(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】ヒト化抗ヒトPD-1抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20231218BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20231218BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231218BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231218BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231218BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20231218BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231218BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20231218BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20231218BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20231218BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231218BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231218BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20231218BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20231218BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231218BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20231218BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20231218BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231218BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20231218BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20231218BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20231218BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20231218BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/46
A61K39/395 U
A61K45/00
A61P35/00
A61P37/04
A61P31/00
A61K48/00
A61K35/76
A61K35/12
A61P43/00 111
A61P31/12
A61P31/16
A61P31/20
A61P31/22
A61P31/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022040264
(22)【出願日】2022-03-15
(62)【分割の表示】P 2021536204の分割
【原出願日】2019-12-17
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517118478
【氏名又は名称】オーエスイー・イミュノセラピューティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ポワリエ
(72)【発明者】
【氏名】カロリーヌ・マリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジニー・テプニエ
(72)【発明者】
【氏名】オロール・モレロ
(72)【発明者】
【氏名】サブリナ・パンガム
【審査官】松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523516(JP,A)
【文献】特表2018-529359(JP,A)
【文献】特表2018-502044(JP,A)
【文献】Immunity, 2013, 39(1), pp.1-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む又はそれからなるHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含む又はそれからなるHCDR2、及び配列番号9のアミノ酸配列を含む又はそれからなるHCDR3を含む重鎖可変ドメインと、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含む又はそれからなるLCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含む又はそれからなるLCDR2、及び配列番号14のアミノ酸配列を含む又はそれからなるLCDR3を含む軽鎖可変ドメインと
を含み、ヒトPD-1に対するヒトPD-L1又はPD-L2の結合のアンタゴニストである、ヒト化モノクロナール抗ヒトPD-1抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
(a)配列番号3
1のアミノ酸配
列又は配列番号31の位置7、16、17、20、33、38、43、46、62、63、65、69、73、76、78、80、84、85、88、93、95、96、97、98、100、101、105、106、及び112を除く任意の位置に、置換、付加、欠損、及び任意のこれらの組合せから選択される1、2、又は3つの改変を有する
配列番号31のバリアントのアミノ酸配列を含む、重鎖と、
(b)配列番号34のアミノ酸配
列又は配列番号34の位置3、4、7、14、17、18、28、29、33、34、39、42、44、50、81、88、94、97、99、及び105を除く任意の位置に、置換、付加、欠損、及び任意のこれらの組合せから選択される1、2、又は3つの改変を有する
配列番号34のバリアントのアミノ酸配列を含む、軽鎖と
を含む、請求項1に記載の抗体又は
その抗原結合断片。
【請求項3】
ヒトκ軽鎖定常ドメインに由来する軽鎖定常ドメインと、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4重鎖定常ドメインに由来する重鎖定常ドメインとを含む、請求項1又は2に記載の抗体又は
その抗原結合断片。
【請求項4】
ヒトκ軽鎖定常ドメインに由来する軽鎖定常ドメインと、ヒトIgG1重鎖定常ドメインに由来する重鎖定常ドメインとを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
ヒトIgG1重鎖定常ドメインに由来する重鎖定常ドメインが、T250Q/M428L、M252Y/S254T/T256E+H433K/N434F、E233P/L234V/L235A/G236A+A327G/A330S/P331S、E333A、S239D/A330L/I332E、P257I/Q311、K326W/E333S、S239D/I332E/G236A、N297A、L234A/L235A、N297A+M252Y/S254T/T256E、K322A、及びK444Aからなる群から選択される置換又は置換の組合せを含む、請求項4に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
ヒトκ軽鎖定常ドメインに由来する軽鎖定常ドメインと、ヒトIgG4重鎖定常ドメインに由来する重鎖定常ドメインとを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
ヒトIgG4重鎖定常ドメインに由来する重鎖定常ドメインが、S228P、L234A/L235A、S228P+M252Y/S254T/T256E、及びK444Aからなる群から選択される置換又は置換の組合せを含む、請求項6に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
10
-7Mに等しい又はそれより低いヒトPD-1に対する結合親和性定数(KD)でヒトPD-1と特異的に結合する、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
85%に等しい若しくはそれを上回るヒトらしさ(T20)を
有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする、単離された核酸分子又は単離された核酸分子の群。
【請求項11】
請求項10に記載の単離された核酸分子又は単離された核酸分子の群を含むベクター。
【請求項12】
請求項11に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片を産生するための方法であって、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸分子又は単離された核酸分子の群を含むベクターを含む宿主細胞を培養する工程と、前記抗体又は抗原結合断片を単離する工程とを含む方法。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片、並びに/或いは請求項10に記載の単離された核酸分子及び/又は単離された核酸分子の群、並びに/或いは請求項11に記載のベクター、並びに/或いは請求項12に記載の宿主細胞、並びに薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項15】
アルキル化剤、血管新生阻害剤、抗体、特に抗腫瘍標的抗体、代謝拮抗薬、抗有糸分裂薬、抗増殖薬、抗ウイルス薬、オーロラキナーゼ阻害剤、アポトーシスプロモーター、細胞死受容体経路のアクチベーター、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤、BiTE(二重特異性T細胞エンゲージャー)抗体、抗体薬物コンジュゲート、生物学的応答の修飾因子、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、DVD、白血病ウイルス発癌遺伝子ホモログ(ErbB2)受容体阻害剤、増殖因子阻害剤、ヒートショックタンパク質(HSP)-90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ホルモン療法、免疫薬、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)の阻害剤、挿入抗生物質、キナーゼ阻害剤、キネシン阻害剤、Jak2阻害剤、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質阻害剤、マイクロRNA、分裂促進因子活性化細胞外シグナル制御キナーゼ阻害剤、多価結合タンパク質、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ポリADP(アデノシンジホスフェート)-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、白金化学療法薬、ポロ様キナーゼ(Plk)阻害剤、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3K)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、レチノイド/デルトイド植物アルカロイド、低分子阻害性リボ核酸(siRNA)、トポイソメラーゼ阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、低メチル化剤、チェックポイント阻害剤、ペプチドワクチン、腫瘍抗原由来のエピトープ又はネオエピトープ、及びこれらの薬剤のうちの1つ又は複数の組合せからなる群の中から選択される追加の治療剤を更に含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
医薬として使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、請求項14若しくは15に記載の医薬組成物、請求項10に記載の単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、請求項11に記載のベクター、又は請求項12に記載の宿主細胞。
【請求項17】
がんの予防又は処置において使用するための、請求項16に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞。
【請求項18】
前記がんが、PD-1及び/又はPD-L1の発現を伴う血液悪性腫瘍又は固形腫瘍、例えば血液リンパ新生物、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、骨髄異形成症候群、及び急性骨髄性白血病からなる群から選択されるがん、ウイルスにより誘発され又は免疫不全と関連するがん、例えばカポジ肉腫(例えば、カポジ肉腫ヘルペスウイルスと関連する);子宮頸管、肛門、陰茎、及び外陰部の扁平上皮がん、及び中咽頭がん(例えば、ヒトパピローマウイルスと関連する);びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含むB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、HHV-8原発性滲出性リンパ腫、古典的ホジキンリンパ腫、及びリンパ増殖性障害(例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)及び/又はカポジ肉腫ヘルペスウイルスと関連する);肝細胞癌(例えば、B型及び/又はC型肝炎ウイルスと関連する);メルケル細胞癌(例えば、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MPV)と関連する)、及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症と関連するがんからなる群から選択されるがん、並びに転移性又は非転移性の黒色腫、悪性中皮腫、非小細胞性肺がん、腎細胞癌、ホジキンリンパ腫、頭頸部のがん、尿路上皮癌、結腸直腸がん、肝細胞癌、小細胞肺がん、転移性メルケル細胞癌、胃又は胃食道のがん、及び子宮頸がんからなる群から選択されるがん、からなる群から選択される、請求項17に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞。
【請求項19】
前記がんが、PD-L1陰性である腫瘍細胞を有する、請求項17に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞。
【請求項20】
放射線療法、又はアルキル化剤、血管新生阻害剤、抗体、特に抗腫瘍標的抗体、代謝拮抗薬、抗有糸分裂薬、抗増殖薬、抗ウイルス薬、オーロラキナーゼ阻害剤、アポトーシスプロモーター(例えば、Bcl-2ファミリー阻害剤)、細胞死受容体経路のアクチベーター、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤、BiTE(二重特異性T細胞エンゲージャー)抗体、抗体薬物コンジュゲート、生物学的応答の修飾因子、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、DVD、白血病ウイルス発癌遺伝子ホモログ(ErbB2)受容体阻害剤、増殖因子阻害剤、ヒートショックタンパク質(HSP)-90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ホルモン療法、免疫薬、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)の阻害剤、挿入抗生物質、キナーゼ阻害剤、キネシン阻害剤、Jak2阻害剤、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質阻害剤、マイクロRNA、分裂促進因子活性化細胞外シグナル制御キナーゼ阻害剤、多価結合タンパク質、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ポリADP(アデノシンジホスフェート)-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、白金化学療法薬、ポロ様キナーゼ(Plk)阻害剤、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3K)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、レチノイド/デルトイド植物アルカロイド、低分子阻害性リボ核酸(siRNA)、トポイソメラーゼ阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、低メチル化剤、チェックポイント阻害剤、ペプチドワクチン等、腫瘍抗原由来のエピトープ若しくはネオエピトープ、及びこれらの薬剤のうちの1つ若しくは複数の組合せからなる群の中から選択される追加の治療剤と組合せて使用するための、請求項16から19のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞。
【請求項21】
感染性疾患又は慢性感染性疾患の予防又は処置において使用するための、請求項16に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞。
【請求項22】
感染性疾患又は慢性感染性疾患が、HIV、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸系発疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ロタウイルス、はしかウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、及びアルボウイルス脳炎ウイルスからなる群から選択されるウイルスにより引き起こされる、請求
項21に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞。
【請求項23】
リンパ球減少性障害を有する患者の予防又は処置において使用するための、請求項16に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞。
【請求項24】
処置される対象が、免疫抑制状態、免疫不全状態、又は免疫低下状態にある、請求項16から23のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にヒト疾患の処置における免疫学及び免疫療法の分野に関する。より具体的には、本発明は、ヒト疾患の処置において有用なヒト化抗ヒトPD-1抗体又はその抗原結合断片に関する。
【背景技術】
【0002】
プログラム細胞死タンパク質1(PD-1、CD279としても知られている)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する細胞表面タンパク質分子である。PD-1は、T及びBリンパ球、並びにマクロファージ上で発現しており、また細胞の運命及び分化において役割を果たす。特に、免疫チェックポイントとして機能するPD-1は、T細胞の活性化を阻止することにより免疫系を下方制御する際に重要な役割を果たしており、ひいては自己免疫を低下させ及び自己寛容を促進する。PD-1に対する2つのリガンドPD-L1及びPD-L2が同定されており、PD-1と結合すると、T細胞の活性化を下方制御し、T細胞において共阻害シグナルを誘発し、そしてそのアポトーシス、免疫反応不顕性、及び機能的枯渇を促進することが明らかにされている(Freemanら、(2000) J Exp Med 192巻: 1027~34頁; Latchmanら、(2001) Nat Immunol 2巻:261~8頁; Carterら、(2002) Eur J Immunol 32巻:634~43頁))。リガンドPD-L1及びPD-L2は、正常なヒト細胞では発現されないが、しかし様々なヒトがんにおいて豊富に存在し得る(Dongら、(2002) Nat Med 8巻:787~9頁; Brahmerら、N Eng J Med, 366巻(26), 2012; Topalianら、N Eng J Med, 366巻(26), 2012; Wolchokら、N Engl J Med. 2013 Jul 11; 369巻(2): 122~133頁))。PD-L1は、PD-L2よりも幅広く発現しており、また様々な造血及び非造血細胞から発現している。腫瘍、病原菌、及びウイルスは、共阻害経路、例えばPD-L1/PD-1を利用し、免疫抑制的な微環境を創出することによって免疫防御及び監視を回避している。特に、腫瘍、病原菌、又はウイルスにより引き起こされたPD-L1/PD-1経路は、様々な機構(T細胞の不活性化、疲弊、非応答、及びアポトーシスを促進すること、T-reg細胞の増幅を誘発すること、並びに殺傷及びアポトーシスに抵抗する腫瘍固有の能力を強化することを含む)を通じて、宿主の免疫学的監視から逃れるようにすることができる。がん細胞により媒介されるPD-1とPD-L1との相互作用は、腫瘍浸潤性リンパ球の低下、及びTCRの下流におけるシグナルの低下により、T細胞増殖(T細胞受容体により媒介される)の阻害も引き起こし、その結果、活性化及びサイトカイン産生が減少する(Dongら、J. Mol. Med. 2003, 81巻: 281~7頁; Blankら、Cancer Immunol. Immunother. 2005, 54巻: 307~314頁; Konishiら、Clin. Cancer Res. 2004, 10巻: 5094~100頁)。腫瘍浸潤性リンパ球又は腫瘍細胞上でのPD-1の発現が、いくつかの原発腫瘍生検に見出されている(Ribas A.、Cancer Discov. 2015, 5巻(9):915~9頁)。
【0003】
その免疫抑制的役割を踏まえ、ヒト免疫系に対するこの有害な効果を無効化するために、PD-1阻害剤が開発された。そのようなPD-1阻害剤は、免疫系を活性化させて腫瘍又は感染細胞を攻撃し、従ってがん及び疾患を処置するのに使用され得ると考えられている。実際、その相互作用を破壊するためにPD-1又はPD-L1の阻害剤を使用する戦略は、がん免疫療法を改善する可能性があることを明らかにした(Brahmerら、N Eng J Med、366巻(26)、2012; Powlesら、Nature、515巻(7528)、2014; Topalianら、N Eng J Med、366巻(26)、2012; Ansell、Curr Opin Hematol、22(4)、2015)。特に、PD-1とそのリガンドとの間の相互作用を遮断すれば、腫瘍細胞を除去する能力を有する腫瘍特異的CD8 T細胞免疫が強化される(Topalian S.ら、Curr Opin Immunol. 2012, 24巻(2):207~12頁)。PD-1の阻害効果は、リンパ節内の抗原特異的T細胞におけるアポトーシスを促進する一方、同時に、調節性T細胞におけるアポトーシスを低下させる二重機構を通じてもやはり実現される。
【0004】
PD-1/PD-L1の遮断に対して特異的なモノクロナール抗体(「mAb」)を使用すれば、PD-1/PD-L1シグナル伝達経路の免疫抑制的効果が無効になることが当技術分野において公知である。しかしながら、ヒトを対象としてin vivoでの使用を普及させる際に、重大な実践的問題が立ちはだかった。主な懸念点として、非ヒトを起源とするモノクロナール抗体は、多くの場合免疫原性であり、これによりその有効性が限定され、またある場合では危険なアレルギー反応を引き起こすことが挙げられる。そのような外来のmAbに対する免疫応答として、mAbと結合し、そしてその除去を引き起こす特異的高親和性抗体の産生が挙げられ、これにより、身体からのmAbの排除が促進されることによってmAbの有効性が実質的に低下し、そして標的抗原と結合するその能力が阻害される。この問題を克服するために、目的とする非ヒト抗体をヒト化することで、親の非ヒト抗体(古典的にはマウス抗体)の特異性及び親和性を保持しつつ、ヒトに対する免疫原性を低下させることが可能である。そのようなヒト化抗体は、抗原結合ドメインが非ヒト抗体に由来し、そしてフレームワーク領域がヒト又はヒト化抗体配列に由来する1つ又は複数の可変ドメインを一般的に含む。
【0005】
従って、特にがんを対象として、ヒトPD-1を標的とする、安全に免疫療法を行うための改善した薬剤を提供するために、ヒト化抗体を開発する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第15161311号
【文献】国際公開第17127664号
【文献】国際公開第18136626号
【文献】国際公開第18190719号
【文献】国際公開第19060750号
【文献】国際公開第19170677号
【文献】米国特許出願公開第20030044423号
【文献】PCT公報国際公開第01/58957号
【文献】国際公開第2014/160160号
【文献】米国特許第5,208,020号
【文献】米国特許第5,416,064号
【文献】米国特許第5,108,921号
【文献】米国特許第5,354,844号
【文献】米国特許第5,416,016号
【文献】米国特許第5,527,5285号
【文献】国際公開第2018/053106号
【非特許文献】
【0007】
【文献】Freemanら、(2000) J Exp Med 192巻: 1027~34頁
【文献】Latchmanら、(2001) Nat Immunol 2巻:261~8頁
【文献】Carterら、(2002) Eur J Immunol 32巻:634~43頁)
【文献】Dongら、(2002) Nat Med 8巻:787~9頁
【文献】Brahmerら、N Eng J Med、366巻(26)、2012
【文献】Topalianら、N Eng J Med、366巻(26)、2012
【文献】Wolchokら、N Engl J Med. 2013 Jul 11; 369巻(2): 122~133頁
【文献】Dongら、J. Mol. Med. 2003, 81巻: 281~7頁
【文献】Blankら、Cancer Immunol. Immunother. 2005, 54巻: 307~314頁
【文献】Konishiら、Clin. Cancer Res. 2004, 10巻: 5094~100頁
【文献】Ribas A.、Cancer Discov. 2015, 5巻(9):915~9頁
【文献】Powlesら、Nature、515巻(7528)、2014
【文献】Ansell、Curr Opin Hematol、22(4)、2015)
【文献】Topalian S.ら、Curr Opin Immunol. 2012, 24巻(2):207~12頁
【文献】Gaoら、BMC Biotechnol、2013、13巻、55頁
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【文献】Andorskyら、2011、DOI: 10.1158/1078-0432
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ヒトPD-1を特異的に標的とするヒト化抗体の開発に基づき、同抗体は、PD-1に対して高い結合親和性、並びにそのリガンドPDL-1及び/又はPDL-2との強い競合を示す。このヒト化抗体は、哺乳動物細胞に基づく産生システムにおいて高い製造可能性及び生産収率を示すように工学操作されている。このヒト化抗体は、本明細書では特に「HKLD」と呼ばれる。
【0009】
更に、出願者は、PD-L1を発現しない腫瘍性細胞に対してマクロファージの食作用を引き起こす、抗体の実質的及び予期せぬ効果を、特にPD-L1陰性腫瘍及び/又はT細胞免疫応答の欠損に苦しむ患者の処置を目的とするこの抗体の有望な有効性能と共に観察した。
【0010】
きわめて好ましく予期せぬ効果が、特に「発明を実施するための形態」の冒頭及び「実施例」において提示及び説明される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、ヒト化モノクロナール抗ヒトPD-1抗体又はその抗原結合断片は、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む又はそれからなるHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含む又はそれからなるHCDR2、及び配列番号9のアミノ酸配列を含む又はそれからなるHCDR3を含む重鎖可変ドメインと、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含む又はそれからなるLCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含む又はそれからなるLCDR2、及び配列番号14のアミノ酸配列を含む又はそれからなるLCDR3を含む軽鎖可変ドメインと
を含み、前記抗体又はその抗原結合断片は、ヒトPD-1に対するヒトPD-L1及び/又はPD-L2の結合のアンタゴニストである。
【0012】
第2の態様では、ヒト化モノクロナール抗ヒトPD-1抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む又はそれからなるVHと、(b)配列番号24のアミノ酸配列を含む又はそれからなるVLとを含む。
【0013】
好ましくは、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトPD-1に対するヒトPD-L1及び/又はPD-L2の結合のアンタゴニストである。
【0014】
特別な態様では、抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号31からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み又はそれからなり、任意選択的に配列番号31の位置7、16、17、20、33、38、43、46、62、63、65、69、73、76、78、80、84、85、88、93、95、96、97、98、100、101、105、106、及び112を除く任意の位置に、置換、付加、欠損、及び任意のこれらの組合せから選択される1、2、又は3つの改変を有する重鎖と、(b)配列番号34のアミノ酸配列を含み又はそれからなり、任意選択的に配列番号34の位置3、4、7、14、17、18、28、29、33、34、39、42、44、50、81、88、94、97、99、及び105を除く任意の位置に、置換、付加、欠損、及び任意のこれらの組合せから選択される1、2、又は3つの改変を有する軽鎖とを含む。
【0015】
特別な態様では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトκ軽鎖定常ドメインに由来する軽鎖定常ドメインと、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4重鎖定常ドメインに由来する重鎖定常ドメインとを含む。
