(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/087 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
G08G1/087
(21)【出願番号】P 2022028348
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 祐史
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-306329(JP,A)
【文献】特開2002-196788(JP,A)
【文献】特開平09-007096(JP,A)
【文献】特開平10-067278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用する車両の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力端末に音声を出力させる出力制御手段と、
前記車両への緊急車両の接近を検知したことを示す情報
と、前記緊急車両の接近を検知してから前記緊急車両が遠ざかるのを検知したことを示す情報とを取得する情報取得手段と、
前記緊急車両の接近を検知した場合に、前記音声出力端末での音声の出力を規制する規制制御手段と、
前記緊急車両が遠ざかることを検知してから所定の時間が経過した場合に、前記音声出力端末での前記音声を最初から再生しなおす再開制御手段と、
を備えることを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記車両の近傍における音を集音する集音手段をさらに備え、
前記情報取得手段は、前記集音手段による集音結果に基づいて前記緊急車両の接近を検知することを特徴とする、請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記集音手段は、前記車両に設けられた集音部を用いて集音を行うことを特徴とする、請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記集音手段は、前記音声出力端末に設けられた集音部を用いて集音を行うことを特徴とする、請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記音声が、通信中の外部端末との通話音声であることを特徴とする、請求項1乃至
4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記音声が、再生中の音楽であることを特徴とする、請求項1乃至
4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザの現在位置を取得する位置取得手段と、
前記現在位置に基づいて、前記ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する経路取得手段と、
をさらに備え、
前記音声が、前記誘導経路に基づく前記車両の経路案内であることを特徴とする、請求項1乃至
4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記緊急車両の接近を検知した場合に、前記緊急車両の接近を検知した旨を前記ユーザに通知する通知制御を行う通知制御部をさらに備えることを特徴とする、請求項1乃至
7の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記通知制御は、前記音声出力端末からの音声の出力、前記車両の表示部における表示、又は振動による通知であることを特徴とする、請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
ユーザが利用する車両の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力端末に音声を出力させる工程と、
前記車両への緊急車両の接近を検知
したことを示す情報と、前記緊急車両の接近を検知してから前記緊急車両が遠ざかるのを検知したことを示す情報とを取得する工程と、
前記緊急車両の接近を検知した場合に、前記音声出力端末での音声の出力を規制する工程と、
前記緊急車両が遠ざかることを検知してから所定の時間が経過した場合に、前記音声出力端末での前記音声を最初から再生しなおす工程と、
を備えることを特徴とする、情報処理方法。
【請求項11】
ユーザが携帯する携帯端末を、
前記ユーザが利用する車両の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力端末に音声を出力する出力制御手段と、
前記車両への緊急車両の接近を検知したことを示す情報
と、前記緊急車両の接近を検知してから前記緊急車両が遠ざかるのを検知したことを示す情報とを取得する情報取得手段と、
前記緊急車両の接近を検知した場合に、前記音声出力端末での音声の出力を規制する規制手段と、
前記緊急車両が遠ざかることを検知してから所定の時間が経過した場合に、前記音声出力端末での前記音声を最初から再生しなおす再開制御手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項12】
ユーザが利用する車両の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力端末に出力させる音声を送信する送信手段、
前記車両への緊急車両の接近を検知したことを示す情報
と、前記緊急車両の接近を検知してから前記緊急車両が遠ざかるのを検知したことを示す情報とを取得する情報取得手段
