(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】ロボットカテーテルベースの処置システムにおいて細長い医療機器を支持し駆動するシステムと装置と方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/01 20060101AFI20231218BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61M25/01
A61M25/01 500
A61M25/09
(21)【出願番号】P 2022502807
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(86)【国際出願番号】 US2020041960
(87)【国際公開番号】W WO2021011551
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-04-20
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】クレム,エリック
(72)【発明者】
【氏名】セイバー,オミッド
(72)【発明者】
【氏名】ソクハンバル,サイード
(72)【発明者】
【氏名】ファルブ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】カナール,キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー,ポール
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0276391(US,A1)
【文献】特表2018-500054(JP,A)
【文献】特表2011-517421(JP,A)
【文献】特表2016-537056(JP,A)
【文献】国際公開第2019/133438(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0130718(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/01
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い医療デバイスを駆動するためにカテーテルベース処置システムに含まれるロボット制御駆動装置において、直線部材に連結された第1のデバイスモジュールと第2のデバイスモジュールとの間で前記細長い医療デバイスの支持を提供する装置であって、
前記第2のデバイスモジュールは、前記第1のデバイスモジュールの遠位側で前記直線部材に沿った位置に配置されており、
当該装置は、
遠位端及び近位端を有するデバイス支持体であって、該デバイス支持体の
中間部位が前記第1のデバイスモジュール内に
可動にして配置される、デバイス支持体と、
前記デバイス支持体の前記遠位端に取り付けられたコネクタであって、前記第2のデバイスモジュールの近位端と係合するための装着機構を含む、コネクタとを含み、
前記デバイス支持体の前記近位端が前記第2のデバイスモジュールに
対し固定されるように構成されている、装置。
【請求項2】
前記デバイス支持体が前記遠位端と前記近位端との間で緊張させてある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記デバイス支持体が、前記第1のデバイスモジュールに対して動くように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記デバイス支持体は、前記第1のデバイスモジュールのチャンネルを通って移動するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記デバイス支持体がチューブであり、該チューブの軸方向に形成されたスリットを有し、前記コネクタが該デバイス支持体の前記遠位端を開いて保持するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コネクタの前記装着機構が、前記第2のデバイスモジュールの前記近位端で前進拘束部と係合するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コネクタは、前記デバイス支持体の中に配置された前記細長い医療デバイスの縦軸に沿って前記前進拘束部に取り付けられる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
細長い医療デバイスを駆動するためにカテーテルベース処置システムに含まれるロボット制御駆動装置において使用するカセットであって、
遠位端及び近位端を有するハウジングと、
縦方向のスリット、遠位端、及び近位端を有するデバイス支持体であって、該デバイス支持体の一部が前記ハウジング内に配置されている、デバイス支持体と、
前記デバイス支持体の前記遠位端に取り付けられたコネクタと、
前記ハウジングの前記遠位端において前記デバイス支持体への前記細長い医療デバイスの入口点に配置されたスプリッタとを含み、
第1の位置において、前記コネクタが前記入口点の近くに位置し、第2の位置において、前記コネクタが前記入口点から遠くに位置する、カセット。
【請求項9】
前記ハウジングの前記遠位端にリセスを含む、請求項8に記載のカセット。
【請求項10】
前記第1の位置が後退位置であり、該第1の位置において、前記コネクタは前記リセス内に位置する、請求項9に記載のカセット。
【請求項11】
前記スプリッタが前記リセス内に位置する、請求項9に記載のカセット。
【請求項12】
前記リセスにおいて、前記デバイス支持体の経路を挟んで前記スプリッタの反対側に配置されたガイドを、さらに含む、請求項11に記載のカセット。
【請求項13】
前記スプリッタは、前記コネクタ及び前記デバイス支持体が該スプリッタを通って移動するときに、前記デバイス支持体の前記スリットを開く、請求項12に記載のカセット。
【請求項14】
前記スプリッタは、前記入口点の近位側と遠位側の両方で前記デバイス支持体の前記スリットの開を維持するように構成されている、請求項13に記載のカセット。
【請求項15】
前記第1の位置は、前記細長い医療デバイスの前記デバイス支持体への装填を可能にするように構成されている、請求項8に記載のカセット。
【請求項16】
前記第1の位置において、前記コネクタは、前記細長い医療デバイスの縦軸に対して軸がオフセットされている、請求項8に記載のカセット。
【請求項17】
細長い医療デバイスを駆動するためにカテーテルベース処置システムに含まれるロボット制御駆動装置において、直線部材に連結された第1のデバイスモジュールと第2のデバイスモジュールとの間で前記細長い医療デバイスの支持を提供するデバイス支持体であって、
軸方向に形成されたスリットを有し、第1の姿勢と第2の姿勢との間を動作するように構成され、内径及び外径を有する第1のチューブと、
軸方向に形成された開口と内径及び外径を有し、前記第1のチューブの前記外径の周囲に配置されて前記第1のチューブを前記第1の姿勢に保持する力を前記第1のチューブに加えるように構成された第2のチューブとを含む、デバイス支持体。
【請求項18】
前記第2のチューブの前記内径が前記第1のチューブの前記外径よりも小さい、請求項17に記載のデバイス支持体。
【請求項19】
前記第1のチューブは、前記第2のチューブの前記開口内に位置する第1のアーム及び第2のアームをさらに含む、請求項17に記載のデバイス支持体。
【請求項20】
前記第1のアーム及び前記第2のアームは、スプリッタを受け入れるように構成される、請求項19に記載のデバイス支持体。
【請求項21】
前記第1のチューブが可撓性材料から形成される、請求項17に記載のデバイス支持体。
【請求項22】
前記第1のチューブは、前記細長い医療デバイスとの摩擦が低くなるように構成されている、請求項21に記載のデバイス支持体。
【請求項23】
前記第2のチューブが可撓性材料から形成される、請求項17に記載のデバイス支持体。
【請求項24】
前記スプリッタは、前記第1のチューブを前記第1の姿勢に保持する力を前記第1のチューブの前記スリットに加えるように構成される、請求項20に記載のデバイス支持体。
【請求項25】
細長い医療デバイスを駆動するためにカテーテルベース処置システムに含まれるロボット制御駆動装置において使用するカセットであって、
遠位端及び近位端を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記遠位端にある、デバイス支持体への入口点と、
前記近位端と前記遠位端の前記入口点との間に位置し、異なる細長い医療デバイスを支持するように構成された複数の異なるアダプタを受けるように構成された、前記ハウジングのモジュールセクションとを含む、カセット。
【請求項26】
前記モジュールセクションは、
中間部と、
当該カセットの縦軸に対し角度を付けて配置されたリセスとを含む、請求項25に記載のカセット。
【請求項27】
前記細長い医療デバイスがバルーンガイドカテーテルである、請求項25に記載のカセット。
【請求項28】
前記細長い医療デバイスがラピッドエクスチェンジデバイスである、請求項25に記載のカセット。
【請求項29】
カテーテルベース処置システムにおいて細長い医療デバイスに支持を提供する装置であって、
カセットと細長い医療デバイスのアダプタとを含み、
前記カセットは、
遠位端及び近位端を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記遠位端にある、デバイス支持体への入口点と、
前記近位端と前記遠位端の前記入口点との間に位置し、中間部と、前記カセットの縦軸に対し角度を付けて配置されたリセスとを含む、前記ハウジングのモジュールセクションとを含み、
前記アダプタは、
第1の細長い医療デバイスを受け入れるように構成された第1セクションと、
第2の細長い医療デバイスを受け入れるように構成され、前記第1セクションの縦軸に対し角度を付けて配置された、第2セクションとを含み、
前記アダプタの前記第1セクションは、前記モジュールセクションの前記中間部に配置され、前記アダプタの前記第2セクションは、前記モジュールセクションの前記リセスに配置される、装置。
【請求項30】
前記第1の細長い医療デバイスがガイドワイヤである、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記第2の細長い医療デバイスがバルーンガイドカテーテルである、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記第2の細長い医療デバイスがラピッドエクスチェンジデバイスである、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記アダプタの前記第2セクションが、前記第2の細長い医療デバイスの近位端を保持するように構成されたクリップを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項34】
前記アダプタは、蓋をさらに含む、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
細長い医療デバイスを駆動するためにカテーテルベース処置システムに含まれるロボット制御駆動装置において使用するカセットであって、
開口を含む剛性支持部と、
前記開口内に配置され、前記細長い医療デバイス用のクレードルを含む、分離インターフェースとを含み、
前記開口及び前記分離インターフェースは、当該カセットの縦軸の方向をx方向として、前記剛性支持部に対し直交座標系のx、y、及びz方向において前記分離インターフェースの限定された可動域を可能にするように構成されている、カセット。
【請求項36】
前記分離インターフェースが前記剛性支持部から分離されており、直線力から細長い医療デバイスのハブを分離する、請求項35に記載のカセット。
【請求項37】
前記剛性支持部は、カセットにかかる力に反応するように構成されている、請求項35に記載のカセット。
【請求項38】
前記開口は、前記開口をなす第1の側面に第1のタブを有し、前記開口をなす第2の側面に第2のタブを有する、請求項35に記載のカセット。
【請求項39】
前記分離インターフェースは、前記分離インターフェースの第1の側面に第1のリセスを含み、前記分離インターフェースの第2の側面に第2のリセスを含む、請求項38に記載のカセット。
【請求項40】
前記第1のタブが前記第1のリセス内に位置し、前記第2のタブが前記第2のリセスに位置する、請求項39に記載のカセット。
【請求項41】
前記分離インターフェースは、駆動モジュールの連結器を受けるように構成されたコネクタを底面に備える、請求項35に記載のカセット。
【請求項42】
前記底面に、前記駆動モジュールの接続部材を受けるように構成された複数の接続点をさらに備える、請求項41に記載のカセット。
【請求項43】
前記接続部材は、前記複数の接続点に配置されたときに、前記分離インターフェースを拘束するように構成されている、請求項42に記載のカセット。
【請求項44】
前記複数の接続点の少なくとも1つがマグネットを含む、請求項42に記載のカセット。
【請求項45】
前記第1のタブがレールであり、前記第2のタブがレールである、請求項38に記載のカセット。
【請求項46】
前記分離インターフェースが第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとを含む、請求項35に記載のカセット。
【請求項47】
前記分離インターフェースは、
前記第1のタブ及び前記第2のタブの上に位置する第1のコンポーネントと、
前記第1のタブ及び前記第2のタブの下に位置する第2のコンポーネントとを含む、請求項45に記載のカセット。
【請求項48】
細長い医療デバイスを駆動するためにカテーテルベース処置システムに含まれるロボット制御駆動装置において使用するカセットであって、
剛性支持部と、
ポートを有する止血弁を支持するように構成されたインターフェース部と、
前記止血弁に流体接続を固定する装置とを含み、
前記流体接続を固定する装置は、
第1端及び第2端を有し、前記第1端が前記止血弁の前記ポートに接続するように構成された、可撓性チューブと、
前記剛性支持部及び前記可撓性チューブの前記第2端に取り付けられたクリップとを含む、カセット。
【請求項49】
前記可撓性チューブの前記第2端が、前記流体接続とのコネクタを提供するように構成されている、請求項48に記載のカセット。
【請求項50】
前記可撓性チューブの前記第2端がマルチポートコネクタを含む、請求項48に記載のカセット。
【請求項51】
前記流体接続を固定する装置は、ストレインリリーフを提供するように構成されている、請求項48に記載のカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、ここに全体として援用する、2019年7月15日出願の米国特許出願62/874,222号、発明の名称“Systems, Apparatus and Methods for Supporting and Driving Elongated Medical Devices in a Robotic Catheter-Based Procedure System”に基づくものであり、その優先権を主張する。
【0002】
本発明は、広く言えばロボット医療処置システムの分野に関するものであり、具体的には、カテーテルベースの処置システムを使用するロボット制御インターベンション処置において細長い医療デバイスを支持し駆動するシステム、装置、方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルその他の細長い医療デバイス(EMD)は、神経インターベンション手術としても知られる神経血管インターベンション(NVI)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、及び末梢血管インターベンション(PVI)を含む様々な脈管系の疾患の診断及び治療のための低侵襲医療処置に使用され得る。これらの処置は、概して、脈管系を通してガイドワイヤをナビゲートし、このガイドワイヤを介しカテーテルを進めて治療を行う。カテーテル式処置は、標準的な経皮的技術を用いて、イントロデューサーシースで動脈や静脈などの適切な血管へのアクセスを得ることから始まる。次に、イントロデューサーシースを通して、シース又はガイドカテーテルを、NVIの場合の内頸動脈、PCIの場合の冠動脈口、又はPVIの場合の浅大腿動脈などの一次位置まで診断用ガイドワイヤの先へ進める。次いで、脈管構造に適したガイドワイヤを、シース又はガイドカテーテルを通して、脈管構造内の標的位置までナビゲートする。曲がりくねった解剖学的構造のような、ある種の状況では、ガイドワイヤの先へ支持カテーテル又はマイクロカテーテルを挿入し、ガイドワイヤのナビゲーションを補助する。医師や操作者は画像システム(例えば、蛍光透視鏡)を使用することができ、これにより、造影剤注入でシネを取得し、病変などの標的位置へガイドワイヤ又はカテーテルをナビゲートするロードマップとして使用する固定フレームを選択する。医師がガイドワイヤ又はカテーテルを送り込む間に造影画像も得られ、その結果、医師は、デバイスが標的位置への正しい経路に沿って移動していることを確認できる。透視法を用いて解剖学的構造を観察しながら、医師は、ガイドワイヤ又はカテーテルの近位端を操作して、その遠位端を、病変や標的の解剖学的位置へ向かう適切な血管の中へ導き、側枝には進まないようにする。
【0004】
