(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】不燃性被覆を有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24D 1/22 20200101AFI20231218BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20231218BHJP
A24F 42/10 20200101ALI20231218BHJP
【FI】
A24D1/22
A24D1/20
A24F42/10
(21)【出願番号】P 2022522316
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2020078741
(87)【国際公開番号】W WO2021074127
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-10-13
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ファヴィアン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンゼンバッハ ウルス
(72)【発明者】
【氏名】ペイネンブルグ ヨハネス ペートルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】スパダロ キアラ
(72)【発明者】
【氏名】スツルツェネッゲル フィリップ
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-522865(JP,A)
【文献】特表2019-505184(JP,A)
【文献】特表2010-535530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/22
A24D 1/20
A24F 42/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
上流部分および下流部分を有する可燃性熱源と、
前記熱源の下流のエアロゾル形成基体と、
前記エアロゾル形成基体の上流部分および前記可燃性熱源の下流部分を囲むラッパーと、
前記可燃性熱源の前記上流部分の長軸方向の外表面に提供され、前記可燃性熱源の前記下流部分には提供されていない不燃性被覆であって、約30マイクロメートル~約250マイクロメートルの厚さを有する、不燃性被覆と、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記可燃性熱源が少なくとも一つの点火補助剤を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記少なくとも一つの点火補助剤が過酸化カルシウムを含む、請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記不燃性被覆が、前記可燃性熱源の前端面には提供されていない、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記不燃性被覆が、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記不燃性被覆がセラミック粒子を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記セラミック粒子が、約0.04マイクロメートル~約150マイクロメートルの平均粒子径を有する、請求項6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記セラミック粒子が、珪藻土、膨張粘土、バーミキュライト、パーライト、泡ガラス、カオリナイト、およびジルコニアのうちの少なくとも一つを含む、請求項6または請求項7に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記不燃性被覆が、少なくとも一つのレオロジー調整剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記レオロジー調整剤が、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、ベントナイト、マイクロシリカ、炭酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、およびケイ酸カリウムのうちの少なくとも一つを含む、請求項9に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記不燃性被覆が、珪藻土、ケイ酸ナトリウム、およびカオリナイトを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記不燃性被覆が、約50重量パーセント~70重量パーセントの珪藻土、約20重量パーセント~約30重量パーセントのカオリナイト、および約10重量パーセント~約20重量パーセントのケイ酸ナトリウムを含む、請求項11に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記ラッパーが、熱伝導性の耐燃焼性ラッパーである、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記ラッパーが、約30マイクロメートル~約250マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記不燃性被覆が空孔を包含する、請求項1~14のいずれか一項に記載の
エアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃性熱源上に提供された不燃性被覆を備えるエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くの喫煙物品が、当技術分野において提唱されてきた。加熱式喫煙物品の一つの公知の種類では、可燃性熱源から可燃性熱源の下流にあるエアロゾル形成基体への熱の移動によりエアロゾルが発生される。喫煙中、揮発性化合物は可燃性熱源からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
加熱式喫煙物品で使用するための各種の可燃性炭素含有熱源が、当業界において提案されてきた。加熱式喫煙物品で使用するための可燃性炭素含有熱源の燃焼温度は、典型的には約600℃~800℃である。可燃性炭素含有熱源を備えた加熱式喫煙物品は、可燃性炭素含有熱源の高い燃焼温度のために望ましくないほど高い発火傾向を有し得る。
【0004】
可燃性熱源の発火傾向を低減するために、加熱式喫煙物品の可燃性炭素含有熱源の周辺部の周りを断熱部材で包むことは周知である。加熱式喫煙物品の可燃性炭素含有熱源を囲む断熱部材を含めることで、エアロゾル発生物品の表面温度を低下させることにより、可燃性熱源の発火傾向が低減される。
【0005】
先行技術の一部のエアロゾル発生物品では、可燃性熱源は、例えば、型押プロセスまたは同時押出プロセスを使用して、絶縁層と一体的に形成される。しかしながら、こうした絶縁層は、可燃性熱源の発火傾向を低減し得る一方で、これらの一体的に形成された層はまた、従来の黄炎ライターを使用して可燃性熱源を点火することを困難にし得る。
【0006】
発火傾向が低減されているが、黄炎ライターによって容易に点火もされる喫煙物品のための絶縁熱源を提供することが望ましい場合がある。
【0007】