、
前記緊急車両の接近を検知した場合に、前記音声出力端末での音声の出力を規制する規制制御手段、
及び
前記緊急車両が遠ざかることを検知してから所定の時間が経過した場合に、前記音声出力端末での前記音声を最初から再生しなおす再開制御手段、
を備える携帯端末と、
前記携帯端末から前記音声を受信する受信手段、
前記音声を出力する出力手段
、
前記規制制御手段からの音声の出力の規制指示により、前記音声の出力を規制する規制手段
、及び
前記再開制御手段からの音声を最初から再生しなおす指示により、前記音声を最初から再生しなおす再生制御手段、
を備える音声出力端末と、
を備えることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Bluetooth(登録商標)に対応する携帯電話と、二輪ライダーのヘルメットに装着されるヘッドセットとで無線接続を行い、携帯電話の着信が生じた場合にヘッドセットに呼び出し信号を送信する技術がある。特許文献1では、ヘッドセットを介した呼び出しの通知を簡素なシステム構成で行うための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1では、ユーザが運転中に緊急車両が接近してきた場合に、その接近に対応して運転するために必要な周囲の音が聞き取りにくくなる場合があった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、携帯端末の機能を利用して走行中のユーザに音声を出力するシステムにおいて、環境音の聞き取りやすさを向上させ、緊急車両の接近に対応しやすいシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
ユーザが利用する車両の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力端末に音声を出力させる出力制御手段と、
前記車両への緊急車両の接近を検知したことを示す情報を取得する情報取得手段と、
前記緊急車両の接近を検知した場合に、前記音声出力端末での音声の出力を規制させる規制制御手段と、
を備えることを特徴とする、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、携帯端末の機能を利用して走行中のユーザに音声を出力するシステムにおいて、環境音の聞き取りやすさを向上させ、緊急車両の接近に対応しやすいシステムを提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両の右側の側面図。
【
図3】鞍乗型車両の制御装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る経路案内システムの概要を示す図。
【
図6】端末装置の機能構成の一例を示すブロック図。
【
図7】音声出力装置の構成の一例を示すブロック図。
【
図8】一実施形態に係る端末装置による処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
各図において、矢印X、Y、Zは互いに直交する方向を示し、X方向は鞍乗型車両の前後方向、Y方向は鞍乗型車両の車幅方向(左右方向)、Z方向は上下方向を示す。鞍乗型車両の左、右は前進方向で見た場合の左、右である。以下、鞍乗型車両の前後方向の前方または後方のことを単に前方または後方と呼ぶ場合がある。また、鞍乗型車両の車幅方向(左右方向)の内側または外側のことを単に内側または外側と呼ぶことがある。
【0011】
本実施形態に係る情報処理装置(端末装置)は、車両及び音声出力装置と無線で接続し、端末装置上で動作するアプリケーションの音声出力をユーザが身に着ける音声出力装置に無線で送信し、音声出力装置へのユーザの入力で当該アプリケーションの制御が可能であるシステムにおいて用いられる。一実施形態に係るシステムにおいては、ユーザが車両を利用する場合に、情報処理装置と音声出力装置とが無線通信により接続される。
【0012】
本実施形態に係るシステム(
図4で後述)においては、端末装置で実装される、各アプリケーションによる音声が音声出力装置に出力され、また音声出力装置へのユーザの入力により端末装置の操作を行うことが可能である。すなわち、携帯端末で実装可能な天気情報、ナビゲーション、電話、メッセージ、音楽再生、又はダッシュボードなどの機能の出力を音声出力装置において出力し、それらの操作を音声出力装置が備えるマイクやボタンを介して行うことができる。例えばこのシステムにおいて音声出力装置を用いて出力される天気情報としてユーザの現在地又は目的地の天気情報が用いられるが、端末装置で実装可能な機能は特にこれらに限定されるわけではない。このような構成は、車両の走行中に運転操作を妨げることなく端末装置の機能を利用することを可能にする。このシステムにおいて端末装置は、緊急車両の接近が検知された場合に、音声出力装置での音声の出力を規制する。
【0013】
[鞍乗型車両の概要]
まず、本実施形態に係るシステムにおける車両について説明を行う。
図1は、本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両1の右側の側面図、
図2は鞍乗型車両1の正面図である。
【0014】
鞍乗型車両1は、長距離の移動に適したツアラー系の自動二輪車であるが、本発明は他の形式の自動二輪車を含む各種の鞍乗型車両に適用可能であり、また、内燃機関を駆動源とする車両のほか、モータを駆動源とする電動車両にも適用可能である。以下、鞍乗型車両1のことを車両1と呼ぶ場合がある。
【0015】
