(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】リール着脱装置およびフィーダ準備システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
H05K13/02 B
H05K13/02 Z
(21)【出願番号】P 2022511436
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2020015020
(87)【国際公開番号】W WO2021199375
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大樹
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 正隆
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-175686(JP,A)
【文献】特開2019-204858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 ー 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収容したテープを送出部の駆動により送り出して前記部品を供給するフィーダに対し、前記テープが巻回されたリールを着脱するリール着脱装置であって、
前記フィーダが前記部品を供給する際の所定姿勢でセットされるフィーダセットユニットと、
前記リールが前記部品を供給する際の所定姿勢でセットされるリールセットユニットと、
前記フィーダセットユニットと前記リールセットユニットとの間で前記リールの姿勢を保持したまま該リールを移載可能な移載ロボットと、
前記リールが前記リールセットユニットにセットされると、前記リールセットユニットから前記リールを取り外して前記フィーダセットユニットにセットされているフィーダに該リールを取り付けるように前記移載ロボットを制御する制御装置と、
を備え
、
前記移載ロボットは、前記テープの先端を保持可能に構成され、
前記制御装置は、前記テープの先端を保持しながら前記フィーダに前記リールを取り付けるように前記移載ロボットを制御する
リール着脱装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリール着脱装置であって、
前記フィーダセットユニットと前記移載ロボットのいずれかに配設され、前記フィーダに装着された前記リールの前記テープを前記送出部側に送る送り部を備え、
前記フィーダセットユニットは、前記送出部の駆動が可能に前記フィーダがセットされ、
前記リールセットユニットは、前記リールを回転可能に構成され
、
前記制御装置は、前記リールが前記リールセットユニットにセットされると、前記テープを所定量送り出すまで前記リールを回転させるように前記リールセットユニットを制御し、前記テープの先端を保持しながら前記リールを取り外して前記フィーダに該リールを取り付けるように前記移載ロボットを制御し、前記テープの先端が所定位置まで到達するように前記送出部と前記送り部とを制御する
リール着脱装置。
【請求項3】
請求項2に記載のリール着脱装置であって、
前記リールセットユニットは、前記リールに仮止めされた前記テープの先端を剥がす剥がし部と、前記テープの先端を切断する切断部とを有し、
前記制御装置は、前記リールが前記リールセットユニットにセットされると、前記剥がし部により前記テープの先端を剥がしてから前記テープを前記所定量送り出し、前記切断部により前記テープの先端を切断するように前記リールセットユニットを制御する
リール着脱装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリール着脱装置であって、
前記フィーダは、開状態で前記リールを着脱可能に露出する開閉カバーを有し、
前記移載ロボットは、前記フィーダセットユニットにセットされた前記フィーダの前記開閉カバーを開閉可能に構成されており、
前記フィーダセットユニットは、開状態とされた前記開閉カバーを前記移載ロボットの作動に干渉しない位置で支持する支持部を備える
リール着脱装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリール着脱装置と、
複数の前記フィーダを収納するフィーダ収納部と前記フィーダセットユニットとの間で前記フィーダを移載可能で、前記リールの着脱対象の前記フィーダを準備するフィーダ準備装置と、
複数の前記リールを収納するリール収納部と、
を備え、
前記移載ロボットは、前記リール収納部と前記リールセットユニットとの間で前記リールを移載可能である