さらに、先行技術のエアロゾル発生物品の可燃性熱源に点火補助剤を加えることが知られている。しかし、時には、点火補助剤は、点火中または熱源の燃焼の開始時に完全に消費されない。これが発生し、点火補助剤が熱源の燃焼中に後ほど消費される場合、熱源でガスの蓄積が発生し得ることが見出されている。これは、後期ブースト現象として知られる場合がある。燃焼ガスの蓄積によって引き起こされる内部圧力は、熱源を損傷するか、または場合によっては、熱源が残りの喫煙物品から分離するという結果をもたらし得る。
【0008】
後期ブースト現象に関連付けられた技術的問題を経験しない可燃性熱源を提供することがさらに望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第一の態様によると、可燃性熱源を備えるエアロゾル発生物品が提供されている。可燃性熱源は、上流部分および下流部分を有する。
【0010】
エアロゾル発生物品は、可燃性熱源の下流にエアロゾル形成基体をさらに備えてもよい。可燃性熱源からの熱は、エアロゾル形成基体からの揮発性化合物をエアロゾルとして放出させ得る。
【0011】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の上流部分および可燃性熱源の下流部分を囲むラッパーをさらに備えてもよい。
【0012】
ラッパーの提供は、有利なことに、可燃性熱源をエアロゾル形成基体に固定し得る。これは、ラッパーが熱源をエアロゾル形成基体にしっかり付着したままにし得るため、後期ブースト現象が熱源に圧力をかける場合に特に重要であり得る。
【0013】
不燃性被覆は、可燃性熱源の上流部分に提供され、可燃性熱源の下流部分には提供されなくてもよい。
【0014】
不燃性被覆は、有利なことに、熱源が接触し得る他の材料から熱源を絶縁することによって、可燃性熱源の発火傾向を低減し得る。
【0015】
不燃性被覆は、約30マイクロメートル~約250マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0016】
以下でより詳細に説明するように、この範囲の厚さを有する被覆は、可燃性熱源の発火傾向を有利なことに減少させる一方で、従来の黄炎ライターを使用して熱源を点火させることも可能にすることが見出された。さらに、驚くべきことに、約30マイクロメートル~約250マイクロメートルの厚さを有する不燃性被覆の提供は後期ブースト現象の発生の可能性を低減させる可能性があり、これは有利なことにエアロゾル発生物品の使用中の可燃性熱源に対する損傷の可能性を低減し得ることが見出された。
【0017】
本発明の第一の態様によると、可燃性熱源を備えるエアロゾル発生物品が提供されていることが好ましい。可燃性熱源は、上流部分および下流部分を有する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の上流部分および可燃性熱源の下流部分を囲むラッパーをさらに備える。エアロゾル発生物品は、可燃性熱源の上流部分に提供され、可燃性熱源の下流部分には提供されていない不燃性被覆をさらに備え、不燃性被覆は、約30マイクロメートル~約250マイクロメートルの厚さを有する。
【0018】
本発明によるエアロゾル発生物品の提供は、先行技術のエアロゾル発生物品の欠点の多くを克服する。特に、約30マイクロメートル~約250マイクロメートルの厚さを有する不燃性被覆の提供は、有利なことに、可燃性熱源の発火傾向を低減する一方で、従来の黄炎ライターを使用して熱源を点火させることも可能にする。さらに、不燃性被覆は、有利なことに後期ブースト現象の発生の可能性を低減させる可能性があり、これは有利なことには、エアロゾル発生物品の使用中の可燃性熱源に対する損傷の可能性を低減し得ることが見出された。理論に拘束されることを望むものではないが、これは、不燃性被覆の提供が熱源のより遅いまたはより緩やかな加熱をもたらし得るためであり得る。これは、可燃性熱源が温度をより均等に変化させ、燃焼プロセスの開始時に任意の点火補助剤のより良い消費を促進し得ることを意味する場合がある。さらに、より緩やかで均等な加熱は、可燃性熱源の長さにわたる温度勾配がより小さい結果をもたらす場合があり、これは燃焼から生じるガスが可燃性熱源から逃れるためにより多くの時間を与える可能性があり、可燃性熱源に対する損傷の可能性をさらに低減し得る。
【0019】
可燃性熱源の上流部分への不燃性被覆の提供、および熱源の下流部分のみを囲むラッパーの提供により、ラッパーが可燃性熱源を囲む場所で、ラッパーが可燃性熱源と直接接触することが可能になる。これは、有利なことに、エアロゾル形成基体に対する可燃性熱源の保持をさらに改善し得る。
【0020】
可燃性熱源は、上流部分および下流部分を有する。上流部分は、可燃性熱源の上流端に向かって位置し、不燃性被覆を含む可燃性熱源の表面の部分として定義される。可燃性熱源の下流部分は、可燃性熱源の下流端に向かって位置し、ラッパーによって囲まれた可燃性熱源の部分として定義される。言い換えれば、可燃性熱源の表面は、不燃性被覆が提供されている上流部分と、ラッパーによって囲まれた下流部分とを備える。可燃性熱源の上流部分および下流部分は、異なる長さであってもよい。
【0021】
可燃性熱源の上流部分は、可燃性熱源の下流部分よりも長くてもよい。これにより、可燃性熱源のより大きな部分が露出していて、ラッパーによって覆われていないことが確実になり得る。有利なことに、これは可燃性熱源の点火および燃焼の持続を容易にし得る。
【0022】
不燃性被覆の下流端とラッパーの上流端の間にギャップがないように、可燃性熱源の上流部分は、可燃性熱源の下流部分と隣接してもよい。これは有利なことに、可燃性熱源のいずれも露出していないことを確実にし、可燃性熱源の発火傾向をさらに低減し得る。
【0023】
不燃性被覆の下流端とラッパーの上流端の間にギャップがあるように、可燃性熱源の上流部分は、可燃性熱源の下流部分と隣接しなくてもよい。有利なことに、これは、空気が可燃性熱源に到達して、点火および燃焼の持続を容易にすることを可能にし得る。
【0024】
可燃性熱源は、長軸方向の外表面を有してもよい。可燃性熱源の上流部分に提供され、可燃性熱源の下流部分に提供されていない不燃性被覆は、可燃性熱源の上流部分の長軸方向の外表面に提供されてもよい。
【0025】
本発明に関連して本明細書で使用される「長軸方向」および「軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の向かい合った上流端と下流端との間、またエアロゾル発生物品の構成要素の対向する上流端と下流端との間の方向を記述するために使用される。したがって、「長軸方向の外表面」とは、エアロゾル発生物品の構成要素の向かい合った上流端と下流端との間に延びるエアロゾル発生物品の構成要素の外表面である。
【0026】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「隣接する」および「隣接」という用語は、別の構成要素または構成要素の部分に直接接触する、構成要素または構成要素の一部分を説明するために使用される。
【0027】
本発明に関連して本明細書で使用される「囲む」および「囲んでいる」という用語は、第二の特徴の周囲全体の周りに延びる第一の特徴を指す。例えば、本発明では、ラッパーは、エアロゾル形成基体の上流部分および可燃性熱源の下流部分を囲む。これは、エアロゾル形成基体の上流部分の長軸方向の長さに沿った一つ以上の点において、ラッパーは、エアロゾル形成基体の周囲全体の周りに延びること、および可燃性熱源の下流部分の長軸方向の長さに沿った一つ以上の点において、ラッパーは、可燃性熱源の周囲全体の周りに延びることを意味する。
