(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6581 20110101AFI20231218BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R13/52 301E
(21)【出願番号】P 2021166563
(22)【出願日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山梨 大介
(72)【発明者】
【氏名】曽根 隆
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-154359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/6581-13/6597
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を収容し、かつ前記端子を保持する筒状のハウジングと、
前記端子に接続された電線の外周面と、前記ハウジングの内壁面との間をシールする環状のシール部材と、
前記ハウジングの軸方向に沿って前記ハウジングと連結されて前記シール部材を支持するホルダと、
互いに連結された前記ハウジングおよび前記ホルダを内部に収容して保持する導電性のシェルと、
を備え、
前記ハウジングの外壁部は、外側に向けて突出した突部を有し、
前記ホルダは、前記軸方向に沿って延在する係合片を有し、かつ前記係合片を前記突部に対して外側から係合させることによって前記ハウジングと連結され、
前記シェルは、前記係合片に対して外側から対向する対向面を有し、前記係合片が外側に向けて変形することを前記対向面によって規制
し、
前記ハウジングは、前記シール部材が挿入される筒部を有し、
前記対向面は、前記ハウジングに対して前記ホルダが係合するときの係合方向の前側へ向かうに従って前記筒部の中心軸線へ近づくように、前記軸方向に対して傾斜した傾斜面である
ことを特徴とするシールドコネクタ。
【請求項2】
前記ホルダは、前記軸方向に沿って前記ハウジングの外側に装着される二つの半筒形状の支持体で構成され、
二つの前記支持体のそれぞれが前記係合片を有し、
前記ハウジングにおいて、一方の前記支持体に対応する前記突部と、他方の前記支持体に対応する前記突部とが互いに逆方向に向けて突出しており、
前記シェルは、一方の前記支持体の前記係合片に対向する第一対向面、および他方の前記支持体の前記係合片に対向する第二対向面を有する
請求項1に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シールドコネクタがある。特許文献1には、ハウジングと、ハウジングによって保持されるリアホルダと、ハウジングとリアホルダとに挟持されるゴム栓と、を有するコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シールドコネクタにおいて、ハウジングとホルダとの連結が容易に解除されないように、連結部の堅牢性を向上できることが望ましい。堅牢な連結部は、止水性能を向上させることができる。
【0005】
本発明の目的は、ハウジングとホルダとの連結部の堅牢性を向上させることができるシールドコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシールドコネクタは、端子を収容し、かつ前記端子を保持する筒状のハウジングと、前記端子に接続された電線の外周面と、前記ハウジングの内壁面との間をシールする環状のシール部材と、前記ハウジングの軸方向に沿って前記ハウジングと連結されて前記シール部材を支持するホルダと、互いに連結された前記ハウジングおよび前記ホルダを内部に収容して保持する導電性のシェルと、を備え、前記ハウジングの外壁部は、外側に向けて突出した突部を有し、前記ホルダは、前記軸方向に沿って延在する係合片を有し、かつ前記係合片を前記突部に対して外側から係合させることによって前記ハウジングと連結され、前記シェルは、前記係合片に対して外側から対向する対向面を有し、前記係合片が外側に向けて変形することを前記対向面によって規制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るシールドコネクタにおいて、シェルは、係合片に対して外側から対向する対向面を有し、係合片が外側に向けて変形することを対向面によって規制する。