(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】光変換装置および照明システム
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231218BHJP
F21V 7/08 20060101ALI20231218BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20231218BHJP
F21V 7/26 20180101ALI20231218BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20231218BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20231218BHJP
F21V 7/06 20060101ALI20231218BHJP
F21V 29/502 20150101ALI20231218BHJP
F21V 29/74 20150101ALI20231218BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231218BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231218BHJP
【FI】
F21S2/00 100
F21V7/08 100
F21V7/28 220
F21V7/26
F21V8/00 200
F21V5/04 250
F21V7/06
F21V29/502 100
F21V29/74
F21Y115:30
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2022512636
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2021013905
(87)【国際公開番号】W WO2021201121
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2020063652
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020063678
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020064387
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100156177
【氏名又は名称】池見 智治
(74)【代理人】
【識別番号】100130166
【氏名又は名称】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 絵梨
(72)【発明者】
【氏名】新納 範高
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-010918(JP,A)
【文献】特表2014-503948(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168429(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0250546(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 7/08
F21V 7/28
F21V 7/26
F21V 8/00
F21V 5/04
F21V 7/06
F21V 29/502
F21V 29/74
F21Y 115/30
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を出射する出射部を保持している保持部と、
前記出射部からの前記励起光が入射する凸状の入射面部を有し、前記入射面部に入射する前記励起光に応じて蛍光を発する波長変換部と、
前記入射面部によって囲まれる焦点を有し、前記波長変換部が発する前記蛍光を所定方向に導く光学素子と、
を備え、
前記入射面部は、球面に沿う形状を有する、光変換装置。
【請求項2】
励起光を出射する出射部を保持している保持部と、
前記出射部からの前記励起光が入射する凸状の入射面部を有し、前記入射面部に入射する前記励起光に応じて蛍光を発する波長変換部と、
前記波長変換部が発する前記蛍光を集光面に集光させる集光素子を含み、前記集光面内の点と共役関係にある共役点が、前記入射面部に囲まれるように位置する光学素子と、
を備え、
前記入射面部は、球面に沿う形状を有する、光変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光変換装置であって、
前記入射面部は、第1蛍光体領域および第2蛍光体領域を含む複数の蛍光体領域を有しており、
前記第1蛍光体領域は、前記励起光の照射に応じて第1波長スペクトルを有する蛍光を発し、
前記第2蛍光体領域は、前記励起光の照射に応じて、前記第1波長スペクトルと異なる第2波長スペクトルを有する蛍光を発する、光変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光変換装置であって、
前記複数の蛍光体領域において前記励起光が照射される被照射領域を変更させる駆動部をさらに備える、光変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光変換装置であって、
前記駆動部は、前記保持部および前記波長変換部のうちの少なくとも一方の部分を動かすことで、前記出射部と前記複数の蛍光体領域との相対的な位置関係を変更させる、光変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光変換装置であって、
前記駆動部は、前記励起光の光軸に対して交差する交差方向において、前記波長変換部と前記保持部とを相対的に移動させる移動機構を含む、光変換装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光変換装置であって、
前記光軸に沿った方向に前記波長変換部を平面視した場合に、前記交差方向において前記複数の蛍光体領域が並んでいる、光変換装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光変換装置であって、
前記光学素子は、前記波長変換部を囲むように位置し、前記波長変換部が発した蛍光を反射する反射部、をさらに備えている、光変換装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光変換装置であって、
前記反射部は、楕円面に沿った反射面を有する楕円ミラーを含む、光変換装置。
【請求項10】
請求項8に記載の光変換装置であって、
前記反射部は、放物面に沿った反射面を有する放物面ミラーを含む、光変換装置。
【請求項11】
請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の光変換装置であって、
前記光学素子は、前記波長変換部が発した蛍光が透過するレンズを含む、光変換装置。
【請求項12】
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の光変換装置であって、
前記光学素子は、前記蛍光を光伝送部の入射端に集光させる、光変換装置。
【請求項13】
励起光を出射する出射部を保持している保持部と、
前記出射部からの前記励起光が入射する凸状の入射面部を有し、前記入射面部に入射する前記励起光に応じて蛍光を発する波長変換部と、
前記入射面部によって囲まれる焦点を有し、前記波長変換部が発する前記蛍光を所定方向に導く光学素子と、
分離光学系と
を備え、
前記入射面部は、互いに逆側に位置する第1入射面および第2入射面を有し、
前記分離光学系は、前記出射部からの前記励起光を第1励起光および第2励起光に分離し、前記第1励起光を前記第1入射面に導くとともに前記第2励起光を前記第2入射面に導
く、光変換装置。
【請求項14】
請求項13に記載の光変換装置であって、
前記分離光学系および前記波長変換部を囲むように位置する凹状の反射面と、前記反射面において前記励起光が通過する貫通孔と、を有し、前記波長変換部が発した前記蛍光を前記反射面によって反射する反射部をさらに備える、光変換装置。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の光変換装置であって、
前記波長変換部は、
前記第1入射面を有し、前記第1励起光を受けて第1波長スペクトルを有する第1蛍光を発する第1蛍光体部分と、
前記第2入射面を有し、前記第2励起光を受けて、前記第1蛍光とは異なる第2波長スペクトルを有する第2蛍光を発する第2蛍光体部分と、
を含む、光変換装置。
【請求項16】
請求項15に記載の光変換装置であって、
前記分離光学系は、
前記出射部からの前記励起光のうち分離前の前記第1励起光に相当する第1部分が入射する第3入射面と、前記出射部からの前記励起光のうち分離前の前記第2励起光に相当する第2部分が入射し且つ前記第3入射面に対して傾斜した第4入射面と、を有する分離素子と、
前記分離素子を前記出射部に対して相対的に移動させて、前記励起光のうちの前記第3入射面に入射する前記第1部分と前記第4入射面に入射する前記第2部分の割合を変更する駆動部と
を含む、光変換装置。
【請求項17】
請求項16に記載の光変換装置であって、
前記駆動部は、前記分離素子を移動させる、光変換装置。
【請求項18】
請求項16に記載の光変換装置であって、
前記出射部に当接して前記出射部に連結された当接部材を備え、
前記駆動部は前記当接部材を移動させる、光変換装置。
【請求項19】
請求項15から請求項18の何れか一つに記載の光変換装置であって、
前記波長変換部は、前記第1蛍光体部分と前記第2蛍光体部分との間に位置し、前記第1蛍光および前記第2蛍光を反射する基材をさらに含む、光変換装置。
【請求項20】
請求項16から請求項18の何れか一つに記載の光変換装置であって、
前記分離素子の前記第3入射面および前記第4入射面の上に位置し、前記出射部からの前記励起光を受けて、蛍光を発する第2波長変換部をさらに備える、光変換装置。
【請求項21】
請求項13から請求項20の何れか一つに記載の光変換装置であって、
第3波長変換部をさらに備え、
前記分離光学系は、前記第1励起光を前記第1入射面に導く光路変更素子を含み、
前記第3波長変換部は前記光路変更素子上に位置し、前記第1励起光を受けて蛍光を発する、光変換装置。
【請求項22】
請求項13に記載の光変換装置であって、
前記波長変換部を囲むように位置する凹状の反射面を有し、前記波長変換部が発した前記蛍光を前記反射面によって反射して光伝送部の入射端に集光させる反射部をさらに備える、光変換装置。
【請求項23】
励起光を出射する出射部を保持している保持部と、
前記出射部からの前記励起光が入射する凸状の入射面部を有し、前記入射面部に入射する前記励起光に応じて蛍光を発する波長変換部と、
前記入射面部によって囲まれる焦点を有し、前記波長変換部が発する前記蛍光を所定方向に導く光学素子と、
ヒートシンクと
を備え、
前記光学素子は、前記波長変換部を囲むように位置し、前記波長変換部が発した蛍光を反射する反射部、をさらに備え、
前記波長変換部は、前記入射面部である第1面とは異なる第2面を更に有し、
前記ヒートシンクは、前記第2面と接合する第3面を有しており、
前記反射部は、前記入射面部に対向するように位置しているとともに前記波長変換部が発した前記蛍光を集光部に向けて集光させる反射面を有しており、
前記波長変換部が、前記反射面と前記集光部との間に位置し、
前記ヒートシンクは、前記波長変換部から前記集光部に向かう第1方向に進むと該第1方向に直交する第2方向の幅が小さくなっている形状を有する、光変換装置。
【請求項24】
請求項23に記載の光変換装置であって、
前記ヒートシンクの表面積は、前記波長変換部の表面積よりも大きい、光変換装置。
【請求項25】
請求項23または請求項24に記載の光変換装置であって、
前記ヒートシンクは、放熱フィンを有する、光変換装置。
【請求項26】
請求項23から請求項25の何れか一つに記載の光変換装置であって、
前記ヒートシンクの熱伝導率は、前記波長変換部の熱伝導率よりも高い、光変換装置。
【請求項27】
請求項23から請求項26の何れか一つに記載の光変換装置であって、
前記第3面は、凹凸を有する、光変換装置。
【請求項28】
請求項23から請求項27の何れか一つに記載の光変換装置であって、
前記反射部は、前記反射面が楕円面に沿った形状を有する楕円ミラーを含み、
前記楕円面は、前記第1面のうちの前記出射部から出射された前記励起光が照射される領域に沿って位置している第1焦点を有する、光変換装置。
【請求項29】
請求項28に記載の光変換装置であって、
前記楕円面は、前記第1焦点とは異なる第2焦点を有し、
該第2焦点は、前記集光部に沿って位置している、光変換装置。
【請求項30】
請求項29に記載の光変換装置であって、
前記ヒートシンクは、前記波長変換部と接合している第1部分と、該第1部分から前記第1方向に突出するように位置している第2部分と、を含み、
前記第1部分は、前記第1焦点と前記第2焦点とを通る直線状の仮想線を囲むように位置する外周縁部を有し、
前記外周縁部で囲まれた仮想的な面を底面とし前記第2焦点を頂点とする錐体状の仮想領域を第1領域とした場合に、
前記第2部分は、前記第1領域内に位置している、光変換装置。
【請求項31】
請求項29に記載の光変換装置であって、
前記第2面を底面とし前記第2焦点を頂点とする錐体状の仮想領域を第2領域とした場合に、
前記ヒートシンクは、前記第2領域内に位置している、光変換装置。
【請求項32】
請求項23から請求項31の何れか一つに記載の光変換装置であって、
前記第3面は、光を反射する、光変換装置。
【請求項33】
請求項23から請求項32の何れか一つに記載の光変換装置であって、
前記第1面に接している熱伝導性に優れた透明体、をさらに備えており,
前記透明体の熱伝導率は,前記波長変換部の熱伝導率よりも高い、光変換装置。
【請求項34】
請求項33に記載の光変換装置であって、
前記透明体は、無機酸化物の単結晶を含む、光変換装置。
【請求項35】
請求項33または請求項34に記載の光変換装置であって、
前記透明体の前記第1方向における厚さは、前記波長変換部の前記第1方向における厚さよりも小さい、光変換装置。
【請求項36】
請求項1から請求項35の何れか一つに記載の光変換装置であって、
前記出射部は、第1光伝送部の出射端、を含む、光変換装置。
【請求項37】
請求項23から請求項35の何れか一つに記載の光変換装置であって、
前記集光部が、第2光伝送部の入射端に沿って位置している、光変換装置。
【請求項38】
励起光を発する発光モジュールと、
該発光モジュールから前記励起光を伝送する第1光伝送部と、
請求項1から請求項11、請求項13から請求項21、請求項23から請求項35の何れか一つに記載の光変換装置を含む中継器と、
該中継器から前記蛍光を伝送する第2光伝送部と、
該第2光伝送部が伝送した前記蛍光を外部空間に放射する光放射モジュールと、を備え、
前記出射部は、前記第1光伝送部の出射端部、を含む、照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光変換装置および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を蛍光体によって異なる波長の蛍光に変換し、この蛍光を所定の方向へ出射する光源装置が知られている(例えば、特開2012-243617号公報、特開2013-12358号公報および特開2011-221502号公報の記載を参照)。
【発明の概要】
【0003】
光変換装置および照明システムが開示される。
【0004】
光変換装置の一態様は、保持部と、波長変換部と、光学素子と、を備えている。前記保持部は、励起光を出射する出射部を保持している。前記波長変換部は、前記出射部からの前記励起光が入射する凸状の入射面部を有し、前記入射面部に入射する前記励起光に応じて蛍光を発する。前記光学素子は、前記入射面部によって囲まれる焦点を有し、前記波長変換部が発する前記蛍光を所定方向に導く。
【0005】
光変換装置の一態様は、保持部と、波長変換部と、光学素子と、を備えている。前記保持部は、励起光を出射する出射部を保持している。前記波長変換部は、前記出射部からの前記励起光が入射する凸状の入射面部を有し、前記入射面部に入射する前記励起光に応じて蛍光を発する。前記光学素子は、前記波長変換部が発する前記蛍光を集光面に集光させる集光素子を含み、前記集光面内の点と共役関係にある共役点が、前記入射面部に囲まれるように位置する。
【0006】
照明システムの一態様は、発光モジュールと、第1光伝送部と、中継器と、第2光伝送部と、光放射モジュールと、を備える。前記発光モジュールは、励起光を発する。前記第1光伝送部は、該発光モジュールから前記励起光を伝送する。前記中継器は、上記一態様の光変換装置を含む。前記第2光伝送部は、該中継器から前記蛍光を伝送する。前記光放射モジュールは、該第2光伝送部が伝送した前記蛍光を外部空間に放射する。前記出射部は、前記第1光伝送部の出射端部、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る照明システムの一例の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る光変換装置の第1構成例を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、波長変換部の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、波長変換部の構成の他の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、波長変換部の構成の他の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、波長変換部の構成の他の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る光変換装置の第2構成例を概略的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る光変換装置の第3構成例を概略的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る光変換装置の第1構成例を概略的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る光変換装置の第2構成例を概略的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る照明システムの一例の概要を示す図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る光変換装置の第1構成例を概略的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係る光変換装置の第2構成例を概略的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態に係る照明システムの一例の概要を示す図である。
【
図15】
図15は、第4実施形態に係る光変換装置の一例を概略的に示す断面図である。
【
図16】
図16は、第5実施形態に係る波長変換部の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図17】
図17は、第5実施形態に係る光変換装置の一例を概略的に示す断面図である。
【
図18】
図18は、第5実施形態に係る光変換装置の一例を概略的に示す断面図である。
【
図19】
図19は、第6実施形態に係る光変換装置の第1構成例を概略的に示す断面図である。
【
図20】
図20(a)および
図20(b)は、それぞれ波長変換部における複数の蛍光体領域および被照射領域の移動を例示する図である。
【
図21】
図21は、第6実施形態に係る光変換装置の第2構成例を概略的に示す断面図である。
【
図22】
図22(a)および
図22(b)は、それぞれ波長変換部における複数の蛍光体領域および被照射領域の移動を例示する図である。
【
図23】
図23は、第6実施形態に係る光変換装置の第3構成例を概略的に示す断面図である。
【
図24】
図24(a)から
図24(c)は、それぞれ波長変換部における複数の蛍光体領域および被照射領域の移動を例示する図である。
【
図25】
図25は、第6実施形態に係る光変換装置の第4構成例を概略的に示す断面図である。
【
図26】
図26(a)から
図26(c)は、それぞれ波長変換部における複数の蛍光体領域および被照射領域の移動を例示する図である。
【
図27】
図27は、変形例に係る光変換装置の一例を概略的に示す断面図である。
【
図28】
図28は、第7実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
【
図29】
図29は、波長変換部の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図30】
図30は、分離素子の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図31】
図31は、第8実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
【
図32】
図32は、第10実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
【
図33】
図33は、分離素子を+Z側に移動させたときの光変換装置の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【
図34】
図34は、
分離素子および調色駆動部の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図35】
図35は、
第11実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
【
図36】
図36は、出射部を-Z側に移動させたときの光変換装置の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【
図37】
図37は、第12実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
【
図38】
図38は、第13実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
【
図39】
図39は、第14実施形態に係る光放射モジュールの一構成例を模式的に示す断面図である。
【
図40】
図40は、第15実施形態に係る発光モジュールの一構成例を模式的に示す断面図である。
【
図41】
図41(a)は、第16実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
図41(b)は、第16実施形態に係る光変換装置の一構成例において励起光が蛍光に変換される様子を模式的に示す断面図である。
【
図42】
図42(a)は、第17実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
図42(b)は、第17実施形態に係る光変換装置の一構成例において励起光が蛍光に変換される様子を模式的に示す断面図である。
【
図43】
図43(a)は、第18実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
図43(b)は、第18実施形態に係る光変換装置の一構成例において励起光が蛍光に変換される様子を模式的に示す断面図である。
【
図44】
図44(a)は、第18実施形態に係るヒートシンクおよび波長変換部の一構成例を模式的に示す断面図である。
図44(b)は、第18実施形態に係るヒートシンクおよび波長変換部の一構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図45】
図45(a)は、第19実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
図45(b)は、第19実施形態に係る光変換装置の一構成例において励起光が蛍光に変換される様子を模式的に示す断面図である。
【
図46】
図46(a)は、第19実施形態に係るヒートシンクおよび波長変換部の第1構成例を模式的に示す断面図である。
図46(b)は、第19実施形態に係るヒートシンクおよび波長変換部の第1構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図47】
図47(a)は、第19実施形態に係るヒートシンクおよび波長変換部の第2構成例を模式的に示す断面図である。
図47(b)は、第19実施形態に係るヒートシンクおよび波長変換部の第2構成例を模式的に示す斜視図である。
【
図48】
図48は、第19実施形態に係るヒートシンクおよび波長変換部の第3構成例を模式的に示す断面図である。
【
図49】
図49(a)は、第20実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
図49(b)は、第20実施形態に係る光変換装置の一構成例において励起光が蛍光に変換される様子を模式的に示す断面図である。
【
図50】
図50(a)は、第20実施形態に係るヒートシンク、波長変換部および透明体の第1構成例を模式的に示す断面図である。
図50(b)は、第20実施形態に係るヒートシンク、波長変換部および透明体の第2構成例を模式的に示す断面図である。
【
図51】
図51(a)は、第20実施形態に係るヒートシンク、波長変換部および透明体の第1変形例を模式的に示す断面図である。
図51(b)は、第20実施形態に係るヒートシンク、波長変換部および透明体の第2変形例を模式的に示す断面図である。
【
図52】
図52(a)は、第21実施形態に係る光変換装置の一構成例を模式的に示す断面図である。
図52(b)は、第21実施形態に係る光変換装置の一構成例において励起光が蛍光に変換される様子を模式的に示す断面図である。
【
図53】
図53(a)は、第22実施形態に係る光放射モジュールの一構成例を模式的に示す断面図である。
図53(b)は、第22実施形態に係る光放射モジュールの一構成例において励起光が蛍光に変換される様子を模式的に示す断面図である。
【
図54】
図54(a)は、第23実施形態に係る発光モジュールの一構成例を模式的に示す断面図である。
図54(b)は、第23実施形態に係る発光モジュールの一構成例において励起光が蛍光に変換される様子を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発光素子から放出される単色の励起光を蛍光体によって異なる波長の光に変換することで、擬似的な白色光を出射する照明装置が知られている。このような装置には、蛍光体を含む蛍光体部分が配置される。蛍光体部分は、平坦な表面を有している。当該蛍光体部分は、当該表面が光軸に対して直交する姿勢で、配置される。蛍光体部分の当該表面には、例えば光軸に沿って励起光が入射する。蛍光体部分は当該励起光を受けて蛍光を発する。蛍光体部分が発した蛍光は、反射部によって反射されて所定方向に進む。反射部は、例えば、仮想的な楕円面に沿う反射面を有しており、蛍光体部分は反射部の第1焦点に位置している。これにより、励起光が第1焦点の近傍で蛍光体部分に入射する。よって、蛍光体部分は第1焦点の近傍で蛍光を発する。反射部は、第1焦点の近傍で発した蛍光を、高い指向性で第2焦点の近傍に集光させることができる。
【0009】
その一方で、励起光が第1焦点の近傍のみで蛍光体部分に入射すると、蛍光体部分の表面のうち励起光が照射される被照射領域の面積が小さくなる。当該面積が小さくなるほど、蛍光体部分が発する蛍光の光量は小さくなる。よって、指向性を高めようとすると、蛍光の光量が犠牲になっていた。
【0010】
そこで、本開示の発明者は、光変換装置および光変換装置を含む照明システムについて、高い指向性および大きい光量で蛍光を出射できる技術を創出した。
【0011】
これについて、以下、各種の実施形態を図面に基づいて説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。
【0012】
<1-1.第1実施形態>
<1-1-1.照明システム>
図1で示されるように、第1実施形態に係る照明システム100は、例えば、発光モジュール1と、第1光伝送部としての第1光伝送ファイバ2と、中継器3と、第2光伝送部としての第2光伝送ファイバ4と、光放射モジュール5と、を備えている。
【0013】
発光モジュール1は、例えば、励起光P0を発することができる。発光モジュール1は、発光素子10を有する。発光素子10は、例えば、レーザーダイオード(laser diode:LD)などのレーザ素子、発光ダイオード(light emitting diode:LED)、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)またはSLD(super luminescent diode)などの素子を含む。この発光素子10が発する励起光P0には、例えば、紫色、青紫色または青色などの単色の光が適用される。発光素子10には、例えば、405ナノメートル(nm)の紫色のレーザ光を放出する窒化ガリウム(GaN)系の半導体レーザが適用される。発光モジュール1では、例えば、発光素子10が発する励起光P0を集光用の光学系などによって第1光伝送ファイバ2の一端部(第1入射端ともいう)2e1に向けて集光させる。発光モジュール1は、例えば、各種の構成を内蔵する筐体1bを有する。
【0014】
第1光伝送ファイバ2は、例えば、発光モジュール1から励起光P0を伝送することができる。第1光伝送ファイバ2は、例えば、発光モジュール1から中継器3まで位置している。具体的には、第1光伝送ファイバ2の長手方向の第1入射端2e1が発光モジュール1内に位置し、第1光伝送ファイバ2の長手方向の第1入射端2e1とは逆の端部(第1出射端ともいう)2e2が中継器3内に位置している。これにより、例えば、第1光伝送ファイバ2は、発光モジュール1から中継器3まで励起光P0を伝送する光伝送路を形成している。第1光伝送ファイバ2には、例えば、光ファイバが適用される。光ファイバは、例えば、コアと、このコアよりも光の屈折率が低く且つコアの周囲を被覆するように位置しているクラッドと、を有する。この場合には、例えば、第1光伝送ファイバ2は、長手方向に沿ってコア内において励起光P0を伝送することができる。第1光伝送ファイバ2の長手方向における長さは、例えば、数十センチメートル(cm)から数十メートル(m)程度に設定される。
