(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】半芳香族ポリエステル、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
C08G 63/00 20060101AFI20231218BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20231218BHJP
C08G 18/65 20060101ALI20231218BHJP
C08G 18/73 20060101ALI20231218BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20231218BHJP
【FI】
C08G63/00
C08G18/42 008
C08G18/65 011
C08G18/73
C08L101/16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021212901
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】202011615724.9
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521568328
【氏名又は名称】ジャンスー・キンファ・サイ・アンド・テック・アドバンスト・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU KINGFA SCI. & TECH. ADVANCED MATERIALS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,チュアンホイ
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,シャンボ
(72)【発明者】
【氏名】イェ,ナンビャオ
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,シャンビン
(72)【発明者】
【氏名】ルゥ,チャンリ
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,トンミン
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-527263(JP,A)
【文献】特表平10-508640(JP,A)
【文献】米国特許第06018004(US,A)
【文献】特開2006-176783(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0142536(US,A1)
【文献】特表2011-516709(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0039999(US,A1)
【文献】特開2002-171846(JP,A)
【文献】特開2014-095037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0299385(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00
C08G 18/42
C08G 18/65
C08G 18/73
C08L 101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の成分Aの総モル量に対して、
a1)C4~C12の脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル誘導体40~60mol%と、
a2)テレフタル酸又はそのエステル誘導体40~60mol%と、
a3)スルホン酸エステル基含有ジカルボン酸又はこれから形成される誘導体のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であるスルホン酸エステル基含有化合物0~5mol%と
からなる第1の成分Aと、
少なくとも第1の成分Aと同モル量の第2の成分B:ブチレングリコール又はプロピレングリコールと、
第1の成分Aの総モル量に対して、
c1)グリセリン、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパン0.01~5mol%
である第3の成分Cと
から形成される誘導体を含む半芳香族ポリエステルであって、
前記半芳香族ポリエステルにおいて、
400MHzの
1HNMRにより計算した結果、第2の成分B及びa2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長は1.8
6~2.2
4であり、且つ、カルボキシル基含有量は
22~
39mmol/kgである、ことを特徴とする半芳香族ポリエステル。
【請求項2】
カルボキシル基含有量は
22~35mmol/kgである、請求項1に記載の半芳香族ポリエステル。
【請求項3】
第1の成分A中のa2のモル含有量が45~50mol%である、ことを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリエステル。
【請求項4】
前記第3の成分Cのモル量が、第1の成分Aの総モル量に対して0.01~4mol%である、ことを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリエステル。
【請求項5】
前記第3の成分Cは、グリセリンを含んでなる、ことを特徴とする請求項1又は4に記載の半芳香族ポリエステル。
【請求項6】
第4の成分Dをさらに含み、前記第4の成分Dは鎖延長剤であり、第4の成分Dのモル量は、第1の成分Aの総モル量に対して0.01~5mol%である、ことを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリエステル。
【請求項7】
前記鎖延長剤は、2以上の官能基を有するイソシアネート、イソシアヌレート、過酸化物、エポキシド、オキサゾリン、オキサジン、カルボジイミド、ポリカルボジイミドから選ばれる1種又は2種以上の混合物である、ことを特徴とする請求項6に記載の半芳香族ポリエステル。
【請求項8】
a1)C4~C12の脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル誘導体と、
a2)テレフタル酸又はそのエステル誘導体と
を含む第1の成分Aと、
第2の成分B:ブチレングリコール又はプロピレングリコールと、
第3の成分C:グリセリン、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパンと、
第4の成分D:ヘキサメチレンジイソシアネート、エポキシド、オキサゾリン又はカルボジイミドと
で形成される誘導体を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリエステル。
【請求項9】
GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が150~350ml/gである、ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の半芳香族ポリエステル。
【請求項10】
第1の成分Aのa1、第2の成分B及び第3の成分Cをエステル化反応器にて常温で物理的に混合しながら、第1の成分Aのa2、第2の成分B及び第3の成分Cを、一部の触媒の作用により他のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、混合物をそれぞれ150~280℃に加熱して1~2時間エステル化反応させ、エステル化生成物Ba1及びBa2をそれぞれ得るステップS1と、
ステップS1で得られた2種のエステル化生成物Ba1及びBa2を混合して、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が20~60ml/gとなるまで、230~270℃の反応温度で、残りの触媒の作用により一次重縮合反応を行うステップS2と、
ステップS2で得られた一次重縮合反応生成物を最終重合釜内に移送し、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が150~350ml/gとなり、反応生成物中の第2の成分B及びa2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長が1.8
6~2.2
4であり、前記反応生成物中のカルボキシル基含有量が
22~
39mmol/kgであるまで、220~270℃の温度で連続的に重縮合反応させ、半芳香族ポリエステルを得るステップS3と
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項11】
芳香族ポリエステル樹脂に、第1の成分Aのa1とa3、第2の成分B及び第3の成分Cを加えて常温で物理的に混合した後、150~180℃でエステル交換反応させてエステル化生成物を得るステップS1と、
エステル化生成物に触媒を加え、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が20~60ml/gとなるまで、反応温度230~270℃で一次重縮合反応を行うステップS2と、
ステップS2で得られた一次重縮合反応生成物を最終重合釜内に移送し、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/オルト-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が150~350ml/gとなり、反応生成物中の第2の成分B及
びa2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長が1.8
6~2.2
4であり、前記反応生成物中のカルボキシル基含有量が
22~
39mmol/kgであるまで220~270℃の温度で連続的に重縮合反応させ、半芳香族ポリエステルを得るステップS3と
を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項12】
S3において、連続重縮合反応中に第4の成分Dを加え、二軸押出機を用いて反応押出を行う、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の半芳香族ポリエステルの製造方法。
【請求項13】
重量百分率で、
請求項1~9のいずれか1項に記載の半芳香族ポリエステル5~95wt%と、
添加剤及び/又は他のポリマー5~95wt%と、
補強材及び/又は充填材0~70wt%と
