(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】パンツ型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/496 20060101AFI20231218BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61F13/496 100
A61F13/49 410
(21)【出願番号】P 2021212880
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2023-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 京子
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131451(JP,A)
【文献】特開2011-120626(JP,A)
【文献】特開2019-141234(JP,A)
【文献】特表2011-510690(JP,A)
【文献】特開2011-72577(JP,A)
【文献】国際公開第2019/123549(WO,A1)
【文献】特開2012-50883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に対応する横方向と、を備え、かつ、
吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌対向面側に配置され、前記縦方向の両側に位置する腹側領域及び背側領域を含み、複数の熱可塑性シートが積層されて構成された外装体と、前記外装体の前記腹側領域と前記背側領域とを前記横方向の側縁部において接合する一対のサイド接合部と、を備えるパンツ型吸収性物品であって、
前記一対のサイド接合部は、
前記縦方向におけるウエスト側の端部であるウエスト端部から前記縦方向に25mm以内のウエスト端部領域と、
前記縦方向におけるレッグ側の端部であるレッグ端部から前記縦方向に25mm以内のレッグ端部領域と、をそれぞれ有し、
前記一対のサイド接合部の少なくとも一方は、
前記縦方向に沿って離間して整列した複数のシール部でそれぞれ構成され、前記横方向に沿って前記ウエスト端部領域又は前記レッグ端部領域の少なくとも一方に配列された複数のシール列をさらに有し、
前記複数のシール列では、前記横方向に隣り合う前記シール列に属する前記シール部が前記横方向に離間して配置され、
前記複数のシール列に含まれる複数のシール部は、前記縦方向及び前記横方向に沿って整列した格子状の配置となっており、
異なるシール列に属し前記横方向に隣り合う2つのシール部のうち、前記横方向内側に位置するシール部は、前記横方向外側に位置するシール部よりも、
繊維の溶融度合いが低い
パンツ型吸収性物品。
【請求項2】
前記横方向において最も外側に位置するシール列を外側シール列、前記外側シール列と前記横方向内側に隣り合うシール列を内側シール列とした場合に、
前記外側シール列の前記シール部の前記横方向外側の外端部と、前記内側シール列の前記シール部の前記横方向内側の内端部との間の前記横方向における距離は、第1寸法であり、
前記外側シール列では、前記複数のシール部が前記縦方向に前記第1寸法よりも小さい第2寸法の間隔をあけて配置されている
請求項
1に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項3】
前記複数のシール列を含む前記ウエスト端部領域又は前記レッグ端部領域の少なくとも一方を、前記縦方向に10mm、前記横方向に前記サイド接合部の全幅を含む長さの長方形状に切り出して測定用サンプルを形成し、前記測定用サンプルを前記横方向内側から外側に向かって10mm/minの速さで剥離させてシール強度を測定した場合、
前記複数のシール列に対応するピーク強度間の最小強度が、0Nよりも大きくなる
請求項
1に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項4】
前記ウエスト端部領域又は前記レッグ端部領域の少なくとも一方には、前記複数のシール列として3以上のシール列が配置されており、
前記3以上のシール列を含む前記ウエスト端部領域又は前記レッグ端部領域の少なくとも一方のシール強度を測定した場合に、前記3以上のシール列にそれぞれ対応する3以上のピーク強度が測定され、
前記3以上のピーク強度間の最小強度は、前記横方向内側から外側に向かって測定される順に増加する
請求項
3に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項5】
前記腹側領域及び前記背側領域は、それぞれ、
前記横方向に延びる複数の弾性部材が配置され、前記一対のサイド接合部の一方から他方まで前記横方向に延びる第1伸縮領域及び第2伸縮領域を有し、
前記第1伸縮領域は、前記ウエスト端部領域から前記横方向に延び、
前記第2伸縮領域は、前記第1伸縮領域と前記縦方向に隣接し、前記サイド接合部の前記
ウエスト端部領域を除く領域から前記横方向に延び、
前記第1伸縮領域における前記複数の弾性部材の平均伸張率は、前記第2伸縮領域における前記複数の弾性部材の平均伸張率よりも低い
請求項
1に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項6】
前記サイド接合部は、
規則的な平面形状及び配置を有する複数のシール部をそれぞれ含み、前記横方向において前記サイド接合部の全幅にわたって延び、かつ、前記縦方向に隣接した第1シール領域及び第2シール領域と、
6以上の前記熱可塑性シートが積層され、前記第1シール領域に少なくとも一部が配置された第1積層部と、
前記第1積層部よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層され、前記第2シール領域に少なくとも一部が配置された第2積層部と、を有し、
前記第1シール領域及び前記第2シール領域では、前記複数のシール部の平面形状又は配置の少なくとも一方が異なり、
前記第1シール領域の全体の面積に対する、前記第1シール領域に含まれる複数のシール部の合計面積の割合は、前記第2シール領域の全体の面積に対する、前記第2シール領域に含まれる複数のシール部の合計面積の割合よりも小さい
請求項
1に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項7】
前記第1シール領域は、前記第1積層部から前記第2積層部の一部に延出している
請求項
6に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項8】
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層部と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層部よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層部と、をさらに有し、
前記第1肌側シートと、前記第2肌側シートとが、それぞれ、複数のエンボスを含むスパンボンド不織布で構成され、
前記第1肌側シートにおける前記エンボスの面積率は、前記第2肌側シートにおける前記エンボスの面積率よりも高い
請求項1から
7のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項9】
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層部と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層部よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層部と、を有し、
前記第1肌側シートの融点は、前記第2肌側シートの融点よりも高い
請求項1から
7のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項10】
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層部と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層部よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層部と、を有し、
前記第1肌側シートの坪量は、前記第2肌側シートの坪量よりも低い
請求項1から
7のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等のパンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
パンツ型吸収性物品は、一般に、吸収性本体と、外装体と、腹側の外装体と背側の外装体とを側端部で接合するサイド接合部(サイドシール部)と、を備えている。腹側の外装体と背側の外装体とがサイド接合部によって接合されることで、パンツ型吸収性物品のウエスト開口部及びレッグ開口部が形成される。
【0003】
特許文献1には、左右方向に間隔をおいて設けられた複数のエンボス列によって形成された主接合領域と副接合領域とを有する一対のサイドシール部を備えたパンツ型使い捨ておむつが開示されている。主接合領域は、前身頃と後身頃とを結着させる。副接合領域は、前身頃と後身頃とが解放されることを防止する観点から、主接合領域よりも左右方向外側に位置し、主接合領域よりも接合強度が弱くなるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パンツ型吸収性物品の着用後には、衛生上の観点等から、サイド接合部を引き裂いて廃棄することがある。このため、サイド接合部は、着用動作時(パンツ型吸収性物品を履かせる際)及び着用時には剥がれることがなく、廃棄時には容易に引き裂くことができる機能が求められている。
一方で、特許文献1に記載のパンツ型使い捨ておむつは、サイドシール部の引き裂きに強い力を要し、サイドシール部を容易に引き裂くことができなかった。
【0006】
本発明は、着用動作時及び着用時の剥がれ防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることが可能なパンツ型吸収性物品の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るパンツ型吸収性物品は、着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に対応する横方向と、を備え、かつ、吸収性本体と、外装体と、一対のサイド接合部と、を備える。
前記外装体は、前記吸収性本体の非肌対向面側に配置され、縦方向の両側に位置する腹側領域及び背側領域を含み、複数の熱可塑性シートが積層されて構成される。
前記一対のサイド接合部は、前記外装体の前記腹側領域と前記背側領域とを、前記縦方向と直交する横方向の側縁部において接合する。
前記一対のサイド接合部は、
前記縦方向におけるウエスト側の端部であるウエスト端部から前記縦方向に25mm以内の端部領域と、
前記縦方向におけるレッグ側の端部であるレッグ端部から前記縦方向に25mm以内のレッグ端部領域と、をそれぞれを有する。
前記一対のサイド接合部の少なくとも一方は、
前記縦方向に沿って離間して整列した複数のシール部でそれぞれ構成され、前記横方向に沿って前記ウエスト端部領域又は前記レッグ端部領域の少なくとも一方に配列された複数のシール列をさらに有する。
異なるシール列に属し前記横方向に隣り合う2つのシール部のうち、前記横方向内側に位置するシール部は、前記横方向外側に位置するシール部よりも、低いシール強度を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のパンツ型吸収性物品によれば、着用動作時及び着用時の剥がれ防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るパンツ型吸収性物品を示す模式的な斜視図である。
【
図2】上記パンツ型吸収性物品の肌対向面側を示す模式的な平面図であり、上記パンツ型吸収性物品を展開し、各部の弾性部材を伸張させて平面状に広げた態様を示す図である。
【
図3】上記パンツ型吸収性物品のサイド接合部を示す模式的な平面図である。
【
図4】上記サイド接合部の断面を約300倍に拡大した顕微鏡画像を模式的に示す図である。
【
図5】上記サイド接合部のウエスト端部領域のシール強度を測定して得られたグラフの例を示す図であり、縦軸はシール強度(N)、横軸は横方向内側の剥離開始点からの距離を示す。
