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特許7404362ステップアンドシュート及び動き補償陽電子放出断層撮影(PET)研究のためのエッジ保存ペナルティ付き再構成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】ステップアンドシュート及び動き補償陽電子放出断層撮影(PET)研究のためのエッジ保存ペナルティ付き再構成
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
G01T1/161 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021525553
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019081515
(87)【国際公開番号】W WO2020099649
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】62/768,131
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーエフ アンドリ
(72)【発明者】
【氏名】ソーン シイユイン
(72)【発明者】
【氏名】マンジェシュワル ラヴィンドラ モハン
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0103551(US,A1)
【文献】特開2016-050932(JP,A)
【文献】特開2012-045318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161 - 1/166
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像方法を実行するために少なくとも1つの電子プロセッサを含むワークステーションによって読み取り及び実行可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
軸方向に沿ってオーバーラップする隣接するフレームで前記軸方向に沿うフレームに対してフレームごとに撮像データを受信するステップであって、前記フレームは、少なくとも一つのボリューム(k)及び前記軸方向に沿って少なくとも部分的に前記ボリューム(k)をオーバーラップする後続ボリューム(k+1)を含む、ステップと、
反復画像再構成プロセスを使用して前記ボリューム(k)の画像を生成するステップであって、前記反復画像再構成プロセスの反復は、
前記ボリューム(k)にわたってノイズを抑制するためにローカルペナルティ関数を計算するステップであって、オーバーラップ領域において前記ローカルペナルティ関数の値を低減するステップを含み、前記ローカルペナルティ関数は、ペナルティを課されるボクセルを通過する全同時カウントに依存し、前記ローカルペナルティ関数の値は、前記オーバラップ領域において、前記後続ボリュームk+1においてペナルティを課される前記ボクセルを通過する前記全同時カウントを補償する量だけ低減される、ステップと、
前記ボリューム(k)からの撮像データを使用し、さらに前記ローカルペナルティ関数を使用して、前記ボリューム(k)の更新画像を生成するステップと
を含む、ステップと
を有する、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記ローカルペナルティ関数はPET撮像装置の局所幾何学的感度に依存し、前記ローカルペナルティ関数の値は、前記ボリューム(k)の軸方向切頭幾何学的感度の損失を補償する量だけ、前記オーバーラップ領域において低減される、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項3】
前記ローカルペナルティ関数は、
に依存し、γは前記ローカルペナルティ関数のエッジ保存パラメータであり、iはボクセルをインデックスし、
は、その反復再構成nの前記更新画像nにおける前記ボリュームkの空間的な前記反復再構成における前記ボクセルiの値であり、si,kは、前記ボリュームkのデータを取得するときの前記ボクセルiに対する前記PET撮像装置の前記幾何学的感度であり、si,k+1は、前記ボリュームk+1のデータを取得するときのボクセルiに対する前記PET撮像装置の前記幾何学的感度である、請求項2に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項4】
前記ペナルティ関数は、
に依存し、γは前記ローカルペナルティ関数のエッジ保存パラメータであり、iはボクセルをインデックスし、
は、その反復再構成nの前記更新画像nにおける前記ボリュームkの空間的な前記反復再構成における前記ボクセルiの値であり、Ci,kは、LORが前記ボクセルiを通過するボリュームkのベッド位置に対する前記データセットにおける同時事象の前記カウントである、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項5】
前記PET撮像装置は、飛行時間撮像装置であり、前記ペナルティ関数は、
に依存し、γは前記ローカルペナルティ関数のエッジ保存パラメータであり、iはボクセルをインデックスし、