を含む、ことを特徴とする半芳香族ポリエステル成形用組成物。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか1項に記載の半芳香族ポリエステルの堆肥化可能な製品の製造における使用であって、
前記堆肥化可能な製品は繊維、フィルム又は容器である、ことを特徴とする使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性ポリエステルの分野に関し、具体的には、特定のセグメント長を有する半芳香族ポリエステル、その製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、工業や日常生活に広く利用されている熱可塑性芳香族ポリエステルは、優れた熱安定性と機械的特性を有し、加工が容易で安価である。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)は、繊維、フィルムや容器の製造に広く使用されている。しかし、これらの芳香族ポリエステルは廃棄後の分解が困難であり、PET、PBTなどの芳香族ポリエステルに対する微生物による明らかな直接分解は今まで見つからなかった。芳香族ポリエステルの優れた特性を組み合わせるために、1980年代以降、当業者は脂肪族ポリエステルに芳香族セグメントを導入した脂肪族-芳香族コポリエステルの合成研究に取り組み、それにより、このコポリエステルが芳香族ポリエステルの優れた特性を有することを確保するとともに、このコポリエステルの生分解性を確保する。
【0003】
生分解性脂肪族-芳香族コポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体から製造することができる。このコポリエステルはドイツBASF社製のEcoflexに代表されるもので、原料は1,6-アジピン酸(AA)、1,4-ブチレングリコール(BDO)、テレフタル酸である。その重合プロセスは中国特許CN102007159Aで開示されており、主に4つのステップを含む:i)第1のステップにおいて、二酸とジオールを全部混合した後、触媒の全部又は一部と共に連続的にエステル化又はエステル交換を行う。ii)第2のステップにおいて、i)で得られたエステル交換体又はエステル化生成物を、DIN 53728に準じた固有粘度が20~70cm3/gとなるまで連続的に予備縮合させる。iii)第3のステップにおいて、ii)で得られた生成物を、DIN 53728に準じた固有粘度が60~170cm3/gとなるまで連続的に重縮合させる。及びiv)第4のステップにおいて、iii)で得られた生成物を、鎖成長剤を用いて重付加反応により、DIN 53728に準じた固有粘度が150~320cm3/gとなるまで連続的に反応させる。この方法で得られたポリエステルは、溶融体積流量(MVR)が低く加工性に優れ、かつ酸価が非常に低く、その結果耐加水分解性が良好である。
【0004】
中国国内では王暁慧ら(王暁慧 脂肪族-芳香族共ポリエステル合成新技術及び特性研究 博士研究生学位論文、北京化工大学、2011.)は、テレフタル酸(PTA)、アジピン酸(AA)、1,4-ブチレングリコール(BG)を基本原料とし、溶融重縮合法を用いて新規な触媒を開発することにより、生分解性脂肪-芳香族コポリエステルであるポリ(ポリブチレンアジペートテレフタレート)(PBAT)コポリエステルを製造する。
【0005】
しかし、現在の技術による半芳香族ポリエステルの特性の研究はまだ深く行われておらず、分解速度と機械的特性を良好に両立させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】中国特許出願公開第111440400号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】王暁慧 脂肪族-芳香族共ポリエステル合成新技術及び特性研究 博士研究生学位論文、北京化工大学、2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、特定のセグメント長とカルボキシル基含有量を有することで、分解速度と機械的特性を両立させることができる半芳香族ポリエステルを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、前記半芳香族ポリエステルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、次の技術的解決手段によって達成される。
半芳香族ポリエステルは、
総モル量に対して、
a1)脂肪族ジカルボン酸若しくはそのエステル誘導体又はその無水物誘導体の少なくとも1種40~60mol%と、
a2)芳香族ジカルボン酸若しくはそのエステル誘導体又はその無水物誘導体の少なくとも1種40~60mol%と、
a3)スルホン酸エステル基含有化合物0~5mol%と
を含む第1の成分Aと、
少なくとも第1の成分Aと同モル量の第2の成分B:炭素数2~12のジオールと、
第1の成分Aの総モル量に対して、
c1)ヒドロキシを少なくとも3つ含有する化合物0~5mol%と、
c2)エーテル官能基を含有するジヒドロキシ化合物0~5mol%と、
c3)ヒドロキシカルボン酸又はその環状誘導体0~25mol%と、
c4)炭素数2~12のアミノアルカノール又は炭素数2~12のアミノシクロアルカノール0~25mol%と、
c5)炭素数1~12のジアミン0~25mol%と、
c6)アミノカルボン酸化合物0~15mol%と
から選ばれる1種又は2種以上である第3の成分Cと
を含む成分で形成される誘導体を含み、
成分c1)~c6)の少なくとも1種が0でなく、成分c1)~c6)のモル比の和が100%であり、
前記半芳香族ポリエステルにおいて、1HNMRにより計算した結果、第2の成分B及びa2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長は1.85~2.25であり、且つ、カルボキシル基含有量は5~60mmol/kgである。
【0011】
Ba2は、第2の成分Bと第1の成分Aのa2)とのエステル化反応により得られるエステル化生成物であり、Ba2平均セグメント長は、半芳香族ポリエステル中の芳香族ポリエステルのセグメント長である。ポリエステルを合成する際に、原料モノマーの構造や比率の違い、製造プロセスなどの多くの要素の影響により、最終的に製造されたポリエステルの分子構造に大きな違いがある。本発明では、研究したところ、Ba2の平均セグメント長が半芳香族ポリエステルの機械的特性及び分解速度と密接に関連していることが明らかになった。Ba2の平均セグメント長が長すぎるため、分解速度が遅く、分解しにくくなり、Ba2の平均セグメント長が短すぎると、分解速度が速すぎる。
【0012】
カルボキシル基含有量も分解性ポリエステルの非常に重要な指標であり、分解性ポリエステルの熱安定性とシェルフライフに顕著な影響を与える。シェルフライフとは、分解性ポリエステルが生産された後、又は製品が得られた後、その各特性が基本的に安定した状態を維持する時間を指し、カルボキシル基含有量が高いほど、分解性ポリエステルの特性の低下速度が速い。反応時間の長さや触媒添加の制御が不合理であると、カルボキシル基の含有量が異なる。
【0013】
本発明では、Ba2平均セグメント長を1.85~2.25、カルボキシル基含有量を5~60mmol/kgの範囲に制御することにより、得られる半芳香族ポリエステルの分解速度と機械的特性を両立させることができ、30日間の重量保持率を45~70%に制御できることを意外に発見した。
【0014】
本発明のさらに別の好適な技術的解決手段として、前記繰り返し単位Ba2の平均セグメント長は1.87~2.0であることが好ましく、カルボキシル基含有量は10~35mmol/kgであることが好ましい。本発明では、繰り返し単位Ba2の平均セグメント長及び半芳香族ポリエステルのカルボキシル基含有量をこの好ましい範囲に制御し、30日間の重量保持率を50~60%とすることができる。
【0015】
好ましくは、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/オルト-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で、前記半芳香族ポリエステルについて測定された粘度数が150~350ml/gである。
【0016】
テレフタル酸の含有量は半芳香族ポリエステルの分解性にも大きな影響を与え、テレフタル酸の含有量が高いほど、ポリエステルの分解速度が小さくなり、テレフタル酸の含有量が60mol%を超えると、ポリエステルの分解速度が小さくなる。好ましくは、前記a2のモル量は、第1の成分Aの総モル量の45~50mol%である。
【0017】
本発明では、a1の前記脂肪族ジカルボン酸は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、通常は2~40個の炭素原子を含むものであり、より好ましくは2~30個の炭素原子を含むものであり、より好ましくは4~14個の炭素原子を含むものである。また、本発明の前記脂肪族ジカルボン酸は、脂環式ジカルボン酸であってもよく、通常は7~10個の炭素原子を含むものであり、特に好ましくは8個の炭素原子を含むものである。
【0018】
特定の選択例として、前記脂肪族ジカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、アジピン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、フマル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、スベリン酸、ダイマー脂肪酸(Cognis社製のEmpol1061など)、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、及び2,5-ノルボルナンジカルボン酸であってもよい。
【0019】
また、上記脂肪族ジカルボン酸から形成されるエステル誘導体もa1に該当し、好ましくは、前記脂肪族ジカルボン酸のエステル誘導体は、脂肪族ジカルボン酸から形成されるジアルキルエステルから選ばれる。前記ジアルキルエステルは、例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジn-プロピルエステル、ジイソプロピルエステル、ジn-ブチルエステル、ジイソブチルエステル、ジt-ブチルエステル、ジn-アミルエステル、ジイソアミルエステル又はジn-ヘキシルエステルから選ばれる。
【0020】
また、上記脂肪族ジカルボン酸から形成される酸無水物誘導体もa1に該当する。
【0021】
本発明に係る脂肪族ジカルボン酸若しくはそのエステル誘導体又はその無水物誘導体は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0022】
