(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】アイマスク
(51)【国際特許分類】
A61F 7/08 20060101AFI20231218BHJP
A61F 9/04 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61F7/08 312
A61F9/04 300
(21)【出願番号】P 2021526347
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 US2019061457
(87)【国際公開番号】W WO2020102518
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-02
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516011671
【氏名又は名称】オキュソフト インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】OCuSOFT,Inc.
【住所又は居所原語表記】30444 SW Freeway Rosenberg TEXAS 77471 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スミス、トロイ
(72)【発明者】
【氏名】メイソン、トーマス
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0088236(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0252210(US,A1)
【文献】特表2010-509220(JP,A)
【文献】中国実用新案第206120559(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0208279(US,A1)
【文献】特表2011-525123(JP,A)
【文献】登録実用新案第3045230(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/08
A61F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の症状を治療するためのアイマスクであって、
第1の層と、第1の層とは反対側の第2の層とを有する布地
、を
有しており、
前記第1の層および第2の層は、これらの層の縁に実質的に沿って縫い合わされており、
ステッチポイントの1つまたは複数の列が、前記第1の層および第2の層において、少なくとも3つの実質的に別個の区分を画定しており、
第1の区分が、アイマスクの上端に近接する水平軸に沿って細長い弧状をなしており、
第2の区分が、第1の目の上に配置されるように構成されており、
第3の区分が、第2の目の上に配置されるように構成されており、
各区分内には熱拡散性の充填材料が実質的に封入されており、
アイマスクの下端が弧状をなすとともに、着用者の鼻梁に適合するくぼみを有しており、
前記くぼみからのステッチポイントの列が、第2の区分を第3の区分から分離しており、
前記
熱拡散性の充填材料
が、眼の表面に湿熱を送達するように構成されている、アイマスク。
【請求項2】
前記
熱拡散性の充填材料が熱伝導性材料を含んでいる、請求項1に記載のアイマスク。
【請求項3】
前記
熱拡散性の充填材料が複数のシリカビーズを含んでいる、請求項1に記載のアイマスク。
【請求項4】
アイマスクが、ドライアイを治療するように構成されている、請求項1に記載のアイマスク。
【請求項5】
調節可能なストラップ部材をさらに備えており、前記ストラップ部材が、
アイマスクの第1の側に沿って前記第1の層と第2の層との間に挿入されている第1のストラップ部と、
アイマスクの第2の側に沿って前記第1の層と第2の層との間に挿入されている第2のストラップ部と、を含み、
各ストラップ部が、1つまたは複数の締結要素を含んでいる、請求項1に記載のアイマスク。
【請求項6】
眼の症状を治療するためのアイマスクであって、
(A)カバーであって、
第1の層と、
第2の層であって、第1の層および第2の層がこれらの層の縁に沿って実質的に縫い合わされている、第2の層と、
第1の層と第2の層との間に形成されたポケットと、を含む布地を有するカバーと、
(B)
インサートであって、
ポケット内に配置されるように構成されて
おり、
ステッチポイントの1つまたは複数の列が、前記第1の層および第2の層において、少なくとも3つの実質的に別個の区分を画定しており、
第1の区分が、アイマスクの上端に近接する水平軸に沿って細長い弧状をなしており、
第2の区分が、第1の目の上に配置されるように構成されており、
第3の区分が、第2の目の上に配置されるように構成されており、
各区分内には熱拡散性の充填材料が実質的に封入されており、
アイマスクの下端が弧状をなすとともに、着用者の鼻梁に適合するくぼみを有しており、
前記くぼみからのステッチポイントの列が、第2の区分を第3の区分から分離しており、
前記熱拡散性の充填材料が、眼球の表面に湿熱を送達するように構成されている
、インサートと、を含
む、アイマスク。
【請求項7】
前記
熱拡散性の充填材料がクロスハッチパターンで配置されている、請求項
6に記載のアイマスク。
【請求項8】
前記
熱拡散性の充填材料が熱伝導性材料を含んでいる、請求項
