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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
E04F13/08 H
E04F13/08 101L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022065401
(22)【出願日】2022-04-11
(65)【公開番号】P2023155819
(43)【公開日】2023-10-23
【審査請求日】2023-05-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.プレスリリースによる公開1 公開日 :令和4(2022)年1月26日 公開場所 :https://www.itoki.jp/press/2022/2201_iwasemi.html 公開者 :株式会社イトーキ 2.プレスリリースによる公開2 公開日 :令和4(2022)年1月26日 公開場所 :https://pixiedusttech.com/20220126/ 公開者 :ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 3.プレスリリースによる公開3 公開日 :令和4(2022)年1月26日 公開場所 :https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000265.000032317.html 公開者 :株式会社PR TIMES 4.プレスリリースによる公開4 公開日 :令和4(2022)年1月26日 公開場所 :https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000040.000044679.html 公開者 :株式会社PR TIMES 5.決算説明会における公開及び当該説明会における資料のウェブでの公開 公開日 :令和4(2022)年2月25日 公開場所 :https://ssl4.eir-parts.net/doc/7972/ir_material_for_fiscal_ym6/110733/00.pdf 公開者 :株式会社イトーキ 6.ウェブページにおける公開 公開日 :令和4(2022)年3月22日 公開場所 :https://www.itoki.jp/event/orgatec-tokyo/ 公開者 :株式会社イトーキ 7.パンフレットの頒布による公開 公開日 :令和4(2022)年4月6日 頒布先 :取引先各所 公開者 :株式会社イトーキ 8.プレスリリースによる公開5 公開日 :令和4(2022)年4月7日 公開場所 :https://www.itoki.jp/press/2022/2204_orgatec-tokyo.html 公開者 :株式会社イトーキ
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博之
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-047608(JP,U)
【文献】特開2013-104267(JP,A)
【文献】実開昭51-019527(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
E04G 23/02
E04H 17/14
E04C 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材と同じ外周部の輪郭形状を有し、前記第1部材と外周部同士接合される第2部材と、を備え、
前記第1部材および前記第2部材のいずれか一方が、前記第1部材および前記第2部材が接合されることにより形成される空間を区画する複数の隔壁を有し、他方が、前記隔壁に嵌合する溝を有していることを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記第1部材は、板面に貼付される底壁を有し、
前記構造体は、前記底壁を前記板面に着脱可能に貼付する貼付部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記底壁の外面には、前記貼付部材の位置を定める位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記貼付部材は、光透過性を有する粘着シートであることを特徴とする請求項2に記載の構造体。
【請求項5】
前記貼付部材は、マグネットであることを特徴とする請求項2に記載の構造体。
【請求項6】
前記第1部材は、底壁と、当該底壁の外周に設けられた側壁と、前記隔壁とを有し、
前記隔壁は、前記底壁および前記側壁で囲まれる領域を区画し、
前記第2部材は、前記溝を有するとともに、前記領域を閉塞することを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項7】
