(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】多アンテナMU-MIMOシステムのための制御チャネル設計
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0452 20170101AFI20231218BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20231218BHJP
H04B 7/0456 20170101ALI20231218BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20231218BHJP
【FI】
H04B7/0452 100
H04B7/06 956
H04B7/06 958
H04B7/06 960
H04B7/0456 100
H04W16/28 130
(21)【出願番号】P 2021165971
(22)【出願日】2021-10-08
(62)【分割の表示】P 2018506810の分割
【原出願日】2016-04-23
【審査請求日】2021-10-20
(32)【優先日】2015-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523174756
【氏名又は名称】スカイラーク・ダブリューエル・ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】シェパード,クレイトン・ウェルズ
(72)【発明者】
【氏名】ゾン,リン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイブド,アビア
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ハン
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/112757(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/081857(WO,A1)
【文献】特表2010-530668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0120926(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0452
H04B 7/06
H04B 7/0456
H04W 16/28
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非CSI(オープン・ループ)モードおよびCSI(MIMO)モードの2モードで動作するように構成された基地局(BS)と、1または複数のユーザ機器(UE)との間におけるワイヤレス通信を最適化するための方法であって、前記非CSI(オープン・ループ)モードは、サポートされるアクティブ・ユーザについてのCSI知識を前記BSが有する前に行われ、前記CSI(MIMO)モードは、時間-周波数同期およびチャネル状態情報(CSI)の収集の後に行われ、前記方法は、
複数の同期シーケンスを生成するステップと、
前記複数の同期シーケンスのうちの1つの同期シーケンスを送信するステップであって、複数の多アンテナBSのうちの1つの多アンテナBSの局所的に一意の識別子(ID)が、前記送信された複数の同期シーケンスの各々にエンコードされている、ステップと、
特定の領域内にビーム・パターンの空間方向送信を可能にする1組のビーム形成重みを生成するステップと、
前記多アンテナBSから送信される信号の振幅と位相を変化させるために、前記多アンテナBSの各アンテナに適用されるビーム形成重みを変化させることによってビーム・パターンを変更するステップと、
ユーザ機器(UE)によって、前記同期シーケンスを介して前記多アンテナBSの前記局所的に一意のIDを受信するステップと、
同期シーケンスのデコードを通じて、前記多アンテナBSの識別と前記多アンテナBSとの同期を同時に行うステップと、
ランダム・アクセスのために確保されたスロットにおいて前記UEからアップリンク・パイロットを送信するステップと、
前記多アンテナBSによって、前記UEから前記多アンテナBSへの前記受信されたアップリンク・パイロットに基づいて、前記UEに関するチャネル状態情報(CSI)を推定するステップと、
前記アップリンク・パイロットから前記推定されたCSIを収集するステップと、
収集されたCSIに基づいて前記多アンテナBSと前記UEとのCSIモード(MIMO通信)リンクを確立するステップと、
前記多アンテナBSと前記UE間の収集されたCSIを用いて、前記UEにおける信号強度を最大化し前記UEにおける減算的干渉を最小化するビーム重みを計算するステップと、
前記多アンテナBSの位置において、前記UEのアップリンク・パイロットを受信するステップと、
少なくとも前記受信されたアップリンク・パイロットに基づいて前記UEへデータのビームを誘導するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記UEは、信号強度、リンク品質、および許可に基づいてアクセスを調整し複数の基地局(BS)のうちの1つに接続することによって、複数のBSのうちの1つとアソシエートする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記UEは、信号強度、リンク品質、許可、またはそれらの組み合わせを含む判断基準に基づいて、BSを求めて複数の周波数にわたってスキャンし続ける、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記UEのアソシエーションは、前記同期シーケンスにエンコードされた局所的に一意のIDのデコードが成功した後に行われ、それにより前記UEは、複数のBSから1つのBSを選択し、前記BSにパイロットを送信し、それを受信した前記BSは、前記UEのCSIを利用してMIMOリンクを開く、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記UEは、前記1つのBSを選択するが、最良の一致を見出すために、信号強度、リンク品質、および許可に基づいて、BSを求めてスキャンし続ける、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記UEは、前記複数の多アンテナBSから前記BSを選択し、当該UEとの前記CSI(MIMO)リンクを維持するために、ユーザ専用パイロット・スロットおよび前記UEに一意のページング・シーケンスをスケジューリングする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記BSの一意の各ページング・シーケンスは、前記同期シーケンスと同時に作成および送信され、前記ページング・シーケンスは、複数のアンテナを用いて、CSIモードにおいて前記複数のBSの1つと同期され、前記UEに受信されるまで1組のビーム方向に送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
時間-周波数同期およびアソシエーションは、時間的制約がなく、非CSI(オープン・ループ)ビーム形成ビーム掃引によって行われ、ページングは、時間的制約があり、CSI(MIMO)ビーム形成によって行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記CSI(MIMO)によるページングが失敗した場合、前記BSは、
前記UEに関するUE位置情報の知識、
前記UEの物理的位置の少なくとも1つを含む位置情報、
前記UEに関するチャネル状態情報(CSI)、
前記UEにおいて受信された同期シーケンスのうちの1または複数の強度についての情報、または
前記UEにおいて受信された同期シーケンスの少なくとも1つの到達角度、
のうちの1または複数を用いて、時間的制約のあるページング動作を加速するためにビーム掃引を選択的に誘導する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ビーム掃引およびページング検索の効率は、
UEの判明している最後の
物理的位置、
トラフィック・パターン、
環境プロパティ、
占有可能および占有不能な空間、および
(1)全ての可能な方向の代わりに、ユーザの予想位置に向けてビームを方向付ける、(2)ビーム掃引の頻度を少なくする、(3)空間における特定の位置を省略する、あるいはこれらの組み合わせをするための典型的な移動パターン、
を含む過去の空間的ユーザ・データの前記BSによる使用を通じて増強される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
BSは、
UEの判明している最後の
物理的位置、トラフィック・パターン、および環境プロパティの形態の、空間的情報を含む既存の情報を利用して、タイミング、符号化利得、および空間カバレッジを最適化し、さらに、疎ネットワークにおいてセルの範囲を拡大し、カバレッジ・エリアを制限し、注意深く干渉を調整し、および/または、所与の基地局の容量を増大するためにより多くのアンテナを動的に組み込む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
BSは、
UEの判明している最後の物理的位置、UEに関するCSI、前記UEにおいて受信された同期シーケンスの強度についての情報、前記UEにおいて受信された同期シーケンスの最も強いビームについての情報、および前記UEにおいて受信された最も強い同期シーケンスの到達角度、に基づくユーザ位置を利用して、UEの位置を予想しページング回数を減少させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
CSIモードの有効な通信リンクが確立されると、当該通信リンクは、BSSID、SSID、変調速度、パイロットおよびデータ・スケジューリング、利得制御、CSI(MIMO)モードの通信リンクに関するチャネル推定情報、前記多アンテナ基地局に関連する暗号情報、およびアクティブ・ユーザのための同期、のうちの少なくとも1つを含む残りの制御チャネル情報の全てを伝えるために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
UEは、前記CSI(MIMO)リンクを維持し、失われたページング要求をチェックし、UEの位置を更新して、将来のページング・シーケンスの送信のために維持、更新、または最適化された制御チャネル動作を支援するために、前記選択された基地局へ周期的にランダム・アクセス要求を送信する、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
前記アップリンクおよびダウンリンク通信双方において非CSIモードに符号化利得が採用され、符号化利得は、信号を所定時間期間にわたって拡張し、非CSI(オープン・ループ)モードおよびCSI(MIMO)モード間で一致するように利得を調整し、オーバーヘッドに対して利得を動的に調整する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
非CSI(オープン・ループ)モードおよびCSI(MIMO)モードの前記2モードの動作は、ページング動作をより高速かつ効率的にするために、時間に厳しい情報をより効率的なCSI(MIMO)モードに挿入し現在、過去、および予想される空間的情報を使用するのに利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ビーム・パターン、ビーム掃引速度、および同期シーケンスの長さを含む通信パラメータは、エリア全体のカバレッジのために要求される利得に合うように動的に設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記多アンテナBSの通信範囲は、前記非CSIモードにおいて非CSI(オープン・ループ)モードのビーム形成および符号化利得を増加させ前記CSI(MIMO)モードにおいて変調速度およびUEを減少させることによって拡大される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記1つの同期シーケンスには、フレーム送信の最初において前記同期シーケンスの少なくとも1つの繰り返しが後続する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
複数のBSアンテナを用いて、前記ビーム形成重みに関連付けられた複数のビーム方向に前記局所的に一意のIDを有する同期シーケンスを送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願に対する相互引用
[0001] 本願は、2015年4月24日に出願された米国仮特許出願第62/152,675号の権利を主張する。この出願をここで引用したことによりその内容全体が本願にも含まれるものとする。
連邦支援研究または開発に関する言明
[0002] 本発明は、承諾番号CNS0751173、CNS0923479、CNS1012831、CSN1126478、およびCNS1218700の下においてアメリカ国立科学財団によって授与された政府支援によって部分的に行われた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
[0003] 本開示は、一般的には、ワイヤレス通信方法および装置に関し、更に特定すれば、多アンテナ・マルチユーザ(MU:multi-user)複数入力複数出力(MIMO:multiple-input multiple-output)システムのための制御チャネル設計に関する。
【0003】
[0004] 多アンテナMU-MIMOベースの通信は、実用的な制御チャネルを欠くという、未だに取り組みがなされていない課題に直面している。MU-MIMOビーム形成システムの潜在的な範囲は、一旦基地局がチャネル状態情報(CSI)を有したなら、この基地局におけるアンテナ数の二乗まで拡大する。一方、従前からの制御チャネル動作の範囲は一定のままである。何故なら、制御チャネル動作は、CSI取得の前または最中に行われるからである。非CSIおよびCSIモード間におけるこの範囲の格差によって、多アンテナ基地局の効率および実現可能性に対する課題が生じる。
【0004】
[0005] 多アンテナMU-MIMOベースの通信は、急速に成長しつつある研究分野を代表し、近年、商業化が有望となっている。しかしながら、それでもなお、多アンテナMU-MIMOワイヤレス・システムのための実用的な多アンテナ基地局の創設(creation)に直面する特定の(certain)システム課題がある。現在のアーキテクチャにおける1つの
問題は、種々のネットワーク動作に必要とされる、効率的で信頼性のある制御チャネルの欠如である。ワイヤレス通信システムは、通例、1つの高パワー・アンテナ、または単純なダイバシティ方式を使用して、制御チャネル上で動作を実現する。しかしながら、これらの方法は、基地局アンテナの数が増大すると、急速に非効率的になる。
【発明の概要】
【0005】
[0006] 開示する実施形態は、担当(serving)多アンテナ基地局(BS)によって実行
される動作のオープン・ループ制御方法を含む。このオープン・ループ制御方法は、BSの識別子(ID)を有するビーコンをベース・シーケンスにエンコードすることから開始する。多アンテナBSは、このエンコードされたベース・シーケンスを、1組の直交ビーム・シーケンスによって拡散することにより、複数の同期シーケンスを生成する。多アンテナBSは、複数のアンテナを使用して、複数の同期シーケンスを、直交ビーム・シーケンスによって決定される複数の異なるビーム方向に送信し、こうして、BSにおいていずれのユーザの情報も使用することなく、多アンテナBSが担当するユーザの同期およびアソシエーション(association)(ならびに恐らくは他の制御動作)を促進する。
【0006】
[0007] 開示する実施形態は、多アンテナBSが担当するユーザ機器(UE)によって実行される動作のオープン・ループ制御方法を含む。このオープン・ループ制御方法は、異なる信号強度を有し、多アンテナBSから異なるビーム方向に送信された複数の同期シーケンスを受信することから開始する。UEは、受信した同期シーケンスの内の1つを利