車両1は、前輪FWと後輪RWとの間にパワーユニット2を備える。パワーユニット2は本実施形態の場合、水平対向六気筒のエンジン21と変速機22とを含む。変速機22の駆動力は不図示のドライブシャフトを介して後輪RWに伝達され、後輪RWを回転する。
【0016】
パワーユニット2は車体フレーム3に支持されている。車体フレーム3は、X方向に延設された左右一対のメインフレーム31を含む。メインフレーム31の上方には、燃料タンク5やエアクリーナボックス(不図示)が配置されている。燃料タンク5の前方には、ライダに対して各種の情報を表示する電子画像表示装置等を備えたメータパネルMPが設けられている。
【0017】
メインフレーム31の前側端部には、ハンドル8によって回動される操向軸(不図示)を回動自在に支持するヘッドパイプ32が設けられている。メインフレーム31の後端部には、左右一対のピボットプレート33が設けられている。ピボットプレート33の下端部とメインフレーム31の前端部とは左右一対のロワアーム(不図示)により接続され、パワーユニット2はメインフレーム31とロワアームとに支持される。メインフレーム31の後端部には、また、後方へ延びる左右一対のシートレール(不図示)が設けられており、シートレールはライダが着座するシート4aや同乗者が着座するシート4b及びリアトランク7b等を支持する。
【0018】
ピボットプレート33には、前後方向に延びるリアスイングアーム(不図示)の前端部が揺動自在に支持されている。リアスイングアームは、上下方向に揺動可能とされ、その後端部に後輪RWが支持されている。後輪RWの下部側方には、エンジン21の排気を消音する排気マフラ6がX方向に延設されている。後輪RWの上部側方には左右のサドルバック7aが設けられている。
【0019】
メインフレーム31の前端部には、前輪FWを支持するフロントサスペンション機構9が構成されている。フロントサスペンション機構9は、アッパリンク91、ロワリンク92、フォーク支持体93、クッションユニット94、左右一対のフロントフォーク95を含む。
【0020】
アッパリンク91及びロワリンク92は、それぞれメインフレーム31の前端部に上下に間隔を開けて配置されている。アッパリンク91及びロワリンク92の各後端部は、メインフレーム31の前端部に設けられた支持部に揺動自在に連結されている。アッパリンク91及びロワリンク92の各前端部は、フォーク支持体93に揺動自在に連結されている。アッパリンク91及びロアリンク92は、それぞれ前後方向に延びるとともに実質的に平行に配置されている。
【0021】
クッションユニット94は、コイルスプリングにショックアブソーバを挿通した構造を有し、その上端部は、メインフレーム31に揺動自在に支持されている。クッションユニット94の下端部は、ロワリンク92に揺動自在に支持されている。
【0022】
フォーク支持体93は、筒状をなすとともに後傾している。フォーク支持体93の上部前部には、アッパリンク21の前端部が回動可能に連結されている。フォーク支持体93の下部後部には、ロワリンク92の前端部が回動可能に連結されている。
【0023】
フォーク支持体93には操舵軸96がその軸回りに回転自在に支持されている。操舵軸96はフォーク支持体93を挿通する軸部(不図示)を有する。操舵軸96の下端部にはブリッジ(不図示)が設けられており、このブリッジには左右一対のフロントフォーク95が支持されている。前輪FWはフロントフォーク95に回転自在に支持されている。操舵軸96の上端部は、リンク97を介して、ハンドル8によって回動される操向軸(不図示)に連結されている。ハンドル8の操舵によって操舵軸96が回転し、前輪FWが操舵される。
【0024】
車両1は、前輪FWを制動するブレーキ装置19Fと後輪RWを制動するブレーキ装置19Fとを備える。ブレーキ装置19F、19Rはブレーキレバー8a又はブレーキペダル8bに対するライダの操作により作動可能に構成されている。ブレーキ装置19F、19Rは、例えば、ディスクブレーキである。ブレーキ装置19F、19Rを区別しない場合は、これらを総称してブレーキ装置19と呼ぶ。
【0025】
車両1の前部には、車両1の前方に光を照射するヘッドライトユニット11が配置されている。本実施形態のヘッドライトユニット11は右側の光照射部11Rと、左側の光照射部11Lとを左右対称に備える二眼タイプのヘッドライトユニットである。しかし、一眼タイプや三眼タイプのヘッドライユニット、或いは、左右非対称の二眼タイプのヘッドライトユニットも採用可能である。
【0026】
車両1の前部はフロントカウル12で覆われ、車両1の前側の側部は左右一対のサイドカウル14で覆われている。フロントカウル12の上方にはスクリーン13が配置されている。スクリーン13は走行中にライダが受ける風圧を軽減する風防であり、例えば、透明な樹脂部材で形成されている。
【0027】
フロントカウル12の側方には左右一対のサイドミラーユニット15が配置されている。サイドミラーユニット15にはライダが後方を視認するためのサイドミラー(不図示)が支持されている。
【0028】
本実施形態の場合、フロントカウル12は、カウル部材121~123により構成されている。カウル部材121はY方向に延在してフロントカウル12の本体を構成し、カウル部材122はカウル部材121の上側の部分を構成している。カウル部材123はカウル部材121から下方向に離間して配設されている。
【0029】
カウル部材121とカウル部材123との間、及び、左右一対のサイドカウル14の間に、ヘッドライトユニット11を露出させる開口が形成され、この開口の上縁はカウル部材121により画定され、下縁はカウル部材123により画定され、左右の側縁はサイドカウル14で画定される。