第1部材と、
前記第1部材と外周部で嵌合される第2部材と、を備え、
前記第1部材および前記第2部材のいずれか一方が、前記第1部材および前記第2部材が嵌合されることにより形成される空間を区画する複数の隔壁を有し、他方が、前記隔壁に嵌合する溝を有しており、
前記隔壁および前記溝の嵌合のクリアランスが、前記第1部材および前記第2部材の前記外周部での嵌合のクリアランスよりも小さいことを特徴とする構造体。
【請求項8】
前記第1部材および前記第2部材は、光透過性を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部材の嵌合により形成される構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、室内の壁面、家具の側面等の板面に取り付けて使用する装飾用のパネルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】意匠登録第1547707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のこの種のパネルは、基材に張地を貼ったものが一般的であった。
【0005】
これに対し、樹脂、アルミニウム等の素材によってパネルを成形品として作製する場合、全く目新しい外観を成すために複数の部材の組み合わせることでパネルを構成することが考えられる。このようなパネルの製作において、様々な形状の複数の部材を接合する際に、接合強度の確保が求められる。
【0006】
本開示は、部材の接合を高強度に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る構造体は、第1部材と、前記第1部材と外周部で嵌合される第2部材と、を備え、前記第1部材および前記第2部材のいずれか一方が、前記第1部材および前記第2部材が嵌合されることにより形成される空間を区画する複数の隔壁を有し、他方が、前記隔壁に嵌合する溝を有している。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、部材の接合を高強度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る構造体の正面図である。
図2】上記構造体の背面図である。
図3】上記構造体の分解斜視図である。
図4】上記構造体が壁に貼付された状態を示す側面図である。
図5図1のA-A線矢視断面図である。
図6図5の一部を拡大して示す断面図である。
図7】上記構造体に設けられる貼付部材の一例を示す側面図である。
図8】上記構造体の上記貼付部材が設けられた貼付面の一例を示す図である。
図9】マグネットシートの上記貼付部材が設けられた上記貼付面の一例を示す図である。
図10】マグネットシートの上記貼付部材が設けられた上記貼付面の他の一例の一部を示す図である。
図11】マグネットシートの上記貼付部材が設けられた上記貼付面のさらに他の一例の一部を示す図である。
図12図1のB-B線矢視断面図である。
図13図12の一部を拡大して示す断面図である。
図14図12の他の一部を拡大して示す断面図である。
図15】上記構造体の区画部材を示す正面図である。
図16図15のC-C線矢視断面図である。
図17図16の一部を拡大して示す断面図である。
図18】本開示に係る他の構造体の側面図である。
図19図18のD-D線矢視断面の一部を拡大して示す断面図である。
図20図18の断面図に示される構造の縦断面図である。
図21】複数の上記構造体がガラス板の目隠し構造体を構成する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について詳細に説明する。図1は、本開示に係る構造体10の正面図である。図2は、構造体10の背面図である。図3は、構造体10の分解斜視図である。図4は、構造体10が板面100aに貼付された状態を示す側面図である。図5は、図1のA-A線矢視断面図である。図6は、図5の一部を拡大して示す断面図である。図7は、構造体10に設けられる貼付部材3の一例を示す側面図である。図8は、構造体10の貼付部材3Aが設けられた外面51b(貼付面)の一例を示す図である。図9は、マグネットシートの貼付部材3Bが設けられた外面51bの一例を示す図である。図10は、マグネットシートの貼付部材3Cが設けられた外面51bの他の一例の一部を示す図である。図11は、マグネットシートの貼付部材3Dが設けられた上記貼付面のさらに他の一例の一部を示す図である。
【0011】
〈構造体〉
(全体構成)
図1図4に示すように、構造体1は、パネルユニット2と、貼付部材3とを備えている。パネルユニット2は、貼付部材3によって壁100の板面100aに貼付される。板面100aは、壁100に限らず、衝立、パーティション、ガラス窓、ガラス扉等の面であってもよい。板面100aは、貼付部材3による貼付が可能となるように平らに形成されている。
