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特許7404519医療用カニューレのための滑り止めシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】医療用カニューレのための滑り止めシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
A61B17/34
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022519564
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 US2020054250
(87)【国際公開番号】W WO2021067929
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】62/909,891
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】一色 亮
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-240421(JP,A)
【文献】特表2010-527710(JP,A)
【文献】特表2003-520652(JP,A)
【文献】特開平02-189163(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0167479(US,A1)
【文献】米国特許第05496289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面と、前記外面を通って延在する開口と、前記外面から延在する一つ以上の滑り止めとを有するエンドキャップと、
前記エンドキャップに接続されたシールであって、その直径を少なくとも部分的に横切って延在する直線状のシールスリットを有するシールと、
前記一つ以上の滑り止めのうちの二つの滑り止めの間に形成される二つ以上の縫合糸スロットと、
前記外面を通して延在する一つ以上の縫合糸開口部と、
を備え、
前記シールスリットが、前記エンドキャップの前記開口と整列しており、
前記シールスリットの長さに沿って延在する軸が前記二つ以上の縫合糸スロットの互いに対向する二つの縫合糸スロットの間に延在して、前記シールスリットが前記二つの縫合糸スロットと整列し、
前記縫合糸開口部が前記開口から延在し、
前記一つ以上の縫合糸開口部の互いに対向する二つの縫合糸開口部が前記シールスリットと整列する、縫合糸滑り止めシステム。
【請求項2】
前記一つ以上の滑り止めが、前記外面から傾斜して遠位に延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記縫合糸スロットが、前記外面を少なくとも部分的に通して延在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記一つ以上の滑り止めの各々が、前記エンドキャップの壁である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記二つの縫合糸スロットが前記エンドキャップ内で収束する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記開口が、該開口から延在する二つの対向する三角形の陥凹部を有する六角形であり、前記二つの対向する三角形の陥凹部がそれぞれ前記二つの縫合糸スロットへと延在する、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記シールスリットが、前記二つの対向する三角形の陥凹部と同一直線状である、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記エンドキャップから遠位に延在するカニューレ本体をさらに備え、
前記シールは前記カニューレ本体と前記エンドキャップとの間に接続される、
請求項1からのいずれか一項に記載の縫合糸滑り止めシステム。
【請求項9】
前記カニューレ本体が、その少なくとも一部分に沿って延在するねじ山を有する管を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記シールスリットおよび前記開口を通して延在する、縫合糸をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記縫合糸が、前記開口から、かつ前記一つ以上の滑り止めのうちの二つの間の縫合糸スロットを通して延在する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記開口から延在する一つ以上の縫合糸開口部をさらに備え、前記縫合糸が前記一つ以上の縫合糸開口部のうちの一つから前記縫合糸スロットへと延在する、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月3日出願の「Cleating System for a Medical Cannula」と題された米国仮特許出願第62/909,891号の優先権および利益を主張するものであり、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、カニューレに関し、より具体的には、関節鏡カニューレまたは内視鏡カニューレのための滑り止めシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
