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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】コイル支持体
(51)【国際特許分類】
   H01F 6/06 20060101AFI20231218BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01F6/06 110
A61B5/055 331
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022517869
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2020070141
(87)【国際公開番号】W WO2021058162
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】1913853.6
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】522108529
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】カルバート,サイモン ジェームス
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/102509(WO,A1)
【文献】特開平06-163250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0148416(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0314885(US,A1)
【文献】米国特許第10832856(US,B2)
【文献】英国特許出願公開第02569184(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 6/06
H01F 6/00
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸の周りに配置された少なくとも1つの環状コイル(12)を備えた主磁石アセンブリ(10)と、前記軸の周りに配置され、前記主磁石アセンブリ(10)よりも大きい直径の少なくとも1つのシールドコイル(16)と、を備えた超電導磁石アセンブリであって、
少なくとも1つの円錐形環状支持体(20、60)が、前記シールドコイル(16)および前記主磁石アセンブリ(10)に取り付けられ、
前記シールドコイル(16)の軸方向外側端部に取り付けられたエンドリング(18)をさらに備え、前記円錐形環状支持体(20)に設けられた半径方向外側フランジ(32、42)が、前記エンドリングに取り付けられる、
超電導磁石アセンブリ。
【請求項2】
前記円錐形環状支持体(20)が前記半径方向外側フランジ(32)によって前記シールドコイル(16)に取り付けられている、請求項1に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項3】
前記半径方向外側フランジ(32)が、半径方向に延びるとともに、前記エンドリング(18)に取り付けられている、請求項2に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項4】
軸の周りに配置された少なくとも1つの環状コイル(12)を備えた主磁石アセンブリ(10)と、前記軸の周りに配置され、前記主磁石アセンブリ(10)よりも大きい直径の少なくとも1つのシールドコイル(16)と、を備えた超電導磁石アセンブリであって、
少なくとも1つの円錐形環状支持体(20、60)が、前記シールドコイル(16)および前記主磁石アセンブリ(10)に取り付けられ、
さらに、前記シールドコイル(16)の半径方向外側表面に結合されたオーバーバインディング(41)を含み、前記シールドコイルの軸方向終端を越えて軸方向に突出し、前記円錐形環状支持体(20)の半径方向外周部(28)が、前記オーバーバインディング(41)の軸方向外終端に取り付けられている、
超電導磁石アセンブリ。
【請求項5】
半径方向外側フランジ(32、42)が前記円錐形環状支持体(20)に設けられ、前記円錐形環状支持体(20)が前記半径方向外側フランジ(32)によって前記シールドコイル(16)に取り付けられている、請求項4に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項6】
前記半径方向外側フランジ(42)が、軸方向に延在するとともに、前記オーバーバインディング(41)に結合される、請求項5に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項7】