【0012】
パネルユニット2は、閉塞部材4(第2部材)と、区画部材5(第1部材)とを有している。パネルユニット2は、閉塞部材4と区画部材5とが接合されることで構成される。閉塞部材4および区画部材5は、樹脂、金属(特にアルミニウム)などの成形によって形成されている。なお、閉塞部材4および区画部材5を形成する材料については、上記の材料に限定されない。
【0013】
閉塞部材4および区画部材5は、樹脂で形成される場合、光透過性を有していてもよい。これにより、パネルユニット2が板面100aに貼り付けられる領域の明るさを確保することができる。
【0014】
(区画部材)
区画部材5は、内部が複数の領域に区画されている部材である。区画部材5は、底壁51と、側壁52と、複数の隔壁53とを有している。底壁51、側壁52および隔壁53は、一体に形成されている。
【0015】
底壁51は、正六角形の外形を成している。底壁51の外形形状は、正六角形に限らず、多角形であればよく、多角形以外の形状、例えば、円形、楕円形であってもよい。底壁51は、内面51aと、外面51bとを有している。外面51bは、貼付部材3によって板面100aに着脱可能に貼付される貼付面を構成している。外面51bには、貼付部材3の位置決めのための位置決め部51cが設けられている。位置決め部51cについては、後に詳しく説明する。
【0016】
側壁52は、底壁51と同じく多角形(正六角形)の外形を成しており、内面51aの外周に、内面51aにほぼ垂直に立ち上がるように設けられている。側壁52は、一定の幅(高さ)を有しており、途切れることなく連続的に形成されている。
【0017】
隔壁53は、底壁51および側壁52で囲まれる領域を区画する。具体的には、隔壁53は、当該領域を、三角形柱を成す6つの領域に区画する。なお、隔壁53によって区画される領域の形状は三角柱に限定されず、また、当該領域の数は6つに限定されない。
【0018】
隔壁53の一端は側壁52の角部に接続され、隔壁53の他端は他の全ての隔壁53の他端と接続されている。隔壁53の他端同士が接続される位置は、正六角形を成す底壁51の中心からずれているが、底壁51の中心であってもよい。また、隔壁53の他端の高さは、隔壁53の一端の高さよりも高い。
【0019】
(閉塞部材)
閉塞部材4は、区画部材5の区画された領域を閉塞する部材である。閉塞部材4は、閉塞壁41と、側壁42とを有している。閉塞壁41および側壁42は、一体に形成されている。
【0020】
閉塞壁41は、側壁52の上端が成す形状である正六角形の外形を成している。閉塞壁41の外形形状は、側壁52の上端が成す形状に合致していれば、正六角形に限らず、多角形であればよく、多角形以外の形状、例えば、円形、楕円形であってもよい。また、閉塞部材4は、隣り合う2つの隔壁の上端と、当該隔壁の一端の間に配置される側壁52の一部の上端とが成す三角形とほぼ同じ大きさの三角形の部分を複数含んでおり、開いた傘の形状を成している。なお、閉塞部材4の形状は立体形状に限らない。閉塞部材4の形状は、隔壁53の形状に応じて定まるため、隔壁53が一定の高さを有する場合、平板状となる。
【0021】
側壁42は、側壁52と同じく多角形(正六角形)の外形を成しており、側壁42の内面、すなわち底壁51の内面51aと対向する面の外周に設けられている。側壁42は、一定の幅(高さ)を有しており、途切れることなく連続的に形成されている。側壁42は、側壁52と接合されることにより、側壁52とともにパネルユニット2の側壁を形成する。
【0022】
閉塞部材4は、側壁42で接着剤などにより区画部材5と接合されている。閉塞部材4は、区画部材5と隙間無く接合されることにより、隔壁53によって区画された上記の領域を閉塞する。
【0023】
〈貼付構造〉
(位置決め部)
図2図5および図6に示すように、位置決め部51cは、貼付部材3の位置決めを行うために設けられている。位置決め部51cは、外面51bにおいて、外面51bの外周端から僅かな距離をおいた内側の位置に、外面51bの外形に沿って外面51bから突出する突条を成している。位置決め部51cは、図2に示す例では、外面51bの外形に沿った正六角形に形成されている。また、位置決め部51cは、貼付部材3の厚みTより低い高さHを有している。
【0024】
位置決め部51cは、上記の正六角形のような連続した形状ではなく、位置決め機能が確保されていれば、断続的に形成されていてもよい。例えば、位置決め部51cは、各角部付近のみに設けられていてもよい。
【0025】
(貼付部材)
貼付部材3は、底壁51を含むパネルユニット2を板面100aに着脱可能に貼付する部材である。貼付部材3は、板面100aの材質に応じた貼付力を有する部材である。貼付部材3の大きさは、貼付部材3の貼付力に応じて定まる。貼付部材3の貼付力が大きいほど、貼付部材3の大きさが小さくなる。
