IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーリス ヘルス インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】手動及びロボット制御可能な医療用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20231218BHJP
   A61B 1/005 20060101ALI20231218BHJP
   A61B 90/50 20160101ALI20231218BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20231218BHJP
   B25J 3/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61B1/008 512
A61B1/005 523
A61B90/50
A61B34/30
B25J3/00 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021510110
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019047753
(87)【国際公開番号】W WO2020041619
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】62/722,665
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/887,508
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バエズ・ルイス・アンドラーデ・ジュニア
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515847(JP,A)
【文献】米国特許第08021326(US,B1)
【文献】特開2015-093052(JP,A)
【文献】特開2014-083202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
17/00-17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用器具であって、
遠位端と近位端との間に延在する細長いシャフトと、
前記細長いシャフト上又はその内部を延在する第1のプルワイヤであって、前記細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能である、第1のプルワイヤと、
前記細長いシャフトの前記近位端に接続された器具ハンドルであって、前記器具ハンドルは、器具駆動機構に取り付けられるように構成されており、
前記器具ハンドル内に位置付けられている第1のプーリーアセンブリであって、前記第1のプーリーアセンブリの回転が前記第1のプーリーアセンブリを第1のプーリーシャフトの軸を中心として回転させ、前記第1のプルワイヤを作動させて前記細長いシャフトの関節運動を引き起こすように、前記第1のプルワイヤが前記第1のプーリーアセンブリ上に位置付けられている、第1のプーリーアセンブリと、
第1の手動駆動入力部であって、前記第1のプーリーシャフトの前記軸を中心として回転し、前記第1の手動駆動入力部は、前記第1のプーリーシャフトの前記軸を中心とした前記第1の手動駆動入力部の手動回転が前記第1のプーリーアセンブリの回転を引き起こして前記細長いシャフトの作動を引き起こすように、前記第1のプーリーアセンブリに直接、接続されている、第1の手動駆動入力部と、
第1のロボット駆動入力部であって、前記器具駆動機構の第1のロボット駆動出力部の回転が前記第1のプーリーアセンブリの回転を引き起こし、前記第1の手動駆動入力部を介した作用が無くとも前記細長いシャフトの作動を引き起こすように、前記第1のロボット駆動出力部と係合するように構成されている、第1のロボット駆動入力部と、を含む、器具ハンドルと、を備える、医療用器具。
【請求項2】
前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられていないときに、前記医療用器具は、前記第1の手動駆動入力部の手動作動によって手動制御されるように構成されており、
前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられているときに、前記医療用器具は、前記第1のロボット駆動入力部のロボット作動によってロボット制御されるように構成されている、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項3】
前記第1の手動駆動入力部が、前記第1のロボット駆動入力部とは別個である、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項4】
前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられているときに、前記第1の手動駆動入力部は手動アクセス可能である、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項5】
前記第1の手動駆動入力部が、前記細長いシャフトの手動2方向偏向制御を提供するように構成されており、
前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられているときに、前記医療用器具は、4方向ロボット制御するように構成されている、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項6】
前記第1のプルワイヤが、前記細長いシャフトの第1の関節運動方向への関節運動を制御するように作動可能であり、前記第1のプルワイヤが、前記第1のプーリーアセンブリ上に第1の巻き方向で巻かれており、前記医療用器具が、
前記細長いシャフト上又はその内部を延在する第2のプルワイヤであって、前記第1の関節運動方向とは反対の第2の関節運動方向への前記細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能である、第2のプルワイヤを更に備え、
前記第2のプルワイヤは、前記第1の巻き方向とは反対の第2の巻き方向で前記第1のプーリーアセンブリ上に巻かれている、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項7】
前記第1のプーリーアセンブリが、
前記第1のプーリーシャフト上に位置付けられており、前記第1のプルワイヤが巻かれている、第1のプーリーと、
前記第1のプーリーシャフト上に位置付けられており、前記第2のプルワイヤが巻かれている、第2のプーリーと、を含む、請求項6に記載の医療用器具。
【請求項8】
前記細長いシャフト上又はその内部を延在する第3のプルワイヤであって、前記細長いシャフトの第3の関節運動方向への関節運動を制御するように作動可能である、第3のプルワイヤと、
前記細長いシャフト上又はその内部を延在する第4のプルワイヤであって、前記第3の関節運動方向とは反対の第4の関節運動方向への前記細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能である、第4のプルワイヤと、
前記器具駆動機構の第2のロボット駆動出力部の回転が前記第2のプーリーアセンブリの回転を引き起こし、前記細長いシャフトの前記第3の関節運動方向及び前記第4の関節運動方向への関節運動を制御するように、前記第2のロボット駆動出力部と係合するように構成されている、第2のロボット駆動入力部と、を更に含む、請求項7に記載の医療用器具。
【請求項9】
前記細長いシャフトの手動ロール制御を提供するように構成されている手動ロール入力部を更に含む、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項10】
前記細長いシャフトのロボットロール制御を提供するように構成されているロボットロール入力部を更に含む、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項11】
前記第1のプルワイヤが、前記細長いシャフト内の第1のコイルパイプ内を延在する、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項12】
前記第1の手動駆動入力部が、レバー、ホイール、及びスライダのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項13】
前記第1の手動駆動入力部が枢動系運動を含み、前記第1のロボット駆動入力部が回転運動を含む、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項14】
前記手動ロール入力部は、前記細長いシャフトが前記器具ハンドルに対して回転するのを可能にする、請求項9に記載の医療用器具。
【請求項15】
前記手動ロール入力部は、前記器具ハンドルに対して回転できる回転可能なハンドルを含む、請求項14に記載の医療用器具。
【請求項16】
前記第1のプーリーアセンブリ、及び前記第1の手動駆動入力部は両方とも、前記第1のプーリーシャフトに直接、接続されている、請求項1に記載の医療用器具。
【請求項17】
前記第1のプーリーシャフトの1つの端部は、前記第1のロボット駆動入力部に接続され、前記第1のプーリーシャフトの反対側の端部は、前記第1の手動駆動入力部に接続されるように構成されている、請求項16に記載の医療用器具。
【請求項18】
前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられると、前記第1の手動駆動入力部が前記第1のプーリーシャフトから係合解除されるように構成されている、請求項17に記載の医療用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、医療用器具、より具体的には、手動及びロボットの両方で制御可能であり得る医療用器具を対象とする。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査などの医療処置では、診断及び/又は治療目的で患者の解剖学的構造の内部にアクセスし可視化を行う場合がある。例えば、消化器科、泌尿器科、及び呼吸器科では、医師による、尿管、胃腸管、及び気道(気管支及び細気管支)などの患者の管腔の検査を可能にする医療処置を必要とする。これらの処置の間、内視鏡として知られる細く、可撓性のある管状ツール又は器具を、開口部(自然開口部など)を通して患者に挿入し、その後の診断及び/又は治療を行うために特定された組織部位に向かって前進させる。医療用器具は、解剖学的構造を通じたナビゲーションを容易にするために制御可能かつ関節運動可能であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本出願は、手動又はロボットのいずれかで操作できる手動及びロボット制御可能な医療用器具に関する。いくつかの実施形態では、第1のモード(手動モード)では、医師又はその他操作者は、医療用器具を物理的に扱い、手動で操作することができる。いくつかの実施形態では、第2のモード(ロボットモード)であるロボットで使用可能な医療用システムは、医療用器具を操作することができる。ロボットモードで操作するとき、医療用器具を、ロボットアーム又はその他器具位置決め装置の端部に位置付けられる器具駆動機構に取り付けることができる。
【0004】
第1の態様では、遠位端と近位端との間に延在する細長いシャフトと、細長いシャフトの関節運動を制御するために作動可能な細長いシャフト上又はその内部を延在する第1のプルワイヤと、を含む、医療用器具が記載される。医療用器具はまた、細長いシャフトの近位端に接続された器具ハンドルを含み、器具ハンドルは器具駆動機構に取り付けられるように構成されている。器具ハンドルは、器具ハンドル内に位置付けられている第1のプーリーアセンブリであって、第1のプーリーアセンブリの回転により第1のプルワイヤが作動し、細長いシャフトの関節運動を引き起こすように、第1のプルワイヤが第1のプーリーアセンブリ上に位置付けられる、第1のプーリーアセンブリと、第1の手動駆動入力部であって、手動駆動入力部の手動作動が第1のプーリーの回転を引き起こすように、第1のプーリーアセンブリに接続された第1の手動駆動入力部と、第1のロボット駆動入力部と、を含む。第1のロボット駆動入力部は、器具駆動機構の第1のロボット駆動出力部の回転が第1のプーリーアセンブリの回転を引き起こすように、第1のロボット駆動出力部と係合するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、医療用器具は、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含むことができる。(a)医療用器具は、器具ハンドルが器具駆動機構に取り付けられていないとき、第1の手動駆動入力部の手動作動によって手動制御されるように構成されており、医療用器具は、器具ハンドルが器具駆動機構に取り付けられているとき、第1のロボット駆動入力部のロボット作動によってロボット制御されるように構成されている。(b)第1の手動駆動入力部は、第1のロボット駆動入力部とは別個である。(c)器具ハンドルが器具駆動機構に取り付けられているとき、第1の手動駆動入力部は手動アクセス可能である。(d)第1の手動駆動入力部は、細長いシャフトの手動2方向偏向制御を提供するように構成されており、第1のロボット駆動入力部は、細長いシャフトの4方向偏向制御を提供するように構成されている。(e)第1のプルワイヤは、細長いシャフトの第1の関節運動方向への関節運動を制御するように作動可能であり、第1のプルワイヤは、第1のプーリーアセンブリ上に第1の巻き方向で巻かれており、医療用器具は、細長いシャフト上又はその内部を延在する第2のプルワイヤを更に備え、第2のプルワイヤは、第1の関節運動方向とは反対の第2の関節運動方向への細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能であり、第2のプルワイヤは、第1の巻き方向とは反対の第2の巻き方向で第1のプーリーアセンブリ上に巻かれている。(f)第1のプーリーアセンブリは、基部内に位置付けられている第1のプーリーシャフトと、第1のプーリーシャフト上に位置付けられており、第1のプルワイヤが巻かれている、第1のプーリーと、第1のプーリーシャフト上に位置付けられており、第2のプルワイヤが巻かれている、第2のプーリーと、を含む。(g)第1のプーリー及び第2のプーリーのうち少なくとも一方が、第1のプーリーシャフトに対して複数の異なる回転位置のいずれかで第1のプーリーシャフト上に装着できるように、第1のプーリー及び第2のプーリーのうち少なくとも一方は、第1のプーリーシャフトに対してキー止めされている。(h)第3のプルワイヤは、細長いシャフト上又はその内部を延在し、第3のプルワイヤは、細長いシャフトの第3の関節運動方向への関節運動を制御するように作動可能であり、第4のプルワイヤは、細長いシャフト上又はその内部を延在し、第4のプルワイヤは、第3の関節運動方向とは反対の第4の関節運動方向への細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能であり、器具駆動機構の第2のロボット駆動出力部の回転が第2のプーリーアセンブリの回転を引き起こし、細長いシャフトの第3及び第4への関節運動を制御するように、第2のロボット駆動入力部は、第2のロボット駆動出力部と係合するように構成されている。(i)第1の手動駆動入力部は、第1のプーリーアセンブリに直接結合されている。(j)第1の手動駆動入力部は、第1のプーリーアセンブリにギヤ付きアセンブリによって結合されている。(k)手動ロール入力部は、細長いシャフトの手動ロール制御を提供するように構成されている。(l)ロボットロール入力部は、細長いシャフトのロボットロール制御を提供するように構成されている。(m)第1のプルワイヤは、細長いシャフト内の第1のコイルパイプ内を延在する。(n)第1のプルワイヤ及び第1のコイルパイプは、細長いシャフトのロールを可能にするためのサービスループを含む。(o)サービスループは、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、又は少なくとも360度の両方の回転方向への細長いシャフトのロールを可能にする。(p)第1のプルワイヤは、第1のプーリーアセンブリ上に巻かれた領域で直径が増加している。(q)器具ハンドルが器具駆動機構に取り付けられると、第1の手動駆動入力部は係合解除される。(r)第1の手動駆動入力部は、レバー、ホイール、及びスライダのうちの少なくとも1つを含む。(s)器具ハンドルが器具駆動機構に取り付けられるとき、器具ハンドルは、器具駆動機構上の駆動出力部の一部のみを覆うように構成されている。及び/又は、(t)第1の手動駆動入力部は枢動系運動を含み、第1のロボット駆動入力部は回転運動を含む。
【0006】
別の態様では、遠位端と近位端との間に延在する細長いシャフトと、細長いシャフト上又はその内部を延在する第1のプルワイヤであって、細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能である、第1のプルワイヤと、細長いシャフトの近位端に接続された器具ハンドルであって、器具駆動機構に取り付けられるように構成されている、器具ハンドルと、を含む、医療用器具が記載される。器具ハンドルは、器具ハンドル内に位置付けられている第1のプーリーアセンブリであって、第1のプルワイヤが第1のプーリーアセンブリ上に位置付けられる、第1のプーリーアセンブリと、第1のロボット駆動入力部であって、器具駆動機構の第1のロボット駆動出力部の回転が第1のプーリーアセンブリの回転を引き起こすように、第1のロボット駆動出力部と係合するように構成されている、第1のロボット駆動入力部と、を含み、第1のプーリーアセンブリと細長いシャフトの遠位端との間に配設された手動偏向プーリーであって、第1のプルワイヤが手動偏向プーリー上に巻かれている、手動偏向プーリーと、手動駆動入力部の作動が第1のプーリーの回転を引き起こすように、手動偏向プーリーに接続された、手動作動されるように構成されている第1の手動駆動入力部と、を含む。
【0007】
別の態様では、遠位端と近位端との間に延在する細長いシャフトと、細長いシャフト上又はその内部を延在する第1のプルワイヤであって、細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能である、第1のプルワイヤと、細長いシャフトの近位端に接続された器具ハンドルであって、器具駆動機構に取り付けられるように構成されている、器具ハンドルと、を含む、医療用器具が記載される。器具ハンドルは、器具ハンドル内に位置付けられている第1のプーリーアセンブリであって、第1のプーリーアセンブリの回転が第1のプルワイヤを作動させて細長いシャフトの関節運動を引き起こすように、第1のプルワイヤが第1のプーリーアセンブリ上に位置付けられる、第1のプーリーアセンブリと、手動駆動入力部の作動が第1のプーリーの回転を引き起こすように、手動作動されるように構成されている第1のプーリーアセンブリに接続された第1の手動駆動入力部と、第1のプーリーアセンブリに接続された第1のロボット駆動入力部であって、器具駆動機構の第1のロボット駆動出力部の回転が第1のプーリーアセンブリの回転を引き起こすように、第1のロボット駆動出力部と係合するように構成されている、第1のロボット駆動入力部と、シャフトロールプーリーに連結された第2のロボット駆動入力部と、第2のロボット駆動入力部の回転が細長いシャフトのロールを引き起こすように、シャフトロールプーリーと係合された細長いシャフト上のカプラーギヤと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、細長いシャフトは、器具ハンドルに対して手動でロール可能であるように構成されている。
【0008】
別の態様では、医療用器具を制御する方法は、医療用器具の器具ハンドル上の手動駆動入力部を手動作動して、医療用器具内のプーリーアセンブリを作動し、医療用器具の細長いシャフトの関節運動を制御することと、器具ハンドルを器具駆動機構に取り付けることと、器具駆動機構を用いて器具ハンドル上のロボット駆動入力部をロボット作動して、プーリーアセンブリの関節運動を引き起こし、医療用器具の細長いシャフトの関節運動を制御することと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、医療用器具は、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含むことができる。(a)手動駆動入力部を手動作動することは、手動駆動入力部を手動操作して、医療用器具の細長いシャフトの2方向偏向制御を提供することを含み、ロボット駆動入力部をロボット作動することは、ロボット駆動入力部をロボット操作して、医療用器具の細長いシャフトの4方向偏向制御を提供することを含む。(b)ロボット駆動入力部をロボット作動することは、ロボット駆動入力部をロボット操作して、医療用器具の細長いシャフトのロール制御を提供することを更に含む。(c)ロボット駆動入力部を手動作動することは、細長いシャフトをハンドルに対して手動回転して、細長いシャフトのロール制御を提供することを更に含む。(d)手動駆動入力部は、レバー、ホイール、又はスライダを含む。及び/又は、(e)ロボット駆動入力部は、器具駆動機構上の少なくとも3つのロボット駆動出力部と係合するように構成されている、少なくとも3つのロボット駆動入力部を含む。
【0010】