は、その反復再構成nの前記更新画像nにおける前記ボリュームkの空間的な前記反復再構成における前記ボクセルiの値であり、Ci,kは、LORが前記ボクセルiを通過するボリュームkのベッド位置に対する前記データセットにおける同時事象の前記カウントであり、インデックスvは、LORが前記ボクセルiを通過するベッド位置kに対する前記データセットの前記Ci,k同時カウントにわたって走行し、wvは、vによりインデックスされる前記カウントが前記ボクセルi内で発生する飛行時間確率である、請求項4に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記再構成するステップは、
前記撮像データの他のボリューム(k)とは別に前記撮像データの前記ボリューム(k)を再構成画像に再構成するステップ
を含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記再構成するステップは、
前記撮像データ内の前記ボリューム(k)からの前記カウント数を全ボリュームに結合するステップと、
前記全ボリュームを再構成画像に再構成するステップと
を含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記ローカルペナルティ関数は、
に依存し、γは前記ローカルペナルティ関数のエッジ保存パラメータであり、iはボクセルをインデックスし、
は、その反復再構成nの前記更新画像nにおける前記ボリュームkの空間的な前記反復再構成における前記ボクセルiの値であり、si,kは、前記ボリュームkのデータを取得するときの前記ボクセルiに対する前記PET撮像装置の前記幾何学的感度であり、si,k+1は、前記ボリュームk+1のデータを取得するときのボクセルiに対する前記PET撮像装置の前記幾何学的感度である、請求項7に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記オーバーラップ領域における前記ローカルペナルティ関数の値の前記低減は、前記ボリューム(k)及び前記後続ボリュームk+1に対するそれぞれの取得時間の比率に基づいてスケーリングされる、請求項1乃至7の何れか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
撮像システムであって、
陽電子放出断層撮影(PET)画像装置と、
少なくとも一つの電子プロセッサであって、
軸方向に沿ってオーバーラップする隣接するフレームで前記軸方向に沿うフレームに対してフレームごとに撮像データを受信し、前記フレームは、少なくとも一つのボリューム(k)及び前記軸方向に沿って少なくとも部分的に前記ボリューム(k)をオーバーラップする後続ボリューム(k+1)を含み、
反復画像再構成プロセスを使用して前記ボリューム(k)の画像を生成し、前記反復画像再構成プロセスの反復は、
オーバーラップ領域においてローカルペナルティ関数の値を低減することを含んで、前記ボリューム(k)にわたってノイズを抑制するために前記ローカルペナルティ関数を計算し、前記ローカルペナルティ関数は、ペナルティを課されるボクセルを通過する全同時カウントに依存し、前記ローカルペナルティ関数の値は、前記オーバーラップ領域において、前記後続ボリュームk+1においてペナルティを課される前記ボクセルを通過する前記全同時カウントを補償する量だけ低減され、
前記ボリューム(k)からの撮像データを使用し、さらに前記ローカルペナルティ関数を使用して、前記ボリューム(k)の更新画像を生成し、
前記再構成は、
前記撮像データ内の前記ボリューム(k)からの前記カウント数を全ボリュームに結合し、
前記全ボリュームを再構成画像に再構成する
ようにプログラムされる、少なくとも一つの電子プロセッサと
を有する、撮像システム。
【請求項11】
軸方向に沿ってオーバーラップする隣接するフレームで前記軸方向に沿うフレームに対してフレームごとに撮像データについて実行される撮像方法であって、前記フレームは、少なくとも一つのボリューム(k)及び前記軸方向に沿って少なくとも部分的に前記ボリューム(k)をオーバーラップする後続ボリューム(k+1)を含み、前記方法は、
反復画像再構成プロセスを使用して前記ボリューム(k)の画像を生成するステップであって、前記反復画像再構成プロセスの反復は、
オーバーラップ領域においてローカルペナルティ関数の値を低減することを含んで、前記ボリューム(k)にわたってノイズを抑制するために前記ローカルペナルティ関数を計算するステップであって、前記ローカルペナルティ関数は、PET撮像装置の局所幾何学的感度に依存し、前記ローカルペナルティ関数の値は、前記ボリューム(k)の軸方向切頭幾何学的感度の損失を補償する量だけ、前記オーバーラップ領域において低減される、ステップと、
前記ボリューム(k)からの撮像データを使用し、さらに前記ローカルペナルティ関数を使用して、前記ボリューム(k)の更新画像を生成するステップと
を有し、
前記再構成は、
前記撮像データの他のボリューム(k)とは別に前記撮像データの前記ボリューム(k)を再構成画像に再構成するステップ
を含む、方法。
【請求項12】
前記ローカルペナルティ関数は、
に依存し、γは前記ローカルペナルティ関数のエッジ保存パラメータであり、iはボクセルをインデックスし、
は、その反復再構成nの前記更新画像nにおける前記ボリュームkの空間的な前記反復再構成における前記ボクセルiの値であり、si,kは、前記ボリュームkのデータを取得するときのボクセルiに対する前記PET撮像装置の前記幾何学的感度であり、si,k+1は、前記ボリュームk+1のデータを取得するときのボクセルiに対する前記PET撮像装置の前記幾何学的感度である、
請求項11に記載の撮像方法。
【請求項13】
前記オーバーラップ領域における前記ローカルペナルティ関数の値の低減は、前記ボリューム(k)及び前記後続ボリュームk+1に対するそれぞれの取得時間の比に基づいてスケーリングされる、請求項11乃至12の何れか一項に記載の撮像方法。