【
図6】上記サイド接合部のシール部を約500倍に拡大した顕微鏡画像を模式的に示す図であり、(A)は横方向内側のシール列に属するシール部の繊維、(B)は横方向外側のシール列に属するシール部の繊維を示す。
【
図8】上記パンツ型吸収性物品のサイド接合部を示す模式的な平面図であり、シール部と弾性部材との位置関係を示す図である。
【
図9】上記サイド接合部の模式的な断面図であり、腹側領域と背側領域とを分離した態様を示す図である。
【
図10】(A)及び(B)は、それぞれ、上記実施形態の変形例に係るサイド接合部を示す模式的な平面図である。
【
図11】(A)及び(B)は、それぞれ、上記実施形態の変形例に係るサイド接合部を示す模式的な平面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係るパンツ型吸収性物品のサイド接合部を示す模式的な平面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係るパンツ型吸収性物品のサイド接合部の模式的な断面図であり、腹側領域と背側領域とを分離した態様を示す図である。
【
図14】本発明の第4実施形態に係るパンツ型吸収性物品のサイド接合部の模式的な断面図であり、腹側領域と背側領域とを分離した態様を示す図である。
【
図15】本発明の第5実施形態に係るパンツ型吸収性物品のサイド接合部の模式的な断面図であり、腹側領域と背側領域とを分離した態様を示す図である。
【
図16】本発明の第6実施形態に係るパンツ型吸収性物品のサイド接合部を示す模式的な平面図である。
【
図17】上記実施形態の変形例に係るサイド接合部を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
<第1実施形態>
[パンツ型使い捨ておむつの全体構成]
図1及び
図2には、本発明の第1実施形態に係るパンツ型吸収性物品として、パンツ型使い捨ておむつ1が示されている。パンツ型使い捨ておむつ1は、以下、おむつ1と称する。
図1に示すように、おむつ1は、ウエスト開口部1W及び一対のレッグ開口部1Lを備え、着用時に、着用者の胴回り及び股間部に着用される。ウエスト開口部1Wは、ウエスト開口端Waを有する。おむつ1は、縦方向X、横方向Yを有する。縦方向Xは、着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる。横方向Yは、縦方向Xに直交し、着用者の左右方向に対応する。さらに、
図2等に示すように、おむつ1の縦方向X及び横方向Yに直交する方向を、厚み方向Zとする。
本明細書において、「ウエスト側」とは、縦方向Xにおいて、ウエスト開口部1Wのウエスト開口端Waに近づく側を意味し、「レッグ側」とは、縦方向Xにおいて、ウエスト開口端Waから遠ざかる側を意味する。
本明細書において、「横方向Y内側」とは、横方向Yにおいて、パンツ型吸収性物品(おむつ1)を横方向Yに2等分する縦中心線CLに近づく側を意味し、「横方向Y外側」とは、縦中心線CLから遠ざかる側を意味する。
本明細書では、厚み方向Zに関しては、パンツ型吸収性物品(おむつ1)の着用時において着用者の肌に近い側を肌側、着衣に近い側を非肌側ということがある。また、パンツ型吸収性物品(おむつ1)又はその構成部材の「肌対向面」とは、相対的に着用者の肌に近い面を意味する。パンツ型吸収性物品(おむつ1)又はその構成部材の「非肌対向面」とは、相対的に着用者の肌から遠い面を意味する。
また、本明細書において、各部位の寸法及び面積等の数値は、説明のない限り、各部の弾性部材を伸長させない自然状態において測定したものとする。
【0012】
着用者がおむつ1を着用する際には、まず、一対のレッグ開口部1Lに脚を通し、おむつ1を胴体側に引き上げ、おむつ1を着用者の胴回り及び股間部に配置する。本明細書において、この一連の動作を、「着用動作」と称する。着用動作は、おむつ1の着用者自身ではなく、介助者によって行われることもある。
また、本明細書において、着用者の通常想定される着用位置におむつ1が配置された状態を、「着用時」と称する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、おむつ1は、吸収性本体4と、吸収性本体4の非肌対向面側に配置された外装体5と、を備える。
なお、
図2は、おむつ1を展開し、各部の弾性部材を伸張させて、弾性部材の影響を一切排除した状態の設計寸法となるように平面状に広げた形態を示す。この態様をおむつ1の「展開伸長形態」とも称する。おむつ1を展開するとは、後述するサイド接合部8の腹側領域5a及び背側領域5bを分離することを意味する。
【0014】
吸収性本体4は、外装体5の肌対向面側に固定されている。吸収性本体4は、吸収体40を少なくとも有し、さらに、表面シート2、裏面シート(図示せず)等を有していてもよい。例えば、吸収性本体4は、裏面シート、吸収体40及び表面シート2が厚み方向Zに積層された構成を有する。吸収体40は、液保持性の吸収性コアを含み、さらに、当該吸収性コアを被覆するコアラップシートを含んでいてもよい。
吸収性本体4に含まれる各構成(裏面シート、吸収体40、表面シート2等)に用いられる材料としては、当該技術分野において用いられるものを特に制限なく用いることができる。
【0015】
外装体5は、複数の熱可塑性シート50を含む。外装体5は、例えば、複数の熱可塑性シート50の積層体として構成される。
熱可塑性シート50は、熱可塑性樹脂を主体とするシート材である。熱可塑性シート50は、好ましくは90質量%以上の熱可塑性樹脂を含み、より好ましくは100質量%の熱可塑性樹脂で構成される。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。熱可塑性繊維は、短繊維でも長繊維でも良い。熱可塑性繊維としては、芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型等の複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。
【0016】
外装体5は、着用者の腹側に配置される腹側領域5aと、着用者の背側に配置される背側領域5bと、を少なくとも有する。本実施形態の外装体5は、さらに、腹側領域5a及び背側領域5bの間に位置し着用者の股間部に配置される股下領域5cを含む。この例において、腹側領域5a、股下領域5c、及び背側領域5b、は、縦方向Xに沿って配置されている。また、外装体5は、股下領域5cにおいて横方向Y内側に括れた形状を有する。これにより、着用者の脚繰りに沿ったレッグ開口部1L(
図1参照)が形成される。
外装体5の外縁は、縦中心線CLに関して線対称(左右対称)に構成されることが好ましい。
【0017】
さらに、外装体5は、腹側領域5aの横方向Yにおける側縁部5dと、背側領域5bの横方向Yにおける側縁部5eとがそれぞれ接合された、一対のサイド接合部8を有する。右側のサイド接合部8は、腹側領域5aの右側の側縁部5dと、背側領域5bの右側の側縁部5eとが、厚み方向Zに重ねられて接合された構成を有する。左側のサイド接合部8は、腹側領域5aの左側の側縁部5dと、背側領域5bの左側の側縁部5eとが、厚み方向Zに重ねられて接合された構成を有する。
一対のサイド接合部8によって、腹側領域5aと背側領域5bとが着用者の胴周りに沿った筒状となり、おむつ1のウエスト開口部1W及びレッグ開口部1Lが形成される。
サイド接合部8は、詳細を後述するように、ヒートシールや超音波シールなどによって接合されることが好ましい。
【0018】
[サイド接合部の構成]
サイド接合部8は、着用動作時及び着用時には、腹側領域5aと背側領域5bとが剥がれることなく、接合された状態を維持することが好ましい。
一方で、着用後におむつ1を交換する際には、おむつ1に付着した排泄物を衛生的に処理する観点から、介助者等が、サイド接合部8の腹側領域5aと背側領域5bとを分離して、おむつ1を展開してから廃棄することがある。
このように、サイド接合部8は、着用動作時及び着用時においては剥がれを防止でき、かつ、廃棄時においては容易に引き裂ける構成を有することが好ましい。
なお、本明細書において、おむつ1の着用動作時及び着用時に、サイド接合部8の腹側領域5aと背側領域5bとが意図せずに分離することを「剥がれる」と表現する。これに対して、おむつ1の廃棄時に、サイド接合部8及び/又はその周囲に外力を加えて、意図的にサイド接合部8の腹側領域5aと背側領域5bを分離する動作を、「引き裂く」と表現する。
また、おむつ1の廃棄時にサイド接合部8を引き裂く主体を「廃棄者」と表現する。
【0019】
本実施形態においては、一対のサイド接合部8が、例えば縦中心線CLに関して実質的に線対称に構成され、それぞれ同様の構成を有することが好ましい。以下では、一方のサイド接合部8の構成について詳細に説明する。
【0020】
図2に示すように、サイド接合部8は、ウエスト側の端部であるウエスト端部8aから縦方向Xに25mm以内のウエスト端部領域8cと、縦方向Xのレッグ側の端部であるレッグ端部8bから縦方向Xに25mm以内のレッグ端部領域8dと、を有する。
ウエスト端部8a及びレッグ端部8bは、サイド接合部8の縦方向Xにおける両端部を構成する。
サイド接合部8は、全体として、ウエスト端部8aからレッグ端部8bまで、縦方向Xに延びる構成を有する。
なお、サイド接合部8において、縦方向X端部側とは、ウエスト端部8a又はレッグ端部8bに近づく側を意味し、縦方向X中央側とは、ウエスト端部8a又はレッグ端部8bから遠ざかる側を意味する。
【0021】
サイド接合部8は、複数のシール部Sをさらに有する。シール部Sは、腹側領域5a及び背側領域5bの双方の熱可塑性シート50が融着して接合された部分である。シール部Sは、例えば、加圧手段及び/又は加熱手段によって接合され、具体的には、ヒートシールや超音波シールなどによって接合される。
図4に示すように、サイド接合部8のX-Z断面(縦方向Xの切断面)を拡大すると、シール部Sは、熱可塑性シート50の繊維55が融着して、周囲よりも厚みが薄くなった部分として観察される。
【0022】
図3に示すように、複数のシール部Sは、縦方向Xに離間して配置される。これにより、一つのシール部Sが剥がれた場合に、縦方向Xに沿ってサイド接合部8全体が剥がれることを防止できる。
シール部Sの平面形状は、特に限定されず、矩形形状、その他の多角形状、円形状、楕円形状、これらに類似する形状、その他の形状から選ばれた形状であり得る。
図3に示すように、間隔をあけつつ各シール部Sの面積を十分に確保する等の観点から、シール部Sの平面形状は、矩形状が好ましい。
【0023】
ここで、本発明者らの知見では、サイド接合部8の引き裂き動作の開始時において、廃棄者の指は、ウエスト端部8a又はレッグ端部8bから縦方向Xに25mm~30mm程度離れた、サイド接合部8の左右両側(腹側及び背側)に配置されやすい。例えば、着用者が立位の場合には、廃棄者の指はウエスト側に配置され、着用者が臥位の場合には、廃棄者の指はレッグ側に配置されやすい。
そこで、サイド接合部8において、引き裂きのための外力(「引き裂き力」とも称する)が特に付加されやすい領域を、ウエスト端部8a及びレッグ端部8bからそれぞれ縦方向Xに25mm以内のウエスト端部領域8c及びレッグ端部領域8dと定める。そして、着用時及び着用動作時の破れを防止しつつ、廃棄時の引き裂きを容易にする観点から、このウエスト端部領域8c及び/又はレッグ端部領域8dにおけるシール部Sの配置及びシール強度を以下のように構成する。
なお、
図3では、シール部Sが特徴的な配置及びシール強度を有する領域が、ウエスト端部領域8cである例について示している。
【0024】
図3に示すように、サイド接合部8の少なくとも一方は、縦方向Xに沿って離間して整列した複数のシール部Sでそれぞれ構成され、横方向Yに沿ってウエスト端部領域8cに配列された複数のシール列SLを有する。
「複数のシール部Sが縦方向Xに沿って離間して整列する」とは、縦方向Xに離間した複数のシール部Sが、縦方向Xに延びる一本の直線上に並んで配置されることを意味する。具体的に、一つのシール列SL内では、各シール部Sを横方向Yに2等分する直線のずれが、シール部Sの横方向Yにおける最大寸法の50%以内に収まることが好ましい。
【0025】
「シール列SLが横方向Yに沿って配列される」とは、複数のシール列が横方向Yに並んでおり、横方向Yに隣り合うシール列SLに属するシール部Sが離間して配置されることを意味する。