前記円錐形環状支持体(20)の半径方向内周部(22)が、前記主磁石アセンブリ(10)に取り付けられる、請求項1から6のいずれか1項に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項8】
前記円錐形環状支持体(20)に内側フランジ(26)が設けられ、前記円錐形環状支持体(20)の前記半径方向内周部(22)から軸方向内側に向けられ、前記円錐形環状支持体(20)が前記内側フランジ(26)によって前記主磁石アセンブリ(10)に取り付けられる、請求項7に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項9】
前記主磁石アセンブリ(10)が、複数の複合スペーサ(14)によって互いに接合された樹脂含浸コイル(12)を含み、前記円錐形環状支持体(20)の前記半径方向内周部(22)が前記複数の複合スペーサ(14)の1つに取り付けられる、請求項7または8に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項10】
前記円錐形環状支持体(20)が、ステンレス鋼シートで形成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項11】
前記円錐形環状支持体(20)が、複合材料から形成される、請求項1から9のいずれか1項に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項12】
前記円錐形環状支持体(20)は、銅シートまたはアルミニウムのシートまたは他の金属から形成される、請求項1から9のいずれか1項に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項13】
前記主磁石アセンブリ(10)および外部真空チャンバに取り付けられ、前記主磁石アセンブリ(10)、前記シールドコイル(16)および前記円錐形環状支持体(20)の重量を支える1つまたは複数のサスペンション要素をさらに備える、請求項1から12のいずれか1項に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項14】
前記1つまたは複数のサスペンション要素が、ピラーレッグ支持体(34)を備える、請求項13に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項15】
前記ピラーレッグ支持体(34)が、前記円錐形環状支持体(20)を前記主磁石アセンブリに取り付ける1つまたは複数のボルト(24)によって、主磁石アセンブリに取り付けられている、請求項14に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項16】
前記主磁石アセンブリの両端の円錐形環状支持体(20)間に延在する複数の軸方向ロッド(36)をさらに備える、請求項1から15のいずれか1項に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項17】
前記円錐形環状支持体(20)は、それぞれの前記半径方向外側フランジ(32、42)に近い周方向平坦化領域(38)を備え、前記複数の軸方向ロッドのそれぞれが、前記平坦化領域のそれぞれに取り付けられる、請求項16に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項18】
前記平坦化領域に、追加の補強部が設けられている、請求項17に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項19】
前記円錐形環状支持体は、前記主磁石アセンブリ(10)を外部真空チャンバ(OVC)に対して支持する、請求項1から18のいずれか1項に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項20】
複数のロッドボス(62)が前記円錐形環状支持体(60)に設けられ、前複数のロッドボス(62)のそれぞれが、前記ロッドボス(62)と前記OVCの内側表面に取り付けられた取り付け点(72)との間に延びる支持ロッド(70)を収容する貫通孔(68)を含む、請求項19に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項21】
前記主磁石アセンブリと前記OVCとの間に位置する熱放射シールド(52)をさらに含み、前記熱放射シールドが保持され、前記支持ロッド(70)によって機械的に支持される、請求項20に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項22】