より好ましくは、前記脂肪族ジカルボン酸若しくはそのエステル誘導体又はその酸無水物誘導体は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリデカン二酸、及びそれらから形成されるエステル誘導体又は酸無水物誘導体から選ばれ、より好ましくは、コハク酸、アジピン酸又はセバシン酸及びそれらのエステル誘導体又は無水物誘導体から選ばれる。最も好ましくは、アジピン酸又はそれから形成されるエステル誘導体、例えばそのアルキルエステル誘導体又はそれらの混合物を用いる。
【0023】
前記コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸及びトリデカン二酸は、再生原料の形態として入手できるという利点も有する。
【0024】
「硬い」又は「脆い」成分、例えば、ポリヒドロキシブチレート、特にポリクロライド等を有するポリマー混合物を製造する際に、セバシン酸又はセバシン酸とアジピン酸との混合物が脂肪族ジカルボン酸として好適に使用される。「柔らかい」又は「丈夫な」成分、例えばポリヒドロキシブチレート-コ-ペンタン酸エステル又はポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレートを有するポリマー混合物を製造する際に、コハク酸又はコハク酸とアジピン酸との混合物が脂肪族ジカルボン酸として好適に使用される。
【0025】
本発明において、a2の前記芳香族ジカルボン酸は、8~20個の炭素数を有することが好ましく、8~12であることがより好ましい。具体的な選択例としては、前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフトエ酸、1,5-ナフトエ酸及びそれらから形成されるエステル誘導体から選ばれる。好ましくは、前記芳香族ジカルボン酸のエステル誘導体は、芳香族ジカルボン酸から形成されるジアルキルエステル誘導体から選ばれる。前記ジアルキルエステル誘導体は、例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジn-プロピルエステル、ジイソプロピルエステル、ジn-ブチルエステル、ジイソブチルエステル、ジ-t-ブチルエステル、ジn-アミルエステル、ジイソアミルエステル、又はジn-ヘキシルエステルである。
【0026】
本発明に係る芳香族ジカルボン酸若しくはそのエステル誘導体又はその無水物誘導体は、単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。最も好ましくは、前記芳香族ジカルボン酸又はそのエステル誘導体は、テレフタル酸又はテレフタル酸から形成されるエステル誘導体から選ばれるものであり、例えばテレフタル酸ジメチルである。
【0027】
本発明では、a3の前記スルホン酸エステル基含有化合物は、好ましくは、スルホン酸エステル基含有ジカルボン酸又はこれから形成される誘導体のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれかである。好ましくは、5-スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩又はその混合物であり、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0028】
好ましくは、第2の成分Bは、分岐状又は直鎖状のアルカンジオールであってもよく、炭素数が2~12であることが好ましく、炭素数が4~6であることがより好ましい。
【0029】
具体的には、前記ジオールは、好ましくは、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,4-ジメチル-2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,2-シクロペンタンジオール、1,3-シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール又は2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオールから選ばれる。より好ましくは、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、シクロペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブチレングリコールである。
【0030】
最も好ましくは、第1の成分Aのa1がアジピン酸である場合、第2の成分Bとして1,4-ブチレングリコールとの組み合わせを用いる。第1の成分Aのa1がセバシン酸である場合、第2の成分として1,3-プロパンジオールとの組み合わせを用いる。1,3-プロパンジオールは、バイオベースの原料としての利点も有する。
【0031】
異なるジオールの混合物を用いることもできる。
【0032】
前記第3の成分Cを加えることにより、半芳香族ポリエステルに分岐構造を付与してその流動性を向上させ、第3の成分Cを加えると、半芳香族ポリエステルの粘度数(溶融粘度)が低下する。
【0033】
前記第3の成分Cにおいて、前記ヒドロキシを少なくとも3つ以上有する化合物(c1)は、3~6つのヒドロキシを有するものであることが好ましい。酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ポリエーテルトリオール又はグリセリンから選ばれることが好ましく、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はグリセリンがより好ましい。
【0034】
前記第3の成分Cにおいて、前記エーテル官能基含有ジヒドロキシ化合物(c2)は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)から選ばれることが好ましく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びポリエチレングリコールがより好ましい。エーテル官能基を有する複数の異なるジヒドロキシ化合物の混合物を使用してもよいし、プロピレン単位を含むポリエチレングリコールを使用してもよい。前記ポリエチレングリコールのモル質量(Mn)は、通常250~8000g/molの範囲であり、好ましくは600~3000g/molの範囲である。
【0035】
前記第3の成分Cにおいて、前記ヒドロキシカルボン酸又はその環状誘導体(c3)は、グリコール酸、D-乳酸、L-乳酸又はD,L-乳酸、6-ヒドロキシヘキサン酸、グリコリド(1,4-ジオキサシクロヘキサン-2,5-ジオン)、D-又はL-ジクロライド(3,6-ジメチル-1,4-ジオキサシクロヘキサン-2,5-ジオン)、p-ヒドロキシ安息香酸、又は上記化合物のオリゴマー及びポリマー、例えば3-ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシペンタン酸、ポリクロライド(例えばNatureWorks(Cargill)の形で得られるポリクロライド)、又は3-ポリヒドロキシ酪酸及びポリヒドロキシペンタン酸(後者はZenecaがBiopolで得ることができる)の混合物から選ばれることが好ましい。
【0036】
前記第3の成分Cにおいて、前記炭素数2~12のアミノアルカノール、又は炭素数2~12のアミノシクロアルカノール(c4)は、アミノ-C2~C6アルカノール又はアミノ-C5~C6シクロアルカノールから選ばれることが好ましく、具体的には、2-アミノエタノール、3-アミノプロパノール、4-アミノブタノール、5-アミノペンタノール、6-アミノヘキサノール、4-アミノメチルシクロヘキサンメタノール等であってもよく、より好ましくは、アミノシクロペンタノール及び/又はアミノシクロヘキサノールである。
【0037】
前記第3の成分Cにおいて、前記炭素数1~12のジアミン(c5)は、好ましくは、ジアミノ-C4~C6アルカン、例えば1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン又は1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン「HMD」)である。
【0038】
前記第3の成分Cにおいて、前記アミノカルボン酸化合物(c6)は、好ましくは、カプロラクタム、1,6-アミノカプロン酸、ドデラクタム、1,12-アミノドデカン酸又は1,11-アミノウンデカン酸のアミノカルボン酸である。
【0039】
好ましくは、前記第3の成分Cのモル量は、第1の成分Aの総モル量に対して0.01~4mol%である。
【0040】
好ましくは、前記第3の成分Cは、グリセリン、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパンである。
【0041】
好ましくは、前記半芳香族ポリエステルは、第4の成分Dをさらに含み、前記第4の成分Dは鎖延長剤である。
【0042】
前記鎖延長剤は、2以上の官能基を有するイソシアネート、イソシアヌレート、過酸化物、エポキシド、オキサゾリン、オキサジン、ラクタム、カルボジイミド、又はポリカルボジイミドのうちの1種又は2種以上の混合物である。
【0043】
2以上の官能基を有するイソシアネートは、芳香族イソシアネート又は脂肪族イソシアネートであってもよく、好ましくは芳香族ジイソシアネート又は脂肪族ジイソシアネートである。好ましくは、前記芳香族ジイソシアネートは、トルエン2,4-ジイソシアネート、トルエン2,6-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、ナフタレン1,5-ジイソシアネート又はキシリレンジイソシアネートである。
【0044】
より好ましくは、前記芳香族ジイソシアネートは、ジフェニルメタン2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-ジイソシアネート又はジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネートである。
【0045】
前記2以上の官能基を有するイソシアネートは、3つの環を有するトリス(4-イソシアナト-フェニル)メタンであってもよい。
【0046】
好ましくは、前記脂肪族ジイソシアネートは、炭素数2~20の直鎖又は分岐鎖のいずれかのアルキレンジイソシアネート又はシクロアルキレンジイソシアネートであることが好ましい。炭素数3~12のものであることがより好ましい。前記脂肪族ジイソシアネートは、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、又はメチレンジ(4-イソシアネトシクロヘキサン)であってもよい。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートが最も好ましい。
【0047】