【請求項14】
軸方向に沿ってオーバーラップする隣接するフレームで前記軸方向に沿うフレームに対してフレームごとに撮像データについて実行される撮像方法であって、前記フレームは、少なくとも一つのボリューム(k)及び前記軸方向に沿って少なくとも部分的に前記ボリューム(k)をオーバーラップする後続ボリューム(k+1)を含み、前記方法は、
反復画像再構成プロセスを使用して前記ボリューム(k)の画像を生成するステップであって、前記反復画像再構成プロセスの反復は、
二つ又はそれより多くのゲートフェーズ及び前記ゲートフェーズで検出される動きを使用して、呼吸ゲーティングで前記撮像データを調整するステップと、
オーバーラップ領域においてローカルペナルティ関数の値を低減することを含んで、前記ボリューム(k)にわたってノイズを抑制するために前記ローカルペナルティ関数を計算するステップと、
前記ボリューム(k)からの撮像データを使用し、さらに前記ローカルペナルティ関数を使用して、前記ボリューム(k)の更新画像を生成するステップと
を有する、方法。
【請求項15】
前記調整は、
従って実行され、γはエッジ保存パラメータであり、iはボクセルであり、fは前記ボクセルのグレースケール値であり、sは前記ボクセルを通過する幾何学的感度であり、△rは2つのゲートフェーズφkとφk+1との間の動きベクトルである、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は一般に、医用撮像技術、陽電子放出断層撮影(PET)撮像及び画像再構成技術、正則化反復画像再構成技術、ならびに関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
陽電子放出断層撮影(PET)における画質は、ノイズによって強く支配される。エッジ保存又は造影保存プライアを使用する反復最大事後ペナルティ再構成(PR)は臨床的に関心のある小さな特徴(例えば、腫瘍)を保持しながらノイズを抑制する1つのアプローチである。いくつかのエッジ保存又は造影保存ペナルティには、(1)相対差ペナルティ(RDP)(例えば、J. Nuytsらの、「A concave prior penalizing relative differences for maximum-a-posteriori reconstruction in emission tomography」、IEEE Trans.Nucl.Sci., 2002)、(2)異方性拡散ペナルティ(ADP)(例えば、H. Zhu、「ファジィ非線形異方性拡散ペナルティを用いた陽電子放出断層撮影のための画像再構成」、Med Bio Eng Comput, 2006)などが含まれる。ほとんどのエッジ保存ペナルティにおいて、同調パラメータは再構成画像におけるエッジ遷移に対する感度を確立し、感度しきい値以下の撮像データは強いローパスフィルタによって平滑化される。
【0003】
市販のPETカメラは、PET検出器リング又はアレイの軸方向の広がりが有限であるため、軸方向の視野(FOV)が制限されている。したがって、「全身」患者スキャンは、典型的にはベッド位置の間に一定のオーバーラップを有する複数のベッド位置において、連続的な「ステップアンドシュート」モードで取得される。実際的な理由から、各ベッド位置は典型的には次のベッド位置のPETデータが完全に取得されるのを待たずに別々に再構成され、再構成される個々のフレーム画像は単一の全身画像に編まれる。各ベッド位置は重なり合い、軸方向へのスムーズな信号遷移を保証する。典型的には、全身研究ではスキャンされる軸方向範囲の50%以上がオーバーラップスライスでカバーされる。したがって、すべての再構成される画像ボリュームにおいて、以前のベッド位置又は次のベッド位置のいずれかからの取得されるカウントによってカバーされる1つ又は2つのサブボリュームが存在する(本明細書で説明されるように、考慮されるすべての状況において、ベッド位置の数は少なくとも1よりも大きいと仮定されることは留意される)。
【0004】
各ベッド位置を別々に再構成し、次いで画像空間内で画像を一緒に編む代わりに、代替アプローチでは、撮像ワークフローを過度に複雑にすることなく、再構成の前にカウントが事前に組み合わされる(サイノグラムフォーマット又はリストモードのいずれかで)(例えば、Z. Sunら、「reconstruction and combination of PET multiーbed image」、米国特許出願公開第2017/0103551号が参照される)。しかしながら、以前の研究は少なくとも順序付けサブセット期待値最大化(OSEM)反復画像再構成アルゴリズムが準線形挙動を実証し、超低カウント研究(例えば、S. Rossら、「PETデータの完全3D OSEM再構成のための重複補正の方法」、MIC、2004を参照)を除いて、再構成前にカウントをプライア結合する実用的な利益がほとんどないことを示した。各ベッド位置を別々に再構成する場合、各ベッド位置画像はエッジでのデータの効果的な「損失」により、エッジスライスにおいてノイズの多い外観を持つことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に、画像編成手順中(すなわち、個々のベッド位置画像が単一の全身画像に組み合わされるとき)にノイズを補償することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下は、これらの問題に対処するための新規かつ改善されるシステム及び方法を開示する。
【0007】