例えばNVI、PCI、及びPVIのようなカテーテル式処置を実施する医師の補助に使用され得るロボット制御カテーテルベース処置システムが開発されている。NVI処置の例には、動脈瘤のコイル塞栓形成、動静脈奇形の液体塞栓形成、そして急性虚血性脳卒中の状況における大血管閉塞の機械的血栓除去が含まれる。NVI処置において、医師は、ロボット制御システムを使用して神経血管ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルの操作を制御することにより標的病変アクセスを獲得し、正常な血流を回復するための治療を実施する。標的アクセスはシースやガイドカテーテルにより可能となるが、さらに遠位の領域に対して、あるいは、マイクロカテーテル及びガイドワイヤの適切な支持を提供するために、中間カテーテルを必要とする場合もある。ガイドワイヤの遠位先端は、病変の種類と治療法に応じて、病変内か又は病変を通り越して、ナビゲートされる。動脈瘤の治療の場合は、マイクロカテーテルを病変に進め、ガイドワイヤを抜去し、マイクロカテーテルを介して動脈瘤内にいくつかの塞栓コイルを展開し、これを用いて動脈瘤内への血流を遮断する。動静脈奇形の治療の場合は、液体塞栓をマイクロカテーテルを介して奇形に注入する。血管閉塞を治療するための機械的血栓除去は、吸引及び/又はステントレトリーバーの使用によって達成することができる。血栓の位置に応じて、吸引カテーテルを使用して吸引するか、又は、より細い動脈用のマイクロカテーテルを使用して吸引する。吸引カテーテルが病変に到達したら、陰圧をかけてカテーテルを通して血栓を除去する。あるいは、血栓は、マイクロカテーテルを通してステントレトリーバーを配置することによって除去することができる。血栓がステントレトリーバーに絡み取られたら、ステントレトリーバーとマイクロカテーテル(又は中間カテーテル)をガイドカテーテル内に引っ込めて血栓を回収する。
【0005】
PCIでは、医師はロボット制御システムを使用して冠動脈ガイドワイヤを操作することにより病変アクセスを得て、治療を実施し正常な血流を回復させる。このアクセスは、ガイドカテーテルを冠動脈口に着座させることによって可能になる。ガイドワイヤの遠位先端は病変を通り越してナビゲートされ、複雑な解剖学的構造の場合、マイクロカテーテルを用いてガイドワイヤの適切な支持を提供し得る。病変にステント又はバルーンを送り込んで留め置くことにより血流を回復させる。病変は、ステント処置に先立って、病変の前処置拡張のためにバルーンを送り込むか、又は、例えばレーザを用いたり、回転式アテローム切除カテーテルとガイドワイヤーを通したバルーンとを用いたりしてアテローム切除を実施するか、のいずれかによって、準備しておくことが必要な場合もある。画像診断及び生理学的測定は、画像診断カテーテル又は血流予備量比(FFR)測定を用いることにより適切な治療法を決定するために実施されることがある。
【0006】
PVIでは、医師はロボット制御システムを用いて治療を行い、NVIと同様の技術で血流を回復させる。ガイドワイヤの遠位先端は病変を通り越してナビゲートされ、そして、マイクロカテーテルを使用して、複雑な解剖学的構造に対しガイドワイヤを適切に支持することができる。病変にステント又はバルーンを送り込んで留め置くことにより血流を回復させる。PCIの場合と同様に、病変の準備や画像診断を行うこともある。
【0007】
例えば、曲がりくねった又は石灰化した脈管構造をナビゲーションしたり、遠位の解剖学的位置に到達させたり、硬い病変を越えるためなどに、カテーテル又はガイドワイヤの遠位端での支持が必要な場合には、オーバーザワイヤ(OTW)カテーテル又は同軸システムを用いる。OTWカテーテルは、該カテーテルの全長に延伸するガイドワイヤのための内腔を有する。このことは、ガイドワイヤが全長にわたって支持されることから、比較的安定したシステムを提供する。しかし、このシステムには、ラピッドエクスチェンジ(RX)カテーテル(後述)と比較して、摩擦が高い、全長が長いなど、いくつかの短所がある。ほとんどの場合、留置ガイドワイヤの位置を維持しながらOTWカテーテルを抜去又は交換するために、ガイドワイヤの露出長(患者の外側)はOTWカテーテルよりも長くしなければならない。300cmの長さのガイドワイヤが通常、この目的に十分とされ、交換長ガイドワイヤと呼ばれることが多い。このガイドワイヤの長さのため、OTWカテーテルを抜去又は交換するには2人のオペレータが必要である。このことは、三軸システムとして当該技術分野で知られている三重同軸ケーブルカテーテルが使用される場合、さらに困難になる(四重同軸ケーブルカテーテルも使用されることが知られている)。しかしながら、その安定性のために、OTWシステムはNVI及びPVI処置においてよく使用される。一方、PCI処置では、ラピッドエクスチェンジ(又はモノレール)カテーテルが使用される。ラピッドエクスチェンジカテーテルのガイドワイヤ内腔は、モノレール又はラピッドエクスチェンジ(RX)セクションと呼ばれ、カテーテルの遠位部位のみを通る。RXシステムでは、操作者は、インターベンションデバイスを互いに並列に操作し(デバイスが直列構成で操作されるOTWシステムとは違って)、ガイドワイヤの露出長はカテーテルのRX部位よりもわずかに長くするだけでよい。ラピッドエクスチェンジ長のガイドワイヤは、通常、180~200cmの長さである。短いガイドワイヤとモノレールを考えれば、RXカテーテルは1人の操作者で交換可能である。しかし、より遠位の支持が必要な場合には、RXカテーテルでは不十分であることが多い。
【発明の概要】
【0008】
一態様によれば、カテーテル用のロボット制御駆動装置の直線部材に接続された第1のデバイスモジュールと第2のデバイスモジュールとの間で細長い医療デバイスを支持する装置である。第2のデバイスモジュールは、第1のデバイスモジュールの遠位側で直線部材に沿った位置に配置されている。本装置は、遠位端及び近位端を有するデバイス支持体を有する。デバイス支持体の一部(中間部位)が第1のデバイスモジュール内に可動にして配置される。本装置は、デバイス支持体の遠位端に付けられたコネクタを含む。このコネクタは、第2のデバイスモジュールの近位端と係合するための装着機構を含む。デバイス支持体の近位端は、第2のデバイスモジュールに対し固定されるように構成されている。
【0009】
一態様によれば、カテーテルベース処置システムのロボット制御駆動装置で使用するカセットであり、このカセットは、遠位端及び近位端を有するハウジングと、縦方向スリット、遠位端及び近位端を有するデバイス支持体と、デバイス支持体の遠位端に付けられたコネクタと、カセットのハウジングの遠位端において細長い医療デバイスがデバイス支持体へ入る入口点に配置されたスプリッタとを含む。デバイス支持体の一部がハウジング内に配置される。第1の位置において、コネクタは入口点の近くに位置し、第2の位置において、コネクタは入口点から遠くに位置する。
【0010】
一態様によれば、カテーテルベース処置システムのロボット制御駆動装置の直線部材に連結された第1のデバイスモジュールと第2のデバイスモジュールとの間で細長い医療デバイスを支持するデバイス支持体であり、このデバイス支持体は、第1の位置と第2の位置との間を移動するように構成された、縦方向のスリットを有する第1のチューブと、縦方向の開口、内径及び外径を有する第2のチューブとを含む。第1のチューブは内径と外径を有する。第2のチューブは、第1のチューブの外径の周囲に配置され、第1のチューブが第1の姿勢を保持するように第1のチューブに力を加える。
【0011】
一態様によれば、カテーテルベース処置システムのロボット制御駆動装置で使用するカセットであり、このカセットは、遠位端及び近位端を有するハウジングと、ハウジングの遠位端にあるデバイス支持体への入口点と、近位端と遠位端の入口点との間に位置するハウジングのモジュールセクションとを含む。モジュールセクションは、異なる細長い医療デバイスを支持するように構成された複数の異なるアダプタを受容するように構成されている。
【0012】
一態様によれば、カテーテルベース処置システムにおいて細長い医療デバイスの支持を提供する装置であり、該装置は、カセットと、細長い医療デバイスのアダプタとを含む。カセットは、遠位端及び近位端を有するハウジングと、ハウジングの遠位端にあるデバイス支持体への入口点と、近位端と遠位端の入口との間に位置するハウジングのモジュールセクションとを含む。モジュールセクションは、中間部と、カセットの縦軸から外れるように配置されたリセスとを含む。細長い医療デバイスのアダプタは、第1の細長い医療デバイスを受け入れるように構成された第1セクションと、第2の細長い医療デバイスを受け入れるように構成された第2セクションとを含む。第2セクションは、第1セクションの縦軸に対し角度を付けて配置される。細長い医療デバイスのアダプタの第1セクションはモジュールセクションの中間部に、細長い医療デバイスのアダプタの第2セクションはモジュールセクションのリセスに位置する。
【0013】
一態様によれば、カテーテルベース処置システムのロボット制御駆動装置で使用するカセットであり、このカセットは、開口を有する剛性支持部と、その開口内に配置される分離インターフェースとを含む。分離インターフェースは、細長い医療デバイスのためのクレードルを含む。開口及び分離インターフェースは、剛性支持部に対し、x、y、及びz方向において分離インターフェースの限定された可動域を可能にする。
【0014】
一態様によれば、カテーテルベース処置システムのロボット制御駆動装置で使用するカセットであり、このカセットは、剛性支持部と、ポートを有する止血弁を支持するように構成されたインターフェース部と、止血弁に流体接続を固定する装置とを含む。流体接続を固定する装置は、第1端及び第2端を有する可撓性チューブと、剛性支持部及び可撓性チューブの第2端に取り付けられたクリップとを含む。可撓性チューブの第1端は、止血弁のポートに接続するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、次の図面と関連させた以下の詳細な説明からさらに十分に理解される。図中、同種の部分に参照符号を付してある。
【
図1】実施形態に係るカテーテル処置システムを例示する外観図。
【
図2】実施形態に係る例示カテーテル処置システムを例示する概略ブロック図。
【
図3】実施形態に係るカテーテル処置システムの駆動アセンブリを示す斜視図。
【
図4】実施形態に関し、位置を固定した前方(遠位)点及び後方(近位)点で張力を提供するデバイス支持体を示す斜視図。
【
図5】実施形態に関し、細長い医療デバイスの交換を容易にする引き出し位置で、デバイス支持体を有するカセットを示す上面図。
【
図6】実施形態に関し、2つの端部で拘束された延伸位置で、デバイス支持体を有するカセットを示す上面図。
【
図7】実施形態に係るデバイス支持体を有する2つのデバイスモジュールの上面図。
【
図8】実施形態に関し、デバイス支持体に対して直線的なデバイスモジュールの前進移動を示す上面図。
【
図9】実施形態に関し、デバイス支持体に対して直線的なデバイスモジュールの後進移動を示す上面図。
【
図10】実施形態に関し、デバイス支持体に対して直線的なデバイスモジュールの後進移動を示す上面図。
【
図11】実施形態に係るロボット駆動装置の4つのデバイスモジュール及び4つのデバイス支持体を示す概略上面図。
【
図12】実施形態に関し、デバイス支持体に対するデバイスモジュールの動きを説明する概略上面図。
【
図13】実施形態に関し、それぞれのデバイス支持体に対する前進位置で、
図11の4つのデバイスモジュールを示す概略上面図。
【
図14】実施形態に関し、それぞれのデバイス支持体に対する引き出し位置で、
図11の4つのデバイスモジュールを示す概略上面図。
【
図15】実施形態に関し、延伸したデバイス支持体の近位端と、デバイス支持体が接続されている位置固定された後方(近位)点に対する
後方拘束部とを示す側面図。
【
図16】実施形態に関し、部分的に引っ込められたデバイス支持体の近位端と、デバイス支持体が接続されている位置固定された後方(近位)点に対する
後方拘束部とを示す側面図。
【
図17】実施形態に係るリールに収納されたデバイス支持体を有するデバイスモジュールを示す概略上面図。
【
図18】実施形態に係るスプールテンショナを例示する図。
【
図19】実施形態に係る駆動デバイス支持体を有するデバイスモジュールを示す概略上面図。
【
図20】実施形態に係るギア付きテンショナを例示する図。
【
図21】実施形態に係るアコーディオン又はスプリングで形成されたデバイス支持体を有するデバイスモジュールの概略上面図。
【
図22】実施形態に係る縮めたアコーディオン/スプリングを説明する図。
【
図23】実施形態に係る伸ばしたアコーディオン/スプリングを説明する図。
【
図24c】実施形態に係るデバイス支持の柔軟チューブに関しスリット形状を例示する斜視図。
【
図25】実施形態に係るデバイスモジュールと細長い医療デバイスの分解図。
【
図26a】実施形態に関し、引っ込めた位置で、デバイス支持体を搭載したカセットを示す斜視図。
【
図26b】実施形態に関し、引っ込めた位置で、デバイス支持体を搭載したカセットを示す斜視図。
【
図27】実施形態に関し、EMD入口点の前方にカセットから延伸したデバイス支持体及びコネクタを示す上面図。
【
図28】実施形態に関し、EMD入口点の後方に引き出されたデバイス支持体及びコネクタを示す上面図。
【
図29】実施形態に係るデバイス支持体の開を維持するスプリッタを示す端面図。
【
図30】実施形態に関し、EMDのローディングを容易にするために引き出されてデバイス軸から外されたデバイス支持体とコネクタを有するカセットを示す上面図。
【
図31】実施形態に係る
前進拘束部及びコネクタを示す斜視図。
【
図32】実施形態に係る蓋を用いた
前進拘束部を示す斜視図。
【
図33】実施形態に係る遠位支持アーム及び遠位支持接続を示す斜視図。
【
図34】実施形態に係るデバイス支持体及びコネクタに連結された遠位支持接続を示す斜視図。
【
図35】実施形態に係る遠位支持アーム、遠位支持接続、及びイントロデューサーインターフェース支持を示す側面図。
【
図36】実施形態に係るイントロデューサーシースに接続されたイントロデューサーインターフェース支持体を示す斜視図。
【
図37】実施形態に係る第1の位置にある可動遠位支持アームを示す斜視図。
【
図38】実施形態に係る第2の位置にある可動遠位支持アームを示す斜視図。
【
図39】実施形態に係る第1の位置にある可動遠位支持アーム及び可動支持アームを示す上面図。
【
図40】実施形態に係る第2の位置にある可動遠位支持アーム及び可動支持アームを示す上面図。
【
図41】実施形態に関し、遠位支持アーム及び支持アームの第2の位置から第1の位置への移動を示す上面図。
【
図42】実施形態に係るオンデバイスアダプタを有するカテーテルを示す斜視図。
【
図43】実施形態に係るオンデバイスアダプタを有するガイドワイヤを示す斜視図。
【
図44】実施形態に係るオンデバイスアダプタを有する組み込み済みの細長い医療デバイスを有するカセットを示す斜視図。
【
図45】実施形態に関し、カセットと、カセットから取り出したオンデバイスアダプタを有する細長い医療デバイスとを示す分解図。
【
図47】実施形態に係る細長い医療デバイス(EMD)アダプタと蓋を示す分解図。
【
図48】実施形態に係るカセットに組み込まれたEMDアダプタ及びEMDを示す斜視図。
【
図49】実施形態に係る浮遊インターフェースと剛性支持部とを有するカセットを示す上面図。
【
図50a】実施形態に係るカセットの浮遊(分離)インターフェース及び剛体支持部を示す端部断面図。
【
図50b】実施形態に係る浮遊(分離)インターフェースの第1コンポーネント及び第2コンポーネントを示すカセットの分解斜視図。
【
図51】実施形態に係るカセットの浮遊(分離)インターフェースを示す下面図。
【
図52】実施形態に係るローラを有する回転駆動歯車を支持するクレードルを示す図。
【
図53】実施形態に係るチューブ及び流体接続を固定するための支持アセンブリを有するカセットを例示する図。
【
図54】実施形態に係るデバイス支持体の端部断面図。
【
図55】実施形態に係るデバイス支持体及びスプリッタを示す端部断面。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここでは以下の定義を用いる。「細長い医療デバイス」(EMD)は、カテーテル(例えば、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、バルーン/ステントカテーテル)、ワイヤベースデバイス(ガイドワイヤ、塞栓コイル、ステントレトリーバーなど)、及び、これらを組み合わせてもつデバイス、のことである。ただし、これらに限定されない。ワイヤベースEMDには、ガイドワイヤ、マイクロワイヤ、塞栓コイル用の近位プッシャー、ステントレトリーバー、自己拡張型ステント、及び、フローダイバータが含まれる。ただし、これらに限定されない。通常、ワイヤベースEMDは、その近位端の終端にハブ又はハンドルをもっていない。一例において、EMDはカテーテルであり、カテーテルの近位端にハブを有し、ハブからカテーテルの遠位端に向かって延伸する可撓性シャフトを有する。シャフトはハブよりも柔軟である。一例において、カテーテルは、ハブとシャフトとの間に移行部を含み、ここはハブより剛性が低く且つシャフトより剛性が高い中間柔軟性を有する。一例において、この仲介部分はストレインリリーフである。
【0017】
「遠位」と「近位」は、2つの別々の特定部位の相対的位置を定義する。ロボット制御駆動装置に関する「遠位」及び「近位」は、使用中のロボット制御駆動装置の患者との相対的な位置によって定義される。相対的な位置を定義するために使用する場合、遠位の特定部位は、ロボット制御駆動装置が目的の使用中位置にあるときに近位の特定部位よりも患者に近いロボット制御駆動装置の特定部位である。患者内で、アクセスポイントから経路に沿ってより離れている脈管構造ランドマークは、アクセスポイントにより近いランドマークに対してより遠位と見なされる。なお、アクセスポイントはEMDが患者に入るポイントである。同様に、近位の特定部位は、目的の使用中位置にロボット制御駆動装置があるときに遠位の特定部位よりも患者から遠い特定部位である。方向を定義するために使用する場合、遠位方向は、ロボット制御駆動装置が目的の使用中位置にあるときに、近位の特定部位から遠位の特定部位及び/又は患者へ向かって、何かが移動している又は移動しようとしている進むべき経路、あるいは、何かが目指している又は臨んでいる沿うべき経路のことを言う。近位方向は、この遠位方向の逆方向である。
【0018】
