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特許7404405吸着位置調整装置および吸着位置調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】吸着位置調整装置および吸着位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231218BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/08 Q
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021575572
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2020004912
(87)【国際公開番号】W WO2021157077
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 賢志
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-098289(JP,A)
【文献】特開2004-146661(JP,A)
【文献】特開2005-183412(JP,A)
【文献】特開2010-073929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔をおいて配置され部品を供給位置に供給する複数のフィーダを有する部品供給部と、部品を吸着する複数の吸着部材を有するヘッドと、複数の前記フィーダから供給される複数の部品の間隔と略同一の間隔をおいて複数の前記吸着部材を昇降可能な昇降装置と、前記吸着部材の昇降方向に直交する面に沿って前記ヘッドを移動させる移動装置と、複数の前記フィーダから供給された複数の部品の上に複数の前記吸着部材が位置するように定めた目標位置に前記ヘッドが移動するよう前記移動装置を制御すると共に該複数の吸着部材が略同時に下降するよう前記昇降装置を制御する同時吸着制御を実行可能な実装制御装置と、を備える部品実装機に用いられ、前記ヘッドの目標位置を調整するための吸着位置調整装置であって、
前記フィーダの前記供給位置を上方から撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された撮像画像を表示する表示装置と、
前記目標位置の調整を行なう場合、調整対象の複数の前記フィーダにおける前記供給位置の上面が撮像されるよう前記撮像装置を制御し、該撮像された複数の上面画像と該複数の上面画像に重ね合わされる複数のポインタとを前記表示装置に表示する制御装置と、
を備え
前記ヘッドは、所定の間隔をおいて配置されて昇降可能な一対の吸着部材を複数組有し、
前記制御装置は、各組毎に前記一対の吸着部材の間隔のずれ量を加味した前記一対の吸着部材の間隔に基づいて該一対の吸着部材で前記同時吸着制御を実行可能であるか否かを判定する、
吸着位置調整装置。
【請求項2】
所定の間隔をおいて配置され部品を供給位置に供給する複数のフィーダを有する部品供給部と、部品を吸着する複数の吸着部材を有するヘッドと、複数の前記フィーダから供給される複数の部品の間隔と略同一の間隔をおいて複数の前記吸着部材を昇降可能な昇降装置と、前記吸着部材の昇降方向に直交する面に沿って前記ヘッドを移動させる移動装置と、複数の前記フィーダから供給された複数の部品の上に複数の前記吸着部材が位置するように定めた目標位置に前記ヘッドが移動するよう前記移動装置を制御すると共に該複数の吸着部材が略同時に下降するよう前記昇降装置を制御する同時吸着制御を実行可能な実装制御装置と、を備える部品実装機に用いられ、前記ヘッドの目標位置を調整するための吸着位置調整装置であって、
前記フィーダの前記供給位置を上方から撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された撮像画像を表示する表示装置と、
前記目標位置の調整を行なう場合、調整対象の複数の前記フィーダにおける前記供給位置の上面が撮像されるよう前記撮像装置を制御し、該撮像された複数の上面画像と該複数の上面画像に重ね合わされる複数のポインタとを前記表示装置に表示する制御装置と、
を備え、
前記ヘッドは、所定の間隔をおいて配置されて昇降可能な一対の吸着部材を有し、
前記制御装置は、前記一対の吸着部材の間隔のずれ量を加味した前記一対の吸着部材の間隔に基づいて該一対の吸着部材で前記同時吸着制御を実行可能であるか否かを判定する、
吸着位置調整装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸着位置調整装置であって、
前記制御装置は、所定の操作により前記表示装置に表示されている前記複数のポインタの位置を同一方向に同一量移動させ、前記ポインタの位置に基づいて前記目標位置を設定する、
吸着位置調整装置。
【請求項4】
請求項に記載の吸着位置調整装置であって、
前記制御装置は、前記撮像装置により撮像された前記供給位置の上面画像から認識される部品の上面に重ね合わせられるように、該部品の上面を前記吸着部材で吸着可能な範囲である吸着可能範囲を表示する、
吸着位置調整装置。
【請求項5】
請求項に記載の吸着位置調整装置であって、
前記制御装置は、前記複数のポインタのうちいずれかのポインタの位置が対応する前記吸着可能範囲を外れる場合には、エラーを表示する、
吸着位置調整装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載の吸着位置調整装置であって、