フィーダ準備システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、リール着脱装置およびフィーダ準備システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を収容したテープが巻回されたリールをフィーダから自動で着脱するものが提案されている。例えば、特許文献1には、フィーダを搬送するフィーダ搬送機構と、フィーダ搬送機構の上方に設けられたパラレルリンクロボットとを備えるテープ交換システムが記載されている。また、パラレルリンクロボットが上方からリール交換作業を行えるように、フィーダ搬送機構は、フィーダのリール取付面が上方を向くように倒した姿勢でフィーダを搬送する。これにより、作業者の手を煩わせることなく、リールの交換作業を自動で行うことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなリールの交換作業の自動化を推進することは、生産効率を上げるために重要な課題といえる。しかしながら、上述したシステムでは、フィーダが部品を供給する際の所定姿勢とは異なり、リール取付面が上方を向くようにフィーダを倒した姿勢で作業を行うため、テープに収容されている部品も倒れることがある。このため、リールを取り付けたフィーダを所定姿勢にしても、テープに収容されている部品が正しい姿勢に戻らないことがある。また、フィーダやリールが倒した姿勢とされている間に、テープに収容されている部品が脱落することもある。このようなことがあると、フィーダが部品を適切に供給することができず、生産効率が低下する場合がある。
【0005】
本開示は、フィーダに対するリールの着脱をロボットを用いて自動で行うものにおいて、リールの着脱をより適切に行うことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示のリール着脱装置は、
部品を収容したテープを送出部の駆動により送り出して前記部品を供給するフィーダに対し、前記テープが巻回されたリールを着脱するリール着脱装置であって、
前記フィーダが前記部品を供給する際の所定姿勢でセットされるフィーダセットユニットと、
前記リールが前記部品を供給する際の所定姿勢でセットされるリールセットユニットと、
前記フィーダセットユニットと前記リールセットユニットとの間で前記リールの姿勢を保持したまま該リールを移載可能な移載ロボットと、
前記リールが前記リールセットユニットにセットされると、前記リールセットユニットから前記リールを取り外して前記フィーダセットユニットにセットされているフィーダに該リールを取り付けるように前記移載ロボットを制御する制御装置と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本開示のリール着脱装置は、部品を供給する際の所定姿勢でフィーダがフィーダセットユニットにセットされ、所定姿勢でリールがリールセットユニットにセットされる。また、移載ロボットは、フィーダセットユニットとリールセットユニットとの間でリールの姿勢を保持したまま移載可能である。このため、リールやフィーダを倒す必要がないから、テープに収容されている部品の姿勢が大きく変化したり、部品が脱落したりするのを防止することができる。したがって、フィーダに対するリールの着脱を移載ロボットを用いて自動で行うものにおいて、リールの着脱をより適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】リール着脱装置30の電気的な接続関係を示すブロック図。
【
図9】リール取り付け処理の一例を示すフローチャート。
【
図10】リール取り付け処理におけるリール120の移載の様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態の部品実装システム1の概略構成図である。部品実装システム1は、基板への部品の実装などを行う実装ライン10と、部品の供給の準備などを行う準備ライン20と、システム全体を管理する管理装置2とを備え、これらが工場内などに設置されている。管理装置2は、図示しないCPUやROM,RAM,HDDを備えるコンピュータとして構成されており、実装ライン10の各装置に実装に関する情報や指示を出力したり、準備ライン20の各装置に準備に関する情報や指示を出力したりする。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1に示した通りとする。
【0011】
実装ライン10は、