用して、多アンテナBSとの時間および周波数同期を行うことができる。多アンテナBSと同期した後、UEは、受信した同期シーケンスから、BSの識別子(ID)を有するビーコンをデコードすることができ、そしてBSとアソシエーション手順を実行する。また、UEは、同期シーケンスを近隣における1つ以上の他のBSから受信することもでき、そして、本来の多アンテナBSとのアソシエーションが最後まで(fully)完了しない場合
、これらのBSの内任意のものと同期/アソシエーションを実行することができる。BSとの同期およびアソシエーションを実行した後、UEは担当BSをページングし、担当BSにランダム・アクセスを要求することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、多アンテナ・マルチユーザ複数入力複数出力(MU-MIMO)ワイヤレス通信システムの一例である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態にしたがって異なるモードで動作する多アンテナ基地局の一例である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による、
図2に示す多アンテナ基地局の動作の異なるモードに対する利得および利得ギャップの分析結果を示す表の一例である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態にしたがって、オープン・ループ・ビーム形成を実行することができる多アンテナ基地局の一例である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態にしたがって、追加の符合化利得を適用して、オープン・ループ・ビーム形成を実行することができる多アンテナ基地局の一例である。
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施形態による、多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムにおける多アンテナ基地局の異なる動作に対する異なるフレーム構造の例である。
【
図6B】
図6Bは、本開示の実施形態による、多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムにおける多アンテナ基地局の異なる動作に対する異なるフレーム構造の例である。
【
図6C】
図6Cは、本開示の実施形態による、多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムにおける多アンテナ基地局の異なる動作に対する異なるフレーム構造の例である。
【
図6D】
図6Dは、本開示の実施形態による、多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムにおける多アンテナ基地局の異なる動作に対する異なるフレーム構造の例である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態にしたがって、ビーム掃引(beamsweeping)および符合化を採用することによって、同期シーケンス(例えば、ビーコン)を送信する多アンテナ基地局の一例である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態にしたがって、ユーザの同期およびページングを同時に実行する多アンテナ基地局の一例である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態による、多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムに対する制御チャネル・オーバーヘッドの分析を示す表の一例である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態による、多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムにおけるユーザの同期およびアソシエーションに対するビーコン検出性能を示すグラフの一例である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態による多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムにおけるユーザの同期およびアソシエーションに対するビーコン検出性能とアップリンク信号強度との関係を示すグラフの一例である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態による多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムにおけるページング遅延の累積分布関数(cumulative distribution functions)を示すグラフの一例である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態による多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムにおける搬送周波数オフセット(CFO)推定誤差の累積分布関数を示すグラフの一例である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態によるワイヤレス・デバイスの一例のブロック図である。
【
図15】
図15は、本開示の実施形態による多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムの多アンテナ基地局において実行することができる方法を示すフロー・チャートである。
【
図16】
図16は、本開示の実施形態による多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムの多アンテナ基地局と通信するユーザ機器(UE)において実行することができる方法を示すフロー・チャートである。
【0008】
[0024] これらの図は、例示の目的のみに限って、本開示の実施形態を図示する。以下の説明から、本明細書において説明する開示によって与えられる(touted)原理または便益から逸脱することなく、本明細書において例示する構造および方法の代替実施形態も採用できることは、当業者には容易に認められよう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0025] 本明細書において説明する技法は、直交多重化方式に基づく通信システムを含む種々のワイヤレス通信システムのために使用することができる。このような通信システムの例には、空間分割多元接続(SDMA)、時分割多元接続(TDMA)、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム、単一搬送波周波数分割多元接続(SC-FDMA)システム等が含まれる。SDMAシステムは、十分に異なる方向を利用して、複数のユーザ端末に属するデータを同時に送信することができる。TDMAシステムは、送信信号を異なるタイム・スロットに分割することによって、複数のユーザ端末に同じ周波数チャネルを共有させることができ、各タイム・スロットが異なるユーザ端末に割り当てられる。OFDMAシステムは、直交周波数分割多元(OFDM)を利用する。これは、システム全体の帯域幅を複数の直交サブキャリアに細分化(partition)する変調技法である。こ
れらのサブキャリアをトーン、ビーン等と呼ぶこともできる。OFDMでは、各サブキャリアを独立してデータで変調することができる。SC-FDMAシステムは、システム帯域幅にわたって分散するサブキャリア上で送信するインターリーブFDMA(IFDMA:interleaved FDMA)、隣接するサブキャリアのブロック上で送信する局所化FDMA(LFDMA:localized FDMA)、または隣接するサブキャリアの複数のブロック上で送信する強化FDMA(EFDMA:enhanced FDMA)を利用することができる。一般に、変
調シンボルは、OFMDでは周波数ドメインにおいて作成され、SC-FDMAでは時間ドメインにおいて作成される。
【0010】
[0026] 本明細書における教示は、種々の有線またはワイヤレス装置(例えば、ノード)に組み入れる(例えば、内部に実装するまたは実行する)ことができる。ある実施形態では、ノードはワイヤレス・ノードを含む。このようなワイヤレス・ノードは、例えば、有線またはワイヤレス通信リンクを介してネットワーク(例えば、インターネットまたはセルラ・ネットワークのようなワイド・エリア・ネットワーク)に対する(for)接続(connectivity)またはネットワークへの(to)接続を付与することができる。ある実施形態では
、本明細書における教示にしたがって実装されたワイヤレス・ノードは、アクセス・ポイントまたはアクセス端末を含む(comprise)こともできる。
【0011】
[0027] アクセス・ポイント(「AP」)は、NodeB、無線ネットワーク・コントローラ(「RNC」)、eNodeB、基地局コントローラ(「BSC」)、基地送受信局(「BTS」)、基地局(「BS」)、送受信機能(「TF」)、無線ルータ、無線送受信機、基本サービス・セット(「BSS」)、拡張サービス・セット(「ESS」)、無線基地局(「RBS」)、または何らかの他の用語を含んでもよく、これらの機器として実装されてもよく、あるいはこれらの機器として知られることもある。ある実施態様(i
mplementation)では、アクセス・ポイントが、セット・トップ・ボックス・キオスク、メディア・センタ、あるいはワイヤレスまたは有線媒体を介して通信するように構成された任意の他の適したデバイスを含んでもよい。本開示の特定の(certain)実施形態によれば
、アクセス・ポイントは、ワイヤレス通信標準の米国電気電子学会(IEEE)802.11ファミリにしたがって動作するとしてもよい。
【0012】
[0028] アクセス端末(「AT」)は、アクセス端末、加入者局、加入者ユニット、移動局、遠隔局、遠隔端末、ユーザ端末、ユーザ・エージェント、ユーザ・デバイス、ユーザ機器、ユーザ局、または何らかの他の用語を含んでもよく、これらの機器として実装されてもよく、あるいはこれらの機器として知られることもある。ある実施態様では、アクセス端末は、セルラ電話機、コードレス電話機、セッション確立プロトコル(「SIP」)電話、ワイヤレス・ローカル・ループ(「WLL」)局、パーソナル・ディジタル・アシスタント(「PDA」)、ワイヤレス接続能力を有するハンドヘルド・デバイス、局(「STA」)、またはワイヤレス・モデムに接続される何らかの他の適した処理デバイスを含むことができる。したがって、本明細書において教示される1つ以上の態様は、電話(例えば、セルラ・フォンまたはスマート・フォン)、コンピュータ(例えば、ラップトップ)、携帯用通信デバイス、携帯用コンピューティング・デバイス(例えば、パーソナル・データ・アシスタント)、タブレット、娯楽機器(例えば、音楽またはビデオ・デバイス、あるいは衛星無線機)、テレビジョン・ディスプレイ、フリップ-カム(flip-cam)、セキュリティ・ビデオ・カメラ、ディジタル・ビデオ・レコーダ(DVR)、全地球測位システム・デバイス、あるいはワイヤレスまたは有線媒体を介して通信するように構成された任意の他の適したデバイス内に組み入れることができる。本開示の特定の実施形態によれば、アクセス端末は、ワイヤレス通信標準のIEEE802.11ファミリにしたがって動作するとしてもよい。
【0013】
[0029] 複数入力複数出力(MIMO)基地局(またはアクセス・ポイント)は、ユーザのチャネル状態情報(CSI)のその知識に基づいて、2つの動作モードを有することができる。即ち、基地局がサポートするアクティブ・ユーザについてのCSI知識を有する前に現れる非CSIモード、および基地局において収集されたCSIに基づいて生成されるMIMO通信リンクの内、基地局とサポートするアクティブ・ユーザとの間において、より効率的なものを利用するCSIモードである。CSIを収集するために、基地局は、サポートするユーザ(またはアクセス端末)と時間-周波数同期を確立し、次いで同期したユーザから逆にアップリンク・パイロットを受信する。更に、一旦ユーザがインアクティブになったなら、基地局は、インアクティブ・ユーザに着信する送信を通知するように構成することができる。即ち、基地局はインアクティブ・ユーザをページングし、インアクティブ・ユーザにパイロットを送るように促すことができる。これらの動作の全ては制御チャネルの一部であり、慣例上非CSIモード中に全て送られる。
【0014】
[0030] MIMOワイヤレス通信システムでは、CSIモードは非CSIモードよりもM2まで高い利得を有し、ここでMは、基地局におけるアンテナ数である。現在のシステムのようにMが小さいとき、非CSIモードにおいて低い(lower)変調速度または符合化
利得を使用することによって、この利得ギャップを克服することができる。しかしながら、Mが増大するに連れて、CISモードと非CSIモードとの間のギャップは急速に大きくなる。既存のシステムでは、全ての制御チャネル動作が非CSIモードにおいて行われ、カバレッジ・エリア全体の全方向に伝達される。つまり、基地局の動作範囲は非CSIモードによって限定される可能性があり、これはCISモードのそれよりも著しく狭い(short)。素朴な解決策を1つあげることができるとすれば、非CISモードでは、CSI
モードと比較してもっと高い送信電力を採用することであろう。しかしながら、この手法は、ハードウェアの高価格化に繋がり(例えば、基地局における電力増幅器の電力消費が多くなる)、更にセル間干渉が増大する。
【0015】
[0031] 説明する実施形態は、制御チャネルの設計方法(methods for control channel
design)を含み、この方法は、多数のアンテナを有する基地局(またはアクセス・ポイント)(例えば、多アンテナ基地局)に対する前述の利得ギャップに取り組む。本開示において利用される主要な知見が2つある。最初の知見は、制御チャネルはできるだけ多くCSIモードで送られるべきであるということである。本開示の実施形態によれば、多アンテナ基地局の非CSIモードを利用する制御チャネル動作は、時間-周波数同期、アソシエーション、CSI収集、ページング、およびランダム・アクセスであり、これらはCISモードを確立するために必要な動作を表す。残りの制御チャネル動作をCSIモードで実施することによって、これら残りの制御チャネル動作の効率を著しく向上させることができ、前述の利得ギャップを回避することができる。本開示において制御チャネル設計に適用される第2の知見は、同期およびアソシエーションは時間に厳しい制御チャネル動作ではないということである。例えば、同期は数百msの間有効であることができるのに対して、アソシエーションは1回しか実行されない。つまり、同期動作を実行する頻度を下げることによって、セル・エッジにおいてアソシエーションのレイテンシが多少増大することを犠牲にすれば、同期およびアソシエーション動作に伴う非CSIモードにおけるチャネル・オーバーヘッドを著しく低減することができる。
【0016】
[0032] 開示する方法は、多アンテナ基地局が非CSI動作モードにおいてもそれらの最大潜在範囲を得られることを確保するために、オープン・ループ・ビーム形成方法および符合化利得適用方法を含む。オープン・ループ・ビーム形成によって、本開示において提示する制御チャネル設計は、多アンテナ基地局におけるアンテナの全てからの最大のダイバシティ、電力、およびビーム形成利得を利用することができ、基地局のアンテナ数と共に潜在範囲を拡縮することが可能になる(例えば、M倍に)。オープン・ループ・ビーム形成の潜在範囲とそのMU-MIMO同等物(counterpart)の潜在範囲との間には一定
