(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】電流検出用抵抗器及び電流検出用抵抗器の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01C 13/00 20060101AFI20231218BHJP
H01C 3/10 20060101ALI20231218BHJP
H01C 17/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01C13/00 J
H01C3/10
H01C17/00 100
(21)【出願番号】P 2022044123
(22)【出願日】2022-03-18
(62)【分割の表示】P 2020115420の分割
【原出願日】2020-07-03
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 孝治
(72)【発明者】
【氏名】中村 優樹
(72)【発明者】
【氏名】松原 周平
(72)【発明者】
【氏名】仲村 圭史
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-110602(JP,A)
【文献】特開2016-069724(JP,A)
【文献】特開2007-103976(JP,A)
【文献】特開2020-065038(JP,A)
【文献】特開2008-010604(JP,A)
【文献】米国特許第04454495(US,A)
【文献】国際公開第2015/060108(WO,A1)
【文献】特許第7089555(JP,B2)
【文献】特開2022-022731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 13/00
H01C 3/10
H01C 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流検出用抵抗器であって、
抵抗体材料の板体から形成され、
前記抵抗体材料は、ニッケルとクロムとモリブデンとの合金を含み、
前記合金の全質量比で前記ニッケルを63質量%以上70質量%以下、
前記クロムを8質量%以上22質量%以下、
前記モリブデンを8質量%以上25質量%以下、含有し、
200℃にて1000時間経過後の抵抗値の変化
率が±0.50%
の範囲内である、
電流検出用抵抗器。
【請求項2】
請求項1に記載の電流検出用抵抗器であって、
前記抵抗体材料のビッカース硬さが200HV以上240HV以下である、
電流検出用抵抗器。
【請求項3】
請求項2に記載の電流検出用抵抗器であって、
矩形状であり、実装面に対向し、前記実装面から所定間隔離間して配置される本体部と、
前記実装面に接続される第一接続部と、
前記実装面に接続される第二接続部と、を有し、
前記第一接続部及び前記第二接続部がめっき層を備える、
電流検出用抵抗器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電流検出用抵抗器であって、
前記抵抗体材料は、200℃以上の耐熱性を有する、
電流検出用抵抗器。
【請求項5】
電流検出用抵抗器の製造方法であって、
ニッケルとクロムとモリブデンとの合金を含み、前記合金の全質量比で前記ニッケルを63質量%以上70質量%以下、前記クロムを8質量%以上22質量%以下、前記モリブデンを8質量%以上25質量%以下、含有し、200℃にて1000時間経過後の抵抗値の変化
率が±0.50%
の範囲内である抵抗体材料の板体を所定形状にプレス加工する、
電流検出用抵抗器の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電流検出用抵抗器の製造方法であって、
前記プレス加工後に、前記抵抗体材料のビッカース硬さが200HV以上240HV以下になるような処理を行う、
電流検出用抵抗器の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の電流検出用抵抗器の製造方法であって、
前記プレス加工の前に、前記抵抗体材料のビッカース硬さが220HV以上290HV以下になるような処理を行う、
電流検出用抵抗器の製造方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載の電流検出抵抗器の製造方法であって、
前記プレス加工の前に行う第1の加熱処理と、
前記プレス加工の後に行う第2の加熱処理と、を含む
電流検出用抵抗器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出用抵抗器及び電流検出用抵抗器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板上にはんだを介して実装される電流検出用抵抗器として、所定の抵抗値を有しており金属板により形成された本体部と、本体部の両側端部に連設されており本体部を回路基板上にはんだ付けするはんだ付け部とを有する抵抗器が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された抵抗器では、本体部のための金属材料として、銅ニッケル系、ニッケルクロム系、銅マンガンニッケル系などの抵抗体材料が用いられる。しかし、抵抗体材料として汎用の銅マンガンニッケル系抵抗体材料は、成分中のマンガン(Mn)が高温で酸化しやすく、酸化の進行に伴って抵抗値の変化が大きくなってしまう。
