(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】歯間器具
(51)【国際特許分類】
A61C 15/04 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
A61C15/04 503
A61C15/04 501
(21)【出願番号】P 2021547883
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2019073894
(87)【国際公開番号】W WO2020083554
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】102018126369.4
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521175230
【氏名又は名称】エデンタ、エタブリッセメント
【氏名又は名称原語表記】EDENTA ETABLISSEMENT
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】オリバー、グレーツ
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-520332(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101669843(CN,A)
【文献】特開平09-121942(JP,A)
【文献】特開2004-194777(JP,A)
【文献】特開昭56-045652(JP,A)
【文献】実開昭55-148425(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯間器具(1)であって、
-前記歯間器具を手で把持するためのハンドル部(55)と、
-前記ハンドル部(55)に保持されるキャリアであって、歯間部品が配置されるキャリアと、
-前記キャリア(3)が、前記ハンドル部(55)に対して、旋回軸(S)を中心として、互いに角度をなしてオフセットした少なくとも2つの保持位置の間で旋回可能であるように、前記キャリア(3)を前記ハンドル部に旋回可能に保持するための接合装置(35)であって、前記キャリア側および前記ハンドル部側に各々形成された2つの相互に対向する摺動ガイド面(76、78)及びガイド対向面(37、39)を有する接合装置(35)と、
を備える歯間器具(1)であって、
前記旋回軸(S)は、前記摺動ガイド面(76、78)と交差し、
前記ハンドル部(55)の1つの端部が、ディスク形状を有し、
前記ディスク形状の対向する平坦面は、2つの前記摺動ガイド面(76、78)を形成し、
前記キャリア(3)は、2つのクランプアーム(9、11)を有し、前記2つのクランプアーム(9、11)は、前記クランプアーム(9、11)の間にクランプスペースが形成されるように、互いに対して延びるとともに接続し、前記クランプスペースは、前記キャリア(3)が弾性変形した状態で、前記ハンドル部(55)の前記ディスク形状の端部が押し込まれ得るような形状とされる、
歯間器具(1)。
【請求項2】
前記旋回軸(S)は、前記摺動ガイド面(76、78)及び前記ガイド対向面(37、39)に対して垂直であり、および/または、前記摺動ガイド面(76、78)は、平面状であり、および/または互いに対して平行に延び、および/または前記キャリア(3)の、または前記ハンドル部(55)の2つの対向するガイド対向面(37、39)で、膨張による締め付けおよび圧縮による締め付けを受けてクランプされる、
請求項1に記載の歯間器具(1)。
【請求項3】
2つの対向する前記摺動ガイド面(76、78)が、ロッドとして形成された前記ハンドル部(55)の一端部に、配置され、および/または、
2つの前記摺動ガイド面(76、78)が、前記ハンドル部(55)に形成され、これらに沿って前記キャリア(3)のガイド対向部が旋回中に摺動し、または、
2つの前記摺動ガイド面(76、78)が前記キャリア(3)に形成され、2つの前記摺動ガイド面(76、78)は、前記ハンドル部(55)に形成された2つのガイド面と旋回中に摺動係合する、
請求項1または2に記載の歯間器具(1)。
【請求項4】
2つの前記摺動ガイド面(76、78)、および前記摺動ガイド面(76、78)の一方に各々がクランプされる2つの前記ガイド対向面(37、39)が、前記旋回軸(S)と交差する、
請求項3に記載の歯間器具(1)。
【請求項5】
2つの前記摺動ガイド面(76、78)および2つの前記ガイド対向面(37、39)は、前記キャリア(3)の前記ハンドル部(55)に対する旋回可動性が1つの旋回面においてのみ実現されるように、互いに対して予め張力をかけられる、
請求項1~4の一項に記載の歯間器具(1)。
【請求項6】
前記ハンドル部(55)は、2つの前記摺動ガイド面(76、78)に対して平行に配向される長手延在方向を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の歯間器具(1)。
【請求項7】
前記接合装置(35)は、前記キャリア(3)の各保持位置用のラッチ装置をそれぞれについてさらに有する、
請求項1~6の一項に記載の歯間器具(1)。
【請求項8】
前記ハンドル部(55)の1つの端部が、ディスク形状を有し、
前記ディスク形状の対向する平坦面は、2つの前記摺動ガイド面(76、78)を形成する、
請求項1~7の一項に記載の歯間器具(1)。
【請求項9】
前記クランプアームの側方領域に、前記ガイド対向面(37、39)上の対応するラッチ要素と協働するラッチ要素が設けられる、
請求項8に記載の歯間器具(1)。
【請求項10】
前記歯間部品は、研磨要素(49)であり、
前記接合装置(35)は、単一の所定の挿入位置における直線装着方向(M)に沿った前記キャリア(3)の装着を許容する装着/取り外し機構を有し、
前記挿入装着位置に到達すると、前記旋回軸(S)を中心とした旋回運動における1つだけの自由度、および前記直線装着方向(M)に対して反対方向における前記キャリア(3)の取り外しのみが許容されることを特徴とする、
請求項1に記載の歯間器具(1)。
【請求項11】
前記接合装置(35)は、単一の所定の挿入位置における直線装着方向(M)に沿った前記キャリア(3)の装着を許容する装着/取り外し機構を有し、
前記挿入装着位置に到達すると、前記旋回軸(S)を中心とした旋回運動における1つだけの自由度、および前記直線装着方向(M)に対して反対方向における前記キャリア(3)の取り外しのみが許容される、請求項1に記載の歯間器具(1)。
【請求項12】
前記キャリア(3)の前記ハンドル部(55)に対する前記直線装着方向(M)は、前記挿入装着位置に向かってテーパする材料凹部(81)により実現される、
ことを特徴とする請求項10または11に記載の歯間器具(1)。
【請求項13】
前記材料凹部(81)に係合するガイドラグは、前記挿入装着位置に到達すると、接合凹部に進入する、
ことを特徴とする請求項12に記載の歯間器具(1)。
【請求項14】
前記キャリア(3)は、角度的にオフセットした各保持位置に係合する、
ことを特徴とする請求項10~13の一項に記載の歯間器具(1)。
【請求項15】
-前記歯間器具を把持するためのロッド形状のハンドル部(55)であって、2つの自由端部を有するハンドル部(55)と、
-2つの別個のキャリアであって、その各々に歯間部品が配置されるキャリアと、
-一方の前記キャリア(3)が、前記ハンドル部(55)の一方の前記端部に対して、旋回軸(S)を中心として、互いに角度をなしてオフセットした少なくとも2つの保持位置の間で旋回可能であるように、一方の前記キャリア(3)を前記ハンドル部(55)の一方の前記端部に旋回可能に保持するための接合手段(35)と、
-さらなる前記キャリア(3)が、前記ハンドル部(55)の他方の前記端部に対して、旋回軸(S)を中心として、互いに角度をなしてオフセットした少なくとも2つの保持位置の間で旋回可能であるように、さらなる前記キャリア(3)を前記ハンドル部(55)の他方の前記端部に旋回可能に保持するためのさらなる接合装置(35)と、
を備える、請求項1~14のいずれかに記載の歯間器具(1)。
【請求項16】
請求項1~15の一項にしたがって形成される歯間器具用のハンドル部(55)であって、
-2つの自由端部を有するロッド部(57)と、
-2つのディスク部(61)であって、各々が自由端部に配置されるとともに、歯間部品が配置される正反対に対向する面を各々が有するディスク部(61)と、
-前記ロッド部(57)に配置される保持部であって、前記ハンドル部(55)を手で把持して操作するため2つの正反対に対向する保持面を有する保持部と、
を備えるハンドル部(55)であって、
前記保持面は、前記ディスク部の面に対して10°~80°の角度をなして配向される、
ハンドル部(55)。
【請求項17】
請求項1~15の一項にしたがって形成される歯間器具用の研磨要素(49)であって、
-前記歯間器具(1)を手で把持するためのハンドル部(55)に取り付けられるように適合されたキャリア(3)へのクランプのための2つのフランジ部(147、149)であって、キャリア材料とオーバーモールドするための材料凹部(81
)を各々有するフランジ部(174、179)と、
-2つの前記フランジ部(147、149)の間で延びる、歯間スペースを治療するための研磨部(155)と、
を備える研磨要素(49)において、
前記研磨部(155)は、前記研磨部(155)の延在方向を横切る高さ方向(H)において一定の寸法を有し、
前記高さ方向(H)における前記フランジ部(147、149)の寸法は、前記研磨部の寸法より少なくとも1mm大きく、
前記材料凹部(81)と、前記材料凹部(81)を取り囲むフランジ部縁部(157、159)との間の距離は、少なくとも1mmである、
研磨要素(49)。
【請求項18】
請求項1~15の一項にしたがって形成される歯間器具用のキャリア(3)であって、
-前記歯間器具のハンドル部(55)であって、前記歯間器具を手で把持するためのハンドル部(55)に取り付けるためのU字形状の装着部(137)であって、2つの脚部(141)と、2つの前記脚部(141)を相互接続する装着構造体(143)と、を有する装着部(137)と、
-歯間部品をクランプするための2つのフランク(161、163)と、前記キャリア(3)を手で把持するための2つの把持部(165、167)と、を有する作動部(139)と、
を備えるキャリア(3)において、
前記装着部脚部(141)と前記把持部(165、167)とが界面において接触し、かつ前記装着部脚部(141)と前記フランク(161、163)とが接触界面がないように、前記装着部(137)および前記作動部(139)は、2段階の射出成形プロセスにおいて形成される、
キャリア(3)。
【請求項19】
前記装着部脚部(141)は、前記作動部により少なくとも部分的にオーバーモールドされ、および/または、
前記フランク(161、163)の長手方向範囲は、前記装着部脚部(141)の長手方向範囲の約三分の一である、
請求項18に記載のキャリア(3)。
【請求項20】
請求項1~15の一項にしたがって形成される歯間器具用のキャリア(3)を製造する方法であって、
-前記歯間器具のハンドル部(55)であって、前記歯間器具を手で把持するためのハンドル部(55)に取り付けるためのU字形状の装着部(137)であって、2つの脚部(141)と、2つの前記脚部(141)を相互接続する装着構造体(143)と、を有する装着部(137)が、射出成形プロセスにおいて製造され、
-歯間部品をクランプするための2つのフランク(161、163)と、前記キャリア(3)を手で把持するための2つの把持部(165、167)と、を有する作動部(139)が、下流の射出成形プロセスにおいて、前記装着部脚部(141)上に成形される、
方法。
【請求項21】
前記把持部(165、167)が前記装着部脚部(141)に成形されるとともに、前記フランク(161、163)が前記装着部脚部(141)に成形されるように、前記作動部(139)が下流の前記射出成形ステップにおいて製造される、および/または、前記作動部(139)が前記装着部(137)および前記歯間部材に成形される、
請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯間器具に関する。本発明は、さらに、歯間器具のハンドル部に関する。また、本発明は、歯間器具用の研磨要素を提供する。またさらに、本発明は、歯間器具用のキャリア、および歯間器具用のキャリアの製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
米国特許8,893,733号は、患者の歯間治療用のデンタルフロスのアプリケーション補助装置を開示している。このアプリケーション補助装置は、デンタルフロス用のホルダが取り外し可能に取り付けられる細長い作動アームを備えている。ホルダは、デンタルフロスをクランプする2つの対向するクランプフランクと、2つのフランクを接続するキャリアと、を備えている。ホルダを作動アームに解放可能に接続するように、締結装置がキャリアに設けられている。締結装置は、キャリアから突出する、長手方向の溝を有するマッシュルーム状のピンを備えている。このピンが、これに設けられた貫通孔を介して押圧されることにより、ホルダが作動アームに締結される。さらに、締結装置は、ピンを作動アームに固定するように作動アームに設けられたロック部材を備えている。ここで、ホルダは、旋回の中心軸が作動アームに対するホルダの旋回軸に一致するように、作動アームに装着されている。これは、歯間スペースの各要件に適合するようにホルダを作動アームに対して自由に旋回させ得ることを意味する。この欠点は、自由に配置できるという性質を理由としてホルダが作動アームに対して治療中に旋回し易いため、歯間スペースの実際の治療が困難になることである。
【0003】