本実施形態において、複数のシール列SLは、少なくとも一部がウエスト端部領域8cに配置されていればよく、ウエスト端部領域8cから縦方向Xに延出していてもよい。
図3に示す例では、複数のシール列SLが、サイド接合部8の縦方向X全体に配置されている。
【0026】
図3に示す例では、ウエスト端部領域8cに3つのシール列SLが並んでいる。これらのシール列SLを、横方向Y内側から外側に向かって、第1シール列SL1、第2シール列SL2、及び第3シール列SL3とも称する。以下の説明において、これらのシール列SLを区別する必要がないときは、単にシール列SLと称する。
なお、ウエスト端部領域8cにおけるシール列SLの数は3列に限定されない。例えば、ウエスト端部領域8cにおけるシール列SLの数は、2列以上、好ましくは3列以上7列以下である。
【0027】
上記構成では、各シール列SLに属するシール部Sが、縦方向X及び横方向Yに離間して配置される。これにより、着用時及び着用動作時に1つのシール部Sが剥がれた際に、その影響が他のシール部Sに伝搬しにくくなる。したがって、着用動作時及び着用時のサイド接合部8の剥がれを効果的に防止することができる。
【0028】
一方、引き裂き動作の開始時には、ウエスト端部領域8c及び/又はレッグ端部領域8dの内側から、縦方向X中央側及び横方向Y外側の成分を併せ持つ引き裂き力Fが加えられる。
図3に示すように、この引き裂き力Fは、縦方向X及び横方向Yに対しておよそ45°傾いた斜め外方の力となる。したがって、サイド接合部8では、第1シール列SL1の縦方向X端部側のシール部Sから、縦方向X中央側に向かって、かつ横方向Y内側から外側に向かって、シール部Sが順に引き裂かれる。
複数のシール部Sが縦方向X及び横方向Yに並ぶウエスト端部領域8c及び/又はレッグ端部領域8dでは、横方向Y内側のシール列SLのシール部Sの引き裂きが完了する前に、斜めに隣接する、その外側のシール列SLのシール部Sの引き裂きが開始することが多い。サイド接合部8では、2つの斜めに隣接するシール部Sが近い位置においてほぼ同時に引き裂かれることで、外装体5に対して局所的に過大な負荷が加わることがある。これにより、サイド接合部8では、外装体5がシール部Sに隣接する部分で破断し、さらに外装体5の破断がシール部Sの長手方向に沿って横方向Y外向きに進行するいわゆる横裂けが発生することがある。外装体5の横裂けが発生すると、その度に引き裂き動作が中断するため、廃棄者や着用者にとって大きいストレスとなる。
【0029】
これに対し、本実施形態では、異なるシール列SLに属し横方向Yに隣り合う2つのシール部Sのうち、横方向Y内側に位置するシール部Sは、横方向Y外側に位置するシール部Sよりも、低いシール強度を有する。
「横方向Yに隣り合う2つのシール部S」とは、各シール部Sにおいて横方向Y及び縦方向Xに2等分する位置を「中心部」とした場合、1つのシール部Sと、そのシール部Sの中心部との距離が最も近い中心部を有する他のシール部Sと、の2つのシール部Sを意味する。
このように、本発明では、少なくとも、隣り合う2つのシール部Sにおけるシール強度の関係が上記関係を満たせばよい。
【0030】
本実施形態では、横方向Y内側のシール列SLから外側のシール列SLに向かって、シール部Sのシール強度が次第に増加することが好ましい。
図3に示す例では、第1シール列SL1の各シール部Sのシール強度は、第2シール列SL2の各シール部Sのシール強度よりも低くなる。同様に、第2シール列SL2の各シール部Sのシール強度は、第3シール列SL3の各シール部Sのシール強度よりも低くなる。つまり、シール部Sのシール強度は、横方向Yにおいて最も内側の第1シール列SL1、その外側の第2シール列SL2、及びその外側の第3シール列SL3の順に高くなる。
本明細書において、シール強度とは、テンシロン等の測定装置によって計測される剥離強度をいう。また、剥離強度とは、テンシロン等の測定装置によって計測される局所的な剥離強度をいう。これに対して、接合強度とは、サイド接合部8の引き裂き時に廃棄者が感じる接合の強さをいう。
上記構成では、引き裂き力Fが最初の方に付加される横方向Y内側のシール列SL(例えば第1シール列SL1)のシール部Sのシール強度が低い。これにより、廃棄者が、最初の方のシール部Sの引き裂きを楽に感じやすくなり、サイド接合部8に強い力を加えにくくなる。
さらに、斜めに隣り合う2つのシール部Sが同時に引き裂かれる際には、一方のシール部Sのシール強度が他方のシール部Sのシール強度よりも低くなる。これにより、全てのシール部Sが同一のシール強度を有する場合と比較して、2つのシール部Sの合計のシール強度を低く抑えることができる。したがって、引き裂きの途中においても、廃棄者による引き裂き力Fが高まりにくくなり、外装体5への負荷が軽減される。
これらにより、引き裂きが楽に感じられるとともに、外装体5の横裂けの発生を防止することができる。
また、横方向Y外側のシール列SL(例えば第3シール列SL3)のシール強度を高く設定することができるため、着用時及び着用動作時の剥がれを防止することができる。
したがって、本実施形態のサイド接合部8では、着用時及び着用動作時の剥がれの防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることができる。
【0031】
<シール強度の測定方法>
各シール列SLのシール部Sのシール強度の測定方法及び比較方法について説明する。
まず、複数のシール列SLを含むウエスト端部領域8c又はレッグ端部領域8dの少なくとも一方を、縦方向Xに10mm、横方向Yにサイド接合部8の全幅を含む長さの長方形状に切り出して、測定用サンプルを形成する。サイド接合部8の全幅は、サイド接合部8の横方向Y外側の側縁から、最も横方向Y内側のシール部Sの横方向Y内側の内端部までの長さとする。測定用サンプルの横方向Yの長さは、テンシロンに固定する部分を確保するため、この全幅よりも横方向Y内側に20mm以上長いことが好ましい。切り出された複数の測定用サンプルは、熱可塑性シート50の積層枚数が同一のものとする。
続いて、測定用サンプルの横方向Y内側の端部を株式会社オリエンテック製のテンシロン万能試験機(RTC-1210A)に固定し、一方の外装体5から他方の外装体5を剥離する。測定用サンプルを横方向Y内側から外側に向かって10mm/minの速さで剥離し、経時的に剥離強度を測定する。
図5に、上述のようにシール強度を測定して得られたグラフの例を示す。
図5において縦軸はシール強度(N)、横軸は横方向Y内側の剥離開始点からの距離を示す。
このグラフからは、複数のシール列SLに対応して、複数のピーク強度A,B,Cが確認できる。このピーク強度A,B,Cを、横方向Y内側から外側に沿って配置された、各シール列SLのシール部Sのシール強度とする。ピーク強度Cよりもピーク強度Bが低い場合、又はピーク強度Bよりもピーク強度Aが低い場合、場合、横方向Y内側に位置するシール部Sは、横方向Y外側に位置するシール部Sよりも、低いシール強度を有すると判定する。
【0032】
シール部Sのシール強度の具体例を挙げる。
最も横方向Y内側のシール列SL(例えば第1シール列SL1)のシール部Sのシール強度は、廃棄時の引き裂きを容易にする観点から、好ましくは0.1N以上、より好ましくは0.2N以上であり、好ましくは2N以下、より好ましくは1.8N以下である。
最も横方向Y外側のシール列SL(例えば第3シール列SL3)のシール部Sのシール強度は、着用時及び着用動作時の剥がれを防止する観点から、好ましくは0.5N以上、より好ましくは0.7N以上であり、好ましくは5N以下、より好ましくは4N以下である。
最も横方向Y外側のシール列SL(例えば第3シール列SL3)のシール部Sのシール強度に対する最も横方向Y内側のシール列SL(例えば第1シール列SL1)のシール部Sのシール強度の割合は、剥がれ防止と引き裂き容易性とを両立させる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。
【0033】
[シール強度の調整方法の例]
シール部Sのシール強度は、例えば、シール部Sを形成するシール工程時の温度、圧力及び/又は時間等の条件を変更することによって調整することができる。
あるいは、当該シール強度は、熱可塑性シート50間に、樹脂の溶融を阻害する溶融阻害剤を配置することによっても低下させることができる。溶融阻害剤としては、ホットメルト接着剤、ポリウレタン系素剤、石油系樹脂等が挙げられる。
また、当該シール強度は、繊維の融着部であるシール部Sの面積を変更することによって調整することもできる。
また、当該シール強度は、熱可塑性シート50の繊維の組成を変更することでも、調整することができる。
以下、具体例を挙げて説明する。
【0034】
(繊維の溶融度合いによる調整例)
シール部Sは、外装体5の複数の熱可塑性シート50の繊維が融着して形成された部分である。このため、繊維が十分に溶融しているシール部Sほど、冷却後に繊維同士が固着し、シール強度が高くなる傾向を有する。
このため、異なるシール列SLに属し横方向Yに隣り合う2つのシール部Sのうち、横方向Y内側に位置するシール部Sは、横方向Y外側に位置するシール部Sよりも、繊維の溶融度合いが低いことが好ましい。例えば、横方向Y内側のシール列SLから外側のシール列SLに向かって、シール部Sの溶融度合いが増加することが好ましい。
例えば、シール部Sの繊維の溶融度合いは、横方向Yにおいて最も内側の第1シール列SL1、その外側の第2シール列SL2、及び最も外側の第3シール列SL3の順に高くなる。
【0035】
<シール部の溶融度合いの算出方法>
まず、サイド接合部8のシール列SLを含むウエスト端部領域8c及び/又はレッグ端部領域8dを切断して、シール部SのX-Z断面(シール部Sを縦方向Xに横切る断面)を含む測定用サンプルを準備する。測定対象とするシール部Sは、各シール列SLに属するシール部Sであって、熱可塑性シート50の積層枚数が同一の領域に位置するシール部Sとする。
測定用サンプルを公知の方法によって固定した後、測定用サンプルのX-Z断面を、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって500倍に拡大して撮像する。撮像された各画像において、画像解析ソフトを用いて繊維の外縁を検出し、検出した線の長さを繊維の周長として算出する。各シール列SLについて、5枚以上の画像から算出された繊維の周長の平均値を算出し、その平均値を各シール列SLのシール部Sの繊維の周長とする。
複数のシール列SLのシール部Sの繊維の周長を比較し、繊維の周長が長いほど、溶融度合いが低いと判定する。
【0036】
図6(A)は、横方向Y内側のシール列SLに属するシール部SのX-Z断面の拡大図の例を示し、
図6(B)は、横方向Y外側のシール列SLに属するシール部SのX-Z断面の拡大図の例を示す。
図6(A)の繊維55は、外縁55aに多くの凹凸を含み、周長が長い。つまり、繊維55があまり溶融されておらず、表面である外縁55aに、繊維55の本来の凹凸が残っている。
一方で、
図6(B)の繊維55は、外縁55aが比較的平滑であり、
図6(A)の繊維55よりも周長が短い。つまり、繊維55が十分に溶融されており、外縁55aの凹凸が平滑化されている。
この場合、
図6(A)のシール部Sの繊維55の溶融度合いは、
図6(B)のシール部Sの繊維55の溶融度合いよりも低いと判定される。
【0037】
繊維の溶融度合いは、シール工程時の熱、圧力及び/又は時間等の条件によって調整することができる。繊維の溶融度合いによってシール強度を調整することで、シール部Sの平面形状、配置又は厚みを大きく変更しなくても、シール強度を調整することができる。シール部Sの平面形状や配置を揃えることで、引き裂き時に、シール部Sをほぼ一定の間隔で次々に引き裂くことができる。したがって、引き裂き動作を安定して滑らかに行うことができ、廃棄者のストレスを軽減することができる。
また、シール列SL毎に熱可塑性シート50の繊維の組成を変更しなくても、繊維の溶融度合いは変更可能である。これにより、比較的容易に、かつ精度よくシール強度を調整することができる。
【0038】
最も横方向Y外側のシール列SL(例えば第3シール列SL3)のシール部Sの繊維の周長に対する、最も横方向Y内側のシール列SL(例えば第1シール列SL1)のシール部Sの繊維の周長の割合は、好ましくは105%以上、より好ましくは110%以上であり、好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下である。
【0039】
(シール部の厚みによる調整例)
また、シール工程時に重ねられた熱可塑性シート50を厚み方向Zに大きく圧縮することで、溶融した繊維が強く圧着され、シール部Sのシール強度を高めることができる。つまり、シール部Sの厚みが薄いほど、シール強度は高くなる。
