(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】間仕切り及び室内システム
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20231218BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20231218BHJP
E05D 13/00 20060101ALI20231218BHJP
E05F 5/00 20170101ALI20231218BHJP
【FI】
E05D15/06 124Z
E06B3/46
E05D13/00 K
E05D13/00 A
E05F5/00 D
(21)【出願番号】P 2022066704
(22)【出願日】2022-04-14
(62)【分割の表示】P 2017131118の分割
【原出願日】2017-07-04
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】平野 勝男
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-132306(JP,A)
【文献】特開2009-174293(JP,A)
【文献】特開2011-084937(JP,A)
【文献】特開2013-245485(JP,A)
【文献】特開2013-108214(JP,A)
【文献】米国特許第05125202(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00 - 15/58
E05D 11/00 - 13/00
E06B 3/04 - 3/46
E06B 3/50 - 3/52
E05F 1/00 - 13/04
E04B 2/72 - 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸袋が形成された固定扉と、前記戸袋からの引き出し及び前記戸袋への収納が可能なスライド扉とを備え、
前記戸袋の開口部近傍に、
建物に対して固定をする固定部と、軸部と、軸部に取り付けられ水平方向に回転可能なリング状の回転体を具備した回転留め部と、を有する被係止側留め部材が設けられ、
前記スライド扉には、戸尻側端部を前記戸袋内に残して前記スライド扉の摺動を可能にする摺動係止構造が設けられ、
この摺動係止構造は、前記スライド扉の摺動を許す摺動部と、
前記回転留め部を係止させる係止側部材とを有し、
前記係止側部材は、前記スライド扉の戸尻側であって、戸尻側端面から戸先側に間隔を空けた位置に固定され、前記回転留め部を当てさせる係止面を有し、
前記被係止側留め部材と前記摺動係止構造とが、抜け止め構造を構成している間仕切り。
【請求項2】
前記係止側部材は、
水平方向に延び前記スライド扉の端面に固定される第1固定部と、
第1固定部の戸尻側端部から下方に延びた後、戸先方向に折れ曲がって水平に延び、更に戸先側端部で折れ曲がって上方に延びる囲繞部と、
前記囲繞部の上端から戸先側に延びて前記スライド扉の端面に固定される第2固定部とを有した取付ボックスにより形成され、
前記係止面は、前記回転留め部に対向する前記囲繞部の壁部に形成されている
請求項1に記載の間仕切り。
【請求項3】
前記被係止側留め部材が床面に固定され、前記摺動係止構造が前記スライド扉の下端面に固定されている請求項1
又は2に記載の間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切り及び室内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、戸袋が形成された固定扉から可動式スライド扉を引き出し可能な間仕切りが広く知られている(例えば下記特許文献1)。
特許文献1に記載の間仕切りは、前端を開口する戸袋を内部に形成する戸袋パネルと、戸袋パネルに出入自在に組み合わせる移動パネルとを備えている。戸袋パネルは、居室の壁面を利用して床面に立設し、移動パネルの戸尻側上部に連結するスライダ付きのスライドレールを上部に配置し、かつ移動パネルの戸尻側下部の戸車を前後にガイドするガイドレールを下部に配置している。また、移動パネルは、戸先側の側端面下部にストッパを付設している。
また、戸袋パネルの上端と移動パネルの上端との境に天井連結させて間仕切りを支持する連結ロッドが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の間仕切りは、戸袋パネルから引き出された際に安定性が低下するため、好ましくは戸袋パネル上に天井と連結する連結ロッドが必要であった。したがって、外観を損ねるのみならず、間仕切りの設置時に連結ロッドにより間仕切りを天井にも固定しなければならず、設置が大がかりとなることがあった。また、戸袋パネルの先端側で連結ロッドを用いて天井と固定しても、移動パネルの全体が薄板状に形成されているため、移動パネルの引き出し時に左右にぶれやすく、操作が安定し難いことがあった。
