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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20231218BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20231218BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20231218BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20231218BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/0606
H01M8/0438
H01M8/04746
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022142119
(22)【出願日】2022-09-07
(65)【公開番号】P2023039931
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】10-2021-0120160
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】LG ELECTRONICS INC.
【住所又は居所原語表記】128, Yeoui-daero, Yeongdeungpo-gu, 07336 Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(72)【発明者】
【氏名】ヒジュン,チャン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンソク,ウ
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-80723(JP,A)
【文献】特開2004-319318(JP,A)
【文献】特開2009-277502(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0019274(KR,A)
【文献】特開2005-174757(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0142200(US,A1)
【文献】特開2014-154425(JP,A)
【文献】特開2012-28269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムであって、
改質ガスを利用して電力を生成するスタックと、
前記スタックに改質ガスを供給する燃料処理装置と、
前記スタックと前記燃料処理装置とを連結し、前記燃料処理装置から吐出された前記改質ガスが流動する第1ガス流路と、
前記スタックと前記燃料処理装置とを連結し、前記スタックから吐出されたアノードオフガス(aonde off gas:AOG)が流動する第2ガス流路と、
前記スタックから吐出されるアノードオフガスの一部を保存するバッファータンクと、
前記バッファータンクと前記第2ガス流路とを連結する第1バッファータンク流路と、
前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスが流動する第2バッファータンク流路と、
前記第2バッファータンク流路に連結され、前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給するガスミキサーと、
前記スタックの余熱又は前記スタックに残存する空気を除去するために前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給するように前記ガスミキサーを調節する制御部と、を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記第1バッファータンク流路に配置され、前記バッファータンクに供給されるアノードオフガスの流動を断続するバッファータンクバルブ、及び
前記バッファータンクバルブの前端に位置し、前記バッファータンクに供給されるアノードオフガスを圧縮するバッファータンク圧縮機、を更に備え、
前記制御部は、
発電運転時、前記ガスミキサーを閉鎖し、前記バッファータンクバルブを開放し、前記バッファータンク圧縮機を作動させて、前記スタックから吐出されるアノードオフガスの一部を加圧後、前記バッファータンクに保存する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記バッファータンクに配置され、前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサ、を更に備え、
前記制御部は、
前記圧力センサを介して測定された前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力が第1設定圧力以上であるとき、前記バッファータンクバルブを閉鎖させて、前記バッファータンク圧縮機を停止する、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記スタックに空気を供給するブロワー、及び
前記スタックと前記ブロワーとの間に配置され、前記ブロワーから前記スタックに供給される空気を調節する空気供給バルブ、を更に備え、
前記制御部は、
パージ運転時、前記空気供給バルブを閉鎖し、前記ガスミキサーを開放して、前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記バッファータンクに配置され、前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサ、を更に備え、
前記制御部は、
前記圧力センサを介して測定された前記バッファータンク内のアノードオフガスの圧力が第2設定圧力以下であるとき、前記ガスミキサーを閉鎖してパージ運転を終了する、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記スタックに空気を供給するブロワー、及び
前記スタックと前記ブロワーとの間に配置され、前記ブロワーから前記スタックに供給される空気を調節する空気供給バルブ、を更に備え、
前記制御部は、
スタックの予熱運転時、空気とアノードオフガスとが混合された後に前記スタックに供給されるように前記ガスミキサーと前記空気供給バルブを開放し、前記ブロワーを作動させる、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記第1ガス流路に配置され、前記スタックに供給される改質ガスの流動を断続する第1ガスバルブと、
前記第1ガス流路と前記燃料処理装置とを連結するバイパス流路と、
前記バイパス流路に配置され、前記バイパス流路内の改質ガスの流動を断続するバイパスバルブと、を更に備え、
前記制御部は、
スタックの予熱運転時、前記燃料処理装置から吐出された改質ガスが再度前記燃料処理装置に流入するように前記第1ガスバルブを閉鎖し、前記バイパスバルブを開放する、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池システムは、スタックと、前記スタックに空気を供給するブロワーと、前記スタックに改質ガスを供給する燃料処理装置と、前記スタックから吐出されるアノードオフガス(anode off gas:AOG)の一部を保存するバッファータンクと、バッファータンクバルブと、前記アノードオフガスと前記空気とを混合するガスミキサーと、を備え、
前記バッファータンクバルブが、前記バッファータンクに供給されるアノードオフガスの流動を断続するステップと、
前記アノードオフガスを圧縮するバッファータンク圧縮機を調節するステップと、
前記スタックから吐出されたアノードオフガスを前記バッファータンクに保存する発電運転を行うステップと、を含んでなる、燃料電池システムの制御方法。
【請求項9】
前記発電運転を行うステップは、
前記ガスミキサーを閉鎖し、前記バッファータンクバルブを開放し、前記バッファータンク圧縮機を作動させて、前記スタックから吐出されるアノードオフガスの一部を加圧後、前記バッファータンクに保存するステップを含む、請求項8に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項10】
前記バッファータンクに保存するステップは、
前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサを介して測定された圧力が第1設定圧力以上である場合、前記バッファータンクバルブを閉鎖させて、前記バッファータンク圧縮機を停止させるステップを含む、請求項9に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項11】
前記スタックに向かう空気の流動を断続する空気供給バルブと、前記ガスミキサーを調節して前記スタックに残留する空気を除去するパージ運転を行うステップを更に含む、請求項8に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項12】
前記パージ運転を行うステップは、