別の態様では、ロボット医療用システムは、第1の器具基部と、器具基部から延在する細長いシャフトとを備える、第1の医療用器具を含み、器具基部は、少なくとも1つの第1のロボット駆動入力部を含む。システムはまた、第2の器具基部と、少なくとも1つの第2のロボット駆動入力部とを備える、第2の医療用器具を含む。システムはまた、第1の医療用器具の第1の器具基部及び第2の医療用器具の第2の器具基部と係合される器具駆動機構を含む。器具駆動機構は、第1の医療用器具の少なくとも1つの第1のロボット駆動入力部と係合し、かつそれを駆動するように構成されている少なくとも1つの第1のロボット駆動出力部と、第2の医療用器具の少なくとも1つの第2のロボット駆動入力部と係合し、かつそれを駆動するように構成されている少なくとも1つの第2のロボット駆動出力部と、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含むことができる。(a)器具駆動機構は、ロボットアーム上に位置付けられている。(b)ロボットアームは、器具駆動機構を移動させて、第1の医療用器具及び第2の医療用器具を同時に再位置付けするように構成されている。(c)第1の器具基部は、第1の器具基部が器具駆動機構と係合しているときに、少なくとも1つの第2の駆動入力部を露出させるように構成された切欠きを含み、第2の器具基部は、切欠き内に少なくとも部分的に受容されている。(d)少なくとも1つの第1のロボット駆動入力部は、3つの第1のロボット駆動入力部を含み、少なくとも1つの第2のロボット駆動入力部は、2つの第2のロボット駆動入力部を含む。(e)第1の医療用器具及び第2の医療用器具は、器具駆動機構と係合したときに並んで配置される。(f)少なくとも1つの第1のロボット駆動出力部は、少なくとも1つの第1のロボット駆動入力部を駆動して、第1の医療用器具の細長いシャフトを関節運動させる。(g)少なくとも1つの第2のロボット駆動出力部は、少なくとも1つの第2のロボット駆動入力部を駆動して、第2の医療用器具の機能を作動する。(h)器具駆動機構は、第1の医療用器具及び第2の医療用器具を同時に作動させるように構成されている。及び/又は、(i)第1の医療用器具は、第1の医療用器具の手動制御を可能にするように構成された第1の手動駆動入力部を更に備える。
【0012】
別の態様では、第1の医療用器具の第1の器具基部を第1のロボットアーム上に位置付けられている器具駆動機構に取り付けて、器具駆動機構の第1のロボット駆動出力部が第1の器具基部の第1のロボット駆動入力部と係合するようにすることと、第2の医療用器具の第2の器具基部を第1のロボットアーム上に位置付けられている器具駆動機構に取り付けて、器具駆動機構の第2のロボット駆動出力部が第2の器具基部の第2のロボット駆動入力部と係合するようにすることと、第1のロボット駆動出力部を用いて第1のロボット駆動入力部を駆動することによって、第1の医療用器具を作動させることと、第2のロボット駆動出力部を用いて第2のロボット駆動入力部を駆動することによって、第2の医療用器具を作動させることと、を含む、方法が開示される。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を任意の組み合わせで含む。(a)第1の器具基部を器具駆動機構に取り付けることは、第2のロボット駆動入力部が露出したままであるように、第1の器具基部を器具駆動機構に取り付けることを含む。(b)第1の医療用器具の第1の手動駆動入力部を手動作動させて、第1の医療用器具を手動で制御する。(c)第1の医療用器具は、器具基部から延在する細長いシャフトを備え、第1の手動駆動入力部は、細長いシャフトの2方向偏向を駆動するように構成されている。(d)第1の器具基部を器具駆動機構に取り付ける前に、第1の医療用器具の第1の手動駆動入力部の手動作動を起こさせる。(e)第1のロボットアームを移動させて、第1の医療用器具及び第2の医療用器具を動かす。(f)第1の医療用器具は、器具基部から延在する細長いシャフトを備え、器具駆動機構は、細長いシャフトの4方向偏向を駆動するように構成されている。及び/又は、(g)第1の器具基部及び第2の器具基部は、器具駆動機構上に並んで配置される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
開示される態様は、以下、添付の図面と併せて説明され、開示された態様を例示するが、限定するものではなく、同様の指定は同様の要素を示す。
図1】診断及び/又は治療用気管支鏡検査のために配置されたカートベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図2図1のロボットシステムの更なる態様を描写する。
図3】尿管鏡検査のために配置された図1のロボットシステムの実施形態を示す。
図4】血管処置のために配置された図1のロボットシステムの実施形態を示す。
図5】気管支鏡検査処置のために配置されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図6図5のロボットシステムの代替的な図である。
図7】ロボットアーム(複数可)を収容するように構成された例示的なシステムを示す。
図8】尿管鏡検査のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図9】腹腔鏡処置のために構成されたテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図10】ピッチ又は傾斜調整を備えた図5図9のテーブルベースのロボットシステムの実施形態を示す。
図11図5図10のテーブルベースのロボットシステムのテーブルとカラムとの間のインターフェースの詳細な図示を提供する。
図12】テーブルベースのロボットシステムの代替的実施形態を示す。
図13図12のテーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
図14】ロボットアームが取り付けられた、テーブルベースのロボットシステムの端面図を示す。
図15】例示的な器具ドライバを示す。
図16】ペア器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。
図17】駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。
図18】器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。
図19】例示的なコントローラを示す。
図20】例示的な実施形態による、図16図18の器具の位置など、図1図10のロボットシステムの1つ以上の要素の位置を推定する位置特定システムを示すブロック図を示す。
図21A】手動及びロボット制御可能な医療用器具の実施形態の様々な図を示す。器具ハンドル及び細長いシャフトを含む医療用器具の斜視図を示す。
図21B】手動及びロボット制御可能な医療用器具の実施形態の様々な図を示す。図21Aの医療用器具の器具ハンドルの第1の側面図を示す。
図21C】手動及びロボット制御可能な医療用器具の実施形態の様々な図を示す。図21Aの医療用器具の器具ハンドルの第2の側面図を示す。
図21D】手動及びロボット制御可能な医療用器具の実施形態の様々な図を示す。図21Aの医療用器具の器具ハンドルの内部構成部品の一部の第1の側面図を示す。
図21E】手動及びロボット制御可能な医療用器具の実施形態の様々な図を示す。図21Aの医療用器具の器具ハンドルのプーリーアセンブリの実施形態を示す。
図21F】手動及びロボット制御可能な医療用器具の実施形態の様々な図を示す。一実施形態による、手動駆動入力部の図21Eのプーリーシステムへの接続を示す。
図22A】器具駆動機構の実施形態に取り付けられた図21Aの医療用器具の器具ハンドルの図を示す。器具駆動機構に取り付けられた器具ハンドルの斜視図である。
図22B】器具駆動機構の実施形態に取り付けられた図21Aの医療用器具の器具ハンドルの図を示す。器具駆動機構に取り付けられた器具ハンドルの上面図である。
図22C】器具駆動機構の実施形態に取り付けられた図21Aの医療用器具の器具ハンドルの図を示す。器具駆動機構に取り付けられた器具ハンドルの側面図である。
図23A】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。器具ハンドル及び細長いシャフトを含む医療用器具の斜視図を示す。
図23B】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。図23Aの医療用器具の器具ハンドルの第1の側面図を示す。
図23C】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。図23Aの医療用器具の器具ハンドルの第2の部分側面図を示す。
図23D】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。図23Aの医療用器具の器具ハンドルの内部構成部品の一部の第1の側面図を示す。
図23E】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。図23Aの医療用器具の器具ハンドルの内部構成部品の一部の斜視図を示す。
図23F】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。図23Aの医療用器具の器具ハンドルのプーリーアセンブリの実施形態を示す。
図23G】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。図23Aの医療用器具の手動駆動入力部の実施形態の第1の側面図を示す。
図23H】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。一実施形態による、手動駆動入力部のプーリーアセンブリへの接続を示している、図23Aの医療用器具の器具ハンドルの断面図を示す。
図24A】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。器具ハンドル及び細長いシャフトを含む医療用器具の斜視図を示す。
図24B】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。図24Aの医療用器具の器具ハンドルの斜視図を示す。
図24C】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。図24Aの医療用器具の器具ハンドルの側面図を示す。
図24D】手動及びロボット制御可能な医療用器具の別の実施形態の様々な図を示す。図24Aの医療用器具の器具ハンドルの斜視図を示し、一実施形態による手動駆動入力部の実施形態を示している。
図24E図24Aの医療用器具の器具ハンドルの内部構成部品の一部の斜視断面図を示す。
図25】一実施形態によるプーリー上に巻かれたプルワイヤの断面図を示す。
図26】手動制御及びロボット制御の両方のために構成されている医療用器具を制御する方法の例を示すフローチャートである。
図27】器具駆動機構に取り付けられた第1及び第2の医療用器具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.概論。
本開示の態様は、腹腔鏡などの低侵襲性、及び内視鏡などの非侵襲性の両方の処置を含む、様々な医療処置を行うことができるロボットで使用可能な医療用システムに統合され得る。内視鏡処置のうち、システムは、気管支鏡検査、尿管鏡検査、胃鏡検査などを行うことができる。
【0016】
幅広い処置を実行することに加えて、システムは、医師を支援するための強調された撮像及び誘導などの追加の利益を提供することができる。加えて、システムは、厄介なアーム運動及び位置を必要とせずに、人間工学的位置から処置を行う能力を医師に提供することができる。また更に、システムは、システムの器具のうちの1つ以上が単一のユーザによって制御され得るように、改善された使いやすさで処置を行う能力を医師に提供することができる。
【0017】
以下、説明を目的として、図面と併せて、様々な実施形態が説明される。開示された概念の多くの他の実施態様が可能であり、開示された実施態様で様々な利点が達成され得ることを理解されたい。見出しが、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションの位置を特定する支援となる。これらの見出しは、それに関して説明される概念の範囲を限定することを意図するものではない。そのような概念は、本明細書全体にわたって適用可能性を有し得る。
【0018】
A.ロボットシステム-カート
ロボットで使用可能な医療用システムは、特定の処置に応じて様々な方法で構成され得る。図1は、診断及び/又は治療用気管支鏡検査処置のために配置されたカートベースのロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。気管支鏡検査の間、システム10は、気管支鏡検査のための処置特有の気管支鏡であり得る操縦可能な内視鏡13などの医療用器具を、診断及び/又は治療用具を送達するための自然開口部アクセスポイント(すなわち、本実施例ではテーブル上に位置付けられている患者の口)に送達するための1つ以上のロボットアーム12を有するカート11を備えることができる。示されるように、カート11は、アクセスポイントへのアクセスを提供するために、患者の上部胴体に近接して位置付けすることができる。同様に、ロボットアーム12は、アクセスポイントに対して気管支鏡を位置付けするために作動させることができる。図1の配置はまた、胃腸管(gastro-intestinal、GI)処置を、GI処置のための特殊な内視鏡である胃鏡を用いて実行するときに利用することができる。図2は、カートの例示的な実施形態をより詳細に描画する。
【0019】
図1を引き続き参照すると、一旦カート11が適切に位置付けられると、ロボットアーム12は、操縦可能な内視鏡13をロボットで、手動で、又はそれらの組み合わせで患者内に挿入することができる。示されるように、操縦可能な内視鏡13は、内側リーダ部分及び外側シース部分などの少なくとも2つの入れ子式部品を備えてもよく、各部分は、器具ドライバのセット28から別個の器具ドライバに結合され、各器具ドライバは、個々のロボットアームの遠位端に結合されている。リーダ部分をシース部分と同軸上に整合させるのを容易にする器具ドライバ28のこの直線配置は、1つ以上のロボットアーム12を異なる角度及び/又は位置に操作することによって空間内に再位置付けされ得る「仮想レール」29を作成する。本明細書に記載される仮想レールは、破線を使用して図に示されており、したがって破線は、システムの物理的構造を示さない。仮想レール29に沿った器具ドライバ28の並進は、外側シース部分に対して内側リーダ部分を入れ子にするか、又は内視鏡13を患者から前進又は後退させる。仮想レール29の角度は、臨床用途又は医師の好みに基づいて調整、並進、及び枢動させられてもよい。例えば、気管支鏡検査では、示されるような仮想レール29の角度及び位置は、内視鏡13を患者の口内に曲げ入れることによる摩擦を最小限に抑えながら内視鏡13への医師のアクセスを提供する妥協を表す。
【0020】
内視鏡13は、対象の目的地又は手術部位に到達するまで、ロボットシステムからの正確なコマンドを使用して挿入後に患者の気管及び肺の下方に指向されてもよい。患者の肺網を通したナビゲーションを高め、及び/又は所望の標的に到達するために、内視鏡13を操縦して、内側リーダ部分を外側シース部分から入れ子状に延ばし、高められた関節運動及びより大きな曲げ半径を得てもよい。別個の器具ドライバ28の使用により、リーダ部分及びシース部分が互いに独立して駆動されることも可能にする。
【0021】
例えば、内視鏡13は、例えば、患者の肺内の病変又は小結節などの標的に生検針を送達するように指向されてもよい。針は、内視鏡の長さにわたる作業チャネルの下方に展開されて、病理医によって分析される組織試料を得てもよい。病理の結果に応じて、追加の生検のために追加のツールが内視鏡の作業チャネルの下方に展開されてもよい。小結節を悪性と識別した後、内視鏡13は、潜在的な癌組織を切除するために器具を内視鏡的に送達してもよい。場合によっては、診断及び治療的処置は、別々の手順で提供することができる。これらの状況において、内視鏡13はまた、標的小結節の場所を「マーク」するために基準を送達するために使用されてもよい。他の例では、診断及び治療的処置は、同じ処置中に送達されてもよい。
【0022】
システム10はまた、カート11に支持ケーブルを介して接続されて、カート11への制御、電子機器、流体工学、光学系、センサ、及び/又は電力のためのサポートを提供し得る移動可能なタワー30を含んでもよい。タワー30内にこのような機能を置くことにより、動作を行う医師及びそのスタッフがより容易に調整及び/又は再位置付けすることができるより小さいフォームファクタのカート11が可能となる。追加的に、カート/テーブルと支持タワー30との間の機能の分割は、手術室の乱雑さを低減し、臨床ワークフローの改善を促進する。カート11は患者に近接して配置されてもよいが、タワー30は、処置中に邪魔にならないように遠隔位置に格納されてもよい。
【0023】
上述のロボットシステムのサポートにおいて、タワー30は、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータベースの制御システムの構成要素(複数可)を含んでもよい。これらの命令の実行は、実行がタワー30内で行われるのか又はカート11で行われるのかにかかわらず、そのシステム又はサブシステム(複数可)全体を制御してもよい。例えば、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されるときに、命令は、ロボットシステムの構成要素に、関連するキャリッジ及びアームマウントを作動させ、ロボットアームを作動させ、医療用器具を制御させてもよい。例えば、制御信号を受信したことに応答して、ロボットアームの関節内のモータは、アームをある特定の姿勢に位置付けしてもよい。
【0024】
タワー30は、内視鏡13を通して配置することができるシステムに、制御された灌注及び吸引機能を提供するために、ポンプ、流量計、弁制御、及び/又は流体アクセスも含むことができる。これらの構成要素は、タワー30のコンピュータシステムも使用して制御されてもよい。いくつかの実施形態では、灌注及び吸引能力は、別個のケーブル(複数可)を通して内視鏡13に直接送達されてもよい。
【0025】
タワー30は、フィルタリングされ、保護された電力をカート11に提供するように設計された電圧及びサージ保護具を含んでもよく、それによって、カート11内に電力変圧器及び他の補助電力構成要素を配置することが回避され、カート11はより小さく、より移動可能になる。
【0026】
タワー30は、ロボットシステム10全体に配置されたセンサのための支持機器も含んでもよい。例えば、タワー30は、ロボットシステム10を通して光センサ又はカメラから受信したデータを検出、受信、及び処理するためのオプトエレクトロニクス機器を含んでもよい。制御システムと組み合わせて、このようなオプトエレクトロニクス機器は、タワー30内を含むシステム全体に展開された任意の数のコンソール内に表示するためのリアルタイム画像を生成するために使用されてもよい。同様に、タワー30は、展開された電磁(EM)センサから受信した信号を受信及び処理するための電子サブシステムも含んでもよい。タワー30は、医療用器具内又は医療用器具上のEMセンサによる検出のためにEM場発生器を収容し、位置付けするためにも使用されてもよい。
【0027】
タワー30は、システムの残りの部分で利用可能な他のコンソール、例えば、カートの上部上に装着されたコンソールに追加して、コンソール31も含んでもよい。コンソール31は、医師操作者のためのユーザインターフェース及びタッチスクリーンなどの表示画面を含んでもよい。システム10内のコンソールは、一般に、ロボット制御、並びに内視鏡13のナビゲーション情報及び位置特定情報などの処置の術前及びリアルタイム情報の両方を提供するように設計される。コンソール31が医師に利用可能な唯一のコンソールではない場合、コンソール31は、看護師などの第2の操作者によって使用されて、患者の健康又は生命及びシステム10の動作を監視し、並びにナビゲーション及び位置特定情報などの処置固有のデータを提供してもよい。その他の実施形態では、コンソール30は、タワー30とは別個の本体内に収容される。
【0028】
タワー30は、1つ以上のケーブル又は接続(図示せず)を介してカート11及び内視鏡13に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、タワー30からの支持機能は、単一ケーブルを通してカート11に提供されることにより、手術室を簡略化し、整理整頓することができる。他の実施形態では、特定の機能は、別個の配線及び接続で結合されてもよい。例えば、単一の電力ケーブルを通してカート11に電力が供給されてもよい一方、制御、光学、流体工学、及び/又はナビゲーションのためのサポートは、別個のケーブルを通して提供されてもよい。
【0029】
図2は、図1に示されるカートベースのロボットで使用可能なシステムからのカート11の実施形態の詳細な図を提供する。カート11は、概して、細長い支持構造14(「カラム」と呼ばれることが多い)、カート基部15、及びカラム14の頂部にあるコンソール16を含む。カラム14は、1つ以上のロボットアーム12(図2には3つ示されている)の展開を支持するためのキャリッジ17(代替的に「アーム支持体」)などの1つ以上のキャリッジを含んでもよい。キャリッジ17は、患者に対してより良好に位置付けするために垂直軸に沿って回転してロボットアーム12の基部を調整する、個別に構成可能なアームマウントを含んでもよい。キャリッジ17はまた、キャリッジ17がカラム14に沿って垂直方向に並進することを可能にするキャリッジインターフェース19を含む。
【0030】
キャリッジインターフェース19は、キャリッジ17の垂直方向の並進を案内するためにカラム14の両側に位置付けられているスロット20などのスロットを通してカラム14に接続されている。スロット20は、カート基部15に対して様々な垂直方向の高さでキャリッジ17を位置付けし、保持するための垂直方向の並進インターフェースを含む。キャリッジ17の垂直方向の並進により、カート11は、様々なテーブルの高さ、患者のサイズ、及び医師の好みを満たすようにロボットアーム12のリーチを調整することが可能となる。同様に、キャリッジ17上の個別に構成可能なアームマウントにより、ロボットアーム12のロボットアーム基部21を様々な構成で角度付けすることが可能となる。
【0031】
いくつかの実施形態では、キャリッジ17が垂直方向に並進する際にカラム14の内部チャンバ及び垂直方向の並進インターフェース内に汚れ及び流体が侵入するのを防止するために、スロット20には、スロット表面と同一平面及び平行であるスロットカバーが追加されてもよい。スロットカバーは、スロット20の垂直方向の頂部及び底部付近に位置付けられているばねスプールの対を通じて展開されてもよい。カバーは、キャリッジ17が上下方向に垂直方向に並進するのにつれてコイル状から伸縮するように展開されるまで、スプール内でコイル巻きされている。スプールのバネ荷重は、キャリッジ17がスプールに向かって並進するときにカバーをスプールに引き込む力を提供し、一方、キャリッジ17がスプールから離れて並進するときにはタイトなシールも維持する。カバーは、キャリッジ17が並進する際にカバーが適切に伸縮するのを確実にするために、例えば、キャリッジインターフェース19内のブラケットを使用してキャリッジ17に接続されてもよい。