部材(例えば、カテーテルベース処置システムにおけるEMD又は他の要素)の「縦軸(長手軸)」は、該部材の近位部分から該部材の遠位部分へ向かう向きの方向である。一例として、ガイドワイヤの長軸とは、ガイドワイヤが該当する部分で直線でない場合も含めて、ガイドワイヤの近位部分からガイドワイヤの遠位部分へ向かう向きの方向である。部材の「軸方向動作/移動/運動」は、部材の縦軸に沿った該部材の並進を意味する。EMDの遠位端をその長軸に沿って遠位方向に患者内へ又はより深く患者の中へ軸方向に動かすとき、このEMDは前進中である。EMDの遠位端をその長軸に沿って近位方向に患者の外へ又はさらに患者から出る方へ軸方向に動かすとき、このEMDは後進(引き抜き/抜去)中である。部材の「回転(回転動作)」は、部材の局所的な縦軸を中心とした該部材の角度方向の変化を指す。EMDの回転は、加えられたトルクによるEMDの縦軸を中心とした時計回り又は反時計回りの回転に相当する。
【0019】
「軸方向挿入」は、第1の部材を第2の部材の縦軸に沿って第2の部材に挿入することを言う。「横(交差)挿入」は、第1の部材を第2の部材の縦軸と交差する面の方向に沿って第2の部材に挿入することを言う。これは、ラジアル(半径方向)装填やサイド(側方)装填とも呼ばれる。「ピンチ」は、EMDを部材に取り外し可能に固定することを意味し、当該部材が移動するときに部材とEMDが一緒に動くようにすることを指す。「アンピンチ」は、部材からEMDをリリースする(取り外す)ことを意味し、当該部材が移動するときに部材とEMDが別々に動くようにすることを指す。「クランプ」は、EMDの動きが部材に対して拘束されるようにEMDを部材に取り外し可能に固定することを言う。部材は、グローバル(大域)座標系に関して又はローカル(局所)座標系に関して固定することができる。「アンクランプ」は、EMDが独立して動くことができるように部材からEMDをリリースする(取り外す)ことを言う。
【0020】
「グリップ」は、少なくとも1自由度でスリップなくEMDを動作させる駆動機構によってEMDに力又はトルクを加えることを意味する。「アングリップ」は、駆動機構によるEMDへの力又はトルクの印加を解放することを意味し、EMDの位置がそれ以降拘束されないようにすることを指す。一つの例では、2つのタイヤの間にグリップされたEMDは、タイヤが互いに対して縦方向に動くとき、その縦軸のまわりに回転する。EMDの回転動作は、2つのタイヤの動作とは異なる。グリップされるEMDの位置は、駆動機構によって拘束される。「座屈」は、軸方向圧縮下での可撓性EMDの性状を指し、縦軸から逸脱して又はEMDの進むべき目的経路から逸脱して屈曲することである。一例において、軸方向圧縮は、脈管系の中をナビゲートされることに対する抵抗に応じて発生する。座屈するまでにEMDが支持無しで縦軸に沿って駆動され得る距離を、ここではデバイス座屈距離と称する。デバイス座屈距離は、デバイスの剛性、形状(直径を含むが、これに限定されない)、及びEMDに加えられる力の関数である。座屈によりEMDは、目的の経路とは違った弓状の部分を形作る可能性がある。“よじれ”は、EMDの変形が元に戻らない永続の歪みとなった座屈の例である。
【0021】
「上、上方向、上向き、上側」などは、重力の方向とはおおよそ反対の方向を指し、「下(底)、下方向、下向き、下側」などは、おおよそ重力の方向を指す。「内方、内向き、内側」などは、特定部分の中を意味する。「外方、外向き、外側」などは、特定部分の外を意味する。「滅菌インターフェース」は、滅菌ユニットと非滅菌ユニットとの間のインターフェース(界面)や境界を意味する。例えば、カセットは、ロボット制御駆動装置と少なくとも1つのEMDとの間の滅菌インターフェースであり得る。「滅菌可能ユニット」は、(病原微生物が存在しない)滅菌可能な装置を言う。これには、カセット、消耗品ユニット、ドレープ、デバイスアダプタ、及び滅菌可能駆動モジュール/ユニット(電気機械的構成要素を含み得る)が含まれる。ただし、これらに限定されない。滅菌可能ユニットは、患者、他の滅菌装置、又は医療処置の滅菌範囲に置かれた他のものに接触する可能性がある。
【0022】
「オンデバイスアダプタ」は、EMDを取り外し可能にピンチすることが可能で駆動インターフェースを提供することのできる滅菌装置を意味する。例えば、オンデバイスアダプタは、エンドエフェクタ又はEMD捕捉デバイスとしても知られている。限定的意味のない一例では、オンデバイスアダプタは、EMDをその縦軸のまわりに回転させ、EMDをコレットにピンチ及び/又はアンピンチし、及び/又はEMDをその縦軸に沿って並進させるべく、ロボット制御で動作可能なコレットである。一例において、オンデバイスアダプタは、EMDのハブに位置する駆動ギアなどのハブ駆動機構である。「ハブ駆動」又は「近位駆動」は、近位位置からEMDを保持して操作することを意味する(例えば、カテーテルハブのギアアダプタ)。一例において、ハブ駆動は、カテーテルのハブに力又はトルクを加えてカテーテルを並進及び/又は回転させることを意味する。ハブ駆動において、通常の臨床的負荷をかけるとEMDの座屈を引き起こすことが多いので、ハブ駆動には駆動機構においてアンチ座屈装備が必要であることが多い。ハブや他のインターフェース(例えばガイドワイヤ)をもたないデバイスについては、デバイスアダプタを追加して一時的なハブとして機能させてもよい。一例では、EMDハンドルは、ハンドルからカテーテルの遠位端まで延伸してカテーテルの遠位端をそらせるワイヤなどのカテーテル内の物を操作するメカニズムを含む。対照的に、ハブは、カテーテル内の物を操作するための制御機構を含まない、近位端のEMDの固定部分である。「シャフト(遠位)駆動」は、そのシャフトに沿ってEMDを保持して操作することを意味する。例えば、オンデバイスアダプタを、デバイスが挿入されるハブ又はY-コネクタの直近近位に配置することができる。オンデバイスアダプタの配置が挿入点(身体や別のカテーテル又は弁への)の近くである場合、シャフト駆動は、通常、アンチ座屈機能を必要としない(駆動能力を改善するためにアンチ座屈機能を含む場合はある)。
【0023】
図1は、実施例に係るカテーテルベース処置システム10を示す外観図である。カテーテルベース処置システム10は、カテーテルベース医療処置、例えば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI) (例えばSTEMIを治療するため)、神経血管インターベンション処置(NVI) (例えば緊急大血管閉塞(ELVO)を治療するため)、末梢血管インターベンション処置(PVI) (例えば重症下肢虚血(CLI)のため)、を行うために使用され得る。カテーテルベース医療処置には、患者の疾患の診断を補助するために1つ以上のカテーテルその他の細長い医療デバイス(EMD)を使用する診断用カテーテル式処置が含まれる。例えば、カテーテルベース診断処置の一例において、カテーテルを通して造影剤を1つ以上の動脈に注入し、患者の脈管構造の画像を取得する。カテーテルベース医療処置はまた、カテーテル(又は他のEMD)を用いて疾患を治療するカテーテルベース治療処置(例えば、血管形成術、ステント留置、末梢血管疾患の治療、血餅除去、動脈静脈奇形治療、動脈瘤の治療など)も含み得る。治療処置は、例えば、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層撮影(OCT)、血流予備量比(FFR)などの補助デバイス54(
図2に示す)を含めることによって補完され得る。ただし、ある種の経皮的インターベンションデバイス又はコンポーネント(例えば、ある種のガイドワイヤ、ある種のカテーテルなど)が、実施される処置のタイプに基づいて選択され得ることは、当業者に当然のことである。カテーテルベース処置システム10は、処置で使用される特定の経皮的インターベンションデバイスにわずかな調整で対応し、いくつものカテーテルベース医療処置を行うことができる。
【0024】
カテーテルベース処置システム10は、いくつかある要素の中で特に、ベッドサイドユニット20とコントロールステーション26とを含む。ベッドサイドユニット20は、患者12に隣接して位置するロボット制御駆動装置24と位置決めシステム22とを備える。患者12は患者テーブル18上にある。位置決めシステム22は、ロボット制御駆動装置24の位置決め及び支持に使用される。位置決めシステム22は、例えば、ロボットアーム、多関節アーム、ホルダ等である。位置決めシステム22は、例えば、患者テーブル18の柵、ベース、又はカートに一端が取り付けられる。位置決めシステム22の他端は、ロボット制御駆動装置24に取り付けられる。位置決めシステム22は、患者12を患者テーブル18の上に寝かせられるように、(ロボット制御駆動装置24と共に)外方へ移動されることができる。患者12が患者テーブル18に寝かせられた後、位置決めシステム22は、処置のために患者12に対してロボット制御駆動装置24の場所を定める又は位置決めするように使用される。一例では、患者テーブル18は、床及び/又は地面に据え付けられている台座17によって操作可能に支持されている。患者テーブル18は、台座17に対して、例えばロール、ピッチ、ヨーの多自由度で動作させることができる。ベッドサイドユニット20は、コントロール及びディスプレイ46(
図2に示す)も含み得る。例えば、コントロール及びディスプレイ46は、ロボット制御駆動装置24のハウジングに配置することができる。
【0025】
一般に、ロボット制御駆動装置24は、適切な経皮的インターベンションデバイス及び付属機器48(
図2に示す)(例えば、ガイドワイヤ、バルーンカテーテルを含む各種のカテーテル、ステントデリバリーシステム、ステントレトリーバー、塞栓コイル、液体塞栓、吸引ポンプ、造影剤を送り込むデバイス、薬剤、止血弁アダプタ、シリンジ、活栓、膨張デバイスなど)を備え、ユーザ又はオペレータ11が、コントロールステーション26に位置する制御機器及び入力機器などの各種コントローラを操作することにより、ロボットシステムを介してカテーテルベース医療処置を実施できるようにする。ベッドサイドユニット20、特にロボット制御駆動装置24は、ここに説明する機能を有するベッドサイドユニット20を提供するために、いくつかの及び/又は組み合せたコンポーネントを含み得る。コントロールステーション26のユーザ又はオペレータ11は、コントロールステーションユーザ又はコントロールステーションオペレータとも呼ばれるが、ここではユーザ又はオペレータと呼ぶ。ベッドサイドユニット20のユーザ又はオペレータは、ベッドサイドユニットユーザ又はベッドサイドユニットオペレータと呼ばれる。ロボット制御駆動装置24は、レール又は直線部材60に取り付けられた複数のデバイスモジュール32a-32dを含む(
図3に示す)。レール又は直線部材60は、デバイスモジュールを案内し支持する。デバイスモジュール32a-32dの各々は、カテーテル又はガイドワイヤなどのEMDを駆動するために使用される。例えば、ロボット制御駆動装置24を使用して、診断用カテーテル内にガイドワイヤを自動的に供給し、患者12の動脈内のガイドカテーテル内に挿入することができる。EMDなどの1つ以上のデバイスは、例えば、イントロデューサーシースを介して、挿入点16において患者12の身体(例えば血管)に入る。
【0026】
ベッドサイドユニット20は、コントロールステーション26と通信しており、コントロールステーション26のユーザ入力によって生成された信号を無線又はハードワイヤを介してベッドサイドユニット20に送信して、ベッドサイドユニット20の様々な機能を制御することを可能にする。後述するように、コントロールステーション26は、コントロールコンピューティングシステム34(
図2に示す)を含むか、又はコントロールコンピューティングシステム34を介してベッドサイドユニット20と接続される。ベッドサイドユニット20はまた、コントロールステーション26又はコントロールコンピューティングシステム34(
図2に示される)、あるいはその両方にフィードバック信号(例えば、負荷、速度、作動条件、警告信号、エラーコードなど)を提供することができる。コントロールコンピューティングシステム34とカテーテルベース処置システム10の各種コンポーネントとの間の通信は、ワイヤレス接続、ケーブル接続、又はコンポーネント間の通信を可能とする他の各種手段であり得る通信リンクを介して提供される。コントロールステーション26又は他の類似のコントロールシステムは、局所拠点(例えば、
図2に示されるローカルコントロールステーション38)又は遠隔拠点(例えば、
図2に示されるリモートコントロールステーション及び
コンピューティングシステム42)のどちらかに位置する。カテーテルベース処置システム10は、局所拠点のコントロールステーションによって、又は遠隔拠点のコントロールステーションによって、あるいはローカルコントロールステーションとリモートコントロールステーションの両方によって同時に、操作される。局所拠点において、ユーザ又はオペレータ11及びコントロールステーション26は、患者12及びベッドサイドユニット20と同じ部屋や隣の部屋に配置されている。ここで使用している、局所拠点は、ベッドサイドユニット20と患者12又は被験体(例えば、動物や死体)のある場所であり、遠隔拠点は、ユーザ又はオペレータ11とベッドサイドユニット20を遠隔で制御するべく使用されるコントロールステーション26のある場所である。遠隔拠点のコントロールステーション26(及びコントロールコンピューティングシステム)と、局所拠点のベッドサイドユニット20及び/又はコントロールコンピューティングシステムとは、例えばインターネットを介し、通信システム及びサービス36(
図2に示す)を用いて通信する。実施例では、遠隔拠点と局所(患者)拠点は互いに離れており、例えば、同じ建物の違う部屋、同じ都市の違う建物、違う都市、又は、局所拠点のベッドサイドユニット20及び/又は患者12への物理的アクセスが遠隔拠点にないその他の違う場所、である。
【0027】
コントロールステーション26は、カテーテルベース処置システム10の様々なコンポーネント又はシステムを操作するためのユーザ入力を受信するように構成された入力モジュール28を1つ以上含んでいるのが普通である。図示の実施例では、コントロールステーション26は、ユーザ又はオペレータ11がベッドサイドユニット20を制御してカテーテルベース医療処置を行うことを可能にする。例えば、入力モジュール28は、ベッドサイドユニット20に、ロボット制御駆動装置24とインターフェースされた経皮的インターベンションデバイス(例えばEMD)を用いた様々な作業を実行させるように構成される(ロボット制御駆動装置24は、例えば、ガイドワイヤを前進、後退又は回転させ、カテーテルを前進、後退又は回転させ、カテーテルに配置されたバルーンを膨張又は収縮させ、ステントを位置決め及び/又は展開し、ステントレトリーバーを位置決め及び/又は展開し、コイルを位置決め及び/又は展開し、カテーテル内へ造影剤を注入し、カテーテル内へ液体塞栓を注入し、カテーテル内へ薬液又は生理食塩水を注入し、カテーテルで吸引し、あるいは、カテーテルベース医療処置の一部として実施され得るその他の機能を実施する)。ロボット制御駆動装置24は、経皮的インターベンションデバイスを含むベッドサイドユニット20のコンポーネントの動き(例えば、軸方向及び回転方向の動き)を生じさせるための各駆動機構を含む。
【0028】
一実施例において、入力モジュール28は、1つ以上のタッチスクリーン、ジョイスティック、スクロールホイール、及び/又はボタンを含むことができる。入力モジュール28に加えて、コントロールステーション26は、追加ユーザコントロール44(
図2に示す)、例えばフットスイッチや音声指令のためのマイクロホンなど、を使用してもよい。入力モジュール28は、各コンポーネントと、例えばガイドワイヤ及び1つ以上のカテーテル又はマイクロカテーテルなどの経皮的インターベンションデバイスとを、前進、後退、又は回転させるように構成される。ボタンには、例えば、緊急停止ボタン、倍率ボタン、デバイス選択ボタン、及び自動作動ボタンが含まれる。非常停止ボタンが押されると、ベッドサイドユニット20に対し、動力(例えば電力)が遮断されるか除去される。速度制御モードでは、倍率ボタンが、入力モジュール28の操作に応答して関連するコンポーネントを動作させる速度を増減させるように、作用する。位置制御モードでは、倍率ボタンにより、入力された距離と出力指示された距離とのマッピングが変更される。デバイス選択ボタンにより、ユーザ又はオペレータ11は、ロボット制御駆動装置24に装填された経皮的インターベンションデバイスのうちのどれを入力モジュール28によって制御するか選択することができる。自動作動ボタンは、カテーテルベース処置システム10が、ユーザ又はオペレータ11からの直接指令を要せず経皮的インターベンションデバイスで実行することのできるアルゴリズム的な動きを可能にするために、使用される。一実施形態において、入力モジュール28は、タッチスクリーン(ディスプレイ30の一部である場合もあれば、そうでない場合もある)に表示される1つ以上のコントロール又はアイコン(図示せず)を含み、これらが選択されると、カテーテルベース処置システム10のコンポーネントが動作する。入力モジュール28は、バルーンを膨張又は収縮させ及び/又はステントを展開するように構成されたバルーン又はステントコントロールも含み得る。入力モジュール28の各々は、特定の1つ以上のコンポーネントを専用制御するために使用可能な1つ以上のボタン、スクロールホイール、ジョイスティック、タッチスクリーン等を含む。さらに、1つ以上のタッチスクリーンが、入力モジュール28の各部やカテーテルベース処置システム10の各コンポーネントに関連する1つ以上のアイコン(図示せず)を表示することができる。
【0029】