6に記載のアイマスク。
【請求項9】
前記インサートが取り外し可能であり、さらに電子レンジで加熱されるように構成されている、請求項
6に記載のアイマスク。
【請求項10】
前記カバーが手洗いまたは機械洗浄されるように構成されている、請求項
6に記載のアイマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼のケア装置(ocular care apparatus)、および、特に、ドライアイ、眼瞼炎、マイボーム腺の機能不全/疾患、アレルギーおよび他の眼の症状を治療するためのアイマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
目は潤いを保つために涙を分泌する。涙は、眼球の前面を健康に保ち、クリアな視界を確保するために必要なものである。涙には、潤滑作用があり、眼感染症のリスクを軽減し、眼内の異物を洗い流し、眼の表面を滑らかで透明に保つ働きがある。目の余分な涙はまぶたの内側の角にある小さな排液管に流れ込み、そこから副鼻腔の奥へと流れていく。しかし、目が十分な量の涙を作れなかったり、涙の膜の1つ以上の層が何らかの影響を受けたりすると、ドライアイになってしまう。ドライアイは、涙の分泌量が減少したり、涙液の質のバランスが崩れたり、排出が十分に行われない場合に起こる。ドライアイとは、眼球を潤滑にしたり栄養を与えたりするための涙の質や量が十分でない状態のことである。ドライアイは、特に高齢者によく見られる慢性的な障害である。
【0003】
ドライアイの人は、涙の分泌量が少ないか、涙の質が低下しているかのどちらかである。ドライアイの人は、目の炎症、目がゴロゴロしたり、チクチクしたり、焼けつくような感じ、目の中に何かがあるような感じ、過剰な涙、目のかすみなどを感じることがある。ドライアイが進行すると、眼球の前面が傷つき、視力が低下することがある。
【0004】
ドライアイの治療は、目の中の涙の量を正常に回復または維持することで、乾燥やそれに伴う不快感を最小限に抑え、目の健康を維持することを目的としている。蒸発性ドライアイでは、涙液の脂質層や一番外側の層を分泌するマイボーム腺に炎症があるおよび/または詰まっている(capped)と、薄い脂質層が生成されず、むしろ厚い皮脂が分泌され、涙液膜の正常な質が損なわれる。
【0005】
ドライアイを治療するための湿布およびマスクは当技術分野で知られている。従来のマスクの中には、ビーズや同様の材料が付いていてずれやすいものがあった。そのため、マスクが温められたり加熱されたりしたときに、対象となるまぶたの領域で安定した熱伝達を行うことができない。このような従来のマスクは、電子レンジで加熱できるように構成されている。従来のマスクでは、使用するたびに汚れや油分、細菌などが付着することがあり、汚染や二次汚染の原因となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、対象となるまぶたの領域での安定した熱伝達を容易にし、二次汚染につながる汚れ、油分、ゴミ、細菌などの付着を防ぐことができるマスクが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ドライアイ、目のかゆみや炎症、眼瞼炎、マイボーム腺の機能障害/疾患、アレルギー、その他の目の症状(以下、「目の症状」という)を治療するための眼のケア装置に関する。一実施形態では、眼のケア装置は、眼の症状に悩む人が着用することができるアイマスク(または交換可能なマスク)を含む。アイマスクの1つまたは複数の実施形態は、ドライアイおよび他の眼の症状に関連する症状を軽減し、保湿し、そして緩和するように構成されている。
【0008】
一実施形態では、眼の症状を治療するためのアイマスクは、第1の層と第1の層の反対側の第2の層とを有する布地と、第1の層と第2の層との間に封入された熱拡散性の充填材料とを含む。第1の層と第2の層は、これらの層の縁に実質的に沿って縫い合わされている。充填材料は、眼の表面に湿熱を送達するように構成されている。
【0009】
一実施形態によれば、ドライアイを治療するための方法は、第1の層と、第1の層の反対側の第2の層と、第1の層と第2の層との間に封入された熱拡散性の充填材料とを有するアイマスクを提供することと、電子レンジでアイマスクを所定の時間加熱することと、加熱されたアイマスクを使用者の目の上に置くこととを含む。アイマスクは、所望の時間そのままにしておくことができる。アイマスクを外した後、まぶたを専用の洗浄剤で洗浄することができる。
【0010】
別の実施形態では、眼の症状を治療するためのアイマスクは、(A)カバーであって、第1の層と、第2の層であって、第1の層および第2の層がこれらの層の縁に実質的に沿って縫い合わされている、第2の層と、第1の層と第2の層との間に形成されたポケットと、を含む布地を有するカバー、および(B)ポケット内に配置されるように構成されているインサートを含む。インサートは熱拡散性の充填材料を含む。充填材料は、眼の表面に湿熱を送達するように構成されている。
【0011】
一実施形態によれば、ドライアイを治療するための方法は、カバーおよび取り外し可能なインサートを有するアイマスクを提供することと、インサートを電子レンジで所定の時間加熱することと、加熱されたインサートをカバーのスリーブ内に配置することと、加熱されたインサートが配置されたカバーを使用者の目の上に置くこととを含む。使用後はマスクを外し、まぶた専用の洗浄剤で目を洗浄することができる。