開示される一態様では、非一時的コンピュータ可読媒体が少なくとも1つの電子プロセッサを含むワークステーションによって読み取り可能で実行可能な命令を記憶し、撮像方法を実行する。本方法は、軸方向に沿ってオーバラップする隣接するフレームで前記軸方向に沿うフレームに対してフレームごとに撮像データを受信するステップであって、前記フレームは、少なくとも一つのボリューム(k)及び前記軸方向に沿って少なくとも部分的に前記ボリューム(k)をオーバーラップする後続ボリューム(k+1)を含む、ステップと、反復画像再構成プロセスを使用して前記ボリューム(k)の画像を生成するステップであって、前記反復画像再構成プロセスの反復は、前記ボリューム(k)にわたってノイズを抑制するためにローカルペナルティ関数を計算するステップであって、オーバーラップ領域において前記ローカルペナルティ関数の前記値を低減するステップを含む、ステップと、前記ボリューム(k)からの撮像データを使用し、さらに前記ローカルペナルティ関数を使用して、前記ボリューム(k)の更新画像を生成するステップとを含む、ステップとを有する。
【0008】
別の開示される態様では、撮像システムが陽電子放出断層撮影(PET)撮像装置を含む。少なくとも一つの電子プロセッサは、軸方向に沿ってオーバーラップする隣接するフレームで前記軸方向に沿うフレームに対してフレームごとに撮像データを受信し、前記フレームは、少なくとも一つのボリューム(k)及び前記軸方向に沿って少なくとも部分的に前記ボリューム(k)をオーバーラップする後続ボリューム(k+1)を含み、反復画像再構成プロセスを使用して前記ボリューム(k)の画像を生成し、前記反復画像再構成プロセスの反復は、オーバーラップ領域において前記ローカルペナルティ関数の前記値を低減することを含んで、前記ボリューム(k)にわたってノイズを抑制するためにローカルペナルティ関数を計算し、前記ローカルペナルティ関数は、ペナルティを課される前記ボクセルを通過する前記全同時カウントに依存し、前記ローカルペナルティ関数の前記値は、前記オーバーラップ領域において、前記後続ボリュームk+1においてペナルティを課される前記ボクセルを通過する前記全同時カウントを補償する量だけ低減され、前記ボリューム(k)からの撮像データを使用し、さらに前記ローカルペナルティ関数を使用して、前記ボリューム(k)の更新画像を生成するようにプログラムされる。前記再構成は、前記撮像データ内の前記ボリューム(k)からの前記カウント数を全ボリュームに結合し、前記全ボリュームを再構成画像に再構成するステップを含む。
【0009】
別の開示される態様では、軸方向に沿ってオーバーラップする隣接するフレームで前記軸方向に沿うフレームに対してフレームごとに撮像データについて実行される撮像方法であって、前記フレームは、少なくとも一つのボリューム(k)及び前記軸方向に沿って少なくとも部分的に前記ボリューム(k)をオーバーラップする後続ボリューム(k+1)を含み、前記方法は、反復画像再構成プロセスを使用して前記ボリューム(k)の画像を生成するステップであって、前記反復画像再構成プロセスの反復は、オーバーラップ領域において前記ローカルペナルティ関数の前記値を低減することを含んで、前記ボリューム(k)にわたってノイズを抑制するためにローカルペナルティ関数を計算するステップであって、前記ローカルペナルティ関数は、前記PET撮像装置の局所幾何学的感度に依存し、前記ローカルペナルティ関数の前記値は、前記ボリューム(k)の軸方向切頭幾何学的感度の損失を補償する量だけ、前記オーバーラップ領域において低減される、ステップと、前記ボリューム(k)からの撮像データを使用し、さらに前記ローカルペナルティ関数を使用して、前記ボリューム(k)の更新画像を生成するステップとを有する。前記再構成は、前記撮像データの他のボリューム(k)とは別に前記撮像データの前記ボリューム(k)を再構成画像に再構成するステップを含む。
【0010】
別の開示される態様では、軸方向に沿ってオーバーラップする隣接するフレームで前記軸方向に沿うフレームに対してフレームごとに撮像データを取得する撮像装置上で実行される撮像方法であって、前記フレームは、少なくとも一つのボリューム(k)及び前記軸方向に沿って少なくとも部分的に前記ボリューム(k)をオーバーラップする後続ボリューム(k+1)を含み、前記方法は、反復画像再構成プロセスを使用して前記ボリューム(k)の画像を生成するステップであって、前記反復画像再構成プロセスの反復は、二つ又はそれより多くのゲートフェーズ及び前記ゲートフェーズで検出される動きを使用して、呼吸ゲーティングで前記撮像データを調整するステップと、オーバーラップ領域において前記ローカルペナルティ関数の前記値を低減することを含んで、前記ボリューム(k)にわたってノイズを抑制するためにローカルペナルティ関数を計算するステップと、前記ボリューム(k)からの撮像データを使用し、さらに前記ローカルペナルティ関数を使用して、前記ボリューム(k)の更新画像を生成するステップとを有する。
【0011】
1つの利点は再構成ペナルティ関数のパラメータを適切に調整するために、PET撮像装置からの全ての利用可能なカウントを利用することにある。
【0012】
別の利点は最終画像の過剰平滑化を回避し、潜在的に失われた画像特徴につながるエッジ保存ペナルティ付き再構成プロセスを提供することにある。
【0013】
もう1つの利点は最終的な画像のアンダースムージングを回避するエッジ保存ペナルティ付き再構成プロセスを提供することであり、画像に潜在的なノイズをもたらす。
【0014】