【0015】
中継器3は、例えば、光変換装置30を含む。この光変換装置30は、例えば、第1光伝送ファイバ2が伝送した励起光P0を受けて、蛍光W0を発することができる。ここでは、例えば、光変換装置30は、出射部としての第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2から出射された励起光P0を受ける。光変換装置30が励起光P0に応じて発する蛍光W0は、例えば、励起光P0と異なる波長、より具体的な一例として励起光P0よりも長い波長を有する光を含む。具体的には、この蛍光W0は、例えば、赤色(Red:R)の蛍光、緑色(Green:G)の蛍光および青色(Blue:B)の蛍光を含む。これにより、例えば、光変換装置30は、単色の励起光P0を受けて擬似的な白色光としての蛍光W0を発することができる。中継器3は、例えば、各種の構成を内蔵する筐体3bを有する。筐体3bは、例えば、励起光P0の照射に応じて光変換装置30で発する熱を外気に放射するためのフィンを有していてもよい。
【0016】
第2光伝送ファイバ4は、例えば、中継器3から蛍光W0を伝送することができる。第2光伝送ファイバ4は、例えば、中継器3から光放射モジュール5まで位置している。具体的には、第2光伝送ファイバ4の長手方向の一端部(第2入射端ともいう)4e1が中継器3内に位置している。また、第2光伝送ファイバ4の長手方向の第2入射端4e1とは逆の端部(第2出射端ともいう)4e2が光放射モジュール5内に位置している。これにより、例えば、第2光伝送ファイバ4は、中継器3から光放射モジュール5まで蛍光W0を伝送する光伝送路を形成している。中継器3の光変換装置30では、例えば、蛍光W0が集光する面(集光面ともいう)が、第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に沿って位置している。第2光伝送ファイバ4には、例えば、光ファイバが適用される。光ファイバは、第1光伝送ファイバ2と同様のものを用いることができる。
【0017】
光放射モジュール5は、例えば、第2光伝送ファイバ4が伝送した蛍光W0を照明システム100の外部の空間(外部空間ともいう)200に放射することができる。光放射モジュール5は、例えば、レンズまたは拡散板などを介して外部空間200の所望のエリアに蛍光W0を照明光I0として照射する。光放射モジュール5は、例えば、各種の構成を内蔵する筐体5bを有する。
【0018】
このような構成を有する照明システム100では、例えば、発光モジュール1から第1光伝送ファイバ2で伝送された励起光P0によって光変換装置30が蛍光W0を発する。これにより、例えば、蛍光W0を光伝送ファイバで伝送する距離を短くすることができる。このため、例えば、光伝送ファイバにおいて光伝送ファイバの長手方向に対して種々の角度で傾斜する方向に進む蛍光W0の一部が伝送途中で散逸して生じる光の損失(光伝送ロスともいう)を生じにくくすることができる。その結果、例えば、励起光P0に応じて照明システム100から放射される蛍光W0の光量を増加させることができる。また、ここでは、例えば、光放射モジュール5は、光変換装置30を含まない。このため、例えば、光放射モジュール5の温度上昇が生じにくく、光放射モジュール5の小型化を図ることが容易である。したがって、例えば、励起光P0に応じて照明システム100から出射される蛍光W0の光量を増加させつつ、照明システム100の外部空間200に照明光I0を放射する光放射モジュール5の小型化を図ることができる。
【0019】
<1-1-2.光変換装置>
図2は、光変換装置30の構成の一例を概略的に示す図である。なお、
図2では、筐体3bの図示が省略されている。以下で参照する他の図面においても、適宜に筐体の図示が省略される場合がある。また、以下で参照する各図面において、適宜、XYZ座標系が示されている。以下では、X軸方向の一方側を+X側とも呼び、その逆側を-X側とも呼ぶ。Y軸方向およびZ軸方向についても同様である。また、このXYZ座標系では、出射部としての第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2または発光素子10の出射部10fから波長変換部132に向かう方向が-X方向とされている。+X方向に垂直である一方向が+Y方向とされている。+X方向と+Y方向との両方に直交する方向が+Z方向とされている。
【0020】
図2で示されるように、光変換装置30は、例えば、保持部131と、波長変換部132と、光学素子133と、を備えている。これらの光変換装置30の各部は、例えば、中継器3の筐体3bに直接的または他の部材などを介して間接的に固定されている。以下では、各部の位置関係を説明するために、光軸AX1を導入する。光軸AX1は、例えば、光学素子133についての光軸である。
図2の例では、光軸AX1はX軸方向に沿っている。
【0021】
保持部131は、出射部としての第1出射端2e2を保持する。
図2の例では、保持部131は、第1出射端2e2が光軸AX1上に位置し、且つ、第1出射端2e2から-X方向に向けて励起光P0が出射されるように、第1出射端2e2を保持している。保持部131は、例えば、第1光伝送ファイバ2のうち第1出射端2e2側の部分が挿通されている筒状の部分を有する。保持部131は、例えば、当該部分の外周部を挟持していてもよいし、当該部分の外周部に接着されていてもよい。
【0022】
波長変換部132は、例えば、出射部としての第1出射端2e2からの励起光P0を受けて、蛍光W0を発することができる。波長変換部132は蛍光体部分1321を含む。蛍光体部分1321は蛍光体を含む。蛍光体は励起光P0の照射に応じて、蛍光W0を発することができる。蛍光W0の波長は、例えば、励起光P0の波長よりも長い。蛍光体部分1321としては、例えば、樹脂もしくはガラスなどの透明な封止材料中に、励起光P0の照射に応じて蛍光をそれぞれ発する蛍光体の多数の粒子が含有されている、ペレット状の蛍光体部分(蛍光体ペレットともいう)が採用される。蛍光体の多数の粒子には、例えば、励起光P0の照射に応じて蛍光をそれぞれ発する複数種類の蛍光体の多数の粒子が適用される。複数種類の蛍光体には、例えば、励起光P0の照射に応じて第1の色の蛍光を発する蛍光体、および励起光P0の照射に応じて第1の色とは異なる第2の色の蛍光を発する蛍光体、が適用され得る。具体的には、複数種類の蛍光体には、例えば、励起光P0の照射に応じて赤色(R)の蛍光を発する蛍光体(赤色蛍光体ともいう)と、励起光P0の照射に応じて緑色(G)の蛍光を発する蛍光体(緑色蛍光体ともいう)と、励起光P0の照射に応じて青色(B)の蛍光を発する蛍光体(青色蛍光体ともいう)と、が適用される。複数種類の蛍光体は、例えば、励起光P0の照射に応じて青緑色の蛍光を発する蛍光体(青緑色蛍光体ともいう)および励起光P0の照射に応じて黄色の蛍光を発する蛍光体(黄色蛍光体ともいう)など、励起光P0の照射に応じて種々の波長の蛍光を発する蛍光体を含んでいてもよい。
【0023】
赤色蛍光体には、例えば、励起光P0の照射に応じて発する蛍光の波長のピークが620nmから750nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。赤色蛍光体の材料には、例えば、CaAlSiN3:Eu、Y3O3S:Eu、Y3O3:Eu、SrCaClAlSiN3:Eu2+、CaAlSiN3:EuまたはCaAlSi(ON)3:Euなどが適用される。緑色蛍光体には、例えば、励起光P0の照射に応じて発する蛍光の波長のピークが495nmから570nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。緑色蛍光体の材料には、例えば、β-SiAlON:Eu、SrSi3(O,Cl)3N3:Eu、(Sr,Ba,Mg)2SiO4:Eu2+、ZnS:Cu,AlまたはZn3SiO4:Mnなどが適用される。青色蛍光体には、例えば、励起光P0の照射に応じて発する蛍光の波長のピークが450nmから495nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。青色蛍光体の材料には、例えば、(BaSr)MgAl10O17:Eu、BaMgAl10O17:Eu、(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Euまたは(Sr,Ba)10(PO4)6Cl3:Euなどが適用される。青緑色蛍光体には、例えば、励起光P0の照射に応じて発する蛍光の波長のピークが495nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。青緑色蛍光体の材料には、例えば、Sr4Al14O35:Euなどが適用される。黄色蛍光体には、例えば、励起光P0の照射に応じて発する蛍光の波長のピークが570nmから590nm程度の範囲にある蛍光体が適用される。黄色蛍光体の材料には、例えば、SrSi3(O,Cl)3N3:Euなどが適用される。ここでは、かっこ内の元素の割合は、分子式の範囲内であれば任意に設定されてもよい。
【0024】
波長変換部132の蛍光体部分1321は、例えば、光軸AX1上に位置しており、第1出射端2e2に対して-X側に位置している。蛍光体部分1321は、凸状(凸面状)の入射面部132aを有しており、この入射面部132aに励起光P0が入射する。入射面部132aは、例えば、その周縁部分よりも中央部分が+X側に位置する凸面形状を有している。言い換えれば、入射面部132aは、+X側に突出する凸面形状を有する。入射面部132aは、単一の湾曲面によって構成されてもよく、複数の平面または複数の湾曲面が連結されて構成されてもよく,平面と湾曲面が連結されて構成されていてもよい。
【0025】
図3は、蛍光体部分1321の構成の一例を概略的に示す図である。
図3で示されるように、蛍光体部分1321は、三角柱形状を有していてもよい。蛍光体部分1321は、三角柱の1つの矩形状の側面(表面132dと呼ぶ)が光軸AX1に直交し、且つ、1つの側辺が第1出射端2e2側(つまり、+X側)に位置する姿勢で、配置されている。蛍光体部分1321の残りの2つの矩形状の側面が入射面部132aに相当する。この入射面部132aは、入射面部132aに入射する光軸AX1を含む断面としてのZX断面において、V字状形状を有している。蛍光体部分1321の三角状の側面は、例えば、二等辺三角形である。三角柱の各辺の長さは、例えば、1mm以上に設定される。
【0026】
以下では、入射面部132aを構成する2つの側面をそれぞれ入射面132bおよび入射面132cとも呼ぶ。入射面132bおよび入射面132cは互いに異なる方向に傾斜する。例えば、入射面132bは、入射面132cよりも+Z側に位置しており、+X側に向かうにつれて-Z側に向かう方向に傾斜している。入射面132cは、+X側に向かうにつれて+Z側に向かう方向に傾斜している。入射面132bの+X側の端辺は入射面132cの+X側の端辺に連結する。
【0027】
入射面部132aは、第1出射端2e2側に突出する凸面形状を有しているので、光軸AX1に直交する方向(例えばZ軸方向)における蛍光体部分1321の幅は、第1出射端2e2(つまり、+X側)に向かうにつれて、例えば、単調に減少する。
【0028】
第1出射端2e2から出射された励起光P0は、蛍光体部分1321の入射面部132aに入射する。より具体的には、励起光P0は入射面132bおよび入射面132cに跨って入射する。蛍光体部分1321は、この励起光P0を受けて蛍光W0を発する。なお、
図2では、代表的に、入射面132b上の1点から放射される蛍光W0の光線、および、入射面132c上の1点から放射される蛍光W0の光線が示されている。実際には、励起光P0が入射された蛍光体部分1321内の各位置の蛍光体が蛍光W0を発する。
【0029】
図2で示されるように、波長変換部132は基材1322をさらに含んでいてもよい。
図2で示されるように、基材1322は、例えば、板状の形状を有してもよい。基材1322は、例えば、その厚み方向が光軸AX1に沿うように、配置される。基材1322は蛍光体部分1321に対して、例えば、第1出射端2e2とは反対側(つまり、-X側)に位置している。基材1322の+X側の表面1322aの上には、例えば、蛍光体部分1321が位置している。具体的には、基材1322の表面1322aが、例えば、蛍光体部分1321の表面132dに接合している。
【0030】
基材1322は透明性を有していてもよく、あるいは、反射性を有していてもよい。以下では、一例として、基材1322の表面1322aは反射面である。基材1322が反射性を有している場合には、例えば、蛍光体部分1321内を一旦通った励起光P0が基材1322の表面1322aで反射して再び蛍光体部分1321内に入る。このため、例えば、蛍光体部分1321が発する蛍光W0が増加し得る。その結果、例えば、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0031】
基材1322の素材には、例えば、金属材料などが適用される。この金属材料には、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ベリリウム(Be)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)または合金などが適用される。ここで、例えば、金属材料として、Cu、Al、Mg、Fe、Cr、CoまたはBeが採用されれば、ダイキャスト成型などの鋳造法によって、基材1322を容易に作製することができる。また、ここで、例えば、金属材料として、Al、Mg、Ag、Fe、CrまたはCoが採用されれば、表面1322aにおける可視光線の反射率が上昇し得る。これにより、例えば、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。また、基材1322の素材として、例えば、非金属材料が適用されてもよい。この非金属材料には、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)、炭素(C)または酸化アルミニウム(Al2O3)などが採用されてもよい。非金属材料は、例えば、結晶性を有する材料であってもよいし、結晶性を有さない非結晶性の材料であってもよい。結晶性を有する非金属材料としては、例えば、炭化珪素(SiC)またはSi3N4が採用され得る。
【0032】
また、基材1322の表面1322aは、例えば、基材1322の本体部よりも光の反射率が高い金属材料の層(高光反射層ともいう)によって構成されていてもよい。例えば、基材1322の本体部の素材にCuが適用され、光の反射率が高い金属材料には、例えば、可視光線の反射率が高い、AgまたはCrなどが適用されてもよい。この場合には、例えば、ダイキャスト成型などの鋳造法によって作製した基材1322の本体部の表面に、蒸着または鍍金(めっき)などによってAgまたはCrなどの高光反射層を形成する方法が採用される。さらに、例えば、基材1322の表面1322aが、高光反射層上に誘電体多層膜が位置している構成を有していてもよい。誘電体多層膜は、例えば、誘電体の薄膜が複数回繰り返して積層された構造を有する。誘電体としては、例えば、酸化チタン(TiO3)、二酸化珪素(SiO2)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、五酸化タンタル(Ta2O5)およびフッ化マグネシウム(MgF2)のうちの1つ以上の材料が採用される。
【0033】
光学素子133は、波長変換部132が発する蛍光W0を所定方向に導く。より具体的な一例として、光学素子133は、蛍光W0を集光面33fに集光させる。光学素子133は、例えば、反射部1331を含む。反射部1331は、凹状の反射面133rを有している。反射面133rは、例えば、仮想的な楕円面33eに沿う形状を有する楕円ミラーとされる。反射部1331は、例えば、その反射面133rの対称軸が光軸AX1に沿う姿勢で、配置される。反射面133rは、波長変換部132が発した蛍光W0を集光面33fに向けて集光させることができる。反射部1331には、例えば、椀状のリフレクタが適用される。
【0034】
図2の例では、反射面133rは、波長変換部132から第1出射端2e2に向かう方向に凹んでおり、波長変換部132を囲っている。言い換えれば、波長変換部132は、反射面133rの内側に位置している。反射面133rの仮想的なYZ断面は、例えば、円形状の形状を有する。具体的には、例えば、反射面133rの仮想的なYZ断面が、光軸AX1上の点を中心とした円形状の形状を有する形態が考えられる。反射面133rのYZ平面に沿った仮想的な円形状の断面における直径の最大値は、例えば、1cmから10cm程度とされる。また、反射部1331は、例えば、光軸AX1に沿うように位置している貫通孔133hを有する。これにより、例えば、第1出射端2e2から波長変換部132に向けて励起光P0を照射することができる。第1光伝送ファイバ2のうち第1出射端2e2側の部分は、例えば、貫通孔133hに挿入されていてもよい。
【0035】
反射面133rが沿う楕円面33eは、例えば、波長変換部132(より具体的には、例えば蛍光体部分1321)の内部に位置する焦点(第1焦点ともいう)F1を有している。言い換えれば、波長変換部132は、例えば、反射面133rの第1焦点F1に位置している。さらに具体的な一例として、波長変換部132は、第1焦点F1が入射面部132aによって囲まれるように、配置されてもよい。言い換えれば、波長変換部132は、例えば、第1焦点F1が入射面部132aの内側に位置するように、配置されてもよい。より具体的には、波長変換部132は、
図2に示す断面において、光軸AX1上に位置する第1焦点F1を入射面132bと入射面132cとで挟むように配置されている。そして、第1焦点F1は、入射面132bと入射面132cとが連結する端辺に近接して位置している。このような構成によれば、励起光P0は第1焦点F1の近傍で波長変換部132に入射する。このため、波長変換部132は、第1焦点F1の近傍で蛍光W0を発する。反射部1331は、第1焦点F1の近傍で発した蛍光W0を、第2焦点F2の近傍に集光させることができる。第2焦点F2は楕円面33eのもう1つの焦点であり、第1焦点F1とは異なる焦点である。なお、第1焦点F1の近傍とは、例えば、焦点間距離(第1焦点と第2焦点との距離)の1/10以下とすることができる。
【0036】
集光面33fは第2焦点F2に沿って位置する。集光面33fは仮想的な面であっても、実体的に存在する面であってもよい。第1実施形態では、例えば、集光面33fは、第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に沿って位置している。
【0037】
このような構成によれば、第1焦点F1の近傍で波長変換部132が発した蛍光W0は反射面133rで反射し、第2焦点F2に位置する第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に集光する。これにより、例えば、第2光伝送ファイバ4で伝送される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0038】
なお、光変換装置30は、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2から出射される励起光P0を波長変換部132に向けて集光するレンズなどの光学系(不図示)をさらに備えていてもよい。
【0039】
<1-1-3.第1実施形態のまとめ>
光変換装置30は、例えば、保持部131と、波長変換部132と、光学素子133と、を含む。保持部131は、出射部としての第1出射端2e2を保持する。波長変換部132は、励起光P0が入射する凸状の入射面部132aを有し、励起光P0の照射に応じて蛍光W0を発する。光学素子133は、入射面部132aによって囲まれる第1焦点F1を有し、蛍光W0を所定方向に導く。例えば、光学素子133は反射部1331を含み、反射部1331は蛍光W0を反射面133rで反射させて、集光面33fに集光させる。これにより、例えば、蛍光W0を第2光伝送ファイバ4に入射させることができ、光放射モジュール5が蛍光W0を照明光I0として放射できる。
【0040】
この光変換装置30において、反射部1331は、蛍光W0を集光面33fに集光させることから、光学的には、波長変換部132における蛍光W0の第1像を集光面33fにおける第2像に倍率変換している。波長変換部132を蛍光W0の光源と把握すると、その波長変換部132における蛍光W0の第1像の大きさは、蛍光体部分1321のうち励起光P0が照射される領域の大きさに相当する。一方、集光面33fにおける第2像の大きさは、集光面33fのうち励起光P0が照射される領域の大きさに相当する。
【0041】
説明の簡単のために、Z軸方向に着目すると、蛍光W0の第1像の大きさは、入射面部132aのうち励起光P0が照射される被照射領域I1の幅H1に相当する。幅H1は、光軸AX1に沿って入射面部132aを平面視したときの、光軸AX1に直交するZ軸方向における被照射領域I1の幅である。一方、蛍光W0の第2像の大きさは、集光面33fのうちの被照射領域の幅H2に相当する。幅H2は、集光面33f内の被照射領域のZ軸方向における幅である。幅H1は、例えば、1mm程度以上であり、幅H2は、幅H1よりも狭く、例えば、数百μmから数mm程度である。つまり、反射部1331は蛍光W0をZ軸方向において(H2/H1)倍に縮小する。この反射部1331の倍率(=H2/H1)が小さいほど、反射部1331の収差は大きくなる傾向にある。言い換えれば、倍率が大きいほど、反射部1331の収差は小さくなる傾向にある。そして、収差が大きければ、反射部1331によって反射された蛍光W0の収差による集光面における光の理想的な結像点からのズレ量が大きくなり、集光面33fに集光する効率が低下する。よって、幅H1を狭くすることで集光性が高まる。
【0042】
一方、入射面部132aの被照射領域I1が広ければ、蛍光体部分1321にはより広い範囲で励起光P0が入射されるので、蛍光体部分1321はより大きな光量で蛍光W0を発することができる。本実施形態では、入射面部132aは凸面形状を有しているので、幅H1を広げることなく、被照射領域I1の面積を大きくすることができる。比較例として、入射面部132aがYZ平面に平行な平坦面である場合について考察する。この場合の被照射領域I1(以下、被照射領域I10と呼ぶ)の面積は、YZ平面において励起光P0が通過する領域の面積に相当する(
図3参照)。本実施の形態では、入射面部132aは凸面形状を有しているので、被照射領域I1の面積は被照射領域I10の面積よりも大きい。
【0043】
ここで、被照射領域I1と被照射領域I10との面積差の一例を定量的に示すために、角度θを導入する。角度θは、入射面部132aの先端の角度の半値、つまり、入射面132bと入射面132cとがなす角度の半値である。被照射領域I1の面積は被照射領域I10の面積の(1/sinθ)倍となる。つまり、入射面部132aがYZ平面に平行な場合に比べて、被照射領域の面積を(1/sinθ)倍に大きくすることができる。例えば角度θが45度であるときには、被照射領域の面積を√2倍に大きくすることができる。よって、より小さい収差を有する反射部1331を採用しつつ、蛍光W0の光量を増加させることができる。
【0044】
この点について、第1焦点F1も用いて説明する。比較のために、入射面部132aがYZ平面に平行な平坦面である場合について考察する。例えば、
図3において、被照射領域I10の中心に第1焦点F1が位置している場合、励起光P0の径を広げて被照射領域I10を広げると、被照射領域I10の周縁は第1焦点F1から遠ざかる。つまり、比較例では、被照射領域I10の面積を増加させると、被照射領域I10内の各点と第1焦点F1との距離D1の最大値は大きくなる。そして、第1焦点F1から大きく離れた位置で生じる蛍光W0は、反射部1331によって反射しても、第2焦点F2からずれた位置に向かって進み、集光面33fに到達しない。つまり、集光面33fに向かう蛍光W0の指向性が低下する。
【0045】
これに対して、本実施形態によれば、入射面部132aは凸面形状を有する。よって、励起光P0の径を広げなくても、被照射領域I1の面積は大きい。言い換えれば、被照射領域I1内の各点と第1焦点F1との距離D1の最大値を大きくしなくても、被照射領域I1の面積を大きくすることができる。このため、光変換装置30は、高い指向性および大きい光量で蛍光W0を集光面33fに集光させることができる。
【0046】
以上のように、本実施の形態によれば、入射面部132aの形状として凸面形状を採用することにより、幅H1および第1焦点F1からの距離D1を大きくしなくても、被照射領域I1の面積を大きくすることができる。つまり、光変換装置30は、小さい収差を有する反射部1331を採用しつつ、高い指向性および大きい光量で蛍光W0を出射することができる。
【0047】
ところで、蛍光W0の光量増加のためには、励起光P0の強度(単位面積当たりの光量)を増加させてもよい。しかしながら、励起光P0の強度が増加すると、波長変換部132に生じる局所的な熱量が高くなる。波長変換部132の蛍光体および封止材料(バインダとも呼ばれる)の少なくともいずれか一方は熱によって劣化または変性し、これに起因して温度消光を招き得る。
【0048】
これに対して、本実施形態では、入射面部132aの形状として凸面形状を採用することで、被照射領域I1を広げて蛍光W0の光量を増加させている。よって、励起光P0の強度を殊更に増加させる必要はない。よって、波長変換部132の温度上昇を緩和することができ、このような熱による不具合が発生する可能性を低減させることができる。
【0049】
さらなる比較のために、入射面部132aが、-X側に凹む凹面形状を有する場合についても考察する。例えば、入射面部132aが、第1面および第2面からなるV字状の凹面形状を有する場合について考察する。この場合、第1面で発した蛍光W0の一部は第2面に入射し、第2面で発した蛍光W0の一部は第1面に入射する。このように蛍光W0の一部が蛍光体部分に重複して入射する。このような重複入射は蛍光W0の光量の低下を招く。
【0050】
これに対して、本実施形態によれば、入射面部132aは凸面形状を有している。したがって、蛍光W0の蛍光体部分1321への重複入射を低減させることができる。よって、蛍光W0の光量の低下を招きにくい。
【0051】
<1-1-4.基材>
<1-1-4-1.形状>
図2で示されるように、基材1322の表面1322aはYZ平面に平行な平坦面であってもよい。あるいは、
図4で示されるように、基材1322の表面1322aも凸面形状を有していてもよい。
図4の例では、基材1322の表面1322aは、蛍光体部分1321の入射面部132aと同様の凸面形状を有している。基材1322の表面1322aは、例えば、第1出射端2e2側(つまり、+X側)に突出する。具体的な一例として、基材1322は、三角柱形状を有しており、その1つの矩形状の側面が光軸AX1に直交し、且つ、1つの側辺が第1出射端2e2側に位置する姿勢で、配置される。三角柱の残りの2つの側面が基材1322の表面1322aに相当する。蛍光体部分1321は基材1322の表面1322aの上に位置している。蛍光体部分1321の入射面部132aは、基材1322の表面1322aの形状に応じた凸面形状を有する。蛍光体部分1321の厚みは略一定であってもよい。
【0052】
このような波長変換部132においても、入射面部132aは凸面形状を有する。よって、幅H1および第1焦点F1からの距離D1を大きくしなくても、被照射領域I1の面積を増加させることができる。これにより、光変換装置30は高い指向性および大きな光量で蛍光W0を出射することができる。
【0053】
<1-1-5.蛍光体部分>
<1-1-5-1.形状>
上述の具体例では、蛍光体部分1321は三角柱形状を有しているものの、必ずしもこれに限らない。
図5で示されるように、蛍光体部分1321は、例えば、錐体形状を有していてもよい。より具体的には、蛍光体部分1321は、例えば、円錐形状を有してもよい。蛍光体部分1321は、例えば、その底面が光軸AX1に直交し、且つ、その先端が第1出射端2e2側に位置する姿勢で、配置される。円錐の側面は蛍光体部分1321の入射面部132aに相当する。言い換えれば、入射面部132aは、錐体の側面に沿う形状を有している。円錐の底面は蛍光体部分1321の表面132dに相当する。表面132dの直径および錐体の高さは、例えば1mm以上に設定され得る。なお、蛍光体部分1321は、円錐に限らず角錐形状を有していてもよい。
【0054】
この場合でも、反射部1331の第1焦点F1は、例えば、波長変換部132の内部に位置してもよい。より具体的には、蛍光体部分1321は、例えば、第1焦点F1が入射面部132aによって囲まれるように配置される。言い換えれば、蛍光体部分1321は、例えば、第1焦点F1が入射面部132aの内側に位置するように配置される。
【0055】
この蛍光体部分1321の入射面部132aも凸面形状を有するので、幅H1および第1焦点F1からの距離D1の最大値を大きくしなくても、被照射領域I1の面積を大きくすることができる。より具体的には、入射面部132aがYZ平面に平行である場合に比して、被照射領域の面積を(1/sinθ)倍に大きくすることができる。角度θは、円錐の中心線を含む断面において、当該中心線と円錐の側面とがなす角度である。
【0056】
また、この入射面部132aは、任意のYZ断面において、円形形状を有している。これによれば、光軸AX1に沿って蛍光体部分1321を平面視した場合に、蛍光体部分1321は、より等方的に蛍光W0を発することができる。
【0057】
図6で示されるように、蛍光体部分1321の入射面部132aは、例えば、角部を有さずに滑らかに湾曲する凸面形状を有してもよい。より具体的には、蛍光体部分1321は、例えば、半球形状を有していてもよい。蛍光体部分1321は、例えば、その底面が光軸AX1に直交し、且つ、球面が第1出射端2e2側に位置する姿勢で、配置される。この蛍光体部分1321において、半球面が入射面部132aに相当する。言い換えれば、入射面部132aは球面に沿う形状を有している。半球形状の底面は蛍光体部分1321の表面132dに相当する。表面132dの直径は、例えば1mm以上に設定され得る。
【0058】
この場合でも、反射部1331の第1焦点F1は、例えば、波長変換部132の内部に位置してもよい。より具体的には、蛍光体部分1321は、例えば、第1焦点F1が入射面部132aによって囲まれるように配置される。言い換えれば、蛍光体部分1321は、例えば、第1焦点F1が入射面部132aの内側に位置するように配置される。
【0059】