図1に示すように、基板上にはんだを印刷する印刷装置12と、印刷されたはんだの状態を検査する印刷検査装置14と、部品を基板上に実装する実装装置16とを備える。実装装置16は、基板の搬送方向(X軸方向)に沿って複数並べて設置され、部品供給用の複数のフィーダ100を前面に装着可能となっている。各実装装置16は、装着されたフィーダ100から供給される部品を採取して基板に実装するように構成されている。また、実装ライン10は、複数の実装装置16のうち基板の搬送方向で最も上流側の実装装置16と印刷検査装置14との間に設置されたフィーダ置き場18と、複数の実装装置16の前方およびフィーダ置き場18の前方を基板の搬送方向に沿って移動するローダ19とを備える。AGV(無人搬送車)4や作業者は、フィーダ置き場18に必要なフィーダ100を収容したり、フィーダ置き場18から不要なフィーダ100を回収したりする。また、ローダ19は、フィーダ置き場18から必要なフィーダ100を取り出して実装装置16に補給したり、各実装装置16から不要なフィーダ100を回収してフィーダ置き場18に戻すように構成されている。なお、実装ライン10が、これらの他に、部品が実装された基板のリフロー処理を行うリフロー装置などを備えてもよい。
【0012】
ここで、
図2~
図4はフィーダ100の概略構成図である。フィーダ100は、部品を収容したテープ130が巻回されたリール120が本体101に着脱可能に取り付けられ、テープ130を送り出すことにより部品を供給する。なお、リール120には、リール120のIDやテープ130が収容している部品種の情報などを示すラベル122が貼り付けられている。テープ130は、長手方向に所定間隔で複数のキャビティ(凹部)が形成され各キャビティに部品が収容されるボトムテープと、ボトムテープの表面を覆うように貼着されたカバーテープとにより構成される。なお、テープ130は、長手方向に等間隔で係合穴が形成されている。
【0013】
フィーダ100は、本体101と、テープ送り部102と、テープガイド104と、リールカバー106と、回収部107と、コネクタ108と、位置決めピン109と、図示しない制御部とを備える。なお、
図2はリールカバー106を省略し、
図3は閉状態のリールカバー106を示し、
図4は開状態のリールカバー106を示す。
【0014】
テープ送り部102は、テープ130の係合穴に係合する突起が外周に設けられたスプロケットと、スプロケットを駆動するモータ103(
図6参照)とを備える。テープ送り部102は、テープ130をスプロケットに係合させた状態で、モータの正回転によりスプロケットを間欠回転させてテープ130を部品の供給位置に向けてピッチ送りする。また、テープ送り部102は、モータの逆回転によりテープ130をリール120側に戻すこともできる。なお、本体101には、リールカバー106が設けられていない背面板の上部に開口101aが形成されている。テープガイド104は、本体101の上部に設けられ、カバーテープが剥離されたボトムテープを部品の供給位置までガイドする。リールカバー106は、本体101内の上部側に開閉可能に設けられており、
図3の閉状態でリール120が脱落しないように覆い、
図4の開状態でリール120を着脱可能に露出する。回収部107は、テープ130から剥離されたカバーテープを回収する。回収部107は、例えば一対のギヤの回転によりカバーテープを引き込みながら回収する回収ボックスや、カバーテープを巻き取りながら回収する回収ドラムなどとして構成されている。コネクタ108および位置決めピン109は、本体101の端面から突出するように設けられている。図示は省略するが、実装装置16やフィーダ置き場18などのフィーダ台には、コネクタ108が接続可能なコネクタと位置決めピン109が係合可能なピン穴とが設けられている。このため、フィーダ100がフィーダ台に装着されると、コネクタ108がフィーダ台のコネクタに接続されると共に位置決めピン109がピン穴に係合する。フィーダ100の図示しない制御部は、コネクタの接続を介して実装装置16の制御部などと通信可能となり、部品の供給指示を受けてテープ130をピッチ送りするようにテープ送り部102を制御する。
【0015】
準備ライン20は、
図1に示すように、リール自動収納庫22と、リール置き場25と、フィーダ収納庫26と、フィーダ置き場28と、ローダ29と、リール着脱装置30とを備える。リール自動収納庫22は、前方に設けられた受け台22aに載置されたリール120を自動で収納して庫内に保管したり、庫内から必要なリール120を自動で取り出して受け台22aに載置したりするように構成されている。なお、これらのリール120は、テープ130の先端が仮止め用テープで仮止めされた状態で収容されている。AGV4や作業者は、実装ライン10から回収したフィーダ100をフィーダ置き場28に戻したり、フィーダ置き場28から必要なフィーダ100を取り出して実装ライン10のフィーダ置き場18に収容する。ローダ29は、複数のフィーダ収納庫26の前方およびフィーダ置き場28の前方を移動し、フィーダ置き場28からフィーダ100を取り出してフィーダ収納庫26に収容したり、フィーダ収納庫26からフィーダ100を取り出してフィーダ置き場28に収容する。また、ローダ29は、リール120の着脱対象のフィーダ100をリール着脱装置30内に移載する。なお、