【0028】
本発明に関して本明細書で使用される「上流」および「前方」、ならびに「下流」および「後方」という用語は、その使用中にエアロゾル発生物品を通って空気が流れる方向に関連して、エアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の一部分の相対的位置を説明するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品は、使用時にエアロゾルが物品を抜け出る近位端を備える。エアロゾル発生物品の近位端は口側の端または下流端と呼ばれることもある。口側の端は遠位端の下流である。可燃性熱源は遠位端に、またはその近傍に位置する。エアロゾル発生物品の遠位端は上流端と呼ばれることもある。エアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分は、喫煙物品の近位端とエアロゾル発生物品の遠位端の間の相対的位置に基づいて、互いの上流または下流にあるとして描写され得る。エアロゾル発生物品の構成要素の前方または構成要素の一部は、エアロゾル発生物品の上流端に最も近い端部の部分である。エアロゾル発生物品の構成要素の後方または構成要素の一部は、エアロゾル発生物品の下流端に最も近い端部の部分である。可燃性熱源の後方部分は可燃性熱源の下流端にある可燃性熱源の一部分である。エアロゾル形成基体の前方部分は、エアロゾル形成基体の上流端のエアロゾル形成基体の一部分である。
【0029】
本発明に関連して本明細書で使用される「被覆」という用語は、熱源を覆い、それに接着する材料の層を描写するために使用される。
【0030】
本発明に関連して本明細書で使用される「不燃性」という用語は、燃焼中または点火時に可燃性熱源が到達する温度において実質的に不燃性である被覆を描写するために使用される。
【0031】
不燃性バリアが特に薄いことを可能にするため、別のタイプの不燃性バリアではなく、不燃性被覆を提供することが有利である。これは有利なことに、黄炎ライターを使用して可燃性熱源が容易に点火可能になることを可能にし得る。
【0032】
被覆は、任意の手段によって可燃性熱源に塗布されてもよい。例えば、被覆は、不燃性材料を含む液体予備被覆製剤を可燃性熱源に塗布することによって、可燃性熱源に塗布されてもよい。次いで、塗布された予備被覆製剤は、乾燥および硬化プロセスのうちの少なくとも一つを受けて、不燃性被覆を形成してもよい。液体予備被覆製剤は、浸漬または噴霧のうちの少なくとも一つを使用して塗布され得る。
【0033】
可燃性熱源は、少なくとも一つの点火補助剤を含み得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「点火補助剤」という用語は、材料によるエネルギーおよび酸素の一方または両方の放出の割合が制限される周囲酸素拡散でない場合、可燃性熱源の点火の間にエネルギーおよび酸素の一方または両方を放出する材料を意味するために使用される。言い換えれば、可燃性熱源の点火中の材料によるエネルギーおよび酸素の一方または両方の放出速度は、周囲酸素が材料に到達できる速度にほとんど非依存的である。本明細書に使用される場合、「点火補助剤」という用語は、可燃性熱源の点火中、エネルギーを放出する元素金属を意味するためにも使用され、元素金属の点火温度は摂氏約500度より低く、元素金属の燃焼の熱は少なくとも約5kJ/gである。
【0035】
本明細書に使用される場合、「点火補助剤」という用語は、カルボン酸のアルカリ金属塩(クエン酸アルカリ金属塩、酢酸アルカリ金属塩およびコハク酸アルカリ金属塩など)、ハロゲン化アルカリ金属塩(アルカリ金属塩化物塩など)、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属リン酸塩のアルカリ金属塩を含まず、これらは炭素燃焼を修飾すると考えられる。こうしたアルカリ金属燃焼塩は、可燃性熱源の総重量に対して大量に存在するときでさえ、吸い始めの間に許容されるエアロゾルを生成するのに十分なエネルギーを可燃性熱源の点火中に放出しない。
【0036】
好適な点火補助剤の例としては、硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、亜臭素酸塩、ホウ酸塩、鉄酸塩、フェライト、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、有機過酸化物、無機過酸化物、超酸化物、炭酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、ヨウ化物、硫酸塩、亜硫酸塩、他のスルホキシド、リン酸塩、ホスフィン酸塩、亜リン酸塩、および亜ホスフィン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。少なくとも一つの点火補助剤は、過酸化カルシウムを含み得る。
【0037】
使用時に、可燃性熱源の点火の間の少なくとも一つの点火補助剤による、エネルギーおよび酸素のうちの一方または両方の放出は、その点火に際して可燃性熱源の温度の上昇をもたらす。これは、熱源の温度の上昇に反映される。これは有利なことに、熱源からエアロゾル形成基体への十分な熱伝達が利用可能であることを確実にし得る。
【0038】
さらに、上述のように、不燃性被覆は後期ブースト現象を防止するのに役立つ場合があり、これは熱源に対する損傷の可能性を有利なことに低減し得るため、本発明による不燃性被覆の提供は、可燃性熱源が点火補助剤を含む場合に、特に有利であり得る。
【0039】
不燃性被覆は、可燃性熱源の前端面に提供されなくてもよい。
【0040】
可燃性熱源は、不燃性被覆およびラッパーの一部分が提供されている長軸方向の表面を有する実質的に円筒形の形状であってもよい。可燃性熱源はまた、長軸方向の表面の間に前端面および後端面を含んでもよい。
【0041】
可燃性熱源の前端面に不燃性被覆を提供しないことによって、可燃性熱源の前端面は露出したままになる。これは、有利なことに、可燃性熱源の点火および燃焼の持続を促進するのに十分な空気が可燃性熱源に達することを可能にし得る。本発明の発明者らは、不燃性被覆が前端面に提供されていることは、可燃性熱源の発火傾向を低減するのに必須ではないことを認識した。これは、エアロゾル発生物品が表面上に置かれた場合、前端面が表面と接触する可能性が低いためである。
【0042】
不燃性被覆は、約30マイクロメートル~約250マイクロメートルの厚さを有する。上述のように、この範囲の厚さを有する不燃性被覆は、可燃性熱源の発火傾向を有利なことに減少させる一方で、黄炎ライターで可燃性熱源を点火させることをなおも可能にすることが見出された。
【0043】
不燃性被覆は、少なくとも約30マイクロメートル、少なくとも約50マイクロメートル、または少なくとも約75マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0044】
不燃性被覆は、約250マイクロメートル以下、約200マイクロメートル以下、または約150マイクロメートル以下の厚さを有してもよい。
【0045】
例えば、不燃性被覆は、約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、または約75マイクロメートル~約150マイクロメートルの厚さを有してもよい。不燃性被覆は、約150マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0046】
不燃性被覆は、任意の不燃性材料を含んでもよい。不燃性被覆は、断熱性被覆であってもよい。この場合、不燃性被覆は、断熱材料を含んでもよい。