前記空気供給バルブを閉鎖し、前記ガスミキサーを開放して、前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給するステップを含む、請求項11に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項13】
前記パージ運転を行うステップは、
前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサを介して測定された圧力が第2設定圧力以下である場合、前記ガスミキサーを閉鎖して前記パージ運転を終了するステップを含む、請求項12に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項14】
前記スタックに向かう空気の流動を断続する空気供給バルブ、前記ガスミキサー及び前記ブロワーを調節し、前記スタックを予熱するスタック予熱運転を行うステップを更に含む、請求項8に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項15】
前記スタック予熱運転を行うステップは、
前記ガスミキサーと前記空気供給バルブを開放し、前記ブロワーを作動させて、空気とアノードオフガスとを前記ガスミキサーで混合した後、前記スタックに供給するステップを含む、請求項14に記載の燃料電池システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関し、より詳細には、発電運転の初期進入時のスタックの余熱、及び停止運転時にスタックに残留する空気を除去する燃料電池システムに関する。
【0002】
〔関連技術〕
本願は、韓国特許出願第10-2021-0120160号(出願日:2021年9月9日)に基づくパリ条約4条の優先権主張を伴ったものであり、本願発明は、当該韓国特許出願に開示された内容に基づくものである。参考のために、当該韓国特許出願の明細書、特許請求の範囲及び図面の内容は本願明細書の一部に包摂される。
【背景技術】
【0003】
燃料電池システム(Fuel cell system)は、炭化水素系列の物質、例えば、メタノール、エタノール、天然ガスなどに含まれている水素を、酸素と電気化学的に反応させて電気エネルギーを発生させる発電システムである。
【0004】
一般的な燃料電池システムは、特許文献1(韓国公開特許公報第10-2012-0071288号)と同様に、水素原子を含む燃料を水素ガスに転換改質(reforming)する燃料処理装置と、燃料処理装置から供給される水素ガスを利用して電気エネルギーを発生させるスタック(stack)を備える。また、燃料電池システムは、スタックを冷却し、熱を回収するための熱交換器及び冷却水配管、生産された直流電源を交流電源に変換する電力変換装置等をさらに備えることができる。
【0005】
一方、発電運転の終了後、スタック内に残存する酸素を除去するために、特許文献2(韓国公開特許公報第10-2011-0019274号)は、スタックに燃料を供給する燃料供給システムの水素パージラインに水素パージバルブと分岐する別途の分岐バルブを装着し、発電運転の終了時、前記分岐バルブを通過する水素が空気供給ラインを経由してスタック内カソード(Cathode)電極部をパージする案を開示しているが、前記カソード(Cathode)電極部に供給するためのアノードオフガス(Anode Off Gas:AOG)をさらに生成して供給しなければならないという問題点がある。
【0006】
したがって、発電運転の終了後、スタック内カソード(Cathode)電極部に残存する酸素を除去し、スタックの寿命減少を防止するための研究が必要なのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許公開第10-2012-0071288号公報
【文献】韓国特許公開第10-2011-0019274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述した問題及び別の問題を解決することを目的とする。
【0009】
また別の目的は、発電運転の終了後、スタック内カソード(Cathode)電極部に残存する酸素を除去するためのパージ運転を行う燃料電池システムを提供することである。
【0010】
また別の目的は、発電運転時にスタックを予熱するスタック予熱運転を行う燃料電池システムを提供することである。
【0011】
また別の目的は、燃料電池システムのメンテナンスコストを低減できる燃料電池システムを提供することである。
【0012】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されないまた別の課題は、以下の記載から当業者にとって明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
〔本発明の一の態様〕
本発明にあっては、その一の態様として、以下の発明を提案する。
〔1〕
燃料電池システムであって、
改質ガスを利用して電力を生成するスタックと、
前記スタックに改質ガスを供給する燃料処理装置と、
前記スタックと前記燃料処理装置とを連結し、前記燃料処理装置から吐出された前記改質ガスが流動する第1ガス流路と、
前記スタックと前記燃料処理装置とを連結し、前記スタックから吐出されたアノードオフガス(aonde off gas:AOG)が流動する第2ガス流路と、
前記スタックから吐出されるアノードオフガスの一部を保存するバッファータンクと、
前記バッファータンクと前記第2ガス流路とを連結する第1バッファータンク流路と、
前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスが流動する第2バッファータンク流路と、
前記第2バッファータンク流路に連結され、前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給するガスミキサーと、
前記スタックの余熱又は前記スタックに残存する空気を除去するために前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給するように前記ガスミキサーを調節する制御部と、を備える、燃料電池システム。
〔2〕
前記第1バッファータンク流路に配置され、前記バッファータンクに供給されるアノードオフガスの流動を断続するバッファータンクバルブ、及び
前記バッファータンクバルブの前端に位置し、前記バッファータンクに供給されるアノードオフガスを圧縮するバッファータンク圧縮機、を更に備え、
前記制御部は、
発電運転時、前記ガスミキサーを閉鎖し、前記バッファータンクバルブを開放し、前記バッファータンク圧縮機を作動させて、前記スタックから吐出されるアノードオフガスの一部を加圧後、前記バッファータンクに保存する、〔1〕に記載の燃料電池システム。
〔3〕
前記バッファータンクに配置され、前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサ、を更に備え、
前記制御部は、
前記圧力センサを介して測定された前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力が第1設定圧力以上であるとき、前記バッファータンクバルブを閉鎖させて、前記バッファータンク圧縮機を停止する、〔2〕に記載の燃料電池システム。
〔4〕
前記スタックに空気を供給するブロワー、及び
前記スタックと前記ブロワーとの間に配置され、前記ブロワーから前記スタックに供給される空気を調節する空気供給バルブ、を更に備え、
前記制御部は、
パージ運転時、前記空気供給バルブを閉鎖し、前記ガスミキサーを開放して、前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給する、〔1〕に記載の燃料電池システム。
〔5〕
前記バッファータンクに配置され、前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサ、を更に備え、
前記制御部は、
前記圧力センサを介して測定された前記バッファータンク内のアノードオフガスの圧力が第2設定圧力以下であるとき、前記ガスミキサーを閉鎖してパージ運転を終了する、〔4〕に記載の燃料電池システム。
〔6〕
前記スタックに空気を供給するブロワー、及び
前記スタックと前記ブロワーとの間に配置され、前記ブロワーから前記スタックに供給される空気を調節する空気供給バルブ、を更に備え、
前記制御部は、
スタックの予熱運転時、空気とアノードオフガスとが混合された後に前記スタックに供給されるように前記ガスミキサーと前記空気供給バルブを開放し、前記ブロワーを作動させる、〔1〕に記載の燃料電池システム。
〔7〕
前記第1ガス流路に配置され、前記スタックに供給される改質ガスの流動を断続する第1ガスバルブと、
前記第1ガス流路と前記燃料処理装置とを連結するバイパス流路と、
前記バイパス流路に配置され、前記バイパス流路内の改質ガスの流動を断続するバイパスバルブと、を更に備え、
前記制御部は、
スタックの予熱運転時、前記燃料処理装置から吐出された改質ガスが再度前記燃料処理装置に流入するように前記第1ガスバルブを閉鎖し、前記バイパスバルブを開放する、〔6〕に記載の燃料電池システム。
〔8〕
燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池システムは、スタックと、前記スタックに空気を供給するブロワーと、前記スタックに改質ガスを供給する燃料処理装置と、前記スタックから吐出されるアノードオフガス(anode off gas:AOG)の一部を保存するバッファータンクと、バッファータンクバルブと、前記アノードオフガスと前記空気とを混合するガスミキサーと、を備え、