少なくとも1つのシールド支持体(74)が支持ロッド(70)上に取り付けられ、前記シールド支持体は、前記熱放射シールドの重量が前記シールド支持体(74)によって少なくとも部分的に支えるように、前記熱放射シールド(52)に取り付けられる、請求項21に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項23】
それぞれの円錐形環状支持体(20、60)の半径方向外端部の間に延在する不透明管(80)をさらに含み、それによって前記主磁石アセンブリ(10)および前記シールドコイル(16)のための熱放射シールドを形成する、請求項1から22のいずれか1項に記載の超電導磁石アセンブリ。
【請求項24】
前記円錐形環状支持体(20)または各円錐形環状支持体(20、60)は、円錐形である、請求項1から23のいずれか1項に記載の超電導磁石アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導磁石に関し、特に、磁気共鳴イメージング(MRI)システム及び核磁気共鳴(NMR)システムに使用される超電導磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、このような超電導磁石は、浮遊磁界を減少させるためにアクティブシールドを組み込んでいる。アクティブシールドは、主磁石コイルの外側に配置されたカウンタランニングコイルを含む。効率的な設計のために、シールドコイルと内部磁石との間には、実質的な半径方向のギャップがあるべきである。動作において、シールドコイルは、典型的には、数トンの軸方向体積力を受けながら、正確に位置決めされなければならない。これらのシールドコイルを効率的かつコスト効率の良い方法で支持することは問題となるであろう。
【0003】
本発明は、この問題に対処し、効率的かつコスト効率の良い方法でこれらのシールドコイルを支持するアレンジメントを提供することを目的とする。
【0004】
図1は、特許文献1に記載されているように、MRIシステムで使用するための従来の超電導磁石を示す。自立型の主磁石アセンブリ1は、少なくとも1つの環状超電導主コイルを備えることができる。主コイルよりも直径の大きい多数のシールドコイル6が設けられ、軸A-Aを中心として主コイルと同軸に配置される(概略的に表される)。中間コイル支持構造体3は、自立型の主磁石アセンブリ1およびシールドコイル6を保持するジャーナル8に固着され、主コイルおよびシールドコイルをそれぞれの正しい位置に保持する。
【0005】
従来なかった構造体1は、高速冷却時間を必要とするクライオフリー磁石に必要とされるような非常に軽量な磁石構造体に特に適している。他の従来の構成は、非常に薄いコイルでは実用的でなくなる。磁石アセンブリの許容できない変形レベルとして、真空容器から直接、図1に示すような自立型の主磁石アセンブリ1である「コールドマス」を懸架することは実用的でなくなる可能性がある。
【0006】
特許文献1によって提案された解を含む上記の問題は、「コールドマス」を低温に保つことが要求される場合、すなわち、通常20Kより低い、通常約4Kである超伝導磁石の動作温度に保持される装置の質量を必要とする場合、解決が困難になる。最近の開発は、液体極低温の浴を備えていない伝導冷却磁石を含む。このような構造体のクールダウン時間を最小にするために、コイルおよびその前者は、提供される場合、極めて薄くなる傾向があり、質量を減少させるために駆動による固有の剛性を減少させている。これにもかかわらず、コールドマスの懸架をクライオスタット内で過度の歪みなしに可能にすることが要求され、主磁石アセンブリからシールドコイルを支持するための配置を設けることが困難になる。
【0007】
コイルが類似の半径方向の範囲の環状スペーサの側面に接合される、従来の全てのボンディング溶液は、クールダウン時間の速いクライオフリー磁石に必要とされるような非常に軽い構造体のために採用され得る。コイル支持体の公知の解決策は、コイルが薄くなるにつれて実装することが、ますます困難になってきているか、または不可能になってきている。コールドマスは、磁石懸架装置をコールドマスに直接接続できるように、著しく補強する必要があるかもしれない。コイルに集中的な機械的負荷をかけることなく、シールドコイルをその全周に沿って支持する軽量で高剛性の構造体が必要であり、そうでなければコイルの変形を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2013/102509号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、薄く、軽量の主磁石アセンブリ上に薄く、軽量のシールドコイルを取り付けるための薄く、軽量の支持体を提供することを目的とする。本発明の支持体は、伝導冷却磁石のための冷却の効率を維持する、コールドマスに比較的小さな質量を加える。得られたコールドマス構造体は、完全に組み立てられたときに高い固有の剛性を有し、熱的および電磁的負荷を最小化するとともに、懸架されたときのコイルの歪みを最小化する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