【0016】
より特別な態様では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトκ軽鎖定常ドメインに由来する軽鎖定常ドメインと、ヒトIgG1重鎖定常ドメインに由来する重鎖定常ドメインとを含み、任意選択的に、T250Q/M428L; M252Y/S254T/T256E+H433K/N434F; E233P/L234V/L235A/G236A+A327G/A330S/P331S; E333A; S239D/A330L/I332E; P257I/Q311; K326W/E333S; S239D/I332E/G236A; N297A; L234A/L235A; N297A+M252Y/S254T/T256E; K322A及びK444Aからなる群から選択され、好ましくは、任意選択的に、M252Y/S254T/T256Eと組み合わされるN297A、及びL234A/L235Aからなる群から選択される置換又は置換の組合せを有する。
【0017】
別のより特別な態様では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトκ軽鎖定常ドメインに由来する軽鎖定常ドメインと、ヒトIgG4重鎖定常ドメインに由来する重鎖定常ドメインとを含み、任意選択的に、S228P; L234A/L235A、S228P+M252Y/S254T/T256E、及びK444Aからなる群から選択される置換又は置換の組合せを有する。
【0018】
好ましくは、抗体又はその抗原結合断片は、10-7Mに等しい又はそれより低いヒトPD-1に対する結合親和性定数(KD)を有してヒトPD-1と特異的に結合し、前記親和性は、好ましくはバイオセンサー分析により決定される。
【0019】
特に、抗体又はその抗原結合断片は、85%に等しい若しくはそれを上回る、好ましくは88%に等しい若しくはそれを上回るヒトらしさ(T20)を有し、及び/又は哺乳動物細胞内で高い生産収率を有する。
【0020】
第2の態様では、本発明は、本明細書に開示されるような抗体又はその抗原結合断片をコードする、単離された核酸分子又は単離された核酸分子の群に関係する。
【0021】
第3の態様では、本発明は、本明細書に開示されるような単離された核酸分子又は単離された核酸分子の群を含むベクターに関係する。
【0022】
本発明は、本発明による単離された核酸分子及び/又は単離された核酸分子の群、並びに/或いはベクターを含む宿主細胞にも関係する。
【0023】
別の態様では、本発明は、抗体又はその抗原結合断片を産生するための方法であって、本明細書に開示されるような宿主細胞を培養する工程と、任意選択的に、前記抗体又は抗原結合断片を単離する工程とを含む方法に関する。
【0024】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示されるような抗体又はその抗原結合断片、並びに/或いは単離された核酸分子及び/又は単離された核酸分子の群、並びに/或いはベクター、並びに/或いは宿主細胞、並びに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関係する。
【0025】
任意選択的に、医薬組成物は、好ましくはアルキル化剤、血管新生阻害剤、抗体、特に抗腫瘍標的抗体、代謝拮抗薬、抗有糸分裂薬、抗増殖薬、抗ウイルス薬、オーロラキナーゼ阻害剤、アポトーシスプロモーター(例えば、Bcl-2ファミリー阻害剤)、細胞死受容体経路のアクチベーター、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤、BiTE(二重特異性T細胞エンゲージャー)抗体、抗体薬物コンジュゲート、生物学的応答の修飾因子、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、DVD、白血病ウイルス発癌遺伝子ホモログ(ErbB2)受容体阻害剤、増殖因子阻害剤、ヒートショックタンパク質(HSP)-90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ホルモン療法、免疫薬、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)の阻害剤、挿入抗生物質、キナーゼ阻害剤、キネシン阻害剤、Jak2阻害剤、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質阻害剤、マイクロRNA、分裂促進因子活性化細胞外シグナル制御キナーゼ阻害剤、多価結合タンパク質、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ポリADP(アデノシンジホスフェート)-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、白金化学療法薬、ポロ様キナーゼ(Plk)阻害剤、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3K)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、レチノイド/デルトイド植物アルカロイド、低分子阻害性リボ核酸(siRNA)、トポイソメラーゼ阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、低メチル化剤、チェックポイント阻害剤、ペプチドワクチン等、腫瘍抗原由来のエピトープ又はネオエピトープ、及びこれらの薬剤のうちの1つ又は複数の組合せからなる群の中から選択される追加の治療剤を更に含む。
【0026】
特に、抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞は、医薬として使用するためのものである。
【0027】
任意選択的に、抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞は、放射線療法、又は好ましくはアルキル化剤、血管新生阻害剤、抗体、特に抗腫瘍標的抗体、代謝拮抗薬、抗有糸分裂薬、抗増殖薬、抗ウイルス薬、オーロラキナーゼ阻害剤、アポトーシスプロモーター(例えば、Bcl-2ファミリー阻害剤)、細胞死受容体経路のアクチベーター、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤、BiTE(二重特異性T細胞エンゲージャー)抗体、抗体薬物コンジュゲート、生物学的応答修飾因子、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、DVD、白血病ウイルス発癌遺伝子ホモログ(ErbB2)受容体阻害剤、増殖因子阻害剤、ヒートショックタンパク質(HSP)-90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ホルモン療法、免疫薬、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)の阻害剤、挿入抗生物質、キナーゼ阻害剤、キネシン阻害剤、Jak2阻害剤、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質阻害剤、マイクロRNA、分裂促進因子活性化細胞外シグナル制御キナーゼ阻害剤、多価結合タンパク質、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ポリADP(アデノシンジホスフェート)-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、白金化学療法薬、ポロ様キナーゼ(Plk)阻害剤、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3K)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、レチノイド/デルトイド植物アルカロイド、低分子阻害性リボ核酸(siRNA)、トポイソメラーゼ阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、低メチル化剤、チェックポイント阻害剤、ペプチドワクチン等、腫瘍抗原由来のエピトープ若しくはネオエピトープ、及びこれらの薬剤のうちの1つ若しくは複数の組合せからなる群の中から選択される追加の治療剤と組み合わせて使用するためのものである。
【0028】
1つの態様では、医薬として使用するための抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞は、がんの予防又は処置において使用するためのものである。好ましくは、がんは、血液悪性腫瘍、或いはPD-1及び/又はPD-L1の発現を伴う固形腫瘍、例えば血液リンパ新生物、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、骨髄異形成症候群、及び急性骨髄性白血病からなる群から選択されるがん等、ウイルスにより誘発され又は免疫不全と関連するがん、例えばカポジ肉腫からなる群から選択されるがん(例えば、カポジ肉腫ヘルペスウイルスと関連する)等;子宮頸管、肛門、陰茎、及び外陰部の扁平上皮がん、及び中咽頭がん(例えば、ヒトパピローマウイルスと関連する);びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、HHV-8原発性滲出性リンパ腫、古典的ホジキンリンパ腫を含むB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、及びリンパ増殖性障害(例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)及び/又はカポジ肉腫ヘルペスウイルスと関連する);肝細胞癌(例えば、B型及び/又はC型肝炎ウイルスと関連する);メルケル細胞癌(例えば、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MPV)と関連する)、及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症と関連するがんからなる群から選択されるがん;並びに転移性又は非転移性の黒色腫、悪性中皮腫、非小細胞性肺がん、腎細胞癌、ホジキンリンパ腫、頭頸部のがん、尿路上皮癌、結腸直腸がん、肝細胞癌、小細胞肺がん、転移性メルケル細胞癌、胃又は胃食道のがん、及び子宮頸がんからなる群から選択されるがんからなる群から選択される。
【0029】
特別な態様では、抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞は、がんの処置において使用するためのものであり、その場合、腫瘍細胞はPD-L1陰性である。好ましくは、医薬として使用するための抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞は、感染性疾患、好ましくは慢性感染性疾患、なおいっそうより好ましくはHIV、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸系発疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ロタウイルス、はしかウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、及びアルボウイルス脳炎ウイルスからなる群から選択されるウイルスにより引き起こされる感染性疾患の予防又は処置において使用するためのものである。
【0030】
特別な態様では、抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞は、リンパ球減少性障害を有する患者の処置において使用するためのものである。
【0031】
特別な態様では、抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞は、免疫抑制状態、免疫不全状態、又は免疫低下状態の対象を処置するための薬物として使用するためのものである。別の特別な態様では、対象は高い遺伝子変異量(mutation burden)及び新生抗原密度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】ELISA及びFACSによるヒトPD1上での異なるヒト化抗PD1バリアント抗体の結合性を示す図である: A:異なる濃度(ng/ml)の抗体の結合性のELISA分析:キメラ(黒丸)及びヒト化抗PD1バリアント抗体(LD軽鎖バリアントに合体したHC(黒四角)、HE(黒上三角)、HG(黒下三角)、HH(黒菱形)、HJ(白丸)、HI(白四角)、HK(白三角)、HL(×)重鎖バリアント)。検出は、ペルオキシダーゼとカップリングしたロバ抗ヒト抗体を用いて実施し、また顕色は、TMB基質を使用して450nmにおける比色定量により実施した。ED50とは、このアッセイにおいてシグナルの50%に達するのに必要とされる濃度を指す。B: CD3/CD28刺激ヒトPBMC上でのサイトフルオロメトリーによる抗体結合性の評価。HELC(黒四角)、HELD(黒下三角)の連続希釈物(μg/ml)を添加し、そしてPE標識されたマウス抗ヒトFc mAb及びCanto IIサイトメーターを使用して顕色化した。データは、PD1+陽性CD3+ T細胞集団において染色したときの平均蛍光強度(MFI)で表わす。C: CD3/CD28刺激T細胞上でのサイトフルオロメトリーによる抗体結合性の評価。ヒト化抗体の連続希釈物(μg/ml)を添加し、そしてPE標識されたマウス抗ヒトFc mAb及びCanto IIサイトメーターを使用して顕色化した。データは、PD1+陽性CD3+ T細胞集団において染色したときの平均蛍光強度(MFI)で表わす。
【
図2A】ヒト化プロセス中にアミノ酸を変異させた後の、ヒトPD1に対するいくつかのヒト化抗PD1抗体の結合喪失を示す図である: Kabat位置97(すなわち、従来のアミノ酸位置101)にて重鎖可変部において変異させた後のヒト化抗PD1バリアントのELISA結合性。(A): Kabat位置R96において、HC(E97)LB2(黒丸)及びHC(D97)LB2(白四角)をキメラ(白三角)と比較する。重鎖の場合、Kabat位置96は配列位置100に対応し、またKabat位置97は、配列位置101に対応する。軽鎖の場合、Kabat位置28は配列位置33に対応し、Kabat位置34は配列位置39に対応し、またKabat位置94は配列位置99に対応する。
【
図2B】ヒト化プロセス中にアミノ酸を変異させた後の、ヒトPD1に対するいくつかのヒト化抗PD1抗体の結合喪失を示す図である: Kabat位置97(すなわち、従来のアミノ酸位置101)にて重鎖可変部において変異させた後のヒト化抗PD1バリアントのELISA結合性。(B): HELD(黒丸)及びHE(K96)LD(白四角)をキメラ(白三角)と比較する。重鎖の場合、Kabat位置96は配列位置100に対応し、またKabat位置97は、配列位置101に対応する。軽鎖の場合、Kabat位置28は配列位置33に対応し、Kabat位置34は配列位置39に対応し、またKabat位置94は配列位置99に対応する。
【
図2C】ヒト化プロセス中にアミノ酸を変異させた後の、ヒトPD1に対するいくつかのヒト化抗PD1抗体の結合喪失を示す図である: Kabat位置97(すなわち、従来のアミノ酸位置101)にて重鎖可変部において変異させた後のヒト化抗PD1バリアントのELISA結合性。(C)、(D)及び(E): Kabat位置N28において軽鎖可変部上で変異させた後のヒト化抗PD1バリアントのELISA結合性。(C): Kabat位置V94において、HCLw(N28)(白四角)及びHCLw(Q28)(黒丸)をキメラ(白三角)と比較する。重鎖の場合、Kabat位置96は配列位置100に対応し、またKabat位置97は、配列位置101に対応する。軽鎖の場合、Kabat位置28は配列位置33に対応し、Kabat位置34は配列位置39に対応し、またKabat位置94は配列位置99に対応する。
【
図2D】ヒト化プロセス中にアミノ酸を変異させた後の、ヒトPD1に対するいくつかのヒト化抗PD1抗体の結合喪失を示す図である: Kabat位置97(すなわち、従来のアミノ酸位置101)にて重鎖可変部において変異させた後のヒト化抗PD1バリアントのELISA結合性。(C)、(D)及び(E): Kabat位置N28において軽鎖可変部上で変異させた後のヒト化抗PD1バリアントのELISA結合性。(D): Hwt-LA(E34)(黒四角)及びHwtLA(N34)(白菱形)をキメラ(白三角)と比較する。重鎖の場合、Kabat位置96は配列位置100に対応し、またKabat位置97は、配列位置101に対応する。軽鎖の場合、Kabat位置28は配列位置33に対応し、Kabat位置34は配列位置39に対応し、またKabat位置94は配列位置99に対応する。
【
図2E】ヒト化プロセス中にアミノ酸を変異させた後の、ヒトPD1に対するいくつかのヒト化抗PD1抗体の結合喪失を示す図である: Kabat位置97(すなわち、従来のアミノ酸位置101)にて重鎖可変部において変異させた後のヒト化抗PD1バリアントのELISA結合性。(C)、(D)及び(E): Kabat位置N28において軽鎖可変部上で変異させた後のヒト化抗PD1バリアントのELISA結合性。(E): Kabat位置E34においてHELD(V94)及びHELD(L94)をキメラ(白三角)と比較する。重鎖の場合、Kabat位置96は配列位置100に対応し、またKabat位置97は、配列位置101に対応する。軽鎖の場合、Kabat位置28は配列位置33に対応し、Kabat位置34は配列位置39に対応し、またKabat位置94は配列位置99に対応する。
【
図3】PD1結合性について、4℃又は37℃で7日後のヒト化抗PD1バリアント抗体のELISAによる安定性測定を示す図である。0日目(黒丸)、4℃-7日目(黒四角)、及び37℃-7日目(黒上三角)。
【
図4A】PD1-PDL1相互作用におけるヒト化抗PD1バリアント抗体のアンタゴニスト活性を示す図である。A: PD1に対する結合におけるPDL1とヒト化抗PD1バリアント抗体との間の競合をBiacore法により測定した。
【
図4B】PD1-PDL1相互作用におけるヒト化抗PD1バリアント抗体のアンタゴニスト活性を示す図である。B: PD1におけるヒト化抗体とPDL1との間の競合をBlitz法により測定した。データは結合応答の割合(%)で表わし、100%は抗体が存在しないときのPD1/PD-L1相互作用のKaを表す(相対的応答)。
【
図4C】PD1-PDL1相互作用におけるヒト化抗PD1バリアント抗体のアンタゴニスト活性を示す図である。C.漸増濃度のヒト化抗PD1バリアント抗体が存在するときの、PDL1に対するPD1の結合性試験をELISA法により行い、各バリアント抗体についてIC50値の測定を実現した。
【
図5A】PD1-PDL2におけるヒト化抗PD1バリアント抗体のアンタゴニスト活性を示す図である。A. PD1に対する結合におけるPDL2とヒト化抗PD1バリアント抗体との間の競合をBiacore法により測定した。
【
図5B】PD1-PDL2におけるヒト化抗PD1バリアント抗体のアンタゴニスト活性を示す図である。B. ELISA法による、漸増濃度のヒト化抗PD1バリアント(HKLD)抗体が存在するときの、PDL2に対するPD1の結合性試験。
【
図6】キメラバリアント及びキイトルーダ(Keytruda)と比較して、哺乳動物細胞内でのヒト化抗PD1バリアント抗体のより高い生産性を示す図である。12ウェル-プレート内で、接着CHO-K1細胞を、キイトルーダ、HKLD、又はキメラ抗PD-1抗体をコードするDNAで一時的にトランスフェクトした。生産性をELISAにより見積もった(検出用として固定化ロバ抗ヒトFc抗体を使用し、また顕色にはマウス抗ヒトκ+ペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗マウス抗体を用いた)。ヒトIvIgG標準を用いて濃度を決定した。データをキメラ抗PD-1抗体の生産性に対して標準化した。
【
図7】PD1シグナル伝達をブロックするヒト化抗PD1バリアント抗体のアンタゴニスト活性を測定する、SHP1-リン酸化に基づくバイオアッセイを示す図である。PD-1シグナル伝達を、Discoverxバイオアッセイを使用してテストした。測定された化学発光(RLU: (相対的発光シグナル)は、PD-1シグナル伝達の活性化に比例する。A:軽鎖のLDバリアントを有する異なる濃度(μg/ml)のヒト化抗PD1バリアント抗体を比較した結果を表す。B:重鎖のHEバリアントと合体した軽鎖のLD及びLCバリアント(HELC又はHELD抗体)を比較した結果を表す。IC50(ng/mL)は、50%のシグナル阻害に達するのに必要とされる濃度を指す。
【
図8】ヒト化抗PD1バリアント抗体が存在するときのT細胞活性化を測定するバイオアッセイを示す図である。Promega PD-1/PD-L1バイオアッセイを、NFATルシフェラーゼレポーターシステムを使用して実施した。各ヒト化抗PD1バリアント抗体の連続希釈物をテストした。X軸は、抗体の濃度をμg/mLで表す。EC50(μg/mL)は、最大発光の50%に達するのに必要とされる抗体の濃度を指す。
【
図9】混合白血球反応アッセイにおける、ヒト化PD-1抗体を用いた処置後のT細胞によるIFNγ分泌を示す図である。単球由来の樹状細胞を、異質遺伝子的CD4 T細胞と5日間同時培養した。A. ELISAにより定量化した上清中のIFNgレベル。HKLD(黒色の黒四角)又はIgG4アイソタイプコントロール(灰色の黒丸)抗体の用量曲線応答をテストした。データは4回の独立した実験を表す。統計的有意性
*p<0.05を、スチューデントのt検定を用いて計算した。
【
図10】ヒト型のPD-1を発現する中皮腫マウスモデルにおけるヒト化抗PD-1バリアントのin vivoでの有効性を示す図である。ヒトPD-1の細胞外部分を発現するように遺伝的に改変されたマウス(PDCD1遺伝子のエクソン2がヒトカウンターパートと置き換わっていた)(Oxford University Innovationよりライセンス供与された)。中皮腫AK7細胞を胸腔中に同所的に注射し、そして腫瘍増殖を、生物発光(光子数/s/cm2/sr)により測定し(A)、及び全生存を評価した(B)。マウスを、PBS(黒丸)(陰性コントロール)、又は抗PD-1ヒト化の形態(HKLDバリアント)(黒上三角)、又は抗PD-1コントロール(黒四角)を用いて処置した。
【
図11】ヒト型のPD-1を発現する異所性(ectopic)MC38結腸癌マウスモデルにおけるヒト化抗PD-1バリアントのin vivoでの有効性を示す図である。MC38を皮下注射し、PBS(灰色の黒丸)(陰性コントロール)、又は抗PD-1ヒト化の形態(HKLDバリアント)(黒色の黒上三角)を用いてマウスを処置し、そして腫瘍容積(A)及び全生存率(B)を評価した。
【
図12】肝臓癌マウスモデルにおけるヒト化抗PD-1バリアントのin vivoでの有効性を示す図である。マウスの門脈中にイノキュレーションされたHepa1.6細胞は、肝臓癌モデルを形成する。アイソタイプコントロールIgG4(灰色の黒丸)(陰性コントロール)、又は抗PD-1ヒト化の形態(HKLDバリアント)(黒色の黒丸)を用いてマウスを処置し、全生存を評価した。
【
図13A】単回注射後のカニクイザル及びマウスにおけるヒト化PD-1抗体の薬物動態を示す図である。A: HKLDバリアントIgG4 S228Pアイソタイプ(黒丸)、又はHKLDバリアントIgG1 N298Aアイソタイプ(黒四角)、又はキイトルーダ(1用量5mg/kg)(灰色の黒上三角)をBalb/Cマウスに静脈内注射した。抗PD-1抗体を、自家製のELISAにより又はMSD技術を使用して血清において定量化した。
【
図13B】単回注射後のカニクイザル及びマウスにおけるヒト化PD-1抗体の薬物動態を示す図である。B: HKLDバリアントIgG4 S228Pアイソタイプ(1用量5mg/kg)をBalb/Cマウスに静脈内注射(黒四角)又は皮下注射(黒丸)した。抗PD-1抗体を、自家製のELISAにより又はMSD技術を使用して血清において定量化した。
【
図13C】単回注射後のカニクイザル及びマウスにおけるヒト化PD-1抗体の薬物動態を示す図である。C: HKLDバリアントを1mg/kg(黒丸)又は5mg/kg(黒四角)でカニクイザルに経静脈内注射した。抗PD-1抗体を、自家製のELISAにより又はMSD技術を使用して血清において定量化した。
【
図14A】マクロファージにおいてPD-L1/PD-1陰性相互作用をブロックすることにより、ヒト化抗PD-1はPD-L1陰性腫瘍細胞の食作用を促進することを示す図である。A.食作用アッセイのためにRaji細胞、M0、M1、及びマクロファージのPD-1/PD-L1フローサイトメトリー染色を使用した。
【
図14B】マクロファージにおいてPD-L1/PD-1陰性相互作用をブロックすることにより、ヒト化抗PD-1はPD-L1陰性腫瘍細胞の食作用を促進することを示す図である。B.ヒト化抗PD-1抗体を用いたin vitroでの食作用アッセイ。ヒトM1マクロファージをCell Proliferation Dye eFluor450で染色し、そしてリツキシマブ(10ng/mL)及びアイソタイプコントロール、又はヒト化抗PD-1(HKLD、10μg/mL)の存在下で、CPDeFluor670標識されたRaji細胞と共に1時間インキュベートした。データは3回の独立した実験の食作用を表し、そして最大食作用に対して標準化した。
【
図14C】マクロファージにおいてPD-L1/PD-1陰性相互作用をブロックすることにより、ヒト化抗PD-1はPD-L1陰性腫瘍細胞の食作用を促進することを示す図である。C.アイソタイプコントロール、ヒト化抗PD-1、ペンブロリズマブ、又はニボルマブ抗体(10μg/mL)の存在下で、M1マクロファージ及びRaji細胞を用いて同じ食作用アッセイを実施した。
【
図14D】マクロファージにおいてPD-L1/PD-1陰性相互作用をブロックすることにより、ヒト化抗PD-1はPD-L1陰性腫瘍細胞の食作用を促進することを示す図である。D.アイソタイプコントロール、ヒト化抗PD-1と共にインキュベートしたRaji細胞を用いた、M0マクロファージ対M1マクロファージの食作用アッセイ。データを、アイソタイプコントロールと比較した食作用倍率変化として表わす。
【発明を実施するための形態】
【0033】
緒言
本発明のヒト化抗hPD1抗体(HKLD)は下記の長所のいずれも有する:
- ヒト化率(%)が高く、特に重鎖について91.07%、及び軽鎖について88.7%のT20ヒトらしさスコアを有する。比較した場合、臨床的に承認された抗体であり、また標準でもあるキイトルーダと呼ばれる抗PD1抗体は、重鎖について75.7%及び軽鎖について82.7%のT20ヒトらしさスコアを有する(Table 9(表14)を参照)。T20ヒトらしさスコアは抗体のヒト化の分野で一般的に使用されるパラメーターであり、Gaoら(BMC Biotechnol、2013、13巻、55頁)により最初に開示された。T20ヒトらしさスコアは、ヒト化抗体を定義するために、特許出願(例えば、国際公開第15161311号、同第17127664号、同第18136626号、同第18190719号、同第19060750号、又は同第19170677号)で通常使用される。
- 哺乳動物細胞(例えば、COS、CHO)内で生産されたときに、キメラ抗体と比較して、高い製造可能性及び高い生産性効率を驚異的に示す。実際、CHO細胞及びCOS細胞では、キメラ抗体と比較して産生性は3~4倍増加し(Table 11(表16)を参照)、またキイトルーダと比較して産生性は2倍増加した(
図6を参照)。
- ヒトPD-1に対して10
-8M未満の結合親和性(KD)を示す。異なる方法により評価されるように、本発明のヒト化抗体は、キメラ抗体と比較した場合、PD-1に対して改善した結合性を示す。ヒト化抗体HKLDの親和性は、キイトルーダと呼ばれる抗PD1抗体の親和性に匹敵する(Table 7(表12)を参照)。
- アンタゴニスト活性を有し、そしてヒトPD-1に対するヒトPD-L1及び/又はPD-L2の結合を阻害する(Table 13(表18)を参照)。より具体的には、キメラ抗体と比較したとき、本発明のヒト化抗体は、PD1発現細胞に対して結合性の改善(
図1C)及びアンタゴニスト能力の改善(Table 14(表19)及びTable 15(表20)を参照)を示す。
- きわめて安定である(Table 12(表17)を参照)。
- PD-1シグナル伝達(SHP-1リン酸化及びリクルートメント、cf.Table 15(表20)及び
図7)をブロックし、またT細胞活性化(NFAT媒介式の活性化、cf. Table 16(表21)及び
図8)を促進する。
- ヒトT細胞によるエフェクターサイトカインの分泌、より具体的にはIFNgサイトカインの分泌を刺激する(
図9)。
- 従って、T細胞活性化を回復させることができる。
- In vivoで抗腫瘍免疫応答を促進する。実際、本発明のヒト化抗体は、数種類の腫瘍において腫瘍サイズを減少させ、また生存率を増加させることができる(
図10~
図12)。
- マクロファージ上でのPDL1/PD-1結合をブロックすることにより、PD-L1陰性である腫瘍細胞の食作用を強化することができるので、驚異的な追加の長所を有する(
図14)。この効果は、本発明のヒト化抗PD-1抗体に固有であり、その他の抗PD-1抗体、特にペンブロリズマブ及びニボルマブでは観測されなかった(
図14C)。従って、本発明のヒト化抗PD-1抗体は、この食作用を通じて、PD-L1を発現しない腫瘍細胞に対する免疫応答を誘発する。この特性は、免疫抑制状態若しくは免疫低下状態の患者にとって、及び/又はPD-L1を発現しない腫瘍細胞を含む腫瘍の処置にとって特に興味深い。より具体的には、T細胞、特に腫瘍浸潤性T細胞の数が低いと考えられ、及び/又は疲弊したT細胞の数が高い患者を処置するのに有用である。実際、抗体は、マクロファージによる食作用の活性化を通じて、追加の抗腫瘍効果を有し得る。理論に固執しなければ、本発明者らは、マクロファージにおける本発明の抗体の固有の効果は、同一の細胞、すなわち同一のマクロファージ上においてPD-1及びPD-L1に結合するその能力に起因し得るものと考える。
- 最後に、本発明のヒト化抗体は、好ましい薬物動態を示す(
図13)。
【0034】
総じて、本発明のヒト化抗PD1抗体は、キイトルーダ(すでに臨床承認されている抗PD1)と比較しても非常に高度のヒト化を示す。キメラ抗体と比較すると、該抗体は、より良好な生産性効率、より良好なPD-1に対する結合性、及びより良好なアンタゴニスト能力を驚異的に示す。該抗体は、安定であり、且つ好ましい薬物動態を有する。該抗体は、in vivoでT細胞の活性化を強化し、マクロファージによる食作用を活性化させ、及び抗腫瘍免疫応答を促進する。
【0035】
定義
本発明がより容易に理解され得るように、所定の用語を以下で定義する。追加の定義を、「発明を実施するための形態」全体を通じて定める。
【0036】