好ましくは、前記2以上の官能基を有するイソシアヌレートは、イソホロンジイソシアネート又はメチレンジ(4-イソシアネトシクロヘキサン)のような、炭素数2~20、好ましくは炭素数3~12のアルキレンジイソシアネート又はシクロアルキレンジイソシアネートに由来する脂肪族イソシアヌレートであることが好ましい。前記アルキレンジイソシアネートは、直鎖又は分岐鎖の化合物であってもよい。特に好ましくは、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートなどのn-ヘキサメチレンジイソシアネートの環状3量体、5量体以上のオリゴマーに基づくイソシアヌレートである。
【0048】
好ましくは、前記2以上の官能基を有する過酸化物は、ベンゾイルペルオキシド、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)メチルシクロドデカン、4,4-ジ(ブチルペルオキシ)吉草酸n-ブチル、ジクミルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ安息香酸エステル、ジブチルペルオキシド、α,α-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、及びtert-ブチルクメンペルオキシドであることが好ましい。
【0049】
好ましくは、前記2以上の官能基を有するエポキシドは、ハイドロキノン、ジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及び水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、フタル酸ジメチルジグリシジル、フェニレンジグリシジルエーテル、エチリデンジグリシジルエーテル、トリメチレンジグリシジルエーテル、テトラメチレンジグリシジルエーテル、ヘキサメチレンジグリシジルエーテル、ソルビタンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、及びポリブチレングリコールジグリシジルエーテルであることが好ましい。
【0050】
前記2以上の官能基を有するエポキシドは、スチレン、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルに基づく、エポキシ基を含むコポリマーであることが好ましく、前記エポキシ基は、グリシジル(メタ)アクリレートであることが好ましい。有利な化合物は、コポリマー中のグリシジルメタクリレートの割合が20wt%を超え、より好ましくは30wt%を超え、より好ましくは50wt%を超えるコポリマーであることが実証されている。これらのポリマー中、エポキシ当量は、好ましくは150~3000g/当量であり、より好ましくは200~500g/当量である。ポリマーの重量平均分子量Mwは、2000~25000であることが好ましく、3000~8000であることがより好ましい。ポリマーの数平均分子量Mnは、400~6000であることが好ましく、1000~4000であることがより好ましい。多分散性指数(Q=Mw/Mn)は1.5~5であることが好ましい。
【0051】
前記2以上の官能基を有するオキサゾリン、オキサジンは、好ましくはジオキサゾリン又はジオキサジンであり、その架橋部分は単結合、(CH2)z-アルキレン基であり、ここでz=2、3又は4であり、例えばメチレン基、エチレン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基若しくはプロパン-1,2-ジイル基、又はフェニレン基である。具体的には、前記ジオキサゾリンは、2,2’-ジ(2-オキサゾリン)、ジ(2-オキサゾリニル)メタン、1,2-ジ(2-オキサゾリニル)エタン、1,3-ジ(2-オキサゾリニル)プロパン又は1,4-ジ(2-オキサゾリニル)ブタン、2,2’-ジ(2-オキサゾリン)、2,2’-ジ(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’--ジ(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ジ(4-エチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ジ(4,4’-ジエチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ジ(4-プロピル-2-オキサゾリン)、2,2’-ジ(4-ブチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ジ(4-ヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2’-ジ(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-ジ(4-シクロヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2’-ジ(4-フェニルメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンジ(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンジ(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンジ(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンジ(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ヘキサメチレンジ(2-オキサゾリン)、2,2’-オクタメチレンジ(2-オキサゾリン)、2,2’-デカメチレンジ(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレンジ(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-テトラキスメチレンジ(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-9,9’-ジフェノキシエタンジ(2-オキサゾリン)、2,2’-シクロヘキシレンジ(2-オキサゾリン)及び2,2’-ジフェニレン(2-オキサゾリン)である。
【0052】
より好ましくは、1,4-ジ(2-オキサゾリニル)ベンゼン、1,2-ジ(2-オキサゾリニル)ベンゼン又は1,3-ジ(2-オキサゾリニル)ベンゼンである。
【0053】
具体的には、ジオキサジンは、2,2’-ジ(2-ジオキサジン)、ジ(2-ジオキサジニル)メタン、1,2-ジ(2-ジオキサジニル)エタン、1,3-ジ(2-ジオキサジニル)プロパン、1,4-ジ(2-ジオキサジニル)ブタン、1,4-ジ(2-ジオキサジニル)ベンゼン、1,2-ジ(2-ジオキサジニル)ベンゼン又は1,3-ジ(2-ジオキサジニル)ベンゼンである。
【0054】
前記カルボジイミド又はポリカルボジイミドは、N,N’-ジ-2,6-ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-o-トリルカルボジイミド、N,N’-ジフェニルカルボジイミド、N,N’-ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,6-ジメチルフェニルカルボジイミド、N-トリル-N’-シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,6-ジ-tert-ブチルフェニルカルボジイミド、N-トリル-N’-フェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-アミノフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-トリルカルボジイミド、p-フェニレンビスジ-o-トリルカルボジイミド、p-フェニレンビスジシクロヘキシルカルボジイミド、ヘキサメチレンビスジシクロヘキシルカルボジイミド、4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、エチレンビスジフェニルカルボジイミド、N,N’-フェニルメチル-カルボジイミド、N-オクタデシル-N’-フェニルカルボジイミド、N-ベンジル-N’-フェニルカルボジイミド、N-オクタデシル-N’-トリルカルボジイミド、N-シクロヘキシル-N’-トリルカルボジイミド、N-フェニル-N’-トリルカルボジイミド、N-ベンジル-N’-トリルカルボジイミド、N,N’-ジ-o-エチルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-エチルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-o-イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-o-イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-p-イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,6-ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-2-エチル-6-イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-2-イソブチル-6-イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,4,6-トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,4,6-トリイソブチルフェニルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,4,6-トリイソブチルフェニルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t-ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジ-β-ナフチルカルボジイミド、及びジ-t-ブチルカルボジイミドである。
【0055】
好ましくは、前記第4の成分Dの添加量は、第1の成分Aの総モル量に対して0.01~5mol%である。
【0056】
本発明のさらに好ましい技術的解決手段として、前記半芳香族ポリエステルは、
a1)C4~C12の脂肪族ジカルボン酸又はそのエステルと、
a2)テレフタル酸又はそのエステルとを含む第1の成分Aと、
第2の成分B:ブチレングリコール又はプロピレングリコールと、
第3の成分C:グリセリン、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパンと、