【0032】
カラム14は、例えば、コンソール16からの入力などのユーザ入力に応答して生成された制御信号に応答してキャリッジ17を機械的に並進させるために垂直方向に位置合わせされた主ねじを使用するように設計された、ギヤ及びモータなどの機構を内部に備えてもよい。
【0033】
ロボットアーム12は、一般に、一連の関節24によって接続されている一連のリンク23によって分離されたロボットアーム基部21及びエンドエフェクタ22を備えてもよく、各関節は独立したアクチュエータを備え、各アクチュエータは、独立して制御可能なモータを備える。それぞれ独立して制御可能な関節は、ロボットアーム12が利用可能な独立した自由度を表す。ロボットアーム12の各々は、7つの関節を有してもよく、したがって、7つの自由度を提供することが可能である。多数の関節は、多数の自由度をもたらし、「冗長」自由度を可能にする。冗長自由度を有することにより、ロボットアーム12は、異なるリンク位置及び関節角度を使用して空間内の特定の位置、向き、及び軌道で、それらのそれぞれのエンドエフェクタ22を位置付けすることが可能となる。これにより、システムが空間内の所望のポイントから医療用器具を位置付けし、指向させることが可能になると同時に、医師がアーム関節を患者から離れる臨床的に有利な位置へと移動させて、アームの衝突を回避しながらよりよいアクセスを生み出すことを可能にする。
【0034】
カート基部15は、床の上のカラム14、キャリッジ17、及びロボットアーム12の重量の釣り合いをとる。したがって、カート基部15は、電子機器、モータ、電源、並びにカート11の移動及び/又は固定化のいずれかを可能にする構成要素などの、より重い部品を収容する。例えば、カート基部15は、処置前にカート11が部屋中をあちこちに容易に移動することを可能にする、転動可能なホイール形状のキャスタ25を含む。適切な位置に到達した後、キャスタ25は、処置中にカート11を所定の場所に保持するためのホイールロックを使用して静止させられてもよい。
【0035】
カラム14の垂直方向の端部に配置されたコンソール16は、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース及び表示画面(又は、例えば、タッチスクリーン26などの二重目的デバイス)の両方を可能にして、術前データ及び術中データの両方を医師であるユーザに提供する。タッチスクリーン26上の潜在的な術前データは、術前計画、術前コンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)スキャンから導出されたナビゲーション及びマッピングデータ、及び/又は術前の患者への問診からのメモを含んでもよい。ディスプレイ上の術中データは、ツールから提供される光学情報、センサからのセンサ及び座標情報、及び呼吸、心拍数、及び/又はパルスなどの不可欠な患者統計を含んでもよい。コンソール16は、医師が、キャリッジ17の反対側のカラム14側からコンソール16にアクセスすることを可能にするように配置され、傾斜が付けられてもよい。この位置から、医師は、コンソール16をカート11の背後から操作しながら、コンソール16、ロボットアーム12、及び患者を見ることができる。示されるように、コンソール16はまた、カート11の操作及び安定化を支援するハンドル27を含む。
【0036】
図3は、尿管鏡検査のために配置されたロボットで使用可能なシステム10の実施形態を示す。尿管鏡検査処置では、カート11は、患者の尿道及び尿管を横断するように設計された処置専用内視鏡である尿管鏡32を患者の下腹部領域に送達するように位置付けられてもよい。尿管鏡検査では、尿管鏡32が患者の尿道と直接整合して、領域内の敏感な解剖学的構造に対する摩擦及び力を低減することが望ましいことがある。示されるように、カート11は、ロボットアーム12が尿管鏡32を、患者の尿道に直接直線状にアクセスするために位置付けすることを可能にするように、テーブルの脚部に位置合わせされてもよい。テーブルの脚部から、ロボットアーム12は、尿道を通して患者の下腹部に直接、仮想レール33に沿って尿管鏡32を挿入してもよい。
【0037】
気管支鏡検査におけるのと同様の制御技法を使用して尿道に挿入した後、尿管鏡32は、診断及び/又は治療用途のために、膀胱、尿管、及び/又は腎臓にナビゲートされてもよい。例えば、尿管鏡32を尿管や腎臓に向けて、尿管鏡32の作動チャネルの下方に配置されたレーザ又は超音波結石破砕デバイスを用いて、腎臓結石の蓄積を破砕することができる。砕石術が完了した後、得られた結石片は、尿管鏡32の下方に展開されたバスケットを使用して除去されてもよい。
【0038】
図4は、血管処置のために同様に配置されたロボットで使用可能なシステム10の一実施形態を示す。血管処置において、システム10は、カート11が、操縦可能なカテーテルなどの医療用器具34を、患者の脚内の大腿動脈内のアクセスポイントに送達することができるように構成され得る。大腿動脈は、ナビゲーションのためのより大きな直径と、ナビゲーションを簡素化する、患者の心臓への、遠回りが比較的少ない曲がりくねった経路の両方を示す。尿管鏡処置のように、カート11は、患者の脚及び下腹部に向かって位置付けられて、ロボットアーム12が患者の大腿/腰領域内の大腿動脈アクセスポイントへの直接的な線形アクセスで仮想レール35を提供することを可能にしてもよい。動脈内への挿入後、器具ドライバ28を並進させることによって医療用器具34が指向され、挿入されてもよい。代替的には、カートは、例えば、肩及び手首付近の頸動脈及び腕動脈などの代替的な血管アクセスポイントに到達するために、患者の上腹部の周囲に位置付けられてもよい。
【0039】
B.ロボットシステム-テーブル
ロボットで使用可能な医療用システムの実施形態は、患者テーブルも組み込んでもよい。テーブルの組み込みは、カートを除去することによって手術室内の資本設備の量を低減し、患者へのより大きなアクセスを可能にする。図5は、気管支鏡検査処置のために配置されたそのようなロボットで使用可能なシステムの実施形態を示す。システム36は、床の上にプラットフォーム38(「テーブル」又は「ベッド」として図示)を支持するための支持構造体又はカラム37を含む。カートベースのシステムと同様に、システム36のロボットアーム39のエンドエフェクタは、器具ドライバ42の線形整列から形成された仮想レール41を通して、又はそれに沿って、図5の気管支鏡40などの細長い医療用器具を操作するように設計された器具ドライバ42を備える。実際には、蛍光透視撮像を提供するためのCアームは、放射器及び検出器をテーブル38の周囲に置くことによって、患者の上部腹部領域の上方に位置付けられてもよい。
【0040】
図6は、説明を目的として、患者及び医療用器具なしのシステム36の代替的な図を提供する。示されるように、カラム37は、1つ以上のロボットアーム39のベースとなり得る、システム36内でリング形状として図示される1つ以上のキャリッジ43を含んでもよい。キャリッジ43は、カラム37の長さにわたる垂直方向のカラムインターフェース44に沿って並進して、ロボットアーム39が患者に到達するように位置付けられ得る異なるバンテージポイントを提供してもよい。キャリッジ(複数可)43は、カラム37内に位置付けられている機械的モータを使用してカラム37の周りを回転して、ロボットアーム39が、例えば、患者の両側などのテーブル38の多数の側面へのアクセスを有することを可能にしてもよい。複数のキャリッジを有する実施形態では、キャリッジはカラム上に個別に位置付けられてもよく、他のキャリッジとは独立して並進及び/又は回転してもよい。キャリッジ43はカラム37を取り囲む必要はなく、又は更には円形である必要はないが、図示されるようなリング形状は、構造的バランスを維持しながらカラム37の周りでのキャリッジ43の回転を容易にする。キャリッジ43の回転及び並進により、システム36は、内視鏡及び腹腔鏡などの医療用器具を患者の異なるアクセスポイントに整列させることができる。その他の実施形態(図示せず)では、システム36は、並行して延びるバー又はレールの形態の調整可能なアーム支持体を有する患者テーブル又はベッドを含むことができる。1つ以上のロボットアーム39を、(例えば、肘関節を有する肩部を介して)垂直方向に調整することができる調整可能なアーム支持体に取り付けることができる。垂直方向の調節を提供することによって、ロボットアーム39は、有利には、患者テーブル又はベッドの下にコンパクトに収容されることが可能であり、その後、処置中に引き上げられることが可能である。
【0041】
ロボットアーム39は、ロボットアーム39に追加の構成可能性を提供するために個別に回転及び/又は入れ子式に延在し得る一連の関節を含むアームマウント45のセットを介してキャリッジ43に装着されてもよい。加えて、アームマウント45は、キャリッジ43が適切に回転されると、アームマウント45がテーブル38の同じ側(図6に示すように)、テーブル38の両側(図9に示すように)、又はテーブル38の隣接する側部(図示せず)のいずれかに位置付けられ得るように、キャリッジ43上に位置付けられ得る。
【0042】
カラム37は、テーブル38の支持及びキャリッジ43の垂直方向の並進のための経路を構造的に提供する。内部に、カラム37は、キャリッジの垂直方向の並進を案内するための主ねじ、及び主ねじに基づくキャリッジ43の並進を機械化するためのモータを備えていてもよい。カラム37はまた、キャリッジ43及びその上に装着されたロボットアーム39に電力及び制御信号を伝達してもよい。
【0043】
テーブル基部46は、図2に示すカート11のカート基部15と同様の機能を果たし、テーブル/ベッド38、カラム37、キャリッジ43、及びロボットアーム39の釣り合いをとるためにより重い構成要素を収容する。テーブル基部46はまた、処置中に安定性を提供するために剛性キャスタを組み込んでもよい。テーブル基部46の底部から展開されるキャスタは、基部46の両側で反対方向に延ばし、システム36を移動させる必要があるときに引き込んでもよい。
【0044】
引き続き図6を参照すると、システム36はまた、テーブルとタワーとの間でシステム36の機能を分割して、テーブルのフォームファクタ及びバルクを低減するタワー(図示せず)を含んでもよい。先に開示された実施形態と同様に、タワーは、処理、計算、及び制御能力、電力、流体工学、並びに/又は光学及びセンサ処理などの様々な支持機能をテーブルに提供してもよい。タワーは、医師のアクセスを改善し、手術室を整理整頓するために、患者から離れて位置付けられるように移動可能でもあってもよい。加えて、タワー内に構成要素を配置することにより、ロボットアーム39の潜在的な収容のために、テーブル基部46内により多くの保管空間を可能にする。タワーは、キーボード及び/又はペンダントなどのユーザ入力のためのユーザインターフェース、並びにリアルタイム撮像、ナビゲーション、及び追跡情報などの術前及び術中情報のための表示画面(又はタッチスクリーン)の両方を提供するマスターコントローラ又はコンソールも含んでもよい。いくつかの実施形態では、タワーはまた、送気のために使用されるガスタンク用のホルダを含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、テーブル基部は、使用されていないときにロボットアームを収容して格納してもよい。図7は、テーブルベースのシステムの実施形態におけるロボットアームを収容するシステム47を示す。システム47では、キャリッジ48は、ロボットアーム50、アームマウント51、及びキャリッジ48を基部49内に収容するために、基部49内へと垂直方向に並進させられてもよい。基部カバー52は、並進及び後退して、キャリッジ48、アームマウント51、及びロボットアーム50をカラム53の周りに展開させるように開き、使用されていないときにそれらを収容して保護するように閉じられてもよい。基部カバー52は、閉じたときに汚れ及び流体の侵入を防止するために、その開口部の縁部に沿って膜54で封止されてもよい。
【0046】
図8は、尿管鏡処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースシステムの実施形態を示す。尿管鏡検査では、テーブル38は、患者をカラム37及びテーブル基部46からオフアングルに位置付けするためのスイベル部分55を含んでもよい。スイベル部分55は、スイベル部分55の底部をカラム37から離すように位置付けするために、枢動点(例えば、患者の頭部の下方に配置)を中心に回転又は枢動してもよい。例えば、スイベル部分55の旋回により、Cアーム(図示せず)が、テーブル38の下のカラム(図示せず)と空間を奪い合うことなく、患者の下部腹部の上方に位置付けられることを可能にする。カラム37の周りにキャリッジ35(図示せず)を回転させることにより、ロボットアーム39は、尿道に到達するように、仮想レール57に沿って、患者の鼠径部領域に直接尿管鏡56を挿入してもよい。尿管鏡検査では、処置中に患者の脚の位置を支持し、患者の鼠径部領域への明確なアクセスを可能にするために、テーブル38のスイベル部分55にあぶみ58が固定されてもよい。
【0047】
腹腔鏡処置では、患者の腹壁内の小さな切開部(複数可)を通して、低侵襲性器具を患者の解剖学的構造に挿入してもよい。いくつかの実施形態では、低侵襲性器具は、患者内の解剖学的構造にアクセスするために使用されるシャフトなどの細長い剛性部材を含む。患者の腹腔の膨張後、器具は、把持、切断、アブレーション、縫合などの外科的又は医療的タスクを実施するように方向付けられてもよい。いくつかの実施形態では、器具は、腹腔鏡などのスコープを備えることができる。図9は、腹腔鏡検査処置のために構成されたロボットで使用可能なテーブルベースのシステムの実施形態を示す。図9に図示されるように、システム36のキャリッジ43は回転し、垂直方向に調整されて、器具59が患者の両側の最小切開部を通過して患者の腹腔に到達するようにアームマウント45を使用して位置付けられ得るように、ロボットアーム39の対をテーブル38の両側に位置付けしてもよい。
【0048】
腹腔鏡処置に対応するために、ロボットで使用可能なテーブルシステムは、プラットフォームを所望の角度に傾斜もさせてもよい。図10は、ピッチ又は傾斜調整を有するロボットで使用可能な医療用システムの実施形態を示す。図10に示されるように、システム36は、テーブル38の傾斜に適応して、テーブルの一方の部分を他方の部分より床から離れた距離に位置付けすることができる。加えて、アームマウント45は、ロボットアーム39がテーブル38と同じ平面関係を維持するように、傾斜に一致するように回転してもよい。急角度に適応するために、カラム37はまた、テーブル38が床に接触するか又はテーブル基部46と衝突するのを防ぐためにカラム37が垂直方向に延びるのを可能にする入れ子部分60を含んでもよい。
【0049】
図11は、テーブル38とカラム37との間のインターフェースの詳細な図示を提供する。ピッチ回転機構61は、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を多数の自由度で変更するように構成されてもよい。ピッチ回転機構61は、カラム-テーブルインターフェースでの直交軸1、2の位置付けによって可能にされてもよく、各軸は、電気ピッチ角コマンドに応答して別個のモータ3、4によって作動させられる。一方のネジ5に沿った回転は、一方の軸1における傾斜調整を可能にし、他方のネジ6に沿った回転は、他方の軸2に沿った傾斜調整を可能にする。いくつかの実施形態では、カラム37に対するテーブル38のピッチ角を複数の自由度で変更するために、玉継ぎ手が用いられてもよい。
【0050】
例えば、ピッチ調整は、テーブルをトレンデレンブルグ位置に位置付けしようとするときに、すなわち下腹部手術のために患者の上腹部よりも床からより高い位置に患者の下腹部を位置付けしようとするときに、特に有用である。トレンデレンブルグ位置は、重力によって患者の内臓を患者の上腹部に向かってスライドさせ、低侵襲性ツールが入って腹腔鏡前立腺切除術などの下腹部の外科又は医療処置を実施するために、腹腔を空にする。
【0051】
図12及び図13は、テーブルベースの外科用ロボットシステム100の別の実施形態の等角図及び端面図を示す。外科用ロボットシステム100は、テーブル101に対して1つ以上のロボットアームを支持するように構成され得る1つ以上の調節可能なアーム支持体105(例えば、図14参照)を含む。図示される実施形態では、単一の調整可能なアーム支持体105が示されているが、テーブル101の反対側に追加のアーム支持体を設けることができる。調整可能アームサポート105は、テーブル101に対して移動して、調整可能アーム支持体105及び/又はテーブル101に対してそれに取り付けられた任意のロボットアームの位置を調節及び/又は変更できるように構成され得る。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101に対して1つ以上の自由度で調節することができる。調整可能なアーム支持体105は、1つ以上の調整可能なアーム支持体105及びそれに取り付けられた任意のロボットアームをテーブル101の下に容易に収容する能力を含む、システム100への高い汎用性を提供する。調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の下の位置まで上昇させることができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、収容位置からテーブル101の上面の上方の位置まで上昇させることができる。
【0052】
調節可能なアーム支持体105は、リフト、横方向並進、傾斜などを含む、いくつかの自由度を提供することができる。図12及び図13の図示される実施形態では、アーム支持体105は、4自由度で構成され、図12に矢印で示されている。第1の自由度は、z方向(「Zリフト」)における調整可能なアーム支持体105の調節を可能にする。例えば、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101を支持するカラム102に沿って、又はそれに対して上下に動くことができるように構成されたキャリッジ109を含むことができる。第2の自由度は、調整可能なアーム支持体105が傾くことを可能にできる。例えば、調整可能なアーム支持体105は、回転接合部を含むことができ、それは、例えば、調整可能なアーム支持体105を、トレンデレンブルグ位置のベッドと位置合わせすることを可能にする。第3の自由度は、調整可能なアーム支持体105は「上方枢動する」ことを可能にでき、それを使用して、テーブル101の側面と調整可能なアーム支持体105との間の距離を調節することができる。第4の自由度は、テーブルの長手方向の長さに沿って調整可能なアーム支持体105の並進を可能にできる。
【0053】
図12及び図13の外科用ロボットシステム100は、ベース103に取り付けられたカラム102によって支持されるテーブルを備えることができる。したがって、基部103及びカラム102は、支持面に対してテーブル101を支持する。床軸131及び支持軸133は、図13に示される。
【0054】
調整可能なアーム支持体105は、カラム102に取り付けることができる。他の実施形態では、調整可能なアーム支持体105は、テーブル101又は基部103に取り付けることができる。調整可能なアーム支持体105は、キャリッジ109、バー又はレールコネクタ111、及びバー又はレール107を含むことができる。いくつかの実施形態では、レール107に取り付けられた1つ以上のロボットアームは、互いに対して並進及び運動することができる。
【0055】
キャリッジ109は、第1の接合部113によってカラム102に取り付けられてもよく、それにより、キャリッジ109がカラム102に対して運動することが可能になる(例えば、第1又は垂直軸123の上下など)。第1の接合部113は、調整可能なアーム支持体105に第1の自由度(「Zリフト」)を提供することができる。調整可能なアーム支持体105は、調整可能なアーム支持体105の第2の自由度(傾斜)を提供する第2の接合部115を含むことができる。調整可能なアーム支持体105は、第3の自由度(「上方枢動」)を調整可能なアーム支持体105に提供することができる第3の接合部117を含むことができる。レールコネクタ111が第3の軸127を中心にして回転させられるときにレール107の方向を維持するように第3の接合部117を機械的に拘束する、追加の接合部119(図13に示す)を設けることができる。調整可能なアーム支持体105は、第4の軸129に沿って調整可能なアーム支持体105に対して第4の自由度(並進)を提供することができる第4の接合部121を含むことができる。
【0056】
図14は、テーブル101の判値側に取り付けられた2つの調節可能なアーム支持体105A、105Bを有する、外科用ロボットシステム140Aの端面図を示す。第1のロボットアーム142Aは、第1の調整可能なアーム支持体105Bのバー又はレール107Aに取り付けられる。第1のロボットアーム142Aは、レール107Aに取り付けられた基部144Aを含む。第1のロボットアーム142Aの遠位端は、1つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けることができる器具駆動機構146Aを含む。同様に、第2のロボットアーム142Bは、レール107Bに取り付けられた基部144Bを含む。第2のロボットアーム142Bの遠位端は、器具駆動機構146Bを含む。器具駆動機構146Bは、1つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けるように構成され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、7つ以上の自由度を有するアームを備える。いくつかの実施形態では、ロボットアーム142A、142Bのうちの1つ以上は、挿入軸(挿入を含む1自由度)、リスト(リストピッチ、ヨー及びロールを含む3自由度)、エルボ(エルボピッチを含む1自由度)、ショルダ(ショルダピッチ及びヨーを含む2自由度)、及び基部144A、144B(並進を含む1自由度)、を含む8自由度を含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入自由度は、ロボットアーム142A、142Bによって提供することができるが、他の実施形態では、器具自体は、器具ベースの挿入アーキテクチャを介して挿入を提供する。
【0058】
C.器具ドライバ及びインターフェース