図1では、リール置き場25として、使用済み(部品切れ)のリール120の置き場と、新たなリール120の置き場との2つを例示する。
【0016】
リール着脱装置30は、
図5,
図6に示すように、基台31に設けられたフィーダセットユニット40と、基台32に設けられたリールセットユニット50と、基台33に設けられたリール移載ロボット60と、基台33に設けられた制御装置39とを備える。なお、各ユニットが共通の基台に設けられてもよい。また、図示は省略するが、リール着脱装置30が、フィーダ100に取り付けられたリール120のラベル122を撮像可能なカメラを備えてもよい。
【0017】
フィーダセットユニット40は、基台31上のベース41に、リール120の着脱対象のフィーダ100がローダ29により移載されるユニットであり、実装装置16などで使用される際即ち部品を供給する際と同じ所定姿勢(
図1参照)でフィーダ100がセットされる。フィーダセットユニット40は、
図7に示すように、フィーダ100のコネクタ108が接続可能なコネクタ42と位置決めピン109が係合可能なピン穴とがベース41に設けられている。このため、フィーダ100がフィーダセットユニット40にセットされると、制御装置39は、コネクタ108とコネクタ42の接続を介してフィーダ100の制御部と通信してテープ送り部102を制御可能となる。
【0018】
また、フィーダセットユニット40は、カバー支持部43と、テープ送り部45とを備える。カバー支持部43は、開状態のリールカバー106を支持する支持片44と、支持片44を回動させるモータ44aとを備える。カバー支持部43は、リールカバー106が開状態とされると、モータ44aの駆動により支持片44を初期位置から略90度回動させることにより、支持片44をリールカバー106の端部に引っ掛けるように係合させてリールカバー106を開状態で支持する。また、カバー支持部43は、モータ44aの駆動により支持片44を初期位置に戻すことによりリールカバー106の支持を解除する。なお、カバー支持部43は、フィーダ100にリール120を着脱するために必要なリール移載ロボット60の作動範囲からリールカバー106が外れた位置で、開状態のリールカバー106を支持する。
【0019】
テープ送り部45は、チャック46と、チャックシリンダ46aと、チャックベース47と、スライドガイド48と、スライドアクチュエータ49とを備える。チャック46は、チャックシリンダ46aの作動により開閉してテープ130を掴むように構成されている。チャック46およびチャックシリンダ46aは、チャックベース47に設けられている。チャックベース47は、モータやシリンダなどを含んで構成されたスライドアクチュエータ49の駆動により、左右方向(X軸方向)およびテープ130の送り方向に沿って移動可能となっている。チャックベース47と共にチャック46が左から右(紙面奥から手前)に移動すると、チャック46は、開口101aからフィーダ100内に進入して、リール120からテープ送り部102までの間でテープ130を掴むことができる。また、スライドガイド48にはテープ130の送り方向に沿うように、ガイド穴48aが斜めに形成されている。チャック46がテープ130を掴んだ状態で、スライドアクチュエータ49の駆動によりチャックベース47がガイド穴48aにガイドされながらスライドすることで、テープ130を送り方向に沿って送ることができる。
【0020】
リールセットユニット50は、基台32上のベース51に、フィーダ100への取り付け対象のリール120が移載されるユニットであり、実装装置16などで使用される際即ち部品を供給する際と同じ所定姿勢でリール120がセットされる。リールセットユニット50は、
図8に示すように、リール120を回転させる回転部52と、リール120に仮止めされたテープ130の先端を剥がす剥がし部54と、テープ130の先端を切断する切断部57とを備える。回転部52は、ベース51に取り付けられたモータ52a(
図6参照)と、プーリ53とを備え、プーリ53を介してモータ52aの駆動力を伝達してリール120を回転させる。剥がし部54は、ベース51に取り付けられたモータ54a(