別途定義されなければ、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記、及びその他の科学的専門用語は、本発明が関係する当業者により一般的に理解される意味を有するように意図されている。あるケースでは、一般的に理解される意味を有する用語が本明細書において定義されるが、それは明確にするため及び/又は速やかに参照できるようにするためであって、そのような定義が本明細書に含まれるからといって、それは必ずしも、当技術分野において一般的に理解されるものとは異なることを表すものと解釈すべきでない。本明細書に記載され又は引用される技術及び手順は、一般的に十分理解され、また従来法を使用しながら、当業者により一般的に採用される。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「プログラム死1」、「プログラム細胞死1」、「PD1」、「PD-1」、「PDCD1」、「PD-1抗原」、「ヒトPD-1」、「hPD-1」、及び「hPD1」は、交換可能に使用され、またCD279としても知られているプログラム死-1受容体を指し、またヒトPD-1のバリアントとアイソフォーム、及び少なくとも1つのPD-1と共通するエピトープを有するアナログを含む。PD-1は、免疫応答及び末梢免疫寛容の閾値の主要な制御因子である。それは、活性化T細胞、B細胞、単球、及び樹状細胞上で発現しており、そしてそのリガンドPD-L1及びPD-L2と結合する。ヒトPD-1は、PDCD1遺伝子によりコードされる。例として、ヒトPD-1のアミノ酸配列が、GenBank受け入れ番号NP_005009として開示されている。PD1は、ヒト末梢血単核球(PBMC)上で発現する4つのスプライスバリアントを有する。従って、PD-1タンパク質には、完全長PD-1、並びにPD-1の代替スプライスバリアント、例えばPD-1Aex2、PD-1Aex3、PD-1Aex2,3、及びPD-1Aex2,3,4が含まれる。別途規定しない限り、該用語には、PBMCにより天然に発現されるヒトPD-1の任意のバリアントとアイソフォーム、又はPD-1遺伝子でトランスフェクトされた細胞により発現されるものが含まれる。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子の種類を記載し、またその最も広い意味合いで使用される。特に、抗体には、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な断片、すなわち抗原結合部位を含有する分子が含まれる。免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスの分子であり得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、α、δ、ε、γ、及びμ、とそれぞれ呼ばれる。別途特別に指摘されない限り、用語「抗体」には、天然の免疫グロブリン及び「抗体断片」又は「抗原結合断片」(例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv)、単鎖(scFv)、その変異体、抗体部分を含む分子、ダイアボディ、直鎖抗体(linear antibody)、単鎖抗体、並びに抗体のグリコシル化バリアント、抗体のアミノ酸配列バリアントを含む、必要とされる特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意のその他の改変されたコンフィギュレーションが含まれる。好ましくは、用語「抗体」とは、ヒト化抗体を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合断片」とは、抗体の一部分、すなわちPD-1に対して、おそらくはその天然の形態において抗原結合能力を示す、本発明の抗体の構造の一部分に対応する分子を意味する;そのような断片は、対応する4本鎖の抗体の抗原結合特異性と比較して、前記抗原に対して同一又は実質的に同一の抗原結合特異性を特に示す。有利には、抗原結合断片は、対応する4本鎖の抗体と類似した結合親和性を有する。しかしながら、対応する4本鎖の抗体に関して抗原結合親和性が低下している抗原結合断片もまた本発明の内に包含される。抗原結合能力は、抗体と標的断片との間の親和性を測定することにより決定可能である。この抗原結合断片は、抗体の「機能的断片」とも称され得る。抗体の抗原結合断片は、CDR(相補性決定領域)と称されるその高頻度可変性ドメイン、又は抗原、すなわちPD1の細胞外ドメインに対する認識部位(これにより抗原認識特異性を定義する)を包含するその部分を含む断片である。
【0040】
「Fab」断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含有する。Fab'断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端に抗体ヒンジ領域に由来する1つ又は複数のシステインを含む数残基を付加することからFab断片とは異なる。F(ab')断片は、F(ab')2ペプシン消化生成物のヒンジシステインにおけるジスルフィド結合を切断することにより産生される。抗体断片の追加の化学的カップリングは当業者にとって公知である。Fab及びF(ab')2断片は、天然の抗体のFc断片を欠いており、動物の循環からより迅速に排出され、また天然の抗体よりも非特異的組織結合が低いと考えられる(例えば、Wahlら、1983, J. Nucl. Med. 24巻:316頁を参照)。
【0041】
「Fv」断片は、抗体の最低限度の断片であり、完全な標的認識及び結合部位を含有する。この領域は、非共有結合的に緊密に会合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとのダイマーから構成される(VH-VLダイマー)。各可変ドメインの3つのCDRが相互に作用して、VH-VLダイマーの表面上で標的結合部位を定義するのはこのコンフィギュレーションにおいてである。多くの場合、6つのCDRが、抗体に対する標的結合特異性を付与する。しかしながら、いくつかの事例では、単一可変ドメイン(又は標的に対して特異的なCDRを3つしか含まないFvの半分)でさえも、結合部位全体よりも親和性が劣るものの、標的を認識し、そしてそれに結合する能力を有し得る。
【0042】
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体結合断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一ポリペプチド鎖中に存在する。一般的に、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間に、scFvが標的結合に対して所望の構造を形成するのを可能にするポリペプチドリンカーを更に含む。
【0043】
「単一ドメイン抗体」は、PD-1に対して十分な親和性を示す単一のVHドメイン又はVLドメインから構成される。特別な実施形態では、単一ドメイン抗体は、ラクダ化抗体である(例えば、Riechmann、1999, Journal of Immunological Methods 231巻:25~38頁を参照)。
【0044】
構造に関して、抗体は、ジスルフィド結合により相互に接続した重鎖(H)及び軽鎖(L)を有し得る。2種類の軽鎖、ラムダ(λ)及びカッパ(κ)が存在する。重鎖及び軽鎖のそれぞれは定常領域及び可変領域(又は「ドメイン」)を含有する。軽鎖及び重鎖可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」とも呼ばれる3つの高度可変領域により分断された「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域及びCDRの範囲は定義されている(本明細書により参考として組み込まれている、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest, and U.S. Department of Health and Human Services, 1991を参照)。好ましくは、CDRはKabat法に従い定義される。フレームワーク領域は、鎖間の非共有結合的相互作用により、CDRを正しい方向に配置させるスキャフォールドを形成するように作用する。CDRは抗原のエピトープに対する結合性に主に関与する。各鎖のCDRは、「相補性決定領域1」又は「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」と一般的に呼ばれ、N末端から開始して連続的に番号が振られる。本発明による抗体のVL及びVHドメインは、当技術分野及び本明細書において「フレームワーク領域1」、又は「FR1」、「FR2」、「FR3」、及び「FR4」とそれぞれ呼ばれる、4つのフレームワーク領域又は「FR」を含み得る。これらのフレームワーク領域及び相補性決定領域は、好ましくは下記の順番: FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4(アミノ末端からカルボキシ末端へ)で作動可能にリンクしている。
【0045】
「抗体重鎖」とは、本明細書で使用される場合、抗体コンフォメーション中に存在する2種類のポリペプチド鎖のうちより大きい方を指す。抗体重鎖のCDRは、「HCDR1」、「HCDR2」、及び「HCDR3」と一般的に呼ばれる。抗体重鎖のフレームワーク領域は、「HFR1」、「HFR2」、「HFR3」、及び「HFR4」と一般的に呼ばれる。
【0046】
「抗体軽鎖」とは、本明細書で使用される場合、抗体コンフォメーション中に存在する2種類のポリペプチド鎖のうちより小さい方を指し、κ及びλ軽鎖が2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプに該当する。抗体軽鎖のCDRは、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCDR3」と一般的に呼ばれる。抗体軽鎖のフレームワーク領域は、「LFR1」、「LFR2」、「LFR3」、及び「LFR4」と一般的に呼ばれる。
【0047】
標的分子に対する抗体の結合性に関して、用語「~に結合する」又は「結合性」とは、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、及び抗体(抗体断片を含む)が抗原を認識し、それと接触することを指す。好ましくは、該用語は抗原-抗体タイプの相互作用を指す。特定の抗原(例えば、PD-1)又は特定の抗原(例えば、PD-1)上のエピトープに対する、用語「特異的結合」、「~と特異的に結合する」、「~に対して特異的」、「~に選択的に結合する」、及び「~に対して選択的」とは、抗体がサンプル中の特異抗原を認識し及びそれに結合するが、しかしその他の分子を実質的に認識しない又はそれに結合しないことを意味する。例えば、PD-1又はPD-1エピトープと特異的(又は選好的)に結合する抗体は、例えばその他のPD-1エピトープ又は非PD-1エピトープと結合する場合よりも高い親和性、アビディティーを有して、容易に、及び/又は長い期間、このPD-1エピトープに結合する抗体である。好ましくは、用語「特異的結合」とは、10-7Mに等しい又はそれより低い結合親和性を有する抗体と抗原との間の接触を意味する。特定の態様では、抗体は、10-8M、10-9M、又は10-10Mに等しい又はそれより低い親和性を有して結合する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「PD-1抗体」、「抗PD-1抗体」、「PD-1 Ab」、「PD-1特異抗体」、又は「抗PD-1 Ab」又は「ヒト化抗PD-1抗体」は交換可能に使用され、そしてPD-1、好ましくはヒトPD-1と特異的に結合する、本明細書に記載されるような抗体を指す。いくつかの実施形態では、抗体は、PD-1の細胞外ドメインと結合する。特に、抗PD-1抗体は、PD-1抗原に結合する能力を有し、及びPD-1媒介式のシグナル伝達経路を阻害し、これにより免疫応答、例えばT細胞の活性化等を強化する抗体である。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「ヒト化抗体」は、別の哺乳動物種、例えばマウス等の生殖細胞系に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列にグラフト化された抗体(例えば、非ヒト抗体に由来する配列を最低限度で含有するキメラ抗体)を指すように意図されている。抗体の「ヒト化の形態」、例えば非ヒト抗体とは、ヒト化が施された抗体も指す。ヒト化抗体は、オリジナルの抗体の望ましい特異性、親和性、及び能力を維持しつつ、1つ又は複数のCDRに由来する残基が非ヒト抗体(ドナー抗体)の少なくとも1つのCDRに由来する残基に置き換わっている、一般的にヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ドナー抗体は、望ましい特異性、親和性、又は生物学的効果を有する、任意の適する非ヒト抗体、例えばマウス、ラット、ウサギ、ニワトリ、又はヒト以外の霊長類の抗体であり得る。いくつかの事例では、レシピエント抗体の選択されたフレームワーク領域の残基は、ドナー抗体に由来するフレームワーク領域の残基に置き換わっている。或いは、ドナー抗体の選択されたフレームワーク領域の残基が、ヒト又はヒト化抗体に由来するフレームワーク領域の残基に置き換わっている。ヒトフレームワーク配列内で、追加のフレームワーク領域の改変をなし得る。ヒト化抗体は、従ってレシピエント抗体又はドナー抗体のいずれにも見出されない残基も含み得る。そのようなアミノ酸の改変は、抗体機能を更に精緻化するためになし得、及び/又はヒト化プロセスを向上させ得る。「アミノ酸の変更」又は「アミノ酸の改変」とは、本明細書では、ポリペプチドのアミノ酸配列の変更を意味する。「アミノ酸の改変」には、ポリペプチド配列における置換、挿入、及び/又は欠損が含まれる。「アミノ酸置換」又は「置換」とは、本明細書では、親ポリペプチド配列内の特定の位置にあるアミノ酸と別のアミノ酸との交換を意味する。「アミノ酸の挿入」又は「挿入」とは、親ポリペプチド配列内の特定の位置におけるアミノ酸の付加を意味する。「アミノ酸の欠損」又は「欠損」とは、本明細書では、親ポリペプチド配列内の特定の位置にあるアミノ酸の除去を意味する。アミノ酸置換は保存的であり得る。保存的置換は、所与のアミノ酸残基と類似した化学特性(例えば、電荷、バルク、及び/又は疎水性)を備える側鎖「R基」を有する別の残基との交換である。本明細書で使用される場合、「アミノ酸の位置」又は「アミノ酸の位置番号」は交換可能に使用され、そしてアミノ酸配列内の特定のアミノ酸の位置を指し、一般的にアミノ酸に対する1文字コードで特定される。アミノ酸配列内の最初のアミノ酸(すなわち、N末端から開始する)は、位置1を有するものとみなされる。
【0050】
保存的置換は、所与のアミノ酸残基と類似した化学的特性(例えば、電荷、バルク、及び/又は疎水性)を備える側鎖(「R基」)を有する別の残基との交換である。一般的に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に変化させない。保存的置換及び対応する規則は、最新技術分野において十分記載されている。例えば、保存的置換は、下記の表に反映されるアミノ酸の群内の置換により定義され得る:
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
本明細書で使用される場合、「単離された抗体」とは、その天然環境のコンポーネントから分離及び/又は回収された抗体である。単離された抗体には、抗体の天然環境の少なくとも1つのコンポーネントが存在しないことから、組換え細胞内のin situ抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体は、均質になるまで、並びに/或いは、例えば還元又は非還元条件の下で、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動法(IEF)、キャピラリー電気泳動)、又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)により決定されるように、90%、95%、又は99%を上回る純度まで精製される。
【0055】
用語「~から派生する」及び「~に由来する」とは、本明細書で使用される場合、親化合物又はタンパク質の構造に由来する構造を有する化合物を指し、その構造は本明細書で開示されるものと十分に類似しており、またその類似性に基づき、主張される化合物と同一の又は類似した特性、活性、及びユーティリティーを示すものと当業者は期待する。例えば、マウス抗体に由来するヒト化抗体とは、例えば同一のエピトープを認識し、抗体のヒト化に関与し、及び/又はそれを高める改変された残基を有する類似したVH及びVLを共有する、マウス抗体と類似した特性を共有する抗体又は抗体断片を指す。
【0056】
用語「処置」とは、患者の健康状態を良化させること、例えば疾患又は疾患の症状の治療、防止、予防、及び遅延等を意図した任意の行為を指す。それは、疾患の根治的処置及び/又は予防的処置の両方を指す。根治的処置は、治癒を引き起こす処置、或いは疾患若しくは疾患の症状、又は疾患若しくは疾患の症状が直接若しくは間接的に引き起こす苦しみを緩和、改善、及び/又は除去し、低下及び/又は安定化させる処置として定義される。予防処置は、疾患の予防を引き起こす処置、並びに疾患の進行及び/又は罹病率又はその発生リスクを低下及び/又は遅延させる処置の両方を含む。特定の実施形態では、そのような用語は、疾患、障害、感染症、又はそれと関連する症状の改善又は根絶を指す。その他の実施形態では、この用語は、がんの拡散又は増悪を最低限に抑えることを指す。本発明に基づく処置は、100%又は完全な処置を必ずしも意味しない。むしろ、処置の程度には相違が認められ、その程度を、当業者は潜在的利益又は治療効果を有するものとして認識する。好ましくは、用語「処置」とは、1つ又は複数の活性な薬剤を含む組成物を、例えばPD-1により媒介されるシグナル伝達経路と関連する障害/疾患を有する対象に適用又は投与することを指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「障害」又は「疾患」とは、遺伝子的誤り又は発育異常、感染症、毒物、栄養上の欠乏、又はアンバランス、毒性、又は好ましくない環境因子の効果に起因して、正しく機能しない身体の臓器、部分、構造、若しくは系を指す。好ましくは、これらの用語は、健康障害又は疾患、例えば正常な身体的又は精神的機能を破綻させる疾病を指す。より好ましくは、障害という用語は、動物及び/又はヒトに影響を及ぼす免疫及び/又は炎症性疾患、例えばがん等を指す。
【0058】
用語「免疫疾患」とは、本明細書で使用される場合、対象の免疫学的反応により、対象自身の細胞、組織、及び/又は臓器に対して引き起こされた細胞、組織、及び/又は臓器の傷害により特徴づけられる、対象における状態を指す。用語「炎症性疾患」とは、炎症、例えば慢性炎症により特徴づけられる対象における状態を指す。自己免疫障害は、炎症と関連する場合もあれば、関連しない場合もある。それに加えて、炎症は、自己免疫障害により引き起こされる場合もあれば、引き起こされない場合もある。
【0059】
用語「がん」は、本明細書で使用される場合、異常な細胞の急速且つ無制御の増殖により特徴づけられる疾患として定義される。がん細胞は、局所的に又は血流及びリンパ系を通じて身体のその他の部分まで拡散するおそれがある。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「PD-1と関連する又は関係する疾患」、「PD-1陽性がん」、又は「PD-1陽性感染性疾患」とは、PD-1発現に起因する、又はPD-1発現の症状/特徴を有するがん又は感染性疾患(例えば、ウイルス及び/又は細菌により引き起こされた)、すなわちPD-1の発現又は活性の増減により引き起こされ、それにより悪化し、さもなければそれとリンクした任意の状態を指すように意図されている。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「対象」、「宿主」、「個人」、又は「患者」とは、成人及び小児を含むヒトを指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」とは、任意選択的なその他の化学成分、例えば生理学的に好適な担体及び添加剤等と共に、例えば本発明によるヒト化抗PD1抗体等を含む、活性な薬剤のうちの1つ又は複数からなる調製物を指す。医薬組成物の目的は、生物に対する活性な薬剤の投与を容易にすることである。本発明の組成物は、任意の従来投与経路又は用途に適する形態であり得る。1つの実施形態では、「組成物」は、活性な薬剤、例えば化合物又は組成物、及び自然発生的若しくは非自然発生的担体、不活性(例えば、検出可能な薬剤若しくは標識)若しくは活性な、例えばアジュバント、賦形剤、バインダー、安定剤、バッファー、塩、親油性溶媒、防腐剤、アジュバント等の組合せを一般的に意図し、また薬学的に許容される担体を含む。「許容される媒体」又は「許容される担体」は、本明細書で引用される場合、医薬組成物を製剤化する際に有用であることが当業者にとって公知である任意の公知の化合物又は化合物の組合せである。
【0063】
「有効量」又は「治療有効量」とは、本明細書で使用される場合、単独又は1つ若しくは複数のその他の活性な薬剤と組み合わせて、対象に対して治療効果を付与するのに必要とされる活性な薬剤の量、例えば、標的とされる疾患若しくは障害を処置し、又は所望の効果を生み出すのに必要とされる活性な薬剤の量を指す。「有効量」は、薬剤、疾患及びその重症度、年齢、身体状態、サイズ、性別、並びに体重を含む処置される対象の特徴、処置の期間、同時療法(もしあれば)の性質、具体的投与の経路、並びに医療専門家の知識及び専門技術内の類似した要因に応じて変化する。これらの因子は当業者に周知されており、またルーチン実験を超えずに対処可能である。個々のコンポーネント又はその組合せの最高用量、すなわち健全な医学的な判断に基づく最高安全用量が使用されることが一般的に好ましい。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「医薬」とは、障害又は疾患に対して治癒的又は予防的特性を有する任意の物質又は組成物を指す。
【0065】
用語「組み合わせて」とは、本明細書で使用される場合、1つより多くの療法(例えば、予防剤及び/又は治療剤)の使用を指す。用語「組み合わせて」の使用では、療法(例えば、予防剤及び/又は治療剤)が疾患又は障害を有する対象に対して投与される順序について制限はない。
【0066】
用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、及び「核酸配列」は等価であり、また任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態、例えばRNA又はDNA又はそのアナログを指す。本発明の核酸(例えば、核酸のコンポーネント又は部分)は、天然に存在し、改変され、又は工学操作され得る。工学操作された核酸には、組換え核酸及び合成核酸が含まれる。「抗PD1抗体をコードする単離された核酸」とは、単一のベクター又は個別のベクター内のそのような核酸分子、及び宿主細胞内の1つ又は複数の場所に存在するそのような核酸分子を含む、抗体重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする1つ又は複数の核酸分子を指す。本明細書で使用される場合、用語「核酸コンストラクト」、「プラスミド」、及び「ベクター」は等価であり、またパッセンジャー核酸配列、例えばDNA又はRNA等を宿主細胞中に移送する役目を果たす核酸分子を指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「宿主細胞」は、本発明の抗体コンストラクトをコードするベクター、外因性核酸分子、及びポリヌクレオチドのレシピエント、並びに/或いは抗体コンストラクトそのもののレシピエントとなり得る又はレシピエントとなっている任意の個別の細胞又は細胞培養物を含むように意図されている。各物質の細胞中への導入は、変換、トランスフェクション等によって実施可能である。用語「宿主細胞」は、単一細胞の子孫又は潜在的子孫を含むようにやはり意図されている。宿主細胞として、細菌細胞、微生物細胞、植物細胞、及び動物細胞が挙げられる。
【0068】
「免疫細胞」とは、本明細書で使用される場合、骨髄において産生される造血幹細胞(HSC)、リンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、及びナチュラルキラーT細胞(NKT))、及び骨髄系由来細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞)から派生する先天免疫及び適応免疫に関与する細胞、例えば白血球(white blood cell又はleukocyte))等を指す。特に、免疫細胞は、B細胞、T細胞、特にCD4+ T細胞とCD8+ T細胞、NK細胞、NKT細胞、APC細胞、樹状細胞、及び単球を含む非網羅的リストにおいて選択され得る。「T細胞」には、本明細書で使用される場合、例えばCD4+ T細胞、CD8+ T細胞、Tヘルパー1型T細胞、Tヘルパー2型T細胞、Tヘルパー17型T細胞、及び阻害性T細胞が含まれる。
【0069】
用語「免疫応答」とは、侵入性病原体、病原体に感染した細胞若しくは組織、がん性細胞(又は自己免疫若しくは病理学的炎症の場合には、正常なヒト細胞若しくは組織)に対する選択的損傷、それらの破壊、又はそれらの人体からの除去を引き起こす、例えばリンパ球、抗原提示細胞、食細胞、果粒球、及び上記細胞又は肝臓により産生される可溶性高分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)の作用を指す。
【0070】
用語「アンタゴニスト」とは、本明細書で使用される場合、別の物質の活性又は機能性をブロック又は低下させる物質を指す。特に、この用語は、参照物質(例えば、PD-L1及び/又はPD-L2)のように細胞受容体(例えば、PD-1)と結合して、該受容体がその通常の生物学的効果(例えば、免疫抑制的微環境の創出)の全部又は一部を産生するのを阻止する抗体を指す。本発明によるヒト化抗体のアンタゴニスト活性は、競合ELISAにより評価され得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「単離された」とは、列挙した物質(例えば、抗体、ポリペプチド、核酸等)が、それが自然界で生ずる際にそれに付随するその他の物質から実質的に分離している、又はそれと比較して富化していることを表す。特に、「単離された」抗体は、その天然環境のコンポーネントから識別及び分離及び/又は回収された抗体である。例えば、単離された抗体は、(1)ローリー法により決定されるように、抗体の75質量%を上回るまで、又は(2)還元若しくは非還元条件下でのSDS-PAGEにより均質となるまで精製される。単離された抗体には、抗体の天然環境の少なくとも1つのコンポーネントが存在しないことから、組換え細胞内のin situ抗体が含まれる。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0072】
用語「及び/又は」は、本明細書で使用される場合、2つの特定の特性又はコンポーネントそれぞれの、他方を含む又は含まない特別な開示として理解される。例えば、「A及び/又はB」は、(i) A、(ii) B、及び(iii) A且つBのそれぞれが個別に記載されるかのように、そのそれぞれの特別な開示として理解される。
【0073】
用語「a」又は「an」とは、複数の要素のうちの1つ、又は複数の要素のうちの2つ以上のいずれかが記載されていることが文脈的に明白である場合を除き、それが改変する複数の要素のうちの1つ又は複数を指し得る(例えば、「a reagent(試薬)」は、1つ又は複数の試薬を意味し得る)。
【0074】
用語「約」とは、あらゆるすべての数値と関連づけて本明細書で使用される場合(数値範囲の下限及び上限を含む)、最大±10%(例えば、±0.5%、±1%、±1.5%、±2%、±2.5%、±3%、±3.5%、±4%、±4.5%、±5%、±5.5%、±6%、±6.5%、±7%、±7.5%、±8%、±8.5%、±9%、±9.5%)のばらつきの許容範囲を有する任意の数値を意味する。一連の数値の冒頭で用語「約」を使用する場合、それはそれぞれの数値を改変する(すなわち、「約1、2、及び3」とは、約1、約2、及び約3を指す)。更に、本明細書において数値の列挙が記載されるとき(例えば、約50%、60%、70%、80%、85%、又は86%)、該列挙にはすべてのその中間の数値及び小数値が含まれる(例えば、54%、85.4%)。
【0075】
ヒトPD-1に対するヒト化抗体
ヒトPD-1と結合するヒト化抗体が本明細書に提示される。いくつかの態様では、ヒト化抗体は、ヒトPD-1、好ましくはヒトPD-1の細胞外ドメインと特異的に結合する。いくつかの態様では、ヒト化抗体は、完全長ヒトPD-1、PD-1Aex2、PD-1Aex3、PD-1Aex2,3、及びPD-1Aex2,3,4のうちの1つ又は複数と選択的に結合する。
【0076】
いくつかの態様では、ヒト化抗PD1抗体は、単離された抗体、特に非天然の単離された抗体である。そのような単離されたヒト化抗PD1抗体は、少なくとも1つの精製工程により調製され得る。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、少なくとも80質量%、85質量%、90質量%、95質量%、又は99質量%まで精製される。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、少なくとも85質量%、90質量%、95質量%、98質量%、99質量%~100質量%の抗体を含む溶液として提供され、質量の残りの部分は溶媒に溶解したその他の溶質の質量に該当する。
【0077】
本発明による抗PD1抗体のヒト化の形態は、任意のクラスの免疫グロブリン、例えばIgD、IgE、IgG、IgA、又はIgM(又はそのサブクラス)等、ヒトPD-1を標的とする非ヒト(例えば、マウス)免疫グロブリンに由来する最低限度の配列を含有する免疫グロブリン鎖又はその断片(例えば、抗体のFv、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、又はその他の抗原結合配列等)を含み得る。好ましくは、本発明によるヒト化抗hPD-1抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4、好ましくはIgG4に由来する。
【0078】
好ましくは、ヒトPD-1に対するヒト化抗体はモノクロナール抗体である。
【0079】
好ましくは、そのような抗体は、PD-1とそのリガンド(例えば、PD-L1及び/又はPD-L2)の少なくとも1つとの間の相互作用をブロック又は阻害する能力を有する。「結合をブロックする」又は「相互作用をブロックする」又は「相互作用を阻害する」能力とは、本明細書で使用される場合、2分子(例えば、PD-1とそのリガンドPD-L1及び/又はPD-L2)間の結合相互作用を、任意の検出可能な程度まで阻止する抗体又は抗原結合断片の能力を指す。
【0080】
好ましくは、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトPD-1に対するヒトPD-L1及び/又はPD-L2の結合、より好ましくはヒトPD-1に対するヒトPD-L1及びPD-L2の結合のアンタゴニストである。
【0081】
特定の実施形態では、抗hPD1抗体又は抗原結合断片は、PD-1とそのリガンドの少なくとも1つ(例えば、PD-L1及び/又はPD-L2、好ましくはPD-L1及びPD-L2)との間の結合相互作用を少なくとも50%阻害する。特定の実施形態では、この阻害は、60%を上回る、70%を上回る、80%を上回る、又は90%を上回る可能性がある。
【0082】