システムのロボットアームのエンドエフェクタは、(i)医療用器具を作動させるための電気機械的手段を組み込む器具ドライバ(代替的には、「器具駆動機構」又は「器具デバイスマニピュレータ」と呼ばれる)と、(ii)モータなどの任意の電気機械的構成要素を欠いていてもよい除去可能な又は取り外し可能な医療用器具と、を含み得る。この二分法は、医療処置に使用される医療用器具を滅菌する必要性、それらの複雑な機械的アセンブリ及び敏感な電子機器により、高価な資本設備を十分に滅菌することができないことに駆動される可能性がある。したがって、医療用器具は、医師又は医師のスタッフによる個々の滅菌又は廃棄のために、器具ドライバ(したがってそのシステム)から取り外し、除去、及び交換されるように設計することができる。対照的に、器具ドライバは交換又は滅菌される必要がなく、保護のために掛け布をすることができる。
【0059】
図15は、例示的な器具ドライバを示す。ロボットアームの遠位端に配置される器具ドライバ62は、駆動シャフト64を介して医療用器具に制御トルクを提供するために平行軸を伴って配置された1つ以上の駆動ユニット63を含む。各駆動ユニット63は、器具と相互作用するための個々の駆動シャフト64と、モータシャフトの回転を所望のトルクに変換するためのギヤヘッド65と、駆動トルクを生成するためのモータ66と、モータシャフトの速度を測定し、制御回路にフィードバックを提供するエンコーダ67と、制御信号を受信し、駆動ユニットを作動させるための制御回路68と、を備える。各駆動ユニット63は、独立して制御され電動化され、器具ドライバ62は、複数(図15に示すように4つ)の独立した駆動出力部を医療用器具に提供することができる。動作中、制御回路68は、制御信号を受信し、モータ66にモータ信号を送信し、エンコーダ67によって測定された得られたモータ速度を所望の速度と比較し、モータ信号を変調して所望のトルクを生成する。
【0060】
無菌環境を必要とする処置のために、ロボットシステムは、器具ドライバと医療用器具との間に位置する、滅菌ドレープに接続された滅菌アダプタなどの駆動インターフェースを組み込んでもよい。滅菌アダプタの主な目的は、器具ドライバの駆動シャフトから器具の駆動入力部に角度運動を伝達する一方で、駆動シャフトと駆動入力部との間の物理的分離、したがって無菌性を維持することである。したがって、例示的な滅菌アダプタは、器具ドライバの駆動シャフトと嵌合されることが意図された一連の回転入力部及び出力部と、器具に対する駆動入力部とを含み得る。滅菌アダプタに接続される滅菌ドレープは、透明又は半透明プラスチックなどの薄い可撓性材料で構成され、器具ドライバ、ロボットアーム、及び(カートベースのシステムにおける)カート又は(テーブルベースのシステムにおける)テーブルなどの資本設備を覆うように設計される。ドレープの使用により、滅菌を必要としない領域(すなわち、非滅菌野)に依然として位置付けられている間に、資本設備を患者に近接して配置することが可能となる。滅菌ドレープの反対側では、医療用器具は、滅菌(すなわち、滅菌野)を必要とする領域において患者とインターフェースしてもよい。
【0061】
D.医療用器具
図16は、ペアの器具ドライバを備えた例示的な医療用器具を示す。ロボットシステムと共に使用するために設計された他の器具と同様に、医療用器具70は、細長いシャフト71(又は細長い本体)及び器具基部72を備える。医師による手動相互作用が意図されているその設計により「器具ハンドル」とも呼ばれる器具基部72は、概して、ロボットアーム76の遠位端において器具ドライバ75上の駆動インターフェースを通って延びる駆動出力部74と嵌合するように設計された、回転可能な駆動入力部73、例えば、レセプタクル、プーリー、又はスプールを備えてもよい。物理的に接続、ラッチ、及び/又は結合されるときに、器具基部72の嵌合された駆動入力部73は、器具ドライバ75における駆動出力部74と回転軸線を共有して、駆動出力部74から駆動入力部73へのトルクの伝達を可能とすることができる。いくつかの実施形態では、駆動出力部74は、駆動入力部73上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを備えてもよい。
【0062】
細長いシャフト71は、例えば、内視鏡におけるような解剖学的開口部若しくは管腔、又は腹腔鏡検査におけるような低侵襲性切開部のいずれかを通して送達されるように設計される。細長いシャフト71は、可撓性(例えば、内視鏡と同様の特性を有する)若しくは剛性(例えば、腹腔鏡と同様の特性を有する)のいずれかであってもよく、又は可撓性部分及び剛性部分の両方のカスタマイズされた組み合わせを含んでもよい。腹腔鏡のために設計される場合、剛性の細長いシャフトの遠位端は、少なくとも1つの自由度を有するクレビスから形成された接合された手首から延びるエンドエフェクタ、及び駆動入力部が器具ドライバ75の駆動出力部74から受け取ったトルクに応答して回転する際に、腱からの力に基づいて作動され得る、例えば、把持具又ははさみである、手術用ツール又は医療用器具に接続することができる。内視鏡検査のために設計される場合、可撓性の細長いシャフトの遠位端は、器具ドライバ75の駆動出力部74から受信したトルクに基づいて関節運動及び屈曲され得る操縦可能又は制御可能な屈曲部を含んでもよい。
【0063】
器具ドライバ75からのトルクは、細長いシャフト71に沿った腱を使用して細長いシャフト71の下流に伝達される。プルワイヤなどのこれらの個々の腱は、器具ハンドル72内の個々の駆動入力部73に個別に固定されてもよい。ハンドル72から、腱は、細長いシャフト71に沿って1つ以上のプルルーメン(pull lumen)に向けられ、細長いシャフト71の遠位部分、又は細長いシャフトの遠位部分の手首に固定される。腹腔鏡、内視鏡、又はハイブリッド処置などの外科処置中、これらの腱は、手首、把持具、又ははさみなどの遠位に取り付けられたエンドエフェクタに連結されてもよい。このような構成の下で、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱に張力を伝達し、それによってエンドエフェクタを何らかの方法で作動させる。いくつかの実施形態では、外科処置中に、腱は、関節を軸の周りで回転させることができ、それによってエンドエフェクタを一方向又は別の方向に移動させる。代替的には、腱は、細長いシャフト71の遠位端で把持具の1つ以上のジョーに接続されてもよく、腱からの張力によって把持具は閉鎖される。
【0064】
内視鏡検査では、腱は、接着剤、制御リング、又は他の機械的固定を介して、細長いシャフト71に沿って(例えば、遠位端に)位置付けられている屈曲部又は関節運動部に結合されてもよい。屈曲部の遠位端に固定的に取り付けられる場合、駆動入力部73に及ぼされるトルクは、腱の下流に伝達され、より軟質の屈曲部(関節運動可能部又は領域と呼ばれることがある)を屈曲又は関節運動させる。非屈曲部分に沿って、個々の腱を内視鏡シャフトの壁に沿って(又は内側に)指向する個々のプルルーメンを螺旋状又は渦巻状にして、プルワイヤにおける張力からもたらされる半径方向の力の釣り合いをとることが有利であり得る。螺旋の角度及び/又はそれらの間の間隔は、特定の目的のために変更又は設計することができ、よりきつい螺旋は負荷力の下でより少ないシャフト圧縮を示し、一方、より少ない量のらせんは負荷力の下でより大きなシャフト圧縮をもたらすが、屈曲を制限する。スペクトルのもう一方の端部では、プルルーメンは、細長いシャフト71の長手方向軸に平行に指向されて、所望の屈曲部又は関節運動可能部における制御された関節運動を可能にしてもよい。
【0065】
内視鏡検査では、細長いシャフト71は、ロボット処置を支援するいくつかの構成要素を収容する。シャフト71は、シャフト71の遠位端における手術領域に対して手術ツール(又は医療用器具)を展開する、灌注する、及び/又は吸引するための作業チャネルを含んでもよい。シャフト71は、遠位先端部の光学アセンブリに信号を伝送するためのワイヤ及び/又は光ファイバも収容してもよく、これは光学カメラを含んでもよい。シャフト71はまた、発光ダイオードなどの近位に位置する光源からシャフト71の遠位端に光を搬送するための光ファイバを収容してもよい。
【0066】
器具70の遠位端では、遠位先端部は、診断及び/又は治療、灌注、及び吸引のためにツールを手術部位に送達するための作業チャネルの開口部を備えてもよい。遠位先端部はまた、内部解剖学的空間の画像を捕捉するために、繊維スコープ又はデジタルカメラなどのカメラのためのポートを含んでもよい。関連して、遠位先端部はまた、カメラを使用するときに解剖学的空間を照明するための光源用のポートを含んでもよい。
【0067】
図16の例では、駆動シャフト軸、したがって駆動入力軸は、細長いシャフト71の軸に直交する。しかしながら、この配置は、細長いシャフト71のロール能力を複雑にする。駆動入力部73を静止させながら、細長いシャフト71をその軸に沿ってロールさせることにより、腱が駆動入力部73から延び、細長いシャフト71内のプルルーメンに入る際に、腱の望ましくない絡まりをもたらす。そのような腱の結果としての絡まりは、内視鏡処置中の可撓性の細長いシャフト71の動きを予測することを意図した制御アルゴリズムを混乱させる可能性がある。
【0068】
図17は、駆動ユニットの軸が器具の細長いシャフトの軸に平行である、器具ドライバ及び器具の代替的な設計を示す。示されるように、円形の器具ドライバ80は、ロボットアーム82の端部において平行に整合された駆動出力部81を備える4つの駆動ユニットを含む。駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81は、アセンブリ83内の駆動ユニットのうちの1つによって駆動される器具ドライバ80の回転アセンブリ83内に収容される。回転駆動ユニットによって提供されるトルクに応答して、回転アセンブリ83は、回転アセンブリ83を器具ドライバ80の非回転部分84に接続する円形ベアリングに沿って回転する。電力及び制御信号は、ブラシ付きスリップリング接続(図示せず)による回転を通して維持され得る電気接点を介して、器具ドライバ80の非回転部分84から回転アセンブリ83に伝達されてもよい。他の実施形態では、回転アセンブリ83は、非回転可能部分84に一体化され、したがって他の駆動ユニットと平行ではない別個の駆動ユニットに応答してもよい。回転機構83は、器具ドライバ80が、器具ドライバ軸85周りの単一ユニットとして、駆動ユニット及びそれらのそれぞれの駆動出力部81を回転させることを可能にする。
【0069】
先に開示した実施形態と同様に、器具86は、細長いシャフト部分88と、器具ドライバ80内の駆動出力部81を受容するように構成された複数の駆動入力部89(レセプタクル、プーリー、及びスプールなど)を備えた器具基部87(説明目的のために透明な外部スキンで示される)と、を備えてもよい。先の開示された実施形態とは異なり、器具シャフト88は、器具基部87の中心から延在し、軸は、図16の設計にあるように直交するのではなく、駆動入力部89の軸に実質的に平行である。
【0070】
器具ドライバ80の回転アセンブリ83に結合されると、器具基部87及び器具シャフト88を備える医療用器具86は、器具ドライバ軸85を中心にして回転アセンブリ83と一緒に回転する。器具シャフト88は器具基部87の中心に位置付けられているため、器具シャフト88は、取り付けられたときに器具ドライバ軸85と同軸である。したがって、回転アセンブリ83の回転により、器具シャフト88は、それ自体の長手方向軸を中心に回転する。更に、器具基部87が器具シャフト88と共に回転すると、器具基部87内の駆動入力部89に接続された任意の腱は、回転中に絡まらない。したがって、駆動出力部81、駆動入力部89、及び器具シャフト88の軸の平行性は、制御腱を絡めることなくシャフト回転を可能にする。
【0071】
図18は、いくつかの実施形態による、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具を示す。器具150は、上述の器具ドライバのいずれかに連結することができる。器具150は、細長いシャフト152と、シャフト152に接続されたエンドエフェクタ162と、シャフト152に連結されたハンドル170とを備える。細長いシャフト152は、近位部分154及び遠位部分156を有する管状部材を備える。細長いシャフト152は、その外側表面に沿った1つ以上のチャネル又は溝158を備える。溝158は、1つ以上のワイヤ又はケーブル180をそれを通して受容するように構成されている。したがって、1つ以上のケーブル180は、細長いシャフト152の外側表面に沿って延びる。他の実施形態では、ケーブル180は、細長いシャフト152を通って延びることもできる。いくつかの実施形態では、これらのケーブル180のうちの1つ以上の操作(例えば、器具ドライバを介して)により、エンドエフェクタ162の作動がもたらされる。
【0072】
器具基部とも称され得る器具ハンドル170は、一般に、器具ドライバの取り付け面上で1つ以上のトルカプラと往復嵌合するように設計された1つ以上の機械的入力174、例えばレセプタクル、プーリー又はスプールを有する取り付けインターフェース172を備えることができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、器具150は、細長いシャフト152がハンドル170に対して並進することを可能にする一連のプーリー又はケーブルを備える。換言すれば、器具150自体は器具の挿入を収容する器具ベースの挿入アーキテクチャを備え、それによって器具150の挿入を提供するためにロボットアームへの依存を最小化する。他の実施形態では、ロボットアームは、器具の挿入に大きく関与することができる。
【0074】
E.コントローラ
本明細書に記載の任意のロボットシステムは、ロボットアームに取り付けられた器具を操作するための入力デバイス又はコントローラを含むことができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、器具と連結(例えば、通信的に、電子的に、電気的に、無線的に、及び/又は機械的に)することができ、それによりコントローラの操作は、例えば、マスタースレーブ制御を介して、器具の対応する操作を引き起こす。
【0075】
図19は、コントローラ182の実施形態の斜視図である。本実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス制御及びアドミタンス制御の両方を有することができるハイブリッドコントローラを備える。他の実施形態では、コントローラ182は、インピーダンス又は受動的制御だけ利用することができる。他の実施形態では、コントローラ182は、アドミタンス制御だけ利用することができる。ハイブリッドコントローラであることにより、コントローラ182は、有利には、使用中、より低い知覚慣性を有することができる。
【0076】
図示される実施形態では、コントローラ182は、2つの医療用器具の操作を可能にするように構成され、2つのハンドル184を含む。ハンドル184の各々は、ジンバル186に接続されている。各ジンバル186は位置決めプラットフォーム188に接続されている。
【0077】
図19に示されるように、各位置付けプラットフォーム188は、プリズム接合部196によってカラム194に連結されたSCARAアーム(selective compliance assembly robot arm)198を含む。プリズム接合部196は、(例えば、レール197に沿って)カラム194に沿って並進するように構成され、ハンドル184のそれぞれがz方向に並進され、第1の自由度を提供するように構成されている。SCARAアーム198は、x-y平面におけるハンドル184の運動を可能にし、2つの更なる自由度を提供するように構成されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、1つ以上のロードセルがコントローラ内に位置付けられる。例えば、いくつかの実施形態では、ロードセル(図示せず)は、ジンバル186の各々の本体内に位置付けられる。ロードセルを設けることによって、コントローラ182の一部分は、アドミタンス制御下で動作することができ、それによって、使用中にコントローラの知覚慣性を有利に低減する。いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188はアドミタンス制御用に構成され、一方、ジンバル186はインピーダンス制御用に構成されている。他の実施形態では、ジンバル186はアドミタンス制御用に構成され、位置決めプラットフォーム188はインピーダンス制御用に構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、位置決めプラットフォーム188の並進又は位置自由度は、アドミタンス制御に依存することができ、一方、ジンバル186の回転自由度はインピーダンス制御に依存する。
【0079】
F.ナビゲーション及び制御
従来の内視鏡検査は、操作者である医師に腔内誘導を提供するために、蛍光透視法(例えば、Cアームを通して送達され得るような)、及び他の形態の放射線ベースの撮像モダリティの使用を伴うことがある。対照的に、本開示によって企図されるロボットシステムは、放射線への医師の暴露を低減し、手術室内の機器の量を低減するために、非放射線ベースのナビゲーション及び位置特定手段を提供することができる。本明細書で使用するとき、用語「位置特定」は、基準座標系内のオブジェクトの位置を判定及び/又は監視することを指すことがある。術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータなどの技術は、放射線を含まない動作環境を達成するために個別に又は組み合わせて使用されてもよい。放射線ベースの撮像モダリティが依然として使用されるその他の場合、術前マッピング、コンピュータビジョン、リアルタイムEM追跡、及びロボットコマンドデータは、放射線ベースの撮像モダリティによってのみ取得される情報を改善するために、個別に又は組み合わせて使用されてもよい。
【0080】
図20は、例示的な実施形態にかかる、器具の位置など、ロボットシステムの1つ以上の要素の位置を推定する位置特定システム90を示すブロック図である。位置特定システム90は、1つ以上の命令を実行するように構成されている1つ以上のコンピュータデバイスのセットであってもよい。コンピュータデバイスは、上で考察された1つ以上の構成要素内のプロセッサ(又は複数のプロセッサ)及びコンピュータ可読メモリによって具現化されてもよい。例として、限定するものではないが、コンピュータデバイスは、図1に示されるタワー30、図1図4に示されるカート11、図5図14に示されるベッドなどの形態であってよい。
【0081】
図20に示されるように、位置特定システム90は、入力データ91~94を処理して医療用器具の遠位先端部の位置データ96を生成する位置特定モジュール95を含んでもよい。位置データ96は、基準系に対する器具の遠位端の場所及び/又は配向を表すデータ又は論理であってもよい。基準系は、患者の解剖学的構造、又はEM場発生器(EM場発生器についての以下の考察を参照)などの既知の物体に対する基準系とすることができる。
【0082】
ここで、様々な入力データ91~94についてより詳細に説明する。術前マッピングは、低用量CTスキャンの収集を利用して達成することができる。術前CTスキャンは、例えば、患者の内部解剖学的構造の断面図の「スライス」として可視化される3次元画像へと再構成される。全体として分析される場合、患者の肺網などの患者の解剖学的構造の解剖学的空腔、空間、及び構造のための画像ベースのモデルが生成され得る。中心線形状(center-line geometry)などの手法をCT画像から決定及び近似して、モデルデータ91(術前CTスキャンのみを使用して生成された場合は「術前モデルデータ」とも称される)と称される患者の解剖学的構造の3次元ボリュームを作成することができる。中心線形状の使用は、米国特許出願第14/523,760号で考察されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。ネットワーク位相モデルもまた、CT画像から導出されてもよく、気管支鏡検査に特に適している。
【0083】
いくつかの実施形態では、器具はカメラを装備して、視覚データ(又は画像データ)92を提供してもよい。位置特定モジュール95は、視覚データ92を処理して、1つ以上の視覚ベースの(又は画像ベースの)位置追跡モジュール又は機能を有効にしてもよい。例えば、術前モデルデータ91は、医療用器具(例えば、内視鏡又は内視鏡の作業チャネルを通って前進する器具)のコンピュータビジョンベースの追跡を可能にするために、視覚データ92と共に使用されてもよい。例えば、術前モデルデータ91を使用して、ロボットシステムは、内視鏡の予想される移動経路に基づいて、モデルから、予測される内視鏡画像のライブラリを生成することができ、各画像はモデル内の位置にリンクされる。手術中に、このライブラリは、カメラ(例えば、内視鏡の遠位端でのカメラ)で捕捉されたリアルタイム画像を画像ライブラリ内のものと比較して、位置特定を支援するために、ロボットシステムによって参照することができる。
【0084】
他のコンピュータビジョンベースの追跡技法は、カメラの動き、したがって内視鏡を判定するための特徴追跡を使用する。位置特定モジュール95のいくつかの特徴は、解剖学的管腔に対応する術前モデルデータ91内の円形幾何学形状を特定し、どの解剖学的管腔が選択されたか、並びにカメラの相対的な回転及び/又は並進運動を判定するために、それらの幾何学的形状の変化を追跡してもよい。位相マップの使用は、視覚ベースのアルゴリズム又は技法を更に向上させることがある。
【0085】
光学フロー、別のコンピュータビジョンベースの技法は、カメラの動きを推測するために、視覚データ92内のビデオシーケンス内の画像ピクセルの変位及び並進を分析してもよい。光学フロー技術の例としては、動き検出、オブジェクトセグメンテーション計算、輝度、動き補償符号化、立体視差測定などを挙げることができる。複数の反復にわたり多数のフレームを比較することにより、カメラ(及びしたがって内視鏡)の移動及び位置を判定することができる。
【0086】