前記バッファータンクバルブが、前記バッファータンクに供給されるアノードオフガスの流動を断続するステップと、
前記アノードオフガスを圧縮するバッファータンク圧縮機を調節するステップと、
前記スタックから吐出されたアノードオフガスを前記バッファータンクに保存する発電運転を行うステップと、を含んでなる、燃料電池システムの制御方法。
〔9〕
前記発電運転を行うステップは、
前記ガスミキサーを閉鎖し、前記バッファータンクバルブを開放し、前記バッファータンク圧縮機を作動させて、前記スタックから吐出されるアノードオフガスの一部を加圧後、前記バッファータンクに保存するステップを含む、〔8〕に記載の燃料電池システムの制御方法。
〔10〕
前記バッファータンクに保存するステップは、
前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサを介して測定された圧力が第1設定圧力以上である場合、前記バッファータンクバルブを閉鎖させて、前記バッファータンク圧縮機を停止させるステップを含む、〔9〕に記載の燃料電池システムの制御方法。
〔11〕
前記スタックに向かう空気の流動を断続する空気供給バルブと、前記ガスミキサーを調節して前記スタックに残留する空気を除去するパージ運転を行うステップを更に含む、〔8〕に記載の燃料電池システムの制御方法。
〔12〕
前記パージ運転を行うステップは、
前記空気供給バルブを閉鎖し、前記ガスミキサーを開放して、前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給するステップを含む、〔11〕に記載の燃料電池システムの制御方法。
〔13〕
前記パージ運転を行うステップは、
前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサを介して測定された圧力が第2設定圧力以下である場合、前記ガスミキサーを閉鎖して前記パージ運転を終了するステップを含む、〔12〕に記載の燃料電池システムの制御方法。
〔14〕
前記スタックに向かう空気の流動を断続する空気供給バルブ、前記ガスミキサー及び前記ブロワーを調節し、前記スタックを予熱するスタック予熱運転を行うステップを更に含む、〔8〕に記載の燃料電池システムの制御方法。
〔15〕
前記スタック予熱運転を行うステップは、
前記ガスミキサーと前記空気供給バルブを開放し、前記ブロワーを作動させて、空気とアノードオフガスとを前記ガスミキサーで混合した後、前記スタックに供給するステップを含む、〔14〕に記載の燃料電池システムの制御方法。
【0014】
前記課題を達成するための、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムは、改質ガスを利用して電力を生成するスタックと、前記スタックに改質ガスを供給する燃料処理装置と、前記スタックと前記燃料処理装置とを連結し、前記燃料処理装置から吐出された前記改質ガスが流動する第1ガス流路と、前記スタックと前記燃料処理装置とを連結し、前記スタックから吐出されたアノードオフガス(aonde off gas:AOG)が流動する第2ガス流路と、前記スタックから吐出されるアノードオフガスの一部を保存するバッファータンクと、前記バッファータンクと前記第2ガス流路とを連結する第1バッファータンク流路と、前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスが流動する第2バッファータンク流路と、前記第2バッファータンク流路に連結され、前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給するガスミキサーと、前記スタックの余熱又は前記スタックに残存する空気を除去するために前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給するように前記ガスミキサーを調節する制御部と、を含む(備える;構成する;構築する;設定する;包接する;包含する;含有する)ことができる。
【0015】
前記第1バッファータンク流路に配置され、前記バッファータンクに供給されるアノードオフガスの流動を断続するバッファータンクバルブ、及び前記バッファータンクバルブの前端に位置し、前記バッファータンクに供給されるアノードオフガスを圧縮するバッファータンク圧縮機をさらに含み、前記制御部は、発電運転時、前記ガスミキサーを閉鎖し、前記バッファータンクバルブを開放し、前記バッファータンク圧縮機を作動させて、前記スタックから吐出されるアノードオフガスの一部を加圧後、前記バッファータンクに保存することができる。
【0016】
前記バッファータンクに配置され、前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサをさらに含み、前記制御部は、前記圧力センサを介して測定された前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力が第1設定圧力以上であるとき、前記バッファータンクバルブを閉鎖させて、前記バッファータンク圧縮機を停止することができる。
【0017】
前記スタックに空気を供給するブロワー、及び前記スタックと前記ブロワーとの間に配置され、前記ブロワーから前記スタックに供給される空気を調節する空気供給バルブをさらに含み、前記制御部は、パージ運転時、前記空気供給バルブを閉鎖し、前記ガスミキサーを開放して、前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給できる。
【0018】
前記バッファータンクに配置され、前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサをさらに含み、前記制御部は、前記圧力センサを介して測定された前記バッファータンク内のアノードオフガスの圧力が第2設定圧力以下であるとき、前記ガスミキサーを閉鎖してパージ運転を終了することができる。
【0019】
前記スタックに空気を供給するブロワー、及び前記スタックと前記ブロワーとの間に配置され、前記ブロワーから前記スタックに供給される空気を調節する空気供給バルブをさらに含み、前記制御部は、スタックの予熱運転時、空気とアノードオフガスとが混合された後に前記スタックに供給されるように前記ガスミキサーと前記空気供給バルブを開放し、前記ブロワーを作動させることができる。
【0020】
前記第1ガス流路に配置され、前記スタックに供給される改質ガスの流動を断続する第1ガスバルブと、前記第1ガス流路と前記燃料処理装置とを連結するバイパス流路と、前記バイパス流路に配置され、前記バイパス流路内の改質ガスの流動を断続するバイパスバルブとをさらに含み、前記制御部は、スタックの予熱運転時、前記燃料処理装置から吐出された改質ガスが再度前記燃料処理装置に流入するように前記第1ガスバルブを閉鎖し、前記バイパスバルブを開放することができる。
【0021】
一方、前記課題を達成するための、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの制御方法は、前記バッファータンクに供給されるアノードオフガスの流動を断続するバッファータンクバルブと、前記アノードオフガスを圧縮するバッファータンク圧縮機を調節し、前記スタックから吐出されたアノードオフガスを前記バッファータンクに保存する発電運転を行うステップを含むことができる。
【0022】
前記発電運転を行うステップは、前記ガスミキサーを閉鎖し、前記バッファータンクバルブを開放し、前記バッファータンク圧縮機を作動させて、前記スタックから吐出されるアノードオフガスの一部を加圧後、前記バッファータンクに保存するステップを含むことができる。
【0023】
前記スタックから吐出されたアノードオフガスを前記バッファータンクに保存するステップは、前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサを介して測定された圧力が第1設定圧力以上である場合、前記バッファータンクバルブを閉鎖させて、前記バッファータンク圧縮機を停止させるステップを含むことができる。
【0024】
一方、前記課題を達成するための、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの制御方法は、前記スタックに向かう空気の流動を断続する空気供給バルブと、前記ガスミキサーを調節して前記スタックに残留する空気を除去するパージ運転を行うステップをさらに含むことができる。
【0025】
前記パージ運転を行うステップは、前記空気供給バルブを閉鎖し、前記ガスミキサーを開放して、前記バッファータンクに保存されたアノードオフガスを前記スタックに供給するステップを含むことができる。
【0026】
前記パージ運転を行うステップは、前記バッファータンク内に保存されたアノードオフガスの圧力を測定する圧力センサを介して測定された圧力が第2設定圧力以下である場合、前記ガスミキサーを閉鎖して前記パージ運転を終了するステップを含むことができる。
【0027】
一方、前記課題を達成するための、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの制御方法は、前記スタックに向かう空気の流動を断続する空気供給バルブ、前記ガスミキサー及び前記ブロワーを調節し、前記スタックを予熱するスタック予熱運転を行うステップをさらに含むことができる。
