aにおける筒壁部113e側にセットされたリング状のろう材115aが溶融して形成されたものである。
図3(A)に溶融前のリング状のろう材115aが示されており、
図3(B)に溶融して流れているろう材115aが示されている。溶融したろう材115aは、特定内部露出面113aを弁ポート112の側へと流れて拡がる。その際、特定壁部113cに連通路113dが形成されていると、その端部開口から溶融したろう材115aが浸透して当該端部開口が塞がれることとなる。
【0030】
ここで、本実施形態では、特定内部露出面113aに連続して弁ポート112を構成する弁座部112aには、弁ポート112を囲んで周方向D13に連続する溝部112bが設けられている。更に、溝部112bは、弁座部112aにおいて、第2接合部114よりも径方向D11の内側となる中途位置に位置するように設けられている。この溝部112bは、径方向D11の断面形状がV字状のV字溝となっている。弁ポート112側へと流れる溶融したろう材115aが、この溝部112bに溜まることで、弁体12が対向する弁座112cまでろう材115aが流れてしまわないように、その手前で流れが規制される。尚、本実施形態では、溝部112bが、弁座部112aにおいて特定内部露出面113aから径方向D11の内側に離れた中途位置に形成されている。しかしながら、溝部112bの位置は、このような位置に限るものではなく、弁座部112aにおける特定内部露出面113aとの境界端部、つまり、第2接合部14と軸方向D12に見て重なる位置であってもよい。
【0031】
そして、このように流れたろう材115aが固化して
図2に示されているような封孔処理部115が、連通路113dの端部開口を塞ぐように、特定内部露出面113aに形成されることとなる。
【0032】
以上に説明した第1実施形態の弁装置10によれば、封孔処理部115が設けられることで、特定壁部113cの内部に連通路113dがあったとしても、この連通路113dの軸方向D12の端部開口が封孔処理部115によって塞がれることになる。その結果、弁本体11の内部空間と外部空間とが連通されることなく、流体の漏出(外部リーク)を抑制することができる。
【0033】
ここで、本実施形態では、封孔処理部115は、特定壁部113cの特定内部露出面113aに溶融したろう材115aを付着させて形成されたろう材被膜によって構成されている。この構成によれば、溶融したろう材115aが、
図3(B)に示されているように、その付着面における端部開口から連通路113dに浸透してろう材被膜が形成されるので、封孔処理の確度を向上させることができる。尚、本実施形態では、特定内部露出面113aにセットされたリング状のろう材115aにて封孔処理を行ったが、これに限らず棒状のろう材にて差しろうを行い、封孔処理を行ってもよい。
【0034】
また、本実施形態では、特定内部露出面113aに連続した弁座部112aに、弁ポート112を囲んで周方向D13に連続する溝部112bが設けられている。この構成によれば、特定内部露出面113aに溶融したろう材115aを付着させて形成されたろう材被膜によって封孔処理部115を構成する場合に、溶融したろう材115aが弁座112cまで流れてしまわないように、その流れを規制することができる。尚、本実施形態では、溝部112bをV字溝で形成したが、これに限らずR溝や角溝等で形成してもよい。
【0035】
次に、
図1~
図3を参照して説明した第1実施形態の弁装置10に対する変形例について説明する。
【0036】
図4は、
図1~
図3を参照して説明した第1実施形態の弁装置に対する第1変形例を示す部分縦断面図であり、
図5は、
図1~
図3を参照して説明した第1実施形態の弁装置に対する第2変形例を示す部分縦断面図である。また、
図6は、
図1~
図3を参照して説明した第1実施形態の弁装置に対する第3変形例を示す部分縦断面図である。尚、これらの
図4~
図6では、
図1~
図3に示されている第1実施形態の構成要素と同等な構成要素のうち説明に必要なものに
図1~
図3と同じ符号が付されており、以下では、それらの構成要素についての重複説明を省略する。また、
図4~
図6のうち
図4及び
図6では、各変形例の弁装置20,30の部分断面図が、
図1~