「相補性決定領域」又は「CDR」は、抗原特異性及び結合親和性を付与する、抗体可変領域内の非連続的なアミノ酸配列を指すものとして、当技術分野において公知である。所与のCDRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabatら、(Sequences of Proteins of Immunological Interest 5th ed. (1991)「Kabat」ナンバリングスキーム); Al-Lazikaniら、1997, J. Mol. Biol, 273巻:927~948頁(「Chothia」ナンバリングスキーム); MacCallumら、1996, J. Mol. Biol. 262巻:732~745頁(「Contact」ナンバリングスキーム); Lefrancら、Dev. Comp. Immunol., 2003, 27巻:55~77頁(「IMGT」ナンバリングスキーム);並びにHonegge及びPluckthun、J. Mol. Biol, 2001, 309巻:657~70頁(「AHo」ナンバリングスキーム)により記載されるスキームを含む、いくつかの周知のスキームのいずれかを使用して容易に決定され得る。別途規定しない限り、本明細書の特定のCDRを特定するのに使用されるナンバリングスキームは、Kabatナンバリングスキームである。
【0083】
ヒト化抗体のCDR領域はマウス抗体に由来し、またi)非常に高レベルでヒト化された安全なヒト化抗体を提供し、及びii)抗体特性を向上させ、より具体的には生産収率をより高めるために最適化されている。
【0084】
1つの実施形態では、ヒト化抗ヒトPD-1抗体又はその抗原結合断片は、
(i)配列番号1のアミノ酸配列を含む又はそれからなるHCDR1、配列番号2のアミノ酸配列を含む又はそれからなるHCDR2、及び配列番号9のアミノ酸配列を含む又はそれからなるHCDR3を含む重鎖可変ドメインと、
(ii)配列番号12のアミノ酸配列を含む又はそれからなるLCDR1、配列番号13のアミノ酸配列を含む又はそれからなるLCDR2、及び配列番号14のアミノ酸配列を含む又はそれからなるLCDR3を含む軽鎖可変ドメインと
を含む。
【0085】
1つの実施形態では、本発明による抗PD1抗体又は抗原結合断片は、フレームワーク領域、特に重鎖可変領域フレームワーク領域(HFR)(HFR1、HFR2、HFR3、及びHFR4)、及び軽鎖可変領域フレームワーク領域(LFR)(LFR1、LFR2、LFR3、及びLFR4)を含む。
【0086】
好ましくは、本発明による抗PD1抗体又は抗原結合断片は、ヒト又はヒト化フレームワーク領域を含む。「ヒトアクセプターフレームワーク」は、本明細書の目的に照らせば、下記で定義するような、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来するヒトアクセプターフレームワークは、そのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含み得る、又はアミノ酸配列変化を含有し得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸変化の数は、10個若しくはそれより少ない、9個若しくはそれより少ない、8個若しくはそれより少ない、7個若しくはそれより少ない、6個若しくはそれより少ない、5個若しくはそれより少ない、4個若しくはそれより少ない、3個若しくはそれより少ない、又は2個若しくはそれより少ない。いくつかの実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列においてVLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において、最も一般的に生ずるアミノ酸残基を代表するフレームワークである。
【0087】
特に、抗PD1抗体又は抗原結合断片は、配列番号37、38、39、及び40のアミノ酸配列をそれぞれ含む重鎖可変領域フレームワーク領域(HFR)(HFR1、HFR2、HFR3、及びHFR4)を含み、任意選択的に、例えば配列番号40のHFR3の位置27、29、及び32を除く、任意の位置において、置換、付加、欠損、及び任意のこれらの組合せから選択される1、2、又は3つの改変を有する。好ましくは、抗PD1抗体又は抗原結合断片は、配列番号37のHFR1、配列番号38のHFR2、配列番号39のHFR3、及び配列番号40のHFR4を含む。
【0088】
代替的又は付加的に、抗PD1抗体又は抗原結合断片は、配列番号41、42、43、及び44のアミノ酸配列をそれぞれ含む軽鎖可変領域フレームワーク領域(LFR)(LFR1、LFR2、LFR3、及びLFR4)を含み、任意選択的に、置換、付加、欠損、及び任意のこれらの組合せから選択される1、2、又は3つの改変を有する。好ましくは、ヒト化抗PD1抗体又は抗原結合断片は、配列番号41のLFR1、配列番号42のLFR2、配列番号43のLFR3、及び配列番号44のLFR4を含む。
【0089】
本発明による抗体のVL及びVHドメインは、好ましくは下記の順番: FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4(アミノ末端からカルボキシ末端に向かって)で作動可能にリンクした、3つの相補性決定領域により分断された4つのフレームワーク領域を含み得る。
【0090】
第1の実施形態では、抗ヒトPD-1ヒト化抗体又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号21のアミノ酸配列を含む又はそれからなり、任意選択的に、配列番号21の位置7、16、17、20、33、38、43、46、62、63、65、69、73、76、78、80、84、85、88、93、95、96、97、98、100、101、105、106、及び112を除く任意の位置において、置換、付加、欠損、及び任意のこれらの組合せから選択される1、2、又は3つの改変を有する重鎖可変領域(VH)と、
(b)配列番号24のアミノ酸配列を含む又はそれからなり、任意選択的に、配列番号24の位置3、4、7、14、17、18、28、29、33、34、39、42、44、50、81、88、94、97、99、及び105を除く任意の位置において、置換、付加、欠損、及び任意のこれらの組合せから選択される1、2、又は3つの改変を有する軽鎖可変領域(VL)と
を含む。
【0091】
好ましくは、改変は、置換、特に保存的置換である。
【0092】
好ましくは、抗ヒトPD-1ヒト化抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号21のアミノ酸配列を含む又はそれからなる重鎖可変領域(VH);及び(b)配列番号24のアミノ酸配列を含む又はそれからなる軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0093】
1つの実施形態では、重鎖(CH)及び軽鎖(CL)は、本明細書にこれまでに記載されたようなVL及びVH配列を含む。
【0094】
特別な実施形態では、抗ヒトPD-1抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含む又はそれからなり、任意選択的に、配列番号31の位置7、16、17、20、33、38、43、46、62、63、65、69、73、76、78、80、84、85、88、93、95、96、97、98、100、101、105、106、及び112を除く任意の位置において、置換、付加、欠損、及び任意のこれらの組合せから選択される1、2、又は3つの改変を有する重鎖と、(b)配列番号34のアミノ酸配列を含む又はそれからなり、任意選択的に、配列番号34の位置3、4、7、14、17、18、28、29、33、34、39、42、44、50、81、88、94、97、99、及び105を除く任意の位置において、置換、付加、欠損、及び任意のこれらの組合せから選択される1、2、又は3つの改変を有する軽鎖と、を含む。
【0095】
好ましくは、改変は、置換、特に保存的置換である。
【0096】
好ましくは、抗ヒトPD-1抗体又はその抗原結合断片は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含む又はそれからなる重鎖と、(b)配列番号34のアミノ酸配列を含む又はそれからなる軽鎖とを含む。
【0097】
Fc及びヒンジ領域
治療抗体を開発するためのいくつかの研究から、抗体特性が最適化されたFc領域が工学的に作出され、それに求められる薬理学活性にとってより好適な分子の生成を可能にした。抗体のFc領域は、その血清半減期及びエフェクター機能、例えば補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)、及び抗体依存性細胞食作用(ADCP)等に関わっている。CH2ドメインとCH3ドメインとの間の界面に位置するいくつかの変異、例えばT250Q/M428L及びM252Y/S254T/T256E+H433K/N434F等は、in vivoでのFcRnに対する結合親和性、及びIgG1の半減期を増加させることが明らかにされている。しかしながら、必ずしも、FcRn結合性の増加と半減期の改善との間に直接的な関連性は認められない。治療用抗体の有効性を改善するための1つのアプローチは、その血清持続性を向上させ、これにより、より高い循環レベル、より低い投与頻度、及び用量の抑制を可能にすることである。抗体のエフェクター機能を低下させたり、また増加させたりするのに、Fc領域を工学的に操作することが望ましいと考えられる。細胞表面分子、特に免疫細胞上の分子を標的とする抗体では、エフェクター機能を抑制することが必要とされる。反対に、腫瘍学での使用を意図した抗体では、エフェクター機能を増加させることが、治療活性を改善し得る。4つのヒトIgGアイソタイプが、活性化Fcγ受容体(FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIa)、阻害性FcγRIIb受容体、及び補体(C1q)の第1のコンポーネントに、異なる親和性を有して結合し、非常に異なるエフェクター機能をもたらす。FcγR又はC1qに対するIgGの結合性は、ヒンジ領域及びCH2ドメインに位置する残基に依存する。CH2ドメインの2つの領域が、FcγR及びC1qとの結合にとって重要であり、またIgG2及びIgG4において独自の配列を有する。
【0098】
本発明によるヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、一般的にヒト又はヒト化免疫グロブリンの一部分を任意選択的に含む。好ましくは、Fc領域は、本明細書に記載されるヒト化抗hPD-1抗体の一部分である。当業者により周知されているように、特定の機能が必要とされるか、またin vivoでの半減期を好適化する必要があるか検討する上で、重鎖定常ドメインのIgGアイソタイプをいかに選択するかということが中軸をなす。例えば、がん細胞を選択的に根絶するように設計された抗体は、補体活性化及び抗体依存性細胞媒介式の細胞傷害によるエフェクター媒介式の細胞殺傷を可能にする活性なアイソタイプを一般的に必要とする。ヒトIgG1及びIgG3(半減期がより短い)アイソタイプの両方、特にヒトIgG1アイソタイプ(野生型及びバリアント)がこれらの基準を満たす。特に、重鎖定常ドメインのIgGアイソタイプ(特にヒト野生型及びIgG1アイソタイプバリアント)に依存して、本発明のヒト化抗hPD1抗体は、CDC、ADCC、及び/又はADCP機構により、PD-1を発現する細胞に対して細胞傷害性であり得る。実際には、結晶化可能な断片(Fc)領域は、様々なアクセサリー分子と相互作用して、間接的エフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、及び補体依存性細胞傷害(CDC)等に関与する。
【0099】
好ましい実施形態では、定常領域は、ヒト免疫グロブリン重鎖、例えば、gG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はその他のクラスに由来する。更なる態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選択される。好ましくは、ヒト化抗PD1抗体は、IgG1又はIgG4 Fc領域を含む。なおいっそうより好ましくは、ヒト化抗hPD1抗体は、IgG4を安定化するS228Pを有するIgG4 Fc領域を含む。
【0100】
1つの実施形態では、抗PD1抗体は、トランケートされたFc領域又はFc領域の断片を含む。1つの実施形態では、定常領域はCH2ドメインを含む。別の実施形態では、定常領域は、CH2及びCH3ドメインを含む、又はヒンジ-CH2-CH3を含む。或いは、定常領域は、ヒンジ領域の全部又は一部、CH2ドメイン、及び/又はCH3ドメインを含み得る。好ましい実施形態では、定常領域は、ヒトIgG4重鎖に由来するCH2及び/又はCH3ドメインを含有する。
【0101】
別の実施形態では、定常領域は、CH2ドメイン及びヒンジ領域の少なくとも一部分を含む。ヒンジ領域は、免疫グロブリン重鎖、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はその他のクラスに由来し得る。好ましくは、ヒンジ領域は、変異の有無を問わず、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はその他の好適なクラスに由来する。より好ましくは、ヒンジ領域はヒトIgG1重鎖に由来する。1つの実施形態では、定常領域は、第1の抗体アイソタイプに由来するCH2ドメイン及び第2の抗体アイソタイプに由来するヒンジ領域を含む。特別な実施形態では、CH2ドメインは、ヒトIgG2又はIgG4重鎖に由来する一方、ヒンジ領域は、変更されたヒトIgG1重鎖に由来する。
【0102】
1つの実施形態では、定常領域は、Fc受容体に対する親和性を低下させ、又はFcエフェクター機能を低下させる変異を含有する。例えば、定常領域は、IgG重鎖の定常領域内のグリコシル化部位を取り除く変異を含有し得る。
【0103】
別の実施形態では、定常領域は、CH2ドメイン及びヒンジ領域の少なくとも一部分を含む。ヒンジ領域は、免疫グロブリン重鎖、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はその他のクラスに由来し得る。好ましくは、ヒンジ領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はその他の好適なクラスに由来する。IgG1ヒンジ領域は3つのシステインを有し、そのうちの2つは、免疫グロブリンの2本の重鎖間のジスルフィド結合に関与している。これらの同一システインは、Fc部分間の有効且つ一定したジスルフィド結合形成を可能にする。従って、本発明の好ましいヒンジ領域は、IgG1に、より好ましくはヒトIgG1に由来する。いくつかの実施形態では、ヒトIgG1ヒンジ領域内の第1のシステインは、別のアミノ酸、好ましくはセリンに変異している。IgG2アイソタイプヒンジ領域は、組換え系内での分泌期間中にオリゴマー化及びおそらくは不正確なジスルフィド結合を助長する傾向がある4つのジスルフィド結合を有する。好適なヒンジ領域はIgG2ヒンジに由来し得る;最初の2つのシステインは、それぞれ、好ましくは別のアミノ酸に変異している。IgG4のヒンジ領域は、鎖間ジスルフィド結合形成が非効率的であることが公知である。しかしながら、本発明にとって好適なヒンジ領域は、好ましくは重鎖由来部分間の正しいジスルフィド結合形成を強化する変異を含有するIgG4ヒンジ領域に由来し得る(Angal S.ら、(1993) Mol. Immunol., 30巻:105~8頁)。より好ましくは、ヒンジ領域はヒトIgG4重鎖に由来する。
【0104】
1つの実施形態では、定常領域は、第1の抗体アイソタイプに由来するCH2ドメイン、及び第2の抗体アイソタイプに由来するヒンジ領域を含む。特別な実施形態では、CH2ドメインはヒトIgG4重鎖に由来する一方、ヒンジ領域は変更されたヒトIgG1重鎖に由来する。
【0105】
本発明に基づき、定常領域は、CH2及び/又はCH3ドメイン、並びに異なる抗体アイソタイプに由来するヒンジ領域、すなわちハイブリッド定常領域を含有し得る。例えば、1つの実施形態では、定常領域は、IgG2又はIgG4に由来するCH2及び/又はCH3ドメインとIgG1に由来する変異体ヒンジ領域を含有する。或いは、別のIgGサブクラス由来の変異体ヒンジ領域が、ハイブリッド定常領域で使用される。例えば、2本の重鎖間の効率的なジスルフィド結合を可能にするIgG4ヒンジの変異体の形態が使用可能である。変異体のヒンジは、最初の2つのシステインが、それぞれ別のアミノ酸に変異しているIgG2ヒンジにも由来し得る。そのようなハイブリッド定常領域の組み立ては、米国特許出願公開第20030044423号に記載されており、その開示は本明細書により参考として組み込まれている。
【0106】
1つの実施形態では、本発明に基づき、定常領域は、下記のTable D(表4)に記載されている変異の1つ又は任意のこれらの組合せを有するCH2及び/又はCH3を含有することができる。
【0107】
【0108】
重鎖定常領域内の残基のナンバリングはEUナンバリングによる(Edelman, G.M.ら、Proc. Natl. Acad.米国、63巻、78~85頁(1969); www.imgt.org/IMGTScientificChart/Numbering/Hu_IGHGnber.html#refs)
【0109】
1つの特別な態様では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトκ軽鎖定常ドメインに由来する軽鎖定常ドメインと、ヒトIgG1重鎖定常ドメインに由来する重鎖定常ドメインとを含み、任意選択的に、T250Q/M428L; M252Y/S254T/T256E+H433K/N434F; E233P/L234V/L235A/G236A+A327G/A330S/P331S; E333A; S239D/A330L/I332E; P257I/Q311; K326W/E333S; S239D/I332E/G236A; N297A; L234A/L235A; N297A+M252Y/S254T/T256E; K444A、及びK322Aからなる群から選択される置換又は置換の組合せ、好ましくは、任意選択的にM252Y/S254T/T256Eと組み合わされるN297A、及びL234A/L235Aからなる群から選択される置換又は置換の組合せを有する。
【0110】
別の特別な態様では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトκ軽鎖定常ドメインに由来する軽鎖定常ドメインと、ヒトIgG4重鎖定常ドメインに由来する重鎖定常ドメインとを含み、任意選択的にS228P; L234A/L235A、S228P+M252Y/S254T/T256E、及びK444Aからなる群から選択される置換又は置換の組合せを有する。
【0111】
特定の実施形態では、アミノ酸の改変は、Fc領域バリアントを生成するために、本明細書に提示される抗体のFc領域に導入され得る。特定の実施形態では、Fc領域バリアントは、すべてではないが、いくつかのエフェクター機能を有する。そのような抗体は、例えば抗体のin vivoでの半減期が重要であるものの、特定のエフェクター機能が不要又は有害である用途において有用であり得る。エフェクター機能の例として、補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体標的型の補体媒介式細胞傷害(ADCC)が挙げられる。エフェクター機能を変化させる非常に多くの置換又は置換若しくは欠損が、当技術分野において公知である。
【0112】
1つの実施形態では、定常領域は、Fc受容体に対する親和性を低下させ又はFcエフェクター機能を低下させる変異を含有する。例えば、定常領域は、IgG重鎖の定常領域内のグリコシル化部位を除去する変異を含有し得る。好ましくは、CH2ドメインは、CH2ドメイン内のグリコシル化部位を除去する変異を含有する。
【0113】
1つの実施形態では、本発明による抗hPD1は、配列番号39の重鎖定常ドメイン及び/又は配列番号40の軽鎖定常ドメイン、特に配列番号39の重鎖定常ドメイン及び配列番号40の軽鎖定常ドメインを有する。
【0114】
1つの実施形態では、本発明による抗hPD1は、配列番号47の重鎖定常ドメイン及び/又は配列番号40の軽鎖定常ドメイン、特に配列番号47の重鎖定常ドメイン及び配列番号40の軽鎖定常ドメインを有する。
【0115】
【0116】
Fc部分と非Fc部分の接合部近傍にあるアミノ酸を変化させれば、Fc融合タンパク質の血清半減期を劇的に増加させることができる(PCT公報国際公開第01/58957号)。従って、本発明のタンパク質又はポリペプチドの接合領域は、免疫グロブリン重鎖及びエリスロポエチンの自然発生的な配列と比較して変化を含有し得るが、好ましくはそのような変化は接合ポイントからアミノ酸約10個以内にある。これらのアミノ酸の変化は、疎水性の増加を引き起こすことができる。1つの実施形態では、定常領域は、C末端リジン残基が置き換わっているIgG配列に由来する。好ましくは、IgG配列のC末端リジンは、血清半減期を更に増加させるために、リジン以外のアミノ酸、例えばアラニン又はロイシン等と置き換わっている。
【0117】
特に、IgG1又はIgG4ドメイン内のK444アミノ酸は、タンパク質分解切断を抑制させるためにアラニンと置換し得る。次に、1つの実施形態では、抗PD1抗体は、K444Aからなる少なくとも1つの更なるアミノ酸置換を含む。
【0118】
1つの実施形態では、抗PD1抗体は、IgGのC末端ドメインに、追加のジスルフィド結合を創出するための追加のシステイン残基を含む。
【0119】
特定の実施形態では、抗体には、抗体がグリコシル化される範囲を増加、減少させ、又は除去するために変更され得る。ポリペプチドのグリコシル化は、一般的に「N-結合型」又は「O-結合型」のいずれかである。
【0120】
「N-結合型」グリコシル化とは、アスパラギン残基の側鎖に炭水化物部分が連結することを指す。トリペプチド配列、すなわちアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(式中、Xはプロリンを除く任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖に炭水化物部分が酵素的に連結するための認識配列である。従って、ポリペプチド内にこのようなトリペプチド配列のいずれかが存在することで、潜在的なグリコシル化部位が創出される。
【0121】
「O-結合型」グリコシル化とは、糖のN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つがヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はトレオニン(但し5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用され得る)に連結することを指す。抗体に対してN-結合型グリコシル化部位を付加したりまた欠損させたりすることは、上記トリペプチド配列のうちの1つ又は複数が創出され又は除去されるように、アミノ酸配列を変化させることにより達成され得る。O-結合型グリコシル化部位を付加したりまた欠損させたりすることは、抗体の配列内の又はそれに対する(場合に応じて)1つ又は複数のセリン又はトレオニン残基の付加、欠損、又は置換により達成され得る。
【0122】
本発明は、
- 85%を上回るT20ヒトらしさスコアを有し、
- 哺乳動物細胞内で産生されるとき、高い製造可能性を示し、
- 哺乳動物細胞内で高生産性収率を示し、
- ヒトPD-1に対して10-7Mに等しい又はそれより低い結合親和性(KD)を有し、
- アンタゴニスト活性を有し、そしてヒトPD-1に対するヒトPD-L1及び/又はPD-L2、好ましくはPD-L1及びPD-L2の結合を阻害し、
- PD-1シグナル伝達(SHP-1リン酸化及びリクルートメント)をブロック又は阻害し、
- T細胞活性化、特にpSHP-1の阻害及びTCR媒介式のNFATの活性化、IFNγ及びIL-2分泌を強化し、並びに/或いは
- 抗腫瘍免疫応答を促進し、
- 良好なin vivoでの薬物動態及び薬力学を示す
ヒト化抗PD-1抗体又はその抗原結合断片とも関連する。
【0123】
本発明の目的に照らせば、「ヒトらしさ」は、Gao S H、Huang K、Tu H、Adler A S.、BMC Biotechnology. 2013: 13巻:55頁に記載されるように、モノクロナール抗体の可変領域のヒトらしさを定量化するT20スコアアナライザーを使用して測定される。
【0124】
T20カットオフ・ヒトデータベース: http://abAnalyzer.lakepharma.comを使用して、抗体配列のT20スコアを計算するネット上のツールが提供されている。T20スコアの計算では、VH、VK、又はVL可変領域タンパク質配列のインプットに、Kabatナンバリングが最初に割り振られ、そしてCDR残基が特定される。完全長配列又はフレームワークのみの配列(CDR残基が除去されている)が、blastpタンパク質-タンパク質BLASTアルゴリズムを使用して、各抗体データベース内のあらゆる配列と比較される。各ペアワイズ比較間の配列同一性が単離され、そしてデータベース内のあらゆる配列が分析された後、配列は、インプット配列との配列同一性に基づき高から低の順で分類される。トップ20の一致した配列の同一性(%)を平均化してT20スコアを得る。
【0125】
「全ヒトデータベース」内の鎖のタイプ(VH、VK、VL)及び配列長さ(完全長又はフレームワークのみ)のそれぞれについて、各抗体配列が、T20スコアアナライザーを使用してその各データベースを用いてスコア化される。T20スコアは、インプット配列そのものを除外した後にトップ20の一致した配列について得た(配列1は常にインプット抗体そのものであったので、配列2~21の同一性(%)を平均化した)。各群に対するT20スコアを高から低の順で分類した。スコアの減少はほとんどの配列においてほぼ直線的であったが、しかしながら下位約15%の抗体に対するT20スコアは急激に減少し始めた。従って、下位15%の配列が棄却され、そして残りの配列がT20カットオフ・ヒトデータベースを形成し、その場合、T20スコアカットオフは、新たなデータベース内の配列の最も低いT20スコアを表す。
【0126】
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」は、少なくとも80%又は少なくとも85%、より好ましくは少なくとも88%、なおいっそうより好ましくは少なくとも90%のT20ヒトらしさスコアを有する抗体であり、最も好ましくは、T20ヒトらしさスコアは、85%~95%、好ましくは88%~92%に該当した。
【0127】
従って、本発明によるヒト化抗PD1抗体は、少なくとも80%又は少なくとも85%、より好ましくは少なくとも88%、なおいっそうより好ましくは少なくとも90%のT20ヒトらしさスコアを有し、最も好ましくは、T20ヒトらしさスコアは、85%~95%、好ましくは88%~92%に該当した。
【0128】
1つの実施形態では、本明細書に開示されるようなヒト化抗hPD1抗体又はその抗原結合断片は、好ましくは対応するキメラ抗体と比較して生産収率が改善している。特に、そのようなヒト化抗hPD1抗体は、CHO細胞において5mg/L、6mg/L、7mg/L、8mg/L、又は9mg/Lを上回る、好ましくは1又は2g/Lを上回る生産収率を有する。代替的又は付加的に、そのようなヒト化抗hPD1抗体は、COS細胞において2mg/L、3mg/L、又は4mg/Lを上回る、好ましくは4mg/Lを上回る生産収率を有する。
【0129】
別の実施形態では、そのようなヒト化抗hPD1抗体は、対応するキメラ抗体の生産収率に対して少なくとも2倍の生産収率を有する。
【0130】
抗体の親和性は、単一の抗原-抗体部位におけるその特異抗原との結合性についての指標であり得、また本質的に、抗体の抗原結合部位と特定のエピトープとの間の相互作用に存在する引力と斥力すべての合計である。特定の抗原(例えば、PD-1)に対する抗体の親和性は、抗体結合部の親和性を表す方程式Kd =[Ag][Ab]/[Ag Ab]により定義される解離の平衡定数Kにより表現され得るが、式中、[Ag]は遊離抗原の濃度(M)であり、[Ab]は遊離抗体の濃度(M)であり、及び[Ag Ab]は抗原-抗体複合体の濃度(M)である。抗原及び抗体が共に強く反応する場合、遊離抗原又は遊離抗体はほとんど存在せず、従って平衡定数又は抗体の親和性は小さくなる。抗体に対する平均親和性は、10-7Mに等しい又はそれよりも小さい。特定の態様では、ヒト化抗PD-1抗体は、10-8Mに等しい又はそれよりも小さい、好ましくは10-9Mに等しい又はそれよりも小さい親和性を有してヒトPD-1に結合する。1つの態様では、親和性は1,5×10-9Mに等しい又はそれよりも小さい。親和性は、当業者にとって利用可能な任意の方法により、例えばバイオセンサー分析法、例えば表面プラズモン共鳴(SPR) Biacore分析法、Blitz分析法、及びScatchardプロット法等により測定可能である。より具体的には、結合親和性は、実施例2に詳記するようにBiacore法により測定される。本発明のヒト化抗体は、キメラ抗体よりも良好な親和性を有する。
【0131】
結合親和性は、KD又は解離定数で表現され得るが、結合親和性の増加は、KDの減少に対応する。PD-1に対する抗体の結合親和性を決定する1つの方法は、抗体のFab断片の結合親和性を測定することによる。Fab断片を得るために、抗体をパパインで開裂してもよく、また組換えにより発現させてもよい。抗体の抗PD-1Fab断片の親和性は、表面プラズモン共鳴(BIAcore3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム、BIAcore, INC社、Piscaway N.J.)により決定可能である。反応速度論的な会合速度(kon)及び解離速度(koff)(一般的に25℃で測定される)が得られ、そして平衡解離定数(KD)値が、koff/konとして計算される。
【0132】
特に、本明細書に提示される抗体は、Blitz分析法により決定され得るように、0.75~1.34nMに等しい又はそれよりも小さい、好ましくは0.75~1nMに等しい又はそれよりも小さい、より好ましくは0.75~0.8nMに等しい又はそれよりも小さい親和性定数(KD)を有してヒトPD-1と結合する。このシステムは、結合相互作用について速度及び親和性定数の測定を可能にする(ka、kd、KD)。
【0133】
一実施形態では、本発明は、ヒトPD-1に対するPDL-1及び/又はPDL-2の結合を、部分的又は完全に、特に完全に阻害する、上記で定義したようなヒト化抗hPD-1抗体又はその抗原結合断片に関する。
【0134】
本発明のそのようなヒト化抗体は、hPD-1に特異的に結合し、そしてPD-1とPD-L1及び/又はPD-L2との間の相互作用を弱体化させる。特に、上記で定義したようなヒト化抗hPD-1抗体又はその抗原結合断片は、ヒトPD-1に対するヒトPD-L1及び/又はPD-L2、好ましくはヒトPD-1に対するヒトPD-L1及びPD-L2の結合のアンタゴニストである。
【0135】