使用時には、各超電導磁石コイルは、超電導コイルによって生成された磁場と超電導磁石全体によって生成された磁場との相互作用により、半径方向力および軸方向力を含む電磁的負荷を受ける。各超電導コイルは、通常、ミッドプレーンから離れて外側に向かっているが、磁石の設計によっては、ミッドプレーンに向かって内側に向かっていることがあり、また、磁石の設計によっては、通常、外側に向かって半径方向であるが、場合によっては半径方向内側に向かってもあり得る実質的な半径方向の力を受けることがある。薄いコイルの場合、電磁的負荷によるこの組合せの力は、数点だけで支持された場合に超電導コイルを座屈させる可能性があり、少なくとも、局所的変形を引き起こす可能性があり、これは、高い局所的応力と、生成された磁場における不十分な均一性とをもたらす可能性がある。従来、このような応力集中は、超電導コイル構造体をより重く、より高価にすることによって対処されてきた。本発明は、応力集中が事実上排除され、歪みが最小限に抑えられ、座屈モードが回避されるように、超電導コイルの円周の周囲に連続支持体を提供する。次に、これは、結果として生じる磁場均一性の劣化を最小化する。
【0011】
本発明は、いかなるコイルにも集中的な機械的負荷をかけることなく、シールドコイルをその全周に沿って支持する軽くて堅い構造体を提供しようとするものである。
【0012】
従って、本発明は、特許請求範囲に定義されるような装置を提供する。
【0013】
以上、さらに、本発明の物体、特徴および利点は、添付の図面と併せて、その特定の実施形態の以下の説明の再検討からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】シールドコイル支持構造体の従来の配置を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるシールドコイル支持構造体の配置を概略的に示す図である。
図2A】本発明の特定の実施形態の代替特徴の詳細を示す図である。
図3図2のある特徴の拡大を示す。
図4】本発明の代替実施形態によるシールドコイル支持構造体の配置を概略的に示す図である。
図5】シールドコイル支持構成が設けられ、外側真空チャンバ(OVC)内のコールドマス全体を支持するための構成が示された、本発明の別の代替実施形態を示す図である。
図6】本発明の別の実施形態を示しており、この実施形態では、熱放射シールドの一部として円錐形支持体が採用されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、本発明の実施形態の部分断面を示し、それは、本質的に、軸A-Aに関する回転対称性と、中心面C-Cに関する反射対称性とを有する。
【0016】
図2に概略的に表わされる実施例によって図示されるように、本発明は、薄くて柔軟な内部磁石(「主磁石アセンブリ」)10を薄いシールドコイル16に接続するための1つまたは複数の円錐形環状支持体20を提供する。これらの構成要素は全て柔軟であり、組立前に比較的機械的に弱いが、一緒に接続されると非常に堅くて極めて軽い構造体が形成される。図3は、図2のある特徴の拡大図を示す。
【0017】
図2では、詳細に図示されていない主磁石アセンブリ10は、少なくとも1つの超電導コイルを備えている。シールドコイル16は、主磁石アセンブリ10よりも大きな直径のものが設けられる。図示の実施形態では、各シールドコイル16の軸方向外側端部に接合されたエンドリング18が設けられている。これは、樹脂含浸繊維材料であってもよい。
【0018】
本発明の特徴によれば、円錐形環状支持体20が提供される。この円錐形環状支持体20の半径方向内周部22は、主磁石アセンブリ10に取り付けられている。図示の例では、これは、ボルト24が円錐形環状支持体20の材料の内側フランジ26を介して達成され、環状支持体20の半径方向内周部22から、スペーサ14の材料のタップ孔に、またはスペーサ14の材料内に保持されたねじ切りインサート自体内に軸方向内側に向けられる。円錐形環状支持体20の半径方向外周部28は、シールドコイル16の1つに取り付けられている。図示の実施形態では、これは、円錐形環状支持体20の材料内の周囲の半径方向に延びる外側フランジ32を通して軸方向に向けられたボルト30によって、エンドリング18の材料内のタップ穴に、又はエンドリング18の材料内に保持されたねじ切りインサート自体に、達成される。