のギャップがあるので、本開示では閉ループ・ビーム形成、符合化利得を採用することによって、更に潜在範囲を広げ、同期およびページングの信頼性がセル・エッジにおいても高いことを確保することができる。できるだけ効率的にするために、本明細書において提示する制御チャネル設計を利用する多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムは、CSIモード以外で前述の極めて重要なタスクおよび通信だけを実行し、これによって遙かに高いスペクトル容量が得られる。
【0017】
[0033] ある実施形態では、本開示において提示するMU-MIMOワイヤレス通信システムの多アンテナ基地局は、カバレッジ・エリアにわたって超長(extra-long)同期シーケンスを掃引するために、非CSIモードにおいて制御チャネル上でオープン・ループ・ビーム形成を利用する。本明細書において採用する同期シーケンスは、ユーザが多アンテナ基地局との時間-周波数同期を確立することを可能にし、更にアソシエーションを実行するために基地局識別(ID)をエンコードすることもできる。1つ以上の実施形態において、多アンテナ基地局から送信される同期シーケンスは、更に、同時同期/アソシエーションおよびページングを実行するために、ユーザIDもエンコードすることができる。
【0018】
[0034] ある実施形態では、所望エリア全体のカバレッジのために要求される利得に合わせるために、ビーム・パターン、掃引速度、および同期シーケンス長のような、特定の通信パラメータを動的に構成設定する(configure)ことができる。更に、非CSIモード
においてオープン・ループ・ビーム形成および符合化利得を増大しつつ、CSIモードにおいて変調速度を下げるおよび/または担当するユーザ数を減らすことによって、本明細書において提示する制御チャネル設計は、遠隔エリアにおける多アンテナ基地局の範囲を広げるために使用することができる。
【0019】
[0035] 例示的な実施形態によれば、本明細書において提示する制御チャネル設計を採
用するMU-MIMOワイヤレス通信システムの多アンテナ基地局は、2.4GHz通信リンク上で、108本のアンテナのアレイを使用して、性能および制御チャネル・オーバーヘッドを評価するためにユーザと通信することができる。実施した測定は、提示する(presented)制御チャネル設計が、従前からの制御チャネル動作と比較して、40dBを超
える利得を得ることを示すが、以下で更に詳しく提示する。以下で更に詳しく論ずるように、この利得は、基地局アンテナ毎に100μW未満の送信電力、または約10mWの全基地局送信電力を使用しつつ、多アンテナ基地局において標準的な低利得3dBi無指向性アンテナだけを採用して、250メートル以上離れた移動体ユーザに対して信頼性のある同期を可能にする。この提示する制御チャネルの設計によって、非常に移動性が高い環境において、0.5%未満のチャネル・オーバーヘッドで、高い分解能のチャネル測定値を収集することが容易になる。ページング遅延のオーバーヘッドを低減するために、判明している最後のユーザ位置を利用してページング信号を送り出す(direct)ページング方式を採用する。
【0020】
[0036]
図1は、本開示の実施形態による多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システム100の一例を示す。
図1に示すように、多アンテナ基地局102は、多数のアンテナ(例えば、例示的実施形態において記載するように108本までのアンテナ)のアレイを含むことができる。多アンテナ基地局102は、このアンテナ・アレイを使用して、複数の移動体ユーザ104と通信することができる。
図1に示すように、ユーザの同期が、非CSIモードを使用して従前の方法で行われる場合、カバレッジ範囲(即ち、利得)が領域106に限定されるおそれがある(例えば、全てのユーザに対する累積利得)。領域(即ち、利得)106は、CSIモードにおけるMU-MIMO通信のカバレッジ範囲を表す領域(即ち、利得)108よりも遙かに小さい。更に
図1に示すように、各ユーザ104に関係するCSIが多アンテナ基地局102において分かっているとき、一定の方向内の信号エネルギ(例えば、ビーム110)をそのユーザ104に向けて送出するために、CSIモードにおいてMU-MIMO通信に閉ループ・ビーム形成を適用することができる。
【0021】
[0037] ある実施形態では、以下で更に詳しく論ずるように、各ユーザ104を多アンテナ基地局102と同期させるために非CSIモードにおいてオープン・ループ・ビーム形成を適用することによって、従前からの非CSI通信(例えば、領域106)とMU-MIMO通信(例えば、領域108)との間におけるカバレッジ・ギャップ(即ち、利得
ギャップ)を大幅に低減することができる。非CSIモードのカバレッジ領域(即ち、利得)は、符合化利得を適用することによって更に広げることができる。これについても以下で更に詳しく論ずる。
ビーム形成およびMU-MIMO
[0038]
図1に示すように、ビーム形成は、同じ周波数でユーザ104に送信する基地局102の複数のアンテナを利用して、指向性送信、即ち、空間の領域(例えば、ビーム)110以内における送信を実現することができる。基地局102の複数のアンテナからの信号の加算的および減算的干渉が、ユーザ104において受信される信号強度を空間的に変動させることができ、ビーム・パターン110を生ずるに至る。ビーム・パターン110は、基地局102の各アンテナに適用されるビーム形成重みを変化させることによって変更することができ、その基地局アンテナから送られる信号の振幅および位相を効果的に変更することができる。
【0022】
[0039] ある実施形態では、非CSIモードにおけるユーザの同期のために、多アンテナ基地局(例えば、
図1に示す多アンテナ基地局102)がオープン・ループ・ビーム形成を採用することもできる。この場合、多アンテナ基地局は、離散フーリエ変換(DFT)に基づくビーム形成重みまたはアダマールに基づくビーム形成重みのような、予め計算されているビーム形成重み(例えば、ビーム重み)を利用して、ユーザの位置を知らずに
、所望の空間方向にビームを誘導する(steer)ことができる。一方、閉ループまたは適応
型ビーム形成は、多アンテナ基地局と意図するユーザとの間で既知のCSIを採用して、意図するユーザにおいて信号強度を最大化し意図しないユーザの干渉を最小化するビーム重みを計算する。閉ループ(適応型)ビーム形成の場合、意図するユーザは彼らの位置および/またはパイロットに関する情報を(例えば、フィードバック・チャネルを経由して)多アンテナ基地局に提供することができる。提供されたユーザの位置および/またはパイロットに基づいて、多アンテナ基地局は、意図するユーザに関係するCSIを推定し、データのビームを整形し、意図するユーザに向けて誘導することができる。
【0023】
[0040] 多アンテナ基地局102は、通例閉ループ・ビーム形成によって、同じ時間-周波数-コード・リソース上で同時に複数のユーザを担当するために複数のアンテナを利用することができる。各基地局アンテナは、それ自体の無線機(
図1には図示されていない)を含むことができる。簡略化のために、アンテナという用語は、本開示において使用される場合、無線機およびアンテナの双方を含むものとする。MU-MIMOワイヤレス通信システム(例えば、
図1に示すMU-MIMOワイヤレス通信システム100)のスペクトルおよびエネルギ効率は、基地局のアンテナ数(例えば、M倍に)、および同時ユーザ数(例えば、K倍に)と共に増大する。ここでM≧Kである。したがって、大多数の基地局アンテナの実装がしばらくの間提唱されている。これは一般に「大規模MIMO」と呼ばれ、第五世代(5G)セルラ・ネットワークのための有力な候補技術の1つと広く見なされている。本開示では、多アンテナという用語は、基地局が担当するユーザ数と比較して、それよりも更に多い多数のアンテナを有する基地局を指すために使用することとする。
【0024】
[0041] ある実施形態では、多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システム(たとえば、
図1に示すMU-MIMOワイヤレス通信システム100)における効率的なチャネル推定には、時分割二重(TDD)相互関係(reciprocity)によってダウンリンクCS
Iを推論するために使用されるアップリンク・パイロットが必要になる場合がある。チャネル推定値が高精度であるのは僅かな間に過ぎないと言って差し支えないので、ダウンリンク・ビーム形成はチャネル推定の直後に行われなければならないであろう。その結果、効率的な多アンテナMU-MIMO送信フレームの構造は、
図6A、
図6B、
図6C、および
図6Dに示すようにそして以下で更に詳しく論ずるように、様々な全く異なる部分、即ち、ビーム掃引、CSI収集、ダウンリンク通信、およびアップリンク通信を必要とする場合がある。
制御チャネル動作
[0042] ワイヤレス通信システム(例えば、
図1に示す多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システム100)では、制御チャネル上の通信は、データ通信を設定するのに必要な動作を実行するために使用されてもよい。制御チャネル上で実行される動作は、同期、利得制御、アソシエーション、タイミング進み(timing advance)、ランダム・アクセス、ページング、変調速度の設定、利得制御、スケジューリング等を含むことができる。加えて、制御チャネルは複数のユーザからの多くのアンテナに及ぶ効率的なCSI収集を調整することができる。説明する実施形態は、MU-MIMOチャネルを確立するために必要な制御チャネル動作、即ち、同期、アソシエーション、CSI収集、ランダム・アクセス、およびページングをサポートする。残りの制御チャネル動作は、確立されるMU-MIMOチャネル上で実行することができる。
【0025】
[0043] ワイヤレス・ネットワークにおけるノード(例えば、
図1に示す移動体ユーザ104)は、発振器を共有しないので、それらの時間-周波数基準はドリフトするおそれがある(subject to)。このため、全ての高性能ディジタル・ワイヤレス通信方式は時間-周波数同期を必要とする。ユーザ104は、様々な動作に基づいて、時間-周波数同期を確立することができる。最初に、ユーザ(例えば、
図1に示す任意の移動体ユーザ104
)は、フレーム検出および粗いタイミングのために、受信信号を自己相関付けることができる。次いで、ユーザは、ユーザの機器において採用されたアナログ/ディジタル変換器(ADC)のしかるべきダイナミック・レンジ内に受信信号が入ることを確保するために、自動利得制御(AGC)を実行することができる。次に、ユーザは既知のシーケンスと相互相関を実行して、緻密な時間同期を行うことができる。最後に、ユーザは既知の信号内における歪み、即ち、位相ずれを利用して、周波数オフセットを再現し、周波数同期を確立することができる。
【0026】
[0044] 例えば、802.11ベースのワイヤレス通信システムでは、ユーザは、パケットの開始時にショート・トレーニング・シーケンス(STS)を検出するために、自己相関を継続的に実行し、これがAGCをトリガする。次いで、ユーザは、時間同期のために、続くロング・トレーニング・シーケンス(LTS)上で相互相関を実行する。同様に、ロング・ターム・エボリューション(LTE)ベースのワイヤレス通信システムでも、ユーザは、各シンボルのサイクリック・プレフィックス(cyclic prefix)を検出するため
に自己相関を継続的に実行する。次いで、ユーザは、時間同期のために、主同期信号(PSS)および副同期信号(SSS)上で相互相関を実行する。通例、同期を維持するために、更に他のチャネル効果を補償するために、フレーム全体にわたって基準シンボルを送信することができる。
【0027】
[0045] 特定の実施形態では、ユーザ(例えば、
図1に示す移動体ユーザ104の内任意のもの)は最初に近隣の基地局を特定し、1つの基地局を選択し、次いでこの選択した基地局(例えば、
図1に示すワイヤレス通信システムの基地局102)に接続した(即ち、アソシエートした)後に、ユーザはデータを送信または受信できるようになる。アソシエーション手順を促進するために、各基地局は規則的な間隔で一意の識別子(例えば、ビーコン)を送信する。各ユーザは、多くの場合複数の周波数にわたって、基地局を求めて(例えば、基地局から送信されるビーコンを求めて)スキャンし、次いで信号強度および許可(authorization)のような特定の判断基準に基づいて、アソシエートする1つの基地
局を選択する。次いで、ユーザは、大抵の場合ランダム・アクセスと同じメカニズムを利用して、選択した基地局に接触し、アクセス、例えば、許可、暗号化、およびスケジューリングを要求および調整する。
【0028】
[0046] CSIを得るために、送信機(例えば、
図1に示す基地局102)は、既知のシーケンス(例えば、パイロット)を送ることができ、受信機(
図1に示す移動体ユーザ104)は、これを使用してサブキャリア・チャネル毎に振幅および位相シフトを計算することができる。しかしながら、この手法は時間-周波数同期を必要とする。何故なら、時間同期がないと、受信機はどこでパイロットが開始したか信頼性高く知ることができず、周波数同期がないと、精度が低いチャネル推定の原因となるサブキャリア間干渉が生ずるからである。
【0029】
[0047] 従前からのMU-MIMOワイヤレス通信システムは、明示的なCSI推定を採用する。即ち、基地局は各基地局アンテナからパイロットを送ることができ、ユーザは各基地局アンテナに対してCSIを推定し、次いでCSI推定値を基地局に返送することができる。たとえば、キャリア検知多重アクセス(CSMA)システムでは、CSI収集は各送信フレームの開始時に実行することができ、一方スケジューリング型システム(scheduled system)(例えば、LTEシステム)では、CSI収集は、各基地局アンテナからの基準シンボルを使用して継続的に実行することができる。しかしながら、これらの技法はアンテナおよびユーザの数が増大しても、それに合わせて適切に拡大しない。このために、新たに開発される多アンテナ・システムは、通例、暗示的なCSI推定を採用する。即ち、各ユーザがアップリンク・パイロットを送ることができ、担当基地局がこれをアンテナ毎に受信し、アップリンクCSIを供給する。次いで、基地局は相互較正を利用し、
既知のアップリンクCSIに基づいてダウンリンクCSIを推定することができる。
【0030】
[0048] 加えて、MU-MIMOワイヤレス通信システムの制御チャネルは、ユーザが着信データを有するときにユーザに通知する処理を行うことができる。これを本開示ではページングと呼ぶ。更に、基地局は、制御チャネルを利用して、ユーザが送信データ(outgoing data)を有するときにネットワークにランダムにアクセスするようにユーザを調整
することができる。これを本開示ではランダム・アクセスと呼ぶ。ページングおよびランダム・アクセスは双方共、CSIが取得される前に行われなければならないとして差し支えない。何故なら、ユーザはパイロットを送る前にページングされなければならず、更にユーザは、基地局がユーザに関連するチャネルを推定することを思い出せる(know)ように、送信データを有することを基地局に通知しなければならないからである。
CSIモードおよび非CSIモード間の利得ギャップ
[0049] 多アンテナ基地局は2つのモードで、即ち、CSIの知識を使用して(例えば、CSIモード)、またはCSIの知識を使用せずに(例えば、非CSIモード)動作することができる。
図2は、本開示の実施形態によるワイヤレス通信システム200の一例を示し、ここでは多アンテナ基地局202が複数の異なるモードで動作することができる。CSI知識によって(例えば、CSIモードにおいて)、多アンテナ基地局202は、1つのアンテナのピーク電力に関して、M
2の利得を得ることができる(ここでMは基地局のアンテナ数である)このピーク電力は、カバレッジ領域204によって示されている。CSIモードでは、最大の利得は、多アンテナ基地局202が1つのユーザと通信するときに閉ループ・ビーム形成を利用するときに、得ることができる。これはカバレッジ領域206によって示されている。
【0031】