【0028】
前記スタック予熱運転を行うステップは、前記ガスミキサーと前記空気供給バルブを開放し、前記ブロワーを作動させて、空気とアノードオフガスとを前記ガスミキサーで混合した後、前記スタックに供給するステップを含むことができる。
【0029】
その他の実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0030】
本発明の多様な実施形態に係ると、発電運転の終了後、バッファータンクに保存されたアノードオフガスをスタックに供給するパージ運転を行い、スタック内残存する酸素を除去することによって、カソード電極部の酸化によるスタックの寿命減少を防止することができる。
【0031】
また、本発明の多様な実施形態に係ると、前記パージ運転によりスタックの使用年限などが増加するに伴ってシステムのメンテナンスコストが低減し、経済性を確保することができる。
【0032】
さらに、本発明の多様な実施形態に係ると、発電運転の初期進入時にバッファータンクに保存されたアノードオフガスがスタックに供給されることによって、スタックが速く予熱されて、発電効率を向上することができる。
【0033】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されないまた別の効果は、請求範囲の記載から当業者にとって明確に理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る燃料処理装置の構成に対する概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムに対する構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムに対する構成図である。
図4】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの制御方法に関するフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係るスタック予熱運転の制御方法に関するフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係るスタック予熱運転を説明する図である。
図7】本発明の一実施形態に係る発電運転の制御方法に関するフローチャートである。
図8a-8b】本発明の一実施形態に係る発電運転を説明する図である。
図9】本発明の一実施形態に係る停止運転の制御方法に関するフローチャートである。
図10a-10b】本発明の一実施形態に係る停止運転を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下では、図面を参照として本発明を詳細に説明する。図面においては、本発明を明確且つ簡略に説明するために説明と関係ない部分の図示を省略しており、明細書全体を通じて同一又は極めて類似する部分については同一の図面参照符号を使用する。
【0036】
以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は、単純に本明細書の作成の容易さのみが考慮されて与えられるものであって、それ自体で特別に重要な意味又は役割を与えるわけではない。従って、前記「モジュール」及び「部」は、互いに混用されて使用されることもある。
【0037】
本出願において、「含む」又は「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の異なる特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0038】
また、本明細書において、多様な要素を説明するために第1、第2等の用語が用いられ得るが、このような要素は、このような用語により制限されない。このような用語は、ある要素を他の要素から区別するためにのみ用いられ得る。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料処理装置の構成に対する概略図である。
【0040】
図1を参照すると、燃料処理装置10は、脱硫器110、バーナー120、蒸気発生器130、改質器140、第1反応器150及び/又は第2反応器160を含むことができる。燃料処理装置10は、少なくとも1つのミキサー111、112をさらに含むことができる。
【0041】
脱硫器110は、燃料ガスに含まれた硫黄化合物を除去する脱硫工程を行うことができる。例えば、脱硫器110は内部に吸着剤を備えることができる。その際、脱硫器110の内部を通過する燃料ガスに含まれた硫黄化合物が吸着剤に吸着されることができる。
【0042】
吸着剤は、金属酸化物、ゼオライト(Zeolite)、活性炭素(activated carbon)などで構成されることができる。
【0043】
脱硫器110は、燃料ガスに含まれた異物を除去するフィルタをさらに含むことができる。
【0044】
バーナー120は、改質器140における改質反応が促進されるように、改質器140に熱を供給できる。例えば、脱硫器110から吐出された燃料ガスと外部から流入した空気とが第1ミキサー111で混合されて、バーナー120に供給されることができる。その際、バーナー120は、燃料ガスと空気とが混合された混合ガスを燃焼させて、燃焼熱を発生させることができる。その際、バーナー120で供給される熱により、改質器140の内部温度が適正温度(例えば、800℃)に維持されることができる。
【0045】
一方、混合ガスの燃焼によりバーナー120で生成される排気ガスは、燃料処理装置10の外部に排出されることができる。
【0046】
蒸気発生器130は、水を気化させて水蒸気に排出することができる。例えば、蒸気発生器130は、バーナー120で生成される排気ガス、第1反応器150及び/又は第2反応器160から熱を吸収し、水を気化させることができる。
【0047】
蒸気発生器130は、第1反応器150、第2反応器160及び/又はバーナー120から排出される排気ガスが流動する配管に隣接して配置され得る。
【0048】
改質器140は、触媒を利用し、硫黄化合物が除去された燃料ガスから水素ガスを生成する改質工程を行うことができる。例えば、脱硫器110から吐出された燃料ガスと蒸気発生器130から吐出された水蒸気とが第2ミキサー112で混合されて、改質器140に供給されることができる。その際、改質器140に供給された燃料ガスと水蒸気が改質器140内で改質反応する場合、水素ガスが生成され得る。
【0049】
第1反応器150は、改質器140から吐出されるガスに含まれた成分のうち、改質反応により生成される一酸化炭素を低減することができる。例えば、改質器140から吐出されるガスに含まれた一酸化炭素が第1反応器150の内部で水蒸気と反応し、二酸化炭素と水素が生成され得る。その際、第1反応器150の内部温度は、改質器140の内部温度より低く、常温より高い温度(例:200℃)であり得る。
【0050】
第1反応器150は、シフト反応器(shift reactor)と名付けられ得る。
【0051】
第2反応器160は、第1反応器150から吐出されるガスに含まれた成分のうち、残存する一酸化炭素を低減することができる。例えば、第1反応器150から吐出されたガスに含まれた一酸化炭素が第2反応器160の内部で酸素と反応する選択的酸化(preferential oxidation:PROX)反応が起こり得る。
【0052】
一方、選択的酸化反応の場合、多量の酸素が必要であるので、空気の追加供給が要求され、追加供給された空気により水素が希釈されて、スタックに供給される水素の濃度が減少するという短所がある。従って、このような短所を克服するために、一酸化炭素と水素が反応する選択的メタン化(selective methanation)反応が活用され得る。
【0053】
一方、改質器140、第1反応器150及び/又は第2反応器160を経て燃料処理装置10から吐出されるガスは、改質ガスと名付けられ得る。
【0054】
スタック20は、燃料処理装置10から供給される改質ガスに電気化学反応を起こして電気エネルギーを生成できる。
【0055】
スタック20は、電気化学反応が起こる単一セルが積層されて構成されることができる。
【0056】
単一セルは、電解質膜を中心に燃料極と空気極が配置された膜-電極接合体(membrane electrode assembly:MEA)、セパレータ(separator)等で構成されることができる。膜-電極接合体の燃料極では、水素が触媒により水素イオンと電子とに分離されて電気が発生し得、膜-電極接合体の空気極では、水素イオンと電子が酸素と結合して水が生成され得る。
【0057】
スタック20は、電気化学反応の過程で発生する熱を防熱するスタック熱交換器(図示せず)をさらに含むことができる。スタック熱交換器は、水を冷媒に使用する熱交換器であり得る。例えば、スタック熱交換器に供給される冷却水が電気化学反応の過程で発生する熱を吸収することができ、吸収された熱により温度が上昇した冷却水がスタック熱交換器の外部に吐出されることができる。
【0058】
図2及び3は、本発明の一実施形態に係る燃料処理装置を含む燃料電池システムに対する構成図である。
【0059】
図2を参照すると、燃料電池システム1は、燃料処理部I、電力生成部II、冷却水循環部III及び/又は熱回収部IVを含むことができる。