カニューレは、外科手術部位へのアクセスポータルを提供することによって、関節鏡手術または内視鏡手術をサポートするために使用されてもよい。流体管理の問題に対処するために、カニューレは近位端にシールシステムを装備してもよい。可撓性シールは、カニューレを通る流体の流れを制限するが、器具、インプラント、または縫合糸による外科手術部位へのアクセスの支持もする。
【0004】
関節鏡外科手術または内視鏡外科手術の過程において、カニューレを通して複数の縫合糸が通され、かつ操作される場合がある。カニューレは、縫合糸管理を容易にするために、滑り止めなどの特徴を提示するように設計されてもよい。関節鏡手術または内視鏡手術の状況において、ユーザーが直接的にアクセス可能な縫合糸のセクションは、患者の外側に引き出されている縫合糸の部分である。カニューレを通してこうした手術を実行する時、縫合糸のアクセス可能なセクションは、可撓性カニューレシールを通過している。
【0005】
縫合糸をしっかりと滑り止めするには、張力下で縫合糸を滑り止め特徴部の中へと引く必要がある。縫合糸の中間部は依然として可撓性シールと係合しているため、反対方向における複数の縫合糸の滑り止めは、可撓性シールを引き伸ばして開く固有のリスクを伴う。これは、先行技術のカニューレ上のシールを示す図1で観察することができる。複数の縫合糸を滑り止めする一方で、シールは、引っぱって開かれる。カニューレ内の可撓性シールがこの様態で引き離される時、カニューレは流体の漏れおよび噴出のリスクがより高くなる。
【0006】
したがって、使用中にシール(複数可)を引き離さない、関節鏡カニューレまたは内視鏡カニューレ用の縫合糸滑り止めシステムの必要性が存在する。
【0007】
本明細書で使用される場合、「縫合糸」という用語は、生体適合性または生体吸収性のフィラメント、リボン、テープ、織布、または不織布材料などの任意のタイプの糸状材料であってもよい。
【0008】
関連技術の記述セクションの免責条項:具体的な特許/刊行物/製品が上記の本関連技術の記述セクションまたは本開示の他の場所で考察されている範囲で、これらの考察は、考察された特許/刊行物/製品が特許法上の先行技術であることを認めるものとみなされるべきではない。例えば、考察された特許/刊行物/製品の一部またはすべては、時間的に十分早期でない場合があり、時間的に十分早期に開発された主題を反映していない場合があり、かつ/または特許法上の先行技術に相当するほど十分に有効ではない場合がある。具体的な特許/刊行物/製品が、この関連技術の記述セクションで、かつ/または本出願全体を通して、上記で考察されている範囲で、その記述/開示はここに、参照によりそのそれぞれの全体がすべて本書類の中へと組み込まれる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態は、シールの機能性を保持しながら、縫合糸管理を容易にするための、関節鏡カニューレまたは内視鏡カニューレ用の縫合糸滑り止めシステムを対象とする。縫合糸滑り止めシステムの一実施形態は、外面であって、それを通って延在する開口と、そこから延在する一つ以上の滑り止めとを有する外面を備えるエンドキャップを含む。シールはエンドキャップに接続される。シールは、その直径を横切って少なくとも部分的に延在するシールスリットを有する。シールスリットは、エンドキャップの開口と実質的に整列している。
【0010】
別の態様によれば、縫合糸滑り止めシステムは、エンドキャップであって、それを通して延在する開口と、そこから延在する一つ以上の滑り止めとを有するエンドキャップを含む。カニューレ本体は、エンドキャップから遠位に延在する。シールは、カニューレ本体とエンドキャップとの間に接続される。シールは、それを通って延在するシールスリットを有し、シールスリットは、エンドキャップの開口と実質的に整列している。
【0011】
使用時に、縫合糸は、カニューレ、シールスリット、およびエンドキャップ内の開口を通して延在する。縫合糸は、エンドキャップ内の開口から張力を加えられて二つの滑り止めの間の縫合糸スロット内に固定され得る。
【0012】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記述される実施形態から明らかになり、またそれらを参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、添付図面と併せて以下の発明を実施するための形態を読むことにより、より完全に理解され、かつ評価されるであろう。添付の図面は、開示された主題の典型的な実施形態のみを示しており、したがってその範囲を限定するものと考えられるべきではない。開示された主題は、他の等しく有効な実施形態を認め得るからである。ここで添付図面を簡単に参照する。