この蛍光体部分1321においても、入射面部132aは凸面形状を有するので、幅H1および第1焦点F1からの距離D1の最大値を大きくしなくても、被照射領域I1の面積を大きくすることができる。
【0060】
次に、
図5および
図6の被照射領域I1の面積の大小について考察する。以下では、入射面部132aのほぼ全域に励起光P0が入射する場合を考察する。この場合、
図5における被照射領域I1は円錐の側面に相当し、
図6における被照射領域I1は半球面に相当する。
図5および
図6において互いに等しいサイズで蛍光体部分1321を考慮するために、
図5の円錐の高さを底面(つまり、表面132d)の半径と等しく設定する。この場合、円錐の角度θは45度である。
図5および
図6において、表面132dの半径は互いに等しい。表面132dの面積は、入射面部132aが平坦面であるときの被照射領域I10の面積とみなすことができる。
図5の例では、被照射領域I1の面積は被照射領域I10の面積の√2倍であり、
図6の例では、被照射領域I1の面積は被照射領域I10の面積の2倍である。また、
図3の例では、角度θが45度の場合、被照射領域I1の面積は被照射領域I10の面積の√2倍である。つまり、入射面部132aが半球面形状を有していれば、励起光P0を入射面部132aのほぼ全域に照射することで、被照射領域I1の面積を
図3、
図5および
図6のうちで最も大きくすることができる。
【0061】
また、半球面に沿う入射面部132aは、任意のYZ断面において、円形形状を有している。これによれば、光軸AX1に沿って平面視したときに、蛍光体部分1321は、より等方的に蛍光W0を発することができる。また、半球面に沿う入射面部132aには大きな角部が形成されないので、励起光P0を蛍光体部分1321の内部に透過させやすい。このように、
図6に示す蛍光体部分1321を有する光変換装置30は、より一層高い指向性および大きな光量で蛍光W0を出射することができる。
【0062】
<1-1-6.出射部>
<1-1-6-1.複数の出射部>
図7で示されるように、光変換装置30において、複数の保持部131が配置されてもよい。
図7の例では、2つの保持部131が配置される。各保持部131は、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2を保持する。以下では、2つの第1光伝送ファイバ2をそれぞれ第1光伝送ファイバ2aおよび第1光伝送ファイバ2bと呼ぶ。
【0063】
反射部1331には、第1光伝送ファイバ2aからの励起光P0が通過する貫通孔133haと、第1光伝送ファイバ2bからの励起光P0が通過する貫通孔133hbが形成されている。貫通孔133haは、例えば、光軸AX1よりも+Z側において、反射部1331をその厚み方向に貫通する。第1光伝送ファイバ2aからの励起光P0は貫通孔133haを通過して、反射部1331の外側から内側に進み、波長変換部132の入射面132bに入射する。貫通孔133hbは、例えば、光軸AX1よりも-Z側において、反射部1331をその厚み方向に貫通する。第1光伝送ファイバ2bからの励起光P0は貫通孔133hbを通過して、反射部1331の外側から内側に進み、波長変換部132の入射面132cに入射する。この構造によれば、入射面132bにおける被照射領域I1と、入射面132cにおける被照射領域I1とは互いに離れ得る。
【0064】
波長変換部132は、第1光伝送ファイバ2aおよび第1光伝送ファイバ2bからの励起光P0の照射に応じて、蛍光W0を発する。反射部1331は、波長変換部132が発する蛍光W0を反射して集光面33fに集光させる。よって、反射部1331は、波長変換部132における蛍光W0の第1像を、集光面33fにおける蛍光W0の第2像に縮小している。Z軸方向に着目すると、蛍光W0の第1像の大きさは、光軸AX1に沿って入射面部132aを平面視した場合に、入射面部132aの両被照射領域I1のうち最も+Z側に位置する第1端部と、最も-Z側に位置する第2端部との間の幅H1に相当する。つまり、幅H1は、光軸AX1に直交するZ軸方向における第1端部および第2端部の間の幅である。幅H1が大きくなると、反射部1331の倍率(=H2/H1)が小さくなるので、反射部1331の収差は大きくなる傾向にある。
【0065】
この光変換装置30においても、入射面部132aは凸面形状を有する。よって、幅H1が同じであれば、入射面部132aがYZ平面に平行な平坦面である場合に比べて、被照射領域I1の面積の合計値は大きい。よって、小さい収差を有する反射部1331を採用しつつも、蛍光W0の光量を増加させることができる。また、入射面部132aは凸面形状を有しているので、第1焦点F1との距離D1の最大値を大きくしなくても、被照射領域I1の面積を大きくできる。これにより、高い指向性で蛍光W0を集光面33fに集光させつつ、蛍光W0の光量を増加させることができる。つまり、光変換装置30は、小さい収差を有する反射部1331を採用しつつ、高い指向性および大きな光量で蛍光W0を発することができる。
【0066】
<1-1-6-2.励起光の分離>
図8で示されるように、1本の励起光P0を複数本の励起光P0に分離してもよい。
図8の例では、光変換装置30は、光学系134の有無を除いて、
図2の光変換装置30と同様の構成を有している。
【0067】
光学系134は、第1出射端2e2からの1本の励起光P0を第1励起光P1および第2励起光P2に分離し、第1励起光P1を波長変換部132の入射面132bに入射させ、第2励起光P2を波長変換部132の入射面132cに入射させる。光学系134は、例えば、ハーフミラー1341と、光路変更素子1342と、を含んでいる。ハーフミラー1341は、波長変換部132と第1出射端2e2との間に位置している。ハーフミラー1341は、例えば、第1出射端2e2からの励起光P0の一部を第1励起光P1として波長変換部132側に透過させる。第1励起光P1は、例えば、反射部1331の貫通孔133hを通過して、波長変換部132の入射面132bに入射する。ハーフミラー1341は励起光P0の残りの一部を第2励起光P2として光路変更素子1342側に反射させる。光路変更素子1342は例えばミラーであり、第2励起光P2を反射して波長変換部132の入射面132cに入射させる。第2励起光P2も、例えば、反射部1331の貫通孔133hを通過して、波長変換部132の入射面132cに入射する。この構造でも、入射面132bにおける被照射領域I1と、入射面132bにおける被照射領域I1とは互いに離れ得る。
【0068】
この光変換装置30においても、入射面部132aは凸面形状を有しているので、
図7の光変換装置30と同様に、小さい収差を有する反射部1331を用いつつ、高い指向性および大きな光量で蛍光W0を出射することができる。
【0069】
なお、
図8の例では、光学系134は反射部1331の外側に位置しているが、光学系134は反射部1331の内側に位置していてもよい。つまり、光学系134は波長変換部132と貫通孔133hとの間に位置してもよい。
【0070】
<1-2.他の実施形態>
本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
【0071】
<1-2-1.第2実施形態>
第2実施形態に係る光変換装置30の第1構成例は、光学素子133の構成の点で、第1実施形態と相違している。
図9で示されるように、光学素子133は、集光素子としてのレンズ1332を含んでいる。レンズ1332は、波長変換部132が発する蛍光W0を集光面33fに集光させる。なお、
図9の例では、第1光伝送ファイバ2は模式的に四角のブロックで示されており、保持部131の図示が省略されている。レンズ1332は第1出射端2e2と波長変換部132との間に位置している。
図9で示されるように、第1出射端2e2および波長変換部132は、例えば、レンズ1332の光軸AX1上に位置してもよい。レンズ1332は、例えば、凸レンズを含む。波長変換部132は、入射面部132aがレンズ1332側に向かって突出する姿勢で配置されている。
【0072】
第1出射端2e2は+X方向に向けて励起光P0を発する。励起光P0は、レンズ1332を透過して、波長変換部132の凸面状の入射面部132aに入射する。波長変換部132は励起光P0の照射に応じて蛍光W0を発する。
【0073】
波長変換部132が発する蛍光W0は、レンズ1332を透過して、集光面33fに集光する。基材1322が反射性を有している場合には、基材1322は蛍光W0をレンズ1332側に反射できるので、レンズ1332に入射する蛍光W0の光量を増加させることができる。ひいては、集光面33fに集光する蛍光W0の光量を増加させることができる。なお、
図9の例では、第2光伝送ファイバ4も模式的に四角のブロックで示されている。第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1は、集光面33fに沿って位置している。集光面33fは、例えば、光軸AX1上において、第1出射端2e2に対してレンズ1332とは反対側に位置している。
【0074】
レンズ1332に関して集光面33f内の点C2と共役関係にある共役点C1は、波長変換部132の内部に位置している。点C2は、例えば、集光面33fおよび光軸AX1が互いに交差する点である。波長変換部132は、共役点C1が入射面部132aによって囲まれるように、配置されている。これにより、第1出射端2e2からの励起光P0は共役点C1の近傍で波長変換部132に入射する。よって、波長変換部132は共役点C1の近傍で蛍光W0を発する。共役点C1の近傍で生じた蛍光W0はレンズ1332を経由して、集光面33fに集光しやすい。これによれば、集光面33fに集光する蛍光W0の光量を増加させることができる。
【0075】
この光変換装置30においても、レンズ1332は、反射部1331と同様に、波長変換部132における蛍光W0の第1像を、集光面33fにおける蛍光W0の第2像に縮小する。Z軸方向に着目すると、レンズ1332は蛍光W0を(H2/H1)倍に縮小する。倍率が大きいほどレンズ1332の収差は小さくなる傾向にあるので、幅H1を狭くすることで集光性が高まる。
【0076】
第2実施形態でも、波長変換部132の入射面部132aは凸面形状を有するので、幅H1を大きくしなくても、被照射領域I1の面積を大きくすることができる。よって、小さい収差を有するレンズ1332を用いつつ、蛍光W0の光量を増加させることができる。また、入射面部132aは凸面形状を有するので、共役点C1からの距離D2の最大値を大きくしなくても、被照射領域I1の面積を大きくすることができる。よって、光変換装置30は、高い指向性および大きな光量で蛍光W0を出射することができる。
【0077】
図10で示されるように、第2実施形態に係る光変換装置30の第2構成例は、保持部131と、波長変換部132と、光学素子133と、光学系134と、を備えている。保持部131は、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2を保持する。第1出射端2e2は-X方向に向かって励起光P0を出射する。光学系134は、第1出射端2e2からの励起光P0を第3励起光P3および第4励起光P4に分離して、第3励起光P3および第4励起光P4を波長変換部132の入射面部132aに導く。光学系134は、例えば、分離素子1343と、光路変更素子1344と、光路変更素子1345と、を含む。
【0078】
分離素子1343は、例えば、光軸AX1上において、波長変換部132と第1出射端2e2との間に位置している。分離素子1343は、第1出射端2e2からの励起光P0を第3励起光P3および第4励起光P4に分離する。
【0079】
分離素子1343は、例えば、入射面1343aおよび入射面1343bを有している。入射面1343aおよび入射面1343bは互いに連続する面である。励起光P0は入射面1343aおよび入射面1343bの境界に跨って入射する。つまり、励起光P0の一部分が入射面1343aに入射し、残りの部分が入射面1343bに入射する。
【0080】
入射面1343aおよび入射面1343bは、互いに異なる方向に傾斜している。入射面1343aおよび入射面1343bは、例えば、平面であって、全体としてV字形状を呈している。つまり、入射面1343aおよび入射面1343bは鋭角で互いに連結されている。入射面1343aおよび入射面1343bはX軸方向において第1出射端2e2側に向かうにつれて、Z軸方向において互いに近づくように傾斜している。
図10の例では、入射面1343aおよび入射面1343bの境界は光軸AX1上に位置している。
【0081】
分離素子1343は、励起光P0のうち入射面1343aに入射する第1部分および入射面1343bに入射する第2部分の進行方向を互いに異ならせて、励起光P0を第1部分および第2部分に分離する。第1部分は第3励起光P3に相当し、第2部分は第4励起光P4に相当する。入射面1343aおよび入射面1343bは、例えば、反射面である。入射面1343aおよび入射面1343bの傾斜方向は互いに異なっているので、入射面1343aから反射した第3励起光P3と、入射面1343bから反射した第4励起光P4とは、互いに異なる方向に進む。これにより、励起光P0から第3励起光P3および第4励起光P4を空間的に分離することができる。
【0082】
分離素子1343は、例えば、
図3に示す波長変換部132と同様の、三角柱形状を有していてもよい。分離素子1343は、三角柱の1つの矩形状の側面(以下、表面1343cと呼ぶ)が光軸AX1に直交し、且つ、1つの側辺が第1出射端2e2側に位置する姿勢で配置されている。分離素子1343の残りの2つの矩形状の側面がそれぞれ入射面1343aおよび入射面1343bに相当する。分離素子1343の素材としては、例えば、上述した基材1322と同様の素材を採用することができる。
【0083】
図10の例では、入射面1343aは入射面1343bに対して+Z側に位置している。よって、励起光P0のうち入射面1343aで反射した第1部分は、第3励起光P3として+Z側に進み、励起光P0のうち入射面1343bで反射した第2部分は、第4励起光P4として-Z側に進む。
【0084】
光路変更素子1344は、分離素子1343からの第3励起光P3を波長変換部132の入射面部132aに導く光学素子である。
図10の例では、第3励起光P3は分離素子1343から+Z側に進むので、光路変更素子1344は分離素子1343に対して+Z側に位置する。光路変更素子1344は、例えば、ミラーを含み、第3励起光P3を反射して波長変換部132の入射面部132a(具体的には、入射面132b)に入射させる。
図10の例では、第3励起光P3は入射面132bに対して斜めに入射する。
【0085】
光路変更素子1345は、分離素子1343からの第4励起光P4を波長変換部132の入射面部132aに導く光学素子である。
図10の例では、第4励起光P4は分離素子1343から-Z側に進むので、光路変更素子1345は分離素子1343に対して-Z側に位置する。光路変更素子1345は、例えば、ミラーを含み、第4励起光P4を反射して波長変換部132の入射面部132a(具体的には、入射面132c)に入射させる。
図10の例では、第4励起光P4は入射面132cに対して斜めに入射する。入射面132bにおける被照射領域I1と入射面132cにおける被照射領域I1とは互いに離れ得る。
【0086】
図10で示されるように、波長変換部132の入射面部132aは、第1出射端2e2とは反対側(つまり、-X側)に突出する凸面形状を有している。
図10で示されるように、波長変換部132は分離素子1343に連結されていてもよい。具体的には、分離素子1343の表面1343cが波長変換部132の+X側の表面132dに接合していてもよい。この場合、分離素子1343は波長変換部132の蛍光体部分1321の基材として機能してもよい。また、波長変換部132は基材1322を備えていなくてもよい。
【0087】
波長変換部132は第3励起光P3および第4励起光P4の照射に応じて、蛍光W0を発する。波長変換部132の入射面部132aは、-X側に突出する凸面形状を有しているので、波長変換部132は、-X側に多くの蛍光W0を発することができる。
【0088】
光学素子133は、レンズ1332を含んでおり、波長変換部132に対して第1出射端2e2とは反対側(つまり-X側)に位置している。レンズ1332は、例えば、凸レンズを含み、波長変換部132からの蛍光W0を集光面33fに集光させる。集光面33fは、例えば、光軸AX1上において、レンズ1332に対して波長変換部132とは反対側に位置する。
【0089】
基材1322が反射性を有している場合には、基材1322は蛍光W0をレンズ1332側に反射するので、レンズ1332に入射する蛍光W0の光量を増加させることができる。ひいては、集光面33fに集光する蛍光W0の光量を増加させることができる。
【0090】
レンズ1332に関して集光面33f内の点C2に対して共役関係にある共役点C1は、例えば、波長変換部132の内部に位置している。より具体的には、共役点C1は、例えば、入射面部132aによって囲まれている。
【0091】
この光変換装置30においても、レンズ1332は、波長変換部132における蛍光W0の第1像を、集光面33fにおける蛍光W0の第2像に縮小する。Z軸方向に着目すると、レンズ1332は蛍光W0を(H2/H1)倍に縮小する。倍率が大きいほどレンズ1332の収差は小さくなる傾向にあるので、幅H1を狭くすることで集光性が高まる。
【0092】
波長変換部132の入射面部132aは凸面形状を有するので、被照射領域I1の幅H1および共役点C1からの距離D2の最大値を大きくしなくても、被照射領域I1の面積を大きくすることができる。よって、光変換装置30は、小さい収差を有するレンズ1332を採用しつつ、高い指向性および大きな光量で蛍光W0を出射することができる。
【0093】
<1-2-2.第3実施形態>
上記各実施形態において、例えば、
図11で示されるように、中継器3および第2光伝送ファイバ4が存在せず、第1光伝送ファイバ2が発光モジュール1から光放射モジュール5まで位置している。そして、光放射モジュール5が、上記第1実施形態および上記第2実施形態のいずれかに係る光変換装置30と同様な構成を有する光変換装置30Fを含んでいてもよい。
【0094】
図11で示されるように、第3実施形態に係る照明システム100Fは、例えば、発光モジュール1と、第1光伝送ファイバ2と、光放射モジュール5と、を備えている。ここでは、例えば、第1光伝送ファイバ2の第1入射端2e1が発光モジュール1内に位置し、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2が光放射モジュール5内に位置している。これにより、例えば、第1光伝送ファイバ2は、発光モジュール1から光放射モジュール5まで励起光P0を伝送することができる。光放射モジュール5では、例えば、光変換装置30Fは、出射部としての第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2から出射された励起光P0を受けて、蛍光W0を発することができる。そして、光放射モジュール5は、例えば、光変換装置30Fが発した蛍光W0を照明光I0として照明システム100Fの外部空間200に放射することができる。
【0095】
図12で示される第3実施形態に係る光放射モジュール5の第1構成例は、光変換装置30Fと、光放射部50と、を有する。ここでは、例えば、光変換装置30Fは、
図2で示された上記第1実施形態に係る光変換装置30の一構成例と同様な構成を有する。光放射部50は、例えば、導光部51と、光学系L53と、を有する。導光部51は、例えば、第2焦点F2から光学系L53に向けて、蛍光W0を伝送することができる。導光部51には、例えば、光ファイバまたは内面が鏡面状態にある円筒形の部材などが適用される。この導光部51は、例えば、蛍光W0の入射を受け付けるための一端部(第3入射端ともいう)5e1と、第3入射端5e1とは逆側に位置している蛍光W0を出射するための端部(第3出射端ともいう)5e2と、を有する。
図12の例では、光学系L53は、例えば、導光部51の第3出射端5e2に沿って位置している。光学系L53は、例えば、導光部51によって伝送された蛍光W0を、所望の配光角度で外部空間200に対して放射することができる。光学系L53には、例えば、レンズおよび拡散板などが適用され得る。このような形態によれば、例えば、光放射モジュール5から外部空間200に蛍光W0を照明光I0として放射する部分を小さくすることができる。
【0096】
なお、
図12の例では、光学素子133として反射部1331が示されているものの、
図9および
図10で示されるように、光学素子133としてレンズ1332が採用されてもよい。
【0097】
このような光変換装置30Fの第1構成例も、保持部131と、波長変換部132と、光学素子133と、を含む。保持部131は、出射部としての第1出射端2e2を保持する。波長変換部132は、励起光P0が入射する凸面状の入射面部132aを有し、励起光P0の照射に応じて蛍光W0を発する。光学素子133は、入射面部132aによって囲まれた第1焦点F1または共役点C1を有し、蛍光W0を集光面33fに集光させる。これにより、光変換装置30Fは、小さい収差を有する光学素子133を採用しつつ、高い指向性および大きな光量で蛍光W0を集光面33fに集光させることができる。よって、より多くの蛍光W0を光放射部50に入射させることができ、光放射モジュール5がより大きな光量で蛍光W0を放射できる。
【0098】
また、第3実施形態に係る光放射モジュール5の第2構成例は、例えば、
図13で示されるように、光放射部50を有さなくてもよい。
図13の例では、反射面133rは仮想的な放物面に沿った反射面である。当該放物面の焦点F0は、例えば、波長変換部132の内部に位置している。より具体的には、放物面の焦点F0は、例えば、波長変換部132の入射面部132aによって囲まれている。これによれば、波長変換部132は焦点F0の近傍で蛍光W0を発することができる。反射部1331は、焦点F0の近傍で発した蛍光W0を、より高い指向性で平行光線に変換することができる。この平行光線は、例えば、そのまま外部空間200に照明光I0として放射されてもよいし、レンズまたは拡散板などの各種の光学系を介して、外部空間200に照明光I0として放射されてもよい。
【0099】
また、
図13の例では、光学素子133として反射部1331が示されているものの、
図9および
図10に示すように、光学素子133としてレンズ1332が採用されてもよい。この場合、レンズ1332はいわゆるコリメートレンズであってもよい。つまり、レンズ1332の焦点が波長変換部132の内部に位置してもよい。言い換えれば、蛍光体部分1321は、レンズ1332の焦点が入射面部132aによって囲まれる位置に、配置してもよい。これによれば、レンズ1332は、波長変換部132が焦点の近傍で発する蛍光W0を、高い指向性で平行光線に変換することができる。
【0100】
このような光変換装置30Fの第2構成例も、保持部131と、波長変換部132と、光学素子133と、を含む。保持部131は、出射部としての第1出射端2e2を保持する。波長変換部132は、励起光P0が入射する凸面状の入射面部132aを有し、励起光P0の照射に応じて蛍光W0を発する。光学素子133は、入射面部132aによって囲まれた焦点を有し、蛍光W0を平行光線に変換する。これにより、光変換装置30F(ひいては、光放射モジュール5)は、小さい収差を有する光学素子133を採用しつつ、高い指向性および大きな光量で蛍光W0を出射することができる。
【0101】
また、照明システム100Fでは、光放射モジュール5において、発光モジュール1から第1光伝送ファイバ2で伝送された励起光P0によって波長変換部132が蛍光W0を発する。これにより、例えば、光伝送ファイバにおいて光伝送ファイバの長手方向に対して種々の角度で傾斜する方向に進む蛍光W0の一部が伝送途中で散逸して生じる光伝送ロスが生じにくい。その結果、例えば、励起光P0に応じて照明システム100Fから放射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0102】
なお、光学素子133が蛍光W0を平行光線に変換する場合であっても、光学素子133と集光面33fとの間に、不図示のレンズ等を含む集光光学系を配置することで、蛍光W0を集光面33fに集光させてもよい。
【0103】
<1-2-3.第4実施形態>
上記第1実施形態および上記第2実施形態において、例えば、
図14で示されるように、中継器3および第1光伝送ファイバ2が存在せず、第2光伝送ファイバ4が発光モジュール1から光放射モジュール5まで位置し、発光モジュール1が、上記第1実施形態および上記第2実施形態に係る光変換装置30と同様な構成を有する光変換装置30Gを含んでいてもよい。
【0104】
図14で示されるように、第4実施形態に係る照明システム100Gは、例えば、発光モジュール1と、第2光伝送ファイバ4と、光放射モジュール5と、を備えている。ここでは、例えば、第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1が発光モジュール1内に位置し、第2光伝送ファイバ4の第2出射端4e2が光放射モジュール5内に位置している。これにより、例えば、第2光伝送ファイバ4は、発光モジュール1から光放射モジュール5まで蛍光W0を伝送することができる。発光モジュール1では、例えば、光変換装置30Gは、出射部としての発光素子10から出射された励起光P0を受けて、蛍光W0を発することができる。発光モジュール1の光変換装置30Gが発した蛍光W0は、例えば、第2光伝送ファイバ4を介して光放射モジュール5に伝送される。そして、例えば、光放射モジュール5は、第2光伝送ファイバ4が伝送した蛍光W0を照明光I0として照明システム100Gの外部空間200に放射することができる。
【0105】
図15で示される第4実施形態に係る発光モジュール1の一構成例は、発光素子10と、光変換装置30Gと、を有する。ここでは、例えば、光変換装置30Gは、
図2で示された上記第1実施形態に係る光変換装置30の一構成例と同様な構成を有する。
図15の例では、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2の代わりに、発光素子10の出射部10fから波長変換部132に向けて励起光P0が出射される。そして、保持部131が、発光素子10を保持している。保持部131は、例えば、種々の形状を有し、種々の形態で発光素子10を保持していてもよい。光変換装置30Gには、第1実施形態および第2実施形態で説明した光変換装置30のいずれを適用してもよい。
【0106】
このような構成が採用されても、例えば、光変換装置30Gは、保持部131と、波長変換部132と、光学素子133と、を含む。保持部131は、出射部としての出射部10fを保持する。波長変換部132は、励起光P0が入射する凸面状の入射面部132aを有し、励起光P0の照射に応じて蛍光W0を発する。光学素子133は、入射面部132aによって囲まれた第1焦点F1または共役点C1を有し、蛍光W0を集光面33fに集光させる。これにより、光変換装置30Gは、小さい収差を有する光学素子133を採用しつつ、高い指向性および大きな光量で蛍光W0を第2光伝送ファイバ4に入射させることができる。よって、光放射モジュール5は大きな光量で蛍光W0を照明光I0として放射できる。
【0107】
また、例えば、照明システム100Gでは、例えば、光放射モジュール5は、波長変換部132を含まない。このため、例えば、光放射モジュール5の温度上昇が生じにくく、光放射モジュール5の小型化を図ることができる。
【0108】
また、光変換装置30Gの光学素子133は、光変換装置30Fと同様に、蛍光W0を平行光線に変換してもよい。この場合、蛍光W0を第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に入射させるために、光学素子133と集光面33fとの間に、不図示のレンズ等を含む集光光学系を配置すればよい。
【0109】
<1-2-4.第5実施形態>
上記第1実施形態から上記第4実施形態において、
図16および
図17で示されるように、波長変換部132は、例えば、複数の蛍光体領域1320を有してもよい。換言すれば、波長変換部132(より具体的には、蛍光体部分1321)では、複数の蛍光体領域1320が配された構成を有してもよい。複数の蛍光体領域1320は、例えば、第1蛍光体領域1320aと、第2蛍光体領域1320bと、を含む。
図16の例では、蛍光体部分1321は三角柱形状を有しており、XY平面を切断面として蛍光体部分1321を2等分して得られる部分が、それぞれ第1蛍光体領域1320aおよび第2蛍光体領域1320bに相当する。例えば、第1蛍光体領域1320aは入射面132bを構成し、第2蛍光体領域1320bは入射面132cを構成する。つまり、第1蛍光体領域1320aの+X側の面が入射面132bに相当し、第2蛍光体領域1320bの+X側の面が入射面132cに相当する。
【0110】
第1蛍光体領域1320aは、例えば、励起光P0の照射に応じて、第1波長スペクトルを有する蛍光を発することができる。第2蛍光体領域1320bは、例えば、励起光P0の照射に応じて、第1波長スペクトルとは異なる第2波長スペクトルを有する蛍光を発することができる。ここでは、第1波長スペクトルを有する蛍光および第2波長スペクトルを有する蛍光には、例えば、色温度が相互に異なる蛍光が適用され得る。具体的には、第1波長スペクトルを有する蛍光には、例えば、第1色温度を有する光が適用される。第2波長スペクトルを有する蛍光には、例えば、第2色温度を有する光が適用される。第1色温度には、例えば、2650ケルビン(K)が適用される。第2色温度には、例えば、6500Kが適用される。なお、本明細書における色温度とは、例えば、JIS Z 8725;2015で規定される色温度や相関色温度であってもよい。
【0111】
各蛍光体領域1320は、例えば、異なる色を発する複数種類の蛍光体の多数の粒子を含んでいる。各蛍光体領域1320における蛍光体の粒子の存在比率は互いに相違している。例えば、蛍光体領域1320の各々が赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体を含んでいる場合、第1蛍光体領域1320aにおける赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体の各存在比率は、第2蛍光体領域1320bにおける赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体の各存在比率と相違する。これにより、蛍光体領域1320は、互いに異なる波長スペクトルを有する蛍光W0を発することができる。以下では、第1蛍光体領域1320aが発する蛍光W0を蛍光W1とも呼び、第2蛍光体領域1320bが発する蛍光W0を蛍光W2とも呼ぶ。