【0060】
燃料処理部Iは、燃料処理装置10、燃料処理装置10に供給される燃料ガスの流動を調節する燃料バルブ30、空気を燃料処理装置10に流動させる第1ブロワー71等を含むことができる。
【0061】
電力生成部IIは、スタック20a、20b、燃料処理装置10から吐出された改質ガスの熱交換が生じる改質ガス熱交換器21、スタック20a、20bで反応せずに排出されるガスの熱交換が生じるAOG熱交換器22、スタック20a、20bに供給される空気に水分を供給する加湿装置23、空気をスタック20a、20bに流動させる第2ブロワー72等を含むことができる。ここで、スタック20a、20bで反応せずに排出されるガスは、正極排出ガス(anode off gas:AOG)と名付けられ得る。本発明の一実施形態において、燃料電池システム1が2つのスタック20a、20bを備えるものと説明しているが、これに制限されない。
【0062】
冷却水循環部IIIは、燃料電池システム1で生成される水を保存する水供給タンク13、燃料処理装置10に水を流動させる水ポンプ38、燃料処理装置10に供給される水の流動を調節する水供給バルブ39、改質ガス熱交換器21に水を流動させる冷却水ポンプ43などを含むことができる。
【0063】
熱回収部IVは、熱交換に使用される水を保存する熱回収タンク15、熱回収タンク15に保存された水を熱回収タンク15の外部に流動させる温水ポンプ48等を含むことができる。
【0064】
燃料バルブ30は、燃料処理装置10に供給される燃料ガスが流動する燃料供給流路101に配置できる。燃料バルブ30の開度程度に対応し、燃料処理装置10に供給される燃料ガスの流量が調節できる。例えば、燃料バルブ30は、燃料処理装置10に対する燃料ガスの供給が中断されるように、燃料供給流路101を遮断することができる。
【0065】
燃料供給流路101には、燃料供給流路101内に流動する燃料ガスの流量を検出する第1燃料流量計51を配置することができる。
【0066】
第1ブロワー71は、第1外部空気流入流路201及び燃料側空気供給流路202に連結されることができる。第1ブロワー71は、第1外部空気流入流路201を介して外部から流入する空気を、燃料側空気供給流路202を介して燃料処理装置10に流動させることができる。
【0067】
燃料側空気供給流路202を介して燃料処理装置10に流入する空気は、燃料処理装置10のバーナー120に供給されることができる。例えば、燃料処理装置10に流入する空気は、脱硫器110から吐出された燃料ガスと第1ミキサー111で混合されてバーナー120に供給されることができる。
【0068】
第1外部空気流入流路201には、空気に含まれた埃などの異物を除去する空気フィルタ91及び/又は空気の流動方向を制限する第1空気側チェックバルブ81を配置することができる。
【0069】
燃料処理部Iは、脱硫器110から吐出された燃料ガスが改質器140に流動する第1内部ガス流路102を含むことができる。第1内部ガス流路102には、比例制御バルブ31、改質器140に流入する燃料ガスの流動を調節する内部燃料バルブ32、内部ガス流路102内に流動する燃料ガスの流量を検出する第2燃料流量計52、内部ガス流路102内に流動する燃料ガスの流動方向を制限する燃料側チェックバルブ83、及び/又は硫黄検出装置94を配置することができる。
【0070】
比例制御バルブ31は、脱硫器110から吐出されて改質器140に流動する燃料ガスの流量、圧力等を電気制御方式で内/外部のフィードバックを介して調節できる。
【0071】
硫黄検出装置94は、脱硫器110から吐出された燃料ガスに含まれた硫黄を検出することができる。硫黄検出装置94は、脱硫器110の吸着剤により除去されない硫黄化合物に反応し、色が変わる指示薬を含むことができる。ここで、指示薬は、フェノールフタレイン(phenolphthalein)、モリブデン化合物等を含むことができる。
【0072】
燃料処理部Iは、脱硫器110から吐出された燃料ガスがバーナー120に流動する第2内部ガス流路103を含むことができる。バーナー120は、第2内部ガス流路103を介して流入する燃料ガスを燃焼に使用できる。
【0073】
第1内部ガス流路102と第2内部ガス流路103は、互いに連通され得る。
【0074】
燃料処理装置10は、水供給タンク13から吐出された水が流動する水供給流路303に連結されることができる。水供給流路303には、水ポンプ38、水の流動を調節する水供給バルブ39及び/又は水供給流路303内に流動する水の流量を検出する水流量計54を配置することができる。
【0075】
燃料処理装置10のバーナー120で生成される排気ガスは、排気ガス吐出流路210を介して燃料処理装置10から吐出されることができる。
【0076】
燃料処理装置10は、改質ガス吐出流路104に連結されることができる。燃料処理装置10から吐出された改質ガスは、改質ガス吐出流路104を介して流動できる。
【0077】
改質ガス吐出流路104は、改質ガスの熱交換が生じる改質ガス熱交換器21に連結されることができる。改質ガス吐出流路104には、改質ガス熱交換器21に流入する改質ガスの流動を調節する改質ガスバルブ33を配置することができる。
【0078】
改質ガス吐出流路104は、燃料処理装置10から吐出された改質ガスが燃料処理装置10に流動するバイパス流路105と連通され得る。バイパス流路105は、燃料処理装置10に連結されることができる。バイパス流路105を介して燃料処理装置10に流入する改質ガスは、バーナー120の燃焼のための燃料に使用できる。バイパス流路105には、燃料処理装置10に流入する改質ガスの流動を調節するバイパスバルブ34を配置することができる。
【0079】
改質ガス熱交換器21は、燃料処理装置10から吐出された改質ガスが流動する改質ガス吐出流路104に連結されることができる。改質ガス熱交換器21は、水供給タンク13から吐出された水が流動する冷却水供給流路304に連結されることができる。改質ガス熱交換器21は、改質ガス吐出流路104を介して流入する改質ガスと、冷却水供給流路304を介して供給される水とを熱交換できる。
【0080】
冷却水供給流路304には、水供給タンク13に保存された水を改質ガス熱交換器21に流動させる冷却水ポンプ43、及び/又は冷却水供給流路304内に流動する水の流量を検出する冷却水流量計56を配置することができる。
【0081】
改質ガス熱交換器21は、スタックガス供給流路106に連結されることができる。改質ガス熱交換器21から吐出された改質ガスは、スタックガス供給流路106を介してスタック20a、20bに流動できる。
【0082】
スタックガス供給流路106には、改質ガスに含まれた水分の量を調節する改質ガス水分除去装置61を配置することができる。改質ガス水分除去装置61に流入した改質ガスは、水分が除去された後、改質ガス水分除去装置61から吐出されることができる。
【0083】
改質ガス水分除去装置61で生成された凝縮水は、改質ガス水分除去装置61から吐出され、第1水回収流路309に流動できる。第1水回収流路309には、水の流動を調節する第1水回収バルブ44を配置することができる。
【0084】
スタック20a、20bは、スタックガス供給流路106を介して流入する改質ガスに電気化学反応を起こして電気エネルギーを生成することができる。一実施形態において、燃料電池システム1が複数のスタック20a、20bを備える場合、第1スタック20aで反応せずに吐出される改質ガスは、第2スタック20bでさらに電気化学反応を起こし得る。
【0085】
第2ブロワー72は、第1外部空気流入流路201と連通された第2外部空気流入流路203と、スタック側の空気流入流路204に連結されることができる。第2外部空気流入流路203は、空気フィルタ91の後端に連結されることができる。第2ブロワー72は、第2外部空気流入流路203を介して流入する空気を、スタック側の空気流入流路204を介してスタック20側に流動させることができる。
【0086】
第2外部空気流入流路203には、空気の流動方向を制限する第2空気側のチェックバルブ82を配置することができる。
【0087】
スタック側の空気流入流路204には、スタック側の空気流入流路204内に流動する空気の流量を検出する空気流量計53を配置することができる。
【0088】
加湿装置23は、スタック側の空気流入流路204を介して流入する空気に水分を供給することができ、水分が含まれた空気をスタック側の空気供給流路205を介して吐出できる。
【0089】
スタック側の空気供給流路205には、スタック20に供給される空気の流動を調節するスタック側の空気供給バルブ36を配置することができる。
【0090】
スタック側の空気供給流路205は、スタック20a、20bにそれぞれ対応する個別供給流路206、207に連結されることができる。スタック側の空気供給流路205を介して流動する空気は、個別供給流路206、207を介してスタック20a、20bに供給されることができる。
【0091】
複数のスタック20a、20bは、ガス連結流路107により互いに連結されることができる。第1スタック20aで反応せずに吐出される改質ガスは、ガス連結流路107を介して第2スタック20bに流入できる。
【0092】
ガス連結流路107には、改質ガスが第1スタック20aを通過する間に凝縮して生成された水を除去する追加水分除去装置62を配置することができる。
【0093】