【0014】
図1図1は、先行技術のカニューレおよびシールである。
図2図2は、一実施形態による、縫合糸滑り止めシステムの側面図である。
図3図3は、一実施形態による、縫合糸滑り止めシステムのエンドキャップの上面図である。
図4A図4Aは、一実施形態による、縫合糸滑り止めシステムのシールの上面図である。
図4B図4Bは、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステムのシールの上面図である。
図5図5は、一実施形態による、滑り止めシステムのエンドキャップの上面図である。
図6図6は、一実施形態による、滑り止めシステムのエンドキャップおよびシールの上面図である。
図7図7は、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステムの斜視図である。
図8図8は、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステムの分解組立図である。
図9図9は、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステムのエンドキャップの斜視図である。
図10図10は、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステムのシールの斜視図である。
図11図11は、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステムの上面図である。
図12図12は、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステムのカニューレ本体の上面図である。
図13図13は、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステムのカニューレ本体のクローズアップ立面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の態様ならびにその特定の特徴、利点、および詳細は、添付図面に図解した非限定的な例を参照しながらより完全に以下に説明される。本発明の詳細を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の記述は省略されている。しかし、詳細な記述および具体的な非限定的な例は、本発明の態様を示すものであるが、例示のみの目的で与えられ、限定の目的ではないということが、理解されるべきである。基礎となる発明の概念の趣旨および/または範囲内での様々な置き換え、修正、追加、および/または配設は、本開示から当業者には明らかであろう。
【0016】
ここで図を参照すると、同様の参照番号が全体を通して同様の部分を指しており、図2は、一実施形態による、縫合糸滑り止めシステム10の側面図である。縫合糸滑り止めシステム10は、カニューレ本体14がそこから延在する近位エンドキャップ12を含む。シール16は、エンドキャップ12とカニューレ本体14との間に位置付けられる。カニューレ本体14は、それを通って延在する内部体積(図示せず)を有する管18である。図2に示すように、カニューレ本体14は、管18の少なくとも一部分に沿って延在するねじ山20を有する。
【0017】
ここで図3に移ると、一実施形態による、縫合糸滑り止めシステム10のエンドキャップ12の上面図が示されている。示されるように、エンドキャップ12は外面22を備える。図2及び図3に示すように、外面22は実質的に平坦である(すなわち、平面状である)。図示する実施形態では、外面22は、シール16およびカニューレ本体14の近位端24(図2)の円形形状と一致するように円形である。エンドキャップ12は、外面22を通して延在する開口28と、外面22から延在する一つ以上の滑り止め26とを有する。図2では、滑り止め26は、外面22から遠位に延在する、突出している材料の片である。図3に示す実施形態では、二つの対向するより大きい滑り止め26Bの間に、二つの中央滑り止め26Aの二つの対向する組がある。しかしながら、エンドキャップ12は、任意の適切な数の滑り止め26が存在するように構成することができる。
【0018】
図2に示すように、滑り止め26は、外面22から遠位に延在する。図2および図3の両方で、滑り止め26が傾斜して延在することがわかる。特に、滑り止め26は、図2に示されるように、縫合糸滑り止めシステム10を通して延在する中央長手方向y-y軸からある角度で外向きに延在する。図3を再び参照すると、エンドキャップ12は、任意の二つの滑り止め26の間に一つ以上の縫合糸スロット34(または任意の他の種類の開口部)を有する。縫合糸スロット34は、滑り止め26の間に、かつ少なくとも部分的にエンドキャップ12の外面22の中へと延在する。図3の縫合糸スロット34は、遠位へとサイズが増加する。特に、縫合糸スロット34は、エンドキャップ12の外面22を通して細く、かつ直線的であり、また滑り止め26の間では遠位へと三角形形状で開いている(またはサイズが増加する)。
【0019】