そこで本発明は、固定扉及びスライド扉の上方に固定手段を有しなくても室内に安定的に固定することができ、かつ、スライド扉を引き出した状態でもスライド扉を安定的に設置することができる間仕切りを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の間仕切りは、戸袋が形成された固定扉と、前記戸袋からの引き出し及び前記戸袋への収納が可能なスライド扉とを備え、前記戸袋の開口部近傍に、被係止側留め部材が設けられ、前記スライド扉には、戸尻側端部を前記戸袋内に残して前記スライド扉の摺動を可能にする摺動係止構造が設けられ、前記被係止側留め部材と前記摺動係止構造とが、抜け止め構造を構成している。
【0006】
この構成によれば、スライド扉が戸袋から抜け出てしまうことを防止することができる。
【0007】
本発明の間仕切りの前記被係止側留め部材は、建物に対して固定をする固定部と、軸部と、軸部に取り付けられ水平方向に回転可能なリング状の回転体を具備した回転留め部とを有していてもよい。
【0008】
この構成によれば、スライド扉を引き出した際に、回転留め部がスライド扉との摩擦を極力抑えることができる。
【0009】
本発明の間仕切りの前記摺動係止構造は、前記スライド扉の摺動を許す摺動部と、前記回転留め部を係止させる係止側部材とを有し、前記係止側部材は、前記スライド扉の戸尻側に固定され、前記回転留め部を当てさせる係止面を有していてもよい。
【0010】
この構成によれば、回転留め部と係止面部との間に大きな摩擦が働く。したがって、回転留め部は、スライド扉の上方への跳ねなどを抑えることができ、スライド扉の引き出し時における抜けをほぼ確実に防止することができる。
【0011】
本発明の間仕切りの前記係止側部材は、水平方向に延び前記スライド扉の端面に固定される第1固定部と、第1固定部の戸尻側端部から下方に延びた後、戸先方向に折れ曲がって水平に延び、更に戸先側端部で折れ曲がって上方に延びる囲繞部と、前記囲繞部の上端から戸先側に延びて前記スライド扉の端面に固定される第2固定部とを有した取付ボックスにより形成され、前記係止面は、前記回転留め部に対向する前記囲繞部の壁部に形成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、取付ボックスの一部に係止面が形成されているため、摺動係止構造が耐衝撃性を有して、スライド扉をしっかりと止めることができる。
【0013】
本発明の間仕切りの前記被係止側留め部材が床面に固定され、前記摺動係止構造が前記スライド扉の下端面に固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の間仕切り及びこれを設置した室内システムは、室内に安定的に固定することができ、かつ、スライド扉を引き出した状態でもスライド扉を安定的に設置することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の間仕切り及び室内システムであって、スライド扉を引き出した状態を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態の間仕切り及び室内システムであって、スライド扉を収納した状態を示す概略図である。
【
図3】
図2をD1-D1線で矢視した断面図である。
【
図4】
図2をD2-D2線で矢視した断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の間仕切りの巾木ベースを分解して示した基台部材及び補強部材を長手方向に視た側面図である。
【
図6】(a)本発明の一実施形態の間仕切りの巾木ベースを分解して示した台座部材を長手方向に視た側面図である。(b)本発明の一実施形態の間仕切りの巾木ベースを分解して示した台座部材を短手方向に視た正面図である。
【
図7】(a)本発明の一実施形態の間仕切りの上枠部材の底面図である。(b)本発明の一実施形態の間仕切りの上枠部材を長手方向に視た側面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の間仕切りのスライド扉を最大に引き出した状態のスライド扉戸尻側上端部を示した一部拡大図である。
【
図9】本発明の一実施形態の間仕切りのスライド扉の戸尻側上端部を示した部分側断面図である。
【
図10】(a)本発明の一実施形態の間仕切りの縦枠部材の側面図である。(b)本発明の一実施形態の間仕切りの縦枠部材の底面図である。
【
図11】本発明の一実施形態の間仕切りのスライド扉の構造の変形例を示す図であり、(a)は戸先部を戸尻側端面から視た図であり、(b)は可動用パネル部材の戸先側を部分的に示した背面図であり、(c)は可動用パネル部材を戸先側から視た図である。
【
図12】本発明の一実施形態の間仕切りのスライド扉の構造の変形例を示す一部断面図である。
【
図13】本発明の一実施形態の間仕切りのスライド扉の抜け防止構造を示した部分断面図である。
【
図14】本発明の一実施形態の間仕切りのスライド扉の抜け防止構造を示すスライド扉を省略して示した部分断面図である。
【
図15】(a),(b)本発明の一実施形態のスライド扉の戸先部の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照して本発明の間仕切り及び本発明の間仕切りを使用した室内システムの実施形態について説明する。