【0030】
フロントカウル12の背後には車両1の前方の状況を検知する検知デバイスとしてとして撮像ユニット16A及びレーダ16Bが配置されている。レーダ16Bは例えばミリ波レーダである。撮像ユニット16AはCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子と、レンズ等の光学系とを含み、車両1の前方の画像を撮像する。撮像ユニット16Aはフロントカウル12の上部を構成するカウル部材122の背後に配置されている。カウル部材122には、これを貫通する開口122aが形成されており、撮像ユニット16Aは開口122aを通して車両1の前方の画像を撮像する。
【0031】
レーダ16Bはカウル部材121の背後に配置されている。カウル部材121の存在により、車両1の正面視で検知ユニット16の存在を目立たなくすることができ、車両1の外観が悪化することを回避することができる。カウル部材121は樹脂等、電磁波の透過が可能な材料で構成される。
【0032】
撮像ユニット16A及びレーダ16Bは、車両正面視でフロントカウル12のY方向の中央部に配置されている。撮像ユニット16A及びレーダ16Bを車両1のY方向の中央部に配置することで、車両1の前方の左右に、より広い撮像範囲、検知範囲を得ることができ、車両1の前方の状況をより見落としなく検知できる。また、一つの撮像ユニット16A及び一つのレーダ16Bにより車両1の前方を、左右均等に監視することができることから、撮像ユニット16A及びレーダ16Bをそれぞれ複数設けずに、一つずつ設けた構成において、特に有利である。
【0033】
[鞍乗型車両の制御装置]
図3は車両1の制御装置10のブロック図であり、後述する説明との関係で必要な構成のみが図示されている。車両1は制御ユニット(ECU)10aを備える。制御ユニット10aは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとの入出力インタフェース或いは通信インタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。制御ユニット10aは、車両1の各機能に対応したプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数組備えていてもよい。
【0034】
制御ユニット10aは、撮像ユニット16A及びレーダ16Bの検知結果を取得して、車両1の周辺の物標、道路状態を常時認識する。また、制御ユニット10aは、GPSセンサ17、通信装置18、地図情報データベースDBから情報を取得する。GPSセンサ17は、車両1の現在位置を検知する。通信装置18は、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。また本実施形態においては、通信装置18が車両1を利用するユーザが携帯する端末装置と無線で通信が可能である。地図情報データベースDBには、高精度の地図情報を格納することができ、制御ユニット10aはこの地図情報等に基づいて、走行中の道路の形態や車線上の車両1の位置をより高精度に特定可能である。
【0035】
制御ユニット10aは、パワーユニット2やブレーキ19の各アクチュエータを制御可能である。本実施形態の場合、後述する速度制限処理を行う場合に制御ユニット10aはこれらを制御する。制御ユニット10aは、また、メータパネルMPの表示制御が可能である。本実施形態では、メータパネルMPに、ライダに対する各種の警報表示を行う。本実施形態では、警報の発動をメータパネルMPに対する画像の表示とするが、ランプの点灯或いは点滅、又は、音声による警報の発動であってもよい。音声による警報の発動は、ライダのヘルメットに設けられたスピーカから、無線通信により音声を出力するように制御するものであってもよい。
【0036】
[システム]
図4は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。システム400においては、端末装置410が、音声出力装置420及び車両430とそれぞれ通信可能に接続されている。端末装置410は、ユーザが利用する各種アプリケーションを実行可能な情報処理装置であり、例えばスマートフォンである。端末装置410は、音声出力装置420に音声データを送信し、音声を出力させる。音声出力装置420に出力させる音声の内容は一般的な端末装置から出力可能な音声であれば特に限定はされないが、例えば経路案内アプリケーションなどを含むアプリケーションによる情報の通知を行う音声であってもよく、音楽であってもよく、通話音声であってもよい。本実施形態に係る端末装置410は、基本的には何らかのアプリケーションによる案内音声を音声出力装置420に出力させるものとして、以下の説明を行う。
【0037】
音声出力装置420は、端末装置410から受信した音声を出力する、ユーザが身に着ける装置である。音声出力装置420は、例えばヘルメットと一体化したヘッドセットであってもよく、無線のイヤホンであってもよく、端末装置410と無線で接続され音声が出力可能であれば特にその形態に限定はない。本実施形態に係る音声出力装置420は、Bluetooth(登録商標)による通信を可能とする通信ユニットを備え、端末装置410と接続する。
【0038】
端末装置410は、車両430と接続して、音声出力装置120との接続の開始処理を行う。車両430は、
図1~