ここで図4Aおよび図4Bを参照すると、実施形態による、縫合糸滑り止めシステム10のシール16の上面図が示されている。シール16は、それを通して延在するシールスリット32を有する。図示した実施形態では、シールスリット32は実質的に直線状であり、またシール16の直径を実質的に横切って延在する。具体的には、シールスリット32は、軸x-xに沿って延在する。(図1に示すように、軸x-xは、長手方向y-y軸に実質的に垂直である。) シールスリット32は、それを通して延在する縫合糸30を適合するのに十分なだけ幅広い。図4Aおよび図4Bにおけるシール16は、縫合糸30にシールスリット32の向きに対して特定の角度で張力が加えられた時に、幾何学的変形に対して弾性があるため、ダックビル(duckbill)シールまたはバイバルブ(bivalve)シールである。しかしながら、以下に記述される使用下での幾何学的変形に対して同様に弾性である任意の他のシール設計および幾何学的形状を、シール16として使用することができる。
【0020】
例示的な実施形態によれば、使用時に、縫合糸30は、図4Aに示すように、シール16を通過し、シールスリット32の長さに対して垂直に引かれる。この技法は、シール16の急激な変形につながる。図4Bは、縫合糸30をシール16に通すための代替的な例示的な実施形態を示す。図4Bに示すように、縫合糸30はシールスリット32を通過し、シールスリット32の長さと平行に引かれる。この技法は、シール16の最小限の変形につながる。図4Aおよび図4Bにおける技法の間の変形の差異は、シールスリット32の歪んだサイズを比較すると明らかである。図4Bにおける技法は、変形が最小限であり、シール16上の摩滅が減少し、その寿命が長くなるため、図4Aにおけるシール16と縫合糸30との間の相互作用に対して好ましい。
【0021】
ここで図5に移ると、一実施形態による、縫合糸滑り止めシステム10のエンドキャップ12の上面図が示されている。エンドキャップ12は、一つ以上の縫合糸開口部36を有する。図示した実施形態では、エンドキャップ12は二つの縫合糸開口部36を有する。図5に示すように、縫合糸開口部36は、エンドキャップ12の外面22の開口28から延在する。示される実施形態では、縫合糸開口部36は、実質的に円形または丸みを帯びているが、縫合糸開口部36には他の任意の幾何学的形状を使用してもよい。
【0022】
縫合糸開口部36は、外面22の開口28から任意の位置において延在することができる。図5では、縫合糸開口部36は、開口28の対向する側で延在する。具体的には、図示した実施形態では、開口28は、縫合糸開口部36が六角形形状の開口28を通して延在する軸z-z軸に基づく鏡像となるように、互いに対向して延在する縫合糸開口部36を有する、六角形形状である。図5に示す構成を使用して、縫合糸30は、開口28を通して引かれ、縫合糸開口部36のうちの一つの中にドック入りされる。次に、任意の二つの滑り止め26の間の縫合糸スロット34を通して縫合糸30を引くことによって、縫合糸30は、滑り止め26のうちの一つにおいて係止される。縫合糸滑り止め26に向かう縫合糸30の進入角は、縫合糸開口部36に起因して厳密に制御される。
【0023】
ここで図6を参照すると、示されているのは、一実施形態による、滑り止めシステム10のエンドキャップ12およびシール16の上面図である。図6に示すように、シール16のシールスリット32は、縫合糸開口部36と整列する。具体的には、シールスリット32の長さに沿って延在する軸x-xは、縫合糸スロット34の間に(すなわち、縫合糸スロット34のうちの一方からもう一方の縫合糸スロット34まで)延在する。シールスリット32が縫合糸スロット34と整列することによって、シールスリット32を通して延在する縫合糸30は、縫合糸開口部36のうちの一つの中へと案内される(図4Bに図示するように)。次いで、縫合糸30を、二つの滑り止め26の間の隣接する縫合糸スロット34のうちの一つを通して引くことができる。それ故に、縫合糸30を、シール16が変形を有するとしても、多く有することなく、シールスリット32および縫合糸開口部36を通して引くことができる。これは、シール16の機能性を維持しながら、張力下で縫合糸30を係止することを可能にし、これは結果として、カニューレからの流体の漏れおよび噴出を防止する。
【0024】
ここで図7図13に移ると、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステム100の様々な図が示されている。図7および図8は、それぞれ、縫合糸滑り止めシステム100の代替的な実施形態の斜視図および分解組立図を示す。縫合糸滑り止めシステム100は、カニューレ本体104がそこから延在する近位エンドキャップ102を含む。シール106(図8)は、エンドキャップ102とカニューレ本体104との間に位置付けられる。カニューレ本体104は、それを通って延在する内部体積103(図8)を有する管108である。示されるように、カニューレ本体104は、管108の少なくとも一部分に沿って延在するねじ山110を有する。
【0025】