図3とは上下逆向きに示されている。他方、
図5では、部分断面図が、
図1~
図3と同じ向きに示されている。
【0037】
まず、第1変形例の弁装置20では、
図4に示されているように、弁本体11の壁部113における特定壁部113cの特定外部露出面113bに封孔処理部215が設けられている。特定外部露出面113bは、弁本体11の壁部113において、円管状の第2継手132を嵌入させるための円筒突起のリング状の突起端面113b-1と、その根元から径方向D11の外側に延在するリング状の根本端面113b-2と、で構成される。突起端面113b-1及び根本端面113b-2は、何れも、特定内部露出面113aに背向し径方向D11に延在する面となっている。また、根本端面113b-2は、その更に外側の、筒壁部113eにおいて第2継手132側となる継手側端面113fと面一に連続している。
【0038】
本変形例では、ろう材被膜によって構成される封孔処理部215が、上記の突起端面113b-1、根本端面113b-2、及び継手側端面113fに形成されている。これにより、特定壁部113cに連通路113dが形成されていたとしても、特定外部露出面113b側からその端部開口が塞がれることとなる。
【0039】
また、本変形例でも、第1実施形態と同様に、弁座部112aに溝部112bが形成されている。この溝部112bは、本変形例において、特定外部露出面113bに加えて特定内部露出面113aにも封孔処理部215を形成する場合に、上述したように溶融したろう材の流れを規制する役割を果たす。尚、弁座部112aに設ける溝部112bは、上述したように弁座部112aにおけるどのような位置に設けてもよい。更に、ここまでに説明した第1変形例や上述の第1実施形態と異なり、特定内部露出面と特定外部露出面の両方に封孔処理部が形成される場合は、弁本体に次のような構造を設けることとしてもよい。即ち、弁座の手前で溶融ろう材の流れを規制可能な、例えば溝等といった規制構造を弁座部よりも外側に設けることとしてもよい。
【0040】
ここで、以上に説明した第1変形例では、根本端面113b-2から突起端面113b-1に軸方向D12に垂直に連続した側面113hは、特定外部露出面113bではなく、封孔処理部215が形成されなくてもよい。これに対し、
図5を参照して説明する第2変形例においては、封孔処理部の形成範囲が異なったものとなる。
【0041】
尚、第2変形例を図示する
図5では、
図1~
図4に示されている符号の中から説明に必要なものが抜粋されて「’」が付されて示されるとともに、追加された符号についても「’」が付されて示されている。
【0042】
この
図5に示されている第2変形例の弁装置20’では、特定壁部113c’において、根本端面113b-2’から突起端面113b-1’へと、軸方向D12’に外径が狭まり延在して外側斜面113b-3’が周方向D13’に連続して形成されている。この第2変形例では、外側斜面113b-3’が、径方向D11’に延在した部分を有するので特定外部露出面113b’の一部となる。更に、第2変形例の弁装置20’では、特定内部露出面113a’が、弁座部112a’に連続した底面113a-1’と、この底面113a-1’から筒壁部113e’の内面113e-1’へと、軸方向D12’に内径が広がるように延在し、周方向D13’に連続して形成された内側斜面113a-2’と、を有している。この内側斜面113a-2’も径方向D11’に延在した部分を有するので特定内部露出面113a’の一部となる。
【0043】
そして、第2変形例の弁装置20’では、内側斜面113a-2’を含む特定内部露出面113a’と、外側斜面113b-3’を含む特定外部露出面113b’と、の両方に封孔処理部115’が形成されている。また、本変形例でも、特定外部露出面113b’の封孔処理部115’は、筒壁部113e’の継手側端面113f’まで延在するように形成されている。
【0044】
尚、上述のように内側斜面113a-2’を含む特定内部露出面113a’と外側斜面113b-3’を含む特定外部露出面113b’とを有する特定壁部113c’においても、本変形例とは異なり、特定内部露出面113a’及び特定外部露出面113b’のうちの何れか一方のみに封孔処理部115’を形成することとしてもよい。
【0045】