このため、異なるシール列SLに属し横方向Yに隣り合う2つのシール部Sのうち、横方向Y内側に位置するシール部Sは、横方向Y外側に位置するシール部Sよりも、厚く構成されてもよい。例えば、横方向Y内側のシール列SLから外側のシール列SLに向かって、シール部Sの厚みが減少することが好ましい。なお、ここでいうシール部Sの厚みは、厚み方向Zに沿った厚みである。
例えば、シール部Sの厚みは、横方向Yにおいて最も内側の第1シール列SL1、その外側の第2シール列SL2、及び最も外側の第3シール列SL3の順に薄くなる。
【0040】
<シール部の厚みの測定方法>
まず、サイド接合部8のシール列SLを含むウエスト端部領域8c及び/又はレッグ端部領域8dを切断して、シール部SのX-Z断面(シール部Sを縦方向Xに横切る断面)を含む測定用サンプルを準備する。測定対象とするシール部Sは、各シール列SLに属するシール部Sであって、熱可塑性シート50の積層枚数が同一の領域に位置するシール部Sとする。測定用サンプルを公知の方法によって固定した後、測定用サンプルのX-Z断面を、SEM等によって500倍に拡大して撮像する。そして、
図4に示すように、撮像された画像中の陥凹している部分をシール部Sと定める。画像解析ソフトを用いて、このシール部Sを幅方向(縦方向X)に2等分する部分の厚み方向Zの厚みDs(
図4参照)を、シール部Sの厚みとして算出する。各シール列SLについて、5枚以上の画像から算出されたシール部Sの厚みの平均値を算出し、その平均値を各シール列SLのシール部Sの厚みとする。
【0041】
最も横方向Y外側のシール列SL(例えば第3シール列SL3)のシール部Sの厚みに対する最も横方向Y内側のシール列SL(例えば第1シール列SL1)のシール部Sの厚みの割合は、好ましくは102%以上、より好ましくは104%以上であり、好ましくは200%以下、より好ましくは180%以下である。
【0042】
(シール部の面積による調整例)
あるいは、シール部Sのシール強度は、シール部Sの面積によっても調整することができる。具体的には、シール部Sの面積が小さいほど、繊維の融着部の面積が小さくなり、シール強度は低くなる。
このため、異なるシール列SLに属し横方向Yに隣り合う2つのシール部Sのうち、横方向Y内側に位置するシール部Sは、横方向Y外側に位置するシール部Sよりも、小さな面積を有していてもよい。例えば、横方向Y内側のシール列SLから外側のシール列SLに向かって、シール部Sの面積が増加してもよい。ここでいうシール部Sの面積は、平面視における1つのシール部Sの面積である。比較対象とするシール部Sは、ウエスト端部領域8c及び/又はレッグ端部領域8dの各シール列SLに属するシール部Sとする。同一のシール列SL内において、シール部Sの平面形状が異なる場合には、1つのシール列SL内の測定対象の端部領域に位置する任意の5個のシール部Sの平均面積を、そのシール列のシール部Sの面積とする。
例えば、シール部Sの面積は、横方向Yにおいて最も内側の第1シール列SL1、その外側の第2シール列SL2、及び最も外側の第3シール列SL3の順に大きくなることが好ましい。
【0043】
これにより、シール列SL毎にシール工程の条件を変更することなく、シールパターンを変更することで、シール部Sのシール強度を調整することができる。したがって、横方向Y内側の第1シール列SL1内におけるシール部Sのシール強度をより安定して低下させることができる。
【0044】
[シール部の配置例]
横方向Yに隣り合う2つのシール列SLにおける、シール部Sのより具体的な配置例について説明する。
例えば、
図7に示すように、横方向Yにおいて最も外側に位置するシール列SLを外側シール列SLb、外側シール列SLbと横方向Y内側に隣り合うシール列SLを内側シール列SLaとした場合に、外側シール列SLbのシール部Sの横方向Y外側の外端部Sbと、内側シール列SLaのシール部Sの横方向Y内側の内端部Saとの間の横方向Yにおける距離が第1寸法D1であるとする。
サイド接合部8全体のシール強度を高めて、着用時及び着用動作時の破れを抑制する観点からは、縦方向Xに長いサイド接合部8内に、縦方向Xに沿って多数のシール部Sを配置することが好ましい。
このため、外側シール列SLbでは、複数のシール部Sが縦方向Xに第1寸法D1よりも狭い第2寸法D2の間隔をあけて配置されていることが好ましい。
サイド接合部8の横方向Yの幅はある程度規制されるため、第1寸法D1もこれに応じて規制される。この第1寸法D1を基準として、外側シール列SLbの縦方向Xの間隔を第1寸法D1よりも狭い第2寸法D2とすることで、縦方向Xに沿ってシール強度の高いシール部Sを密に配置することができ、サイド接合部8の接合強度を十分に確保することができる。
【0045】
一方で、引き裂き開始時には、縦方向X中央に向かう成分及び横方向Y外側に向かう成分を含む斜め方向の力Fが加わる。引き裂き開始側のウエスト端部領域8c又はレッグ端部領域8dにおける引き裂きは、この力Fの方向に沿って進行するため、これと直交する方向に沿って剥離界面が移動する。つまり、剥離界面は、縦方向X中央に向かう成分及び横方向Y内側に向かう成分を含む方向に沿った線L上に形成される。線Lは、縦方向X及び横方向Yに対しておよそ45°傾いている。
図7に示すように、D1>D2を満たす配置では、複数のシール部Sが線L上に配置され、これらのシール部Sが同時に引き裂かれることになる。つまり、引き裂き時には、これらのシール部Sの合計のシール強度以上の力が確実に必要となる。
【0046】
これに対して、本実施形態では、内側シール列SLaのシール部Sのシール強度が、外側シール列SLbのシール部Sのシール強度よりも小さい。このため、2つのシール部Sの合計のシール強度の上昇を抑制でき、弱い力で引き裂くことができる。また、外装体5に局所的に大きな力が負荷されることを抑制でき、外装体5の横裂けを効果的に防止できる。
【0047】
シール部Sのより具体的な配置について説明する。
図3に示すように、複数のシール列SLに含まれる複数のシール部Sは、横方向Yに沿って整列していることが好ましい。つまり、シール列SLが配置されたウエスト端部領域8c又はレッグ端部領域8dの少なくとも一方におけるシール部Sは、縦方向X及び横方向Yに沿って整列した、格子状の配置となることが好ましい。
「複数のシール部Sが横方向Yに沿って整列している」とは、複数のシール部Sが、横方向Yに延びる一本の直線上に整列して配置されることを意味する。具体的に、各シール部Sを縦方向Xに2等分する直線のずれが、シール部Sの縦方向Xにおける寸法の50%以内に収まることが好ましい。
【0048】
上記構成では、シール部Sが規則的に並ぶため、シール強度が規則的に変動し得る。これにより、引き裂き時に廃棄者が受ける抗力も規則的に変動しやすくなり、廃棄者が引き裂きをより滑らかに、かつ楽に行うことができる。
【0049】
また、サイド接合部8では、シール部Sの周囲にシールされていない部分が配置される。廃棄者がサイド接合部8を連続的に引き裂こうとした場合、シール部Sとその周囲部とで受ける抗力の差が大きすぎると、引き裂き動作に違和感を持ちやすくなる。
このような引き裂き動作の違和感を抑制する観点から、複数のシール列SLを含むウエスト端部領域8c又はレッグ端部領域8dの少なくとも一方を、縦方向Xに10mm、横方向Yにサイド接合部8の全幅を含む長さの長方形状に切り出して測定用サンプルを形成し、測定用サンプルを横方向Y内側から外側に向かって10mm/minの速さで剥離させてシール強度を測定した場合、複数のシール列SLに対応する複数のピーク強度間の最小強度が、0Nよりも大きくなることが好ましい。この測定方法は、上述のシール強度の測定方法において説明した方法を用いることができる。
また、上記構成は、シール部Sの横方向Yのシール幅に比べてシール列SLの横方向Yのシール部S間の距離を短くすることで達成できる。
【0050】
これらのピーク強度及び最小強度は、
図5に示すようなグラフから読み取ることができる。
図5に示す例では、第1シール列SL1、第2シール列SL2及び第3シール列SL3にそれぞれ対応するピーク強度A,B,及びCが示されている。ピーク強度A及びB間の最小強度を、aとする。ピーク強度B及びC間の最小強度を、bとする。つまり、最小強度bは、最小強度aよりも横方向Y外側で測定された強度となる。
【0051】
最小強度a,bが0Nよりも大きいことにより、最小強度a,bと、その次に現れるピーク強度B,Cとの差が急激に大きくなることが抑制される。つまり、最小強度a,bから、その次に現れるピーク強度B,Cまでの、単位長さ当たりのシール強度の増加率を抑制することができる。
本発明者らは、上記測定条件において得られたシール強度の分布が、サイド接合部8の実際の引き裂き時において得られるシール強度の分布に近似することを確認している。
したがって、上記構成によれば、サイド接合部8の実際の引き裂き時においても、廃棄者が経時的に受ける抗力の変動を小さくすることができ、引き裂きやすいサイド接合部8を得ることができる。
【0052】
さらに、ウエスト端部領域8c又はレッグ端部領域8dの少なくとも一方に、複数のシール列SLとして3以上のシール列SLが配置されており、かつ、上述の測定サンプルを用いてシール強度を測定した場合に、3以上のピーク強度間の複数の最小強度は、横方向Y内側から外側に向かって測定される順に、増加することが好ましい。
【0053】
まず、3以上のシール列SLが配置された場合のピーク強度について説明する。
3以上のシール列SLが配置されている場合、これらのシール列SLのシール部Sのシール強度は、横方向Y内側から外側に向かって増加する。例えば、
図5のグラフでは、ピーク強度A,B及びCがこの順で増加する。これにより、徐々に力を加えるように廃棄者を誘導でき、急に大きな力を加えることによる外装体5の横裂けを抑制できる。また、引き裂き開始時に大きな力が不要となることから、力の弱い廃棄者であっても、引き裂きやすく感じられる。したがって、廃棄時に横裂けしにくく、より引き裂きやすいサイド接合部8を得ることができる。
【0054】
次に、3以上のシール列SLが配置された場合の最小強度について説明する。
図5に示す例では、ピーク強度A及びB間の最小強度aよりも、ピーク強度B及びC間の最小強度bの方が大きくなる。これにより、ピーク強度A,B及びCがこの順で増加した場合でも、最小強度a,bと、その次に現れるピーク強度B,Cとの差が急激に大きくなることが抑制される。この結果、最小強度a,bから、その次に現れるピーク強度B,Cまでの、単位長さ当たりのシール強度の増加率を、より効果的に抑制することができる。
したがって、上記構成によれば、サイド接合部8の実際の引き裂き時においても、廃棄者が経時的に受ける抗力の変動をより小さくすることができ、より一層引き裂きやすいサイド接合部8を得ることができる。
【0055】
上述の条件を満たすピーク強度及び最小強度を得やすくする観点から、シール部Sを以下のように配置することができる。
ピーク強度A,B,C間の最小強度a,bが0Nよりも大きいということは、測定用サンプルを横方向Y内側から外側に向かって剥離した際に、横方向Y内側のシール部Sが完全に剥がれる前に、その外側のシール部Sの剥離が開始されることを意味する。そこで、
図7を参照し、外側シール列SLbのシール部Sと、それに隣り合う内側シール列SLaのシール部Sとの横方向Yにおける間隔D3に対する、内側シール列SLaのシール部Sの横方向Yにおける寸法の比率(D4/D3)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上である。
これにより、内側シール列SLaと外側シール列SLbとの間隔D3を狭め、内側シール列SLaのシール部Sが完全に剥がれる前に、外側シール列SLbのシール部Sの剥離が開始される構成とすることができる。したがって、最小強度a,bを0Nよりも大きくすることができる。
【0056】
また、3以上のシール列SLが配置されたウエスト端部領域8c又はレッグ端部領域8dの少なくとも一方において、横方向Yに隣り合うシール列SLのシール部S間の間隔は、横方向Y内側から外側に向かって減少するように構成されてもよい。これにより、横方向Y内側から外側に向かうに従い、ピーク強度間の幅を減少させることができ、最小強度を増加させやすくなる。
【0057】
[シール部に関する寸法例]
シール列SLに属するシール部Sの寸法等としては、着用動作時及び着用時の剥がれ防止と引き裂き容易性とを両立させる観点から、以下の例が挙げられる。なお、以下の寸法は、弾性部材を伸長させていない自然状態において測定されるものとする。