【0005】
このため、銅マンガンニッケル系抵抗体材料では、170~180℃程度の温度が、抵抗値の変動を許容範囲に収められる上限温度として設定されている。
【0006】
一方、近年、電気自動車の普及や電子機器の高機能化に伴って、電子部品を実装する回路基板に対する高電力化及び高耐熱性への要求が高まっている。特に、ワイドギャップパワー半導体と呼ばれるSiCやGaNなどのように、高温で動作する半導体素子の開発が進められている。
【0007】
これに伴い、回路基板に実装される電流検出用抵抗器に対しても、上記温度を上回る温度、例えば、200℃以上の温度領域でも使用可能なスペックが要求されている。
【0008】
本発明は、高い温度領域において、抵抗値の変化が大きくなるのを抑制する電流検出用抵抗器及び当該電流検出用抵抗器が実装された回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ニッケルとクロムとモリブデンとの合金が高耐熱性を有することに着目し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の一態様としての電流検出用抵抗器は、抵抗体材料の板体から形成され、前記抵抗体材料は、ニッケルとクロムとモリブデンとの合金を含み、前記合金の全質量比で前記ニッケルを63質量%以上70質量%以下、前記クロムを8質量%以上22質量%以下、前記モリブデンを8質量%以上25質量%以下、含有し、200℃にて1000時間経過後の抵抗値の変化率が±0.50%の範囲内である。
【発明の効果】
【0011】
この態様によれば、高耐熱性を有するニッケルとクロムとモリブデンとの合金を抵抗体材料として用いたことにより、高い温度領域において、抵抗値の変化が大きくなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る電流検出用抵抗器の一例を説明する平面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る電流検出用抵抗器の製造方法を説明する図である。
【
図4】
図4は、電流検出用抵抗器が実装された回路基板を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[電流検出用抵抗器の説明]
本発明の実施形態に係る電流検出用抵抗器について、
図1~
図4を用いて詳細に説明する。
【0014】
<電流検出用抵抗器の構造>
図1は、本実施形態に係る電流検出用抵抗器の一例を説明する平面図である。また、
図2は、
図1に示す電流検出用抵抗器の側面図である。
【0015】
電流検出用抵抗器1は、ニッケル(Ni)とクロム(Cr)とモリブデン(Mo)の合金を含む抵抗体材料から形成された板状のシャント抵抗器である。
【0016】
電流検出用抵抗器1は、本体部11と、第一接続部12と、第二接続部13と、第一起立部14と、第二起立部15とを有する。
【0017】
本体部11は、矩形状であり、回路基板の実装面から所定間隔離間して配置される。
【0018】
第一接続部12の一方の端部は、実装面に接続される。また、第一接続部12の他方の端部は、第一起立部14を介して本体部11に連結されている。第二接続部13の一方の端部は、実装面に接続される。また、第二接続部13の他方の端部は、第二起立部15を介して本体部11に連結されている。第一起立部14及び第二起立部15は、本体部11を実装面から離間させるように、本体部11の端部と第一接続部12及び第二接続部13とを連結する。
【0019】
本実施形態においては、第一接続部12及び第二接続部13は、
図2に示すように、実装面に対向する面に形成された実装面用めっき層16と、実装面に対向する面の反対面に形成されたボンディング用めっき層17と、実装面用めっき層16とボンディング用めっき層17とに連なって形成された端面電極18とを有する。なお、端面電極18は無くてもよい。
【0020】
電流検出用抵抗器1は、抵抗体材料から形成された板体をプレス加工により形成することができる。
【0021】
<抵抗体材料>
本実施形態において、電流検出用抵抗器1を形成する抵抗体材料は、ニッケルとクロムとモリブデンとの合金を含み、この合金の全質量比で、ニッケルを63質量%以上70質量%以下、クロムを8質量%以上22質量%以下、モリブデンを8質量%以上25質量%以下、含有するものである。
【0022】
抵抗体の耐熱性を向上させる観点から、モリブデンの含有量は多い方がよい。しかし、モリブデンは硬度が高く脆弱であるため、モリブデンの含有量が過多になると、抵抗体材料の加工性が低下する。このため、モリブデンの含有量は、8質量%以上25質量%以下に設定する。
【0023】
さらに、抵抗体材料は、タングステン(W)及びマンガン(Mn)の少なくとも一方をこの合金の全質量比で6質量%以下含有してもよい。抵抗体材料がタングステン及びマンガンの少なくとも一方をこの合金の全質量比で6質量%以下含有することにより、抵抗体材料におけるモリブデンの含有量を増加させることなく耐熱性を確保することができる。