【0012】
充填材料は、クロスハッチパターンで構成することができる。充填材料は乾燥剤でもよい。充填材料は熱的に安定しており、熱伝導性が高い。加熱された充填材料は、目の表面に一定の熱を放散するように構成されている。一実施形態では、充填材料は、複数のシリカビーズを含む。
【0013】
別の実施形態によれば、眼に温熱療法を提供するためのキットは、本発明の1つまたは複数の実施形態によるアイマスクおよび1つまたは複数のまぶた用ワイプを含む。まぶた用のワイプはまぶた専用の洗浄剤を含浸させることができる。まぶた専用の洗浄剤は、ポリヘキサメチレンビグアニドを有する組成物を含む。
【0014】
本発明の目的、利点および新規の特徴、ならびに適用可能性のさらなる範囲は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明に部分的に記載され、部分的に当業者に明らかになるか、本発明の実施によって知ることができる。本発明の目的および利点は、以下の説明で特に指摘される手段および組み合わせによって実現および達成することができる。
【0015】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を示し、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、本発明の好ましい実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態によるアイマスクを示している。
【
図2】本発明の一実施形態によるアイマスクを示している。
【
図3】本発明の一実施形態によるアイマスクを示している。
【
図4】本発明の別の実施形態によるアイマスクを示している。
【
図5】本発明の別の実施形態によるアイマスクを示している。
【
図6】本発明の別の実施形態によるアイマスクを示している。
【
図7】本発明の別の実施形態によるアイマスクを示している。
【
図8】本発明の一実施形態による取り外し可能なインサートを示している。
【
図9】本発明の一実施形態による取り外し可能なインサートを示している。
【
図10】本発明の一実施形態による取り外し可能なインサートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
アイマスクの1つまたは複数の実施形態は、ドライアイに関連する症状や、目の乾燥、掻痒および刺激を治療するための湿熱湿布として構成されている。アイマスクは、目の表面に熱と湿気を均等に分散するように構成されている。アイマスクは、周囲の空気から水分を自然に取り込み、電子レンジで加熱されると水分を放出するように構成された熱拡散性の充填材料を含む。
【0018】
一実施形態では、
図1~3に示されるように、湿熱を提供するためのマスク100が提供される。本明細書で使用される場合、「湿熱(moist heat)」という用語は、水分を含んだ熱を意味する。マスク100は、使用者の目の上(図示せず)に置くように構成することができる。マスク100は、楕円形、卵形、長方形、長円形、または他の所望の形状であってもよい。マスク100は、第1または前層110Aと、反対側の第2または後層110Bとを有する布地を含む。各層110A、110Bは、他方の鏡像である。布地は、周囲の空気からの水分を2つの層の間に封入された充填材料が吸着できるように選択される。布地は、充填材料から眼の表面への熱放散をさらに促進する。布地は、絹、綿、毛、ナイロン、ベルベット、ポリエステル、合成繊維、または他の適切な生地であってもよい。各層の内面は、絶縁材料を含んでいてもよい。
【0019】
2つの層110A、110Bは、その縁または周辺に実質的に沿って、縫い合わせるか、別の方法で取り付けることができる。各層110A、110Bは、1列以上のステッチポイント/ステッチで他方の層に接続することができる。ステッチは、あらかじめ決められたパターンの形式であってもよい。例えば、パターンは、複数の交差する平行線を含むことができる。ステッチに使用される糸は、当技術分野で知られている任意の材料で作ることができる。好ましくは、糸は、絹、綿、ポリエステル、合成繊維、または他の適切な材料でできていてもよい。充填材料は、ステッチされた前層および後層110A、110B内に分配されて完全に封入されている。
【0020】
マスクの上端115Aは弧状にすることができる。下端115Bは、鼻梁に適合するようなくぼみのある弧状になっている。ステッチポイントの1つまたは複数の列は、前層110Aおよび後層110Bにおいて、少なくとも3つの実質的に別個の区分120A、120B、120Cを画定する。充填材料は各区分に封入されている。
【0021】
第1の区分120Cは、上端115Aの実質的に近位に位置している。第1の区分120Cは細長く、水平軸に沿って延びている。第1の区分120Cは、使用者の目の上、例えば、使用者の眉毛や額の上(図示せず)に配置されるように構成することができる。第1の区分120Cは、1列以上のステッチポイント105によって第2および第3の区分120A、120Bから実質的に分離されている。第1の区分120C内に封入された充填材料は、第2および第3の区分120A、120Bに含まれる充填材料から実質的に隔離されている。第2の区分120Aは、第1の眼の上に配置されるように構成され、第3の区分120Bは、第2の眼の上に配置されるように構成される。これらの区分は、最適な熱拡散率を確保するように構成されている。