【0017】
図1,
図2に示すように、本発明の間仕切り1は、巾木ベース2と、巾木ベース2の延長線上に敷設されるガイドレール3と、巾木ベース2上に設置され戸袋4が形成された固定扉5と、戸袋4への収納及び戸袋4からの引き出しが自在であるスライド扉6とを備えている。そして、本発明の室内システムXの一実施形態として、間仕切り1は、例えば病院や介護施設における室内の区画したい箇所に設置して用いられる。
【0018】
固定扉5及びスライド扉6は、特に限定されるわけではないが、160cm前後の高さを有するいわゆるローパーテーションであり、例えば複数のベッドの間に設置した際にベッドの上に座った状態で隣が見えないようにするのに好適に用いられる。
以下、本発明の間仕切り1について詳細に説明する。
【0019】
固定扉5は、厚さ方向に間隔を空けて巾木ベース2上に設置される一対の固定用パネル部材7,7(一方は紙面奥行き方向に設置)と、一対の固定用パネル部材7,7をこれらの上端で固定する上枠部材8と、一対の固定用パネル部材7,7の戸尻側端部を室内の壁部Wに取り付ける縦枠部材9とを備えている。
【0020】
図3に示すように、固定用パネル部材7は、2枚の薄厚の表面材P,Pを厚さ方向に対向配置し、これらの間に、例えばペーパーコア等の充填部材Qを充填して形成されている。
図3,
図4に示すように、固定用パネル部材7の上端面部7a、下端面部7b、戸先側端面部7c及び戸尻側端面部7dには、長尺で、長手方向に視てU字状の補強連結材10が配されている。
【0021】
図3,
図4に示すように、補強連結材10は、水平部10aと、水平部10aの両端から略垂直に折れ曲がって形成された垂直部10b,10bとを備えている。水平部10aの幅寸法は、固定用パネル部材7の厚さ寸法と略同寸法に形成されている。
【0022】
図1,
図2に示すように、固定用パネル部材7の上部側には、開口部が形成され、開口部に透明又は半透明の樹脂製板材などが嵌められ、窓15が形成されている。
このように構成された固定用パネル部材7は、所定の間隔を空けて、表面材P,P同士を互いに対向させて2つを一対として巾木ベース2上に設置されている。
【0023】
巾木ベース2は、
図3に示すように、固定用パネル部材7を立設させるベースとなる基台部材20と、基台部材20を補強する補強部材21と、補強部材21上に配置されるレール部材23と、基台部材20上に更に配置して固定用パネル部材7を取り付ける台座部材24と、基台部材20の上部から上方に一定の間隔を空けるとともに、台座部材24を支持する支持ピン25とを備えている。
【0024】
図5に示すように、基台部材20は、床面F上に配置される長尺な底板部26と、底板部26の長手方向(
図5においては紙面奥行き方向)に延びる両辺から立ち上がった外側板部27と、外側板部27の上端から外側板部27,27間の内側に折れ曲がって延びる上板部28と、上板部28から下方に折れ曲がった内側板部29とを有している。
【0025】
上板部28の幅寸法は、
図3に示す固定用パネル部材7の厚さ寸法よりもやや小さく形成されている。
内側板部29同士の間の寸法は、
図3に示すスライド扉6を出し入れ可能な間隔すなわち戸袋4の幅方向の寸法と略同寸法に設定されている。
【0026】
補強部材21は、基台部材20の底板部26上に重ねられる水平板部30と、水平板部30の長手方向(
図5においては紙面奥行き方向)に延びる両辺から立ち上がり、内側板部29の内壁面に一部が重なるように配される垂直板部31とを備えている。水平板部30は、基台部材20の内側板部29の寸法よりも僅かに大きい幅寸法で形成されている。
【0027】
基台部材20と補強部材21とは、このように上下に重ね合わされることにより、底板部26と水平板部30とが重なって頑丈な底面部を形成している。また、基台部材20の外側板部27、上板部28、内側板部29及び補強部材21の垂直板部31により、長手方向に視て略矩形の枠38,38が形成され、
図3に示す固定用パネル部材7,7を設置可能な頑丈な土台が形成されている。
【0028】
基台部材20と補強部材21とは、
図3に示すように、アンカー部材39により床面Fに強固に固定される。
レール部材23は、スライド扉6の戸車Tをガイドする部材であり、枠38,38の間であって補強部材21の
図5に示す底板部26及び水平板部30の上面に配されて固定されている。これによりレール部材23は、底板部26及び水平板部30の厚さ分上方に固定される。
【0029】
図5に示すように、支持ピン25は、外周面に不図示の雄ネジ部が形成された円筒状の胴部25aと、胴部25aが螺合するナット25bと、胴部25aの上端に逆切頭円錐台形に形成された頭部25cとを有している。
基台部材20の上板部28の幅方向中央には、長手方向に間隔を空けて開口部が形成されており、この開口部に支持ピン25が挿入され且つ固定されている。
【0030】
図6(a),(b)に示すように、台座部材24は、
図5に示す支持ピン25上に載置される側視略逆U字状の台座本体部32と、連結部材33とを有している。