シール部Sの横方向Yの寸法(最大寸法)は、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.2mm以上であり、また好ましくは7mm以下、より好ましくは5mm以下である。
複数のシール列SLの横方向Yにおけるピッチは、好ましくは0.4mm以上、より好ましくは0.7mm以上であり、また好ましくは7mm以下、より好ましくは4mm以下である。
なお、複数のシール列SLの横方向Yにおけるピッチとは、横方向Yに隣り合うシール部Sにおいて、各シール部Sを横方向Yに2等分する線の間の横方向Yにおける距離を意味する。また、このピッチが一定でない場合には、5箇所の横方向Yにおけるピッチを測定し、その平均値を横方向Yにおけるピッチとする。
シール列SLに含まれるシール部Sの縦方向Xの寸法(最大寸法)は、好ましくは0.1m以上、より好ましくは0.3mm以上であり、また好ましくは2mm以下、より好ましくは0.6mm以下である。
シール列SLに含まれる複数のシール部Sの縦方向Xにおけるピッチは、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは1.7mm以上であり、また好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4mm以下である。
複数のシール部Sの縦方向Xにおけるピッチとは、縦方向Xに隣り合うシール部Sにおいて、各シール部Sを縦方向Xに2等分する線間の縦方向Xにおける距離を意味する。また、このピッチが一定でない場合には、5箇所の縦方向Xにおけるピッチを測定し、その平均値を縦方向Xにおけるピッチとする。
【0058】
[弾性部材の構成例]
図2に示すように、外装体5の腹側領域5a及び背側領域5bは、横方向Yに延びる複数の弾性部材10を含む。
複数の弾性部材10は、外装体5の複数の熱可塑性シート50間に配置される(
図9参照)。
これらの弾性部材10により、おむつ1の胴周りに伸縮性が発揮され、着用動作が容易になるとともに、着用時のフィット性が維持される。
なお、「弾性部材10が横方向Yに延びる」とは、展開伸長状態において弾性部材10が横方向Yに延びることを意味する。但し、上記表現は、弾性部材10が展開伸長状態において横方向Yに平行な態様に限定されず、全体として横方向Yに延びる態様を含むものとする。
さらに、
図2に示すように、外装体5は、上記弾性部材10の他、レッグ開口部1Lの周囲に配置されたレッグ用弾性部材11を含んでいてもよい。
【0059】
弾性部材10,11は、断面が矩形、正方形、円形、多角形状等の糸状(糸ゴム等)若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。弾性部材10,11の材料は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられるもの等を特に制限なく用いることができ、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。
【0060】
腹側領域5a及び背側領域5b各々の弾性部材10の横方向Y外側の端部は、胴周り全体の伸縮性を確保する観点から、サイド接合部8又はその近傍に位置していることが好ましい。具体的に、当該端部は、サイド接合部8との横方向Yにおける距離が10mm以下であることが好ましく、当該距離が0mmであって当該端部がサイド接合部8内に位置していることがより好ましい。
弾性部材10は、引き裂き時に力が加えられる領域又はその近傍まで配置されることが一般的であり、廃棄時の引き裂き容易性に影響を与えやすい。
そこで、廃棄時の引き裂き容易性を向上させるとともに、着用者の姿勢によって腹囲が変動しやすいウエスト周りに沿いやすくする観点から、ウエスト端部領域8cを含む領域と含まない領域とで、弾性部材の伸張率を以下のように調整することが好ましい。
【0061】
図2に示すように、腹側領域5a及び背側領域5bは、それぞれ、横方向Yに延びる複数の弾性部材10が配置された第1伸縮領域5f及び第2伸縮領域5gを有する。第1伸縮領域5f及び第2伸縮領域5gは、それぞれ、一対のサイド接合部8の一方から他方まで横方向Yに延びる。つまり、第1伸縮領域5f及び第2伸縮領域5gは、腹側領域5a及び背側領域5bの横方向Yにおける全幅にわたって延びる。
第1伸縮領域5fは、ウエスト端部領域8cから横方向Yに延びる。つまり、第1伸縮領域5fの横方向Y両端部は、ウエスト端部領域8cで構成される。
第2伸縮領域5gは、第1伸縮領域5fと縦方向Xに隣接し、サイド接合部8のウエスト端部領域8cを除く領域から横方向Yに延びる。
【0062】
この構成において、第1伸縮領域5fにおける複数の弾性部材10の平均伸張率は、第2伸縮領域5gにおける複数の弾性部材10の平均伸張率よりも低いことが好ましい。
弾性部材10の伸張率は、パンツ型吸収性物品から取り出された自然長における弾性部材の長さに対する、パンツ型吸収性物品の展開伸長状態において伸長された弾性部材の長さの割合を意味する。
つまり、この伸張率が低いほど、弾性部材10を引っ張った際の弾性力がより小さくなる傾向となる。
なお、弾性部材10の伸張率は、製造時において、外装体5に配置される弾性部材10の伸張の度合いを調整することで、調整することができる。製造時には、例えば、弾性部材10を所定の長さまで伸張させ、コーム等によって弾性部材10に接着剤を塗布し、外装体5の熱可塑性シート50に弾性部材10を固定する。
【0063】
ウエスト端部領域8cには、上述のように、引き裂き動作時に横方向Yの力が直接加えられ得る。上記構成では、第1伸縮領域5fの弾性部材10の平均伸張率が低いことで、引き裂き力に対する抗力となる弾性部材10の弾性力が低くなる。これにより、引き裂き力に係るエネルギが弾性部材10の伸長によって消費されにくくなり、より弱い力でも効率よく引き裂くことができる。したがって、上記構成により、安定した引き裂き動作が可能となり、引き裂き力が強すぎることによる外装体5の破れ等の不具合を防止することができる。
【0064】
<弾性部材の平均伸張率の測定方法>
パンツ型吸収性物品のサイド接合部8を分離して吸収性本体4を外し、外装体5の腹側領域5a及び背側領域5bを切り出す。さらに、腹側領域5a及び背側領域5bのウエスト端部8a(ウエスト開口端Wa)及び/又はレッグ端部8bから縦方向Xに25mmの位置を横方向Yに平行に切断し、第1伸縮領域5f及び第2伸縮領域5gを切り出す。
そして、パンツ型吸収性物品の展開伸長状態における、切り出した各領域の弾性部材10の長さを測定する。この測定値から、各領域5f,5gにおける全ての弾性部材10の最大伸張状態の長さの平均値を算出する。
各領域5f,5gに接着剤等によって固定された全ての弾性部材10を、酢酸エチル等の適当な溶剤を用いて外装体5の他の構成部材から取り外し、各領域5f,5gにおける自然長の弾性部材10の長さを測定する。この測定値から、各領域5f,5gにおける自然長の全ての弾性部材10の長さの平均値を算出する。
そして、各領域5f,5gにおいて、自然長における弾性部材10の長さの平均値に対する、展開伸長状態における弾性部材10の長さの平均値の割合を算出し、これを各領域5f,5gの弾性部材10の平均伸張率とする。
【0065】
第1伸縮領域5fにおける複数の弾性部材10の平均伸張率は、好ましくは120%以上、より好ましくは130%以上であり、好ましくは500%以下、より好ましくは450%以下である。
第2伸縮領域5gにおける複数の弾性部材10の平均伸張率は、好ましくは150%以上、より好ましくは180%以上であり、好ましくは550%以下、より好ましくは500%以下である。
第2伸縮領域5gにおける複数の弾性部材10の平均伸張率に対する、第1伸縮領域5fにおける複数の弾性部材10の平均伸張率の割合は、上記作用効果を効果的に得る観点から、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。
【0066】
また、弾性部材10が横方向Yにサイド接合部8まで延びる場合、平面視において弾性部材10とシール部Sとが重なる位置では、シール部Sの強度が低下しやすい。特に、弾性部材10がホットメルト接着剤を介して外装体5に配置される場合には、ホットメルト接着剤がシール部Sの融着を阻害し、シール部Sの強度がより一層低下しやすくなる。
弾性部材10とシール部Sとの平面視における重なりを抑制する観点から、
図8に示すように、サイド接合部8における複数の弾性部材10の縦方向XにおけるピッチD5は、複数のシール部Sの縦方向XにおけるピッチD4よりも大きく、かつ、複数のシール部Sの縦方向XにおけるピッチD4の整数倍ではないことが好ましい。
なお、複数の弾性部材10の縦方向XにおけるピッチD5とは、縦方向Xに隣り合う弾性部材10において、各弾性部材10を縦方向Xに2等分する線間の縦方向Xにおける距離を意味する。
【0067】
これにより、弾性部材10とシール部Sの縦方向Xにおけるピッチが一致せず、これらの平面視における重なりを抑制できる。さらに、弾性部材10の縦方向XにおけるピッチD5がシール部Sの縦方向XにおけるピッチD4よりも大きいことで、シール部Sのピッチを狭くしてシール部Sを縦方向Xに密に配置することができ、サイド接合部8の剥がれを抑制することができる。加えて、弾性部材10の縦方向Xにおけるピッチがシール部Sの縦方向Xにおけるピッチの整数倍でないことで、これらの平面視における重なりを抑制でき、弾性部材10に起因するシール部Sの強度の低下を抑制することができる。したがって、シール部Sの強度を精度よく調整することができる。
【0068】
[外装体の構成例]
図9に示すように、外装体5は、複数の熱可塑性シート50として、例えば、外層シート51と、内層シート52と、を含むことが好ましい。外層シート51は、内層シート52よりも非肌側に配置され、外装体5の非肌対向面を形成する。内層シート52と外層シート51との間には、例えば、弾性部材10が配置されている。
本実施形態において、外装体5の少なくとも一部がウエスト開口端Waから肌側に折り返されることにより、外装体5が折り返し構造を有している。
図9に示す例では、外層シート51のみがウエスト端部8aから肌側に折り返されている。
なお、
図9の断面図では、説明のため、サイド接合部8の腹側領域5aと背側領域5bとを分離した状態で示している。
【0069】
本実施形態では、
図9に示すように、外装体5の折り返し構造に起因して、サイド接合部8が、熱可塑性シート50の積層数の異なる複数の領域を有している。
つまり、本実施形態において、サイド接合部8は、6以上の熱可塑性シート50が積層された第1積層部T1と、第1積層部T1よりも少ない数の熱可塑性シート50が積層された第2積層部T2と、を有する。本実施形態において、第1積層部T1は、外装体5が折り返された領域に相当し、ウエスト端部領域8cは、第1積層部T1に配置される。第1積層部T1は、熱可塑性シート50として、肌対向面を構成する第1肌側シートP1を含む。第2積層部T2は、熱可塑性シート50として、肌対向面を構成する第2肌側シートP2を含む。
【0070】
図9に示す例では、腹側領域5aの第1積層部T1は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、折り返された外層シート51と、の3層で構成される。背側領域5bの第1積層部T1も、同様の3層で構成される。これにより、第1積層部T1は、合計6層で構成される。第1積層部T1において、第1肌側シートP1は、折り返された外層シート51で構成される。
図9に示す例では、腹側領域5aの第2積層部T2は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、の2層で構成される。背側領域5bの第2積層部T2も、同様の2層で構成される。これにより、第2積層部T2は、合計4層で構成される。第2積層部T2において、第2肌側シートP2は、折り返されていない内層シート52で構成される。
【0071】
第1積層部T1は、第2積層部T2よりも熱可塑性シート50の積層数が多いため、熱可塑性樹脂の量も多くなる。このため、第1積層部T1は、第2積層部T2よりも熱融着する樹脂の量が多くなり、シール部Sのシール強度が高くなりやすい。
したがって、第1積層部T1と第2積層部T2のシール部Sのパターンを調整することで、第1積層部T1と第2積層部T2における接合強度を調整し、引き裂き安定性の向上を図ることができる。
【0072】
[第1積層部及び第2積層部におけるシール部の平面形状及び/又は配置の例]