このため、米国特許8,893,733号から、ホルダと作動アームの双方に追加のラッチ装置を取り付けることが既に知られている。この目的のために、作動アームは、ピンヘッドの反対側に複数のラッチ凹部を有ししている。作動アームに対するホルダの所定のラッチ係合状態を提供するように、これらのラッチ凸部に、ホルダの対応するラッチ凸部が係止する。この設計は、比較的複雑である一方で、ホルダを作動アームに締結するための締結装置の部品、すなわち少なくともピンおよびロック要素の他に、作動アームに対するホルダの所定の相対位置を提供するためのラッチ装置の部品が必要である。米国特許8,893,733号による実施形態のさらなる欠点は、ホルダの作動アームからの取り外しに時間がかかり、かつ操作が簡単ではないということである。この理由は、オペレータがまず、貫通孔からわずかに突出しているピンのマッシュルーム状ヘッドを必要な別途の工具で把持し、これを圧縮し、そして貫通孔を介して作動アームから押し戻す必要があるためである。フロセットや研磨要素等の通常の歯間ツールは、患者に1回使用した後に少なくとも洗浄する、すなわち殺菌する必要があり、そのために一般に歯間ツールを分解しなければならないため、単純で容易な組立は重要である。あるいは、歯間ツールを交換して再度使用しないようにすることが必要かもしれない。作動アームは、各治療後に交換する必要は必ずしもなく、複数の用途を有し得るため、異なる歯間ツールを作動アームに簡単かつ迅速に取り付ける、および取り外す必要がある。
【0004】
さらに、米国特許8,893,733号のフロスホルダは、柔軟なフロスとともに使用する場合に変形可能であるように可撓性を有して設計されていると言われている。また、可撓性は、クランプされたフロスの張力を必要に応じて調整するのに役立つ。ピンを作動アームに固定するように、ロック要素は、ロック要素とピンとの装着面同士が旋回軸に対して平行に配向されるようにピンの周囲にフォーク状に係合する。この結果、ロック要素とピンとの間で力を伝達する役割をも果たす装着面が小さくなるが、このような小さな装着面では、ホルダの作動アームに対する不安定でぐらついた取り付けしか実現されない。このような装着は、ダイヤモンドストリップや研磨ストリップ等の研磨要素には向かない。
【0005】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服すること、特に、研磨要素との使用にも適しているとともに、装着や取り外しが簡単かつ迅速にできる、より安定性のある歯間器具を提供することである。また、本発明は、歯間洗浄装置用のキャリアを改善するという課題に基づいている。つまり、キャリアは、より高い安定性を有するとともに研磨要素との使用に適しており、かつ歯間器具のハンドル部に簡単かつ迅速に取り付ける、および取り外すことが可能である。
【発明の概要】
【0006】
この課題は、独立請求項1、10および14の特徴により達成される。
【0007】
したがって、歯間器具は、好適には歯間器具を手で把持するためのハンドル部を備える。歯間器具は、フロセットまたは研磨要素、例えば研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップ等の歯間部品用キャリアであって、ハンドル部に保持されるキャリアを備え得る。歯間部品は、好適には、キャリアに配置される、または配置可能である。ハンドル部によって、キャリアを歯間部品とともに操作して、例えば、歯間クリーニングや他の歯科からの処置、例えば、輪郭削り、仕上げ、歯間表面の事前高光沢研磨、歯幅の縮小、歯の研磨・クリーニング・艶出し・および/または事前処置、歯間スペースの充填等を患者に実施することができる。例えば、キャリアは、金属、好適にはステンレス鋼、チタン、または金属合金から構成され得る。さらに、プラスチック、複合材料、セラミック材料、またはセラミック複合材料も使用できる。例えば、ハンドル部は、キャリアと同一の材料から構成され得る。例えば、ハンドル部は、ステンレス鋼、チタン、または金属合金等の金属、ならびにプラスチック、複合材料、セラミック材料、またはセラミック複合材料から形成され得る。好適には、キャリアおよびハンドル部用の材料は、歯間分野における衛生規則に適合する材料から選択されるべきである。規格の例は、DIN EN ISO 13402、DIN EN ISO 21530、DIN EN ISO 7153、DIN EN ISO 10271である。歯間器具の部品の材料は、少なくとも134℃で加圧滅菌可能である必要があり、かつ市販の消毒材で洗浄および消毒可能である必要がある。加圧滅菌はできないが市販の消毒材で洗浄および消毒可能である材料も使用され得る。材料を選択する際に、各部品または各用途が、歯間治療が各部品に対する血液の接触がないように行われるいわゆるセミ・クリティカルな用途であるか、または歯間治療中に歯間器具の対応する部品に血液の接触が生じ得るいわゆるクリティカルな用途であるかを考慮することが好適である。クリティカルな使用を目的として設計された歯間器具の部品は、特に少なくとも134℃で加圧滅菌可能である必要があり、かつ市販の消毒材で洗浄または消毒可能である必要がある。セミ・クリティカルな使用の場合、少なくとも134℃で加圧滅菌が可能である性質は必須でないため、市販の消毒材で洗浄および消毒可能であれば十分である。ハンドル部およびキャリアを、例えば射出成形プロセスにより単一部品から作製する、または中実材料から作製することも可能である。
【0008】
歯間部品は、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップ等の研磨要素であり得る。歯間部品および/または研磨要素は、キャリアに永続的に、または取り外し可能に配置される。例えば、歯間部品および/または研磨要素は、射出成形プロセスにより製造される。研磨要素が、例えばキャリアとともに2部品射出成形プロセスにより製造されることも想定可能である。研磨要素の例示的な材料は、ステンレス鋼等の耐食性金属、またはプラスチックである。ダイヤモンドストリップのダイヤモンドコーティングは、5μm~200μmの範囲のグリット直径を有するダイヤモンドグリットを有し得る。ダイヤモンドコーティングを研磨要素の片面または両面に設けることができる。例えば、キャリアおよび/または研磨要素は、インジケータ装置を有し得る。インジケータ装置により、グリットまたはダイヤモンドコーティングが研磨要素のどちらの側または面に設けられているかを読み取る、または認識することができる。これにより、研磨要素の対応する必要な処置面の迅速な識別が保証され、研磨要素の誤用が防止される。一部の研磨要素の場合、このようなインジケータ装置は必須でもある。なぜならば、グリットまたはダイヤモンドコーティングが研磨要素のどちらの側に配置されているかを肉眼で確認することができないからである。例えば、インジケータ装置は、色彩および/または構造的インジケータ装置であり得る。ダイヤモンドが設けられない領域が、長手延在方向にみて研磨要素の中央に形成され得る。さらに、研磨要素の長手方向範囲に沿って形成される2つの対向する研磨縁部は、全体としてダイヤモンドコーティングなしで形成される。したがって、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップを、既にダイヤモンドコーティングされた金属ストリップから、例えばレーザーまたは機械的切断装置を使用して、これらを金属ストリップの長手方向範囲に対して横方向に切断することにより作製することができる。酸化アルミニウム、炭化ケイ素またはセラミック材料等の研磨剤も、研磨要素上の研磨コーティングとして使用され得る。さらに、研磨効果が表面粗さによって達成されるように、研磨ストリップを表面上に形成することも想定可能である。さらに、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップ、ダイヤモンドコーティング、-または研磨剤フリーを設計し、鋸歯等の歯を少なくとも1つの研磨縁部に設けることも想定可能である。研磨縁部のサイクロイド形状または波形形状を提供することもできる。さらに、少なくとも1つの研磨縁部上の研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップに、鋸歯等の歯を設けることも想定可能である。研磨要素をステンレス鋼、具体的にはステンレス鋼ストリップから構成することも可能である、および/または研磨要素が表面に機械的凸部等の開口を有することも可能である。具体的には、研磨要素は、おろし金、やすり、またはシュレッダーの構造を有する。ユーザが対応する研磨要素上のそれぞれのグリットを迅速に識別できるように、研磨要素は、カラーライン、カラードット、または他の任意の形状等のカラーマークを付され得る、および/またはキャリアは、異なるグリットを識別するためのカラーコードを表すカラー面を有し得る。例えば、長手延在方向において測定した研磨要素の全幅は、5mm~35mmの範囲、好適には10mm~35mmの範囲、好適には15~35mmの範囲、好適には20mm~30mmの範囲にある。特に、当該幅は、約25mmである。長手延在方向を横断する方向において測定した研磨要素の全高は、例えば2mm~8mmの範囲、好適には3mm~7mmの範囲、または4mm~6mmの範囲にあり得る。
【0009】
キャリアをハンドル部に旋回可能に保持するように、接合装置が歯間器具に設けられ得る。キャリアは、キャリアがハンドル部に対して旋回軸を中心しとして旋回可能であるように、ハンドル部に保持され得る。好適には、キャリアのハンドル部に対する少なくとも2つの角度的にオフセットした保持位置が形成される。これらの保持位置の間で、キャリアはハンドル部に対して旋回可能である。少なくとも2つの保持位置の間の角度的オフセットは、好適には旋回軸により確定される。具体的には、少なくとも2つの角度的にオフセットした保持位置は、それらの間に広がる角度セクタを形成し、その内部でキャリアはハンドル部に対して旋回軸を中心として旋回することができる。接合装置は、互いに対面する2つの摺動ガイド面をさらに備え得る。摺動ガイド面は、キャリア側に、および/またはハンドル部側に形成され得る。ハンドル部に対して旋回軸を中心として旋回する際に、安全でスムースかつ規定の旋回を保証するように、摺動ガイド面はキャリアをガイドする役割を果たし得る。また、キャリア側の摺動ガイド面および/またはハンドル部側のガイド面が各他方の部品のそれぞれの対向する面、具体的には摺動ガイド面に当接するように、摺動ガイド面はキャリア側および/またはハンドル部側に配置され得る。
【0010】
本発明による例示的実施形態によれば、保持位置は、保持位置溝または保持位置凸部により実現される。保持位置溝は、摺動ガイド面における凹部により形成され得る。保持位置凸部は、例えば、摺動ガイド面から旋回軸に対して特に平行に、好適には同軸に突出するラグにより形成され得る。
【0011】
さらなる例示的実施形態において、接合装置は、旋回軸の方向において互いにオフセットして配置された、および/または互いに対して平行に配置された少なくとも2対の摺動ガイド面を有する。各対の面は、ハンドル部の各摺動ガイド面、およびキャリアの摺動ガイド面、具体的にはキャリアのいわゆるガイド対向面によりそれぞれ形成される。
【0012】
キャリアまたはハンドル部は、一対の2つの面を形成する2つの歯を有するフォーク構造を有し得る。ハンドル部またはキャリアのどちらがフォーク構造を有するかに応じて、歯の内面または外面がそれぞれガイド対向面または摺動ガイド面を形成する。フォーク構造により、特に互いに対して平行に延びる2つの歯の間にフリースペースが形成され、この内部に、ハンドル部またはキャリアのどちらがフォーク構造を有するかに応じて、キャリア、具体的にはキャリアのディスク形状部またはハンドル部が格納され得る。キャリアとハンドル部とを互いに対して移動させると、2つの相互に対面する摺動ガイド面、具体的にはハンドル部の摺動ガイド面とキャリアのガイド対向面とが、旋回軸を本質的に横断する、好適には旋回軸に対して垂直に配向された組立方向に沿って互いに対して摺動し得る。
【0013】
本発明の好適な実施形態において、キャリアがフォーク構造を形成する。フォーク構造は、ハンドル部のディスク形状接合部を、旋回軸の軸方向においてオフセットして配置された2つの歯の間に収容する、特にそれらを支持する。このようにして、軸方向に互いに離間した2つの旋回ポイントが実現される、分割された旋回軸が形成され得る。これらの旋回ポイントは、後述するように、特にガイド対向面および/または摺動ガイド面に導入された、またはそれらから突出する凸部またはガイドラグにより形成される。
【0014】
本発明の第1態様によれば、旋回軸は、摺動ガイド面と交差する。好適には、これにより、特にキャリアのハンドル部に対するぐらつきや揺れが回避される非常に安定した歯間器具がもたらされる。好適には、旋回軸は、特に75°~105°、80°~100°、または85°~95の角度をなして、2つの摺動ガイド面に対して垂直である。
【0015】
本発明による歯間器具の例示的実施形態によれば、2つの摺動ガイド面は、平面状に形成される。代替的に、または追加的に、2つの摺動ガイド面は、互いに対して平行に延び得るとともに、好適には平行な平面として形成され得る。追加的に、又は代替的に、2つの摺動ガイド面は、キャリアまたはハンドル部の2つの対向するガイド対向面に対して、膨張による締め付けおよび圧縮による締め付けを受けてクランプされ得る。摺動ガイド面のこのような幾何学的設計、および/またはガイド対向面との追加のクランプにより、本発明による歯間器具の安定性が向上する。
【0016】
