(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0217 20230101AFI20231218BHJP
【FI】
G06Q30/0217
(21)【出願番号】P 2021101412
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ キクカ
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-177262(JP,A)
【文献】特開2019-091356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0103950(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサービスを利用するユーザの操作履歴、閲覧履歴、及び購買履歴のうち、少なくともいずれかを変換して取得される特徴量を、当該特徴量を入力すると所定の行動である負のコンバージョンに至る可能性を示す第1スコア
を出力する第1モデルに入力することで、当該第1スコアを算出する第1算出部と、
所定のサービスを利用するユーザの操作履歴、閲覧履歴、及び購買履歴のうち、少なくともいずれかを変換して取得される特徴量を、当該特徴量を入力するとインセンティブが付与された場合に前記負のコンバージョンに至る可能性を示す第2スコア
を出力する第2モデルに入力することで、当該第2スコアを算出する第2算出部と、
前記第1算出部により算出された第1スコアと、前記第2算出部により算出された第2スコアとの差分が所定の条件を満たすユーザを特定する特定部と、
前記特定部によって特定されたユーザに対して、前記インセンティブを付与するための情報を提供する提供部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1モデルは、前記負のコンバージョンに至った一群のユーザについて、当該ユーザの特徴量と当該負のコンバージョンのコンバージョン結果との関係を機械学習によって学習することで生成されたモデルであり、
前記第2モデルは、前記インセンティブが付与された場合に前記負のコンバージョンに至った一群のユーザについて、当該ユーザの特徴量と当該負のコンバージョンのコンバージョン結果との関係を機械学習によって学習することで生成されたモデルである
ことを特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、
前記差分が大きいほど、前記インセンティブが付与された場合に前記負のコンバージョンに至らないと推定される前記ユーザを特定する
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
所定のサービスを利用するユーザの操作履歴、閲覧履歴、及び購買履歴のうち、少なくともいずれかを変換して取得される特徴量を、当該特徴量を入力すると所定の行動である負のコンバージョンに至る可能性を示す第1スコア
を出力する第1モデルに入力することで、当該第1スコアを算出する第1算出部と、
所定のサービスを利用するユーザの操作履歴、閲覧履歴、及び購買履歴のうち、少なくともいずれかを変換して取得される特徴量を、当該特徴量を入力するとインセンティブが付与された場合に前記負のコンバージョンに至る可能性を示す第2スコア
を出力する第2モデルに入力することで、当該第2スコアを算出する第2算出部と、
前記第1算出部により算出された第1スコアと、前記第2算出部により算出された第2スコアとの差分が所定の条件を満たすユーザを特定する特定部と、
前記特定部によって特定されたユーザに対して、前記インセンティブを付与するための情報を提供する提供部と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
所定のサービスを利用するユーザの操作履歴、閲覧履歴、及び購買履歴のうち、少なくともいずれかを変換して取得される特徴量を、当該特徴量を入力すると所定の行動である負のコンバージョンに至る可能性を示す第1スコア
を出力する第1モデルに入力することで、当該第1スコアを算出する第1算出部と、
所定のサービスを利用するユーザの操作履歴、閲覧履歴、及び購買履歴のうち、少なくともいずれかを変換して取得される特徴量を、当該特徴量を入力するとインセンティブが付与された場合に前記負のコンバージョンに至る可能性を示す第2スコア
を出力する第2モデルに入力することで、当該第2スコアを算出する第2算出部と、
前記第1算出部により算出された第1スコアと、前記第2算出部により算出された第2スコアとの差分が所定の条件を満たすユーザを特定する特定部と、