本発明に係るシールドコネクタによれば、ハウジングとホルダとの連結部の堅牢性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るシールドコネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るシールドコネクタの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るハウジングの斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る支持体の斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るシェルの斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るハウジングおよびホルダの斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る連結体の断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る連結体およびシェルの斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るシールドコネクタの平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るシールドコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係るシールドコネクタにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図12を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、シールドコネクタに関する。
図1は、実施形態に係るシールドコネクタの斜視図、
図2は、実施形態に係るシールドコネクタの分解斜視図、
図3は、実施形態に係るハウジングの斜視図、
図4は、実施形態に係る支持体の斜視図、
図5は、実施形態に係るシェルの斜視図、
図6は、実施形態に係るハウジングおよびホルダの斜視図、
図7は、実施形態に係る連結体の断面図、
図8は、実施形態に係る連結体およびシェルの斜視図、
図9は、実施形態に係るシールドコネクタの平面図、
図10は、実施形態に係るシールドコネクタの断面図、
図11および
図12は、実施形態に係る連結構造の断面図である。
図10には、
図9のX-X断面が示されている。
【0011】
本実施形態のシールドコネクタ1は、例えば、自動車等の車両に搭載された機器に接続される。
図1および
図2に示すように、シールドコネクタ1は、ハウジング2、シール部材3、ホルダ4、およびシェル5を有する。シールドコネクタ1には、編組6で覆われた電線7が接続される。シェル5は、導電性を有する金属で形成された筒状の部材であり、シールドシェルと称される。編組6の端部は、シェル5の外周面に対して固定される。シェル5は、接続相手である機器の筐体に対して固定され、この筐体に対して電気的に接続される。つまり、編組6は、シェル5を介して機器の筐体に接地される。
【0012】
ハウジング2は、電線7の端部に接続された端子を収容して保持する筒状の部材である。ハウジング2は、例えば、絶縁性の合成樹脂で形成される。電線7は、ハウジング2の端部から外部に引き出される。シール部材3は、電線7の外周面とハウジング2の内壁面との間をシールする部材である。シール部材3は、例えば、弾性を有する樹脂で形成される。ホルダ4は、ハウジング2と連結されてシール部材3を支持する部材である。ホルダ4は、例えば、絶縁性の合成樹脂で形成される。例示されたホルダ4は、二つの支持体40を組み合わせて構成される。
【0013】
ハウジング2およびホルダ4は、互いに連結された状態でシェル5に挿入され、シェル5と係合する。本実施形態のシールドコネクタ1は、以下に説明するように、ハウジング2とホルダ4との連結状態をシェル5によって維持する。シェル5は、連結状態が解除されないように、ホルダ4の係合片43の変形を規制する。よって、本実施形態のシールドコネクタ1は、連結部における係止性能の堅牢性を向上させることができる。
【0014】
図3に示すように、ハウジング2は、直線的に延在する扁平な筒形状を有している。以下の説明において、ハウジング2の軸方向を「軸方向X」と称し、ハウジング2の幅方向を「幅方向Y」と称する。電線7は、軸方向Xに沿ってハウジング2から引き出される。ハウジング2は、複数の電線7を幅方向Yに並べて保持する。軸方向Xおよび幅方向Yの何れとも直交する方向を「高さ方向Z」と称する。
【0015】
ハウジング2は、二つの保持部21および二つの筒部22を有する。保持部21および筒部22は、それぞれ軸方向Xに延在している。二つの保持部21および二つの筒部22は、それぞれ幅方向Yに並んでいる。一つの保持部21は、一つの筒部22と連通しており、他の一つの保持部21は、他の一つの筒部22と連通している。保持部21は、端子20を保持する部分である。例示された保持部21は、角筒形状を有している。
【0016】