【0112】
図16および
図17の例では、励起光P0は、第1蛍光体領域1320aおよび第2蛍光体領域1320bに跨って入射する。つまり、被照射領域I1は第1蛍光体領域1320aおよび第2蛍光体領域1320bに跨って位置する。
図16および
図17の例では、被照射領域I1における第1蛍光体領域1320aおよび第2蛍光体領域1320bの割合は互いに同程度である。第1蛍光体領域1320aは励起光P0を受けて蛍光W1を発し、第2蛍光体領域1320bは励起光P0を受けて蛍光W2を発する。
【0113】
このような波長変換部132を含む光変換装置30は、互いに波長スペクトルの異なる蛍光W1および蛍光W2を出射することができる。
【0114】
光学素子133は、例えば第1実施形態のように、蛍光W1および蛍光W2を第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に集光させてもよい(
図2も参照)。第2光伝送ファイバ4における伝送により、蛍光W1および蛍光W2は空間的に混ざり合うので、光放射モジュール5から放射される照明光I0には色分布は生じにくい。この場合、蛍光W1および蛍光W2の各色が混ざり合った照明光I0を光放射モジュール5から照射できる。
【0115】
また、光変換装置30は、例えば
図18で示されるように、第2光伝送ファイバ4を経由せずに蛍光W1および蛍光W2を照明光I0として外部空間200に出射してもよい。
図18の光変換装置30は、
図13の光変換装置30Fの波長変換部132を
図16および
図17の波長変換部132に置き換えたものである。反射部1331は、波長変換部132が発した蛍光W1および蛍光W2を反射して、平行光線に変換する。
【0116】
ところで、
図16および
図17の例では、第1蛍光体領域1320aの入射面132bおよび第2蛍光体領域1320bの入射面
132cは互いに異なる方向に傾斜している。これによれば、第1蛍光体領域1320aが発する蛍光W1の主な進行方向と、第2蛍光体領域1320bが発する蛍光W2の主な進行方向とが互いに相違し得る。
図18の例では、第1蛍光体領域1320aは第2蛍光体領域1320bに対して+Z側に位置し、第1蛍光体領域1320aの入射面132bは+Z側を向いている。この構成によれば、第1蛍光体領域1320aは主として+Z側により多くの蛍光W1を発し得る。一方、第2蛍光体領域1320bは第1蛍光体領域1320aに対して-Z側に位置し、第2蛍光体領域1320bの入射面132cは-Z側を向いている。この構成によれば、第2蛍光体領域1320bは主として-Z側により多くの蛍光W2を発し得る。
【0117】
したがって、
図18の光変換装置30が出射する照明光I0は、Z軸方向において、空間的な色分布を形成し得る。このような照明光I0の色分布は照明対象の色味に反映されるので、照明対象の色味を部分的に変更し得る。具体的には、照明対象のうち蛍光W1がより多く照射される領域と、蛍光W2がより多く照射される領域とで、色味を変化させ得る。
【0118】
このような光変換装置30は、例えば、ショー用の照明などで活用すると、照明対象の色味の分布を変更できる点で好ましい。あるいは、検査対象を検査する検査装置の照明に活用してもよい。例えば半導体基板などの基板を含む検査対象の欠陥検出に適した照明光の色は、その欠陥の種類によって相違する場合がある。そこで、第1種類の欠陥の検出に対応した蛍光W1を発するように第1蛍光体領域1320aを設計し、第2種類の欠陥に対応した蛍光W2を発する第2蛍光体領域1320bを設計することにより、蛍光W1が照射される領域では、第1種類の欠陥検出を容易とし、蛍光W2が照射される領域では、第2種類の欠陥検出を容易にできる。この照明光を、例えば、検査対象に対して走査することによって、検査対象の全領域の検査を行うことができる。
【0119】
また、基材1322の表面1322aが、蛍光体部分1321の入射面部132aと同様の形状を有する反射面である場合(
図4も参照)、空間的な色分布は顕著となる。なぜなら、第1蛍光体領域1320aが発する蛍光W1が-Z側に進んでも基材1322の表面1322aで反射して+Z側に進み、且つ、蛍光W2が同様の理由により-Z側に進むからである。よって、照明対象の色味の分布をより顕著にすることができる。
【0120】
なお、光学素子133が蛍光W1および蛍光W2を集光面33fに集光させる場合であっても、光変換装置30が第2光伝送ファイバ4を経由せずに、蛍光W1および蛍光W2を照明光として出射すれば、照明対象の色味の分布を変化させ得る。
【0121】
また、上述のように、照明光I0の色分布は第2光伝送ファイバ4を経由することで緩和される。しかしながら、第2光伝送ファイバ4が短い等の理由により、第2光伝送ファイバ4を経由した照明光I0に、視認可能な色分布が生じている場合もあり得る。この場合、第2光伝送ファイバ4を経由した照明光I0でも、照明対象の色味の分布を変化させ得る。
【0122】
また、
図17の例では、波長変換部132における複数の蛍光体領域1320の大きさは、略同一であるものの、これらが異なっていてもよい。また、
図17の例では、蛍光体領域1320の個数として2つを採用しているものの、3つ以上の蛍光体領域1320が位置していてもよい。この場合、励起光P0は、3以上の蛍光体領域1320に跨って照射されてもよい。
【0123】
<1-2-5.第6実施形態>
図19で示される第6実施形態に係る光変換装置30の第1構成例は、駆動部135および制御部36の有無を除いて、第5実施形態と同様の構成を有している。駆動部135は、複数の蛍光体領域1320において励起光P0が照射される被照射領域I1を変更させる。駆動部135は、例えば、保持部131および波長変換部132のうちの少なくとも一方の部分を動かすことで、第1出射端2e2と複数の蛍光体領域1320との相対的な位置関係を変更させる。
【0124】
<1-2-5-1.直動駆動>
第6実施形態の第1構成例では、駆動部135は、光軸AX1に交差する第1交差方向としてのZ軸方向において、波長変換部132を移動させる第1移動機構の一例としての第1直動機構1353を有する。第1直動機構1353は、例えば、ロッド部1353rおよび移動部1353mを有する。ロッド部1353rは、例えば、L字状の棒状形状を有しており、その一端部が波長変換部132に連結されている。ロッド部1353rの一端部とは逆側の端部は移動部1353mに連結されている。移動部1353mは、例えば、ロッド部1353rをZ軸方向に移動させることができる。移動部1353mには、例えば、モータと、ボールねじと、を有する機構が適用される。ここでは、例えば、移動部1353mが、ロッド部1353rをZ軸方向に移動させることで、波長変換部132をZ軸方向に移動させることができる。その結果、例えば、
図20(a)および
図20(b)で示されるように、複数の蛍光体領域1320が、Z軸方向に沿って一体に移動し得る。また、移動部1353mには、例えば、各種のアクチュエータが適用されてもよい。
【0125】
制御部36は、例えば、駆動部135の駆動によって複数の蛍光体領域1320における励起光P0の被照射領域I1を変更し、駆動部135の駆動を停止させることで、複数の蛍光体領域1320における被照射領域I1を設定するように制御することができる。
図19の例では、制御部36は、駆動部135の駆動によって出射部としての第1出射端2e2と複数の蛍光体領域1320との相対的な位置関係を変更することができる。ここでは、制御部36は、例えば、第1直動機構1353の移動部1353mを制御することで、第1直動機構1353による波長変換部132の移動量を制御することができる。制御部36は、例えば、移動部1353mにおけるモータの回転角度を検出することで、モータを停止するタイミングを制御することができる。制御部36には、例えば、制御基板あるいはマイクロコンピュータなどが適用される。マイクロコンピュータには、中央演算ユニット(CPU)およびメモリなどが集積された大規模集積回路(LSI)が適用される。制御部36は、例えば、駆動部135との間で信号の送受信を行うことで、駆動部135の動作を制御することができる。制御部36は、例えば、光変換装置30の外部の装置からの信号に応じて、駆動部135の動作を制御してもよい。
【0126】
制御部36は制御回路とも言える。制御部36は、以下にさらに詳細に述べられるように、種々の機能を実行するための制御および処理能力を提供するために、少なくとも1つのプロセッサを含む。
【0127】
種々の実施形態によれば、少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)として、または複数の通信可能に接続された集積回路ICおよび/またはディスクリート回路(discrete circuits)として実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、種々の既知の技術に従って実行されることが可能である。
【0128】
1つの実施形態において、プロセッサは、例えば、関連するメモリに記憶された指示を実行することによって1以上のデータ計算手続または処理を実行するように構成された1以上の回路またはユニットを含む。他の実施形態において、プロセッサは、1以上のデータ計算手続きまたは処理を実行するように構成されたファームウェア(例えば、ディスクリートロジックコンポーネント)であってもよい。
【0129】
種々の実施形態によれば、プロセッサは、1以上のプロセッサ、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理装置、プログラマブルロジックデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらのデバイス若しくは構成の任意の組み合わせ、または他の既知のデバイスおよび構成の組み合わせを含み、以下に説明される機能を実行してもよい。
【0130】
なお、制御部36の全ての機能あるいは制御部36の一部の機能は、その機能の実現にソフトウェアが不要なハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0131】
ここでは、例えば、
図20で示されるように、波長変換部132が、第1蛍光体領域1320aと、第2蛍光体領域1320bと、を含む複数の蛍光体領域1320を有する。例えば、
図20で示されるように、励起光P0の光軸AX1に沿った方向に波長変換部132を平面視した場合に、第1交差方向としてのZ軸方向において、複数の蛍光体領域1320が配列されている態様が考えられる。
図20の例では、第1蛍光体領域1320aと、第2蛍光体領域1320bと、がこの順に、-Z方向に並んでいる。
【0132】
駆動部135が、例えば、波長変換部132をZ軸方向に移動させると、複数の蛍光体領域1320に対して被照射領域I1を移動させることができる。この移動により、被照射領域I1における複数の蛍光体領域1320の割合が変更される。よって、例えば、波長変換部132が発する蛍光W0の波長スペクトルが変更される。
【0133】
図20(a)および
図20(b)の例では、被照射領域I1は第1蛍光体領域1320aおよび第2蛍光体領域1320bに跨って位置している。この場合には、例えば、波長変換部132から発せられる蛍光W0は、第1蛍光体領域1320aから発せられる第1色温度の蛍光W1と第2蛍光体領域1320bから発せられる第2色温度の蛍光W2とが混合された蛍光となる。ここでは、例えば、被照射領域I1における第1蛍光体領域1320aと第2蛍光体領域1320bとの割合に応じて、第1色温度の蛍光W1と第2色温度の蛍光W2とが混合される割合が設定され得る。
図20(a)で示されるように、波長変換部132が-Z側に移動するほど、被照射領域I1のうち第1蛍光体領域1320aが占める割合は大きくなる。よって、波長変換部132が-Z側に移動するほど、蛍光W0のうち蛍光W1の割合が大きくなる。一方で、
図20(b)で示されるように、波長変換部132が+Z側に移動するほど、被照射領域I1のうち第2蛍光体領域1320bが占める割合は大きくなる。よって、波長変換部132が+Z側に移動するほど、蛍光W0のうち蛍光W2の割合が大きくなる。
【0134】
図19の例では、光学素子133は、蛍光W1および蛍光W2を第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に集光させる。蛍光W1および蛍光W2は、第2光伝送ファイバ4の内部を伝送し、光放射モジュール5から照明光I0として出射される。蛍光W1および蛍光W2は、第2光伝送ファイバ4の内部を伝送することで空間的に混ざり合い、蛍光W1および蛍光W2を含む照明光I0が光放射モジュール5から出射される。
【0135】
駆動部135が波長変換部132を移動させて蛍光W1および蛍光W2の光量の割合を調整することにより、照明光I0の色味を調整することができる。つまり、照明光I0を調色することができる。また、例えば、第2光伝送ファイバ4が短い等の理由により、照明光I0に空間的な色分布が生じている場合には、その色分布も調整し得る。
【0136】
なお、光変換装置30は、第2光伝送ファイバ4および光放射モジュール5を経由せずに、蛍光W1および蛍光W2を照明光I0として外部空間200に出射してもよい。この場合、照明光I0の色分布はより顕著となる。
【0137】
第6実施形態の第1構成例では、駆動部135が波長変換部132を移動させるので、光学素子133の第1焦点F1の波長変換部132に対する相対的な位置は変化する。この第1焦点F1は、駆動部135による波長変換部132の移動範囲内の少なくとも一部において、波長変換部132の入射面部132aによって囲まれていればよい。波長変換部132が移動範囲の当該一部内に位置するときに、第1焦点F1は蛍光体部分1321の入射面部132aによって囲まれるので、光変換装置30は、より高い指向性および大きな光量で蛍光W1および蛍光W2を発することができる。
【0138】
なお、指向性および光量が問題にならない場合には、第1焦点F1が常に波長変換部132の外側に位置していてもよい。この場合でも、駆動部135が波長変換部132を移動させることにより、照明光I0の調色(あるいはさらに色分布の調整)を行うことが可能である。
【0139】
また、上述の例では、駆動部135は、波長変換部132を移動させているものの、保持部131を移動させてもよい。つまり、駆動部135は、保持部131を動かすことで、出射部としての第1出射端2e2と複数の蛍光体領域1320との相対的な位置関係を変更させてもよい。換言すれば、駆動部135は、例えば、保持部131および波長変換部132のうちの少なくとも一方の部分を動かすことで、出射部としての第1出射端2e2と複数の蛍光体領域1320との相対的な位置関係を変更してもよい。このような構成が採用されても、制御部36は、例えば、駆動部135の駆動によって複数の蛍光体領域1320における励起光P0の被照射領域I1を変更し、駆動部135の駆動を停止させることで、複数の蛍光体領域1320における被照射領域I1を設定するように制御することができる。
【0140】
図21で示される第6実施形態に係る光変換装置30の第2構成例では、駆動部135は保持部131を移動させる。具体的には、駆動部135は、第1交差方向としてのZ軸方向において、保持部131を移動させる第1移動機構としての第2直動機構1354を有する。第2直動機構1354は、例えば、ロッド部1354rおよび移動部1354mを有する。ロッド部1354rは、例えば、保持部131に連結されている。移動部1354mは、例えば、ロッド部1354rをZ軸方向に移動させることができる。移動部1354mには、例えば、モータと、ボールねじと、を有する機構が適用される。ここでは、例えば、移動部1354mが、ロッド部1354rをZ軸方向に移動させることで、保持部131および第1出射端2e2をZ軸方向に移動させることができる。ここで、制御部36は、例えば、移動部1354mにおけるモータの回転数を制御することで、Z軸方向における保持部131の移動量および位置を制御することができる。制御部36は、例えば、移動部1354mにおけるモータの回転数を検出することで、モータを停止させるタイミングを制御してもよい。また、移動部1354mには、例えば、各種のアクチュエータが適用されてもよい。
【0141】
駆動部135が保持部131を移動させることにより、例えば、
図22(a)および
図22(b)で示されるように、被照射領域I1が、複数の蛍光体領域1320上において、第1交差方向(Z軸方向)に沿って移動し得る。その結果、例えば、複数の蛍光体領域1320における被照射領域I1が変更され得る。この場合にも、上記と同様に、例えば、光変換装置30における出射光の調色(あるいはさらに色分布の調整)を容易に行うことができる。
【0142】
なお、上述の例では、波長変換部132における複数の蛍光体領域1320の大きさは、略同一であるものの、これらが異なっていてもよい。
【0143】
また、第1蛍光体領域1320aと第2蛍光体領域1320bとの境界が、駆動部135の移動方向である第1交差方向(ここではZ軸方向)に直交している。しかしながら、蛍光体領域1320どうしの境界は第1交差方向に対して傾斜していてもよい。
【0144】
また、上述の具体例では、蛍光体領域1320の個数として2つを採用しているものの、3つ以上の蛍光体領域1320が位置していてもよい。また、3つ以上の蛍光体領域1320は第1交差方向のみに配列される必要はない。波長変換部132を光軸AX1に沿って平面視したときに、複数の蛍光体領域1320が互いに隣接して2次元的に配列されてもよい。例えば、複数の蛍光体領域1320がマトリクス状に配列されてもよい。この場合、駆動部135は、波長変換部132を2次元的に移動させるとよい。つまり、駆動部135は、保持部131および波長変換部132の少なくともいずれか一方を、第1交差方向(例えばZ軸方向)に沿って移動させる第1直動機構1353と、光軸AX1および第1交差方向に交差する第2交差方向(例えばY軸方向)に沿って移動させる直動機構(不図示)とを両方含んでいてもよい。この直動機構の構成の一例は、その移動方向を除いて、第1直動機構1353と同様である。
【0145】
また、
図20および
図22では、被照射領域I1は第1蛍光体領域1320aおよび第2蛍光体領域1320bに跨って
位置している。しかしながら、駆動部135が被照射領域I1を第1蛍光体領域1320aおよび第2蛍光体領域1320bに対して+Z側に移動させることにより、被照射領域I1を第1蛍光体領域1320aのみに位置させてもよい。同様に、駆動部135は被照射領域I1を第2蛍光体領域1320bのみに位置させてもよい。
【0146】
<1-2-5-2.回転駆動>
図23で示される第6実施形態に係る光変換装置30の第3構成例では、駆動部135は、例えば、波長変換部132に照射される励起光P0の光軸AX1からずれた仮想的な回転軸(第1回転軸ともいう)R1を中心として波長変換部132を回転させる機構(第1回転機構ともいう)1351を含む。
【0147】
図23の例では、駆動部135は、例えば、波長変換部132が接合しているロッド部132rを動かすことで、複数の蛍光体領域1320における被照射領域I1を変更することができる。ロッド部132rは波長変換部132から-X方向に突出しており、このロッド部132rの-X側の先端には、傘歯車状のギア部132gが固定されている。ロッド部132rは、例えば、X軸方向に沿った第1回転軸R1を中心として回転が可能となるように、筐体3bによって直接的または他の部材を介して間接的に支持されている。第1回転機構1351は、例えば、モータ部1351mと、ロッド部1351rと、ギア部1351gと、を含む。ロッド部1351rは、Z軸方向に沿った長手方向を有する棒状の部材である。ロッド部1351rの+Z側の先端には、例えば、傘歯車状のギア部1351gが固定されている。ギア部1351gは、ギア部132gと噛合している。モータ部1351mは、Z軸方向に沿った仮想的な回転軸R35を中心としてロッド部1351rおよびギア部1351gを回転させることができる。これにより、例えば、ギア部1351gの回転力が、ギア部132gに伝達されることで、波長変換部132が、第1回転軸R1を中心として回転し得る。その結果、例えば、
図24(a)から
図24(c)で示されるように、複数の蛍光体領域1320が、第1回転軸R1を中心として一体に回転し得る。
【0148】
波長変換部132は、例えば、
図24(a)から
図24(c)で示されるように、複数の蛍光体領域1320を有する。
図24(a)から
図24(c)の例では、複数の蛍光体領域1320は、第1蛍光体領域1320aと、第2蛍光体領域1320bと、第3蛍光体領域1320cと、を含む。第1蛍光体領域1320aは、例えば、励起光P0の照射に応じて、第1波長スペクトルを有する蛍光を発することができる。第2蛍光体領域1320bは、例えば、励起光P0の照射に応じて、第1波長スペクトルとは異なる第2波長スペクトルを有する蛍光を発することができる。第3蛍光体領域1320cは、例えば、励起光P0の照射に応じて、第1波長スペクトルおよび第2波長スペクトルとは異なる第3波長スペクトルを有する蛍光を発することができる。ここでは、第1波長スペクトルを有する蛍光および第2波長スペクトルを有する蛍光には、例えば、色温度が相互に異なる蛍光が適用され得る。また、第3波長スペクトルを有する蛍光には、例えば、第1波長スペクトルおよび第2波長スペクトルをそれぞれ有する蛍光の色温度とは異なる色温度を有する蛍光が適用され得る。具体的には、第1波長スペクトルを有する蛍光には、例えば、第1色温度を有する光が適用される。第2波長スペクトルを有する蛍光には、例えば、第2色温度を有する光が適用される。第3波長スペクトルを有する蛍光には、例えば、第3色温度を有する光が適用される。第1色温度には、例えば、2650ケルビン(K)が適用される。第2色温度には、例えば、6500Kが適用される。第3色温度には、例えば、4000Kが適用される。
【0149】
ここで、例えば、
図24(a)から
図24(c)で示されるように、第1回転軸R1に沿った方向に波長変換部132を平面視した場合に、複数の蛍光体領域1320が第1回転軸R1を中心とした周方向に配列されている態様が考えられる。例えば、第1蛍光体領域1320aと、第2蛍光体領域1320bと、第3蛍光体領域1320cと、がこの順に、第1回転軸R1を中心とした周方向に配列されている態様が考えられる。
【0150】
この場合、波長変換部132の蛍光体部分1321は、例えば、円錐形状または半球形状を有してもよい。このような蛍光体部分1321の平面視の形状は円形状であるので、複数の蛍光体領域1320が周方向に配列される態様に好適である。蛍光体部分1321の入射面部132aは、第1蛍光体領域1320a、第2蛍光体領域1320bおよび第3蛍光体領域1320cの+X側の表面によって区画される。
【0151】
駆動部135は、例えば、第1回転軸R1を中心に波長変換部132を回転させることで、被照射領域I1における複数の蛍光体領域1320の割合が容易に変更され得る。よって、波長変換部132が発する蛍光の色温度を、蛍光体領域1320の割合に応じて変更することができる。よって、光変換装置30は照明光I0の調色(さらには色分布の調整)を容易に行うことができる。
【0152】
なお、上述の具体例では、駆動部135は、波長変換部132を回転させる第1回転機構1351を含んでいる。しかしながら、駆動部135は、第1回転機構1351に代えて、あるいは第1回転機構1351とともに、第1出射端2e2を回転させる第2回転機構(不図示)を含んでもよい。要するに、駆動部135は、
図24(a)から
図24(c)のように、被照射領域I1が蛍光体部分1321に対して相対的に移動するように、波長変換部132および第1出射端2e2の少なくともいずれか一方を回転させてもよい。
【0153】
また、
図24の例では、被照射領域I1は第1回転軸R1を含んでいる。よって、被照射領域I1は第1蛍光体領域1320a、第2蛍光体領域1320bおよび第3蛍光体領域1320cを含む。しかしながら、被照射領域I1が第1回転軸R1を含まないように、波長変換部132および第1出射端2e2の位置関係が設定されてもよい。この場合、被照射領域I1は、その回転位置によって、単一の蛍光体領域1320に、または、隣り合う蛍光体領域1320の二者に跨って位置する。
【0154】
また、波長変換部132における複数の蛍光体領域1320の大きさは、略同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0155】
また、波長変換部132における複数の蛍光体領域1320の数は、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。換言すれば、例えば、波長変換部132は、周方向に配列される2つ以上の蛍光体領域1320を有していてもよい。
【0156】
また、波長変換部132を光軸AX1に沿って平面視した場合に、複数の蛍光体領域1320の一つが、光軸AX1を含む円形状を有しており、残りの蛍光体領域1320が当該一つの蛍光体領域1320の周囲で周方向に配列されてもよい。そして、被照射領域I1の一部が回転位置によらず当該一つの蛍光体領域1320に位置していれば、当該一つの蛍光体領域1320が発する色温度の蛍光の使用頻度が高い場合に適した光変換装置30を提供できる。また、中央に位置する当該一つの蛍光体領域1320が発する蛍光の波長スペクトルが、周辺に位置する蛍光体領域1320の少なくとも一つが発する蛍光の波長スペクトルと同一であってもよい。
【0157】
<1-2-5-3.被照射領域の大きさ>
第6実施形態に係る光変換装置30の第4構成例では、駆動部135は、例えば、保持部131と波長変換部132との距離を変更させる機構(第2移動機構ともいう)を有していてもよい。この場合には、例えば、出射部としての第1出射端2e2と波長変換部132との距離が変更されるため、被照射領域I1の大きさを変更することができる。これにより、例えば、複数の蛍光体領域1320における励起光P0の被照射領域I1を変更させることができる。そして、ここでも、制御部36は、例えば、駆動部135の駆動によって複数の蛍光体領域1320における励起光P0の被照射領域I1を変更し、駆動部135の駆動を停止させることで、複数の蛍光体領域1320における被照射領域I1を設定するように制御することができる。その結果、例えば、波長変換部132が発する蛍光W0の波長スペクトルを変更して、光変換装置30から出射される出射光の調色を行うことができる。
【0158】
図25で示される第6実施形態に係る光変換装置30の第4構成例では、駆動部135は、光軸AX1に沿う方向としてのX軸方向において、保持部131を移動させる第2移動機構の一例としての第3直動機構1355を有する。第3直動機構1355は、例えば、ロッド部1355rおよび移動部1355mを有する。ロッド部1355rは、例えば、保持部131に連結されている。移動部1355mは、例えば、ロッド部1355rをX軸方向に移動させることができる。移動部1355mには、例えば、モータと、ボールねじと、を有する機構が適用される。ここでは、例えば、移動部1355mが、ロッド部1355rをX軸方向に移動させることで、保持部131をX軸方向に移動させることができる。ここで、制御部36は、例えば、移動部1355mにおけるモータの回転数を制御することで、X軸方向における保持部131の移動量および位置を制御することができる。制御部36は、例えば、移動部1355mにおけるモータの回転数を検出することで、モータを停止させるタイミングを制御してもよい。また、移動部1355mには、例えば、各種のアクチュエータが適用されてもよい。
【0159】
図25で示される第6実施形態に係る光変換装置30の第4構成例では、駆動部135は、光軸AX1に沿うX軸方向において、波長変換部132を移動させる第2移動機構の一例としての第4直動機構1356を有する。第4直動機構1356は、例えば、ロッド部1356rおよび移動部1356mを有する。ロッド部1356rは、例えば、波長変換部132に連結されている。移動部1356mは、例えば、ロッド部1356rをX軸方向に移動させることができる。移動部1356mには、例えば、モータと、ボールねじと、を有する機構が適用される。ここでは、例えば、移動部1356mが、ロッド部1356rをX軸方向に移動させることで、波長変換部132をX軸方向に移動させることができる。ここで、制御部36は、例えば、移動部1356mにおけるモータの回転数を制御することで、X軸方向における波長変換部132の移動量および位置を制御することができる。制御部36は、例えば、移動部1356mにおけるモータの回転数を検出することで、モータを停止させるタイミングを制御してもよい。また、移動部1356mには、例えば、各種のアクチュエータが適用されてもよい。また、ここでは、例えば、第3直動機構1355および第4直動機構1356の少なくとも一方の機構が存在していてもよい。
【0160】
ここでは、例えば、
図26(a)から
図26(c)で示されるように、励起光P0の光軸方向としてのX軸方向(具体的には、-X方向)に波長変換部132を平面視した場合に、光軸AX1から離れる方向において、複数の蛍光体領域1320が配列されている態様が考えられる。
【0161】
図26(a)から
図26(c)の例では、第1蛍光体領域1320aから第3蛍光体領域1320cは同心状に配置されている。この場合、波長変換部132の蛍光体部分1321は、例えば、円錐形状または半球形状を有してもよい。このような蛍光体部分1321の平面視の形状は円形状であるので、複数の蛍光体領域1320が同心状に配置される態様に好適である。蛍光体部分1321の入射面部132aは、第1蛍光体領域1320a、第2蛍光体領域1320bおよび第3蛍光体領域1320cの+X側の表面によって区画される。
【0162】
駆動部135の駆動により、例えば、第1出射端2e2と波長変換部132との距離が変更されることで、
図26(a)から
図26(c)で示されるように、被照射領域I1の大きさが変更され、被照射領域I1において複数の蛍光体領域1320が占める割合が容易に変更され得る。その結果、例えば、光変換装置30における蛍光の調色を容易に行うことができる。
図26(a)の例では、被照射領域I1には、第1蛍光体領域1320aのみが位置している。このため、例えば、波長変換部132から発せられる蛍光W0は、第1蛍光体領域1320aから発せられる第1色温度の蛍光となる。ここで、例えば、第1出射端2e2と波長変換部132との距離が長くなることで、被照射領域I1の径が大きくなり、