本発明の例示的実施形態において、2つの対向する摺動ガイド面は、ロッドとして形成されたハンドル部の一端部に配置される。好適には、ハンドル部は、細長い物体として形成される。そのロッドの長手方向範囲は、2つのさらなる空間方向、特に互いに対して、かつロッドの長手方向に対して垂直に配向されたさらなる空間方向におけるその範囲より顕著に大きい。特に、2つの対向する摺動ガイド面が、ロッドとして形成されたハンドル部の両端部に配置されることが想定され得る。代替的にまたは追加的に、2つの摺動ガイド面はハンドル部に形成され得る。キャリアがハンドル部に対して旋回軸を中心として旋回するとき、キャリアのガイド対応部が摺動ガイド面に沿って摺動する。特に、ガイド対応部は、2つの対向するガイド面を有する。好適にはキャリアのハンドル部に対するガイドされた、および/または安定した旋回可動性を許容するように、これらのガイド対向面は、各摺動ガイド面と摺動係合して、キャリアのハンドル部に対する旋回中に互いに対して摺動する。2つの摺動ガイド面は、キャリアに形成され得る。キャリアがハンドル部に対して旋回軸を中心として旋回するとき、摺動ガイド面は、ハンドル部に形成された2つのガイド対向面と摺動係合する。好適には、摺動ガイド面および/またはガイド対向面は、各々同一に形成される、および/または各々が反対方向を向く。特に、摺動ガイド面の表面法線ベクトルは、互いに対して平行に配向される、および/またはガイド対向面の表面法線ベクトルは、互いに対して平行に配向される。
【0017】
本発明による歯間器具の例示的実施形態において、摺動ガイド面およびガイド対向面は、平面状でない、および/または互いに対して平行に配向されない。例えば、摺動ガイド面およびガイド対向面は、互いに形状適合する。摺動ガイド面は、少なくとも一部の領域で凹状の構造または凹状の輪郭を有し得るとともに、ガイド対向面は少なくとも一部の領域で凸状の構造または凸状の輪郭を有し得る。この逆もまた同様である。
【0018】
本発明による歯間器具のさらなる展開例によれば、2つの摺動ガイド面、および2つのガイド対向面は、旋回軸と交差する。ガイド対向面の各々は、摺動ガイド面の一方に摺動係合する、および/または張力がかけられる。旋回軸は、2つの摺動ガイド面および2つのガイド対向面に対して、例えば垂直であり得る、または75°~105°、80°~100°、または85°~95°の範囲の角度をなし得る。
【0019】
本発明による歯間器具のさらなる例示的実施形態において、2つの摺動ガイド面および2つのガイド対向面は、互いに対して予め張力をかけられる、好適には、互いに対して弾性的に予め張力をかけられる。好適には、予めかける張力は、キャリアのハンドル部に対する旋回軸を中心とした旋回可動性が1つの旋回面においてのみ実現されるように設計される。弾性的に予め張力をかけることにより、本発明による歯間器具の安定性が向上するとともに、キャリアのハンドル部に対するガイドされた安定した旋回が保証され得る。
【0020】
本発明の例示的実施形態において、ハンドル部は、2つの摺動ガイド面に対して実質的に平行に整列する長手延在方向を有し、特に、ハンドル部の長手延在方向は、2つのガイド対向面に対して平行に整列する。本質的に平行とは、平坦なガイド面および/またはガイド対向面に対して長手延在方向の20°未満の角度が形成され得るとして理解されたい。
【0021】
本発明による歯間器具の例示的なさらなる展開例において、接合装置は、キャリアのハンドル部に対する各保持位置用の各ラッチ装置をさらに有する。好適には、これにより、歯間器具の使用中に、キャリアが確実にハンドル部に保持されることが保証される。特に、キャリアが所定の保持位置へ旋回するとき、特にキャリアを保持位置においてハンドル部に対して静止した状態で保持するラッチ抵抗に打ち勝つ必要がある。例えば、ラッチ装置は、単数または複数のラッチラグと、好適には相補的な形状の単数または複数のラッチ凹部とから形成され得る。さらに、ラッチラグおよびラッチ凹部は、旋回運動に伴って協働可能であり、好適には、旋回中にラッチラグがラッチ凹部から脱出し得る、および/またはラッチ凹部に進入し得るように旋回軸に対して配向される。本発明のさらなる展開例によれば、少なくとも1つの戻り止めラグおよび/または少なくとも1つのラッチ凹部は、各摺動ガイド面、および選択的にガイド対向面に形成される。好適には、これにより、本発明による歯間器具の特にシンプルであると同時に安定した設計がもたらされる。さらに、キャリアのハンドル部に対する、またはハンドル部での旋回およびラッチ係合が容易とされる。
【0022】
本発明による歯間器具の例示的実施形態によれば、ハンドル部の特に1つの自由端部、好適にはハンドル部の両方の自由端部が、ディスク形状を有する。例えば、ディスク直径は、1mm~20mm、特に5mm~15mm、好適には7.5mm~12.5mmである。ディスク材料厚さ等のディスク高さは、2mm~10mmの範囲、好適には3mm~8mmの範囲、より好適には4mm~6mmの範囲にあり得る。ディスクの対向する平面は、2つの摺動ガイド面を形成する。具体的には、完全に対向する平面状のディスク面は、摺動ガイド面を形成し得る。例えば、ディスク形状端部の周縁部が円形であり得る、および/またはラッチラグを設けられ得る、および/またはラッチ凹部を設けられ得る。例えば、ラッチラグおよび/またはラッチ凹部は、キャリアのハンドル部に対する少なくとも2つの相互に角度的にオフセットした保持位置に対応付けられ得る。
【0023】
本発明による歯間器具の例示的なさらなる展開例によれば、キャリアは、2つのクランプアームを有する。好適には、クランプアームの間にクランプスペースが形成されるように、これらのクランプアームは互いに接続している。クランプスペースは、ハンドル部のディスク形状端部がクランプスペースに挿入され得るような形状とされ得る、好適にはそのように寸法決めされる。好適には、ハンドル部のディスク形状端部は、キャリア、特にクランプアームの弾性的変形を受けてクランプスペースに挿入可能である。特に、ディスク形状端部の摺動ガイド面に対面するクランプアームの側方領域に、ガイド対向面の対応するラッチ要素が設けられる。
【0024】
上述のものと組み合わせ可能な本発明のさらなる態様によれば、本発明による歯間器具は、好適にはオペレータにより手で把持されるハンドル部を備える。さらに、歯間器具は、ハンドル部に保持されるキャリアであって、好適には患者の歯間スペースを治療するためのフロセットまたは研磨要素等の歯間部品、例えば研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップが配置されるキャリアを備える。キャリアをハンドル部に対して旋回可能に保持するために、接合手段が設けられ得る。好適には、キャリアがハンドル部に対して旋回軸を中心として少なくとも2つの相互に角度的にオフセットした保持位置の間で旋回可能であるように、接合手段は設けられる。例えば、キャリアは、金属、好適にはステンレス鋼、チタン、または金属合金から構成され得る。さらに、プラスチック、複合材料、セラミック材料、またはセラミック複合材料も適用可能である。例えば、ハンドル部は、キャリアと同一の材料から構成され得る。例えば、ハンドル部は、ステンレス鋼、チタン、または金属合金等の金属、ならびにプラスチック、複合材料、セラミック材料、またはセラミック複合材料から形成され得る。好適には、キャリアおよびハンドル部用の材料は、歯間分野における衛生規則に適合する材料から選択されるべきである。規格の例は、DIN EN ISO 13402、DIN EN ISO 21530、DIN EN ISO 7153、DIN EN ISO 10271である。歯間器具の部品の材料は、少なくとも134℃で加圧滅菌可能である必要があり、かつ市販の消毒材で洗浄および消毒可能である必要がある。加圧滅菌はできないが市販の消毒材で洗浄および消毒可能である材料も使用され得る。材料を選択する際に、各部品または各用途が、歯間治療が各部品に対する血液の接触がないように行われるいわゆるセミ・クリティカルな用途であるか、または歯間治療中に歯間器具の対応する部品に血液の接触が生じ得るいわゆるクリティカルな用途であるかを考慮することが好適である。クリティカルな使用を目的として設計された歯間器具の部品は、特に少なくとも134℃で加圧滅菌可能である必要があり、かつ市販の消毒材で洗浄または消毒可能である必要がある。セミ・クリティカルな使用の場合、少なくとも134℃で加圧滅菌が可能である性質は絶対に必要ではないため、市販の消毒材で洗浄および消毒可能であれば十分である。
【0025】
歯間部品は、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップ等の研磨要素であり得る。歯間部品または研磨要素は、キャリアに永続的に、または取り外し可能に配置される。研磨要素が、例えばキャリアとともに2部品射出成形プロセスにより製造されることも想定可能である。研磨要素の例示的な材料は、ステンレス鋼等の耐食性金属、またはプラスチックである。ダイヤモンドストリップのダイヤモンドコーティングは、5μm~200μmの範囲のグリット直径を有するダイヤモンドグリットを有し得る。ダイヤモンドコーティングを研磨要素の片面または両面に設けることができる。例えば、キャリアおよび/または研磨要素は、インジケータおよび/またはカラーマークを有し得る。インジケータおよび/またはカラーマークにより、グリットまたはダイヤモンドコーティングが研磨要素のどちらの側または面に設けられているかを読み取る、または認識することができる。これにより、研磨要素の対応する必要な処置面の迅速な識別が保証され、研磨要素の誤用が防止される。一部の研磨要素の場合、このようなインジケータ装置は必須でもある。なぜならば、グリットまたはダイヤモンドコーティングが研磨要素のどちらの側に配置されているかを肉眼で確認することができないからである。例えば、インジケータ装置は、色彩および/または構造的インジケータ装置であり得る。ダイヤモンドコーティングが設けられない領域が、長手延在方向にみて研磨要素の中央に形成され得る。さらに、研磨要素の長手方向範囲に沿って形成される2つの対向する研磨縁部は、全体としてダイヤモンドコーティングなしで形成される。したがって、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップを、既にダイヤモンドコーティングされた金属ストリップから、例えばレーザーまたは機械的切断装置を使用して、これらを金属ストリップの長手方向範囲に対して横方向に切断することにより作製することができる。酸化アルミニウム、炭化ケイ素またはセラミック材料等の研磨剤も、研磨要素上の研磨コーティングとして使用され得る。さらに、研磨効果が表面粗さによって達成されるように、研磨ストリップを表面上に形成することも想定可能である。さらに、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップ、ダイヤモンドコーティング、-または研磨剤フリーを設計し、鋸歯等の歯を少なくとも1つの研磨縁部に設けることも想定可能である。研磨縁部のサイクロイド形状または波形形状を提供することもできる。さらに、少なくとも1つの研磨縁部上の研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップに、鋸歯等の歯を設けることも想定可能である。研磨要素をステンレス鋼、具体的にはステンレス鋼ストリップから構成することも可能である、および/または研磨要素が表面に機械的凸部等の開口を有することも可能である。具体的には、研磨要素は、おろし金、やすり、またはシュレッダーの構造を有する。ユーザが対応する研磨要素上のそれぞれのグリットを迅速に識別できるように、研磨要素は、カラーライン、カラードット、または他の任意の形状等のカラーマークを付され得る、および/またはキャリアは、異なるグリットを識別するためのカラーコードを表すカラー面を有し得る。例えば、長手延在方向において測定した研磨要素の全幅は、15~35mmの範囲、好適には20mm~30mmの範囲にある。特に、当該幅は、約25mmである。長手延在方向を横断する方向において測定した研磨要素の全高は、例えば2mm~8mmの範囲、好適には3mm~7mmの範囲、または4mm~6mmの範囲にあり得る。
【0026】
キャリアをハンドル部に旋回可能に保持するように、接合装置が歯間器具に設けられ得る。キャリアは、キャリアがハンドル部に対して旋回軸を中心しとして旋回可能であるように、ハンドル部に保持され得る。好適には、キャリアのハンドル部に対する少なくとも2つの角度的にオフセットした保持位置が形成される。これらの保持位置の間で、キャリアはハンドル部に対して旋回可能である。少なくとも2つの保持位置の間の角度的オフセットは、好適には旋回軸により確定される。具体的には、少なくとも2つの角度的にオフセットした保持位置は、それらの間に広がる角度セクタを形成し、その内部でキャリアはハンドル部に対して旋回軸を中心として旋回することができる。
【0027】
本発明の第2態様によれば、接合装置は、単一の所定の挿入位置における直線装着方向に沿ったキャリアの装着を許容する装着/取り外し機構を有する。好適には、単一の所定の挿入位置は、キャリアに、および/またはハンドル部に形成される。例えば、所定の挿入位置は、キャリアおよび/またはハンドル部のどちらの側にも設けられ得る。好適には、装着方向は、キャリアをハンドル部に装着する際に、直線運動のみである。摺動装着完了位置に達すると、すなわち、好適にはキャリアがハンドル部上を摺動して、またはハンドル部に挿入されることで、キャリアが最終装着位置を取ると、旋回軸を中心とした旋回運動の自由度、および直線装着方向に対して反対方向におけるキャリアの取り外しのみが許容される。最終装着位置において、キャリアは、これを超えてハンドル部に対して変位することができない。一方で、一方向にのみ可能である所定の着脱方向により、歯間器具のシンプルで簡単な組立または分解が保証される。他方で、所定の着脱方向、ならびに、挿入組立位置において旋回軸を中心とした旋回運動における1つだけの自由度、および直線装着方向に対して反対方向における、すなわち取り外し方向におけるキャリアの取り外しのみが許容されるという事実により、特に安定した歯間器具が確実に提供される。また、歯間器具の使用中に、キャリアがハンドル部から不所望に押し下げられることが回避される。
【0028】