ここで図9に移ると、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステム100のエンドキャップ102の斜視図が示されている。示されるように、エンドキャップ102は、それを通して延在する開口112を備える。図示した実施形態では、開口112は、幅の広い六角形状の開口部である。開口112を画定する境界は、エンドキャップ102の内部壁114である。内壁114の端部116は、カニューレ本体104の中への物体(例えば、移植片)の挿入を容易にするために、面取りまたは角度付けされている。
【0026】
開口112の六角形状の幾何学的形状は、エンドキャップ102が近位オブチュレータ(図示せず)の対応する六角形状の幾何学的形状と係合することを可能にする。縫合糸滑り止めシステム100の組み立て中または製造中に、エンドキャップ102は、音波溶接を介してカニューレ本体104に取り付けられる。エンドキャップ102は、音波溶接ホーンがエンドキャップ102の底面120に到達することを可能にする陥凹部118(すなわち、ネガティブスペース)を有し、それ故に、エンドキャップ102をカニューレ本体104に接合する近接場音波溶接を可能にする。
【0027】
依然として図9を参照すると、開口112からエンドキャップ102を通して延在する一つ以上の縫合糸スロット122がある。具体的には、エンドキャップ102は、外面124と、エンドキャップ102の外面124を通して延在する一つ以上の縫合糸スロット122とを備える。図9に示す実施形態では、エンドキャップ102は四つの縫合糸スロット122を有する。縫合糸スロット122は、エンドキャップ102の任意の二つの壁114の間に作製される。壁114は、上記の図3および図6における滑り止め26(すなわち突起部)のように機能する。それ故に、図9のエンドキャップ102は、滑り止め26を有する。四つの縫合糸スロット122は、二つの縫合糸スロット122がエンドキャップ102内に収束し、かつその他の二つの縫合糸スロット122がエンドキャップ102内に収束するように、配設される。エンドキャップ102が軸z-zに沿って鏡面対称を有するように、二つの縫合糸スロット122の二つの組は互いに反対側である(図11)。二つの縫合糸スロット122の二つの組のそれぞれは、開口112へと延在する三角形の陥凹部126へと延在する。三角形の陥凹部126は、エンドキャップ102の底面120へと延在する。
【0028】
上述の縫合糸スロット122の構成は、縫合糸を縫合糸スロット122のうちの少なくとも一つの中へ、エンドキャップ102の外面124を通り過ぎて押し込み、当該縫合糸を固定することによって、ユーザーがエンドキャップ102上で一つ以上の縫合糸の滑り止めを行うことを可能にする。先行技術のシステムでは、ユーザーは、エンドキャップの下へ届いて縫合糸滑り止めにアクセスする必要があり、これは、エンドキャップの上を真っ直ぐに見下ろすと、見つけるのが困難である可能性がある。それ故に、本明細書に記述される縫合糸滑り止めシステム100は、ユーザーに、縫合糸の可視性および制御の向上を提供する。
【0029】
ここで図10を参照すると、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステム100のシール106の斜視図が示されている。図示した実施形態における、シール106は、ダックビル型のシールである。シール106は、シール106の直径を少なくとも部分的に横切って延在するシールスリット128を有する(上記の図1図6の実施形態に記述され、かつ示されるように)。シールスリット128は、軸x-xに沿って延在する(図11)。シール106は、エンドキャップ102およびカニューレ本体104と調和する特徴部を有する。例えば、シール106は、エンドキャップ102に対して正しい向きでシール106を整列させるために使用される、一つ以上の同一直線状のノッチ130を有する。
【0030】
ここで図11に移ると、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステム100の上面図が示されている。示されるように、シール106のシールスリット128は、エンドキャップ102の開口112と整列する。シールスリット128は、シールスリット128に沿って延在する軸x-xが縫合糸スロット122の収束部の間に延在する(かつ三角形の陥凹部126の間に延在する)ように、開口112と整列する。言い換えれば、軸x-xは、軸z-zと実質的に整列している。縫合糸がシール106を通して(シールスリット128を介して)延びて滑り止めされる(すなわち、縫合糸スロット122内に定置される)時、三角形の陥凹部126は、縫合糸を水平に保ち、それ故にシール106は閉鎖された状態を保つ。縫合糸が垂直に引かれる場合、シール106は強制的に開かれ、かつ変形することになる。
【0031】
ここで図12を参照すると、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステム100のカニューレ本体104の上面図が示されている。カニューレ本体104の近位端132は、シール106およびエンドキャップ102への取り付けのための、整列特徴部を備える。例えば、カニューレ本体104の近位端132は、シール106および/またはエンドキャップ102のノッチ特徴部を受容するための、同一直線状のノッチ134を有する。カニューレ本体104の近位端132はまた、シール106および/またはエンドキャップ102に接続するために、カニューレ本体104の外面138に同一直線状の溝136を含んでもよい。