図26(b)で示されるように、被照射領域I1には、第1蛍光体領域1320aと第3蛍光体領域1320cとが位置している状態となる。この場合には、例えば、波長変換部132から発せられる蛍光W0は、第1蛍光体領域1320aから発せられる第1色温度の蛍光と第3蛍光体領域1320cから発せられる第3色温度の蛍光とが混合された蛍光となる。ここでは、例えば、被照射領域I1における第1蛍光体領域1320aと第3蛍光体領域1320cとの割合に応じて、第1色温度の蛍光と第3色温度の蛍光とが混合される割合が設定され得る。そして、例えば、第1出射端2e2と波長変換部132との距離がさらに長くなることで、被照射領域I1の径がさらに大きくなり、
図26(c)で示されるように、被照射領域I1には、第1蛍光体領域1320aと、第3蛍光体領域1320cと、第2蛍光体領域1320bとが位置している状態となる。この場合には、例えば、波長変換部132から発せられる蛍光W0は、第1蛍光体領域1320aから発せられる第1色温度の蛍光と、第3蛍光体領域1320cから発せられる第3色温度の蛍光と、第2蛍光体領域1320bから発せられる第2色温度の蛍光と、が混合された蛍光となる。ここでは、例えば、被照射領域I1における第1蛍光体領域1320aと第3蛍光体領域1320cと第2蛍光体領域1320bとの割合に応じて、第1色温度の蛍光と第3色温度の蛍光と第2色温度の蛍光とが混合される割合が設定され得る。
【0163】
ここで、波長変換部132の径(つまり、蛍光体部分1321の表面132dの径)は、例えば、0.1ミリメート(mm)から20mm程度に設定される。また、第1蛍光体領域1320aの径は、0.1mmから10mm程度に設定される。また、被照射領域I1の径は、例えば、0.1mmから10mm程度に設定される。また、例えば、光軸AX1に沿った方向に平面視した場合に、波長変換部132および複数の蛍光体領域1320は、それぞれ四角形など円形以外の形状を有していてもよい。
【0164】
<1-3.その他>
上記各実施形態では、例えば、第1波長スペクトルを有する蛍光、第2波長スペクトルを有する蛍光および第3波長スペクトルを有する蛍光には、それぞれ特定の色の蛍光が適用されてもよい。例えば、第1波長スペクトルを有する蛍光に赤色(R)の蛍光が適用され、第2波長スペクトルを有する蛍光に緑色(G)の蛍光が適用され、第3波長スペクトルを有する蛍光に青色(B)の蛍光が適用される態様が考えられる。ここでは、例えば、第1蛍光体領域1320aが赤色蛍光体を有し、第2蛍光体領域1320bが緑色蛍光体を有し、第3蛍光体領域1320cが青色蛍光体を有する態様が考えられる。
【0165】
上記各実施形態では、例えば、波長変換部132は、複数の蛍光体領域1320が一体的に形成された形態を有していてもよいし、複数の蛍光体領域1320を2つ以上の部分として別々に作製した後に複数の蛍光体領域1320を適宜配して形成された形態を有していてもよい。
【0166】
上記各実施形態では、例えば、光変換装置30,30F,30Gから出射される蛍光W0の色温度または色をセンサーで検出し、この検出結果に応じて、制御部36が、駆動部135の駆動を制御してもよい。
【0167】
上記各実施形態では、例えば、反射面133rは、仮想的な楕円面33eからずれた凹面状の面とされ、反射面133rで反射された蛍光W0が光学系を用いて集光されてもよい。例えば、反射面133rが放物面に沿った面とされ、反射面133rで反射された蛍光W0の平行光線が、集光レンズによって集光されてもよい。
【0168】
上記各実施形態では、例えば、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の何れが上下方向であってもよいし、他の方向が上下方向であってもよい。
【0169】
上記第6実施形態の第1構成例および第2構成例では、例えば、駆動部135が、ロッド部1353r,1354rがY軸方向に沿った長手方向を有し、移動部1353m,1354mによってロッド部1353r,1354rを揺動させる構成としてもよい。このような構成が採用されても、駆動部135は、例えば、光軸AX1に対して交差する方向において、波長変換部132と保持部131とを相対的に移動させることができる。
【0170】
上記各実施形態では、例えば、駆動部135は、出射部から波長変換部132までの間に光学系を配し、この光学系を動かすことで、複数の蛍光体領域1320において励起光P0が照射される被照射領域I1を変更させてもよい。ここでは、光学系には、例えば、レンズ、プリズムおよび反射部など各種部材が含まれ得る。光学系を動かす態様には、各種部材の並進、回転および揺動などが含まれ得る。そして、例えば、被照射領域I1の変更は、励起光P0の進行方向を曲げることによる被照射領域I1の移動、および励起光P0の光束の断面の径の増減による被照射領域I1の径の増減などが含まれ得る。
【0171】
また、上述の例では、光学素子133が反射部1331を含む場合、波長変換部132の入射面部132aは、反射部1331の貫通孔133h側(つまり、+X側)に突出する凸面状の形状を有している(例えば
図2参照)。そして、第1出射端2e2が反射部1331の貫通孔133h側から励起光P0を波長変換部132の入射面部132aに向けて出射している。しかしながら、
図27で示されるように、波長変換部132は、その入射面部132aが反対側(つまり、-X側)に突出する姿勢で配置されてもよい。この場合、第1出射端2e2は、波長変換部132よりも-X側に位置してもよい。これによっても、波長変換部132の入射面部132aの形状として凸面形状を採用しているので、第1実施形態と同様に、光変換装置30は高い指向性および大きな光量で蛍光W0を出射することができる。
【0172】
反射部1331が蛍光W0を集光面33fに集光させる場合には、第1光伝送ファイバ2は、反射面133r上の各点から蛍光W0が集光面33fに向かって進む領域を避けて配置されるとよい。これにより、第1光伝送ファイバ2は蛍光W0を遮断しない。
【0173】
また、貫通孔133hは形成されていなくてもよい。あるいは、例えば、第6実施形態のように、駆動部135が波長変換部132を駆動する場合、波長変換部132の-X側の面からロッド部が-X側に延びて貫通孔133hを貫通してもよい。この場合、駆動部135は当該ロッド部を駆動してもよい。これによれば、駆動部135を反射部1331の外側に位置させることができ、駆動部135が蛍光W0を遮断しない。
【0174】
また、第1伝送部としての第1光伝送ファイバ2及び第2伝送部としての第2光伝送ファイバ4はクラッドを複数備えていてもよい。あるいは、第1光伝送部及び第2伝送部は、例えば、ライトガイドであってもよい。ライトガイドは、例えば、複数本の光ファイバが束ねられた構成を有していてもよいし、湾曲可能なチューブ状部材(例えばアクリル樹脂)の内周面で励起光P0を反射させて伝送する構成を有していてもよいし、クラッドおよび被覆を含まずに、湾曲可能な線状の単一の透光部材を含み、当該透光部材の内部において励起光P0を伝送する構成を有していてもよい。
【0175】
<2-1.第7実施形態>
所定方向に並んで位置する第1蛍光体および第2蛍光体に対して、励起光を互いに逆側から入射させる光源装置が知られている。該光源装置では、第1光源から出射した第1励起光が、第2蛍光体とは反対側から第1蛍光体に入射し、第2光源から出射した第2励起光が、第1蛍光体とは反対側から第2蛍光体に入射する。第1蛍光体は当該第1励起光を受けて蛍光を発し、第2蛍光体は当該第2励起光を受けて蛍光を発する。第1蛍光体および第2蛍光体が発する蛍光は同色である。該光源装置では、この蛍光をリフレクタで反射して、所定の方向へ出射する。例えば、第1蛍光体および第2蛍光体の各々が、赤色(R)の蛍光、緑色(G)の蛍光および青色(B)の蛍光を発する蛍光物質を含んでいれば、光源装置は擬似的な白色光を出射する。
【0176】
しかしながら、このような光源装置では、複数の光源が必要であり、光源側の構成を複雑化させ、製造コストの増加を招く。
【0177】
そこで、本開示の発明者は、光変換装置および光変換装置を含む照明システムについて、構成を簡易化できる技術を創出した。
【0178】
<2-1-1.照明システム>
第7実施形態に係る照明システムの一例は
図1と同様である。
【0179】
<2-1-2.光変換装置>
図28は、第7実施形態に係る光変換装置30の構成の一例を概略的に示す図である。
図28で示されるように、光変換装置30は、例えば、第1波長変換部231と、分離光学系232と、を備えている。これらの光変換装置30の各部は、例えば、中継器3の筐体3bに直接的または他の部材などを介して間接的に固定されている。以下では、光軸AX1は、例えば、第1出射端2e2についての光軸である。
図28の例では、光軸AX1はX軸方向に沿っている。
【0180】
第1波長変換部231は励起光P0を受けて、蛍光W0を発することができる。第1波長変換部231は、例えば、光軸AX1上に位置している。第1波長変換部231は、表面(以下、第1入射面と呼ぶ)231aと、第1入射面231aとは逆側の表面(以下、第2入射面231bと呼ぶ)と、を有している。第1入射面231aおよび第2入射面231bは、光軸AX1に交差する方向(例えばZ軸方向)において、互いに対向する。第1入射面231aおよび第2入射面231bは、例えば、互いに平行な平面である。第1波長変換部231は、例えば、直方体形状を有していてもよい。第1入射面231aおよび第2入射面231bには、後述のように、励起光P0から分離した第1励起光P1および第2励起光P2がそれぞれ入射する。第1入射面231aおよび第2入射面231bを有する第1波長変換部231は+X側に突起しているとも言えるので、第1波長変換部231の凸状の入射面部が、第1入射面231aおよび第2入射面231bを有している、とも言える。
【0181】
第1波長変換部231は蛍光体を含む。第1波長変換部231の蛍光体は蛍光体部分1321の蛍光体と同様である。蛍光体部分は、例えば、所定の基材の上に位置していても構わない。
図29は、第1波長変換部231の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
図29で示されるように、第1波長変換部231は、第1蛍光体部分2311と、第2蛍光体部分2312と、基材2313とを含んでも構わない。
【0182】
基材2313は板状の形状を有しており、その厚み方向がZ軸方向に沿う姿勢で位置している。基材2313の+Z側の主面2313aの上には、第1蛍光体部分2311が位置し、基材2313の-Z側の主面2313bの上には、第2蛍光体部分2312が位置する。
【0183】
第1蛍光体部分2311は第1入射面231aを有する。具体的には、第1蛍光体部分2311の表面のうち基材2313とは逆側の表面が第1入射面231aに相当する。第1蛍光体部分2311は、第1入射面231aに入射する第1励起光P1に基づいて、蛍光W0を発光する。第1蛍光体部分2311の構成の一例は上述の通りである。
【0184】
第2蛍光体部分2312は第2入射面231bを有する。具体的には、第2蛍光体部分2312の表面のうち基材2313とは逆側の表面が第2入射面231bに相当する。第2蛍光体部分2312は、第2入射面231bに入射する第2励起光P2に基づいて、蛍光W0を発光する。第2蛍光体部分2312の構成の一例は上述の通りである。
【0185】
第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312は、例えば互いに同一の構成を有していてもよい。同一の構成とは、例えば、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312が互いに同じ仕様で製造されていることを意味する。これにより、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312は、ほぼ同一の波長スペクトルで蛍光W0を発する。つまり、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312は、ほぼ同色の蛍光W0を発する。
【0186】
基材2313は透明性を有していてもよく、あるいは、反射性を有していてもよい。以下では、一例として、基材2313の主面2313aおよび主面2313bは反射面である。基材2313の素材には、例えば、基材1322と同様の素材が適用される。
【0187】
また、基材1322と同様に、基材2313の主面2313aおよび主面2313bは、例えば、基材2313の本体部よりも光の反射率が高い金属材料の層(高光反射層ともいう)によって構成されていてもよい。
【0188】
なお、
図29の例では、基材2313が第1蛍光体部分2311と第2蛍光体部分2312との間に位置しているものの、必ずしもこれに限らない。例えば、基材2313が透明性を有している場合には、基材2313の主面2313aの上に、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312を含む構造体が位置していてもよい。この場合、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312は一体に構成されてもよい。また、基材2313は、その厚み方向がX軸方向またはY軸方向に沿う姿勢で設けられてもよい。この場合、基材2313は第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312の一体物の側面に位置してもよい。
【0189】
図28を参照して、分離光学系232は、例えば、分離素子2321と、第1光路変更素子2322と、第2光路変更素子2323と、を含んでいる。この分離光学系232は、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2から出射された励起光P0を第1励起光P1および第2励起光P2に分離する。そして、分離光学系223は第1励起光P1を第1波長変換部231の第1入射面231aに導くとともに、第2励起光P2を第1波長変換部231の第2入射面231bに導く。
【0190】
分離素子2321は、例えば、光軸AX1上において、第1波長変換部231と第1出射端2e2との間に位置している。分離素子2321は、第1出射端2e2からの励起光P0を第1励起光P1および第2励起光P2に分離する。
【0191】
図30は、分離素子2321の一例を概略的に示す斜視図である。分離素子2321は、例えば、第3入射面2321aおよび第4入射面2321bを有している。第3入射面2321aおよび第4入射面2321bは互いに連続する面である。励起光P0は第3入射面2321aおよび第4入射面2321bの境界に跨って入射する(
図28も参照)。つまり、励起光P0の一部分が第3入射面2321aに入射し、残りの部分が第4入射面2321bに入射する。
【0192】
第4入射面2321bは、第3入射面2321aに対して傾斜している。
図28および
図30の例では、第3入射面2321aおよび第4入射面2321bは平面であって、全体としてV字形状を呈している。つまり、第3入射面2321aおよび第4入射面2321bは鋭角で互いに連結されている。第3入射面2321aおよび第4入射面2321bはX方向において第1出射端2e2側に向かうにつれて、Z方向において互いに近づくように傾斜している。
図28の例では、第3入射面2321aおよび第4入射面2321bの境界は光軸AX1上に位置している。
【0193】
分離素子2321は、励起光P0の第3入射面2321aおよび第4入射面2321bへの入射によって、励起光P0を第1部分および第2部分に分離する。より具体的には、分離素子2321は、励起光P0のうち第3入射面2321aに入射する第1部分および第4入射面2321bに入射する第2部分の進行方向を互いに異ならせて、励起光P0を第1部分および第2部分に分離する。第1部分は第1励起光P1に相当し、第2部分は第2励起光P2に相当する。言い換えれば、第1部分は分離前の第1励起光P1であり、第2部分は分離前の第2励起光P2である。第3入射面2321aおよび第4入射面2321bは、例えば、反射面である。第3入射面2321aおよび第4入射面2321bの傾斜方向は互いに異なっているので、第3入射面2321aから反射した第1励起光P1と、第4入射面2321bから反射した第2励起光P2とは、互いに異なる方向に進む。これにより、励起光P0から第1励起光P1および第2励起光P2を空間的に分離することができる。
【0194】
図30で示されるように、分離素子2321は三角柱形状を有していてもよい。分離素子2321は、三角柱の1つの矩形状の側面(以下、表面2321cと呼ぶ)が光軸AX1に直交し、且つ、1つの側辺が第1出射端2e2側を向く姿勢で配置されている。分離素子2321の残りの2つの矩形状の側面がそれぞれ第3入射面2321aおよび第4入射面2321bに相当する。分離素子2321の素材としては、例えば、上述した基材2313と同様の素材を採用することができる。
【0195】
図28の例では、第3入射面2321aは第4入射面2321bに対して+Z側に位置している。よって、励起光P0のうち第3入射面2321aで反射した第1部分は、第1励起光P1として+Z側に進み、励起光P0のうち第4入射面2321bで反射した第2部分は、第2励起光P2として-Z側に進む。
【0196】
図28で示されるように、分離素子2321は第1波長変換部231と連結されていてもよい。具体的には、分離素子2321の表面2321cが第1波長変換部231の+X側の表面に接合していてもよい。この場合、分離素子2321は第1波長変換部231の基材として機能してもよく、また、第1波長変換部231は基材2313を備えていなくてもよい。また、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312が一体に構成されていてもよい。
【0197】
第1光路変更素子2322は、分離素子2321からの第1励起光P1を第1波長変換部231の第1入射面231aに導く光学素子である。
図28の例では、第1励起光P1は分離素子2321から+Z側に進むので、第1光路変更素子2322は分離素子2321に対して+Z側に位置する。第1光路変更素子2322は、例えば、ミラーを含み、第1励起光P1を反射して第1波長変換部231の第1入射面231aに入射させる。
図28の例では、第1励起光P1は第1入射面231aに対して斜めに入射する。
【0198】
第2光路変更素子2323は、分離素子2321からの第2励起光P2を第1波長変換部231の第2入射面231bに導く光学素子である。
図28の例では、第2励起光P2は分離素子2321から-Z側に進むので、第2光路変更素子2323は分離素子2321に対して-Z側に位置する。第2光路変更素子2323は、例えば、ミラーを含み、第2励起光P2を反射して第1波長変換部231の第2入射面231bに入射させる。
図28の例では、第2励起光P2は第2入射面231bに対して斜めに入射する。
【0199】
第1波長変換部231は第1励起光P1および第2励起光P2に基づいて蛍光W0を発する。なお、
図28では、代表的に、第1入射面231a上の1点から放射される蛍光W0の光線、および、第2入射面231b上の1点から放射される蛍光W0の光線が示されている。実際には、第1波長変換部231内の各位置の蛍光体が蛍光W0を発する。この点は、後述する他の波長変換部についても同様である。
【0200】
図28の例では、光変換装置30は反射部233も備えている。反射部233も、例えば、中継器3の筐体3b(
図2では不図示)に収納され、直接的または間接的に筐体3bに固定される。
図28の例では、反射部233は、反射部1331の反射面133rと同様の反射面233rを有している。
【0201】
図28の例では、反射面233rは、第1波長変換部231から分離素子2321に向かう方向に凹んでおり、第1波長変換部231および分離光学系232を囲っている。言い換えれば、第1波長変換部231および分離光学系232は、反射面233rの内側に位置している。反射面233rの仮想的なYZ断面は、例えば、円形状の形状を有する。具体的には、例えば、反射面233rの仮想的なYZ断面が、光軸AX1上の点を中心とした円形状の形状を有する形態が考えられる。反射面233rのYZ平面に沿った仮想的な円形状の断面における直径の最大値は、例えば、1cmから10cm程度とされる。
【0202】
また、反射部233は、例えば、励起光P0が通過する貫通孔233hを有する。第1光伝送ファイバ2のうち第1出射端2e2側の部分は、例えば、貫通孔233hに挿入されている状態にある。この場合、励起光P0は第1光伝送ファイバ2の当該部分を伝送することで、貫通孔233hを通過する。
【0203】
反射面233rが沿う楕円面33eは、例えば、第1波長変換部231の内部に位置する焦点(第1焦点ともいう)F1を有している。言い換えれば、第1波長変換部231は反射面233rの第1焦点F1に位置している。このような構成によれば、第1波長変換部231が発した蛍光W0を反射部233によって第2焦点F2の近傍に集光させることができる。第2焦点F2は楕円面33eのもう1つの焦点であり、第1焦点F1とは異なる焦点である。
【0204】
第2焦点F2には集光面33fが位置する。言い換えれば、集光面33fは第2焦点F2に沿って位置する。集光面33fは仮想的な面であっても、実体的に存在する面であってもよい。第7実施形態では、例えば、集光面33fは、第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に沿って位置している。
【0205】
このような構成によれば、第1焦点F1近傍で第1波長変換部231が発する蛍光W0は反射面233rで反射し、第2焦点F2に位置する集光面33fに集光する。これにより、例えば、第2光伝送ファイバ4で伝送される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0206】
分離光学系232の第1光路変更素子2322および第2光路変更素子2323は、
図28で示されるように、反射部233に取り付けられていてもよい。
【0207】
また、光変換装置30は、例えば、
図28で示されるように、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2から出射される励起光P0を分離素子2321に向けて集光するレンズなどの光学系L31を備えていてもよい。
【0208】
また、光変換装置30は、例えば、第1波長変換部231が発して反射面233rで反射された蛍光W0を、第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に向けて集光するレンズなどの光学系(不図示)、を有していてもよい。
【0209】
<2-1-3.第7実施形態のまとめ>
光変換装置30は、例えば、第1波長変換部231と、分離光学系232と、を含む。第1波長変換部231は、第1側(例えば+Z側)に位置する第1入射面231aと、第1側とは逆側の第2側(例えば-Z側)に位置する第2入射面231bと、を有し、励起光P0を受けて蛍光W0を発する。
図28の例では、第1側および第2側は、光軸AX1に交差する方向において互いに反対側となる。分離光学系232は、例えば、第1出射端2e2からの励起光P0を第1励起光P1および第2励起光P2に分離し、第1励起光P1を第1波長変換部231の第1入射面231aに導くとともに、第2励起光P2を第1波長変換部231の第2入射面231bに導く。これにより、励起光P0を出射する単一の出射部(つまり単一の第1出射端2e2)を用いつつも、第1波長変換部231の第1入射面231aおよび第2入射面231bにそれぞれ第1励起光P1および第2励起光P2を入射させることができる。したがって、光源側の構造を簡易化し得る。ひいては、製造コストを低減させ得る。
【0210】
また、第1入射面231aに第1励起光P1が入射し、第2入射面231bに第2励起光P2が入射するので、何れか一方のみに励起光が入射する場合に比して、励起光P0の第1波長変換部231への入射面積を増加させることができる。これにより、蛍光W0の光量を増加させることができる。また、第1入射面231aおよび第2入射面231bは第1焦点F1に対して互いに逆側に位置している。つまり、第1焦点F1は第1波長変換部231の内部に位置している。よって、第1波長変換部231は第1焦点F1の近傍で蛍光W0を発することができる。したがって、反射部233は蛍光W0を高い指向性で集光面33fに集光させることができる。よって、第2光伝送ファイバ4の結合効率を向上させ得る。
【0211】
また、上述の例では、分離光学系232は、反射部233によって囲まれるように位置している。これによれば、分離光学系232は、反射部233の貫通孔233hを通過する1本の励起光P0を、反射部233の内側において、第1励起光P1および第2励起光P2に分離する。そして、第1励起光P1を第1入射面231aに導くとともに第2励起光P2を第2入射面231bに導いてもよい。
【0212】
比較のために、分離光学系232および第1出射端2e2が反射部233の外側に位置する構造を考慮する。この場合、分離光学系232および第1出射端2e2は反射部233に対して+X側に位置する。この構造でも、分離光学系232は励起光P0を第1励起光P1および第2励起光P2に分離することが可能である。しかるに、第1励起光P1および第2励起光P2が反射部233の外側から内側の空間に進むためには、反射部233には、第1励起光P1用の貫通孔および第2励起光P2用の貫通孔を形成する必要がある。このように反射部233には、励起光を通過させる2つの貫通孔を形成する必要がある。
【0213】
これに対して、上述の例では、分離光学系232は反射部233の内側において励起光P0を第1励起光P1および第2励起光P2に分離する。よって、励起光P0を反射部233の内側に導入するための貫通孔233hを反射部233に1つ形成すればよく、反射部233の構造を簡易にできる。これにより、反射部233の製造コストを低減させることができる。
【0214】
また、
図28で示されるように、分離光学系232は第1励起光P1を第1入射面231aに対して斜めに入射させてもよい。これにより、第1励起光P1は第1入射面231aに対してより広い入射面積で入射する。これによれば、単位面積当たりの第1励起光P1の光量を低減させることができる。第2励起光P2も同様である。よって、第1波長変換部231で生じる単位面積当たりの熱量を低減させることができる。これにより、第1波長変換部231の温度上昇を緩和することができる。
【0215】
第1波長変換部231の蛍光体および封止材料(バインダとも呼ばれる)の少なくとも何れか一方は熱によって劣化または変性し、これに起因して温度消光を招き得る。第1波長変換部231の温度上昇を緩和すれば、このような熱による不具合が発生する可能性を低減させることができる。
【0216】
なお、上述の例では、分離素子2321は、第3入射面2321aおよび第4入射面2321bが反射面となるミラーであるものの、必ずしもこれに限らない。例えば、分離素子2321は、プリズムまたはハーフミラーを含んでいてもよい。要するに、分離素子2321は、励起光P0を空間的に分離できる光学素子であればよい。
【0217】
<2-2.他の実施形態>
本開示は上述の第7実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
【0218】
<2-2-1.第8実施形態>
第8実施形態に係る光変換装置30の反射部233の形状は、第7実施形態と相違する。
図31は、第8実施形態に係る光変換装置30の構成の一例を概略的に示す図である。反射部233は、例えば、
図31で示されるように、反射面233rが放物面に沿った形状を有する放物面ミラーとされてもよい。反射面233rが沿う放物面は、第1波長変換部231の内部に位置する焦点F3を有している。言い換えれば、第1波長変換部231は焦点F3に位置している。このような構成が採用されれば、例えば、第1波長変換部231で発せられる蛍光W0を反射部233によって平行光に変換することができる。
【0219】
この場合、第2光伝送ファイバ4および光放射モジュール5は省略されてもよい。つまり、光変換装置30は、第2光伝送ファイバ4および光放射モジュール5を経由することなく、反射部233からの蛍光W0を照明光I0として外部空間に出射してもよい。
【0220】
あるいは、第7実施形態と同様に、第2光伝送ファイバ4および光放射モジュール5が配置されてもよい。この場合、平行な蛍光W0を集光面33fに集光させるレンズが配置されればよい。
【0221】
第8実施形態においても、第1入射面231aに第1励起光P1が入射するとともに第2入射面231bに第2励起光P2が入射するので、何れか一方のみに励起光が入射する場合に比して、蛍光W0の光量を増加し得る。
【0222】
また、第1入射面231aおよび第2入射面231bは焦点F3に対して互いに逆側に位置している。つまり、焦点F3は第1波長変換部231の内部に位置している。よって、第1波長変換部231は焦点F3の近傍で蛍光W0を発することができる。したがって、反射部233は蛍光W0を高い指向性で平行光に変換することができる。
【0223】
<2-2-2.第9実施形態>
第9実施形態に係る光変換装置30は第7実施形態または第8実施形態と同様である。ただし、第9実施形態では、第1波長変換部231の構成が第7実施形態および第8実施形態と相違する。第9実施形態においては、第1波長変換部231は、互いに異なる構成を有する第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312を含んでいる。よって、第1蛍光体部分2311が発する蛍光W0の波長スペクトルは、第2蛍光体部分2312が発する蛍光W0の波長スペクトルと相違する。以下では、第1蛍光体部分2311が発する蛍光W0を蛍光W1とも呼び、第2蛍光体部分2312が発する蛍光W0を蛍光W2とも呼ぶ。波長スペクトルが相違するとは、例えば、蛍光W1の波長スペクトルにおけるピーク波長の少なくとも何れか1つが、蛍光W2の波長スペクトルにおけるピーク波長の少なくとも何れか1つと相違することを意味する。あるいは、蛍光W1と蛍光W2との色差が例えば0.6以上となる程度で、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312の構成が相違していてもよい。
【0224】
例えば、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312は、互いに異なる種類の蛍光体を含んでいてもよい。例えば、第1蛍光体部分2311には、赤色蛍光体が含まれ、第2蛍光体部分2312には、緑色蛍光体および青色蛍光体が含まれてもよい。また、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312には、異なる蛍光体の他、共通の蛍光体が含まれてもよい。例えば、第1蛍光体部分2311には、赤色蛍光体および緑色蛍光体が含まれ、第2蛍光体部分2312には、緑色蛍光体および青色蛍光体が含まれてもよい。このように第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312が互いに異なる種類の蛍光体を含んでいれば、蛍光W1および蛍光W2の波長スペクトルは互いに相違する。