位置特定モジュール95は、リアルタイムEM追跡を使用して、術前モデルによって表される患者の解剖学的構造に位置合わせされ得るグローバル座標系内に、内視鏡のリアルタイム位置を生成することができる。EM追跡では、医療用器具(例えば、内視鏡器具)内の1つ以上の位置及び向きに埋め込まれた1つ以上のセンサコイルを含むEMセンサ(又はトラッカー)は、既知の位置に配置された1つ以上の静的EM場発生器によって生成されるEM場の変動を測定する。EMセンサによって検出された位置情報は、EMデータ93として記憶される。EM場発生器(又は送信機)は、埋め込まれたセンサが検出し得る低強度磁場を生成するために、患者に近接して配置することができる。磁場はEMセンサのセンサコイル内に小さな電流を誘導し、EMセンサとEM場発生器との間の距離及び角度を判定するためにこの電流が分析され得る。これらの距離及び向きは、患者の解剖学的構造の術前モデル内の位置と座標系内の単一の位置を位置合わせする幾何学的変換を判定するために、患者の解剖学的構造(例えば、術前モデル)に術中「登録」され得る。一旦位置合わせされると、医療用器具の1つ以上の位置(例えば、内視鏡の遠位先端部)に埋め込まれたEMトラッカは、患者の解剖学的構造を通る医療用器具の進行のリアルタイム表示を提供することができる。
【0087】
ロボットコマンド及び運動学データ94はまた、ロボットシステムのための位置特定データ96を提供するために、位置特定モジュール95によって使用されてもよい。関節運動コマンドから生じるデバイスピッチ及びヨーは、術前較正中に判定され得る。術中、これらの較正測定値は、既知の挿入深度情報と組み合わせて使用されて、器具の位置を推定し得る。あるいは、これらの計算は、ネットワーク内の医療用器具の位置を推定するために、EM、視覚、及び/又は位相モデリングと組み合わせて分析することができる。
【0088】
図20が示すように、いくつかの他の入力データは、位置特定モジュール95によって使用することができる。例えば、図20には示されていないが、形状検知繊維を利用する器具は、位置特定モジュール95が器具の位置及び形状を判定するために使用することができる形状データを提供することができる。
【0089】
位置特定モジュール95は、入力データ91~94を組み合わせて(複数可)使用することができる。場合によっては、このような組み合わせは、位置特定モジュール95が入力データ91~94の各々から判定された位置に信頼重みを割り当てる確率的アプローチを使用し得る。したがって、EMデータが信頼でき得ない場合(EM干渉が存在する場合など)、EMデータ93によって判定された位置の信頼性を低下させることができ、位置特定モジュール95は、視覚データ92並びに/又はロボットコマンド及び運動学データ94により重く依存してもよい。
【0090】
上で考察されるように、本明細書で考察されるロボットシステムは、上記の技術のうちの1つ以上の組み合わせを組み込むように設計することができる。タワー、ベッド、及び/又はカートに基づいているロボットシステムのコンピュータベースの制御システムは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内に、コンピュータプログラム命令を記憶してもよく、コンピュータプログラム命令は、実行されると、システムに、センサデータ及びユーザコマンドを受信及び分析させ、システム全体の制御信号を生成させ、グローバル座標系内の器具の位置、解剖学的マップなどのナビゲーション及び位置特定データを表示させる。
【0091】
2.手動及びロボット制御可能な医療用器具。
本開示の実施形態は、手動及びロボット制御可能な医療用器具のための装置、システム、及び技術に関する。いくつかの実施形態では、手動及びロボット制御可能な医療用器具を、図1図20を参照して上述したものなどのロボットで使用可能な医療用システムと共に使用することができる。以下に詳細に記載されるように、手動及びロボット制御可能な医療用器具は、手動制御及びロボット制御の両方のために構成され得る。本項では、用語「医療用器具」は、文脈がそうでない旨を指示しない限り、手動及びロボット制御可能な医療用器具を指すことを意図している。このような医療用器具はまた、手動制御及びロボット制御の両方のために構成されているため、ハイブリッド医療用器具とみなすことができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、医療用器具は、内視鏡処置のために構成され得る。例えば、医療用器具は、尿検査、尿管鏡検査、胃鏡検査、気管支鏡検査、又はその他内視鏡処置のために構成され得る。いくつかの実施形態では、医療用器具は、腹腔鏡処置又は他の種類の医療処置(例えば、開腹手技)のために構成され得る。
【0093】
A.手動及びロボット制御可能な医療用器具の挿入
いくつかの実施形態では、手動及びロボット制御可能な医療用器具は、医療用器具を物理的に持ち、手動で操作する医師又は他の操作者によって、第1のモード(手動モード)で操作することができ、また、ロボットで使用可能な医療用システムによって、第2のモード(ロボットモード)で操作することもできる。手動モードで操作されるとき、医師は、1つ以上の手動駆動入力部を手動で操作し、医療用器具を制御することができる。ロボットモードで操作するとき、医療用器具を、ロボットアーム又はその他器具位置決め装置の端部に位置付けられる器具駆動機構に取り付けることができる。器具駆動機構は、1つ以上のロボット駆動入力部に係合する1つ以上のロボット駆動出力部を含み、医療用器具をロボット制御することができる。医師は、ロボットで使用可能なシステムを制御するために(例えば、図19に示されるような)コントローラを使用してもよい。
【0094】
医療用器具は、細長いシャフト及び器具ハンドル(又は器具基部)を含むことができる。細長いシャフトは、医療処置中に患者の解剖学的構造に挿入されるように構成することができる。いくつかの実施形態では、細長いシャフトは、自然開口部を通して患者の解剖学的構造に挿入される。いくつかの実施形態では、細長いシャフトは、切開部又は他の外科的開口部を通して患者の解剖学的構造に挿入される。細長いシャフトは可撓性であってもよい。細長いシャフトは、関節運動可能であり、制御可能であってもよい。これにより、医師などの操作者が、細長いシャフトの関節運動を制御して、患者の解剖学的構造を通して医療用器具をナビゲートし、操縦することを可能にする。細長いシャフトの関節運動を制御することは、細長いシャフトの関節運動可能部分を偏向又は屈曲させることを含み得る。いくつかの実施形態では、関節運動可能部分は、細長いシャフトの遠位部分であり得る。
【0095】
上述のように(例えば、図15図18を参照して)、いくつかの実施形態では、医療用器具は、細長いシャフト上又はそこを通って延在する1つ以上のプルワイヤを含むことができる。プルワイヤは、器具ハンドル内のプーリー又はプーリーアセンブリなどの作動機構に取り付けることができる。次に、作動機構は、手動及びロボット駆動入力部の作動により作動機構が操作され、プルワイヤを引っ張り、細長いシャフトの関節運動を引き起こすように、手動及びロボット駆動入力部に接続され得る。いくつかの実施形態では、手動駆動入力部のうちの1つ以上及びロボット駆動入力部のうちの1つ以上は、手動駆動入力部及びロボット駆動入力部の両方を使用して同じ作動機構を作動できるように、器具ハンドル内の同じ作動機構(例えば、プーリー又はプーリーアセンブリ)にそれぞれ接続される。手動駆動入力部は、ロボット駆動入力部とは別個であり得る。例えば、手動駆動入力部は、手で動作可能となるように構成され、位置付けることができ、ロボット駆動入力部は、ロボット駆動出力部と係合してロボットで使用可能な医療用システムによって操作可能であるように構成され、位置付けることができる。いくつかの実施形態では、手動駆動入力部は、器具ハンドルが器具駆動機構に取り付けられたときでも露出したままであるか、又はアクセス可能である。
【0096】
いくつかの実施形態では、ロボット制御及び手動制御の両方のために構成された医療用器具は、1つ以上の利点を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、処置中に、医療用器具をまず患者に手動で挿入することができる。すなわち、医師はまず、医療用器具を物理的に持ち、手動駆動入力部を使用して患者内に手動で挿入して、患者の解剖学的構造を通して医療用器具を案内するために細長いシャフトの関節運動を制御することができる。場合によっては、医師によって最初に手動挿入可能にできる医療用器具は、ロボットによる挿入よりも迅速かつ容易であり得る。これは、例えば、泌尿器内視鏡検査、膀胱内視鏡検査、尿管鏡検査、又は腎検査などの特定の泌尿器科的処置、及び消化管内視鏡的処置などの場合であり得る。まず手で挿入した後、器具ハンドルを、器具駆動機構、例えば、ロボットアーム又は他の器具位置決め装置又はロボットで使用可能な医療用システムの端部に位置付けられている器具駆動機構に取り付けることができる。ロボットで使用可能な医療用システムに取り付けられると、医療用器具の細長いシャフトの関節運動及び制御が、ロボットにより制御され得る。ロボット制御は、治療部位における医療用器具の正確かつ精密な制御を可能にできる。医療処置の特定の態様は手動制御に最適であり得、医療処置の他の態様はロボット制御に最適であり得るため、本明細書に記載されるハイブリッド医療用器具は、医療処置の特定の状況又は段階に応じて、必要に応じて手動又はロボット制御モードのいずれにも有利に使用することができる。このような医療用器具は、医師に大きな柔軟性をもたらし、医療処置の遂行を促進する。
【0097】
加えて、いくつかのロボットで使用可能な医療用システムは、絶対的な挿入深さ又はストロークに制限され得る。したがって、ロボットシステムの制限された挿入深さ又はストロークが診断又は治療領域で最適に利用され得るように、まず、医療用器具を手動で挿入することが有利であり得る。本明細書に記載される医療用器具は、ロボット制御を行うには煩雑な長距離にわたって器具を手で配置することを可能にできる。いくつかの実施形態では、器具の手動制御を使用して、医療用器具の初期の大まかな位置決めを提供することができる。例えば、手動制御を使用して、患者の解剖学的構造内の治療部位又はその近くに医療用器具を位置付けることができ、器具のロボット制御を使用して、処置中に微細な位置制御を提供することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、医師が、手動駆動入力部を操作することによって、手動で医療用器具を制御した後に、医療用器具を器具駆動機構に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、医師が、手動駆動入力部を操作することによって、手動で医療用器具を制御している間に、医療用器具を器具駆動機構に取り付けることができる。
【0099】
上述のように、医療用器具は、手動及びロボット駆動入力部の両方を含み得る。いくつかの実施形態では、手動駆動入力部のうちの1つは、医療用器具の細長いシャフトの2方向偏向制御を提供するように構成されている。2方向偏向制御は、細長いシャフトの2つの方向への偏向を可能にし得る。いくつかの実施形態では、この2つの方向は、上下又は左右などの反対方向であり得る。これはまた、上下平面又は左右平面などの単一平面における2方向偏向制御とも称され得る。本出願における方向に関する用語(例えば、上、下、左、右など)は、医療用器具の向きに対して異なる方向を示すために広義で使用される。医療用器具は、多種多様な方向に常に再位置付けされ得るため、方向に関する用語は限定として解釈されるべきではない。例えば、上、下、左、及び右と称する方向は、器具の向きに応じて変化し得る。2方向偏向制御を行うように構成されている手動駆動入力部は、例えば、レバー、スライダ、ホイール、又は他のタイプの手動で動作可能な駆動入力部であり得る。いくつかの実施形態では、手動駆動入力部を第1の方向に操作することにより、細長いシャフトを第1の方向(例えば、上方)に偏向させ、手動駆動入力部を第2の方向に操作することにより、細長いシャフトを第2の方向(例えば、下方)に偏向させる。
【0100】
医療用器具はまた、細長いシャフトのロール制御を可能にするように構成されている手動駆動入力部を含むことができる。これは、手動ロール入力部と呼ばれる場合がある。例えば、医療用器具は、細長いシャフトが器具ハンドルに対して細長いシャフトの軸を中心に回転することを可能にする手動駆動入力部を含むことができる。この手動駆動入力部は、細長いシャフトが器具ハンドルに対して径方向に再配向することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、手動ロール制御は、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360度、又はそれ以上の両方の回転方向への細長いシャフトのロールを可能できる。いくつかの実施形態では、ロール制御を行うように構成されている手動駆動入力部を省略することができ、医師は、医療用器具全体を物理的にロールして(例えば、ハンドル及び細長いシャフトを一緒にロールする)、細長いシャフトのロールを手動で制御することができる。
【0101】
2方向偏向及びロール制御を使用して医療用器具を手動で制御することは、手動制御を行うようにのみ構成されている医療用器具を用いた作業に慣れている多くの医師にとって、直感的かつなじみが深いものであり得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、医療用器具は、追加の2方向偏向制御を可能にするように構成されている追加の駆動入力部を含んでもよい。例えば、第1の手動駆動入力部は、上下方向における2方向偏向制御を可能にでき、第2の手動駆動入力部は、左右方向における2方向偏向制御を可能にできる。これは、2つの手動駆動入力部を使用して、細長いシャフトの4方向偏向制御を可能にする。
【0103】
いくつかの実施形態では、ロボット駆動入力部は、4方向偏向制御を可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、4方向偏向制御は、細長いシャフトの4つの異なる方向への関節運動を可能にする。いくつかの実施形態では、方向は、上、下、左、及び右などの4つの直交する方向であり得る。いくつかの実施形態では、4方向偏向制御するために構成されているロボット駆動入力部は、2つのロボット駆動入力部を含み得る。2つのロボット駆動入力部は、器具駆動機構上の2つの対応するロボット駆動出力部と係合するように構成され得る。各ロボット駆動入力部は、2つの反対方向、例えば時計回り及び反時計回りに回転可能であり得る。2つのうち第1のロボット駆動入力部の第1の方向(例えば、時計回り方向)への回転は、4つの方向のうちの1つ(例えば、上方向)への関節運動を可能にできる。2つのうち第1のロボット駆動入力部の反対方向(例えば、反時計回り方向)への回転は、4つの方向のうちの別の方向(例えば、下方向)への関節運動を可能にできる。2つのうち第2のロボット駆動入力部の第1の方向(例えば、時計回り方向)への回転は、4つの方向のうちの別の方向(例えば、右方向)への関節運動を可能にできる。そして、2つのうち第2のロボット駆動入力部の反対方向(例えば、反時計回り方向)への回転は、4つの方向のうちの別の方向(例えば、左方向)への関節運動を可能にできる。したがって、4方向偏向制御は、2つのロボット駆動入力部を使用して達成することができる。いくつかの実施形態では、ロボット駆動入力部は、2方向偏向制御、3方向偏向制御などの別の数の方向の偏向制御を提供するように構成される。
【0104】
医療用器具は、医療用器具の細長いシャフトのロボットロール制御を提供するように構成されている追加のロボット駆動入力部を含むことができる。例えば、医療用器具は、細長いシャフトが器具ハンドルに対して細長いシャフトの軸を中心に回転することを可能にする機器駆動機構上の対応するロボット駆動出力部と係合するように構成されている、ロボット駆動入力部を含むことができる。このロボット駆動入力部は、細長いシャフトが器具ハンドルに対して径方向に再配向することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、このロボット器具駆動入力部の第1の方向(例えば、時計回り)への回転により、細長いシャフトを時計回り方向に回転させ、このロボット器具駆動入力部の第2の方向(例えば反時計回り)への回転により、細長いシャフトを反時計回り方向に回転させる。いくつかの実施形態では、ロボットロール制御は、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、少なくとも360度、又はそれ以上の両方の回転方向への細長いシャフトのロールを可能できる。
【0105】
場合によっては、4方向偏向制御及びロール制御を使用して医療用器具をロボット制御することは、ロボット制御を行うようにのみ構成されているロボット器具を用いた作業に慣れている多くの医師にとって、直感的かつなじみが深いものであり得る。例えば、4方向偏向制御は、医療用器具を制御するためにコントローラを操作する際に直感的であり得る。
【0106】
上述したように、いくつかの実施形態では、医療用器具は、手動2方向偏向制御及びロール制御(ロール制御は、細長いシャフトを器具ハンドルに対して回転させるように構成されている手動駆動入力部を用いて、又は医療用器具全体を物理的にロールさせることによって手動で達成することができる)を可能にする手動制御用、並びに、ロボット4方向偏向制御及びロール制御を可能にするロボット制御用に構成されている。他の種類の手動及びロボット制御も可能である。例えば、医療用器具は、手動4方向偏向制御及びロール制御を可能にする手動制御、並びにロボット4方向偏向制御及びロール制御を可能にするロボット制御用に構成することができる。別の例として、医療用器具は、手動2方向偏向制御及びロール制御を可能にする手動制御、並びにロボット2方向偏向制御及びロール制御を可能にするロボット制御用に構成することができる。
【0107】
B.手動及びロボット制御可能な医療用器具の例示的な実施形態
ここで、手動及びロボット制御可能な医療用器具の上記及び他の特徴を、図21A図25に示される実施形態を参照して説明する。これらの実施形態は例として提供され、本開示を限定することなく、本開示の原理を例示することを意図している。当業者は、本開示を考慮して、例示される実施形態の様々な修正が可能であることを理解するであろう。これらの修正は、本開示の範囲内であることが意図される。
【0108】
図21A図21Fは、手動及びロボット制御可能な医療用器具200の実施形態の様々な図を示す。以下により詳細に記載されるように、医療用器具200は、手動2方向偏向制御、手動ロール制御、ロボット4方向偏向制御、及びロボットロール制御用に構成されている。
【0109】
図21Aは、医療用器具200の斜視図を示す。図示されるように、医療用器具200は、器具ハンドル201(又は器具基部)と細長いシャフト203とを含む。細長いシャフト203は、医療処置中、患者に挿入するように構成されている。細長いシャフト203は、細長いシャフト203が患者の解剖学的構造を通ってナビゲート及び操縦され得るように、関節運動可能かつ制御可能であるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、細長いシャフト203は、尿道、尿管、胃腸管、食道、肺の気道(など)といった患者内腔に挿入され、そこを通って案内されるように構成されている、細く可撓性のある本体を備える。上述したように、細長いシャフト203内に又はその上にプルワイヤを含め、細長いシャフト203の関節運動を制御することができる。細長いシャフト203は、遠位端205と近位端207との間を延在し得る。遠位端205は、患者に挿入されるように構成され得る。近位端207は、器具ハンドル201に取り付けられ得る。細長いシャフト203は、遠位端205に送達するために追加の器具又はツールが通過できる作業チャネル(図示せず)を含むことができる。医療用器具200は、作業チャネルへのアクセスを可能にするように構成されている作業チャネル入口ポート209を含み得る。
【0110】
器具ハンドル201は、図21B及び図21Cにより詳細に示される。図21Bは、器具ハンドル201の第1の側面図(例えば、正面図)を示し、図21Cは、器具ハンドル201の第2の側面図(例えば、背面図)を示す。器具ハンドル201は、医療用器具200の手動制御及びロボット制御の両方を可能にするように構成されている。例えば、器具ハンドル201を、物理的に保持し、手動で操作して手動制御を提供する、及び、器具駆動機構(以下の図22A図22C参照)に取り付けてロボット制御を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、滅菌アダプタを器具ハンドル201と器具駆動機構との間に位置付け、医療処置中に滅菌野を維持することができる。
【0111】
図21A図21Cに示されるように、器具ハンドル201はハウジング211を含む。ハウジング211は、前面213(図21B)及び背面215(図21C)を含む。図示されるように、ハウジング211はまた、凹部又は切欠き217を含むように成形することができる。切欠き217は、器具ハンドル201の人間工学的形状を提供するように構成され得る。例えば、切欠き217は、手動制御中に器具ハンドル201をより容易に又は快適に保持することを可能にできる。代替的に又は追加的に、切欠き217は、図22A図22Cを参照して以下で説明するように、器具駆動機構上の1つ以上の未使用のロボット駆動出力部へのアクセスを提供(又はブロックしない)できる。図27に示されるように、これにより、2つ以上の医療用器具(例えば、2つの医療用器具)を単一の器具駆動機構に接続することを可能にでき、器具駆動機構を使用して2つ以上の医療用器具を駆動できる。次いで、切欠き217によって露出されたままのロボット駆動出力部を使用して、処置中に追加の器具又はツールを制御することができる。
【0112】
図21A図21Cは、器具ハンドル201が手動駆動入力部219を含み得ることを示す。図示される実施形態では、手動駆動入力部219はレバーとして構成されているが、スライダ又はホイールなどの他の機械的構造が可能である。以下でより詳細に説明するように、手動駆動入力部219は、医療用器具200の手動2方向偏向制御を提供するように構成されている。図示される実施形態では、手動駆動入力部219は、矢印221によって示される方向で前後に操作又は回転されるように構成されている(図21B)。手動駆動入力部219を第1の方向に移動させると、細長いシャフト203の第1の関節運動方向への関節運動を引き起こすことができ、手動駆動入力部219を第2の方向(第1の方向とは反対)に移動させると、細長いシャフト203の第2の関節運動方向への関節運動を引き起こすことができる。第1及び第2の関節運動方向は、実質的に反対(例えば、上下)であってもよいが、これは全ての実施形態ではそうである必要はない。
【0113】