台座本体部32は、スチール等の剛性の高い長尺な部材を折り曲げて形成されており、上板部32a及び上板部32aの両端から垂下する側板部32bを有している。
【0031】
台座部材24の上板部32aは、固定用パネル部材7の厚さ寸法とほぼ同じ幅寸法で形成されている。台座部材24の側板部32bは、
図3に示すように、支持ピン25上に上板部32aを載置した際に、外側板部27を十分に覆う長さに形成されている。
【0032】
図6(b)に示すように、台座部材24の連結部材33は、矩形に形成された鋼板の長手方向の両端を折り曲げて形成され、台座本体部32の上板部32aに長手方向(
図6(b)の水平方向)に間隔を空けて複数取り付けられている。
以上の構成を有する巾木ベース2の台座部材24に、
図3に示すように下端面部7bに固定された補強連結材10が連結されている。
【0033】
図7(a),(b)に示すように、上枠部材8は、スチールやアルミ形材等の剛性の高い素材で断面視矩形に形成された長尺な角柱材34Aと、
図3に示す可動用パネル部材45と対向配置される揺れ防止ガイド部材35と、
図3に示す固定用パネル部材7の上端面部7aと連結する連結部材36とを有している。
【0034】
角柱材34Aは、扁平な四角柱状に形成され、その長手方向の両端面が小口塞ぎで閉じられている。角柱材34Aは、互いに対向する扁平面を上下面に向けて配される。
揺れ防止ガイド部材35は、角柱材34Aの下面の幅方向中央に配される長尺な略板状の部材であり、角柱材34Aの下面に固定される取付板部35aと、取付板部35aの幅方向中央において一定の高さで突出し長手方向に延びて、スライド扉6に嵌合する突条部35bとを有している。
【0035】
上枠部材8の連結部材36は、角柱材34Aの下面に重ねられる長尺な板状の水平部36aと、水平部36aの長手方向に延びる両辺から垂下する板状の垂直部36bとを備えている。垂直部36b,36b同士間の幅寸法は、
図3及び
図4に示す補強連結材10の垂直部10b,10b同士間の幅寸法よりも小さく形成されている。この連結部材36は、2本用意され、水平部36aを揺れ防止ガイド部材35を間に挟んで揺れ防止ガイド部材35に平行に配されている。
【0036】
図3に示すように、固定用パネル部材7は、その上端面部7aに取り付けた補強連結材10の垂直部10b間に、角柱材34Aの下面に取り付けた連結部材36の垂直部36bを挿入し、ビス等の固定手段にて垂直部10bと垂直部36bとを連結することで、上枠部材8に固定されている。
【0037】
図8に示すように、角柱材34Aの戸先側下面には、設定された最大の引き出し位置でスライド扉6のそれ以上の引き出しを規制する上枠側引き出し停止部材40が取り付けられている。
上枠側引き出し停止部材40は、短冊状の板部材の一端部を折り曲げてL字状に形成し、折り曲げた一端部側を被係止部40aとし、他端部側を角柱材34Aの下面への取付部40bとしている。取付部40bには、挿入孔が形成されている。上枠側引き出し停止部材40は、取付部40bを角柱材34Aの戸先側下面に配してビス等の固定手段にて固定できるようになっている。
【0038】
図10に示すように、縦枠部材9は、スチール等の剛性の高い素材で形成された長尺な角柱材34Bと、
図4に示す固定用パネル部材7の戸尻側端面部7dに固定された補強連結材10と連結する連結部材36とを有している。
角柱材34Bの扁平面の幅寸法は、
図7に示す上枠部材8と略同等か、上枠部材8よりも僅かに大きく形成されている。角柱材34Bの厚さ寸法は、上枠部材8の角柱材34Aの厚さ寸法よりも小さく形成されている。
【0039】
図1に示すように、角柱材34Bの長手方向の寸法は、巾木ベース2、固定用パネル部材7及び上枠部材8を組み立てて床面Fに設置した際の床面Fから上枠部材8の上端面までの寸法と略同寸法に形成されている。これらの点を除いて縦枠部材9の角柱材34Bは、上枠部材8の角柱材34Aと略同様に形成されている。
図10に示す縦枠部材9が備える連結部材36は、
図7に示す上枠部材8の連結部材36と長手方向の寸法を除いて略同様に形成されている。
【0040】
以上の構成の縦枠部材9は、
図1に示す室内の壁面W等に角柱材34Bの扁平面の一方を密着させてアンカー部材39等を用いて固定されている。そして、室内の壁面Wに固定された縦枠部材9に巾木ベース2の戸尻側端部、固定用パネル部材7の戸尻側端面部7d及び上枠部材8の戸尻側端部を扁平面に突き合わせた状態で、ビス等の固定手段によってこれらを縦枠部材9に強固に固定させている。
以上のようにして組み立てられた巾木ベース2、固定用パネル部材7,7、上枠部材8及び縦枠部材9に囲まれて戸袋4が形成されるとともに、固定扉5が完成する。
【0041】
図1に示すように、スライド扉6は、可動用パネル部材45と、可動用パネル部材45の戸先に設けられた可動用パネル部材45よりも肉厚な部分を有する戸先部46と、可動用パネル部材45及び戸先部46の双方に設けられた戸車Tと、
図9に示す可動用パネル部材45の上端に設けられた揺れ止め溝部材47とを主として備えている。本実施形態では、スライド扉6は更に、可動用パネル部材45の戸尻側端面に設けられた戸当たりゴム48と、