【0022】
マスク100は、可撓性ストラップ部材130を含むことができる。ストラップ部材130は、調整可能で使いやすいように弾性を持たせることができる。ストラップ部材130は、第1のストラップ部130Aおよび第2のストラップ部130Bを含むことができる。第1のストラップ部130Aは、第1の側に沿って第1の層110Aと第2の層110Bとの間に挿入されて縫い付けられ、第2のストラップ部130Bは、第1の側とは反対側の第2の側に沿って第1の層110Aと第2の層110Bとの間に挿入されて縫い付けられている。各ストラップ部130A、130Bは、1つまたは複数の締結要素を含むことができる。一態様では、各ストラップ部130A、130Bの第1の表面は、嵌合するフックアンドループ式の係合ファスナ135A、135Bを有するパッドを含むことができる。しかしながら、ストラップ部はまた、第1のストラップ部130Aを第2のストラップ部130Bに接続するためのバックル、フックおよび他の締結要素を含むことができる。
【0023】
ストラップ部材130は、後頭部の周りに取り付けられる/後頭部に固定されるように構成されている。ストラップ部材130を調整することにより、第2の層110Bの外面と使用者の目との間に快適な圧力を加えることができる。
【0024】
一実施形態では、マスク100の内側は、1つまたは複数の交換可能または調整可能なバンド(図示せず)を含むことができる。バンドはマスクの裏側/内側に水平または垂直のパターンで縫い付けられている。バンドは、糸くずの出ない布/生地を保持するように構成されている。糸くずの出ない布には、レーヨンパッド、レーヨンとポリプロピレンの混紡布、綿、または他の同様の糸くずの出ない材料が含まれていてもよい。糸くずの出ない布は、織り目加工または滑らかな表面を含むことができる。糸くずの出ない布は、相互汚染を防ぐために取り替えまたは交換することができる。
【0025】
糸くずの出ない布は、閉じた瞼の上に置く前に、1種類以上の抗菌(anti-bacterial)/抗菌(anti-microbial)溶液をスプレーし、使用の間で交換することができる。たとえば、糸くずの出ない布に、基本的に99%以上の水と0.02%以下の次亜塩素酸からなる溶液を噴霧または含ませる(moisten)ことができる。
【0026】
充填材料(図示せず)は、縫合された前層および後層110A、110Bによって形成された部分(enclosure)内に収容されている。充填材料は、粒状材料、布、フィルムまたは発泡体、あるいは1つまたは複数の所望の特性を有する任意の他の材料を含むことができる。所望の特性には、例えば、水分吸着、良好な熱伝導性および圧縮性などが挙げられる。さらに、充填材料は、1つまたは複数の種類の充填材料を含んでいてもよい。
【0027】
一実施形態では、充填材料は、物理的な吸着によって空気中の水分を吸収するように構成された乾燥剤であってもよい。充填材料は、シリカ、活性アルミナ、粘土、合成材料、ポリマー、および活性炭、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。充填材料が熱的に安定しており、熱伝導性に優れていることが重要である。充填材料は、少なくとも短期間、一定の熱を保持するように構成されている。充填材料は、眼の表面に一定の湿熱を放散または送達するように構成することができる。
【0028】
別の実施形態では、充填材料は、乾燥したエンドウ豆、そば粉、オーツ麦、クルミの殻、亜麻仁、乾燥したピントビーンなどの素材や、これらの素材の派生物が含まれる。
例示的な実施形態では、充填材料はシリカゲル系の材料である。シリカゲルは、アモルファス二酸化ケイ素で構成される化学的に不活性で毒性のない材料である。シリカゲルは、微細な孔が相互に連結した内部網状組織を有している。シリカゲルは、周囲の空気の相対湿度と蒸気圧が平衡になるまで、水分を吸着または脱着することができる。
【0029】
シリカゲル系の材料は、通常利用可能な物理的形状のいずれかを有していてもよい。例えば、その形状は、不規則な顆粒であったり、略球状のシリカビーズであったりするが、これらは球状シリカゲルまたはビーズ状シリカゲルと呼ばれる。シリカビーズまたは他の充填材料の大きさ、形状、および量の選択は、既知の科学的原理に基づいている。
【0030】
一実施形態では、充填材料は、指定されたパターンで分配されてもよい。パターンは、クロスハッチパターン、バスケット織りパターン、またはその他の適切なパターンにすることができる。これにより、充填材料の均一な分配が容易になり、目への湿熱の放散も最適化することができる。
【0031】
一実施形態によれば、眼の症状を治療する方法は、マスク100を提供することを含む。マスク100は、電子レンジなどの熱源内で所定の時間加熱することができる。所定の時間は、約15秒~約30秒であってもよい。マスク100を加熱することで、封入された充填材料が加熱される。一実施形態では、マスクは、最初に20秒間加熱することができ、必要に応じて、さらに5~10秒間加熱することができる。
【0032】
マスクを30秒を超えて加熱しないようにすることで、充填材料の過熱や損傷を防ぐことができる。マスク100の温度は、目の上に置くための許容範囲内にあることを、マスク100を着用する前に、例えば、触って確認する。マスク100が熱すぎると感じる場合、使用者は、熱がある程度放散され、熱さに耐えられるようになるまで待つ必要がある。
【0033】