例示される実施形態では、器具ハンドル201はまた、手動ロール入力部223を含む。図21Aに示されるように、細長いシャフト203の遠位端207は、手動ロール入力部223に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、細長いシャフト203は、手動ロール入力部223を通ってハウジング211内へと延在する。手動ロール入力部223は、細長いシャフト203の器具ハンドル201に対する回転を可能にするように構成されている。図示されるように、手動ロール入力部223は、ハウジング211に対して回転できるツイスタ又は回転可能なハンドル又は把持部であり得る。例えば、手動ロール入力部223は、矢印225によって示される方向に回転することができる。いくつかの実施形態では、手動ロール入力部223は時計回り及び反時計回りの両方向に回転する。手動ロール入力部223の回転が細長いシャフト203の回転を引き起こすように、細長いシャフト203は手動ロール入力部223に対して回転可能に固定され得る。細長いシャフト203の回転は、手動ロール入力部223の対応する運動と同じ方向であり、それと等しくすることができるが、これは全ての実施形態ではそうである必要はない。
【0114】
器具ハンドル201の背面図を示す図21Cを参照すると、医療用器具200は複数のロボット駆動入力部227を含む。図示される実施形態では、医療用器具200は3つのロボット駆動入力部227を含むが、他の実施形態では、他の数のロボット駆動入力部227が使用されてもよい。ロボット駆動入力部227は、器具ハンドル201が器具駆動機構に取り付けられたときに、器具駆動機構上の対応するロボット駆動出力部と係合するように構成されている。例示的なロボット駆動出力部及び器具駆動機構を図15図17(前述)及び図22A及び図22B(後述)に示す。器具駆動機構のロボット駆動出力部は、ロボット駆動入力部227に係合し、トルクを伝達し、それを回転させる。いくつかの実施形態では、ロボット駆動入力部227のそれぞれは、時計回り及び反時計回りの両方向に回転可能である。図示される実施形態では、ロボット駆動入力部227は溝付き又はキー付きの凹部として構成され、突出スプラインとして構成されるロボット駆動出力部と係合するように構成されている。ロボット駆動出力部は、モータによって駆動され時計回り及び反時計回り方向に回転することができる。ロボット駆動出力部がロボット駆動入力部227と係合すると、ロボット駆動入力部はロボット駆動入力部227に回転運動を伝達する。いくつかの実施形態では、ロボット駆動出力部はロボット駆動入力部227を駆動する。いくつかの実施形態では、この構成は逆であってもよく、又はロボット駆動入力部及び出力の他の種類及び構成を使用することができる。
【0115】
上述したように、医療用器具200の図示された実施形態は、ロボット4方向偏向制御及びロボットロール制御用に構成されている。この実施形態では、ロボット駆動入力部227のうちの2つが偏向制御用に構成され、ロボット駆動入力部227のうちの別のおものがロール制御用に構成される。偏向制御用に構成されているロボット駆動入力部227のうちの2つのそれぞれは、2方向偏向制御を可能にでき、これにより、一緒になって4方向偏向制御を達成することができる。
【0116】
図示される実施形態では、第1のロボット駆動入力部227a及び第2のロボット駆動入力部227bはそれぞれ、医療用器具200の4方向偏向制御が可能であるように、2方向偏向制御を提供するように構成されている。例えば、第1のロボット駆動入力部227aを第1の回転方向(例えば、時計回り)に回転させると、細長いシャフト203の第1の関節運動方向への関節運動を提供することができ、ロボット駆動入力部227aを第2の回転方向(例えば、反時計回り)に回転させると、細長いシャフト203の第2の関節運動方向への関節運動を提供することができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の関節運動方向は、実質的に反対(例えば、上下)であってもよいが、これは全ての実施形態ではそうである必要はない。第2のロボット駆動入力部227bを第1の回転方向(例えば、時計回り)に回転させると、細長いシャフト203の第3の関節運動方向への関節運動を提供することができ、ロボット駆動入力部227bを第2の回転方向(例えば、反時計回り)に回転させると、細長いシャフト203の第4の関節運動方向への関節運動を提供することができる。いくつかの実施形態では、第3及び第4の関節運動方向は、実質的に反対(例えば、左右)であってもよいが、これは全ての実施形態ではそうである必要はない。更に、いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び第4の関節運動は、実質的に直交する方向であり得る。
【0117】
以下でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、第1のロボット駆動入力部227aの作動は、手動駆動入力部の作動として細長いシャフト203の同じ関節運動を引き起こすように構成されている。例えば、第1のロボット駆動入力部227a及び手動駆動入力部219の両方は、細長いシャフト203を上下方向に関節運動させるように構成することができる。これは、図21D図21Fを参照して説明されるように、第1のロボット駆動入力部227a及び手動駆動入力部219の両方は、器具ハンドル201のハウジング211内の同じ関節運動機構(例えば、第1のプーリーアセンブリ229)に接続され得る。いくつかの実施形態では、手動駆動入力部219によって提供される2方向偏向制御は、第1のロボット駆動入力部227aによって提供される2方向偏向制御と同じである。
【0118】
図21A図21Cに示されるように、医療用器具200の器具ハンドル201はまた、医療用器具200への電気的及び/又は視覚的接続を提供するためのコネクタ231を含むことができる。図示される実施形態では、コネクタ231は、タワーにおいてコネクタにつながる、アンビリカルケーブルのストレインリリーフとして示されている。図21Cは、背面215が、器具ハンドル201を器具駆動機構に方向付け、固定するための1つ以上のラッチ機構233を含み得ることを示す。
【0119】
図21D図21Fは、器具ハンドル201の内部構成要素の一部を示す。図21Dは、内部構成要素を見せるために、ハウジング211が透明で示された器具ハンドル201の第1の側面図を示す。示されるように、2つのプーリーアセンブリである第1のプーリーアセンブリ229及び第2のプーリーアセンブリ235は、ハウジング211内に位置付けられている。この実施形態では、第1のプーリーアセンブリ229及び第2のプーリーアセンブリ235のそれぞれは、細長いシャフトの4つの関節運動方向のうちの2つに関連付けられる。いくつかの実施形態では、関節運動の各平面(例えば、上下又は左右)は、1つのプーリーアセンブリに関連され得る。例えば、細長いシャフト203の上下関節運動は第1のプーリーアセンブリ229に関連付けられてもよく、細長いシャフト203の左右関節運動は第2のプーリーアセンブリ235に関連付けられてもよい。
【0120】
図示される実施形態では、第1のプーリーアセンブリ229は第1のロボット駆動入力部227aに回転可能に連結され、第2のプーリーアセンブリ235は第2のロボット駆動入力部227bに回転可能に連結されている。したがって、第1のロボット駆動入力部227aの回転は第1のプーリーアセンブリ229の対応する回転を引き起こすことができ、第2のロボット駆動入力部227bの回転は第2のプーリーアセンブリ229の対応する回転を引き起こすことができる。上述のように、第1のプーリーアセンブリ229の回転は細長いシャフト203の上下方向の関節運動を引き起こすことができ、第2のプーリーアセンブリ235の回転は細長いシャフト203の左右方向の関節運動を引き起こすことができる。したがって、いくつかの実施形態では、ロボット4方向偏向制御は、第1及び第2のロボット駆動入力部227a、227b、並びに第1及び第2のプーリーアセンブリ229、235によって達成され得る。あるいは、4つの別個のプーリーを、4つの対応するロボット駆動入力部と共に使用することができる。
【0121】
図21Fに示されるように、手動偏向入力部219を使用して第1のプーリーアセンブリ229を回転できるように、手動偏向入力部219をまた第1のプーリーアセンブリ229に回転可能に連結することもできる。上述のように、第1のプーリーアセンブリ229の回転は、細長いシャフト203の上下方向への関節運動を引き起こすことができる。したがって、図示される実施形態では、手動駆動入力部219及び第1のロボット駆動入力部227aの両方は、それぞれ第1のプーリーアセンブリ229に回転可能に連結されており、その結果、両方が、細長いシャフト203の例えば上下方向への関節運動を引き起こすことができる。図示される実施形態では、手動駆動入力部219は、第1のプーリーアセンブリ229に強固に取り付けられたレバーとして構成されている。例えば、図21Fに示されるように、手動駆動入力部219の端部237は、第1のプーリーアセンブリ229のシャフト239に取り付けられる。したがって、手動駆動入力部219の任意の動きは、第1のプーリーアセンブリ229に直接伝達され得る。したがって、医療用器具200は、手動2方向偏向制御(手動駆動入力部219による)及び4方向偏向制御(第1及び第2のロボット駆動入力部227a、227bによる)を行うように構成されている。
【0122】
図示される実施形態では、第2のプーリーアセンブリ235は、第2のロボット駆動入力部227bでのみ関節運動可能である。いくつかの実施形態では、第2の手動駆動入力部(図示せず)は、第2のプーリーアセンブリ235に回転可能に連結されて、細長いシャフトの、例えば左右方向への手動制御を更に可能にできる。
【0123】
例示的な第1のプーリーアセンブリ229は、図21Eの分解図で例示されている。いくつかの実施形態では、第2のプーリーアセンブリ235は同様であってもよい。図示されるように、第1のプーリーアセンブリ229は、第1のプーリー241と第2のプーリー243とを備える。第1のプーリー241は、第1のプーリー241とシャフト239とが一緒に回転するように、第1のプーリーアセンブリ229のシャフト239に固定的に取り付けられるか、ないしは別の方法で取り付けられてもよい。第2のプーリー243は、シャフト239に取り外し可能に取り付け可能であるように構成され得る。取り付けられると、第2のプーリー243及びシャフト239(並びに第1のプーリー241)は、全て一緒に回転することができる。図示される実施形態では、シャフト239は、第2のプーリー243上のキー付き部分247と係合するように構成されているキー付き部分245を含む。キー付き部分245は、キー付き部分247と係合して、第2のプーリー243をシャフト239に回転可能に連結するように構成されている。いくつかの実施形態では、キー付き部分245は、複数の異なる回転位置においてキー付き部分247と係合するように構成されており、これにより、第2のプーリー243の回転位置は、第1のプーリー241の回転位置に対して調節され、設定される。いくつかの実施形態では、キー係合は、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45度の回転増分での、第1のプーリーに対する第2のプーリー243の回転調節を可能にする。
【0124】
図21Eに図示されるように、シャフト239の1つの端部は、第1のロボット駆動入力部227aに接続され得る。したがって、第1のロボット駆動入力部227aの回転は、第1のプーリー241及び第2のプーリー243の両方の回転を含む第1のプーリーアセンブリ229の回転を引き起こすように構成されてもよい。図21Fに図示されるように、シャフト239の反対側の端部はまた、手動駆動入力部219に接続され得る。したがって、手動駆動入力部219の回転はまた、第1のプーリー241及び第2のプーリー243の両方の回転を含む第1のプーリーアセンブリ229の回転を引き起こすように構成されてもよい。
【0125】
上述したように、医療用器具200は、細長いシャフト203を関節運動させるためのプルワイヤを含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つのプルワイヤは、細長いシャフト203の関節運動の各方向に関連付けることができる。いくつかの実施形態では、4方向偏向制御が可能であるように、医療用器具200は4本のプルワイヤを含む。そのような場合、例えば、第1のプルワイヤは、上方向への偏向と関連付けることができ、第2のプルワイヤは、下方向への偏向と関連付けることができ、第3のプルワイヤは、右方向への偏向に関連付けることができ、第4のプルワイヤは、左方向の偏向に関連付けることができる。プルワイヤは、第1及び第2のプーリーアセンブリ229、235と細長いシャフト203の遠位端205との間に延在することができる。遠位端205において、プルワイヤを細長いシャフト203の遠位端205に接続することができる。
【0126】
第1及び第2のプーリーアセンブリ229、235では、プルワイヤのそれぞれは、2つのプーリーアセンブリのプーリーのうちの1つに巻かれるか、包むか、ないしは別の方法で取り付けられるか、又は接続されてもよい。例えば、図21Eに示されるような第1のプーリーアセンブリ229を考慮すると、第1のプルワイヤ(例えば、上向き偏向に関連する)を第1のプーリー241上に巻いてもよく、第2のプルワイヤ(例えば、下向き偏向に関連する)を第2のプーリー243上に巻いてもよい。第1のプルワイヤを、第1のプーリー241上に第1の方向(例えば、時計回り)に巻いてもよく、第2のプルワイヤを、第2のプーリー243上に第2の反対方向(例えば、反時計回り)に巻いてもよい。これにより、第1のプーリーアセンブリ229の回転が、第1のプーリーアセンブリ229が回転する方向に応じて、第1のプルワイヤ(例えば、上向き偏向を引き起こす)又は第2のプルワイヤ(例えば、下向き偏向を引き起こす)のいずれかを引くことができる。第3の及び第4のプルワイヤを、同様に、例えば、左右の偏向制御のために、第2のプーリーアセンブリ235のプーリー上に巻いてもよい。このプルワイヤの配置の例は図21Dに示されており、これは、第1のプーリーアセンブリ229上に反対方向に巻かれた第1のプルワイヤ249及び第2のプルワイヤ251、並びに、第2のプーリーアセンブリ235上に反対方向に巻かれた第3のプルワイヤ253及び第2のプルワイヤ255を示す。
【0127】
いくつかの実施形態では、プルワイヤは、プルワイヤ張力の微調整を可能にする調節可能なストッパ257に配線される。キー付き部分245、247のキー係合機構を使用して、第2のプーリー243を第1のプーリー241に対して選択的に回転して位置付けることによって、プルワイヤ張力の大まかな調節が可能である。いくつかの実施形態では、ばねを追加的に又は代替的に使用して、各プルワイヤに張力を加えることができる。いくつかの実施形態では、コイルパイプ(図示せず)は、調節可能なストッパ257から細長いシャフト203を通って遠位端205まで延在する。プルワイヤ及びコイルパイプは、細長いシャフト203のロールを可能にするためのサービスループ(例えば、余長)を含むことができる。いくつかの実施形態では、サービスループは、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、又は少なくとも360度の両方の回転方向への細長いシャフトのロールを可能にする。いくつかの実施形態では、プルワイヤは、細長いシャフト203内に編組された、ないしは別の方法で形成されたルーメンを通って延在することができる。
【0128】
図21Dで最も良く分かるように、例示される実施形態では、ロボットシャフトロールは、第1のベベルギヤ259及び第2のベベルギヤ261によって達成され得る。第1のベベルギヤ259は、第3のロボット駆動入力部227c(図21C)に取り付けられてもよく、これにより、第3のロボット駆動入力部227の回転が、第1のベベルギヤ259の回転を引き起こすことができる。第2のベベルギヤ261は、細長いシャフト203の近位端207に取り付けられてよく、これにより、第2のベベルギヤ261の回転が、器具ハンドル201に対する細長いシャフト203の回転を引き起こすことができる。第1及び第2のベベルギヤ259、261は、第3のロボット駆動入力部227cの回転運動を細長いシャフト203に伝達するように係合され得る。第3のロボット駆動入力部227cの回転運動を細長いシャフト203に伝達するための他の方法及び機構も可能である。いくつかの実施形態では、細長いシャフト203がロールすると、近位端207及び遠位端205の両方に固定されるとき、内部構成要素(コイルパイプ、プルワイヤ、電線、及び光ファイバなど)のねじれが可能になる。内部構成要素のねじれは、細長いシャフト203の長さの全体にわたって達成することができ、近位及び遠位終端に加えられる結果として生じる力/トルクを最小化する。
【0129】
したがって、図21A図21Fに示される医療用器具200は、手動2方向偏向制御、手動ロール制御、ロボット4方向偏向制御、及びロボットロール制御用に構成され得る。
【0130】
図22A図22Cは、器具駆動機構300の実施形態に取り付けられた医療用器具200の器具ハンドル201の図を示す。図22Aは斜視図であり、図22Bは上面図であり、図22Cは側面図である。医療用器具200の細長いシャフト203は、これらの図には図示されていない。器具駆動機構300は、器具ハンドル201が取り付けられ得る遠位面302を含むことができる。いくつかの実施形態では、別個のアダプタ(滅菌アダプタ303など)は、器具ハンドル201と器具駆動機構300との間に位置付けられ得る。滅菌アダプタは、器具ハンドル201と器具駆動機構300との間に無菌的境界を提供することができる。遠位面302は、その上に位置付けられているロボット駆動出力部304を含むことができる。ロボット駆動出力部304のうちの1つ以上は、器具ハンドル201のロボット駆動入力部227(図21C)を係合することができる。図22A図22Cに示されるように、器具ハンドル201の切欠き217は、ロボット駆動出力部304のうちの1つ以上を露出させることができる。したがって、露出したロボット駆動出力部304は、他の医療用器具又は器具に接続されるようにアクセス可能なままであり得る。器具駆動機構300は、例えば図15に示されるようにロボット駆動出力部304を駆動するための1つ以上のモータを含むことができる。図示される実施形態では、ロボット駆動出力部304は、突出したスプラインとして構成される。器具駆動機構300の近位端306は、例えば図16及び図17に示されるように、ロボットアーム又は他の器具位置決め装置に取り付けるように構成することができる。
【0131】
図27は、2つの医療用器具(例えば、医療用器具200及び別の器具又は医療用器具700)が、単一の器具駆動機構300と係合し、それによって駆動されるように構成され得ることを示す。図示される実施形態では、器具駆動機構300は、4つのロボット駆動出力部304を含むが、他の数の駆動出力部が可能である。ロボット駆動出力部304は、2つの医療用器具200、700上の対応するロボット駆動入力部に係合するように構成され得る。例えば、駆動出力部304の一部は、医療用器具200上の駆動入力部に係合することができ、駆動出力部304の一部は、医療用器具700上の駆動入力部に係合することができる。これにより、器具駆動機構300が両方の医療用器具200、700を駆動することを可能にできる。図示されるように、医療用器具200、700は、器具駆動機構300上に並んで配置されてもよく、又は第2の医療用器具700は、上述したように、第1の医療用器具200の切欠き217内に位置付けられ得る。医療用器具200、700は、本明細書に記載される医療用器具又は器具のいずれかであり得る。
【0132】
図27に示されるように、ロボット医療用システムは、第1の医療用器具200と、第2の医療用器具700と、器具駆動機構300とを含み得る。第1の医療用器具200は、第1の器具ハンドル又は基部201と、器具基部201から延在する細長いシャフト203とを含み得る。器具基部201は、少なくとも1つの第1のロボット駆動入力部(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のロボット駆動入力部)を含み得る。第2の医療用器具700(又は他の器具)はまた、第2の器具基部701と、少なくとも1つの第2のロボット駆動入力部(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のロボット駆動入力部)とを含み得る。器具駆動機構300は、第1の医療用器具200の第1の器具基部201及び第2の医療用器具700の第2の器具基部701と係合され得る。少なくとも1つの第1のロボット駆動出力部304は、第1の医療用器具200の少なくとも1つの第1のロボット駆動入力部と係合され、かつこれを駆動するように構成されてもよく、少なくとも1つの第2のロボット駆動出力部304は、第2の医療用器具700の少なくとも1つの第2のロボット駆動入力部と係合され、かつ駆動するように構成されてもよい。このようにして、器具駆動機構300は、両方の医療用器具300を駆動することができる。例えば、器具駆動機構300は、例えば、医療用器具200、700の関節運動(器具が関節運動可能である場合)を引き起こし、又は、医療用器具の任意の他のロボット制御可能な機構又は機能を実行若しくは作動させることができる。
【0133】
器具駆動機構300は、ロボットアーム上に位置付けすることができる。ロボットアームは、器具駆動機構300を移動させて、第1の医療用器具200及び第2の医療用300器具を同時に再位置付けするように構成され得る。
【0134】
図27に示されるシステムの使用中、器具駆動機構300のロボット駆動出力部304が第1の器具基部201の第1のロボット駆動入力部を係合するように、第1の医療用器具200の第1の器具基部201を器具駆動機構300に取り付けることができる。第1の器具基部201は、ロボット駆動出力部304のうちの1つ以上が露出したままであるように構成され得る。器具駆動機構300のロボット駆動出力部304が第2の器具基部701のロボット駆動入力部を係合するように、第2の医療用器具700の第2の器具基部701を器具駆動機構300に取り付けることができる。システム(又はシステムの操作者)は、次いで、器具駆動機構300を用いて、第1の医療用器具200及び/又は第2の医療用器具700を作動させることができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、図22A図22Cに示されるように、器具ハンドル201が器具駆動機構300に取り付けられると、手動駆動入力部219及び手動ロール入力部223は露出して、アクセス可能なままである。