前記実装制御装置は、前記フィーダから供給された部品の上に前記吸着部材が位置するように定めた目標位置に前記ヘッドが移動するよう前記移動装置を制御すると共に該吸着部材が下降するよう前記昇降装置を制御する個別吸着制御を実行可能であり、
前記目標位置として、前記同時吸着制御に用いられる目標位置と、前記個別吸着制御に用いられる目標位置とをそれぞれ調整する、
吸着位置調整装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか1項に記載の吸着位置調整装置であって、
前記撮像装置は、前記部品実装機の前記移動装置により前記ヘッドと共に移動可能に設けられている、
吸着位置調整装置。
【請求項8】
所定の間隔をおいて配置され部品を供給位置に供給する複数のフィーダを有する部品供給部と、部品を吸着する複数の吸着部材を有するヘッドと、複数の前記フィーダから供給される複数の部品の間隔と略同一の間隔をおいて複数の前記吸着部材を昇降可能な昇降装置と、前記吸着部材の昇降方向に直交する面に沿って前記ヘッドを移動させる移動装置と、複数の前記フィーダから供給された複数の部品の上に複数の前記吸着部材が位置するように定めた目標位置に前記ヘッドが移動するよう前記移動装置を制御すると共に該複数の吸着部材が略同時に下降するよう前記昇降装置を制御する同時吸着制御を実行可能な実装制御装置と、を備え、前記ヘッドは、所定の間隔をおいて配置されて昇降可能な一対の吸着部材を有する部品実装機に用いられ、前記ヘッドの目標位置を調整するための吸着位置調整方法であって、
前記目標位置の調整を行なう場合、調整対象の複数の前記フィーダにおける前記供給位置の上面を撮像し、得られた複数の上面画像と該複数の上面画像に重ね合わされる複数のポインタとを表示
前記一対の吸着部材の間隔のずれ量を加味した前記一対の吸着部材の間隔に基づいて該一対の吸着部材で前記同時吸着制御を実行可能であるか否かを判定する、
吸着位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品実装機に適用される吸着位置調整装置について開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、X軸方向に並ぶ一対のヘッド(吸着部材)を一組として当該一対のヘッドをY軸方向に二組並設されたヘッドユニットを備え、一対のヘッドにより部品の吸着を同時に行なう部品実装機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。各ヘッド(吸着部材)は、Y軸方向に変位可能とされ、X軸方向に並ぶヘッド同士は、配列ピッチが変位可能とされている。そして、部品実装機は、吸着位置認識ユニットにより撮像されたテープフィーダの部品取り出し位置の画像に基づいてX軸方向に並ぶ一対のヘッドの配列ピッチおよびY軸方向の配置を補正した上で、両ヘッドにより部品の吸着を同時に行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-324395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、一対の吸着部材の配列ピッチが変位可能であることを前提としている。特許文献1には、配列ピッチが変位不能な複数の吸着部材を有するヘッドを備えた部品実装機において、複数の吸着部材で部品の吸着を同時に行なうためにヘッドの目標位置を調整することについては何ら言及されていない。
【0005】
本開示は、同時吸着制御に用いられるヘッドの目標位置の調整を適正に実行することが可能な吸着位置調整装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の吸着位置調整装置は、
所定の間隔をおいて配置され部品を供給位置に供給する複数のフィーダを有する部品供給部と、部品を吸着する複数の吸着部材を有するヘッドと、複数の前記フィーダから供給される複数の部品の間隔と略同一の間隔をおいて複数の前記吸着部材を昇降可能な昇降装置と、前記吸着部材の昇降方向に直交する面に沿って前記ヘッドを移動させる移動装置と、複数の前記フィーダから供給された複数の部品の上に複数の前記吸着部材が位置するように定めた目標位置に前記ヘッドが移動するよう前記移動装置を制御すると共に該複数の吸着部材が略同時に下降するよう前記昇降装置を制御する同時吸着制御を実行可能な実装制御装置と、を備える部品実装機に用いられ、前記ヘッドの目標位置を調整するための吸着位置調整装置であって、
前記フィーダの前記供給位置を上方から撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された撮像画像を表示する表示装置と、
前記目標位置の調整を行なう場合、調整対象の複数の前記フィーダにおける前記供給位置の上面が撮像されるよう前記撮像装置を制御し、該撮像された複数の上面画像と該複数の上面画像に重ね合わされる複数のポインタとを前記表示装置に表示する制御装置と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本開示の吸着位置調整装置によれば、同時吸着制御に用いられるヘッドの目標位置の調整を適正に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】部品実装機を含む部品実装システムの概略構成図である。
図2】フィーダの部品供給位置付近の部分拡大図である。
図3】実装ヘッドの概略構成図である。
図4】ノズルホルダの配列を説明する説明図である。
図5】部品実装機の制御装置と管理装置との電気的な接続関係を示す説明図である。
図6】同時吸着動作の様子を示す説明図である。