【0026】
貼付部材3は、位置決め部51cによって定められた位置に配置される。図2に示すように、貼付部材3が菱形に形成されている場合、貼付部材3が複数設けられ、位置決め部51cにおける角部の内側に当接するように配置されている。
【0027】
貼付部材3の形状は、位置決め部51cの内側に当接して配置できるような形状であれば、菱形に限定されない。例えば、貼付部材3は、図8に示すように貼付部材3Aとして形成されていてもよい。貼付部材3Aは、位置決め部51cの隣り合う2つの角部とその間に配置される帯状に形成されている。これにより、比較的長い形状を有する貼付部材3Aであっても、位置決めを容易にすることができる。
【0028】
貼付部材3は、粘着シートであってもよい。図7に示すように、粘着シートの貼付部材3は、外面51b側の第1粘着面31と、板面100a側の第2粘着面32とを有する。第1粘着面31は外面51bに粘着し、第2粘着面32は板面100aに粘着する。第1粘着面31の粘着強度は、第2粘着面32の粘着強度よりも高い。特に、第1粘着面31の粘着強度は、外面51bの材質に対して高いことが好ましい。これにより、構造体10を板面100aから取り外すときに、貼付部材3が板面100aに貼り付いたまま外面51bから剥がれることを少なくすることができる。
【0029】
粘着シートは、光透過性を有していてもよい。パネルユニット2が光透過性を有する場合、閉塞部材4側から板面100aが見えやすくなる。粘着シートが光透過性を有することにより、粘着シートを目立ちにくくすることができる。また、粘着シートが光透過性を有していても、パネルユニット2と粘着シートとの材質の相違などにより、粘着シートが目立つことがある。これに対し、図2に示すように、複数の貼付部材3が互いに離れた位置に配置されることにより、粘着シートの貼付部材3をより目立ちにくくすることができる。
【0030】
貼付部材3は、マグネットシートであってもよい。貼付部材3がマグネットシートである場合、板面100aはマグネットシートの磁力によって吸着される材料で形成されている。マグネットシートの形状は、上述した貼付部材3,3Aの形状に限定されない。
【0031】
例えば、マグネットシートである貼付部材3は、図9に示すように貼付部材3Bとして形成されていてもよい。貼付部材3Bは、位置決め部51cの内側の形状に沿った正六角形を成している。貼付部材3Bは、その外周が位置決め部51cの内側に当接して、外面51bにおける位置決め部51cの内側の領域の全体を覆うように配置されている。
【0032】
また、マグネットシートである貼付部材3は、図10および図11に示すように貼付部材3C,3Dとして形成されていてもよい。貼付部材3C,3Dは、位置決め部51cの各辺の内側に沿った一定の幅の帯状に形成されている。隣接する2つの貼付部材3Cの間には、僅かな間隔が設けられている。同様に、隣接する2つの貼付部材3Dの間にも、僅かな間隔が設けられている。貼付部材3Dは、貼付部材3Cよりも広い幅を有している。貼付部材3Cは、貼付部材3Dよりも強い磁力を有している。
【0033】
マグネットシートは、両面テープなどによって外面51bに貼付されている。マグネットシートの外面51bに貼付される面は白色などに着色された塗装面である。これにより、パネルユニット2が光透過性を有する場合、マグネットシートの塗装面が表面から見えるので、板面100aの汚れや傷を隠すことができる。また、マグネットシートを用いることにより、板面100aに対する構造体10の取り付けおよび取り外しを容易にすることができる。
【0034】
区画部材5は、外面51bに上記のような貼付構造を有している。当該貼付構造において、貼付部材3は、位置決め部51cの内側に当接するように配置される。これにより、貼付力に応じて様々な大きさに形成された貼付部材3の位置決めを適正に行うことができる。それゆえ、貼付部材3による貼付強度のバラツキを少なくすることができる。したがって、構造体10の板面100aに対する着脱を容易にすることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、貼付部材3を粘着シートおよびマグネットシートで構成する例について説明したが、貼付部材3については、粘着シートおよびマグネットシートに限定されない。構造体10を板面100aへ貼付する貼付構造としては、例えば、面ファスナーを用いてもよい。面ファスナーを用いる場合、区画部材5の外面51bには、貼付部材3として面ファスナーの一方のシートを設け、板面100aに面ファスナーの他方のシートを設ける。
【0036】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0037】
図12は、図1のB-B線矢視断面図である。図13は、図12の一部を拡大して示す断面図である。図14は、図12の他の一部を拡大して示す断面図である。図15は、区画部材5を示す正面図である。