温度が使用者にとって許容できる場合は、マスクの後層110Bを目/眼の表面上に配置することで着用することができる。次に、マスク100は、調整可能で可撓性のストラップ部材135によって、後頭部に安全かつ快適に固定することができる。加熱された充填材料は、熱および吸着された水分を湿熱として布地層を通してゆっくりと拡散するように構成されている。熱が目の表面に拡散されることで、ドライアイなどの眼の症状を緩和し、潤いを与えてくれる。マスク100は、所望の時間、目の上に配置することができる。最適な熱拡散のためには、マスク100を閉じた目の上に約5~20分間置くか、または医療専門家の処方に従って置くことができる。マスク100はまた、必要に応じて、眼の表面の炎症を治療するために冷却されるように構成される。
【0034】
加熱された充填材料は熱を保持し、対象となるまぶたに安定して熱を伝達することができる。熱はマイボーム腺の皮脂を溶かすことができる。これにより、使用者はマイボーム腺を手で簡単にマッサージまたは搾り出して、薄い脂質を分泌させて涙液層のバランスを整え、ドライアイの症状を治療することができる。
【0035】
所望の時間使用した後、マスク100を取り外す。シリカビーズは、水分を吸着または脱着する能力の点において長寿命である。したがって、充填材料としてシリカビーズを含むマスク100は、再調整および再利用することができる。マスク100を30分以内に再利用すれば、加熱時間を初期加熱時間の約半分に短縮することができる。
【0036】
一実施形態によれば、マスク100を除染する方法が開示される。マスク100を複数回使用すると、汚染される可能性がある。そのため、目やまぶたの感染を防ぐために、マスクの除染が必要になる場合がある。マスク100および、特に目に接触する後層110Bは、基本的に99%以上の水および0.02%以下の次亜塩素酸からなるOCuSOFT(登録商標)Hypochlorなどの消毒液で噴霧または拭くことができる。消毒液は、ゲル状またはスプレー状でもよい。1つまたは複数の実施形態では、ドライアイマスクキットは、マスク100および次亜塩素酸スプレーおよび/または次亜塩素酸を含浸させた1つまたは複数のワイプを含むことができる。
【0037】
図4~7は、湿熱を提供するためのアイマスク200の別の実施形態を示している。マスク200は、眼の症状を有する使用者が着用することができる。マスク200は、使用者の目の上(図示せず)に置くように構成することができる。マスク200は、楕円形、卵形、長方形、長円形、または他の所望の形状であってもよい。マスク200は、カバー210および取り外し可能なインサート250を含む。インサート250は、複数の熱拡散性の充填材料のうちの1つまたは組み合わせを含む。
【0038】
カバー210は、第1または前層210Aと、反対側の第2または後層210Bとを有する布地を含む。各層210A、210Bは、他方の層の鏡像である。布地は、周囲の空気からの水分がインサートに封入された充填材料に吸着されるように選択される。布地は、充填材料から眼の表面への熱放散をさらに促進する。生地は、絹、綿、毛、ナイロン、ベルベット、ポリエステル、合成繊維、または他の適切な生地であってもよい。マスク200の上端および下端は、略弧状の形状を有することができる。カバー210の下端は、鼻梁に適合するようにくぼみを有することができる。各層の内面は、絶縁材料を含んでいてもよい。
【0039】
2つの層210A、210Bは、その縁部または周辺部で縫い合わせるか、他の方法で取り付けることができる。各層210A、210Bは、複数列のステッチポイントで他方の層に接続することができる。ステッチは、あらかじめ決められたパターンの形式であってもよい。例えば、パターンは、複数の交差する平行線を含むことができる。ステッチに使用される糸は、当技術分野で知られている任意の材料で作ることができる。好ましくは、糸は、絹、綿、ポリエステル、合成繊維、または他の適切な材料でできていてもよい。
【0040】
後層210Bは、2つの実質的に重ね合わされた布地の半分212、214を含む。一実施形態では、2つの半分212、214は、それらの間に細長いアクセス開口部220を画定する。アクセス開口部220は、第1の層210Aと第2の層210Bとの間に1つまたは複数の取り外し可能なインサート250を受け入れるためのポケットとして構成される。特定の実施形態では、単一のインサート用の単一のスリーブ、またはマスクの各側からアクセス可能な1つのスリーブを備えた2つのスリーブがあってもよい。
【0041】
カバー210は、可撓性ストラップ部材230を含むことができる。ストラップ部材230は、調整可能で使いやすいように弾性を持たせることができる。ストラップ部材230は、第1の部分230Aおよび第2の部分230Bを含むことができる。第1の部分230Aは、ストラップ挿入部材235内に挿入されるか、またはその周りにループ状にされる。ストラップ挿入部材235の端部は、第1の側に沿って第1の層210Aと第2の層210Bとの間に挿入されて、縫い付けることができる。ストラップ挿入部材235は、任意の適切な布地で作ることができる。ストラップ挿入部材230の第2の部分230Bは、第2の側237に沿って第1の層210Aと第2の層210Bとの間に挿入され、縫い付けられる。ストラップ部材230は、締結要素を含むことができる。一態様では、ストラップ部材230は、バックルタイプのファスナ235を含むことができる。しかしながら、ストラップ部材はまた、フック、嵌合フックアンドループ式の係合ファスナおよび他の締結要素を含むことができる。