コントロールステーション26は、ディスプレイ30を含む。別の例では、コントロールステーション26は、2つ以上のディスプレイ30を含むことができる。ディスプレイ30は、コントロールステーション26に位置するユーザ又はオペレータ11に情報又は患者固有のデータを表示するように構成される。例えば、ディスプレイ30は、画像データ(例えば、X線画像、MRI画像、CT画像、超音波画像など)、血行動態データ(例えば、血圧、心拍数など)、患者履歴情報(例えば、病歴、年齢、体重など)、病変又は治療評価データ(例えば、IVUS、OCT、FFRなど)を表示するように構成されてもよい。加えて、ディスプレイ30は、処置特有の情報(例えば、手順チェックリスト、勧告、処置の時間、カテーテル又はガイドワイヤの位置、送り込む薬又は造影剤の容量など)を表示するように構成することもできる。さらに、ディスプレイ30は、コントロールコンピューティングシステム34(
図2に示される)に関連する機能を提供するために情報を表示するように構成されてもよい。ディスプレイ30は、システムのユーザ入力能力の一部を提供するためのタッチスクリーン機能を含むことができる。
【0030】
カテーテルベース処置システム10は、撮像システム14も含む。撮像システム14は、カテーテルベース医療処置(例えば、非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波など)と組み合わせて使用され得る医療撮像システムである。一例において、撮像システム14は、コントロールステーション26と通信しているデジタルX線撮像装置である。一例において、撮像システム14は、患者12について様々な角度位置から画像を得るために撮像システム14が患者12のまわりを部分的に又は完全に回転できるようにするCアーム(
図1に示す)を含むことができる(例えば、矢状断像、尾側像、前後像など)。一実施例では、撮像システム14は、イメージインテンシファイアとしても知られるX線源13及び検出器15を有するCアームを含んだ透視法システムである。
【0031】
撮像システム14は、処置中に患者12の適切な領域のX線画像を撮像するように構成されてもよい。例えば、撮像システム14は、神経血管状態を診断するために、頭部のX線画像を1つ以上撮像するように構成される。また、撮像システム14は、処置中にガイドワイヤ、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、ステントレトリーバー、コイル、ステント、バルーン等を適切に位置決めできるようにコントロールステーション26のユーザ又はオペレータ11を支援するために、カテーテルベース医療処置中に1つ以上のX線画像(例えば、リアルタイム画像)を撮像するように構成されてもよい。1つ以上の画像は、ディスプレイ30に表示可能である。例えば、画像をディスプレイ30に表示して、ユーザ又はオペレータ11がガイドカテーテル又はガイドワイヤを適切な位置に正確に移動できるようにすることができる。
【0032】
方向を明確にするために、X,Y,Z軸をもつ直交座標系が導入される。正のX軸は縦方向(軸方向)遠位に向いている。すなわち、近位端から遠位端への方向、別の言い方をすれば、近位から遠位への方向である。Y軸とZ軸は、X軸に対する横断面にあり、正のZ軸は上向き、つまり重力の反対方向に向いており、Y軸は右手の法則によって自動的に決定される。
【0033】
図2は、実施例に係るカテーテルベース処置システム10のブロック図である。カテーテルベース処置システム10は、コントロールコンピューティングシステム34を含む。コントロールコンピューティングシステム34は、物理的に、例えばコントロールステーション26の一部であってもよい(
図1に示す)。コントロールコンピューティングシステム34は、通例、ここに説明する様々な機能を有するカテーテルベース処置システム10を提供するのに適した電子制御ユニットである。例えば、コントロールコンピューティングシステム34は、組み込みシステム、専用回路、ここに説明する機能でプログラムされた汎用システムなどである。コントロールコンピューティングシステム34は、ベッドサイドユニット20、通信システム及びサービス36(例えば、インターネット、ファイアウォール、クラウドサービス、セッションマネージャー、病院ネットワーク等)、ローカルコントロールステーション38、追加通信システム40(例えば、テレプレゼンスシステム)、リモートコントロールステーション及びコンピューティングシステム42、及び患者センサ56(例えば、心電図(ECG)デバイス、脳波(EEG)デバイス、血圧計、体温モニタ、心拍モニタ、呼吸モニタ等)と通信する。コントロールコンピューティングシステム34は、撮像システム14、患者テーブル18、追加医療システム50、造影剤注入システム52、及び補助デバイス54(例えば、IVUS、OCT、FFRなど)とも通信する。ベッドサイドユニット20は、ロボット制御駆動装置24、位置決めシステム22を含み、追加コントロール及びディスプレイ46を含んでもよい。上述のように、追加コントロール及びディスプレイは、ロボット制御駆動装置24のハウジングに配置することができる。インターベンションデバイス及び付属機器48(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)は、
ベッドサイドユニット20と接続する。実施例では、インターベンションデバイス及び付属機器48は、それぞれの補助デバイス54と接続する特定のデバイス(例えば、IVUSカテーテル、OCTカテーテル、FFRワイヤ、造影剤用診断カテーテルなど)、すなわちIVUSシステム、OCTシステム、及びFFRシステムなどを含むことができる。
【0034】
各実施例において、コントロールコンピューティングシステム34は、(例えば、ローカルコントロールステーション38又はリモートコントロールステーション42などのコントロールステーション26(
図1に示す)の)入力モジュール28をユーザが操作することによって、及び/又は、コントロールコンピューティングシステム34にアクセス可能な情報に基づいて、カテーテルベース処置システム10を使用して医療処置が実施されるように制御信号を生成するべく構成されている。ローカルコントロールステーション38は、1つ以上のディスプレイ30、1つ以上の入力モジュール28、及び追加ユーザコントロール44を含む。リモートコントロールステーション及びコンピューティングシステム42は、ローカルコントロールステーション38と同様のコンポーネントを含むことができる。リモートコントロールステーション42及びローカルコントロールステーション38は、必要とされる機能に基づいて、別々のあつらえたものとすることができる。追加ユーザコントロール44は、例えば、1つ以上の足入力コントロールを含む。足入力コントロールは、X線のスイッチを入れたり切ったり、複数の保存画像をスクロールしたりするなど、撮像システム14の機能をユーザが選択できるように構成される。別の実施例では、足入力デバイスは、入力モジュール28に含まれたスクロールホイールにどのデバイスをマッピングするかユーザが選択できるように構成される。追加通信システム40(例えば、音声会議、ビデオ会議、テレプレゼンスなど)は、オペレータと患者、医療スタッフ(例えば、血管造影室スタッフ)、及び/又はベッドサイド近傍の機器との相互作用を補助すべく使用可能である。
【0035】
カテーテルベース処置システム10は、明示していないあらゆる他のシステム及び/又はデバイスも含むように接続又は構成され得る。例えば、カテーテルベース処置システム10は、画像処理エンジニア、データストレージ及びアーカイブシステム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、薬剤注入システム、薬剤追跡及び/又は記録システム、ユーザログ、暗号化システム、カテーテルベース処置システム10のアクセス又は使用を制限するシステム、などを含み得る。
【0036】
上述したように、コントロールコンピューティングシステム34は、ロボット制御駆動装置24及び位置決めシステム22を含み且つ追加コントロール及びディスプレイ46を含み得るベッドサイドユニット20と通信し、ベッドサイドユニット20に制御信号を提供してモータの動作を制御し、経皮的インターベンションデバイス(例えば、ガイドワイヤ、カテーテルなど)を駆動するために使用されるメカニズムを駆動する。種々の駆動機構がロボット制御駆動装置24の一部として設けられる。
図3は、実施例に係るカテーテルベース処置システム10のロボット制御駆動装置の斜視図である。
図3において、ロボット制御駆動装置24は、直線部材60に連結された複数のデバイスモジュール32a-32dを含む。各デバイスモジュール32a-32dは、直線部材60に移動可能に取り付けられたステージ62a-62dを介して直線部材60に連結されている。デバイスモジュール32a-32dは、オフセットブラケット78a-78dなどのコネクタを用いてステージ62a-62dに接続することができる。別の実施例では、デバイスモジュール32a-32dは、ステージ62a-62dに直接取り付けられる。各ステージ62a-62dは、個別に駆動されて直線部材60に沿って直線的に移動する。すなわち、各ステージ62a-62d (及びステージ62a-62dに接続された対応するデバイスモジュール32a-32d)は、互いに対して、そして直線部材60に対して、独立して移動することができる。駆動機構が各ステージ62a-62dを作動させるために使用される。
図3に示す実施例では、駆動機構は、ステージ62a-62dのそれぞれに連結された独立したステージ並進モータ64a~64dと、ステージ駆動機構76とを含む。ステージ駆動機構76は、例えば、回転ナットを介する送りネジ、ピニオンを介するラック、ピニオン又はプーリを介したベルト、又はスプロケットを介したチェーンである。あるいは、ステージ並進モータ64a-64dそれ自身がリニアモータであってもよい。いくつかの実施例において、ステージ駆動機構76はこれらのメカニズムの組み合せとすることができ、例えば、ステージ62a-62dのそれぞれが異なるタイプのステージ駆動機構を用いるなどできる。ステージ駆動機構が送りネジ及び回転ナットである実施例では、送りネジを回転させると共に、各ステージ62a-62dを送りネジと係合させるか係合を解除するようにして、前進又は後退など動作させることができる。
図3に示される実施例において、ステージ62a-62d及びデバイスモジュール32a-32dは、縦列駆動構成である。
【0037】
各デバイスモジュール32a-32dは、駆動モジュール68a-68dと、駆動モジュール68a-68dに搭載されて連結されたカセット66a-66dとを含む。
図3に示した実施例では、各カセット66a-66dは、上下方向において駆動モジュール68a-68dに搭載されている。他の実施例では、各カセット66a-66dは、他の搭載方向で駆動モジュール68a-68dに搭載される。各カセット66a-66dは、EMD (図示せず)の近位部分とインターフェースして支持するように構成されている。さらに、各カセット66a-66dは、直線部材60に沿って直線的に移動する該当のステージ62a-62dの作動によって提供される直線動に加えて、さらに1以上の自由度を提供する要素を含んでいてもよい。例えば、カセット66a-66dは、カセットが駆動モジュール68a-68dに連結されているときにEMDを回転させるために使用され得る要素を含んでいてもよい。各駆動モジュール68a-68dは、追加の自由度を提供するために、各カセット66a-66d内のメカニズムに駆動インターフェースを提供する少なくとも1つのカップラを含む。各カセット66a-66dはまた、デバイス支持体79a-79dが配置されるチャンネルを含み、各デバイス支持体79a-79dは、EMDの座屈を防ぐように使用される。支持アーム77a,77b,77cが、それぞれデバイスモジュール32a,32b,32cに取り付けられ、デバイス支持体79b,79c,79dの近位端をそれぞれ支持するための固定点を提供する。ロボット制御駆動装置24はまた、デバイス支持体79と遠位支持アーム70と支持アーム77
0とに接続されたデバイス支持接続72を備えることができる。支持アーム77
0は、最も遠位のデバイスモジュール32aに収容された最も遠位のデバイス支持体79aの近位端を支持するための固定点を提供するために使用される。さらに、イントロデューサーインターフェース支持(リダイレクタ/再配向器)74を、デバイス支持接続72及びEMD (例えば、イントロデューサーシース)に接続してもよい。当該ロボット制御駆動装置24の構成は、1つの直線部材においてアクチュエータを使用することによって、ロボット制御駆動装置24の体積及び重量を減らせる、という利点を有する。
【0038】
患者が病原体で汚染されるのを防ぐために、医療スタッフは、ベッドサイドユニット20と患者12又は被験体(
図1に示す)を収容する部屋で無菌技術を用いる。ベッドサイドユニット20と患者12を収容する部屋は、例えば、カテ室や血管造影室であってよい。無菌技術は、滅菌バリア、滅菌器材、適切な患者準備、環境管理と接触ガイドラインの使用からなる。したがって、すべてのEMD及びインターベンション付属機器は滅菌されており、滅菌バリア又は滅菌器材のいずれかとのみ接触することができる。実施例では、滅菌ドレープ(図示されていない)が、非滅菌ロボット制御駆動装置24の上に使用される。各カセット66a-66dは滅菌され、ドレープ付きロボット制御駆動装置24と少なくとも1つのEMDとの間の滅菌インターフェースとして作用する。各カセット66a-66dは、1回使用するごとに滅菌できるように設計されるか、カセット66a-66d又はそのコンポーネントを繰り返し処置で使用できるように、全体又は一部を再滅菌できるように設計することができる。
【0039】
上述したように、ロボット制御駆動装置24は、各デバイスモジュール32a-32dの間、そして最も遠位のデバイスモジュール32aとデバイス支持接続72との間に、デバイス支持体79a-79dを含む。各デバイス支持体79a-79dは、細長い医療デバイスが患者の外で進められているとき、より遠位のEMDの中へ進められる前に、細長い医療デバイスの座屈を防止するように構成されている。一実施例によると、各デバイス支持体79a-79dは、縦方向
(チューブの軸方向)にスリットを有する可撓性チューブであり、カセットにあるスプリッタと関連させて使用される。各デバイス支持体79a-79dは、その両端で固定又は拘束され、可撓性チューブが座屈できるような変位量が制限される程度にデバイス支持体の張力が維持される。細長い医療デバイスが座屈することは、印加できる力の大きさを制限し、また、細長い医療デバイスを永久的に損傷する可能性がある。圧縮荷重は、EMDとデバイス支持体との間の摩擦、デバイス支持体とカセット(例えばカセット内のスプリッタ(
図27~
図29に関して後述する))との間の摩擦などを含むいくつかの要因によって引き起こされる。デバイス支持体の張力を維持することで、余分な円柱強度が不要となり、より小さく、より柔軟なデバイス支持体とできる利点がある。デバイス支持体が可撓性チューブである一実施例において、張力は、可撓性チューブの前方(又は遠位)点/箇所及び後方(又は近位)点/箇所を固定又は拘束することによって提供される。
図3に示すデバイス支持体79a~79dは、固定された前方点及び後方点を有するデバイス支持体の一実施例である。別の実施例では、デバイス支持体は、適切な張力を提供するアコーディオン又はスプリング型支持体であってもよい。デバイス支持体のこれらの異なる実施例の各々は、以下でさらに説明される。
【0040】
図4は、実施例に係るデバイス支持体の斜視図で、適切な張力を提供する固定された前方(又は遠位)点及び後方(又は近位)点を有する。
図4は、
図3に示したデバイス支持体の実施例を示している。
図4において、第1のデバイスモジュール102は、カセット106のチャンネル124に配置された例えば可撓性チューブの第1のデバイス支持体128を有する第1のカセット106を含む。第1のカセット106と第1のデバイス支持体128は、互いに相対的に移動可能である。
図4において、第1のデバイス支持体128は、第1のカセット106の遠位端から延伸し、この第1のデバイス支持体128の第1端は、第1の前方(又は遠位)固定点110にある第2のデバイスモジュール104の近位端に接続している。第2のデバイスモジュール104は、第1のデバイスモジュール102の遠位に位置する。第2のデバイスモジュール104は、第2のカセット108と、第2のデバイスモジュール104から第1のカセット106に向かって近位方向に延伸する支持アーム116とを含む。第1のデバイス支持体128の第2端は、第1のカセット106の近位端から延伸し、第2のデバイスモジュール104の支持アーム116の近位端の第1の後方(又は近位)固定点112に接続する。第1のデバイス支持体128は、固定された(又は拘束された)第1の
前方固定点110及び
後方固定点112によって所定の位置に保持される。第1の前方固定点110及び後方固定点112は、互いに一定の距離を保っている。第1の前方固定点110及び後方固定点112は、剛性であってもよいが、製造及び組立公差を考慮していくらか弾力を有していてもよい。また、第1のデバイスモジュール102は、第1のカセット106より近位に位置するカセット(図示せず)のデバイス支持体のための後方(又は近位)固定点を提供するために使用される支持アーム114を含む。
【0041】
第2のデバイスモジュール104は、最も遠位のモジュールであり、患者(図示されていない)に最も近い。第2のデバイスモジュール104の第2のカセット108は、第2のカセット108のチャンネル126内に配置された例えば可撓性チューブの第2のデバイス支持体130を含む。第2のカセット108と第2のデバイス支持体130とは、互いに対して移動可能である。第2のデバイスモジュール104の先にはデバイスモジュール、カセットがないので、遠位支持アーム134に取り付けられた遠位支持接続132が、第2のデバイス支持体130の遠位端のための第2の前方(又は遠位)固定点120を提供するために使用される。遠位支持接続132及び遠位支持アーム134は、
図33~
図41を参照して以下でさらに説明される。 第2のデバイス支持体130の第2端は、第2のカセット108の近位端から延伸し、遠位支持アーム134に接続された支持アーム118の近位端にある第2の後方(又は近位)固定点122に接続される。第2のデバイス支持体130は、第2の