いくつかの事例では、本明細書に記載される抗PD-1抗体は、PD-1シグナル伝達経路を、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも100%抑制し、又は少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、若しくは少なくとも1000倍に抑制する。特に、ヒト化抗hPD-1抗体又はその抗原結合断片は、結合アッセイ、例えば競合ELISAアッセイ等において、PD-1に対するPD-L1及び/又はPD-L2の結合を、陰性コントロール分子と比較して、少なくとも50%、60%、70%、好ましくは80%、より好ましくは90%、又は最も好ましくは100%低下させ又は阻害する能力を有する。そのようなアッセイ法は、Sebaugh JLのGuidelines for accurate EC50/IC50 estimation. Pharm. Stat. 2011; 10巻: 128~134頁、及び実施例3において開示されている。本発明のヒト化抗体は、このアッセイ法により測定される場合、50ng/ml未満、特に40ng/ml未満、及び任意選択的に20ng/ml未満のIC50を有する。比較すると、キメラ抗体は、50ng/mlを超える、すなわち約60ng/mlのIC50を有する。或いは、PD-1に対するPD-L1の結合を弱体化させる本発明のヒト化抗体の能力は、実施例4に詳記するように、Blitz法及びBiacore法による、PD-1に対してPD-L1を用いる競合アッセイ法によっても測定可能である。
【0136】
競合的阻害により抗体特異性及び親和性を決定する方法は当技術分野において公知であり(例えば、Harlowら、Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1998); Colliganら、Current Protocols in Immunology, Green Publishing Assoc., NY (1992; 1993); Muller、Meth. Enzym. 92:589-601 (1983)を参照)、また下記の実施例に記載されている。
【0137】
抗体のアンタゴニスト活性を決定する方法は当技術分野において公知であり、また例えば、ELISA法、バイオセンサー分析法、例えばBiacore法及びBlitz法等が挙げられる。
【0138】
抗PD1抗体をコードする核酸分子、組換え発現ベクター、及び宿主細胞
本明細書に記載されるヒト化抗PD-1抗体又はその抗原結合断片、その任意の軽鎖又は重鎖をコードする核酸、この核酸を含むベクター(例えば発現ベクター等)又は組換えウイルス、並びに核酸及び/又はベクターを含む宿主細胞も、本明細書で開示される。
【0139】
核酸配列
本発明は、上記で定義したような、ヒト化抗hPD-1抗体若しくはその抗原結合断片、又はその任意の軽鎖若しくは重鎖をコードする核酸分子又は核酸分子の群とも関連する。
【0140】
抗体DNA配列は、例えば、免疫グロブリンを合成する細胞のRNAから増幅可能、クローン化された免疫グロブリンを用いたPCRを使用して合成可能、又は既知のシグナルペプチドアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチドにより合成可能である。好ましくは、ペプチドシグナルは、VH及び/又はCHについて配列番号45のアミノ酸配列、並びに/或いはVL及び/又はCLについて配列番号46のアミノ酸配列を含む又はそれから構成される。特に、ペプチドシグナルは、CH、VH、CL及び/又はVLのN末端に位置する。
【0141】
そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列、及び/又はVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードし得る。そのような核酸は、従来手順を使用して容易に単離及び配列決定され得る。
【0142】
1つの実施形態では、ヒト化抗ヒトPD-1抗体をコードする核酸分子は、
- 任意選択的に配列番号45のペプチドシグナルと共に、配列番号21の可変重鎖ドメインをコードする第1の核酸分子と、
- 任意選択的に配列番号46のペプチドシグナルと共に、配列番号24の可変軽鎖ドメインをコードする第2の核酸分子と
を含む。
【0143】
1つの実施形態では、ヒト化抗ヒトPD-1抗体をコードする核酸分子は、
- 任意選択的に配列番号45のペプチドシグナルをコードする核酸配列と共に、可変重鎖ドメインをコードする配列番号48の第1の核酸分子と、
- 任意選択的に配列番号46のペプチドシグナルをコードする核酸配列と共に、可変軽鎖ドメインをコードする配列番号49の第2の核酸分子と
を含む。
【0144】
1つの特別な実施形態では、ヒト化抗ヒトPD-1抗体をコードする核酸分子は、
- 重鎖をコードする配列番号50の第1の核酸分子と、
- 軽鎖をコードする配列番号51の第2の核酸分子と
を含む。
【0145】
1つの実施形態では、核酸分子は、単離された、特に非天然の核酸分子である。
【0146】
本発明によるヒト化抗PD1抗体をコードする核酸分子又は核酸分子の群は、好ましくはベクター又はベクターの群に含まれる。
【0147】
ベクター
別の態様では、本発明は、上記で定義したような核酸分子又は核酸分子の群を含むベクターに関する。
【0148】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、遺伝物質を細胞中に移送するための媒体として使用される核酸分子である。用語「ベクター」は、プラスミド、ウイルス、コスミド、及び人工染色体を包含する。一般的に、工学操作されたベクターは、複製開始点、マルチクローニング部位、及び選択マーカーを含む。ベクターそのものは、インサート(導入遺伝子)及びベクターの「バックボーン」として働くより大きな配列を含む、一般的にはヌクレオチド配列、通常DNA配列である。現代のベクターは、導入遺伝子インサート及びバックボーンの他に追加の特性、すなわちプロモーター、遺伝マーカー、抗生物質耐性、レポーター遺伝子、標的配列、タンパク質精製タグを包含し得る。特に、発現ベクター(発現コンストラクト)と呼ばれるベクターは、標的細胞内で導入遺伝子を発現させるためのものであり、そして一般的にコントロール配列を有する。
【0149】
1つの実施形態では、ヒト化抗PD1抗体の重鎖コーディング配列及び軽鎖コーディング配列の両方、及び/又は定常領域が、1つの発現ベクターに含まれる。重鎖コーディング配列及び軽鎖コーディング配列のそれぞれは、好適なプロモーターと作動可能にリンクし得る。或いは、重鎖及び軽鎖の両方の発現は、同一のプロモーターにより駆動され得る。別の実施形態では、抗体の重鎖及び軽鎖のそれぞれは、個別のベクターにクローン化される。後者のケースでは、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターは、両方の鎖を発現させるために1つの宿主細胞中に同時トランスフェクトされ得るが、両者は合体してin vivo又はin vitroで天然の抗体を形成することができる。或いは、重鎖をコードする発現ベクター、及び軽鎖をコードする発現ベクターが、重鎖及び軽鎖のそれぞれを発現させるために異なる宿主細胞中に導入され得るが、両者は次に精製され、そして合体し、in vitroで天然の抗体を形成することができる。
【0150】
ヒト化抗PD-1抗体又はその抗体断片をコードする核酸分子は、当業者によりベクター中にクローン化され、次に宿主細胞に変換され得る。従って、本発明は、本発明の抗PD-1抗体又はその断片をコードする核酸分子を含む組換えベクターも提供する。1つの好ましい実施形態では、発現ベクターは、プロモーター、及び分泌シグナルペプチドをコードする核酸配列、及び任意選択的にスクリーニング用の少なくとも1つの薬物耐性遺伝子を更に含む。
【0151】
好適な発現ベクターは、(1)細菌複製起点をコードする原核生物DNAエレメント、及び細菌宿主において発現ベクターの増殖や選択を可能するための抗生物質耐性マーカー、(2)転写の開始をコントロールする真核生物DNAエレメント、例えばプロモーター等、並びに(3)転写物のプロセシングをコントロールするDNAエレメント、例えば転写終了/ポリアデニル化配列等を一般的に含有する。
【0152】
当業者にとって公知の方法が、本明細書に記載される抗PD1抗体の核酸配列及び転写/翻訳用の該当する制御コンポーネントを含有する発現ベクターを構築するのに使用可能である。この方法には、in vitroでの組換えDNA技術、DNA合成技術、in vivoでの組換え技術等が含まれる。DNA配列が、発現ベクター内のしかるべきプロモーターと有効に結合して、mRNAの合成を指令する。発現ベクターは、翻訳を開始するためのリボソーム結合部位、転写ターミネーター等を更に含み得る。
【0153】
発現ベクターは、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポソーム媒介型トランスフェクション、エレクトロポレーション等を含む様々な技術を使用して、宿主細胞中に導入され得る。好ましくは、トランスフェクトされた細胞が、宿主細胞ゲノムに発現ベクターが安定的に組み込まれ、安定な形質転換体を産生するように選択及び増殖される。真核細胞中にベクターを導入するための技術、及び優性の選択可能なマーカーを使用して安定な形質転換体を選択するための技術は、Sambrook、Ausubel、Bebbington、"Expression of Antibody Genes IN Nonlymphoid Mammalian Cells,"in 2 METHODS: A companion to methods in enzymology 136 (1991)により、及びMurray (ed.)、Gene transfer and expression protocols (Humana Press 1991)により記載されている。好適なクローニングベクターは、Sambrookら(eds.)、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, Second Edition (Cold Spring Harbor Press 1989)(以後「Sambrook」)により;Ausubelら(eds.)、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (Wiley Interscience 1987)(以後「Ausubel」)により;及びBrown (ed.)、MOLECULAR BIOLOGY LABFAX (Academic Press 1991)により記載されている。
【0154】
宿主細胞
本発明の核酸分子、核酸分子の群、及び/又はベクターは、特にヒト化抗ヒトPD-1抗体産生目的で、宿主細胞に含まれ得る。従って、本発明は、少なくともこれまでに本明細書において記載された核酸分子及び/又は核酸分子の群及び/又はベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0155】
本明細書で使用される場合、用語「宿主細胞」は、ベクター、外因性核酸分子、及び本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドのレシピエント、並びに/或いは抗体そのもののレシピエントであり得る又はであった任意の個別の細胞又は細胞培養物を含むように意図されている。細胞中への各物質の導入は、変換、トランスフェクション等により実施可能である。用語「宿主細胞」は、単一細胞の子孫又は潜在的子孫を含むようにやはり意図されている。好適な宿主細胞として、原核細胞又は真核細胞が挙げられ、また細菌、酵母菌細胞、菌類細胞、植物細胞、及び動物細胞、例えば昆虫細胞や哺乳動物細胞、例えばマウス、ラット、ウサギ、マカク、又はヒト等も挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
1つの実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列、並びに/或いは抗体のVH及び/又は抗体の定常領域を含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、或いは(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらで変換されている)。
【0157】
ヒト化抗PD1抗体を産生する方法も本明細書に提示される。方法は、抗体の発現に適する条件下で、上記提示の通り、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養する工程、及び任意選択的に、宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から抗体を回収する工程を含む。特に、ヒト化抗PD1抗体の組換え産生の場合、例えば上記したように、抗体をコードする核酸が単離され、そして更なるクローニング及び/又は宿主細胞における発現用として1つ又は複数のベクターに挿入される。
【0158】
ヒト化抗PD-1抗体を産生するための好適な宿主細胞として、真核細胞、例えば哺乳動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、又は酵母菌細胞等が挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物細胞は好適な翻訳後修飾、例えばグリコシル化等を提供するので、哺乳動物細胞が特に好ましい真核生物宿主である。好ましくは、そのような好適な真核生物宿主細胞は、菌類、例えばピキア・パストリス(Pichia pastoris)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等;昆虫細胞、例えばアワヨトウ(Mythimna separate)等;植物細胞、例えばタバコ等、及び哺乳動物細胞、例えばBHK細胞、293細胞、CHO細胞、NSO細胞、及びCOS細胞等であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞系統のその他の例は、SV40遺伝子細胞を有するCV-1を起源とする細胞(COS細胞)、SV40により変換されたサル腎臓CV1系統(COS-7);ヒト胚腎臓系統(例えば、Graham, F.L.ら、J. Gen Virol. 36巻(1977) 59~74頁に記載されるような293又は293細胞);ベビーハムスター腎細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather, J.P.、Biol. Reprod. 23巻(1980) 243~252頁に記載されるようなTM4細胞);ヒト上皮腎細胞(HEK細胞);サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT060562);例えばMather, J.P.ら、Annals N.Y. Acad. Sci. 383巻(1982) 44~68頁に記載されるようなTRI細胞; MRC5細胞;及びFS4細胞である。その他の有用な哺乳動物宿主細胞系統として、DHFR" CHO細胞(Urlaub, G.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77巻(1980) 4216~4220頁)を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;及びミエローマ細胞系統、例えばY0、NSO及びSp2/0等が挙げられる。抗体産生に適する特定の哺乳動物宿主細胞系統のレビューについては、例えばYazaki, P.及びWu, A.M., Methods in Molecular Biology, Vol. 248, Lo, B.K.C. (ed.), Humana Press, Totowa, NJ (2004), 255~268頁を参照。例えば、懸濁状態で増殖するように構成されている哺乳動物細胞系統が有用であり得る。
【0159】
特に、本発明の宿主細胞は、CHO細胞、COS細胞、NSO細胞、及びHEK細胞からなる群から選択される。
【0160】
哺乳動物宿主の場合、発現ベクターの転写及び翻訳上の制御シグナルは、規制シグナルが特定の遺伝子(高レベルで発現している)と関連しているウイルス源、例えばアデノウイルス、ウシパピローマウイルス、シミアンウイルス等に由来し得る。好適な転写及び翻訳上の制御配列も、哺乳動物遺伝子、例えばアクチン、コラーゲン、ミオシン、及びメタロチオネイン遺伝子等から取得可能である。
【0161】
本発明によるヒト化抗体を産生する安定な形質転換体は、様々な方法を使用して同定され得る。分子産生細胞が同定された後、宿主細胞がその増殖及びヒト化抗体発現に適する条件下(例えば、温度、媒体)で培養される。ヒト化抗体は、次に当技術分野において公知の任意の方法より単離及び/又は精製される。このような方法として、従来式の復元処理法、タンパク質沈殿剤による処理法(例えば、塩析等)、遠心分離法、浸透作用による細胞溶解、超音波処理法、超遠心分離法、モレキュラーシーブクロマトグラフィー又はゲルクロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、HPLC、任意のその他の液体クロマトグラフィー、及びその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Coliganにより記載されるように、ヒト化抗体単離技術として、プロテインAセファロースを用いた親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、及びイオン交換クロマトグラフィーを特に挙げることができる。プロテインAが、本発明の抗体を単離するのに好んで使用される。
【0162】
抗体コンジュゲート
本開示は、本明細書に記載されるヒト化抗PD-1抗体又はその抗体断片、及び治療剤又は診断用薬剤であり得る第2の好適な薬剤を含む、「イムノコンジュゲート」とも呼ばれる「抗体コンジュゲート」も提示する。本発明は、1つ又は複数の細胞傷害剤、例えば化学療法剤又は化学療法薬(例えば、免疫抑制剤)、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、免疫毒素複合体、細胞毒、細菌、真菌、植物、若しくは動物起源の酵素的に活性な毒素、又はその断片)、放射性毒素、放射性同位体、非タンパク質ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレン等にコンジュゲートしたヒト化抗PD1抗体又はその抗体断片を含むイムノコンジュゲートも提供する。本発明の抗体コンジュゲートは、所与の生物学的応答を改変するのに使用可能であり、また薬物部分が古典的化学治療剤に限定されると解釈されることはない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質又はポリペプチドであり得る。用語「イムノコンジュゲートした」は、本明細書においては、本発明によるヒト化抗PD1抗体に対する別の分子/部分の組換え方法による化学的架橋又は共有結合と関連する。イムノコンジュゲートの調製方法は、当技術分野において周知されている(例えば、国際公開第2014/160160号、米国特許第5,208,020号及び同第5,416,064号;及びChariら、1992 Cancer Res. 52巻:127~131頁を参照)。
【0163】
医薬組成物
本発明は、上記で開示したようなヒト化抗ヒトPD1抗体若しくはその抗体断片、抗体コンジュゲート、本明細書において上記したような核酸分子、核酸分子の群、ベクター、及び/又は宿主細胞を、好ましくは有効成分又は化合物として含む医薬組成物とも関連する。製剤は滅菌可能であり、また所望の場合には、補助剤、例えば本発明のヒト化抗ヒトPD-1抗体若しくはその抗体断片、抗体コンジュゲート、核酸、ベクター、及び/又は宿主細胞との有害な相互作用を有さない薬学的に許容される担体及び添加剤等と混合可能である。任意選択的に、医薬組成物は、以下に詳記するような追加の治療剤を更に含み得る。
【0164】
好ましくは、本発明の医薬組成物は、本明細書において以下に記載されるような1つ又は複数の薬学的又は生理学的に許容される担体、賦形剤、添加剤、塩、及び酸化防止剤と組み合わせて、本明細書に記載されるようなヒト化抗ヒトPD-1抗体若しくはその抗体断片、核酸分子、核酸分子の群、ベクター、及び/又は宿主細胞を含み得る。望ましくは、本発明によるヒト化抗PD1抗体の望ましい免疫増強効果に悪影響を及ぼさない、薬学的に許容される形態が採用される。投与しやすくするために、本明細書に記載されるようなヒト化抗ヒトPD-1抗体又はその抗体断片は、in vivoで投与するための医薬組成物として作成可能である。そのような組成物を作成する手段は、当技術分野において記載されている(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins, 21st edition (2005)を参照)。
【0165】
本発明による医薬組成物は、局所的、経腸、経口、非経口、鼻腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、腫瘍内、皮下又は眼内投与等を含む、任意の従来の投与経路用として製剤化され得る。好ましくは、本発明による医薬組成物は、経腸又は非経口投与経路用として製剤化される。非経口投与用の組成物及び製剤は滅菌水溶液を含み得るが、同水溶液はバッファー、賦形剤、及びその他の好適な添加物、例えば透過増強剤、カーダー化合物、及びその他の薬学的に許容される担体又は添加剤等も含有し得るが、これらに限定されない。
【0166】
医薬組成物は、任意選択的な薬学的に許容される担体、添加剤、又は安定剤と共に、所望の純度を有する薬剤を混合することにより、真空凍結乾燥された製剤又は水溶液の形態で調製され得る(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))。許容される担体、添加剤、又は安定剤は、採用された投薬量及び濃度においてレシピエントに対して無毒性であり、そしてバッファー、例えばホスフェート、シトレート、及びその他の有機酸等;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン等;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン等;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン等;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及びその他の炭水化物;キレート剤、例えばEDTA等;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース、又はソルビトール等;造塩性対イオン、例えばナトリウム等;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);並びに/或いは非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)等又はポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0167】
固体の薬学的に許容される媒体は、着香料、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、色素、充填剤、滑剤、圧縮補助剤、不活性バインダー、甘味料、防腐剤、色素、コーティング、又は錠剤崩壊剤としても作用し得る1つ又は複数の物質を含み得る。好適な固体媒体として、例えばリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、スターチ、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリドン、低融点ワックス、及びイオン交換樹脂が挙げられる。薬学的に許容される担体として、滅菌注射可能溶液又は分散体を即時調製するための滅菌水溶液又は分散体、及び滅菌粉末が挙げられる。任意の従来培地又は薬剤が活性化合物に不適合の場合を除き、本発明の医薬組成物においてそれらを使用することが検討される。
【0168】
本発明によるヒト化抗PD1抗体は、薬学的に許容される液体媒体、例えば水、有機溶媒、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、両者の混合物、又は薬学的に許容されるオイル若しくは脂肪、及び好適なその混合物等に溶解又は懸濁され得る。液体媒体は、その他の好適な医薬添加物、例えば可溶化剤、乳化剤、バッファー、防腐剤、甘味料、着香料、懸濁剤、湿潤剤、増粘剤、着色剤、粘度調整剤、安定剤、又は浸透圧調節剤等を含有し得る。経口及び経腸投与用の液体媒体の好適な例として、水(上記のような添加物、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を部分的に含有する)、アルコール(一価アルコール及び多価アルコール、例えばグリコールを含む)及びその誘導体、並びにオイル(例えば、ヤシ油及びピーナッツ油)が挙げられる。非経口投与の場合、媒体は、油性エステル、例えばオレイン酸エチルやミリスチン酸イソプロピル等であってもよい。滅菌液体媒体は、経腸投与用の滅菌液状形態組成物において有用である。加圧組成物用の液体媒体は、ハロゲン化炭化水素又はその他の薬学的に許容される噴霧剤であり得る。
【0169】
本発明の医薬組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容される塩を更に含み得る。「薬学的に許容される塩」とは、親化合物の望ましい生物学的活性を保持し、またあらゆる望ましくない毒性学的効果を惹起しない塩を指す。そのような塩の例として、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩として、無毒性の無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等、並びに無毒性の有機酸、例えば脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカノン酸、ヒドロキシアルカノン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸等に由来する塩が挙げられる。塩基付加塩として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等、並びに無毒性の有機アミン、例えばN,N'-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等に由来する塩が挙げられる。
【0170】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される酸化防止剤も含み得る。薬学的に許容される酸化防止剤の例として、水溶性酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;油溶性酸化防止剤、例えばアスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール等;及び金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等が挙げられる。
【0171】
送達しやすくするために、抗PD-1抗体又はそのコーディング核酸は、シャペロン剤とコンジュゲートし得る。シャペロン剤は、自然発生的な物質、例えばタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、低密度リポタンパク質、又はグロブリン)、炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン質、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、又はヒアルロン酸)、又は脂質等であり得る。組換え分子又は合成分子、例えば合成ポリマー、例えば合成ポリアミノ酸等であってもよい。ポリアミノ酸の例として、ポリリジン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸)、N-イソプロピルアクリルアミドポリマー、及びポリフォスファジンが挙げられる。1つの例では、シャペロン剤は、オリゴヌクレオチド/干渉RNAがカプセル化されているミセル、リポソーム、ナノ粒子、又はミクロスフェアである。そのようなミセル、リポソーム、ナノ粒子、又はミクロスフェアの調製方法は、当技術分野において周知されている。例えば、米国特許第5,108,921号;同第5,354,844号;同第5,416,016号;及び同第5,527,5285号を参照。
【0172】
医薬組成物は、一般的に、製造及び保管条件下で滅菌状態且つ安定でなければならない。医薬組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、或いは高薬物濃度に適し及び/又は注射に適するその他の秩序構造として製剤化され得る。しかるべき流動性が、例えばレシチン等のコーティング剤を使用することにより、必要とされる粒径を維持することにより(分散体の場合)、及び界面活性剤を使用することにより維持され得る。
【0173】
1つの実施形態では、医薬組成物は、様々な担体、例えば植物油、ジメチルアセタミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、及びポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)等を含有し得る、注射可能な組成物である。静脈内注射の場合、水溶性の抗体がドリップ法により投与可能であり、それによって抗体及び生理学的に許容される添加剤を含有する医薬製剤が注入される。生理学的に許容される添加剤は、例えば、5%デキストロース、0.9%生理食塩水、リンガー溶液、又はその他の適する添加剤を含み得る。筋肉内調製物、例えば抗体の適する可溶性の塩形態からなる滅菌製剤が、薬学的添加剤、例えば注射用水、0.9%生理食塩水、又は5%グルコース溶液等に溶解可能及びその状態で投与可能である。
【0174】
滅菌注射可能溶液は、上記列挙された一成分又は成分の組合せと共に、適する溶媒中に、活性化合物を必要とされる量で組み込むことにより、必要に応じて、その後に滅菌マイクロ濾過することにより調製され得る。一般的に、分散体は、基本的な分散媒体及び上記列挙されたものに由来するその他の必要とされる成分を含有する滅菌媒体中に活性化合物を組み込むことにより調製される。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、有効成分+任意の追加の望ましい成分(その予め滅菌ろ過された溶液に由来する)の粉末をもたらす真空乾燥法及び凍結乾燥法(真空凍結乾燥法)である。注射可能な組成物の持続的吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを含めることにより実現可能である。
【0175】
微生物混在の防止は、滅菌手順、並びに様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばクロロブタノール、ソルビン酸フェノール(phenol sorbic acid)等を含めることの両方により保証され得る。組成物中に等張化剤、例えば糖、塩化ナトリウム等を含めることが望ましい場合もある。それに加えて、注射可能剤型の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムやゼラチン等を含めることにより実現可能である。
【0176】