【0047】
本発明に関連して本明細書で使用される「断熱材料」という用語は、23℃で約50ミリワット/メートル・ケルビン(mW/(m・K))未満のバルク熱伝導率、および改良された非定常平面熱源(MTPS)法を使用して測定した相対湿度50%を有する材料を描写するために使用される。
【0048】
不燃性被覆は、レーザーフラッシュ法を使用して測定して約0.01平方センチメートル/秒(cm2/s)以下のバルク熱拡散率を有する断熱性材料を含むことが好ましい。
【0049】
本発明によるエアロゾル発生物品での使用時に、不燃性被覆の外表面は、約350℃を超えないことが好ましい。
【0050】
不燃性被覆は、多孔質であってもよい。不燃性被覆は、空孔を包含していてもよい。これは有利なことに、十分な酸素が可燃性熱源に到達して、その燃焼を維持することを可能にしうる。
【0051】
不燃性被覆は、セラミック粒子を含んでもよい。
【0052】
セラミックは不燃性かつ断熱性であり得るため、不燃性被覆におけるセラミック粒子の使用は有利である。粒子の使用はまた、有利なことに、不燃性被覆が多孔質のままでいることを可能にするため、その結果、空気が可燃性熱源に到達することができる。
【0053】
セラミック粒子は、任意のサイズを有してもよい。セラミック粒子は、少なくとも約0.02マイクロメートル、または少なくとも約0.04マイクロメートルの平均粒子径を有してもよい。セラミック粒子は、約250マイクロメートル以下、約150マイクロメートル以下、または約100マイクロメートル以下の平均粒子径を有してもよい。
【0054】
セラミック粒子は、約0.02マイクロメートル~約250マイクロメートル、約0.04マイクロメートル~約150マイクロメートル、または約0.04マイクロメートル~約100マイクロメートルの平均粒子径を有してもよい。
【0055】
セラミック粒子は、珪藻土、膨張粘土、バーミキュライト、パーライト、泡ガラス、カオリナイト、およびジルコニアのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0056】
不燃性被覆は、任意の量のセラミック粒子を含んでもよい。例えば、不燃性被覆は、少なくとも約60重量パーセントのセラミック粒子、少なくとも約70重量パーセントのセラミック粒子、または少なくとも約80重量パーセントのセラミック粒子を含んでもよい。
【0057】
不燃性被覆は、約95重量パーセント以下のセラミック粒子、約90重量パーセント以下のセラミック粒子、または約86重量パーセント以下のセラミック粒子を含んでもよい。
【0058】
例えば、不燃性被覆は、約60重量パーセント~約95重量パーセントのセラミック粒子、約70重量パーセント~約90重量パーセントのセラミック粒子、または約80重量パーセント~約86重量パーセントのセラミック粒子を含んでもよい。不燃性被覆は、約85重量パーセントのセラミック粒子を含んでもよい。
【0059】
これらのセラミック材料は有利なことに、可燃性熱源の発火傾向を低減するのに特に有効であり得るのと同時に、黄炎ライターを使用して可燃性熱源を点火させることを可能にする。これらのセラミック材料はまた、有利なことに、後期ブースト現象が観察される可能性を効果的に低減し得る。
【0060】
セラミック粒子は、珪藻土およびカオリナイトを含むことが好ましい。
【0061】
不燃性被覆は、レオロジー調整剤を含んでもよい。
【0062】
レオロジー調整剤の提供は、有利なことに、予備被覆製剤のレオロジーを制御して、例えば、浸漬または噴霧によって、予備製剤を可燃性熱源に容易に適用することを可能にし得る。
【0063】
本発明に関連して本明細書で使用される「レオロジー調整剤」という用語は、予備被覆製剤の流動性を変化させる添加剤を指す。例えば、レオロジー調整剤は、予備被覆製剤の粘度を変化させてもよい。レオロジー調整剤は、予備被覆製剤の粘度を増加させてもよい。レオロジー調整剤は、予備被覆製剤の粘度を減少させてもよい。
【0064】
当然のことながら、予備被覆製剤の望ましい流動性は、予備被覆製剤が可燃性熱源にどのように塗布されるかに応じて変化し得る。従って、レオロジー調整剤のタイプおよび量は、意図される塗布方法に応じて注意深く選択されてもよい。任意の乾燥または硬化工程の後、レオロジー調整剤は、不燃性被覆中に留まる。レオロジー調整剤は、不燃性被覆の熱特性または構造特性にほとんど影響しないか、または全く影響しないことが好ましい。
【0065】
レオロジー調整剤は、任意のレオロジー調整剤であってもよい。レオロジー調整剤は、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、ベントナイト、マイクロシリカ、炭酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、およびケイ酸カリウムのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0066】
これらのレオロジー調整剤は、有利なことに、予備被覆製剤に対して適切なレオロジー特性を提供するのに特に有効であり得る。
【0067】
不燃性被覆は、任意の量のレオロジー調整剤を含んでもよい。例えば、不燃性被覆は、少なくとも約3重量パーセントのレオロジー調整剤、少なくとも約5重量パーセントのレオロジー調整剤、または少なくとも約10重量パーセントのレオロジー調整剤を含んでもよい。
【0068】
不燃性被覆は、約30重量パーセント以下のレオロジー調整剤、約25重量パーセント以下のレオロジー調整剤、または約20重量パーセント以下のレオロジー調整剤を含んでもよい。
【0069】
例えば、不燃性被覆は、約3重量パーセント~約30重量パーセントのレオロジー調整剤、約5重量パーセント~約25重量パーセントのレオロジー調整剤、または約10重量パーセント~約20重量パーセントのレオロジー調整剤を含んでもよい。不燃性被覆は、約15重量パーセントのレオロジー調整剤を含んでもよい。
【0070】
特定の好ましい実施形態において、不燃性被覆は、珪藻土、カオリナイト、およびケイ酸ナトリウムを含んでもよい。この実施形態において、セラミック粒子は、珪藻土粒子およびカオリナイト粒子を含む。レオロジー調整剤はケイ酸ナトリウムである。
【0071】
不燃性被覆は、約50重量パーセント~70重量パーセントの珪藻土、約20重量パーセント~約30重量パーセントのカオリナイト、および約10重量パーセント~約20重量パーセントのケイ酸ナトリウムを含んでもよい。例えば、不燃性被覆は、約62重量パーセントの珪藻土、約23重量パーセントのカオリナイト、および約15重量パーセントのケイ酸ナトリウムを含んでもよい。
【0072】
不燃性被覆は、珪藻土、粘土ミンカ、およびケイ酸ナトリウムを含んでもよい。この実施形態において、セラミック粒子は、珪藻土粒子および粘土ミンカ粒子を含む。レオロジー調整剤はケイ酸ナトリウムである。
【0073】
不燃性被覆は、約50重量パーセント~60重量パーセントの珪藻土、約15重量パーセント~約25重量パーセントの粘土ミンカ、および約20重量パーセント~約30重量パーセントのケイ酸ナトリウムを含んでもよい。例えば、不燃性被覆は、約55重量パーセントの珪藻土、約21重量パーセントの粘土ミンカ、および約24重量パーセントのケイ酸ナトリウムを含んでもよい。
【0074】
ラッパーは任意の紙ラッパーであってもよい。ラッパーは、熱伝導性の不燃性ラッパーであってもよい。
【0075】