図6参照)と、モータ54aの駆動によりリール120に近付くように作動する作動アーム55と、作動アーム55の先端に取り付けられた剥がし片55aとを備える。剥がし部54は、リール120に作動アーム55が近付いて剥がし片55aがテープ130に当接した状態でリール120が回転すると、仮止め用テープが剥がし片55aに引っ掛かることで、テープ130の先端を剥がすことができる。切断部57は、カッター刃を昇降させるカッターシリンダ57aと、切断台58と、テープ130の係合穴に係合する突起が外周に設けられたスプロケット59と、スプロケット59を回転させるモータ59aとを備える。切断部57は、モータ59aの駆動によりスプロケット59を回転させることで、切断台58上にテープ130を送り、カッターシリンダ57aを作動させることで、切断位置まで送られたテープ130をカッター刃により切断する。
【0021】
リール移載ロボット60は、
図5に示すように、基台33上に配設された垂直多関節型のロボットアーム61と、ロボットアーム61の各アームの関節を駆動する複数のモータ61a(
図6参照)や各関節の回転角度を検出する図示しないエンコーダと、アームの先端に取り付けられたエンドエフェクタ62とを備える。エンドエフェクタ62は、フィーダ100のリールカバー106をチャックするカバーチャック部64と、リール120をチャックするリールチャック部66と、リール120のテープ130をチャックするテープチャック部68(
図6,
図10参照)とを備える。リール移載ロボット60は、カバーチャック部64により、フィーダセットユニット40にセットされているフィーダ100のリールカバー106を掴んだ状態で、ロボットアーム61を上方に作動させることで、リールカバー106を開くことができる。また、リール移載ロボット60は、リールチャック部66により、受け台22aやリール置き場25に載置されたリール120を掴んだ状態で、ロボットアーム61を作動させることで、リール120をリールセットユニット50にセットすることができる。さらに、リール移載ロボット60は、リールチャック部66とテープチャック部68とにより、リールセットユニット50にセットされているリール120をテープ130の先端を掴みながら取り外し、ロボットアーム61を作動させることで、リール120をフィーダセットユニット40にセットすることができる。リール移載ロボット60は、フィーダセットユニット40とリールセットユニット50との間で、リール120の所定姿勢を保持したままリール120を移載するように、ロボットアーム61が作動する。
【0022】
制御装置39は、CPU39aやROM39b,RAM39cなどを備える。制御装置39には、リール着脱装置30の各ユニットやリール移載ロボット60からステータス情報などが入力され、管理装置2からリール自動収納庫22やローダ29のステータス情報やリール120の着脱指示などが入力される。制御装置39は、それらの情報や着脱指示に基づいて、リール着脱装置30の各ユニットやリール移載ロボット60に制御信号を出力しながら、フィーダセットユニット40にセットされているフィーダ100に対するリール120の着脱を行う。
【0023】
以下は、こうして構成されたリール着脱装置30の動作の説明である。
図9はリール取り付け処理の一例を示すフローチャートであり、
図10はリール取り付け処理におけるリール120の移載の様子を示す説明図である。なお、
図10は上方から見た説明図である。
図9の処理は、リール120の取り付け対象のフィーダ100がフィーダセットユニット40にセットされている場合に制御装置39により実行される。まず、制御装置39は、フィーダ100のリールカバー106を開いて支持するようにリール移載ロボット60とフィーダセットユニット40のカバー支持部43とを制御する(S100)。上述したように、カバー支持部43は、リール移載ロボット60によるリール120の着脱動作に干渉しないように、リールカバー106を開状態で支持する。次に、制御装置39は、リール移載ロボット60がリール自動収納庫22の受け台22aから取り付け対象のリール120を受け取り(S110)、そのリール120をリールセットユニット50にセットするように(S120)、リール移載ロボット60を制御する。
【0024】
続いて、制御装置39は、剥がし部54の剥がし片55aをテープ130に当てながらリール120を回転させるようにリールセットユニット50を制御する(S130)。これにより、リールセットユニット50は、仮止めされたテープ130の先端を剥がすことができる。剥がされたテープ130は、反発力により先端がリール120から外方に飛び出るため、テープ130はリール120から所定量送り出された状態となる。そして、制御装置39は、リール120から外方に飛び出たテープ130の先端をテープチャック部68が掴んで切断部57の切断位置まで送るようにリール移載ロボット60とリールセットユニット50とを制御し(S140)、切断位置まで送られたテープ130の先端を切断する(S150)。この先端処理により、仮止め用テープが除去される。
【0025】