図7】吸着位置調整処理の一例を示すフローチャートである。
図8】個別吸着用吸着位置調整処理の一例を示すフローチャートである。
図9】個別吸着用の調整画面の一例を示す説明図である。
図10】同時吸着用吸着位置調整処理の一例を示すフローチャートである。
図11】同時吸着用の調整画面の一例を示す説明図である。
図12】同時吸着可否判定処理の一例を示すフローチャートである。
図13】同時吸着可能な最小許容ノズル間距離Lminと最大許容ノズル間距離Lmaxとを説明する説明図である。
図14】同時吸着可否判定の判定結果の一例を示す説明図である。
図15】変形例の実装ヘッドの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、部品実装機を含む部品実装システムの概略構成図である。図2は、フィーダの部品供給位置付近の部分拡大図である。図3は、実装ヘッドの概略構成図である。図4は、ノズルホルダの配列を説明する説明図である。図5は、部品実装機の制御装置と管理装置との電気的な接続関係を示す説明図である。なお、図1の左右方向がX軸方向であり、前(手前)後(奥)方向がX軸方向と概ね直交するY軸方向であり、上下方向がX軸方向およびY軸方向(水平面)に概ね直交するZ軸方向である。
【0012】
部品実装システム1は、図1に示すように、部品実装機10と、システム全体をコントロールする管理装置100と、を備える。部品実装システム1は、実施形態では、基板Sの搬送方向に並ぶ複数台の部品実装機10を備える。
【0013】
部品実装機10は、図1に示すように、筐体12と、部品供給部20と、基板搬送装置24と、ヘッド移動装置30と、実装ヘッド40と、制御装置80(図5参照)と、を備える。また、部品実装機10は、これらの他に、パーツカメラ26やマークカメラ28なども備えている。なお、パーツカメラ26は、部品供給部20と基板搬送装置24との間に設けられ、実装ヘッド40の吸着ノズル44に吸着された部品Pを下方から撮像するためのものである。また、マークカメラ28は、実装ヘッド40に設けられ、基板Sに付された基準マークを上方から撮像して読み取るためのものである。
【0014】
部品供給部20は、図1に示すように、部品実装機10の前部に設けられ、X軸方向(左右方向)に沿って配列される複数のフィーダ21を有する。フィーダ21は、テープ23が巻回されたテープリール22を有し、図示しないテープ送り機構によりテープリール22からテープ23を引き出して部品供給位置へ送り出す。テープ23には、その長手方向に沿って所定間隔置きにキャビティ23aとスプロケット孔23bとが形成されている。キャビティ23aには、部品Pが収容されている。スプロケット孔23bには、テープ送り機構のスプロケットが係合される。フィーダ21は、モータによりスプロケットを所定回転量ずつ駆動して、スプロケットに係合されたテープ21を所定量ずつ送り出すことで、テープ21に収容された部品Pを順次、部品供給位置へと供給する。なお、テープ23に収容された部品Pは、テープ23の表面を覆うフィルムによって保護されており、部品供給位置の手前でフィルムが剥がされることで部品供給位置にて露出した状態となり、吸着ノズル44により吸着可能とされる。
【0015】
基板搬送装置24は、図1の前後に間隔を開けて設けられX軸方向(左右方向)に架け渡された1対のコンベアベルトを有している。基板Sは、基板搬送装置24のコンベアベルトにより図中左から右へと搬送される。
【0016】
ヘッド移動装置30は、実装ヘッド40をXY軸方向(前後左右の方向)に移動させるものであり、図1に示すように、X軸スライダ32と、Y軸スライダ34と、を備える。X軸スライダ32は、Y軸スライダ34の前面にX軸方向(左右方向)に延在するように設けられた上下一対のX軸ガイドレール31に支持され、X軸モータ36(図5参照)の駆動によってX軸方向に移動可能である。Y軸スライダ34は、筐体12の上段部にY軸方向(前後方向)に延在するように設けられた左右一対のY軸ガイドレール33に支持され、Y軸モータ38(図5参照)の駆動によってY軸方向に移動可能である。なお、X軸スライダ32は、X軸位置センサ37(図5参照)によりX軸方向の位置が検知され、Y軸スライダ34は、Y軸位置センサ39(図5参照)によりY軸方向の位置が検知される。X軸スライダ32には実装ヘッド40が取り付けられている。このため、実装ヘッド40は、ヘッド移動装置30(X軸モータ36およびY軸モータ38)を駆動制御することにより、XY平面(水平面)に沿って移動可能である。
【0017】
実装ヘッド40は、図3に示すように、ヘッド本体41と、複数(実施形態では、8個)のノズルホルダ42と、複数(実施形態では、8個)の吸着ノズル44と、R軸駆動装置50と、Q軸駆動装置60と、2つのZ軸駆動装置70と、を備える。
【0018】
ヘッド本体41は、R軸駆動装置50によって回転可能な回転体である。ノズルホルダ42は、ヘッド本体41の回転軸を中心とした同一円周上において所定角度間隔(実施形態では、45度間隔)をおいて配列され、且つ、ヘッド本体41に昇降自在に支持されている。ノズルホルダ42の先端部には、吸着ノズル44が装着される。吸着ノズル44は、先端に吸着口を有し、図示しない負圧源から圧力調整弁46(図5参照)を介して吸着口に供給される負圧により部品Pを吸着する。なお、吸着ノズル44は、ノズルホルダ42に対して着脱可能であり、吸着する部品Pの種類に応じてその吸着に適したものに交換される。
【0019】