前記特定部によって特定されたユーザに対して、前記インセンティブを付与するための情報を提供する提供部と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インセンティブが付与された場合にユーザが所定の行動を行う可能性と、インセンティブが付与されなかった場合にユーザが所定の行動を行う可能性とに基づいて、ユーザにインセンティブを付与する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、負のコンバージョンに対する抑止効果の向上を促進するために更なる改善の余地があった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、負のコンバージョンに対する抑止効果の向上を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、所定の行動である負のコンバージョンに至る可能性を示す第1スコアを算出する第1算出部と、インセンティブが付与された場合に前記負のコンバージョンに至る可能性を示す第2スコアを算出する第2算出部と、前記第1算出部により算出された第1スコアと、前記第2算出部により算出された第2スコアとの差分が所定の条件を満たすユーザを特定する特定部と、前記特定部によって特定されたユーザに対して、前記インセンティブを付与するための情報を提供する提供部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、負のコンバージョンに対する抑止効果の向上を促進することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る所定の行動を行う可能性を分類した分類の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るユーザ情報記憶部の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るモデル記憶部の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
〔1.情報処理システムの構成〕
図1に示す情報処理システム1について説明する。
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置10と、情報処理装置100とが含まれる。端末装置10と、情報処理装置100とは所定の通信網(ネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。なお、
図1に示した情報処理システム1には、複数台の端末装置10や、複数台の情報処理装置100が含まれてもよい。
【0011】
端末装置10は、ユーザによって利用される情報処理装置である。端末装置10は、実施形態における処理を実現可能であれば、どのような装置であってもよい。また、端末装置10は、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA等の装置であってもよい。
図2に示す例においては、端末装置10がスマートフォンである場合を示す。
【0012】
端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット等のスマートデバイスであり、3G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の無線通信網を介して任意のサーバ装置と通信を行うことができる携帯端末装置である。また、端末装置10は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、ユーザから指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、コンテンツ等の表示データに対する各種の操作を受付けてもよい。
【0013】
図2では、端末装置10
1はユーザU11によって利用され、端末装置10
2はユーザU12によって利用され、端末装置10
3はユーザU13によって利用される。なお、以下では、端末装置10
1、10
2及び10
3を区別する必要のないときは、「端末装置10」と表記する。また、ユーザU11、U12及びU13を区別する必要のないときは、単に「ユーザ」と表記する。また、以下では、端末装置10をユーザと表記する場合がある。すなわち、以下では、ユーザを端末装置10と読み替えることもできる。
【0014】
情報処理装置100は、インセンティブが付与されなかった場合に負のコンバージョンに至る可能性(例えば、確率)を示すスコア(以下、適宜、「第1スコア」とする。)と、インセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至る可能性を示すスコア(以下、適宜、「第2スコア」とする。)とに基づいて、負のコンバージョンに至らないように、負のコンバージョンに対する抑止効果の向上を促進するための情報処理装置であり、例えば、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。例えば、情報処理装置100は、第1スコアと第2スコアとをユーザごとに算出し、第1スコアと第2スコアとの差分に基づいて特定されたユーザに対して、インセンティブを付与するための情報を提供する機能を有する。情報処理装置100は、例えば、ユーザが利用する所定のサービスを管理するサーバ装置やクラウドシステム等により実現される。なお、以下では、第1スコア及び第2スコアを区別する必要のないときは、「スコア」と表記する。
【0015】
〔2.情報処理の一例〕
以下実施形態では、説明の便宜上、負のコンバージョンの対象となる所定の行動として、所定のサービスを退会する行動を例に挙げて説明するが、この例に限られないものとする。例えば、負のコンバージョンの対象となる所定の行動とは、所定のサービスでの購入を辞める行動や、所定のサービスへの入会を辞める行動であってもよく、所定のサービスに対して悪影響を及ぼし得る所定の行動(すなわち、コンバージョン)、ユーザに対して悪影響を及ぼし得る所定の行動等、所定の観点から見て不利益が生じうる行動であれば任意の行動を負のコンバージョンとしてもよい。