【0038】
(嵌合構造)
本実施形態においては、閉塞部材4および区画部材5の嵌合構造について詳しく説明する。
【0039】
図12および図13に示すように、閉塞部材4の閉塞壁41は、内面に溝41aを有している。溝41aは、隔壁53の上端部と嵌合するように形成されている。
【0040】
図12および図14に示すように、閉塞部材4は、外周部を構成する側壁42で区画部材5と嵌合されている。区画部材5の側壁52は、閉塞部材4と接合される端面において、当該端面の幅方向のほぼ中央に凹部52aを有している。図15に示すように、凹部52aは、区画部材5の外周部を構成する側壁52の全体にわたって設けられている。また、側壁52は、凹部52aの近傍に立ち上がるように形成された延長壁52bを有している。延長壁52bの凹部52a側の面は、下端で凹部52aを形成する側面と連続するように形成されている。
【0041】
側壁42(第2壁)は、その内面が延長壁52bの外側で延長壁52bの外面と対向する。また、側壁42は、区画部材5と接合される端面に凹部52aに嵌合する凸部42aを有している。凸部42aは、上記の端面における側壁42の内面側に設けられている。
【0042】
閉塞部材4と区画部材5とは、側壁42が側壁52に嵌合するだけでなく、隔壁53が溝41aに嵌合することにより、接合の強度を高めることができる。それゆえ、複数の空間を内部に有する強度の高い構造体10を提供することができる。
【0043】
また、閉塞部材4と区画部材5とを上述した嵌合部位で接着剤などにより接合することにより、さらに結合の強度が高まる。そして、接合により、閉塞部材4と、区画部材5の底壁51、側壁52および隔壁53とで、密閉された空間が形成される。隔壁53は、当該空間を区画する。
【0044】
なお、本実施形態では、区画部材5が隔壁53を有する例について説明した。これに対し、区画部材5が隔壁53を有する代わりに、閉塞部材4が隔壁53と同様な隔壁を有することにより区画部材として機能してもよい。このような閉塞部材4に対して、区画部材5は、閉塞部材4が有する隔壁と嵌合する溝を有することにより閉塞部材として機能する。また、このような構造においては、側壁42が凹部を有し、側壁52が側壁42の凹部に嵌合する凸部を有する。このような構造によっても、本実施形態の構造と同じ効果を奏する。
【0045】
(クリアランス差)
隔壁53と溝41aとのクリアランスC1は、次式のように表される。次式において、W1は溝41の開口の幅を表し、W2は隔壁53の上端部の幅を表している。
【0046】
C1=W1-W2
凹部52aと凸部42aとのクリアランスC2は、次式のように表される。次式において、D1は凹部52aにおける延長壁52b側の内壁面と凸部42aとの間の距離を表し、D2は凹部52aにおける延長壁52b側とは反対側の内壁面と凸部42aとの間の距離を表している。
【0047】
C2=D1+D2
幅W1,W2および距離D1,D2は、クリアランスC1がクリアランスC2よりも小さくなるように定められている。例えば、W1=1[mm]、W2=0.9[mm]であり、D1=0.3[mm]、D2=0.3[mm]である場合、C1=0.1[mm]、C2=0.6[mm]となるので、クリアランスC1がクリアランスC2よりも小さくなる。
【0048】
なお、上記の各数値は、あくまでも一例であって、幅W1,W2および距離D1,D2は、クリアランスC1,C2の差の大きさに応じて適宜設定される。
【0049】
上記のようにクリアランスC1,C2が設定されることにより、隔壁53と溝41aとの嵌合を正確に行い、側壁42,52での嵌合を緩くすることができる。これにより、閉塞部材4および区画部材5の成形誤差によって、閉塞部材4および区画部材5の嵌合において、嵌らなかったり緩すぎてガタついたりする不具合を少なくすることができる。
【0050】
〔実施形態3〕
本開示の実施形態3について以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1,2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
図16は、図15のC-C線矢視断面図である。図17は、図16の一部を拡大して示す断面図である。図18は、他の構造体10Aの側面図である。図19は、図18のD-D線矢視断面の一部を拡大して示す断面図である。図20は、図18の断面図に示される構造の縦断面図である。
【0052】
(第1の接着剤貯留構造)
実施形態2でも述べたが、図15図17に示すように、区画部材5の側壁52は、凹部52aを有している。凹部52aは、粘度の低い接着剤6を貯留する貯留部として機能する。閉塞部材4と区画部材5とは、凹部52aに貯留された接着剤6により接合されている。
【0053】