R軸駆動装置50は、複数のノズルホルダ42(複数の吸着ノズル44)をヘッド本体41の中心軸回りに円周方向に旋回(公転)させるものである。R軸駆動装置50は、図3に示すように、R軸モータ51と、ヘッド本体41の中心軸から軸方向に延出されたR軸52と、R軸モータ51の回転をR軸52に伝達する伝達ギヤ53と、を備える。R軸駆動装置50は、R軸モータ51により伝達ギヤ53を介してR軸52を回転駆動することにより、ヘッド本体41を回転させる。各ノズルホルダ42は、ヘッド本体41の回転によって、吸着ノズル44と一体となって円周方向に旋回(公転)する。また、R軸駆動装置50は、この他に、R軸52の回転位置、即ち各ノズルホルダ42(吸着ノズル44)の旋回位置を検知するためのR軸位置センサ55(図5参照)も備える。
【0020】
Q軸駆動装置60は、各ノズルホルダ42(各吸着ノズル44)をその中心軸回りに回転(自転)させるものである。Q軸駆動装置60は、図3に示すように、Q軸モータ61と、円筒ギヤ62と、伝達ギヤ53と、Q軸ギヤ64と、を備える。円筒ギヤ62は、その内部にR軸52が同軸かつ相対回転可能に挿通され、外周面に平歯の外歯62aが形成されている。伝達ギヤ53は、Q軸モータ61の回転を円筒ギヤ62に伝達するものである。Q軸ギヤ64は、各ノズルホルダ42の上部に設けられ、円筒ギヤ62の外歯62aとZ軸方向(上下方向)にスライド可能に噛み合うものである。Q軸駆動装置60は、Q軸モータ61により伝達ギヤ53を介して円筒ギヤ62を回転駆動することにより、円筒ギヤ62の外歯62aと噛み合う各Q軸ギヤ64を纏めて同方向に回転させることができる。各ノズルホルダ42は、Q軸ギヤ64の回転によって、吸着ノズル44と一体となってその中心軸回りに回転(自転)する。また、Q軸駆動装置60は、この他に、Q軸ギヤ64の回転位置、即ち各ノズルホルダ42(吸着ノズル44)の回転位置を検知するためのQ軸位置センサ65(図5参照)も備える。
【0021】
各Z軸駆動装置70は、ノズルホルダ42の旋回(公転)軌道上の2箇所においてノズルホルダ42を個別に昇降可能に構成されている。ノズルホルダ42に装着される吸着ノズル44は、ノズルホルダ42と共に昇降する。本実施形態では、各Z軸駆動装置70は、ヘッド本体41の中心軸を通り且つフィーダ21の配列方向(X軸方向)に平行なライン上に位置する2つのノズルホルダ42(吸着ノズル44)を昇降可能に配置されている。本実施形態では、各Z軸駆動装置70は、図4に示すように、周方向に並ぶ8個のノズルホルダ42に装着される8個の吸着ノズル44A~44Hのうち、吸着ノズル44A,44Eの組と、吸着ノズル44B,44Fの組と、吸着ノズル44C,44Gの組と、吸着ノズル44D,44Hの組とを昇降可能である。これらを構成する8個の吸着ノズル44A~44Hがヘッド本体41の回転軸を中心とした同一円周上に配列されていることから、各ノズル組は概ね同一のノズル間距離L1~L4を有している。
【0022】
各Z軸駆動装置70は、何れも、図3に示すように、Z軸スライダ72と、Z軸スライダ72を昇降させるZ軸モータ71と、を備える。また、各Z軸駆動装置70は、この他に、対応するZ軸スライダ72の昇降位置、即ち対応するノズルホルダ42(吸着ノズル44)の昇降位置を検知するためのZ軸位置センサ73(図5参照)も備える。各Z軸駆動装置70は、それぞれZ軸モータ71を駆動して対応するZ軸スライダ72を昇降させることにより、Z軸スライダ72の下方にあるノズルホルダ42と当接して、当該ノズルホルダ42を吸着ノズル44と一体的に昇降させる。なお、2つのZ軸駆動装置70は、Z軸モータ71としてリニアモータを用いてZ軸スライダ72を昇降させるものとしてもよいし、回転モータと送りねじ機構とを用いてZ軸スライダ72を昇降させるものとしてもよい。また、各Z軸駆動装置70は、Z軸モータ71に代えてエアシリンダなどのアクチュエータを用いてZ軸スライダ72を昇降させるものとしてもよい。このように、実施形態の実装ヘッド40は、それぞれノズルホルダ42(吸着ノズル44)を個別に昇降可能な2つのZ軸駆動装置70を備え、各Z軸駆動装置70を用いて吸着ノズル44による部品Pの吸着動作を個別に行なうことができる。また、実施形態の実装ヘッド40は、図6に示すように、2つのZ軸駆動装置70によって昇降可能な2つの吸着ノズル44と略同じ間隔でX軸方向(左右方向)に並ぶように2つの部品Pを対応するフィーダ21から供給することで、当該2つの吸着ノズル44を同時に下降させて2つの部品Pを同時に吸着させることができる。以下、部品Pを1つずつ吸着ノズル44に吸着させる吸着動作を個別吸着動作と呼び、2つの部品Pを2つの吸着ノズル44に同時に吸着させる吸着動作を同時吸着動作と呼ぶ。
【0023】
制御装置80は、図5に示すように、CPU81を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU81の他に、ROM82やHDD83、RAM84、入出力インタフェース85などを備える。これらはバス86を介して接続されている。制御装置80には、X軸位置センサ37やY軸位置センサ39、R軸位置センサ55、Q軸位置センサ65、Z軸位置センサ73などからの各種検知信号が入力されている。また、制御装置80には、パーツカメラ26やマークカメラ28からの画像信号なども入出力インタフェース95を介して入力されている。一方、制御装置80からは、フィーダ21や基板搬送装置24、X軸モータ36、Y軸モータ38、R軸モータ51、Q軸モータ61、Z軸モータ71、圧力調整弁46、パーツカメラ26、マークカメラ28などへの各種制御信号が出力されている。
【0024】