図8及び
図9に示す可動用パネル部材45の側面部の戸尻側に設けられた扉側引き出し停止部材49とを備えている。
【0042】
図3に示すように可動用パネル部材45は、2枚の薄い表面材P,Pを厚さ方向両側に対向配置し、これらの間に、例えばペーパーコア等の充填部材Qを充填して形成されている。可動用パネル部材45の厚さ寸法は、固定用パネル部材7の厚さ寸法よりも大きく形成されている。
図4に示すように可動用パネル部材45の戸先側端部には、戸先部46が設けられている。
【0043】
戸先部46は、少なくとも戸車Tを取り付ける下端部が戸袋4の幅寸法よりも肉厚に形成された長尺な部材であり、本実施形態では、長手方向に一定の厚さに形成されたやや扁平な四角柱形状に形成されている。
戸先部46の厚さ及び長手方向の寸法は、共に可動用パネル部材45の厚さ及び縦寸法よりも大きく形成されている。
【0044】
図1に示す戸先部46の下面部46cには、
図4に示すように、戸先部46の厚さ方向に間隔を空けて戸車Tが平行に複数(本実施形態では2つ)取り付けられている。なお、本発明においては、1つの戸車Tとしてダブルタイヤ型のものを含む。
戸先部46の戸車Tは、そのタイヤの厚さ方向の一部が可動用パネル部材45の両側面の外側に位置するように取り付けられている。本実施形態では、タイヤの厚さ方向の中央線L1が、可動用パネル部材45の板面の外側に位置するように取り付けられている。
【0045】
したがって、戸先部46の厚さは、戸車Tの前記構成を可能にする厚さ寸法、具体的には、特に限定されないが、本実施形態では可動用パネル部材45の厚さの1.5倍以上、好ましくは2倍以上であって、上限は特に限定されないが、固定扉5全体の厚さ寸法と同等程度以下であることが好ましい。
【0046】
図4に示すように、戸先部46の厚さを形成する面であって可動用パネル部材45と対向する戸尻側端面には、可動用パネル部材45の先端面よりも僅かに大きい開口部に形成された嵌合凹部46sが形成されている。
この戸先部46の嵌合凹部46sに可動用パネル部材45の戸先側端部が挿入されて固定されている。
【0047】
戸先部46の嵌合凹部46sが形成された面と反対側の面すなわち戸先部46の戸先側端面の下部には、スライド扉6を引き出した状態で固定するロック部材50が設けられている。
本実施形態においてロック部材50は、丸落とし、角落とし、フランス落とし等を好適に用いることができる。
【0048】
図1に示すように、スライド扉6の引き出し先の床面F上には、突出高さがおよそ3mm以下のガイドレール3が直接に設置され、この上を戸先部46の戸車T,Tが案内されて転がるようになっている。
そのために、本実施形態では、戸先部46の戸車T,Tは、可動用パネル部材45の戸尻側の戸車Tよりも底板部26及び水平板部30を合わせた厚さ分低い位置に固定されている。
なお、レール部材23とガイドレール3とは、設置及び製造の簡便性の観点から縁切りされており、それぞれ別個に設置できるようになっている。
【0049】
戸先部46は、このように戸車T及び可動用パネル部材45を取り付けかつ戸車Tをガイドレール3上に載置した状態で、戸先部46の上端面の位置が固定扉5の上枠部材8の上端面と略同じ高さになるように形成されている。
【0050】
図3及び
図9に示すように、可動用パネル部材45の上端部には長手方向に延びるようにU字型に形成された揺れ止め溝部材47が嵌め込まれている。
揺れ止め溝部材47の溝幅は、
図3及び
図7に示す上枠部材8に設けられた揺れ防止ガイド部材35の突条部35bを僅かな遊びを残して略ちょうど嵌入させ、突条部35bを円滑に摺動させ得る寸法に設定されている。
【0051】
図8,
図9に示すように可動用パネル部材45の戸尻側上端部には、上枠部材8の戸先側下面に取り付けられた上枠側引き出し停止部材40に係合して、スライド扉6の引き出しをストップさせる扉側引き出し停止部材49が取り付けられている。
【0052】
扉側引き出し停止部材49は、可動用パネル部材45の戸尻側上端部の両板面及びこれらの間の戸尻側端部を覆った状態で固定される上面視U字状の取付部49aと、可動用パネル部材45の上端から突出して上枠側引き出し停止部材40に係合する係合部49bとを有している。この扉側引き出し停止部材49は、鋼板を折り曲げて形成されている。
【0053】
扉側引き出し停止部材49の係合部49bは、揺れ防止ガイド部材35を避けて跨るように取付部49aから二股に分かれて形成されている。これにより、扉側引き出し停止部材49の係合部49bは、上枠部材8に設けられた揺れ防止ガイド部材35に緩衝しないでスライド扉6を上枠側引き出し停止部材40に至るまで引き出すことができるようになっている。
図1及び
図4に示すように、可動用パネル部材45の下端部の戸尻側には、戸車Tが一つ固定されている。
【0054】
図1に示すように、戸当たりゴム48は、可動用パネル部材45の戸尻側端面に、高さ方向に間隔を空けて取り付けられている。
図4に示すように、可動用パネル部材45は、戸当たりゴム48が縦枠部材9に接触するまで戸袋4内に完全に収納した状態において、戸先側の部分が固定用パネル部材7の戸先側端面から一定寸法(L2寸法)突出する横寸法で形成されている。すなわち、