[0050] 一方、CSI知識がないときは(例えば、非CSIモードにおいて)、多アンテナ基地局202は、一部の制御チャネル動作に対して1の利得しか得られない場合がある。これは小さいカバレッジ領域208によって示されている。したがって、CSIモードおよび非CSIモードで基地局を動作させるときには、大きな利得ギャップが存在する。更に、ワイヤレス通信チャネルはアップリンクおよびダウンリンク送信に対して相互補完的(reciprocal)であることができるが、送受信機のハードウェアはそうではないので(例えば、多アンテナ基地局202の送受信ハードウェア)、このために後にアップリンクおよびダウンリンク通信モード間で他の利得ギャップが生ずることになる。
【0032】
[0051] 非CSIモードにおいてオープン・ループ・ビーム形成を採用することによって、ユーザ毎のカバレッジ・エリア(即ち、利得)は、
図2においてビーム・パターン空間領域210として示されるようになる。ある実施形態では、以下で更に詳しく論ずるように、カバレッジ領域(即ち、利得)は、オープン・ループ・ビーム形成の上に符合化利得を適用することによって拡大することができ、ユーザ毎のカバレッジ領域拡大に繋がる。これは、
図2において、ビーム・パターン空間領域212として示されている。
【0033】
[0052]
図3は、本開示の実施形態による多アンテナ基地局(例えば、
図2に示した基地局202)の異なる動作モードに対する利得および利得ギャップの分析結果を示す表300の一例である。表300は、M-アンテナ基地局(例えば、
図2に示した多アンテナ基地局202)がK箇所の単一アンテナ・ユーザを担当するときのダウンリンクおよびアップリンク双方の通信に対する非CSIおよびCSI動作モードについての分析結果を纏めたものである。1つ以上の実施形態において、各基地局アンテナはP
BSの(ピーク)送信電力を有し、各ユーザ・アンテナはP
Uの(ピーク)送信電力を有する。簡略化のために、平均チャネルおよびアンテナ利得を1に正規化する。何故なら、これらは全ての動作モードにわたって一定であり、適切な送信電力における低ノイズ増幅器(LNA)からの利得のような、あらゆる非相互補完的なハードウェア効果を含むからである。例えば、ユーザ・アンテナ毎のピーク送信電力P
Uは、基地局のLNAからの利得を含む。
【0034】
[0053] 尚、同期およびチャネル推定の非CSIモード制御チャネル動作に対して、1つのアンテナよりも有効に実行する既存の方式はないことは注記してしかるべきである。つまり、非CSIモードは1の利得を有し、
図3の表300に示すように、ダウンリンクおよびアップリンクに対してそれぞれP
BSおよびP
Uになる。非CSIモードにおけるM-アンテナ基地局の利得は、基地局がどの動作を実行しているかに依存する可能性がある。例えば、CSI収集では、基本利得に1の制限がある。何故なら、1つのアンテナと他のアンテナとの間のリンクについての情報を有するのはCSIだけであるからである。したがって、他のアンテナにおいて受信される信号は、そのリンクのCSIについての情報を含まない。一方、この論理的な制限は同期については存在しない。これは、全ての基地局アンテナから所望の信号を送信することができるからであり、本明細書ではこれを利用する。
【0035】
[0054] Mの論理的利得が得られる非CSIモード技法があるが、これらの方法はいずれも非実用的である。即ち、実際では、時間-周波数同期の性能を低下させる。素朴な手法を1つ上げるとすれば、無線周波数(RF)コンバイナを使用して、M本の基地局アンテナの電力出力を1つのアンテナに併合することであろう。しかしながら、これはハードウェアで実現するには困難でありしかも費用がかかる。何故なら、これはアンテナへのフィードバックおよび複雑な配線を回避するためには、完全な位相一致を必要とするからである。更に、この手法を適用することによって、M本のアンテナのダイバシティ利得が失われる。なぜなら、事実上1つだけの高電力送信機が使用される、即ち、システムはもはやM×Kシステムではなくなるからである。巡回遅延ダイバシティ(CDD:cyclic delay diversity)を適用する他の手法も可能である。これは、各アンテナから異なる時間量だけシンボルを巡回的に回転させる。CDDは、M本のアンテナ全ての電力出力を空間的に拡散し、異なるサブキャリア上で任意にビーム形成するものと考えることができる。しかしながら、CDDは時間ドメイン歪みの原因となり、時間ドメイン歪みは既存の同期技法の性能を著しく劣化させる。更に、CDDの性能は、追加されるアンテナが多くなると急速に劣化する。また、前述の手法は双方共ダウンリンクにおいて一定の利得を得ることができるものの、アップリンクにおいて全く利得が得られないことも注記してしかるべきである。
【0036】
[0055] 尚、CSIによるM×KのMU-MIMOシステムの潜在的な電力利得は、アップリンクおよびダウンリンクの双方において、P×Mに等しいことは周知である。ここで、Pは送信電力である。CSIを利用すると、MU-MIMOワイヤレス通信システムの基地局は、Mの空間電力利得が得られる適切な幅1/Mを有するビームを使用して、意図するK箇所のユーザに向けて放射(radiation)を送出する、または意図するK箇所のユ
ーザからの放射を待ち受けることができる。ダウンリンクにおいて、基地局はM本のアンテナ全てからの電力を送信するが、この電力をK箇所のユーザ間で分割するので、ユーザ間における等しい電力割り当てのために、リンク当たりP
BS・M/Kの電力を供給する。アップリンクにおいて、基地局はM本のアンテナ全てにおいて各ユーザから電力を受信するので、P
Uのリンク当たりの電力を供給する。これから、
図3の表300に示すように、総利得は、ダウンリンクではM
2・P
BS/Kとなり、アップリンクではM・P
Uとなる。尚、K箇所のユーザを担当することができるMU-MIMO基地局は、おそらくは常にK箇所のユーザを同時に担当することはなく、ユーザが1人の場合、CSIモードと非CSIモード間のギャップは、ダウンリンクでは、最大M
2まで増大することは注記してしかるべきである。
利得整合(Gain Matching)のための制御チャネル設計
[0056] 説明する実施形態は、非CSI動作モードの限界を克服する制御チャネルを設計することによって、前述の利得ギャップを克服する方法を含む。ダウンリンクにおける非CSI動作モードとCSI動作モードとの間の利得ギャップを克服するために、本明細
書において提示する制御チャネル設計は、オープン・ループ・ビーム形成を符合化利得と組み合わせることができる。ある実施形態では、多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムの多アンテナ基地局(例えば、
図2に示した多アンテナ基地局202)は、直交シーケンスを搬送するオープン・ループ・ビームを掃引することができ、同期およびページング動作を可能にする。アップリンクでは、本開示において提示する制御チャネル設計は、自然なアンテナ毎の非対称送信電力を利用し、追加の符合化利得を採用してCSI収集およびランダム・アクセス動作を可能にする。更に、ダウンリンク同期シーケンス内に基地局IDをエンコードし、ランダム・アクセス動作を利用することによって、本明細書において提示する制御チャネル設計はアソシエーション動作を容易にする。
オープン・ループ・ビーム形成
[0057] ある実施形態では、多アンテナ基地局(例えば、
図2に示した基地局202)における全てのアンテナの電力およびダイバシティを利用するために、非CSIモードにおいて制御チャネル上でオープン・ループ・ビーム形成を使用することができる。基地局アンテナの電力を組み合わせると、Mの利得が得られ、一方ビーム形成により、O(M
2)の総利得に対して別のMの利得が得られる。しかしながら、ビーム形成利得は、アンテナのカバレッジ・エリアの1/Mに放射電力(radiated power)を集中させる。このため、多アンテナ基地局(例えば、
図2に示した多アンテナ基地局202)は、完全なカバレッジを提供するためにビームを掃引しなければならない。アソシエーションおよび同期は遅延に寛容なので、本制御チャネル設計が、アソシエーションおよび同期動作のために、オープン・ループ・ビーム形成およびビーム掃引を採用しても、ユーザに気付かれる性能に影響を及ぼすことはなく、または著しいチャネル・オーバーヘッドを生ずることもない。
【0037】
[0058] 複数のアンテナからの利得を利用するMIMOおよびダイバシティ方式は多いが、時間-周波数同期に有効であることができるのはオープン・ループ・ビーム形成だけである。何故なら、これは、時間ドメイン歪みを発生することなく、利用可能なアンテナ全てから組み合わせることができる電力および指向性利得を最大限提供するからである。更に、オープン・ループ・ビーム形成は、MU-MIMOワイヤレス通信システムにおいて様々な実用上の便益を得ることもできる。第1に、受信電力の増大により、ユーザはもっと安価なRFコンポーネント、例えば、LNAを採用することが可能になる。第2に、指向性が高まり総電力が減ることにより、隣接するセルに対する干渉を減らすことができる。第3に、ビーム形成手順は既にMU-MIMO通信用の多アンテナ基地局に適用されることが要求されているので、オープン・ループ・ビーム形成は追加のハードウェアや計算を全く必要としない。第4に、オープン・ループ・ビーム形成は、カバレッジ・エリアを微調整することを可能にする。
【0038】
[0059]
図4は、本開示の実施形態にしたがって、ユーザ同期のためにオープン・ループ・ビーム形成を実行する多アンテナ基地局402の一例40を示す。オープン・ループ・ビーム形成の空間選択性を克服するために、多アンテナ基地局402は、ビーム形成を使用して信号sを異なる空間方向に送信するビーム掃引を採用することができる。基本的に、ビーム掃引は、空間カバレッジの拡大を時間オーバーヘッドの増大とトレードオフする。先に論じたように、一部の制御チャネル動作は遅延に寛容なので、同期のためにそしてアソシエーションを容易にするためにビーム掃引を適用することができる。
【0039】
[0060] ある実施形態では、各ビーム(例えば、
図4に示すビーム404)は、M×1ベクトルb
nで定義することができる。ここで、N-長掃引パターンは、b
1、b
2、...、b
nベクトルで構成されるM×N行列Bによって定義することができる。所与のタイム・スロットnおよび所与の基地局アンテナmにおける送信がs・B
m、nとなるので、M-アンテナ基地局402は、N個のタイム・スロットにおいて掃引パターン全体を送信することができる。つまり、各ビーム404が連続的に送られる場合、ビーム掃引は、同じシーケンスの1回の無指向性送信よりもN倍長くかかることになる。1つ以上の実施
形態において、多アンテナ基地局402は、各フレームの開始時にビームを送ることができる。この場合、ビーム掃引全体はN・Fの期間を有することができ、ここで、Fはフレーム期間である。
【0040】
[0061] M×N行列Bが直交基底を形成する場合、即ち、行列BがN=M直交または擬似直交ビームで構成される場合、完全な空間カバレッジを得ることができる(provide)。
1つ以上の実施形態において、ビーム掃引に使用される完全なM次元基底はいずれも、CSI空間の完全なカバレッジを提供することができる。何故なら、定義上、任意のユーザのCSIは基底の線形組み合わせによって表すことができるからである。これは、カバレッジ・エリアにおける任意の地点ではいずれも、Bにおける少なくとも1本のビームが完全なヌルを有さないことを確保する。
【0041】
[0062] 尚、基地局のアンテナ数Mが増えるに連れて、エネルギが一層空間的に選択的になるので、ユーザが所与のビームを検出する確率が低下することは注記してしかるべきである。しかしながら、完全な直交基底を仮定すると、少なくとも1つのビームがユーザに向けて指し示されるので、ユーザが掃引パターンにおける少なくとも1つのビームを検出する確率は高くなる。この場合、ビームは狭くなるので、このビームが有する実効等方放射電力(EIRP:Effective Isotropic Radiated Power)は一層高くなる。
【0042】
[0063] 多アンテナNU-MIMOシステムにおいて採用することができるとして本明細書において提示する制御チャネル設計は、多くのビーム形成技法を利用することができるが、特定の実施態様毎にトレードオフが余儀なくされる。環境や正確な較正についての詳細情報がない場合、ピーク対平均電力率(PAPR)が低い直交基底はいずれも、オー
プン・ループ・ビーム形成に適している可能性がある。完全な基底は空間カバレッジを保証するが、強い信号を保証するのではない。あらゆるユーザがオープン・ループ・ビームをそのユーザに向けて直接指し示させることは統計的に不可能であるので、ビーム掃引の利得は、不精度係数aだけ低下する、即ち、M2/aとなる可能性がある。したがって、不精度係数aを統計的に減少させることによって、過完備な(overcomplete)Bが、即ち、N>Mの場合、拡大したカバレッジを提供することができる。それ以外の方法では、伝搬環境およびアンテナ配置の注意深い検討、ならびにハードウェア較正を仮定すれば、DFTオープン・ループ・ビーム形成のような技法を調整して、所望のカバレッジ・エリアを提供することができる。1つ以上の実施形態において、アダマール・ビーム形成重みを利用することもできる。
【0043】
[0064] ある実施形態では、ユーザに達するレイテンシを低減するように、ビーム掃引の順序を選択することができる。例えば、ビーム掃引の順序が連続的に左から右(またはその逆)である場合、ビームがユーザに到達するのに要する時間は、平均して、長くなる可能性がある。しかしながら、ビーム掃引が、基地局の周囲で空間の一部分から他の部分にホッピングすることによって実行される場合、即ち、ビーム掃引が、空間の左部分から開始し、その後右部分、その後前部分、次いで後ろ部分に実行される場合、ユーザに達する平均レイテンシを低減することができる。
【0044】
[0065] ある実施形態では、非反復ビーム掃引パターンを利用すると、カバレッジ・エリアを広げることができる。多アンテナ基地局は、ビーム掃引プロセスの間連続的にビームを変更するように構成することができる。このように、多アンテナ基地局は、固定ビーム掃引パターンを使用するときよりも広い空間をカバーすることができる。
符合化利得
[0066] 特定の実施形態では、オープン・ループ・ビーム掃引の使用によって、非CSIおよびCSIモード間の利得ギャップを狭めることができる。
図4に示すように、ビーム掃引を行わない従前からの非CSIモードの利得は、カバレッジ領域406によって与
えられ、これは、MU-MTMO CSIモードのカバレッジ領域(利得)408よりも遥かに小さい(例えば、M
2の1)。非CSIモードにおいてオープン・ループ・ビーム掃引を採用することによって、CSIモードからの利得ギャップを大幅に狭めることができる。
図4に示すように、オープン・ループ・ビーム掃引の累積利得(カバレッジ領域)は、N通りの異なるビーム方向をカバーする空間404のビーム全てを含むことによって与えられる。しかしながら、
図4に示すように、非CSIオープン・ループ・ビーム掃引とCSI MU-MTMO通信との間にはなおもカバレッジ・ギャップ410がある。
【0045】
[0067] 非CSIおよびCSIモード間における残りのギャップを埋めるために、本開示の多アンテナMU-MIMOシステムは、加えて、非CSIモードにおいて、ダウンリンクおよびアップリンク通信双方に可変符合化利得を採用する。ある実施形態では、符合化利得は、信号を長い(longer)時間期間にわたって送ることによって得ることができ、つまり、継時的に積分した総受信電力は、期間が長くなる程、線形に増大するとして差し支えない。しかしながら、符合化利得は、チャネル使用オーバーヘッドを線形に増やすことを犠牲として得る(come)ことができる。ある実施形態では、符合化利得は調節可能であり、したがって利得対オーバーヘッドのトレードオフを動的に微調整するために使用できるので、符合化利得は、動作モード間で一致するように利得を調整する(tune)ための好ましい方法である。
【0046】
[0068]
図5は、本開示の実施形態にしたがって、追加の符合化利得を適用して、オープン・ループ・ビーム形成を実行する多アンテナ基地局502の一例500を示す。