別の利点は画像再構成の前に画像データの重なり合う領域内のデータが結合されるとき、再構成される画像の空間解像度を維持するために重なり合う領域内の隣接する画像を結合することによって導入される実効感度増加に比例してペナルティ関数を低減することにある。
【0015】
別の利点は画像再構成の前に画像データの重なり合う領域のデータが結合されない場合に、再構成される画像の空間解像度を維持するためにペナルティ関数を低減することにある。
【0016】
別の利点は、2つの撮像フレーム間の取得持続時間比でペナルティ関数をスケーリングすることにある。
【0017】
別の利点は、カウントエンドポイントが調整される動き補正される呼吸又は心臓ゲート又は動的研究を用いて、ペナルティ関数のペナルティパラメータを動的に調整することにある。
【0018】
所与の実施形態は本開示を読んで理解すると当業者に明らかになるように、前述の利点のいずれも提供しない、1つ、2つ、より多く、又はすべてを提供することができ、及び/又は他の利点を提供することができる。
【0019】
本開示は、様々な構成要素及び構成要素の配置、ならびに様々なステップ及びステップの配置の形成をとることができる。図面は好ましい実施形態を例示する目的のためだけのものであり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一態様による撮像システムを概略的に示す。
図2図1の装置の例示的なフローチャート動作を示す。
図3図1の装置の他の例示的なフローチャート動作を示す。
図4a図2のフローチャート動作を用いて再構成される画像に対する標準的な再構成画像の比較を示す。
図4b図2のフローチャート動作を用いて再構成される画像に対する標準的な再構成画像の他の比較を示す。
図4c図2のフローチャート動作を用いて再構成される画像に対する標準的な再構成画像の他の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
反復ペナルティ付きPET画像再構成はエッジを保持しながらノイズをペナルティ化する(すなわち、抑制する)ように設計されるペナルティ項を含む更新関数を使用する。例えば、相対差ペナルティ(RDP)は、項γがエッジ保存パラメータであるペナルティP∝1/γを使用する。γのより大きな値は小さな病変のような特徴(すなわち、「エッジ」)の保存を強調するが、より大きなノイズの保持にもつながるより小さなペナルティPを生成し、一方、γのより小さな値はノイズ抑制を改善するペナルティを増加させるが、小さな病変のような臨床的に重要な構造(すなわち、「エッジ」)の除去にもつながり得る。変形アプローチでは、ペナルティが例えば、
を使用することによって局所的に調整され、λiは、iによってインデックスされるボクセルの値であり、siは、ボクセルiを通過する応答のライン(LOR)の数に比例するボクセルiにおける幾何学的感度である。この定式化は、より多くのLORがボクセルi(したがって、より高いsi)を通過する場合、より多くのカウントが近傍にあるはずであり、したがって、ノイズがボクセルiにおいてより低くなるはずであり、その結果、(比較的低い)ノイズを依然として抑制しながら、エッジを強調するために、より小さいペナルティPが使用されることができるという期待に基づいている。代替的なチューニングでは、幾何学的感度siがボクセルiの周りの局所的な近傍における全カウントを定量化する項によって置き換えられる。再度、局所近傍におけるより高い全カウントは、より低いノイズに対応する傾向があるので、より低いペナルティを使用することができる。
【0022】
本明細書では、そのようなペナルティ化フレームワークがステップアンドシュートPET撮像オーバーラップ領域の場合にはあまり効果的でない可能性があることが認識される。ステップアンドシュートアプローチ(マルチベッド画像又は同様の命名法としても知られている)では、患者が患者の連続する軸方向部分(「ベッド位置」)を画像するためにスキャナを通ってステップされる。したがって、各ベッド位置で取得されるデータは、そのベッド位置におけるPETスキャナの最も外側の検出器リングの位置に対応するエッジスライスで軸方向に切りとられる。従来、各ベッド位置で取得されるPETカウントは別々に再構成され(しかし、FOV外散乱を推定するために隣接ベッド位置からの情報を使用する可能性がある)、結果として得られるベッド位置画像は、ベッド位置画像のオーバーラップ領域におけるボクセル値の重み付け平均化によって、重複において一緒に編まれる。しかしながら、このようなアプローチでは、ペナルティの局所的チューニングがそのベッド位置の幾何学的感度siを使用して計算される。ベッド位置の外側スライスについては、ベッド位置の軸方向FOVの外側で終端するLORが感度siに寄与しないため、感度は小さくなる。極端なエッジスライスについては、スライスの平面内にあるLORのみがsiに寄与する。これは、ペナルティ
が外側スライスにおいて大きくなり、オーバーラップ領域における過剰なノイズ抑制につながり、小さな腫瘍のような臨床的に関連する画像特徴の抑制の可能性を高めることを意味する。両方のオーバーラップ領域は、特徴の損失につながるペナルティにおいて、これと同じ「エッジ効果」を有することになるため、オーバーラップにおいて隣接するベッド位置画像の後続の互いの編成はこれらの抑制される特徴を回復することができない。siが局所近傍における全カウントによって置き換えられる代替の定式化は、ベッド位置の切頭軸方向FOVの外側で終端するLORについてカウントが取得されないため、同様に影響を受ける。
【0023】
いくつかの開示される実施形態では、上記の効果を説明するために、オーバーラップ領域における局所的なペナルティが低減される。