熱伝導性の不燃性ラッパーの提供は、有利には、熱源の燃焼中に発生した熱が、熱伝導性の不燃性ラッパーを通して、伝導によって可燃性熱源の下流のエアロゾル形成基体に伝達されることを可能にし得る。これは、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への十分に高い伝導性熱伝達を達成し、許容可能なエアロゾルを生成するために有利に役立ち得る。
【0076】
適切な熱伝導性の不燃性ラッパーには、金属箔(例えば、アルミ箔ラッパー、スチール箔ラッパー、鉄箔ラッパーおよび銅箔ラッパーなど)、合金箔ラッパー、黒鉛箔ラッパー、および特定のセラミックファイバーラッパーを含むが、これらに限定されない。
【0077】
ラッパーは任意の厚さを有してもよい。ラッパーは約30マイクロメートル~約200マイクロメートルの厚さを有してもよい。ラッパーは、少なくとも約30マイクロメートル、少なくとも約50マイクロメートル、または少なくとも約75マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0078】
ラッパーは、約250マイクロメートル以下、約200マイクロメートル以下、または150マイクロメートル以下の厚さを有してもよい。
【0079】
例えば、ラッパーは、約50マイクロメートル~約200マイクロメートル、または約75マイクロメートル~約150マイクロメートルの厚さを有してもよい。ラッパー被覆は、約150マイクロメートルの厚さを有してもよい。
【0080】
これは、有利なことに、ラッパーが不燃性被覆と類似の厚さを有することを可能にし、ラッパーが不燃性被覆と同一平面になることを可能にし得る。ラッパーの厚さは、不燃性被覆の厚さとほぼ同じであってもよい。
【0081】
上述のように、被覆は、液体予備被覆製剤を塗布することによって、可燃性熱源に塗布されてもよい。予備被覆製剤は、不燃性被覆の構成要素のすべてを含む。さらに、予備被覆製剤は、分散助剤を含んでもよい。
【0082】
分散助剤は、水、ポリカルボキシエーテル、クエン酸、ポリカルボン酸塩(ViscoCreteなど)、メラミンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、およびリグニンスルホン酸塩のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0083】
分散助剤の提供は、有利なことに、セラミック粒子が凝集することを防止し、均質な懸濁液を提供し得る。これは有利なことに、均質な不燃性被覆をもたらし得る。
【0084】
例示的な予備被覆製剤は、約15重量パーセント~25重量パーセントの珪藻土、約3重量パーセント~約10重量パーセントのカオリナイト、約5重量パーセント~約15重量パーセントのケイ酸ナトリウム、および約60重量パーセント~約70重量パーセントの水を含んでもよい。例えば、予備被覆製剤は、約18重量パーセントの珪藻土、約7重量パーセントのカオリナイト、約12重量パーセントのケイ酸ナトリウム、および約63パーセントの水を含んでもよい。
【0085】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を加熱するための可燃性熱源を備える。可燃性熱源は固体の熱源であることが好ましく、また炭素、およびアルミニウム、マグネシウム、一つ以上の炭化物、一つ以上の窒化物、ならびにその組み合わせを含む炭素ベースの材料を含むがこれに限定されない任意の適切な可燃性燃料を備えてもよい。典型的には、加熱式喫煙物品のための周知の固体の可燃性熱源は、炭素ベースであり、すなわち主要な可燃材料として炭素を備える。
【0086】
可燃性熱源は可燃性炭素質熱源であってもよい。
【0087】
可燃性熱源はブラインド可燃性熱源であることが好ましい。
【0088】
本発明に関連して本明細書に使用される場合、「ブラインド」という用語は、可燃性熱源の前方端面から後方端面まで延びるいずれの気流チャネルも含まない熱源を説明する。本発明に関連して本明細書で使用される「ブラインド」という用語はまた、可燃性熱源の前方端面から可燃性熱源の後方端面まで延びる一つ以上のチャネルを含む可燃性熱源を説明するためにも使用され、その場合、可燃性熱源の後端面とエアロゾル形成基体バリアとの間の可燃性の実質的に不通気性のバリアが、空気が可燃性熱源の長さに沿って一つ以上の気流チャネルを通して引き出されるのを防止する。
【0089】
一つ以上の閉じた空気通路の包含は、空気からの酸素に曝露されるブラインド可燃性熱源の表面積を増加させ、ブラインド可燃性熱源の点火および燃焼の持続を有利に容易にし得る。
【0090】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品を通って空気を一つ以上の気流経路の中へと引き出すための可燃性熱源の後方端面の下流にある一つ以上の空気吸込み口を備える。非ブラインド可燃性熱源を備える本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品を通って一つ以上の気流経路の中へと空気を引き出すための可燃性熱源の後方端面の下流の一つ以上の空気吸込み口も備えてもよい。エアロゾル発生物品が、可燃性熱源の後方端面の下流の一つ以上の空気吸込み口を備える場合、一つ以上の空気吸込み口は、保持ラップの下流部分にあってもよい。別の方法として、可燃性熱源の後方端面の下流の一つ以上の空気吸込み口は、保持ラップの下流部分の下流端よりもさらに下流にあってもよい。
【0091】
一部の実施形態において、ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流端の近くに位置する一つ以上の空気吸込み口を備える。
【0092】
使用において、ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品の一つ以上の気流経路に沿って引き出された空気は、ブラインド可燃性熱源に沿ったいかなる気流チャネルも通過しない。ブラインド可燃性熱源を通る気流チャネルの欠如は、ユーザーによる吸煙の間のブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を有利に実質的に防止または抑制する。これは、ユーザーによる吸煙の間、エアロゾル形成基体の温度の急上昇を実質的に防止または抑制する。ブラインド可燃性熱源の燃焼の活性化を防止または抑制すること、およびそのようにしてエアロゾル形成基体における過剰な温度上昇を防止または抑制することによって、激しい吸煙状況下でエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解が有利に回避され得る。加えて、主流エアロゾルの組成物へのユーザーの吸煙状況の影響は、有利に最小にされ、または減少されうる。
【0093】
また、ブラインド可燃性熱源の包含は、ブラインド可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼および分解生成物ならびにその他の材料が、その使用中に本発明によるエアロゾル発生物品を介して吸い込まれる空気に入るのを有利に実質的に阻止または抑制しうる。これは、ブラインド可燃性熱源がブラインド可燃性熱源の点火または燃焼を補助するために一つ以上の添加剤を含む場合、特に有益である。
【0094】
ブラインド可燃性熱源を含む本発明によるエアロゾル発生物品において、ブラインド可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達は、主に伝導によって生じる。強制対流によるエアロゾル形成基体の加熱は最小にされる、または減少される。これは、本発明による物品の主流エアロゾルの組成物へのユーザーのたばこを吸う状況の影響を最小にする、または減少させるのに有利に役立ちうる。