図5に示すように、ダウンリンクにおいて符合化利得を適用することによって、ビーム毎のカバレッジ領域(即ち、利得)は、カバレッジ領域504(例えば、オープン・ループ・ビーム掃引だけが適用されるときのカバレッジ領域)から、カバレッジ領域506(例えば、符合化利得がオープン・ループ・ビーム掃引と組み合わされるときのカバレッジ領域)に拡大することができる。つまり、オープン・ループ・ビーム掃引を符合化利得と組み合わせることによって、
図4に示したカバレッジ・ギャップ410を完全に消滅させることができ、ダウンリンクにおいて最大のカバレッジを得る(achieve)ことができる。
【0047】
[0069] 戻って
図3を参照すると、表300は信号対干渉+ノイズ比(SINR)に関して利得ギャップを分析するが、フレームの全ての部分が同じSINR要件を有する訳ではないことは注記してしかるべきである。例えば、変調および符合化方式を変更することによってSINRが高くなることから、データ転送に有利に働くことが可能である。変調の次数が増える程、デコードに成功するためには、一層高いSINRが必要となり、つまり、変調が高次になる程、CSIモードでは負の符合化利得と見なされる可能性がある。例えば、802.11ベースのシステムでは、直交周波数分割多元(OFDM)二進位相偏移変調(BPSK)変調は15dBのSINRが必要になる場合があるが、64-QAMは31dBが必要になる場合がある。対照的に、長さ128のKasamiシーケンスに対する検出閾値は、約-5dBである。これは、更に、データ送信に使用されるCSIモードと非CSIモード間における利得ギャップを効果的に縮小するが、利得ギャップの縮小は、実際のデータ変調速度に依存する。動的な符合化利得を利用することによって、本開示の多アンテナMU-MIMOシステムの範囲およびオーバーヘッドを、各配備の特定の必要性に合わせて調整することができる。
【0048】
[0070]
図6A、
図6B、
図6C、および
図6Dは、本開示の実施形態による、多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムの異なる動作に対する異なるフレーム構造の例を示す。ある実施形態では、
図6Aに示すように、多アンテナ基地局602は、ユーザ604Aに、基地局IDもエンコードすることができる可変長直交同期シーケンス(例えば、ビーコン606)を送信することができる(例えば、ダウンリンク制御チャネルを使用して)。更に
図6Aに示すように、そして以下で更に詳しく論ずるように、多アンテナ
基地局602は、ユーザ604A以外の、多アンテナ基地局602と同期を実行する他のユーザ604Bをページングするために、ページング・シーケンス608を送信することもできる(例えば、ビーコンと同時に)。
【0049】
[0071] 多アンテナ基地局602は、同時に、同期を行い(provide)、同期シーケンス
の長さに比例する利得C
downを得ることができる。同期シーケンスは同期の前に検出される必要があるので、同期シーケンスは、それら自体および直交系における他のシーケンスの双方との、低ストリーミング自己相関(low streaming auto-correlation)を必要とする。即ち、同期シーケンスは、それらがいつ開始したかについての知識がなくても検出可能でなければならないので、受信側(例えば、
図6Aにおけるユーザ604A)は、サンプル毎に完全な相関付け(full correlation)を実行する必要があるとして差し支えない。つまり、同期シーケンスの時間ずれが、低い相関を生じなければならないとすればよい。そうでなければ、誤った検出を生ずる原因となるおそれがある。
【0050】
[0072] ある実施形態では、
図6Bに示すように同期の後、多アンテナ基地局602が、直交パイロット・スロット610A、610Bをアクティブ・ユーザ604A、604B、604C等に割り当てることができ、更にアソシエーションおよびランダム・アクセスのために(例えば、CSI収集)専用アップリンク・パイロット・スロット612を確保することができる。1つ以上の実施形態では、アップリンク・パイロット・スロットは、ユーザのチャネル品質に基づいて符合化利得を可能にするために、可変長にしてもよい。例えば、セル・エッジ上のユーザがもっと長いパイロットを利用すれば、チャネル推定の精度を高めることができる。ある実施形態では、
図6Cおよび
図6Dに示すように、多アンテナ基地局602が、取得したCSIを利用して、効率的なMU-MIMO通信リンク上で、ダウンリンクおよびアップリンク接続(connectivity)をユーザ604A、604B、604C等に提供し、更に任意の残りの制御チャネル情報を提供することができる。
【0051】
[0073] ある実施形態では、パイロットを周波数において直交化することにより、制御チャネル設計は、チャネル推定の精度を高め、少なくともKのアップリンク利得を得ることができる。周波数直交化(例えば、直交周波数分割多元接続(OFDMA))は、全てのユーザが同時に送信することを可能にすることができるが、多アンテナ基地局において受信される瞬時電力がK倍に増大する。周波数毎に完全なCSIを収集するために、
図6Bに示すように、ユーザを更に時間直交化することができる。即ち、直交パイロット610A、610Bを異なるユーザ604A、604B、604C等に割り当て、同時にアップリンクにおいて送信することができる。したがって、所与のユーザに受信される総電力を継時的に積分すると、これもK倍に増大する。高精度のCSIを得るためには、少なくとも周波数コヒーレンスの逆(inverse of the frequency coherence)の期間に、各コヒーレント時間間隔でパイロットを送ることを各ユーザに要求すればよい。しかしながら、貧弱なチャネル品質で、周波数コヒーレンス間隔によって要求されるよりも長く送るようにユーザをスケジューリングすることによって、符合化利得C
upを増大させることもできる。この手法は、セル全体にわたって高品質のチャネル測定値を確保し、
図5に示すように、利得ギャップを完全に埋める。
【0052】
[0074] 1つ以上の実施形態において、アソシエーションおよびランダム・アクセスのために、ユーザが直交同期シーケンスを専用時間-周波数ブロック上で訓練フェーズの間に送ることができる。これは、以下で更に詳しく論ずるように、同時に衝突回避およびタイミング進み推定(timing-advance estimation)を可能にしつつ、ユーザに符合化利得を
得させることができる。
複合利得(Combined Gain)
[0075] ある実施形態では、先に論じたように、オープン・ループ・ビーム形成および符合化利得の組み合わせが、多アンテナMU-MIMOシステムにおいて制御チャネル上
で採用され、
図5に示すように、利得ギャップを埋めることができる。1つ以上の実施形態において、ビーム掃引は、多アンテナ基地局の最大限の電力をカバレッジ・エリアの小部分に集中させることによって、ダウンリンク利得の大半を得ることができる。即ち、オープン・ループ・ビーム掃引はM
2/aの利得を得ることができる。ここで、aはビーム形成の不正確さ(inaccuracy)である。ダウンリンクでは、制御チャネル設計は、非CSI動作モードおよびCSI動作モード間のギャップを、M
2/KからM
2/K/(C
down・M
2/a)=a/(C
down・K)に狭める。つまり、C
down≒a/Kとなるように、符合化利得を調整することができる。アップリンクでは、制御チャネル設計はOFDMAおよび符合化を利用して、非CSIモードにおいてC
up・Kの利得を得る。これによって、非CSI-CSI間ギャップをMからM/(K・C
up)に狭める。これは、ギャップを埋めるためにはC
upがほぼM/Kでなければならないことを示唆する。
【0053】
[0076] しかしながら、一旦適正なダウンリンク符合化利得Cdownが適用され、オープン・ループ・ビーム掃引と組み合わせられたなら、非CSIダウンリンク利得はM2/Kとなる。対照的に、非CSIアップリンク利得は(Cup・K・PU)に過ぎず、これは新たな利得ギャップを生ずるに至る。アップリンク-ダウンリンク・ギャップを軽減するために、基地局およびユーザの総送信電力は、ほぼ同じに、例えば、O(PU)≒O(M・PBS)にする必要がある。これは、既存の双方向通信システムに特有であるが、マクロ・セルは10から18dBもの差を有する可能性がある。これにより、ギャップを(Cup・K・PU)/(M2/K・PBS)から(Cup・K2)/Mに狭め、アップリンク符合化利得は、ギャップを埋め終えるためには、PUとPBSとの間におけるあらゆる残留不一致(residual discrepancy)と併せて、ほぼM/K2に調整すべき(tune)ことを示唆する。
【0054】
[0077] 非CSIおよびCSI間のギャップを埋めるために必要なアップリンク符合化利得Cup、即ち、M/K、ならびにアップリングおよびダウンリンク間のギャップを埋めるために必要なアップリンク符合化利得Cup、即ち、M/K2を比較すると、Kの残留ギャップがあることを観察することができる。基地局の範囲はダウンリンク・モードによって制限されるので、特定の実施形態では、アップリンク-ダウンリンク・ギャップに一致させるためには、Cupを選択しなければならない。次いで、CSIアップリンクにおけるKの残留利得を使用して、送信電力を低減するか、または変調速度を上昇させることができる。1つ以上の実施形態において、最大の符合化利得が要求される可能性があるのは、ユーザが超長パイロット(extra-long pilot)を利用するセル・エッジだけである。また、本明細書において提示する多アンテナMU-MIMOシステムは、所与のカバレッジ・エリアでは、基地局の要求アンテナ毎送信電力をM2だけ低減し、ユーザの要求アンテナ毎送信電力をKだけ低減することも注記してしかるべきである。
制御チャネル設計
[0078] 説明する実施形態は、以下で更に詳しく論ずるように、制御チャネル設計、ならびに同期、アソシエーション、CSI収集、ランダム・アクセス、およびページングのための制御チャネルの用法に関する。
同期
[0079] 本明細書において提示する多アンテナMU-MIMOシステムは、時間同期および周波数同期の双方を行う。ある実施形態では、ビーム掃引を使用することによって、多アンテナ基地局から移動体ユーザに送信される延長シーケンス(extended-length sequence)に基づいて、同期を行うことができる。
【0055】
[0080]
図7は、本開示の実施形態にしたがって、ビーム掃引を使用することによって、同期シーケンスを送信する多アンテナ基地局702の一例700を示す。
図7に示すように、多アンテナ基地局702は、N通りの異なるビーム方向704を使用して同期シーケンスを送信するように構成することができる。ある実施形態では、ユーザは受信したサ
ンプル上でストリーミング相互相関付けを実行して、基地局702から送られた同期シーケンスを検出することができる。各ユーザは、サンプル毎に、受信信号RのシーケンスSとの相関(即ち、
【0056】
【0057】
を計算することができる。この相関は、RおよびSが時間的に整列する、即ち、時間同期されたときの1つのサンプルにおいて、ピークを生成することができる。
[0081] 本明細書において提示する制御チャネル設計は、2つの主な課題に直面した。第1に、複数の同期シーケンスを同時に検出しなければならないことをあげることができる。これは、同期にはビーコンおよびページング双方のシーケンスが使用される場合があり、これらは別個のビーム上で同時に送られるからである。第2に、時間同期は、粗いタイミング情報もAGCも使用せずに実行しなければならない。先に論じたように、粗フレーム検出およびAGCは、細粒時間同期(fine-grain time synchronization)を行うため
に、CSIモードにおいて採用することができる。しかしながら、これらの技法は、非CSIモードにおいて採用するのは非効率的であるか、または不可能なこともある。何故なら、ビーム掃引およびMU-MIMOダウンリンクは、非常に空間選択的であり、したがって、ユーザは、電力が激しく変動する各同期シーケンスを受信するからである。多アンテナ基地局702は、粗フレーム検出およびAGCを容易にするために、訓練シーケンスを送信することを、各同期シーケンスの送信よりも先行させるように構成することもできる。しかしながら、訓練シーケンスは、利得ギャップを克服するために、大幅に延長した長さを有さなければならないであろう。更に、この訓練シーケンスによって設定される利得は、1つのビームだけにしか有効ではなく、ビーム掃引には非常に非効率的になる。
【0058】
[0082] 説明する実施形態は、本明細書において更に詳しく論ずる3つの技法に基づいて、前述の課題に取り組む。第1に、ある実施形態では、受信サンプルに対してストリーミング相互相関を実行するために、2つの最大精度相関器(full-precision correlator)
を採用することができる。2回の並列最大精度相関、例えば、12ビット相関を実行することにより、本明細書において提示する多アンテナMU-MIMOシステムは、信号強度が大きく変動する同期シーケンスでも容易に検出することができるだけでなく、同時に送られるページングおよびビーコン同期シーケンスを容易に区別することができる。
【0059】
[0083] 第2に、ある実施形態では、あらゆるシーケンスに対してAGCを実行するのは非効率なので、送信利得制御を採用することもできる。多アンテナ基地局702は、同期シーケンスをビーム掃引するので、ユーザは信号強度が著しく異なる各シーケンスを受信する。したがって、ユーザはユーザのダイナミック・レンジ以内である掃引においてシーケンスを待つことができる。ユーザがシーケンスを全く検出しない場合、例えば、いずれの基地局も発見する前では、ユーザは、シーケンスを検出するまで、それらの受信利得設定値をゆっくりと変化させることができる。利得設定値は、ユーザのダイナミック・レンジ内に入る同期シーケンスおよびビーコンの数を増大させるように変更することができる。同期が確立された後、ユーザは後続の同期シーケンスの全てを待ち受けて、しかるべくそれらの利得を調節することができる。1つ以上の実施形態において、
図6Cおよび
図6Dにおいてセグメント614および616で示すように、本明細書において提示する多アンテナMU-MIMOシステムは、フィードバックを使用することによって、アップリンク利得制御を実行し、一方細粒ダウンリンク利得制御は、各ダウンリンク・フェーズの開始時に実行することができる。
【0060】
[0084] 第3に、ある実施形態では、相関器出力の移動平均とスパイク検出器とを組み合わせることによって、検出閾値を動的に設定することができる。これは、従前からのAGCを使用しないと、単一サンプル相関ピークはその大きさが劇的に変動する可能性があるからである。平均相関器出力は、平均入力電力を提示することができるが、付加的に相関シーケンスの電力で拡縮して、検出閾値を調節することなく異なるシーケンスを検出できるようにしてもよい。1つ以上の実施形態において、スパイク検出器は、短い電力のバーストがあるときに検出閾値を単に指数的に上昇させ、こうして誤った偽陽性を回避することができる。
【0061】
[0085] ある実施形態では、キャリア周波数オフセット(CFO)を決定するために、ユーザは受信したダウンリンク同期シーケンスにおける位相ドリフトを計算するのでもよい。1つ以上の実施形態において、ダウンリンク同期シーケンスは、同じサブシーケンスの2回の繰り返しを含むことがある。これは、CFOからのドリフトは一定であるので、各繰り返しにおける対応する受信サンプルは同じ位相オフセットを有するからである。即ち、同期シーケンスSを形成するために2回繰り返されるn-長サブシーケンスについて、θ(Si,Si+n)=θ(Sj,Sj+n)となる。ここで、θは同期シーケンスSの1対の複素サンプル間の位相差である。これは、SiおよびSi+nが同じシンボルの複素サンプルであるからである。つまり、CFOがないと、θ(Si,Si+n)=0となる。CFOがあると、時間nに比例する位相ドリフトがあり、したがって、これは全ての複素サンプルiにわたって一定である。即ち、θ(Si,Si+n)=drift(n)となる。したがって、CFOを以下のように計算することができる。
【0062】
【0063】