【0042】
ストラップ部材230は、使用者の後頭部の周りに取り付けられる/後頭部に固定されるように構成されている。ストラップ部材230は、マスクの後層210Bによって目に加えられる張力を調整するための手段を提供することができる。
【0043】
挿入物は、本開示の目的のために、限定されるものではないが、クッション、パッド、ポッドまたは枕様のものを含むことができる。インサートは、複数の充填材料のうちの1つまたは組み合わせを実質的に完全に封入することができる。充填材料は、布地、ビーズ状のシリカゲル、あるいは1つまたは複数の所望の特性を有する他の任意の材料であってもよい。所望の特性には、例えば、水分吸着、良好な熱伝導性および圧縮性などが挙げられる。別の実施形態では、インサートは、良好な熱伝導性を有する布地または材料の比較的厚い部分を含むことができる。
【0044】
図8~10は、例示的なインサート250を示している。インサート250は、周囲空気から水分を吸着するように構成された充填材料(図示せず)を含むことができる。充填材料は優れた熱伝導体である。インサート250は、使用前に加熱してポケット220内に配置することができる。加熱されたインサートは、湿熱を眼の表面全体に均一に拡散するように構成され、それにより、使用者/着用者の眼の症状を緩和する。使用後、インサート250をカバー210から取り外し、カバーを簡単に手洗いまたは機械洗いして、最適な眼の衛生状態を確保することができる。
【0045】
インサート250は、前面255Aおよび裏面255Bを有する布地を含む。布地は、周囲の空気からの水分が充填材料に吸着されるように構成されている。布地は、絹、綿、毛、ナイロン、ベルベット、ポリエステル、合成繊維、または他の適切な生地であってもよい。2つの面255A、255Bは、その縁部または周辺部で縫い合わせるか、他の方法で取り付けることができる。各面255A、255Bは、複数列のステッチポイントで他方の面に接続することができる。ステッチは、あらかじめ決められたパターンの形式であってもよい。例えば、パターンは、複数の交差する平行線を含むことができる。ステッチに使用される糸は、当技術分野で知られている任意の材料で作ることができる。好ましくは、糸は、絹、綿、ポリエステル、合成繊維、または他の適切な材料でできていてもよい。
【0046】
インサートの上端は弧状にすることができる。下端は、カバー210の底部のくぼみに対応するくぼみのある弧状である。ステッチポイントの1つまたは複数の列は、前面255Aおよび裏面255Bにおいて、少なくとも3つの実質的に別個の区分260A、260B、260Cを画定する。充填材料は各区分に封入されている。
【0047】
第1の区分260Cは、インサート250の上端の実質的に近位に配置されている。第1の区分260Cは細長く、水平軸に沿って延びている。第1の区分260Cは、1列以上のステッチポイント265によって第2および第3の区分260A、260Bから実質的に分離されている。第1の区分260C内に封入された充填材料は、第2および第3の区分260A、260Bに含まれる充填材料から実質的に隔離されている。これらの区分は、最適な熱拡散率を確保するように構成されている。
【0048】
インサート250は、インサートの裏面255Bが後層210Bに隣接し、インサートの前面255Aがカバー210の前層210Aに隣接するように、ポケット220内に配置することができる。インサート250は、スリーブ220内に挿入されたときに、カバー210の内側側壁にぴったり合うように大きさが設定されている。
【0049】
インサート250は、楕円形、卵形、長方形、長円形、または他の任意の所望の形状であってもよい。好ましくは、インサート250の形状は、カバー210の輪郭と一致する。
【0050】
充填材料(図示せず)は、縫合された前面および裏面255A、255Bによって形成された部分内に収容されている。充填材料は、粒状材料、布、フィルムまたは発泡体、あるいは1つまたは複数の所望の特性を有する任意の他の材料を含むことができる。所望の特性には、例えば、水分吸着、良好な熱伝導性および圧縮性などが挙げられる。さらに、充填材料は、1つまたは複数の種類の充填材料を含んでいてもよい。
【0051】
一実施形態では、充填材料は、物理的な吸着によって空気中の水分を吸収するように構成された乾燥剤であってもよい。充填材料は、シリカ、活性アルミナ、粘土、合成材料、ポリマー、および活性炭、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。充填材料が熱的に安定しており、熱伝導性に優れていることが重要である。充填材料は、少なくとも短期間、一定の熱を保持するように構成されている。充填材料は、眼の表面に一定の湿熱を放散または送達するように構成することができる。
【0052】
別の実施形態では、充填材料は、乾燥したエンドウ豆、そば粉、オーツ麦、クルミの殻、亜麻仁、乾燥したピントビーンなどの素材や、これらの素材の派生物が含まれる。
例示的な実施形態では、充填材料はシリカゲル系の材料である。シリカゲルは、アモルファス二酸化ケイ素で構成される化学的に不活性で毒性のない材料である。シリカゲルは、微細な孔が相互に連結した内部網状組織を有している。シリカゲルは、周囲の空気の相対湿度と蒸気圧が平衡になるまで、水分を吸着または脱着することができる。
【0053】