また、本変形例でも、第1実施形態と同様に、弁座部112a’に溝部112b’が形成されている。この溝部112b’は、特定内部露出面113a’に封孔処理部115’が形成される際に、上述したように溶融したろう材の流れを規制する役割を果たす。
【0046】
次に、
図6を参照して第3変形例について説明する。この第3変形例の弁装置30は、まず、弁本体31における第2継手132との接合形状が、上述の第1実施形態や第1変形例と異なっている。この第3変形例では、弁本体31の壁部313おける第2継手132との接合側の底壁313gが肉厚に形成され、第2継手132の端部が嵌入されてろう付け接合される円筒状の窪み313hが形成されている。
【0047】
また、第2継手132をろう付け接合した第2接合部314(継手接合部)よりも径方向D11の外側の位置から第2継手132まで径方向D11及び周方向D13に連続して特定壁部313cの特定外部露出面313bにリング状の凹部313iが設けられている。この凹部313iは、特定外部露出面313bをその内側に含むように、特定壁部313cの特定外部露出面313bを越え、その外周側における筒壁部313eの継手側端面313fの途中まで延在して形成されている。そして、この凹部313iを埋めるように設けられたろう材被膜によって封孔処理部315が形成されている。これにより、特定壁部313cにおける連通路313dは、特定外部露出面313bの側からその端部開口が塞がれることとなる。また、本変形例でも、第1実施形態及び第1変形例と同様に、弁座部112aに溝部112bが形成されている。尚、本変形例では、凹部313iが特定外部露出面313bの径方向D11の外周側まで延在するように形成されている。しかしながら、凹部は、これに限るものではなく、軸線方向D12に見て特定外部露出面313bからはみ出さないように重なる位置に形成されることとしてもよい。
【0048】
以上に説明した第1~第3変形例の弁装置20,20’,30によっても、上述の第1実施形態と同様に、弁本体11,11’,31の内部空間と外部空間とが連通されることなく、流体の漏出(外部リーク)を抑制することができることは言うまでもない。
【0049】
また、上述の第3変形例の弁装置30では、特定外部露出面313bに凹部313iが設けられ、当該凹部313iを埋めるようにろう材被膜が設けられることで封孔処理部315が形成されている。この構成によれば、特定外部露出面313bにおいて、第2継手132の外周囲であって連通路313dの開口想定領域に形成された凹部313iに溶融したろう材を保持し易くなる。これにより、第2接合部314にろう材による溶融固化層を形成し易くなり、特定外部露出面313bでの封孔処理の確度を一層向上させることができる。
【0050】
次に、第2実施形態について説明する。
【0051】
図7は、本発明の第2実施形態の弁装置を示す縦断面図と、図中のV41-V41線に沿った軸断面図である。
【0052】
この
図7に示されている弁装置40では、弁本体41において、第2継手432(継手)の端部が嵌め込まれる円環状の嵌入溝417が弁本体41の弁ポート412側の端部に形成されている。この第2継手432の端部が嵌入溝417に嵌め込まれ、第2継手432の外周面と嵌入溝417の外周端面で構成される入隅部に、径方向D41の外側からろう材419が充填されて溶融される。すると、溶融したろう材419が第2継手432の外周面等を伝い、嵌入溝417における第2継手432の内周側まで流れる。このろう材419の固化により第2継手432を弁本体41に接合した第2接合部414(継手接合部)が構成される。
【0053】
また、弁本体41における弁ポート412とは反対側の開口には、弁ガイド部材441が圧入されて、その中央を弁体42が、軸線L41に沿った軸方向D42に移動可能に貫通している。弁体42は、この弁ガイド部材441によって、テーパ状の先端部が弁ポート412に進入した状態で軸方向D42に進退するように動かされ、その進退によって弁ポート412の開度を変更する。また、弁体42における弁ポート412とは反対側の端部は、弁ホルダ442を介して不図示のステッピングモータのロータ軸に連結されている。そして、弁本体41における弁ポート412とは反対側の開口には、弁ホルダ442やロータ軸等を収容するように筒状の下蓋部材48の下端開口が接合されている。下蓋部材48は、下端開口側で弁本体41の開口とろう付け等によって気密に固定されている。