【0019】
好ましい実施形態では、同様の構成が、主磁石アセンブリ10の他方の軸方向端部に設けられ、他方のシールドコイルの軸方向外側端部に支持を提供する。
【0020】
好ましい実施形態では、各円錐形環状支持体20は、薄い金属シート、例えば厚さ1mmのステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されるが、各円錐形環状支持体20は、CFRP又はGRPのような複合材料のような他の材料から作ることができる。
【0021】
図2に図示されているようないくつかの実施形態では、ピラーレッグ支持体34のような1つまたは複数の懸架要素を主磁石アセンブリ10に取り付けることができる。図示のように、また便宜的に、ピラーレッグ支持体34は、円錐形環状支持体20を主磁石アセンブリ10に取り付ける1つまたは複数のボルト24によって主磁石アセンブリ10に取り付けることができる。ピラーレッグ支持体34の他端は、磁石構造体の周囲の真空領域を規定する外側真空容器(OVC)(図2には図示せず)の内側表面に取り付けることができる。このような方法で、主磁石アセンブリ10の重量は、ピラーレッグ支持体34内の張力を介してOVCによって支えられてもよい。シールドコイル16の重量は、ピラーレッグ支持体34内の張力及び円錐形環状支持体20内の張力及び圧縮を通じてOVCによって支えられてもよい。
【0022】
使用時には、シールドコイル16は、数トンの軸方向外向きの力を受けるが、これは、変形又は各円錐形環状支持体20を変形させるのに十分であり得る。図2に示す図では、この変形は、シールドコイル16が、円錐形環状支持体20の材料の変形に伴って、環状支持体20の半径方向内周部22のまわりをある程度回転することに現れるであろう。これは、今度は、半径方向に延びる外側フランジ32がもはや半径方向に向いていないことを意味し、シールドコイル16の形状の変形につながる可能性がある。このような変形に抵抗するために、本発明の特定の実施形態では、軸方向ロッド36が、磁石構造体の両端でシールドコイル支持構造体間に延びるように設けられてもよい。例えば、8つのそのようなロッドが設けられてもよく、磁石構造体の周囲に円周方向に分布する。軸方向ロッド36は、軸方向に付加的な剛性を提供し、したがって、円錐形環状支持体20の過度の歪みを防止する。軸方向ロッド36によって与えられるこの付加的な剛性により、より薄い材料を使用して円錐形環状支持体20を形成することができる。好ましい実施形態では、円錐形環状支持体20が、主磁石アセンブリ10の各軸方向端部付近に設けられ、軸方向ロッド36は、2つの円錐形環状支持体20の間に延在する。図2に図示された実施形態では、平坦化領域38が外側フランジ32に近い円周方向の間隔で設けられ、それぞれの軸方向ロッド36は、ボルト止めによって、またはナットを軸方向ロッド36自体のねじを切った部分に取り付けることによって、それぞれの平坦化領域38に取り付けられる。
【0023】
図2の実施形態では、各軸方向ロッド36は、ステンレス鋼のような固体材料である。少なくとも各軸方向ロッドの端部領域は、それぞれの円錐形環状支持体20の対応する孔を通してねじ切りされ、位置決めされる。ナットは、円錐形環状支持体20のいずれかの側のねじ領域にねじ込まれ、ワッシャは、各ナットと関連する円錐形環状支持体20との間に配置され得る。
【0024】
図2Aに示す別の構成では、軸方向ロッド40は中空ロッドであり、各端部にねじボルト42または類似のものが取り付けられ、図2の軸方向ロッド36の方法で円錐形環状支持体20に取り付けられることを可能にする。
【0025】
このような軸方向ロッドの存在は、円錐形環状支持体20の変形を防ぎ、または少なくとも限定するので、電磁的負荷を受けてシールドコイル16が変形したり位置が変化したりする傾向を減少させる。
【0026】
円錐形環状支持体20は、例えばボルト24によって、主磁石アセンブリの円周の周りに少なくとも間隔を置いて主磁石アセンブリ10に取り付けられる。いくつかの実施形態では、円錐形環状支持体20は、例えば、内側フランジ26と主磁石アセンブリ10とに重なる樹脂含浸ガラスバンドによって、主磁石アセンブリ10に連続的に取り付けられてもよい。代替の実施形態では、円錐形環状支持体20は、主磁石アセンブリ10に接着されるか、または機械的な圧縮帯域によって主磁石アセンブリ10にクランプされる。図面に図示されているボルト24のような円盤状の固定具は製造を単純化するが、円錐形環状支持体20が樹脂含浸複合材料である実施形態では、接合継手が有利であることが分かる。
【0027】