前方固定点120及び
後方固定点122によって緊張状態に保持される。第2の
前方固定点120及び
後方固定点122は、互いに一定の距離を保っている。第2の前方固定点120及び後方固定点122は、剛性であるか、製造及び組立公差を考慮していくらか弾力を有していてもよい。
【0042】
一実施例では、処置の前、最中、及び後に、EMDの装填と取り出しを容易にするために、第1の前方固定点110に接続された第1のデバイス支持体128の遠位端と、第2の前方固定点120に接続された第2のデバイス支持体130の遠位端とを、以下に詳述するように、取り外すか切り離すことができる。
図5に示す実施例は、細長い医療デバイスの交換を容易にするために、デバイス支持体を引き出し位置にしたカセットの上面図である。
図5において、カセット140のデバイス支持体142は、前方(又は遠位)固定点150から外されており、EMD148を露出させる後退位置にある。これにより、EMDの装填と取り出しが容易になっている。先に説明したように、前方固定点150は、カセット140より遠位のデバイスモジュールに位置する。デバイス支持体142は、明瞭に示すために、
図5においてカセット140のカバーの上に示されている。デバイス支持体142の第1(又は遠位)
端部144は、カセット140の遠位端に位置する。デバイス支持体142の第2(又は近位)
端部146は、後方(又は近位)固定点152を越えて移動している。上述のように、後方固定点152は、カセット140の遠位側にある、例えばカセット、駆動モジュール又はステージの、支持アームに位置する。加えて、
後方固定点152は、ロボット制御駆動装置のフレームに取り付けることもできる。
図6に示す実施例は、デバイス支持体が2つの端部で拘束された延伸位置にあるカセットの上面図である。デバイス支持体142がEMD148の上に引っ張り出され、その第1端部144が前方固定点150に取り付けられると共に第2端部146が後方固定点152によって拘束される。上述のように、前方固定点150及び後方固定点152は、EMD148の遠位端が入っていくデバイスモジュールに対して固定となっている。デバイス支持体142は、明瞭に示すために、
図6においてカセット140のカバーの上に示されている。
【0043】
両端で各デバイス支持体を拘束(固定)することにより、ロボット制御駆動装置においてデバイスモジュールのすべての間で相対的な動きが可能となる。
図7に示す実施例は、デバイス支持体を有する2つのデバイスモジュールを上面図で示している。第1のデバイスモジュール160が有する第1のデバイス支持体168は、第2のデバイスモジュール162の近位端の第1の前方(又は遠位)固定点172と、第2のデバイスモジュール162の支持アーム171の近位端に位置する第1の後方(又は近位)固定点174とに、拘束されている。第2のデバイスモジュール162が有する第2のデバイス支持体170は、第2の前方(又は遠位)固定点(図示されていない)と、第2のデバイスモジュール162より遠位のデバイスモジュール(示されていない)の支持アーム173の近位端に位置する第2の後方(又は近位)固定点175とで、拘束されている。第1のデバイスモジュール160は、第1の位置164から前方へ並進することができる。第2のデバイスモジュール162は、第1の位置176にある。
図8に示す実施例は、デバイス支持体に対し直線的なデバイスモジュールの前進並進を上面図で示している。第1のデバイスモジュール160が、第1の位置164から第2の位置166へ患者に向かって(矢印177で示すように)前進するとき、第1の後方固定点174が、第1のデバイスモジュール160のカセット(及びデバイスモジュール)が第1のデバイス支持体168に沿って移動することで生じる負荷(例えば、カセットと第1のデバイス支持体168との間の摩擦)を軽くする。したがって、第1のデバイスモジュール160にあるカセットの遠位端と第2のデバイスモジュール162にあるカセットの近位端又は後部との間において、第1のデバイス支持体168が座屈することはない。第1のデバイスモジュール160は、第2のデバイスモジュール162(この例では第1の位置176に静止している)に向かって遠位方向へ進むにつれて、第1のデバイス支持体168のボディに沿って位置する参照点A及び参照点Bによって説明してあるとおりに第1のデバイス支持体168に対して移動する。第1のデバイスモジュール160が第1の位置164にあるとき、参照点A及び参照点Bは、第1のデバイスモジュール160の遠位端の近くに位置している。第1のデバイスモジュール160が第1のデバイス支持体168に沿って進んでも、第1のデバイス支持体168は、第1の前方固定点172及び第1の後方固定点174を介して連結されている第2のデバイスモジュール162も静止しているため、静止したままである。第1のデバイスモジュール160が第2の位置166に到達したときには、参照点A及び参照点Bは軸外へ移動していて第1のデバイスモジュール160の近位側に位置する。第1のデバイスモジュール160は、第2の位置166から第1の位置164へ後退並進することもある。
【0044】
図9に示す実施例は、デバイス支持体に対し直線的なデバイスモジュールの後退並進を面図で示している。第1のデバイスモジュール160が、第2の位置166から第1の位置164へ患者から離れるように(矢印179で示すように)後方へ移動(後退)すると、第1の前方固定点172が、第1のデバイスモジュール160のカセット(及びデバイスモジュール)が第1のデバイス支持体168に沿って移動することで生じる負荷(例えば、カセットと第1のデバイス支持体168との間の摩擦)を軽減する。したがって、第1のデバイスモジュール160にあるカセットと第1の後方固定点174との間において、第1のデバイス支持体168は座屈しない。第1のデバイスモジュール160は、第2のデバイスモジュール162(この例では第1の位置176に静止している)から離れて近位方向へ移動するとき、第1のデバイス支持体168のボディに沿って位置する参照点A及び参照点Bによって説明してあるとおりに第1のデバイス支持体168に対して移動する。第1のデバイスモジュール160が第2の位置166にあるとき、参照点A及び
参照点Bは、軸外に位置していて第1のデバイスモジュール160の近位側に位置する。第1のデバイスモジュール160が第1のデバイス支持体168に沿って近位方向に移動(後退)すると、第1の前方固定点172及び第1の後方固定点174を介して連結されている第2のデバイスモジュール162も静止しているため、第1のデバイス支持体168は静止したままである。第1のデバイスモジュール160が第1の位置164にあるときには、参照点A及び参照点Bは、第1のデバイスモジュール160の遠位端の近くに位置する。
【0045】
図10に示す実施例は、デバイス支持体に対し直線的なデバイスモジュールの後退並進を上面図で示している。第2のデバイスモジュール162が、患者から離れるように(矢印169で示すように)後方へ第1の位置176から第2の位置178に移動するとき、第2のデバイスモジュール162の遠位側にある第2の前方固定点(図示せず)が、第2のデバイスモジュール162のカセット(及びデバイスモジュール)が第2のデバイス支持体170に沿って移動することで生じる負荷(例えば、カセットと第2のデバイス支持体170との間の摩擦)を軽減する。したがって、第2のデバイス支持体170は、第2のデバイスモジュール162にあるカセットと第2の後方固定点175との間において座屈しない。デバイス支持体168,170は、それぞれが2つの既知の点の間で支持されているので、各デバイス支持体の長さは変化する必要がない。第2のデバイスモジュール162は、第1のデバイスモジュール160(この例では第1の位置164に静止している)へ向かって近位方向に移動するとき、第2のデバイス支持体170に対して移動する。さらに、第1のデバイス支持体168(第1の
前方固定点172及び後方固定点174を介して第2のデバイスモジュール162に連結されている)は、第1のデバイス支持体168のボディに沿って位置する参照点A及び参照点Bによって示されるように第1のデバイスモジュール160に対して移動する。第2のデバイスモジュール162が第1の位置176にあるとき、参照点A及び参照点Bは、
図7に示すように第1のデバイスモジュール160の遠位端の近くに位置する。第2のデバイスモジュール162が第2のデバイス支持体170に沿って近位方向に移動(後退)すると、
第2のデバイス支持体170は、この例では静止しているさらに遠位のデバイスモジュール(図示せず)に連結されているので、静止したままである。一方、第1のデバイス支持体168は、第1の前方固定点172及び後方固定点174を介して連結されている第2のデバイスモジュール162と共に近位側に移動する。第2のデバイスモジュール162の第2の位置178において、参照点A及び参照点Bは、軸外に位置していて第1のデバイスモジュール160の近位側に位置する。
【0046】
図11に示す実施例は、ロボット制御駆動装置の4つのデバイスモジュール及び4つのデバイス支持体を簡略化した上面図で示してある。第1のデバイスモジュール202は、支持アーム218に接続された一端(近位端)と遠位支持点に接続された他端(遠位端)とを有する第1のデバイス支持体204を備える。第2のデバイスモジュール206は、支持アーム220に接続された一端と第1のデバイスモジュール202に接続された他端とを有する第2のデバイス支持体208を備える。第3のデバイスモジュール210は、第2のデバイスモジュール206の第1の前方(又は遠位)固定点226に接続された一端と支持アーム222にある第1の後方(又は近位)固定点228に接続された他端とを有する第3のデバイス支持体212を備える。第4のデバイスモジュール214は、第3のデバイスモジュール210にある第2の前方(又は遠位)固定点230に接続された一端と支持アーム224にある第2の後方(又は近位)固定点232に接続された他端とを有する第4のデバイス支持体216を備える。各実施例において、支持アーム218,220,222,224は、デバイスモジュール又は駆動モジュールのカセットに接続され得る。別の実施例では、支持アーム218,220,222,224は、折り畳み式、テレスコープ式、又は他の方式で、使用中でないときに支持アームの長さを短縮することができる。
図12に示す実施例は、デバイス支持体に対するデバイスモジュールの動きを説明するべく簡略化した上面図で示してある。第3のデバイスモジュール210は、第1の位置234(点線で示されている)からスタートして第2の位置236に移動する(矢印246で示される)。第3のデバイスモジュール210は、前方(患者の方)へ移動する際、第1の前方固定点226で第2のデバイスモジュール206に固定され且つ第1の
後方固定点228で第2のデバイスモジュール206から延びる支持アーム222に固定される第3のデバイス支持体212に沿って、移動する。第3のデバイスモジュールが並進するとき、第3のデバイスモジュール210を通って移動するデバイス支持体212の部分は変化するが、第1の前方固定点226及び後方固定点228は移動しない。第2のデバイスモジュール206と第3のデバイスモジュール210との間に架かるデバイス支持体212の第1のセクション242の長さは減少する一方、第3のデバイスモジュール210と後方固定点228との間に架かるデバイス支持体212の第2のセクション244の長さは増加する。これにより、第3のデバイスモジュール210(及び関連するEMD)が、直線移動中の第3のデバイスモジュール210と第2のデバイスモジュール206との間のスパンにおいて完全に支持されたまま、となる。第1の位置234と第2の位置236との間の第3のデバイスモジュール210の動作中に起こる別の相対的動作は、第4のデバイスモジュール214の第4のデバイス支持体216と、第4のデバイス支持体216の第2の前方(又は遠位)固定点230及び後方(又は近位)固定点232とに及ぶ。第4のデバイス支持体
216は、第2の前方固定点230において第3のデバイスモジュール210に固定され、第2の後方固定点232において第3のデバイスモジュール210から延びる支持アーム224に固定されている。第3のデバイスモジュール210が移動するので、第2の前方固定点230及び後方固定点232も同様に移動する。第4のデバイス支持体216の第1の部分238が、第4のデバイスモジュール214を通ってスライドし、第4のデバイスモジュール214と第3のデバイスモジュール210との間のスパンにおいて長さを増加させ、一方、第4のデバイス支持体216の第2の部分240は、第4のデバイスモジュール214と後方固定点232との間のスパンにおいて長さを減少させる。
【0047】
図13に示す実施例は、それぞれのデバイス支持体に対し前進した位置において
図11の4つのデバイスモジュールを、簡略化した上面図で示している。
図13では、第1のデバイスモジュール202、第2のデバイスモジュール206、第3のデバイスモジュール210、及び第4のデバイスモジュール214が、それぞれのデバイス支持体204,208,212,216に沿った最大前進位置で示されている。
図14に示す実施例は、それぞれのデバイス支持体に対し引き出された位置において
図11の4つのデバイスモジュールを、簡略化した上面図で示している。
図14において、第1のデバイスモジュール202、第2のデバイスモジュール206、第3のデバイスモジュール210、及び第4のデバイスモジュール214は、それぞれのデバイス支持体204,208,212,216に沿った最大伸長(後退)位置で示されている。一実施例によると、デバイス支持体長は、デバイス支持体の直線長さとS字スプラインとにより決定される。S字スプラインは、デバイス支持体をデバイスモジュールの縦方向デバイス軸から外して支持アームの縦軸へ向かわせる。一実施例において、各デバイス支持体204,208,212,
216は、前進方向と後退方向との間を切り替わるときの弛みに役立つデバイス支持体のプリテンションへの適合を含む。
【0048】
上述のように、各デバイス支持体は、デバイス支持体と結びついたデバイスモジュールの前方(例えば遠位)のデバイスモジュールから延びる支持アームに接続される後方(又は近位)固定点で拘束される。実施例では、後方(又は近位)固定点は、引張力にのみ反応するように構成され得る
後方拘束部を含む。
図15に示す実施例は、デバイス支持体が接続される後方(又は近位)固定点に関し、延ばされたデバイス支持体の近位端と
後方拘束部とを側面図で示し、
図16に示す実施例は、デバイス支持体が接続される後方固定点に関し、一部後退したデバイス支持体の近位端と後方(又は近位)拘束とを側面図で示す。支持アームの近位端252は、デバイス支持体250の近位端を保持する保持クリップ254を備える。ハードストップ256がデバイス支持体の末端に位置し、デバイス支持体が前方へ移動するときにデバイス支持体を緊張させて保持するように構成され、デバイス支持体がデバイス装填で後退することを可能にする(
図5及び
図6を参照して上述したとおり)。デバイス支持体250の前進動及び後退は矢印258で示されている。オペレータは、保持クリップ254から取り外すことなく、デバイス支持体250を引き戻すことができる。保持クリップ254とハードストップ256から構成される
後方拘束部は、引張力にのみ反応する。保持クリップ254が圧縮力には反応できないので、デバイス支持体は座屈しない。
【0049】
別の実施例では、デバイス支持体を、これより遠位のデバイスモジュールに接続する前方(又は遠位)固定点と後方(又は近位)固定点とによって提供されるデバイス支持体の張力は、各カセットにおいてデバイス支持体の近位端をリール又はスプールで格納することによって生成される。この実施例では、支持アームは、デバイス支持体の近位端に対する固定点を提供するためには必要とされない。
図17に示す実施例は、デバイス支持体がリールに格納されているデバイスモジュールを、簡略化した上面図で示し、
図18に示す実施例は、典型的なスプール式テンショナを示す。
図17において、各デバイスモジュール260は、デバイス支持体を巻き取るリール又はスプール262を含む。スプール式テンショナの一例が
図18に示されており、デバイス支持体264の可撓性チューブを巻き取るスプール262を含んでいる。デバイス支持体の近位端がスプール262に固定される。このデバイス支持体の遠位端又は「自由」端は、オペレータによって引き出されるか、又はロボット制御駆動装置によってロボット制御で駆動され、遠位のカセットの前方固定点に取り付けられる。デバイス支持体264に張力を印加するために、スプールにはトルクを付与する。トルクは、定トルクバネ又はラックアンドピニオンのような単独の機械的装置によって加えることができる。別の実施例では、トルクは、例えば、コントロールコンピューティングシステム34(
図2に示す)によって制御されるモータ(図示せず)によって加えられてもよい。
図19に示す実施例は、デバイス支持体が駆動されるデバイスモジュールを、簡略化した上面図で示し、
図20に示す実施例は、ギアードテンショナを例示して示す。
図19において、各デバイスモジュール270は、デバイス支持体272と相互作用したり係合したりして、デバイス支持体に張力を与えると共にデバイス支持体272を前後に移動させることの可能な、駆動機構274を備える。駆動機構は、例えば、ホイール又はギアである。一実施例では、駆動機構274は、デバイス支持体272の可撓性チューブの管壁との摩擦を利用してデバイス支持体と係合する。別の実施例では、デバイス支持体は、半径方向の穴を側面に沿って複数有し、この穴が、トラクターフィードとも呼ばれるピン駆動歯車と係合する。別の実施例では、デバイス支持体がリブ付き又は螺旋状のチューブであり、駆動機構は、そのリブ付き又は螺旋状のチューブに係合して張力をかける歯車である。螺旋(回旋)状の可撓性チューブ278と噛み合うギア付きテンショナ276の例が
図20に示されている。
【0050】
別の実施例では、デバイス支持体はアコーディオン(蛇腹)又はスプリングである。
図21に示す実施例は、アコーディオン又はスプリングによって形成されたデバイス支持体を有するデバイスモジュールを、簡略化した上面図で示す。