【0054】
ここで、本実施形態では、弁本体41の壁部413のうち、第2接合部414よりも径方向D41の外側に位置するとともに、内部露出面413-1と外部露出面413-2とが軸方向D42について互いに背向して重なった形状を有する特定壁部413cが筒壁部413eに位置する。尚、ここにいう特定壁部413cの内部露出面413-1である特定内部露出面413aは、下蓋部材48の内側に露出している面である。また、下蓋部材48の内側は弁室411と連通し、内部空間416の一部を構成する。即ち、内部空間416は、下蓋部材48の内側と弁室411とを含んでいる。本実施形態では、下蓋部材48における弁本体41とは反対側が開口しており、その開口に、縦長キャップ状の蓋部材(不図示)の下端開口が接合されている。
【0055】
特定壁部413cにおける特定外部露出面413bは、特定内部露出面413aと、軸方向D42に背向して重なる外面である。また、特定壁部413cは、図中下側の軸断面図に示されているように、C字型の断面形状を有する。このC字型の断面形状の内側輪郭は、円管状の第2継手432の外周に沿った曲線となる。本実施形態では、この内側輪郭の両端部が、径方向D41から壁部413を貫通して弁本体41に接合された第1継手431の内縁に略重なるように第1継手431が接合されている。その結果、C字型の断面形状を有する特定壁部413cの、周方向D43の端部間は、仮に軸方向D42に連通路が形成されたとしてもその中途が第1継手431及び第1接合部418のろう材で遮られることとなる。つまりは、当該部位の連通路が内部空間416と外部空間を連通することはない。他方、特定壁部413cの内部に軸方向D42の連通路413dが形成されると、内部空間416と外部空間とが連通される恐れが生じる。そこで、本実施形態では、このような連通路413dによる流体の漏出(外部リーク)を抑制するために、特定壁部413cに以下のような封孔処理部415が設けられている。尚、下蓋部材48や第1継手431、第2継手432は、薄板からのプレス成形等で形成されており、弁本体41の素材の金属棒とは異なるので、上述の気泡に起因した連通路がなく流体が外部に漏出する可能性は極めて低い。
【0056】
本実施形態における封孔処理部415は、軸方向D42からの平面視でC字状を有する特定壁部413cの特定内部露出面413aを軸方向D42に塑性変形させて形成された塑性変形部によって構成されている。この塑性変形は、下蓋部材48の取付け前に、円筒状の圧縮治具A41の端部を特定内部露出面413aに押当てて軸方向D42に圧縮することで行われる。この塑性変形の後、圧縮治具A41が取り去られて下蓋部材48の取付け等が行われる。尚、上述の塑性変形は、下蓋部材48の弁本体41への接合後に行ってもよい。
【0057】
以上に説明した第2実施形態の弁装置40によれば、特定壁部413cの特定内部露出面413aに設けられた封孔処理部415によって連通路413dの端部開口が内部空間416の側で潰されて塞がれることになる。その結果、弁本体41の内部空間416と外部空間とが連通されることなく、流体の漏出(外部リーク)を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、封孔処理部415が塑性変形部によって構成されている。この構成によれば、弁本体41の壁部413における一部を塑性変形させた塑性変形部によって封孔処理部415が構成されるので、追加の部材を要することなく部品点数を抑えて容易に封孔処理を行うことができる。
【0059】
尚、以上に説明した第1及び第2実施形態及び第1~第3変形例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によっても尚本発明の弁装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0060】
例えば、上述の第1及び第2実施形態及び第1~第3変形例の説明では、弁装置10~40の適用について特定していない。これらの弁装置10~40は、電動弁、メカ式膨張弁、手動式開閉弁、及び電磁弁といった各種弁に適用することができる。