サイド接合部8が第1積層部T1と第2積層部T2とを有する場合、さらにサイド接合部8は、横方向Yにおいてサイド接合部8の全幅にわたって延び、かつ、縦方向Xに隣接した第1シール領域R1及び第2シール領域R2を有することが好ましい。
図10(A),(B)及び
図11(A),(B)に例示するように、第1シール領域R1及び第2シール領域R2は、規則的な平面形状及び配置を有する複数のシール部Sをそれぞれ含む。第1シール領域R1及び第2シール領域R2では、複数のシール部Sの平面形状又は配置の少なくとも一方が異なる。
「複数のシール部Sが規則的な平面形状を有する」とは、領域内の全てのシール部Sが実質的に同一の平面形状を有すること、又は、複数のシール部Sが複数種の平面形状を有し、異なる平面形状のシール部Sが規則的に配置されていること、の少なくとも一方を意味する。
「複数のシール部Sが規則的な配置を有する」とは、縦方向X及び横方向Yにおけるシール部Sのピッチが実質的に同一であること、又は、規則的に変化するものであること、の少なくとも一方を意味する。
【0073】
第1シール領域R1及び第2シール領域R2は、それぞれ、一定のシールパターンを有する範囲とする。
図10~11に示す例では、第1シール領域R1は、縦方向Xにおいて、一方の端部(例えばウエスト端部8a)からシールパターンが変更される部分までとする。同様に、第2シール領域R2は、縦方向Xにおいて、他方の端部(例えばレッグ端部8b)からシールパターンが変更される部分までとする。第1シール領域R1及び第2シール領域R2の境界線Raは、これらの境界部において縦方向Xに隣り合うシール部S間の間隙を縦方向Xに2等分する線とする。シール列SLの配置等によって境界線Raが直線状にならない場合には、間隙を2等分する複数の線の端部間を結んだ屈曲線を境界線Raとする。
また、第1シール領域R1及び第2シール領域R2の幅でもあるサイド接合部8の全幅は、サイド接合部8の横方向Y外側の側縁から、サイド接合部8の最も横方向Y内側に位置するシール部Sの内端部Saまでの横方向Yにおける寸法とする。
【0074】
本実施形態において、第1積層部T1は、第1シール領域R1に少なくとも一部が配置される。第2積層部T2は、第2シール領域R2に少なくとも一部が配置される。例えば、第1シール領域R1は、外装体5が折り返されたウエスト端部8a側に位置し、第2シール領域R2は、レッグ端部8b側に位置する。
【0075】
第1積層部T1及び第2積層部T2の接合強度の差異を小さくする観点から、第1シール領域R1の全体の面積に対する複数のシール部Sの合計面積の割合は、第2シール領域R2の全体に対する複数のシール部Sの合計面積の割合よりも小さいことが好ましい。以下、各領域R1,R2の全体の面積に対する複数のシール部Sの合計面積の割合を、「シール面積率」とも称する。
この構成により、熱融着する樹脂の量が多い第1積層部T1のシール面積率を、第2積層部T2のシール面積率よりも小さくすることができる。したがって、第2積層部T2に対する第1積層部T1の接合強度の増加を抑制することができ、サイド接合部8の引き裂き安定性を高めることができる。
【0076】
また、第1シール領域R1及び第2シール領域R2の境界線Raは、製造上、第1積層部T1及び第2積層部T2の境界部からずれることが多い。この場合、
図10(A)及び
図11(A)に示すように、第1シール領域R1は、第1積層部T1から第2積層部T2の一部に延出していることが好ましい。つまり、シール面積率の小さい第1シール領域R1の一部が、シール強度の小さくなりやすい第2積層部T2に配置されていることが好ましい。
この構成では、第2積層部T2の境界部近傍に、シール強度のより小さい領域が配置される。これにより、第1積層部T1と第2積層部T2との間の接合強度が急に上がらず、積層数の変化に伴う廃棄者の違和感を抑制することができる。また、接合強度が一度下がることで、廃棄者が引き裂きの途中で手を休めることができ、廃棄者への引き裂きの負担を低減できる。したがって、サイド接合部8の引き裂き容易性をより効果的に高めることができる。
【0077】
(シール部の配置された領域の幅)
以下、第1シール領域R1及び第2シール領域R2のシール面積率の調整方法の具体例について説明する。なお、
図10及び
図11の各図においては、説明のため、
図3とサイド接合部8の縦横比を変えて記載している。
例えば、
図10(A)に示すように、第1シール領域R1における、最も横方向Y内側に配置されたシール部Sの横方向Y内側の内端部Saから、最も横方向Y外側に配置されたシール部Sの横方向Y外側の外端部Sbまでの寸法D6は、第2シール領域R2における、最も横方向Y内側に配置されたシール部Sの横方向Y内側の内端部Saから、最も横方向Y外側に配置されたシール部Sの横方向Y外側の外端部Sbまでの寸法D7よりも小さいことが好ましい。
この場合、寸法D6及びD7は、例えば、シール列SLの数、及び/又はシール部Sの横方向Yにおける寸法等によって調整できる。
【0078】
また例えば、
図10(A)及び
図11(A)に示すように、複数のシール列SLは、第1シール領域R1及び第2シール領域R2に配置されており、第1シール領域R1のシール列の数は、第2シール領域R2のシール列の数よりも少ないことが好ましい。
図10(A)及び
図11(A)では、例えば、第1シール領域R1に2つのシール列SLが配置され、第2シール領域R2に3つのシール列SLが配置されている。
これにより、シール列の数の少ない第1シール領域R1のシール面積率を、第2シール領域R2のシール面積率よりも小さくすることができる。
【0079】
別の例として、
図10(B)に示すように、第1シール領域R1の複数のシール部Sの平均面積は、第2シール領域R2の複数のシール部Sの平均面積よりも小さいことが好ましい。
これによっても、複数のシール部Sの平均面積の小さい第1シール領域R1のシール面積率を、第2シール領域R2のシール面積率よりも小さくすることができる。
【0080】
また例えば、
図11(A)に示すように、複数のシール列SLは、第1シール領域R1及び第2シール領域R2に配置されており、第1シール領域R1のシール部Sの横方向YにおけるピッチD8は、第2シール領域R2の複数のシール列SLの横方向YにおけるピッチD9よりも広いことが好ましい。
これにより、第1シール領域R1のシール部Sを第2シール領域R2のシール部Sよりも疎に配置することができ、第1シール領域R1のシール面積率を、第2シール領域R2のシール面積率よりも小さくすることができる。
【0081】
例えば、
図11(B)に示すように、第1シール領域R1の複数のシール列SLの縦方向XにおけるピッチD10は、第2シール領域R2の複数のシール列SLの縦方向XにおけるピッチD11よりも広いことが好ましい。
これによっても、第1シール領域R1のシール部Sを第2シール領域R2のシール部Sよりも疎に配置することができ、第1シール領域R1のシール面積率を、第2シール領域R2のシール面積率よりも小さくすることができる。
【0082】
[第1積層部及び第2積層部における肌側シートの構成例]
第1積層部T1と第2積層部T2における接合強度を調整し、引き裂き安定性の向上を図る観点からは、異なる構成の第1肌側シートP1及び第2肌側シートP2を採用してもよい。
【0083】
(肌側シートにおけるエンボス部の配置)
本実施形態において、第1肌側シートP1及び第2肌側シートP2は、それぞれ、複数のエンボスを含むスパンボンド不織布で構成されてもよい。
スパンボンド不織布のエンボスは、繊維が圧着されて融着した部分である。エンボスは、例えば、エンボス凸ロールとフラットロールなどによる熱圧着により間欠的に形成されたもの、超音波融着により形成されたもの、間欠的に熱風を加えて部分融着させて形成されたものなどが挙げられる。高い生産性と低い装置コストという観点から、エンボスは熱圧着により形成されたものが好ましい。
エンボスの平面形状は、円形状、楕円形状、多角形状、又はこれらに類似する形状等の任意の形状を採り得る。エンボスは、一定のパターンで形成されることが好ましいが、ランダムなパターンで形成されていてもよい。
エンボスでは、形成時の加熱処理及び/又は加工処理によって繊維が切れやすいため、シール部Sのエンボスと重なった場合、シール強度が低下し得る。
【0084】
そこで、第1肌側シートP1と第2肌側シートP2とで、エンボスの面積率、つまり所定の領域の総面積に対する当該領域のうち複数のエンボスが占める領域の合計面積の比率が相互に異なるスパンボンド不織布で構成することが好ましい。具体的に、第1肌側シートP1では第2肌側シートP2よりもエンボスの面積率が高いことが好ましい。
スパンボンド不織布におけるエンボスの面積率は、複数のエンボスを十分多く含む領域で測定され、例えば、スパンボンド不織布の20mm×20mmの正方形状の領域で測定することができる。各エンボスが占める領域は、繊維の熱融着が見られる一連の領域として認識することができる。なお、上記面積率の測定は、展開伸長状態で行うものとする。
【0085】
上述のように、エンボスと重なったシール部Sでは、シール強度が低下し得る。このため、積層数が多い第1積層部T1において、エンボスの面積率を高くすることにより、第1積層部T1においてシール部Sとエンボスとをより重なりやすくし、シール強度が高まることを抑制できる。これにより、第1積層部T1と第2積層部T2との間の接合強度の差を小さくすることができ、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させることができる。したがって、サイド接合部8の引き裂き安定性を高めることができる。
【0086】
第1肌側シートP1のエンボスの面積率は、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上であり、好ましくは20%以下、より好ましくは17%以下である。
第2肌側シートP2のエンボスの面積率は、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上であり、好ましくは17%以下、より好ましくは15%以下である。
【0087】
(肌側シートの融点)
他の例として、第1肌側シートP1の融点は、第2肌側シートP2の融点よりも高いことが好ましい。
融点の高い熱可塑性シート50は、融点の低い熱可塑性シート50と比較して、同一の条件のシール工程を実施した場合に熱融着しにくくなり、シール強度が低下しやすくなる。このため、積層数が多い第1積層部T1において、第1肌側シートP1の融点を高くすることにより、第1積層部T1のシール部Sのシール強度が高まることを抑制することができる。これにより、第1積層部T1と第2積層部T2との間の接合強度の差を小さくすることができ、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させることができる。したがって、サイド接合部8の引き裂き容易性を高めることができる。
【0088】
第1肌側シートP1の融点は、好ましくは125℃以上、より好ましくは155℃以上であり、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下である。
第2肌側シートP2の融点は、好ましくは123℃以上、より好ましくは125℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下である。
【0089】
(肌側シートの坪量)
他の例として、第1肌側シートP1の坪量は、第2肌側シートP2の坪量よりも低いことが好ましい。
坪量の高い熱可塑性シート50では、熱可塑性樹脂の量も多くなり、シール部Sのシール強度が高くなりやすい。このため、積層数が多い第1積層部T1において、第1肌側シートP1の坪量を低くすることにより、第1積層部T1のシール部Sのシール強度が高まることを抑制することができる。これにより、第1積層部T1と第2積層部T2との間の接合強度の差を小さくすることができ、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させることができる。したがって、サイド接合部8の引き裂き安定性を高めることができる。
【0090】
第1肌側シートP1の坪量は、好ましくは10g/m2以上、より好ましくは12g/m2以上であり、好ましくは30g/m2以下、より好ましくは25g/m2以下である。
第2肌側シートP2の坪量は、好ましくは12g/m2以上、より好ましくは14g/m2以上であり、好ましくは40g/m2以下、より好ましくは30g/m2以下である。
【0091】
<第2実施形態>