追加水分除去装置62で生成された水は、追加水分除去装置62から吐出され、第2水回収流路310に流動できる。第2水回収流路310には、水の流動を調節する第2水回収バルブ45を配置することができる。第2水回収流路310は、第1水回収流路309に連結されることができる。
【0094】
スタック20a、20bで反応せずに吐出される正極排出ガス(AOG)は、スタックガス吐出流路108を介して流動できる。
【0095】
AOG熱交換器22は、スタック20a、20bから吐出された正極排出ガス(AOG)が流動するスタックガス吐出流路108に連結されることができる。AOG熱交換器22は、熱回収タンク15から吐出された水が流動する温水供給流路313に連結されることができる。AOG熱交換器22は、スタックガス吐出流路108を介して流入する正極排出ガス(AOG)と、温水供給流路313を介して供給される水とを熱交換することができる。
【0096】
温水供給流路313には、熱回収タンク15に保存された水をAOG熱交換器22に流動させる温水ポンプ48及び/又は温水供給流路313内に流動する水の流量を検出する温水流量計55を配置することができる。
【0097】
AOG熱交換器22は、AOG供給流路109に連結されることができ、AOG供給流路109を介して熱交換された正極排出ガス(AOG)を吐出することができる。AOG熱交換器22から吐出された正極排出ガス(AOG)は、AOG供給流路109を介して燃料処理装置10に流動できる。AOG供給流路109を介して燃料処理装置10に供給された正極排出ガス(AOG)は、バーナー120の燃焼のための燃料に使用できる。また、AOG熱交換器22から吐出された正極排出ガス(AOG)は、第1バッファータンク流路231を介してバッファータンク230に流動できる。すなわち、AOG熱交換器22から吐出された正極排出ガス(AOG)の一部は燃料処理装置10に流動し、残りはバッファータンク230に流動できる。
【0098】
バッファータンク230は、スタック20から吐出された正極排出ガス(AOG)を保存することができる。バッファータンク230に保存された正極排出ガス(AOG)は、後述するスタックの予熱運転又は停止運転(パージ運転)で活用されることができる。バッファータンク230は、第1バッファータンク流路231を介してAOG供給流路109と連結されることができる。バッファータンク230は第2バッファータンク流路234を介して、ガスミキサー235と連結されることができる。バッファータンク230にはバッファータンク230に流入する正極排出ガス(AOG)の流動を調節するバッファータンクバルブ233を配置することができる。具体的に、バッファータンクバルブ233はバッファータンク230の入口端に配置されることができる。バッファータンク230は、バッファータンク230内に保存された正極排出ガス(AOG)の圧力を測定する圧力センサ236を備えることができる。
【0099】
第1バッファータンク流路231の一端は、AOGバルブ35とAOG 水分除去装置63との間の地点でAOG供給流路109と連結されることができる。第1バッファータンク流路231の他端は、バッファータンク230と連結されることができる。第1バッファータンク流路231には、バッファータンク230に流入する正極排出ガス(AOG)を圧縮するバッファータンク圧縮機232を配置することができる。バッファータンク圧縮機232はバッファータンクバルブ233の前端に配置されることができる。
【0100】
第2バッファータンク流路234の一端はバッファータンク230と連結されることができる。第2バッファータンク流路234の他端はガスミキサー235と連結されることができる。第2バッファータンク流路234には、バッファータンク230から排出された正極排出ガス(AOG)とスタック20に流入する空気とを混合するガスミキサー235を配置することができる。ガスミキサー235は、スタック側の空気供給バルブ36とスタック20との間に位置し得る。ガスミキサー235はバッファータンク230から排出された正極排出ガス(AOG)の流動を調節することができる。例えば、ガスミキサー235はベンチュリタイプのミキサーであってもよい。
【0101】
AOG供給流路109には、正極排出ガス(AOG)に含まれた水分の量を調節するAOG水分除去装置63及び/又は燃料処理装置10に供給される正極排出ガス(AOG)の流動を調節するAOGバルブ35を配置することができる。AOG水分除去装置63に流入した正極排出ガス(AOG)は、水分が除去された後、AOG水分除去装置63から吐出されることができる。
【0102】
AOG水分除去装置63で生成された凝縮水は、AOG水分除去装置63から吐出され、第3水回収流路311を介して流動できる。第3水回収流路311には、水の流動を調節する第3水回収バルブ46を配置することができる。第3水回収流路311は、第1水回収流路309に連結されることができる。
【0103】
スタック側の空気吐出流路211は、スタック20a、20bにそれぞれ対応する個別吐出流路208、209に連結されることができる。スタック20a、20bから吐出された空気は、個別吐出流路208、209を介してスタック側の空気吐出流路211に流動できる。その際、スタック側の空気吐出流路211を介して流動する空気は、スタック20a、20bで生じる電気化学反応により生成される水分を含むことができる。
【0104】
スタック側の空気吐出流路211には、スタック20から排出される空気の流動を調節するスタック側の空気吐出バルブ37を配置することができる。
【0105】
スタック側の空気吐出流路211は、加湿装置23に連結されることができる。加湿装置23は、スタック側の空気吐出流路211を介して供給される空気に含まれた水分を利用し、スタック20に流動する空気に水分を供給することができる。スタック側の空気吐出流路211を介して加湿装置23に供給された空気は、加湿装置23を経て加湿装置吐出流路212に吐出されることができる。
【0106】
水供給タンク13は、水流入流路301に連結されることができ、水流入流路301を介して供給される水を保存することができる。水流入流路301には、外部から供給される水に含まれた異物を除去する第1液体フィルタ92及び/又は水供給タンク13に流入する水の流動を調節する水流入バルブ41を配置することができる。
【0107】
水供給タンク13は、水排出流路302に連結されることができ、水排出流路302を介して水供給タンク13に保存された水の少なくとも一部を外部に排出できる。水排出流路302には、水供給タンク13から排出される水の流動を調節する水排出バルブ42を配置することができる。
【0108】
水供給タンク13は、水保存流路308に連結されることができ、水保存流路308を介して流動する水を保存することができる。例えば、改質ガス水分除去装置61、追加水分除去装置62、AOG水分除去装置63及び/又は空気水分除去装置64から吐出され、第3水回収流路311を介して流動する水が、水保存流路308を経て水供給タンク13に流入できる。水保存流路308には、水供給タンク13に回収される水に含まれた異物を除去する第2液体フィルタ93を配置することができる。
【0109】
水供給タンク13に保存された水の少なくとも一部は、冷却水ポンプ43により改質ガス熱交換器21に流動でき、改質ガス熱交換器21で改質ガスと熱交換されることができる。改質ガス熱交換器21から吐出された水は、スタック水供給流路305を介してスタック20a、20bに流入できる。
【0110】
スタック水供給流路305を介してスタック20a、20bに流入した水は、スタック20a、20bを冷却することができる。スタック20a、20bに流入した水は、スタック20a、20bに含まれたスタック熱交換器(図示せず)によって流動でき、スタック20a、20bで生じる電気化学反応により発生する熱を吸収することができる。
【0111】
複数のスタック20a、20bは、水連結流路306により連結されることができる。第1スタック20aから吐出される水は、水連結流路306を介して第2スタック20bに流入できる。
【0112】
スタック20a、20bから吐出される水は、スタック水吐出流路307を介して冷却水熱交換器24に流入できる。冷却水熱交換器24は、スタック20a、20bから吐出された水と、熱回収タンク15から吐出された水とを熱交換できる。スタック20a、20bから吐出された水は、冷却水熱交換器24を経て水保存流路308に流動できる。
【0113】
温水ポンプ48により熱回収タンク15から吐出された水は、温水供給流路313を経てAOG熱交換器22に流入できる。AOG熱交換器22で正極排出ガス(AOG)と熱交換された水は、第1温水循環回路314に吐出されることができる。
【0114】
空気熱交換器25は、加湿装置23から吐出された空気が流動する加湿装置吐出流路212に連結されることができる。空気熱交換器25は、AOG熱交換器22から吐出された水が流動する第1温水循環回路314に連結されることができる。空気熱交換器25は、加湿装置吐出流路212を介して流入する空気と第1温水循環回路314を介して流入する水とを熱交換することができる。
【0115】
空気熱交換器25で熱交換された空気は、空気排出流路213を介して空気熱交換器25から吐出されることができる。空気排出流路213は排気ガス吐出流路210と連通されることができ、排気ガス吐出流路210に流動する排気ガスと空気排出流路213に流動する空気が混合できる。
【0116】