第4の成分D:ヘキサメチレンジイソシアネート、エポキシド、オキサゾリン又はカルボジイミドと
を含む、成分で形成される誘導体を含む。
【0057】
最も好ましい技術的解決手段として、前記半芳香族ポリエステルは、
a1)コハク酸、アジピン酸又はセバシン酸並びにそれらのエステル又はそれらの混合物と、
a2)テレフタル酸又はそのエステルとを含む第1の成分Aと、
第2の成分B:1,4-ブチレングリコール又は1,3-プロパンジオールと、
第3の成分C:グリセリン、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパンと、
第4の成分D:ヘキサメチレンジイソシアネートと
から形成される誘導体を含む。
【0058】
本発明は、
第1の成分Aのa1、第2の成分B及び第3の成分Cをエステル化反応器にて常温で物理的に混合しながら、第1の成分Aのa2、第2の成分B及び第3の成分Cを、一部の触媒の作用により他のエステル化反応器にて常温で物理的に混合し、必要に応じて、第1の成分のa3をそれぞれ加えた後、混合物をそれぞれ150~280℃に加熱して1~2時間エステル化反応させ、エステル化生成物Ba1及びBa2をそれぞれ得るステップS1と、
ステップS1で得られた2種のエステル化生成物Ba1及びBa2を混合して、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が20~60ml/gとなるまで、230~270℃の反応温度で、残りの触媒の作用により一次重縮合反応を行うステップS2と、
ステップS2で得られた一次重縮合反応生成物を最終重合釜内に移送し、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が150~350ml/gとなり、反応生成物中の第2の成分B及びa2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長が1.85~2.25であり、前記反応生成物中のカルボキシル基含有量が5~60mmol/kgであるまで、220~270℃の温度で連続的に重縮合反応させ、半芳香族ポリエステルを得るステップS3と
を含む、前記半芳香族ポリエステルの製造方法を提供する。
【0059】
好ましくは、S1において、Ba2エステル化生成物を製造する際に、最終半芳香族ポリエステル重量に対して0.001~1%の触媒を加える。好ましくは、前記触媒の添加量は0.02~0.2%である。触媒の添加量を制御することにより、後続の処理ステップをより安定させることができる。さらに、前記触媒は、スズ化合物、アンチモン化合物、コバルト化合物、鉛化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物又はチタン化合物であってもよく、より好ましくは亜鉛化合物、アルミニウム化合物又はチタン化合物であり、最も好ましくはチタン化合物である。オルトチタン酸テトラブチルやオルトチタン酸テトライソプロピルなどのチタン化合物は、他の化合物と比較して、製品中又は下流の製品中に残留する残留量の毒性が小さいという利点がある。この性質は、生分解性ポリエステルが堆肥袋やカバーフィルムの形で環境中に直接入り込むため、特に重要である。
【0060】
S2において、必要に応じて、残量の触媒をステップS2で添加してもよい。S2において、反応温度が240~260℃であることがより好ましい。S2において、開始時の圧力を通常0.1~0.5bar、好ましくは0.2~0.4barとし、S2終了時の圧力を通常5~100mbar、より好ましくは5~20mbarとする。S2において、一般的な反応時間は1~5時間であり、通常、この反応時間後、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が20~60ml/gのプレポリエステルを製造することができる。一方、S2反応後のプレポリエステルのカルボキシル基含有量は一般に10~60mmol/kgである。
【0061】
S3の連続重縮合反応ステップにおいて、必要に応じて、不動態化剤をプレポリエステルに混合してもよい。使用可能な不動態化剤は、通常リンの化合物であり、リン酸、亜リン酸及びそれらのエステルを含む。系に高活性のチタン触媒を使用した場合、通常S3で不動態化剤が添加される。
【0062】
S3において、連続重縮合の反応温度が230~250℃であることが好ましい。S3において、開始時の圧力を通常0.2~5mbar、より好ましくは0.5~3mbarとする。連続重縮合の反応時間は30~90分であることが好ましく、40~80分であることがより好ましい。GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された粘度数は100~350ml/gとなりうる。一方、S3反応後の半芳香族ポリエステルのカルボキシル基含有量は、一般的に5~60mmol/kg、より好ましくは10~35mmol/kgであり、第2の成分B及びa2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長さが1.85~2.25である。
【0063】
本発明は、
芳香族ポリエステル樹脂に、第1の成分Aのa1とa3、第2の成分B及び第3の成分Cを加えて常温で物理的に混合した後、150~180℃でエステル交換反応させてエステル化生成物を得るステップS1と、
エステル化生成物に触媒を加え、反応温度230~270℃で、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が20~60ml/gとなるまで一次重縮合反応を行うステップS2と、
ステップS2で得られた一次重縮合反応生成物を最終重合釜内に移送し、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/オルト-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が150~350ml/gとなり、反応生成物中の第2の成分B及び第2の成分a2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長が1.85~2.25であり、前記反応生成物中のカルボキシル基含有量が5~60mmol/kgであるまで220~270℃の温度で連続的に重縮合反応させ、半芳香族ポリエステルを得るステップS3と
を含む前記半芳香族ポリエステルの製造方法をさらに提供する。
【0064】
好ましくは、第4の成分Dを加える必要がある場合、連続重縮合反応中に第4の成分Dを加え、二軸押出機を用いて反応押出する。
【0065】
本発明は、また、繊維、フィルム又は容器などであってもよい堆肥化可能な分解可能な製品の製造における前記半芳香族ポリエステルの使用を提供する。
【0066】
本発明は、また、重量比で
前記半芳香族ポリエステル5~95wt%と、
添加剤及び/又は他のポリマー5~95wt%と、
補強材及び/又は充填材0~70wt%と
を含む半芳香族ポリエステル成形用組成物を提供する。
【0067】
特定の選択として、前記添加剤及び/又は他のポリマーは、脂肪族ポリエステル、ポリカプロラクトン、デンプン、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート及びポリ乳酸から選ばれる少なくとも1種以上の成分であってもよい。
【0068】
好ましくは、成形用組成物中の前記添加剤及び/又は他のポリマーの添加量は20~80wt%である。
【発明の効果】
【0069】
先行技術と比較して、本発明は以下のような有益な効果を有する。
本発明は、特定のセグメント長とカルボキシル基含有量を有することで、従来の半芳香族ポリエステルと比較して、分解速度と機械的特性を両立させることができる半芳香族ポリエステルを提供する。本発明により得られる半芳香族ポリエステルの30日間の重量保持率を45~70%とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0070】
特に断らない限り、本発明に使用する原料、試薬及び溶剤は、何の処理もせずに商業的に購入されたものである。以下、実施例を参照して本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明の実施形態は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の精神的本質と原理から逸脱していない他のいかなる変更、修飾、代替、組み合わせ、簡略化も、すべて等価な置換形態であり、本発明の保護範囲に含まれるものとする。なお、本明細書における「部」、「%」については、特に断らない限り、それぞれ「質量部」、「質量%」を示す。
【0071】
テスト方法:
半芳香族ポリエステルの粘度数:
GB/T 17931-1999に準じて、重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05oCの恒温水浴中で測定し、試料濃度は5mg/mlであった。
【0072】
カルボキシル基含有量:
まず、1998年10月のDIN EN 12634から酸価AN(mg KOH/g)を決定し、次に、カルボキシル基含有量(mmol/kg)=AN/56×103を決定した。使用される溶剤混合物は、DMSO 1体積部、プロパン-2-オール8体積部、トルエン7体積部を含む。半芳香族ポリエステルサンプルを50℃に加熱し、回路として単棒電極を用い、塩化カリウムを充填した。使用する標準溶液は水酸化テトラメチルアンモニウムであった。
【0073】
Ba2の平均セグメント長:
Bruker社AV 400型核磁気共鳴スペクトロメータを用いて、重水素化クロロホルム(CDCl3)を溶媒、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として測定した。測定結果は王暁慧博士の学位論文32-34ページの方法を参考に分析計算してBa2セグメントの長さのデータを得た(王暁慧 脂肪族-芳香族コポリエステル合成新技術及び特性研究博士の学位論文,北京化工大学,2011.)。
【0074】
30日間の重量保持率:
半芳香族ポリエステルの生分解実験は19277 GB/T-2003を参照してテストした。まず、半芳香族ポリエステル試料を厚さ0.10mmのサンプルにして、2.0cm×1.2cmのサンプルに裁断して、このときのサンプルの重量をa0と記す。次に、サンプルを堆肥土壌に埋めてインキュベータに入れ、堆肥土壌は、56~70日間の曝気とふるい分けを経た都市ごみ堆肥であり、実験温度は(58±2)℃に維持されており、堆肥サンプルは30日後に取り出し、洗浄・乾燥して秤量し、このときのサンプル重量をa1と記す。この場合、30日間の重量保持率=a1/a0×100%である。30日間の重量保持率が高いほど、材料の劣化が難しくなり、30日間の重量保持率が低いほど、材料の劣化速度が速くなることを示す。