【0032】
ここで図13に移ると、代替的な実施形態による、縫合糸滑り止めシステム100のカニューレ本体104のクローズアップ立面側面図が示されている。カニューレ本体104の近位端132は、カニューレ本体104の近位端132の上面142の周り全体に延びる、三角形形状のエネルギーダイレクタ140を有する。図示された実施形態では、エネルギーダイレクタ140は、上面142に沿って円形状に延びるチャネルであり、内部円周を作り出す。音波溶接の際に、エネルギーダイレクタ140は、上面142を充填し、均一で強い接合を作り出す。
【0033】
上記で使用された値が、単なる代表的な値であって、他の値が、本開示の趣旨および意図と一致する場合があることが、理解されるべきである。
【0034】
特定の例示的実施形態を参照しながら、本明細書でいくつかの発明的実施形態が記述され、図解されてきたが、当業者は、本明細書に記述された機能を実行するため、ならびに/または結果および/もしくは利点のうちの一つ以上を得るためのさまざまな他の手段および/または構造を容易に想起するであろうし、こうした変形および/または修正の各々は、本明細書に記述された発明的実施形態の範囲内であると見なされる(のであって、記載された記述および図面によって裏付けることができる特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、詳細の様々な変更がその中にもたらされる場合があることが、当業者によって理解されるであろう)。より一般的に、当業者は、本明細書に記述されたすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される一つ以上の具体的な適用に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記述された具体的な発明的実施形態に対する数多くの均等物を、通常の範囲を越えない実験を使用して認識するであろう、または確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、単に例示的なものとして提示されており、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内であることが理解されるべきであり、発明的実施形態は、具体的に記述されおよび特許請求の範囲に記載された通り以外の方法で、実行され得る。さらに、例示的実施形態が特定の数の要素を参照して記述される場合、例示的実施形態を、特定の数より少ない要素または特定の数より多くの要素のいずれかを利用して実行することができることが理解されるであろう。
【0035】
本明細書で引用される刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、あたかも各参考文献が個別にかつ具体的に参照によって本明細書に組み込まれることが示されおよび明細書にその全体が記載されたのと同程度に、ここに参照によって本明細書に組み込まれる。
【0036】
本明細書で定義されかつ使用される場合、すべての定義は、定義された用語の辞書の定義、参照により組み込まれる文書中の定義、および/または通常の意味を支配すると理解されるべきである。
【0037】
本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)「一つの(a)」および「一つの(an)」および「その(the)」という用語ならびに類似の参照語の使用は、本明細書に別段示されていない限り、かつ文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。別段の記載がない限り、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含有する(containing)」という用語は、開放形式の用語として解釈されるべきである(すなわち、「を含むが、これに限定されない」を意味する)。「接続された(connected)」という用語は、たとえ何かが介在する場所に直接的に付着していなくても、部分的または完全に包含され、付着され、または結合されるものとして解釈されるべきである。