【0061】
また、上述の第1及び第2実施形態及び第1~第3変形例の説明では、弁装置の一例として、弁ポート112,112’,412が、弁本体11~41と一体に構成された弁装置10~40が例示されている。しかしながら、弁装置は、これに限るものではなく、弁ポートを有する弁座部材と弁本体とが別体に構成されたものとしてもよい。
【0062】
また、上述の第1及び第2実施形態の説明では、封孔処理部の一例として、特定壁部113c,413cの特定内部露出面113a,413aのみに設けられた封孔処理部115,415が例示されている。また、第1及び第3変形例の説明では、特定壁部113c,313cの特定外部露出面113b,313bのみに設けられた封孔処理部215,315が例示されている。しかしながら、封孔処理部は、これらに限るものではなく、例えば第2変形例に例示されているように、特定壁部113c’の特定内部露出面113a’及び特定外部露出面113b’の両方に設けられるものであってもよい。また、第1実施形態や第1~第3変形例の説明では、特定壁部113c,113c’,313cの特定内部露出面113a,113a’や特定外部露出面113b,113b’,313bの径方向D11,D11’の内外に若干拡がってろう材被膜が形成された封孔処理部115,115’,215,315が例示されている。しかしながら、封孔処理部は、これらに限るものでもなく、特定壁部の特定内部露出面及び特定外部露出面の少なくとも一方に設けられるものであれば、特定内部露出面や特定外部露出面の面内のみに設けられるものであってもよい。また、特定内部露出面や特定外部露出面の面外までろう材被膜が拡がって形成される場合であっても、その具体的な拡がりの態様については適宜に設定し得るものである。
【0063】
また、上述の第1実施形態や第1~第3変形例の説明では、封孔処理部の一例として、溶融したろう材を付着させて形成されたろう材被膜によって構成された封孔処理部115,115’,215,315が例示されている。しかしながら、封孔処理部は、これらに限るものではなく、例えば、第2実施形態のように塑性変形部によって構成される封孔処理部415であってもよい。また、特定壁部の特定内部露出面や特定外部露出面への付着材によって構成される封孔処理部であっても、上述のようなろう材被膜によって構成されるものに限るものではない。例えば、塗装、アルマイト等の陽極酸化被膜処理、あるいは、溶融金属系封孔処理剤や樹脂系封孔処理剤等の溶射によって形成される各種膜によって構成されたもの等であってもよい。ただし、ろう材被膜によって構成される封孔処理部115,115’,215,315によれば、封孔処理の確度を向上させることができる点は上述した通りである。
【0064】
また、上述の第3変形例の説明では、封孔処理部を構成するろう材被膜の一例として、特定外部露出面313bに設けられた凹部313iを埋めるように設けられて封孔処理部315を構成するろう材被膜が例示されている。しかしながら、ろう材被膜は、これに限るものではなく、例えば、第1実施形態や第1及び第2変形例に示されているように、特定内部露出面113a,113a’や特定外部露出面113b,113b’に凹部を設けずに形成されるものであってもよい。ただし、ろう材被膜の形成面に凹部313iを設けることで、継手接合部にろう材による溶融固化層を形成し易くなるとともに、特定外部露出面313bでの封孔処理の確度を一層向上させることができる点は上述した通りである。
【0065】
また、上述の第3変形例の説明では、ろう材を溜める凹部の一例として、特定壁部313cの特定外部露出面313bを越え、その外周側における筒壁部313eの継手側端面313fの途中まで延在するように形成された凹部313iが例示されている。しかしながら、凹部は、これに限るものではなく、継手接合部よりも径方向の外側の位置から継手まで径方向及び周方向に連続し、且つ、少なくとも特定外部露出面を内側に含む範囲に設けられるものであれば、その具体的な形成範囲等は適宜に設定し得るものである。
【0066】