許容する/許容されるとは、対応する部品が、各動作可能性を有しつつ、他の方向における動作は防止またはブロックされるように形成されるということを意味する。特に、装着/取り外し機構は、キャリアが直線装着方向に沿ってのみ所定の挿入位置に装着され得るように、かつ所定の挿入位置での直線装着方向以外の方向におけるキャリアの移動が防止されるように形成される。好適な実施形態において、摺動装着完了位置にあるキャリアは、旋回軸を中心とした回転だけが可能であり、かつ直線装着方向に対して反対方向においてのみ取り外すことができる。その一方で、キャリアのハンドル部に対する他の動作は防止またはブロックされる。
【0029】
本発明による歯間器具の例示的実施形態において、キャリアのハンドル部に対する直線装着方向は、装着位置に向かってテーパする材料凹部により実現される。材料凹部は、例えば、V字形状を有し得る、および/またはハンドル部に形成され得る。好適には、材料凹部は、好適にはハンドル部のディスク形状端部に実現される。本発明のさらなる実施形態によれば、保持装着位置等の挿入装着位置への挿入中に、装着ラグが材料凹部に係合する。好適には、装着ラグはキャリアに配置されるが、ハンドル部にも配置され得る。装着ラグの配置に応じて、材料凹部が配置されることが理解される。例えば、材料凹部および装着ラグは、互いに形状において相補的であるように寸法決めされ得る。
【0030】
歯間器具の例示的実施形態によれば、材料凹部に係合するガイドラグは、挿入装着位置に到達すると、接合凹部に進入する。これは、例えば、カップ状、円錐台形状、または円錐形状であり得る。好適には、ガイドラグは、材料凹部に係合し、これにより、特にキャリアのハンドル部に対する旋回運動が、旋回軸を中心として固定される。この時、旋回軸は接合凹部を通っている。好適には、キャリアをハンドル部から取り外すためには、まずガイドラグと材料凹部とのラッチ係合によるラッチ係合力に打ち勝つ必要がある。好適には、ハンドル部に対する旋回運動中に、キャリアは、摺動装着完了位置から離れない。例えば、キャリアのハンドル部に対する旋回運動中に、材料凹部に係合するガイドラグは、材料凹部に沿って摺動可能である。好適には、キャリアは旋回中にハンドル部でさらに支持される。
【0031】
例示的実施形態によれば、材料凹部は、傾斜状である。特に、キャリアをハンドル部に組み付ける際に、材料凹部は、ガイドラグを継続的に接合凹部の方向にガイドする。進入または押し込みランプ(ramp)として形成される材料凹部は、ガイドラグがガイドされる直線装着方向に対して傾斜した面を有し得る。挿入すなわち押し込み中に、移動に対抗する抵抗力、具体的には摩擦力が継続的に増加する。接合凹部に到達する直前に最大抵抗力に達し、ガイドラグは、さらなる移動中に、特にその高さがランプの端部に対して減少するため、接合凹部に係合する。
【0032】
2つの対向するガイド側壁が、入場または押し込みランプに沿って形成される。これらのガイド側壁は、ランプを横方向に限定する、および/または直線組立方向を横断するガイドラグがランプから横方向に離れることを防止する。特に、材料凹部すなわちランプのV字形状構造により、ガイド側壁は、ランプに対する的確な押し込みおよび接合凹部への的確な進入を支持する。
【0033】
例えば、ガイドラグは、キャリアのフォーク構造の歯に配置され得る。さらに、歯は組立中に支持され得る。特に、歯、特にガイドラグが変形復元力をハンドル部、特に進入または押し込みランプに対して発揮するように、歯は互いに弾性的に支持される。例示的なさらなる展開例によれば、材料凹部、特にランプに沿った入場または押し込み方向は、ハンドル部の長手延在方向に配向される。例示的実施形態において、材料凹部は、ハンドル部のディスク形状接合部に形成される、および/または12時または6時の位置に配向される。
【0034】
例示的なさらなる展開例によれば、特に上述の材料凹部に対応して形成されるさらなる材料凹部が、ハンドル部、特にディスク形状接合部の反対側に設けられる。例えば、材料凹部は、旋回方向に面するハンドル部の下面または上面に設けられ得る。本実施形態において、ダブルランプ構造が形成される。
【0035】
本発明による歯間器具の例示的なさらなる展開例によれば、キャリアは、角度的にオフセットした各保持位置に係合する。角度的にオフセットした各保持位置において、装着機構は、直線装着方向に沿った取外しがブロックされるように構成される。例えば、キャリアのハンドル部からの取り外しは、旋回軸に対して特定の角度配向においてのみ、好適には、キャリアのハンドル部に対する所定の角度配向においてのみ可能であり得る。好適には、角度配向は、キャリアがハンドル部に装着されたときに確立されるものに対応する。このようにして、キャリアのハンドル部からの不所望な取り外しがさらに回避され、好適には歯間器具の安全で安定した取り扱いがもたらされる。好適には、ガイドラグと協働する径方向ストッパによりロックが実現され得る。径方向ストッパは、例えば、キャリアとハンドル部との間に存在し得る。好適には、径方向ストッパは、ハンドル部側において、好適にはディスク形状端部の周面に設けられるとともに、キャリア側において、好適にはディスク形状端部の周面に対面する少なくとも1つの内側キャリア面に配置される。
【0036】
上述の態様と組み合わせ可能な本発明の別の態様によれば、歯間器具は、歯間器具を把持する、好適には手で把持するためのロッド形状のハンドル部を備え、ハンドル部は、2つの自由端部を有する。歯間器具は、好適には、2つの別個のキャリアを備え得る。研磨ストリップ等である、フロセットまたは研磨要素等の歯間部品が、キャリアの各々に配置され得る。一方のキャリアがハンドル部の一方の端部に対して、旋回軸を中心として、互いに角度をなしてオフセットした少なくとも2つの保持位置の間で旋回可能であるように、一方のキャリアをハンドル部の一方の端部に旋回可能に保持するために、接合手段が設けられ得る。さらに、歯間器具は、さらなるキャリアが、ハンドル部の他方の端部に対して、旋回軸を中心として、互いに角度をなしてオフセットした少なくとも2つの保持位置の間で旋回可能であるように、さらなるキャリアをハンドル部の他方の端部に旋回可能に保持するためのさらなる接合手段を備え得る。したがって、キャリアをハンドル部に旋回可能に保持するための一方および/またはさらなる接合手段は、前述の態様のものと同様に構成され得る。このため、キャリアは、キャリアがハンドル部に対して旋回軸を中心として旋回可能であるように、ハンドル部に保持され得る。好適には、キャリアのハンドル部に対する少なくとも2つの角度的にオフセットした保持位置が形成される。これらの保持位置の間で、キャリアはハンドル部に対して旋回可能である。少なくとも2つの保持位置の間の角度的オフセットは、好適には旋回軸により確定される。具体的には、少なくとも2つの角度的にオフセットした保持位置は、それらの間に広がる角度セクタを形成し、その内部でキャリアはハンドル部に対して旋回軸を中心として旋回することができる。
【0037】
例えば、キャリアは、金属、好適にはステンレス鋼、チタン、または金属合金から構成され得る。さらに、プラスチック、複合材料、セラミック材料、またはセラミック複合材料も使用できる。例えば、ハンドル部は、キャリアと同一の材料から構成され得る。例えば、ハンドル部は、ステンレス鋼、チタン、または金属合金等の金属、ならびにプラスチック、複合材料、セラミック材料、またはセラミック複合材料から形成され得る。好適には、キャリアおよびハンドル部用の材料は、歯間分野における衛生規則に適合する材料から選択されるべきである。規格の例は、DIN EN ISO 13402、DIN EN ISO 21530、DIN EN ISO 7153、DIN EN ISO 10271である。歯間器具の部品の材料は、少なくとも134℃で加圧滅菌可能である必要があり、かつ市販の消毒材で洗浄および消毒可能である必要がある。加圧滅菌はできないが市販の消毒材で洗浄および消毒可能である材料も使用され得る。材料を選択する際に、各部品または各用途が、歯間治療が各部品に対する血液の接触がないように行われるいわゆるセミ・クリティカルな用途であるか、または歯間治療中に歯間器具の対応する部品に血液の接触が生じ得るいわゆるクリティカルな用途であるかを考慮することが好適である。クリティカルな使用を目的として設計された歯間器具の部品は、特に少なくとも134℃で加圧滅菌可能である必要があり、かつ市販の消毒材で洗浄または消毒可能である必要がある。セミ・クリティカルな使用の場合、少なくとも134℃で加圧滅菌が可能である性質は絶対に必要ではないため、市販の消毒材で洗浄および消毒可能であれば十分である。
【0038】
歯間部品は、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップ等の研磨要素であり得る。歯間部品または研磨要素は、キャリアに永続的に、または取り外し可能に配置される。研磨要素が、例えばキャリアとともに2部品射出成形プロセスにより製造されることも想定可能である。研磨要素の例示的な材料は、ステンレス鋼等の耐食性金属、またはプラスチックである。ダイヤモンドストリップのダイヤモンドコーティングは、5μm~200μmの範囲のグリット直径を有するダイヤモンドグリットを有し得る。ダイヤモンドコーティングを研磨要素の片面または両面に設けることができる。例えば、キャリアおよび/または研磨要素は、インジケータおよび/またはカラーマークを有し得る。インジケータおよび/またはカラーマークにより、グリットまたはダイヤモンドコーティングが研磨要素のどちらの側または面に設けられているかを読み取る、または認識することができる。これにより、研磨要素の対応する必要な処置面の迅速な識別が保証され、研磨要素の誤用が防止される。一部の研磨要素の場合、このようなインジケータ装置は必須でもある。なぜならば、グリットまたはダイヤモンドコーティングが研磨要素のどちらの側に配置されているかを肉眼で確認することができないからである。例えば、インジケータ装置は、色彩および/または構造的インジケータ装置であり得る。ダイヤモンドコーティングが設けられない領域が、長手延在方向にみて研磨要素の中央に形成され得る。さらに、研磨要素の長手方向範囲に沿って形成される2つの対向する研磨縁部は、全体としてダイヤモンドコーティングなしで形成される。したがって、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップを、既にダイヤモンドコーティングされた金属ストリップから、例えばレーザーまたは機械的切断装置を使用して、これらを金属ストリップの長手方向範囲に対して横方向に切断することにより作製することができる。酸化アルミニウム、炭化ケイ素またはセラミック材料等の研磨剤も、研磨要素上の研磨コーティングとして使用され得る。さらに、研磨効果が表面粗さによって達成されるように、研磨ストリップを表面上に形成することも想定可能である。さらに、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップ、ダイヤモンドコーティング、-または研磨剤フリーを設計し、鋸歯等の歯を少なくとも1つの研磨縁部に設けることも想定可能である。研磨縁部のサイクロイド形状または波形形状を提供することもできる。さらに、少なくとも1つの研磨縁部上の研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップに、鋸歯等の歯を設けることも想定可能である。研磨要素をステンレス鋼、具体的にはステンレス鋼ストリップから構成することも可能である、および/または研磨要素が表面に機械的凸部等の開口を有することも可能である。具体的には、研磨要素は、おろし金、やすり、またはシュレッダーの構造を有する。ユーザが対応する研磨要素上のそれぞれのグリットを迅速に識別できるように、研磨要素は、カラーライン、カラードット、または他の任意の形状等のカラーマークを付され得る、および/またはキャリアは、異なるグリットを識別するためのカラーコードを表すカラー面を有し得る。例えば、長手延在方向において測定した研磨要素の全幅は、15~35mmの範囲、好適には20mm~30mmの範囲にある。特に、当該幅は、約25mmである。長手延在方向を横断する方向において測定した研磨要素の全高は、例えば2mm~8mmの範囲、好適には3mm~7mmの範囲、または4mm~6mmの範囲にあり得る。
【0039】
上述の態様と組み合わせ可能な本発明の更なる態様によれば、特に本発明による歯間器具用の本発明によるハンドル部は、2つの自由端部を有するロッド部を備えている。ロッド部は、その長手方向範囲に沿って、実質的に一定の断面、好適には実質的に円形、楕円形または長円形の断面を有する。自由端部に向かって、断面は次第にテーパし、その幾何学的形状は円形からより薄い略板形状に変化する。2つの正反対に対向する、特に平行な面を有するディスク部が、自由端部の各々に配置される。したがって、ロッド部は、好適にはそれぞれのディスク部に連続的に合流する。これらの面は、キャリアに取り付けられることが意図されている。キャリアに、フロセットまたは研磨要素、例えば研磨ストリップ等の歯間部品が配置される。これらの面は、好適には、1つのキャリアをハンドル部に特にクランプすることにより取り付けるためのクランプ面であり得る。ディスク部、および特にクランプ面は、本発明の上述の態様に関連して寸法決めされ得るとともに形成され得る。
【0040】
また、ハンドル部は、ロッド部に配置された保持部であって、ハンドル部を手で把持して操作するための正反対に2つの対向する保持面を有する保持部を含む。例えば、保持部は、2つの自由端部の間の約中間、好適には、一方の自由端部から始まる自由端部の距離の約40%、30%、または20%に配置される。上面視において、保持部は、実質的に楕円形であり、ロッドに対する上面視において中央に、すなわち特に対称的に配置される。保持部の正面視または側面視において、保持部は本質的に平坦なディスクである。本発明によれば、保持部、またはその保持面は、ディスク部の面に対して角度をなして配向される。好適には、この角度は、10°~80°の範囲、好適には20°~70°の範囲、または30°~60°の範囲にある。これにより、ハンドル部の特に人間工学的な使用が保証される。ハンドル部を手で、好適には親指と人差し指の間で把持する場合、ディスク部の面は、通常の人間工学的に快適な手の位置においてできる限り正確に水平方向に配置されるため、ハンドル部に装着されたキャリアは、可能な限り鉛直に配向される。こうして、歯間器具のシンプルで改善された使用が達成される。