図3に示されるような車両であり、制御ユニット10aが、端末装置410で実装されるアプリケーションの開始信号を端末装置410に送信する。本実施形態においては、車両430は鞍乗型車両である。また車両430の通信装置18は、Bluetooth(登録商標)による通信を可能とする通信ユニットであり、端末装置410と無線で接続する。
【0039】
図5は、端末装置410のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。端末装置410は、処理部510、記憶部520、通信部530、及び表示部540を備えている。処理部510はCPUなどの中央処理装置であり、記憶部520に格納されているプログラムを実行して各処理を行う。記憶部520は、RAM、ROM、又はハードディスクなどの記憶装置である。記憶部520に格納されたプログラムには、本実施形態に係る経路案内システムによるナビゲーションサービスのアプリケーションプログラムが含まれる。このアプリケーションプログラムは、サーバからダウンロードされてもよく、CD-ROMなどの記憶媒体で配布されてもよい。
【0040】
通信部530は、音声出力装置420及び車両430と通信可能な無線の通信インタフェース、又は有線の通信インタフェースを含む。表示部540は、例えば液晶ディスプレイ又はタッチパネルであり、ナビゲーションアプリの起動時に、経路案内中の地図を現在地点とともに表示するなど、処理の結果を表示することが可能である。
【0041】
図6は、本実施形態に係る端末装置410の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る端末装置410は、制御部601、接近情報取得部602、判定部603、及び規制部604を備えている。
【0042】
制御部601は、端末装置410における各アプリケーションの動作に応じて、音声出力装置420の動作を制御する。制御部601は、例えば経路案内アプリケーションなどによる案内音声を音声出力装置420に出力させてもよく、端末装置410における電話の着信通知を音声出力装置420に出力させてもよく、その他任意の音声出力を行わせることが可能である。
【0043】
本実施形態に係るシステム400では、音声入力装置420に対するユーザの音声入力によって端末装置410上のアプリケーションの操作が可能である。ここでは、例えば端末装置410に着信があった場合に、ユーザはその着信に応答するか否かを音声入力によって選択することが可能である。また例えば、端末装置410は、経路案内アプリケーションにおける目的地の検索を、音声入力装置420への音声入力に基づいて行ってもよい。ここで目的地は、例えば名称で検索されてもよく、住所で検索が行われてもよく、ガソリンステーション又は駐車場などのカテゴリ検索が行われてもよい。ここで端末装置410は、サーバ上の地図情報を用いて目的地の検索を行うことができる。また、記憶部520目的地のお気に入り設定を(例えば、5つ)格納することができ、目的地の設定時にそれらがユーザに提案されるなど、ユーザにとって好ましい目的地を設定するための様々な処理を行うことが可能である。さらに端末装置410は、ユーザの音声入力に基づいて、外部端末へのメッセージの作成及び送信を行ってもよい。例えば、ユーザは遅れて到着する旨のメッセージを運転しながら送信するために、音声入力を利用することができる。また本実施形態においては、端末装置410が、無線通信により車両430と接続されている場合には、ユーザが乗車中であるものとして経路案内アプリケーションにマイクの使用権限を専有させ、ユーザの音声入力を取得するようにしてもよい。なお、本実施形態に係るシステムにおいては、これらの音声入力による操作の一部又は全部が、車両430に対する操作によって行われても構わない。例えば、着信への応答操作が、車両430のハンドル近傍に設けられたボタンの操作によって行われるなど、一部の操作が車両430を介して行われる。
【0044】
接近情報取得部602は、車両430への緊急車両の接近を検知したことを示す接近情報を取得する。緊急車両(緊急自動車)とは、人命救助、火災、又は事故などの緊急事態に対応する車両であり、例えば救急車、パトカー、若しくは消防車などである。車両430への緊急車両の接近は、例えば、車両近傍の音を集音することにより検知することが可能である。すなわち、端末装置410、音声出力装置420、又は車両430の何れかが集音部(マイク)を備え、緊急車両が発するサイレン又はクラクションなどを検知することにより、緊急車両が接近したものとすることが可能である。判定部603は、このように接近情報取得部602が取得した情報に基づいて、緊急車両が車両430に接近したか、又は遠ざかったかの判定を行うことができる。
【0045】
この集音部はシステム400上のどの装置に設けられても構わないが、ユーザの音声入力を行う音声出力装置420のマイクを用いる場合には、人の音声の認識精度が低下し、システムとしての品質の低下を招く恐れがある。また、スマートフォンである端末装置410が集音部を有することもできるが、運転中はスマートフォンを鞄又は衣服の中に収め得ることを考えると、状況に応じて接近の検出精度が大きく変化してしまう。そのため、車両430(特に外側)にマイクを設ける、又は音声出力装置420の外側にサイレン又はクラクションの周波数特性に特化したマイクを設けることで、システムとしての精度を維持したまま緊急車両の接近を検知することが可能となる。
【0046】