【0225】
また、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312は互いに同種の蛍光体を含んでいてもよい。ただし、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312の組成比は互いに相違する。例えば、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312の両方が赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体を含んでいてもよい。この場合、第1蛍光体部分2311の蛍光体の割合は第2蛍光体部分2312の蛍光体の割合と相違する。これによっても、蛍光W1および蛍光W2の波長スペクトルは互いに相違する。
【0226】
蛍光W1および蛍光W2が疑似的な白色光である場合、蛍光W1および蛍光W2の相違を色温度で表現することができる。例えば、第1蛍光体部分2311の色温度と第2蛍光体部分2312の色温度との差が100K以上となるように、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312が設計されるとよい。具体的な一例として、色温度が2650K、3000K、4000K、5000K、6500Kをそれぞれ実現する複数の組成のうち、何れか2つの組成をそれぞれ第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312に採用してもよい。
【0227】
以上のように、第9実施形態に係る光変換装置30は、波長スペクトルの異なる蛍光W1および蛍光W2を出射することができる。
【0228】
光変換装置30は第7実施形態のように、蛍光W1および蛍光W2を第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に集光させてもよい(
図28参照)。第2光伝送ファイバ4における伝送により、蛍光W1および蛍光W2は空間的に混ざり合うので、光放射モジュール5から放射される照明光I0には色分布は生じにくい。この場合、蛍光W1および蛍光W2の各色が混ざり合った照明光I0を光放射モジュール5から照射できる。
【0229】
また、光変換装置30は、例えば第8実施形態のように、第2光伝送ファイバ4を経由せずに蛍光W1および蛍光W2を照明光として外部空間に出射してもよい(
図31参照)。ところで、第1蛍光体部分2311は第2蛍光体部分2312に対して+Z側に位置し、この第1蛍光体部分2311には、+Z側から第1励起光P1が入射する。この構成によれば、第1蛍光体部分2311は主として+Z側により多くの蛍光W1を発し得る。一方、第2蛍光体部分2312は第1蛍光体部分2311に対して-Z側に位置し、この第2蛍光体部分2312には、-Z側から第2励起光P2が入射する。この構成によれば、第2蛍光体部分2312は主として-Z側により多くの蛍光W2を発し得る。したがって、光変換装置30が出射する照明光は、Z軸方向において、空間的な色分布を形成し得る。このような照明光の色分布は照明対象の色合いに反映されるので、照明対象の色合いを部分的に変更し得る。具体的には、照明対象のうち蛍光W1がより多く照射される領域と、蛍光W2がより多く照射される領域とで、色合いを変化させ得る。
【0230】
このような光変換装置30は、例えば、ショー用の照明などで活用すると、照明対象の色合いの分布を変更できる点で好ましい。あるいは、検査対象を検査する検査装置の照明に活用してもよい。例えば半導体基板などの基板を含む検査対象の欠陥検出に適した照明光の色は、その欠陥の種類によって相違する場合がある。そこで、第1種類の欠陥の検出に対応した蛍光W1を発するように第1蛍光体部分2311を設計し、第2種類の欠陥に対応した蛍光W2を発する第2蛍光体部分2312を設計することにより、蛍光W1が照射される領域では、第1種類の欠陥検出を容易とし、蛍光W2が照射される領域では、第2種類の欠陥検出を容易にできる。この照明光を、例えば、検査対象に対して走査することによって、検査対象の全領域の検査を行うことができる。
【0231】
図29で示されるように、第1蛍光体部分2311が基材2313の主面2313aの上に位置し、第2蛍光体部分2312が基材2313の主面2313bの上にそれぞれ位置している場合、主面2313aおよび主面2313bの少なくとも何れか一方は反射面であってもよい。この場合、空間的な色分布は顕著となる。なぜなら、第1蛍光体部分2311が発する蛍光W1が-Z側に進んでも基材2313で反射して+Z側に進み、且つ、蛍光W2が同様の理由により-Z側に進むからである。よって、照明対象の色合いの分布をより顕著にすることができる。
【0232】
なお、
図28の態様であっても、光変換装置30が第2光伝送ファイバ4を経由せずに、蛍光W1および蛍光W2を照明光として出射すれば、照明対象の色合いの分布を変化させ得る。
【0233】
上述のように、照明光の色分布は第2光伝送ファイバ4を経由することで緩和される。しかしながら、第2光伝送ファイバ4が短い等の理由により、第2光伝送ファイバ4を経由した照明光I0に、視認可能な色分布が生じている場合もあり得る。この場合、第2光伝送ファイバ4を経由した照明光I0でも、照明対象の色合いの分布を変化させ得る。
【0234】
なお、第9実施形態でも、第7実施形態および第8実施形態と同様に、単一の出射部を採用することで光源の構成を簡易化することが可能である。しかしながら、光源の構成を簡易化させる必要がなければ、複数の出射部を採用してもよい。要するに、第9実施形態においては、第1蛍光体部分2311の第1入射面231aと、第1蛍光体部分2311と異なる構成を有する第2蛍光体部分2312の第2入射面231bとに、励起光を照射すればよい。これにより、照明光の色または色分布の調整することができる。
【0235】
以下で述べる他の実施形態でも、光源の構成を簡易化する必要性がない場合には、複数の出射部を採用してもよい。
【0236】
<2-2-3.第10実施形態>
第10実施形態では、分離光学系232は、第1出射端2e2からの励起光P0を可変の割合で第1励起光P1および第2励起光P2に分離する。つまり、分離光学系232は第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合を変化させる。
図32は、第10実施形態に係る光変換装置30の構成の一例を概略的に示す図である。この光変換装置30は、分離光学系232の構成を除いて、第9実施形態と同様の構成を有している。
図33は、第1励起光P1の光量に対する第2励起光P2の光量の割合が1からずれているときの、光変換装置30の構成の一例を概略的に示す図である。
図33の例では、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合は1よりも大きい。なお、光量とは、例えば、光の進行方向に直交する断面内の輝度の総積分値である。
【0237】
図32を参照して、分離光学系232は、分離素子2321を第1出射端2e2に対して相対的に移動させる調色駆動部234をさらに含んでいる。調色駆動部234は、例えば、分離素子2321を第1出射端2e2に対して相対的に移動させて、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合を変化させる。
図32の例では、分離素子2321を第1出射端2e2に対して+Z側に移動させることにより、第2励起光P2の断面積を大きくし、その光量を大きくしている。なお、
図32の例では、図の煩雑を避けるべく、調色駆動部234を省略している。
【0238】
図31で示されるように、調色駆動部234は、例えば、保持部材2341と、変位機構2344とを含んでいる。保持部材2341は、分離素子2321を筐体3bに取り付けるための部材である。保持部材2341は、例えば、ロッド2342と、アーム2343とを含む。ロッド2342は、X軸方向において、反射部233と集光面33fとの間に位置している。ロッド2342は、例えば、Z軸方向に長い棒状形状を有しており、その一方の端部が変位機構2344を介して筐体3bに取り付けられている。アーム2343は、例えば、X軸方向に長い棒状形状を有しており、その+X側の端部が分離素子2321に連結され、-X側の端部がロッド2342に連結されている。
【0239】
変位機構2344は保持部材2341をZ軸方向に沿って往復移動させることができる。これにより、保持部材2341および分離素子2321がZ軸方向に沿って一体に往復移動する。変位機構2344は、例えば、ボールねじを含んでもよい。ボールねじは、Z軸方向に延在するねじ軸と、ねじ軸を回転させるモータと、当該ねじ軸に螺合し、当該ねじ軸の回転に伴ってZ軸方向に移動するナットと、を含む。当該ナットはロッド2342に連結される。あるいは、変位機構2344は、例えば、リニアモータを含んでもよい。リニアモータは、例えば、固定子と、固定子との間の磁力によりZ軸方向に移動する移動子と、を含む。移動子はロッド2342に連結される。
【0240】
調色駆動部234(より具体的には変位機構2344)は、制御部26によって制御される。制御部26は、外部からの指示を受け取り、当該指示に基づいて変位機構2344を制御し、分離素子2321と第1出射端2e2との相対位置を調整する。ひいては、制御部26は、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合を調整する。
【0241】
制御部26は制御回路とも言える。制御部26のハードウェア構成の一例は制御部36と同様である。
【0242】
以下では、分離素子2321と第1出射端2e2との相対位置において、基準位置を導入して説明を行う。基準位置は、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合が1であるときの分離素子2321および第1出射端2e2の相対位置である。
図31の例では、第3入射面2321aおよび第4入射面2321bの境界が光軸AX1上に位置するときの分離素子2321の位置が基準位置となる。
【0243】
図32で示されるように、分離素子2321が基準位置から+Z側に移動すると、分離素子2321の第3入射面2321aは第1出射端2e2の光軸AX1から+Z軸方向に離れる。よって、第1出射端2e2からの励起光P0のうち第3入射面2321aに入射する第1部分は小さくなる。その低下量は、分離素子2321の+Z側の移動量が増加するほど大きくなる。励起光P0のうち第3入射面2321aで反射した第1部分は、第1励起光P1として+Z側に進むので、第1励起光P1の断面積は、分離素子2321の+Z側の移動量が増加するほど小さくなる。よって、第1励起光P1の光量は、分離素子2321の+Z側の移動量が増加するほど小さくなる。
【0244】
一方で、分離素子2321の第4入射面2321bの中心は第1出射端2e2の光軸AX1に近づくので、励起光P0のうち第4入射面2321bに入射する第2部分は大きくなる。励起光P0のうち第4入射面2321bで反射した第2部分は、第2励起光P2として+Z側に進むので、第2励起光P2の断面積は、分離素子2321の+Z側の移動量が増加するほど大きくなる。よって、第2励起光P2の光量は、分離素子2321の+Z側の移動量が増加するほど大きくなる。
【0245】
以上のように、分離素子2321を第1出射端2e2に対して+Z側に移動させるほど、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合は大きくなる。このとき、
図32で示されるように、第1励起光P1はより小さい入射面積で第1蛍光体部分2311の第1入射面231aに入射し、第2励起光P2はより大きい入射面積で第2蛍光体部分2312の第2入射面231bに入射する。したがって、第1蛍光体部分2311はより小さな光量で蛍光W1を発し、第2蛍光体部分2312はより大きな光量で蛍光W2を発する。よって、蛍光W1に対する蛍光W2の光量の割合も、分離素子2321の+Z側の移動量が大きいほど大きくなる。なお、
図32では、蛍光W1の光量と蛍光W2の光量との大小関係を、蛍光W1および蛍光W2を示す線の太さの大小関係で模式的に示している。
【0246】
なお、
図32で示されるように、第1波長変換部231は、分離素子2321の位置に依存せずに、定位置に位置してもよい。つまり、分離素子2321は第1波長変換部231と離れていてもよい。これにより、蛍光W1および蛍光W2を発する第1波長変換部231の位置を、分離素子2321の移動によらず、第1焦点F1に維持することができる。
【0247】
逆に、分離素子2321を第1出射端2e2に対して-Z側に移動させるほど、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合は小さくなる。このとき、第1蛍光体部分2311には、より大きい入射面積で第1励起光P1が入射し、第2蛍光体部分2312には、より小さい入射面積で第2励起光P2が入射する。したがって、蛍光W1に対する蛍光W2の光量の割合は、分離素子2321の-Z側の移動量が大きいほど小さくなる。
【0248】
以上のように、調色駆動部234が分離素子2321を第1出射端2e2に対して相対的に移動させることにより、蛍光W1に対する蛍光W2の光量の割合を調整することができる。
【0249】
図31および
図32の例では、反射部233の反射面233rは楕円面33eに沿っている。よって、光変換装置30は蛍光W1および蛍光W2を第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に集光させる。蛍光W1および蛍光W2は第2光伝送ファイバ4の内部を伝送し、光放射モジュール5から照明光I0として出射される。蛍光W1および蛍光W2は第2光伝送ファイバ4の内部を伝送することで空間的に混ざり合い、蛍光W1および蛍光W2を含む照明光I0が光放射モジュール5から出射される。調色駆動部234が蛍光W1および蛍光W2の光量の割合を調整することにより、照明光I0の色合いを調整することができる。また、例えば、第2光伝送ファイバ4が短い等の理由により、照明光I0に空間的な色分布が生じている場合には、その色分布を調整し得る。
【0250】
制御部26は、外部からの指示に基づいて調色駆動部234(より具体的には、変位機構2344)を制御する。例えば、ユーザが、照明光I0についての色合いについての指示を、スイッチ等を含む入力デバイスに入力し、入力デバイスが当該指示を制御部26に出力する。制御部26は照明光I0が当該指示に応じた色合いとなるように、調色駆動部234を制御する。指示および分離素子2321の対応関係は例えば予め設定されていてもよい。制御部26は、入力デバイスからの指示と、対応関係とに基づいて、分離素子2321の位置を決定してもよい。以上のように、ユーザが入力デバイスを操作することにより、照明光I0の色合いを調整することができる。
【0251】
また、上述の例では、調色駆動部234は分離素子2321および第1出射端2e2を相対的に移動させることにより、照明光I0の色合いを調整している。よって、簡易な構成で調色を実現することができる。
【0252】
なお、光変換装置30は、第2光伝送ファイバ4および光放射モジュール5を経由せずに、蛍光W1および蛍光W2を照明光として外部空間に出射してもよい。この場合、調色駆動部234が蛍光W1および蛍光W2の光量の割合を調整することにより、照明光の色分布を調整することができる。
【0253】
また、反射部233の反射面233rは、第2実施形態と同様に、例えば、放物面に沿っていてもよい。この場合、反射面233rで反射された蛍光W1および蛍光W2は平行光として出射される。
【0254】
<2-2-3-1.波長変換部の位置>
上述のように、第1波長変換部231は分離素子2321の位置に依存せずに、ほぼ定位置であってもよい。これによれば、第1波長変換部231の第1入射面231aおよび第2入射面231bを第1焦点F1からほぼ等距離に維持することができる。したがって、反射部233は蛍光W1および蛍光W2を同等の指向性で集光面33fに集光し、あるいは、同等の指向性で平行光に変換することができる。
【0255】
<2-2-3-2.保持部材>
分離素子2321を保持する保持部材2341は、ガラスおよび金属(例えばステンレス)等の高い剛性を有する剛性素材によって構成されていてもよい。これによれば、分離素子2321の位置の変動を抑制することができる。
【0256】
保持部材2341は、透明性を有するガラス等の透明素材によって構成されてもよい。これによれば、反射部233で反射した蛍光W1および蛍光W2の一部が保持部材2341に入射しても、当該一部の蛍光は保持部材2341を透過する。よって、保持部材2341は蛍光W1および蛍光W2の光路を遮りにくい。したがって、照明光I0の光量を増加し得る。
【0257】
なお、必ずしも保持部材2341の全体が透明性を有する必要はなく、保持部材2341のうち、反射部233からの蛍光W1および蛍光W2が入射する部材が、透明性を有していればよい。
【0258】
<2-2-3-3.調色駆動機構>
上述の例では、調色駆動部234は分離素子2321をZ軸方向に沿って平行に移動させている。しかしながら、必ずしもこれに限らない。
図34は、調色駆動部234および分離素子2321の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
図34の例では、ロッド2342は、Y軸方向に沿って延在しており、アーム2343とは逆側の端部が変位機構2344に連結される。変位機構2344は、例えばモータを含んでおり、ロッド2342を旋回可能に筐体3bに取り付ける。変位機構2344は、例えば、X軸方向に沿う回転軸Q1のまわりで、且つ、所定の角度範囲内で、ロッド2342を旋回させることができる。これにより、ロッド2342、アーム2343および分離素子2321が所定の角度範囲内で一体に旋回する。この旋回により、分離素子2321は、YZ断面において、回転軸Q1を中心とした周方向に沿って往復移動する。周方向はおおよそZ軸方向に沿っているので、変位機構2344は分離素子2321をZ軸方向に沿って往復移動させることができる。ロッド2342が長いほど、分離素子2321の移動方向はZ軸方向により平行となる。この分離素子2321の移動によっても、第1出射端2e2からの励起光P0のうち分離素子2321の第3入射面2321aおよび第4入射面2321bに入射する部分の割合を変更することができる。
【0259】
<2-2-4.第11実施形態>
図35は、第11実施形態に係る光変換装置30の構成の一例を概略的に示す図である。この光変換装置30は、調色駆動部234の構成という点を除いて、第10実施形態に係る光変換装置30と同様の構成を有している。この調色駆動部234は、分離素子2321の替わりに第1出射端2e2をZ軸方向に移動させて、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合を調整する。
図36は、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合が1からずれているときの、光変換装置30の一例を概略的に示す図である。
図36の例では、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合は1よりも大きい。
【0260】
調色駆動部234は、保持部材2341および変位機構2344に替えて、保持部材2345および変位機構2348を備えている。保持部材2345は、出射部の一例である第1出射端2e2を筐体3bに取り付けるための部材である。保持部材2345は、例えば、変位機構2348を介して筐体3bに取り付けられる。保持部材2345は、例えば、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2側の部分の側周面に当接し、第1光伝送ファイバ2を保持する。
図35で示されるように、光学系L31が配置される場合には、保持部材2345は光学系L31にも当接し、光学系L31および第1光伝送ファイバ2の両方を保持してもよい。
図35の例では、保持部材2345は、ロッド2346と、当接部材2347と、を含んでいる。ロッド2346は、例えば、Z軸方向に長い棒状形状を有しており、その一方の端部が変位機構2348に連結されている。ロッド2346の逆側の端部は当接部材2347に連結されている。当接部材2347は、例えば、X軸方向に延在しており、その+Z側の表面が光学系L31および第1光伝送ファイバ2に当接し、これらに連結される。
【0261】
変位機構2348は、例えば、保持部材2345をZ軸方向に沿って往復移動させる。これにより、保持部材2345、第1光伝送ファイバ2および光学系L31がZ方向に沿って一体に往復移動する。変位機構2348の具体的な一例は変位機構2344と同様である。
【0262】
反射部233の貫通孔233hは、第1光伝送ファイバ2がZ軸方向に沿って移動可能な程度の断面積を有している。つまり、第1光伝送ファイバ2は反射部233の貫通孔233hを遊嵌し、反射部233に対してZ軸方向に沿って移動可能である。
【0263】
図36で示されるように、第1出射端2e2および光学系L31が-Z側に移動すると、励起光P0は-Z側に平行移動する。よって、励起光P0のうち第1入射面231aに入射する第1部分は小さくなり、第2入射面231bに入射する第2部分は大きくなる。したがって、第1出射端2e2および光学系L31を-Z側に移動させるほど、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合は大きくなる。
【0264】
このとき、
図36で示されるように、第1励起光P1はより小さい入射面積で第1蛍光体部分2311の第1入射面231aに入射し、第2励起光P2はより大きい入射面積で第2蛍光体部分2312の第2入射面231bに入射する。したがって、第1蛍光体部分2311はより小さな光量で蛍光W1を発し、第2蛍光体部分2312はより大きな光量で蛍光W2を発する。つまり、第1出射端2e2および光学系L31の-Z側の移動量が大きいほど、蛍光W1に対する蛍光W2の光量の割合は、大きくなる。
【0265】
逆に、第1出射端2e2および光学系L31を+Z側に移動させるほど、第1励起光P1に対する第2励起光P2の光量の割合は小さくなる。このとき、第1蛍光体部分2311には、より大きい入射面積で第1励起光P1が入射し、第2蛍光体部分2312には、より小さい入射面積で第2励起光P2が入射する。したがって、第1蛍光体部分2311はより大きな光量で蛍光W1を発し、第2蛍光体部分2312はより小さな光量で蛍光W2を発する。つまり、第1出射端2e2および光学系L31の+Z側の移動量が大きいほど、蛍光W1に対する蛍光W2の光量の割合は、小さくなる。
【0266】
以上のように、調色駆動部234が第1出射端2e2および光学系L31をZ軸方向に移動させることにより、蛍光W1に対する蛍光W2の光量の割合を調整することができる。これにより、照明光I0の色合いまたは色分布を調整することができる。
【0267】
また、第11実施形態によれば、
図35で示されるように、第1出射端2e2を移動させる調色駆動部234は反射部233よりも外側に位置している。この構造によれば、第1波長変換部231が発する蛍光W1および蛍光W2の光路上に調色駆動部234が位置しない。よって、蛍光W1および蛍光W2は調色駆動部234に入射せず、調色駆動部234によって遮られない。したがって、照明光I0の光量を増加し得る。
【0268】
<2-2-5.第12実施形態>
図37は、第12実施形態に係る光変換装置30の構成の一例を概略的に示す図である。この光変換装置30は、第2波長変換部235の有無という点を除いて、第9実施形態に係る光変換装置30と同様の構成を有している。第2波長変換部235は、分離素子2321の第3入射面2321aおよび第4入射面2321bの両方の上に位置している。つまり、第2波長変換部235の一部は第3入射面2321aの上に位置し、第2波長変換部235の残りの一部は第4入射面2321bの上に位置している。
【0269】
第2波長変換部235は、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2からの励起光P0を受けて、蛍光W0を発する。第2波長変換部235は、第1波長変換部231と同様に、蛍光体部分を含んでいる。第2波長変換部235の構成は、例えば、第1波長変換部231と相違しており、第2波長変換部235が発する蛍光W0の波長スペクトルは、例えば、第1波長変換部231が発する蛍光W1および蛍光W2の何れとも相違する。
【0270】
図37で示されるように、第2波長変換部235は、第3蛍光体部分2351と、第4蛍光体部分2352と、を含んでいてもよい。第3蛍光体部分2351および第4蛍光体部分2352も、第1蛍光体部分2311および第2蛍光体部分2312と同様に、例えば、蛍光体および封止材料を含む蛍光体ペレットである。第1蛍光体部分2311、第2蛍光体部分2312、第3蛍光体部分2351および第4蛍光体部分2352の構成は互いに異なってもよく、互いに異なる波長スペクトルで蛍光W0を発してもよい。以下では、第3蛍光体部分2351および第4蛍光体部分2352が発する蛍光W0をそれぞれ蛍光W3および蛍光W4とも呼ぶ。
図37の例では、第3蛍光体部分2351は分離素子2321の第3入射面2321aの上に位置しており、第4蛍光体部分2352は分離素子2321の第4入射面2321bの上に位置している。
【0271】
第3蛍光体部分2351には、励起光P0のうち第3入射面2321aに向かう第1部分が入射する。第3蛍光体部分2351は励起光P0の第1部分に応じて蛍光W3を発する。なお、
図37では、蛍光W3および蛍光W4の光路の一例を太線の破線で示している。これは、図の視認性の向上のための処理であり、線の太さは蛍光W3および蛍光W4は光量の大きさを示すものではない。
【0272】
第3蛍光体部分2351が発する蛍光W3の一部は、第1光路変更素子2322を経由して第1焦点の近傍へ向かって進む。つまり、蛍光W3の当該一部は第1波長変換部231に向かって進む。蛍光W3の当該一部は、第1焦点F1に位置する第1波長変換部231を経由して反射部233の反射面233rで反射し、第2焦点F2に沿って位置する集光面33fに集光する。第3蛍光体部分2351が発する蛍光W3の残りの一部は、第1光路変更素子2322を経由せずに、主として反射部233の反射面233rで反射する。第1光路変更素子2322を経由しない蛍光W3は第1焦点F1の近傍を通らないので、集光面33fには集光しにくい。
【0273】
第4蛍光体部分2352には、励起光P0のうち第4入射面2321bに向かう第2部分が入射する。第4蛍光体部分2352は励起光P0の第2部分に応じて蛍光W4を発する。第4蛍光体部分2352が発する蛍光W4の一部は、第2光路変更素子2323を経由して第1焦点F1の近傍に向かって進む。つまり、蛍光W4の当該一部は、第1波長変換部231に向かって進む。蛍光W4の当該一部は、第1焦点F1に位置する第1波長変換部231を経由して反射部233の反射面233rで反射し、第2焦点F2に沿って位置する集光面33fに集光する。第4蛍光体部分2352が発する蛍光W4の残りの一部は、第2光路変更素子2323を経由せずに、主として反射部233の反射面233rで反射する。第2光路変更素子2323を経由しない蛍光W4は第1焦点F1の近傍を通らないので、集光面33fには集光しにくい。
【0274】
第3蛍光体部分2351および第4蛍光体部分2352で吸収されなかった励起光P0の一部は、分離素子2321によって第1励起光P1および第2励起光P2に分離する。第1励起光P1は、第1光路変更素子2322によって第1波長変換部231の第1入射面231aに導かれ、第2励起光P2は、第2光路変更素子2323によって第1波長変換部231の第2入射面231bに導かれる。第1波長変換部231は第1励起光P1および第2励起光P2を受けて、蛍光W1および蛍光W2を発する。第1波長変換部231は第1焦点F1に位置しているので、第1波長変換部231が発する蛍光W1および蛍光W2は集光面33fに集光する。
【0275】
図37の例では、第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1は集光面33fに沿って位置している。よって、第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1には、蛍光W1、蛍光W2、蛍光W3および蛍光W4が入射する。蛍光W1、蛍光W2、蛍光W3および蛍光W4は、第2光伝送ファイバ4および光放射モジュール5を経由して照明光I0として外部空間200に放射される。照明光I0には、蛍光W1、蛍光W2、蛍光W3および蛍光W4が含まれるので、光放射モジュール5は複数の色を混色した照明光I0を照射することができる。
【0276】
また、例えば、第2光伝送ファイバ4が短い等の理由により、照明光I0に色分布が生じる場合には、より多くの種類の色を含む色分布を生じさせることができる。また、光変換装置30が第2光伝送ファイバ4および光放射モジュール5を経由させずに、反射部233の反射面233rで反射した蛍光W1、蛍光W2、蛍光W3および蛍光W4を照明光として外部空間に出射する場合には、照明光の色分布をより顕著にすることができる。
【0277】
なお、第8実施形態と同様に、反射部233の反射面233rは放物面に沿っていてもよい。
【0278】
また、第9実施形態および第10実施形態と同様に、光変換装置30は調色駆動部234をさらに備えていてもよい。調色駆動部234によって、第9実施形態および第10実施形態と同様に、第1蛍光体部分2311に入射する第1励起光P1および第2蛍光体部分2312に入射する第2励起光P2の光量の割合を調整できる。また、第12実施形態では、調色駆動部234の駆動により、第3蛍光体部分2351および第4蛍光体部分2352にそれぞれ入射する励起光P0の光量の割合も調整することができる。よって、調色駆動部234は蛍光W1、蛍光W2、蛍光W3および蛍光W4の光量の割合を調整することができる。
【0279】
なお、第1蛍光体部分2311、第2蛍光体部分2312、第3蛍光体部分2351および第4蛍光体部分2352の少なくとも何れか1つの構成が他の少なくとも何れか一つの構成と同一であってもよい。つまり、蛍光W1から蛍光W4の少なくとも何れか一つが他の少なくとも何れか一つとほぼ同色であってもよい。第1蛍光体部分2311、第2蛍光体部分2312、第3蛍光体部分2351および第4蛍光体部分2352の少なくとも何れか1つの構成が他の少なくとも何れか一つの構成と相違していれば、調色駆動部234は照明光の色または色分布を調整することができる。