図2に示すように固定扉5の戸先側端面と戸先部46の戸尻側端面との間に
図4に示すL2寸法分の隙間が形成される構成となっている。
【0055】
収納完了状態の可動用パネル部材45の戸先側部分の具体的な突出寸法(ただし戸先部46内に挿入されている部分は含まない)は、5mm以上、望ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上である。収納時の可動用パネル部材45の戸先側部分突出最大幅は、特に限定されないが、スライド扉6の収納時に戸先部46の戸尻側端面と固定扉5の戸先側端面との間におよそ大人が指を挟まない程度の寸法に形成されていればよい。
【0056】
可動用パネル部材45には、厚さ方向に貫通する開口部が形成されている。開口部には、透光性のある半透明の板部材が嵌め込まれており、
図1に示す窓55を形成している。
以上のようにして、スライド扉6が構成されている。
【0057】
次に、固定扉5とスライド扉6との設置方法、使用時の作用及び効果について説明する。
間仕切り1を設置するには、
図1及び
図2に示すように、室内を区画したい場所の壁面Wに、アンカー部材39等を用いて縦枠部材9を取り付け、床面Fには巾木ベース2を固定する。
【0058】
巾木ベース2は、
図3に示すように基台部材20及び補強部材21を合わせて全体として長手方向に視てU字状に構成されているので、この状態で床面F上に設置し、
図5に示す底板部26及び水平板部30を貫通するようにアンカー部材39等にて床面Fに固定する。
そして、
図5に示す水平板部30の上面に
図3に示すレール部材23を固定する。支持ピン25は
図5に示すように基台部材20の上板部28の不図示の挿通孔に合わせて予め固定しておいたナット25bに胴部25aを螺入して、所定の高さに設定する。その上で、台座部材24を支持ピン25の上方から嵌合させる。なお、台座部材24の高さ調整は、台座部材24の上板部32aに形成された孔を通して支持ピン25を操作することにより、台座部材24の支持ピン25への設置後にすることも可能である。以上により、巾木ベース2の設置が完了する。
【0059】
次に、2枚の固定用パネル部材7,7を巾木ベース2の2つの台座部材24にそれぞれ平行にして固定する。そして、
図4に示すように、固定用パネル部材7の戸尻側端面に設けられた補強連結材10の垂直部10b,10b内に縦枠部材9の連結部材36の垂直部36bを挿入した状態で、垂直部10bと垂直部36bとをビス等の固定手段を用いてしっかりと固定する。
【0060】
また、
図3に示すように、上枠部材8を固定扉5の上に設置し、上枠部材8側の連結部材36の垂直部36bを固定用パネル部材7の補強連結材10の垂直部10b,10b内に挿入し、上枠部材8側の垂直部36b及び垂直部10bをビス等の固定手段を用いてしっかりと固定する。
これにより、固定用パネル部材7,7及び上枠部材8を巾木ベース2上及び縦枠部材9に確実に固定して固定扉5の設置が完了する。
【0061】
スライド扉6は、その戸尻側をやや斜め下方に傾けて、スライド扉6の戸尻側上端に固定した
図8に示す扉側引き出し停止部材49の係合部49bが、上枠部材8の戸先側下面に固定された上枠側引き出し停止部材40の被係止部40aを乗り越えるようにして、戸袋4内に挿入する。
これにより、スライド扉6は固定扉5の戸袋4内に収納され及び戸袋4から引き出すことができる状態になって、間仕切り1の設置が完了する。
【0062】
間仕切り1は、使用に際して、室内空間を十分に区画したい場合には、
図1に示すようにスライド扉6を戸袋4から最大限引き出し、ロック部材50で引き出し状態を固定しておく。そして、ベッド等の室内の設置物を移動させたりしたい場合に、ロック部材50によるロックを解除して
図2に示すようにスライド扉6を戸袋4内に収納し、室内の移動スペースを最大にすることができる。したがって、室内空間の区画を簡単に変更することができるという効果を奏する。
【0063】
特に間仕切り1は、可動用パネル部材45よりも大きい厚さ寸法を有する戸先部46の2つの戸車Tと可動用パネル部材45の戸尻側の1つの戸車Tの3点でスライド扉6を支持することができるため、スライド扉6の安定性が格段に上がるという効果を奏する。
更に、間仕切り1は、戸先部46の戸車Tが、その厚さ方向中央が可動用パネル部材45の板面の外側に来るように設置されているため、スライド扉6の大部分を占める可動用パネル部材45の厚さ方向のぶれをより確実に抑えることができるという効果を奏する。
【0064】
上記実施形態の間仕切り1は、固定扉5及びスライド扉6の上端に手が届き易いローパーテーションとなっており、これらの厚さ方向のブレをしっかりと抑える必要があるので特に有効な構成となっている。
【0065】
間仕切り1は、このように非常に高い安定性を有しているので、
図1に示す天井Cとの間に間仕切り1を支持する支持部材等を介装させる必要がなく、室内をすっきりとさせるとともに設置時の工程を省くことができるという効果を奏する。
また、スライド扉6は、角柱状の戸先部46により縦方向の剛性も非常に高まるという効果を奏する。