本発明の製剤は、ヒト血液と等張であり得る、すなわち本発明の製剤はヒト血液と実質的に同一の浸透圧を有するものと当業者により理解される。そのような等張性の製剤は、一般的に約250mOSm~約350mOSmの浸透圧を有する。等張性は、例えば蒸気圧又は氷結タイプの浸透圧計により測定可能である。製剤の浸透圧は、浸透圧調節剤の使用により調整される。「浸透圧調節剤」は、製剤の等張性を実現するために製剤に添加可能である薬学的に許容される不活性な物質である。本発明に適する浸透圧調節剤として、糖類、塩、及びアミノ酸が挙げられる。
【0177】
本発明による医薬組成物は、投与時、又は任意の事前に決定された時間、又は投与後の期間において、実質的に速やかに有効成分(例えば、本発明のヒト化抗hPD1抗体)を放出するように製剤化され得る。医薬組成物は、いくつかの態様において、処置対象部位の感作前に、それを引き起こすのに十分な時間を有して組成物の送達が生ずるように、持効型、遅延放出型、及び持続放出型の送達システムを採用することができる。当技術分野において公知の手段が、組成物の放出及び吸収を、それが標的組織若しくは臓器に到達するまで防止若しくは最低限に抑え、又は組成物の時効性を保証するのに使用可能である。そのような系は、組成物の反復投与を回避することができ、これにより対象に及び医師に対する利便性を向上させる。
【0178】
担体物質と組み合わせて単一投与剤形を産生することができる有効成分の量は、処置される対象及び具体的投与様式に依存して変化する。担体物質と組み合わせて単一投与剤形を産生することができる有効成分の量は、一般的に治療効果を生み出す組成物の量である。
【0179】
対象、レジメン、及び投与
本発明は、医薬として使用され、特に対象における疾患又は障害を予防又は処置する際に使用される本発明のヒト化抗PD1抗体若しくはその断片、医薬組成物、核酸分子、核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞に関する。処置の例は、本明細書のセクション「方法及び使用」においてより具体的に後記される。本発明は、対象における疾患を処置するための医薬を製造する際の、本発明の医薬組成物、核酸、ベクター、若しくは宿主細胞、又はヒト化抗PD1抗体若しくはその抗体断片の使用とも関連する。最終的に、本発明は、対象における疾患又は障害を処置するための方法であって、治療有効量の医薬組成物又はヒト化抗PD1抗体若しくはその抗体断片を対象に投与する工程を含む方法に関する。処置の例は、本明細書のセクション「方法及び使用」においてより具体的に後記される。
【0180】
処置する対象は、ヒト、特に出生前段階のヒト、新生児、子供、幼児、未成年者、又は成人、特に少なくとも30歳、40歳の成人、好ましくは少なくとも50歳の成人、なおもより好ましくは少なくとも60歳の成人、なおいっそうより好ましくは少なくとも70歳の成人であり得る。
【0181】
特別な実施形態では、対象は免疫抑制状態又は免疫低下状態にある。そのような対象は、例えばウイルス、例えばHIV等による感染症、がん、糖尿病、栄養失調、及び特定の遺伝的障害に起因して、免疫抑制薬を用いた処置に対して、又は免疫療法、化学療法、若しくは放射線療法による事前処置に対して免疫抑制状態、免疫不全状態、又は免疫低下状態であり得る。本発明の対象は、免疫低下状態であり得る。本明細書で使用される場合、用語「免疫低下状態」及び「免疫不全状態」は等価であり、また交換可能に使用され得る。本発明で使用される場合、用語「免疫低下状態」又は「免疫不全状態」とは、対象の免疫防御が脆弱化している状態を指す。免疫低下状態の個人は、正常な条件下で危険性を呈さない微生物を適切に管理することができない。本発明の対象は免疫抑制状態にあり得る。本明細書で使用される場合、用語「免疫抑制状態」とは、対象はもはや免疫防御を有さない状態を指す。
【0182】
従って、本発明による抗体若しくはその抗原結合断片、医薬組成物、単離された核酸分子若しくは単離された核酸分子の群、ベクター、又は宿主細胞は、リンパ球減少性障害を有する患者の予防又は処置において使用するためのものであり得る。
【0183】
特に、対象はPD-1/PDL-1経路と関係し得る疾患に罹患しており、特に、その場合、PD-1のリガンド(例えば、PDL-1及び/又はPDL-2)の少なくとも1つ又はPD-1が発現、特に過剰発現している。好ましくは、対象は、がん、なおいっそうより好ましくはPD1、PD-L1及び/又はPD-L2陽性のがん又はPD-1陽性のがんに罹患している。疾患及びがんの例は、本明細書のセクション「方法及び使用」においてより具体的に後記される。
【0184】
特別な実施形態では、対象は、本発明によるヒト化抗PD1抗体又は本発明による医薬組成物の投与前に、少なくとも1ラインの処置、好ましくはいくつかのラインの処置をすでに受けている。
【0185】
医療分野の当業者にとって公知の従来法が、本明細書で開示されるヒト化抗PD1抗体若しくはその抗体断片、又は医薬組成物を、処置される疾患の種類又は疾患の部位に応じて、対象に投与するのに使用可能である。この組成物は、従来経路を経由して投与可能であり、例えば経口的、非経口的、経腸的、吸入スプレーにより、局所的、経直腸的、経鼻腔的、頬側的、膣腔的に投与可能、又は埋め込み式リザーバー経由で投与可能である。用語「非経口的に」には、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病変内、腫瘍内、及び頭蓋骨内注射又は輸液技術が含まれる。非経口的に投与されるとき、本発明による医薬組成物は、好ましくは静脈内投与経路により投与される。経腸的に投与されるとき、本発明による医薬組成物は、好ましくは経口投与経路により投与される。この組成物は局所的にも投与され得る。
【0186】
本発明による医薬組成物、又はヒト化抗PD1抗体若しくはその断片について、その医薬組成物の形態、投与の経路、及び投与用量が、感染症のタイプ及び重症度に基づき、並びに患者、特にその年齢、体重、性別、及び全身状態に基づき、当業者により調節可能である。本発明の組成物は、局所的処置又は全身処置のいずれが望まれるかに応じて、いくつかの方法で投与され得る。
【0187】
好ましくは、ヒト化抗PD-1抗体若しくはその断片を用いた、又は本発明による医薬組成物を用いた処置は、好ましくは毎日、1週間毎、又は1ヶ月毎、より好ましくは毎日及び1、2、3、又は4週間毎に定期的に投与される。特別な実施形態では、処置は、1日数回、好ましくは1日2又は3回投与される。
【0188】
ヒト化抗PD-1抗体若しくはその断片を用いた、又は本発明による医薬組成物を用いた処置期間には、好ましくは1日~20週間、より好ましくは1日~10週間、なおもより好ましくは1日~4週間、なおいっそうより好ましくは1日~2週間が含まれる。或いは、処置は、疾患が遷延する限り継続し得る。
【0189】
本明細書に開示するヒト化抗hPD1抗体は、任意選択的に1、2、3、又は4週間毎に、好ましくは非経口又は経口投与により、特に静脈内投与又は皮下投与により、約1ng/体重kg~約30mg/体重kg、1μg/kg~約20mg/kg、10μg/kg~約10mg/kg、又は100μg/kg~5mg/kgの範囲の有効用量で提供され得る。
【0190】
特に、本発明によるヒト化抗hPD1抗体は、治療に達しない用量で投与可能である。用語「治療に達しない用量」とは、本明細書で使用される場合、疾患を処置するのに一般的に使用される有効単剤療法投薬レベル未満の用量、又は抗hPD1抗体を用いた単剤療法において、それを有効とするために現在一般的に使用される用量ではない用量を指す。
【0191】
方法及び使用
疾患の処置における使用
本発明のヒト化抗PD-1抗体又はその抗原結合断片、核酸、ベクター、宿主細胞、組成物、及び方法は、非常に多くのin vitro及びin vivoでのユーティリティー及びアプリケーションを有する。例えば、本明細書に記載されるヒト化抗PD-1抗体若しくはその抗体断片(遊離形態又はイムノコンジュゲートとして)、核酸、ベクター、宿主細胞、及び/又は医薬組成物は、治療剤、診断用薬剤、及び医学研究用品として使用可能である。特に、本明細書に提示されるヒト化抗PD1抗体、核酸、ベクター、宿主細胞、又は医薬組成物のいずれも、治療法において及び/又は治療目的で使用され得る。特に、本明細書に提示されるヒト化抗PD-1抗体又はその抗体断片は、PD-1がかかわる任意の疾患又は状態、例えばがんや感染症等、又は免疫不全と関連するその他の疾患、例えばT細胞機能障害等を処置するのに有用であり得る。
【0192】
1つの態様では、本発明は、PD-1に対するPD-L1及び/又はPD-L2の結合の阻害により予防又は処置され得る病理学、疾患及び/又は障害を処置する方法に関する。
【0193】
なおいっそうより好ましくは、本発明は、それを必要としている対象のがん及び感染性疾患からなる群から選択される疾患及び/又は障害、好ましくは慢性感染症を処置する方法であって、上記で定義したような有効量の抗PD1抗体又は医薬組成物を前記対象に投与する工程を含む方法に関する。そのような疾患の例は、本明細書においてより具体的に後記される。
【0194】
本発明は、対象における障害及び/又は疾患の処置で使用され、並びに/或いは医薬又はワクチンとして使用されるヒト化抗hPD1抗体若しくはその抗原結合断片、そのようなものをコードする核酸、核酸の群、若しくはベクター、又はそのようなものを含む医薬組成物とも関連する。本発明は、対象における疾患及び/又は障害を処置するための医薬の製造における、ヒト化抗hPD1抗体若しくはその抗原結合断片、そのようなものをコードする核酸若しくはベクター、又はそのようなものを含む医薬組成物の使用とも関連する。最終的に、本発明は、対象における疾患又は障害を処置するための方法であって、治療有効量の医薬組成物、又はヒト化抗PD1抗体若しくはその抗体断片を対象に投与する工程を含む方法に関する。
【0195】
特別な態様では、本発明は、PD-1に対するPD-L1及び/又はPD-L2の結合の阻害により予防又は処置され得る病理学、疾患及び/又は障害の処置で使用される、本明細書に開示されるようなヒト化抗hPD1抗体若しくはその抗原結合断片、そのようなものをコードする核酸、核酸の群、若しくはベクター、又はそのようなものを含む医薬組成物に特に関する。
【0196】
従って、PD-1及び/又はPD-1/PD-L1及び/又はPD-1/PD-L2シグナル伝達経路と関連する疾患を処置するための方法であって、処置を必要としている対象に、本明細書に記載される有効量の抗PD-1抗体又は医薬組成物を投与する工程を含む方法が本明細書で開示される。治療有効量が患者に投与されるように、患者の生理学的データ(例えば、年齢、サイズ、及び重量)、及び投与の経路も、適する投薬量を決定するため考慮される。
【0197】
疾患及び/又は障害を有する患者を処置する方法が本明細書で開示され、該方法は、(a)処置を必要としている患者を特定する工程;及び(b)本明細書に記載される治療有効量の抗体、核酸、ベクター、又は医薬組成物を患者に投与する工程を含む。
【0198】
1つの特別な態様では、処置を必要としている対象は、PD-1により媒介されるシグナル伝達経路と関連する疾患を有する、それを有するリスクに晒されている、又はそれを有することが疑われるヒトであり得る。そのような患者は、ルーチンの内科検査により特定することができる。例えば、処置に適する対象は、そのような対象がPD-1、PD-L1及び/又はPD-L2陽性細胞を担持するか検査することにより特定することができる。1つの実施形態では、処置を必要とする対象は、疾患、好ましくはPD-1、PDL1及び/又はPDL2陽性の疾患、なおいっそうより好ましくはPD-1及び/又はPD-1の少なくとも1つのリガンドが過剰発現している疾患を有する、疾患を有することが疑われる、又は疾患を有するリスクに晒されている患者である。そのようなでは対象では、本発明による抗体又は医薬組成物を投与する恩恵によって、PD-1/PD-L1及び/又はPD-1/PD-L2相互作用を破綻させることが、対象の免疫応答を増強し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヒト化抗PD-1抗体又は医薬組成物は、PD-1陽性細胞を処置するのに使用可能である。
【0199】
或いは、マクロファージはPD-L1又はPD-L2を発現する標的細胞に対して特異的ではないが、それによる食作用に対する効果に起因して、処置に適する対象は、PD-L1及び/又はPD-L2陰性の標的細胞を有してもよい。1つの実施形態では、処置を必要とする対象は、PDL1及び/又はPDL2陰性である疾患を有する、疾患を有することが疑われる、又は疾患を有するリスクに晒されている患者である。
【0200】
別の態様では、本明細書に記載されるヒト化抗PD-1抗体又は医薬組成物は、例えば、in vivoで免疫性を強化するため、好ましくは障害及び/又は疾患を処置するために対象に投与され得る。従って、1つの態様では、本発明は、対象内の免疫応答を改変する方法であって、対象内の免疫応答が改変されるように、本発明のヒト化抗PD-1抗体若しくはその抗原結合断片、核酸、ベクター、又は医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法を提供する。好ましくは、免疫応答は、強化され、増加され、刺激され、又は上方制御される。ヒト化抗hPD-1抗体又は医薬組成物は、免疫応答の強化、例えば処置を必要とする対象内のT細胞の活性化等に使用可能である。免疫応答の強化は、PD-1に対するPD-L1及び/又はPD-L2の結合の阻害を引き起し、これにより免疫抑制的環境を低下させ、ヒトT細胞の増殖及び/又は活性化、並びに/或いはヒトPBMCによるIFNγ分泌を刺激することができる。
【0201】
代替的又は付加的に、免疫応答の強化は、マクロファージによる細胞の食作用の活性化に起因し得る。この食作用は、PD-L1を発現する細胞に限定されない。実際、本発明のヒト化抗hPD-1抗体は、これらのマクロファージによる任意の細胞、特にがん細胞又は感染細胞の食作用を活性化させることができる。
【0202】
本発明は、対象内の免疫応答を強化する方法であって、対象内の免疫応答が強化されるように、本明細書に記載されるヒト化抗PD-1抗体若しくはその抗原結合断片、核酸、ベクター、又はそのようなものを含む医薬組成物のいずれかについて、その治療有効量を対象に投与する工程を含む方法を特に提供する。
【0203】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヒト化抗hPD-1抗体の量は、PD-1シグナル伝達の抑制において有効である(例えば、コントロールと比較して、少なくとも20%、30%、50%、80%、100%、200%、400%、又は500%、PD-1シグナル伝達を低下させる)。その他の実施形態では、本明細書に記載される抗PD-1抗体の量は、免疫応答の活性化において有効である(例えば、コントロールと比較して、少なくとも20%、30%、50%、80%、100%、200%、400%、又は500%)。
【0204】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヒト化抗hPD-1抗体の量は、ヒトPD-1に対するヒトPD-L1及び/又はPD-L2の結合の阻害において有効である(例えば、コントロールと比較して、少なくとも20%、30%、50%、80%、100%、200%、400%、又は500%、結合を阻害する)。
【0205】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヒト化抗hPD-1抗体の量は、ヒトPD-1に対するヒトPD-L1及び/又はPD-L2の結合のアンタゴニスト活性を有するのに十分である(例えば、コントロールと比較して、少なくとも20%、30%、50%、80%、100%、200%、400%、又は500%、結合を阻害する)。
【0206】
がん
抗体によりPD-1をブロックすれば、患者内のがん性細胞に対する免疫応答を強化することができることは、当技術分野において公知である。従って、1つの態様では、本発明は、がんを有する対象の処置で使用するための抗PD1抗体又は医薬組成物を提供し、該処置は、好ましくはPD1/PD-L1及び/又はPD1/PD-L2相互作用を破壊又は阻害するために、有効量の抗PD1抗体又は医薬組成物を個人に投与する工程を含む。従って、1つの態様では、本発明は、がんを有する対象の処置で使用するための抗PD-1抗体又は医薬組成物を提供し、該抗PD-1抗体は、好ましくはPD1/PD-L1及び/又はPD1/PD-L2相互作用を破壊又は阻害することにより、疲弊したT細胞を活性化させることができる。1つの態様では、本発明は、がんを有する対象の処置で使用するための抗PD-1抗体又は医薬組成物を提供し、該抗PD-1抗体は、好ましくはPD1/PD-L1及び/又はPD1/PD-L2相互作用を破壊又は阻害することにより、マクロファージを活性化させることができる。
【0207】
1つの実施形態では、処置を必要とする対象は、疾患、好ましくはPD-1又はPD-L1陽性のがん、なおいっそうより好ましくはPD-1又はPD-L1が発現又は過剰発現しているがんを有する、がん有することが疑われる、又はがん有するリスクに晒されている患者である。例えば、処置に適する患者は、そのような患者がPD-L1陽性腫瘍細胞を担持するか検査することにより特定することができる。付加的又は代替的に、処置に適する対象は、PD-1を発現又は過剰発現する腫瘍浸潤性T細胞を有する対象である。
【0208】
別の実施形態では、対象は、がんの発症、好ましくはPD-L1及び/又はPD-L2陽性のがんを有する、それを有することが疑われる、又はそれを有するリスクに晒されている患者である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヒト化抗PD-1抗体又は医薬組成物は、PD-L1及び/又はPD-L2陽性腫瘍を処置するのに使用可能である。例えば、処置に適するヒト患者は、そのような患者がPD-L1及び/又はPD-L2陽性のがん細胞を担持するか検査することより特定することができる。
【0209】
更なる態様では、がん、好ましくはPD-L1及び/又はPD-L2陽性のがん、なおいっそうより好ましくはPD-L1及び/又はPD-L2が過剰発現しているがんの処置で使用するためのヒト化抗hPD1抗体又はその抗体断片が提供される。
【0210】
別の実施形態では、本発明は、好ましくはPD-L1、PD-L2陽性腫瘍細胞を有する対象内のがんを処置するための、例えば、腫瘍細胞の増殖を阻害するための医薬の製造における、本明細書に開示されるようなヒト化抗hPD-1抗体若しくはその抗原結合部分、又は医薬組成物の使用を提供する。
【0211】
従って、1つの実施形態では、本発明は、対象内のがんを処置する、例えば腫瘍細胞の増殖を阻害する方法であって、本発明による治療有効量のヒト化抗PD-1抗体若しくはその抗原結合部分、又は医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法を提供する。特に、本発明は、がん性細胞の増殖が阻害されるように、ヒト化抗PD-1抗体を使用して対象を処置することに関する。
【0212】
本開示の1態様では、処置されるがんは、疲弊したT細胞と関連する。
【0213】
好ましくは、「PD-L1陽性腫瘍細胞」又は「PD-L2陽性腫瘍細胞」とは、PD-L1又はPD-L2のそれぞれが、腫瘍細胞の少なくとも10%、好ましくは腫瘍細胞の少なくとも20、30、40又は50%において発現している腫瘍細胞の集団を指すように意図されている。
【0214】
代替的又は付加的に、本発明のヒト化抗hPD-1抗体は、PD-1及び/又はPD-L1の発現が低いこと、及び/又はT細胞、特に腫瘍浸潤性T細胞の数が少ないこと、及び/又は疲弊したT細胞の数が多いことと関連し得るがんを処置するのにも使用可能である。実際、本発明のヒト化抗hPD-1抗体は、このマクロファージによるあらゆる細胞(PD-1及び/又はPD-L1を発現する又はしない細胞)の食作用を驚異的に活性化させ得る。この文脈において、患者は、ウイルス、例えばHIV等による感染症、がん、糖尿病、栄養失調、及び特定の遺伝的障害に起因して、免疫抑制薬を用いた処置に対して、又は免疫療法、化学療法、若しくは放射線療法によるこれまでの処置に対して免疫抑制状態、免疫不全状態、又は免疫低下状態にあり得る。
【0215】
従って、本発明のヒト化抗hPD-1抗体は、PD-L1陰性腫瘍細胞を有するがんを処置するのにも使用可能である。
【0216】
好ましくは、「PD-L1陰性腫瘍細胞」又は「PD-L2陰性腫瘍細胞」とは、PD-L1又はPD-L2のそれぞれが、腫瘍細胞の10%未満、好ましくは腫瘍細胞の5%未満、好ましくは腫瘍細胞の1%未満において発現している腫瘍細胞の集団を指すように意図されている。
【0217】
本明細書に提示される抗体を用いて処置され得る任意の適するがんは、造血器がん又は固形がんであり得る。そのようながんとして、癌、子宮頸がん、結腸直腸がん、食道がん、胃がん、胃腸がん、頭頸部のがん、腎がん、肝がん、肺がん、リンパ腫、神経膠腫、中皮腫、黒色腫、胃がん、尿道がん、環境的に誘発されたがん、及び前記がんの任意の組合せが挙げられる。本発明は、転移がん、特にPD-L1を発現する転移がんの処置にも有用である(Iwaiら、(2005) Int. Immunol. 17巻: 133~144頁)。更に、本発明は、不応性又は再発性の悪性腫瘍を含む。
【0218】
特別な態様では、がんは、PD-1及び/又はPD-L1が高度に発現している血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である。そのようながんは、血液リンパ新生物、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病からなる群より選択可能である。
【0219】
特別な態様では、がんは、ウイルスにより誘発されたがん又は免疫不全と関連するがんである。そのようながんは、カポジ肉腫(例えば、カポジ肉腫ヘルペスウイルスと関連する);頚管、肛門、陰茎、及び外陰部の扁平上皮がん、及び中咽頭がん(例えば、ヒトパピローマウイルスと関連する);びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含むB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、HHV-8原発性滲出性リンパ腫、古典的ホジキンリンパ腫、及びリンパ増殖性障害(例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)及び/又はカポジ肉腫ヘルペスウイルスと関連する);肝細胞癌(例えば、B型及び/又はC型肝炎ウイルスと関連する);メルケル細胞癌(例えば、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MPV)と関連する);並びにヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症と関連するがんからなる群から選択することができる。
【0220】
好ましくは、処置又は予防されるがんは、転移性又は非転移性の黒色腫、悪性中皮腫、非小細胞性肺がん、腎細胞癌、ホジキンリンパ腫、頭頸部のがん、尿路上皮癌、結腸直腸がん、肝細胞癌、小細胞肺がん、転移性メルケル細胞癌、胃がん又は胃食道がん、及び子宮頸がんからなる群から選択される。
【0221】
処置するのに好ましいがんには、一般的に免疫療法に対して応答性のがんが含まれる。
【0222】
例として、また理論に拘泥するつもりはないが、抗がん抗体若しくは抗がんイムノコンジュゲートを用いた処置、又はがん細胞死を引き起こすその他の最新の抗がん療法は、PD-1により媒介される免疫応答を増強する。従って、過剰増殖性疾患(例えば、がん腫瘍)の処置として、抗がん処置と併用される(同時に又は連続して又はその任意の組合せで)ヒト化抗PD-1抗体又はその断片を挙げることができるが、それは宿主による抗腫瘍免疫応答を増強し得る。好ましくは、抗PD-1抗体は、その他の免疫原性薬剤(例えば、ADC)、標準的がん処置法、又は本明細書において後記されるようなその他の抗体と併用使用され得る。
【0223】
感染性疾患
本発明のヒト化抗PD1抗体若しくはその断片、又は医薬組成物が、特定の毒素又は病原体に曝露された患者を処置するのに使用される。従って、本発明の態様は、対象内の感染性疾患を処置する方法であって、好ましくは対象が感染性疾患について処置されるように、ヒト化抗PD-1抗体若しくはその抗原結合断片、又はそのようなものを含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法を提供する。
【0224】
任意の適する感染症が、本明細書に提示されるヒト化抗PD1抗体又は抗体断片を用いて処置され得る。
【0225】
本発明の方法により処置可能な感染症を引き起こすいくつかの病原性ウイルスの例として、HIV、肝炎(A、B、又はC型)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-II、及びCMV、エプスタイン・バーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コロナウイルス、呼吸系発疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ロタウイルス、はしかウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デング熱ウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、及びアルボウイルス脳炎ウイルスが挙げられる。
【0226】
特に、本発明の抗PD1抗体又は医薬組成物は、慢性ウイルス性感染症を有する患者を処置するのに使用され、そのような感染症は、レトロウイルス、アネロウイルス、サーコウイルス、ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹(Varicella zoster)ウイルス(VZV)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、ポリオーマウイルスBK、ポリオーマウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、1型単純ヘルペスウイルス(HSV-1)、アデノウイルス、2型単純ヘルペスウイルス(HSV-2)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、GBウイルスC、パピローマウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、D型肝炎ウイルス(HDV)、1型ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV1)、異種指向性マウス白血病ウイルス関連ウイルス(XMLV)、風疹ウイルス、風疹、パルボウイルスB19、はしかウイルス、コクサッキーウイルスからなる群から選択されるウイルスにより引き起こされる。
【0227】
本発明の方法により処置可能な感染症を引き起こす病原性細菌のいくつかの例として、クラミジア属(Chlamydia)、リケッチア性バクテリア、マイコバクテリア、ブドウ球菌(staphylococci)、連鎖球菌(Streptococci)、肺炎球菌(Pneumococci)、髄膜炎菌(Meningococci)、及び淋菌(Gonococci)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、セラシア属(Serratia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、レジオネラ属(Legionella)、ジフテリア、サルモネラ属(Salmonella)、桿菌(Bacilli)、コレラ、破傷風、ボツリヌス中毒症、炭疽病、ペスト、レプトスピラ症、及びライム病細菌が挙げられる。
【0228】
本発明の方法により処置可能な感染症を引き起こす病原性真菌のいくつかの例として、カンジダ属(アルビカンス(albicans)、クルセイ(krusei)、グラブラタ(glabrata)、トロピカリス(tropicalis)等)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス属(Aspergillus)(フミガーツス(fumigatus)、ニガー(niger)等)、ケカビ属(Genus Mucorales)(ムコール属(mucor)、アブシジア属(absidia)、リゾープス属(rhizopus))、スポロスリックス・シェンキー(Sporothrix schenkii)、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、及びヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)が挙げられる。
【0229】
本発明の方法により処置可能な感染症を引き起こす病原性寄生体のいくつかの例として、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、大腸バランチジウム(Balantidium coli)、ネグレリアフォーレリ(Naegleriafowleri)、アカントアメーバ属(Acanthamoeba sp.)、ランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium sp.)、ニューモシスティス・カリニ(pneumocystis carinii)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、バベシア・ミクロチ(Babesia microti)、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、トリパノソーマ・クルージ(Trypanosoma cruzi)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、及びニッポストロンジラス・ブラジリエンシス(Nippostrongylus brasiliensis)が挙げられる。
【0230】
上記方法のすべてにおいて、PD-1の遮断は、その他の形態の免疫療法、例えばサイトカイン処置(例えば、インターフェロン、GM-CSF、G-CSF、IL-2)、又は腫瘍抗原の提示を強化する任意の療法等と併用可能である。
【0231】
併用療法
特に、本発明によるヒト化抗PD-1抗体又はその抗原結合断片は、臨床開発段階にある又はすでに市販されている薬剤を用いて、免疫回避機構を克服するためのいくつかのその他の潜在的戦略と併用可能である(Antoniaら、Immuno-oncology combinations: a review of clinical experience and future prospects. Clin. Cancer Res. Off. J. Am. Assoc. Cancer Res. 20巻, 6258~6268, 2014のTable 1(表6)を参照)。本発明によるヒト化抗PD-1抗体又はその抗原結合断片とのそのような併用は、特に下記事項において有用であり得る:
1-例えば、抗CTLA4分子を使用することによる、適応免疫の阻害の逆転(T細胞チェックポイント経路をブロックする);
2-適応免疫のスイッチオン(アゴニスト分子、特に抗体を使用してT細胞共刺激受容体シグナル伝達を促進すること);
3-先天的免疫細胞の機能改善;
4-例えば、ワクチンに基づく戦略を通じた免疫系の活性化(免疫細胞のエフェクター機能を増強すること)。
【0232】