【0024】
上記抵抗体材料として市販品を使用する場合には、クロムを22質量%、モリブデンを8質量%、ニッケルを70質量%含有するDSALOY625(大同特殊鋼株式会社製)、クロムを21質量%、モリブデンを13質量%、タングステンを3質量%、ニッケルを63質量%含有するDSALOY22(大同特殊鋼株式会社製)、クロムを8質量%、モリブデンを25質量%、ニッケルを67質量%含有するDSALOY242(大同特殊鋼株式会社製)を好適に使用することができる。
【0025】
これらのなかでも特に、クロムを8質量%、モリブデンを25質量%、ニッケルを67質量%含有するDSALOY242は、抵抗値の変化が小さく、抵抗温度係数(TCR)が低いことから、好適に用いられる。
【0026】
[電流検出用抵抗器の製造方法]
図3は、本実施形態に係る電流検出用抵抗器の製造方法を説明する図である。電流検出用抵抗器の製造方法は、ニッケルとクロムとモリブデンとの合金を含み、当該合金の全質量比でニッケルを63質量%以上70質量%以下、クロムを8質量%以上22質量%以下、モリブデンを8質量%以上25質量%以下含有する抵抗体材料を、所定形状になるようにプレス加工を行うというものである。
【0027】
上述した抵抗体材料は、200℃以上に加熱されると、温度が上昇している間の所定期間に亘って抵抗値の変化が大きくなり、所定期間が経過した後は、抵抗体材料の抵抗値が特定のところで収束するという挙動を有する。この抵抗体材料では、抵抗値の変化が特定のところで収束した状態における抵抗体材料のビッカース硬さが200HV以上240HV以下となっている。
【0028】
そこで、本製造方法では、プレス加工して得られた抵抗体に、ビッカース硬さが200HV以上240HV以下になるような処理を行うことにより、抵抗値の変動が小さい抵抗体材料を製造することができる。
【0029】
具体的には、
図3に示すように、上述したニッケルとクロムとモリブデンとの合金を所定形状へのプレス加工前に、抵抗体材料のビッカース硬さが220HV以上290HV以下になるように、第一の処理を行っておく。続いて、抵抗体材料をプレス加工し、さらに、プレス加工により得られた抵抗体のビッカース硬さが15%~25%減少するような第二の処理を行う。
【0030】
第二の処理としては、プレス加工後の抵抗体を、175℃以上で200時間以上曝す加熱処理を用いることができる。一例として、200℃以上に250時間曝す処理を行うことが好ましい。これにより、ビッカース硬さが200HV以上240HV以下の抵抗体を得ることができる。
【0031】
このように、ビッカース硬さが200HV以上240HV以下になるように、抵抗体材料に事前の処理を施すことより、抵抗値の変化が大きくなるのを抑制する効果を高めることができる。
【0032】
[回路基板]
図4は、本発明の実施形態に係る電流検出用抵抗器が実装された回路基板を説明する図である。
【0033】
本実施形態に係る回路基板100は、絶縁基板110と、絶縁基板110に形成された回路パターン120とを有し、上述した電流検出用抵抗器1は、第一接続部12及び第二接続部13において、回路パターン120に、ワイヤーボンディング130やはんだ実装による電極140によって接続された回路基板である。
【0034】
本実施形態において、絶縁基板110としては、ガラスエポキシ基板、メタル基板、セラミックス基板を用いることができる。なかでも、高耐熱性の観点からセラミックス基板を用いることが好ましい。本実施形態においては、セラミックス基板として、酸化アルミニウム、窒化ケイ素及び窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つの材料を用いることができる。
【0035】
セラミックス基板の厚みは、0.1mm以上1.0mm以下のものを用いることができる。基板の強度の観点から、セラミックス基板の厚みは、0.1mm以上であることが好ましい。また、放熱性の観点から、1.0mm以下であることが好ましい。
【0036】
回路パターン120と電流検出用抵抗器1とを接続するための電極として、一般的に電極として用いられる銅(Cu)は、耐熱性が低く酸化されやすい。このため、本実施形態では、耐熱性を向上させるために、ニッケル系めっき及び金系めっきを用いるができる。これらのなかでも、ニッケル-タングステンめっき、ニッケル-リンめっき、ニッケル-タングステン/金めっき、ニッケル-リン/金めっき、ニッケル/金めっき等を用いることが好ましい。
【0037】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。例えば、本実施形態に係る電流検出用抵抗器1の形状は、
図1に説明されたものに限定されない。
【実施例】
【0038】
本発明の実施形態に係る電流検出用抵抗器を作製し、耐熱性及び抵抗特性の評価を行った。供試体の作製方法及び評価方法は、以下のとおりである。
【0039】
[供試体の作製]
<実施例1>
ニッケル-クロム-モリブデン合金(以下、Ni-Cr-Mo合金と記す)として、クロムを22質量%、モリブデンを8質量%、ニッケルを70質量%含有するDSALOY625(大同特殊鋼株式会社製、22Cr-8Mo-70Niと記す)を用い、これを板状に加工した後、
図1及び