【0075】
フィルムの延伸性:
半芳香族ポリエステルを25±1μmのフィルムにし、ISO 527規格でテストした。
【0076】
本発明の全ての実施例及び比較例において、ポリエステルの合成過程にブチレングリコールの供給量は過剰であり、最終ポリマー中のアルコールのモル含有量は二酸モル含有量の合計に等しく、以下の表で定義されるのは最終樹脂中のアルコールのモル含有量である。
【0077】
実施例1:
S1.テレフタル酸437kg/h、ブチレングリコール323kg/h、グリセリン0.538kg/h、及びオルトチタン酸テトラブチル0.506kg/hを第1のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、240℃、0.45barで60~120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba2を得た。アジピン酸437kg/h、ブチレングリコール367kg/h、及びグリセリン0.612kg/hを第2のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、180℃、1.0barで120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba1を得た。
【0078】
S2.エステル化生成物Ba1とエステル化生成物Ba2をスタティックミキサーに通した後、縦型撹拌全混合反応器に入れ、260℃に加熱した。この反応器にオルトチタン酸テトラブチル0.276kg/hを加え、圧力を100mbarまで低下させ、過剰のブチレングリコールの大部分を蒸留除去した。反応時間は60分間であった。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された粘度数24ml/gに達した。
【0079】
S3.反応混合物に亜リン酸0.23kg/hを加えながら、反応混合物を最終重合反応釜内に移送し、温度260℃、圧力4mbarで60~100分間重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを留去した。得られたポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)9.2kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表1に示し、特性結果を表14に示す。
【0080】
【0081】
実施例2:
S1.テレフタル酸437kg/h、ブチレングリコール323kg/h、グリセリン0.538kg/h、及びオルトチタン酸テトラブチル0.506kg/hを第1のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、240℃、0.45barで60~120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba2を得た。セバシン酸525kg/h、ブチレングリコール367kg/h、及びグリセリン0.612kg/hを第2のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、180℃、1.0barで120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba1を得た。
【0082】
S2.エステル化生成物Ba1とエステル化生成物Ba2をスタティックミキサーに通した後、縦型撹拌全混合反応器に入れ、260℃に加熱した。この反応器にオルトチタン酸テトラブチル0.276kg/hを加え、圧力を100mbarまで低下させ、過剰のブチレングリコールの大部分を蒸留除去した。反応時間は60分間であった。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された粘度数26ml/gに達した。
【0083】
S3.反応混合物に亜リン酸0.23kg/hを加えながら、反応混合物を最終重合反応釜内に移送し、温度260℃、圧力4mbarで60~100分間重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを留去した。得られたポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)9.2kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表2に示し、特性結果を表14に示す。
【0084】
【0085】
実施例3:
S1.テレフタル酸437kg/h、プロピレングリコール272kg/h、グリセリン0.538kg/h、及びオルトチタン酸テトラブチル0.506kg/hを第1のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、240℃、0.45barで60~120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba2を得た。アジピン酸425kg/h、プロピレングリコール301kg/h、及びグリセリン0.612kg/hを第2のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、180℃、1.0barで120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba1を得た。
【0086】
S2.エステル化生成物Ba1とエステル化生成物Ba2をスタティックミキサーに通した後、縦型撹拌全混合反応器に入れ、260℃に加熱した。この反応器にオルトチタン酸テトラブチル0.276kg/hを加え、圧力を100mbarまで低下させ、過剰のブチレングリコールの大部分を蒸留除去した。反応時間は60分間であった。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された粘度数28ml/gに達した。
【0087】
S3.反応混合物に亜リン酸0.23kg/hを加えながら、反応混合物を最終重合反応釜内に移送し、温度260℃、圧力4mbarで60~100分間重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを留去した。得られたポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)9.2kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表3に示し、特性結果を表14に示す。
【0088】
【0089】
実施例4:
S1.テレフタル酸437kg/h、ブチレングリコール377kg/h、グリセリン0.538kg/h、及びオルトチタン酸テトラブチル0.506kg/hを第1のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、240℃、0.45barで60~120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba2を得た。アジピン酸437kg/h、ブチレングリコール313kg/h、及びグリセリン0.612kg/hを第2のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、180℃、1.0barで120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba1を得た。
【0090】
S2.エステル化生成物Ba1とエステル化生成物Ba2をスタティックミキサーに通した後、縦型撹拌全混合反応器に入れ、260℃に加熱した。この反応器にオルトチタン酸テトラブチル0.276kg/hを加え、圧力を100mbarまで低下させ、過剰のブチレングリコールの大部分を蒸留除去した。反応時間は60分間であった。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された粘度数30ml/gに達した。
【0091】
S3.反応混合物に亜リン酸0.23kg/hを加えながら、反応混合物を最終重合反応釜内に移送し、温度260℃、圧力4mbarで60~100分間重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを留去した。得られたポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)9.2kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表4に示し、特性結果を表14に示す。
【0092】
【0093】
実施例5:
S1.PBT樹脂(L08XM、固有粘度0.85dL/g、江蘇和時利新材料株式会社)578kg/h、アジピン酸437kg/h、ブチレングリコール312kg/h、グリセリン0.612kg/h、及びオルトチタン酸テトラブチル0.506kg/hをエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、180℃、1.0barで120分間反応させ、生成物E2を得た。
【0094】
S2.エステル化生成物E2を縦型撹拌全混合反応器に移し、260℃に加熱した。この反応器にオルトチタン酸テトラブチル0.276kg/hを加え、圧力を100mbarまで低下させて180分間恒温反応させ、過剰のブチレングリコールの大部分を蒸留除去した。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された粘度数35ml/gに達した。
【0095】
S3.反応混合物に亜リン酸0.23kg/hを加えながら、反応混合物を最終重合反応釜内に移送し、温度260℃、圧力4mbarで60~100分間重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを留去した。得られたポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)9.2kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表5に示し、特性結果を表14に示す。
【0096】
【0097】
実施例6:
S1.テレフタル酸437kg/h、ブチレングリコール323kg/h、グリセリン0.538kg/h、及びオルトチタン酸テトラブチル0.506kg/hを第1のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、240℃、0.45barで60~120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba2を得た。アジピン酸437kg/h、ブチレングリコール367kg/h、及びグリセリン0.612kg/hを第2のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、180℃、1.0barで120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba1を得た。