【0041】
上述の態様と組み合わせ可能な本発明によるさらなる態様において、研磨要素、特に研磨ストリップが、特に本発明による歯間器具用に提供される。この点に関して、研磨要素は、歯間器具を手で把持するための特に本発明によるハンドル部に取り付けられるように設計された特に本発明によるキャリアへのクランプのための2つのフランジ部を備える。フランジ部は、キャリア材料とオーバーモールドするための材料凹部、例えば長孔凹部を各々有する。例えば、材料凹部は、研磨要素の長手延在方向を横切って延びるとともに、例えば、研磨要素の長手延在方向において測定した少なくとも0.5mm~例えば3mmの材料凹部幅を有する。
【0042】
歯間スペースを治療するための研磨部は、2つのフランジ部の間で延びる。特に、研磨部は、これが延びる方向を横切る高さ方向において一定の寸法を有する。研磨要素の例示的な材料は、ステンレス鋼等の耐食性金属、またはプラスチックである。さらに、例えば5μm~200μmの範囲のグリット直径を有するダイヤモンドコーティングまたはグリットが設けられ得る。ダイヤモンドコーティングまたはグリットを研磨要素の片面または両面に設けることができる。本発明によれば、フランジ部の高さ方向における寸法は、研磨部のものより少なくとも1mm大きい。さらに、本発明によれば、材料凹部とこれを囲むフランジ部縁部との間の距離は、少なくとも1mmである。これにより、研磨部材のキャリアへのよりシンプルで安定した取付が達成可能であることがわかっている。
【0043】
特に、キャリアがハンドル部に取り付けられ得るように、キャリアが形成される、および/またはキャリアおよびハンドル部は形状適合する。キャリアのハンドル部への取付は、例えば、上述の、または後述の本発明による歯間器具の好適な実施形態にしたがって、装着/取り外し機構によってなされ得る。
【0044】
上述の態様と組み合わせ可能な本発明によるさらなる態様によれば、特に本発明による歯間器具用のキャリアは、実質的にU字形状の装着部を備える。装着部は、特に本発明による歯間器具のハンドル部であって、歯間器具を手で把持するように構成されたハンドル部への取付のために、特に同一に構成された2つの対向する脚部と、2つの脚部を互いに接続する装着構造体と、を有する。例えば、装着構造体は、本発明の第1態様について説明した2つのクランプアームにより形成され得る。
【0045】
キャリアは、フロセットまたは特に本発明による研磨要素等の歯間部品をクランプするための2つのフランクと、キャリアを手で把持するための2つの把持部と、を有する作動部をさらに備える。例えば、把持部は、本発明の第1態様について説明した把持部分を備え得る。作動部および装着部が、明確な識別を確実にするように異なる色を有することが可能である。色は、各歯間部品のグリットおよび/またはダイヤモンドコーティングのタイプを特徴付けることができるからである。本発明によれば、装着部脚部と把持部とが界面において接触し、装着部脚部とフランクとがそれらの間に接触界面がないように、装着部および作動部は、2段階の射出成形プロセスにおいて製造される。
【0046】
本発明によるキャリアの例示的実施形態において、装着部脚部は、作動部、特に把持部により少なくとも部分的にオーバーモールドされる。さらなる実施形態において、装着部脚部と把持部との間の接触界面は、装着脚部の周面において、少なくとも部分的に形成される。さらに、フランクの長手方向範囲は、組立部脚部の長手方向範囲の約三分の一であり得る。例えば、フランクの長手方向範囲は、装着部脚部の長手方向範囲の三分の一より小さい。
【0047】
本発明の更なる態様によれば、特に本発明による歯間器具用の特に本発明によるキャリアを製造する方法が提供される。本方法において、歯間器具を手で把持するための、特に本発明による歯間器具のハンドル部に取り付けるための実質的にU字形状の装着部であって、2つの脚部と、2つの脚部を相互接続する装着構造体と、を有する装着部が、射出成形プロセスにおいて製造される。さらに、本発明によれば、フロセットまたは研磨要素等の歯間部品をクランプするための2つのフランクと、キャリアを手で把持するための2つの把持部と、を有する作動部が、下流の射出成形プロセスにおいて、装着部脚部に射出成形される。この結果、本発明の上述の態様について説明した装着部脚部と作動部との間の接触界面がもたらされる。
【0048】
本発明による方法のさらなる展開例において、装着部を作製するための射出成形ステップ後に、作動部は、下流の射出成形ステップにおいて作製される。好適には、把持部が層各部脚部に成形されるとともに、フランクが歯間部品に成形されるように、作動部は、装着部および歯間部品に成形される。
【0049】
以下において、本発明のさらなる特性、特徴、および利点が、添付の例示的な図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態についての説明により明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明による歯間器具の歯間部品が配置された状態のキャリアの第1実施形態の正面図。
【
図4】本発明による歯間器具のハンドル部の第1実施形態の上面図。
【
図9】本発明による歯間器具の第1実施形態の組立前の状態を示す図。
【
図12】本発明による歯間器具のハンドル部の第2実施形態の上面図。
【
図15】本発明による歯間器具の第2実施形態の組立前の状態を示す図。
【
図18】本発明による歯間器具用のキャリアの第2実施形態の正面図。
【
図19】本発明による歯間器具用のハンドル部の第3実施形態の部分上面図。
【
図20】本発明による歯間器具用のハンドル部の第4実施形態の部分上面図。
【
図21】本発明による歯間器具用のキャリアの第3実施形態の正面図。
【
図22】本発明による歯間器具用のハンドル部の第5実施形態の部分上面図。
【
図23】本発明による歯間器具用のハンドル部の第6実施形態の部分上面図。
【
図24】各々が手持ちセクションの一端部に配置可能である2つのキャリアを有する本発明による歯間器具のハンドル部の第5実施形態を示す図。
【
図26】本発明によるハンドル部の別の例示的実施形態を示す図。
【
図27】例示的なハンドル部の別の例示的実施形態を示す図。
【
図29】本発明によるハンドル部のさらなる例示的実施形態を上面視で示す図。
【
図32】本発明によるハンドル部の別の例示的実施形態を示す図。
【
図34】本発明によるハンドル部の別の例示的実施形態を示す図。
【
図36】本発明による歯間器具用のキャリアの組立部の斜視図。
【
図37】歯間部品が取り外された状態の
図36の装着部の斜視図。
【
図38】本発明による組み立てられた状態のキャリアを示す図。
【
図39】本発明による歯間部品の例示的実施形態の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
例示的実施形態についての以下の説明において、本発明による歯間器具は、全体として参照符号1を付されている。本発明による歯間器具1の種々の例示的実施形態の対応する部品は、同じ参照符号を付されている。
【0052】
図1は、歯間器具1のキャリア3の正面図である。キャリア3は、例えば金属、好適にはステンレス鋼、チタン、または金属合金から構成され得る。さらに、プラスチック、複合材料、またはセラミック材料も適用可能である。好適には、材料は、少なくとも134℃で加圧滅菌可能である、および/または市販の消毒材で洗浄および消毒可能である。正面図において、キャリア3の輪郭は、実質的にU字形状である。図示面における幅方向Bから見て、2つのフランク5、7が、幅方向Bに対して垂直な高さ方向Hにおいて互いに対して実質的に平行に延びている。フランク5、7は、実質的に幅方向Bに延びる2つのクランプアーム9、11(歯)であって、2つのフランク5、7を互いに接続するクランプアーム9、11に合流しており、これにより一種のフォーク構造がもたらされている。クランプアーム9、11は、互いに対して本質的に平行に延びるとともに、それらの間にクランプスペース13が形成されるように互いに接続されている。それぞれのフランク5、7は、好適には、それぞれのクランプアーム9、11に連続的に合流する。例えば、フランク5、7とクランプアーム9、11との間の遷移領域は、湾曲形状、特に円形状の断面を有している。特に、円弧断面の半径は、約5mmである。2つのフランク5、7の内側に、高さ方向Hから見て、支持フランク19、21が、それぞれフランク内面15、17から下方クランプアーム11まで延びている。好適には、支持フランク19、21は、クランプアーム11の下面23まで延びる。例えば、支持フランク19、21は、各フランク5、7とクランプアーム11との間において高さ方向Hに対して約30°の角度で延びている。しかしながら、10°~60°の範囲にある他の角度、例えば45°も想定可能である。
図1に示すように、支持フランク19、21は、クランプアーム9、11より、およびフランク5、7より顕著に小さい断面寸法を有している。
図1によれば、支持フランク19、21は、フランク5、7の前面において片側のみ、すなわち、研磨またはダイヤモンドの面(グリット)54が配置される側のみに配置されている。これにより、それらは、研磨要素49の研磨またはダイヤモンドの面54を識別するのにさらに役立つ。キャリア3を手で把持する、および/または取り扱うためのグリップ部が、フランク5、7の、フランク内面15、17の反対側の各フランク外面25、27にそれぞれ設けられている。グリップ部31、29は、内方に湾曲した幾何学的構成を有しており、特にキャリア3がハンドル部55を用いずに歯間治療に使用される場合に、キャリアの人間工学的な把持および/または取り扱いを可能にする。一例として、曲率半径は、約16mmであるが、他の半径も想定可能であり、好適には5mm~30mmの範囲にあり得る。グリップ部29、31は、複数の凸部33を有し得る。凸部33は、幅および高さ方向に対して垂直な奥行き(深さ)方向Tに延びる、および/またはグリップ部29、31の奥行き全体に実質的に沿って形成されている。これにより、キャリア3の把持または取り扱いがさらに容易になる。
【0053】
図1~
図3に示す本発明による歯間器具1のキャリア3の第1実施形態例によれば、キャリア3は、キャリア3を歯間器具1のさらなる部品に旋回可能に保持するための接合装置35を有している。接合装置35は、キャリアが歯間装置1のさらなる部品に対して、旋回軸Sを中心として変位可能であるように設計されている。特に
図1および
図2に示すように、旋回軸は、好適には、高さ方向Hに対して平行に配向されるとともに、キャリア3の対称軸に一致する。接合装置は、2つの対向するガイド対向面37、39を有している。図示の実施形態例によれば、ガイド対向面37、39は、互いに対面するクランプアーム9、11の側面に配置されている。クランプアームは、連続的に、好適には湾曲して、例えばクランプスペースの内側において互いに合流する(フォーク構造)。ガイド対向面37、39は、実質的に平面状であるとともに、互いに対して平行に配向されている。好適には、各クランプアーム9、11から各他方のクランプアーム9、11の方向に離れるように延びる各ガイドラグ41、43を除いて、2つのガイド対向面37、39は、互いに対して完全に平行に形成される。ガイドラグ41、43は、接合装置35の取り付け/取り外し機構に属し得る。取り付け/取り外し機構により、キャリア3を歯間器具1のさらなる部品における単一の所定の挿入位置において、直線装着方向M(
図6に示す)に沿って装着することができる。特に
図2に示すように、クランプアーム11に配置されたガイドラグ43は、半球形状を有している。これは、高さ方向Hに見て上方のクランプアーム9に配置されたガイドラグ41も同様である。楕円形、円錐形、または円錐台形等の他の幾何学的形状も想定可能である。
【0054】
図2および
図3を参照すると、高さ方向Hにおいて上方のクランプアーム9は、クランプアーム9の幅範囲Bに対して好適には中央に配置されたディスク45を有している。この結果、接合装置35の拡大したガイド対向面39が、クランプスペース13に対面するディスク45の底面において実現される。したがって、歯間器具1のさらなる部品に対して、キャリア3は、より良好にガイドされるとともに、より安定して旋回する。例えば
図3に示すように、ディスク45の直径は、上面47に向かって減少し得る。クランプアーム9はディスク45を必ずしも備える必要はないが、例えば、幅方向Bにおいてその全範囲に沿って一定の断面を有し得ることが明瞭である。ディスク45は、ユーザに指に対する別の支持面を提供することで、キャリア3の的確な人間工学的適用を向上させるという他の利点をも有する。これは、ハンドル部55を用いずにキャリア3を歯間治療に利用する際、キャリア3を手で把持するときに特に有用である。例えば、キャリア3をより安定した態様で手で保持してさらに的確な治療を実施することを目的として、ユーザは、キャリア3を親指と中指とでグリップ部29、31の一方をそれぞれ横方向に把持し、人差し指を上方からディスク45に置くことができる。
【0055】
幅方向Bにおいて測定したキャリア3の全幅は、例えば、10mm~50mmの範囲、好適には15mm~45mmの範囲、20mm~40mmの範囲、または25mm~35mmの範囲にある。高さ方向Hにおいて測定したキャリア3の高さは、例えば、10mm~40mmの範囲、好適には15mm~35mmの範囲、20mm~30mmの範囲、または特に約22mm~25mmであり得る。奥行き方向Tにおいて測定されるキャリア3の最大奥行きは、好適にはディスク部45またはグリップ部29、31により規定され、例えば5mm~15mmの範囲、好適には6mm~12mmの範囲、または7mm~10mmの範囲にある。フランク5、7は、例えば、円形の断面形状を有している。フランク5、7の直径は、高さ方向Hから見て、例として各グリップ部29、31の上方に配置された下方領域において約2mmであり得るとともに、例として各グリップ部29、31の下方に配置された上方領域において約2.5mm~7mmであり得る。