【0038】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、一つ以上の要素の列記に関連して、「少なくとも一つ(at least one)」という語句は、要素の列記中の要素のうちのいずれか一つ以上から選択される、少なくとも一つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素の列記内に具体的に列記された各要素およびすべての要素のうちの少なくとも一つを含むものではなく要素の列記中の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、要素が、具体的に特定された要素と関係しているか無関係であるかに関わらず、「少なくとも一つ(at least one)」という語句が言及する要素の列記内で具体的に特定された要素以外に、任意に存在してもよいことも可能にする。それ故に、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも一つ」(または、等価に「AまたはBのうちの少なくとも一つ」、もしくは、等価に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも一つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、少なくとも一つの、任意で二つ以上のA(かつ任意でB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Aを含まない、少なくとも一つの、任意で二つ以上のB(かつ任意でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、少なくとも一つの、任意で二つ以上のA、および少なくとも一つの、任意で二つ以上のB(かつ任意で他の要素を含む)を指すことができる。
【0039】
反対であることが明確に示されない限り、本明細書で特許請求の範囲に記載される任意の方法において、二つ以上の工程または行為を含む場合、当該方法の工程または行為の順序は、必ずしも当該方法の工程または行為が記載される順序に限定されないことも、理解されるべきである。
【0040】
本明細書および特許請求の範囲全体を通して本明細書で使用される場合、近似の文言は、それが関連している基本的機能に変化をもたらすことなく、許容可能に変化する可能性のある任意の定量的表現を修飾するために適用されてもよい。したがって、例えば、「約(about)」および「実質的に(substantially)」などの用語(複数可)によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似の文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。本明細書、ならびに明細書および特許請求の範囲全体を通して、範囲の限定は、組み合わせられ、および/または交換される場合があり、こうした範囲は、文脈または文言が別段示していない限り、特定され、およびその中に含まれるすべての部分範囲を含む。
【0041】
本明細書の値の範囲の記載は、本明細書に別段示されていない限り、その範囲内にある各別個の値を個別に参照する簡潔な方法としての役割を果たすことを単に意図しており、各別個の値は、あたかも本明細書に個別に記載されたかのように本明細書に組み込まれる。
【0042】
本明細書に記述されたすべての方法は、本明細書に別段示されまたは文脈によって別段明らかに矛盾するのでない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書に提供されたありとあらゆる例、または例示的な文言(例えば、「などの(such as)」の使用は、単に本発明の実施形態をより良好に明らかにすることを意図するものであり、別段の主張がない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。
【0043】
本明細書のいかなる文言も、特許請求の範囲に記載されていない何らかの要素が本発明の実行に不可欠であることを示すと解釈されるべきではない。
【0044】
上記明細書だけでなく、特許請求の範囲において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「holding(保持する)」、「から成る(composed of)」、およびこれに類するものなどのすべての移行句は、開放形式である(すなわち、~を含むがこれに限定されないということを意味する)ものとして理解されるべきである。米国特許庁の特許審査手続マニュアルのセクション2111.03に定めるように、移行句「~からなる(consisting of)」および「本質的に~からなる(consisting essentially of)」のみを、それぞれ閉鎖形式または半閉鎖形式の移行句とする。
【0045】
様々な修正および変形を、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明に対してなすことができることは、当業者には明らかであろう。本発明を開示された一つ以上の具体的な形態に限定する意図はなく、むしろ反対に、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の趣旨および範囲内にあるすべての修正、代替的な構成、および均等物を網羅することを意図する。それ故に、本発明の修正および変形が添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にある限り、本発明は、それらを網羅することが意図される。
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