また、緊急車両の車両430への接近を検知できるのであれば、その検知方法は音声によるものには限定されない。例えば、緊急車両が発する専用の電波を端末装置410、音声出力装置420、又は車両430の何れかが検知することにより、車両430に緊急車両が接近したものとの判定が行われてもよい。また、外部カメラによる撮像画像などに基づいて緊急車両の接近が検知されてもよい。以下、単に「緊急車両の接近」と呼ぶ場合、車両430への緊急車両の接近を指すものとして説明を行う。なお、同様の処理により、緊急車両が接近したあと、車両340から遠ざかることも検知することが可能である。
【0047】
規制部604は、緊急車両の接近を検知した場合に、音声出力装置420での音声の出力を規制する。規制部604は、音声の出力の規制は、緊急車両が接近した際の環境音がユーザにとって聞き取りやすくなる処理であれば特に制限はないが、例えば音声の出力を停止させる処理であってもよく、出力音声の音量を低下させる処理であってもよい。また規制部604は、緊急車両の接近を検知して音声の出力を規制した後に、緊急車両が遠ざかるのを検知した場合には、それから所定の時間(任意に設定可能である)が経過した後に音声の出力の規制を解除することができる。音声の出力を停止させる処理は、その音声の停止位置を記録し、出力再開時に停止位置からの音声の再生を再開する保留(一時停止)処理であってもよい。また、音声の出力を停止させる処理は、停止位置を記録しないリセット処理(すなわち、次の再生時にはまたその音声が最初から再生しなおされる)(出力音声に応じたユーザ操作が行われていた場合にはその記録もリセットされる)であってもよい。リセット処理を行うことにより、例えば音声出力装置420を介した操作の途中に緊急車両が接近して音声の出力を停止してから、再度音声の出力が可能になった場合に、その停止時点までに行った操作などを忘れてしまうケースなどに対応することができる。また、このような音声出力装置420を介したユーザ操作の深度はそれほど深くないことが考えられるため、リセット処理を行っても大きな手間とはなりにくいことも考えられる。
【0048】
また、規制部604は、例えば緊急車両の接近を分類し、検知した緊急車両の接近の分類に基づいて、規制の内容を変更してもよい。例えば、規制部604は、検出対象ごとに緊急度を設定し、緊急度の値に応じて規制による音量の低下量を増減させてもよく、又は緊急度が所定以上の場合には音声の出力を停止させ、所定未満の場合には規制により音声の音量を低下させるようにしてもよい。また、制御部601により実行されていたアプリケーションまたは処理の種類に応じて、規制の内容が変更されてもよい。例えば規制部604は、規制処理として、音楽の再生などが行われていた場合にはその音楽の一時停止を行い、途中からの再開が難しくなりやすい処理(メッセージの読み上げ処理など)が行われていた場合にはその出力処理をリセットしてもよい。
【0049】
このように、緊急車両の接近に応じて音声出力装置420による音声の出力を規制することにより、環境音の聞き取りやすさが向上し、緊急車両の接近に対応しやすいシステムを提供することが可能となる。
【0050】
なお、規制部604は、緊急車両の接近に応じた通知を行うことも可能である。例えば規制部604は、メータパネルMP上に、緊急車両が接近していない場合には通常の(例えば、緑色表示による)表示を行い、緊急車両の接近を検知した場合にはその旨を示す(例えば赤色表示による、又は明滅を伴う)表示を行ってもよい。本実施形態においては、メータパネルMP上で車両430の進行方向を提示するナビゲーションアプリの表示がなされており、緊急車両の接近を検知したことに応じて、当該ナビゲーションアプリの表示領域にその旨を示す警告が表示されるものとするが、例えば端末装置410のナビゲーションアプリによって警告表示が行われてもよい。
【0051】
この通知は画面表示によるものに限定されるわけではなく、例えば音声により、又は端末装置410を振動させることにより通知が行われてもよい。例えば規制部604は、「緊急車両の音(クラクション音)を検知しました」との音声を音声出力装置420のマイクから出力させることにより、緊急車両の接近をユーザに通知することができる。また規制部604は、「他の((アプリ名)による)音声をミュートします」など、上述した音声出力の規制処理の内容をユーザに通知してもよい。なお、これらの表示通知、音声通知、又はバイブレーション(振動)の処理の複数が組み合わされて実行されてもよい。
【0052】
なお、緊急車両の接近を通知する場合、規制部604は例えば、検知した緊急車両の方向をユーザに通知してもよい。例えば、車両430は集音部としてアレイマイクを備え、緊急車両が発するサイレン又はクラクションなどの方向を検知することが可能である。この場合、メータパネルMP上に検知方向が表示されてもよく、検出された方向を右、左、又は正面などに分類し、「右/左/正面方向に緊急車両がいます」などの音声を出力することにより通知がなされてもよい。このように、接近する車両の方向を検知するために備えるマイクの数は適宜選択することができ、車両430が3個以上のマイクを備えることで、360°方向からの緊急車両の接近を検知することが可能である。
【0053】
音声出力装置420は、
図4に示すようなヘルメットに内蔵されたヘッドセットであるものとして以下の説明を行うが、上述の通り端末装置410と無線で接続され音声が出力可能であれば特にその形態及び機能は限定されない。
図7は、音声出力装置420としてのヘッドセットの構成の一例を示すブロック図である。音声出力装置420は、通信部710、入力部720、出力部730、AIF731、DAC732、及びアンプ733を備えている。通信部710は、端末装置410及び車両430と無線通信を行うための通信ユニットであり、案内音声のデータを含む各種データを装置間で送受信する。
【0054】