従って、本明細書に記載されるヒト化抗PD-1抗体若しくはその抗体断片、又はそのようなものを含む医薬組成物、及び追加の治療剤と組み合わせた、本明細書に記載されるような疾患のいずれかに対する併用療法も本明細書において提供される。1態様では、ヒト化抗PD-1抗体及び追加の治療剤は、上記したような医薬組成物中に存在することができる。或いは、用語「併用療法(combination therapy)」又は「併用療法(combined therapy)」は、本明細書で使用される場合、これらの薬剤(例えば、本明細書に記載されるような抗PD-1抗体、及び第2又は追加の好適な治療剤)が連続した方式で投与されること、すなわち治療剤が異なる時間に投与され、並びにこれらの治療剤又は該薬剤のうちの少なくとも2つが実質的に同時に投与されることを包含する。各薬剤の連続した又は実質的に同時の投与は、任意の適する経路により影響を受け得る。薬剤は、同一経路によっても、また異なる経路によっても投与可能である。例えば、第1の薬剤(例えば、抗PD-1抗体)は経口により投与可能であり、また追加の治療剤(例えば、抗がん剤、抗感染症剤;又は免疫調節薬)は静脈内投与可能である。或いは、選択された併用薬剤は、静脈内注射により投与され得る一方、他方の併用薬剤は経口により投与され得る。
【0233】
別の態様では、本発明は、治療手段、特に有効成分として上記で定義したようなヒト化抗hPD-1抗体又は抗原結合断片、及び追加の治療剤を含む複合製品手段に関し、前記有効成分は、個別療法、連続療法、又は併用療法用として、特に併用使用又は連続使用のために製剤化される。
【0234】
本明細書で使用される場合、用語「連続的」とは、別途規定しない限り、通常の順番又は順序により特徴づけられることを意味し、例えば、投与レジメンがヒト化抗hPD-1抗体及び追加又は第2の薬剤の投与を含む場合、連続的投与レジメンには、第2の薬剤を投与する前、それと同時、それと実質的に同時、又はその後のヒト化抗hPD-1抗体の投与が含まれ得るが、しかし両薬剤は通常の順番又は順序で投与される。用語「個別」とは、別途規定しない限り、一方を他方から離すことを意味する。用語「同時に」とは、別途規定しない限り、同時に生じる又は実施されること、すなわち、本発明の薬剤は同時に投与されることを意味する。用語「実質的に同時に」とは、薬剤が相互に数分以内(例えば、相互に15分以内)に投与されることを意味し、ジョイント投与並びに連続投与を包含するように意図されるが、投与が連続的である場合には、ごく短期間ではあるが(例えば、医師が2つの化合物を個別に投与するのに要する時間)、時間的に分離している。
【0235】
本明細書に記載されるような組合せのいずれも、本明細書に記載される障害又は疾患を処置するために、任意の順番で使用され得るものと認識すべきである。本明細書に記載される組合せは、いくつかの要因(標的疾患の進行を阻害又は予防することの有効性、併用される別の薬剤の副作用緩和における有効性、又は標的疾患と関連する症状の緩和における有効性が含まれるが、これらに限定されない)に基づいて選択され得る。例えば、本明細書に記載される併用療法は、併用される各個別のメンバーと関連する副作用のいずれかを低下させる可能性がある。
【0236】
本発明は、対象の疾患を処置するための方法であって、本明細書に記載される、治療有効量のヒト化抗hPD-1抗体又は医薬組成物、及び治療有効量の追加の治療剤を、前記対象に投与する工程を含む方法とも関連する。
【0237】
本明細書に記載されるヒト化抗hPD-1抗体又は医薬組成物が、追加の治療剤と共に同時使用されるとき、組成物若しくは第2の薬剤について治療に達しない投薬量、又は両者について治療に達しない投薬量が、対象、好ましくはPD-1により媒介される細胞シグナル伝達と関連する疾患又は障害を有する、又はそれを発症するリスクに晒されている対象の処置において使用可能である。1態様では、追加の治療剤は、アルキル化剤、血管新生阻害剤、抗体、特に抗腫瘍標的抗体、代謝拮抗薬、抗有糸分裂薬、抗増殖薬、抗ウイルス薬、オーロラキナーゼ阻害剤、アポトーシスプロモーター(例えば、Bcl-2ファミリー阻害剤)、細胞死受容体経路のアクチベーター、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤、BiTE(二重特異性T細胞エンゲージャー)抗体、抗体薬物コンジュゲート、生物学的応答の修飾因子、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、DVD、白血病ウイルス発癌遺伝子ホモログ(ErbB2)受容体阻害剤、増殖因子阻害剤、ヒートショックタンパク質(HSP)-90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ホルモン療法、免疫薬、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)の阻害剤、挿入抗生物質、キナーゼ阻害剤、キネシン阻害剤、Jak2阻害剤、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質阻害剤、マイクロRNA、分裂促進因子活性化細胞外シグナル制御キナーゼ阻害剤、多価結合タンパク質、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ポリADP(アデノシンジホスフェート)-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、白金化学療法薬、ポロ様キナーゼ(Plk)阻害剤、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3K)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、レチノイド/デルトイド植物アルカロイド、低分子阻害性リボ核酸(siRNA)、トポイソメラーゼ阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、低メチル化剤、チェックポイント阻害剤、ペプチドワクチン等、腫瘍抗原由来のエピトープ又はネオエピトープ、及びこれらの薬剤のうちの1つ又は複数の組合せを含む非網羅的なリストにおいて選択され得る。
【0238】
例えば、追加の治療剤は、化学療法、放射線療法、標的療法、抗腫瘍標的抗体、抗血管新生剤、低メチル化剤、がんワクチン、腫瘍抗原由来のエピトープ又はネオエピトープ、骨髄チェックポイント阻害剤、その他の免疫療法、及びHDAC阻害剤からなる群の中から選択され得る。
【0239】
好ましい実施形態では、追加の治療剤は、化学療法剤、放射線療法剤、免疫療法剤、細胞療法剤(例えばCAR-T細胞等)、抗生物質、及びプロバイオティクスからなる群から選択される。
【0240】
前記免疫療法剤は、特に抗Her2、抗EGFR、抗CD20、抗CD19、及び抗CD52からなる群から選択される、腫瘍性の抗原を標的とする抗体でもあり得る。前記抗体は、腫瘍細胞を標的とする細胞傷害性抗体、又は腫瘍細胞に対する免疫細胞(例えばNK細胞、T細胞、又はマクロファージ等)の細胞溶解活性を誘発する抗体であり得る。そのような抗体の非網羅的リストには、リツキシマブ、ペルツズマブ、アレムツズマブ、アテゾリズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ハーセプチン、パニツムマブ、ネシツムマブ、ジヌツキシマブ、ラムシルマブ、オララツマブ、イピリムマブ、セミプリマブ、トレメリムマブ、CS1001、レラトリマブ、ナキシタマブ、マルゲツキシマブ、BAT8001、KN035、イサツキシマブ、アンデカリキシマブ、ベマリツズマブ、トラスツズマブ、抗PD1抗体、抗PDL-1、抗CD47抗体、及び抗SIRPa抗体が含まれる。非常に特別な態様では、本発明のPD-1抗体はリツキシマブと併用使用される。
【0241】
一実施形態では、本発明は、上記で定義したような併用療法に関し、追加の治療剤は、治療ワクチン、免疫チェックポイント遮断薬又はアクチベーター、特に適応性免疫細胞(T及びBリンパ球)及び抗体薬物コンジュゲートからなる群から特に選択される。好ましくは、ヒト化抗hPD-1抗体若しくはその断片と共に、又は本発明による医薬組成物と共に同時使用するための好適な薬剤には、共刺激受容体(例えば、OX40、CD40、ICOS、CD27、HVEM、又はGITR)と結合する抗体、免疫原性細胞死を誘発する薬剤(例えば、化学療法剤、放射線治療剤、抗血管新生剤、又は標的療法のための薬剤)、チェックポイント分子(例えば、CTLA4、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、BTLA、又はTIGIT)を阻害する薬剤、がんワクチン、免疫抑制酵素(例えば、IDO1又はiNOS)を改変する薬剤、Treg細胞を標的とする薬剤、養子細胞療法のための薬剤、又は骨髄細胞を調節する薬剤が含まれる。
【0242】
一実施形態では、本発明は、上記で定義したような併用療法に関し、第2の治療剤は、抗CTLA4、抗CD2、抗CD28、抗CD40、抗HVEM、抗BTLA、抗CD160、抗TIGIT、抗TIM-1/3、抗LAG-3、抗2B4、及び抗OX40、抗CD40、CD40-L、TLRアゴニスト、抗ICOS、ICOS-L及びB細胞受容体アゴニストからなる群から選択される、免疫チェックポイント遮断薬又は適応性免疫細胞(T及びBリンパ球)のアクチベーターである。
【0243】
1つの実施形態では、追加又は第2の治療剤は、抗Her2、抗EGFR、抗CD20、抗CD19、及び抗CD52からなる群から特に選択される、腫瘍性抗原を標的とする抗体である。
【0244】
第2の治療剤の具体例は、国際公開第2018/053106号の36~43頁に提示されており、その開示は参考として本明細書に組み込まれている。
【0245】
併用療法は、ヒト化抗PD1抗体又はその抗体断片の投与と、手術、化学療法(例えば、ドセタキセル又はデカルバジン等)、放射線療法、免疫療法(例えば、CD40、CTLA-4を標的とする抗体等)、遺伝子ターゲティング及びモジュレーション、並びに/或いはその他の薬剤、例えば免疫モジュレーター、血管新生阻害剤等、及びその任意の組合せとの併用にも立脚し得る。
【0246】
診断での使用
特定の実施形態では、本明細書に提示される抗PD1抗体は、生体サンプル中のPD1の存在を検出するのに有用である。用語「~を検出すること」は、本明細書で使用される場合、定量的又は定性的な検出を包含する。特定の実施形態では、生体サンプルは、細胞又は組織、例えば免疫細胞又はT細胞浸潤物等を含む。
【0247】
1態様では、本発明は、in vitro又はex vivoでの診断方法、特に個人化された医療、より具体的にはコンパニオン診断での使用に適する診断方法とも関連し、ヒト化抗PD-1抗体又はその抗原結合断片は、好ましくは対象からこれまでに得られたサンプル中のPD-1陽性細胞を検出するのに、また任意選択的にPD-1の発現を定量化するのに使用される。
【0248】
本発明は、サンプル中のヒトPD-1抗原の存在を検出するための方法、又はヒトPD-1抗原の量を測定するための方法であって、抗体又はその部分とヒトPD-1との間の複合体の形成を可能にする条件下で、サンプル及びコントロールサンプルを、本発明によるヒト化抗PD1抗体と接触させる工程を含む方法を更に提供する。複合体の形成が次に検出され、その場合、コントロールサンプルと比較して、それとサンプルとの間で複合体形成に相違があれば、それはサンプル中にヒトPD-1抗原が存在することを示唆する。そのような方法はin vitro法又はin vivo法であり得る。抗体は、本明細書で上記したような適する検出可能部分を含むイムノコンジュゲートであり得る。このようなアッセイ法は、例えばがん等の疾患の存在及び/又は進展を評価するのに有用であり得る。
【0249】
別の態様では、本発明は、対象、特にがん対象を処置する際に、その処置に対する応答について予測的であるバイオマーカーとしてPD-1が使用される方法における、本発明のヒト化抗ヒトPD-1抗体又はその抗原結合断片の、特にin vitro又はex vivoでの使用とも関連する。
【0250】
1態様では、本発明は、がん対象の処置に対する応答を、特に本発明のヒト化抗ヒトPD-1抗体又はその抗原結合断片を用いて予測するin vitro又はex vivoでの方法であって、
- 好ましくは検出可能な部分とリンクした本発明のヒト化抗ヒトPD-1抗体又はその抗原結合断片を用いて、好ましくはこれまでに対象から得られた腫瘍サンプル中のPD-1の発現レベルを決定する工程と、
- PD-1の発現レベルを、非応答性の対象集団におけるPD-1の発現レベルを代表する数値と比較する工程と
を含み、該対象の腫瘍サンプル中のPD-1の発現レベルがより高ければ、処置、好ましくはヒト化抗PD1抗体若しくはその抗原結合断片、又はそのようなものを含む医薬組成物を使用する抗がん処置に応答する対象を示唆する方法とも関連する。
【0251】
本発明は、ヒト化抗PD1抗体又はその断片が、ヒト化抗PD1抗体を用いた療法に適格性を有する対象を選択するのに使用される診断方法も提供し、その場合、例えばPD-1が、患者を選択するためのバイオマーカーであり、又はPD-1が過剰発現している。
【0252】
キット
本明細書に記載される抗体又は組成物のいずれも、本発明により提供されるキットに含まれ得る。本開示は、免疫応答を強化し、及び/又はPD-1シグナル伝達と関連する疾患(例えば、がん及びウイルス疾患)を処置する際に使用するためのキットも提示する。
【0253】
特に、本発明によるキットは、
- 本明細書に記載されるような抗hPD1抗体若しくはその抗原結合断片、
- 前記抗体をコードする核酸分子若しくは核酸分子の群、
- 前記核酸分子若しくは核酸分子の群を含むベクター、及び/又は
- 前記ベクター、核酸分子若しくは核酸分子の群を含む細胞
を含み得る。
【0254】
本発明の文脈において、用語「キット」とは、コンテナ、レシピエント等内にパッケージングされた2つ以上のコンポーネント(そのうちの1つは本発明のヒト化抗hPD-1抗体分子、核酸分子、ベクター、又は細胞に対応する)を意味する。キットは、従って、適するコンテナ手段内に、ヒト化抗PD1抗体、及び/又は本発明の宿主細胞、及び/又は本発明の核酸分子若しくは核酸分子の群をコードするベクター、及び/又は核酸分子若しくは核酸分子の群若しくは本発明の関連する試薬を含み得る。キットは、従って、単一ユニットとして市販され得る、所定の目標を実現するのに十分である製品及び/又は用具のセットとして記載され得る。
【0255】
いくつかの実施形態では、個人からサンプルを採取する手段、及び/又はサンプルをアッセイする手段が提供され得る。特定の実施形態では、キットは、細胞、バッファー、細胞培地、ベクター、プライマー、制限酵素、塩等を含む。キットは、滅菌状態の薬学的に許容されるバッファー及び/又はその他の賦形剤を収納するための手段も含み得る。
【0256】
コンテナは、ユニット用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)、又はサブユニット用量であり得る。一実施形態では、本発明は、単一用量投与ユニットのための上記で定義したようなキットに関する。本発明のキットは、乾燥/真空凍結乾燥された抗体を含む第1のレシピエント、及び水性製剤を含む第2のレシピエントも含み得る。本発明の特定の実施形態では、単一チャンバー及び複数チャンバーを備えた事前充填されたシリンジ(例えば、液体シリンジ及び凍結乾燥シリンジ)を収納するキットが提供される。
【0257】
本発明のキットは、適するパッケージング内にある。適するパッケージングとして、バイアル、ボトル、ジャー、柔軟性のパッケージング(例えば、シールされたマイラ又はプラスチック袋)等が挙げられるが、これらに限定されない。特別なデバイス、例えば吸入器等、鼻腔投与デバイス(例えば、アトマイザー)、又は輸液デバイス、例えばミニポンプ等と併用使用するためのパッケージについても検討される。キットは、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、コンテナは、静脈内輸液バッグ又は皮下注射針により貫通可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。コンテナも、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、コンテナは、静脈内輸液バッグ又は皮下注射針により貫通可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性な薬剤は、本明細書に記載されるようなヒト化抗PD-1抗体又はその抗原結合断片である。
【0258】
本発明によるキットに含まれる組成物は、シリンジ適合組成物に製剤化することもできる。この場合、コンテナ手段そのものが、シリンジ、ピペット、及び/又はその他のそのような用具であり得るが、それらから製剤が身体の感染したエリアに適用され得、並びに/或いは他のキットのコンポーネントに適用され及び/又はそれと混合されることさえあり得る。キットのコンポーネントは、乾燥した粉末として代替的に提供され得る。試薬及び/又はコンポーネントが乾燥粉末として提供されるとき、可溶性組成物が、好適な溶媒を添加することにより再構成され得る。溶媒は別のコンテナ手段内にも提供され得るし、また投与に適し得ると想定される。
【0259】
いくつかの実施形態では、キットはがん又は感染性疾患を処置するための追加の薬剤を更に含み、そして該追加の薬剤は、ヒト化抗PD1抗体又は本発明のキットのその他のコンポーネントと併用される場合もあれば、またキット内に個別に提供される場合もある。特に、本明細書に記載されるキットは、1つ又は複数の追加の治療剤、例えば本明細書で上記した「併用療法」に記載されているもの等を含み得る。キットは、特定のがんに対して個人毎に特別調製され得るが、また本明細書で上記したように、個人のための個別の第2のがん療法を含み得る。
【0260】
本明細書に記載される抗体分子又は医薬組成物の使用と関連する指示書は、意図した処置に対応する投薬量、投与スケジュール、投与経路、抗体を再構成するための手段、及び/又は本発明の抗体を希釈するための手段に関する情報を一般的に含む。本発明のキットに支給される指示書は、一般的にラベル又は添付文書(例えば、リーフレット又は指示マニュアルの形態でキットに含まれるペーパーシート)上の文書化された指示書である。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載される方法のいずれかに基づく使用説明書を含み得る。含まれる指示書は、免疫応答を強化し、及び/又は本明細書に記載されるような疾患を処置するための抗体を含む医薬組成物の投与についての説明を含み得る。キットは、個人がPD-1シグナル伝達に関連する疾患、例えば本明細書に記載される疾患を有するか特定し、それに基づき、処置に適する個人を選択することの説明を更に含み得る。
【実施例】
【0261】
下記の図及び実施例は、完全な開示、並びに本発明を実現及び使用するやり方についての説明を当業者に提供するために記載され、また本発明者らがその発明とみなすものの範囲を制限するようには意図されず、なお且つ下記の実験が実施された実験のすべて又はそれのみであるということの表明であるとも意図されない。本発明は、その特別な実施形態を参照しながら記載されているが、本発明の真正な精神及び範囲から逸脱せずに、様々な変更をなし得、及び等価物は置換され得るものと当業者により理解されるべきである。それに加えて、特定の状況、材料、物質の構成、プロセス、プロセスステップを、本発明の目的、精神、及び範囲に適合するように、多くの改変を加えることができる。そのような改変のすべては、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲内にあるように意図されている。
【0262】
(実施例1)
ヒト生殖細胞系を用いたCDRグラフティング(ヒトフレームワーク)
抗体をヒト化する第1の工程は、マウス抗PD-1 CDR領域をヒト生殖細胞系中にグラフトすることであった。3つの重鎖ヒト生殖細胞系(IGHV7-4-1*02、IGHV1-46*01、IGHV3-20*01)、及び軽鎖に関する2つの生殖細胞系(IGKV2-30*02、IGKV3-11*01)をテストした。Table 1(表6)に示すように、生殖細胞系IGHV7-4-1*02重鎖及びIGKV2-30*02が最高のヒト化率(%)を有し、抗体をヒト化されたものとして認定するのに必要とされる85%を上回っている。
【0263】
【0264】
重鎖及び軽鎖を、接着COS細胞中に一時的に同時トランスフェクトした。抗体の濃度を、サンドイッチELISAを使用してCOS細胞の上清において評価した(検出用として固定化したロバ抗ヒトFc抗体、及び顕色は、マウス抗ヒトκ+ペルオキシダーゼがコンジュゲートしたヤギ抗マウス抗体を使用して評価した)。濃度を、ヒトIvIgG標準を使用して計算した(ng/ml表示)。Table 2(表7)に示すように、COS細胞における良好な生産性が、生殖細胞系IGHV7-4-1及びIGKV2-30*02(ヒト化率(%)が最高の組合せ)について得られた一方、生殖細胞系IGHV3-20*01とIGKV3-11*01との組合せは、ヒト化抗PD-1抗体の生産性が顕著に低下する。更に、他の組合せも、やはり良好な生産性を示すことが指摘され得る。
【0265】
【0266】
ヒト化抗PD1バリアント抗体の結合性分析を、ELISAによりヒトPD1タンパク質において実施した。組換えhPD1(Sino Biologicals社、北京、中国;参照番号10377-H08H)を、炭酸バッファー(pH9.2)中、0.5μg/mlでプラスチックに固定し、そしてCOS細胞の上清を複数の濃度で添加して結合効率を測定した。インキュベーション及び洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ロバ抗ヒトIgG(Jackson Immunoresearch社;米国;参照番号709-035-149)を添加し、そして従来法により顕色化した。
【0267】
【0268】
すべてのCDRグラフト化生殖細胞系は、キメラ抗体(VHwt+VLwt)と比較して、PD-1に対して類似した結合性を有し、PD-1抗体の生物学的特性についてその妥当性を確認する(Table 3(表8))。総合して、(1)それぞれ89.8%及び89%というその高いヒト化率(%)、(2)抗体のオリジナル配列と比較してより高い相補性配列、(3)in vitroでの生物学的活性の保持、及び(4)哺乳動物細胞内での良好な生産性に起因して、IGHV7-4-1フレームワーク及びIGKV2-30*02フレームワークを有するVL-CDRを選択した。
【0269】
ヒト化の第2の工程は、マウス由来のCDR配列を変異させてヒト化率(%)を増加させること、及び製造プロセスにおいて抗体を不安定化させるおそれのある、重鎖及び軽鎖内の脱アミノ部位又はグリコシル化部位を除去することから構成された。Table 4(表9)にリスト化されている複数の変異した配列を生成し、そしてその産生及び生物学的活性についてテストした。軽鎖配列にも、CDR1内に、製造プロセスにおいて産生物の安定性を損なうおそれのあるグリコシル化部位が存在した(「NG」配列)。このグリコシル化部位を取り除くために、G29アミノ酸をTアミノ酸に置換し「LD」鎖とした(アミノ酸位置は、Kabatナンバリングにより決定され、配列番号33のG34に対応する)。HCLD抗体は優良候補であるが、重鎖のCDR3領域内に脱アミノ部位(DS配列)が存在する。この配列は、製造プロセスにおいて産生物の安定性を損なうおそれがある。このDS配列を取り除くために、本発明者らは、D105又はS106アミノ酸を置換することにより、代替的配列HE、HG、HH、HI、HJ、HK、HLを生成させた。
【0270】
【0271】
【0272】
(実施例2)
Blitz法、ELISA法、及びフローサイトメトリー法による、ヒトPD1タンパク質上でのヒト化抗PD1バリアント抗体の結合性分析
組換えhPD1(Sino Biologicals社、北京、中国;参照番号10377-H08H)を、炭酸バッファー(pH9.2)中、0.5μg/mlでプラスチックに固定し、そして精製済みの抗体を添加して結合性を測定した。インキュベーション及び洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ロバ抗ヒトIgG(Jackson Immunoresearch社;米国;参照番号709-035-149)を添加し、そして従来法により顕色化した。
【0273】
【0274】
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
結果:マウス抗ヒトPD1抗体(本明細書ではキメラ抗体と呼ばれる)のヒト化段階の後、キメラ抗体と比較して、ヒトPD1(組換えタンパク質並びに細胞表面発現PD1)に対するその結合容量が良好なことから、いくつかのヒト化抗PD1バリアント抗体を選択した。
図1(A)及びTable 5(表10)は、異なる方法により、抗体HKLDが、バリアント抗体の中で最良の結合活性、及びキメラ抗体と比較して改善した結合性を有することを示す。
図1Bは、抗体がLC軽鎖バリアントと組み合わされたときに、ヒト細胞上でのこの類似した結合容量を確認する。Table 6(表11)に提示されるアビディティー測定は、バリアント抗体の中でHKLDが最良のKD、及びキメラ抗体と比較して改善したKDを示すことを示唆する。Table 7(表12)は、キメラ抗体、HKLD、及びキイトルーダ(臨床的に承認された抗PD-1抗体)のようなその他のPD1抗体において、それらのPD1に対する親和性測定を比較し、そしてバリアントHKLDはキイトルーダと比較して、類似した親和性を有することを示す。この実験では、固定化したPD-1及び可溶性抗体を使用したBlitz実験とは対照的に、抗Fc抗体を固定化し、1価のPD-1抗体について親和性測定を可能にすることにより、抗体の親和性を測定した。抗PD-1バリアント抗体の親和性は、PD-1タンパク質に対して類似した親和性/アビディティーを示したが、細胞ベースのシステムでは、
図1C及びTable 8(表13)に示すように、キメラ形態の抗体と比較して、HKLDはPD-1+ T細胞とより良好に結合することを、本発明者らは驚くべきことに観測した。一方、HGLDバリアントは、抗PD-1キメラ形態と比較して、結合容量が失われている。HGLDに付加して、本発明者らは、ヒト化プロセス期間中に、いくつかの変異が、PD1結合容量の喪失を誘発したことも明らかにした。
図2(A~E)は、Kabat法により番号付けされた重鎖可変ドメイン上のアミノ酸96及び97、並びにKabat法により番号付けされた軽鎖可変ドメイン上のアミノ酸28、34、94は、PD1結合容量にとって重要であり、従って変異させてはならないことを示す。Table 9(表14)は、重鎖及び軽鎖の選択された可変ドメイン毎に、ヒト化の程度(T20ヒトらしさスコア)を表す。T20測定は、選択されたバリアント抗体の可変領域のそれぞれについて、ヒトらしさスコアが、特に88~91.28%と非常に高いことを示す。Table 10(表15)は、ヒト化抗PD-1(HKLDバリアント)のT20スコアは、標準的なキイトルーダ(これまでに記載されており、また臨床的に承認された抗PD-1配列)よりも優れた(重鎖につき75.7に対して91.07%、及び軽鎖につき82.7に対して88.7%)ことを示している。
【0280】
(実施例3)
哺乳動物COS及びCHO細胞における一過性トランスフェクション後の抗体産生性
重鎖及び軽鎖を、接着COS細胞又はCHO細胞中に一時的に同時トランスフェクトした。抗体の濃度を、サンドイッチELISAを使用してCOS細胞及びCHO細胞の上清において評価した(検出用として固定化したロバ抗ヒトFc抗体、及び顕色は、マウス抗ヒトκ+ペルオキシダーゼがコンジュゲートしたヤギ抗マウス抗体を用いた)。濃度を、ヒトIvIgG標準を使用して計算した。産生性を、収集した培養物上清1リットル当たりの精製された抗体の量として計算した。
【0281】
【0282】
【0283】
結果:異なるバリアントを哺乳動物細胞、例えばCHO又はCOS等内で産生させ、そしてTable 11(表16)に示す結果は、ヒト化抗PD1バリアント抗体は、両細胞型においてキメラ抗体よりも良好な生産収率(mg/L)を有することを、驚異的にも示している。HKLDが最良の生産収率を示す。CHO細胞において、この抗体について生産収率は3倍に、またCOS細胞ではほぼ4倍に増加する。並行して、Table 12(表17)に示すように、分子の安定性をin vitroで評価し、すべてのバリアントが4℃及び37℃において良好な安定性を示し、凝集体は少なかった。そのような結果から、本発明のヒト化抗PD1抗体は、臨床開発及び治療応用の次のステップにとって非常に重要である、非常に良好な製造可能性を示すことが示唆される。
【0284】
CHO細胞産生法を使用する第2の実験では、HKLDバリアントの産生性を、キイトルーダ及びキメラ抗PD-1抗体の産生性と比較した。
図6に示すように、本発明者らは、キメラバックボーン及びキイトルーダバックボーンと比較して、HKLDバリアントでは産生性が高まることを観測した。このテストでは、産生性を、小スケール(12ウェルプレート、接着細胞上での一過性トランスフェクション)及びバイオリアクター(非最適化フェドバッチCHO細胞産生方式)においてテストした。HKLDバリアントでは、2g/Lという高収率が得られ、大スケール産生プロセスにおける高抗体産生性が確認された。
【0285】
(実施例4)
PD-PDL1及びPD1-PDL2相互作用に対するヒト化抗PD1バリアント抗体のアンタゴニスト活性を測定する競合アッセイ:
【0286】
【0287】
【0288】
DiscoverX細胞ベースのバイオアッセイを使用するPD-1シグナル伝達分析
DiscoverX PathHunter(登録商標)Jurkat PD-1(SHP1)シグナル伝達アッセイ(参照番号93-1104C19)を用いて、PD-1/pSHP-1シグナル伝達をブロックする抗PD-1抗体の能力を評価した。このアッセイでは、Jurkat T細胞は、β-gal断片(ED)に融合したキメラPD-1受容体、及び補完性のβ-gal断片(EA)に融合した工学操作されたSHP1を安定的に発現する。Jurkat細胞をPD-L1提示細胞と同時培養すると、PD-1のリン酸化、工学操作されたSHP-1のリクルートメント、並びにED断片及びEA断片の補完を引き起こし、活性なβ-gal酵素、及び基質添加後には生物発光シグナルを生み出す。化学発光は、PD-1シグナル伝達の活性化に比例する。実験は製造業者の勧告に従って実施した。要するに、PD-1+Jurkat細胞を、異なる濃度の抗PD-1抗体と共に1時間インキュベートし、次にPD-L1+細胞と共にもう1時間同時培養した。検出試薬を添加し、発光シグナルを、180分後にTecan(商標)プレートリーダーを使用して読み取った。ヒト化抗PD1バリアント抗体を異なる濃度でテストした。データを、RLU(相対的発光シグナル)で表す。IC50(ng/mL)とは、50%のシグナル阻害に達するのに必要とされる濃度を指す。
【0289】
【0290】
(実施例5)
Promega細胞ベースのバイオアッセイを使用する細胞活性化アッセイ
T細胞の活性化を回復させる抗PD-1抗体の能力を、Promega PD-1/PD-L1キット(参照番号J1250)を使用してテストした。2つの細胞系統:(1)エフェクターT細胞(PD-1、NFAT誘発型ルシフェラーゼを安定的に発現するJurkat)、及び(2)活性化標的細胞(PDL1及び同起源のTCRを抗原独立性に刺激するように設計された表面タンパク質を安定的に発現するCHO K1細胞)を使用する。細胞を同時培養すると、PD-L1/PD-1相互作用がTCR媒介式の活性化を阻害し、これによりNFATの活性化及びルシフェラーゼ活性をブロックする。抗PD-1抗体を添加すると、PD-1媒介式の阻害性シグナルがブロックされ、NFATの活性化及びルシフェラーゼ合成及び生物発光シグナルの放出を引き起こす。実験は製造業者の勧告に従って実施した。PD-1抗体の連続希釈物をテストした。PD-L1+標的細胞、PD-1エフェクター細胞、及び抗PD-1抗体の同時培養から4時間後に、BioGlo(商標)ルシフェリン基質をウェルに添加し、そしてプレートを、Tecan(商標)ルミノメーターを使用して読み取った。ルミノメーターを使用した発光の定量化は、T細胞の活性化を反映する。ヒト化抗PD1バリアント抗体の連続希釈物をテストした。ED50(μg/mL)とは、最大発光の50%に達するのに必要とされる抗体の濃度を指す。