次に、他の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は対応する構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、各実施形態のパンツ型吸収性物品(パンツ型使い捨ておむつ)は、可能な範囲で、第1実施形態で説明した構成を適用することができる。
【0092】
第1実施形態では、複数のシール部Sは、縦方向X及び横方向Yに沿って並んだ格子状の配置であると説明したが、これに限定されない。
例えば、
図12に示すように、横方向Yに隣り合う2つのシール列SLにおいて、一方のシール列SLの複数のシール部Sは、他方のシール列SLの複数のシール部Sと縦方向Xにずれて配置されてもよい。
この構成においても、異なるシール列SLに属し横方向Yに隣り合う2つのシール部Sのうち、横方向Y内側に位置するシール部Sは、横方向Y外側に位置するシール部Sよりも、低いシール強度を有する。これにより、着用時及び着用動作時の剥がれの防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることができる。
【0093】
図12に示すように、引き裂き安定性を向上させる観点から、各シール列SLのシール部Sの縦方向Xにおけるピッチは、少なくともウエスト端部領域8c又はレッグ端部領域8dの少なくとも一方において一定であることが好ましい。この構成において、横方向Yに隣り合う2つのシール列SLでは、複数のシール部Sの縦方向Xにおけるピッチが同一であることが好ましい。さらに、一方のシール列SLのシール部Sと他方のシール列SLのシール部Sの縦方向Xにおけるずれは、当該ピッチの1/2であることがより好ましい。
【0094】
<第3実施形態>
上述の第1実施形態では、外装体5の折り返し構造として、外層シート51のみ折り返す構成について説明したが、これに限定されない。
本実施形態では、
図13に示すように、外層シート51及び内層シート52の双方が折り返されていてもよい。
【0095】
図13に示す例では、外層シート51及び内層シート52がウエスト開口端Waから肌側に折り返されている。折り返された領域の外層シート51及び内層シート52のレッグ側の端部は、縦方向Xにおいて略同一の位置に配置される。
【0096】
本実施形態のサイド接合部8を有するパンツ型吸収性物品においても、ウエスト端部領域8c又はレッグ端部領域8dの少なくとも一方では、異なるシール列SLに属し横方向Yに隣り合う2つのシール部Sのうち、横方向Y内側に位置するシール部Sは、横方向Y外側に位置するシール部Sよりも、低いシール強度を有する。これにより、着用時及び着用動作時の剥がれの防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることができる。
【0097】
また、第1実施形態と同様に、サイド接合部8は、第1肌側シートP1を含み6以上の熱可塑性シート50が積層された第1積層部T1と、第2肌側シートP2を含み第1積層部T1よりも少ない数の熱可塑性シート50が積層された第2積層部T2と、を有する。本実施形態においても、第1積層部T1は、外装体5が折り返された領域に相当する。
【0098】
図13に示す例では、腹側領域5aの第1積層部T1は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、折り返された内層シート52と、折り返された外層シート51と、の4層で構成される。背側領域5bの第1積層部T1も、同様の4層で構成される。これにより、第1積層部T1は、合計8層で構成される。第1積層部T1において、第1肌側シートP1は、折り返された外層シート51で構成される。
図13に示す例では、腹側領域5aの第2積層部T2は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、の2層で構成される。背側領域5bの第2積層部T2も、同様の2層で構成される。これにより、第2積層部T2は、合計4層で構成される。第2積層部T2において、第2肌側シートP2は、折り返されていない内層シート52で構成される。
【0099】
この構成においても、第1実施形態と同様に、第1シール領域R1の全体の面積に対する複数のシール部Sの合計面積の割合を、第2シール領域R2の全体の面積に対する複数のシール部Sの合計面積の割合よりも小さくすることが好ましい。また、第1肌側シートP1及び第2肌側シートP2を、第1実施形態の「第1積層部及び第2積層部における肌側シートの構成例」の項で説明した構成とすることができる。これらにより、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させることができる。
【0100】
<第4実施形態>
折り返し構造を有する外装体5の構成は、上述の例に限定されない。例えば、外層シート51の折り返された領域の端部である折り返し端部51aと、内層シート52の折り返された領域の端部である折り返し端部52aの位置が縦方向Xにおいて異なっていてもよい。
図14に示す例では、内層シート52の折り返し端部52aが、外層シート51の折り返し端部51aよりも縦方向Xにおいてウエスト側に位置している。
図14に示す例において、ウエスト端部領域8cでは、外層シート51及び内層シート52の双方が折り返されている。
【0101】
本実施形態のサイド接合部8を有するパンツ型吸収性物品においても、ウエスト端部領域8c又はレッグ端部領域8dの少なくとも一方では、異なるシール列SLに属し横方向Yに隣り合う2つのシール部Sのうち、横方向Y内側に位置するシール部Sは、横方向Y外側に位置するシール部Sよりも、低いシール強度を有する。これにより、着用時及び着用動作時の剥がれの防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることができる。
【0102】
また、本実施形態でも、サイド接合部8は、第1肌側シートP1を含む6以上の熱可塑性シート50が積層された第1積層部T1と、第2肌側シートP2を含む第1積層部T1よりも少ない数の熱可塑性シート50が積層された第2積層部T2と、を有する。この例において、第1積層部T1は、外装体5が折り返された領域に相当する。
さらに、本実施形態では、第1積層部T1が、熱可塑性シート50の積層数の異なる領域を含む。つまり、第1積層部T1は、第2積層部T2に隣接し第2積層部T2よりも多い数の熱可塑性シート50が積層されたレッグ側積層部T12と、レッグ側積層部T12よりも多い数の熱可塑性シート50が積層されたウエスト側積層部T11と、を含む。例えばウエスト端部領域8cは、ウエスト側積層部T11に含まれる。
【0103】
図14に示す例では、腹側領域5aのウエスト側積層部T11は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、折り返された内層シート52と、折り返された外層シート51と、の4層で構成される。背側領域5bのウエスト側積層部T11も、同様の4層で構成される。これにより、ウエスト側積層部T11は、合計8層で構成される。
また、腹側領域5aのレッグ側積層部T12は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、折り返された外層シート51と、の3層で構成される。背側領域5bのレッグ側積層部T12も、同様の3層で構成される。これにより、レッグ側積層部T12は、合計6層で構成される。
また、ウエスト側積層部T11及びレッグ側積層部T12のいずれも、第1肌側シートP1は、折り返された外層シート51で構成される。
図14に示す例では、腹側領域5aの第2積層部T2は、折り返されていない外層シート51と、折り返されていない内層シート52と、の2層で構成される。背側領域5bの第2積層部T2も、同様の2層で構成される。これにより、第2積層部T2は、合計4層で構成される。第2積層部T2において、第2肌側シートP2は、折り返されていない内層シート52で構成される。
【0104】
この構成においても、第1実施形態と同様に、第1シール領域R1の全体の面積に対する複数のシール部Sの合計面積の割合を、第2シール領域R2の全体の面積に対する複数のシール部Sの合計面積の割合よりも小さくすることが好ましい。さらに、第1シール領域R1においては、ウエスト側積層部T11の全体の面積に対する複数のシール部Sの合計面積の割合を、レッグ側積層部T12の全体の面積に対する複数のシール部Sの合計面積の割合よりも小さくすることが好ましい。
また、第1肌側シートP1及び第2肌側シートP2を、第1実施形態の「第1積層部及び第2積層部における肌側シートの構成例」の項で説明した構成とすることができる。これらにより、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させることができる。
【0105】
<第5実施形態>
本発明のパンツ型吸収性物品は、外装体5が折り返し構造を有していなくてもよい。
本実施形態では、
図15に示すように、外層シート51及び内層シート52の双方が折り返されておらず、これらのシートの端部がウエスト開口端Waに一致していてもよい。
つまり、この例では、外装体5は、全体が同一の積層数で構成され、例えば、腹側領域5a及び背側領域5bがそれぞれ外層シート51と内層シート52の2層で構成される。つまり、サイド接合部8の全体において、内層シート52が、肌対向面を構成する肌側シートPとなる。
【0106】
本実施形態のサイド接合部8を有するパンツ型吸収性物品においても、ウエスト端部領域8c又はレッグ端部領域8dの少なくとも一方では、異なるシール列SLに属し横方向Yに隣り合う2つのシール部Sのうち、横方向Y内側に位置するシール部Sは、横方向Y外側に位置するシール部Sよりも、低いシール強度を有する。これにより、着用時及び着用動作時の剥がれの防止と、廃棄時の引き裂き容易性とを両立させることができる。
【0107】
また、本実施形態では、肌側シートPは、サイド接合部8全体における接合強度をより安定化させる観点から、サイド接合部8全体において同一の不織布で構成されることが好ましい。
例えば、肌側シートPは、複数のエンボスを含むスパンボンド不織布で構成されることが好ましく、サイド接合部8の全体において、エンボス間の距離が実質的に一定であることが好ましい。なお、「エンボス間の距離が実質的に一定」とは、10箇所以上のエンボス間の最短距離を比較した場合に、最も小さい距離を100%とした場合に、最も大きい距離が110%以下に収まっていることを意味する。
例えば、本実施形態では、肌側シートPの融点は、サイド接合部8全体において、実質的に一定であることが好ましい。「肌側シートPの融点は、サイド接合部8全体において、実質的に一定」とは、サイド接合部8における10箇所以上の肌側シートPの融点を比較した場合に、最も低い融点を100%とした場合に、最も高い融点が110%以下に収まっていることを意味する。
例えば、本実施形態では、肌側シートPの坪量は、サイド接合部8全体において、実質的に一定であることが好ましい。「肌側シートPの坪量は、サイド接合部8全体において、実質的に一定」とは、サイド接合部8における10箇所以上の肌側シートPの坪量を比較した場合に、最も低い坪量を100%とした場合に、最も高い坪量が110%以下に収まっていることを意味する。
【0108】
<第6実施形態>
第1実施形態では、シール列SLがウエスト端部領域8cに配置される場合について説明したが、
図16に示すように、シール列SLは、レッグ端部領域8dに配置されてもよい。これにより、着用者が臥位であって、廃棄者がレッグ端部8bからサイド接合部8を引き裂く場合でも、上述の引き裂き容易性を実現することができる。
【0109】
あるいは、
図17に示すように、シール列SLは、ウエスト端部8aから縦方向Xに25mm以内のウエスト端部領域8cと、レッグ端部8bから縦方向Xに25mm以内のレッグ端部領域8dとを合わせた領域であってもよい。これにより、廃棄者がウエスト端部8a又はレッグ端部8bのいずれからサイド接合部8を引き裂く場合でも、上述の引き裂き容易性を実現することができる。
【0110】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0111】
本発明においては、少なくとも、隣り合う2つのシール部Sにおけるシール強度の関係が上記関係を満たせばよいため、1つのシール列SLの全てのシール部Sのシール強度が、その横方向Y外側に位置するシール列SLの全てのシール部Sのシール強度より低くなっていなくてもよい。
【0112】