【0095】
本発明の一定の実施形態において、可燃性熱源は、熱源を通して一つ以上の気流経路を提供する少なくとも一つの長軸方向の気流チャネルを備える。「気流チャネル」という用語は本明細書において、エアロゾル発生物品を通して引き出されうる空気が通る熱源の長さに沿って延びるチャネルを記述するために使用される。一つ以上の長軸方向の気流チャネルを含むこのような熱源は、本明細書では「非ブラインド」熱源と呼ばれる。
【0096】
少なくとも一つの長軸方向の気流チャネルの直径は、約1.5ミリメートル~約3ミリメートルであってもよく、約2ミリメートル~約2.5ミリメートルであることがより好ましい。
【0097】
可燃性熱源の長さは、約7ミリメートル~約17ミリメートルであることが好ましく、約7ミリメートル~約15ミリメートルであることがより好ましく、約7ミリメートル~約13ミリメートルであることが最も好ましい。一部の実施形態では、可燃性熱源は約9ミリメートルの長さを有する。
【0098】
可燃性熱源の直径は約5ミリメートル~約9ミリメートルであることが好ましく、約7ミリメートル~約8ミリメートルであることがより好ましい。
【0099】
本発明に関連して本明細書に使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱に伴い放出することができる基体を記述するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝結した蒸気の液体の小滴を含んでもよい。
【0100】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は一つ以上のエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例には、グリセリンおよびプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
エアロゾル形成基体はたばこ含有材料を含むロッドであってもよい。
【0102】
エアロゾル形成基体が固体のエアロゾル形成基体である場合、固体のエアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこおよび膨化たばこのうちの一つ以上を含む、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ状より糸、細片またはシートのうちの一つ以上を含み得る。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態になっていてもよく、または適切な容器もしくはカートリッジ内で提供されてもよい。例えば、固体エアロゾル形成基体のエアロゾル形成材料は、紙またはその他のラッパー内に含まれ、かつプラグの形態を有し得る。エアロゾル形成基体がプラグの形態である場合、任意のラッパーを含めてプラグ全体がエアロゾル形成基体であると考えられる。
【0103】
固体エアロゾル形成基体は、その固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含み得る。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0104】
固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ状より糸、細片またはシートの形態を取ってもよい。固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体の上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。
【0105】
エアロゾル形成基体は、紙またはその他のラッパーによって取り囲まれる加熱に反応して揮発性化合物を発することができる材料を含むプラグまたはセグメントの形態とし得る。エアロゾル形成基体がこのようなプラグまたはセグメントの形態である場合、任意のラッパーを含むプラグまたはセグメントの全体は、エアロゾル形成基体であると見なされる。
【0106】
エアロゾル形成基体は、約5ミリメートル~約20ミリメートルの長さを有することが好ましい。ある特定の実施形態では、エアロゾル形成基体は、約6ミリメートル~約15ミリメートルの長さ、または約7ミリメートル~約12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0107】
エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれるたばこ由来材料のプラグを備えてもよい。好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体はプラグラップに包まれる均質化したたばこ由来材料のプラグを備える。
【0108】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流にある移動要素またはスペーサー要素をさらに含んでいてもよい。こうした要素は、エアロゾル形成基体の下流に位置する中空管の形態を取り得る。
【0109】
移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方に隣接してもよい。あるいは、移動要素はエアロゾル形成基体およびマウスピースの一方または両方から間隙を介していてもよい。
【0110】
移動要素の包含は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱伝達によって生成されるエアロゾルの冷却を有利に可能にする。移動要素の包含はまた、有利にも、エアロゾル発生物品の全長を、移動要素の長さの適切な選択によって所望の値、例えば従来の紙巻たばこの長さに類似した長さに調整することを可能にする。
【0111】
移動要素の長さは、約7mm~約50mm、例えば約10mm~約45mm、または約15mm~約30mmであってもよい。移動要素の長さは、エアロゾル発生物品の所望の全長、およびエアロゾル発生物品内のその他の成分の存在および長さに依存して、その他の長さであってもよい。
【0112】
移動要素は少なくとも一つの端の開いた管状中空体を備えることが好ましい。このような実施形態では、使用時、エアロゾル発生物品の中へと引き込まれる空気は、それがエアロゾル形成基体からエアロゾル発生物品の遠位端へエアロゾル発生物品を通って下流に通過する時に、少なくとも一つの端の開いた管状中空体を通って通過する。
【0113】
移動要素は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への熱の移動によって生成されるエアロゾルの温度で実質的に熱安定している一つ以上の適切な材料から形成される少なくとも一つの端の開いた管状中空体を含んでいてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、紙、ボール紙、プラスチック、このような酢酸セルロース、セラミックおよびこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0114】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流にあるエアロゾル冷却要素または熱交換器を含んでもよい。エアロゾル冷却要素は複数の長軸方向に延びるチャネルを備えてもよい。エアロゾル発生物品が、エアロゾル形成基体の下流の移動要素を含む場合、エアロゾル冷却要素は、移動要素の下流にあることが好ましい。