そして、制御装置39は、リール120の姿勢を保持したままリールセットユニット50からリール120を取り外し、フィーダセットユニット40にセットされているフィーダ100に取り付けるように、リール移載ロボット60を制御する(S160)。S160では、リール移載ロボット60は、切断されたテープ130の先端をテープチャック部68が掴むと共にリールチャック部66が所定姿勢のリール120を掴んだ状態で(
図10A)、リール120の所定姿勢を保持しながら旋回し(
図10B)、所定姿勢のリール120をフィーダ100まで移動させて取り付ける(
図10C)。これにより、リール120が所定姿勢から大きく傾くことがないから、テープ130内の部品の姿勢が大きく変化したり部品がテープ130から脱落するのを防止することができる。なお、リール120がフィーダ100に取り付けられると、制御装置39は、リール移載ロボット60のテープチャック部68が掴んでいたテープ130を、テープ送り部45のチャック46が掴むようにフィーダセットユニット40を制御すると共にテープチャック68がテープ130を離すようにリール移載ロボット60を制御する。
【0026】
こうしてリール120がフィーダ100にセットされると、制御装置39は、テープ130を送り出すようにフィーダセットユニット40を制御する(S170)。S170では、制御装置39は、テープ送り部45のチャック46がテープ130を掴み替えながらテープ130の先端をフィーダ100のテープ送り部102まで送るように、テープ送り部45を制御する。また、制御装置39は、フィーダ100のテープ送り部102が正回転してテープ130の先端を所定位置まで送るようにテープ送り部102を制御する。
【0027】
そして、制御装置39は、カバー支持部43による支持を解除してリールカバー106を閉じるようにフィーダセットユニット40とリール移載ロボット60を制御して(S180)、リール取り付け処理を終了する。なお、リール着脱装置30がリール120のラベル122を撮像可能なカメラを備える場合、制御装置39は、リールカバー106を閉じる前にカメラによりラベル122を撮像させ、撮像された画像を画像処理してラベル122の情報を認識してもよい。制御装置39は、認識した情報に基づいて、正しいリール120が取り付けられたか否かを確認したり、フィーダ100に対応付けて登録したり、管理装置2にリール120の取り付け完了の旨と共に情報を送信したりすればよい。
【0028】
また、リール着脱装置30は、フィーダセットユニット40にセットされたフィーダ100からリール120の取り外し処理を行うこともできる。取り外し処理では、制御装置39は、まずテープ130の巻き戻しを行うように、フィーダ100のテープ送り部102を制御する。テープ130の巻き戻しは、例えば既に部品を供給済みの部分がリール120に巻き戻されるまで行われる。制御装置39は、テープ送り部45を駆動してテープ130を巻き戻してもよい。また、リール移載ロボット60のリールチャック部66を回転可能に構成し、制御装置39は、テープ送り部102の逆回転に合わせてリール120を逆回転させるようにリール移載ロボット60を制御してもよい。また、フィーダセットユニット40が切断部を備え、制御装置39は、テープ130が巻き戻されると、部品を供給済みの部分でテープ130を切断するように切断部を制御してもよい。
【0029】
次に、制御装置39は、リール120をフィーダ100から取り外して所定位置に移載するようにリール移載ロボット60を制御する。テープ130に残りの部品がある場合、リール移載ロボット60は、
図10と同様に、リール120を所定姿勢のまま例えばリールセットユニット50に移載する。なお、リールセットユニット50が、テープ130を仮止め用テープで止める仮止め部を備えてもよい。その場合、制御装置39は、リールセットユニット50にセットされたリール120のテープ130を仮止めするように仮止め部を制御する。あるいは、フィーダセットユニット40が仮止め部を備えてもよい。制御装置39は、仮止めが完了したリール120がリール自動収納庫22の受け台22aに移載されるように、リール移載ロボット60を制御すればよい。また、テープ130に残りの部品がなければ、制御装置39は、リール120が使用済みのリール置き場25に移載されるようにリール移載ロボット60を制御すればよい。なお、リール移載ロボット60は、基台33の上板に形成された排出口からリール120を排出してもよい。
【0030】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のリール着脱装置30が本開示のリール着脱装置に相当し、フィーダセットユニット40がフィーダセットユニットに相当し、リールセットユニット50がリールセットユニットに相当し、リール移載ロボット60が移載ロボットに相当し、制御装置39が制御装置に相当する。テープ送り部45が送り部に相当する。剥がし部54が剥がし部に相当し、切断部57が切断部に相当する。リールカバー106が開閉カバーに相当する。また、準備ライン20がフィーダ準備システムに相当し、フィーダ収納庫26がフィーダ収納部に相当し、ローダ29がフィーダ準備装置に相当し、リール自動収納庫22がリール収納部に相当する。