【0136】
いくつかの実施形態では、器具200は、器具ハンドル201の器具駆動機構300への接続が手動駆動入力部219の係合解除を引き起こすように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、器具ハンドル201を器具駆動機構300に接続する前に、手動駆動入力部219をプーリーアセンブリ229に動作可能に接続し、それにより、手動駆動入力部219が作動されて上述の器具200の関節運動を引き起こすことができる。いくつかの実施形態では、器具ハンドル201が器具駆動機構300に接続された後、手動駆動入力部219はプーリーアセンブリ229から係合解除され、それにより、器具ハンドル201が器具駆動機構300に接続されている間、手動駆動入力部219が器具200の関節運動に使用できない。
【0137】
いくつかの実施形態では、器具ハンドル201の器具駆動機構300への接続は、手動駆動機構の係合解除を引き起こす。係合解除は自動であってもよい。例えば、器具駆動機構300のロボット出力部304を器具ハンドル201のロボット入力部227に挿入することにより、例えば、手動駆動入力部219の端部237をプーリーアセンブリ229のシャフト239から係合解除することによって係合解除を引き起こすことができる(図21F参照)。別の実施形態では、クラッチ機構は、手動駆動入力部219とプーリーアセンブリ229及び/又はロボット駆動入力部227との間に位置付けられてもよい。器具ハンドル201を器具駆動機構300に接続することにより、クラッチ機構を係合解除することができる。いくつかの実施形態では、手動駆動入力部219を係合解除するためにユーザが作動可能なユーザ入力部が含まれ得る。いくつかの実施形態では、器具200が器具駆動機構300から取り外されたときに手動駆動入力部219を再係合することができる。
【0138】
図23A図23Hは、手動及びロボット制御可能な医療用器具400の別の実施形態の様々な図を示す。以下により詳細に記載されるように、医療用器具400は、手動2方向偏向制御、手動ロール制御、ロボット4方向偏向制御、及びロボットロール制御用に構成されている。
【0139】
図23Aは、医療用器具400の斜視図を示す。医療用器具200と同様のいくつかの点において、医療用器具400は、器具ハンドル401と細長いシャフト403とを含む。細長いシャフト403は、遠位端405と近位端407との間を延在し得る。遠位端405は、患者に挿入されるように構成され得る。近位端407は、器具ハンドル401に取り付けられ得る。細長いシャフト403は、作業チャネル(例えば、第2のベベルギヤ461を通る、図23D参照)と、作業チャネルへのアクセスを可能にするように構成されている入口ポート409とを含み得る。
【0140】
器具ハンドル401は、図23B及び図23Cにより詳細に示される。図23Bは、器具ハンドル401の第1の側面図(例えば、正面図)を示し、図23Cは、器具ハンドル401の第2の部分側面図(例えば、部分背面図)を示す。医療用器具200と同様のいくつかの点において、器具ハンドル401は、医療用器具400の手動制御及びロボット制御の両方を可能にするように構成されている。図23A図23Cに示されるように、器具ハンドル401はハウジング411を含む。ハウジング411は、前面413(図23B)及び背面415(図23C)を含む。
【0141】
器具ハンドル401は、手動駆動入力部419を含み得る。図示される実施形態では、手動駆動入力部419はスライダとして構成されている。後述するように、手動駆動入力部419は、医療用器具400の手動2方向偏向制御を提供するように構成され得る。図示される実施形態では、手動駆動入力部419は、矢印421によって示される方向でハウジング411に沿って前後に操作又は摺動されるように構成されている(図23B)。
【0142】
例示される実施形態では、器具ハンドル401はまた、手動ロール入力部423を含む。図23Aに示されるように、細長いシャフト403の遠位端405は、手動ロール入力部423に取り付けられ得る。手動ロール入力部423は、細長いシャフト403の器具ハンドル401に対する回転を可能にするように構成されている。図示されるように、手動ロール入力部423は、ハウジング411に対して回転できるツイスタ又は回転可能なハンドル又は把持部であり得る。例えば、手動ロール入力部423は、矢印425によって示される方向に回転することができる。
【0143】
器具ハンドル401の背面図を示す図23Cを参照すると、医療用器具400は、上記ロボット駆動入力部227と同様の複数のロボット駆動入力部427を含む。図示される実施形態では、医療用器具400は3つのロボット駆動入力部427を含むが、他の実施形態では、他の数のロボット駆動入力部427が使用されてもよい。ロボット駆動入力部427は、器具ハンドル401が器具駆動機構に取り付けられたときに、器具駆動機構上の対応するロボット駆動出力部と係合するように構成されている。例示的なロボット駆動出力部及び器具駆動機構を図15図17及び図22A及び図22B(後述及び前述)に示す。ロボット駆動入力部427は、上述のようにロボット駆動出力部に係合し、ロボット駆動出力部とロボット駆動入力部427との間で回転運動を伝達することができる。図示される実施形態では、第1のロボット駆動入力部427a及び第2のロボット駆動入力部427bはそれぞれ、上述のように医療用器具400の4方向偏向制御が可能であるように、2方向偏向制御を提供するように構成されている。医療用器具200と同様のいくつかの点において、いくつかの実施形態では、第1のロボット駆動入力部427aの作動は、手動駆動入力部419の作動として細長いシャフト403の同じ関節運動を引き起こすように構成されている。
【0144】
図23A図23Cに示されるように、医療用器具400の器具ハンドル401はまた、医療用器具400への電気的及び/又は視覚的接続を提供するためのコネクタ431を含むことができる。器具ハンドル401はまた、器具ハンドルを器具駆動機構に方向付け、固定するための1つ以上のラッチ機構を含み得る。
【0145】
図23D図23Hは、器具ハンドル401の内部構成要素の一部を示す。図23D及び図23Eは、内部構成要素を見せるためにハウジング411の前面が取り除かれた、器具ハンドル401の第1の側面図及び斜視図をそれぞれ示す。示されるように、2つのプーリーアセンブリである第1のプーリーアセンブリ429及び第2のプーリーアセンブリ435は、ハウジング411内に位置付けられている。上述のように、第1のプーリーアセンブリ429及び第2のプーリーアセンブリ435のそれぞれは、細長いシャフト403の4つの関節運動方向のうちの2つに関連付けられ得る。例えば、細長いシャフト403の上下関節運動は第1のプーリーアセンブリ429に関連付けられてもよく、細長いシャフト403の左右関節運動は第2のプーリーアセンブリ435に関連付けられてもよい。
【0146】
例示的な第1のプーリーアセンブリ429は、図23Fの分解図で例示されている。いくつかの実施形態では、第2のプーリーアセンブリ435は同様であってもよい。図示されるように、第1のプーリーアセンブリ429は、第1のプーリー441と第2のプーリー443とを備える。第2のプーリー443は、第1のプーリー441に取り外し可能に取り付け可能であるように構成され得る。取り付けられると、第2のプーリー443及び第1のプーリー441は、一緒に回転することができる。図示される実施形態では、第1のプーリー441は、第2のプーリー443上のキー付き部分447と係合するように構成されているキー付き部分445を含む。キー付き部分445は、キー付き部分447と係合して、前述と同様の方法で第2のプーリー443を第1のプーリー441に回転可能に連結するように構成されている。第1のプーリーアセンブリ429はまた、第1のプーリーアセンブリ429を手動駆動入力部419に連結することができるシャフト439を受容するためのキー付き開口部463を含むことができる。
【0147】
図23F及び図23Hに図示されるように、第1のプーリー429の1つの端部は、第1のロボット駆動入力部427aに接続され得る。したがって、第1のロボット駆動入力部427aの回転は、第1のプーリー441及び第2のプーリー443の両方の回転を含む第1のプーリーアセンブリ429の回転を引き起こすように構成されてもよい。図23G及び図23Hで最も良く分かるように、第1のプーリー429の反対側の端部も、手動駆動入力部419に接続され得る。したがって、手動駆動入力部419の関節運動はまた、第1のプーリー441及び第2のプーリー443の両方の回転を含む第1のプーリーアセンブリ429の回転を引き起こすように構成されてもよい。
【0148】
図23G及び図23Hに示されるように、手動偏向入力部419を使用して第1のプーリーアセンブリ429の回転を引き起こし得るように、手動偏向入力部419を第1のプーリーアセンブリ429に連結することができる。したがって、図示される実施形態では、手動駆動入力部419及び第1のロボット駆動入力部427aの両方は、それぞれ第1のプーリーアセンブリ429に連結されており、その結果、両方が、細長いシャフト403の例えば上下方向への関節運動を引き起こすことができる。
【0149】
図示される実施形態では、手動駆動入力部419は、例えば、図23G及び図23Hに示されるように、ギヤ及びリンクの配置を介して第1のプーリーアセンブリ429に取り付けられるスライダとして構成されている。図示されるように、この構成は、手動駆動入力部419、中間リンク465、関節運動駆動ギヤ467、関節運動従動ギヤ469、シャフト439、及び第1のプーリーアセンブリ429を含み得る。手動駆動入力部419でのトルク入力(例えば、手動駆動入力部419を前後にスライドさせることによって)は、中間リンク465、関節運動駆動ギヤ467、関節運動従動ギヤ469、及びシャフト439を通って第1のプーリーアセンブリ429に伝達され得る。関節運動ストローク及び感度は、関節運動駆動ギヤ467及び関節運動従動ギヤ469の適切なサイズ決定によって調整することができる。いくつかの実施形態では、任意の電子部品を隔離するために、軸受部及び封止部を含めることができる。
【0150】
図示される実施形態では、第2のプーリーアセンブリ435は、第2のロボット駆動入力部427bでのみ関節運動可能である。いくつかの実施形態では、第2の手動駆動入力部(図示せず)は、第2のプーリーアセンブリ435に回転可能に連結されて、細長いシャフトの、例えば左右方向への手動制御を更に可能にできる。
【0151】
医療用器具400は、細長いシャフト403を関節運動させるためのプルワイヤを含んでもよい。医療用器具200と同様に、プルワイヤは、第1及び第2のプーリーアセンブリ429、435と細長いシャフト403の遠位端405との間に延在することができる。プルワイヤを細長いシャフト203の遠位端405に接続することができる。第1及び第2のプーリーアセンブリ429、435では、プルワイヤのそれぞれは、2つのプーリーアセンブリのプーリーのうちの1つに、上記のように反対方向に巻かれるか、包むか、ないしは別の方法で取り付けられるか、又は接続されてもよい。このプルワイヤの配置の例は図23D及び図23Eに示されており、これは、第1のプーリーアセンブリ429上に反対方向に巻かれた第1のプルワイヤ449及び第2のプルワイヤ451、並びに、第2のプーリーアセンブリ435上に反対方向に巻かれた第3のプルワイヤ453及び第2のプルワイヤ455を示す。
【0152】
前述と同様に、いくつかの実施形態では、プルワイヤは、プルワイヤ張力の微調整を可能にする調節可能なストッパ457に配線される。キー付き部分445、447のキー係合機構を使用して、第2のプーリー443を第1のプーリー441に対して選択的に回転して位置付けることによって、プルワイヤ張力の大まかな調節が可能である。いくつかの実施形態では、ばねを追加的に又は代替的に使用して、各プルワイヤに張力を加えることができる。いくつかの実施形態では、コイルパイプ(図示せず)は、調節可能なストッパ457から細長いシャフト403を通って遠位端405まで延在する。プルワイヤ及びコイルパイプは、上述のように、細長いシャフト403のロールを可能にするためのサービスループ(例えば、余長)を含むことができる。
【0153】
図23Dで最も良く分かるように、例示される実施形態では、上記と同様の方法で、ロボットシャフトロールは、第1のベベルギヤ459及び第2のベベルギヤ461によって達成され得る。したがって、図23A図23Hに示される医療用器具400は、手動2方向偏向制御、手動ロール制御、ロボット4方向偏向制御、及びロボットロール制御用に構成され得る。
【0154】
図24A図24Eは、手動及びロボット制御可能な医療用器具500の別の実施形態の様々な図を示す。以下により詳細に記載されるように、医療用器具500は、手動2方向偏向制御、及びロボット4方向偏向制御用に構成されている。いくつかの実施形態では、医療用器具500全体を手動又はロボットによりロールさせることによって、ロール制御を達成することができる。
【0155】
図24Aは、医療用器具500の斜視図を示す。医療用器具200及び300と同様のいくつかの点において、医療用器具500は、器具ハンドル501と細長いシャフト503とを含む。細長いシャフト503は、遠位端505と近位端507との間を延在し得る。遠位端505は、患者に挿入されるように構成され得る。近位端507は、器具ハンドル501に取り付けられ得る。細長いシャフト503は、作業チャネルへのアクセスを可能にするように構成されている作業チャネル及び入口ポート509を含み得る。
【0156】
器具ハンドル501は、器具ハンドル501の詳細な斜視図を示す、図24Bでより詳細に示されている。図24A及び図24Bに示されるように、器具ハンドル501はハウジング511を含む。器具ハンドル501は、手動駆動入力部519を含み得る。図示される実施形態では、手動駆動入力部519はレバーとして構成されている。手動駆動入力部519は、医療用器具500の手動2方向偏向制御を提供するように構成され得る。医療用器具500は、上述したロボット駆動入力部527と同様の複数のロボット駆動入力部527を含み得る。例示的なロボット駆動出力部及び器具駆動機構を図15~17及び図22A及び図22B(後述及び前述)に示す。ロボット駆動入力部527は、上述のようにロボット駆動出力部に係合し、ロボット駆動出力部とロボット駆動入力部527との間で回転運動を伝達することができる。図示される実施形態では、医療用器具500は4つのロボット駆動入力部527を含むが、他の実施形態では、他の数のロボット駆動入力部527が使用されてもよい。ロボット駆動入力部527は、器具ハンドル501が器具駆動機構に取り付けられたときに、器具駆動機構上の対応するロボット駆動出力部と係合するように構成されている。図示される実施形態では、ロボット駆動入力部527のそれぞれは、医療用器具500の4方向偏向制御が可能であるように、単一方向の偏向制御を提供するように構成されている。
【0157】
医療用器具500の器具ハンドル501はまた、医療用器具500への電気的及び/又は視覚的接続を提供するためのコネクタ531を含むことができる。器具ハンドル501はまた、器具ハンドル501を器具駆動機構に方向付け、固定するための1つ以上のラッチ機構533を含み得る。
【0158】
図24C図24Eの図では、ハウジング511が透明又は除去されて示され、器具ハンドル501の内部構成要素の一部を可視化している。図示される実施形態では、4方向ロボット関節運動は、4つのプーリー541を介して達成される(図24D及び図24E)。いくつかの実施形態では、各プーリー541は、4つの直交する偏向方向(例えば、上下、左、及び右)のそれぞれのうちの1つに関連付けられる。更に、駆動入力部527がプーリー541の回転を引き起こして細長いシャフト503の関節運動を引き起こすことができるように、各プーリー541は4つのロボット駆動入力部527のうちの1つに連結される。例えば、図24D及び図24Eに示されるように、各プーリー541は、ロボット駆動入力部527に接続された駆動ギヤ579と係合される、従動ギヤ577に連結されている。駆動ギヤ577及び従動ギヤ579は、図示されるように留め継ぎ又はベベルギヤであり得るが、他の構成も可能である。いくつかの実施形態では、最小プルワイヤ定張力は、駆動ギヤ579に係合されたねじりばね581を介して提供される。トルクは、駆動ギヤ577及び駆動ギヤ579を介してプーリー547に伝達され、プルワイヤ張力が印加される。
【0159】
プルワイヤ549は、図24Dのプーリー541に巻き付けられて示されている。プルワイヤは、プーリー541からコイルパイプ573を通って細長いシャフトの遠位端まで延在する。調節可能なストッパ557は、プルワイヤ張力を更に調節するために含まれ得る。
【0160】
図24Dで最も良く分かるように、プルワイヤ549のうち2本は、プーリー541と細長いシャフト503の遠位端507との間の手動関節運動プーリー571に係合することができる。いくつかの実施形態では、2本のプルワイヤ549は、1つの偏向面(例えば、上/下又は左/右)に対応する。いくつかの実施形態では、2本のプルワイヤは手動関節運動プーリー571の周囲を完全に包み込む。手動関節運動プーリー517と係合された2本のプルワイヤは、手動関節運動プーリー571上の特徴部と係合する中間終端(例えば、クリンプ)を含むことができる。手動駆動入力部519は、手動関節運動プーリー571に連結されて、2方向偏向制御を提供するための手動偏向プーリー571の回転を引き起こす。これにより、ハンドルがロボットに接続されていないときに手動駆動入力部519を介した手動関節運動を可能にできる。
【0161】
いくつかの実施形態では、医療用器具500は、手動及びロボット制御の両方のロール制御を提供することができる。いくつかの実施形態では、手動ロール制御は、医療用器具500全体(器具ハンドル501及び細長いシャフト503)を回転させることによって達成される。いくつかの実施形態では、ロボットロール制御は、医療用器具500全体(器具ハンドル501及び細長いシャフト503)を回転させるように構成されている器具駆動機構に医療用器具を取り付けることによって達成される。いくつかの実施形態では、追加のロール制御(例えば、医療用器具200及び400を参照して上述したものと同様の手動及びロボットロール制御を、医療用器具500に適用することができる。
【0162】
図25は、プーリー600上に巻かれたプルワイヤ602の断面図を示す。いくつかの実施形態では、プルワイヤ600と係合するプルワイヤ602の部分において、プルワイヤ602の直径を増加させて、プルワイヤ602がプーリーから係合離脱する可能性を低減することができる。図示されるように、これらの領域内のプルワイヤ602にシュリンクラップ又は他のコーティングの層を適用して、直径を増大させることができる。直径は、プルワイヤとハウジング608との間の間隙606の空間よりも大きくなるように十分に増加させてもよい。このようにして、プルワイヤ602をプーリー600上に保持することができる。これは、非常に細いプルワイヤを含む、上記の医療用器具において特に有利であり得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、医療用器具の手動制御を可能にするために器具ハンドルに取り付けるように構成された別個の手動インターフェースを提供することができる。いくつかの実施形態では、手動インターフェースは、この点以外は手動制御可能ではない医療用器具と協働するように構成されている。例えば、手動インターフェースは、手動制御を可能にするためにロボット駆動入力部(通常はロボット制御に使用される)に取り付け、作動させるように構成することができる。手動インターフェースは、手で操作できる1つ以上の手動駆動入力部を含むことができる。例えば、手動インターフェースは、手動駆動入力部(例えば、レバー、スライダ、ホイールなど)を連結することができ、これらは、手による操作が容易ではない場合がある、ロボット駆動入力部(例えば、スプラインタイプの回転カプラー)を手で操作するのに好適である。手動インターフェースが器具ハンドルに連結されると、医師は手動インターフェース上で1つ以上の手動駆動入力部を操作して医療用器具を手動で制御することができる。手動インターフェースが器具ハンドルから取り外されると、医療用器具をロボット制御できる器具駆動機構に、器具ハンドルを取り付けることができる。医師は、手動制御を所望するときに手動インターフェースをロボット駆動入力部に取り付け、手動インターフェースを取り外し、ロボット制御を所望するときにロボット駆動入力部をロボットで使用可能な医療用システムの器具駆動機構に取り付けることができる。
【0164】
C.手動及びロボット制御可能な医療用器具を制御するための例示的な方法
図26は、上述の医療用器具200、400、及び500などの手動及びロボット制御可能な医療用器具を制御するための例示的な方法600を示すフローチャートである。方法600はまた、手動及びロボット制御用に構成された他の医療用器具を用いて使用可能であり得る。
【0165】
方法600はブロック602で開始し、ここでは、医療用器具の器具ハンドル上の手動駆動入力部を手動作動し、医療用器具内のプーリーアセンブリを作動し、医療用器具の細長いシャフトの関節運動を制御する。
【0166】
手動駆動入力部を手動作動することは、手動駆動入力部を手動操作して、医療用器具の細長いシャフトの2方向偏向制御を提供することを含んでよい。手動駆動を手動作動することは、細長いシャフトをハンドルに対して手動回転して、細長いシャフトのロール制御を提供することを更に含んでよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、手動駆動入力部は、レバー、ホイール、又はスライダを含む。
【0168】
ブロック604において、方法600は、器具ハンドルを器具駆動機構に取り付けることを含む。器具ハンドルを器具駆動機構に取り付けることは、ロボット駆動入力部を器具駆動機構のロボット駆動出力部と係合させることを含んでもよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、係合されると、医療用器具が係合されている間に手動駆動入力部が依然として使用できるように、手動駆動入力部はユーザからアクセス可能であり得る。いくつかの実施形態では、手動駆動入力部はアクセス不可能であってもよく、又は医療用器具が器具駆動機構と係合されるときに使用できないように係合解除されてもよい。
【0170】