構造体10の製造工程において閉塞部材4と区画部材5とを接合するときには、まず、凹部52aに接着剤6を流し込んで貯留させる。この状態で、閉塞部材4を区画部材5に被せて側壁42の凸部42aを凹部52aに嵌合させると、凹部52aに貯留された接着剤6が凹部52aから溢れ出て、図14に示す閉塞部材4と区画部材5との接合面、すなわち側壁42と側壁52(延長壁52b)との間に広がっていく。
【0054】
これにより、従来の構造体において接合面に塗布される接着剤と異なり、上記のように広がっていく接着剤6には気泡や塗布むらが生じにくい。特に、閉塞部材4が光透過性を有する場合、閉塞部材4と区画部材5との接合面が外部から見えやすくなる。それゆえ、接着剤6による意匠性の低下を少なくすることができる。
【0055】
図15に示すように、凹部52aは、側壁52の全体にわたって設けられている。また、凸部42aも、側壁42の全体にわたって設けられている。これにより、接着剤6を側壁52の全体にわたって行き渡らせることができる。これにより、凹部52aと凸部42aとの嵌合部分の接合強度を高めることができる。
【0056】
また、凹部52aは、側壁52の全体にわたってではなく、側壁52の一部に設けられていてもよい。これに対し、凸部42aも凹部52aに嵌合する位置に設けられている。
【0057】
なお、実施形態2でも述べたが、本実施形態においても、側壁42が凹部を有し、側壁52が側壁42の凹部に嵌合する凸部を有していてもよい。このような構造では、側壁42の凹部が接着剤6を貯留する貯留部として機能する。
【0058】
(第2の接着剤貯留構造)
図18図20に示すように、構造体10Aは、パネルユニット2Aと、貼付部材3とを備えている。パネルユニット2Aは、閉塞部材4Aと、区画部材5Aとを有している。閉塞部材4Aは、上述した閉塞部材4が有する凸部42aを有していないこと以外は閉塞部材4と同等に構成されている。区画部材5Aは、上述した区画部材5が有する凹部52aの代わりに凹部52Abを有していること以外は区画部材5と同等に構成されている。
【0059】
区画部材5Aは、側壁52と同じく多角形(正六角形)の外形を成し、区画部材5Aの外周部を構成する側壁52Aを有している。閉塞部材4Aは、側壁42と同じく多角形(正六角形)の外形を成し、かつ側壁52Aの外側で側壁52Aと対向する側壁42A(第2側壁)を有している。図20に示すように、側壁52A(第1側壁)は、側壁42Aの端部が当接する当接面52Aaを有している。また、側壁52Aの各角部には、凹部52Abが設けられている。
【0060】
凹部52Abは、当接面52Aaを延長して形成された面から側壁52Aの上端に至る範囲まで形成されている。凹部52Abは、粘度の高い接着剤6を貯留する貯留部として機能する。閉塞部材4Aと区画部材5Aとは、凹部52Abに貯留された接着剤7により接合されている。
【0061】
構造体10Aの製造工程において閉塞部材4Aと区画部材5Aとを接合するときには、まず、凹部52Ab内に接着剤7を盛り付けて貯留させる。この状態で、側壁42Aの端部が当接面52Aaに当接するように側壁42Aを側壁52Aに被せる。これにより、側壁42Aと側壁52Aとの間に凹部52Abによって形成される空間において、接着剤7が重力によって広がっていく。これにより、側壁42Aおよび側壁52Aが角部で接合されるので、接着部分が少なくなる。それゆえ、閉塞部材4Aが光透過性を有するために側壁42Aと側壁52Aとが重なる部分が見えやすくなっても、接着剤7による意匠性の低下を少なくすることができる。また、接着剤7の使用量を減らすとともに、接着作業の効率化を図ることができる。
【0062】
〔実施形態4〕
本開示の実施形態4について以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1~3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0063】
図21は、本実施形態に係る複数の上記構造体がガラス板の目隠し構造体を構成する例を示す図である。
【0064】
図21に示すように、目隠し構造体1は、プライバシーの保護および装飾等を目的として、例えば会議室の透明なガラス壁等である透光板100Aの板面100Aaに、視線を遮るために取り付けられる。
【0065】
目隠し構造体1は、光透過性を有する複数の構造体10,10Aを備える。複数の構造体10,10Aの各々は、遮像性を有する閉塞部材4,4Aを含み、光透過性を有する貼付部材3によって板面100Aaに対して個別に着脱可能になっている。本開示において遮像性とは、閉塞部材4,4Aを通して内部または外部が視認し難くなることを意味する。つまり、本開示において遮像性とは、閉塞部材4,4Aを通して物体の像がはっきり視認できず、曇った状態(ぼやけた状態)、歪んだ状態または一部が遮光された状態で、物体の像が視認されることを意味する。
【0066】