図21において、デバイスモジュール280の間のデバイス支持体は、アコーディオン要素286と、アコーディオン要素286の両側部に互いに平行に配置された2つのリニアガイド284とから形成される。EMD282は、アコーディオン要素286の各セグメント294(
図23に示す)の開口部292(
図23に示す)を通って配置されている。アコーディオンベースのデバイスサポートは常に緊張状態にある。一実施例において、アコーディオンのデバイス支持体は、2つのデバイスモジュール280の間の相対的並進動作を許容できる構造に適合する。アコーディオン部材は引っ張りばねとして作用し、通常は緊張を維持するが、軸方向荷重が加えられているとデバイス軸から逸れたままになる可能性がある。
図21に示したリニアガイド(又はガイドレール)284が、デバイス軸から離れる方向の逸脱を制限するようにアコーディオンを拘束する。一実施例では、より遠位の第2のデバイスモジュールの近位端に取り付けられた第1のデバイスモジュールのリニアガイド284と、リニアガイド284の他端部とは、アコーディオン及び第1デバイスモジュールを自由に摺動することができる。4つのデバイスモジュールを支持するために4つのアコーディオンが存在する実施例では、デバイスモジュールが近接しているときにリニアガイドが互いに干渉しないように、アコーディオンのリニアガイドをオフセットさせることができる。
図22は、アコーディオン要素286の圧縮状態288を示している。明瞭に示すために、リニアガイドは
図22に示していない。
図23は、アコーディオン要素286の伸張状態
290を示している。明瞭に示すために、リニアガイドは示していない。アコーディオン要素286は、複数のセグメント294を含み、各セグメントは、EMDが配置される開口部292を含む。セグメント294の数及びセグメント294の長さは、個別のセグメント294の間の支持されていない長さが、処置中に経験し得る最大負荷でEMDが座屈しないものとなるように、最適化され得る。アコーディオンのデバイス支持体は、全体の張力にかかわらず等しい間隔をもつように自動的に平衡をとる複数の屈曲を有し、座屈に十分な大きさもつギャップがセグメント294の中に一つもないようにする。言い換えれば、各セグメント294の中のギャップは、全てのセグメント294の中において同じであるべきである。これは、EMDが通る必要のある支持されていない距離を最小限に抑えるのに役立ち、これにより、
アコーディオン要素286は、座屈するまでの負荷を高めることができる。
【0051】
可撓性チューブから形成されるデバイス支持体の形状は、例えば、EMDをデバイス支持体に装填できるように、開閉をサポートするものでなければならない。デバイス支持体の可撓性チューブの遠位端でスリットが強制的に開けられると(例えば、以下に詳述するようなスプリッタを使用して)、デバイス支持体がEMDを封入するように進められ、そして閉じられると、EMDは飛び出たり座屈したりしないように適切に支持され保持される。
図24a~cに示す実施例は、デバイス支持体の可撓性チューブについて斜視図でスリット形状を示す。
図24aでは、デバイス支持体の可撓性チューブ300は、チューブに沿って縦方向に直線状のスリット302を有している。別の実施例では、デバイス支持体の可撓性チューブ300は、
図24bに示すように、チューブに沿って縦方向に鋸歯状のスリット304を有している。さらに別の実施例では、デバイス支持体の可撓性チューブ300は、
図24cに示すように、チューブに沿って縦方向にサイン波に似た波形のスリット306を有する。デバイス支持体
の可撓性チューブ300のスリットは、デバイス支持体にEMDを入れる入口点に近接して配置されるウェッジ(くさび)又はスプリッタ(
図27~
図29に示し以下に詳述する)によって開くことができる。ウェッジ又はスプリッタは、EMDを通すのに十分な開口幅に広げる。可撓性チューブの弾力性により、EMDを越えた側でスリットが回復・閉鎖し、EMDを封入して保持する。デバイス支持体におけるEMD保持を良好にするために、スリットの領域の材料が重なる(オーバーラップ)ように、鋸歯状及びサイン波類似形状を用いることができる。
【0052】
インターベンション処置のためのロボット制御駆動装置に使用されるEMDのサイズは様々である。例えば、使用されるEMDは、9FRから2FRまで変わり、あるいは、.010”ガイドワイヤまである。例えば、急性虚血性脳卒中を治療する血管内治療処置のために構成された多軸ロボット制御駆動装置の場合、デバイスに搭載する最初のEMDは6~9FRの間であることが予定される。デバイス搭載の2番目と3番目のEMDは、2.5~6FRの間であり得る。4番目のEMDは、.010”~.038”の直径のワイヤベースEMDであり得る。様々なサイズのEMDを適切に支持し保持するために、EMDごとに別々のデバイス支持体を提供することができ、各EMD用のデバイス支持体は、該当するサイズのEMDと連携するように設計される。例えば、EMDとデバイス支持体のチューブとの間の直径方向の隙間を最小にすることによって、いずれのデバイスもチューブ内で座屈するエネルギーは少なくなり、直線運動のヒステリシスが小さくなる。一実施例によると、各カセットのデバイス支持体は、カセットによって支持されるべきEMDに従って正しい寸法のデバイス支持体がカセットに追加されるように、モジュール式設計とされる。さらに、特定のサイズのEMDと連携するように設計されたスプリッタ及びデバイス支持コネクタ(両方とも
図27~
図29を参照して後述する)もまた、モジュール式とすることができ、カセットによって支持されるべき特定のサイズのEMDに従い切り替えられる。別の実施例では、デバイスサイズごとに個別のバージョンのカセットを用意することができ、この場合のカセットには、適切なサイズのデバイス支持体が予めセットされている。EMDの特定のサイズ又はサイズの範囲に設計された適切なカセットは、ロボット制御駆動装置の駆動機構に取り付けられ、別のサイズ又は別のサイズの範囲のEMDのために別の設計のものが必要とされる場合は取り外される。例えば、カセットは、.010”~0.38”の間で変わるワイヤベースEMDのサイズの範囲を支持するように設計され得る。
【0053】
図3を参照して述べたように、ロボット制御駆動装置24のデバイスモジュール32は、駆動モジュール68と、駆動モジュール68に搭載されて取り外し可能に連結されているカセット66とを含む。
図25に示す実施例は、デバイスモジュール及び細長い医療デバイスを分解図で示す。駆動モジュール310は、搭載面312及び連結器314を含む。モータ及び駆動ベルト(図示せず)が駆動モジュール310に収容され、連結器314に接続される。モータ及び駆動ベルトは、連結器314の回転角度を制御するために使用される。駆動モジュール310は、デバイス位置フィードバック用のエンコーダ(図示せず)を含んでもよい。
図25に示される例の駆動モジュール310は、1つの連結器314をもつが、複数の連結器314及び複数のモータを駆動モジュール310に提供してもよいことは当然理解される(例えば、連結器1つにつき1つのモータ、又は複数の連結器を駆動する1つのモータなど)。連結器314の回転は、連結器314とインターフェースするように搭載面312に取り付けることのできるカセット316の中に配置されるEMDに対し別の自由度を提供するために使用することができる。例えば、連結器314は、EMDがカセット316内に配置されたときにEMD324を回転させるために使用され得る。駆動モジュール310が2つ以上の連結器314を有する場合、各連結器がEMDの自由度をそれぞれ提供するように使用される。
【0054】
上述のように、カセット316は、駆動モジュール310の搭載面312に配置され、カセット316内に配置されたEMD324とインターフェースするように使用される。カセット316はハウジング318を含む。一実施例では、カセットのハウジング318は、駆動モジュール310に取り外し可能に取り付けられる。駆動モジュール310は、例えば位置決めピン、位置合わせピンなど、カセット316にある要素(例えば、接続点、スロット、チャンネルなど)と相互作用する1つ以上の追加要素313を搭載面312に含み、カセット316の駆動モジュール310への取り外し可能な取り付けを可能にしている。一実施例では、カセットのハウジング318は、クイックリリース機構321を用いて、駆動モジュール310に取り外し可能に装着される。一実施例では、クイックリリース機構321は、駆動モジュール310に固定されたクイックリリースロックピン315と解放可能に係合するラッチリリース323によって作動する、ハウジング318内のバネ付勢部材を含む。
【0055】
カセットのハウジング318は、EMD324を受け入れるように構成されたクレードル320を含む。ベベルギア322が駆動モジュール310の連結器314とインターフェースし、インターフェースしたEMD324を回転させるために使用される。一実施例では、EMD324は、EMD324をカセット316にインターフェースさせる、例えばベベルギア322へのインターフェースのために、オンデバイスアダプタ326(
図42~
図44を参照して後述する)を備える。
図25に示した例では、EMDはガイドワイヤであり、オンデバイスアダプタ326はギア327を備えたコレットである。動力が駆動モジュール310からカセット316内のギア322に(例えば連結器314を介して)伝達されると、カセット内のギア322は、コレットのギア327と相互作用して、ガイドワイヤ324を回転させる。デバイス支持体328は、カセットにおいて、ハウジング318によって覆われるチャンネル342の中に配置される。上述のように、デバイス支持体328とカセット316は、互いに相対的に動くように構成されている。デバイス支持体328は、デバイスモジュールに(例えば、カセットに、デバイスモジュールの他の要素に、又はデバイスモジュールの中に配置された要素に)、ロボット制御駆動装置においてカセット316の遠位(又は前方)で接続するために使用されるコネクタ330を、備える。コネクタ330はリセス(凹所)332を含む。引き出された又は後退した位置において、コネクタ330は、カセット316の遠位端334にあるハウジング318のリセス(凹所)336に置かれる。上述のように、コネクタ330及びデバイス支持体328は、カセット316から外へ向かって引っ張られることがあり、したがってコネクタは、ロボット制御駆動装置において遠位側のデバイスモジュール(例えば、デバイスモジュールのカセット)に取り付けられ得る。一実施例では、
前進拘束部340が、カセット316の近位端338に提供され、ロボット制御駆動装置においてカセット316の近位(又は後方)にある別のカセットのデバイス支持体のコネクタを接続するために使用される。
図26aに示す実施例は、デバイス支持体が配置されて後退位置にあるカセットを斜視図で示す。後退位置のコネクタ330は、カセット316の遠位端334で、ハウジング318のリセス336の中に位置決めされる。
図26bに示す実施例は、デバイス支持体が配置されて後退位置にあるカセットを斜視図で示す。デバイス支持体328は、カセットのチャンネル342内に配置される。カセット316は、カセット316の近位端338に位置する近位支持部材331を含む。近位支持部材331は開口を含み、デバイス支持体328を支持するように構成されている。デバイス支持体328は、開口333の中に配置されてこれを通過する。開口333は、デバイス支持体328が前進及び後退するときに、デバイス支持体が開口333を通って移動できるような大きさとされる。
【0056】
図27に示す実施例は、EMD入口点より前にカセットから延伸しているデバイス支持体及びコネクタを上面図で示す。デバイス支持体328及びコネクタ330は、カセットのハウジングの遠位端334のリセスから出ている。ガイド344とスプリッタ348とが、リセス336において、デバイス支持体328がリセス336及びチャンネル342の中へ入りまたここから出るときに通る経路の互いに反対側に配置される。延伸位置においてデバイス支持体は、EMD324を封入する。EMDは、スプリッタ348の近位部位と遠位部位との間に位置するEMD入口点346からデバイス支持体328に入る。スプリッタの近位部位と遠位部位とは点線で示す。上述したように、デバイス支持体328は縦方向にスリットをもち、これによりデバイス支持体は、(例えば、後述するようにスプリッタを使用することによって)強制的に開かれて、そして閉じ、前進するデバイス支持体がEMDを封入できる。コネクタ330は、
図29に示すように、デバイス支持体のチューブ端部を開放して保持し、スプリッタ348を通過できるようにする。
図27及び
図29を参照すると、スプリッタ348は、コネクタ330及びデバイス支持体328がスプリッタ348及びEMD入口点346を通過するときにEMD324がデバイス支持体328に封入されるように、デバイス支持体328のスリットを開状態に保持する。
デバイス支持体328のチューブの端部は、コネクタ330のリセス332内に位置決めされる。スプリッタ348を使用してEMD入口点346の両脇でデバイス支持体328を開いた状態にすると、EMD324における摩擦力が低減又は排除される。例えば、このことは、デバイス支持体328のチューブ壁とEMD324とが擦れることを防止する。この擦れは、入口点346でEMD324に損傷を与える可能性をもち、さらに、EMDが受ける力又はトルクを読み取るために使用される負荷検知システム(図示せず)にノイズを導入し得る。EMD324は、スプリッタ348の中央にあるキャビティ352を通過する。コネクタ330とスプリッタ348は、スプリッタ348の近位部位と遠位部位との間の間隙を通過する際にデバイス支持体328が開いたまま保持されるように設計されている。スプリッタ348はまた、どの点においてもEMD324の支持されていない長さがEMDがひどく座屈する程にはならないように、設計されている。ガイド344は、デバイス支持体328を前記間隙に誘導し、デバイス支持体328をスプリッタ348上に保持するように、構成されている。上述したように、スプリッタ348は、特定のEMDとデバイス支持体のサイズ範囲に対し設計されてもよい。
図28に示す実施例は、EMD入口点よりも後に引き出されたデバイス支持体及びコネクタを上面図で示し、
図30に示す実施例は、デバイス支持体のコネクタがEMDの装填を容易にするために引き出されてデバイス軸から外されているカセットを上面図で示す。カセット316(
図25に示される)の中にEMD324を装填することを容易にするために、EMD324が装填される前に、デバイス支持体328及びコネクタ330はリセス336内に引っ込められる。
図28及び
図30に示すとおり、コネクタ330は、スプリッタ348及びガイド344上に後退させ、EMD入口点346よりも後ろ(又はその近位側)へ後退させることができる。さらに、コネクタ330の後退(又は引き出された)位置は、EMD縦軸350から外れている。これが、カセット316へのEMD配置、例えば側方装填EMDの装填を可能にする。EMD入口点より後ろにコネクタ330を後退させることは、支持されていないEMDの長さも減少させ、作業長損失を減少させる。
【0057】
上述のように、コネクタ330及びデバイス支持体328はカセット316から外へ向かって引っ張られるので、コネクタは、ロボット制御駆動装置において遠位側のデバイスモジュール(例えば、デバイスモジュールのカセット)に取り付けられてもよい。一実施例では、
前進拘束部340(
図25に示される)が、第1のカセットの近位端338に提供され、ロボット制御駆動装置において第1のカセットより近位(又は後方)にある第2のカセットのデバイス支持体のコネクタを接続するために使用される。
図31に示す実施例は、
前進拘束部及びコネクタを斜視図で示す。
前進拘束部340は、ラッチ機構354、例えば、スプリングラッチを含む。近位側のカセット(図示せず)からのデバイス支持体328のコネクタ330は、スプリングラッチであるラッチ機構354に取り付けられる。一実施例では、コネクタ330は、コネクタ330を
前進拘束部340に押し込むことによって、ラッチ機構354と接続する。一実施例によると、ラッチ機構354は、ラッチ機構354と係合するためには軸方向の並進の他に二次的動作を必要としないが、ラッチ機構354の係合を解除して
前進拘束部340からコネクタを取り外すためには、1つ以上の追加動作を必要とし得る。例えば、コネクタ330を外す前に解除の必要なボタン、レバー、又はノブが存在してもよい。コネクタ330は、手動で係合解除するか、あるいはコントロールコンピューティングシステム34(
図2に示す)を使用して係合解除される。コネクタ330は、デバイス支持体328に収容されたEMD (図示せず)の縦方向EMD軸350にほぼ沿って
前進拘束部340に取り付けられる。このことは、ラッチ機構354に対して垂直に移動することによって、EMDの剪断を防止する。別の実施例では、コネクタ330をさらに強固に固定し、遊びを減少させるために、二次ラッチ又は締め付け機構を設けることができる。
図32に示す実施例は、蓋をもつ
前進拘束部を斜視図で示す。
図32では、蓋356が、例えばピボット接続を用いて
前進拘束部340に接続されている。蓋356は、コネクタ330を覆って閉じられ、
前進拘束部340内のコネクタ330をさらに拘束するようにラッチされる。
【0058】
図4を参照して上述したように、遠位支持アームに取り付けられた遠位支持接続を使用して、ロボット制御駆動装置において最も遠位のデバイスモジュールのカセット、すなわち患者に最も近いデバイスモジュールのカセットにあるデバイス支持体の遠位端を支持するための前方(又は遠位)固定点を提供することができる。