【0066】
また、スライド扉6は、戸袋4内に完全に収納した際に、固定扉5の戸先側端面から可動用パネル部材45が突出するように形成されている、すなわち固定扉5の戸先側端面と戸先部46の戸尻側端面との間に可動用パネル部材45が露出した高さ方向の溝状をなすように形成されている。したがって、戸先部46の戸尻側端面に指をかけてスライド扉6を操作した際に、戸先部46と固定扉5との間に指を詰めてしまうことを回避することができるという効果を奏する。
【0067】
また、スライド扉6の引き出し時には、最大の引き出し状態で扉側引き出し停止部材49と上枠側引き出し停止部材40とが係合するようになっているため、スライド扉6が抜けてしまうことを防止できる。
【0068】
なお、本実施形態の間仕切り1は、固定扉5及びスライド扉6の双方に窓15,55を形成した例を示したが、窓15,55はいずれか一方に形成されていてもよい。また、窓15,55は、カーテン、ロールスクリーン、ブラインド、その他の透視防止又は透光防止手段を備えていてもよい。窓15,55の開閉手段は、窓15,55の一方の面に設けられていても双方の面に設けられていてもよい。
【0069】
なお、固定扉5及びスライド扉6の双方に窓15,55を設ける場合は、スライド扉6の収納時にスライド扉6が固定扉5側の窓15の透光又は透視可能範囲を狭めないように窓55の位置決めをし且つ窓55の大きさを窓15と同等以上にしておくことが好ましい。
【0070】
次に、本発明のスライド扉6の変形例について説明する。
スライド扉6の変形例としては、
図11及び
図12に示すスチール等の鋼板により形成された可動用パネル部材45及び戸先部46が挙げられる。
この場合の戸先部46と可動用パネル部材45との取付構造は以下のとおりである。
【0071】
戸先部46の戸尻側端面には、
図11に示すように、前述した戸先部46と同様に、可動用パネル部材45を嵌合させる嵌合凹部46sが長手方向に形成されている。嵌合凹部46sは、可動用パネル部材45の表面材P,P(
図3参照)に対向させる内側面部46a,46aと、可動用パネル部材45の戸先側端面45aが対向する戸尻側端面部46bとにより形成されている。
嵌合凹部46sの戸尻側端面部46bには、長手方向すなわち上下方向に間隔を空けて被係止孔56が複数形成されている。
【0072】
一方、可動用パネル部材45の戸先側端面45aには、被係止孔56に係止させる係止部材51が被係止孔56に対応する位置に固定されている。
係止部材51は、可動用パネル部材45に固定される平坦な取付部52と、取付部52から下方又は上方に(本例では下方に)延びる先端爪部53とを有した板状の部材である。
【0073】
先端爪部53は、取付部52の下端52aを支点として、戸先方向に傾斜している。この形状により先端爪部53は、戸先方向に弾性変形可能で、この先端爪部53と可動用パネル部材45の戸先側端面45aとの間に、嵌合凹部46sの戸尻側端面部46bを挿入させやすくなっている。
可動用パネル部材45と戸先部46とは、
図12に示すように、係止部材51の先端爪部53を嵌合凹部46sの被係止孔56に挿入して係止させることにより固定する。
【0074】
また、更に別の変形例として、間仕切り1は、
図13及び
図14に示すように、スライド扉6の抜け止め構造60をスライド扉6の下部に更に有していてもよい。なお、
図13は、
図3に示す固定扉5及び巾木ベース2の底板部26及び水平板部30以外を省略して示したスライド扉6の一部縦断面図であり、
図14は、
図3に示すスライド扉6及び巾木ベース2を省略して示した固定扉5側の一部横断面図である。
【0075】
図13に示すように、抜け止め構造60は、
図14に示すレール部材23の延長線上であって戸袋4の開口部近傍に設けられた被係止側留め部材61と、可動用パネル部材45の戸尻側端部を戸袋4内に残してスライド扉6の摺動を可能にする、スライド扉6に設けられた摺動・係止構造70とを備えている。
【0076】
被係止側留め部材61は、固定部63と、軸部64と、軸部64に取り付けられた回転留め部65とを有している。
固定部63は、板状に形成されビス等の固定手段により巾木ベース2の水平板部30上に固定されている。軸部64は、軸線L2を鉛直方向に向けて固定部63上に設けられている。なお、固定部63は、直接床面Fに固定してもよい。
【0077】
回転留め部65は、リング状の回転体で、不図示の軸受を介して軸部64に取り付けられ、水平方向に回転できるようになっている。
図14に示すように、回転留め部65の外径65rは、
図3に示すスライド扉6の可動用パネル部材45の下端部に設けられた不図示のU字状の補強部材の内面間の寸法よりも僅かに小さい寸法に形成されている。その結果、回転留め部65は、スライド扉6の摺動時にスライド扉6が厚さ方向にぶれた場合に前記不図示のU字状の補強部材に対して回転しながら触れ、スライド扉6との摩擦を極力抑えながらスライド扉6の支持を補完する。
回転留め部65の材質としては、特に限定されないが、弾性を有する合成樹脂が好適に用いられる。
【0078】