【0291】
【0292】
結果:異なるヒト化抗PD1バリアント抗体についてPD1に対する結合容量を測定した後、PD1-PDL1相互作用をブロックする各バリアント抗体の阻害能力を、異なる方法(Biacore法、Blitz法、及びELISA法)を使用して評価した。
図4Aは、PD1-PDL1相互作用におけるバリアント(HCLC、HCLD、及びHELC、HELD抗体)の阻害応答を、キメラ抗体と比較して示す。
図4Bは、PD1に対するPDL1の結合における、バリアント(HCLD、HELD、HGLD、HILD、HJLD、HKLD、及びHLLD抗体)の阻害応答を示す。Table 13(表18)は、バリアント抗体が存在すれば、いずれもPD1に対するPDL1の結合を阻害することを示す。HCLC及びHELCについて得られた結果は、Table 13(表18)に提示した結果と類似する(データは示さない)。
図4Cは、異なる濃度のヒト化抗PD1抗体の競合的効果を示し、バリアント毎にIC50の測定値をもたらす(
図4C及びTable 14(表19))。PD1は、細胞表面上で発現する別のリガンド: PDL2に結合することができる。
図5A及び
図5Bは、Biacoreアッセイ法及びアンタゴニストPD-L2/PD-1 ELISA法により測定されるように、抗PD-1バリアント抗体(HELC、HELD、及びHKLD)は、PD1-PDL2相互作用もブロックすることを示す。
【0293】
それらの結果を確認するために、SHP1(PD-1経路由来のシグナル伝達タンパク質)のリン酸化を評価するバイオアッセイを実施した。
図7A及び
図7Bは、SHP1のリン酸化について、異なるヒト化抗PD1バリアント抗体を用いて得られた阻害用量-応答の関係を示す。Table 15(表20)は、バリアント抗体毎にIC50を提示し、PD1の活性化において、すべてのバリアントについて類似した阻害効果を示す。それにもかかわらず、HCLD及びHKLDバリアントと命名される2つのバリアントは、例えばHELDバリアントと比較して、シグナルP-SHP1を阻害するのにより有効であった。阻害曲線は、キメラバックボーンに近いHCLD及びHKLDについてより良好な阻害を示した一方、HLLD又はHJLDヒト化変異体はアンタゴニスト能力を若干失っている。並行して、PD1-PDL1相互作用を阻害してT細胞の活性化を引き起こす阻害(阻害性チェックポイント相互作用の阻害)の有効性を、すべての選択されたヒト化抗PD1バリアント抗体について比較するために、T細胞の活性化を、NFAT生物発光バイオアッセイ法を使用して評価した。
図8は、テストされたすべてのバリアントは、TCR媒介式のNFATシグナル伝達を活性化させることが可能であったが、効力及び有効性が異なることを示す。プラトー段階において得られた最大RLUシグナルは効力を反映する。発明者は、HCLD、HKLDバリアントは、例えばHELD又はHLLDバリアントと比較して、より良好な効力を有することを観測した。この有効性は、EC50により決定される(Table 16(表21))。キメラ抗体及びすべてのバリアントは、NFATを活性化させるのに有効であるが、HCLD、HILD、HKLD、HHLD、HELD、及びHKLDバリアントは、T細胞を活性化させるのに最も有効であった。
【0294】
(実施例6)
ヒトT細胞によるIFNg分泌
ヒトT細胞によるエフェクターサイトカインの分泌を刺激するHKLDバリアントの有効性を実証するために、本発明者らは、樹状細胞及び同種異系のT細胞を同時培養することにより、混合白血球反応アッセイを実施した。
図9に示す通り、HKLDバリアントは、IFNgサイトカインの分泌を投与量依存性に増加させる。
【0295】
すべての選択されたヒト化抗PD1バリアント抗体は、PDL1及びPDL2に対するPD1の結合を、少なくともキメラ抗体と同じくらい良好に阻害することができた。すべてのバリアントがT細胞を活性化させることができる。生物学的アッセイにおいて、PD1シグナル伝達によるP-SHP1阻害又はNFAT活性化と同様に、本発明者らは、3つのバリアント、すなわちHCLD、HKLD及びHILDは、その他のものより有効であることを観測した。これらは、キメラの結果と類似したシグナル、及びその他のバリアントと比較して改善したPD1の遮断を示す。その他のバリアントとの比較において、HILD及びHKLDバリアントは、その生物学的活性、すなわちPD-1に対する高い親和性、PD-L1及びPD-L2に対するアンタゴニスト能力、及びT細胞活性化を回復させる能力(pSH-P-1に対する阻害、NFATの活性化、IFNgエフェクターサイトカイン分泌の促進)を保存しつつ、哺乳動物細胞ベースの産生システムにおいて、高い製造可能性及び生産収率を含め最良の特性を示した。
【0296】
(実施例7)
ヒト化抗PD1抗体のin vivoでの有効性
ヒト抗PD-1抗体の有効性を、ヒトPD-1(エクソン2)を発現するように遺伝的に改変された免疫適格性マウスにおいて、複数のin vivoモデルを対象に評価した。中皮腫モデルの場合、AK7中皮性細胞を胸膜内注射し(細胞3e6個/マウス)、次に5/8/12/15日目に、1mg/kgの抗PD-1コントロール又は抗PD1ヒト化抗体(HKLDバリアント)を用いて処置した。注射したAK7細胞はルシフェラーゼを安定的に発現し、D-ルシフェリン(3μg/マウス、GoldBio社、Saint Louis MO、米国、参照番号115144-35-9)の腹腔内注射後には、in vivoでの生物発光シグナルの生成を可能にする。ルシフェリン注射から10分後に、生物発光シグナルを、マウスの背側及び腹側において、Biospace Imagerにより1分間測定した。1光子/秒/cm2/ステラジアンにおいてデータを分析し、そして背側シグナル及び腹側シグナルの平均を示す。各群は、1群当たり5~7匹のマウスの平均値±SEMを表す。MC38モデルの場合、MC38結腸がん細胞を、細胞5e5個を用いて側腹部に皮下注射し、そして腫瘍容積を式0.52×(長さ×幅)を用いて計算した。腫瘍が40~80mm3に達したときに、10mg/kgの抗PD1ヒト化抗体(HKLDバリアント)を用いて、1週間に3回、3週間にわたりマウスを処置した。肝臓癌同所性モデルの場合、2.5e6個のHepa1.6細胞を門脈中に注射し、腫瘍注射後、4/7/11/14/18/21日目に、3mg/kgのIgG4アイソタイプコントロール又は抗PD1ヒト化抗体(HKLDバリアント)を用いてマウスを処置した。
【0297】
結果:
図10は、陽性コントロールとしてコントロール抗PD1抗体を用い、又はヒト化抗PD1バリアント抗体の1つ(HKLD)を用いて処置した後の中皮腫腫瘍増殖を示し、陰性コントロールはPBSを用いて動物を処置することにより表される。本発明のヒト化抗PD1は、腫瘍増殖のコントロールにおいて非常に良好な有効性を示す。
図10Aに示すように、ヒト化抗PD1バリアント抗体(HKLD)は、AK7中皮腫腫瘍を根絶することができ、1mg/kg又は3mg/kgの抗体をそれぞれ用いたとき、77%(マウス13匹中10匹)又は100%(マウス7匹)の完全応答率を有する(
図10B)。In vivoでの有効性を、他の2匹のマウスモデルにおいて確認した。異所性(ectopic)MC38結腸癌では、ヒト化抗PD1バリアント抗体(HKLD)は、生存期間の中央値を有意に改善し、また完全応答率(マウス10中5匹)を50%まで促進した(
図11A及び
図11AB)。同様に、同所性HCCモデルでは、ヒト化抗PD1バリアント抗体(HKLD)は、マウス生存率を改善し、42%の完全応答率(マウス10匹中3匹)を有した(
図12)。
【0298】
(実施例8)
ヒト化抗PD1抗体のin vivo薬物動態及び薬力学
産生物の薬物動態及び薬力学を、カニクイザル及びマウスにおいて、単回注射後に評価した。マウスにおいて薬物動態を評価するために、キメラ形態、ヒト化抗PD-1抗体(HKLDバリアント)、又はキイトルーダ抗体を単回投与(5mg/kg)で、BalbcRJ(メス6~9週齢)に眼窩内又は皮下注射した。固定化した抗ヒト軽鎖抗体(クローンNaM76-5F3)に、稀釈した血清含有抗PD-1抗体を添加し、それを使用して血漿薬物濃度をELISAにより決定した。ペルオキシダーゼ標識ロバ抗ヒトIgG(Jackson Immnoresearch社;米国;参照番号709-035-149)を添加し、それを用いて検出を実施し、そして従来法により顕色化した。
【0299】
1mg/kg又は5mg/kgのヒト化抗PD1抗体(HKLDバリアント)を用いて、カニクイザルに静脈内注射した。ELISAにより血清中の抗PD1抗体を定量化するために、全血及び血清を複数の時点で収集した。サルの血清中抗PD-1抗体、PD-1組換えタンパク質を固定化し、そして稀釈した血清含有抗PD-1抗体を添加した。検出をスルホタグ化された抗ヒトκ抗体を用いて実施し、そしてMSD技術を使用して顕色化した。
【0300】
結果:
図13A、
図13B、及び
図13Cは、ヒト化抗PD-1抗体は、マウス及びサルにおいて、in vivoで、好ましい薬物動態プロファイルを有し、反応速度曲線も直線的であることを示す。マウスでは、IgG1 N298A及びIgG4 S228Pアイソタイプを有する抗PD-1ヒト化形態(HKLD)は、キイトルーダ(臨床的に使用され、また市販化されている抗PD-1抗体)と類似したプロファイルを有する。カニクイザルでは、1mg/kgと比較して5mg/kgの方が、ヒト化抗PD-1抗体の血清中量がより高く検出されるように、用量と暴露量において良好な相関が観察される。総じて、このデータは、ヒト化抗PD-1は、in vivoで好ましい薬物動態プロファイルを有することを示す。
【0301】
(実施例9)
ヒト化抗PD-1抗体は、同一細胞上でのPD-1/PD-L1相互作用の遮断を通じて、マクロファージ媒介式の腫瘍細胞食作用を増強する。
PD-1発現はT細胞に限定されず、例えばPD-1は、腫瘍関連マクロファージ上でも発現され得る。腫瘍細胞上でのPD-L1発現は、マクロファージにトランス阻害性シグナルを引き起こす引き金となり得、その食細胞能力をブロックする(Gordonら、Nature. 2017 May 25;545巻(7655):495~499頁)。しかしながら、PD-1/PD-L1遮断療法がPD-L1陰性腫瘍細胞の食作用を強化し得るか、について記載されていない。M1マクロファージは、両方の受容体をその表面上に発現するので、PD-1及びPD-L1が同一細胞に結合し、そしてマクロファージに負の制御シグナル伝達をもたらす引き金となることが可能である。ここでは、本発明者らは、ヒト化抗PD-1抗体が同一細胞でのPD-1/PD-L1相互作用を遮断することで、PD-L1陰性腫瘍細胞に対するマクロファージの食細胞機能を回復可能であることを実証した。
【0302】
結果:
図14Aは、M0、M1マクロファージ、及びraji細胞上でのPD-1及びPD-L1の発現を示す。M1マクロファージのみが両方の受容体PD-1及びPD-L1を発現し、またM0マクロファージはPD-1を高く発現し、PD-L1は発現せず、Raji細胞もPD-L1を発現しない。
図14Bは、ヒト化抗PD-1抗体は、M1マクロファージによるPD-L1陰性腫瘍の食作用を驚異的に強化することを示す。その他の抗PD-1抗体(ペンブロリズマブ及びニボルマブ)との比較において、ヒト化抗PD-1抗体は、腫瘍細胞に対する食作用促進においてよりいっそう有効である(
図14C)。このアッセイでは、腫瘍細胞はPD-L1を発現しないが、M1マクロファージは両受容体PD1及びPDL1を発現するので、この実験は、抗ヒト化抗体は、同一細胞上のPD-L1とPD-1との間の相互作用(腫瘍細胞食作用の阻害を引き起こす相互作用)をブロックすることができることを示唆する。実際には、PD-L1を発現しないがPD-1受容体を発現するM0マクロファージを用いて同じ実験を実施した(
図14A)。
図14Dに示す通り、抗PD-1ヒト化抗体は、M1マクロファージの食作用を強化する一方、M0マクロファージ上では効果を有さず、PD-1/PD-L1の両受容体がヒト化抗PD1抗体により媒介される効果の強化に必要とされることを実証する。これらのデータは、抗PD-1ヒト化抗体は、M1マクロファージ上でのPD-1/PD-L1相互作用を中和し、腫瘍細胞食作用の再活性化を引き起こすことを示唆する。
【0303】
別途記載されるように(Andorskyら、2011、DOI: 10.1158/1078-0432)、Raji細胞は、PD-1のもう一方のリガンドであるPD-L2もやはり発現せず、抗ヒト化抗PD-1抗体は、PD-L1並びにPD-L2陰性腫瘍細胞の食作用を強化可能であることを裏付ける。
【0304】
PD-1-PD-L1を遮断することで、T細胞が再活性化することは十分に立証されているが、ここで本発明者らは、マクロファージの直接的な再活性化を通じた抗PD-1抗体の新規特性を示す。ヒト化抗PD-1抗体は、同じマクロファージ上でPD-1/PD-L1の相互作用をブロックし、PD-L1陰性腫瘍細胞の食作用を促進することができることを実証した。腫瘍細胞の表面上でPD-L1を発現する患者はPD-1/PD-L1療法を用いて処置されるので、この態様はクリニックにおいて特別な興味を有する。ここに提示されるデータは、PD-L1陰性腫瘍さえも、マクロファージ食作用の再活性化により、ヒト化抗PD-1抗体から利益を得ることができることを示す。
【0305】
材料及び方法
ELISA結合PD1
活性ELISAアッセイでは、組換えhPD1(Sino Biologicals社、北京、中国;参照番号10377-H08H)を、炭酸バッファー(pH9.2)中、0.5μg/mlでプラスチック上に固定化し、そして精製済みの抗体を添加して結合性を測定した。インキュベーション及び洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ロバ抗ヒトIgG(Jackson Immunoresearch社;米国;参照番号709-035-149)を添加し、そして従来法により顕色化した。
【0306】
刺激されたヒトT細胞上でのサイトフルオロメトリーによるPD1結合アッセイ
健常志願者から得たPBMCを抗CD3/CD28刺激により活性化してT細胞を刺激した。刺激されたヒトT細胞上で抗PD1の結合性を測定するために、抗体を4℃で30分間インキュベートし、そして洗浄した後、PE標識抗ヒトIgG Fc(Biolegend社;米国;参照番号409303)を用いて、4℃で30分間染色した。CD3+細胞(T細胞)上でゲーティングする際に、サンプルをBD LSRII又はCanto IIサイトフルオロメーター上で分析した。
【0307】
Blitz法によるPD1に対するアビディティー測定
結合親和性/アビディティーを、Blitz法(Forte Bio社;米国;参照番号C22-2 No 61010-1)を使用して測定した。組換えhPD1-His(Sino Biologicals社、北京、中国;参照番号10377-H08H)を、10μg/mlにおいて、ヒスチジン尾部を利用して、Ni-NTAバイオセンサー(Forte Bio社;米国;参照番号18-0029)に30秒間固定化した。次に、抗PD1抗体を、20μg/mLで120秒間会合させた。抗PD1抗体の解離を、キネティクスバッファー(kinetics buffer)中で120秒間行った。データ分析は、Blitz pro 1.2ソフトウェア(会合定数(ka)及び解離定数(kd)を計算し、そして親和性定数KD(ka/kd)を決定した)を用いて行った。
【0308】
Biacore法によるPD1に対する親和性測定
親和性測定を、PP2Iプラットフォーム(Inserm U1194、Universite de Montpellier)においてBiacore法により実施した。抗ヒトFc抗体(GEHelthcare社)を、アセテートバッファー、pH5中、25μg/mlで固定化した。抗ヒトPD1抗体(キイトルーダ、オプジーボ、HKLDバリアント、キメラ)を1.25nMで添加し、そして組換えhPD1-His(Sino Biologicals社、北京、中国;参照番号10377-H08H)を異なる用量(6.25nM~200nM)で会合させて、会合定数(ka)及び解離定数(kd)を計算し、そして親和性定数KD(ka/kd)を決定した。
【0309】
ELISAアンタゴニスト:PDL1又はPDL2とヒト化抗PD1との間の競合
競合ELISAアッセイを、PD-1:PD-L1阻害剤スクリーニングELISAアッセイペア(AcroBiosystems社;米国;参照番号EP-101)により実施した。このアッセイでは、組換えhPDL1を、プラスチック上に、PBSバッファー(pH7.4)中、2μg/mlで固定化した。精製済みの抗体(異なる濃度の)を、最終0.66μg/ml(固定濃度)のビオチン化されたヒトPD1(AcroBiosystems社;米国;参照番号EP-101)と混合して、競合的結合を37℃で2時間測定した。インキュベーション及び洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Vector laboratoring社;米国;参照番号SA-5004)を添加してビオチン-PD-1Fc結合を検出し、そして従来法により顕色化した。PDL-2/PD-1の競合ELISAアッセイの場合、PD-L1の代わりにPD-L2(Sino Biologicals社、# 10292-H02H)を、プラスチック上に、PBSバッファー(pH7.4)中、2μg/mlで固定化した以外、類似したプロトコールを実施した。
【0310】
Blitz法によるPDL1: PD1+acs+PDL1を用いた競合
この方法は、Blitz法(Forte Bio社;米国;参照番号C22-2 No 61010-1)を用いて実施した。組換えhPD1-His(Sino Biologicals社、北京、中国;参照番号10377-H08H)を、10μg/mlにおいて、ヒスチジン尾部を利用してNi-NTAバイオセンサー(Forte Bio社;米国;参照番号18-0029)に30秒間固定化した。第2ステップでは、抗PD1抗体を、20μg/mL(飽和濃度)で120秒間添加した。次に、ヒトPDL1(Sino Biologicals社、北京、中国;参照番号10084-H02H)を、抗PD1抗体と競合させながら、100μg/mLにおいて120秒間会合させた。PDL1の解離は、キネティクスバッファー中で120秒間行った。データ分析は、Blitz pro 1.2ソフトウェア(会合定数(ka)及び解離定数(kd)を計算し、そして親和性定数KD(ka/kd)を決定した)を用いて行った。
【0311】
ヒト化抗PD1バリアント抗体と組み合わせてPDL2及びPD1間の親和性を測定するBiacore法による競合アッセイ
ヒトPD-L2組換えタンパク質(Sinobiological社、10292-H08H-B)上で、抗PD1抗体と共に事前インキュベートしたPD-1組換えタンパク質(Sino Biologicals社、北京、中国;参照番号10377-H08H)のBiacore法による親和性評価。ヒト組換えPD-L2を、バイオセンサーチップ上に濃度200μg/mLで固定化した。バイオセンサーチップを、次に1Mのエタノールアミン(PH8.4)を用いて10分間処理して、フリー部位を不活性化した。複合抗体(200nM)+組換えヒトPD-1(100nM)を添加し、そして相対応答をBiacore法により測定した。データを相互作用の相対応答の割合(%)として計算した: 100%=PD-1の相対応答。
【0312】
PD1に対するPDL1及びヒト化抗PD1バリアント抗体間のBlitz法による競合アッセイ
この方法を、Blitz法(Forte Bio社;米国;参照番号C22-2 No 61010-1)を用いて実施した。組換えhPD1-His(Sino Biologicals社、北京、中国;参照番号10377-H08H)を、10μg/mlにおいて、ヒスチジン尾部を利用してNi-NTAバイオセンサー(Forte Bio社;米国;参照番号18-0029)に30秒間固定化した。第2ステップでは、PD1を20μg/mL(飽和濃度)のヒト化抗PD1バリアント抗体と共に、120秒間インキュベートした。次に、ヒトPDL1(Sino Biologicals社、北京、中国;参照番号10084-H02H)を、ヒト化抗PD1抗体と競合させながら、100μg/mLにおいて120秒間会合させた。PDL1の解離は、キネティクスバッファー中で120秒間行った。データ分析は、Blitz pro 1.2ソフトウェア(会合定数(ka)及び解離定数(kd)を計算し、そして親和性定数KD(ka/kd)を決定した)を用いて行った。
【0313】
異なる濃度のヒト化抗PD1バリアント抗体と組み合わせたPD1とPDL1又はPD-L2とのELISA法による競合アッセイ
競合ELISAアッセイを、PD-1:PD-L1阻害剤スクリーニングELISAアッセイペア(AcroBiosystems社;米国;参照番号EP-101)により実施した。このアッセイでは、組換えhPDL1を、プラスチック上に、PBSバッファー(pH7.4)中、2μg/mlで固定化した。精製された抗体(異なる濃度の)を、最終0.66μg/ml(固定濃度)のビオチン化されたヒトPD1(AcroBiosystems社;米国;参照番号EP-101)と混合して、競合的結合を37℃で2時間測定した。インキュベーション及び洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Vector laboratoring社;米国;参照番号SA-5004)を添加してビオチン-PD-1Fc結合を検出し、そして従来法により顕色化した。
【0314】
排除拡散クロマトグラフィーによる安定性試験
排除拡散クロマトグラフィーによる安定性試験を、サイズ排除カラム(GE healthcare社;スウェーデン、Superdex 200 10/300 GL;参照番号17-5175-01)を用いて、AkTA Prime精製システム(GE healthcare社;スウェーデン)上で実施した。37℃又は4℃で7日間インキュベートした抗PD1抗体をこのカラム(容積100μl)に注入し、そしてPBSバッファー、30mlにて溶出させた。Prime View評価ソフトウェア(GE healthcare社;スウェーデン)を用いて分析を行い、凝集体及び単量体の割合(%)を分析した(モノマーの場合のリテンションタイムTm=11.7~12ml)。
【0315】
DiscoverX細胞ベースのバイオアッセイを使用したPD-1シグナル伝達分析
DiscoverX PathHunter(登録商標)Jurkat PD-1(SHP1)シグナル伝達アッセイ(参照番号93-1104C19)を用いて、PD-1/pSHP-1シグナル伝達をブロックする抗PD-1抗体の能力を評価した。このアッセイでは、Jurkat T細胞は、β-gal断片(ED)に融合したキメラPD-1受容体、及び補完性のβ-gal断片(EA)に融合した工学操作されたSHP1を安定的に発現する。Jurkat細胞をPD-L1提示細胞と同時培養すると、PD-1のリン酸化、工学操作されたSHP-1のリクルートメント、並びにED断片及びEA断片の補完を引き起こし、活性なβ-gal酵素、及び基質添加後には生物発光シグナルを生み出す。化学発光は、PD-1シグナル伝達の活性化に比例する。実験は製造業者の勧告に従って実施した。要するに、PD-1+Jurkat細胞を、異なる濃度の抗PD-1抗体と共に1時間インキュベートし、次にPD-L1+細胞と共にもう1時間同時培養した。検出試薬を添加し、発光シグナルを、180分後にTecan(商標)プレートリーダーを使用して読み取った。
【0316】
Promega細胞ベースのバイオアッセイを使用したT細胞活性化アッセイ
T細胞活性化を回復させる抗PD-1抗体の能力を、Promega PD-1/PD-L1キット(参照番号J1250)を使用してテストした。2つの細胞系統:(1)エフェクターT細胞(PD-1、NFAT誘発型ルシフェラーゼを安定的に発現するJurkat)、及び(2)活性化標的細胞(PDL1及び同起源のTCRを抗原独立性に刺激するように設計された表面タンパク質を安定的に発現するCHO K1細胞)を使用する。細胞を同時培養すると、PD-L1/PD-1相互作用はTCR媒介式の活性化を阻害し、これによりNFATの活性化及びルシフェラーゼ活性をブロックする。抗PD-1抗体を添加すると、PD-1媒介式の阻害性シグナルがブロックされ、NFATの活性化及びルシフェラーゼ合成及び生物発光シグナルの放出を引き起こす。実験は製造業者の勧告に従って実施した。PD-1抗体の連続希釈物をテストした。PD-L1+標的細胞、PD-1エフェクター細胞、及び抗PD-1抗体の同時培養から4時間後に、BioGlo(商標)ルシフェリン基質をウェルに添加し、そしてプレートを、Tecan(商標)ルミノメーターを使用して読み取った。
【0317】
in vitroでの混合白血球反応アッセイ
20ng/mlの果粒球マクロファージコロニー刺激因子及び20ng/mlのIL-4と共に6日間培養することにより、ヒトPBMCからCD14+単球を単離し(Miltenyi monocyte untouched classic kit isolation # 130-117-337)、それから樹状細胞を分化させ、次に健常な血液ドナーから単離された同種異系のCD4+ T細胞と共に1:10の比で混合した(Miltenyi isolation kit、#130-096-533)。同時培養から5日後に、上清を採取した; IFN-γレベルをELISA法により定量した。
【0318】
in vivoでのヒト化PD1ノックインマウスモデル
ヒト抗PD-1抗体の有効性を、ヒトPD-1(エクソン2)を発現するように遺伝的に改変された免疫適格性マウスにおいて、同所性の中皮腫マウスモデルをin vivoで評価した。AK7中皮性細胞を胸膜内注射し(細胞3e6個/マウス)、次に5/8/12/15日目に、1mg/kgの抗PD-1コントロール又は抗PD1ヒト化抗体(HKLDバリアント)を用いて処置した。注射したAK7細胞はルシフェラーゼを安定的に発現し、D-ルシフェリン(3μg/マウス、GoldBio社、Saint Louis MO、米国、参照番号115144-35-9)の腹腔内注射後に、in vivoでの生物発光シグナルの生成を可能にした。ルシフェリン注射から10分後に、生物発光シグナルを、マウスの背側及び腹側において、Biospace Imagerにより1分間測定した。1光子/秒/cm2/ステラジアンにおいてデータを分析し、そして背側シグナル及び腹側シグナルの平均を表す。各群は、1群当たり5~7匹のマウスの平均値±SEMを表す。MC38モデルの場合、MC38結腸がん細胞を、細胞5e5個を用いて側腹部に皮下注射した。腫瘍容積を式0.52×(長さ×幅)1.5を用いて計算した。腫瘍が40~100mm3に達したときに、10mg/kgの抗PD1ヒト化抗体(HKLDバリアント)を用いて、1週間に3回、3週間にわたりマウスを処置した。Hepa1.6肝臓癌の場合、2.5e6個のHepa1.6肝臓癌細胞を門脈中に注射した。腫瘍注射後、4/7/11/14/18/21日目に、3mg/kgのIgG4アイソタイプコントロール又は抗PD1ヒト化抗体(HKLDバリアント)を用いてマウスを処置した。
【0319】
マウス及びサルにおけるヒト化抗PD1抗体の薬物動態及び薬力学
1mg/kg又は5mg/kgのヒト化抗PD1抗体(HKLDバリアント)を、単回投与により、カニクイザルに静脈内注射した。受容体占拠を評価し、そして血清中の抗PD1抗体を定量化するために、全血及び血清を複数の時点で収集した。サルの血清中にあるヒト化抗PD-1抗体の薬物動態を評価するために、PD-1組換えタンパク質(ヒトPD-1-hisタグ組換えタンパク質(Sino Biologicals社、#10377-H08H))を固定化し、そして稀釈した血清含有抗PD-1抗体を添加した。検出を、スルホタグ化されたマウス抗ヒトκ抗体(クローンNaM76-5F3、染色済みのスルホタグ)を添加し、そしてMSD Gold Readバッファー(MSD # R92TG-2)及びMESO QUICKPLEX SQ 120リーダーにより顕色化した。
【0320】
マウスにおける薬物動態を評価するために、キメラ形態、ヒト化抗PD-1抗体(HKLDバリアント)、又はキイトルーダ抗体を、単回投与(5mg/kg)により、BalbcRJ(メス6~9週齢)に眼窩内又は皮下注射した。固定化抗ヒト軽鎖抗体(クローンNaM76-5F3)に、稀釈した血清含有抗PD-1抗体を添加し、それを使用して血漿薬物濃度をELISAにより決定した。ペルオキシダーゼ標識ロバ抗ヒトIgG(Jackson Immunoresearch社;米国;参照番号709-035-149)を添加し、それを用いて検出を実施し、そして従来法により顕色化した。
【0321】
食作用アッセイ
健常志願者から得たヒト単球を、完全RPMI培地中、M-CSF(100ng/mL)を用いて5日間、in vitroでM0マクロファージに分化させた。M0マクロファージを、次にヒトIFNg(70ng/mL)と共に2日間培養して、M1マクロファージを生成させた。M0/M1-マクロファージ及びRaji細胞系統を、Cell Proliferation Dye eFluor450(Invitrogen社)及びCell Proliferation Dye eFluor670(Invitrogen社)でそれぞれ染色した。超低接着表面(Ultra Low Attachment、ULA) 96ウェル丸底型プレートを使用して、Raji CPDe670+を、抗体及びリツキシマブと共に1時間事前インキュベートし、そしてM0又はM1マクロファージCPDe450+を、2:1のエフェクター:標的の比で添加した。細胞を、いずれも1又は2時間インキュベートした。食作用分析をフローサイトメトリーにより実施し、そして食作用の割合(%)を、全CPDe450+細胞内のCPDe670+細胞の割合(%)により計算した(すなわち、ダブルポジティブ細胞(CPDe670+/CPDe450+)の割合(%))。
【0322】
フローサイトフルオロメトリーによる刺激されたヒトCD3+PBMC上でのex vivo結合分析
ヒト末梢T細胞上での抗PD1の結合を測定するために、抗体を4℃で30分間インキュベートし、そして洗浄した後、PE標識された抗ヒトIgG Fc(Biolegend社;米国;参照番号409303)+Pacific Blue標識抗ヒトCD3(BD Biosciences社、クローンSP34-2 # 558124)を用いて4℃で30分間染色した。CD3+ T細胞上でゲーティングする際に、サンプルを、Cytoflex(Beckman Coulter社)サイトフルオロメーター上で分析した。
【0323】
ヒトT細胞によるIFNg分泌
IFNgエフェクターサイトカインの分泌を刺激するヒト化抗PD-1の能力を、混合同種異系白血球反応において評価した。単球由来の樹状細胞を、単離されたCD14+ヒト末梢血単球+GM-CSF及びIL-4から生成させ、そして単離されたCD4+同種異系ヒトT細胞及び異なる用量のHKLDバリアント又はアイソタイプコントロールと共に5日間同時培養した(1対10の比)。IFNgサイトカインを含有する上清を採取し、及びELISA(BD Bioscience社、参照番号555142及び555190)により定量した。
【配列表】