【0031】
以上説明したリール着脱装置30では、リール移載ロボット60が所定姿勢のリール120をリールセットユニット50から取り外し、フィーダセットユニット40にセットされているフィーダ100に、所定姿勢を保持したままリール120を移載して取り付ける。このため、リール120やフィーダ100を倒す必要がなく、テープ130に収容されている部品の姿勢が大きく変化したり部品が脱落するのを防止することができるから、リール120の着脱をより適切に行うことができる。また、収容される部品の種類によりテープ130(リール120)の幅などのサイズが異なる場合でも、リール移載ロボット60のロボットアーム61の作動プログラムやパラメータを変更することにより、容易に対応してリール120の着脱を適切に行うことができる。
【0032】
また、リール移載ロボット60がテープ130の先端を保持しながらリール120をリールセットユニット50から取り外してフィーダ100に取り付け、フィーダ100のテープ送り部102とフィーダセットユニット40のテープ送り部45とがテープ130の先端を所定位置まで送るから、テープ130の先端処理を適切に行うことができる。また、剥がし部54によりテープ130の仮止め用テープを剥離することができるから、テープ130の先端処理をより適切に行うことができる。また、カバー支持部43は、開状態とされたリールカバー106をリール移載ロボット60の作動に干渉しない位置で支持するから、リール120の着脱を効率よく行うことができる。
【0033】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、リールカバー106がフィーダ100の上部側に開閉可能に取り付けられたものを例示したが、これに限られず、リールカバー106がフィーダ100に開閉可能に取り付けられていればよく、下縁に取り付けられていてもよいし、開閉方向が左右方向であってもよい。
【0035】
上述した実施形態では、フィーダ100のテープ送り部102を駆動可能にフィーダ100がフィーダセットユニット40にセットされたが、これに限られず、テープ送り部102を駆動不能にフィーダ100がセットされてもよい。また、テープ送り部45がフィーダセットユニット40に設けられたが、これに限られず、テープ送り部45がフィーダセットユニット40以外に設けられてもよく、例えばリール移載ロボット60に設けられてもよい。即ち、フィーダセットユニット40は、フィーダ100が部品を供給する際の所定姿勢でセットされるものであればよい。
【0036】
上述した実施形態では、リールセットユニット50が回転部52と剥がし部54と切断部57とを備えたが、これらのいずれかまたは全てがリールセットユニット50とは別に設けられてもよい。即ち、リールセットユニット50は、リール120が所定姿勢でセットされるものであればよい。なお、回転部52と剥がし部54と切断部57のいずれかがリール移載ロボット60のエンドエフェクタ62に設けられてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、リール移載ロボット60が、カバーチャック部64とテープチャック部68とを備えたが、これらを備えなくてもよい。即ち、リール移載ロボット60は、リールチャック部66でリール120を所定姿勢を保持したまま、フィーダセットユニット40とリールセットユニット50との間で移載するものであればよい。なお、フィーダセットユニット40が、リールカバー106を開閉可能に構成されてもよい。
【0038】
上述した実施形態では、リール着脱装置30以外に、フィーダ100をフィーダセットユニット40にセットするローダ29やリール移載ロボット60がリール120の受け渡しを行うリール自動収納庫22などを備える準備ライン20(準備システム)を例示したが、これに限られるものではない。リール着脱装置30が単独で配置され、フィーダ100のセットをAGVなどの別の装置や作業者が行ってもよいし、リール移載ロボット60がAGVなどの別の装置との間でリール120の受け渡しを行ってもよい。
【0039】