上述の実施形態では、一対のサイド接合部8が同様の構成を有すると説明したが、一方のサイド接合部8のみが上述の複数のシール列SLを含む構成を有していてもよい。
【0113】
例えば、上述の実施形態では、外装体5が、腹側領域5aと、背側領域5bと、股下領域5cと、を有すると説明したが、これに限定されない。例えば、外装体5は、股下領域を有さず、腹側領域と背側領域とが分割された構成を有していてもよい。
【0114】
本発明に係るパンツ型吸収性物品は、乳幼児用の使い捨ておむつでなくてもよく、例えば、大人用や子供用の使い捨ておむつであってもよい。さらに、本発明に係るパンツ型吸収性物品は、下半身に着用するタイプの吸収性物品であれば、使い捨ておむつでなくてもよい。このようなパンツ型吸収性物品としては、例えば、パンツ型の生理用ナプキンなどが挙げられる。
【0115】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のパンツ型吸収性物品を開示する。
<1>
着用者の腹側から股間部を通って背側に延びる縦方向と、前記縦方向に対応する横方向と、を備え、かつ、
吸収性本体と、前記吸収性本体の非肌対向面側に配置され、前記縦方向の両側に位置する腹側領域及び背側領域を含み、複数の熱可塑性シートが積層されて構成された外装体と、前記外装体の前記腹側領域と前記背側領域とを前記横方向の側縁部において接合する一対のサイド接合部と、を備えるパンツ型吸収性物品であって、
前記一対のサイド接合部は、
前記縦方向におけるウエスト側の端部であるウエスト端部から前記縦方向に25mm以内のウエスト端部領域と、
前記縦方向におけるレッグ側の端部であるレッグ端部から前記縦方向に25mm以内のレッグ端部領域と、をそれぞれ有し、
前記一対のサイド接合部の少なくとも一方は、
前記縦方向に沿って離間して整列した複数のシール部でそれぞれ構成され、前記横方向に沿って前記ウエスト端部領域又は前記レッグ端部領域の少なくとも一方に配列された複数のシール列をさらに有し、
異なるシール列に属し前記横方向に隣り合う2つのシール部のうち、前記横方向内側に位置するシール部は、前記横方向外側に位置するシール部よりも、低いシール強度を有する
パンツ型吸収性物品。
<2>
異なるシール列に属し前記横方向に隣り合う2つのシール部のうち、前記横方向内側に位置するシール部は、前記横方向外側に位置するシール部よりも、繊維の溶融度合いが低い
<1>に記載のパンツ型吸収性物品。
<3>
異なるシール列に属し前記横方向に隣り合う2つのシール部のうち、前記横方向内側に位置するシール部は、前記横方向外側に位置するシール部よりも、厚く構成される
<1>又は<2>に記載のパンツ型吸収性物品。
<4>
異なるシール列に属し前記横方向に隣り合う2つのシール部のうち、前記横方向内側に位置するシール部は、前記横方向外側に位置するシール部よりも、小さな面積を有する
<1>から<3>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<5>
前記横方向において最も外側に位置するシール列を外側シール列、前記外側シール列と前記横方向内側に隣り合うシール列を内側シール列とした場合に、
前記外側シール列の前記シール部の前記横方向外側の外端部と、前記内側シール列の前記シール部の前記横方向内側の内端部との間の前記横方向における距離は、第1寸法であり、
前記外側シール列では、前記複数のシール部が前記縦方向に前記第1寸法よりも小さい第2寸法の間隔をあけて配置されている
<1>から<4>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<6>
前記複数のシール列に含まれる複数のシール部は、前記横方向に沿って整列している
<1>から<5>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<7>
前記複数のシール列を含む前記ウエスト端部領域又は前記レッグ端部領域の少なくとも一方を、前記縦方向に10mm、前記横方向に前記サイド接合部の全幅を含む長さの長方形状に切り出して測定用サンプルを形成し、前記測定用サンプルを前記横方向内側から外側に向かって10mm/minの速さで剥離させてシール強度を測定した場合、
前記複数のシール列に対応するピーク強度間の最小強度が、0Nよりも大きくなる
<1>から<6>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<8> 前記ウエスト端部領域又は前記レッグ端部領域の少なくとも一方には、前記複数のシール列として3以上のシール列が配置されており、
前記3以上のシール列を含む前記ウエスト端部領域又は前記レッグ端部領域の少なくとも一方のシール強度を測定した場合に、前記3以上のシール列にそれぞれ対応する3以上のピーク強度が測定され、
前記3以上のピーク強度間の最小強度は、前記横方向内側から外側に向かって測定される順に増加する
<7>に記載のパンツ型吸収性物品。
<9>
前記横方向において最も外側に位置するシール列を外側シール列、前記外側シール列と前記横方向内側に隣り合うシール列を内側シール列とした場合に、
前記外側シール列の前記シール部と、前記内側シール列の前記シール部との前記横方向における間隔に対する、前記内側シール列の前記シール部の前記横方向における寸法の比率は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上である
<1>から<8>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<10>
前記横方向に隣り合う前記シール列の前記シール部の間隔は、前記横方向内側から外側に向かって、減少するように構成される
<1>から<9>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<11>
前記複数のシール列の前記横方向におけるピッチは、4mm以上である
<1>から<10>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<12>
前記複数のシール部の前記縦方向におけるピッチは、1.5mm以上5.0mm以下である
<1>から<11>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<13>
前記腹側領域及び前記背側領域は、それぞれ、
前記横方向に延びる複数の弾性部材が配置され、前記一対のサイド接合部の一方から他方まで前記横方向に延びる第1伸縮領域及び第2伸縮領域を有し、
前記第1伸縮領域は、前記ウエスト端部領域から前記横方向に延び、
前記第2伸縮領域は、前記第1伸縮領域と前記縦方向に隣接し、前記サイド接合部の前記ウエスト端部領域を除く領域から前記横方向に延び、
前記第1伸縮領域における前記複数の弾性部材の平均伸張率は、前記第2伸縮領域における前記複数の弾性部材の平均伸張率よりも低い
<1>から<12>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<14>
前記腹側領域及び前記背側領域は、それぞれ、前記一対のサイド接合部の一方から他方まで前記横方向に延びる複数の弾性部材を有し、
前記サイド接合部における前記複数の弾性部材の前記縦方向におけるピッチは、前記複数のシール部の前記縦方向におけるピッチよりも大きく、かつ、前記複数のシール部の前記縦方向におけるピッチの整数倍ではない
<1>から<13>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<15>
前記サイド接合部は、
規則的な平面形状及び配置を有する複数のシール部をそれぞれ含み、前記横方向において前記サイド接合部の全幅にわたって延び、かつ、前記縦方向に隣接した第1シール領域及び第2シール領域と、
6以上の前記熱可塑性シートが積層され、前記第1シール領域に少なくとも一部が配置された第1積層部と、
前記第1積層部よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層され、前記第2シール領域に少なくとも一部が配置された第2積層部と、を有し、
前記第1シール領域及び前記第2シール領域では、前記複数のシール部の平面形状又は配置の少なくとも一方が異なり、
前記第1シール領域の全体の面積に対する、前記第1シール領域に含まれる複数のシール部の合計面積の割合は、前記第2シール領域の全体の面積に対する、前記第2シール領域に含まれる複数のシール部の合計面積の割合よりも小さい
<1>から<14>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<16>
前記第1シール領域における、最も前記横方向内側に配置された前記シール部の前記横方向内側の内端部から、最も前記横方向外側に配置された前記シール部の前記横方向外側の前記外端部までの寸法は、前記第2シール領域における、最も前記横方向内側に配置された前記シール部の前記横方向内側の内端部から、最も前記横方向外側に配置された前記シール部の前記横方向外側の外端部までの寸法よりも小さい
<15>に記載のパンツ型吸収性物品。
<17>
前記複数のシール列は、前記第1シール領域及び前記第2シール領域に配置されており、
前記第1シール領域のシール列の数は、前記第2シール領域のシール列の数よりも少ない
<15>又は<16>に記載のパンツ型吸収性物品。
<18>
前記第1シール領域の前記複数のシール部の平均面積は、前記第2シール領域の前記複数のシール部の平均面積よりも小さい
<15>から<17>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<19> 前記第1シール領域の前記シール部の前記横方向におけるピッチは、前記第2シール領域の前記シール部の前記横方向におけるピッチよりも広い
<15>から<18>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<20>
前記第1シール領域の前記シール部の前記縦方向におけるピッチは、前記第2シール領域の前記シール部の前記縦方向におけるピッチよりも広い
<15>から<19>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<21>
前記第1シール領域は、前記第1積層部から前記第2積層部の一部に延出している
<15>から<20>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<22>
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層部と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層部よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層部と、をさらに有し、
前記第1肌側シートと、前記第2肌側シートとが、それぞれ、複数のエンボスを含むスパンボンド不織布で構成され、
前記第1肌側シートにおける前記エンボスの面積率は、前記第2肌側シートにおける前記エンボスの面積率よりも高い
<1>から<21>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<23>
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層部と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層部よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層部と、を有し、
前記第1肌側シートの融点は、前記第2肌側シートの融点よりも高い
<1>から<22>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
<24>
前記サイド接合部は、
肌対向面を構成する第1肌側シートを含む6以上の前記熱可塑性シートが積層された第1積層部と、
肌対向面を構成する第2肌側シートを含む、前記第1積層部よりも少ない数の前記熱可塑性シートが積層された第2積層部と、を有し、
前記第1肌側シートの坪量は、前記第2肌側シートの坪量よりも低い
<1>から<23>のいずれか一つに記載のパンツ型吸収性物品。
【符号の説明】
【0116】
1…パンツ型吸収性物品(使い捨ておむつ、おむつ)
4…吸収性本体
5…外装体
5a…腹側領域
5b…背側領域
50…熱可塑性シート
8…サイド接合部
8a…ウエスト端部
8b…レッグ端部
8c…ウエスト端部領域
8d…レッグ端部領域
S…シール部
SL…シール列