【0024】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態では、減少は切頭ボリュームkが隣接するオーバーラップ切頭ボリュームk+1内に継続される場合に達成される有効感度増加(又は有効全近傍カウント増加)に比例する。ペナルティを調整するために幾何学的感度を使用する1つのアプローチでは、これはオーバーラップ領域において

で置き換えることになり、項si,k+1はボリュームkの一部ではない(したがって、幾何学的感度si,kに寄与しない)がオーバーラップボリュームk+1の一部である(したがって、幾何学的感度si,k+1に寄与する)LORを説明する。オーバーラップボリュームkとオーバーラップボリュームk+1との両方からのボクセルiの近傍における全カウントの合計を使用することによって、局所的な近傍における全カウントを使用して局所的にγを調整する場合、同様の定式化を使用することができる。
【0025】
上記の実施形態では、各ボリュームkは依然として別々に再構成される。代替のジョイント再構成実施形態では、すべてのボリュームからのPETカウントが最初に結合され、次いで一緒に再構成される。この場合も
が使用される。ここで、適切な定式化は、
になり、λiは、組み合わされるデータセットの(単一の)ジョイント再構成によって生成されるボクセルiの値であり得る。
【0026】
変形実施形態では、様々なベッド位置の取得時間が異なる場合、感度si,k及びsi,k+1は取得時間に比例してスケーリングされる。これは、取得時間がより短く、捕捉されるカウントがより少なくなり、それに対応して感度がより低くなるためである。従って、取得時間が、それぞれのオーバーラップするベッド位置k及びk+1に対してTk及びTk+1である場合、スケーリングは
及び
である。
【0027】
本明細書で開示される他の実施形態では、類似のアプローチが、(例えば、呼吸)ゲーティングを使用する動き補償PET撮像に適用されることができる。この場合、2つの連続するゲートフェーズφk及びφk+1が考慮され、いくつかの動きは、2つのフェーズの間に生じる動きベクトル△γによって表される。次に、調整されるエッジ保存パラメータの可能な定式化は、
である。
【0028】
図1を参照すると、例示的な医用撮像システム10が示されている。図1に示すように、システム10は、撮像又は画像取得装置12を含む。一例では、画像取得装置12がPETガントリ13及び放射線検出器14のアレイ(図1に概略的に示されており、典型的にはPETガントリの放射線検出器が軸方向FOVにわたるように配置される一連のPET検出器リングとして配置されている)を含むPET撮像装置を含むことができる。例示的な画像取得装置12は、コンピュータトモグラフィ(CT)ガントリ15をさらに含むPET/CTスキャナである。患者テーブル(又はベッド)16は、患者を撮像装置12の検査領域17、例えばCTガントリ15のボア又はPETガントリ13のボアに装填するように構成される。一般に、CTガントリ15は、被検体の減衰マップに変換される被検体のCT画像を取得するために使用される。PETガントリ13はPET画像再構成において、患者における放射線吸収を考慮するために、CT画像から減衰マップを用いて再構成されるPET画像データを取得する。
【0029】
システム10はまた、少なくとも1つの電子プロセッサ20、少なくとも1つのユーザ入力装置(例えば、マウス、キーボード、トラックボール、トラックパッドなど)22、及び表示装置24(例えば、LCDディスプレイ、OLEDディスプレイ、プラズマディスプレイなど)などの典型的な構成要素を有するコンピュータ又はワークステーション又は他の電子データ処理装置18を含む。いくつかの実施形態では、表示装置24がコンピュータ18とは別個の構成要素とすることができ、及び/又は2つ以上のディスプレイを備えることができる。ワークステーション18はまた、1つ又は複数のデータベース又は非一時記憶媒体26(磁気ディスク、RAID、又は他の磁気記憶媒体、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、電子消去可能読み取り専用メモリ(EEROM)又は他の電子メモリ、光ディスク又は他の光記憶装置、それらの様々な組合せなど)を含むことができる。表示装置24は撮像システム10によって取得される画像を表示し、典型的には、ユーザ入力装置22からユーザ入力を受け取るために、例えば、それぞれが1つ又は複数のフィールド、ラジアル選択ボタンなどを有する様々なユーザダイアログを含むグラフィカルユーザインターフェース(GUI)28も表示するように構成される。
【0030】
少なくとも1つの電子プロセッサ20は、少なくとも1つの電子プロセッサ20によって読み取り可能で実行可能な命令を記憶する1つ以上のデータベース26に作動的に接続され、撮像方法又はプロセス100を実行することを含む開示される動作を実行する。いくつかの例では、撮像方法又はプロセス100がクラウド処理によって少なくとも部分的に実行され得る。
【0031】