空気排出流路213には、空気水分除去装置64を配置することができる。空気水分除去装置64は、外部に排出される空気に含まれた水分の量を調節することができる。空気水分除去装置64に流入した空気は、水分が除去された後、空気水分除去装置64から吐出されることができる。
【0117】
空気水分除去装置64で生成された凝縮水は、空気水分除去装置64から吐出されて第4水回収流路312を介して流動できる。第4水回収流路312には、水の流動を調節する第4水回収バルブ47を配置することができる。第4水回収流路312は、水保存流路308に連結されることができる。
【0118】
空気熱交換器25で熱交換された水は、第2温水循環流路315を介して空気熱交換器25から吐出されることができる。空気熱交換器25から吐出された水は、第2温水循環流路315を介して冷却水熱交換器24に流入できる。
【0119】
冷却水熱交換器24は、スタック水吐出流路307を介して流入する水と、第2温水循環流路315を介して流入する水とを熱交換することができる。
【0120】
排気熱交換器26は、排気ガスが流動する排気ガス吐出流路210に連結されることができる。排気熱交換器26は、冷却水熱交換器24から吐出された水が流動する第3温水循環流路316に連結されることができる。排気熱交換器26は、排気ガス吐出流路210を介して流入する排気ガスと、第3温水循環流路316を介して流入する水とを熱交換することができる。
【0121】
排気熱交換器26で熱交換された排気ガスは、排気流路214に吐出されることができ、排気流路214に流動する排気ガスは外部に排出されることができる。
【0122】
排気熱交換器26で熱交換された水は、温水回収流路317に吐出されることができ、温水回収流路317に流動する水は、熱回収タンク15に流入することができる。
【0123】
一方、燃料電池システム1は、少なくとも1つの制御部(図示せず)をさらに含むことができる。制御部は、少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。ここで、プロセッサは、CPU(central processing unit)のような一般的なプロセッサであり得る。もちろん、プロセッサはASICのような専用装置(dedicated device)であるか、他のハードウェアベースのプロセッサであり得る。
【0124】
制御部は、燃料電池システム1の動作全般を制御することができる。制御部は、燃料電池システム1に備えられた各構成と連結されることができ、各構成と相互間に信号を送信及び/又は受信することができる。例えば、制御部は、燃料電池システム1に備えられた各構成から受信される信号を処理することができ、信号を処理した結果による制御信号を燃料電池システム1に備えられた各構成に送信することができる。
【0125】
図4は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの制御方法に関するフローチャートである。図5は、スタック予熱運転の制御方法に関するフローチャートである。図6は、スタック予熱運転時、燃料電池システムの作動図である。
【0126】
図4を参考すると、燃料電池システム1はスタックを予熱するスタック予熱運転を行うことができる(S100)。スタック予熱運転は、後述する発電運転に先だって行うことができる。一般に、燃料電池システム1の発電運転の初期進入時、スタック20は周辺の大気温度と同じ状態で冷却されている。従って、スタック20が安定的に高効率の発電運転をするためには、一定の温度でスタック20を予熱するスタック予熱運転が必要である。以下、図5及び6を参考として、スタック予熱運転を説明する。
【0127】
図5及び6を参考すると、燃料電池システム1は、発電運転のための運転待機状態を維持することができる(S110)。ここで、運転待機状態とは、燃料電池システム1の各構成に電源を供給するなどの発電運転を行うための一連の準備過程を意味することができる。
【0128】
S110の後、燃料電池システム1は、燃料処理装置10のバーナー120を予熱する運転を行うことができる(S120)。例えば、燃料ガスと空気とが混合されたガスをバーナー120に供給して燃焼熱を発生させることができる。その際、改質器140の内部温度は改質反応が促進される適正温度(例えば、800℃)までますます増加し得る。
【0129】
また、燃料電池システム1はバーナー120を予熱する運転を行う間、改質器140に対する燃料ガスの供給を遮断することができる。例えば、燃料電池システム1は脱硫器110から吐出される燃料ガスがすべてバーナー120に供給されるように比例制御バルブ31を調節し、改質器140に対する燃料ガスの供給を遮断することができる。
【0130】
例えば、燃料電池システム1は、バーナー120を予熱する運転を行う間、改質ガスバルブ33、バイパスバルブ34及びAOGバルブ35をすべて閉鎖できる。その際、改質器140に対する燃料ガスの供給が遮断されるので、改質器140で改質ガスが生成されない。また、改質ガス吐出流路104、バイパス流路105及びAOG供給流路109で、改質ガスやアノードオフガス(AOG)が流動しない。
【0131】
また、燃料電池システム1は、改質ガスを初期生成する改質運転を行うことができる(S120)。例えば、燃料電池システム1は、バーナー120の予熱により改質器140の内部温度が適正温度(例えば、800℃)まで増加した場合、改質ガスを初期生成する改質運転を開始することができる。例えば、燃料電池システム1は、第1反応器150の内部温度が一酸化炭素の除去のための最小温度(例えば、160℃)以上である場合、改質ガスを初期生成する改質運転を開始することができる。
【0132】
燃料電池システム1は、改質ガスを初期生成する運転を行う場合、脱硫器110から吐出される燃料ガスのうちの一部が改質器140に供給され、残りの一部がバーナー120に供給されるように比例制御バルブ31を調節することができる。
【0133】
一方、燃料電池システム1は、改質ガスを初期生成する運転を開始する場合、改質反応に使用される水蒸気が改質器140に供給されるように、水ポンプ38を駆動して燃料処理装置10の蒸気発生器130に水を供給することができる。その際、燃料電池システム1は、改質器140に供給された水蒸気の圧力が改質反応のための最小圧力以上に維持される場合、例えば、水ポンプ38が駆動された後に所定時間が経過すると、脱硫器110から吐出される燃料ガスのうちの一部を改質器140に供給できる。
【0134】
一方、改質ガスを初期生成する運転が行われる間、燃料処理装置10から吐出される改質ガス中の水素ガスの比率が既設定された最小比率よりも低いことがある。ここで、既設定された最小比率は、目標とする発電量を達成することができる、改質ガスの中、水素ガスが占める比率の最小値(例えば、80%)を意味することができる。その際、水素ガスの比率が既設定された最小比率よりも低い改質ガスがスタック20に供給される場合、スタック20で目標とする発電量だけ電気が発生するのは難しいので、燃料処理装置10から吐出される改質ガスをバーナー120の燃料として再使用できる。
【0135】
例えば、燃料電池システム1は、改質ガスを初期生成する運転を行う間、改質ガスバルブ33及びAOGバルブ35を閉鎖し、バイパスバルブ34を開放することができる。その際、燃料処理装置10から吐出された改質ガスは、改質ガス吐出流路104及びバイパス流路105を介して燃料処理装置10に再度流入でき、バーナー120の燃焼のための燃料として使用できる。
【0136】
S120の後、燃料電池システム1はスタック側の空気供給バルブ36を開放することができる(S130)。従って、加湿装置23で加湿された空気は、スタック側の空気供給バルブ36を通りガスミキサー235に供給されることができる。
【0137】
S130の後、燃料電池システム1はスタック側の空気吐出バルブ37を開放することができる(S140)。従って、スタック20で改質ガスと空気の化学反応後に生成されたガスは、スタック側の空気吐出バルブ37を通り加湿装置23に供給された後、外部に排出されることができる。
【0138】
S140の後、燃料電池システム1は第2ブロワー72を一定の回転数で作動させることができる(S150)。従って、第2ブロワー72の作動によって外部からスタック20に空気が過給され得る。
【0139】
S150の後、燃料電池システム1はガスミキサー235を開放し、バッファータンク230に保存された正極排出ガス(AOG)と空気とを混合することができる(S160)。その際、バッファータンク230に保存された正極排出ガス(AOG)の流動が第2バッファータンク流路234に向かうようにバッファータンクバルブ233は閉鎖され得る。従って、第2ブロワー72から過給された空気とバッファータンク230に保存された正極排出ガス(AOG)とがガスミキサー235で混合されてスタック20に供給されることができ、スタック20内カソード(Cathode)の入口端から発生する化学反応による発熱反応により、スタック20は速く予熱されることができる。ここで、バッファータンク230内に保存された正極排出ガス(AOG)は、燃料電池システム1の試運転の際に保存された正極排出ガス(AOG)であるか、後述するパージ運転の後に残存した正極排出ガス(AOG)であり得る。
【0140】