管理装置100は、例えば、汎用のコンピュータであり、図5に示すように、CPU101やROM102、HDD103(記憶装置)、RAM104、入出力インタフェース105等により構成される。管理装置100には、マウスやキーボードを含む入力デバイス107からの入力信号が入出力インタフェース105を介して入力されている。管理装置100からは、ディスプレイ108への表示信号が入出力インタフェース105を介して出力されている。HDD103には、基板Sの生産プログラムやその他の生産情報を含むジョブ情報が記憶されている。ここで、生産プログラムは、部品実装機10において、どの基板Sにどの部品Pをどの順番で実装するか、また、そのように実装した基板Sを何枚作製するかを定めたプログラムをいう。また、生産情報には、基板Sに実装すべき部品Pに関する部品情報や使用するフィーダ21に関するフィーダ情報(部品供給位置)、使用する実装ヘッド40に関するヘッド情報、基板S上の部品実装位置等が含まれる。管理装置100は、部品実装機10の制御装置80と通信可能に接続され、各種情報や制御信号のやり取りを行なう。
【0025】
次に、こうして構成された実施形態の部品実装機10の動作について説明する。部品実装機10の動作には、主に、フィーダ21により供給された部品Pを吸着ノズル44に吸着させる吸着動作(個別吸着動作または同時吸着動作)と、吸着ノズル44に吸着させた部品Pを基板Sに実装する実装動作とがある。
【0026】
吸着動作は、基板搬送装置24により基板Sが搬入されて位置決めされた後に実行される。制御装置80のCPU81は、吸着動作を実行する場合、まず、吸着対象の部品P(吸着対象部品)を供給するフィーダ21の部品供給位置の上方に吸着対象の吸着ノズル44(吸着対象ノズル)が位置するように定めた実装ヘッド40の目標位置に実装ヘッド40が移動するようヘッド移動装置30を制御する。そして、CPU81は、吸着対象ノズルが下降するよう対応するZ軸移動装置70を制御すると共に吸着対象ノズルの吸着口に負圧が供給されるよう圧力調整弁46を制御する。これにより、吸着対象ノズルに吸着対象部品が吸着される。なお、CPU81は、個別吸着動作を行なう場合、実装ヘッド40を目標位置に移動させると共に1つのZ軸駆動装置70により1つの吸着対象ノズルを下降させて、当該吸着対象ノズルに吸着対象部品を吸着させる。また、CPU81は、同時吸着動作を行なう場合、実装ヘッド40を目標位置に移動させると共に2つのZ軸駆動装置70により2つの吸着対象ノズルを同時に下降させて、2つの吸着対象ノズルにそれぞれ吸着対象部品を同時に吸着させる。また、CPU81は、実装ヘッド40の複数の吸着ノズル40に予定数の部品Pが吸着されていなければ、予定数の部品Pが吸着されるまで、ヘッド本体41を所定量回転させ、次に吸着すべき吸着ノズル44を吸着対象ノズルとして吸着動作を繰り返す。
【0027】
実装動作は、吸着動作が完了した後、実行される。CPU81は、実装動作を行なう場合、まず、実装ヘッド40がパーツカメラ26の上方へ移動するようヘッド移動装置30を制御し、パーツカメラ26により吸着ノズル44に吸着させた部品Pを下方から撮像する。続いて、CPU81は、撮像画像を処理して各吸着ノズル44に吸着されている部品Pの位置ずれ量(吸着ずれ量)を算出し、算出した位置ずれ量に基づいて基板Sの実装位置を補正する。次に、CPU81は、実装対象の吸着ノズル44(実装対象ノズル)に吸着させた部品P(実装対象部品)が補正した実装位置の上方へ位置するように実装ヘッド40の目標位置を設定し、設定した目標位置に実装ヘッド40が移動するようヘッド移動装置30を制御する。そして、CPU81は、実装対象ノズルが下降するよう対応するZ軸移動装置70を制御すると共に実装対象ノズルの吸着口への負圧の供給が解除されるよう圧力調整弁46を制御する。これにより、実装対象部品が基板Sの実装位置へ実装される。また、CPU81は、実装ヘッド40の複数の吸着ノズル44のいずれかに未実装の部品Pが残っていれば、全ての部品Pが実装されるまで、次に実装すべき吸着ノズル44を実装対象ノズルとして実装動作を繰り返す。
【0028】
次に、吸着動作で用いる実装ヘッド40の目標位置を調整するための処理について説明する。図7は、管理装置100のCPU101により実行される吸着位置調整処理の一例を示すフローチャートである。吸着位置調整処理は、部品実装機10において生産を開始する前に行なわれる。
【0029】
吸着位置調整処理では、管理装置100のCPU101は、まず、調整対象のフィーダ21(調整対象フィーダ)の選択を受け付ける(S100)。この処理は、部品供給部20に装着されているフィーダ21の中から作業者が入力デバイス107を用いて選択することにより行なわれる。次に、CPU101は、受け付けた調整対象フィーダについて個別吸着用吸着位置調整処理(S110)と同時吸着用給吸着位置調整処理(S120)とを行なう。そして、CPU101は、目標吸着位置を調整すべき他のフィーダ21があるか否かを判定し(S130)、他のフィーダ21があると判定すると、S100に戻り、他のフィーダ21がないと判定すると、これで吸着位置調整処理を終了する。
【0030】