半径方向において、円錐形環状支持体20は、堅固な支持を提供し、主磁石アセンブリ10の環状形状を保持する。これは、磁場の適切な均一性を可能にするために必要である。
【0028】
円錐形環状支持体20は、例えばボルト30によって、主磁石アセンブリの円周の周りに少なくとも間隔を置いてシールドコイル16に取り付けられる。いくつかの実施形態では、円錐形環状支持体20は、例えば、内側フランジ26と主磁石アセンブリとに重なる樹脂含浸ガラスバンドによって、主磁石アセンブリ10に連続的に取り付けられてもよい。半径方向において、円錐形環状支持体20は、堅固な支持を提供し、シールドコイル16の環状形状を保持する。これにより、シールドコイルは、互いに対して、また主磁石アセンブリ10に対して正確に位置決めされたままであることが保証される。シールドコイルをその全周囲に沿って支持することにより、シールドコイルの面外曲げ及び応力集中は回避され得るが、これらの両方は、シールドコイルを支持するために離散的な張力要素を使用する従来のアプローチで生じる。
【0029】
円錐形環状支持体20は、機械的、熱的及び電磁的装填に抵抗するための軸方向及び半径方向の剛性を提供する。
【0030】
円錐形環状支持体20はまた、図5を参照して後述する引張懸架システム、または図2を参照して先に議論するように円錐形環状支持体20の内側フランジ22に取り付けられたピラー支持体34を使用するような引張または圧縮懸架システムのための取り付け位置を提供することができる。ピラー支持体34は、図2および図3に示すように、円錐形環状支持体20に取り付けることができるが、代替的に、好ましくは円錐形環状支持体20の近くで、主磁石アセンブリ10に取り付けることもできる。円錐形環状支持体20は、主磁石アセンブリ10を丸く保持し、それにより、ピラー支持体が内部磁石を歪ませるのを防止するのを補助する。
【0031】
円錐形環状支持体20によって提供される主磁石アセンブリ10およびシールドコイル16の拘束は、円錐形材料、厚さ、およびすくい角βのような円錐形環状支持体20のパラメータを適切に選択することによって、軸方向剛性に対する要求に対してバランスをとることができる。構造体の機械的性質の更なる調整は、提供される場合には、軸方向ロッド36、40の剛性、数及び位置を調整することによって達成することができる。
【0032】
本発明のある実施形態では、円錐形環状支持体20は、銅またはアルミニウムのような比較的高い熱伝導率の材料で作ることができる。これは、主磁石アセンブリ10とシールドコイル16との間に高伝導性の熱経路を提供することになる。これは、特に伝導冷却磁石において、熱均一性を助けるであろう。
【0033】
従来、終端領域は、図2の符号39で示すように主磁石アセンブリ10上に設けられている。そこでは、主磁石コイルを構成する超電導ワイヤの端部とシールドコイルとを一緒にし、マグネットスイッチとしても知られる超電導永久スイッチ、および電源、ランダウンロードなどに電気接続を行う。好都合には、このような成端処理領域は、主磁石アセンブリ10の半径方向外側表面上に設けられてもよい。本発明の円錐形環状支持体20は、このような領域が特にアクセス可能であることを可能にする。このような領域の接近性は、テンションロッド36、40が省略される場合、さらに改善される。例えば、円錐形環状支持体20自体がシールドコイルの位置を特定し保持するのに十分な剛性を提供する実施形態では、このような領域はさらに改善される。
【0034】
円錐形環状支持体20は、板金の製造、スピニング、またはプレスによって、または複合レイアップによって、費用効果的に製造することができる。本発明によって提供される支持構造体は、シールドコイル、および磁石構造体支持のための従来の支持構造体と比較して、はるかに低い部品数および複雑さを有する。
【0035】
図4は、シールドコイル16にエンドリング(18、図2)が設けられていない、本発明の代替実施形態の詳細を示す。その代わりに、樹脂含浸ガラス繊維、または樹脂含浸炭素繊維のような複合材料のオーバーバインディング41が、少なくとも部分的に、各シールドコイル16の半径方向外側表面の上に設けられる。オーバーバインディング41は、それぞれのシールドコイル16の軸方向外側端部を越えて軸方向に突出する。図示の実施形態では、円錐形環状支持体20は、磁石の軸方向中心に向かって軸方向に回転する半径方向外側端部を有し、外側軸方向に向けられたフランジ42を形成している。オーバーバインディング41は、図示の実施形態では、外側の軸方向フランジ42に、リベット44のような締付具によって取り付けられる。このような締付具は、シールドコイル16の円周の周りに間隔を置いて設けることができる。固定具の数、従ってそれらの間隔は、シールドコイル16が通常の使用中に認識可能に変形しないことを保証するために決定されるべきである。この判定は、また、シールドコイルに環状の支持を提供するであろうオーバーバインディング41の機械的強度を考慮に入れるべきである。