図2を参照すると、撮像方法100の例示的な実施形態がフローチャートとして概略的に示されている。102において、少なくとも1つの電子プロセッサ20はCT/PET撮像装置12(より具体的にはPETガントリ13)を受け取り、他の方法で動作させ、又は制御して、軸方向に沿ってオーバーラップする隣接フレームを有する軸方向に沿ったフレームについてフレームごとにPET画像データを取得するようにプログラムされ、フレームは、軸方向に沿ってボリューム(k)と、軸方向に沿ってボリューム(k)に少なくとも部分的にオーバーラップする後続ボリューム(k+1)とを少なくとも含む。104において、少なくとも1つの電子プロセッサ20は、動作106及び108を含む反復画像再構成プロセスを使用してボリューム(k)の画像を生成するようにプログラムされる。106において、オーバーラップ領域におけるローカルペナルティ関数の値を低減することを含む、ボリューム(k)にわたるノイズを抑制するためのローカルペナルティ関数が計算される。108において、ボリューム(k)の更新画像が、ボリューム(k)からの撮像データを使用して、さらにローカルペナルティ関数を使用して生成される。図示されていないが、反復画像再構成104はCTガントリ15を使用して被検体から取得されるCT画像から生成される減衰マップを使用して、被検体における放射線吸収を考慮に入れることができることが理解されよう。
【0032】
本明細書に開示される一実施形態ではローカルペナルティ関数がPET撮像装置12のローカル幾何学的感度に依存し、ローカルペナルティ関数の値はボリューム(k)の軸方向切頭幾何学的感度の損失を補償する量だけ、オーバーラップ領域において低減される。次に、エッジ保存ペナルティ関数が相対差分プライア(RDP)であり、順序付きサブセット期待値最大化(OSEM)再構成が使用される例示的な例を説明する。反復nに対してn+1でインデックスされる更新画像は、
のように適切に記述される。ここで、λiはiによってインデックスされるボクセルでの推定される活動であり、
は、局所ペナルティ重み付け係数であり、ajjはシステム行列値であり、si,kはボクセルiでの幾何学的感度であり(異なるベッド位置が異なる取得時間を有する場合、好ましくは、取得時間によってスケーリングされる)、yjはデータ投影ビンであり、パラメータγi>0はエッジ保存パラメータであり、RDPの前にステアリングする。プライアは、ボクセルiの周りの局所的な画像近傍Niにわたって推定される。一般に、γiの値が大きいほど、エッジ保存が大きくなる(すなわち、ペナルティが減少する)。この値γi=0はエッジ保存を完全に排除し、RDPは二次プライアとなる。
【0033】
ここに開示されるように、ローカルペナルティ関数の値は、ボリュームk及びk+1のベッド位置がオーバーラップするオーバーラップ領域(及び現在のベッド位置kが両端でオーバーラップする場合には、ボリュームk-1及びkのベッド位置がオーバーラップする領域)において減少される。いくつかの適切な実施形態では、ローカルペナルティ関数がボリュームkのベッド位置の画像ボリュームにおいてiでインデックスされるボクセルに対するPET撮像装置12の局所幾何学的感度si,kに依存する。ボクセルiにおける幾何学的感度は、そのボクセルiを通過する応答線(LOR)の数として評価されることができる。隣接するボリュームk-1又はk+1のいずれにも重ならないボリュームkの部分において、標準的な感度を使用することができ、n番目の反復には、値
を使用できる。ここで、γ0は一定である。しかしながら、オーバーラップ領域では、ペナルティが低減される。これは、ボリュームkの軸方向切頭幾何学的感度の損失を補償する量だけ、オーバーラップ領域におけるエッジ保存パラメータの値γを増加させることによって達成される。したがって、「ジョイント」エッジ保存パラメータ
が使用され、これは、
として適切に書くことができる。si,k+1は次の隣接ボリュームk+1内の(同じ)ボクセルiの幾何学的感度である。ここでも、この調整は、γが式(1)のローカルRDPペナルティの分母にあるため、オーバーラップ領域におけるローカルRDPペナルティの減少をもたらすエッジ保存パラメータ(すなわち、
)を増加させることは強調される。このRDPペナルティの減少は、ボリュームk+1における更なるデータを考慮する。これにより、2つの再構成されるボリュームk及びk+1がオーバーラップ領域において共に編成されるときにノイズがより低くなるので、所望のノイズ低減を達成するためにボリュームkを再構成するときにオーバーラップ領域においてより低いペナルティを使用することができ、したがって、オーバーラップ領域における減少されるペナルティのために特徴(エッジ)がより良好に保存されることが意味される。
【0034】
別の実施形態ではローカルペナルティ関数がペナルティを課されるボクセルを通過する全同時カウントに依存し、ローカルペナルティ関数の値は後続ボリュームk+1においてペナルティを課されるボクセルを通過する全同時カウントを補償する量だけ、オーバーラップ領域において低減される。ペナルティは、幾何学的感度の観点からではなく、実際の局所同時カウント統計の観点から定式化することができる。これは、上記の式における幾何学的感度sを実際のカウントで置き換えることを伴う。
この場合、
(オーバーラップ調整なし)である。Ci,kは、LORがボクセルiを通過するベッド位置kについてのデータセット内の同時事象のカウントである。飛行時間(TOF)PETの場合、これは、
として定式化され得る。インデックスvは、LORがボクセルiを通過するベッド位置kについてのデータセットのCi,k同時カウントにわたって走行し、wvは、ボクセルi内で発生されるvによってインデックスされる飛行時間確率である。非TOFの場合、ジョイントエッジ保存パラメータ(すなわち、オーバーラップ調整を提供する)は,
である。ここでも同様に、項Ci,k+1は、LORが(同じ)ボクセルiを通過するベッド位置k+1についてのデータセット内の同時事象のカウントである。この定式化では明白なことに、低減されるペナルティ(これも分母項