シリカゲル系の材料は、通常利用可能な物理的形態のいずれかを有していてもよい。例えば、その形状は、不規則な顆粒であったり、略球状のシリカビーズであったりするが、これらは球状シリカゲルまたはビーズ状シリカゲルと呼ばれる。シリカビーズまたは他の充填材料の大きさ、形状、および量の選択は、既知の科学的原理に基づいている。
【0054】
別の実施形態では、インサート250は、飽和液体酢酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、または放出可能な過飽和または結晶性溶液を含む同様の溶液で満たされたパケット(図示せず)を含むことができる。パケットを絞って過飽和溶液または結晶性塩を露出させると、塩の自発的な結晶化が始まる。酢酸ナトリウムやチオ硫酸ナトリウムなどの塩の結晶化は発熱性であり、熱を放出する。結晶化プロセスは、パケットを混ぜたり、揉んだり(massaging)して、結晶を飽和溶液とさらに混合することで加速させることができる。
【0055】
図10に示されるように、インサート250の内面または外面は、クロスハッチパターン270などの所定のパターンで配置されたステッチポイントを含むことができる。充填材料は、隙間空間(interstitial space)280内に保持される。これにより、眼への安定した湿熱伝達を提供するとともに、眼の表面に向けて最適な充填材料を提供することが容易になる。
【0056】
別の実施形態では、インサート250の内面および/または外面は、1つまたは複数のポーチまたはポケットを含むことができる。ポケットには充填材料を入れることができる。充填材料を入れたポケットは、ステッチポイントによって完全にまたは部分的に密封することができる。ポケットは1つまたは複数のパターンで配置することができる。たとえば、ポケットはクロスハッチパターンで配置することができる。ただし、ポケットはバスケット織りパターンを含む他の適切なパターンで配置することができる。目への最適な湿熱伝達を容易に行うために、充填材料は所定の位置にしっかりと保持されるか、各クロスハッチポケット内に保持される。
【0057】
一実施形態では、ドライアイを治療する方法は、マスク200を提供することを含む。インサート250はカバー210から取り外される。インサート250は、所定の時間加熱される。例えば、インサートは、電子レンジなどの熱源で約15秒~約30秒間加熱される。インサート250を加熱すると、封入された充填材料が加熱される。一実施形態では、インサート250は、最初に20秒間加熱することができ、必要に応じて、さらに5~10秒間加熱することができる。加熱されたインサート250は、熱を保持し、吸着された水分とともに熱を安定して眼に放散するように構成される。加熱されたインサート250は、ドライアイの症状を緩和するために、眼の領域全体に湿熱を均等に分配することができる。インサート250はまた、必要に応じて、眼の表面の炎症を治療するために冷却されるように構成される。
【0058】
充填材料の過熱を避けるために、インサート250を30秒を超えて加熱しないように注意する。加熱されたインサートの温度は、カバー210のポケット220内に挿入する前に、例えば、触って許容範囲にあるかを確認する。インサート250が熱すぎると感じる場合、使用者は、温度が許容範囲内になるまで待ってから、カバー210内に配置する必要がある。温度が使用者にとって許容できるものであれば、インサート250をポケット内に入れることができる。
【0059】
加熱されたインサート250を備えたカバーの後層210Bは、閉じた目/眼の表面上に配置することができる。次に、マスク200は、調節可能で可撓性のストラップ部材235によって後頭部にしっかりと固定されることで、眼の表面上に快適に配置することができる。加熱された充填材料は、ゆっくりと熱を放散し、吸着した水分を放出するように構成されている。湿熱を目の表面に放散させることで、ドライアイなどの目の症状を緩和し、潤いを与えることができる。マスク200は、所望の期間、所定の位置に置かれる。最適な熱放散のためには、マスク200を閉じた目の上に約5~20分間置くか、または医療専門家の処方に従って置くことができる。
【0060】
マスク200からの熱は、マイボーム腺の皮脂を溶かすことができる。これにより、使用者はマイボーム腺を手で簡単にマッサージまたは搾り出して、薄い脂質を分泌させて涙液層のバランスを整え、ドライアイを治療することができる。
【0061】
所望の時間使用した後、マスク200を取り外す。シリカビーズは、水分を吸着または脱着する能力の点において長寿命である。したがって、インサート250は、インサート250の充填材料としてシリカビーズを含んでいる場合、再調整および再利用することができる。マスク200が30分以内に再利用される場合、インサート250の加熱時間は、最初の加熱時間の約半分に短縮することができる。
【0062】
一実施形態によれば、インサート250はカバー210から取り外すことができ、マスク200を再利用する前にカバーを簡単に洗うことができる。カバー210は、インサート250を取り外した後に、手または機械で洗うように構成することができる。このことで、カバーに汚染物質がないことを確認できる。また、目の衛生状態をより良くすることができる。インサート250は、必要に応じて手洗いし、再利用する前に空気乾燥させることもできる。
【0063】
別の実施形態によれば、インサート250を除染する方法が開示される。インサート250は、基本的に99%以上の水および0.02%以下の次亜塩素酸からなるOCuSOFT(登録商標)Hypochlorなどの消毒液で噴霧または拭くことができる。消毒液は、ゲル状またはスプレー状でもよい。