一方、スライド扉6の摺動・係止構造70は、可動用パネル部材45の下端部に形成された摺動部71と、回転留め部65に係止させる係止側部材72とを備えている。
摺動部71は、本例では、可動用パネル部材45の下端部に設けられた不図示のU字状の補強部材により囲まれ、下方が開口した空洞部の構成を取っている。摺動部71は、可動用パネル部材45の戸先側先端から戸尻側後端部に設けられた係止側部材72までの領域に亘って形成されている。
【0079】
係止側部材72は、可動用パネル部材45の戸尻側の戸車Tの戸先側の近傍に固定され、回転留め部65に係合させる係止面73aを有する部材である。係止側部材72の一例として、戸車Tの一部を下方から突出させた状態で戸車Tを取り囲み、戸車Tの前後に固定部を有し、戸車T近傍の戸先側に係止面部73を有した取付ボックス74を示す。
【0080】
取付ボックス74は、水平方向に延びる第1固定部75と、第1固定部75の戸尻側端部から下方に延びた後、戸先方向に折れ曲がって水平に延び、更に戸先側端部で折れ曲がって上方に延びる囲繞部76と、囲繞部76の上端から戸先側に延びる第2固定部77とを有している。
第1固定部75は、可動用パネル部材45の下端部に設けられた不図示のU字状の補強部材の下面に配され、ビス等の固定手段により固定されている。
【0081】
囲繞部76は、第1固定部75の戸尻側端部から下方に延びた後面部76aと、戸先方向に折れ曲がって水平に延びた底面部76bと、戸先側端部で折れ曲がって上方に延びた係止面部73とを有している。
後面部76aは、可動用パネル部材45の戸尻側端面に沿って設けられている。
底面部76bは、戸車Tの一部を突出させる開口部が形成された板状部であり、可動用パネル部材45の下面を形成している。
【0082】
係止面部73は、可動用パネル部材45の戸尻側端部を戸袋4内に残すようにスライド扉6を最大限引き出した際に回転留め部65に当たってそれ以上の引き出しを止める鉛直方向に延びる係止面73aを有した板状の部分である。
第2固定部77は、可動用パネル部材45の下端部に設けられた不図示のU字状の補強部材の下面に配されて、ビス等の固定手段により固定されている。
【0083】
以上の構成を有する取付ボックス74が、底面部76bの開口部から戸車Tの一部を突出させた状態でかつスペースに余裕を持った状態で囲繞部76内に戸車Tを固定している。そして、取付ボックス74は、戸車Tの戸先側及び戸尻側の2カ所で第1固定部75と第2固定部77により固定されている。また、係止面部73が底面部76bと後面部76aに連接しており、耐衝撃性の高い囲繞部76の一部として設けられている。
したがって、スライド扉6を勢いよく引き出した結果、回転留め部65が係止面部73に勢いよく当たっても回転留め部65及び係止側部材72を構成する取付ボックスが74の双方がぐら付くことなくスライド扉6の摺動をしっかりと止めることができる。
【0084】
また、スライド扉6を引き出すことにより、回転留め部65が摺動部71を相対的に通過している際には、回転留め部65が不図示のU字状の補強部材の内壁面に触れた場合に回転するので、スライド扉6との摩擦を極力抑えることができる。
一方、回転留め部65が係止面部73に当たった場合、回転留め部65と係止面部73との間に回転方向に垂直な方向には大きな摩擦が働く。したがって、回転留め部65は、スライド扉6の上方への跳ねなどを抑えることができ、スライド扉6の引き出し時における抜けをほぼ確実に防止することができる。
なお、前述した抜け止め構造60は、スライド扉6がスチール等の鋼材により形成されている場合に限らず、木製その他合成樹脂製である場合にも適用することができる。
また、間仕切り1のスライド扉6の抜け止めには、抜け止め構造60だけが設けられていてもよい。
【0085】
本実施形態では、角柱状に形成された戸先部46を例示したが、戸先部46の形状は角柱状に限定されるものではなく、
図15(a),(b)に示すように、戸先側端面が滑らかに湾曲する横断面視(すなわち長手方向に直交する方向に切断して視た場合)円弧状又は横断面視で略台形に形成されていてもよい。戸先部46の形状は、図示しないが、その他横断面視で3角形その他の多角形に形成されていてもよく、又は適宜溝を有していたりしていてもよい。
【0086】
また或いは、これらの形状は、人が手を添えてスライド扉6を引き出し又は収納する上下方向の位置(例えば上下方向の中間部)及び下端部にのみ形成されていてもよい。要するに戸先部46は、戸車Tを取り付ける下端部及びスライド扉6の出し入れに好適な箇所において可動用パネル部材45よりも肉厚な段差を有していればよい。
また、戸先部46の戸車T,Tは、その厚さ方向の一部が戸袋4の外側に位置するように取り付けられていてもよい。戸車T,T間が大きいほどスライド扉6の安定性を増すことができる。
また、本発明の間仕切り1は、固定する側壁及び床があれば、屋内に限らず屋外で適用することもできる。
【符号の説明】
【0087】
1 間仕切り
3 ガイドレール
4 戸袋
5 固定扉
6 スライド扉
7 固定用パネル部材(パネル部材)
45 可動用パネル部材(パネル部材)
46 戸先部
46c 戸先部の下面部
C 天井
T 戸車
X 室内システム