図2に示す抵抗器を作製した。各部の寸法は、以下のとおりである。
【0040】
Ld=5.0mm
Lc=3,2mm
d=0.2mm
【0041】
<実施例2>
Ni-Cr-Mo合金として、クロムを21質量%、モリブデンを15質量%、タングステンを3質量%、ニッケルを63質量%含有するDSALOY22(大同特殊鋼株式会社製、21Cr-13Mo-3W-63Niと記す)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして供試体を作製した。
【0042】
<実施例3>
Ni-Cr-Mo合金として、クロムを8質量%、モリブデンを25質量%、ニッケルを67質量%含有するDSALOY242(大同特殊鋼株式会社製、8Cr-25Mo-67Niと記す)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして供試体を作製した。
【0043】
<比較例>
Ni-Cr-Mo合金の代わりに、銅マンガンニッケル系抵抗体材料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして供試体を作製した。
【0044】
[測定方法]
<体積抵抗率>
試料の本体部11の幅と厚みは一定であるため、本体部11の断面積は、本体部11の長手方向に沿って一様に断面積S(cm2)となっている。このため、抵抗体材料の体積抵抗率ρは、第一接続部12と第二接続部13の間の電圧Vと、電流Iと、断面積S(cm2)と、第一接続部12と第二接続部13の間の長さLd(cm)とから、以下の式により算出される。
ρ=(V/I)×(S/Ld) [10-6Ω・cm]
本測定では、体積抵抗率ρの許容範囲は、120~150[10-6Ω・cm]とされる。
【0045】
<抵抗温度係数(TCR)の測定>
抵抗温度係数(TCR)とは、抵抗体の温度変化による内部抵抗値の変化の割合を表すものであり、以下の式により算出される。
抵抗温度係数(ppm/℃)=(R-Ra)/Ra÷(T-Ta)×1000000
ここで、Ra:基準温度における抵抗値、Ta:基準温度、R:定常状態における抵抗値、T:定常状態になる温度である。
本実施例では、Ta=25℃、T=100℃である。なお、製品スペックに基づいて、TCRの許容範囲を±100ppm/℃に設定した。測定結果は、第1表に示される。
【0046】
<耐熱性試験:抵抗体の抵抗値の変化率>
実施例1~3及び比較例の供試体について、200℃に加熱し、200℃を所定時間保持する熱放置試験を行って、放置時間の違いによる抵抗値の変化を測定した。
抵抗値の変化率は、以下の式により算出される。
【0047】
抵抗値変化率(%)={(Rh-Ra)/Ra}×100
ここで、Raは、熱放置試験前における抵抗値であり、Rhは、熱放置試験において所定時間経過後の抵抗値である。結果は、第1表に示される。
本測定では、1000時間に至っても抵抗値の変化率が±0.50%の範囲に納まるものを許容する。
【0048】
<ビッカース硬さ>
ビッカース硬さは日本工業規格JIS Z2244:2009(ビッカース硬さ試験‐試験方法)に従って測定することができる。ビッカース硬さの測定には、硬度計(例えばマイクロビッカース硬度計HMV-G21:島津製作所)が使用される。ビッカース硬さは、例えば試験温度25℃、試験力100gf、ダイヤモンド圧子の接近速度20μm/s、および試験力の保持時間10秒の条件で測定することができる。試験片の表面は、研磨機(例えば自動研磨機Rana-3:IMT)等により表面を平滑にし、汚れ等を取り除くことが望ましい。
【0049】
[結果]
耐熱性試験、体積抵抗率、抵抗温度係数(TCR)、耐熱性試験、ビッカース硬さを第1表に示す。
【0050】
【0051】
耐熱試験を行った実施例1~3では、供試体の抵抗値の変化率が概ね0~0.20%、或いは0~0.40%の間に収まっている。したがって、本実施形態に係るNi-Cr-Mo合金を抵抗体材料として用いた場合に、200℃の高温においても、抵抗体材料の抵抗値の変化率を安定化できることがわかる。これらの抵抗値の変化率は、十分に低く、良好な値であると考えられるが、いずれの実施例においても、加熱開始から250時間までの間において、抵抗値変化率が顕著に観測されていることがわかる。また、概ね250時間以降は、抵抗値の変化率が横這いとなっていることがわかる。
【0052】
以上のことから、200℃/250時間の条件の加熱処理を、予め行っておけば、抵抗体材料の抵抗値の変化が安定化し、変化率が小さい状態で、電流検出用抵抗器を回路基板に実装することができる。
【0053】
このことから、本実施形態に係る電流検出用抵抗器によれば、ニッケルとクロムとモリブデンとの合金を含み、合金の全質量比でニッケルを63質量%以上70質量%以下、クロムを8質量%以上22質量%以下、モリブデンを8質量%以上25質量%以下、含有する抵抗体材料によれば、より高い温度領域において、抵抗値の安定化を高いレベルで実現できる。
【符号の説明】
【0054】
1 電流検出用抵抗器
11 本体部
12 第一接続部
13 第二接続部
14 第一起立部
15 第二起立部
16 実装面用めっき層
17 ボンディング用めっき層
100 回路基板
110 絶縁基板
120 回路パターン
130 ワイヤーボンディング