ブロック606において、方法600は、器具駆動機構を用いて器具ハンドル上のロボット駆動入力部をロボット作動して、プーリーアセンブリの関節運動を引き起こし、医療用器具の細長いシャフトの関節運動を制御することを含む。
【0171】
ロボット駆動入力部をロボット作動することは、ロボット駆動入力部をロボット操作して、医療用器具の細長いシャフトの4方向偏向制御を提供することを含んでよい。ロボット駆動入力部をロボット作動することは、ロボット駆動入力部をロボット操作して、医療用器具の細長いシャフトのロール制御を提供することを更に含んでよい。
【0172】
いくつかの実施形態では、ロボット駆動入力部は、器具駆動機構上の少なくとも3つのロボット駆動出力部と係合するように構成されている、少なくとも3つのロボット駆動入力部を含む。
【0173】
3.実施システム及び用語。
本明細書に開示される実施態様は、手動及びロボット制御可能な医療用器具に関連するシステム、方法、及び装置を提供する。上述のように、医療用器具は手動及びロボット駆動入力部によって制御することができ、手動及びロボットの両方での装置の使用を可能にする。
【0174】
本明細書で使用するとき、用語「連結する」、「連結している」、「連結された」、又は単語結合の他の変形は、間接的接続又は直接的接続のいずれかを示し得ることに留意されたい。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素に「連結される」場合、第1の構成要素は、別の構成要素を介して第2の構成要素に間接的に接続される、又は第2の構成要素に直接的に接続される、のいずれかであってもよい。
【0175】
本明細書に記載される特定のコンピュータ実装プロセス及び機能を参照する語句は、プロセッサ可読媒体又はコンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令として記憶されてもよい。用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を指す。一例として、限定するものではないが、このような媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、有形であり、非一時的であってもよいことに留意されたい。本明細書で使用するとき、用語「コード」は、コンピューティング装置又はプロセッサによって実行可能であるソフトウェア、命令、コード、又はデータを指してもよい。
【0176】
本明細書に開示される方法は、記載される方法を達成するための1つ以上のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、記載されている方法の適切な動作のために特定の順序のステップ又は行為が必要とされない限り、特許請求の範囲から逸脱することなく、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用を修正してもよい。
【0177】
本明細書で使用するとき、用語「複数」は、2つ以上を示す。例えば、複数の構成要素は、2つ以上の構成要素を示す。用語「判定する」は、多種多様な行為を包含し、したがって、「判定する」は、計算する、演算する、処理する、算出する、調査する、ルックアップする(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造を見ること)、確認することなどを含むことができる。また、「判定する」は、受け取る(例えば、情報を受信すること)、アクセスする(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判定する」は、解決する、選択する、選出する、確立するなどを含むことができる。
【0178】
語句「基づく」は、別途明示的に指定されない限り、「のみに基づく」ことを意味しない。換言すれば、語句「基づく」は、「のみに基づく」及び「少なくとも基づく」の両方を記載する。
【0179】
開示される実装形態の前述の説明は、任意の当業者が本発明を製造すること、又は使用することを可能にするために提供される。これらの実装形態に対する種々の修正は、当業者には容易に明らかになり、かつ、本明細書で規定される一般的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実装形様に適用され得る。例えば、当業者であれば、締結、装着、連結、又は係合ツール構成要素の均等の方法、特定の作動運動を生み出すための均等の機構、及び電気エネルギを送達するための均等の機構など、多くの対応する代替的かつ均等の構造的詳細を使用することができると理解されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に示される実装形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原則及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるものである。
【0180】
〔実施の態様〕
(1) 医療用器具であって、
遠位端と近位端との間に延在する細長いシャフトと、
前記細長いシャフト上又はその内部を延在する第1のプルワイヤであって、前記細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能である、第1のプルワイヤと、
前記細長いシャフトの前記近位端に接続された器具ハンドルであって、前記器具ハンドルは、器具駆動機構に取り付けられるように構成されており、
前記器具ハンドル内に位置付けられている第1のプーリーアセンブリであって、前記第1のプーリーアセンブリの回転が前記第1のプルワイヤを作動させて前記細長いシャフトの関節運動を引き起こすように、前記第1のプルワイヤが前記第1のプーリーアセンブリ上に位置付けられている、第1のプーリーアセンブリと、
第1の手動駆動入力部であって、前記手動駆動入力部の手動作動が前記第1のプーリーの回転を引き起こすように、前記第1のプーリーアセンブリに接続されている、第1の手動駆動入力部と、
第1のロボット駆動入力部であって、前記器具駆動機構の第1のロボット駆動出力部の回転が前記第1のプーリーアセンブリの回転を引き起こすように、前記第1のロボット駆動出力部と係合するように構成されている、第1のロボット駆動入力部と、を含む、器具ハンドルと、を備える、医療用器具。
(2) 前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられていないときに、前記医療用器具は、前記第1の手動駆動入力部の手動作動によって手動制御されるように構成されており、
前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられているときに、前記医療用器具は、前記第1のロボット駆動入力部のロボット作動によってロボット制御されるように構成されている、実施態様1に記載の医療用器具。
(3) 前記第1の手動駆動入力部が、前記第1のロボット駆動入力部とは別個である、実施態様1に記載の医療用器具。
(4) 前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられているときに、前記第1の手動駆動入力部は手動アクセス可能である、実施態様1に記載の医療用器具。
(5) 前記第1の手動駆動入力部が、前記細長いシャフトの手動2方向偏向制御を提供するように構成されており、
前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられているときに、前記医療用器具は、4方向ロボット制御するように構成されている、実施態様1に記載の医療用器具。
【0181】
(6) 前記第1のプルワイヤが、前記細長いシャフトの第1の関節運動方向への関節運動を制御するように作動可能であり、前記第1のプルワイヤが、前記第1のプーリーアセンブリ上に第1の巻き方向で巻かれており、前記医療用器具が、
前記細長いシャフト上又はその内部を延在する第2のプルワイヤであって、前記第1の関節運動方向とは反対の第2の関節運動方向への前記細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能である、第2のプルワイヤを更に備え、
前記第2のプルワイヤは、前記第1の巻き方向とは反対の第2の巻き方向で前記第1のプーリーアセンブリ上に巻かれている、実施態様1に記載の医療用器具。
(7) 前記第1のプーリーアセンブリが、
前記基部内に位置付けられている第1のプーリーシャフトと、
前記第1のプーリーシャフト上に位置付けられており、前記第1のプルワイヤが巻かれている、第1のプーリーと、
前記第1のプーリーシャフト上に位置付けられており、前記第2のプルワイヤが巻かれている、第2のプーリーと、を含む、実施態様6に記載の医療用器具。
(8) 前記第1のプーリー及び前記第2のプーリーのうち少なくとも一方が、前記第1のプーリーシャフトに対して複数の異なる回転位置のいずれかで前記第1のプーリーシャフト上に装着できるように、前記第1のプーリー及び前記第2のプーリーのうち前記少なくとも一方は、前記第1のプーリーシャフトに対してキー止めされている、実施態様7に記載の医療用器具。
(9) 前記細長いシャフト上又はその内部を延在する第3のプルワイヤであって、前記細長いシャフトの第3の関節運動方向への関節運動を制御するように作動可能である、第3のプルワイヤと、
前記細長いシャフト上又はその内部を延在する第4のプルワイヤであって、前記第3の関節運動方向とは反対の第4の関節運動方向への前記細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能である、第4のプルワイヤと、
前記器具駆動機構の第2のロボット駆動出力部の回転が前記第2のプーリーアセンブリの回転を引き起こし、前記細長いシャフトの前記第3の方向及び前記第4の方向への関節運動を制御するように、前記第2のロボット駆動出力部と係合するように構成されている、第2のロボット駆動入力部と、を更に含む、実施態様7に記載の医療用器具。
(10) 前記第1の手動駆動入力部が、前記第1のプーリーアセンブリに直接結合されている、実施態様1に記載の医療用器具。
【0182】
(11) 前記第1の手動駆動入力部が、ギヤ付きアセンブリによって前記第1のプーリーアセンブリに結合されている、実施態様1に記載の医療用器具。
(12) 前記細長いシャフトの手動ロール制御を提供するように構成されている手動ロール入力部を更に含む、実施態様1に記載の医療用器具。
(13) 前記細長いシャフトのロボットロール制御を提供するように構成されているロボットロール入力部を更に含む、実施態様1に記載の医療用器具。
(14) 前記第1のプルワイヤが、前記細長いシャフト内の第1のコイルパイプ内を延在する、実施態様1に記載の医療用器具。
(15) 前記第1のプルワイヤ及び前記第1のコイルパイプが、前記細長いシャフトのロールを可能にするためのサービスループを含む、実施態様14に記載の医療用器具。
【0183】
(16) 前記サービスループが、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、少なくとも300、少なくとも310、少なくとも320、少なくとも330、少なくとも340、少なくとも350、又は少なくとも360度の両方の回転方向への前記細長いシャフトのロールを可能にする、実施態様15に記載の医療用器具。
(17) 前記第1のプルワイヤが、前記第1のプーリーアセンブリ上に巻かれた領域で直径が増加している、実施態様1に記載の医療用器具。
(18) 前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられると、前記第1の手動駆動入力部が係合解除される、実施態様1に記載の医療用器具。
(19) 前記第1の手動駆動入力部が、レバー、ホイール、及びスライダのうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載の医療用器具。
(20) 前記器具ハンドルが前記器具駆動機構に取り付けられるとき、前記器具ハンドルは、前記器具駆動機構上の前記駆動出力部の一部のみを覆うように構成されている、実施態様1に記載の医療用器具。
【0184】
(21) 前記第1の手動駆動入力部が枢動系運動を含み、前記第1のロボット駆動入力部が回転運動を含む、実施態様1に記載の医療用器具。
(22) 医療用器具であって、
遠位端と近位端との間に延在する細長いシャフトと、
前記細長いシャフト上又はその内部を延在する第1のプルワイヤであって、前記細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能である、第1のプルワイヤと、
前記細長いシャフトの前記近位端に接続された器具ハンドルであって、前記器具ハンドルは、器具駆動機構に取り付けられるように構成されており、
前記器具ハンドル内に位置付けられている第1のプーリーアセンブリであって、前記第1のプルワイヤが前記第1のプーリーアセンブリ上に位置付けられている、第1のプーリーアセンブリと、
第1のロボット駆動入力部であって、前記器具駆動機構の第1のロボット駆動出力部の回転が前記第1のプーリーアセンブリの回転を引き起こすように、前記第1のロボット駆動出力部と係合するように構成されている、第1のロボット駆動入力部と、を含む、器具ハンドルと、
前記第1のプーリーアセンブリと前記細長いシャフトの前記遠位端との間に配設された手動偏向プーリーであって、前記第1のプルワイヤが前記手動偏向プーリー上に巻かれている、手動偏向プーリーと、
第1の手動駆動入力部であって、前記手動駆動入力部の作動が前記第1のプーリーの回転を引き起こすように、前記手動偏向プーリーに接続された、手動作動されるように構成されている、第1の手動駆動入力部と、を含む、医療用器具。
(23) 医療用器具であって、
遠位端と近位端との間に延在する細長いシャフトと、
前記細長いシャフト上又はその内部を延在する第1のプルワイヤであって、前記細長いシャフトの関節運動を制御するように作動可能である、第1のプルワイヤと、
前記細長いシャフトの前記近位端に接続された器具ハンドルであって、前記器具ハンドルは、器具駆動機構に取り付けられるように構成されており、
前記器具ハンドル内に位置付けられている第1のプーリーアセンブリであって、前記第1のプーリーアセンブリの回転が前記第1のプルワイヤを作動させて前記細長いシャフトの関節運動を引き起こすように、前記第1のプルワイヤが前記第1のプーリーアセンブリ上に位置付けられている、第1のプーリーアセンブリと、
第1の手動駆動入力部であって、前記手動駆動入力部の作動が前記第1のプーリーの回転を引き起こすように、前記第1のプーリーアセンブリに接続された、手動作動されるように構成されている、第1の手動駆動入力部と、
前記第1のプーリーアセンブリに接続された第1のロボット駆動入力部であって、前記器具駆動機構の第1のロボット駆動出力部の回転が前記第1のプーリーアセンブリの回転を引き起こすように、前記第1のロボット駆動出力部と係合するように構成されている、第1のロボット駆動入力部と、
シャフトロールプーリーに連結された第2のロボット駆動入力部と、
前記第2のロボット駆動入力部の回転が前記細長いシャフトのロールを引き起こすように、前記シャフトロールプーリーと係合された前記細長いシャフト上のカプラーギヤと、を含む、器具ハンドルと、を含む、医療用器具。
(24) 前記細長いシャフトが、前記器具ハンドルに対して手動でロール可能であるように構成されている、実施態様23に記載の医療用器具。
(25) 医療用器具を制御する方法であって、
前記医療用器具の器具ハンドル上の手動駆動入力部を手動作動して、前記医療用器具内のプーリーアセンブリを作動し、前記医療用器具の細長いシャフトの関節運動を制御することと、
前記器具ハンドルを器具駆動機構に取り付けることと、
前記器具駆動機構を用いて前記器具ハンドル上のロボット駆動入力部をロボット作動して、前記プーリーアセンブリの関節運動を引き起こし、前記医療用器具の前記細長いシャフトの関節運動を制御することと、を含む、方法。
【0185】
(26) 前記手動駆動入力部を手動作動することが、前記手動駆動入力部を手動操作して、前記医療用器具の前記細長いシャフトの2方向偏向制御を提供することを含み、
前記ロボット駆動入力部をロボット作動することが、前記ロボット駆動入力部をロボット操作して、前記医療用器具の前記細長いシャフトの4方向偏向制御を提供することを含む、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記ロボット駆動入力部をロボット作動することが、前記ロボット駆動入力部をロボット操作して、前記医療用器具の前記細長いシャフトのロール制御を提供することを更に含む、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記ロボット駆動入力部を手動作動することが、前記細長いシャフトを前記ハンドルに対して手動回転して、前記細長いシャフトのロール制御を提供することを更に含む、実施態様27に記載の方法。
(29) 前記手動駆動入力部が、レバー、ホイール、又はスライダを含む、実施態様25に記載の方法。
(30) 前記ロボット駆動入力部が、前記器具駆動機構上の少なくとも3つのロボット駆動出力部と係合するように構成されている、少なくとも3つのロボット駆動入力部を含む、実施態様26に記載の方法。
【0186】
(31) ロボット医療用システムであって、
第1の器具基部と、前記器具基部から延在する細長いシャフトとを備える、第1の医療用器具であって、前記器具基部は、少なくとも1つの第1のロボット駆動入力部を含む、第1の医療用器具と、
第2の器具基部と、少なくとも1つの第2のロボット駆動入力部とを備える、第2の医療用器具と、
前記第1の医療用器具の前記第1の器具基部及び前記第2の医療用器具の前記第2の器具基部と係合される器具駆動機構であって、前記第1の医療用器具の前記少なくとも1つの第1のロボット駆動入力部と係合し、かつそれを駆動するように構成されている少なくとも1つの第1のロボット駆動出力部と、前記第2の医療用器具の前記少なくとも1つの第2のロボット駆動入力部と係合し、かつそれを駆動するように構成されている少なくとも1つの第2のロボット駆動出力部と、を含む、器具駆動機構と、を含む、システム。
(32) 前記器具駆動機構がロボットアーム上に位置付けられている、実施態様31に記載のシステム。
(33) 前記ロボットアームが、前記器具駆動機構を移動させて、前記第1の医療用器具及び前記第2の医療用器具を同時に再位置付けするように構成されている、実施態様32に記載のシステム。
(34) 前記第1の器具基部は、前記第1の器具基部が前記器具駆動機構と係合しているときに、前記少なくとも1つの第2の駆動入力部を露出させるように構成された切欠きを含み、
前記第2の器具基部は、前記切欠き内に少なくとも部分的に受容されている、実施態様31に記載のシステム。
(35) 前記少なくとも1つの第1のロボット駆動入力部が、3つの第1のロボット駆動入力部を含み、
前記少なくとも1つの第2のロボット駆動入力部は、2つの第2のロボット駆動入力部を含む、実施態様31に記載のシステム。
【0187】
(36) 前記第1の医療用器具及び前記第2の医療用器具が、前記器具駆動機構と係合したときに並んで配置される、実施態様31に記載のシステム。
(37) 前記少なくとも1つの第1のロボット駆動出力部が、前記少なくとも1つの第1のロボット駆動入力部を駆動して、前記第1の医療用器具の前記細長いシャフトを関節運動させる、実施態様31に記載のシステム。
(38) 前記少なくとも1つの第2のロボット駆動出力部が、前記少なくとも1つの第2のロボット駆動入力部を駆動して、前記第2の医療用器具の機能を作動させる、実施態様31に記載のシステム。
(39) 前記器具駆動機構が、前記第1の医療用器具及び前記第2の医療用器具を同時に作動させるように構成されている、実施態様31に記載のシステム。
(40) 前記第1の医療用器具が、前記第1の医療用器具の手動制御を可能にするように構成されている第1の手動駆動入力部を更に備える、実施態様31に記載のシステム。
【0188】
(41) 方法であって、
第1の医療用器具の第1の器具基部を第1のロボットアーム上に位置付けられている器具駆動機構に取り付けて、前記器具駆動機構の第1のロボット駆動出力部が前記第1の器具基部の第1のロボット駆動入力部と係合するようにすることと、
第2の医療用器具の第2の器具基部を前記第1のロボットアーム上に位置付けられている前記器具駆動機構に取り付けて、前記器具駆動機構の第2のロボット駆動出力部が前記第2の器具基部の第2のロボット駆動入力部と係合するようにすることと、
前記第1のロボット駆動出力部を用いて前記第1のロボット駆動入力部を駆動することによって、前記第1の医療用器具を作動させることと、
前記第2のロボット駆動出力部を用いて前記第2のロボット駆動入力部を駆動することによって、前記第2の医療用器具を作動させることと、を含む、方法。
(42) 前記第1の器具基部を前記器具駆動機構に取り付けることが、前記第2のロボット駆動入力部が露出したままであるように、前記第1の器具基部を前記器具駆動機構に取り付けることを含む、実施態様41に記載の方法。
(43) 前記第1の医療用器具の第1の手動駆動入力部を手動作動させて、前記第1の医療用器具を手動で制御することを更に含む、実施態様41に記載の方法。
(44) 前記第1の医療用器具が、前記器具基部から延在する細長いシャフトを備え、
前記第1の手動駆動入力部が、前記細長いシャフトの2方向偏向を駆動するように構成されている、実施態様43に記載の方法。
(45) 前記第1の器具基部を前記器具駆動機構に取り付ける前に、前記第1の医療用器具の前記第1の手動駆動入力部の手動作動を起こさせる、実施態様43に記載の方法。
【0189】
(46) 前記第1のロボットアームを移動させて、前記第1の医療用器具及び前記第2の医療用器具を動かすことを更に含む、実施態様41に記載の方法。
(47) 前記第1の医療用器具が、前記器具基部から延在する細長いシャフトを備え、
前記器具駆動機構が、前記細長いシャフトの4方向偏向を駆動するように構成されている、実施態様41に記載の方法。
(48) 前記第1の器具基部及び前記第2の器具基部が、前記器具駆動機構上に並んで配置されている、実施態様41に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図21F
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図23F
図23G
図23H
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図25
図26
図27