【0056】
歯間部品が、患者の歯間治療のためにキャリア3に配置される。図示の実施形態において、歯間部品は、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップ等の研磨要素49である。歯間部品すなわち研磨要素49は、高さ方向Hに見てフランク5、7の下方に配置される。例えば、研磨要素49の取り付けポイントは、フランク5、7のそれぞれのフランク内面15、17に位置している。例えば、研磨要素49は、キャリア3に、具体的にはフランク5、7に取り外し可能に取り付けられる。研磨要素49が、例えばキャリア3とともに2部品射出成形プロセスで作製されることも想定可能である。例えば、研磨要素49は、ダイヤモンドストリップ、または研磨ストリップである。例示的な材料は、ステンレス鋼等の耐食性金属、またはプラスチックである。ダイヤモンドストリップの、グリットとしても設計可能なダイヤモンドコーティング50は、5μm~20μmの範囲のグリット直径を有するダイヤモンドグリットを有し得る。ダイヤモンドコーティングを、研磨要素49の片面または両面に設けることができる。ダイヤモンドを含まないゾーンが、幅方向Bに見て研磨要素49の中央部に形成され得る。さらに、研磨要素49の長手方向範囲に沿って形成される2つの対向する研磨縁部51、53が、一般にダイヤモンドコーティングを施されずに形成される。したがって、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップを、既にダイヤモンドコーティングされた金属ストリップから、例えばレーザーまたは機械的切断装置を使用して、これらを金属ストリップの長手方向範囲に対して横方向に切断することにより作製することができる。酸化アルミニウム、炭化ケイ素またはセラミック材料等の研磨剤も、研磨要素49上の研磨コーティングとして使用され得る。さらに、研磨効果が表面粗さによって達成されるように、研磨ストリップを表面上に形成することも想定可能である。さらに、研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップ、ダイヤモンドコーティング、-または研磨剤フリーを設計し、鋸歯等の歯を少なくとも1つの研磨縁部51、53に設けることも想定可能である。研磨縁部51、53のサイクロイド形状または波形形状を提供することもできる。さらに、少なくとも1つの研磨縁部51、53上の研磨ストリップまたはダイヤモンドストリップに、鋸歯等の歯を設けることも想定可能である。研磨要素をステンレス鋼、具体的にはステンレス鋼ストリップから構成することも可能である、および/または研磨要素が表面に機械的凸部等の開口を有することも可能である。具体的には、研磨要素は、おろし金、やすり、または格子の構造を有する。ユーザが対応する研磨要素49上のそれぞれのグリットを迅速に識別できるように、研磨要素49は、カラーマーク(カラーダッシュ、カラードット、または他の任意の形状)を付され得る、および/またはキャリア3は、異なるグリットを識別するためのカラーコードを表すカラー面を有し得る。例えば、幅方向Bにおいて測定した研磨要素49の全幅は、15mm~35mmの範囲、好適には20mm~30mmの範囲にある。特に、当該幅は、約25mmである。例えば、高さ方向Hにおいて測定した研磨要素49の高さは、2mm~8mmの範囲、好適には3mm~7mmの範囲、または4mm~6mmの範囲にあり得る。
【0057】
図2に示すように、ダイヤモンドコーティング50またはグリットサイズを示すインジケータ115、116が、キャリア3のフランク5、7に設けられる。この目的は、ユーザに、ダイヤモンドコーティング50またはグリットサイズが研磨要素59のどちらの側または面にあるかを示すことである。このようにして、歯間器具の正しい装着が確実にされ得るとともに、誤装着が防止され得る。例えば、
図2に示すように、インジケータ装置は、例えば正三角形および/または二等辺三角形として形成された、例えば同じ形状の4個の歯として設けられる。ただし、任意の他の幾何学的形状も想定可能である。インジケータ装置115、116すなわち歯は、両側、すなわちフランク5およびフランク7の両方において、研磨要素49の対応する側又は面に配置することができる。あるいは、歯状のインジケータ装置115、116は、研磨要素49の一部であってもよい。好適には、インジケータ装置115、116は、2つのフランク5、7のうちの少なくとも一方に直接隣接して研磨要素49に配置される。
【0058】
図4~
図6を参照すると、本発明による歯間器具1のハンドル部55の第1実施形態が示されている。ハンドル部55は、歯間器具1を取り扱うようにオペレータが手で把持することが意図されている。例えば、
図4はハンドル部55の上面図であり、
図5はハンドル部55の底面図である。例えば、ハンドル部55は、キャリア3と同じ材料から構成され得る。例えば、ハンドル部55は、ステンレス鋼、チタンまたは金属合金等の金属、ならびにプラスチック、複合材、セラミック材料、またはセラミック複合材から構成され得る。好適には、歯間分野における衛生規則、具体的にはDIN EN ISO 13402、DIN EN ISO 21530、DIN EN ISO 7153、DIN EN ISO 10271に適合する材料が選択されるべきである。ハンドル部55は、細長いロッド部57を備え、ロッド部57は、自由端部59においてディスク部61に開放している。ロッド部57は、特定の幾何学的形状に限定されないが、例えば、まっすぐな、湾曲した、または少なくとも部分的に湾曲した任意の適切な幾何学的形状を有し得る。一般に、ハンドル部55を人間工学的に把持可能であるように設計する、および/または寸法決めすることが有利である。さらに人間工学性を向上させるように、オペレータの手の指に対するグリップ安定性を高めることを意図した少なくとも1つの所定のグリップ部をロッド部57に設けてもよい。
図4および
図5に例示的な幾何学的形状を示す。これによれば、ロッド部57は、ディスク部の正反対の自由端部63において丸みを帯びている。この自由端部63から、ロッド部57は、幅方向Bに測定した場合に幅広となるセグメント65に合流している。セグメント65は、幅方向Bに測定した場合に幅狭のセグメント67に隣接している。そして、セグメント67は、幅方向Bに測定した場合に幅広のセグメント69に隣接している。セグメント69に隣接する端部セグメント71は、ディスク部61に向かって次第にテーパしており、直線的に延びる外形を有している。例示的実施形態において、さらなるセグメント69、67、65は、湾曲した、または屈曲した外形を有している。ロッド部55の長手延在方向に対して横方向に配向された横方向突起73が、セグメント65~71の少なくとも1つに形成され得る。これらにより、ハンドル部55の把持または取り扱いが容易になる。
【0059】
例えば、1mm~20mmの範囲のディスク直径を有し得るディスク部61は、2つの対向する、好適には平坦なディスク面75、77を有している。例えば、
図4に示すディスク面75はディスク部61の上側面であり、
図5に示すディスク面77はディスク部61の下側面である。ディスク部61の周縁部79は、例示的な実施形態によれば円形である。キャリア3をハンドル部55に旋回可能に保持するための接合装置35は、例示的実施形態によればディスク面75、77によって形成される2つの対向する摺動ガイド面76、78をさらに備えている。ハンドル部55に対するキャリア3の直線装着方向M(
図9)は、摺動装着完了位置に向かってテーパする材料凹部81によって実現される。
図4に示すように、これは、例えばディスク面75および/またはディスク面77(
図5)に配置される。キャリア3とハンドル部55とが互いに装着された場合、ガイドラグ41および/または43がディスク面75に係合するように、材料凹部81およびガイドまたは装着ラグ41、43は、好適には寸法決めされる。摺動装着完了位置は、例えば、ディスク部61の中心83に形成されたカップ状の接合凹部85によって規定され得る。摺動装着完了位置において、カップ状接合凹部85にガイドラグ41および/または43が係合する。例えば、接合凹部85は、カップ形状を有している。摺動装着完了位置に達すると、すなわち、ガイドラグ41および/または43がディスク面75および/または77に設けられた各接合凹部85に係合すると、旋回軸Sを中心とした旋回運動における1つの自由度だけが存在することになり、さらにキャリア3の取り外しは、ハンドル部55から直線装着方向Mに対して反対方向にのみ許容される。
【0060】
材料凹部81は、例えば、上面視においてV字形状を有するランプであって、キャリア3とハンドル部55とを組み立てる際に、ガイドラグ41、43を接合凹部85の方向に連続的にガイドするランプとして形成される。進入または押し込みランプ81は、直線組立方向Mに対して傾斜する面169を有しており、これに沿ってガイドラグ41、43はガイドされる。また、進入または押し込みランプ81は、接合凹部85の方向に延びる2つの対向するガイド側壁であって、ランプ81を横方向に限定する、および/または直線組立方向Mを横断するガイドラグ41、43のランプ81からの横方向脱出を防止するガイド側壁(ランプ側壁)を有する。材料凹部すなわちランプ81は、ハンドル部55のディスク形状接合部61において、12時または6時の位置に形成される。
【0061】
図示しない代替的な例示的実施形態において、ガイドラグ41および/または43はなくてもよい。この場合、ディスク面75、77およびガイド対向面37、39iは、互いに形状において適合する。ディスク面75、77は、少なくとも一部の領域で凹状の構造または凹状の輪郭を有し得るとともに、ガイド対向面37、39は少なくとも一部の領域で凸状の構造または凸状の輪郭を有し得る。この逆もまた同様である。キャリア3およびハンドル部55の表面が互いに形状において適合する結果、本発明による旋回軸Sを中心とした旋回運動の自由度という特徴を、ガイドラグ41、43がなくても、かつ接合凹部85がなくても得ることができる。さらに、ホルダ3のハンドル部55に対する追加の固定部を生成するように、ガイドラグ41、43および接合凹部85を、凹状/凸状面構造に追加して設けることも想定可能である。
【0062】
図5を参照すると、ハンドル部55に対するキャリア3の旋回運動の選択肢が明瞭に示されている。キャリア3は、少なくとも2つの相互に角度的にオフセットした保持位置の間において、ハンドル部55に対して旋回軸Sを中心として旋回し得る。
図5によれば、例として4個の相互に角度的にオフセットした保持位置が設けられている。
図8を参照すると、ハンドル部55のさらなる実施形態が示されている。ここでは、7個の相互に角度的にオフセットした保持位置が設けられている。3、5、6、8、または例えば9個の保持位置が設けられ得ることを理解されたい。これを可能とするように、少なくとも2つの相互に角度的にオフセットした溝87が、2つのディスク面75、77の少なくとも一方において、旋回軸Sに対して設けられ、これらの溝の各々が、保持位置を規定する。溝87は、例えば、ディスク部61の全ディスク直径に沿って形成されるとともに、接合凹部85が溝87内に位置するように配向される。例えば、溝87は、半球形状、テーパ形状、または円錐台形状であり得る。したがって、接合凹部85は、旋回軸Sを中心として周方向において互いに対して均等に分散配置された溝87を、好適には同一形状および寸法の2つの溝部に分割する。キャリア3、および特にキャリア3のガイド対向面37、39は、それらが相互に角度的にオフセットした保持位置にそれぞれ係合可能であるように寸法決めされている。キャリア3がハンドル部55の保持位置を取ると、すなわち、溝87のうちの1つに係合すると、キャリア3のハンドル部55からの直線装着方向Mに沿った取り外しが阻止される。
【0063】
図6による例示的実施形態において、ディスク部61は、実質的にハンドル部55の延在方向に、具体的には端部セグメント71に対して平行に配向されている。しかしながら、ディスク部61が、端部セグメント71の延在方向に対してある角度をなしてハンドル部55に取り付けられることも想定可能である。例えば、この角度は、±45°の範囲にあり得る。ここで、+45°は、高さ方向Hにおけるディスク部61の上方への配向を規定し、マイナス45°は、高さ方向Hにおけるディスク部61の下方への配向を規定する。
【0064】
図7による側面図は、ハンドル部55の別の実施形態を示し、
図6の実施形態によるハンドル部55の側面図とは、ディスク部61がハンドル部55において180°回転して配向されている点のみが異なる。これは、
図6で上方を向いて溝87を有さずに形成されていたディスク面75が、
図7による実施形態では下方を向いているということを意味する。
【0065】
キャリア3をハンドル部55に対して組み立てる前の
図9に示す状態は、部品の互いに対する組立、特に組立方向Mを示す。キャリア3をハンドル部55に装着する際、ハンドル部55に対するキャリア3の所定の配向が維持されなければならない。そのようにすることで、ディスク部61の存在する面が、研磨要素49が存在する面に対して垂直であるとともに、かつキャリア3の2つのフランク5、7のうちの一方を通る平面に対して垂直であり、かつ研磨要素49の面に対して垂直に配向されるように、キャリア3が特にハンドル部に対して配向されるようになる。したがって、キャリア3がハンドル部55の摺動装着完了位置を取り得ること、特に、ガイドラグ41および/または43が、材料凹部81によりハンドル部55に向かって摺動し得るとともに、材料凹部81に沿ってディスク部中心83の接合凹部85内に挿入され得ることが確実とされる。
【0066】