の増大される値によって提供される)は、2つの再構成されるボリュームk及びk+1がオーバーラップ領域で一緒に編成されるときにノイズがより低くなることを意味するボリュームk+1内の更なるデータCi,k+1を説明する。TOFの等価式は、
であり、合計
はボリュームk+1のデータセット内にある。
【0035】
上記の例では、再構成処理106、108は撮像データの各ボリューム(k)を撮像データの他のボリューム(k)とは別に再構成されるベッド位置画像に再構成し、次いで、ベッド位置画像を画像空間内で一緒に編み込んで最終画像を生成することを含む。他の実施形態では再構成プロセス106、108は撮像データ内のすべてのボリューム(k)からのカウント数を全ボリュームに結合することと、全ボリュームを再構成画像に再構成することとを含むことができる。この後者の実施形態では、ローカルペナルティ関数は、
に依存する。
【0036】
いずれの実施形態においても、連続するベッド位置の取得時間が全て同じではない場合、オーバーラップ領域におけるローカルペナルティ関数の値の減少も、ボリューム(k)と後続ボリュームk+1のそれぞれの取得時間の比に基づいて適切にスケーリングされる。
【0037】
図3を参照すると、呼吸ゲート式撮像方法200の例示的な実施形態がフローチャートとして概略的に示されている。これは異なるアプリケーションであるが、(空間的/軸方向ではなく、現在時間的)オーバーラップ領域におけるペナルティを調整する開示されるアプローチは類似している。202において、少なくとも1つの電子プロセッサ20は、呼吸している患者の撮像データを取得するためにPET撮像装置12を動作又は制御するようにプログラムされる。PET画像データ収集と同時に、呼吸ゲーティング信号は、呼吸フェーズ対時間情報を提供する呼吸モニタ201によって取得される。例えば、呼吸ゲーティング信号は呼吸中の胸部の膨張及び収縮を測定する呼吸モニタベルトを備える呼吸モニタ201によって提供することができ、又は呼吸ゲーティング信号は、口及び/又は鼻への/からの空気流を測定する流量センサを備える呼吸モニタ201によって提供することができる。203では、PETデータが呼吸ゲーティング信号を使用して、呼吸フェーズによってビニングされる。図2のマルチベッド位置撮像例と同様に、各呼吸フェーズビンはインデックスkによって示され、2つの隣接する呼吸フェーズビンk及びk+1は呼吸シーケンスにおいて隣接し、すなわち、各呼吸間隔において、呼吸フェーズk+1は、時間的に呼吸フェーズkの直後に続く。呼吸フェーズによるビニングは連続する呼吸における同じ呼吸フェーズkにわたって取得されるPETデータが組み合わされて呼吸フェーズビンkに対するPETデータセットを形成し、同様に、連続する呼吸における同じ呼吸フェーズk+1にわたって取得されるPETデータが組み合わされて呼吸フェーズビンk+1に対するPETデータセットを形成し、以下同様であることが理解されるのであろう。さらに、ビンは時間的に重複する。204において、少なくとも1つの電子プロセッサ20は、複数の呼吸にわたって呼吸フェーズビン(k)に蓄積される取得されるPET撮像データに対して動作する反復画像再構成プロセスを使用して、呼吸フェーズ(k)の画像を生成するようにプログラムされる。反復再構成204は、動作206、208、及び210を含む。206において、各ビンの撮像データは、ゲートフェーズにおいて検出される呼吸運動について調整される。これは、導出される動きベクトルに従ってLORエンドポイントのカウントをシフトすることを伴う。各ボクセルiについて、その基準位置からのボクセルiの移動を示す関連する動きベクトル△γがある(これは、例えば、ビンk=0におけるその位置として任意に指定することができ、したがって、すべてのiに対して△γi,k=0=0になる)。208において、呼吸フェーズビンk+1との時間的オーバーラップ領域におけるローカルペナルティ関数の値を減少させることを含む、呼吸フェーズビン(k)におけるノイズを抑制するためにローカルペナルティ関数が計算される。210において、呼吸フェーズビン(k)の更新画像は、呼吸フェーズビン(k)からの撮像データを使用し、さらにローカルペナルティ関数を使用して生成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、動作206における調整は、
に従って実行される。ここで、γはエッジ保存パラメータであり、iはボクセルであり、λはボクセルのグレースケール値であり、sはボクセルを通過する幾何学的感度であり、2つのゲートフェーズφkとφk+1との間の動きベクトルである。
【0039】
図4は、オーバーラップ領域の中心に位置する六角形のパターンに直径6mmの球が6つある均一なファントムを用いた再構成画像の例を示す。(a)とラベル付けされる図は、編成後の標準的なペナルティ付き再構成で再構成される画像である。(b)とラベル付けされる図は、撮像方法100の共同ペナルティ付き再構成を用いて再構成される画像である。ファントムセットアップの側面図が(c)とラベル付けされる図に示されている。シリンダファントム50は、第1のベッド位置54及び第2のベッド位置56上に複数の球52を備えて示されている。
【0040】
本開示は、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。前述の詳細な説明を読み、理解すると、修正及び変更が他者に思い浮かぶ可能性がある。本開示は添付の特許請求の範囲又はその均等物の範囲内に入る限り、そのようなすべての修正及び変更を含むものと解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4a)】
図4b)】
図4c)】