【0064】
マスク100/200が眼の表面から取り外された後、またはマスク100/200を眼の表面に適用した後、まぶたを専用の洗浄剤で洗浄して、油、ごみまたは他の汚染物質を除去することができる。まぶた用の洗浄剤は、溶液、泡、ゲル、スプレー、ローション、懸濁液、乳濁液、軟膏、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。一実施形態では、まぶたを、ポリヘキサメチレンビグアニドを含むまぶた用の洗浄剤を含浸させたワイプで洗浄する。
【0065】
一実施形態では、まぶた用の洗浄剤は、ポリヘキサメチレンビグアニドと、1,2-ヘキサンジオールと、1,2-オクタンジオールおよび1種類以上の界面活性剤とを有する組成物を含む。界面活性剤は、第1の組成物のpHを所望のpH範囲内に調整するのに有効な量で存在してもよい。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,951,387号は、ポリヘキサメチレンビグアニドと、1,2-ヘキサンジオールと、1,2-オクタンジオールを有するそのような組成物を開示している。
【0066】
さらに別の実施形態では、まぶた用の洗浄剤は、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、トリデセス硫酸ナトリウム、ジステアリン酸PEG-150、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウレス-13カルボン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、PEG-15ココポリアミン、ポリヘキサメチレンビグアニド、ソルビン酸カリウム、1,2ヘキサンジオール、およびカプリリルグリコールを有する組成物を含む。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,278,079号は、そのような組成物を記載している。
【0067】
別の実施形態では、まぶた用の洗浄剤は、(a)少なくとも7つの細菌株を実質的に排除する抗菌剤の混合物であって、ポリアミノプロピルビグアニド、1,2-グリコール、およびスフィンゴイド脂質を含む、混合物と、(b)第1の眼科用組成物を5.5~7.5のpHに維持する混合された界面活性剤溶液であって、発泡能力を有する、混合された界面活性剤溶液と、(c)発泡安定剤と、(d)保湿剤と、を含む組成物を含む。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,278,079号は、そのような組成物を記載している。
【0068】
一実施形態では、ドライアイマスクキットが提供される。このキットにはマスク100/200が含まれている。キットはまた、本明細書に開示される治療有効量のまぶた用の洗浄剤を含浸/事前に湿らせた1つまたは複数のワイプを含むことができる。キットには、1~100枚のワイプを含めることができる。ワイプは、適切なパッケージに密封または包装することができる。キットまたはマスク(複数もあり)には、マスク(複数もあり)100/200の使用説明書を含めることもできる。
【0069】
有利なことに、マスク100、200は、追加の化学物質を含まず、目を刺激しないシリカまたは他のビーズで満たされている。マスク100、200は、柔らかく、目に優しく、使いやすいように構成されている。
【0070】
本明細書で使用される場合、組成物の「治療有効量」という用語は、まぶたを洗浄するのに十分な量を指す。
本明細書で使用される場合、「含む」とは、記載されている要素またはそれらの同等物に加えて、他の要素や記載されていない要素を意味する。「持つ」、「含む」、および「含まれる」という用語も、文脈が別段の示唆をしない限り、制限のないものとして解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「本質的にからなる」とは、追加の要素が請求項に記載された発明の基本的かつ新規の特性を実質的に変更しない場合に限り、本発明が特許請求の範囲に記載されたものに加えてそのような要素を含み得ることを意味する。
【0071】
本明細書では、第1、第2、前、後(裏)などの用語を使用して様々な要素、材料、層、および/または表面を説明するが、これらの要素、材料、層、および/または表面はこれらの用語によって制限されるものではない。これらの用語は、ある要素、材料、層、または表面を別の要素、材料、層、または表面と区別するためにのみ使用される。したがって、前述の第1の要素、材料、層または表面は、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、材料、層または表面と称することができる。
【0072】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明において様々な修正および変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書に開示される本発明の仕様および実施を考慮することにより、当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は、例示的なものとしてのみ考慮されることが意図されている。