【0016】
図2は、実施形態に係る情報処理システム1の情報処理の一例を示す図である。
図2では、端末装置10を介してユーザにインセンティブの付与を行うものとする。なお、インセンティブとは、例えば、クーポン、特典、キャッシュバック、金銭など、ユーザに還元可能なものであればどのようなものであってもよい。
【0017】
情報処理装置100は、負のコンバージョンの対象となる所定の行動を特定する(ステップS101)。例えば、情報処理装置100は、ユーザが利用する所定のサービスの管理者から受け付けられた情報に基づいて、負のコンバージョンの対象となる所定の行動を特定する。
図2では、所定のサービスの管理者が、所定のサービスを退会する行動を、負のコンバージョンの対象となる所定の行動として定めたものとして説明する。このため、情報処理装置100は、所定のサービスを退会する行動を、所定の行動として特定する。
【0018】
ここで、ユーザが所定の行動を行う可能性について説明する。ユーザが所定の行動を行う可能性は、インセンティブの付与との関係に基づいて、例えば4つに分類され得る。
図3は、インセンティブの付与との関係に基づいて、ユーザが所定の行動を行う可能性を4つに分類した分類の一例を示す図である。分類BR11では、インセンティブが付与された場合にユーザが断固所定の行動を行う可能性が高いと推定される。分類BR12では、インセンティブが付与されなかった場合にユーザが所定の行動を行う可能性が高いと推定される。分類BR13では、インセンティブが付与された場合にユーザが所定の行動を行わない可能性が高いと推定される。換言すると、分類BR13では、インセンティブの付与で説得可能な可能性が高いと推定される。分類BR14では、インセンティブが付与されなかった場合にユーザが断固所定の行動を行わない可能性が高いと推定される。なお、このような、所定の行動を行う可能性の分類は、例えば所定のサービスを管理する管理者によって予め定められるものとする。そして、この分類に基づいて、ユーザは4つの分類BR11乃至BR14に分類される。例えば、操作履歴、閲覧履歴、購買履歴などのユーザ情報に基づいて、ユーザは4つの分類BR11乃至BR14に分類される。なお、4つの分類BR11乃至BR14に分類されたユーザは、各分類に応じた、所定の行動を行う可能性が高いと推定されたユーザである。例えば、分類BR11に分類されたユーザは、インセンティブが付与された場合にユーザが断固所定の行動を行う可能性が高いと推定されたユーザである。
【0019】
情報処理装置100は、分類BR11乃至BR14のうち、分類BR12及びBR13に分類されたユーザを後述する処理の対象として特定する(ステップS102)。
図2では、情報処理装置100が、ユーザU11乃至U13を特定したものとして説明する。情報処理装置100は、例えば、ユーザU11乃至U13のユーザ情報に基づいて、ユーザU11乃至U13を特定する。このため、ユーザU11乃至U13は、インセンティブが付与されなかった場合に退会する可能性が高いと推定されたユーザ、及び、インセンティブが付与された場合に退会しない可能性が高いと推定されたユーザのどちらかである。なお、
図2では、説明の便宜上、情報処理装置100が、ユーザU11乃至U13の3人のユーザを特定する場合を示すが、特定されるユーザの数は特に限定されないものとする。
【0020】
情報処理装置100は、特定されたユーザの特徴量を取得する(ステップS103)。
図2では、情報処理装置100は、ユーザU11乃至U13の特徴量を取得する。例えば、情報処理装置100は、特定されたユーザのユーザ情報に基づいて、ユーザ情報を特徴量に変換することにより、特定されたユーザの特徴量を取得する。なお、
図2では、情報処理装置100が、ユーザ情報を自身の例えば記憶部から取得する場合を示すが、この例に限られず、例えば、外部の情報処理装置から取得してもよいものとする。例えば、情報処理装置100は、ユーザ情報を、所定のサービスを管理するサーバ装置から取得してもよい。
【0021】
情報処理装置100は、ユーザの特徴量を入力すると、そのユーザが負のコンバージョンの対象となる退会を行う可能性を示す第1スコアを出力するモデル(以下、適宜、「第1モデル」とする。)を用いて、取得されたユーザの特徴量を入力することにより、第1スコアを算出する。
図2では、情報処理装置100は、ユーザU11乃至U13の特徴量をそれぞれ入力することで、ユーザごとに、第1スコアを算出する。ここで、情報処理装置100は、負のコンバージョンに至った一群のユーザの特徴量に基づいて、第1モデルを生成してもよい。例えば、情報処理装置100は、負のコンバージョンに至った一群のユーザの特徴量と、そのコンバージョン結果との組み合わせを正解データとして機械学習によって学習することで、第1モデルを生成してもよい。
【0022】
同様に、情報処理装置100は、ユーザの特徴量を入力すると、インセンティブが付与された場合にそのユーザが負のコンバージョンの対象となる退会を行う可能性を示す第2スコアを出力するモデル(以下、適宜、「第2モデル」とする。)を用いて、取得されたユーザの特徴量を入力することにより、第2スコアを算出する。