[0086] 1つ以上の実施形態において、式(1)に示される2πによる除算は実行されない。何故なら、補正用複素正弦波(correcting complex sinusoid)を生成するときにC
FOに2πを乗算するからである。つまり、nを2のべき乗となるように選択することによって、式(1)における除算は、単なるビット・シフト演算となる。一実施形態では、ノイズがある場合、同期シーケンスは長い程一層信頼性が高くなると言って差し支えない。これは、平均演算によってノイズを消滅させる(filter out)ことができるからである。本明細書において提示する周波数同期のための技法は、2つの同期シーケンスを同時に(例えば、ビーム掃引の間に)、CFOの復元に影響を及ぼすことなく、送信することを可能にする。同時に送信される同期シーケンスは双方共、2回繰り返すサブシーケンスを含むので、組み合わされた信号も2回繰り返すが、それでもなお精度高くCFOを計算するために使用することができる。ある実施形態では、同期シーケンスと同時に送られる他のシーケンスがない場合、同期シーケンスの繰り返しを使用することなく、CFOを計算することができる。
【0064】
[0087] マルチパス環境における周波数歪みを回避するために、サイクリック・プレフィックスを同期シーケンスの先頭に追加してもよい。しかしながら、先頭に追加されるサイクリック・プレフィックスは、時間同期のロバスト性を低下させるおそれがある。これは、サイクリック・プレフィックスがシーケンスの部分集合と整列するので、サイクリック・プレフィックスが相関器において偽陽性を発生する原因になる可能性があるからである。これを回避するために、サイクリック・ポストフィックスを採用してもよいが、そのためにCFO計算が遅れるおそれがある。即ち、式(1)における総和がサイクリック・ポストフィックスの長さで(at a length of)開始することになろう。尚、相関器は時間ド
メインにおいて動作するので、この手法は相関器の性能には影響を及ぼさないことは注記してしかるべきである。
アソシエーション手順(Association Procedure)
[0088] 提示した多アンテナMU-MIMOワイヤレス・システムは、(i)ビーム掃引された同期シーケンスにおいて一意の基地局識別子(例えば、ビーコン)をエンコードし、(ii)ユーザにスキャンさせて、エンコードされたビーコンを得て基地局を選択させ、(iii)「ソフト」アソシエーション・メカニズムを設けて、MIMOリンク上において、選択された基地局についてより多くの情報をユーザが素早く得ることを可能にすることによって、アソシエーションを可能にする。各動作についての更なる詳細について、これより示す。
【0065】
[0089] ある実施形態では、
図6Aに示すようにそして先に論じたように、各基地局が、ビーコンと呼ばれる、局所的に一意の識別子をエンコードした同期シーケンスをビーム掃引することができる。この手法は、ユーザが基地局と同期すること、および基地局を識別することを同時に可能にすることができる。簡潔さのために、基地局は、これらの各々が局所的に一意の識別子を有し、それらのビーコンが時間的に重複しないことの確証が得られるように調整される(coordinated)と見なす。これによって、ランダム・アクセス衝
突を防止し、パイロット汚染を低減する。
【0066】
[0090] ある実施形態では、アソシエートする前に、ユーザは近隣の基地局全てのID、および各基地局からのビーコンの平均電力を判定するために、少なくとも1つの掃引間隔全体(複数の周波数にわたる可能性もある)で待ち受けることができる。ビーコンはビーム形成されるので、その受信電力は、ユーザと基地局との間における実際のチャネル品質を示さない。つまり、ユーザは、各基地局からの信号強度の大まかな推定値を得るためには、掃引間隔全体にわたってビーコンを待ち受けなければならないということになろう。しかしながら、真のSINRおよびチャネル品質は、先に論じたビーム形成の不正確さのために、アソシエーションの後まで精度高く判定することはできない。更に、ビーコン内に収容されている一意の識別子は、認証、暗号、および人が読み取れる識別子(例えば、サービス・セット識別子(SSID))のような、追加情報を全く伝えることができない。したがって、1つ以上の実施形態において、ユーザは、最良の一致を求めるために、複数の基地局にソフト・アソシエートするように構成することができる。
【0067】
[0091] 本明細書において実施されるビーコンは一意の識別子だけしか収容できないので、ユーザがCSIモードについてより多くの情報を集めることを可能にする、ソフト・アソシエーションと呼ばれる追加のメカニズムを設けてもよい。従前からの制御チャネル設計では、ビーコン内で基地局についての情報をブロードキャストする。例えば、802.11ベースのビーコンは、基本サービス・セット識別子(BSSID)、SSID、変調速度、暗号情報等を含むことができる。この情報は、各ユーザによって、そのユーザが基地局に接続したいか、または接続できるかまでも判断するために利用することができる。更に、ユーザが、基地局へのそのチャネル品質を判定できることが必要となる場合もあるが、これはCSIモードでなければ実行することはできない。
【0068】
[0092] ある実施形態では、本明細書において実装されるソフト・アソシエーション・メカニズムは、効率的に制御チャネル情報を交換するために、ユーザが基地局とのMIMOリンクを素早くそして効率的に確立することを可能にすることもできる。ソフト・アソシエーションを実行するためには、各ユーザは、最初に、ビーコンを正しく(successfully)デコードすることによって、基地局と同期しなければならない場合がある。その後、ユーザはランダム・アクセスのために確保されているスロットの内の1つにおいてパイロットを送ることができる。これについては以下で更に詳しく論ずる。一旦基地局がこのパイロットを正しく受信したなら、基地局はこのユーザに対するCSIについての情報を有し
、このCSI情報を使用してMIMOリンクを開き、残りの制御チャネル情報をユーザに伝えることができる。ユーザが完全なアソシエーションを進める場合(例えば、許可、リンク品質等に基づいて)、基地局は、ユーザとのリンクを維持するために、ユーザ専用パイロット・スロットおよび一意のページング・シーケンスをスケジューリングすることができる。そうでない場合、ユーザは、1つだけの基地局とアソシエートする前に、近隣における他の基地局を求めてスキャンし、それにソフト・アソシエートし続ければよい。
CSI収集
[0093] ある実施形態では、
図6Bに示すように、ビーコン検出の後、全てのアクティブ・ユーザが、それらのスケジューリングされたスロットにおいて、アップリンク・パイロットを送ることができる。次いで、基地局が受信したアップリンク・パイロットを利用して、基地局とユーザとの間のチャネルに関係するCSIを収集することができる。CSI収集フェーズは、ユーザに任意に割り当てることができる多数の時間-周波数-コード・リソース・スロットを含むことができ、一部のリソース・スロットはランダム・アクセス専用となっており(例えば、
図6Bに示したスロット612)、アソシエーション要求およびページング応答を含む。アソシエーション要求およびページングをサポートするために、ランダム・アクセス・スロット612は、アソシエーション・スロットとランダム・アクセスとの間で分割することができる。1つ以上の実施形態において、所与のリソース・エレメント内で基準信号を送ったユーザは、対応する時間および周波数コヒーレンス間隔において、アップリンクおよびダウンリンク・フェーズ双方のために空間リソース・エレメントを得る(gain)ことができる。これに基づいて、所与の基準シンボルはいずれも、コヒーレンス時間間隔、および更に広い周波数コヒーレンス間隔双方に有効である推定を与えることができる。特定の実施形態では、CSI精度を高めるために、一定の閾値未満のチャネル品質を有するユーザには、更に長いパイロット・スロットを割り当てることができる。
ランダム・アクセス
[0094]
図6Bに示すように、開示する実施形態は、各チャネル推定フェーズの開始時にパイロット・スロットを確保することに基づく(例えば、
図6Bに示すランダム・アクセス・スロット612)、ランダム・アクセス方法を含む。多アンテナ基地局602との接続を開始するために、ユーザ604A、604B、604C等は、これらの確保されたパイロット・スロットの1つにおいてアップリンク・パイロットを送ることができる。ユーザ602が、他のユーザを妨害することなく、正しいパイロット・スロット内でアッリンク・パイロットを送るために、ユーザ602はビーコンを受信しており、つまり多アンテナ基地局602との同期を正しく確立していなければならないとしてもよい。1つ以上の実施形態において、基地局602は、受信したアップリンク・パイロット(1つまたは複数)を利用して、ユーザのチャネルおよびタイミング進みを推定し、更にユーザに対して非常に効率的なMU-MIMOリンクを張る(create)ことができる。次いで、この張られたMU-MIMOリンクは、変調速度およびパイロット・スケジューリングを含む残りの制御チャネル情報の全てを伝えるため、更にはビーコンが所定の時間期間にわたって受信されていない場合に、アクティブ・ユーザのために同期を維持/改善するために使用することができる。ある実施形態では、伝えられた制御チャネル情報は、BSSID、SSID、変調速度、利得制御情報、MU-MIMO通信リンクに関係するチャネル推定情報、または多アンテナ基地局に関連する暗号情報の内少なくとも1つを含むとよい。
【0069】
[0095] LTEワイヤレス通信の標準的な仕様は、本明細書において提示した多アンテナMU-MIMOシステムに適することができ、説得力のある(compelling)ランダム・アクセス解決策を提供するが、本明細書において提示した多アンテナMU-MIMOシステムが、利得ギャップを微調整するために、より長いシーケンス(longer length sequence)の使用を許可することは例外である。LTEによって指定されるように、本明細書において提示した多アンテナMU-MIMOシステムは、ランダム・アクセスのために、衝突検出および回避、ならびにタイミング進みを採用してもよい。
ページング
[0096] 説明する実施形態は、本明細書において提示した多アンテナMU-MIMOシステムの多アンテナ基地局が、この多アンテナ基地局のカバレッジ・エリア全体にわたって信頼性高くそして素早くユーザをページングすることを可能にする。これを遂行するために、以上で説明したビーム掃引および符合化利得を適用することができる。しかしながら、同期およびアソシエーションとは異なり、ページングは遅延に寛容な動作ではない。このため、多アンテナ基地局は、判明している最後のユーザ位置(last known location)
を利用して、ビーム掃引からの遅延を大幅に低減することができる。
【0070】
[0097]
図8は、本開示の実施形態にしたがって、ユーザ804A、804B、804Cのページングを実行する多アンテナ基地局802の一例800を示す。アソシエーション時に、基地局802は各ユーザに一意のページング・シーケンスを割り当てることができる。このページング・シーケンスは、
図6Aに示すように、ビーコンと殆ど同一の構造に作り、ビーコンと同時に送信することができる。また、
図8に示すように、多アンテナ基地局802は、既に多アンテナ基地局802と同期されアソシエートされているユーザ804A、804B、804Cにページング・シーケンス808を送信するのと同時に、同期のために(例えば、ビーム掃引を使用して)ビーコン806を送信することができる。
【0071】
[0098] ある実施形態では、直交性を確保するために、ページング・シーケンス(例えば、ページング・シーケンス808)を同じコードブックから、ビーコン(例えば、ビーコン806)として選択してもよい。更に、時間-周波数同期を容易にするためにページング・シーケンスを2回繰り返してもよい。ユーザをページングするために
図6Aおよび
図8に示すように、基地局(例えば、
図6Aに示す基地局602、
図8に示す基地局802)は、ビーコン(例えば、
図6Aに示すビーコン606、
図8に示すビーコン806)、ユーザに関連する一意のページング・シーケンス(例えば、
図6Aに示すページング・シーケンス608、
図8に示すページング・シーケンス808)と共に、各フレームの開始時に、しかし別個のビーム上でビーム掃引を行う。ビーコンとページング・シーケンスとの間におけるこの追加の空間分離は、シーケンス間干渉を低減するので、いずれの検出も改善することができる。1つ以上の実施形態において、ページング・シーケンス(例えば、
図6Aにおけるページング・シーケンス608、
図8におけるページング・シーケンス808)を検出するために、ユーザ(例えば、
図6A、
図6B、
図6C、および
図6Dにおけるユーザ604A、604B、604C、
図8におけるユーザ804A、804B、804C)は、以上で説明したビーコン(例えば、
図6Aにおけるビーコン606、
図8におけるビーコン806)に使用される同じ同期相関を実行することもできる。ページング・シーケンスを正しく検出した場合も同様に、ユーザに同期を行わせる。しかしながら、ページング・シーケンスを検出する場合、ユーザは、直前の専用(例えば、アソシエーション時の)ランダム・アクセス・パイロット・スロットにおいてアップリンク・パイロットを直ちに送るように構成することもできる。アップリンク・パイロットの送信は、基地局(例えば、
図8における多アンテナ基地局802)にCSIを推定させ、ページングされたユーザ(例えば、
図8におけるユーザ804A)とのMIMO通信を開始させることができる。
【0072】
[0099] ある実施形態では、多アンテナ基地局802がユーザからページング・シーケンスを正しく受信したことの承認を受けるまで、各ページング・シーケンスは対応するユーザに送信される。ビーコン806およびページング・シーケンス808、ならびにそれらのビーム方向は擬似直交であるので、ビーコン806およびページング・シーケンス808は、対応するユーザにおいて、正しく検出することができる。一実施形態では、ビーコン806およびページング・シーケンス808の繰り返しは、ページングおよびビーコン・シーケンスが重複する間にCFOを受信する際にユーザを補助するために実施しても
よい。他の実施形態では、ビーコン806およびページング・シーケンス808を別個の時間フレーム(1つまたは複数)において送信することができる。この場合、ユーザにおいてCFOを復元するために、ビーコン806およびページング・シーケンス808を繰り返す必要はない。何故なら、ビーコン・シーケンス806およびページング・シーケンス808内における位相ドリフトを干渉なく検出できるからである。
【0073】
[00100] アソシエーションおよび同期には時間的制約がないが、ビーム掃引からの遅
延はページングには容認できない場合がある。したがって、ある実施形態では、多アンテナ基地局802は、ユーザの以前の位置(例えば、判明している最後のユーザ804Aの位置)の知識を利用してビーム掃引を誘導することができ、ページング動作を大幅に高速化することができる。尚、ユーザがページングされるまで掃引は継続するので、判明している最後のユーザ位置を利用しても、予測ページング遅延を改善できるに過ぎないことは注記してしかるべきである。ある実施形態では、ユーザの位置情報は、ユーザの物理的位置、ユーザに関連するCSI、ユーザにおいて受信された1つ以上のビーコンの強度についての情報(例えば、ユーザにおいて受信されたビーコン掃引の最も強いビームについての情報)、ユーザにおいて受信された最も強いビーコンの到達角度、または多アンテナ基地局802からその特定のユーザまでの送信ビームの誘導(steering)を容易にすることができる任意の他の情報の内少なくとも1つを含むことができる。
【0074】
[00101] 加えて、または代わりに、ユーザ804A、804B、804Cが周期的に
ランダム・アクセス要求(例えば、ポーリング)を多アンテナ基地局802に送ることもできる。この手法は、アソシエーションを維持し、失われたページ要求をチェックし、多アンテナ基地局802において判明している最後のユーザ位置を更新するといった多くの目的に役立ち、効率的なページングおよび基地局間ハンドオーバーを支援することができる。