【0115】
エアロゾル冷却要素は、金属箔、高分子材料、および実質的に非多孔性の紙または厚紙から成る群から選択される材料シートの集合体を含んでもよい。ある特定の実施形態において、エアロゾル冷却要素は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、酢酸セルロース(CA)およびアルミ箔から成る群より選択される材料シートの集合体を含んでもよい。
【0116】
一定の好ましい実施形態では、エアロゾル冷却要素は、ポリ乳酸(PLA)またはMater-Bi(登録商標)の等級(デンプンベースのコポリエステルの市販のファミリー)などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を含んでもよい。
【0117】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流かつエアロゾル発生物品の下流端に位置するマウスピースを含むことが好ましい。マウスピースはフィルターを備えてもよい。例えば、マウスピースは一つ以上のセグメントを有するフィルタープラグを備えてもよい。マウスピースがフィルタープラグを備える場合、フィルタープラグは単一のセグメントフィルタープラグであることが好ましい。フィルタープラグは、酢酸セルロース、紙、もしくはその他の適切な周知の濾過材料、またはその組み合わせを含む一つ以上のセグメントを備えてもよい。フィルタープラグは濾過効率の低い濾過材料を含むことが好ましい。
【0118】
本発明によるエアロゾル発生物品は、ロッドの形態に組み立てられる複数の要素を備え得る。
【0119】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状の形状とし得る。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体の長さがエアロゾル発生物品内の気流の方向と実質的に平行であるように、エアロゾル発生物品内に位置しうる。
【0120】
移動するセクションまたは要素は実質的に細長くてもよい。
【0121】
エアロゾル発生物品は所望の任意の長さを有しうる。例えば、エアロゾル発生物品は、およそ65ミリメートル~およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は所望の任意の外径を有しうる。例えば、エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルの外径を有してもよい。
【0122】
当然ながら、本発明のいずれかの態様において記述および定義された様々な特徴の特定の組み合わせを独立して実施、供給または使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向断面図を示す。
【
図2】
図2は、本発明による第一のエアロゾル発生物品および参照物品を比較した発火傾向値を示す。
【
図3】
図3は、本発明による第一のエアロゾル発生物品および参照物品を比較した温度プロファイルを示す。
【
図4】
図4は、本発明による第二のエアロゾル発生物品および参照物品を比較した発火傾向値を示す。
【
図5】
図5は、本発明による第二のエアロゾル発生物品および参照物品を比較した温度プロファイルを示す。
【0124】
図1に示す本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品2は、前面6および向かい合った後面8を有するブラインド可燃性熱源4と、ブラインド可燃性熱源4の下流のエアロゾル形成基体10とを備える。エアロゾル発生物品2は、移動要素12と、エアロゾル冷却要素14と、エアロゾル形成基体10の下流に配置されたスペーサー要素16とをさらに備える。
【0125】
可燃性熱源4は、ブラインド炭素質可燃性熱源であり、エアロゾル発生物品2の遠位端に位置する。可燃性熱源4は、点火補助剤として過酸化カルシウムを含む。
【0126】
エアロゾル形成基体10は、熱源4のすぐ下流に位置する。エアロゾル形成基体10は、プラグラップ26に包まれた、例えば、グリセリンなどのエアロゾル形成体を含む均質化したたばこベース材料24の円筒状プラグを備える。
【0127】
移動要素12はエアロゾル形成基体10のすぐ下流に位置し、円筒状の端の開いた中空の酢酸セルロースチューブ28を含む。
【0128】
エアロゾル冷却要素14は移動要素12のすぐ下流に位置し、例えばポリ乳酸などの生物分解性高分子材料のシートの集合体を備える。
【0129】
スペーサー要素16はエアロゾル冷却要素14のすぐ下流に位置し、円筒状の端の開いた中空の紙またはボール紙管30を含む。
【0130】
マウスピース18はスペーサー要素16のすぐ下流に位置する。
図1に示したように、マウスピース18はエアロゾル発生物品2の近位端に位置し、フィルタープラグラップ34に包まれた、例えば非常に低い濾過効率の酢酸セルローストウなどの適切な濾過材料の円柱状プラグ32を含む。
【0131】
熱伝導性の耐燃焼性ラッパー36は、エアロゾル形成基体10の上流部分および可燃性熱源4の下流部分を囲む。ラッパー36は、アルミ箔を含む。
【0132】
外側ラッパー20は、エアロゾル発生物品2の構成要素のそれぞれの少なくとも一部分を囲む。外側ラッパー20は、紙から形成されている。
【0133】
図1に示すように、空気吸込み口40の円周配設が、エアロゾル形成基体10のプラグラップ26、外側ラッパー20および熱伝導性の耐燃焼性ラッパー36に提供されて、冷気(
図1で点線矢印で示す)をエアロゾル形成基体10の中へと入れる。
【0134】
エアロゾル発生物品2は、可燃性熱源4の上流部分に提供された不燃性被覆42をさらに備える。不燃性被覆42は、可燃性熱源4の上流部分を囲む。不燃性被覆42は、可燃性熱源4の前端面には提供されていない。不燃性被覆42は、150マイクロメートルの厚さを有していて、約0.04マイクロメートル~約150マイクロメートルの平均サイズを有するセラミック粒子を含む。不燃性被覆42は、珪藻土、ケイ酸ナトリウム、およびカオリナイトを含む。
【0135】
使用時、ユーザーは本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品2のブラインド可燃性熱源4に点火し、次いでマウスピース18を吸う。ユーザーがマウスピース18を吸うと、空気(
図1に点線矢印によって示す)は、空気吸込み口40を通ってエアロゾル発生物品2のエアロゾル形成基体10の中に引き出される。
【0136】
エアロゾル形成基体10の前方部分は、ブラインド可燃性熱源4の後面8および熱伝導性の耐燃焼性ラッパー36を通した伝導によって加熱される。
【0137】
伝導によるエアロゾル形成基体10の加熱は、均質化したたばこベース材料24のプラグからグリセリンおよびその他の揮発性および半揮発性化合物を放出する。エアロゾル形成基体10から放出された化合物は、エアロゾル形成基体10を通って流れるときに、空気吸込み口40を通ってエアロゾル発生物品2のエアロゾル形成基体10の中に引き出された空気に混入したエアロゾルを形成する。引き出された空気および混入したエアロゾル(
図1に破線矢印によって示した)は、移動要素12、エアロゾル冷却要素14、およびスペーサー要素16を通って下流に通過し、ここで冷却および凝縮される。冷却された引き出された空気および混入したエアロゾルは、マウスピース18を通って下流に通過し、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品2の近位端を通ってユーザーに送達される。
【0138】