図2では、情報処理装置100は、ユーザU11乃至U13の特徴量をそれぞれ入力することで、ユーザごとに、第2スコアを算出する。ここで、情報処理装置100は、インセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至った一群のユーザの特徴量に基づいて、第2モデルを生成してもよい。例えば、情報処理装置100は、インセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至った一群のユーザの特徴量と、そのコンバージョン結果との組み合わせを正解データとして機械学習によって学習することで、第2モデルを生成してもよい。なお、以下では、第1モデル及び第2モデルを区別する必要のないときは、「モデル」と表記する。
【0023】
情報処理装置100は、算出された第1スコアと第2スコアとの差分が所定の条件を満たすユーザを特定する(ステップS104)。ここで、第1スコアと第2スコアとの差分が大きいほど、インセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至らないと推定され得る。このため、情報処理装置100は、差分が大きいほど、インセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至らないと推定されるユーザを特定する。例えば、情報処理装置100は、第1スコアと第2スコアとの差分が所定の閾値以上を満たすユーザを特定する。
図2では、情報処理装置100は、第1スコアと第2スコアとの差分が所定の閾値以上を満たすユーザとして、ユーザU11を特定するものとする。具体的には、ユーザU11乃至U13のスコアの差分を示すデータUD11に基づくと、ユーザU11乃至U13の差分は、それぞれ「0.5」、「0.1」、「0.2」であり、例えば所定の閾値が「0.3」である場合には、情報処理装置100は、ユーザU11の差分において有意差があると特定する。なお、所定の閾値は、例えば所定のサービスを管理する管理者によって予め定められるものとする。これにより、情報処理装置100は、退会する可能性が高いが、インセンティブが付与された場合に退会しない可能性が高いユーザを適切に特定することができる。
【0024】
情報処理装置100は、特定されたユーザに対して、インセンティブを付与するための情報を提供する(ステップS105)。この際、情報処理装置100が、インセンティブを付与するための処理を行ってもよいし、インセンティブを付与するための情報を、例えば、所定のサービスを管理するサーバ装置に提供し、所定のサービスを管理するサーバ装置が、インセンティブを付与するための処理を行ってもよい。
図2では、情報処理装置100が、ユーザU11にインセンティブを付与するための処理を行う場合を一例として示す。例えば、情報処理装置100は、ユーザU11に対して、所定のサービスで利用可能なクーポンを提供する。
【0025】
なお、上記実施形態において、情報処理装置100は、負のコンバージョンの対象となる所定の行動として、所定のサービスでの商品の購入を辞める行動を特定する場合には、例えばインセンティブが付与された場合に商品を購入する可能性が高いユーザを適切に特定することができるため、コンバージョン率の向上を促進することができる。
【0026】
〔3.端末装置の構成〕
次に、
図4を用いて、実施形態に係る端末装置10の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る端末装置10の構成例を示す図である。
図4に示すように、端末装置10は、通信部11と、入力部12と、出力部13と、制御部14とを有する。
【0027】
(通信部11)
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部11は、所定のネットワークNと有線又は無線で接続され、所定のネットワークNを介して、情報処理装置100等との間で情報の送受信を行う。
【0028】
(入力部12)
入力部12は、ユーザからの各種操作を受け付ける。
図2に示す例では、ユーザU11乃至U13からの各種操作を受け付ける。例えば、入力部12は、タッチパネル機能により表示面を介してユーザからの各種操作を受け付けてもよい。また、入力部12は、端末装置10に設けられたボタンや、端末装置10に接続されたキーボードやマウスからの各種操作を受け付けてもよい。
【0029】
(出力部13)
出力部13は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。例えば、出力部13は、情報処理装置100から送信された情報を表示する。
【0030】
(制御部14)
制御部14は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、端末装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。例えば、この各種プログラムには、端末装置10にインストールされたアプリケーションのプログラムが含まれる。例えば、この各種プログラムには、情報処理装置100から送信された情報を表示させるアプリケーションのプログラムが含まれる。また、制御部14は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0031】