図7は、発電運転の制御方法に関するフローチャートである。図8は、発電運転時、燃料電池システムの作動図である。具体的に、図8aは、発電運転時、バッファータンクに正極排出ガス(AOG)を保存する燃料電池システムの作動図であり、図8bは、発電運転時、バッファータンクに正極排出ガス(AOG)の保存が完了した後の燃料電池システムの作動図である。
【0141】
再度図4を参考すると、燃料電池システム1は改質ガスと空気の化学反応を通じてスタックで電気を生成する発電運転を行うことができる(S200)。発電運転を行う場合、燃料電池システム1はスタック20から吐出される正極排出ガス(AOG)をバッファータンク230に保存するステップを行うことができる。以下、図7及び8を参考として、発電運転を説明する。
【0142】
図7及び8を参考すると、燃料電池システム1はガスミキサー235を閉鎖させることができる(S210)。従って、発電運転時、バッファータンク230に保存される正極排出ガス(AOG)がガスミキサー235に供給されることを遮断することができる。
【0143】
S210の後、燃料電池システム1は第2ブロワー72の回転数を目標発電量によって調節できる(S220)。その際、スタック側の空気供給バルブ36は開放されることができ、これによって、外部空気が加湿装置23とガスミキサー235を通りスタック20に供給されることができる。
【0144】
一方、燃料電池システム1は、燃料処理装置10の改質器140を目標発電量によって調節できる(S220)。その際、燃料電池システム1は改質ガスバルブ33を開放し、バイパスバルブ34は閉鎖させて、燃料処理装置10から吐出された改質ガスをスタック20に供給できる。また、燃料電池システム1はAOGバルブ35を開放し、スタック20から吐出された正極排出ガス(AOG)の一部は再度燃料処理装置10に供給できる。
【0145】
S220の後、燃料電池システム1はバッファータンクバルブ233を開放することができる(S230)。S230の後、燃料電池システム1はバッファータンク圧縮機232を駆動させることができる(S240)。従って、スタック20から吐出された正極排出ガス(AOG)の残りは、バッファータンク圧縮機232の駆動によって圧縮され、バッファータンク230に供給されることができる。
【0146】
S240の後、燃料電池システム1はバッファータンク230に配置された圧力センサ236を介してバッファータンク230に保存された正極排出ガス(AOG)の圧力(P_bt)を感知することができる(S250)。
【0147】
S250の後、燃料電池システム1はバッファータンク230に正極排出ガス(AOG)の保存が完了しているか判断できる(S260)。例えば、燃料電池システム1は、前記S250の動作で圧力センサ236を介して感知されたバッファータンク230の圧力(P_bt)が第1設定圧力以上(Pa)であるか判断できる。ここで、第1設定圧力(Pa)とは、バッファータンク230に保存可能な正極排出ガス(AOG)の全体保存量100%に対応する正極排出ガス(AOG)の圧力値であって、バッファータンク230内正極排出ガス(AOG)の保存が完了したことを意味することができる。
【0148】
バッファータンク230の圧力(P_bt)が第1設定圧力(P_a)よりも低い場合(S260でNo)、燃料電池システム1はバッファータンク230に正極排出ガス(AOG)の保存が完了していないと判断し、S250の動作に復帰し、バッファータンク230に正極排出ガス(AOG)の保存が完了するまでバッファータンク230の圧力(P_bt)を持続的に感知すると同時に、前記バッファータンク230の圧力(P_bt)を第1設定圧力(P_a)と比較できる。
【0149】
バッファータンク230の圧力(P_bt)が第1設定圧力以上である場合(S260でYes)、燃料電池システム1はバッファータンクバルブ233を閉鎖することができる(S270)。S270の後、燃料電池システム1はバッファータンク圧縮機232を停止させることができる(S280)。従って、燃料電池システム1はスタック20から吐出された正極排出ガス(AOG)がバッファータンク230に流入することを遮断し、スタック20から吐出された正極排出ガス(AOG)の全部を燃料処理装置10に供給できる。
【0150】
図9は、停止運転の制御方法に関するフローチャートである。図10は、停止運転(パージ運転)時、燃料電池システムの作動図である。具体的に、図10aは、停止運転の中、燃料電池システムの作動図であり、図10bは、停止運転の完了後、燃料電池システムの作動図である。
【0151】
再度図4を参考すると、燃料電池システム1はスタック20の発電を終了し、スタック20内に残存する酸素を除去する停止運転(パージ運転)を行うことができる(S300)。燃料電池システムの発電運転が終了した場合、一般にスタック20内の化学反応の後、残存する酸素によりカソード(Cathode)電極部が酸化し、スタック20の寿命が減少するという問題点がある。従って、燃料電池システム1の発電運転の終了後、スタック内に残存する酸素を除去するための停止運転(パージ運転)が必要である。以下、図9及び10を参照として、停止運転(パージ運転)を説明する。
【0152】
図9及び10を参考すると、ユーザーによる発電運転の終了又はシステム内のエラー発生により発電運転を終了する場合、燃料電池システム1はスタックの発電量がますます減少するように後熱運転を行うことができる(S310)。ここで、後熱運転とは、改質器の温度及びスタックでの急激な出力変化による信頼性の問題を防止するために、段階的に出力を減少させて運転を停止する運転を意味することができる。例えば、燃料電池システム1は、第2ブロワー72と燃料処理装置10を調節し、スタック20に供給される空気及び改質ガスの流量を段階的に減少させることができる。
【0153】
S310の後、燃料電池システム1はスタック側の空気供給バルブ36を閉鎖させることができる(S320)。従って、燃料電池システム1はスタック20に供給される空気を遮断することができる。
【0154】
S320の後、燃料電池システム1はスタック側の空気吐出バルブ37を開放することができる(S330)。S330の後、燃料電池システム1はガスミキサー235を開放することができる(S340)。その際、燃料電池システム1はバッファータンクバルブ233を閉鎖させて、バッファータンク230に保存された正極排出ガス(AOG)をガスミキサー235に供給できる。従って、ガスミキサー235に供給された正極排出ガス(AOG)はスタック20に供給されて、カソード(Cathode)電極部に残存する酸素をスタックの外部に排出させることができる。これによって、発電運転の終了後、カソード(Cathode)電極部に残存する酸素が除去され、カソード(Cathode)電極部の酸化を防止することができる。
【0155】
S340の後、燃料電池システム1はバッファータンク230に配置された圧力センサ236を介してバッファータンク230に保存された正極排出ガス(AOG)の圧力(P_bt)を感知することができる(S350)。
【0156】
S350の後、燃料電池システム250はスタック内に残存する酸素が除去されているか判断できる(S360)。例えば、燃料電池システム1は、前記S350の動作で圧力センサ236を介して感知されたバッファータンク230の圧力(P_bt)が第2設定圧力以上(Pb)であるか判断できる。ここで、第2設定圧力(Pa)とは、バッファータンク230に保存可能な正極排出ガス(AOG)の全体保存量のうち、50%に対応する正極排出ガス(AOG)の圧力値を意味することができる。
【0157】
バッファータンク230の圧力(P_bt)が第2設定圧力(P_b)よりも高い場合(S360でNo)、燃料電池システム1はスタック20に残存する酸素の除去が完了していないと判断し、S350の動作に復帰し、スタック20に残存する酸素の除去が完了するまでバッファータンク230の圧力(P_bt)を持続的に感知すると同時に、前記バッファータンク230の圧力(P_bt)を第2設定圧力(P_b)と比較できる。
【0158】
バッファータンク230の圧力(P_bt)が第1設定圧力(P_b)以下である場合(S360でYes)、燃料電池システム1はガスミキサー235を閉鎖することができる(S370)。従って、バッファータンク230に保存された正極排出ガス(AOG)がガスミキサー235に供給されることが遮断され得る。
【0159】
添付された図面は、本明細書に開示された実施形態を容易に理解できるようにするためのものであるだけで、添付された図面により本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0160】
同様に、特定の順序で、図面で動作を描写しているが、これは好ましい結果を得るために図示されたその特定の順序や順次の順序通りそのような動作を行わなければならないか、又は全ての図示された動作が行われなければならないものと理解されてはならない。特定の場合、マルチタスキングと並列プロセシングが有利であり得る。
【0161】
また、以上では、本発明の好ましい実施形態について図示して説明しているが、本発明は、前述した特定の実施形態に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨を外れることなく、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であるのは勿論であり、このような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10a
図10b