【0036】
図2の実施形態と同様に、軸方向ロッド36又は40は、好ましくは、外側フランジ42の近くに設けられたそれぞれの平坦化領域46に取り付けられる。いずれの実施形態においても、平坦化領域は、円錐形環状支持体20の円錐体の内側または外側に軸線方向に設けられてもよい。いくつかの実施態様において、円錐形環状支持体20のための比較的薄い材料の好ましい使用のために、軸方向ロッド36又は40の取り付けのための平坦化領域46には、材料のプレートのような補強材が設けられ、円錐形環状支持体20の材料の厚さを効果的に局所的に増加させるか、又は円錐形環状支持体20の材料内の押し込み式又はねじ込み式の部分が設けられる。
【0037】
具体的には示されていない他の実施形態では、円錐形環状支持体20の配向は逆になっている。すなわち、円錐形環状支持体20がシールドコイルの軸方向内側縁部に到達し、主磁石アセンブリ10の表面に向かって軸方向外側に傾斜しているということである。さらなる実施形態では、具体的には示されていないが、各シールドコイル16は、従来提案されているものとは逆の円錐形環状支持体20の軸方向側に設けられてもよい。円錐形環状支持体20は、所望の構造体特性を改善するために、他の形状の環状支持体に置き換えてもよい。
【0038】
図5は、本発明のさらなる実施形態を示す図である。この実施形態では、円錐形環状支持体20は、外側の真空容器(OVC)50に対してブレース固定された支持ロッド70によって主磁石アセンブリ10の重み付けを支持するようになっている。支持ロッド70は、熱放射シールド52の重み付けも支持することが好ましい。OVC50は、超電導磁石を包含する排気体積を提供する。熱放射シールド52(約50Kで)は、もちろん保持されなければならず、OVC(約300Kで)および超伝導磁石(約4Kで)の両方から熱的に絶縁されることを保証する方法で機械的に支持されなければならない。
【0039】
熱放射シールド52は、超電導磁石とOVCとの間に位置する。それは、典型的には約300KでのOVCの内側表面からの熱放射が、典型的には約4Kでの超伝導磁石に到達するのを防止する。熱放射シールド52は、典型的には、約50Kの温度まで冷却される。極低温冷凍機は通常、4Kよりも50Kではるかに大きな冷却力を提供するので、4Kで取り除くのではなく、50Kでの熱流入を取り除くことが有益である。従って、熱放射シールド52から超伝導磁石に到達する熱放射は、50Kで放出されるだけであり、したがって、300Kで放出される熱放射よりもはるかに少ないエネルギーを運ぶので、熱放射シールド52から超伝導磁石に到達する熱流入は、4Kで極低温冷凍機によって除去されることが可能になる。
【0040】
図5は、このような保持および機械的支持を可能にする本発明の一実施形態を示す図である。それ自体において従来と同様に、多層絶縁(MLI)54は、OVCと熱放射シールドとの間の空間内に設けられてもよい。MLIは、典型的には、アルミナイズドポリエステルシートの複数の層を含む。表現を容易にするために断続的に図示されているが、実際には熱放射シールド52を本質的に包囲することになる。その目的は、OVCからの熱放射を反射し、OVCと熱放射シールドの間に安定した熱勾配を確立することである。
【0041】
図5の実施形態は、本発明の他の実施形態と多くの特徴を共有し、それらの特徴は、先の図面で担持された参照番号と同一の参照番号を担持する。
【0042】
多数のロッドボス62が円錐形環状支持体60に導入される。例えば、このような4つのロッドボスは、各円錐形環状支持体60の周囲に円周方向に分布されて設けられてもよい。ロッドボスの各々は、好ましくは、樹脂含浸ガラス繊維又は炭素繊維、ステンレス鋼又はチタンのような材料であり、対応する支持ロッド70を収容するように軸A-Aに傾斜した半径方向に方向付けられた貫通孔68を含む。各ロッドボス62は、円錐形環状支持体60内に取り付けられた所定の位置に保持されるように成形されていてもよいし、さもなければ配置されていてもよい。
【0043】
好ましい実施形態では、超電導磁石アセンブリのそれぞれの端部に位置する2つの円錐形環状支持体60のそれぞれに4つずつ、8つのそのようなボスが設けられる。各円錐形環状支持体のすくい角βは、ロッドボス62に取り付けられた支持ロッド70の方向に対応することが好ましい。それぞれロッドボス62のそれぞれに取り付けられた8つの支持ロッド70の各々は、OVCとそれぞれの他の円錐形環状支持体60との間の複合角度で配置され、円錐形環状支持体60の材料を通してOVCまで超電導磁石構造体の重量に対する機械的支持を提供する。円錐角に追従するテンションロッド70を設けることによって、円錐形環状支持体60の材料のねじりおよび曲げが最小限に抑えられる。これにより、構造体全体の長尺化を必要とすることなく、超電導磁石の重み付けを支持するための規定を設けることができる。