【0075】
[00102] 更に、開示する実施形態は、所与のデプロイ(deployment)についての過去の
ユーザ情報を使用して、ビーコン掃引およびページング検索を最適化する方法も含む。例えば、ときの経過と共に、基地局は、ユーザが空間における一定のデプロイ位置には決して入らない(例えば、空高く)ことを学習することができ、空間におけるこれらの特定の位置に向けてビーコンを掃引しないように、または頻度を落としてビームを掃引するように、基地局を構成することができる。同様に、基地局は、ユーザが典型的な移動パターンを有することを学習することができる。つまり、ユーザが基地局から送られるページング・シーケンスに応答しない場合、基地局は、全ての可能な方向の代わりに、予想されるユーザ位置に向けてページング・シーケンスを送るためにビーム掃引を実行するように構成することができる。予想されるユーザ位置は、判明した最後のユーザ物理位置、ユーザに関連するCSI、ユーザにおいて受信したビーコンの強度についての情報、ユーザにおいて受信したビーコン掃引の最も強いビームについての情報、ユーザにおいて受信した最も強いビーコンの到達角度等の内少なくとも1つに基づくことができる。
【0076】
[00103] 更に、開示する実施形態は、多アンテナ基地局の非CSI動作モードの間に
おける多アンテナ・ユーザの同期およびアソシエーション方法も含む。ある実施形態では、各多アンテナ・ユーザは複数のビーム形成ストリーム上で同期シーケンスのサンプルを受信することができる。次いで、複数のビーム形成ストリーム上で同期シーケンスのサンプルに対して複数の相関(例えば、ストリーミング相互相関または自己相関)を実行して、同期シーケンス内にエンコードされている多アンテナ基地局の識別を有するビーコンをデコードすることができる。他のある実施形態では、低い閾値における自己相関または相互相関に基づいて多アンテナ・ユーザの任意のアンテナにおいて、同期シーケンスを検出することができる。その後、検出した同期シーケンスに基づいて、ビーム形成重みを計算することができる。次いで、複数のユーザ・アンテナに対するストリーミング相互相関ま
たは自己相関に基づいて、ビーム形成重みを使用して、同期シーケンスのサンプルの部分集合を処理して、同期シーケンスにエンコードされている多アンテナ基地局の識別を有するビーコンをデコードすることができる。ある実施形態では、ビーム形成重みは、予め決めておくことができ、更にアダマール・ベースのビーム形成重みまたはDFTベースのビーム形成重みの内少なくとも1つを含んでもよい。
オーバーヘッド分析
[00104] 本開示において提示した制御チャネル設計は、小さいが無視することができ
ないオーバーヘッドを有する場合もある。ある実施形態では、このオーバーヘッドは、4つのメトリック、即ち、(i)総チャネル・オーバーヘッド、(ii)アソシエーション遅延、(iii)ランダム・アクセス遅延、および(iv)ページング遅延によって測定することができる。
図9は、これらのオーバーヘッドおよび遅延を判定する式900を示す。
図9に示す表910は、例示的なシステム構成に対する値の例を示す。この分析に対して、フレームは連続的に送信され、各フレームの先頭にビーコンがあると仮定することができる。予想ページング遅延は、ページング方式に依存する。しかしながら、予想ページング遅延は、完全なビーム掃引を実行するのに要する時間を示すので、アソシエーション遅延によってその上限が決められる(upper-bounded)。
【0077】
[00105] ある実施形態では、アクティブ・ユーザは、同期を維持するために有効なビ
ーコンを受信する必要はない。何故なら、同期はCSIダウンリンク制御フェーズにおいて維持することができるからである。インナクティブであるがアソシエートされたユーザも、ビーコンおよびページング信号を待ち受けることによって同期を維持することができる。時間-周波数同期が有効である期間は、発振器の精度、フレーム設計(例えば、サイクリック・プレフィックス)、および温度変動に左右される場合もある。発振器の典型的な精度を仮定すると、同期は数百msの間有効であることができるが、これはシステム毎に判定することができる。したがって、ビーコンはアソシエーションのみに必要とされればよく、つまり、掃引間隔は適宜に調節することができる。1つ以上の実施形態において、
図9に示すオーバーヘッドは、システム・パラメータを変更することによって、調整することができる。尚、
図9における表910によれば、本開示において提示した制御チャネル設計は、セル・エッジにおいてアソシエーション遅延が多少増大することを犠牲にすれば、2%未満のオーバーヘッドで数千本のアンテナをサポートできることは注記してしかるべきである。
実施態様(implementation)
[00106] ある例示的な実施形態によれば、本明細書において提示した制御チャネル設
計は、108本のアンテナのアレイを含む多アンテナMU-MIMO基地局のプロトタイプ上に実装することができるが、更に多いアンテナもサポートすることができる。例示的な実施形態は、ビーム掃引にアダマール・ビーム重みを採用する。アダマール・ビーム重みは、最小数の重みを使用して、全てが揃い(complete)、完全に直交な(perfectly orthogonal)基準を設け、最小量のオーバーヘッドで最大のダイバシティ利得を可能にし、完全な空間カバレッジを提供することができる。更に、アダマール・ビーム重みは、1という好ましいピーク対平均電力比(PAPR)を特徴とすることもでき、基地局アンテナにそれらの最大潜在送信電力を使用させることができる。加えて、アダマール・ビーム重みの計算には、アンテナ・アパーチャや環境の知識が全く必要なく、較正や環境の考慮をしない迅速なデプロイを可能にする。
【0078】
[00107] 例示的な実施形態は、ダウンリンク符合化にKasamiシーケンスを利用
する。Kasamiシーケンスは、所望の検出性能を得ることができ、それら自体および他の直交シーケンスの双方と、低く、有限の(bounded)ストリーミング相関を有すること
ができる。これによって、時間同期がなくても、Kasamiシーケンスを信頼性高く検出することが可能になる。更に、Kasamiシーケンスは、多数の直交シーケンス、例えば、長さ256のKasamiシーケンスに対して4096個の直交シーケンスを与え
ることができ、これにより同じ場所にいるユーザおよび基地局を一意に識別することが可能になる。
【0079】
[00108] 例示的な実施形態は、アップリンク・チャネル推定符合化にZadoff-
Chuシーケンスを使用する。Zadoff-Chuシーケンスは、一定の振幅を有し、つまり好ましいレベルのPAPRを有する。更に、Zadoff-Chuシーケンスは、複数のユーザのランダム・アクセス要求を各ユーザの経路遅延と共に同時に検出し、タイミング進みを、小さい計算オーバーヘッドで推定するために使用することができる。本明細書では、利得要件に合わせるため、そしてCSI推定のために可変長Zadoff-Chuシーケンスを採用してもよい。
【0080】
[00109] 例示的な実施形態は、ビーコン、ページング、および同期のためにリアル・
タイム・ストリーミング時間ドメイン相関器をサポートし、正しいシーケンスが検出されるときに、非常に強い単一サンプル・ピークが得られる。したがって、性能範囲および精度は、検出閾値に大いに依存する。ビーコンまたはページング・コードのための利得制御は本開示では実行されないので、検出閾値は、入力電力に基づいて動的に設定される。加えて、検出閾値は、偽陽性を避けるために、電力サージの間増加してもよい。更に、動的な検出閾値は、定数によって増減する(scale)ことができ、この定数はコンピュータ・プ
ログラム可能なソフトウェア・コードによって制御することができる。更に、動的な検出閾値は、特に偽陽性を避けるためのメカニズムがある場合には、範囲を広げるように最適化することもできる。
実行結果(Performance Results)
[00110] 多アンテナMU-MIMOシステムについて本明細書において提示した制御
チャネル設計の性能を、同期、ビーコン、およびページングに関して、CSIモードと非CSI動作モードとの間の利得ギャップを解消するための様々な環境において評価した。ここに提示する結果は、提示した制御チャネル設計が、従前からの制御チャネルと比較したときに、40dB以上非CSIモード範囲を広げることができることを実証する。更に、以前のユーザ位置の知識を利用することによって、ページング遅延を400%改善することができ、10kHz以上のCFOを信頼性高く補正することができる。
【0081】
[00111] 本開示において提示した制御チャネル設計の性能について、室内環境および
電波暗室において、基地局から様々な距離にある100箇所の離散したユーザ位置において検査した。ハードウェアの入手可能性により、そして異なるアンテナの性能を検査するために、提示した制御チャネル設計を、3通りの別個のアンテナ構成で採用した。(i)電波暗室において、80個の指向性6dBiパッチ・アンテナを使用する。(ii)屋内および屋外において、104個の無指向性3dBi単極アンテナを使用する。(iii)屋内において、108個の無指向性3dBi単極アンテナを使用する。全ての構成において、ユーザは3dBi無指向性アンテナも利用した(例えば、ユーザ毎に1つのアンテナ)。
【0082】
[00112] 各位置において、本明細書において提示した制御チャネルシステムを2.4
GHzにおいて20MHz帯域幅にわたって検査し、ビーコン、ページング信号、およびアップリンク・パイロットの精度高い検出に関して性能を分析し、非CSIモードにおける制御チャネル設計の性能を実証した。規準(control)として、非ビーム形成ビーコンお
よびページング信号を付加的に各基地局アンテナから送った。即ち、64長コードを使用し、低および高電力モード双方で単位行列を適用することによって、「ビーム掃引」を実行し、従前からの単一アンテナ・システム、および先に論じた素朴な高電力解決策による性能を比較した。実施した制御チャネル設計はリアル・タイムで実行することができるが、実施態様は各ビームの後に短時間一時停止して、検出成功、偽陽性、および受信信号強度指標(RSSI)のような性能統計をノードから収集した。この測定遅延のために、実
験は、比較的変化がない(stationary)チャネルにおいて移動性なしに行われた。得られた結果を使用して、提示した制御チャネル設計のビーコン、ページング、およびCSI収集の性能を、従前からの方法と対比して分析した。加えて、CFO推定器(estimator)の性
能を検査するために、対照実験(controlled experiment)を設定した。
【0083】
[00113]
図10および
図11は、基地局のビーコン、即ち、基地局IDがエンコード
された同期シーケンスを正しく受信する確率を、種々の構成パラメータを用いて示す。
図10~
図11において、高電力(例えば、
図10における棒グラフ1002、
図11におけるプロット1102)および低電力(例えば、
図10における棒グラフ1004、
図11におけるプロット1104)双方の単一アンテナ送信を、ダイバシティ送信(例えば、
図10における棒グラフ1006、
図11におけるプロット1106)、ならびに64のコード長(例えば、
図10における棒グラフ1008、
図11におけるプロット1108)、および128のコード長(例えば、
図10における棒グラフ1010、
図11におけるプロット1110)を有する、提示した制御チャネル設計と比較することができる。単一アンテナ・ダイバシティ・モードの場合、基地局は送信するアンテナを順番に変えていき(rotate)、こうしてアレイのダイバシティを最大限利用する。この手法は、ビーム掃引に単位行列を使用する、提示した制御チャネル設計と同等である。
【0084】
[00114]
図10および
図11は、所与の位置について、全ての基地局アンテナにわた
る平均アップリンクCSI信号強度に基づいて、結果を並び替えたものである。これは、カバレッジ・エリアの距離および公正なメトリック(fair metric)の近似である。尚、ダ
ウンリンクRSSIは、ビーコン毎に変動するので、相応しいメトリックではないことは注記してしかるべきである。加えて、散乱体(scatterer)が信号強度を著しく変化させる
ので、距離も相応しいメトリックではない。アップリンク送信電力を変化させると、単純に、
図11に示す同じプロットが左または右にシフトすることは明らかである。これは、実際のシステムにおいて、どのようにコード長ならびにアップリンクおよびダウンリンク双方の送信電力を均衡させるべきかを示す。
【0085】
[00115] 104箇所のアンテナ位置および108箇所のアンテナ位置を含む、36箇
所の電波暗室位置(左側の棒グラフ)および64箇所の室内位置(右側の棒グラフ)毎に別々の棒グラフによって、全ての位置にわたる結果を
図10に示す。
図10において観察できるのは、室内位置では、提示したシステム(例えば、左側の棒グラフ1010、1008)は、従前からの制御チャネル(例えば、ダイバシティ方式についての左側の棒グラフ1006)および単一高電力アンテナ・システム(例えば、左側の棒グラフ1002)よりも遙かに多い位置を、信頼性高く担当できるということである。ユーザが基地局に対して平均-70dBmRSSI以上を有していても、高電力単一アンテナ方式(例えば、左側の棒グラフ1004を参照のこと)で送られるビーコンのほぼ25%を失う。これはマルチパスによるものである。位置によっては、かなり接近していても、2本の経路が減算的に干渉し、ヌルを生ずる可能性があり、これは追加の信号強度では容易に克服できない。ダイバシティ方式(例えば、棒グラフ1006参照)は1本のアンテナ(例えば、棒グラフ1002参照)よりも性能が高い(performs better)が、ダイバシティ方式でも、
ユーザが-70dBM未満のアップリンクRSSIを有する場合、多くのビーコンを信頼性高く受信することができない。これは、本開示において提示した制御チャネル設計の必要性を例示する。これは、多アンテナMU-MIMOシステムにおける、アレイ全体の電力およびダイバシティ双方を利用する(例えば、
図10の棒グラフ1008および1010によって示されるビーコン検出性能を参照のこと)。
【0086】
[00116]
図11は、電波暗室からのビーコン検出性能結果を示す。電波暗室にはマル
チパスはないので、各技法の検出率(detection rate)は、非常に密接にRSSIに関係する。つまり、これらの結果は、各技法の相対的な性能を精度高く実証する。
図11から観
察できることは、提示した制御チャネル設計(例えば、プロット1108および1110)は、単一アンテナ方式(例えば、プロット1102)よりも40dB以上、そして高電力方式(例えば、プロット1104)よりも20dB性能が優れているということである。
【0087】
[00117] 提示した制御チャネル設計の位置情報を利用してページングを加速させる能
力を実証するために、意図したユーザの判明している最後の位置に基づいてページング掃引を誘導するという単純な方式を検査した。最後の44箇所の位置において、108アンテナの基地局構成について実験を行った。相関強度対閾値比によって決定される、各ビームの検出可能性に基づいて、移動体ユーザをページングした。
【0088】
[00118]
図12に示すように、提示した制御チャネル設計を採用した基地局(base state)は、ユーザ位置を利用しない場合では70%に過ぎないのに比較して、2番目のフレ
ームまでにユーザの94%を正しくページングできたことが確認される。ユーザが基地局の近くにいるとき、ユーザは掃引におけるビームの大半を受信する。つまり、低RSSIプロット1202によって示されるように、ユーザ位置に基づく最適化では、大した便益が得られない。しかしながら、ページング遅延は、平均4.8フレームから1.2フレームに減少し、4倍の改善が得られ、更に最悪の場合の改善は、68フレームから3フレームとなった(プロット1202および1204対プロット1206によって示される、提示した制御チャネル設計)。
【0089】
[00119] ビーコンまたはページング・シーケンスの検出に成功すれば、時間-周波数