個別吸着用吸着位置調整処理は、個別吸着動作で用いる実装ヘッド40の目標位置を調整する処理であり、図8に例示するフローチャートを実行することにより行なわれる。個別吸着用吸着位置調整処理では、CPU101は、まず、調整対象フィーダの部品供給位置の上方へマークカメラ28が移動するようヘッド移動装置30を制御すると共に(S200)、部品供給位置をマークカメラ28で上方から撮像するようマークカメラ28を制御する(S210)制御指令を部品実装機10の制御装置80に送信する。続いて、CPU101は、得られた撮像画像を制御装置80から取得して撮像画像にポインタを重ね合わせた個別吸着用の調整画面をディスプレイ108に表示する(S220)。図9は、個別吸着用の調整画面の一例を示す説明図である。図示するように、個別吸着用の調整画面200には、調整対象フィーダの部品供給位置の撮像画像201と、撮像画像201に重ね合わせられる十字状のポインタ202と、ポインタ202を移動させるための上下左右方向の操作ボタン203と、確定ボタン204と、が含まれる。ポインタ202の十字の中心が吸着ノズル44の吸着位置を示す。また、調整画面200には、撮像画像201中に認識される部品Pの上面のうち吸着ノズル44が正常に吸着することができる範囲である吸着可能範囲も表示される。CPU101は、調整画面200を表示すると、マウス等の入力デバイス107により操作ボタン203が操作されたか否かを判定する(S230)。CPU101は、操作ボタン203が操作されたと判定すると、調整画面200上でポインタ202を操作方向に操作量だけ移動させる(S240)。そして、CPU101は、マウス等の入力デバイス107により確定ボタン204が操作されたか否かを判定する(S250)。CPU101は、確定ボタン204が操作されていないと判定すると、S230に戻り、確定ボタン204が操作されたと判定すると、ポインタ202が指し示す位置(吸着ノズル44の吸着位置)が吸着可能範囲内にあるか否かを判定する(S260)。CPU101は、ポインタ202の位置が吸着可能範囲内にあると判定すると、ポインタ202の位置に基づいて個別吸着動作で用いる実装ヘッド40の目標位置を設定すると共に設定した目標位置をHDD83(記憶装置)に登録して(S270)、個別吸着用吸着位置調整処理を終了する。一方、CPU101は、ポインタ202の位置が吸着可能範囲内にないと判定すると、ディスプレイ108にエラーを表示して(S280)、S230に戻る。
【0031】
同時吸着用吸着位置調整処理は、同時吸着動作で用いる実装ヘッド40の目標位置を調整する処理であり、図10に例示するフローチャートを実行することにより行なわれる。同時吸着用吸着位置調整処理では、CPU101は、まず、S200,S210と同様に、調整対象フィーダの部品供給位置の上方へマークカメラ28が移動するようヘッド移動装置30を制御すると共に(S300)、部品供給位置をマークカメラ28で上方から撮像するようマークカメラ28を制御する(S310)制御指令を部品実装機10の制御装置80に送信する。なお、CPU101は、S300,S310の処理を省略し、S200,S210の処理で得られた撮像画像を用いてもよい。続いて、CPU101は、調整対象フィーダから供給される部品Pと同時に吸着される部品Pを供給するフィーダ21、すなわち調整対象フィーダと対になるフィーダ21)の部品供給位置の上方へマークカメラ28が移動するようヘッド移動装置30を制御すると共に(S320)、部品供給位置をマークカメラ28で上方から撮像するようマークカメラ28を制御する(S330)制御指令を部品実装機10の制御装置80に送信する。そして、CPU101は、得られた2つの撮像画像を制御装置80から取得して2つの撮像画像にそれぞれポインタを重ね合わせた同時吸着用の調整画面をディスプレイ108に表示する(S340)。図11は、同時吸着用の調整画面の一例を示す説明図である。図示するように、同時吸着用の調整画面200には、調整対象フィーダと対になるフィーダ21のそれぞれの部品供給位置の撮像画像201a,201bと、撮像画像201a,201bにそれぞれ重ね合わせられる十字状のポインタ202a,202bと、ポインタ202a,202bを移動させるための上下左右方向の操作ボタン203と、確定ボタン204と、が含まれる。各ポインタ202a,202bの十字の中心がそれぞれの吸着ノズル44の吸着位置を示す。また、調整画面200には、撮像画像201a,201b中にそれぞれ認識される部品Pの上面のうち各吸着ノズル44が正常に吸着することができる範囲である吸着可能範囲も表示される。CPU101は、調整画面200を表示すると、マウス等の入力デバイス107により操作ボタン203が操作されたか否かを判定する(S350)。CPU101は、操作ボタン203が操作されたと判定すると、その操作方向および操作量に応じて調整画面200上でポインタ202a,202bをそれぞれ同一の操作方向に同一の操作量だけ移動させる(S360)。本実施形態では、実装ヘッド40は、同時吸着される2つの部品Pの部品間距離と概ね一致するノズル間距離を有する2つの吸着ノズル44(ノズル組)を同一円周上に複数組備える。複数の吸着ノズル44は、互いにXY方向に相対移動ができず、実装ヘッド40の移動に伴って同一方向に同一量だけ移動する。このため、同時吸着される2つの部品Pに対する2つの吸着ノズル44の位置合わせは、実装ヘッド40の移動によって行なわれる。こうしたことから、同時吸着用の目標位置の調整は、供給位置周辺画像201a,201bに重ね合わせられるポインタ202a,202bをそれぞれ同一の操作方向に同一の操作量だけ移動させることにより行なうのである。
【0032】
そして、CPU101は、マウス等の入力デバイス107により確定ボタン204が操作されたか否かを判定する(S370)。CPU101は、確定ボタン204が操作されていないと判定すると、S350に戻り、確定ボタン204が操作されたと判定すると、各ポインタ202が指し示す位置(各吸着ノズル44の吸着位置)がいずれも対応する吸着可能範囲内にあるか否かを判定する(S380)。CPU101は、各ポインタ202の位置がいずれも吸着可能範囲内にあると判定すると、各ポインタ202の位置に基づいて同時吸着動作で用いる実装ヘッド40の目標位置を設定すると共に設定した目標位置をHDD83(記憶装置)に登録して(S390)、同時吸着用吸着位置調整処理を終了する。一方、CPU101は、各ポインタ202の位置のいずれかが吸着可能範囲内にないと判定すると、ディスプレイ108にエラーを表示して(S400)、S350に戻る。