図10は、キャリア3がハンドル部55に組付けられた状態を、歯間器具1の斜視図において示す。旋回軸Sは、摺動ガイド面76、78およびガイド対向面37、39と交差している。図示の例示的実施形態において、旋回軸は、摺動ガイドおよびガイド対向面37、39、76、78に対して垂直である。キャリア3のハンドル部55に対する装着は、ガイド対向面37、39と摺動ガイド面76、78との間で、膨張による締め付けおよび圧縮による締め付けが生じるようになされ得る。これにより、表面同士が支持し合い、好適には安定した装置が得られる。例えば、2つの摺動ガイド面76、78および2つのガイド対向面37、39は、キャリア3のハンドル部55に対する旋回可動性が、好適にはこれらのガイド面により規定される旋回平面においてのみ実現されるように、互いに弾性的に付勢される。さらに、
図10に示すように、ハンドル部55は、ガイド面37、39および76、78に対して本質的に平行に配向された長手延在方向を有している。ここで、本質的に平行とは、平面ガイド面37、39、76、78に対して長手方向範囲の20°未満の角度が存在するという意味であることを理解されたい。
【0067】
クランプアーム9、11は、例えば、ハンドル部55のディスク部61がクランプアーム9、11により形成されるクランプスペース13に、好適にはクランプアーム9、11が弾性変形した状態で挿入可能であるような形状および寸法を有している。
【0068】
図12~
図17を参照して、本発明による歯間器具1のさらなる実施形態を説明する。
図12~
図14に、本発明によるハンドル部55のさらなる例示的実施形態を示す。
図12~
図14によるハンドル部55の実施形態は、上述の実施形態と、ディスク部61が両側に、すなわち両ディスク面75、76にそれぞれ溝87および材料凹部81を有して形成されている点でまず異なる。例えば、4個の所定の相互に角度的にオフセットした保持位置を有する実施形態が示されている。あるいは、より多い、またはより少ない保持位置が設けられ得る。同様に
図14に示すように、ディスク面75、77は一致するサイズおよび形状を有し得ることを理解されたい。これは、それぞれの材料凹部81およびそれぞれの溝87が整列している、または直径方向に対向していることを意味する。
【0069】
次に、
図12~
図14によるハンドル部55の実施形態は、ディスク部61に接続するロッド部57の寸法または幾何学的形状において異なる。ディスク部61のすぐ隣に、一定の断面を有する実質的に直線状の範囲117が、ディスク部61から離れるように延びている。範囲117は、より大きな断面を有する指グリップ部119に開放している。
図12~
図14による実施形態によれば、指グリップ部119は、好適にはゴム等の滑り止め材料から構成されたグリップ凸部121を有している。これにより、ハンドル部55から指が滑ることを防ぎつつ、ハンドル部55を安全に取り扱うことが保証される。指グリップ部119は、全周に亘って凹状の形状を有している。指グリップ部119の隣は、
図13および
図12に示すように、上下それぞれから見て一定の断面を有する直線状のハンドグリップ部123である。
図14において、ハンドグリップ部123は、ハンドル部55の側面視において湾曲した形状、具体的には、上方に湾曲した形状を有していることがわかる。これにより、ハンドグリップ部55の把持や取り扱いが人間工学的に有利になる。
【0070】
図15~
図17は、
図12~
図14によるキャリア3をハンドル部55に対して組み立てる前の状態および組み立てた状態を示す。キャリア3のハンドル部55に対する装着または配向は、
図9~
図11を参照して既に説明した本発明による発想と同じものに基づいている。例えば、組み立てた状態において、旋回軸Sは、摺動ガイド面76、78と交差し、好適にはこれらに対して垂直である。さらに、接合装置35は、単一の所定の挿入位置、すなわち材料凹部81における直線組立方向Mに沿ったキャリア3の組立を許容する組立/取り外し機構を有している。摺動装着完了位置、すなわち
図16に示す位置に達すると、旋回軸Sを中心とした旋回運動における1つだけの自由度、およびキャリア3のハンドル部55からの直線装着方向Mの反対方向における取り外しのみが許容される。
【0071】
図18および19を参照して、本発明による歯間器具1のさらなる例示的実施形態を説明する。以下の実施形態において、
図1~
図17の上述の実施形態から逸脱する構造的特徴のみについて検討する。
図18において、キャリア3は第2実施形態例にしたがって形成され、
図19において、ハンドル部55は第3実施形態例にしたがって形成されている。歯間器具1のさらなる実施形態によれば、接合装置35は、キャリア3のハンドル部55に対する各保持位置用のそれぞれのラッチ装置をさらに備える。ラッチは、例えば、単数または複数のラッチラグと、好適にはラッチラグと相補的な形状に形成された単数または複数のラッチ凹部と、により形成される。少なくとも1つのラッチラグおよび/または少なくとも1つのラッチ凹部は、各摺動ガイド面76、78および/またはガイド対向面37、39に配置される。例えば、ラッチラグ89がキャリア3に取り付けられる。2つのラッチラグ89は、クランプスペース13の方向において、クランプアーム9、11に形成された相互に対面するガイド対向面37、39からそれぞれ突出している。例えば、それぞれのラッチラグ89は、キャリア3の幅範囲に対して同一高さに配置され、好適には同一の幾何学的形状および/または寸法を有している。さらに、ラッチラグ89は、旋回軸線上に存在するガイドまたは装着ラグ41、43に対して同一の距離を各々有している。
【0072】
図19に示すように、ラッチ凹部91が、ディスク部の面75、76/77、78の少なくとも1つに形成されている。ラッチ凹部91は、
図4および
図5の第1実施形態について説明した溝87に追加して設けられ得ることが明瞭である。
図19に示す例示的実施形態によれば、ラッチ凹部91は、各2つのラッチ凹部91が接合凹部85を通る直径線上にある状態で、ディスク部中心83すなわち接合凹部85を中心として周方向に均一に配置されている。ラッチ凹部91は、ディスク部61のディスク半径に沿って略中間に位置している。互いに角度をなしてオフセットした4個の保持位置を有する
図8に示す実施形態において、ディスク部中心83に対して広がるとともに2つのラッチ凹部91により形成される角度セクタが45°の角度を形成するように、2つの隣接するラッチ凹部91が互いに距離を置いて配置される、または周方向に分散配置される。設けられる保持位置の個数に応じて角度セクタが変化することが明瞭である。例として、
図20による実施形態は、7個の相互に角度的にオフセットした保持位置、すなわち14個の相互に角度的にオフセットしたラッチ凹部91を有するディスク部61を示す。ただし、より多いまたはより少ないこのようなラッチ凹部が設けられ得ることが明瞭である。
図20によるラッチ凹部91は、これらが互いに部分的に重なるように寸法決めされるとともに、互いに距離を置いて配置されている。この結果、2つの隣接するラッチ凹部91の間において、ディスク面75、77/76、78の材料ストラットが存在しない。例外は、材料凹部81またはハンドル部55に最も近接して配置されたそれぞれのラッチ凹部91の間であり、この場合、例えば
図19による実施形態のようになる。
【0073】
図21および
図22は、本発明による歯間器具1のさらなる実施形態を示す。
図21は第3実施形態例によるキャリア3を示し、
図22は第5実施形態例のハンドル部55を示す。第3実施形態例によるキャリアは、
図18および
図19による第2実施形態例と同様に、キャリア3をハンドル部55にラッチ係合するために追加のラッチ装置が設けられている点で第1実施形態例のキャリア3と異なる。
図21によれば、キャリア3は、クランプスペース13に配置された2つのラッチ支柱93、95を有している。ラッチ支柱93、95は、2つのクランプアーム9、11を互いに接続するとともに、互いに対して実質的に平行に、かつフランク3、5に対して平行に延びている。ラッチ支柱93、95は、互いに鏡面反転して配置されることにより、一方のラッチ面94、96が各他方のラッチ面96、94にそれぞれ対面している。ラッチ支柱93、95は、例えば、好適には約75°の角度を囲む二等辺三角形の脚部を有する三角形の断面形状を例えば有し得る。ただし、例えば60°~90°の範囲にある他の角度も想定可能である。例示的実施形態によれば、2つのラッチ支柱93、95は、互いに5mm~20mmの距離を置いて配置される。この距離は、例えば12mmである。距離
図21に示すように、ラッチ支柱93、95は、クランプスペース13を3つのクランプスペースセグメントに分割する。本質的に同一サイズの鏡面反転したクランプスペースセグメント97、99が、ラッチ支柱93、95の外側に位置し、これにより、ラッチ支柱の間に形成された中央クランプスペース101がもたらされる。
【0074】
本発明による歯間器具1のさらなる実施形例によれば、ハンドル部55は、ディスク部61、またはその周縁部79に、好適にはディスクの全高に沿って延びるラッチノッチ103を有している。これらのラッチノッチ103に、ラッチ支柱93、95がラッチ係合して挿入装着位置を取ることができる。ラッチノッチ103は、例えば、周縁部79に沿って周方向に均等に分散配置される。具体的には、2つのラッチノッチ103が、接合凹部85およびディスク部中心83をそれぞれ通って延びる直径線上にあるように、2つのラッチノッチが各周縁部79に配置される。例えば、ディスク部中心83から始まる2つの相互に隣接するラッチノッチ103の間の角度セクタは、約45°、例えばまた約30°、約40°、または約50°である。
図22による実施形態において、ディスク部61は、例えば8個のラッチノッチ103を有し、したがって、これらは、キャリア3のハンドル部55に対する4個の相互に角度的にオフセットした保持位置を規定する。
図23に示すハンドル部55の別の代替例によれば、ディスク部61は14個のラッチノッチ103を有し、したがって、これらは、キャリア3のハンドル部55に対する7個の相互に角度的にオフセットした保持位置を規定する。周方向に延びる周縁部分125が、各2つのノッチ103の間に形成されていることが明瞭である。周縁部分125のサイズ、すなわちその周方向における延在範囲は、ラッチノッチ103の個数により異なることがさらに理解される。具体的には、
図22による周縁部分125は、
図23による周縁部分125より大きく形成されている。ラッチノッチ103は、例えば約75°を形成する2つのラッチノッチ脚部を有するV字形状の断面を有することが可能であるが、例えば60°~90°の範囲にある他の角度も想定可能である。さらに、ラッチノッチ103の断面は、半球形または楕円形であってもよい。特にキャリア3とハンドル部55との間における旋回可動性またはラッチ係合を必要に応じて調整することを目的として、ラッチ要素95、93および103または89および91または41、43および85および/または87は、必要に応じて組み合わせ得ることを理解されたい。
【0075】
図24~
図35は、歯間器具1を把持するためのロッド形状のハンドル部55を有する本発明による歯間器具1のさらなる実施形を示す。ハンドル部55の2つの自由端部105、107に、別個のキャリア3がそれぞれ配置される。2つのキャリア3をハンドル部55の自由端部105、107に形成されたディスク部109、111に旋回可能に保持する役割を果たすそれぞれの接合装置35は、上述の実施形態を参照して説明したのと同様に設計され得る、および/または寸法決めされ得る。具体的には、特にキャリア3とハンドル部55との間における旋回可動性またはラッチ係合を必要に応じて調整することを目的として、2つの接合装置35は、ラッチ要素95、93および103または89および91および/または41、43および85および/または87を任意の個数で備え得る。以下では、本発明によるハンドル部55の例示的実施形態をより詳細に説明する。説明は、それぞれの実施形態間の差異に実質的に限定される。
【0076】
図24を参照すると、ハンドル部55は、2つのディスク部109、111の間で、実質的に連続的に幅方向Bにおいて延びるとともに、実質的に一定の断面形状を有している。
【0077】
ハンドル部55は、略中央にグリップ部分113を有している。グリップ部分113は、上方から見た場合に楕円形であり、ハンドル部55を取り扱いやすくするとともに把持しやすくする。グリップ部分113は、幅方向Bにおいて測定した場合にハンドル部55の全長手方向範囲の略10%~30%で形成されるとともに、奥行き方向Bにおいて測定した場合に、ロッド形状のハンドル部55の幅より略2倍~4倍幅広になるように寸法決めされている。しかしながら、グリップ部分113は、ハンドル部55の中心からずれて配置され得るとともに、ハンドル部55を、奥行き方向Tにおいて測定した場合に、異なる長さを有するハンドル部55の2つのサブ部分127、129に分割し得る。例えば、ユーザは、サブ部分129、127のうちの長い方で、口内の奥の方にある歯間スペースをより簡単に治療することができる。一方、2つのサブ部分127、129のうちの短い方は、口内の前の方にある歯間スペースにより適している。ハンドル部55のサブ部分129、127の自由端部105、107に、
図24によれば同一に形成されたディスク部109、111が、それぞれ配置されている。さらに、ディスク面75、77またはそれらの摺動ガイド面76、78も、同一に形成されている。全てのディスク面75、77は材料凹部81を有し、これに沿って、取り付けられるべき各キャリア3が、ディスク部中心83すなわち接合凹部85に押し込まれ得る。キャリア3のハンドル部55に対する相互に角度的にオフセットした維持位置を提供するために、ディスク部109、107は、ディスク面75、77に、ラッチ凹部91を有している。ラッチ凹部91は、上述の例を参照して既に説明したように、面75、77に配置されている。上述の実施形態の例について説明した全ての特徴が、キャリア3がハンドル部55の両側に配置される
図24に示す実施形態の例に、本発明の基本的な考え方から逸脱することなく適用され得る。