同期が本来得られるが、更に高精度に、提示したCFO補正の精度を検査するために、更に他の対照実験をここで設定した。基準クロックは基地局とユーザとの間で共有され、事実上CFOを消去し(remove)、ユーザを基地局から0.5mのところに位置付けた。次いで、-10kHzから10kHzの範囲を取る複素正弦波を乗算することによって、対照CFOをビーコン・シーケンスに導入した。性能対符合化利得およびSNRを測定するために、長さ64および128のビーコンを送り、基地局において減衰器を使用して、送信電力を-12dBmから-42dBmに低減した。これらの減衰の結果、ユーザは大凡-60dBm(高)、-75dBm(中)、および-90dBm(低)のRSSIを受信した。CFO推定値の誤差の大きさの累積分布を
図13に提示する。明確化のために、
図13に提示した結果は1回の推定から導き出したが、誤差を1桁低減するために複数の推定値を採用することができる。
【0090】
[00120]
図13から観察できることは、中および高RSSIでは、提示したシステム
は常に、0.8kHz以内では128長ビーコンを使用してCFOを補正することができ(例えば、プロット1302、1304)、1.3kHz以内では64長ビーコンを使用してCFOを補正することができる(例えば、プロット1308、1310)ということである。低RSSI領域では、64長ビーコン(例えば、プロット1312)は、始めは十分に機能せず、2kHz以内までの誤差でビーコンの80%を補正できるに過ぎないことを観察することができる。対照的に、低RSSIの128長ビーコン(例えば、プロット1306)は、高RSSIの64長(例えば、プロット1308)と同様に機能し、ビーコン長を延長すれば、更にCFO推定誤差を低減できることを示す。また、導入される(induced)CFOの量は精度に影響しないことも注記してしかるべきである。
【0091】
[00121]
図14は、ワイヤレス・デバイス1402において利用することができる種
々のコンポーネントを示す。このワイヤレス・デバイス1402は、
図1に示すシステム100、
図2に示すシステム200、
図5に示すシステム500、
図6A、
図6B、
図6C、および
図6Dに示すシステム、
図7に示すシステム700、および/または
図8に示すシステム800において採用することができる。ワイヤレス・デバイス1402は、本
明細書において説明した種々の方法を実施するように構成することができるデバイスの一例である。ワイヤレス・デバイス1402は、多アンテナ基地局(例えば、
図1における基地局102、
図2における基地局202、
図5における基地局502、
図6A、
図6B、
図6C、および
図6Dにおける基地局602、
図7における基地局702、および/または
図8における基地局802)、またはユーザ(アクセス)端末(例えば、
図1におけるユーザ端末104、
図6A、
図6B、
図6C、および
図6Dにおけるユーザ端末604A、604B、604C等、および/または
図8におけるユーザ端末804A、804B、804C)であってもよい。
【0092】
[00122] ワイヤレス・デバイス1402は、ワイヤレス・デバイス1402の動作を
制御するプロセッサ1404を含むことができる。プロセッサ1404を中央処理ユニット(CPU)と呼ぶこともできる。メモリ1406は、リード・オンリ・メモリ(ROM)およびランダム・アクセス・メモリ(RAM)の双方を含むことができ、命令およびデータをプロセッサ1404に供給する。また、メモリ1406の一部が不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(NVRAM)を含んでもよい。プロセッサ1404は、通例、メモリ1406内に格納されているプログラム命令に基づいて、論理演算および算術演算を実行する。メモリ1406内における命令は、本明細書において説明した方法を実施するために実行可能であればよい。
【0093】
[00123] また、ワイヤレス・デバイス1402はハウジング1408も含むことがで
きる。ハウジング1408は、ワイヤレス・デバイス1402と他のワイヤレス・ノード(例えば、遠隔位置における他のワイヤレス・ノード)との間におけるデータの送信および受信を可能にする送信機1410および受信機1412を含むことができる。送信機1410および受信機1412を組み合わせて送受信機1414としてもよい。1つ以上のアンテナ1416をハウジング1408に取り付け、送受信機1414に電気的に結合することができる。また、ワイヤレス・デバイス1402は、複数の送信機、複数の受信機、および複数の送受信機(図示せず)を含んでもよい。
【0094】
[00124] また、ワイヤレス・デバイス1402は、信号検出器1418も含むことが
できる。信号検出器1418は、送受信機1414によって受信された信号のレベルを検出し定量化することができる。信号検出器1418は、総エネルギ、シンボル毎のサブキャリア毎エネルギ、電力スペクトル密度、および/または他の定量化メトリックを使用して、このような信号の検出を定量化することができる。また、ワイヤレス・デバイス1402は、信号を処理するときに使用するためのディジタル信号プロセッサ(DSP)1420も含むことができる。
【0095】
[00125] ワイヤレス・デバイス1402の種々のコンポーネントは、バス・システム
1422によって結合することができる。バス・システム1422は、データ・バスに加えて、電力バス、制御信号バス、およびステータス信号バスを含むことができる。
【0096】
[00126]
図15は、本開示の実施形態にしたがって、多アンテナ基地局(例えば、図
5に示す基地局502、および/または
図8に示す基地局802)において実行することができる方法1500を示すフロー・チャートである。
【0097】
[00127] 方法1500の動作は、多アンテナ基地局のエンコーダ(例えば、
図14に
示すワイヤレス・デバイス1402のプロセッサ1404)によって開始することができ、ビーコン(例えば、
図6Aに示すビーコン606)を基本同期シーケンス(例えば、同期シーケンスs)にエンコードする(1502)。ビーコンは基地局の識別子を含む。
【0098】
[00128] 多アンテナ基地局の回路(例えば、
図14に示すワイヤレス・デバイス14
02のプロセッサ1404)は、エンコードされた基本同期シーケンス(例えば、シーケンスs)および1組のビーム形成重み(例えば、シーケンスb
1、b
2、...、b
nにおけるビーム形成重み)に基づいて、即ち、ビーム形成重みを有するシーケンスb
1、b
2、...、b
nによって、エンコードされた基本同期シーケンス(例えば、シーケンスs)をカバーする(例えば、拡散する)ことによって、複数の同期シーケンスを生成する(1504)。
【0099】
[00129] 多アンテナ基地局の送信機(例えば、
図14に示すワイヤレス・デバイス1
402の送信機1410)は、複数のアンテナを使用して、1組のビーム形成重みに関連する複数のビーム方向(例えば、
図5に示すビーム方向506)に、複数の同期シーケンスを送信する(1506)。一実施形態では、空間ビーム方向は互いに直交である。他の実施形態では、空間ビーム方向は直交ではなく、所望のカバレッジ・エリアを変更するために、ビーム方向の数を増加または減少させることができる。ビーム形成重みは、カバレッジ・エリアを選択されたエリアだけに限定するように選択することができる。ある実施形態では、非CSIモードにおいて符合化利得を得る(achieve)ために、Goldコード
、Kasamiコード、Zadoff-Chuコードの内少なくとも1つに基づいて、送信の前に複数の同期シーケンスをエンコードすることができる。
【0100】
[00130]
図16は、本開示の実施形態にしたがって、多アンテナ基地局(例えば、図
5に示す基地局502、
図8に示す基地局802)と通信するユーザ機器(
図6Aに示すUE604A、
図8に示すUE804AのようなUE)において実行することができる方法1600を示すフロー・チャートである。
【0101】
[00131] 方法1600の動作は、UEの受信機(例えば、
図14に示すワイヤレス・
デバイス1402の受信機1412)によって開始することができ、異なる信号強度を有する複数の同期シーケンス(例えば、シーケンスR)を受信する(1602)。
【0102】
[00132] UEの第1回路(例えば、
図14に示すワイヤレス・デバイス1402のプ
ロセッサ1404またはDSP1420)が、複数の同期シーケンスからの1つの同期シーケンスのサンプルを、1組の識別シーケンス(例えば、1組の予め分かっている基地局識別シーケンスまたはビーコン)と相関付けて(1604)、同期シーケンスのタイミングを検出する(例えば、時間同期を判定するため)。ある実施形態では、UEが最初に同期シーケンスの受信サンプルに対して自己相関を実行して、同期シーケンス内部における繰り返しシーケンスの存在を検出し、この繰り返しシーケンスの存在を利用してストリーミング相互相関の計算オーバーヘッドを低減することもできる。
【0103】
[00133] UEの第2回路(例えば、
図14に示すワイヤレス・デバイス1402のプ
ロセッサ1404)が、同期シーケンスから、この同期シーケンスにエンコードされている多アンテナ基地局の識別子を有するビーコン(例えば、
図6Aに示すビーコン606)をデコードする(1606)。
【0104】
[00134] 説明した実施形態は、多アンテナMU-MIMOワイヤレス通信システムに
おいて効率的な制御チャネルを設計する方法を含む。提示した制御チャネル設計方法は、長期間にわたる緻密な制御、符合化利得、および空間リソースを提供し、基地局内部およびワイヤレス通信ネットワーク全域の双方の最適化を可能にする。提示した制御チャネル設計は、判明している最後のユーザ位置、トラフィック・パターン、および環境プロパティのような既存の情報を基地局が利用して、インテリジェントにタイミング、符合化利得、および空間カバレッジを最適化することを可能にする。その上、これらの同じプロパティは、疎ネットワークにおいてセルの範囲を更に拡大し、カバレッジ・エリアを制限し、注意深く干渉を調整し(tune) 、所与の基地局の容量を増大するために動的により多くの
アンテナを組み込むために使用することができる。
【0105】
[00135] 開示した実施形態は、多アンテナMU-MIMOシステムにおけるワイヤレ
ス制御チャネルの設計、実施、および実験的妥当性判断を行う(provide)。多アンテナ基
地局の実用上の設計制約を総合的に考慮することによって、柔軟性のある設計を遂行することができ、無視し得るオーバーヘッドで、108-アンテナ基地局上において、範囲または送信効率を40dB以上も改善する。提示した制御チャネル設計は、空間、時間、コード、および周波数リソースの柔軟な最適化を行い(provide)、数本のアンテナから10
00本単位のアンテナまで増減する(scale)ことを可能にする。提示した制御チャネル設
計は、MU-MIMOを可能な限り利用することによって基本制御チャネル動作の性能を劇的に改善するだけでなく、空間情報を利用して、ページング動作を可能な限り素早くそして効率的に行う。
【0106】
[00136] 以上で説明した方法の種々の動作は、対応する機能を実行することが可能な
適した手段であればいずれでも実行することができる。この手段は、種々のハードウェアおよび/またはソフトウェア・コンポーネント(1つまたは複数)および/またはモジュール(1つまたは複数)を含むことができ、回路、特定用途集積回路(ASIC)、またはプロセッサを含むが、これらに限定されるのではない。
【0107】
[00137] 本明細書において使用する場合、「項目のリストの内少なくとも1つ」に言
及する語句は、これらの項目の任意の組み合わせを指し、1つだけの部材も含む。一例として、「a、b、またはcの内少なくとも1つ」とは、a、b、c、a-b、a-c、b-c、およびa-b-cを包含することを意図している。
【0108】
[00138] 以上で説明した方法の種々の動作は、種々のハードウェアおよび/またはソ
フトウェア・コンポーネント(1つまたは複数)、回路、および/またはモジュール(1つまたは複数)のような、その動作を実行することが可能な適した手段であればいずれでも実行することができる。一般に、図に示した動作はいずれも、その動作を実行することができる対応の機能手段によって実行することができる。
【0109】
[00139] 本開示の実施形態についての以上の説明は、例示の目的に限って提示したの
であって、これが網羅的であることも、開示した形態そのものに本開示を限定することを意図するのではない。以上の開示を参照すれば、多くの変更や変形が可能であることを、当業者であれば認めることができよう。
【0110】
[00140] 本開示の一部では、情報に対する動作のアルゴリズムおよび象徴的表現(symbolic representation)に関して、本開示の実施形態を説明することもある。これらのアルゴリズムの説明および表現は、データ処理技術分野における当業者によって、彼らの作業の実体を効果的に他の当業者に伝えるために、一般に使用されている。これらの動作は、機能的、計算的、または論理的に説明されても、コンピュータ・プログラムまたは同等の電気回路、マイクロコード等によって実現されることは理解されよう。更に、これらの動作構成(arrangement of operation)をモジュールと呼ぶことも、一般性を失うことなく、折に触れて便利であると実証されている。説明した動作およびそれらに関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはその任意の組みあわせで具体化することができる。
【0111】
[00141] 本明細書において説明したステップ、動作、またはプロセスはいずれも、1
つ以上のハードウェアまたはソフトウェア・モジュールで、単独でまたは他のデバイスと組み合わせて実行または実装することができる。一実施形態では、ソフトウェア・モジュールにはコンピュータ・プログラム製品が実装され、コンピュータ・プログラム製品は、
コンピュータ・プログラム・コードを収容するコンピュータ読み取り可能媒体を含み、コンピュータ・プログラム・コードは、説明したステップ、動作、またはプロセスの内任意のものまたは全てを実行するために、コンピュータ・プロセッサによって実行することができる。
【0112】
[00142] また、開示した実施形態は、その実施形態における動作を実行する装置にも
関するところもある。この装置は、要求される目的に合わせて特別に構成することができ、および/またはこれは、コンピュータ内に格納されたコンピュータ・プログラムによって選択的に有効化または再構成される、汎用コンピューティング・デバイスを含むことができる。このようなコンピュータ・プログラムは、非一時的、有形コンピュータ読み取り可能記憶媒体、または電子命令を格納するのに適した任意のタイプの媒体に格納することができ、これらの媒体はコンピュータ・システム・バスに結合することができる。更に、本明細書において引用されたコンピューティング・システムはいずれも、1つのプロセッサを含むのでもよく、コンピューティング能力向上のために複数のプロセッサ設計を採用するアーキテクチャであってもよい。
【0113】
[00143] また、開示した実施形態には、本明細書において説明したコンピューティン
グ・プロセスによって生成される製品に関するところもある。このような製品は、コンピューティング・プロセスから結果的に得られる情報を含むことができ、この情報は、非一時的、有形コンピュータ読み取り可能記憶媒体上に格納され、本明細書において説明したコンピュータ・プログラム製品または他のデータの組み合わせの任意の実施形態を含むことができる。
【0114】
[00144] 最後に、本明細書において使用した文言は、主として読みやすさおよび指導
的目的に合わせて選択したのであり、本発明の主題の輪郭を定めるためまたは制限するために選択されたとしてはならない。したがって、本開示の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろこれに基づく出願において生ずる任意の請求項によって限定されることを意図している。したがって、以上の実施形態の開示は、以下の請求項において記載される本開示の範囲を限定するのではなく、例示することを意図している。