【0033】
次に、2つの吸着ノズル44の同時吸着動作の可否を判定するための処理について説明する。本実施形態では、上述したように、実装ヘッド40は、同時吸着される2つの部品Pの部品間距離と概ね一致するノズル間距離を有する2つの吸着ノズル44(ノズル組)を同一円周上に複数組備える。しかし、吸着ノズル44やノズルホルダ42がヘッド本体41の回転軸に対して傾いていたり曲がっていたりしていると、ノズル間距離が部品間距離に対して乖離し、同時吸着動作の実行が不可能となるおそれがある。そこで、本実施形態では、管理装置100のCPU101は、ノズル組ごとにノズル間距離を予め測定してHDD83(記憶装置)に記憶しておき、そのノズル間距離に基づいて同時吸着動作の実行可否について判定するものとした。本実施形態では、HDD83には、吸着ノズル44A、44Eの組のノズル間距離L1と、吸着ノズル44B、44Fの組のノズル間距離L2と、吸着ノズル44C、44Gの組のノズル間距離L3と、吸着ノズル44D、44Hの組のノズル間距離L4と、が記憶されている。
【0034】
図12は、同時吸着可否判定処理の一例を示すフローチャートである。管理装置100のCPU101は、まず、変数iを値1に初期化し(S500)、判定対象ノズル組iのノズル間距離Liを取得する(S510)。S510の処理は、ノズル組iごとに予め測定されてHDD83(記憶装置)に記憶されたものを読み出すことにより行なわれる。続いて、CPU101は、取得したノズル間距離Liが許容される最小許容ノズル間距離Lminに吸着ノズル44のノズル径(直径)dを加えたもの(Lmin+d)よりも大きく且つ許容される最大許容ノズル間距離Lmaxからノズル径dを減じたもの(Lmax-d)よりも小さいか否かを判定する(S520)。この処理は、同時吸着用吸着位置調整処理において実装ヘッド40の目標位置をどのように調整しても2つの吸着ノズル44の吸着位置を2つの部品Pの吸着可能範囲内に同時に収めることができない状態であるかを判定するものである。図13は、同時吸着可能な最小許容ノズル間距離Lminと最大許容ノズル間距離Lmaxとを説明する説明図である。図示するように、最小許容ノズル間距離Lminは、同時吸着される2つの部品Pの吸着可能範囲内のそれぞれの2点間距離のうち最小の距離を示す。また、最大許容ノズル間距離Lmaxは、同時吸着される2つの部品Pの吸着可能範囲内のそれぞれの2点間距離のうち最大の距離を示す。
【0035】
CPU101は、S520において肯定的な判定(「YES」)をした場合には、判定対象ノズル組iは同時吸着が可能と判定し(S530)、S520において否定的な判定(「NO」)をした場合には、判定対象ノズル組iは同時吸着が不可能と判定する(S540)。そして、CPU101は、未判定のノズル組があるか否かを判定する(S550)。CPU101は、未判定のノズル組があると判定すると、変数iをインクリメントして(S560)、S510に戻り、次の判定対象ノズル組iについて同時吸着の可否を判定する。一方、CPU101は、未判定のノズル組がないと判定すると、判定結果をディスプレイ108に表示して(S570)、同時吸着可否判定処理を終了する。図14は、同時吸着可否判定の判定結果の一例を示す説明図である。図示するように、判定結果には、ノズル組ごとの同時吸着の可否の表示と、同時吸着が不可である場合にその理由を示す備考欄とが含まれる。
【0036】
ここで、実施形態の構成要素と請求の範囲に記載の本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。実施形態の部品供給部20が本開示の部品供給部に相当し、フィーダ21がフィーダに相当し、吸着ノズル44が吸着部材に相当し、実装ヘッド40が実装ヘッドに相当し、ヘッド移動装置30が移動装置に相当し、制御装置80が実装制御装置に相当し、部品実装機10が部品実装機に相当し、管理装置100が吸着位置調整装置に相当し、マークカメラ28が撮像装置に相当し、ディスプレイ108が表示装置に相当し、管理装置100のCPU101が制御装置に相当する。Z軸移動装置70が昇降装置に相当する。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、部品実装機10は、ヘッド本体41に対して複数のノズルホルダ42が周方向に配列されたロータリ型の実装ヘッド40を備えるものとした。しかし、部品実装機10は、図15に示すように、フィーダ21の配列方向(X方向)に沿ってフィーダ21から供給される複数の部品Pと同ピッチで配列され且つそれぞれ独立して昇降可能な複数の吸着ノズル344を有する並列型の実装ヘッド340を備えるものとしてもよい。また、実装ヘッド340は、こうした複数の吸着ノズル344を複数組備えるものとしてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、実装ヘッド40は、所定位置にある2つのノズルホルダ42(吸着ノズル44)をそれぞれ個別に昇降させる2つのZ軸駆動装置70を備えるものとした。しかし、実装ヘッド40は、Z軸駆動装置を3つ以上備えてもよく、3つ以上のZ軸駆動装置により3つ以上の吸着ノズルを同時的に下降させ、各吸着ノズルに3つ以上の部品Pを同時的に吸着するものとしてもよい。
【0040】