筒部22は、電線7が挿通される部分である。筒部22は、基部22aおよび先端部22bを有する。基部22aは、筒部22における基端側の部分であり、保持部21とつながっている。基部22aの形状は、角筒形状である。先端部22bは、筒部22における先端側の部分であり、保持部21の側とは反対側に位置している。先端部22bの形状は、円筒形状である。シール部材3は、先端部22bに挿入される。シール部材3は、電線7の外周面と先端部22bの内壁面との間をシールする。
【0017】
先端部22bの外壁部は、突部22cを有する。突部22cは、軸方向Xと直交する半径方向に向けて先端部22bの外周面から突出している。一つの先端部22bは、互いに逆の方向に向けて突出した二つの突部22cを有している。二つの突部22cは、それぞれ高さ方向Zに沿って突出している。二つの突部22cは、筒部22の中心軸線CLに関して対称に配置されている。言い換えると、二つの突部22cの位相は180°ずれている。軸方向Xから見た場合の突部22cの形状は、略矩形である。突部22cにおける軸方向Xの先端側の面22dは、高さ方向Zに対して傾斜した傾斜面である。
【0018】
保持部21と筒部22との接続部には、フランジ部23が設けられている。フランジ部23は、シェル5の内壁部によって係止されることにより、軸方向Xにおいてハウジング2を位置付ける。
【0019】
図4に示すように、支持体40は、扁平な半筒形状を有している。ホルダ4が有する二つの支持体40の形状は、同一である。二つの支持体40が組み合わさることにより、長円の断面形状を有する筒状体が形成される。一つの支持体40は、一対の側壁部41,41、後壁部42、一対の係合片43,43、係合片44、および一対の支持壁45,45を有する。後壁部42は、支持体40における軸方向Xの後側X2に位置している。軸方向Xの前側X1は、ホルダ4がハウジング2に対して係合するときの係合方向の前側を示す。後側X2は、軸方向Xにおける前側X1とは反対側を示す。
【0020】
後壁部42は、軸方向Xと直交する平板状の壁部である。一対の支持壁45,45は、後壁部42から軸方向Xの前側X1に向けて突出している。支持壁45は、半筒形状を有しており、シール部材3を支持する。一対の支持壁45,45は、幅方向Yに並んでいる。
【0021】
側壁部41は、後壁部42の縁部から軸方向Xの前側X1に向けて立設されている。一つの側壁部41は、後壁部42における幅方向Yの一端につながっており、他の一つの側壁部41は、後壁部42における幅方向Yの他端につながっている。側壁部41の断面形状は、円弧形状である。
【0022】
係合片43は、ハウジング2に対して係合し、支持体40をハウジング2と連結させる部分である。一対の係合片43,43は、後壁部42の縁部から軸方向Xの前側X1に向けて立設されている。係合片43は、一対の側壁部41,41の間に配置されている。一対の係合片43,43は、幅方向Yに並んでいる。一つの係合片43は、高さ方向Zにおいて一つの支持壁45と対向している。他の一つの係合片43は、高さ方向Zにおいて他の一つの支持壁45と対向している。
【0023】
係合片43の基端は、後壁部42によって支持されており、係合片43の先端は自由端である。係合片43は、高さ方向Zに向けて撓むことができるように弾性を有している。高さ方向Zから見た場合の係合片43の形状は、略矩形である。係合片43は、貫通孔43aを有する。貫通孔43aは、高さ方向Zに沿って係合片43を貫通している。高さ方向Zから見た場合の貫通孔43aの形状は、略矩形である。係合片43は、被係止部43bを有する。被係止部43bは、係合片43の先端部分であって、ハウジング2の突部22cによって係止される。被係止部43bは、板状であり、幅方向Yに沿って延在している。
【0024】
一対の側壁部41の先端は、幅方向Yに沿って延在する接続壁46によって互いにつながっている。係合片44は、シェル5と係合し、シェル5によって係止される部分である。係合片44は、接続壁46から軸方向Xの後側X2に向けて突出している。係合片44の先端は、一対の係合片43,43の先端と軸方向Xにおいて対向している。高さ方向Zから見た場合の係合片44の形状は、略矩形である。係合片44は、貫通孔44aを有する。貫通孔44aは、高さ方向Zに沿って係合片44を貫通している。高さ方向Zから見た場合の貫通孔44aの形状は、略矩形である。
【0025】
図5に示すように、シェル5は、円筒形状の本体50、固定部51、および突部52を有する。軸方向Xと直交する断面における本体50の形状は、長円形状である。固定部51は、本体50の外壁面から高さ方向Zに向けて突出している。固定部51は、締結部材53が挿通可能な貫通孔51aを有する。本体50は、機器の筐体に設けられた開口部と嵌合する嵌合部50aを有する。嵌合部50aの外壁面には、シール部材30が装着される。シール部材30は、嵌合部50aと、筐体の開口部との間をシールする。
【0026】
突部52は、本体50の内壁面から高さ方向Zに向けて突出している。突部52は、ホルダ4の係合片44と係合してホルダ4を係止する。シェル5は、二つの支持体40に対応する二つの突部52を有している。