図4に示すように、制御部14は、受信部141と、送信部142とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。
【0032】
(受信部141)
受信部141は、各種情報を受信する。受信部141は、外部の情報処理装置から各種情報を受信する。受信部141は、情報処理装置100等の他の情報処理装置から各種情報を受信する。例えば、受信部141は、インセンティブの付与に関する情報を受信する。例えば、受信部141は、インセンティブが付与された旨の情報を受信する。
【0033】
(送信部142)
送信部142は、外部の情報処理装置へ各種情報を送信する。送信部142は、情報処理装置100等の他の情報処理装置へ各種情報を送信する。例えば、送信部142は、所定のサービスに対する操作履歴、閲覧履歴、購買履歴などのユーザ情報を送信する。
【0034】
〔4.情報処理装置の構成〕
次に、
図5を用いて、実施形態に係る情報処理装置100の構成について説明する。
図5は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。
図5に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、情報処理装置100は、情報処理装置100の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0035】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、端末装置10等との間で情報の送受信を行う。
【0036】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図5に示すように、記憶部120は、ユーザ情報記憶部121と、モデル記憶部122とを有する。
【0037】
ユーザ情報記憶部121は、ユーザ情報を記憶する。ここで、
図6に、実施形態に係るユーザ情報記憶部121の一例を示す。
図6に示すように、ユーザ情報記憶部121は、「ユーザID」、「退会ステータス」、「ユーザ情報」といった項目を有する。
【0038】
「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。「退会ステータス」は、所定のサービスに対するユーザの退会に関するステータスを示す。例えば、ユーザが所定のサービスを退会済みか未退会かを示す。「ユーザ情報」は、ユーザ情報を示す。
図6に示す例では、「ユーザ情報」に「ユーザ情報#11」や「ユーザ情報#12」といった概念的な情報が格納される例を示したが、実際には、所定のサービスに対してユーザがログインしたログイン履歴などの操作情報が格納される。
【0039】
すなわち、
図6では、ユーザID「U11」によって識別されるユーザの退会ステータスが「未退会」であり、ユーザ情報が「ユーザ情報#11」である例を示す。
【0040】
モデル記憶部122は、退会を行う可能性を示すスコアを出力するモデルを記憶する。ここで、
図7に、実施形態に係るモデル記憶部122の一例を示す。
図7に示すように、モデル記憶部122は、「モデルID」、「モデル(算出式)」といった項目を有する。
【0041】
「モデルID」は、モデルを識別するための識別情報を示す。「モデル(算出式)」は、モデルを示す。
図7に示す例では、「モデル」に「モデル#11」や「モデル#12」といった概念的な情報が格納される例を示したが、実際には、モデルの算出式が格納される。
【0042】
すなわち、
図7では、モデルID「MO11」によって識別されるモデルの算出式が「モデル#11」である例を示す。
【0043】
(制御部130)
制御部130は、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0044】
図5に示すように、制御部130は、取得部131と、特定部132と、生成部133と、第1算出部134と、第2算出部135と、提供部136とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図5に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0045】
(取得部131)
取得部131は、各種情報を取得する。取得部131は、外部の情報処理装置から各種情報を取得する。取得部131は、端末装置10等の他の情報処理装置から各種情報を取得する。
【0046】
取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。取得部131は、ユーザ情報記憶部121やモデル記憶部122から各種情報を取得する。また、取得部131は、取得した各種情報を記憶部120に格納する。取得部131は、ユーザ情報記憶部121やモデル記憶部122に各種情報を格納する。
【0047】
取得部131は、負のコンバージョンの対象となる所定の行動を特定するために、例えばユーザが利用する所定のサービスの管理者から受け付けられた情報を取得する。
【0048】
取得部131は、操作履歴、閲覧履歴、購買履歴などのユーザ情報を取得する。また、取得部131は、ユーザ情報に基づくユーザの特徴量を取得する。
【0049】
(特定部132)
特定部132は、取得部131により取得された情報に基づいて、負のコンバージョンの対象となる所定の行動を特定する。例えば、所定のサービスの管理者が、所定のサービスを退会する行動を、負のコンバージョンの対象となる所定の行動として定めた場合には、特定部132は、所定のサービスを退会する行動を、所定の行動として特定する。