ここで、本開示のリール着脱装置は、以下のように構成してもよい。本開示のリール着脱装置において、前記フィーダセットユニットと前記移載ロボットのいずれかに配設され、前記フィーダに装着された前記リールの前記テープを前記送出部側に送る送り部を備え、前記フィーダセットユニットは、前記送出部の駆動が可能に前記フィーダがセットされ、前記リールセットユニットは、前記リールを回転可能に構成され、前記移載ロボットは、前記テープの先端を保持可能に構成され、前記制御装置は、前記リールが前記リールセットユニットにセットされると、前記テープを所定量送り出すまで前記リールを回転させるように前記リールセットユニットを制御し、前記テープの先端を保持しながら前記リールを取り外して前記フィーダに該リールを取り付けるように前記移載ロボットを制御し、前記テープの先端が所定位置まで到達するように前記送出部と前記送り部とを制御するものとしてもよい。こうすれば、移載ロボットを用いたリールの取り付けにおいて、テープの先端処理を適切に行うことができる。
【0040】
本開示のリール着脱装置において、前記リールセットユニットは、前記リールに仮止めされた前記テープの先端を剥がす剥がし部と、前記テープの先端を切断する切断部とを有し、前記制御装置は、前記リールが前記リールセットユニットにセットされると、前記剥がし部により前記テープの先端を剥がしてから前記テープを前記所定量送り出し、前記切断部により前記テープの先端を切断するように前記リールセットユニットを制御するものとしてもよい。こうすれば、テープの先端が仮止めされた状態のリールであっても、先端処理を適切に行うことができる。
【0041】
本開示のリール着脱装置において、前記フィーダは、開状態で前記リールを着脱可能に露出する開閉カバーを有し、前記移載ロボットは、前記フィーダセットユニットにセットされた前記フィーダの前記開閉カバーを開閉可能に構成されており、前記フィーダセットユニットは、開状態とされた前記開閉カバーを前記移載ロボットの作動に干渉しない位置で支持する支持部を備えるものとしてもよい。こうすれば、開閉カバーがリールの移載に干渉するのを防止して、リールの取り外しと取り付けを効率よく行うことができる。
【0042】
本開示のフィーダ準備システムは、上述したいずれかのリール着脱装置と、複数の前記フィーダを収納するフィーダ収納部と前記フィーダセットユニットとの間で前記フィーダを移載可能で、前記リールの着脱対象の前記フィーダを準備するフィーダ準備装置と、複数の前記リールを収納するリール収納部と、を備え、前記移載ロボットは、前記リール収納部と前記リールセットユニットとの間で前記リールを移載可能であることを要旨とする。本開示のフィーダ準備システムは、上述したいずれかのリール着脱装置によりフィーダに自動でリールを着脱するから、リールの着脱をより適切に行うことができる。また、フィーダの準備やリールの準備も自動で行うことができるから、フィーダに対するリールの着脱をさらに効率よく行うことができる。
【0043】
本開示ではリール着脱装置としたが、リールの取り付けのみを行うリール取り付け装置としてもよいし、リールの取り外しのみを行うリール取り外し装置としてもよい。例えば、リール取り外し装置とする場合、制御装置は、フィーダがフィーダセットユニットにセットされると、フィーダからリールを取り外してリールセットユニットにセットするように移載ロボットを制御するものとすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示は、部品実装システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 部品実装システム、2 管理装置、4 AGV、10 実装ライン、12 印刷装置、14 印刷検査装置、16 実装装置、18 フィーダ置き場、19 ローダ、20 準備ライン、22 リール自動収納庫、22a 受け台、25 リール置き場、26 フィーダ収納庫、28 フィーダ置き場、29 ローダ、30 リール着脱装置、31,32,33 基台、39 制御装置、39a CPU、39b ROM、39c RAM、40 フィーダセットユニット、41 ベース、42 コネクタ、43 カバー支持部、44 支持片、44a モータ、45 テープ送り部、46 チャック、46a チャックシリンダ、47 チャックベース、48 スライドガイド、48a ガイド穴、49 アクチュエータ、50 リールセットユニット、51 ベース、52 回転部、52a モータ、53 プーリ、54 剥がし部、54a モータ、55 作動アーム、55a 剥がし片、57 切断部、57a カッターシリンダ、58 切断台、59 スプロケット、59a モータ、60 リール移載ロボット、61 ロボットアーム、61a モータ、62 エンドエフェクタ、64 カバーチャック部、66 リールチャック部、68 テープチャック部、100 フィーダ、101 本体、101a 開口、102 テープ送り部、103 モータ、104 テープガイド、106 リールカバー、107 回収部、108 コネクタ、109 位置決めピン、120 リール、122 ラベル、130 テープ。