【0280】
<2-2-6.第13実施形態>
図38は、第13実施形態に係る光変換装置30の構成の一例を概略的に示す図である。この光変換装置30は、第3波長変換部236の有無という点を除いて、第9実施形態に係る光変換装置30と同様の構成を有している。
図38で示されるように、2つの第3波長変換部236が位置してもよい。第3波長変換部236は、例えば、それぞれ、第1光路変更素子2322の-Z側の表面および第2光路変更素子2323の+Z側の表面の上に位置している。
【0281】
第3波長変換部236は、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2からの励起光P0を受けて、蛍光W0を発する。第3波長変換部236は、第1波長変換部231と同様に、蛍光体部分を含んでいる。第3波長変換部236の構成は、例えば、第1波長変換部231と相違しており、第3波長変換部236が発する蛍光W0の波長スペクトルは、例えば第1波長変換部231が発する蛍光W1および蛍光W2の何れとも相違する。
【0282】
図38で示されるように、第1光路変更素子2322上の第3波長変換部236は第5蛍光体部分2361を含んでもよく、第2光路変更素子2323上の第3波長変換部236は第6蛍光体部分2362を含んでもよい。第5蛍光体部分2361および第6蛍光体部分2362も、例えば、蛍光体および封止材料を含む蛍光体ペレットである。第1蛍光体部分2311、第2蛍光体部分2312、第5蛍光体部分2361および第6蛍光体部分2362の構成は互いに異なってもよく、互いに異なる波長スペクトルで蛍光W0を発してもよい。以下では、第5蛍光体部分2361および第6蛍光体部分2362が発する蛍光W0をそれぞれ蛍光W5および蛍光W6とも呼ぶ。なお、
図38では、蛍光W5および蛍光W6の光路の一例を太線の破線で示している。これは、図の視認性の向上のための処理であり、線の太さは蛍光W5および蛍光W6は光量の大きさを示すものではない。
【0283】
第1出射端2e2からの励起光P0は分離素子2321によって第1励起光P1および第2励起光P2に分離され、第1励起光P1は第5蛍光体部分2361に入射し、第2励起光P2は第6蛍光体部分2362に入射する。第5蛍光体部分2361は第1励起光P1を受けて蛍光W5を発し、第6蛍光体部分2362は第2励起光P2を受けて蛍光W6を発する。
【0284】
第5蛍光体部分2361が発する蛍光W5の一部は、第1焦点F1の近傍に向かって進む。つまり、蛍光W5の当該一部は、第1波長変換部231に向かって進む。蛍光W5の当該一部は、第1焦点F1に位置する第1波長変換部231を経由して反射部233の反射面233rで反射し、第2焦点F2に沿って位置する集光面33fに集光する。蛍光W5の残りの一部は、第1焦点F1の近傍(例えば第1波長変換部231)を経由しない。この蛍光W5は第1焦点F1の近傍を通らないので、集光面33fには集光しにくい。
【0285】
第6蛍光体部分2362が発する蛍光W6の一部は、第1焦点F1の近傍に向かって進む。つまり、蛍光W6の当該一部は、第1波長変換部231に向かって進む。蛍光W6の一部は、第1焦点F1に位置する第1波長変換部231を経由して反射部233の反射面233rで反射し、第2焦点F2に沿って位置する集光面33fに集光する。蛍光W6の残りの一部は、第1焦点F1の近傍(例えば第1波長変換部231)を経由しない。この蛍光W6は第1焦点F1の近傍を通らないので、集光面33fには集光しにくい。
【0286】
第5蛍光体部分2361で吸収されなかった第1励起光P1は、第1光路変更素子2322によって、第1蛍光体部分2311の第1入射面231aに導かれる。第1蛍光体部分2311は第1励起光P1を受けて、蛍光W1を発する。第6蛍光体部分2362で吸収されなかった第2励起光P2は、第2光路変更素子2323によって、第2蛍光体部分2312の第2入射面231bに導かれる。第2蛍光体部分2312は第2励起光P2を受けて、蛍光W2を発する。第1波長変換部231は第1焦点F1に位置しているので、第1波長変換部231が発する蛍光W1および蛍光W2は集光面33fに集光する。
【0287】
図38の例では、第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1は集光面33fに沿って位置している。よって、第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1には、蛍光W1、蛍光W2、蛍光W5および蛍光W6が入射する。蛍光W1、蛍光W2、蛍光W5および蛍光W6は、第2光伝送ファイバ4および光放射モジュール5を経由して照明光I0として外部空間200に放射される。照明光I0には、蛍光W1、蛍光W2、蛍光W5および蛍光W6が含まれるので、光放射モジュール5は複数の色を混色した照明光I0を照射することができる。
【0288】
例えば、第2光伝送ファイバ4が短い等の理由により、照明光I0に色分布が生じる場合には、より多くの種類の色を含む色分布を生じさせることができる。また、光変換装置30が第2光伝送ファイバ4および光放射モジュール5を経由させずに、反射部233の反射面233rで反射した蛍光W1、蛍光W2、蛍光W5および蛍光W6を照明光として外部空間に出射する場合には、照明光の色分布をより顕著にすることができる。
【0289】
なお、第8実施形態と同様に、反射部233の反射面233rは放物面に沿っていてもよい。
【0290】
また、第9実施形態および第10実施形態と同様に、光変換装置30は調色駆動部234をさらに備えていてもよい。調色駆動部234によって、第9実施形態および第10実施形態と同様に、第1励起光P1および第2励起光P2の光量の割合を調整できる。第13実施形態では、第1励起光P1は第5蛍光体部分2361および第1蛍光体部分2311に入射し、第2励起光P2は第6蛍光体部分2362および第2蛍光体部分2312に入射する。よって、調色駆動部234は蛍光W1、蛍光W2、蛍光W5および蛍光W6の光量の割合を調整することができる。
【0291】
なお、第1蛍光体部分2311、第2蛍光体部分2312、第5蛍光体部分2361および第6蛍光体部分2362の少なくとも何れか1つの構成が他の少なくとも何れか一つの構成と同一であってもよい。つまり、蛍光W1、蛍光W2,蛍光W5および蛍光W6の少なくとも何れか一つが他の少なくとも何れか一つとほぼ同色であってもよい。第1蛍光体部分2311、第2蛍光体部分2312、第5蛍光体部分2361および第6蛍光体部分2362の少なくとも何れか1つの構成が他の少なくとも何れか一つの構成と相違していれば、調色駆動部234は照明光の色または色分布を調整することができる。
【0292】
<2-2-7.第14実施形態>
図11で示された照明システム100Fの光変換装置30Fは、上記第7実施形態から上記第13実施形態の何れかに係る光変換装置30と同様な構成を有してもよい。
【0293】
このような構成が採用されても、光変換装置30Fは、例えば、第1波長変換部231と、分離光学系232と、を含む。第1波長変換部231は、光軸AX1に交差する方向の第1側(例えば+Z側)に位置する第1入射面231aと、第1側とは逆側の第2側(例えば-Z側)に位置する第2入射面231bと、を有し、励起光P0を受けて蛍光W0を発する。分離光学系232は、例えば、第1出射端2e2からの励起光P0を第1励起光P1および第2励起光P2に分離し、第1励起光P1および第2励起光P2をそれぞれ第1波長変換部231の第1入射面231aおよび第2入射面231bに導く。これにより、励起光P0を出射する単一の出射部(つまり単一の第1出射端2e2)を用いつつも、第1波長変換部231の第1入射面231aおよび第2入射面231bにそれぞれ第1励起光P1および第2励起光P2を入射させることができる。これによれば、第1波長変換部231の第1入射面231aおよび第2入射面231bのそれぞれに対応した複数の出射部を配置する必要がないので、光源側の構造を簡易化し得る。ひいては、製造コストを低減し得る。また、光変換装置30Fは、上述した他の効果も適宜に奏することができる。
【0294】
図39で示される第14実施形態に係る光放射モジュール5の一構成例は、光変換装置30Fと、光放射部50と、を有する。ここでは、例えば、光変換装置30Fは、
図28で示された上記第7実施形態に係る光変換装置30の一構成例と同様な構成を有する。光放射部50は、
図12の光放射部50と同様である。
【0295】
<2-2-8.第15実施形態>
図14で示された発光モジュール1の光変換装置30Gは、上記第7実施形態から上記第13実施形態の何れかに係る光変換装置30と同様な構成を有してもよい。
【0296】
このような構成が採用されても、光変換装置30Gは、例えば、第1波長変換部231と、分離光学系232と、を含む。第1波長変換部231は、光軸AX1に交差する方向の第1側(例えば+Z側)に位置する第1入射面231aと、第1側とは逆側の第2側(例えば-Z側)に位置する第2入射面231bと、を有し、励起光P0を受けて蛍光W0を発する。分離光学系232は、例えば、発光素子10からの励起光P0を第1励起光P1および第2励起光P2に分離し、第1励起光P1および第2励起光P2をそれぞれ第1波長変換部231の第1入射面231aおよび第2入射面231bに導く。これにより、励起光P0を出射する単一の出射部(つまり単一の第1出射端2e2)を用いつつも、第1波長変換部231の第1入射面231aおよび第2入射面231bにそれぞれ第1励起光P1および第2励起光P2を入射させることができる。これによれば、第1波長変換部231の第1入射面231aおよび第2入射面231bのそれぞれに対応した複数の出射部を配置する必要がないので、光源側の構造を簡易化し得る。ひいては、製造コストを低減し得る。また、光変換装置30Gは、上述した他の効果も適宜に奏することができる。
【0297】
図40は、第15実施形態に係る発光モジュール1の構成の一例を概略的に示す図である。発光モジュール1の一構成例は、発光素子10と、光変換装置30Gと、を有する。ここでは、例えば、光変換装置30Gは、
図28で示された上記第7実施形態に係る光変換装置30の一構成例と同様な構成を有する。
図40の例では、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2の代わりに、発光素子10の出射部10fから分離素子2321に向けて励起光P0が出射される。
【0298】
<2-3.その他>
また上記各実施形態では、第1入射面231aおよび第2入射面231bは、例えば、平面であるものの、これに限らない。第1入射面231aおよび第2入射面231bは、例えば、複数の凹凸を有していてもよく、あるいは、入射側に膨らむ凸状の面、より具体的には、弧状等に湾曲する湾曲面であってもよい。
【0299】
<3-1.第16実施形態>
光源が出射したレーザ光などの励起光を蛍光体によって異なる波長の蛍光に変換し、この蛍光をリフレクタで反射して、所定の方向へ出射する光源装置が知られている。例えば、蛍光体が、励起光の照射に応じて、赤色(R)の蛍光、緑色(G)の蛍光および青色(B)の蛍光を発する蛍光物質を含んでいれば、励起光は、擬似的な白色光に変換される。
【0300】
ところで、例えば、励起光のエネルギーを上昇させることで、蛍光体から発せられる蛍光の光量を上昇させることが考えられる。
【0301】
しかしながら、例えば、励起光のエネルギーを上昇させると、蛍光体の蛍光物質が温度上昇によって劣化し、励起光に応じて出射される蛍光の光量が低下する場合がある。
【0302】
そこで、本開示の発明者は、光変換装置および光変換装置を含む照明システムについて、励起光に応じて出射される蛍光の光量を増加させることができる技術を創出した。
【0303】
<3-1-1.照明システム>
第16実施形態に係る照明システムの一例は
図1と同様である。
【0304】
<3-1-2.光変換装置>
図41(a)で示されるように、光変換装置30は、例えば、波長変換部331と、ヒートシンク332と、反射部333と、を備えている。光変換装置30の各部は、例えば、中継器3の筐体3bに直接的または他の部材などを介して間接的に固定されている。
【0305】
波長変換部331は、例えば、
図41(b)で示されるように、出射部としての第1出射端2e2から出射された励起光P0を受けて、蛍光W0を発することができる。波長変換部331は、例えば、第1出射端2e2から出射された励起光P0が照射される第1面(前面ともいう)331aと、この第1面331aとは異なる第2面(裏面ともいう)331bと、を有する。なお、第16実施形態の波長変換部331においては、第2面331bは、第1面331aの逆側に位置している。例えば、第1面331aが+X方向を向いており、第2面331bが-X方向を向いている態様が考えられる。波長変換部331の形状は、例えば、平板状または膜状である。換言すれば、例えば、第1面331aおよび第2面331bは、それぞれYZ平面に沿っている。この場合には、例えば、第1面331aの法線に沿った仮想線A3上に第1出射端2e2が位置している。そして、例えば、第1出射端2e2から-X方向に向けて仮想線A3に沿って出射された励起光P0が、波長変換部331の第1面331aに照射される。ここで、例えば、第1面331aおよび第2面331bは、それぞれ円形状または多角形状などの平面状であっても、曲面または凹凸を有する平面状でない形状であってもよい。このため、例えば、仮想線A3は、出射部としての第1出射端2e2から第1面331aに向けて照射される励起光P0の光路に沿って位置していればよい。
【0306】
波長変換部331は、例えば、波長変換部132と同様に、蛍光体を含む固形状の部材(蛍光体部材ともいう)を含む。
【0307】
ヒートシンク332は、例えば、波長変換部331の第2面331bと接合する第3面(被接合面ともいう)332rを有する。これにより、例えば、ヒートシンク332によって波長変換部331を第2面331b側から冷却することができる。その結果、例えば、温度上昇による波長変換部331の性能の劣化が生じにくい。ここで、例えば、波長変換部331とヒートシンク332の第3面332rとが直接接していれば、励起光P0の照射によって波長変換部331で生じる熱が、波長変換部331からヒートシンク332に伝達されやすい。例えば、ヒートシンク332の第3面332r上に蛍光体ペレットを加熱成型などで形成することで、波長変換部331とヒートシンク332の第3面332rとを直接接合させることができる。ここでは、例えば、蛍光体ペレットが、低融点ガラス中に蛍光体の多数の粒子が含有されている構成を有する場合には、蛍光体の粒子とヒートシンク332の素材とが酸素を共有することで、蛍光体ペレットとヒートシンク332の第3面332rとが接合されている態様が考えられる。低融点ガラスの素材には、例えば、摂氏400度(400℃)から500℃程度の融点を有し、透明性を有する金属酸化物が採用される。
【0308】
ここで、例えば、ヒートシンク332の表面積が、波長変換部331の表面積よりも大きければ、ヒートシンク332において、波長変換部331よりも外気に触れる面積が大きくなる。これにより、例えば、波長変換部331からヒートシンク332に伝達された熱が、ヒートシンク332の周囲の雰囲気に放散されやすい。その結果、例えば、ヒートシンク332による波長変換部331の冷却が促進される。さらに、例えば、ヒートシンク332が、波長変換部331よりも大きな体積を有していれば、波長変換部331からヒートシンク332への熱の伝達が促進される。また、例えば、ヒートシンク332が、放熱フィン332fを有していれば、ヒートシンク332と、このヒートシンク332の周囲の雰囲気と、の間における熱の伝達が促進される。これにより、例えば、波長変換部331からヒートシンク332に伝達された熱が、ヒートシンク332の周囲の雰囲気に放散されやすい。その結果、例えば、ヒートシンク332による波長変換部331の冷却が促進される。ここでは、放熱フィン332fは、ヒートシンク332の第3面332rとは異なる表面に設けられた突起状の構造である。なお、ここでいう波長変換部331の表面積およびヒートシンク332の表面積とは、それぞれ、各部材のうち外気に触れる表面の面積のことをいう。また、放熱フィン332fの形状は、ヒートシンク332による波長変換部331の冷却が促進されるように、ヒートシンク332の表面積を大きくするものであればどのような形状であっても構わない。
【0309】
また、第16実施形態では、例えば、ヒートシンク332の第3面332rは、光を反射することができる。これにより、例えば、波長変換部331内を一旦通った励起光P0が第3面332rで反射して再び波長変換部331内に入る。このため、例えば、波長変換部331が発する蛍光W0が増加し得る。その結果、例えば、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0310】
ヒートシンク332の素材には、例えば、金属材料などが適用される。この金属材料には、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ベリリウム(Be)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)または合金などが適用される。ここで、例えば、金属材料として、Cu、Al、Mg、Fe、Cr、CoまたはBeが採用されれば、ダイキャスト成型などの鋳造法によって、ヒートシンク332を容易に作製することができる。また、ここで、例えば、金属材料として、Al、Mg、Ag、Fe、CrまたはCoが採用されれば、第3面332rにおける可視光線の反射率が上昇し得る。これにより、例えば、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。また、ヒートシンク332の素材として、例えば、非金属材料が適用されてもよい。この非金属材料には、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)、炭素(C)または酸化アルミニウム(Al2O3)などが採用されてもよい。非金属材料は、例えば、結晶性を有する材料であってもよいし、結晶性を有さない非結晶性の材料であってもよい。結晶性を有する非金属材料としては、例えば、炭化珪素(SiC)またはSi3N4が採用され得る。
【0311】
また、ヒートシンク332の第3面332rは、例えば、ヒートシンク332の本体部よりも光の反射率が高い金属材料の層(高光反射層ともいう)によって構成されていてもよい。例えば、ヒートシンク332の本体部の素材にCuが適用され、光の反射率が高い金属材料には、例えば、可視光線の反射率が高い、AgまたはCrなどが適用されてもよい。この場合には、例えば、ダイキャスト成型などの鋳造法によって作製したヒートシンク332の本体部の表面に、蒸着または鍍金(めっき)などによってAgまたはCrなどの高光反射層を形成する方法が採用される。さらに、例えば、ヒートシンク332の第3面332rが、高光反射層上に誘電体多層膜が位置している構成を有していてもよい。誘電体多層膜は、例えば、誘電体の薄膜が複数回繰り返して積層された構造を有する。誘電体としては、例えば、酸化チタン(TiO3)、二酸化珪素(SiO2)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、五酸化タンタル(Ta2O5)およびフッ化マグネシウム(MgF2)のうちの1つ以上の材料が採用される。
【0312】
また、ここで、例えば、ヒートシンク332の熱伝導率が、波長変換部331の熱伝導率よりも高ければ、励起光P0の照射によって波長変換部331で生じる熱がヒートシンク332によって放散され易い。ここでは、例えば、ヒートシンク332の素材の熱伝導率が、波長変換部331の素材の熱伝導率よりも高い構成が考えられる。具体的には、例えば、ヒートシンク332の素材の熱伝導率が、波長変換部331に含まれる透明な材料の熱伝導率よりも高くてもよいし、波長変換部331に含まれる蛍光体(蛍光物質ともいう)の熱伝導率よりも高くてもよい。
【0313】
反射部333は、例えば、波長変換部331の第1面331aに対向するように位置している反射面333rを有する。この反射面333rは、例えば、
図41(b)で示されるように、波長変換部331が発した蛍光W0を集光面33f(集光部に相当)に向けて集光させることができる。そして、第16実施形態では、反射面333rと集光面33fとの間に、波長変換部331が位置している。ここで、反射部333には、例えば、椀状のリフレクタが適用される。反射面333rは、例えば、反射部1331の反射面133rと同様に、第1面331a側から波長変換部331を囲むように位置している。反射面333rの形状には、例えば、仮想的な放物面に沿った形状が含まれる。
【0314】
ところで、第16実施形態では、ヒートシンク332は、例えば、波長変換部331から集光面33fに向かう方向(第1方向ともいう)に進むと、この第1方向に直交する方向(第2方向)の幅が小さくなっている形状を有する。
図41(a)および
図41(b)の例では、第1方向は-X方向であり、第2方向はZ軸方向である。Z軸方向は、+Z方向および-Z方向を含む。ここで、例えば、第2方向はY軸方向であってもよい。Y軸方向は、+Y方向および-Y方向を含む。ヒートシンク332が、このような形状を有していれば、例えば、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0の光路がヒートシンク332によって遮られにくい。その結果、例えば、光変換装置30および照明システム100において、温度上昇による波長変換部331の性能の劣化を生じにくくすることができるとともに、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量を増加させることができる。
【0315】
ここで、ヒートシンク332における第1方向(-X方向)に進むと第2方向の幅が小さくなっているような形状は、例えば、第1方向に進むほど第2方向の幅が小さくなっている形状であってもよいし、第1方向に進むにつれて第2方向の幅が増減しながら第2方向の幅の極大値が小さくなっていく形状であってもよい。また、例えば、第1方向(-X方向)に垂直なヒートシンク332の断面(YZ断面)の大きさが、第1方向に進むほど小さくなっていてもよいし、この断面の大きさが第1方向に進むにつれて増減しながらこの断面の大きさの極大値が第1方向に進むにつれて小さくなっていてもよい。また、例えば、第1方向(-X方向)に垂直なヒートシンク332の断面(YZ断面)における径が、第1方向に進むほど小さくなっていてもよいし、この径が第1方向に進むにつれて増減しながらこの径の極大値が第1方向に進むにつれて小さくなっていてもよい。換言すれば、ヒートシンク332は、例えば、第1方向(-X方向)に進むにつれて第2方向の幅が小さくなっている傾向を有する。
【0316】
ここで、例えば、
図41(a)および
図41(b)で示されるように、ヒートシンク332が、第1方向(-X方向)に並んでいる複数の放熱フィン332fを有する場合を想定する。この場合には、例えば、各放熱フィン332fが、第1方向(-X方向)に垂直である第2方向(例えば、Z軸方向)に向けて突起しており、複数の放熱フィン332fの第2方向(例えば、Z軸方向)における高さが、第1方向(-X方向)に進むほど小さくなっている形態が考えられる。
【0317】
また、例えば、
図41(a)および
図41(b)で示されるように、ヒートシンク332は、波長変換部331が接合された第3面332rを有する部分(第1部分ともいう)3321と、第1部分3321から第1方向(-X方向)に突出するように位置している部分(第2部分ともいう)3322と、を含む。換言すれば、第1部分3321は、ヒートシンク332のうちの波長変換部331と接合している部分である。ヒートシンク332における第1部分3321と第2部分3322との境界は、例えば、第3面332rから第1方向(-X方向)に進んだときにヒートシンク332の第2方向の幅が減少し始める箇所における第1方向に垂直な仮想的な平面(ここでは、YZ平面)に沿った位置に設定され得る。
図41(a)および
図41(b)の例では、第2部分3322は、2つの放熱フィン332fを含む。2つの放熱フィン332fは、第1放熱フィン332f1と、第2放熱フィン332f2と、を含む。第1放熱フィン332f1と第2放熱フィン332f2とは、第1方向(-X方向)において、この記載の順に並んでいる。ここで、第1部分3321の第2方向(例えば、Z軸方向)における幅をWf1とし、第1放熱フィン332f1の第2方向(例えば、Z軸方向)における幅をWf2とし、第2放熱フィン332f2の第2方向(例えば、Z軸方向)における幅をWf3とする。この場合には、幅Wf1よりも幅Wf2が小さく、幅Wf2よりも幅Wf3が小さい。換言すれば、Wf1>Wf2>Wf3の関係が成立する。幅Wf1、幅Wf2および幅Wf3は、例えば、それぞれ1cm以下に設定される。ここで、幅Wf1は、例えば、波長変換部331の第2方向(例えば、Z軸方向)における幅と同一であってもよいし、波長変換部331の第2方向(例えば、Z軸方向)における幅よりも大きくてもよい。
【0318】
このように、ヒートシンク332が第1方向に並ぶ複数の放熱フィン332fを有する場合において、「ヒートシンク332が、第1方向に進むと該第1方向に直交する第2方向の幅が小さくなっている形状を有する」とは、複数の放熱フィン332fの幅が上記のような関係を満たせばよい。すなわち、このような場合においては、ヒートシンク332の大半の部分を占める複数の放熱フィン332fがヒートシンク332の機能を左右することから、ヒートシンク332の形状を考慮する際は、ヒートシンク332のうち隣接する放熱フィン332fの間に位置する部分は便宜上無視することができる。
【0319】
また、ここでは、例えば、ヒートシンク332のうちの波長変換部331と接合している第3面332rが凹凸を有していてもよい。このような構成が採用されれば、例えば、アンカー効果によって、波長変換部331とヒートシンク332との接合の強度が上昇する。これにより、例えば、波長変換部331とヒートシンク332との間の剥離が生じにくく、波長変換部331からヒートシンク332への熱の伝達が低下しにくい。
【0320】
また、光変換装置30は、例えば、
図41(a)および
図41(b)で示されるように、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2から出射される励起光P0を波長変換部331に向けて集光するレンズなどの光学系L31を有していてもよい。この光学系L31は、例えば、励起光P0を反射または集光する反射鏡などを含んでいてもよいし、存在していなくてもよい。
【0321】
また、光変換装置30は、例えば、
図41(a)および
図41(b)で示されるように、波長変換部331が発して反射面333rで反射された蛍光W0を、第2光伝送ファイバ4の入射端(第2入射端)4e1に向けて集光するレンズなどの光学系L32、を有していてもよい。この光学系L32は、例えば、蛍光W0を反射または集光する反射鏡などを含んでいてもよいし、存在していなくてもよい。
【0322】
<3-1-3.第16実施形態のまとめ>
第16実施形態に係る光変換装置30は、例えば、波長変換部331と、ヒートシンク332と、反射部333と、を有する。波長変換部331は、第1出射端2e2から出射された励起光P0が照射される第1面331aと、第1面331aとは異なる第2面331bとを有し、励起光P0を受けて蛍光W0を発する。ヒートシンク332は、第2面331bと接合する第3面332rを有する。反射部333は、第1面331aに対向するように位置しているとともに波長変換部331が発した蛍光W0を集光部(集光面33f)に向けて集光させる反射面333rを有する。波長変換部331が、反射面333rと集光面33fとの間に位置する。ヒートシンク332は、例えば、波長変換部331から集光面33fに向かう第1方向としての-X方向に進むと、この第1方向に直交する第2方向の幅が小さくなっている形状を有する。このような構成が採用されれば、例えば、ヒートシンク332によって波長変換部331を第2面331b側から冷却することができる。これにより、例えば、温度上昇による波長変換部331の性能の劣化が生じにくい。また、例えば、反射面333rから集光面33fに向かう第1方向に進むと、ヒートシンク332の第2方向の幅が小さくなっていることで、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0の光路がヒートシンク332によって遮られにくい。その結果、例えば、光変換装置30および照明システム100において、温度上昇による波長変換部331の性能の劣化が生じにくく、且つ、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0323】
<3-2.他の実施形態>
本開示は上述の第16実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
【0324】
<3-2-1.第17実施形態>
上記第16実施形態において、例えば、
図42(a)および
図42(b)で示されるように、反射部333は、反射面333rが楕円面33eに沿った形状を有する楕円ミラーとされてもよい。そして、楕円面33eは、例えば、第1面331aのうちの出射部としての第1出射端2e2から出射された励起光P0が照射される領域に沿って位置している焦点(第1焦点ともいう)F1を有していてもよい。このような構成が採用されれば、例えば、反射部333によって波長変換部331で発せられる蛍光W0を容易に集光させることができる。その結果、例えば、光変換装置30および照明システム100において、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0325】
図42(a)および
図42(b)で示される第17実施形態に係る光変換装置30の一構成例は、
図41(a)および
図41(b)で示された上記第16実施形態に係る光変換装置30の一構成例がベースとされている。より具体的には、第17実施形態に係る光変換装置30の一構成例は、反射部333が楕円ミラーとされ、波長変換部331の第1面331a上に第1焦点F1が位置するように、各部の形状および配置などが適宜変更された形態を有する。ここでは、例えば、光学系L31,L32は、それぞれ存在していなくてもよい。
【0326】
<3-2-2.第18実施形態>
上記第17実施形態において、例えば、
図43(a)および