【0050】
特定部132は、ユーザが所定の行動を行う可能性と、インセンティブの付与との関係に基づく分類に基づいて、対象となるユーザを特定する。例えば、特定部132は、インセンティブが付与されなかった場合に所定の行動を行う可能性が高いと推定されるクラスタに属するユーザと、インセンティブが付与された場合に所定の行動を行わない可能性が高いと推定されるクラスタに属するユーザとを特定する。
【0051】
特定部132は、後述する第1算出部134又は第2算出部135により算出された差分が所定の条件を満たすユーザを特定する。例えば、特定部132は、後述する第1算出部134又は第2算出部135により算出された差分が、予め定められた所定の閾値以上を満たすユーザを特定する。
【0052】
(生成部133)
生成部133は、ユーザの特徴量を入力すると、そのユーザが負のコンバージョンの対象となる所定の行動を行う可能性を示す第1スコアを出力する第1モデルを生成する。例えば、生成部133は、負のコンバージョンに至った一群のユーザの特徴量と、そのコンバージョン結果との組み合わせを正解データとして機械学習によって学習することで、第1モデルを生成する。
【0053】
生成部133は、ユーザの特徴量を入力すると、インセンティブが付与された場合にそのユーザが負のコンバージョンの対象となる所定の行動を行う可能性を示す第2スコアを出力する第2モデルを生成する。例えば、生成部133は、負のコンバージョンに至った一群のユーザの特徴量と、そのコンバージョン結果との組み合わせを正解データとして機械学習によって学習することで、第2モデルを生成する。
【0054】
(第1算出部134)
第1算出部134は、生成部133により生成された第1モデルを用いて、取得部131により取得されたユーザの特徴量を入力することにより、第1スコアを算出する。
【0055】
(第2算出部135)
第2算出部135は、生成部133により生成された第2モデルを用いて、取得部131により取得されたユーザの特徴量を入力することにより、第2スコアを算出する。そして、第2算出部135は、第1スコアと第2スコアとの差分を算出する。なお、第1スコアと第2スコアとの差分は、第1算出部134により算出されてもよい。
【0056】
(提供部136)
提供部136は、特定部132により特定されたユーザに対して、インセンティブを付与するための情報を提供する。
【0057】
〔5.情報処理のフロー〕
次に、
図8を用いて、実施形態に係る情報処理システム1による情報処理の手順について説明する。
図8は、実施形態に係る情報処理システム1による情報処理の手順を示すフローチャートである。
【0058】
図8に示すように、情報処理装置100は、第1スコアを算出する(ステップS201)。
【0059】
情報処理装置100は、第2スコアを算出する(ステップS202)。
【0060】
情報処理装置100は、算出された第1スコアと第2スコアとの差分が所定の条件を満たすユーザを特定する(ステップS203)。
【0061】
情報処理装置100は、特定されたユーザに対して、インセンティブを付与するための情報を提供する(ステップS204)。
【0062】
〔6.変形例〕
上述した実施形態に係る情報処理システム1は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、情報処理システム1の他の実施形態について説明する。
【0063】
上記実施形態では、情報処理装置100が、所定のサービスからの退会という負のコンバージョンをインセンティブで防ぐための処理を行う場合について記載したが、実施形態は、これに限定されるものではない。
【0064】
情報処理装置100は、例えばインセンティブを提供することで購買の取りやめを防ぐ場合には、買い物カートに入れたが、買い物カートから削除した、若しくは、所定期間購入しなかったなどのユーザ情報を用いて、第1スコアを算出する第1モデルを生成してもよい。また、情報処理装置100は、買い物カートに入れたが、買い物カートから削除しようとした場合、若しくは、所定期間購入しなかった場合にクーポンや値引きを提示したが購入しなかったなどのユーザ情報を用いて、第2スコアを算出する第2モデルを生成してもよい。そして、情報処理装置100は、このように算出された第1スコアと第2スコアとの差分で有意差の有無を判定してもよい。すなわち、情報処理装置100は、負のコンバージョンに至ったユーザのユーザ情報と、負のコンバージョンに至らなかったユーザのユーザ情報とで、第1スコアを算出する第1モデルを生成し、インセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至ったユーザのユーザ情報と、インセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至らなかったユーザのユーザ情報とで、第2スコアを算出する第2モデルを作成し、これら2つのモデルのスコアの差分に基づき、ユーザにインセンティブを付与するための処理を行ってもよい。これにより、情報処理装置100は、負のコンバージョンを回避できるかを判定することができるため、精度の向上を促進することができる。
【0065】