図2および
図4は、本発明による第一のエアロゾル発生物品、本発明による第二のエアロゾル発生物品、および参照エアロゾル発生物品に対する発火傾向試験の結果を示す。第一のエアロゾル発生物品の不燃性被覆の厚さは約50マイクロメートルであった。第二のエアロゾル発生物品の不燃性被覆の厚さは約150マイクロメートルであった。参照エアロゾル発生物品は、第一および第二のエアロゾル発生物品と同一であったが、可燃性熱源の上流部分上に提供されたいかなる不燃性被覆も有していなかった。
【0139】
発火傾向試験を実施するために、試験されるエアロゾル発生物品をスティックホルダ中に置き、黄炎ライターを使用して可燃性熱源に点火した。所定の期間の後、エアロゾル発生物品を、積み重ねた10個の白色フィルターパッドの上に置いた。エアロゾル発生物品を、積み重ねたフィルターパッドの上に8分間放置し、その後、エアロゾル発生物品を除去した。次いで、10個のフィルターパッドの各々を、顕微鏡を使用して撮影し、コンピュータを使用して、10個のフィルターパッドすべてにわたって合計炭化面積を分析した。
【0140】
図2および
図4の両方において、縦軸は、10ミリメートル方眼の単位での合計炭化面積を示す。
【0141】
図2は、「A」と表示された参照エアロゾル発生物品、および不燃性被覆の厚さが約50マイクロメートルであり、「B」と表示された本発明による第一のエアロゾル発生物品に対する10個のフィルターパッドの合計炭化面積を示す。
【0142】
図4は、「C」と表示された参照エアロゾル発生物品、および不燃性被覆の厚さが約150マイクロメートルであり、「D」と表示された本発明による第二のエアロゾル発生物品に対する10個のフィルターパッドの合計炭化面積を示す。
【0143】
見て分かるように、両方の試験において、本発明によるエアロゾル発生物品の燃焼面積は、参照エアロゾル発生物品の燃焼面積よりも小さかった。これは、本発明によるエアロゾル発生物品に対する発火傾向が、不燃性被覆を含まないエアロゾル発生物品の発火傾向よりも有利に低いことを示す。また、より厚い(150マイクロメートル)被覆を有する本発明による第二のエアロゾル発生物品は、有利なことに、より薄い(50マイクロメートル)被覆を有する本発明による第一のエアロゾル発生物品よりも低い発火傾向値を呈したことも明らかである。
【0144】
第一のエアロゾル発生物品、第二のエアロゾル発生物品、および参照エアロゾル発生物品を喫煙機械に接続し、可燃性熱源に点火し、各エアロゾル発生物品には同じ吸煙サイクルを受けさせた。たばこプラグの温度を、たばこプラグの上流端から2ミリメートルで、熱電対を使用して吸煙サイクル全体を通して測定し、たばこプラグの温度を時間の関数として示す温度プロファイルを作成した。これらの温度プロファイルを
図3および
図5に示す。温度プロファイルでは、温度は縦軸110に摂氏で示され、時間は横軸120に秒で示されている。
【0145】
図3は、参照エアロゾル発生物品と比較した、本発明による第一のエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。線101(黒で示す)は、参照エアロゾル発生物品の温度プロファイルである。線102(灰色で示す)は、本発明による第一のエアロゾル発生物品の温度プロファイルであり、その不燃性被覆の厚さは約50マイクロメートルであった。見て分かるように、本発明による第一のエアロゾル発生物品の温度プロファイルは、参照エアロゾル発生物品の温度プロファイルと非常に類似している。従って、可燃性熱源の上流部分に50マイクロメートルの厚さの不燃性被覆を提供することは、エアロゾル発生物品の性能に有害な影響を与えないことが明らかである。
【0146】
図5は、参照エアロゾル発生物品と比較した、本発明による第二のエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。線103(黒で示す)は、参照エアロゾル発生物品の温度プロファイルである。線104(灰色で示す)は、本発明による第二のエアロゾル発生物品の温度プロファイルであり、その不燃性被覆の厚さは約150マイクロメートルであった。見て分かるように、本発明による第二のエアロゾル発生物品の温度プロファイルは、参照エアロゾル発生物品の温度プロファイルよりも低い。これは、本発明による第二のエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の温度は、参照エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の温度よりも低いことを示す。これは、より低い性能と関連付けられ得る。従って、可燃性熱源の上流部分に150マイクロメートルの厚さの不燃性被覆を提供することは、エアロゾル発生物品の性能を減少させ始め得ることが明らかである。
【0147】
これらの二つの試験から、発明者らは驚くべきことに、不燃性被覆の最適な厚さは、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルでなければならないことを発見した。
図2の発火傾向の比較から分かるように、不燃性被覆が約50マイクロメートル未満の厚さを有する場合、発火傾向を低減する有利な効果は無視できる程度である可能性が高い。しかしながら、
図5の温度プロファイルの比較から分かるように、不燃性被覆が約150マイクロメートルを超える厚さを有する場合、エアロゾル発生物品の性能は悪影響を受ける可能性が高い。
【0148】
本発明によるエアロゾル発生物品における後期ブースト現象を観察する可能性を調査するための試験も実施された。本発明による第二のエアロゾル発生物品、および上述の参照エアロゾル発生物品を、摂氏22度、相対湿度60%で144時間および180時間、カバーをしないままにした。次いで、エアロゾル発生物品の可燃性熱源に点火し、可燃性熱源の燃焼を特徴付けた。各エアロゾル発生物品のうち20個を試験した。ブーストを少しでも示した熱源のうち、ブーストを、「後期ブースト」(点火後、燃焼が停止し、その後再開する)、「中断」(極度な後期ブーストのために熱源の少なくとも一部が中断する)、または「OK」(開始時にブーストし、後期ブーストなしで燃焼が正しく伝播する)のうちの一つに特徴付けた。
【0149】
これらの試験の結果を以下に示す。
【0150】
【0151】
表1は、エアロゾル発生物品を144時間にわたってカバーしないままにした後のブーストの各タイプの割合を示す。見て分かるように、参照エアロゾル発生物品は、本発明による第二のエアロゾル発生物品と比較して、はるかに多くの後期ブースト現象の事例を示した。逆に、本発明による第二のエアロゾル発生物品は、参照エアロゾル発生物品と比較して、はるかに多くの「OK」ブーストを示した。
【0152】
【0153】
表2は、エアロゾル発生物品を180時間にわたってカバーしないままにした後のブーストの各タイプの割合を示す。見て分かるように、参照エアロゾル発生物品は、後期ブーストを全く示さなかった本発明による第二のエアロゾル発生物品と比較して、はるかに多くの後期ブースト現象の事例を示した。逆に、本発明による第二のエアロゾル発生物品は、参照エアロゾル発生物品と比較して、はるかに多くの「OK」ブーストを示した。
【0154】
従って、本発明の発明者らは、驚くべきことに、本発明による不燃性被覆の提供が、後期ブースト現象を低減するのに有効であることを見出した。
【0155】
上述の特定の実施形態および実施例は本発明を例示するが、本発明を限定しない。本発明の他の実施形態がなされてもよく、また本明細書に記載の具体的な実施形態および実施例は網羅的なものでないことが理解される。