以上説明したように本開示の吸着位置調整装置は、所定の間隔をおいて配置され部品を供給位置に供給する複数のフィーダを有する部品供給部と、部品を吸着する複数の吸着部材を有するヘッドと、複数の前記フィーダから供給される複数の部品の間隔と略同一の間隔をおいて複数の前記吸着部材を昇降可能な昇降装置と、前記吸着部材の昇降方向に直交する面に沿って前記ヘッドを移動させる移動装置と、複数の前記フィーダから供給された複数の部品の上に複数の前記吸着部材が位置するように定めた目標位置に前記ヘッドが移動するよう前記移動装置を制御すると共に該複数の吸着部材が略同時に下降するよう前記昇降装置を制御する同時吸着制御を実行可能な実装制御装置と、を備える部品実装機に用いられ、前記ヘッドの目標位置を調整するための吸着位置調整装置であって、前記フィーダの前記供給位置を上方から撮像する撮像装置と、前記撮像装置により撮像された撮像画像を表示する表示装置と、前記目標位置の調整を行なう場合、調整対象の複数の前記フィーダにおける前記供給位置の上面が撮像されるよう前記撮像装置を制御し、該撮像された複数の上面画像と該複数の上面画像に重ね合わされる複数のポインタとを前記表示装置に表示する制御装置と、を備えることを要旨とする。
【0041】
この本開示の吸着位置調整装置によれば、同時吸着制御に用いられる目標吸着位置の調整を適正に実行することが可能となる。
【0042】
こうした本開示の吸着位置調整装置において、前記制御装置は、所定の操作により前記表示装置に表示されている前記複数のポインタの位置を同一方向に同一量移動させ、前記ポインタの位置に基づいて前記目標位置を設定するものとしてもよい。こうすれば、表示装置の画面上において、同時吸着制御に用いる目標位置を容易に調整することができる。
【0043】
この場合、前記撮像装置は、前記制御装置は、前記撮像装置により撮像された前記供給位置の上面画像から認識される部品の上面に重ね合わせられるように、該部品の上面を前記吸着部材で吸着可能な範囲である吸着可能範囲を表示するものとしてもよい。こうすれば、作業者は、吸着可能範囲を確認しつつポインタを移動させることができるため、目標位置の調整をより容易に行なうことが可能となる。
【0044】
さらにこの場合、前記制御装置は、前記複数のポインタのうちいずれかのポインタの位置が対応する前記吸着可能範囲を外れる場合には、エラーを表示するものとしてもよい。こうすれば、同時吸着制御の可否を作業者に適切に報知することができる。
【0045】
また、本開示の吸着位置調整装置において、前記ヘッドは、所定の間隔をおいて配置されて昇降可能な一対の吸着部材を複数組有し、前記制御装置は、各組毎に前記一対の吸着部材の間隔のずれ量を加味した前記一対の吸着部材の間隔に基づいて該一対の吸着部材で前記同時吸着制御を実行可能であるか否かを判定するものとしてもよい。こうすれば、ヘッドや吸着部材の公差や組付け誤差にも適切に対応することができる。
【0046】
さらに、本開示の吸着位置調整装置において、前記実装制御装置は、前記フィーダから供給された部品の上に前記吸着部材が位置するように定めた目標位置に前記ヘッドが移動するよう前記移動装置を制御すると共に該吸着部材が下降するよう前記昇降装置を制御する個別吸着制御を実行可能であり、前記目標位置として、前記同時吸着制御に用いられる目標位置と、前記個別吸着制御に用いられる目標位置とをそれぞれ調整するものとしてもよい。こうすれば、同時吸着制御と個別吸着制御とでそれぞれ異なる目標位置を用いることで、各制御をより適正に実行することが可能となる。
【0047】
また、本開示の吸着位置調整装置において、前記撮像装置は、前記部品実装機の前記移動装置により前記ヘッドと共に移動可能に設けられているものとしてもよい。こうすれば、部品実装機が備える撮像装置を吸着位置の調整に用いることができるため、専用の撮像装置を準備する必要がない。
【0048】
なお、本開示では、吸着位置調整装置の形態に限られず、吸着位置調整方法の形態とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、吸着位置調整装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 部品実装システム、10 部品実装機、12、筐体、20 部品供給部、21 フィーダ、22 テープリール、23 テープ、23a キャビティ、23b スプロケット孔、24 基板搬送装置、26 パーツカメラ、28 マークカメラ、30 ヘッド移動装置、31 X軸ガイドレール、32 X軸スライダ、33 Y軸ガイドレール、34 Y軸スライダ、36 X軸モータ、37 X軸位置センサ、38 Y軸モータ、39 Y軸位置センサ、40,340 実装ヘッド、41 ヘッド本体、42 ノズルホルダ、44,44A~44H,344 吸着ノズル、46 圧力調整弁、50 R軸駆動装置、51 R軸モータ、52 R軸、53 伝達ギヤ、55 R軸位置センサ、60 Q軸駆動装置、61 Q軸モータ、62 円筒ギヤ、62a 外歯、64 Q軸ギヤ、65 Q軸位置センサ、70 Z軸駆動装置、71 Z軸モータ、72 Z軸スライダ、73 Z軸位置センサ、80 制御装置、81 CPU、82 ROM 83 HDD、84 RAM、85 入出力インタフェース、86 バス、100 管理装置、101 CPU、102 ROM、103 HDD、104 RAM、105 入出力インタフェース、107 入力デバイス、108 ディスプレイ、200 調整画面、201,201a,201b 撮像画像、202,202a,202b ポインタ、203 操作ボタン、204 確定ボタン、P 部品、S 基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15