【0098】
S2.エステル化生成物Ba1とエステル化生成物Ba2をスタティックミキサーに通した後、縦型撹拌全混合反応器に入れ、260℃に加熱した。この反応器にオルトチタン酸テトラブチル0.276kg/hを加え、圧力を100mbarまで低下させ、過剰のブチレングリコールの大部分を蒸留除去した。反応時間は120分間であった。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された粘度数32ml/gに達した。
【0099】
S3.反応混合物に亜リン酸0.23kg/hを加えながら、反応混合物を最終重合反応釜内に移送し、温度260℃、圧力4mbarで60~100分間重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを留去した。上記ポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)9.2kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。15分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表6に示し、特性結果を表14に示す。
【0100】
【0101】
実施例7:
S1.テレフタル酸608kg/h、ブチレングリコール449kg/h、グリセリン0.748kg/h、及びオルトチタン酸テトラブチル0.653kg/hを第1のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、240℃、0.45barで60~120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba2を得た。アジピン酸437kg/h、ブチレングリコール366kg/h、及びグリセリン0.612kg/hを第2のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、180℃、1.0barで120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba1を得た。
【0102】
S2.エステル化生成物Ba1とエステル化生成物Ba2とをスタティックミキサーに通した後、縦型撹拌全混合反応器に入れ、260℃に加熱した。この反応器にオルトチタン酸テトラブチル0.267kg/hを加え、圧力を100mbarまで低下させ、過剰のブチレングリコールの大部分を留去した。反応時間は60分間であった。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数27ml/gに達した。
【0103】
S3.反応混合物に0.27kg/hの亜リン酸を加えながら、反応混合物を最終重合釜内に移送し、温度260℃、圧力4mbarで60~100分間再重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを留去した。得られたポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)10.9kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表7に示し、特性結果を表14に示す。
【0104】
【0105】
比較例1:
S1.テレフタル酸437kg/h、ブチレングリコール323kg/h、グリセリン0.538kg/h、及びオルトチタン酸テトラブチル0.782kg/hを第1のエステル化反応器にて常温で物理的に混合し、240℃、0.45barで60~120分間エステル化反応してエステル化生成物Ba2を得た。アジピン酸437kg/h、ブチレングリコール367kg/h、及びグリセリン0.612kg/hを第2のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、180℃、1.0barで120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba1を得た。
【0106】
S2.エステル化生成物Ba1とエステル化生成物Ba2とをスタティックミキサーに通した後、縦型撹拌全混合反応器に入れ、260℃に加熱した。その後、圧力を100mbarまで低下させ、過剰のブチレングリコールの大部分を留去した。反応時間は60分間であった。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/オルトジクロロベンゼン溶液中で25±0.05℃の恒温水浴中で測定された粘度数20ml/gに達した。
【0107】
S3.反応混合物に0.23kg/hの亜リン酸を加えながら、反応混合物を最終重合釜内に移送し、温度260℃、圧力4mbarで60~100分間再重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを留去した。得られたポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)9.2kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表8に示し、特性結果を表14に示す。
【0108】
【0109】
比較例2:
S1.テレフタル酸437kg/h、ブチレングリコール690kg/h、アジピン酸437kg/h、グリセリン1.15kg/h、及びオルトチタン酸テトラブチル0.506kg/hをエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、240oC、0.45barで60~120分間エステル化反応させてエステル化生成物Fを得た。
【0110】
S2.エステル化生成物Fを縦型撹拌全混合反応器に注入し、260℃に加熱した。この反応器にオルトチタン酸テトラブチル0.276kg/hを加え、圧力を100mbarまで低下させ、過剰のブチレングリコールの大部分を蒸留除去した。反応時間は60分間であった。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された粘度数26ml/gに達した。
【0111】
S3.反応混合物に亜リン酸0.23kg/hを加えた後、反応混合物を最終重合反応釜内に移送し、260℃の温度、4mbarの圧力で60~100分間重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを蒸留除去した。上記ポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)9.2kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表9に示し、特性結果を表14に示す。
【0112】
【0113】
比較例3:
テレフタル酸874g、ブチレングリコール1380g、アジピン酸874g、グリセリン2.3g、及びオルトチタン酸テトラブチル1.012gをステンレス鋼5Lの反応釜にて常温で物理的に混合した後、この混合物を240℃でエステル化反応させながら、水を蒸発させ、当該反応で生成した水が理論出水量に達したときにエステル化反応が終了したものとみなした。その後、反応系にオルトチタン酸テトラブチル0.552gと亜リン酸0.46gを加え、段階的に減圧した後、最終反応温度を270~275℃、圧力を100Pa未満とし、撹拌電力の増加値に基づいて重縮合反応の終点を判定した。その後、窒素ガスを用いて反応系を常圧に戻し、水冷してペレットに切断すると、ポリエステル製品を得た。原料組成を表10に示し、特性結果を表14に示す。
【0114】
【0115】
比較例4:
テレフタル酸874g、ブチレングリコール1380g、アジピン酸874g、プロピレントリオール2.3g、及びオルトチタン酸テトラブチル1.012gをステンレス鋼5Lの反応釜にて常温で物理的に混合した後、この混合物を240℃でエステル化反応させながら、水を蒸発させ、当該反応で生成した水が理論出水量に達したときにエステル化反応が終了したものとみなした。その後、反応系にオルトチタン酸テトラブチル0.552gと亜リン酸0.46gを加え、段階的に減圧した後、最終反応温度を270~275℃、圧力を100Pa未満とし、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)18.4gを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間後、窒素ガスを用いて反応系を常圧に戻し、水冷してペレットに切断すると、ポリエステル製品を得た。原料組成を表11に示し、特性結果を表14に示す。
【0116】
【0117】
比較例5:
S1.テレフタル酸793kg/h、ブチレングリコール585kg/h、グリセリン0.978kg/h、及びテトラブチルオルトチタン酸エステル0.753kg/hを第1のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、240℃、0.45barで60~120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba1を得た。アジピン酸437kg/h、ブチレングリコール366kg/h、及びグリセリン0.612kg/hを第2のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、180℃、1.0barで120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba2を得た。
【0118】
S2.エステル化生成物Ba1とエステル化生成物Ba2とをスタティックミキサーに通した後、縦型撹拌全混合反応器に入れ、260℃に加熱した。この反応器にオルトチタン酸テトラブチル0.327kg/hを加え、圧力を100mbarまで低下させ、過剰のブチレングリコールの大部分を留去した。反応時間は60分間であった。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数29 ml/gに達した。
【0119】
S3.反応混合物に0.32kg/hの亜リン酸を加えながら、反応混合物を最終重合釜内に移送し、温度260℃、圧力4mbarで60~100分間再重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを留去した。得られたポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)12.7kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表12に示し、特性結果を表14に示す。