入力部720は、端末装置410上で動作するアプリケーションに対するユーザの入力を取得する。本実施形態に係る入力部720は、例えば収音機(マイク)であり、目的地の入力などのためにユーザの音声入力を取得する。また入力部720は、例えばダイヤル式又はトグル式の機械式スイッチであり、出力される音量の調整、又は音声のオン/オフの設定などについてのユーザの入力を取得してもよい。
【0055】
AIF(Audio Interface)731は、端末装置410から受信した音声の信号を左右チャンネル毎にDAC732に送信する。DAC(Digtal to Analog Converter)732は、AIF731から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。アンプ733は、DAC732から入力されたアナログ信号を増幅してスピーカ730に供給する。これにより、端末装置410から受信した音声がスピーカ730から出力される。本実施形態においては、緊急車両の接近が検知された場合には、ここでスピーカ730からの音声の出力が規制される。
【0056】
図8は、本実施形態に係るシステムにおいて、端末装置410が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
S801で端末装置410は、車両430の制御ユニット10aから経路案内アプリケーションの開始信号を受信し、音声出力端末420との接続、音声出力制御処理を開始する。ここで、制御ユニット10aは端末装置410へと、例えば車両430が起動したことに応じて開始信号を送信してもよく、アプリケーションを実行した端末装置410からの信号への応答として開始信号を送信してもよく、車両430をユーザが利用し始めた(例えば、跨った)ことを検知して開始信号を送信してもよい。この開始信号の送信処理は任意の手順により行うことが可能である。
【0058】
S802で制御部601は、端末装置410における各アプリケーションの動作に対応する音声を、音声出力装置420に出力させる。この音声は、上述したようにアプリケーションの通知音声であってもよく、通話音声であってもよく、再生中の音楽であってもよく、特にこれらに限定されるわけではない。
【0059】
S803で接近情報取得部602は、接近情報を取得する。ここでは例えば、接近情報取得部602は、車両430から接近情報を取得することが可能である。S804で判定部603は、S803で取得した接近情報に基づいて、緊急車両の接近を検知したか否かを判定する。接近を検知した場合には処理がS805へと進み、そうでない場合には処理はS803へと戻る。
【0060】
S805で規制部604は、S802で音声出力装置に出力させている音声を規制する。S806で接近情報取得部602は接近情報を取得し、S807で判定部603が緊急車両が遠ざかったか否かを判定する。緊急車両が遠ざかった場合には処理がS808へと進み、そうでない場合には処理はS805へと戻る。
【0061】
S808で規制部604は、S805で行った音声の規制処理を解除する。次いでS809で判定部603は、車両430の運転を終了するか否かを判定する。例えば判定部603は、経路案内アプリケーションにおいて現在地から目的地までの距離が所定距離未満となった場合に、車両430の運転を終了するものと判定してもよい。車両430の運転がまだ続行されると判定された場合には処理がS803へと戻り、終了する場合には処理が終了する。
【0062】
このような構成によれば、緊急車両の接近を検知した場合に、音声出力装置420による音声の出力を規制することができる。したがって、携帯端末の機能を利用して走行中のユーザに音声を出力するシステムにおいて、環境音の聞き取りやすさを向上させ、緊急車両の接近に対応しやすいシステムを提供することが可能となる。
【0063】
なお、本実施形態においては、緊急車両のサイレン又はクラクションを検出するように学習された音声検出エンジンが車両430に搭載され、それらの音声を検出することにより、緊急車両が接近したものとすることが可能である。このように、機械学習により緊急車両のサイレン音を検出できるようにすることで、モバイル通信を伴わずに緊急車両の接近を検知することができ、オフラインでもシステムを動作させることが可能となる。
【0064】
また、本実施形態に係るシステムでは、アプリケーションにおける位置情報又はユーザ情報などからユーザの走行する国が判別され、各処理の対応言語が切り替えられてもよい。例えば、ユーザの走行する国に応じて、検知する緊急車両のサイレン又はクラクションの音を車両430が切り替え、アプリケーションを介して出力する音声の言語を端末装置410が切り替えることができる。
【0065】
また、上述の実施形態では、端末装置410と、音声出力装置420と、車両430と、が完全に別個の装置としてそれぞれの処理を行うものとして説明を行ったが、これらの装置が、一部又は全ての処理を他の装置と共有していてもよい。例えば、端末装置410が行う一部又は全ての処理を車両430が行うことも可能である。
【0066】
[実施形態のまとめ]
上記実施形態には少なくとも以下の情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及びシステムを開示している。
【0067】
1.上記実施形態の情報処理装置(例えば410)は、
ユーザが利用する車両(例えば430)の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力端末(例えば420)に音声を出力させる出力制御手段(例えば601)と、
前記車両への緊急車両の接近を検知したことを示す情報を取得する情報取得手段(例えば602)と、