具体的には、閉塞部材4,4Aは、半透明であってもよい。これにより、閉塞部材4,4Aを通して物体の像が曇った状態(ぼやけた状態)で視認されるように目隠しされる。半透明である閉塞部材4,4Aの光透過率を調整することで、閉塞部材4,4Aに所望の遮像性を付与することができる。なお、閉塞部材4,4Aの一部が半透明であってもよい。つまり、閉塞部材4,4Aは、透明部分と半透明部分とを含んでいてもよい。これにより、閉塞部材4,4Aの透明部分では物体の像を明確に視認することができる一方、閉塞部材4,4Aの半透明部分では物体の像を明確に視認できず、曇った状態(ぼやけた状態)で像が視認されるように目隠しされる。
【0067】
あるいは、閉塞部材4,4Aの一部が不透明であってもよい。つまり、閉塞部材4,4Aは、透明部分と不透明部分とを含んでいてもよい。これにより、閉塞部材4,4Aの透明部分では物体の像を明確に視認することができる一方、閉塞部材4,4Aの不透明部分では物体の像が視認できず、一部が遮光された状態で像が視認されるように目隠しされる。
【0068】
また、閉塞部材4,4Aは、板面100Aaとは反対側へ向かって突出する立体的形状を有していてもよい。これにより、閉塞部材4,4Aによって光が屈折され、閉塞部材4,4Aを通して物体の像が歪んだ状態で視認されるように目隠しされる。この場合、閉塞部材4,4A全体が透明であっても、閉塞部材4,4Aに遮像性を付与することができる。さらに、立体的形状の閉塞部材4,4Aの全部または一部を半透明にすることで、遮像性を向上させることができる。
【0069】
目隠し構造体1を透明な透光板100Aの板面100Aaの一部に取り付けることにより、閉塞部材4,4Aを通して会議室の内部または外部が視認し難くなる。例えば、板面100Aaに目隠し構造体1が取り付けられていない部分では、透光板100Aを通して物体の像を外部から明確に視認することができる。一方、板面100Aaに目隠し構造体1が取り付けられている部分では、遮像性を有する閉塞部材4,4Aを通して物体の像が外部から明確に視認できなくなる。その結果、物体の存在は視認可能でありながら、物体の明確な像までは視認できなくなるように目隠しされる。
【0070】
このように、目隠し構造体1は、複数のパネルユニット2を組み合わせて板面100Aaに貼付することで目隠しする。このため、従来のフィルムを用いた目隠しのように皴および経年劣化等による剥がれが生じない。
【0071】
また、目隠し構造体1によれば、貼付部材3によってパネルユニット2が個別に着脱可能になっている。これにより、パネルユニット2の貼付位置を簡単に変更することができる。したがって、模様替えの自由度が高く空間の意匠変更が容易となる。
【0072】
なお、目隠し構造体1が取り付けられる透光板100Aは、ガラス壁に限定されず、例えば、透明な衝立またはパーティション、ガラス窓、ガラス扉等であってもよい。また、透光板100Aは、光透過性を有し内部が透けて見えるものであればよく、ガラス、ポリカーボネート、アクリル等の各種材料から構成され得る。
【0073】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る構造体は、第1部材と、前記第1部材と外周部で嵌合される第2部材と、を備え、前記第1部材および前記第2部材のいずれか一方が、前記第1部材および前記第2部材が嵌合されることにより形成される空間を区画する複数の隔壁を有し、他方が、前記隔壁に嵌合する溝を有している。
【0074】
上記の構成によれば、隔壁が溝に嵌合することにより、隔壁と溝との接合の強度を高めることができる。
【0075】
本開示の態様2に係る構造体は、前記の態様1において、前記隔壁および前記溝の嵌合のクリアランスが、前記第1部材および前記第2部材の前記外周部での嵌合のクリアランスよりも小さい。
【0076】
上記の構成によれば、隔壁と溝との嵌合を正確に行い、外周部での嵌合を緩くすることができる。これにより、第1部材および第2部材の成形誤差によって、第1部材および第2部材の嵌合において、嵌らなかったり緩すぎてガタついたりする不具合を少なくすることができる。
【0077】
本開示の態様3に係る構造体は、前記の態様1または2において、前記第1部材が、底壁と、当該底壁の外周に設けられた側壁と、前記隔壁とを有し、前記隔壁が、前記底壁および前記側壁で囲まれる領域を区画し、前記第2部材が、前記溝を有するとともに、前記領域を閉塞する。
【0078】
上記の構成によれば、複数の空間を内部に有する強度の高い構造体を提供することができる。
【0079】
〔付記事項〕
本開示は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
4 閉塞部材(第2部材)
5 区画部材(第1部材)
41a 溝
42 側壁
51 底壁
52 側壁
C1,C2 クリアランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21