図33に示す実施例は、遠位支持アーム及び遠位支持接続を斜視図で示す。カセット362は、オフセットブラケット368を用いてステージ366に接続された駆動モジュール364に取り付けられている。ステージ366は、レール又は直線部材360に移動可能に取り付けられ、レール360に沿って直線的に移動することができる。遠位支持アーム370は、ロボット制御駆動装置のフレーム、例えばレール360のフレーム、に取り付けることができる。一実施例では、遠位支持アーム370はフレームに強固に取り付けられてもよい。別の実施例では、遠位支持アーム370は、患者テーブル又は患者に取り付けることができる。遠位支持アーム370は、ロボット制御駆動装置から先へ延伸し、導入されているシースハブでデバイス支持体の遠位固定点を提供するためにデバイス支持接続372と接続されている。一実施例では、遠位支持アーム370は、カセット362及び駆動モジュール364の遠位画定を提供するためにも使用される。遠位画定は、ロボット制御駆動装置の最も遠位のデバイス(例えば、カセット362及び駆動モジュール364)の最も遠位の側を画定するために使用される。別の実施例では、遠位画定は、例えばロボット制御駆動装置のフレームに連結される別個の遠位画定アーム(図示されていない)を使用して提供される。遠位デバイス支持接続372は、イントロデューサーシースハブに連結されてもよい。イントロデューサーインターフェース支持376は、デバイス支持接続372と接続される。コネクタ374、例えば、
図27~
図30を参照して上述したデバイス支持体の遠位端にあるようなコネクタを、デバイス支持接続372に取り付けて、デバイス支持体の遠位端に対する前方(又は遠位)固定点及び支持を提供することができる。デバイス支持体は、
図33には示されていないが、
図34に示されているように、カセット362によって配置することができる。
図34に示す実施例は、デバイス支持体及びコネクタと連結された遠位支持接続を斜視図で示す。EMD379を封入するデバイス支持体378は、カセット362とデバイス支持接続372との間に延在する点線として示されている。コネクタ374は、デバイス支持接続372に取り付けられる。デバイス支持接続372は、例えば、
図31及び
図32に関して上述したような
前進拘束部であってもよい。デバイス支持接続372は、遠位支持アーム370に取り付けられ、イントロデューサーインターフェース支持376に接続される。
図35に示す実施例は、遠位支持アーム、遠位支持接続、及びイントロデューサーインターフェース支持を側面図で示す。イントロデューサーインターフェース支持376は、デバイス支持体378(
図34に示される)と、後述するイントロデューサーインターフェース支持376の遠位端に接続されたイントロデューサーシース375との間でEMD379(
図34に示される)を支持するように構成されている。イントロデューサーインターフェース支持376は、EMD379がデバイス支持体378の遠位端とイントロデューサーシース375のハブとの間で座屈したり逸脱したりしないことを保証する。一実施例によると、イントロデューサーインターフェース支持376は、ロボット制御駆動装置の軸365と軸方向で整列した位置からイントロデューサーシース375又は他の支持部材と軸方向で整列した位置へ、EMDを方向転換するために使用することもできる。
【0059】
イントロデューサーシース375は、患者内の標的位置(例えば病変)にEMDを導く予定の患者の脈管系にアクセスポイント(例えば大腿動脈)で挿入される。イントロデューサーシース375は、患者から外れないように適所に保持されるべきである。一実施例では、遠位支持アーム370とデバイス支持接続372は、イントロデューサーシース375の位置を固定するために使用することができ、イントロデューサーシース375の内側を移動するEMDとイントロデューサーシース375との間の摩擦から生じる、イントロデューサーシース375にかかる力と反応する。別の実施例では、イントロデューサーシース375は、遠位支持アーム370及びデバイス支持接続372とは別の構造によって支持可能であり、例えば、イントロデューサーシース375は、既知の方法を用いて患者又は患者テーブルに取り付けることができる。
【0060】
図36に示す実施例は、イントロデューサーシースに接続されたイントロデューサーインターフェース支持を斜視図で示す。イントロデューサーインターフェース支持376は、その近位端380において、遠位支持アーム370に接続されているデバイス支持接続372と接続されている。イントロデューサーシース375は、イントロデューサーインターフェース支持376の遠位端382に接続されている。イントロデューサーインターフェース支持376は、サイドポート(図示されていない)を備えたイントロデューサーシース375を受け入れるように構成されてもよい。サイドポートとそのチューブ(図示していない)は、薬剤、造影剤、又は生理食塩水の注入、あるいは、血液サンプルの採取を可能にする。EMD (図示していない)は、血管(典型的には動脈)に挿入されるイントロデューサーシース375を通して患者の体内に入る。一実施例では、イントロデューサーインターフェース支持376は、EMDをイントロデューサーインターフェース支持376に配置することを可能にするために開口する。別の実施例では、EMDをイントロデューサーインターフェース支持376に軸方向で挿入することができる。別の実施例では、EMD及びイントロデューサーインターフェース支持376は、イントロデューサーインターフェース支持376を開口しなくてもよいように、又は、EMDを軸方向で挿入しなくてもよいように、摩擦嵌合とすることができる。上述のように、イントロデューサーインターフェース支持376は、ロボット制御駆動装置の軸365(
図35に示される)と軸方向において整列した位置から、イントロデューサーシース375又は他の支持部材と軸方向において整列する位置へ、EMDを方向転換するように構成されてもよい。また、
イントロデューサーインターフェース支持376は、支持接続372と
イントロデューサーシース375との間においてEMDの支持を提供する。イントロデューサーインターフェース支持376は、剛体(
図36に示すように)であっても、柔軟であってもよい。例えば、イントロデューサーインターフェース支持376は可撓性材料でできている。あるいは、イントロデューサーインターフェース支持376は、デバイス支持接続372の側に継手(関節)を有し、この継手が、ロボット制御駆動装置の摂動や患者が動くことを考慮して遠位端382(イントロデューサーシース375が保持されている)の制限範囲での可動を可能にする。
【0061】
別の実施例では、遠位支持アーム370は、ロボット制御駆動装置に可動連結されていてもよい。可動の遠位支持アーム370は、作動させなくてもよい余分なEMDの露出長を考慮する1以上の自由度を有していてもよい。例えば、背の低い患者及び/又は蛇行の少ないといった場合、第1のガイドカテーテルの多くは、患者に入る必要が無くて露出する場合がある。遠位支持アーム(したがって、デバイス支持接続372)が前進できる場合、作動させる必要のないガイドカテーテルの余分な長さを考慮に入れることができる。これはまた、レール又は直線部材361(及び、
図33と
図35に示されるレール360)の全長を減少させるのに役立つ可能性もある。
図37に示す実施例は、第1の位置における可動遠位支持アームを斜視図で示す。遠位支持アーム370は、ステージ390を使用してレール又は直線部材361に可動連結されている。
図37において、遠位支持アーム370は、遠位
デバイス支持接続372がデバイスモジュール392の遠位端の近くに位置する第1の位置394にある。ステージ390は、レール361に沿って手動で又はロボット制御で移動させることができ、遠位支持アーム370の位置を変更する。
図38に示す実施例は、第2の位置にある可動遠位支持アームを斜視図で示す。
図38において、ステージ390と遠位支持アーム370は、デバイスモジュール392からより遠位の第2の位置396に直線的に移動している。したがって、デバイス支持接続372とデバイスモジュール392とは、間隔395だけ離れている。
図37及び
図38に示される実施例において、遠位支持アーム370は1自由度を有する。別の実施例では、遠位支持アーム370は、多自由度を有する関節又は駆動アームであってもよい。
【0062】
上述したように、デバイス支持体の両端を固定点(前方(又は遠位)及び後方(又は近位))に接続して、デバイスモジュールの間、又は最も遠位のデバイスモジュールとデバイス支持接続との間で、デバイス支持体に適切な張力を与え、EMDが座屈しないようにすることができる。上述のデバイス支持接続372は、ロボット制御駆動装置において最も遠位のカセットのデバイス支持体に対し前方(又は遠位)固定点を提供する。最も遠位のカセットのデバイス支持体は、遠位支持アーム370に連結されている支持アーム(例えば、
図4に示される支持アーム118)を使用して、後方(又は近位)固定点を備える。可動の遠位支持アームであれば支持アームも可動である。
図39に示す実施例は、第1の位置における可動遠位支持アーム及び可動支持アームを上面図で示す。
図39において、遠位支持アーム410は、第1の位置414にある。デバイスモジュール406は、第1のステージ402を使用してレール又は直線部材400に連結される。デバイス支持体408は、デバイスモジュール406に(例えば、装置モジュールのカセットに)配置され、デバイス支持体408の遠位端が、遠位支持アーム410にある
デバイス支持接続411(前方(又は遠位)固定点)に接続されている。デバイス支持体408の近位端は、後方(又は近位)固定点409で支持アーム412の近位端に接続されている。第2のステージ403がレール400(又はシステム内の別のレール(図示していない))に連結され、レール400に沿って手動又はロボット制御で移動し、遠位支持アーム410と支持アーム412の位置を変える。
図40に示す実施例は、第2の位置における可動遠位支持アーム及び可動支持アームを上面図で示す。
図40において、第2のステージ403、遠位支持アーム410、及び支持アーム412は、デバイスモジュール406からより遠位の第2の位置416に直線的に移動してる。支持アーム412は、デバイス支持接続411と共に動くので、デバイス支持接続411と後方固定点409との間には、常に同じ長さのデバイス支持体408が存在する。
図41に示す実施例は、遠位支持アーム及び支持アームの第2の位置から第1の位置への動きを上面図で示す。
図41において、デバイス支持接続411、支持アーム412、遠位支持アーム410、及び第2のステージ403は、第2の位置416(点線で示す)でスタートする。第2のステージ403は、矢印418によって示されるように、レール400に沿って第1の位置414へ直線的に移動するように駆動される。デバイス支持接続、支持アーム、遠位支持アーム、後方固定点、及び第2ステージの第1の位置は、それぞれ参照番号411’,412’,410’,409’,及び403’で示されている。
【0063】
図42に示す実施例は、オンデバイスアダプタを有するカテーテルを斜視図で示し、
図43に示す実施例は、オンデバイスアダプタを有するガイドワイヤを斜視図で示す。ここで使用するオンデバイスアダプタは、駆動インターフェースを提供するためにEMDを取り外し可能にクランプすることができる滅菌装置である。
図42において、カテーテル420は、止血弁又はハブ(例えば回転止血弁)424をカテーテル420の近位端426に含む。オンデバイスアダプタ422は、カテーテルの近位端426にある止血弁424より遠位側でカテーテル420に位置する。
図42の実施例では、オンデバイスアダプタの外面は、ギアとして形成される。オンデバイスアダプタ422のギア部分は、カセット、例えば
図26aに示されるカセット316、のギア322(
図26aに示される)と相互作用するように構成される。デバイスモジュール(図示されていない)からカセット内のギアに(例えば連結器を介して)動力が伝達されると、このカセット内のギアは、カテーテル420の
オンデバイスアダプタ422のギア部分と相互作用してカテーテルを回転させる。別の実施例では、オンデバイスアダプタ422の回転は、カテーテル420をピンチ/アンピンチするように構成されてもよい。一実施例では、オンデバイスアダプタ422の内部表面が、細長い医療デバイス(例えばカテーテル420)の標準ルアーセクションに確実に装着される。別の実施例では、オンデバイスアダプタの内部表面は、細長い医療デバイスの近位端の側部表面にクランプされる。別の実施例では、オンデバイスアダプタは、EMDの円筒部位(シャフト)に装着される。さらに別の実施例では、オンデバイスアダプタはEMDに直接装着されず、インターフェースを介してEMDに取り付けられる。動力は、例えば、(上述のように)歯車、摩擦面(例えばタイヤやローラ)、ベルト、空気圧、又は磁気/電磁連結などの様々な方法で、カセットからオンデバイスアダプタに伝達することができる。
【0064】
図43では、ガイドワイヤ430が、オンデバイスアダプタ432と共に示されている。
図43の実施例では、オンデバイスアダプタ432はコレットで、コレットの近位端436にギア434を備える。コレット432は、ガイドワイヤ430を把持するように構成されている。ここで使用される「コレット」は、EMDの一部を取り外し可能な方式で固定するための装置である。一実施例において、コレットは、互いに対し動かせる2つの部材を含み、その2つの部材の少なくとも1つに取り外し可能にEMDを固定する。この固定は、動作パラメータ中にコレットとEMDの意図的相対動がないことを意味する。ギア434は、カセット、例えば
図26aに示されるカセット316、のギア322(
図26aに示される)と相互作用するように構成されている。動力がデバイスモジュール(図示せず)からカセット内のギアに(例えば連結器を介して)伝達されると、カセット内のギアが、ガイドワイヤ430のギア434と相互作用してガイドワイヤ430を回転させる。別の実施例では、ギア
434を介したオンデバイスアダプタ432の回転がガイドワイヤ430をピンチ/アンピンチするように構成されてもよい。細長い医療デバイス及びオンデバイスアダプタは、
図44に示すようにカセット内に収容することができる。
図44では、ガイドワイヤ430及びコレット432がカセット440のクレードル442の中に配置されている。細長い医療デバイスとオンデバイスアダプタは、1つのカセットから取り出し、別の未実装のカセットに移動させることができる。
図45は、カセット440から取り外された、ガイドワイヤ430及びギア434を有するコレット432を示す。カセットが同型で、細長い医療デバイスをカセットに接続するためにオンデバイスアダプタが使用される場合、該デバイス及びオンデバイスアダプタは未実装のカセットの間で移し替えることができ、ロボット制御駆動装置の数及び構成を変更することを可能にする。
【0065】
図46に示す実施例は、カセットを上面図で示す。カセット450は、遠位端452と近位端454を備えており、ガイドワイヤやカテーテルなどのEMDとのインターフェースに主に使用される。遠位端452と近位端454との間の領域は、クレードル456と、中間部458と、カセットの縦方向デバイス軸461に対し角度をつけて配置されるオフ軸リセス460とを含む。中間部458及びオフ軸リセス460は、EMDアダプタを受け入れるように構成され得る。EMDアダプタは、例えばバルーンガイドカテーテル(一体化されたY-コネクタを含む)や、ラピッドエクスチェンジバルーンなどのラピッドエクスチェンジデバイスといった、特殊な近位端を有するEMDとカセットとをインターフェースする。
図47に示す実施例は、細長い医療デバイス(EMD)アダプタと蓋を分解図で示す。
図47に示したEMDアダプタ462は、ラピッドエクスチェンジEMDアダプタである。EMDアダプタは、蓋464、第1セクション466及び第2セクション468を含む。第1セクションは、ガイドワイヤを収容するように構成されている。第2セクションは、EMD、例えばラピッドエクスチェンジEMD470、を収容するように構成されている。一実施例では、EMD470はラピッドエクスチェンジバルーンである。第2セクション468は、第1セクション466の縦軸に対し所定の角度をもって配置される。第2セクションは、EMD470の近位端を保持するために使用されるクリップ472も含む。
図48に示す実施例は、カセット内に配置されたEMDアダプタ及びEMDを斜視図で示す。EMDアダプタ462の第1セクション466は、カセット450のクレードル456及び中間部458に配置される。
EMDアダプタ462用の第2セクション468は、オフ軸リセス460に配置される。ラピッドエクスチェンジEMD470(例えばラピッドエクスチェンジバルーン)をEMDアダプタ462の第2セクションに配置し、EMD470の近位端をクリップ472を用いて適所にクリップする。EMDアダプタ462の第1セクション466は、近位側のデバイスモジュール(図示していない)からガイドワイヤ(図示していない)を受け入れるために使用されることがある。ガイドワイヤは、カセット450を通過し、近位側のデバイスモジュールによって駆動される場合がある。EMDアダプタ462は、ガイドワイヤに対し座屈支持を提供する。別の実施例では、EMDアダプタは、バルーンガイドカテーテルと接続するように構成されてもよい。バルーンガイドカテーテルについては、EMDアダプタは、直線動作に関しバルーンガイドカテーテルの近位端を拘束するように構成されてもよいが、バルーンガイドカテーテルを回転させることはしない。
【0066】
ロボット制御駆動装置においてデバイスモジュールを使用してハブ駆動されるときに、負荷検知システムを使用して、EMDに加えられる負荷を測定することが好ましい。EMDハブにかかる直線的な力を正確に検知するために、検知対象のデバイスモジュール(例えばEMD及びEMDハブ)内のコンポーネントは、外力から隔離されるべきである。デバイス支持体は、緊張させられ、カセットを通して方向転換させされ、スプリットさせられるときに、カセットに力を加える。デバイス支持体のコネクタと別のカセットの
前進拘束部との接続も力を加える。一実施例によると、デバイスモジュールのカセットは、EMDハブにかかる直線的な力を分離するために、EMDを支持するカセットの部分をカセットのその余の部分から分離するように構成されてもよい。