図24および
図25から、グリップ部分113は、ディスク面75、77、および摺動ガイド面76、78それぞれに対して角度をなして配置されていることがわかる。例えば、この角度は、10°~80°の範囲、または好適には20°~70°の範囲にある。グリップ領域のディスク面および摺動ガイド面75~78に対するこのような傾きは、本発明による歯間器具1の特に人間工学的な取り扱いという点で利点を有する。なぜならば、ユーザが好適には親指と人差し指との間にハンドル部55を把持するとき、自然な手の位置により、確実にディスク面および摺動ガイド面75~78が実質的に水平に配向されるからである。これにより、ユーザは、キャリア3および特にキャリア3に配置された歯間部品49を確実にまっすぐに、すなわち実質的に水平に配向することに多大な労力を費やすことなく、歯間治療中にこれらに集中できる。グリップ領域113は、正反対に2つの対向するグリップ面131、133を有している。グリップ面131、133は、丸みを帯びた縁部135によって、特に完全に囲まれている。好適には、ディスク面75、77または摺動ガイド面76、78に対して角度をなして配置されているのはグリップ面131、133である。例えば、グリップ面131、133は、輪郭が明確とされるように、かつ縁部135と触覚および視覚の両方において異なるように、トラフ形状を有している。
【0078】
別の例示的実施形態によれば、把持面131、133の代わりに、例えば15mm~20mmの範囲の直径を有する貫通孔(図示せず)が設けられる。これにより、特にシンプルで有利な歯間治療の選択肢が得られる。歯間器具1を使用する場合、それは患者の歯列のうちの任意の歯に、例えば、オペレータがその人差し指、中指、または親指を貫通孔に伸ばしてその指を対応する歯に置くことができるように配置される。これにより、対応する指は、一種のガイド旋回軸として機能し、これを中心として、歯間スペースを治療すべく歯間部品1が回転され得る。
【0079】
図26による実施形態は、ディスク面75、77または摺動ガイド面76、78に形成されたラッチ凹部91の個数においてのみ、
図24による実施形態と異なる。
図24において8個のラッチ凹部91が各ディスク面75、77に設けられているのに対し、
図26による実施形態は14個のこのようなラッチ凹部91を有している。この目的は、
図24のような4個の相互に角度的にオフセットした保持位置の代わりに、キャリア3をハンドル部55に対して角度をさらに微調整するための7個の相互に角度的にオフセットした保持位置を得ることである。
【0080】
図27および28を参照すると、本発明によるハンドル部55のさらなる実施形態が示されている。これは、ラッチ凹部91の代わりに、相互に角度的にオフセットした保持位置を提供する溝87がディスク面75、77および摺動ガイド面76、78にそれぞれ形成されている点でのみ、
図24~
図26による実施形態と異なっている。溝87は、上述の実施形態について既に説明したように本質的に寸法決めされ、配向されている。具体的には、
図29から、ディスク部109または111に対応付けられるディスク面75、77、および正反対に2つの対向するディスク部109、11のディスク面75、77の両方が同一に形成されていることがわかる。
【0081】
図29~
図31による実施形態も、溝87がディスク面75、77に設けられて、キャリア3のハンドル部55に対する相互に角度的にオフセットした保持位置が提供される実施形態である。一態様において、本実施形態は、溝87がディスク部109、111のディスク面75、77の一方にしかそれぞれ形成されていない点で、
図27および
図28のものと異なる。例えば、相互に離間して配置されたディスク部111、109のディスク面75、77であって、溝87を備えるディスク面75、77は、同一方向を向いている。例えば、2つのディスク部109、111の各々のディスク上面75は、溝87を有して形成され、2つのディスク部111、109のそれぞれのディスク下面77は、溝87を有さずに形成される。さらに、本実施形態は、14個の相互に角度的にオフセットした溝87が設けられている点で、
図27および
図28のものと異なる。
図27および
図28では、8個の相互に角度的にオフセットした溝しか設けられていない。したがって、
図29~
図31による実施形態では、キャリア3をハンドル部55に対して角度をさらに微調整することができる。
【0082】
図32~
図35を参照すると、本発明によるハンドル部55のさらなる2つの実施形態が示されている。一方の実施形態(
図32、33)は、キャリア3のハンドル部55に対する相互に角度的にオフセットした保持位置を実現するように各ディスク部109、111の周縁部79に配置されたラッチノッチ103の個数においてのみ、他方の実施形態(
図34、35)と異なる。この点に関して、ラッチノッチ103は、上述の実施形態について説明したように寸法決めされ得るとともに配向され得る。
図32および
図33のそれぞれにおいて、8個の相互に角度的にオフセットしたラッチノッチ103が設けられ、4個の相互に角度的にオフセットした保持位置が提供されている。
図34および
図35による実施形態において、14個の相互に角度的にオフセットしたラッチノッチ103が設けられ、7個の相互に角度的にオフセットした保持位置が提供されている。
【0083】
図36~
図38を参照して、本発明によるキャリア3、または特にその製造についてより詳細に説明する。繰り返しを避けるために、この説明に関して、まだ挙げられていない特徴のみを参照する。
図36~
図38によるキャリア3が、上述の実施形態について詳述した特徴にしたがって形成され得ることが明瞭である。キャリア3は、2つの主部品、すなわち、第1製造ステップで製造される実質的にU字形状の装着部137(
図36)と、下流の製造ステップで製造されて装着部137に装着される作動部(
図38)と、を本質的に備えている。
【0084】
具体的には、装着部137は、上面視において実質的にU字形状の構成を有している。側部において、特に同一に形成された2つの脚部141が、これら2つの脚部141を互いに接続する装着構造体143から、互いに対して実質的に平行に延びている。脚部141は、上述の実施形態について説明したフランク5、7を形成し得る。具体的には、装着構造体143は、キャリア3を特に本発明による歯間部品1のハンドル部55に取り付けるように設けられる。この文脈において、装着構造体143は、例えばクランプアーム9、11、ならびに接合装置35を備え得る。装着部137は、例えば射出成形プロセスにより作製される。
図36において、装着部137全体が1つの製造ステップ、すなわち射出成形ステップにおいて、特に、接合装置35のクランプアーム9、7、ワッシャ45、ならびにガイドラグ41、43を有して作製されることがわかる。キャリア3は、例えば、両側において、脚部141に補強セグメント145を有し得る。補強セグメント145は、脚部141から、装着構造体143の方向に、具体的には、下方クランプアーム11の方向に斜めに延びる。補強セグメント145は、支持フランク19、21(例えば
図1)に加えて、またはこれらに代えて存在し得るとともに、特にそれらに連続的に合流し得る。
【0085】
図37および
図38を参照すると、作動部139を装着部137に成形する下流ステップが示されている。最初に、歯間部品49を、脚部141の下方に特に接触させずに配置する。本例において、歯間部品は、研磨要素として設計され、キャリア3にクランプするように設計された2つのフランジ部147、149を研磨要素49の遠位端部に備えている。材料凹部151、153が、フランジ部147、149の各々に設けられている。この目的は、下流の射出成形ステップにおいて、キャリア材料、具体的には作動部材料の周囲に射出成形を可能にすることである。
図37において、長孔凹部151として形成された一方の材料凹部が、同じく長孔凹部153として形成された他方の材料凹部より、延在方向において大きいことがわかる。患者の歯間スペースを治療するためにフランジ部の間で延びる研磨部155は、延在方向を横断する方向に見た場合に、一定の寸法、特に高さを有するとともに、図示のように、フランジ部147、149に連続的に合流している。材料凹部151、153を囲むフランジ部縁部157、159が略1mmであることがさらにわかる。また、フランジ部147、149は、高さ方向に見た場合、研磨部155より大きい寸法を有している。
【0086】
これにより、フランジ部147、149が脚部141に対して真下に、しかし特に接触することなく位置するように、歯間部品49はキャリア3の装着セクション137に対して配置される。最後に、作動部139が、装着部137および歯間部品49の上に成形される。具体的には、装着部137の脚部141と、歯間部品49のフランジ部147、149とを作動部139によってオーバーモールドする。作動部139は、歯間部品49および2つの把持部165、167をクランプする2つのフランク161、163を備えていることがわかる。把持部165、167は、例えばグリップ部29、31のように形成され得る。この場合、把持部165、167は、脚部141の略高さに配置されるとともに、部分的にこれらを取り囲む、すなわち、脚部141の周囲において少なくとも部分的に組立部137に射出成形される。2つステップからなる射出成形プロセスにより、組立部脚部141と把持部165、167との間に、脚部141と把持部165、167とが接触する界面(図示せず)が形成される。さらに、装着部脚部141およびフランク161、163には接触界面がないように、脚部141は寸法決めされるとともに、作動部139は、歯間部材および装着部137にそれぞれ成形される。
【0087】
図39および
図40は、本発明による歯間器具1のさらなる例示的実施形態を示す。キャリア3がハンドル部55に装着されている。キャリア3およびハンドル部55の基本的な設計について、上述の説明を参照されたい。
図40は、
図39のXL-XLに沿った断面図である。断面線は、キャリア3ならびにハンドル部55のディスク部61と実質的に中央で交差し、これにより接合装置35の機能および設計が明瞭に示されている。接合装置35は、旋回軸Sの方向において互いにオフセットするとともに、互いに対して本質的に平行に配置されたそれぞれ2対の摺動ガイド面37、78、および39、76を有している。各対の面37、78、および39、76は、ハンドル部の各摺動ガイド面76、78、およびキャリア3の摺動ガイド面37、39、具体的にはガイド対向面によりそれぞれ形成されている。このようにして、分割された旋回軸Sが形成され、旋回軸Sの方向において互いに離間した2つの旋回ポイント175、177が実現される。旋回ポイント175、177は、キャリア側の凸部またはガイドラグ41、43により形成される。換言すれば、旋回軸Sは、上歯9、ディスク部61、および下歯11を通って延びている。さらに、接合凹部85が、旋回軸Sと実質的に同軸にディスク部61を通過して延びる貫通孔179として実現されているとがわかる。2つのガイドラグ41、43は、いくつかの領域において貫通孔179内に突出する。半球形のガイドラグ41、43の半径は、貫通孔179の内径に適合している。
【0088】
さらに
図40に示すように、キャリア3のガイド対向面37、39は、歯9、11のクランプスペース側の面により形成され、摺動ガイド面76、78は、ハンドル部55の、キャリア3のクランプスペース13に挿入されるディスク部61のクランプスペース側のディスク面75、77により各々形成されている。したがって、接合装置35は、それぞれ一対の2つの摺動ガイド面37、78および39、76、すなわち合計で4個のガイド面を備え、これらに沿って、キャリア3は、ガイドされた態様でハンドル部55およびディスク部61それぞれに対して旋回し得る。対となる摺動ガイド面37、78および39、76のそれぞれの対面する面は接触している、すなわち、ディスク部61の摺動ガイド面76、78に対してそれらの実質的に全面に亘って対として互いに当接していることがわかる。
【0089】
上述の説明、図面、および特許請求の範囲に開示された特徴は、種々の実施形態における本発明の実現を目的として個別に、および任意の組み合わせの両方において重要であり得る。
【0090】
1 歯間器具
3 キャリア
5、7 フランク
9、11 クランプアーム
10 アーク
13 クランプスペース
15、17 フランク内面
19、21 支持フランク
23 クランプアーム底面
25、27 フランク外面
29、31 グリップ部
33 凸部
35 接合装置
37、39 ガイド対向面
41、43 ガイドラグ
45 ディスク
47 ディスク部上面
49 研磨要素
50 ダイヤモンドコーティング
51、53 研磨縁部
54 研磨/ダイヤモンドの面
55 ハンドル部
57 ロッド部
59、63 自由端部
61 ディスク部
65、67、69、71 セグメント
73 クロス凸部
75、77 ディスク面
76、78 摺動ガイド面
79 周縁部
81 材料凹部
83 ディスク部中心
85 接合凹部
87 溝
89 ラッチラグ
91 ラッチ凹部
93、95 ラッチ支柱
94、96 ラッチ領域
97、99 クランプスペースセグメント
101 中央クランプスペース
103 ラッチノッチ
105、107 自由端部
109、111 ディスク部
113 グリップ領域
115、116 インジケータ装置
117 延在部
119 指グリップ部
121 グリップ凸部
123 ハンドグリップ部
125 周縁部分
127、129 サブ部分
131、133 グリップ面
135 縁部
137 装着部
139 作動部
141 脚部
143 組立構造体
145 補強セグメント
147、149 フランジ部
151、153 材料凹部
155 研磨部
157、159 フランジ部縁部
161、163 フランク
165、167 把持部
169 傾斜面
171、173 傾斜側壁
175、177 旋回ポイント
179 貫通孔
H 高さ方向
B 幅方向
T 奥行き方向
S 旋回軸
M 装着方向