〔7.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置100は、第1算出部134と、第2算出部135と、特定部132と、提供部136とを有する。第1算出部134は、所定の行動である負のコンバージョンに至る可能性を示す第1スコアを算出する。第2算出部135は、インセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至る可能性を示す第2スコアを算出する。特定部132は、第1算出部134により算出された第1スコアと、第2算出部135により算出された第2スコアとの差分が所定の条件を満たすユーザを特定する。提供部136は、特定部132によって特定されたユーザに対して、インセンティブを付与するための情報を提供する。
【0066】
これにより、実施形態に係る情報処理装置100は、負のコンバージョンに対する抑止効果の高いユーザに対してインセンティブを付与するための処理を行うことができるため、結果として、負のコンバージョンに対する抑止効果の向上を促進することができる。
【0067】
また、第1算出部134は、所定のサービスを利用するユーザの特徴量を、ユーザの特徴量を入力すると負のコンバージョンに至る可能性を示す第1スコアを出力する第1モデルに入力することで、第1スコアを算出する。また、第2算出部135は、所定のサービスを利用するユーザの特徴量を、ユーザの特徴量を入力するとインセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至る可能性を示す第2スコアを出力する第2モデルに入力することで、第2スコアを算出する。
【0068】
これにより、実施形態に係る情報処理装置100は、負のコンバージョンに対する抑止効果の高いユーザを適切に特定することができる。
【0069】
また、第1モデルは、負のコンバージョンに至った一群のユーザについて、ユーザの特徴量と負のコンバージョンのコンバージョン結果との関係を機械学習によって学習することで生成されたモデルである。また、第2モデルは、インセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至った一群のユーザについて、ユーザの特徴量と負のコンバージョンのコンバージョン結果との関係を機械学習によって学習することで生成されたモデルである。
【0070】
これにより、実施形態に係る情報処理装置100は、負のコンバージョンに対する抑止効果の高いユーザの特定の精度の向上を促進することができる。
【0071】
また、特定部132は、差分が大きいほど、インセンティブが付与された場合に負のコンバージョンに至らないと推定されるユーザを特定する。
【0072】
これにより、実施形態に係る情報処理装置100は、負のコンバージョンに至る可能性が高いが、負のコンバージョンに対する抑止効果の高いユーザを適切に特定することができる。
【0073】
〔8.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る端末装置10及び情報処理装置100は、例えば、
図9に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図9は、端末装置10及び情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0074】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0075】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0076】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0077】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0078】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る端末装置10及び情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部14及び130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0079】
〔9.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0080】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0081】
また、上述してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0082】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0083】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 情報処理システム
10 端末装置
11 通信部
12 入力部
13 出力部
14 制御部
100 情報処理装置
110 通信部
120 記憶部
121 ユーザ情報記憶部
122 モデル記憶部
130 制御部
131 取得部
132 特定部
133 生成部
134 第1算出部
135 第2算出部
136 提供部
141 受信部
142 送信部
N ネットワーク