【0044】
図示の実施形態では、支持ロッド70の両端にねじが形成されている。支持ロッドの半径方向内側端部において、支持ロッド70は、ロッドボス62を通過する。支持ロッドの半径方向外側の端部において、支持ロッドは、溶接又は何らかの類似の永久アタッチメントによって、OVCの内側表面に取り付けられた取り付け点72の孔又は切欠部を通過する。支持ロッド70の両ねじ端部は、それぞれナットおよび好ましくはワッシャで所定の位置に固定される。支持ロッド70は、それぞれのナットを締め付けることによって引っ張られ、OVC内で超電導磁石構造体を拘束し支持するようになっている。
【0045】
図5の実施形態の更なる好ましい特徴は、熱放射シールド52の重量が支持ロッド70によって支えられることである。このために、シールド支持体74が支持ロッド70に取り付けられている。少なくとも1つのシールド支持体74は、少なくとも1つの支持ロッド上に取り付けられるが、好ましくは、少なくとも1つのシールド支持体74は、各支持ロッド70上に取り付けられる。各シールド支持体74は、安定した熱条件において、シールド支持体74の位置における支持ロッドの温度が熱放射シールドの温度とほぼ同じになるように、適切な位置でそれぞれの支持ロッドに取り付けられ、その結果、使用時には、熱放射シールドと支持ロッド70との間で熱転写が起こることはほとんどない。シールド支持体74は、熱放射シールドに取り付けられ、熱放射シールドの重量が少なくとも部分的にシールド支持体74によって支えられるようになっている。
【0046】
例として図6に示すような本発明の特定の実施形態では、円錐形環状支持体20、60は、「光を通さない」熱放射シールドの部分を形成する。例えば、アルミニウム又は銅箔のような薄い導電性金属又は箔で覆われた複合基板のような不透明で軽量チューブ80を、円錐形環状支持体20、60のいずれかの本発明の実施形態の半径方向外端部間に設けて、主磁石アセンブリ10及びシールドコイル16を含む磁石コールドマス用の放射線シールドを形成することができる。このようにして、円錐形環状支持体20、60、軽量チューブ80および主磁石アセンブリ10は、終端部品39が追加の熱シールドなしに収容され得る等温ボリュームを形成する。主磁石アセンブリ10は、熱伝導層80、例えばアルミニウム又は銅箔を、等温ボリュームの外側に露出されている主磁石アセンブリの表面上に加えることによって、等温ボリューム内にもたらすことができる。
【0047】
従って、本発明は、軸A-Aの周囲に配置された少なくとも1つの環状超電導コイルと、軸A-Aの周囲に配置された主磁石アセンブリ10よりも直径の少なくとも1つのシールドコイル16とを備え、少なくとも1つの環状支持体が設けられ、シールドコイル16および主磁石アセンブリ10に取り付けられる、主磁石アセンブリ10を備える超電導磁石アセンブリを提供する。
【0048】
環状支持体は、好ましい実施形態では、円錐形であってもよく、さらに好ましい実施形態では、内側(主)コイルと外側(シールド)コイルとの間の半径方向のギャップにまたがる薄い円錐形部分として記載されてもよい。
【0049】
このような構成は、非常に薄いコイルを支持するのに適した軽量で機械的に堅いシールドコイル支持体を提供する。シールドコイル支持体の機械的特性は、円錐形状、厚さ、材料を変えることにより容易にチューニングできる。本発明の支持構造体は軽量であり、このような磁石は設置時に室温からの高速冷却を必要とするので、極低温フリー又は導電冷却磁石に好適である。また、本発明のシールドコイル支持体20、60は、材料含有量が低く、それに対応して質量が低く、磁石の位置決めが容易になり、冷却時間が短くなり、輸送コストが低減される。本発明の環状シールドコイル支持構造体20、60は、単純でコスト的に有利である。好ましい実施形態では、本発明の円錐形支持構造体を使用することにより、磁石の成端処理領域へのアクセスが妨害されることなく可能となる。
【0050】
本発明の環状シールドコイル支持構造体は、環状シールドコイル支持によって付与される機械的剛性のため、極めて軽量な磁石コールドマスをクライオスタット内に過度の歪みなく機械的に懸架することを可能にする。
【0051】
本発明のある実施形態では、環状支持体20、60は、コールドマスの周囲に熱放射シールドの構成要素を形成し、この構成要素はまた、成端処理部品および磁石スイッチを取り付けるための光密な等温ボリュームを提供する。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6