図49に示す実施例は、浮遊(又は分離)インターフェース及び剛性支持部を有するカセットを上面図で示す。カセット500は、カセット内に位置する浮遊(又は分離)インターフェース(又はコンポーネント)506を備え、浮遊インターフェース506に配置されるEMD502の支持を提供する。カセット500の残り(例えばハウジング)は、剛性支持部508を形成する。EMD502は、駆動機構、例えば浮遊インターフェース506内のベベルギア(図示されていない)、とインターフェースするように構成された回転駆動要素504(例えば、ギアなどのオンデバイスアダプタ)を含む。回転駆動要素504は、浮遊インターフェース506の回転駆動要素クレードル510内で支持されている。浮遊インターフェース506は、カセット500の剛性支持部508の部分に対して浮遊している。例えば、浮遊(又は分離)インターフェース506は、剛性支持部508の中で及び/又は剛性支持部508に対し相対的に、移動可能である。一実施例では、浮遊インターフェース506は、剛性支持部508に対し浮遊インターフェース506が固定されないように、剛性支持部から分離されている。後述するように、浮遊インターフェース506は、EMD502に作用する実際の負荷以外の負荷から隔離されるように構成されている。剛性支持部508は、例えばカセットに配置されたデバイス支持体からの力など、力に反応する。回転力に関する測定ノイズを低減するために、EMD502の回転駆動要素504(例えばギア)を支持するクレードル510は、低静摩擦材料から形成することもできる。別の実施例では、クレードル510は、
図52に示すようにローラ534を含むことができる。例えば、ローラ534は、滑り軸受又は転がり軸受である。
【0067】
図50aに示す実施例は、カセットの浮遊(又は分離)インターフェース及び剛性支持部を端部断面図で示す。浮遊(又は分離)インターフェース506は、カセット500のハウジングのリセス又は開口536(
図50bに示される)の中に位置し、第1のスロット514と第2のスロット515によって剛性支持部508から分離され、限定された可動域に閉じ込められている。一実施例において、浮遊インターフェース506は、
図50bを参照して後述するように、第1のコンポーネント506a及び第2のコンポーネント506bを含む。浮遊インターフェース506は、リセス536(
図50bに示されている)の中に緩く(ルーズに)入っている。浮遊インターフェース506の可動域により、インターフェースするコンポーネント間の許容範囲を見込め、浮遊インターフェース506を駆動モジュール(例えば、
図25に示される駆動モジュール310)、特に、駆動モジュールの負荷検知部分、に取り付けることが可能となる。第1のスロット514と第2のスロット515は、X及びY方向において浮遊インターフェース506の限定的移動を許容するように構成されている。浮遊インターフェース506は浮遊(又は分離)しているが、第1のスロット514に近接した剛性支持部508の第1の側面518に第1のタブ522があり、第2のスロット515に近接した剛性支持部508の第2の側面520に第2のタブ523があるので、z方向において第1のスロット514及び第2のスロット515に閉じ込められる。浮遊インターフェース506は、第1のリセス524を浮遊インターフェース506の第1の側面526に含み、第2のリセス525を浮遊インターフェース506の第2の側面528に含む。タブ522,523は、浮遊インターフェース506のリセス524,525内に緩く位置する。第1のタブ522は、浮遊インターフェース506の第1のリセス524に緩く位置し、第2のタブ523は、浮遊インターフェース506の第2のリセス525に緩く位置する。一実施例において、浮遊インターフェース506と剛性支持部508は、2つの完全に独立したピースとしてよりはむしろ、ロボット制御駆動装置の利便性とセットアップに有益な単一ユニットとして存在する。浮遊インターフェース506と剛性支持部508との間の非接触、無摩擦のインターフェースは、浮遊インターフェース506をz方向において浮遊させることによって可能となる。浮遊インターフェース506を駆動モジュール(例えば、
図25に示される駆動モジュール310)に取り付けると、非接触インターフェースが達成される。例えば、駆動モジュール310にある位置決めピン313(
図25に示されている)が浮遊インターフェース506を剛性支持部508の高さまで持ち上げ、
図50に示すように非接触のインターフェースが達成される。一実施例において、その高さは1mmである。他の実施例ではその高さは1mm未満であり、他の実施例ではその高さは1mmを超える。
【0068】
浮遊(又は分離)インターフェース506の底面516は、駆動モジュールと連結するように構成されている。
図51に示す実施例は、カセットの浮遊インターフェースを底面図で示す。浮遊(又は分離)インターフェース506の底面516は、駆動モジュールの連結器(例えば、
図25に示される連結器314)を受けるためのコネクタ530と、駆動モジュールの様々なタイプの接続部材を受けるように構成された接続点532とを含む。例えば、位置決めピン313(
図25に示される)が、浮遊インターフェース506の底面516にある一連の穴及びスロットに嵌合する。位置決めピン313は、浮遊インターフェース506及び駆動モジュールをX及びY方向において拘束するために使用され得る。一実施例では、浮遊インターフェース506は、1つ以上の接続点532に配置される磁石を用いることによって、Z方向においても拘束することができる。別の実施例では、浮遊インターフェース506は、接続点532との摩擦によってz方向において拘束される。一実施例において、スロットが、駆動モジュールの位置決めピン313と相互作用して浮遊インターフェース506を拘束するために使用される。
【0069】
上述のように、浮遊(又は分離)インターフェース506は、第1のコンポーネント506aと第2のコンポーネント506bとを含む。
図50bに示す実施例は、浮遊(又は分離)インターフェースの第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを、カセットの分解斜視図で示す。第1のコンポーネント506aは、カセットが駆動モジュール310に固定された使用位置にあるときに、駆動モジュール310(
図25に示す)に向かう方向で、カセットの剛性支持部(又はカセットのハウジング)508のリセス536内に配置される。第2のコンポーネント506bは、第1のコンポーネント560aに向かう、駆動モジュール310から離れる方向で、リセス536内に配置される。浮遊(又は分離)インターフェース506は、浮遊インターフェース506が駆動モジュールに接続されているとき、剛性支持部508の中に位置し、少なくとも1つの方向において剛性支持部508から分離して配置される。剛性支持部(又はカセットのハウジング)508は、リセス536の中に位置する長手方向の向きの2つのレール507を含む。一実施例では、レール507は、タブ522,523(
図50aに関して上述した)として機能する。第1のコンポーネント506aは、剛性支持部508の上面に近い、レール507の上に位置し、第2のコンポーネント506bは、駆動モジュール(例えば、
図25に示す駆動モジュール310)に最も近い、レール507の下に近接して位置する。浮遊インターフェース506の第1のコンポーネント506a及び第2のコンポーネント506bの組み立て方向は、使用位置に関連して説明するが、浮遊インターフェース506の第1及び第2のコンポーネント506a,506bは、駆動モジュールから離して設置されることが大事である。別の言い方で説明すると、浮遊インターフェース506の第1のコンポーネント506aは、カセットのハウジングの縦軸に略垂直な方向において、カセットの上面からカセットの底面へ向かう方向で、リセス536内に挿入される。
【0070】
浮遊インターフェース506の第1のコンポーネント506aと第2のコンポーネント506bは、互いに固定される。一実施例では、1つ以上の機械式留め具を使用して、浮遊インターフェース506の第1のコンポーネント506aを第2のコンポーネント506bに固定することができる。他の実施例では、第1のコンポーネント506aと第2のコンポーネント506bとは、例えば磁石や接着剤を用いて互いに固定される。第1のコンポーネント506aと第2のコンポーネント506bは、互いに取り外し可能に固定されてもよいし、互いに取り外しできないように固定されてもよい。
【0071】
浮遊インターフェース506の第2のコンポーネント506bが駆動モジュール(例えば、
図25に示される駆動モジュール310)に取り外し可能に装着される使用位置において、第1のコンポーネント506a及び第2のコンポーネント506bは、第1のコンポーネント506a及び第2のコンポーネント506bが剛性支持部508と非接触の関係にあるように、剛性支持部508のレール507から離間している。一実施例では、カセットは、剛性支持部508から分離して非接触である浮遊インターフェース506に、ヒンジ503によって回動可能に連結されたカセットカバー505を含む。例えば、カバー505は、ヒンジ503によって第1のコンポーネント506aに回動可能に連結される。別の実施例では、カバー505は、スナップフィットのような他の接続メカニズムによって第1のコンポーネント506aに接続される。
【0072】
多くの場合に、カセット内のEMD(例えば、カテーテル)は、EMDと接続されている止血弁のサイドポートを介して様々なチューブと接続される。例えば、生理食塩水の点滴を供給するため、造影剤注入を可能にするため、吸引を可能にするため、である。EMDを直線的に操作するロボット制御駆動装置では、チューブ接続を考慮するのが有利で、特に、チューブが止血弁に引っ掛かったり引っ張られたりしないような支持アセンブリを提供することを考慮するのが有利になる。
図53に示す実施例は、チューブ及び流体接続を固定する支持アセンブリを有するカセットを例示する。チューブ及び流体接続に向けた支持アセンブリは、カセット540に配置された止血弁のサイドポート542に一端が取り付けられたチューブ544の可撓性部位を含む。チューブ544の可撓性部位の他端は、支持部546に取り付けられているクリップ548に装着されている。支持部546はカセット540に連結される。チューブ544の他端とクリップ548は、チューブ又は他の流体接続に取り付けるコネクタ(例えば雌ポート)を提供するように構成されてもよい。支持アセンブリは、ストレインリリーフを構成し、その結果、チューブ544が蛇行した場合に、その力は、止血弁
のサイドポート542ではなくて支持部546への接続に作用する。別の実施例では、ストレインリリーフのチューブ544は、マルチポート活栓マニホルドで終端してもよく、これにより、処置中、複数のチューブ接続が所定の位置に留まることが可能となる。
【0073】
上述したように、縦方向のスリットを備えた可撓性チューブから形成されたデバイス支持体の形状は、例えば、EMDのデバイス支持体への装填を可能とし且つ飛び出したり座屈したりすることなくEMDがデバイス支持体に保持されるように、開閉が可能であるべきである。
図54に示す実施例は、デバイス支持体を端部断面図で示す。
図54において、デバイス支持体550は、第1の(又は内側の)可撓性チューブ552と第2の(又は外側の)可撓性チューブ556とを含む。内側のチューブ552は、縦方向スリット554を含み、外径558と内径560とを有する。一実施例では、内側のチューブ552は、縦方向スリット554を開いて閉じることの容易な薄肉管である。外側のチューブ556は、外径562と内径564とを有する。さらに、外側のチューブ556は、第1の側縁566と第2の側縁568とで区画される縦方向の開口を有する。外側のチューブ556は、内側のチューブ552の外径558の周囲に配置される。外側のチューブ556は、例えば、内側のチューブ552のスリット554を「閉じた」姿勢に保持するのに十分な力を提供する材料を用いて形成され、これにより、スリット554をなす側縁端面どうしが接触し、内側のチューブ552内に配置されたEMD570が内側のチューブ552に保持される。また、外側のチューブ556を形成するために使用される材料は、例えば、スプリッタから力が加わると内側のチューブのスリットが強制的に開かれるように構成されていなければならない。一実施例において、外側のチューブ556の内径564は、内側のチューブ552の外径558よりも小さくすることができる。
【0074】
上述のように、デバイス支持体にEMDを封入するべくデバイス支持体の縦方向スリットを開くために、スプリッタ又はウェッジを使用してもよい。
図55に示す実施例は、デバイス支持体及びスプリッタを端部断面図で示す。
図55において、デバイス支持体580は、可撓性の第1の(又は内側の)チューブ572と可撓性の第2の(又は外側の)チューブ574とを含む。内側のチューブ572は、縦方向スリット582と、第1の
アーム576と、第2の
アーム578とを含む。一実施例では、内側のチューブ572は、縦方向スリット582を開いて閉じることの容易な薄肉管である。外側のチューブ574は、第1の側縁588と第2の側縁590とによって区画される縦方向の開口を有する。外側のチューブ574は、内側のチューブ572の外径の周りに配置されている。内側のチューブ572の第1のアーム576と第2のアーム578が、外側のチューブ574の開口内に配置される。
図55に図示の実施例では、第1のアーム576が開口の第1の側縁588と接触しており、第2のアーム578が開口の第2の側縁590と接触している。第1のアーム576及び第2のアーム578は、スプリッタ、例えばスプリッタ584、の上を走行することができる表面を提供し、これにより、デバイス支持体がスプリッタ584を通って進むときに、EMD586を封入するべく内側のチューブ572のスリット582が強制的に開かれる。第1のアーム576及び第2のアーム578は、デバイス支持体580がスプリッタ584を通って前進するときに、スプリッタ584がEMD586と接触する(例えば、擦れる)ことを防ぐ。すなわち、第1のアーム576及び第2のアーム578は、EMD586の損傷を引き起こし得るEMD586にかかる摩擦力を低減又は排除できる。
【0075】
以上の方法に則ってロボット制御カテーテルベース処置システムにおける細長い医療デバイスを支持し駆動するコンピュータ実行可能な命令は、コンピュータ可読媒体の形態で保存される。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又はその他のデータなどの情報の記憶のための各種の方式又は技術で実現される、揮発性又は不揮発性、リムーバブル、及び非リムーバブルの媒体を含む。コンピュータ可読媒体には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、電気的消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタル汎用ディスク(DVD)、又は他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、又は他の磁気記憶デバイス、あるいは、所望の命令を保存するために使用することができ、システム10(
図1に示す)によってアクセスすることができる他の媒体が含まれ、アクセスにはインターネット又は他のコンピュータネットワークの形態が含まれる。
【0076】
ここに記載されるコントロールコンピューティングシステムは、処理回路を有するプロセッサを含むことができる。このプロセッサは、中央処理装置、特定用途プロセッサ(ASIC)、1つ以上の処理コンポーネントを含む回路、分散処理コンポーネントのグループ、処理用に構成された分散コンピュータのグループなどを含み、ここに説明するモジュール又はサブシステムコンポーネントの機能を提供するように構成されている。メモリユニット(例えば、メモリデバイス、ストレージデバイスなど)は、ここに開示する様々なプロセスを完了し及び/又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを保存するためのデバイスである。メモリユニットは、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含み得る。メモリユニットは、ここに開示する様々なアクティビティをサポートするために、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント、及び/又は他のタイプの情報構造を含むことができる。一実施例によれば、過去、現在、又は将来のあらゆる分散及び/又は局所メモリデバイスが、ここに開示するシステム及び方法で利用され得る。一実施例によれば、メモリユニットは、1つ以上の関連する処理回路に通信接続されている。この接続は、回路、又は他のワイヤード、ワイヤレス又はネットワーク接続を介するものであり、ここに説明する1つ以上のプロセスを実行するためのコンピュータコードを含む。単一のメモリユニットとして、様々な個別のメモリデバイス、チップ、ディスク、及び/又は他の記憶構造又はシステムを含むことができる。モジュール又はサブシステムのコンポーネントは、各モジュールのそれぞれの機能を実行するためのコンピュータコード(例えば、オブジェクトコード、プログラムコード、コンパイル済みコード、スクリプトコード、実行可能コード、又はそれらいずれかの組み合わせ)であってもよい。
【0077】
ここでの説明は、最良の形態を含めて発明を開示するために、また、当業者が発明を実施し使用することを可能とするために、実施例を用いた。本発明の範囲は、クレームによって定義され、当業者に想定可能な他の例を含み得る。これら他の例は、それらが特許請求の範囲における特定事項から逸脱しない構成の要素をもっている場合、又は、それらが特許請求の範囲における特定事項と少し相違するが等価である構成の要素を含んでいる場合、特許請求の範囲に含まれるのは当然である。各プロセス又は方法ステップの順序及び連続性は、実施例が違えば変わり又は再編成され得る。
【0078】
発明の技術的思想から逸脱することなく、他にも多くの変更及び修正を本発明に加えることができる。これら及び他の変更の範囲は、特許請求の範囲から自明である。