また、上述の第2実施形態の説明では、封孔処理部の一例として、塑性変形部によって構成される封孔処理部415が例示されている。しかしながら、封孔処理部は、これに限るものではなく、例えば、第1実施形態や第1及び第3変形例のようにろう材被膜によって構成されるもの等であってもよい。ただし、弁本体の壁部における一部を変形させた塑性変形部によって封孔処理部415を構成することによれば、追加の部材を要することなく部品点数を抑えて容易に封孔処理を行うことができる点は上述した通りである。
【0067】
また、上述の第2実施形態の説明では、封孔処理部を構成する塑性変形部の一例として、円筒状の圧縮治具A41の端部の押し当てによって特定内部露出面413aに形成される塑性変形部が例示されている。しかしながら、塑性変形部は、これに限るものではなく、円筒状以外の他形状の治具の押し当てによって形成されるものであってもよく、あるいは、治具の押し当て以外の、例えばショットピーニング等によって形成されるもの等であってもよい。また、塑性変形部の形成部位も、特定壁部の特定内部露出面に限るものではなく、特定外部露出面であってもよく、また、特定内部露出面及び特定外部露出面の両方であってもよい。
【0068】
また、上述の第1実施形態や第1~第3変形例の説明では、弁本体の一例として、弁座部112a,112a’に、弁ポート112,112’を囲んで周方向D13,D13’に連続する溝部112b,112b’が設けられた弁本体11,11’,31が例示されている。しかしながら、弁本体は、これに限るものではなく、弁座部に如何なる溝部も設けないものであってもよい。ただし、溝部112b,112b’を設けることで、溶融したろう材115aが弁座112c,112c’まで流れてしまわないように、その流れを規制することができる点は上述した通りである。
【0069】
また、上述の第1実施形態の説明では、弁座部に溝部が設けられた弁本体の一例として、弁座部112cに連続した特定内部露出面113aに封孔処理部115が形成された弁本体11が例示されている。また、第1及び第3変形例の説明では、溝部112bの形成側とは反対側の特定外部露出面113b,313bに封孔処理部215,315が形成された弁本体11,31が例示されている。更に、第2変形例の説明では、溝部112b’の形成側である特定内部露出面113a’と、その反対側の特定外部露出面113b’との両方に封孔処理部115’が形成された弁本体11’が例示されている。しかしながら、弁座部に溝部が設けられた弁本体は、これらに限るものではなく、特定外部露出面における封孔処理部の形成有無に依らず、溝部の形成側となる特定内部露出面には必ずろう材被膜の封孔処理部を設けることとしてもよい。ただし、特定内部露出面のみに封孔処理部を設けた時の、弁座部の溝部の位置については上述したように、弁座部における径方向の中途位置であってもよく、あるいは、特定内部露出面との境界端部であってもよい。また、弁座部に溝部を設けるとともに、特定外部露出面に塑性変形部の封孔処理部を設けることとしてもよい。そして、この場合に、弁座部に連続した特定内部露出面にろう材被膜の封孔処理部を設けることとしてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
10,20,20’,30,40 弁装置
11,11’,31,41 弁本体
12,42 弁体
18 蓋部材
48 下蓋部材
111,411 弁室
112,112’,412 弁ポート
112a,112a’ 弁座部
112b,112b’ 溝部
113,313,413 壁部
113-1,413-1 内部露出面
113-2,413-2 外部露出面
113a,113a’,413a 特定内部露出面
113a-1’ 底面
113a-2’ 内側斜面
113b-1,113b-1’ 突起端面
113b-2,113b-2’ 根本端面
113b-3’ 外側斜面
113b,113a’,313b,413b 特定外部露出面
113c,113c’,313c,413c 特定壁部
113d,313d,413d 連通路
114,314,414 第2接合部(継手接合部)
115,115’,215,315,415 封孔処理部
115a ろう材
116,418 第1接合部
131,431 第1継手
132,432 第2継手(継手)
313i 凹部
D11,D11’,D41 径方向
D12,D12’,D42 軸方向
D13,D13’,D43 周方向