前記緊急車両の接近を検知した場合に、前記音声出力端末での音声の出力を規制する規制制御手段(例えば604)と、
を備える。
この実施形態によれば、携帯端末の機能を利用して走行中のユーザに音声を出力するシステムにおいて、環境音の聞き取りやすさを向上させ、緊急車両の接近に対応しやすいシステムを提供することが可能となる。
【0068】
2.上記実施形態の情報処理装置では、
前記情報取得手段は、前記緊急車両の接近を検知してから前記緊急車両が遠ざかるのを検知したことを示す情報を更に取得し、
前記緊急車両が遠ざかることを検知してから所定の時間が経過した場合に、前記音声出力端末での前記音声の出力を再開させる再開制御手段をさらに備える。
この実施形態によれば、音声出力の規制が必要なくなったことに応じて、再度通常の出力を再開することが可能となる。
【0069】
3.上記実施形態の情報処理装置では、
前記音声の出力を再開させることは、前記音声を最初から再生しなおすことである。
この実施形態によれば、音声の出力を停止した場合に再生位置をリセットすることにより、その停止時点までに行った操作などを忘れてしまうケースなどに対応することができる。
【0070】
4.上記実施形態の情報処理装置では、
前記車両の近傍における音を集音する集音手段をさらに備え、
前記情報取得手段は、前記集音手段による集音結果に基づいて前記緊急車両の接近を検知する。
この実施形態によれば、収集した音声情報に基づいて緊急車両の接近を検知することが可能となる。
【0071】
5.上記実施形態の情報処理装置では、
前記集音手段は、前記車両に設けられた集音部を用いて集音を行う。
この実施形態によれば、緊急車両のサイレン又はクラクションなどの周波数特性に特化した専用のマイクを用いて集音を行い緊急車両の接近を検知することができる。
【0072】
6.上記実施形態の情報処理装置では、
前記集音手段は、前記音声出力端末に設けられた集音部を用いて集音を行う。
この実施形態によれば、緊急車両のサイレン又はクラクションなどの周波数特性に特化した専用のマイクを用いて集音を行い緊急車両の接近を検知することができる。
【0073】
7.上記実施形態の情報処理装置では、
前記音声が、通信中の外部端末との通話音声である
この実施形態によれば、外部端末との通話中に緊急車両が接近してきた場合に、その環境音をより聞き取りやすくするシステムを提供することが可能となる。
【0074】
8.上記実施形態の情報処理装置では、
前記音声が、再生中の音楽である。
この実施形態によれば、音楽の再生中に緊急車両が接近してきた場合に、その環境音をより聞き取りやすくするシステムを提供することが可能となる。
【0075】
9.上記実施形態の情報処理装置では、
前記ユーザの現在位置を取得する位置取得手段と、
前記現在位置に基づいて、前記ユーザが利用する車両の誘導経路を取得する経路取得手段と、
をさらに備え、
前記音声が、前記誘導経路に基づく前記車両の経路案内である。
この実施形態によれば、経路案内中に緊急車両が接近してきた場合に、その環境音をより聞き取りやすくするシステムを提供することが可能となる。
【0076】
10.上記実施形態の情報処理方法は、
ユーザが利用する車両の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力端末に音声を出力させる工程(例えばS802)と、
前記車両への緊急車両の接近を検知する工程(例えばS803、S804)と、
前記緊急車両の接近を検知した場合に、前記音声出力端末での音声の出力を規制する工程(例えばS805)と、
を備える。
この実施形態によれば、携帯端末の機能を利用して走行中のユーザに音声を出力するシステムにおいて、環境音の聞き取りやすさを向上させ、緊急車両の接近に対応しやすいシステムを提供することが可能となる。
【0077】
11.上記実施形態のプログラムは、
ユーザが携帯する携帯端末を、
前記ユーザが利用する車両の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力端末に音声を出力する出力制御手段と、
前記車両への緊急車両の接近を検知したことを示す情報を取得する情報取得手段と、
前記緊急車両の接近を検知した場合に、前記音声出力端末での音声の出力を規制する規制手段と、
として機能させる。
この実施形態によれば、携帯端末の機能を利用して走行中のユーザに音声を出力するシステムにおいて、環境音の聞き取りやすさを向上させ、緊急車両の接近に対応しやすいシステムを提供することが可能となる。
【0078】
12.上記実施形態のシステムは、
ユーザが利用する車両の走行中に、前記ユーザが身に着ける音声出力端末に出力させる音声を送信する送信手段、
前記車両への緊急車両の接近を検知したことを示す情報を取得する情報取得手段、及び
前記緊急車両の接近を検知した場合に、前記音声出力端末での音声の出力を規制する規制制御手段、
を備える携帯端末と、
前記携帯端末から前記音声を受信する受信手段、
前記音声を出力する出力手段、及び
前記規制制御手段からの音声の出力の規制指示により、前記音声の出力を規制する規制手段
を備える音声出力端末と、
を備える。
この実施形態によれば、携帯端末の機能を利用して走行中のユーザに音声を出力するシステムにおいて、環境音の聞き取りやすさを向上させ、緊急車両の接近に対応しやすいシステムを提供することが可能となる。
【0079】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
601:制御部、602:接近情報取得部、603:判定部、604:規制部