図43(b)で示されるように、楕円面33eは、第1焦点F1とは異なる焦点(第2焦点ともいう)F2を有し、この第2焦点F2が、集光面33fに沿って位置していてもよい。換言すれば、例えば、楕円面33eの第2焦点F2が、集光面33fに沿って位置していてもよい。このような構成が採用されれば、例えば、反射部333によって波長変換部331で発せられる蛍光W0を集光面33fに容易に集光させることができる。その結果、例えば、光変換装置30および照明システム100において、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0327】
図43(a)および
図43(b)で示される第18実施形態に係る光変換装置30の一構成例は、
図42(a)および
図42(b)で示された上記第17実施形態に係る光変換装置30の一構成例がベースとされている。より具体的には、第17実施形態に係る光変換装置30の一構成例は、光学系L32が存在せず、集光面33fに沿って第2焦点F2が位置するように、各部の形状および配置などが適宜変更された形態を有する。
図43(a)および
図43(b)の例では、第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に沿って、第2焦点F2が位置している。
【0328】
ところで、例えば、
図44(a)および
図44(b)で示されるように、ヒートシンク332のうちの波長変換部331と接合している第1部分3321は、第1焦点F1と第2焦点F2とを通る直線状の仮想線(例えば、仮想線A3)を囲むように位置する外周縁部3321eを有する。外周縁部3321eは、例えば、第1部分3321のうち、仮想線A3を中心とした外周部分である。
図44(a)および
図44(b)の例では、外周縁部3321eは、第1部分3321のうち、仮想線A3を中心とした円筒状の外周部分である。ここで、例えば、外周縁部3321eで囲まれた仮想的な面を底面B1とし、第2焦点F2を頂点Pf1とする錐体状の仮想領域を第1領域(第1錐体状領域ともいう)Cf1とした場合に、ヒートシンク332の第2部分3322が、第1領域Cf1内に位置していてもよい。底面B1は、例えば、外周縁部3321eを仮想線A3に交差する仮想的な平面で切断することで得られる閉領域の面である。仮想的な平面は、例えば、仮想線A3に対して垂直であってもよいし、傾斜していてもよい。底面B1は、例えば、底面B1の外周部分が外周縁部3321e上に位置していれば、平面であっても、曲面などの凹凸を有する面であってもよい。ここでは、例えば、第2部分3322の全ての放熱フィン332fが、第1領域Cf1内に位置している態様が考えられる。
図44(a)および
図44(b)では、第1領域Cf1のうちの底面B1および第1領域Cf1の斜面S1の各外縁が太い2点鎖線で描かれている。
図44(a)および
図44(b)の例では、底面B1は、円形であり、第1領域Cf1は円錐状の領域である。このような構成が採用されれば、例えば、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0の光路がヒートシンク332によって遮られにくい。その結果、例えば、光変換装置30および照明システム100において、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0329】
<3-2-3.第19実施形態>
上記第16実施形態から第18実施形態の各々において、例えば、
図45(a)および
図45(b)で示されるように、ヒートシンク332は、放熱フィン332fを有していなくてもよい。
【0330】
図45(a)および
図45(b)で示される第19実施形態に係る光変換装置30の一構成例は、
図43(a)および
図43(b)で示された上記第18実施形態に係る光変換装置30の一構成例がベースとされている。より具体的には、第19実施形態に係る光変換装置30の一構成例は、第2部分3322が、放熱フィン332fを有さず、第1方向(-X方向)に進むほど第2方向(例えば、Z軸方向)の幅が小さくなっているように第2部分3322の形状が変更された形態を有する。ここでは、
図45(a)で示されるように、第2部分3322における第2方向(例えば、Z軸方向)の幅が、第1方向(-X方向)に進むことで、最大の幅Wf1から最小の幅Wf4まで一定の割合で小さくなっている状態にある。
【0331】
ここで、第2部分3322は、例えば、第1方向(-X方向)に進むほど第1方向に垂直な断面(ここでは、YZ断面)の大きさが小さくなっているテーパー状または錐台状の形状を有していてもよい。また、例えば、
図46(a)および
図46(b)で示されるように、第2部分3322は、第1方向(-X方向)に進むほど第1方向に垂直な断面(ここでは、YZ断面)の径が小さくなっている円錐台状の形状を有していてもよい。
図46(a)および
図46(b)で示される第19実施形態に係るヒートシンク332の第1構成例は、
図44(a)および
図44(b)で示された上記第18実施形態に係るヒートシンク332の一構成例がベースとされている。より具体的には、
図46(a)および
図46(b)で示される第19実施形態に係るヒートシンク332の第1構成例は、第2部分3322が、放熱フィン332fを有さず、第1方向(-X方向)に進むほど第2方向(例えば、Z軸方向)の幅が小さくなっているように第2部分3322の形状が変更された形態を有する。ここでも、例えば、第1部分3321の外周縁部3321eで囲まれた仮想的な面を底面B1とし、第2焦点F2を頂点Pf1とする錐体状の仮想領域を第1領域
Cf1とした場合に、第1領域Cf1内に、ヒートシンク332の第2部分3322が位置していてもよい。
図46(a)および
図46(b)でも、
図44(a)および
図44(b)と同様に、第1領域Cf1のうちの底面B1および第1領域Cf1の斜面S1の各外縁が太い2点鎖線で描かれている。このような構成が採用されれば、例えば、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0の光路がヒートシンク332によって遮られにくい。その結果、例えば、光変換装置30および照明システム100において、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0332】
ここでは、例えば、第2部分3322は、下底の直径がWf1であり且つ上底の直径がWf1よりも小さなWf4である円錐台状の形状を有していてもよい。また、ここでは、例えば、最小の幅Wf4は、0(ゼロ)であってもよい。そして、第2部分3322は、例えば、第1方向(-X方向)に進むほど第1方向に垂直な断面(ここでは、YZ断面)の大きさが小さくなっている錐体状または円錐体状の形状を有していてもよい。
【0333】
また、第1部分3321の第1方向(-X方向)における長さは、例えば、短くてもよく、略0(ゼロ)となってもよい。ここでは、例えば、ヒートシンク332における第2方向(例えば、Z軸方向)の幅が、第3面332rから第1方向(-X方向)に進むほど、小さくなっている状態にあってもよい。なお、第1部分3321の第1方向(-X方向)における長さが略0(ゼロ)の場合には、蛍光W0の光路がヒートシンク332によってより遮られにくい。
【0334】
ここで、ヒートシンク332は、例えば、第1方向(-X方向)に進むほど第1方向に垂直な断面(ここでは、YZ断面)の大きさが小さくなっているテーパー状または錐台状の形状を有していてもよい。また、例えば、
図47(a)および
図47(b)で示されるように、ヒートシンク332は、第1方向(-X方向)に進むほど第1方向に垂直な断面(ここでは、YZ断面)の径が小さくなっている円錐台状の形状を有していてもよい。
図47(a)および
図47(b)で示される第19実施形態に係るヒートシンク332の第2構成例は、
図46(a)および
図46(b)で示された第19実施形態に係るヒートシンク332の第1構成例がベースとされている。より具体的には、
図47(a)および
図47(b)で示される第19実施形態に係るヒートシンク332の第2構成例は、第3面332rから第1方向(-X方向)に進むほど第2方向(例えば、Z軸方向)の幅が小さくなっているようにヒートシンク332の形状が変更された形態を有する。ここでも、例えば、第1部分3321の外周縁部3321eで囲まれた仮想的な面を底面B1とし、第2焦点F2を頂点Pf1とする錐体状の仮想領域を第1領域Cf1とした場合に、ヒートシンク332の第2部分3322が第1領域Cf1内に位置していてもよい。
図47(a)および
図47(b)でも、
図46(a)および
図46(b)と同様に、第1領域Cf1のうちの底面B1および斜面S1の各外縁が太い2点鎖線で描かれている。このような構成が採用されれば、例えば、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0の光路がヒートシンク332によって遮られにくい。その結果、例えば、光変換装置30および照明システム100において、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0335】
また、ここで、例えば、ヒートシンク332の第3面332rの大きさが、波長変換部331の第2面331bの大きさと略一致するか、第2面331bの大きさよりも小さくてもよい。ここでは、例えば、第2面331bを底面B1とし、第2焦点F2を頂点Pf1とする錐体状の仮想領域を第2領域(第2錐体状領域ともいう)C2とした場合に、ヒートシンク332は、第1領域Cf1内に位置していてもよい。ここで、第2面331bおよび底面B1の形状は、例えば、円状または多角形状などの平面状の形状であってもよいし、曲面または凹凸などを有する平面状でない形状であってもよい。このような構成が採用されれば、例えば、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0の光路がヒートシンク332によって遮られにくい。また、ここでは、例えば、第2面331bを底面B1とし、第2焦点F2を頂点Pf1とする錐体状の仮想領域を第2領域Cf2とした場合に、ヒートシンク332が、第2領域Cf2内に位置していれば、放熱フィン332fを有していても有していなくてもよい。
【0336】
なお、例えば、
図48で示されるように、ヒートシンク332の第3面332rの大きさが、波長変換部331の第2面331bの大きさよりも大きくても良い。反射部333の楕円面33eの形状にもよるが、ヒートシンク332が第1方向に進むと第2方向の幅が小さくなる形状を有している限り、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0の光路がヒートシンク332によって遮られにくい。また、ヒートシンク332の第3面332rの大きさは大きいほど、ヒートシンク332による冷却効果を大きくすることができる。
【0337】
<3-2-4.第20実施形態>
上記第16実施形態から第19実施形態の各々において、例えば、
図49(a)および
図49(b)で示されるように、光変換装置30は、波長変換部331の第1面331aに接している、熱伝導性に優れた透明体334を備えていてもよい。透明体334は、例えば、励起光P0が透過することができる透光性を有する。このような構成が採用されれば、例えば、ヒートシンク332によって波長変換部331を第2面331b側から冷却することができるとともに、透明体334によって波長変換部331を第1面331a側から冷却することができる。これにより、例えば、温度上昇による波長変換部331の性能の劣化が生じにくい。その結果、例えば、光変換装置30および照明システム100において、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。透明体334の形状には、例えば、第1面331aに沿った板状の形状が適用される。
【0338】
ここで、例えば、透明体334の熱伝導率が、波長変換部331の熱伝導率よりも高ければ、励起光P0の照射によって波長変換部331で生じる熱が透明体334によって放散され易い。ここでは、例えば、透明体334の素材の熱伝導率が、波長変換部331の素材の熱伝導率よりも高い構成が考えられる。すなわち、透明体334は、高熱伝導透明体であるともいえる。具体的には、例えば、透明体334の素材の熱伝導率が、波長変換部331に含まれる蛍光体(蛍光物質)の熱伝導率よりも高くてもよいし、波長変換部331に含まれる透明な材料の熱伝導率よりも高くてもよい。また、例えば、透明体334の熱伝導率は、波長変換部331の熱伝導率よりも高く、ヒートシンク332の熱伝導率よりも低くてもよい。
【0339】
透明体334には、例えば、無機酸化物の単結晶が適用される。この無機酸化物には、例えば、サファイアまたはマグネシアなどが適用される。ここで、例えば、ヒートシンク332と透明体334の基板との間において蛍光体ペレットを加熱成型などで形成することで、波長変換部331の第1面331aと透明体334とを接している状態とすることができる。ここでは、例えば、蛍光体ペレットが、低融点ガラス中に複数種類の蛍光体の多数の粒子が含有されている構成を有する場合には、蛍光体の粒子と透明体334の素材とが酸素を共有することで、蛍光体ペレットと透明体334とが接合されている態様が考えられる。
【0340】
また、例えば、
図50(a)で示されるように、透明体334の厚さDf2が、第1方向(-X方向)において、波長変換部331の厚さDf1よりも小さければ、出射部としての第1出射端2e2から出射された励起光P0が透明体334を透過して波長変換部331まで到達し易い。これにより、例えば、光変換装置30および照明システム100において、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0341】
また、例えば、透明体334の厚さDf2が、第1方向(-X方向)において、波長変換部331の厚さDf1よりも大きければ、透明体334によって波長変換部331が第1面331a側から冷却されやすい。これにより、例えば、温度上昇による波長変換部331の性能の劣化が生じにくい。
【0342】
また、透明体334は、例えば、
図50(a)で示されるように、波長変換部331の第1面331aに沿った領域に存在していてもよいし、さらに、
図50(b)で示すように、波長変換部331の第1面331aと第2面331bとを接続している第4面(側面ともいう)331sに沿った領域にも存在していてもよい。換言すれば、透明体334は、例えば、波長変換部331の第1面331aおよび第4面331sに接していてもよい。この場合には、透明体334の形状には、例えば、第1面331aおよび第4面331sに沿った板状の形状が適用される。このような構成は、例えば、透明体334の基板が凹部を有し、この凹部内において蛍光体ペレットが加熱成型などで形成されることで実現され得る。このような構成が採用されれば、例えば、透明体334によって波長変換部331が第1面331a側および第4面331s側から冷却される。これにより、例えば、温度上昇による波長変換部331の性能の劣化が生じにくい。ここで、例えば、
図50(b)で示すように、透明体334がヒートシンク332に接続していれば、透明体334からヒートシンク332への熱伝達によって、波長変換部331が第1面331a側から冷却されやすい。ここでは、例えば、透明体334は、熱伝導率の高い材料を介してヒートシンク332に間接的に接続されていてもよい。
【0343】
図50(a)で示される第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第1構成例は、
図44(a)で示された第18実施形態に係るヒートシンク332および波長変換部331の一構成例をベースとしている。より具体的には、
図50(a)で示される第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第1構成例は、波長変換部331の第1面331aに沿って第1面331aに接している透明体334を加えた形態を有する。また、
図50(b)で示される第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第2構成例は、
図50(a)で示された第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第1構成例をベースとしている。より具体的には、
図50(b)で示される第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第2構成例は、透明体334が、第1面331aおよび第4面331sに接している状態で位置するように、透明体334の形状が変更された形態を有する。また、
図50(b)の例では、透明体334は、ヒートシンク332の第1部分3321の外周部に接続している状態にある。
【0344】
ところで、例えば、
図51(a)および
図51(b)で示されるように、ヒートシンク332は、波長変換部331から集光面33fに向かう第1方向(例えば、-X方向)に進むと第1方向に直交する第2方向(例えば、Z軸方向)の幅が小さくなっているような形状を有していなくてもよい。例えば、光変換装置30が、波長変換部331と、波長変換部331の第2面331bに接合する第3面332rを有するヒートシンク332と、波長変換部331の第1面331aに接している透明体334と、を備えていれば、ヒートシンク332によって波長変換部331を第2面331b側から冷却することができるとともに、透明体334によって波長変換部331を第1面331a側から冷却することができる。これにより、例えば、温度上昇による波長変換部331の性能の劣化が生じにくい。その結果、例えば、光変換装置30および照明システム100において、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0345】
図51(a)で示される第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第1変形例は、
図50(a)で示された第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第1構成例をベースとしている。より具体的には、第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第1変形例は、第1部分3321の第2方向(Z軸方向)における幅と、第2部分3322の2つの放熱フィン332fの第2方向(Z軸方向)における幅と、が同一の幅Wf1となるように、ヒートシンク332の形状が変更された形態を有する。また、
図51(b)で示される第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第2変形例は、
図50(b)で示された第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第2構成例をベースとしている。より具体的には、
図51(b)で示される第20実施形態に係るヒートシンク332、波長変換部331および透明体334の第2変形例は、第1部分3321の第2方向(Z軸方向)における幅と、第2部分3322の2つの放熱フィン332fの第2方向(Z軸方向)における幅と、が同一の幅Wf1となるように、ヒートシンク332の形状が変更された形態を有する。
【0346】
ここでは、ヒートシンク332は、例えば、放熱フィン332fを有さず、板状の形状を有していてもよい。
【0347】
<3-2-5.第21実施形態>
上記第16実施形態から第20実施形態の各々において、例えば、
図52(a)および
図52(b)で示されるように、ヒートシンク332の素材には、光を透過する素材が適用されてもよい。光を透過する素材としては、例えば、GaN、酸化マグネシウム(MgO)、AlN、Al
2O
3、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Yttrium Aluminum Garnet:YAG)、酸化イットリウム(Y
2O
3)またはCが採用される。この場合には、ヒートシンク332の第3面332rは、例えば、光を反射しにくく、ヒートシンク332を光が透過し得る。このような構成が採用されれば、例えば、波長変換部331は、励起光P0の照射に応じて第1面331aおよび第2面331bの双方から蛍光W0を発することができる。この場合には、例えば、
図52(b)で示されるように、波長変換部331の第2面331bから発せられる蛍光W0が、集光面33fに沿った第2光伝送ファイバ4の第2入射端4e1に向けて透明なヒートシンク332を透過することができる。
【0348】
ここでは、例えば、透明なヒートシンク332が採用されても、ヒートシンク332が、波長変換部331から集光面33fに向かう第1方向としての-X方向に進むと、この第1方向に直交する第2方向(例えば、Z軸方向)の幅が小さくなっているような形状を有していてもよい。この場合、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0が、ヒートシンク332における反射および屈折などを生じにくい。これにより、例えば、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0の光路がヒートシンク332によって妨げられにくい。その結果、例えば、光変換装置30および照明システム100において、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0349】
<3-2-6.第22実施形態>
図11で示された照明システム100Fの光変換装置30Fは、上記第16実施形態から上記第21実施形態の何れかに係る光変換装置30と同様な構成を有してもよい。
【0350】
このような構成が採用されても、例えば、光変換装置30Fは、励起光P0を第1面331aで受けて蛍光W0を発する波長変換部331と、波長変換部331の第2面331bに接合する第3面332rを有するヒートシンク332と、第1面331aに対向するように位置しているとともに波長変換部331が発した蛍光W0を集光面33fに向けて集光させる反射面333rを有する反射部333と、を備えている。そして、この光変換装置30Fでは、例えば、波長変換部331は、反射面333rと集光面33fとの間に位置しており、ヒートシンク332は、波長変換部331から集光面33fに向かう第1方向に進むと第1方向に直交する第2方向の幅が小さくなっているような形状を有する。これにより、例えば、ヒートシンク332によって波長変換部331を第2面331b側から冷却することができるため、温度上昇による波長変換部331の性能の劣化が生じにくい。また、例えば、反射面333rから集光面33fに向かう第1方向に進むと、ヒートシンク332の第2方向の幅が小さくなっていることで、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0の光路がヒートシンク332によって遮られにくい。その結果、例えば、光変換装置30Fおよび照明システム100Fにおいて、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0351】
図53(a)および
図53(b)で示される第22実施形態に係る光放射モジュール5の一構成例は、光変換装置30Fと、光放射部50と、を有する。ここでは、例えば、光変換装置30Fは、
図49(a)および
図49(b)で示された上記第20実施形態に係る光変換装置30の一構成例と同様な構成を有する。光放射部50は、
図12の光放射部50と同様である。
【0352】
<3-2-7.第23実施形態>
図14で示された発光モジュール1の光変換装置30Gは、上記第16実施形態から上記第21実施形態の何れかに係る光変換装置30と同様な構成を有してもよい。
【0353】
このような構成が採用されても、例えば、光変換装置30Gは、励起光P0を第1面331aで受けて蛍光W0を発する波長変換部331と、波長変換部331の第2面331bに接合する第3面332rを有するヒートシンク332と、第1面331aに対向するように位置しているとともに波長変換部331が発した蛍光W0を集光面33fに向けて集光させる反射面333rを有する反射部333と、を備えている。そして、この光変換装置30Gでは、例えば、波長変換部331は、反射面333rと集光面33fとの間に位置しており、ヒートシンク332は、波長変換部331から集光面33fに向かう第1方向に進むと第1方向に直交する第2方向の幅が小さくなっているような形状を有する。これにより、例えば、ヒートシンク332によって波長変換部331を第2面331b側から冷却することができるため、温度上昇による波長変換部331の性能の劣化が生じにくい。また、例えば、反射面333rから集光面33fに向かう第1方向に進むと、ヒートシンク332の第2方向の幅が小さくなっていることで、反射面333rから集光面33fに向かう蛍光W0の光路がヒートシンク332によって遮られにくい。その結果、例えば、光変換装置30Gおよび照明システム100Gにおいて、励起光P0に応じて出射される蛍光W0の光量が増加し得る。
【0354】
図54(a)および
図54(b)で示される第23実施形態に係る発光モジュール1の一構成例は、発光素子10と、光変換装置30Gと、を有する。ここでは、例えば、光変換装置30Gは、
図49(a)および
図49(b)で示された上記第20実施形態に係る光変換装置30の一構成例と同様な構成を有する。
図54(a)および
図54(b)の例では、第1光伝送ファイバ2の第1出射端2e2の代わりに、発光素子10の出射部10fから波長変換部331の第1面331aに向けて励起光P0が出射される。
【0355】
<3-3.その他>
上記第16実施形態から第23実施形態の各々では、例えば、波長変換部331の第2面331bとヒートシンク332の第3面332rとが、波長変換部331よりも熱伝導率が高い他の層を介して接合されていてもよい。
【0356】
上記第15実施形態から第22実施形態の各々では、ヒートシンク332が有する「第1方向に進むと第2方向の幅が小さくなる形状」としては、例えば、ヒートシンク332の第2部分3322の一部が、第1方向に進むと第2方向における幅が一定となる部分を有した形状であっても構わない。
【0357】
上記第15実施形態から第22実施形態の各々では、ヒートシンク332が接合する波長変換部331の第2面331bは、上述した効果を奏する限り、波長変換部331の表面のどの面であっても構わない。換言すれば、ヒートシンク332は、上述した効果を奏する限り、波長変換部331のどの面に接合されていても構わない。例えば、ヒートシンク332が貫通孔を有している場合、当該貫通孔内に波長変換部331が位置していてもよい。
【0358】
また、上記第15実施形態から第22実施形態の各々において、波長変換部331の第2面331bとヒートシンク332の第3面332rとは、実質的に接合されていれば良く、種々の接合方法を用いることができる。例えば、上述の通り、第2面331bと第3面332rとが接着材などで接合されていてもよく、ねじまたはばね等を用いて第2面331bと第3面332rとが互いにかしめなどで接合されていてもよい。
【0359】
また、励起光P0が入射する波長変換部331の第1面331a(つまり、入射面部)は、第1出射端2e2側に突出する凸状形状を有していてもよい。例えば、
図3から
図6の波長変換部132と同様の形状を波長変換部331の形状に採用することができる。
【0360】
上記各実施形態では、例えば、光変換装置30,30F,30Gにおいて、励起光P0の一部が、波長変換部132,231,235,236,331で蛍光W0に変換されず、蛍光W0とともに擬似的な白色光を構成してもよい。この場合には、光放射モジュール5が照明システム100の外部空間200に放射する照明光I0は、例えば、励起光P0の一部と、蛍光W0と、で構成された擬似的な白色光であってもよい。例えば、励起光P0が青色光であり、蛍光W0が黄色の蛍光であれば、青色光と黄色の蛍光とが混合されて、擬似的な白色光となり得る。
【0361】
上記各実施形態では、光放射モジュール5が照明システム100の外部空間200に放射する照明光I0は、例えば、擬似的な白色光でなくてもよい。例えば、波長変換部132,231,235,236,331に含まれる蛍光体の種類、種類の数および割合などを適宜変更することで、照明光I0が、特定の波長域の光(例えば、青色光など)を含まない光とされてもよいし、特定の波長域の光(例えば、赤色光など)を多く含む光とされてもよい。これにより、例えば、照明光I0の調光を行うことができる。
【0362】
上記各実施形態では、蛍光体部分は、例えば、樹脂またはガラスなどの透明な基板と、この基板上に位置している蛍光体ペレットと、を有していてもよい。
【0363】
また、上記各実施形態では、反射部1331,233,333として楕円ミラーを採用した場合に、楕円ミラーの楕円面33eの第1焦点F1が、波長変換部132,231,235,236,331のうちの励起光P0が照射される領域に沿って位置しておらず、第2焦点F2が、集光部としての集光面33fに沿って位置していない構成であっても構わない。
【0364】
上記各実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0365】
1 発光モジュール
10 発光素子
10f 出射部
100,100F,100G 照明システム
131 保持部
132,331 波長変換部
1320 蛍光体領域
1320a 第1蛍光体領域
1320b 第2蛍光体領域
132a 入射面部
133 光学素子
133r,233r,333r 反射面
33e 楕円面
1331,233,333 反射部
1332 レンズ
135 駆動部
2 第1光伝送ファイバ
2e2 第1出射端部
200 外部空間
231 第1波長変換部
2311 第1蛍光体部分
2312 第2蛍光体部分
2313 基材
231a 第1入射面
231b 第2入射面
232 分離光学系
2321 分離素子
2321a 第3入射面
2321b 第4入射面
2322,2323 光路変更素子
2347 当接部材
235 第2波長変換部
236 第3波長変換部
26,36 制御部
3 中継器
30,30F,30G 光変換装置
33f 集光部(集光面)
331a 第1面
331b 第2面
332 ヒートシンク
3321 第1部分
3321e 外周縁部
3322 第2部分
332r 第3面
332f,332f1,332f2 放熱フィン
334 透明体
4 第2光伝送ファイバ
4e1 第2入射端
5 光放射モジュール
AX1 光軸
C1 共役点
Cf1 第1領域
Cf2 第2領域
F1 第1焦点
F2 第2焦点
I1 被照射領域
P0 励起光
W0,W1,W2,W3,W4,W5 蛍光