【0120】
【0121】
比較例6:
S1.テレフタル酸295kg/h、ブチレングリコール218kg/h、グリセリン0.363kg/h、及びオルトチタン酸テトラブチル0.426kg/hを第1のエステル化反応器にて常温で物理的に混合し、240℃、0.45barで60~120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba1を得た。アジピン酸437kg/h、ブチレングリコール366kg/h、及びグリセリン0.612kg/hを第2のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、180℃、1.0barで120分間エステル化反応させてエステル化生成物Ba2を得た。
【0122】
S2.エステル化生成物Ba1とエステル化生成物Ba2とをスタティックミキサーに通した後、縦型撹拌全混合反応器に入れ、260℃に加熱した。この反応器にオルトチタン酸テトラブチル0.237kg/hを加え、圧力を100mbarまで低下させ、過剰のブチレングリコールの大部分を留去した。反応時間は60分間であった。この時点で反応生成物はGB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数31 ml/gに達した。
【0123】
S3.反応混合物に0.19kg/hの亜リン酸を加えながら、反応混合物を最終重合釜内に移送し、温度260℃、圧力4mbarで60~100分間再重縮合させ、残存する過剰のブチレングリコールを留去した。得られたポリエステルを二軸押出機に導入しながら、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)7.8kg/hを計量して加え、温度を240℃に設定した。5分間の滞留時間の後、水中造粒機を用いてポリエステルを造粒し、次いで乾燥して最終ポリエステル製品を得た。原料組成を表13に示し、特性結果を表14に示す。
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
表14の結果から分かるように、本発明では、Ba2平均セグメント長を1.85~2.25、カルボキシル基含有量を5~60mmol/kgの範囲に制御することにより、得られる半芳香族ポリエステルの分解速度と機械的特性を両立させることができ、本発明で得られた半芳香族ポリエステルは、30日間の重量保持率を45~70%、より好ましくは50~60%に制御することができる。また、フィルムの縦方向又は横方向の引張強度を30MPa以上に維持することができる。
【0128】
実施例及び比較例1~4の結果から、原料が同じであっても、製造プロセスが異なると、製造したBa2の平均セグメント長及びカルボキシル基含有量は本発明の範囲には入らず、得られる半芳香族ポリエステルの分解速度と機械的特性を両立させることができないことが分かった。
【0129】
比較例5では、Ba2の平均セグメント長が長すぎることにより、材料の分解速度が遅すぎて、分解しにくくなり、比較例6では、Ba2の平均セグメント長が短すぎることにより、材料の分解速度が速すぎる。
本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕総モル量に対して、
a1)脂肪族ジカルボン酸若しくはそのエステル誘導体又はその無水物誘導体の少なくとも1種40~60mol%と、
a2)芳香族ジカルボン酸若しくはそのエステル誘導体又はその無水物誘導体の少なくとも1種40~60mol%と、
a3)スルホン酸エステル基含有化合物0~5mol%と
を含む第1の成分Aと、
少なくとも第1の成分Aと同モル量の第2の成分B:炭素数2~12のジオールと、
第1の成分Aの総モル量に対して、
c1)ヒドロキシを少なくとも3つ含有する化合物0~5mol%と、
c2)エーテル官能基を含有するジヒドロキシ化合物0~5mol%と、
c3)ヒドロキシカルボン酸又はその環状誘導体0~25mol%と、
c4)炭素数2~12のアミノアルカノール又は炭素数2~12のアミノシクロアルカノール0~25mol%と、
c5)炭素数1~12のジアミン0~25mol%と、
c6)アミノカルボン酸化合物0~15mol%と
から選ばれる1種又は2種以上である第3の成分Cと
を含む成分で形成される誘導体を含む半芳香族ポリエステルであって、
成分c1)~c6)の少なくとも1種が0でなく、成分c1)~c6)のモル比の和が100%であり、
前記半芳香族ポリエステルにおいて、
1
HNMRにより計算した結果、第2の成分B及びa2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長は1.85~2.25であり、且つ、カルボキシル基含有量は5~60mmol/kgである、ことを特徴とする半芳香族ポリエステル。
〔2〕
1
HNMRを用いて計算した結果、第2の成分B及びa2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長は、1.87~2.0であり、かつ、カルボキシル基含有量は10~35mmol/kgである、〔1〕に記載の半芳香族ポリエステル。
〔3〕第1の成分A中のa2のモル含有量が45~50mol%である、ことを特徴とする〔1〕に記載の半芳香族ポリエステル。
〔4〕前記第3の成分Cのモル量が、第1の成分Aの総モル量に対して0.01~4mol%である、ことを特徴とする〔1〕に記載の半芳香族ポリエステル。
〔5〕前記第3の成分Cは、グリセリン、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパンである、ことを特徴とする〔1〕又は〔4〕に記載の半芳香族ポリエステル。
〔6〕第4の成分Dをさらに含み、前記第4の成分Dは鎖延長剤であり、第4の成分Dのモル量は、第1の成分Aの総モル量に対して0.01~5mol%である、ことを特徴とする〔1〕に記載の半芳香族ポリエステル。
〔7〕前記鎖延長剤は、2以上の官能基を有するイソシアネート、イソシアヌレート、過酸化物、エポキシド、オキサゾリン、オキサジン、カルボジイミド、ポリカルボジイミドから選ばれる1種又は2種以上の混合物である、ことを特徴とする〔6〕に記載の半芳香族ポリエステル。
〔8〕a1)C4~C12の脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル誘導体と、
a2)テレフタル酸又はそのエステル誘導体と
を含む第1の成分Aと、
第2の成分B:ブチレングリコール又はプロピレングリコールと、
第3の成分C:グリセリン、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパンと、
第4の成分D:ヘキサメチレンジイソシアネート、エポキシド、オキサゾリン又はカルボジイミドと
で形成される誘導体を含む、ことを特徴とする〔1〕に記載の半芳香族ポリエステル。
〔9〕GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が150~350ml/gである、ことを特徴とする〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の半芳香族ポリエステル。
〔10〕第1の成分Aのa1、第2の成分B及び第3の成分Cをエステル化反応器にて常温で物理的に混合しながら、第1の成分Aのa2、第2の成分B及び第3の成分Cを、一部の触媒の作用により他のエステル化反応器にて常温で物理的に混合した後、混合物をそれぞれ150~280℃に加熱して1~2時間エステル化反応させ、エステル化生成物Ba1及びBa2をそれぞれ得るステップS1と、
ステップS1で得られた2種のエステル化生成物Ba1及びBa2を混合して、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が20~60ml/gとなるまで、230~270℃の反応温度で、残りの触媒の作用により一次重縮合反応を行うステップS2と、
ステップS2で得られた一次重縮合反応生成物を最終重合釜内に移送し、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が150~350ml/gとなり、反応生成物中の第2の成分B及びa2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長が1.85~2.25であり、前記反応生成物中のカルボキシル基含有量が5~60mmol/kgであるまで、220~270℃の温度で連続的に重縮合反応させ、半芳香族ポリエステルを得るステップS3と
を含む、ことを特徴とする〔1〕に記載の半芳香族ポリエステルの製造方法。
〔11〕芳香族ポリエステル樹脂に、第1の成分Aのa1とa3、第2の成分B及び第3の成分Cを加えて常温で物理的に混合した後、150~180℃でエステル交換反応させてエステル化生成物を得るステップS1と、
エステル化生成物に触媒を加え、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が20~60ml/gとなるまで、反応温度230~270℃で一次重縮合反応を行うステップS2と、
ステップS2で得られた一次重縮合反応生成物を最終重合釜内に移送し、GB/T 17931-1999に準じて重量比1:1のフェノール/オルト-ジクロロベンゼン溶液中、25±0.05℃の恒温水浴中で測定された反応生成物の粘度数が150~350ml/gとなり、反応生成物中の第2の成分B及び第2の成分a2から誘導される繰り返し単位Ba2の平均セグメント長が1.85~2.25であり、前記反応生成物中のカルボキシル基含有量が5~60mmol/kgであるまで220~270℃の温度で連続的に重縮合反応させ、半芳香族ポリエステルを得るステップS3と
を含む、ことを特徴とする〔1〕に記載の半芳香族ポリエステルの製造方法。
〔12〕S3において、連続重縮合反応中に第4の成分Dを加え、二軸押出機を用いて反応押出を行う、ことを特徴とする〔10〕又は〔11〕に記載の半芳香族ポリエステルの製造方法。
〔13〕重量百分率で、
〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の半芳香族ポリエステル5~95wt%と、
添加剤及び/又は他のポリマー5~95wt%と、
補強材及び/又は充填材0~70wt%と
を含む、ことを特徴とする半芳香族ポリエステル成形用組成物。
〔14〕〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の半芳香族ポリエステルの堆肥化可能な製品の製造における使用であって、
前記堆肥化可能な製品は繊維、フィルム又は容器である、ことを特徴とする使用。