【0027】
図6に示すように、二つの支持体40は、軸方向Xに沿ってハウジング2と連結される。二つの支持体40は、それぞれハウジング2に対して前側X1に向けてスライドしながらハウジング2に対して取り付けられる。一方の支持体40の係合片43は、高さ方向Zの一方側に向けて突出した突部22cと係合する。他方の支持体40の係合片43は、高さ方向Zの他方側に向けて突出した突部22cと係合する。
【0028】
図7に示すように、支持体40の係合片43は、ハウジング2の突部22cに対して外側S2から係合する。外側S2は、筒部22の中心軸線CLから遠い側であり、内側S1は、中心軸線CLに近い側である。係合片43が突部22cと係合する際には、被係止部43bが突部22cを乗り越える。このときに、係合片43は外側S2に向けて撓み変形する。突部22cは、係合片43の貫通孔43aに入り込み、被係止部43bを係止する。突部22cは、ハウジング2に対して後側X2に向かう支持体40の相対移動を規制する。
【0029】
支持体40は、係合片43および支持壁45によってハウジング2の先端部22bを挟み込み、先端部22bを保持する。また、支持壁45の先端面は、シール部材3に当接してシール部材3を支持する。
図7に示すように、ハウジング2の保持部21は、端子20を保持する。端子20に接続された電線7は、筒部22、シール部材3、およびホルダ4の内部空間を通って外部空間に延出する。
【0030】
図8に示すように、互いに連結されたハウジング2およびホルダ4は、シェル5に挿入される。ハウジング2およびホルダ4が互いに連結した連結体10は、ホルダ4を先頭にしてシェル5の嵌合部50aから挿入される。係合片44は、シェル5の突部52と係合し、突部52によって係止される。シェル5は、連結体10をシェル5の内部に収容して保持する。
【0031】
連結体10を保持したシェル5は、
図9に示すように、機器の筐体100が有する壁部101に取り付けられる。嵌合部50aは、壁部101が有する開口部に挿入され、開口部と嵌合する。シェル5は、締結部材53によって壁部101に対して固定される。締結部材53は、例えば、シェル5の貫通孔51aに挿入されるボルトである。この場合、壁部101に挿入された締結部材53に対してナットが螺合される。ハウジング2の保持部21は、例えば、機器のコネクタと接続される。端子20は、相手方のコネクタが有する端子と接続される。
【0032】
図10に示すように、シェル5は、対向面54を有する。対向面54は、係合片43に対して外側S2から対向する面である。対向面54は、外側S2に向かう係合片43の変形を規制することができる。本実施形態の対向面54は、本体50の内周面である。シェル5は、対向面54として、第一対向面54Aおよび第二対向面54Bを有する。第一対向面54Aおよび第二対向面54Bは、高さ方向Zにおいて互いに対向している。
【0033】
第一対向面54Aは、一つの支持体40が有する係合片43と対向する。第二対向面54Bは、他の一つの支持体40が有する係合片43と対向する。つまり、第一対向面54Aおよび第二対向面54Bは、二つの支持体40を間に挟んで互いに対向している。
【0034】
対向面54は、係合片43の被係止部43bが突部22cを乗り越えてしまうような係合片43の変形を規制する。
図11の拡大図に示すように、対向面54は、高さ方向Zにおいて被係止部43bと対向しており、かつ被係止部43bとの間にわずかな隙間を有している。
図12に示すように、係合片43に対して外側S2に向かう力F1が作用した場合、対向面54が係合片43に当接して係合片43の変形を規制する。つまり、本実施形態のシールドコネクタ1は、軸方向Xでは突部22cによって係合片43を係止し、高さ方向Zでは対向面54によって係合片43を係止する二重係止の構成を有する。
【0035】
係合片43が対向面54と当接した状態において、突部22cの係止面22eは、被係止部43bと軸方向Xにおいて対向している。つまり、突部22cは、係合片43が対向面54と当接した状態で被係止部43bを係止することができるだけの突出量を有している。これにより、係合片43が突部22cと係合しているロック状態が維持される。よって、本実施形態のシールドコネクタ1は、係合片43と突部22cとの連結部における係止性能の堅牢性を向上させることができる。
【0036】
図11に戻り、被係止部43bと対向面54との隙間の幅G1の値は、例えば、重なりの幅E1以下とされる。重なりの幅E1は、突部22cに対する被係止部43bの掛かり代であり、軸方向Xから見た場合に被係止部43bと突部22cとが重なる部分の高さ方向Zの幅である。このような構成により、対向面54は、係合片43と突部22cとの係合状態を維持させることができる。
【0037】
突部22cの先端と対向面54との隙間の幅G2の値は、例えば、被係止部43bの厚さt1以下とされる。このような構成により、対向面54は、ロックが解除されてしまうような係合片43の変形を規制することができる。
【0038】
本実施形態の対向面54は、軸方向Xに対して傾斜した傾斜面である。対向面54は、後側X2へ向かうに従って中心軸線CLから離れるように、軸方向Xに対して傾斜している。
図12に示すように、係合片43が外側S2に向けて変形した場合、対向面54は、係合片43の先端43cを支持する。対向面54が傾斜していることで、係合片43の変形量が小さい段階で対向面54が係合片43に当接して係合片43の更なる変形を規制する。よって、本実施形態の対向面54は、意図しないロックの解除を適切に抑制することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のシールドコネクタ1は、筒状のハウジング2と、環状のシール部材3と、ホルダ4と、導電性のシェル5と、を有する。ハウジング2は、端子20を収容し、かつ端子20を保持する。シール部材3は、端子20に接続された電線7の外周面と、ハウジング2の内壁面との間をシールする。ホルダ4は、ハウジング2の軸方向Xに沿ってハウジング2と連結されてシール部材3を支持する。シェル5は、互いに連結されたハウジング2およびホルダ4を内部に収容して保持する。
【0040】
ハウジング2の外壁部は、外側に向けて突出した突部22cを有する。ホルダ4は、軸方向Xに沿って延在する係合片43を有する。ホルダ4は、係合片43を突部22cに対して外側から係合させることによってハウジング2と連結される。シェル5は、係合片43に対して外側から対向する対向面54を有する。シェル5は、係合片43が外側に向けて変形することを対向面54によって規制する。本実施形態のシールドコネクタ1は、ハウジング2とホルダ4との連結部の堅牢性を向上させることができる。
【0041】
本実施形態のシールドコネクタ1では、係合片43がハウジング2と対向面54によって挟まれていることで、外部から容易に係合片43に触れることができない。つまり、シールドコネクタ1は、ハウジング2とホルダ4との連結を容易に解除することができないように構成されている。よって、正規の作業者以外の者によってシールドコネクタ1が分解されてしまう可能性が低減される。
【0042】
本実施形態のホルダ4は、軸方向Xに沿ってハウジング2の外側に装着される二つの半筒形状の支持体40で構成される。二つの支持体40のそれぞれが係合片43を有している。ハウジング2において、一方の支持体40に対応する突部22cと、他方の支持体40に対応する突部22cとが互いに逆方向に向けて突出している。シェル5は、第一対向面54Aおよび第二対向面54Bを有する。第一対向面54Aは、一方の支持体40の係合片43と対向し、第二対向面54Bは、他方の支持体40の係合片43と対向する。本実施形態のシールドコネクタ1は、ハウジング2と一方の支持体40との連結部、およびハウジング2と他方の支持体40との連結部の堅牢性をそれぞれ向上させることができる。
【0043】
なお、シールドコネクタ1が連結体10を保持する構成は、ホルダ4の係合片44とシェル5の突部52との組み合わせには限定されない。例えば、シェル5は、ハウジング2を係止することにより連結体10を保持してもよい。
【0044】
シールドコネクタ1が保持する端子20の個数は、例示された二つには限定されない。例えば、シールドコネクタ1は、三つ以上の端子20を保持してもよい。
【0045】
一つの支持体40が有する係合片43の個数は、例示された二つには限定されない。例えば、一つの支持体40が有する係合片43の個数は、一つであってもよく、三つ以上であってもよい。ホルダ4は、二つの支持体40に分割されていなくてもよい。すなわち、ホルダ4は、二つの支持体40を組み合わせた形状で一体に成型されてもよい。
【0046】
係合片43において、突部22cが挿入される部分は、貫通孔43aには限定されない。例えば、係合片43において、突部22cが挿入される部分は、高さ方向Zに沿って凹んだ凹部であってもよい。
【0047】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 シールドコネクタ
2:ハウジング、 3:シール部材、 4:ホルダ、 5:シェル
6:編組、 7:電線、 10:連結体
20:端子
21:保持部、 22:筒部、 22a:基部、 22b:先端部、 22c:突部
23:フランジ部
40:支持体、 41:側壁部、 42:後壁部
43:係合片、 43a:貫通孔、 43b:被係止部、 43c:先端
44:係合片、 44a:貫通孔、 45:支持壁
50:本体、 51:固定部、 52:突部、 53:締結部材、 54:対向面
54A:第一対向面、 54B:第二対向面
S1:内側、 S2:外側
X:軸方向、 X1:前側、 X2:後側、 Y:幅方向、 Z:高さ方向